(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】光検出回路及び方法、レーザーレーダー、記憶媒体並びに検出システム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4861 20200101AFI20240723BHJP
H03M 1/12 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
G01S7/4861
H03M1/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579161
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2022077012
(87)【国際公開番号】W WO2022267497
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110693340.7
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110931016.4
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲崢▼涛
(72)【発明者】
【氏名】朱 雪洲
(72)【発明者】
【氏名】向 少▲卿▼
【テーマコード(参考)】
5J022
5J084
【Fターム(参考)】
5J022AA01
5J022BA05
5J022CA10
5J022CE01
5J022CF08
5J022CG04
5J084BA03
5J084BA36
5J084BA39
5J084BB02
5J084BB04
(57)【要約】
光信号を受信して対応する電気信号を生じるための複数の光検出ユニット(311)を含む光検出ユニットアレイ(301)と、それぞれ一つの光検出ユニット(311)に対応的に結合され、それぞれ結合した光検出ユニット(311)の動作状態を制御して結合した光検出ユニット(311)の信号出力端に電気信号を出力させるように配置されている複数の第1スイッチユニット(321)を含むスイッチアレイ(302)と、動作状態にある光検出ユニット(311)を選択して電気信号を出力させるための選択ユニットとを含む、光検出回路である。各第1スイッチユニット(321)のオンオフ状態を個別に設定することによって、動作必要な光検出ユニット(311)を選択してアクティブ化して動作させ、動作する必要がない光検出ユニット(311)をアクティブ化不可能に設定することで、レーザーレーダーの測定チャネルが外部干渉光によるクロストーク影響を受けることを回避し、検出正確度を向上させ、不必要な電力消費をも回避する。なお、更に、光検出方法、レーザーレーダー、記憶媒体並びにパルス信号ピーク検出システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーレーダーに用いられる光検出回路であって、
光信号を受信して対応する電気信号を生じるための複数の光検出ユニットを含む光検出ユニットアレイと、
それぞれ一つの光検出ユニットに対応的に結合され、それぞれ結合した光検出ユニットの動作状態を制御して結合した光検出ユニットの信号出力端に前記電気信号を出力させるように配置されている複数の第1スイッチユニットを含むスイッチアレイと、
動作状態にある光検出ユニットを選択して前記電気信号を出力させるための選択ユニットとを含むことを特徴とする、光検出回路。
【請求項2】
給電電源に結合された第1給電端を含み、
前記第1スイッチユニットは、
一端が前記第1給電端に結合され、他端が一つの光検出ユニットの一端に結合された第1スイッチ素子を含み、前記光検出ユニットの第1スイッチ素子に結合された一端が信号出力端であり、
前記第1スイッチ素子のオンオフ状態は第1給電端と信号出力端との間の経路の開閉に対応することを特徴とする、請求項1に記載の光検出回路。
【請求項3】
各前記第1スイッチユニットは、
一端が前記光検出ユニットの第1スイッチ素子に結合された一端に結合され、他端が接地端に結合された第2スイッチ素子を更に含み、
前記第2スイッチ素子のオンオフ状態は信号出力端と接地端との間の経路の開閉に対応することを特徴とする、請求項2に記載の光検出回路。
【請求項4】
前記第1スイッチ素子と第2スイッチ素子のオンオフ状態は反対に設置されることを特徴とする、請求項3に記載の光検出回路。
【請求項5】
出力端が前記第1給電端に接続されて可変の給電電源を提供する給電調節ユニットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光検出回路。
【請求項6】
前記給電電源は、それぞれ異なる動作電圧を有する光検出ユニットに適応する多種の電圧値を出力するように調節されることを特徴とする、請求項5に記載の光検出回路。
【請求項7】
入力端が前記選択ユニットの出力端に結合され、選択ユニットの出力した電圧を予め設定された電圧範囲内に変換するように配置されているレベルシフトユニットを含むことを特徴とする、請求項5に記載の光検出回路。
【請求項8】
前記レベルシフトユニットは、少なくとも一つの第2スイッチユニット、第1インピーダンスユニット及び電流源を含み、
各前記第2スイッチユニットは、前記第1給電端に結合された第1端、前記第1インピーダンスユニットの一端に結合された第2端及び前記選択ユニットの出力端に結合された制御端を含み、前記制御端が前記第1端と前記第2端の接続切断を制御するためのものであり、
前記第1インピーダンスユニットは他端が前記電流源一端に結合され、前記電流源は他端が接地端に結合されていることを特徴とする、請求項7に記載の光検出回路。
【請求項9】
前記電流源は、第1カレントミラーと第2カレントミラーを含み、
第1カレントミラーは、少なくとも一対のゲート共通のトランジスタからそれぞれ引き出された第1分岐路と第2分岐路を含み、そのゲートが電流源の制御端に結合され、前記第1分岐路において第2インピーダンスユニットが直列接続され、前記第1分岐路と第2分岐路の一端が第2給電端に結合され、前記第1分岐路の他端が前記第2インピーダンスユニットを経由して接地し、前記第2給電端と前記第1給電端が接続する電圧が異なり、
第2カレントミラーは、少なくとも一対のゲート共通のトランジスタからそれぞれ引き出された第3分岐路と第4分岐路を含み、前記第3分岐路の一端が直列接続で第2分岐路の他端に結合され、前記第3分岐路の他端が接地端に結合され、前記第4分岐路の一端が前記第1インピーダンスユニットの一端に結合され、前記第4分岐路の他端が接地し、それによって前記第1インピーダンスユニットと前記第2インピーダンスユニットを流れる電流の間に調節可能な比例値を持たせることを特徴とする、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項10】
前記第4分岐路は並列接続されたN個の分岐路を含み、N≧2であり、各分岐路においてトランジスタが直列接続され、各分岐路のトランジスタは、前記第1インピーダンスユニットと前記第2インピーダンスユニットを流れる電流間の比例値を調節するために、第3分岐路中のトランジスタに対して接続又は切断されるように選択されることが可能であることを特徴とする、請求項9に記載の光検出回路。
【請求項11】
前記電流源は、第1カレントミラーと第2カレントミラーを含み、
第1カレントミラーは、カスコード接続された少なくとも一つの第1PMOS及び少なくとも一つの第2PMOSを含み、ゲートが電流源の制御端に結合され、ソースが第2給電端に接続され、第1PMOSのドレインが第2インピーダンスユニットを経由して接地端に結合され、前記第2給電端と前記第1給電端が接続する電圧が異なり、
第2カレントミラーは、そのゲートとドレインが第2PMOSのドレインに結合され、そのソースが接地端に結合された第1NMOSと、第1NMOSに対してゲート共通に接続され、そのドレインが前記第1インピーダンスユニットの一端に結合され、そのソースが接地端に結合された少なくとも一つの第2NMOSとを含むことを特徴とする、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項12】
第2NMOSはN個あり、N≧2であり、各第2MOSのドレイン同士が結合され且つ前記第1インピーダンスユニットの一端に結合され、ソースが接地端に結合され、各第2NMOSのゲートが第3スイッチ素子を経由して前記第1NMOSのゲートに結合され、且つ第4スイッチ素子を介して接地端に結合されていることを特徴とする、請求項11に記載の光検出回路。
【請求項13】
前記電流源は、
基準電圧に接続する負極入力端と、
前記第2インピーダンスユニットの一端に結合されて前記基準電圧を印加する正極入力端と、
前記電流源の制御端とするための出力端とを備える演算増幅器を更に含むことを特徴とする、請求項9又は11に記載の光検出回路。
【請求項14】
前記第2スイッチユニットは第3NMOSを含み、前記第2スイッチユニットの制御端、第1端及び第2端はそれぞれ第3NMOSのゲート、ドレイン及びソースから引き出されることを特徴とする、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項15】
前記第1インピーダンスユニットは、可変抵抗又は複数の直列接続されたトランジスタの一種を含むことを特徴とする、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項16】
前記第2スイッチユニットは、並列接続された複数のスイッチユニットであることを特徴とする、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項17】
前記レベルシフトユニットの出力端に結合され、受信した電気信号により積分演算を行って演算結果を得るために用いられる積分演算ユニットと、
前記積分演算ユニットの出力端に結合され、前記演算結果によりアナログデジタル変換を行うために用いられるアナログデジタル変換ユニットとを含むことを特徴とする、請求項7に記載の光検出回路。
【請求項18】
前記第1スイッチユニットは、第1スイッチ素子と光検出ユニットとの間に直列接続された可変インピーダンスユニットを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の光検出回路。
【請求項19】
給電電源に結合された第1給電端を含み、前記第1スイッチユニットはトランスインピーダンスアンプユニットを更に含み、
前記トランスインピーダンスアンプユニットは、第1入力端、第2入力端及び出力端を含み、前記トランスインピーダンスアンプユニットの第1入力端が前記第1スイッチ素子に結合されて第1給電端に至り、且つ前記第2スイッチ素子に結合されて接地端に至り、前記トランスインピーダンスアンプユニットの第2入力端が光検出ユニットの一端に結合され、且つ第3インピーダンスユニットを経由して前記トランスインピーダンスアンプユニットの出力端に結合され、前記トランスインピーダンスアンプユニットの出力端が前記信号出力端に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の光検出回路。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の光検出回路を制御するために用いられる光検出方法であり、
スイッチアレイにスイッチング信号を伝送して一部の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して、一部の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットを駆動して起動させて光信号を検出させ、また、他の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して他の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットをオフさせるステップを含むことを特徴とする、光検出方法。
【請求項21】
スイッチアレイ中の一部の第1スイッチユニットにスイッチング信号を印加して、結合された光検出ユニットを駆動して起動させる前記ステップは、
一部のスイッチアレイ中の各第1スイッチユニットに個別にスイッチング信号を印加し、各光検出ユニットを駆動して対応的に起動させるステップを含むことを特徴とする、請求項20に記載の光検出方法。
【請求項22】
射出信号を出力するように配置された光射出ユニットアレイを含む光射出モジュールと、
請求項1~19のいずれか一項に記載の光検出回路を含み、光検出ユニットアレイが、前記射出信号が障害物に当たった後反射されたエコー信号を受信するように配置されている光検出モジュールと、
前記光射出モジュール及び光検出モジュールに結合されており、スイッチアレイにスイッチング信号を伝送して一部の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して、一部の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットを駆動して起動させて光信号を検出させ、また、他の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して他の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットをオフさせるように配置されている制御モジュールとを含むことを特徴とする、レーザーレーダー。
【請求項23】
実行されると、請求項20又は21に記載の光検出方法を実行するプログラムコマンドを記憶していることを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
検出待ちパルス信号を受信し、前記パルス信号のピーク信号を検出して多重サンプルホールド回路に出力するために用いられるピーク検出回路と、
それぞれ前記検出待ちパルス信号の各ピーク信号をサンプリングして保存するために用いられる多重サンプルホールド回路と、
前記多重サンプルホールド回路に保存されている各ピーク信号を逐次サンプリングし、前記検出待ちパルス信号に対応するサンプリングデータを出力するために用いられるアナログデジタル変換回路とを含むことを特徴とする、パルス信号ピーク検出システム。
【請求項25】
前記検出待ちパルス信号のパルス周波数と前記アナログデジタル変換器の変換周波数に基づいて前記多重サンプルホールド回路の数を設定することを特徴とする、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
その二つの入力端がそれぞれ前記検出待ちパルス信号及び前記ピーク検出回路の出力信号を入力して、前記検出待ちパルス信号をデジタルパルス信号に変換して前記クロック発生器に出力する第1コンパレータと、
前記第1コンパレータの出力したデジタルパルス信号に基づいて、前記多重サンプルホールド回路のサンプリングタイミングを制御するための第1制御信号を生成するクロック発生器とを更に含むことを特徴とする、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記検出待ちパルス信号が負方向のパルス信号であるときに、前記検出待ちパルス信号が前記ピーク検出回路の出力信号よりも大きいときに、前記クロック発生器は、前記検出待ちパルス信号中の各ピーク信号をサンプリングして保存するように前記多重サンプルホールド回路を制御するための前記第1制御信号を出力することを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記検出待ちパルス信号が正方向のパルス信号であるときに、前記検出待ちパルス信号が前記ピーク検出回路の出力信号よりも小さいときに、前記クロック発生器は、前記検出待ちパルス信号中の各ピーク信号をサンプリングして保存するように前記多重サンプルホールド回路を制御するための前記第1制御信号を出力することを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記クロック発生器は、更に、前記第1コンパレータの出力したデジタルパルス信号に基づいて、前記ピーク検出回路のリセット信号である第2制御信号を生成することを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記多重サンプルホールド回路が前記検出待ちパルス信号中の一つのピーク信号をサンプリングして保存した後、前記第2制御信号は、前記ピーク検出回路が前記検出待ちパルス信号中の次のピーク信号を改めて検出するように、前記ピーク検出回路をリセットすることを特徴とする、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路は、サンプリングスイッチ、演算増幅器及びコンデンサを含み、前記サンプリングスイッチは前記ピーク検出回路の出力端及び前記演算増幅器の正方向入力端に接続され、前記コンデンサは前記演算増幅器の正方向入力端とグランドに接続され、前記演算増幅器は負方向入力端が前記演算増幅器の出力端に接続され、前記サンプリングスイッチは前記第1制御信号によって制御されることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記クロック発生器は更に前記第1コンパレータの出力したデジタルパルス信号に基づいて第3制御信号を生成し、前記アナログデジタル変換回路は、マルチプレクサ及び前記マルチプレクサ出力端に接続されたアナログデジタル変換器を含み、
前記マルチプレクサは、前記アナログデジタル変換器がサンプリングするように、前記第3制御信号に基づいて前記多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路を逐次選択して導通させることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1制御信号が記多重サンプルホールド回路中の一つのサンプルホールド回路を制御して保存させた後、前記マルチプレクサは、アナログデジタル変換器がサンプリングするように、前記第3制御信号に基づいて前記一つのサンプルホールド回路を選択して導通させることを特徴とする、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記マルチプレクサは、それぞれ一つのサンプルホールド回路の出力端及び前記アナログデジタル変換器の入力端に接続された複数の制御スイッチを含むことを特徴とする、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記アナログデジタル変換回路は、それぞれの入力端が前記多重サンプルホールド回路中の一つのサンプルホールド回路の出力端に接続された複数のアナログデジタル変換器を含むことを特徴とする、請求項24に記載のシステム。
【請求項36】
前記アナログデジタル変換器は、第2コンパレータ、論理回路及びデジタルアナログ変換器を含み、
前記第2コンパレータは、一方の入力端が前記マルチプレクサの出力端に接続され、他方の入力端が前記デジタルアナログ変換器の出力端に接続され、出力端が前記論理回路の入力端に接続され、
前記論理回路の出力端は、前記検出待ちパルス信号のサンプリングデータを出力し、且つ前記デジタルアナログ変換器にフィードバック信号を出力することを特徴とする、請求項32又は35に記載のシステム。
【請求項37】
射出ユニット、受光ユニット及び請求項24~36のいずれか一項に記載のパルス信号ピーク検出システムを含み、
前記射出ユニットは、対象物を検出するために検出光束を射出できるように配置され、
前記受光ユニットは、前記検出光束が対象物で反射されたエコー光束を受光し、且つエコー光束をエコーパルス信号に変換することができるように配置され、
前記パルス信号ピーク検出システムは、前記エコーパルス信号をサンプリングしてサンプリング信号を出力するために用いられることを特徴とする、レーザーレーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2021年6月22日に提出した、出願番号が202110693340.7、発明の名称が「光検出回路、光検出方法、レーザーレーダー及び記憶媒体」の中国特許出願の優先権を主張し、それと同時に2021年8月13日に提出した、出願番号が202110931016.4、発明の名称が「パルス信号ピーク検出システム及びレーザーレーダー」の中国特許出願の優先権を主張し、上記出願の全ての内容は引用をもって本文に組み込まれている。
【0002】
本願は、光学測距の分野に関し、特に、光検出回路及び方法、レーザーレーダー、記憶媒体並びに検出システムに関する。
【背景技術】
【0003】
レーザーレーダーは、レーザー光を照射し、且つレーザー光が障害物表面に到達して反射されたエコー信号を検出することによって外部検出を実現するデバイスである。
【0004】
レーザーレーダーの精度と分解能が向上するに伴い、マルチ検出チャネルは主要な発展傾向となっている。例えば、32、64、128ラインのレーザーレーダーがあり、各「ライン」とは一つの検出チャネルである。ここで、一つの検出チャネルは、レーザーレーダーにおける同時に動作してレーザー光を射出する少なくとも一つのレーザー装置、及び前記レーザー光のエコー信号を検出する少なくとも一つの光検出器で構成される。
【0005】
以下、例示することによって光検出器の動作原理を説明する。
【0006】
図1Aは一例における光検出器と電圧増幅器を接続した構造の模式図を示す。
【0007】
図1Aにおいて例として示されている光検出器101はシリコン光電子増倍管(Silicon PhotoMultiplier,SiPM)で実現できる。SiPMは複数の単一光子アバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode,SPAD)及びそれと協働するクエンチング抵抗を並列接続して形成され、SPADはガイガーモードで動作するバランシェダイオード(Avalanche Photon Diode,APD)である。SiPM両端(図中のA、B端)にSPADの降伏電圧V
thよりも高い逆バイアス電圧が印加されると、各SPADはガイガーモード(Geiger Mode,GM)になって光信号の検出を行うことができる。図において例としてB端にバイアス電圧V
biasを接続したことを示しており、A端電圧をV
Aに設定し、VbiasをV
A-Vbias>V
thに設定し、V
A-V
biasは即ちSiPMを動作させる逆バイアス電圧である。
【0008】
図1Aに示す電圧増幅器は電荷感応増幅器102A(Charge Sensitive Amplifier,CSA)で実現される。前記CSA回路は、演算増幅器と、前記演算増幅器の負極入力端と出力端との間に跨って接続されているコンデンサC
Fとを含む。前記演算増幅器は負極入力端が更に光検出器101のA端に結合され、正極入力端が接地端に結合されている。光検出器101の出力した電流信号はコンデンサC
Fを流れ、コンデンサC
Fを充電し、電圧信号に変換して出力される。CSAの変換速度が比較的遅く、また、電流信号の波形W1、及び変換して得られた電圧信号の波形Dとの間の差異を参照して分かったように、CSAは変換した電圧信号中で電流信号の波形を回復できない。
【0009】
図1Bは別の例における光検出器と電圧増幅器を接続した構造の模式図を示す。
【0010】
図1Bの実施例は
図1Aの実施例と比べると、電圧増幅器がトランスインピーダンス増幅器102B(Trans-Impedance Amplifier,TIA)で実現されることを主な相違点とする。前記トランスインピーダンス増幅器は、演算増幅器と、前記演算増幅器の負極入力端と出力端との間に跨って接続されている抵抗R
Fとを含む。TIAは抵抗R
Fによって光検出器101の出力した電流信号を電圧信号に変換し、電流信号と電圧信号との間の関係はU=I*R
Fの線形関係であり、それから分かるように、電流信号波形W1と電圧信号波形W2の波形を比較すると、波形W2は波形W1のパルス周波数、幅情報を保持していた。
【0011】
レーザーレーダーの精度と分解能が向上するに伴い、レーザーレーダーにおいて光検出器101アレイを用いてマルチ検出チャネルによる光信号検出を実現することが一般であり、リニアアレイ型又はエリアアレイ型の光検出器アレイは採用され、各光検出器アレイは複数の光検出器を含む。その中、光検出器101アレイ中の各光検出器101は必要に応じて異なる検出チャネルに属してもよく、同一の検出チャネルに属する少なくとも一つの光検出器101は同時にアクティブ化されて動作する。検出チャネルの数が多くなってきているため(例えば、32、64、128等)、各検出チャネルの検出信号の検出結果を並行して取得しようとする場合、検出チャネル毎に信号処理回路を設置する必要があり、これは実際の産業応用で非常に実現しにくい。そのため、通常、マルチプレクサ(MUX)を用いてある検出チャネルの光検出器101の検出信号を選択し、共通の信号処理回路によって時分割処理を行い、このチャネルの検出結果を得ることができる。
【0012】
図2は一例における光検出器アレイの光検出回路の一部の構造の模式図を示す。
【0013】
この例において、前記光検出器アレイ202は複数の光検出器221(例えば、SiPM)及び抵抗アレイ201を含む。各光検出器221はそれぞれ並列接続された異なる分岐路に位置し、前記抵抗アレイ201中の各抵抗211は対応的に一つの分岐路において一つの光検出器221に直列接続され、各分岐路に電圧VDDを接続して、光検出器221アレイ202に印加される逆バイアス電圧を形成してその中の各光検出器221をアクティブ化して動作させる。各分岐路において光検出器221の出力端がそれぞれマルチプレクサ203の一つの入力端に結合されている。
【0014】
例として、n個の検出チャネルがあり、各検出チャネルが、所属する検出チャネルのエコー信号を検出し且つ電気信号(この例において電圧信号である)に変換するための一つの光検出器221に対応すると仮定する。また、A
1~A
nの選択信号によりそれぞれ異なる検出チャネルの光検出器221の出力端を選択してマルチプレクサ203の出力端に導通し、選択された検出チャネルの電気信号を出力し、且つ電圧増幅器204によって電圧V
oに変換してから出力することができる。前記電圧増幅器204は例えば、
図1Aに示す例におけるCSA又は
図1Bに示す例におけるTIAで実現できる。電圧V
oを後段回路に入力して処理し、選択された検出チャネルの検出結果を得ることができる。
【0015】
しかしながら、
図2中の光検出回路には多くの問題があった。
【0016】
以下、記述をより明確にするために、以下において上記の動作のために選択された検出チャネルを「測定チャネル」と定義し、動作のために選択されない検出チャネルを「非測定チャネル」と定義する。
図2に示すように、各光検出器221は常に動作状態にあり、マルチプレクサ203は測定チャネルの電気信号を選択して出力するが、非測定チャネルに属する光検出器221は依然として光信号を検出して電気信号に変換してマルチプレクサ203の入力端に伝送する。非測定チャネルの光検出器221は常に動作状態にあり、大量の不必要な電力消費を招くことが明らかであり、一方、マルチプレクサ203には不可避に寄生容量を有し、非測定チャネルの光検出器221の出力した電気信号が干渉信号となってマルチプレクサ203の寄生容量によって測定チャネル中の電気信号にクロストーク(
図2中の干渉信号波形W
3を参照)を発生し、その結果、測定チャネル中のエコー信号の電気信号(図中のエコー信号波形W
4を参照)がマルチプレクサ203を通過した後バリ(例えば、出力信号の波形W
5中のW
51)、パルス広がり等を発生する。特に光検出器221がSiPMで実現されるときに、SiPMのゲインが高くて微弱光に対する検出能力が強いため、発生する干渉がより顕著になる。更に、V
DDは固定の動作電圧の光検出器221に対応して設けられたものであり、異なる動作電圧の光検出器221に適合できない。
【0017】
図2から分かるように、検出するときに、限られた数のチャネルの光検出器は同時にアクティブ化されて検出状態になり、他の非測定チャネルの光検出器は待ち状態にある。待ち状態での光検出器は依然として光信号を検出でき、外部干渉(例えば、外部環境光)は待ち状態にある光検出器に検出されて、正常検出状態の測定チャネルへの干渉を形成し、更に検出結果に影響を与える。また、待ち状態の各光検出器は更に不必要な電力消費も大量に発生する。
【0018】
なお、レーザーレーダー受信機等の応用において、光検出回路受信信号は一般にパルス幅が非常に狭い(典型値が約2-6ns)パルス信号であり、且つ信号のデューティ比が非常に低く、即ち、大部分の時間に信号が到来しない。より高い測距精度等の性能を実現するために、パルス信号のピーク情報を取得する必要がある。一般的には、高速ADC(Analog-to-Digital Converter,アナログデジタル変換器)を用いて光検出回路が検出できたパルス信号に対して全波形サンプリングを行い、高速ADCの典型的なサンプリングレートが1GHzより小さくない。ADCサンプリングレートが1GHzであると仮定すると、即ち、1ns毎に一つのデータを収集し、
図3に示すように、パルス幅が5nsのパルスに対して、5つのデータを収集できるが、パルス幅が2nsのパルスに対して、2つのデータしか収集できなく、有効波形を形成しにくい。
【0019】
高速ADCが高価で、電力消費が大きく、対応するエコーパルス信号のデューティ比が非常に低い場合に高速ADCの出力した信号のうち、小部分の信号が有効であるため、リソース及び電力が多く浪費され、且つシステムの応用を制限している。そのため、従来技術においてピークホールド回路及び中低速ADCを用いてパルス信号をサンプリングする手段が提案された。
【0020】
従来技術においてピークホールド回路及び中低速ADCを用いてエコーパルス信号をサンプリングした回路原理図である
図4を参照されたい。検出器(即ち、上記の光検出回路)がパルス信号を検出し、増幅器(Amplifier,AMP)によってパルス信号を増幅し、ここで、検出器がSiPM(Silicon Photomultiplier,シリコン光電子増倍管)であってもよく、増幅器がTIA(Trans-Impedance Amplifier,トランスインピーダンス増幅器)であってもよく、ピークホールド回路によって増幅後のパルス信号のピーク電圧を保持し、且つADCによってピークホールド回路の出力した信号をサンプリングし、
図5に示すように、パルスのピークデータを得、ADCがサンプリングデータをFPGA(Field-Programmable Gate Array,フィールドプログラマブルゲートアレイ)に入力し、FPGAがサンプリングデータを処理する。このようなサンプリング方式はいくつかの応用要求を満たすことができるが、複数のエコーパルス信号が比較的に接近しているときに、直接中低速ADC(例えば、サンプリングレートが1MHz)を利用すれば、二つのエコーパルス信号のピークサンプリングができず、サンプリング正確性が低くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した従来技術の欠点に鑑みて、本願は、レーザーレーダーの測定チャネルが外部干渉光によるクロストーク影響を受けることを回避し、検出正確度を向上させ、不必要な電力消費をも回避することができる、光検出回路及び方法、レーザーレーダー、記憶媒体並びに検出システムを提供する。
【0022】
上記目的及び他の関連目的を実現するために、本願の第1態様は、レーザーレーダーに用いられる光検出回路であって、光信号を受信して対応する電気信号を生じるための複数の光検出ユニットを含む光検出ユニットアレイと、それぞれ一つの光検出ユニットに対応的に結合され、それぞれ結合した光検出ユニットの動作状態を制御して結合した光検出ユニットの信号出力端に前記電気信号を出力させるように配置されている複数の第1スイッチユニットを含むスイッチアレイと、動作状態にある光検出ユニットを選択して前記電気信号を出力させるための選択ユニットとを含む、光検出回路を提供する。
【0023】
第1態様のいくつかの実施例では、前記光検出回路は、給電電源に結合された第1給電端を含み、前記第1スイッチユニットは、一端が前記第1給電端に結合され、他端が一つの光検出ユニットの一端に結合された第1スイッチ素子を含み、前記光検出ユニットの第1スイッチ素子に結合された一端が信号出力端であり、前記第1スイッチ素子のオンオフ状態は第1給電端と信号出力端との間の経路の開閉に対応する。
【0024】
第1態様のいくつかの実施例では、各前記第1スイッチユニットは、一端が前記光検出ユニットの第1スイッチ素子に結合された一端に結合され、他端が接地端に結合された第2スイッチ素子を更に含み、前記第2スイッチ素子のオンオフ状態は信号出力端と接地端との間の経路の開閉に対応する。
【0025】
第1態様のいくつかの実施例では、前記第1スイッチ素子と第2スイッチ素子のオンオフ状態は反対に設置される。
【0026】
第1態様のいくつかの実施例では、前記光検出回路は、出力端が前記第1給電端に接続されて可変の給電電源を提供する給電調節ユニットを含む。
【0027】
第1態様のいくつかの実施例では、前記給電電源は、それぞれ異なる動作電圧を有する光検出ユニットに適応する多種の電圧値を出力するように調節される。
【0028】
第1態様のいくつかの実施例では、前記光検出回路は、入力端が前記選択ユニットの出力端に結合され、選択ユニットの出力した電圧を予め設定された電圧範囲内に変換するように配置されているレベルシフトユニットを含む。
【0029】
第1態様のいくつかの実施例では、前記レベルシフトユニットは、少なくとも一つの第2スイッチユニット、第1インピーダンスユニット及び電流源を含み、各前記第2スイッチユニットは、前記第1給電端に結合された第1端、前記第1インピーダンスユニットの一端に結合された第2端及び前記選択ユニットの出力端に結合された制御端を含み、前記制御端が前記第1端と前記第2端の接続切断を制御するためのものであり、前記第1インピーダンスユニットは他端が前記電流源一端に結合され、前記電流源は他端が接地端に結合されている。
【0030】
第1態様のいくつかの実施例では、前記電流源は、第1カレントミラーと第2カレントミラーを含み、前記第1カレントミラーは、少なくとも一対のゲート共通のトランジスタからそれぞれ引き出された第1分岐路と第2分岐路を含み、そのゲートが電流源の制御端に結合され、前記第1分岐路において第2インピーダンスユニットが直列接続され、前記第1分岐路と第2分岐路の一端が第2給電端に結合され、前記第1分岐路の他端が前記第2インピーダンスユニットを経由して接地し、前記第2給電端と前記第1給電端が接続する電圧が異なり、前記第2カレントミラーは、少なくとも一対のゲート共通のトランジスタからそれぞれ引き出された第3分岐路と第4分岐路を含み、前記第3分岐路の一端が直列接続で第2分岐路の他端に結合され、前記第3分岐路の他端が接地端に結合され、前記第4分岐路の一端が前記第1インピーダンスユニットの一端に結合され、前記第4分岐路の他端が接地し、それによって前記第1インピーダンスユニットと前記第2インピーダンスユニットを流れる電流の間に調節可能な比例値を持たせる。
【0031】
第1態様のいくつかの実施例では、前記第4分岐路は並列接続されたN個の分岐路を含み、N≧2であり、各分岐路においてトランジスタが直列接続され、各分岐路のトランジスタは、前記第1インピーダンスユニットと前記第2インピーダンスユニットを流れる電流間の比例値を調節するために、第3分岐路中のトランジスタに対して接続又は切断されるように選択されることが可能である。
【0032】
第1態様のいくつかの実施例では、前記電流源は、第1カレントミラーと第2カレントミラーを含み、前記第1カレントミラーは、カスコード接続された少なくとも一つの第1PMOS及び少なくとも一つの第2PMOSを含み、ゲートが電流源の制御端に結合され、ソースが第2給電端に接続され、第1PMOSのドレインが第2インピーダンスユニットを経由して接地端に結合され、前記第2給電端と前記第1給電端が接続する電圧が異なり、前記第2カレントミラーは、そのゲートとドレインが第2PMOSのドレインに結合され、そのソースが接地端に結合された第1NMOSと、第1NMOSに対してゲート共通に接続され、そのドレインが前記第1インピーダンスユニットの一端に結合され、そのソースが接地端に結合された少なくとも一つの第2NMOSとを含む。
【0033】
第1態様のいくつかの実施例では、第2NMOSはN個あり、N≧2であり、各第2MOSのドレイン同士が結合され且つ前記第1インピーダンスユニットの一端に結合され、ソースが接地端に結合され、各第2NMOSのゲートが第3スイッチ素子を経由して前記第1NMOSのゲートに結合され、且つ第4スイッチ素子を介して接地端に結合されている。
【0034】
第1態様のいくつかの実施例では、前記電流源は、基準電圧に接続する負極入力端と、前記第2インピーダンスユニットの一端に結合されて前記基準電圧を印加する正極入力端と、前記電流源の制御端とするための出力端とを含む演算増幅器を更に含む。
【0035】
第1態様のいくつかの実施例では、前記第2スイッチユニットは第3NMOSを含み、前記第2スイッチユニットの制御端、第1端及び第2端はそれぞれ第3NMOSのゲート、ドレイン及びソースから引き出される。
【0036】
第1態様のいくつかの実施例では、前記第1インピーダンスユニットは、可変抵抗又は複数の直列接続されたトランジスタの一種を含む。
【0037】
第1態様のいくつかの実施例では、前記第2スイッチユニットは、並列接続された複数のスイッチユニットである。
【0038】
第1態様のいくつかの実施例では、前記光検出回路は、前記レベルシフトユニットの出力端に結合され、受信した電気信号により積分演算を行って演算結果を得るために用いられる積分演算ユニットと、前記積分演算ユニットの出力端に結合され、前記演算結果によりアナログデジタル変換を行うために用いられるアナログデジタル変換ユニットとを含む。
【0039】
第1態様のいくつかの実施例では、前記第1スイッチユニットは、第1スイッチ素子と光検出ユニット一端との間に直列接続された可変インピーダンスユニットを更に含む。
【0040】
第1態様のいくつかの実施例では、前記光検出回路は給電電源に結合された第1給電端を含み、前記第1スイッチユニットはトランスインピーダンスアンプユニットを更に含み、前記トランスインピーダンスアンプユニットは、第1入力端、第2入力端及び出力端を含み、前記トランスインピーダンスアンプユニットの第1入力端が前記第1スイッチ素子に結合されて第1給電端に至り、且つ前記第2スイッチ素子に結合されて接地端に至り、前記トランスインピーダンスアンプユニットの第2入力端が光検出ユニットの一端に結合され、且つ第3インピーダンスユニットを経由して前記トランスインピーダンスアンプユニットの出力端に結合され、前記トランスインピーダンスアンプユニットの出力端が前記信号出力端に結合されている。
【0041】
上記目的及び他の関連目的を実現するために、本願の第2態様は、第1態様のいずれか一項に記載の光検出回路に適用される光検出方法であって、スイッチアレイにスイッチング信号を伝送して一部の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して、一部の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットを駆動して起動させて光信号を検出させ、また、他の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して他の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットをオフさせるステップを含む、光検出方法を提供する。
【0042】
第2態様のいくつかの実施例では、スイッチアレイ中の一部の第1スイッチユニットにスイッチング信号を印加して、結合された光検出ユニットを駆動して起動させる前記ステップは、一部のスイッチアレイ中の各第1スイッチユニットに個別にスイッチング信号を印加し、各光検出ユニットを駆動して対応的に起動させるステップを含む。
【0043】
上記目的及び他の関連目的を実現するために、本願の第3態様は、射出信号を出力するように配置された光射出ユニットアレイを含む光射出モジュールと、第1態様のいずれか一項に記載の光検出回路を含み、光検出ユニットアレイが、前記射出信号が障害物に当たった後反射されたエコー信号を受信するように配置されている光検出モジュールと、前記光射出モジュール及び光検出モジュールに結合されており、スイッチアレイにスイッチング信号を伝送して一部の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して、一部の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットを駆動して起動させて光信号を検出させ、また、他の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して他の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットをオフさせるように配置されている制御モジュールとを含む、レーザーレーダーを提供する。
【0044】
上記目的及び他の関連目的を実現するために、本願の第4態様は、実行されると、第2態様のいずれか一項に記載の光検出方法を実行するプログラムコマンドを記憶している、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0045】
上記目的及び他の関連目的を実現するために、本願の第5態様は、検出待ちパルス信号を受信し、前記パルス信号のピーク信号を検出して多重サンプルホールド回路に出力するために用いられるピーク検出回路と、それぞれ前記検出待ちパルス信号の各ピーク信号をサンプリングして保存するために用いられる多重サンプルホールド回路と、前記多重サンプルホールド回路に保存されている各ピーク信号を逐次サンプリングし、前記検出待ちパルス信号に対応するサンプリングデータを出力するために用いられるアナログデジタル変換回路とを含む、パルス信号ピーク検出システムを提供する。中低速アナログデジタル変換器に基づくパルスサンプリングシステムのサンプリングの正確性、及びシステムの適応性を向上させる。
【0046】
第5態様のいくつかの実施例では、前記検出待ちパルス信号のパルス周波数と前記アナログデジタル変換器の変換周波数に基づいて前記多重サンプルホールド回路の数を設定する。
【0047】
第5態様のいくつかの実施例では、前記システムは、
その二つの入力端がそれぞれ前記検出待ちパルス信号及び前記ピーク検出回路の出力信号を入力して、前記検出待ちパルス信号をデジタルパルス信号に変換して前記クロック発生器に出力する第1コンパレータと、
前記第1コンパレータの出力したデジタルパルス信号に基づいて、前記多重サンプルホールド回路のサンプリングタイミングを制御するための第1制御信号を生成するクロック発生器とを更に含む。
【0048】
第5態様のいくつかの実施例では、前記検出待ちパルス信号が負方向のパルス信号であるときに、前記検出待ちパルス信号が前記ピーク検出回路の出力信号よりも大きいときに、前記クロック発生器は、前記検出待ちパルス信号中の各ピーク信号をサンプリングして保存するように前記多重サンプルホールド回路を制御するための前記第1制御信号を出力する。
【0049】
第5態様のいくつかの実施例では、前記検出待ちパルス信号が正方向のパルス信号であるときに、前記検出待ちパルス信号が前記ピーク検出回路の出力信号よりも小さいときに、前記クロック発生器は、前記検出待ちパルス信号中の各ピーク信号をサンプリングして保存するように前記多重サンプルホールド回路を制御するための前記第1制御信号を出力する。
【0050】
第5態様のいくつかの実施例では、前記クロック発生器は、更に、前記第1コンパレータの出力したデジタルパルス信号に基づいて、前記ピーク検出回路のリセット信号である第2制御信号を生成する。
【0051】
第5態様のいくつかの実施例では、前記多重サンプルホールド回路が前記検出待ちパルス信号中の一つのピーク信号をサンプリングして保存した後、前記第2制御信号は、前記ピーク検出回路が前記検出待ちパルス信号中の次のピーク信号を改めて検出するように、前記ピーク検出回路をリセットする。
【0052】
第5態様のいくつかの実施例では、前記多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路は、サンプリングスイッチ、演算増幅器及びコンデンサを含み、前記サンプリングスイッチは前記ピーク検出回路の出力端及び前記演算増幅器の正方向入力端に接続され、前記コンデンサは前記演算増幅器の正方向入力端とグランドに接続され、前記演算増幅器は負方向入力端が前記演算増幅器の出力端に接続され、前記サンプリングスイッチは前記第1制御信号によって制御される。
【0053】
第5態様のいくつかの実施例では、前記クロック発生器は更に前記第1コンパレータの出力したデジタルパルス信号に基づいて第3制御信号を生成し、前記アナログデジタル変換回路は、マルチプレクサ及び前記マルチプレクサ出力端に接続されたアナログデジタル変換器を含み、
前記マルチプレクサは、前記アナログデジタル変換器がサンプリングするように、前記第3制御信号に基づいて前記多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路を逐次選択して導通させる。
【0054】
第5態様のいくつかの実施例では、前記第1制御信号が多重サンプルホールド回路中の一つのサンプルホールド回路を制御して保存させた後、前記マルチプレクサは、アナログデジタル変換器がサンプリングするように、前記第3制御信号に基づいて前記一つのサンプルホールド回路を選択して導通させる。
【0055】
第5態様のいくつかの実施例では、前記マルチプレクサは、それぞれ一つのサンプルホールド回路の出力端及び前記アナログデジタル変換器の入力端に接続された複数の制御スイッチを含む。
【0056】
第5態様のいくつかの実施例では、前記アナログデジタル変換回路は、それぞれの入力端が前記多重サンプルホールド回路中の一つのサンプルホールド回路の出力端に接続された複数のアナログデジタル変換器を含む。
【0057】
第5態様のいくつかの実施例では、前記アナログデジタル変換器は、第2コンパレータ、論理回路及びデジタルアナログ変換器を含み、
前記第2コンパレータは、一方の入力端が前記マルチプレクサの出力端に接続され、他方の入力端が前記デジタルアナログ変換器の出力端に接続され、出力端が前記論理回路の入力端に接続され、
前記論理回路の出力端は、前記検出待ちパルス信号のサンプリングデータを出力し、且つ前記デジタルアナログ変換器にフィードバック信号を出力する。
【0058】
上記目的及び他の関連目的を実現するために、本願の第6態様は、射出ユニット、受光ユニット及び上記の各項に記載のパルス信号ピーク検出システムを含み、前記射出ユニットは、対象物を検出するために検出光束を射出できるように配置され、前記受光ユニットは、前記検出光束が対象物で反射されたエコー光束を受光し、且つエコー光束をエコーパルス信号に変換することができるように配置され、前記パルス信号ピーク検出システムは、前記エコーパルス信号をサンプリングしてサンプリング信号を出力するために用いられる、レーザーレーダーを提供する。レーザーレーダー受信信号に対するサンプリングの正確性を向上させ、ハードウェアコストを低下させることができる。
【0059】
以上をまとめると、本願は、光信号を受信して対応する電気信号を生じるための複数の光検出ユニットを含む光検出ユニットアレイと、それぞれ一つの光検出ユニットに対応的に結合され、それぞれ結合した光検出ユニットの動作状態を制御して結合した光検出ユニットの信号出力端に前記電気信号を出力させるように配置されている複数の第1スイッチユニットを含むスイッチアレイと、動作状態にある光検出ユニットを選択して前記電気信号を出力させるための選択ユニットとを含む光検出回路及び方法、レーザーレーダー、記憶媒体並びに検出システムを提供する。各第1スイッチユニットのオンオフ状態を個別に設定することによって、同時に動作必要な光検出ユニットを選択してアクティブ化して動作させることができ、動作する必要がない光検出ユニットをアクティブ化不可能に設定することで、レーザーレーダーの測定チャネルが外部干渉光によるクロストーク影響を受けることを回避し、検出正確度を向上させ、不必要な電力消費をも回避することができる。
【0060】
なお、パルス信号ピーク検出システムにおいて、従来からピークホールドサンプリング回路と中低速ADCを用いて高速パルス信号をサンプリングする過程に存在する問題に対して、ピークホールドサンプリング回路とADC回路構造を基に、多重サンプルホールド回路を増設し、多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路によって順に複数のエコーパルス信号のピーク信号をそれぞれサンプリングし保存し、そして、ADCにサンプリングされるように保存されている各ピーク信号を逐次選択して導通させることによって、検出待ちのパルス信号中の複数のエコーパルス信号の時間間隔が比較的近い場合でも、各ピーク信号に対するサンプリングを実現でき、エコーパルス信号サンプリングの正確性を有効に向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1A】一例における光検出器と電圧増幅器を接続した構造の模式図を示す。
【
図1B】別の例における光検出器と電圧増幅器を接続した構造の模式図を示す。
【
図2】一例における光検出器アレイの検出回路の一部の構造の模式図を示す。
【
図3】一例において高速ADCを用いてエコーパルス信号に対して全波形サンプリングを行った模式図を示す。
【
図4】一例においてピークホールド回路及び中低速ADCを用いてエコーパルス信号をサンプリングした回路原理図を示す。
【
図5】一例においてピークホールド回路及び中低速ADCを用いてエコーパルス信号をサンプリングした波形模式図を示す。
【
図6】本願の一実施例における光検出回路の一部の構造の模式図を示す。
【
図7A】本願の一実施例における光検出回路中のスイッチアレイと光検出ユニットアレイの接続構造の模式図を示す。
【
図7B】本願の別の実施例における光検出回路中のスイッチアレイと光検出ユニットアレイの接続構造の模式図を示す。
【
図8】本願の別の実施例における光検出回路の構造の模式図を示す。
【
図9】本願の一実施例における降圧又は昇圧スイッチング電源の回路原理の模式図を示す。
【
図10】本願の更に別の実施例における光検出回路の構造の模式図を示す。
【
図11】本願の一実施例におけるレベルシフタの回路原理の模式図を示す。
【
図12A】本願の複数の実施例におけるレベルシフタの変形例の回路原理の模式図を示す。
【
図12B】本願の複数の実施例におけるレベルシフタの変形例の回路原理の模式図を示す。
【
図12C】本願の複数の実施例におけるレベルシフタの変形例の回路原理の模式図を示す。
【
図12D】本願の複数の実施例におけるレベルシフタの変形例の回路原理の模式図を示す。
【
図12E】本願の複数の実施例におけるレベルシフタの変形例の回路原理の模式図を示す。
【
図13】本願の別の実施例における光検出回路の構造の模式図を示す。
【
図14A】本願の一実施例におけるRC積分演算ユニットの回路原理の模式図を示す。
【
図14B】本願の一実施例におけるGm-C積分演算ユニットの回路原理の模式図を示す。
【
図15】本願の更に別の具体的実施例における光検出回路の構造の模式図を示す。
【
図16】本願の一実施例におけるレーザーレーダーの構造の模式図を示す。
【
図17】本願の一実施例におけるパルス信号ピーク検出システムの構造のブロック図を示す。
【
図18】本願の一実施例における制御信号及びリセット信号の生成原理の模式図を示す。
【
図19】本願の一実施例における第1コンパレータの入力信号と出力信号の波形模式図を示す。
【
図20】本願の一実施例におけるピーク検出回路の模式図を示す。
【
図21】本願の一実施例における多重サンプルホールド回路中の各多重サンプルホールド回路の模式図を示す。
【
図22】本願の一実施例におけるパルス信号ピーク検出システム中のアナログデジタル変換回路の具体的な構造の模式図を示す。
【
図23】
図22に示すアナログデジタル変換回路構造に基づくパルス信号ピーク検出システムの回路模式図を示す。
【
図24】
図22に示す実施例における各信号のタイミングチャートを示す。
【
図25】本願の別の実施例におけるパルス信号ピーク検出システム中のアナログデジタル変換回路の別の具体的な構造の模式図を示す。
【
図26】本願の別の実施例で提供されたレーザーレーダーの構造の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下において、特定の具体例により本出願の実施形態を説明するが、当業者であれば、本明細書に開示されている内容から、本出願の他の利点及び効果を容易に理解できる。本出願はさらに別の異なる具体的な実施形態で実施又は応用してもよく、本明細書の各詳細事項についても、異なる観点及び応用に基づき、本出願の精神から逸脱することなく様々な修飾又は変更を加えてもよい。説明すべきことは、矛盾しない場合、本出願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる点である。
【0063】
本出願の所属する技術分野の技術者が容易に実施できるように、以下において、図面を参照しながら本出願の実施例を詳しく説明する。本出願は、様々な異なる形態で具体化することができ、ここで説明される実施例に限定されない。
【0064】
本出願を明確に説明するために、説明に関連しない部品は省略され、明細書全体を通じて同じ又は類似の構成要素は、同じ参照符号が付けられている。
【0065】
明細書全体を通じて、ある部品が別の部品に「結合される」又は「接続される」と記載さている場合、「直接接続されている」場合だけでなく、それらの間に他の素子を介在して「間接的に接続されている」場合も含む。また、ある部品がある構成要素を「含む」と記載されている場合、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0066】
ある部品が別の部品「の上」にあると記載されている場合、直接別の部品の上にあってもよいが、それらの間にさらに他の部品があってもよい。逆に、ある部品が「直接」別の部品「の上」にあると記載されている場合、それらの間に他の部品がないことを意味する。
【0067】
いくつかの例において、第1、第2等の用語は様々な素子を説明するために本明細書で使用されるが、これらの素子はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は単に1つの素子を別の素子から区別するためのものに過ぎない。その例としては、第1インタフェース及び第2インタフェース等の記載が挙げられる。なお、本明細書で使用されるように、単数形の「1」、「1つ」及び「該」は、文脈において反対の指示がない限り、複数形も含むことを意図する。さらに理解すべきことは、用語の「からなる」、「含む」は、記載された特徴、ステップ、操作、素子、コンポーネント、項目、種類、及び/又は群の存在を明示するが、1つ又はより多くの他の特徴、ステップ、操作、素子、コンポーネント、項目、種類、及び/又は群の存在、出現又は追加を除外しない点である。本明細書に使用される用語「又は」及び「及び/又は」は包含的なものと解釈され、又はいずれか1つ又は任意の組み合わせを意味する。従って、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は「A、B、C、AとB、AとC、BとC、AとBとCのいずれか1つ」を意味する。素子、機能、ステップ又は操作の組み合わせが、何らかの形で本質的に相互排他的であるときのみこの定義の例外が起こり得る。
【0068】
本明細書に使用される専門用語は、特定の実施例について述べるものに過ぎず、本出願を限定することを意図しない。本明細書に使用される単数形は、語句にそれと反対の意味が明確に示されていない限り、複数形も含む。明細書に使用される「含む」という記載は、特定の特性、領域、整数、ステップ、動作、要素及び/又は成分を具体化するためのものであり、他の特性、領域、整数、ステップ、動作、要素及び/又は成分の存在又は追加を除外するものではない。
【0069】
「下」、「上」等の相対的な空間を示す用語は、図面に示される1つの部品の別の部品に対する関係をより容易に説明するために使用されてもよい。このような用語は、図面に示される向きに加えて、使用中の装置の他の向き又は動作も含む。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の部品の「下」にあると説明された部品は、他の部品の「上」にあると説明されることになる。従って、例示的用語「下」は、上方及び下方の両方を含む。装置は90°又は他の角度で回転されてもよく、相対的な空間を示す用語もそれに応じて解釈される。
【0070】
特に定義しないが、本明細書に使用される技術用語及び科学用語を含む全ての用語は、本出願が属する技術分野の技術者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。一般的に使用される辞典で定義された用語は、関連技術文献及び本開示の内容に一致する意味を有するものとして追加解釈されるが、定義されていない限り、理想的又は非常に公式的な意味で解釈されるべきではない。
【0071】
レーザーレーダーの検出端の信号処理回路において、前段に電圧増幅器を設けて、光検出器が光電変換して出力した電気信号(例えば、電流信号)を電圧信号に変換して後段で継続的に処理することに用いるのが一般である。しかし、
図2に示すように、光検出器アレイの動作過程で、測定チャネルの光検出器が同時に動作し、非測定チャネルの光検出器がやはり動作している「待ち」状態にある。そのため、非測定チャネルの光検出器が外部干渉を取り込んで測定チャネルにクロストークを与えることに加えて、非測定チャネルの光検出器の待ち状態によって大量の不必要な電力消費が発生する。
【0072】
これに鑑みて、上述した問題を解決するために、本願は以下の実施例でレーザーレーダー用の光検出回路を提供する。
【0073】
図6は本願の一実施例における光検出回路の一部の構造の模式図を示す。
【0074】
図6の実施例において、光検出ユニットアレイ301、スイッチアレイ302及び選択ユニット303を含む光検出回路が示されている。
【0075】
前記光検出ユニットアレイ301は複数の光検出ユニット311を含み、各光検出ユニット311は少なくとも一つの光検出器を含んでもよい。前記光検出器はSiPM又はSPADであってもよい。各光検出ユニット311は光信号を受信して対応する電気信号を生じるために用いられ、前記電気信号は、例えば電流信号であってもよい。
【0076】
前記スイッチアレイ302は複数の第1スイッチユニット321を含む。各第1スイッチユニット321はそれぞれ一つの光検出ユニット311に対応的に結合されている。各第1スイッチユニット321は、結合した光検出ユニット311の動作状態を制御して、結合した光検出ユニット311の信号出力端に前記電気信号を出力させるように配置されている。例えば、第1スイッチユニット321の一端が第1給電端に結合されて動作電圧に接続し、第1スイッチユニット321が選択されて導通されると、結合した光検出ユニット311が前記動作電圧を取得して動作状態になり、そのように動作状態にある光検出ユニット311の所属する測定チャネルが対応的に動作し、他の第1スイッチユニット321が対応的に切断状態にあってもよく、それによって結合した光検出ユニット311が非動作状態にあり、外部干渉を受けることがないため、干渉電気信号が発生せず、そして電力消費を省く。
【0077】
前記選択ユニット303は、動作状態にある光検出ユニット311を選択して前記電気信号を出力させるために用いられる。例として、前記選択ユニットはマルチプレクサで実現できる。
【0078】
以下、
図7Aと
図7Bの実施例によって、
図6中のスイッチアレイと光検出ユニットアレイとの間の可能な接続構造を例示する。
【0079】
図7Aは本願の一実施例の光検出回路中のスイッチアレイと光検出ユニットアレイの接続構造の模式図を示す。
【0080】
給電電源に結合されて動作電圧(例えば、VDD)を提供する第1給電端が図示されており、前記動作電圧は光検出ユニットアレイ中の光検出ユニット(例えば、SPAD、SiPM)をアクティブ化する逆バイアス電圧を生成するためのものである。
【0081】
図示されているスイッチアレイは複数の第1スイッチユニットを含み、図においてn個、即ちS1~Snを例示している。対応する光検出ユニットアレイ中のn個の光検出ユニットD1~Dnをも示している。
【0082】
1番目の第1スイッチユニットS1を例として説明する。第1スイッチユニットは、一端が前記第1給電端に結合され、他端が一つの光検出ユニットD1の一端に結合された第1スイッチ素子S1,1を含む。前記光検出ユニットD1の第1スイッチ素子に結合された一端(D1の負極に対応する)は信号出力端であり、選択ユニットの一つの入力端に結合されてもよい。前記第1スイッチ素子S1,1のオンオフ状態は第1給電端と信号出力端との間の経路の開閉に対応し、例えば、第1スイッチ素子S1,1が導通されると、第1給電端のVDDから光検出ユニットD1の正極のVbiasまでの回路が導通され、光検出ユニットD1に逆バイアス電圧を印加して動作させ、又は、第1スイッチ素子S1,1が切断されると、第1給電端から光検出ユニットD1の正極までの回路が切断され、光検出ユニットD1を動作しない状態にする。
【0083】
図7Aの例において、光検出ユニットD1の正極に対応する一端にバイアス電圧V
biasを接続してもよく、それによって、光検出ユニットD1の負極側で第1スイッチ素子S
1,1導通時に形成した電圧と共に、光検出ユニットD1を動作させるための逆バイアス電圧(光検出ユニットD1の降伏電圧V
thより高い)を形成する。例として、第1スイッチ素子S
1,1は更にインピーダンスR
IN,1(例えば、抵抗)を経由して光検出ユニットD1の一端に結合されてもよく、それによって光検出ユニットD1が光信号を変換して得られた電流信号を電圧信号に変換して、信号出力端から出力する。
【0084】
光検出ユニットの逆バイアス電圧が非常に大きいため、S1,1とRIN,1を過電圧にして損傷する可能性がある。そのため、選択可能な例において、第1スイッチユニットは、その一端が前記光検出ユニットD1の第1スイッチ素子S1,1に結合された一端に結合され、その他端が接地端に結合された第2スイッチ素子S2,1を更に含み、ここで、前記第2スイッチ素子S2,1のオンオフ状態は信号出力端と接地端との間の経路の開閉に対応する。従って、第2スイッチ素子S2,1は導通時に光検出ユニットD1の出力電圧を接地させて、過電圧問題の発生を防止することができる。選択可能に、第2スイッチ素子S2,1は接地端に結合される以外に、他のバイアス電圧に接続されてもよく、前記他のバイアス電圧がVDDを超えない。
【0085】
例として、光検出ユニットD1が動作する必要がないときに、第2スイッチ素子S2,1を導通させ且つ第1スイッチ素子S1,1を切断させることができ、それによって光検出ユニットD1の負極を接地させ、D1をアクティブ化不可能な状態にする。光検出ユニットD1が動作する必要があるときに、第2スイッチ素子S2,1を切断でき、第1スイッチ素子S1,1を導通させて、光検出ユニットD1を動作可能な状態にする。
【0086】
以上で例示したように、第2スイッチ素子と第1スイッチ素子のオンオフ状態はそれぞれ対応的に結合した光検出ユニットの動作又は非動作状態の設定に対応することが理解できる。そのため、いくつかの例において、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子のオンオフ状態は互に協働でき、例えば反対に設定される。
【0087】
例を挙げて言えば、光検出ユニットD1が測定チャネルに属するときに、第1スイッチ素子S1,1を導通させ第2スイッチ素子S2,1を切断させるように設定し、光検出ユニットD1が動作状態になる。光検出ユニットD1が非測定チャネルに属するときに、第1スイッチ素子S1,1を切断させ第2スイッチ素子S2,1を導通させるように設定し、光検出ユニットD1が非動作状態になり、余分な電力消費を発生したり、外部干渉光信号を検出したりすることがない。
【0088】
具体的な実現例において、第1スイッチ素子S1,1はPMOSで実現でき、或いは、好ましくはブートストラップNMOSで実現され、その寄生容量と導通抵抗がより小さく、切り替え速度がより速い。第2スイッチ素子S2,1はNMOSで実現できる。
【0089】
具体的な実現例において、RIN,1のインピーダンス値は固定のもの又は可変のもの(例えば、可変抵抗で実現する)であり得る。RIN,1として可変インピーダンスを配置したときに、必要に応じてRIN,1のインピーダンス値(例えば、抵抗値)を調節して、光検出ユニットの出力信号のゲインを変更することができる。例を挙げて言えば、一部の測定チャネルが遠距離を測定する必要がある場合に(例えば、百メートル以上、例えば、150メートル、250メートル等と遠い)、RIN,1のインピーダンス値を増大することによってゲインを向上させて、光検出ユニットが単一光子に応答して発生するパルス振幅を増大させる。対応する測定チャネルが近距離を測定する必要があるときに、RIN,1のインピーダンス値を小さくしてゲインを低減させる。具体的な実現例において、RIN,1は可変抵抗であるときに、その抵抗範囲が数十オーム~数百オームであってもよい。
【0090】
S2~SnはS1の接続構造と同じであってもよく、即ち、例えばS2の第1スイッチ素子S1,2、インピーダンスRIN,2及び第2スイッチ素子S2,2はS1の接続構造と同じであり、これによって、Snの第1スイッチ素子S1,n、インピーダンスRIN,n及び第2スイッチ素子S2,nまで類推してもよい。更に選択可能に、S1,1~S1,n同士の配置が同じであり、S2,1~S2,n同士の配置が同じであり、RIN,1~RIN,n同士の配置が同じである。S1~Snは互に独立してD1~Dnの動作状態を個別に制御し、即ち、スイッチアレイ中のS1~Snによって、D1~Dnの動作状態を個別に独立して制御する。第1スイッチユニット(例えば、S1)中の第1スイッチ素子(例えば、S1,1)が導通されると、対応する測定チャネルが選択されて導通され、対応する光検出ユニット(例えば、D1)が光信号を検出し且つ対応する電気信号を生成する。それに対応するように、他の第1スイッチユニット(例えば、S2~Sn)の第1スイッチ素子を切断させるように制御する(第2スイッチ素子を導通させてもよい)ことで、非測定チャネルの光検出ユニット(例えば、D2~Dn)を切断させ、それらの電力消費を0に近くして光信号を検出させないことが可能である。
【0091】
具体的な実現例において、複数の測定チャネル間の快速な切り替え、非測定チャネルのリアルタイムなオフを満たすために、測定チャネル間の切り替え時間は例えば200nsであってもよく、各第1スイッチユニット中の第1スイッチ素子と第2スイッチ素子はオンオフ状態を快速に切り替えることができ、切り替え時間が10-20nsである。
【0092】
従って、上記スイッチアレイによって光検出ユニットアレイの動作を制御することで、電力消費の低減と測定チャネルが受けるクロストークの減少の目的を達成する。
【0093】
実際の例において、光検出ユニットアレイはリニアアレイ又はエリアアレイ形式であってもよく、各測定チャネルに対応的に属する光検出ユニットは一つであっても複数であってもよい。各測定チャネルが同時に動作する複数の光検出ユニットに対応するときに、複数の同時動作検出ユニットはアレイ中の一列又は一行における隣接又は分散した複数の検出ユニットであってもよく、又は他の規則により分散した複数の検出ユニット等であってもよい。
【0094】
これらの状況のいずれにおいても、上記実施例における、スイッチアレイによる光検出ユニットアレイ制御方式を採用でき、それによって測定チャネルに属する一つ又は複数の光検出ユニットを独立して制御して動作状態にし、非測定チャネルに属する一つ又は複数の光検出ユニットを制御して非動作状態にすることができ、そのようにして上述した電力消費の低減と測定チャネルが受けるクロストークの減少の目的を達成する。
【0095】
図7A中の選択ユニットは、測定チャネルに属する光検出ユニットの信号出力端を選択して導通させ、後段の信号処理回路に出力させる。
【0096】
図7Aは例として
図6中の具体的な回路実現実施例を示したが、他の実施例の可能性を限定しない。
【0097】
例を挙げて言えば、
図7Bは本願の別の実施例の光検出回路中のスイッチアレイと光検出ユニットアレイの接続構造の模式図を示す。
【0098】
図7Bに示す実施例において、各第1スイッチユニットS1~Snが第1入力端、第2入力端及び出力端を含むトランスインピーダンスアンプユニット(TIA)を含むことは
図7Aの実施例との主な相違点である。例として、前記トランスインピーダンスアンプユニットはTIAで実現でき、構造について
図1Bを参照できる。前記第1入力端と第2入力端はそれぞれ正極入力端と負極入力端のうちの一方及び他方であってもよく、演算増幅器の「仮想短絡」の原理により、第1入力端と第2入力端の電圧が同じである。
【0099】
第1スイッチユニットS1~Snはそれぞれ第1スイッチ素子S
1,1~S
1,nと第2スイッチ素子S
2,1~S
2,nを含む。第1スイッチユニットS1を例として代表的に説明すると、トランスインピーダンスアンプユニットの第1入力端が前記第1スイッチ素子S
1,1に結合されて第1給電端に至り(図において例として動作電圧VDDに接続される)、且つ前記第2スイッチ素子S
2,1に結合されて接地端に至り、前記トランスインピーダンスアンプユニットの第2入力端が光検出ユニットD1の一端に結合され、且つインピーダンスユニットR
IN,1を経由して前記トランスインピーダンスアンプユニットの出力端に結合され、前記トランスインピーダンスアンプユニットの出力端が前記信号出力端に結合され、且つ信号出力端を経由して選択ユニットの一つの入力端に結合されている。S2~Snの接続構造はS1と同じであり、ここで、
図7B中の第1スイッチユニットSnの光検出ユニットDn、インピーダンスユニットR
IN,n、第1スイッチ素子S
1,n、第2スイッチ素子S
2,n等の接続構造を重複説明しない。
【0100】
第1スイッチ素子S1,1が導通されると、VDDが前記第1入力端に伝導され、前記第2入力端の電圧も対応的にVDDになり、結合した光検出ユニットD1の負極に印加され、それを動作状態にする。又は、第1スイッチ素子S1,1が切断され、第2スイッチ素子S2,1が導通されると、光検出ユニットD1の負極が接地することに相当し、光検出ユニットD1を非動作状態にする。
【0101】
上記実施例では、選択ユニットは制御可能なスイッチで構成され、異なる測定チャネルに属する光検出ユニットの出力信号に対する選択的導通を実現する。いくつかの例において、制御器又は波形発生器で提供されるクロック信号によって選択ユニット及び第1スイッチ素子と第2スイッチ素子を制御してもよい。具体的には、先に第1スイッチ素子を導通させ且つ第2スイッチ素子を切断させ、次に選択ユニットの選択的導通を制御するようにしてもよく、又は、第1スイッチ素子の導通、第2スイッチ素子の切断、選択ユニットの選択的導通の制御を同時に行うようにしてもよい。
【0102】
異なるタイプの光検出ユニットが要求する動作電圧が異なることに鑑みて、
図2に示す例のように固定のVDDを採用して給電すれば、異なるタイプの光検出ユニットの要求に対応することができない。
【0103】
そのため、
図8は本願の別の実施例における光検出回路の構造の模式図を示す。
図5の実施例における光検出回路は、
図6の光検出回路(光検出ユニットアレイ301、スイッチアレイ302、選択ユニット303)を基に給電調節ユニット304を増設したものである。
【0104】
前記給電調節ユニット304は、その出力端が前記第1給電端に接続され、可変の給電電源を提供する。具体的には、給電調節ユニット304は調節可能な電源電圧VDDを提供して、異なる測定チャネルの光検出ユニットに適合する逆バイアス電圧を提供することができる。例として、前記給電調節ユニット304の電圧調節範囲は、異なるメーカーやプロセスで生産した光検出ユニット(例えば、一つ又は複数のSPAD、SiPM)の動作電圧に応じて決めることができる。前記給電調節ユニット304の電圧値調節は連続的調節又は非連続的調節であってもよい。例えば、電圧値を連続的に調節する場合に、電圧調節範囲は4ボルト~数十ボルトであってもよい。更に例えば、非連続的な電圧値調節の場合に、提供される複数の離散電圧値はVDD調節に用いることができ、例えば4V、8V、12V等であり、それぞれ異なる光検出ユニットの動作電圧に対応する。
【0105】
いくつかの実施例では、前記給電調節ユニット304は昇降圧(Buck-Boost)スイッチング電源で実現でき、昇圧又は降圧が調節可能な機能を実現する。
【0106】
図9は本願の一実施例における昇降圧(Buck-Boost)スイッチング電源の回路原理の模式図を示す。
【0107】
前記昇降圧(Buck-Boost)スイッチング電源は、電圧源V、スイッチS、ダイオードD、インダクタンスL、コンデンサC及び抵抗Rを含む。
【0108】
電圧源の一端がスイッチSの一端に結合され、スイッチSの他端がインダクタンスLの一端とダイオードDの負極に結合され、ダイオードDの正極がコンデンサCと抵抗Rの一端に結合され、インダクタンスL、コンデンサC及び抵抗Rの他端が電圧源の他端に結合される。前記降圧又は昇圧(Buck-Boost)スイッチング電源の出力電圧はR両端の電圧である。
【0109】
スイッチSが導通されると、電圧源VはインダクタンスLによって電力を蓄積し、このときにコンデンサCは放電し、負荷Rに給電し、降圧機能を実現し、スイッチSが切断されると、インダクタンスLに逆起電力が発生し、ダイオードDを遮断から導通に変更する。インダクタンスLは負荷Rに給電し且つコンデンサCを充電し、最後に出力電圧が変わらないように保持し、昇圧機能を実現する。
【0110】
図9のスイッチング電源の回路構造は例に過ぎないことを説明する必要がある。他の実施例では、前記給電調節ユニットは他のタイプの調節可能なスイッチング電源又はリニア電源、例えば、低ドロップアウトリニアレギュレータLDOで実現できる。ただし、レーザーレーダーにおけるSiPM等に基づく高電圧降下を必要な光検出回路のユースケースにおいて、スイッチング電源がより適切であることを説明する必要がある。
【0111】
続いて、本願の更に別の実施例における光検出回路の構造の模式図を示す
図10を参照する。この実施例では、
図8の実施例における光検出回路(光検出ユニットアレイ301、スイッチアレイ302、選択ユニット303、給電調節ユニット304)と比べると、レベルシフトユニット305を増設したものである。
【0112】
前記レベルシフトユニット305は、その入力端が前記選択ユニット303の出力端に結合されており、選択ユニットの出力した電圧を予め設定された電圧範囲内に変換するように配置されている。具体的には、前記の予め設定された電圧範囲は選択ユニットよりも後段の信号処理回路の動作電圧制限に応じて決められる。
【0113】
光検出ユニットアレイの動作電圧が高圧であるため、それに対して、選択ユニット303によって選択されて出力された電気信号も高圧信号であり、選択ユニットよりも後段の信号処理回路に低圧動作回路がある可能性があるので、レベルシフトユニット305によって高圧から低圧への変換を行う。例えば、SiPMの動作電圧が一般に高く、典型値が10V以上に達することが可能である。後続の
図13を参照でき、選択ユニットよりも後段の信号処理回路は積分演算ユニット306を含んでもよく、十分な速度を達成するために、積分演算ユニット306は一般で低圧デバイスで実現され、例えば、その典型的な耐圧が1.8Vであり、低圧素子であり、レベルシフトユニット305によって数十ボルトの振幅値の出力信号を1.8Vの信号に変換し、次に積分演算ユニット306に入力する。
【0114】
一方、給電調節ユニットの電圧調節作用、例えばVDDの変化によって光検出ユニットの出力信号の電圧が変わり、それによって後段の信号処理回路の入力、出力信号の電圧が不安定になり、後段信号処理回路中のデバイスの設計難度が向上することがある。レベルシフトユニット305を設置することによって、後段の信号処理回路中のデバイスの設計難度を更に低下させることができる。例えば、後続の
図13を参照でき、積分演算ユニット306よりも後段にアナログデジタル変換ユニット307(Analog-to-Digital Converter,ADC)が設けられており、レベルシフトユニット305によって積分演算ユニット306の前に入力信号の電圧を低下させることで、後続のアナログデジタル変換ユニット307の設計難度も対応的に低下し、測定精度が高くなる。例えば、ADCの精度が1mVであり、その入力電圧を1Vに保持する必要があり、もし電圧が不安定してADC入力電圧が3Vになると、同一のADCに対して、有効ビット数が変わらなく、例えば10ビットであり、そのように測定精度が低くなり、ただし、レベルシフトユニット305によって積分演算ユニット306の前に選択ユニットの出力信号を電圧値の安定した入力信号に変換して積分演算ユニット306に入力することで、これらの問題を解決できる。
【0115】
図11は本願の一実施例におけるレベルシフトユニットの回路原理の模式図である。
【0116】
前記レベルシフトユニットは、少なくとも一つの第2スイッチユニット801、第1インピーダンスユニット802及び電流源803を含む。
【0117】
各前記第2スイッチユニット801は、前記第1給電端に結合された第1端、前記第1インピーダンスユニット802の一端に結合された第2端及び前記選択ユニット303の出力端に結合された制御端を含み、前記制御端が前記第1端と前記第2端の接続切断を制御するためのものであり、前記第1インピーダンスユニット802は他端が前記電流源803の一端に結合され、前記電流源803は他端が接地端に結合されている。
【0118】
図11に示すレベルシフトユニット原理は電圧フォロワである。図において電流源803が出力電流を自ら能動的に調節可能な可変電流源であることが例示的に示され、電流源803の電流の大きさを調節することによって異なるレベルシフトを実現し、そのように光検出ユニットの出力信号の電圧が変わったときに、レベルシフトユニットはそれに追従してその出力電圧範囲を不変にする。
【0119】
いくつかの実施例では、前記第2スイッチユニット801はMOSで実現でき、例えば、図において例示的にNMOSを示し、そのドレインが第1端であり、ソースが第2端であり、ゲートが制御端(前段の選択ユニットの出力端に結合可能)である。いくつかの実施例では、前記第1インピーダンスユニット802は抵抗又は直列接続された複数のMOSで実現できる。前記第1インピーダンスユニット802のインピーダンス値(例えば、抵抗値)は固定のもの又は可変のものであってもよく、前記電流源803は、第1インピーダンスユニット802の可変のインピーダンス値に対応するように、第1インピーダンスユニット802のインピーダンス値の変化に伴って出力電流が変化する電流源であってもよいし、第1インピーダンスユニット802の変化不可能なインピーダンス値に対応するように、出力電流を自ら能動的に調節可能な可変電流源であってもよい。
【0120】
以下、複数の実施例及び図面によって、レベルシフトユニットの可能な多種の変形の回路構造を示す。
【0121】
図12A~12Eは、それぞれ本願の実施例におけるレベルシフトユニットの多種の変形の回路構造の模式図を示す。
【0122】
図12Aに示すように、第2スイッチユニット901Aは一つのNMOSで実現され、前記第1インピーダンスユニット902Aは可変抵抗Rで実現され、前記電流源903Aは電流源である。そのため、可変抵抗Rを設けることでレベルシフトユニットの出力電圧を調節することができる。
【0123】
図12Bに示すように、第2スイッチユニット901Bは一つのNMOSで実現され、前記第1インピーダンスユニット902Bは可変抵抗Rで実現され、電流源903Bは可変電流源である。そのため、可変抵抗と可変電流源を同時に設けることでレベルシフトユニットの出力電圧を調節することができる。
【0124】
図12Cに示すように、第2スイッチユニット901Cは並列接続された複数のNMOSで実現され、互にソース共通に接続され、ドレインがいずれも第1給電端に結合されてVDDに接続され、前記第1インピーダンスユニット902Cは不可変抵抗Rで実現され、電流源903Cは出力電流が第1インピーダンスユニット902Cに依存する。NMOSの数を調節することでレベルシフトユニットの出力電圧を調節する。
【0125】
図12Dに示すように、第2スイッチユニット901Dは一つのNMOSで実現される。第1インピーダンスユニット902Dはトランジスタで実現できる。具体的には、前記トランジスタは電界効果トランジスタ(例えば、PMOS、NMOS)であってもよく、
図12D中の第1インピーダンスユニット902Dは例示的に複数のNMOSを直列接続して実現されることが示さされており、NMOS数が異なれば、対応的に達成するインピーダンス値が異なり、これによって可変抵抗を代替する。具体的には、第1インピーダンスユニット902Dにおける複数のNMOSの直列接続方式とは、各NMOSのゲートがソースに結合され、一番目のNMOSのゲートが第2スイッチユニット901DのNMOSのソースに接続され、最後のNMOSのソースが前記電流源の一端に結合され、一番目と最後以外の他の各NMOSのゲートがその前のNMOSのソースに結合されることである。この例において、電流源903Dの出力電流は第1インピーダンスユニット902Dのインピーダンスに依存する。NMOSの数を調節することでレベルシフトユニットの出力電圧を調節できる。
【0126】
図12A~12Dは、包括的なものではなく、ただいくつかの可能な第1インピーダンスユニットの変形を例として示している。レベルシフトユニットの第2スイッチユニットの実現、第1インピーダンスユニットの実現/可変/不可変、及び電流源の実現/可変/不可変等の間の様々な配列組合方式は、いずれも本出願の保護範囲に含まれることが可能であり、ここでは列挙しないことが理解できる。
【0127】
更に、
図12Eは具体的な電流源の回路構造を含むレベルシフトユニットの回路原理の模式図を示す。
【0128】
この図示実施例において、前記電流源は、第1カレントミラーと第2カレントミラーを含む。
【0129】
前記第1カレントミラーは、少なくとも一対のゲート共通のトランジスタM
1、M
2からそれぞれ引き出された第1分岐路と第2分岐路を含み、そのゲートが電流源の制御端に結合され、前記第1分岐路において第2インピーダンスユニットR
2が直列接続され、前記第1分岐路と第2分岐路の一端が第2給電端に結合され、前記第1分岐路の他端が前記第2インピーダンスユニットを経由して接地し、前記第2給電端と前記第1給電端が接続する電圧が異なる。選択可能な例において、
図12Eに示すように、前記第1カレントミラー中の一対のゲート共通のトランジスタM
1、M
2は、具体的にカスコード接続された少なくとも一つの第1PMOS及び少なくとも一つの第2PMOSで実現され、即ち、トランジスタM
1、M
2がそれぞれ所在する分岐路は第1分岐路と第2分岐路である。それらはゲート共通に接続され且つゲートが電流源の制御端に結合され、ソース共通に接続されたソースが第2給電端に接続され、第1PMOSのドレインが第2インピーダンスユニットを経由して接地端に結合され、ここで、前記第2給電端と前記第1給電端が接続する電圧が異なる。例えば、図において第1給電端が接続するVDDは高圧HVであり、第2給電端が接続する電圧は低圧LVである。
【0130】
前記第2カレントミラーは、少なくとも一対のゲート共通のトランジスタ(M3及び並列接続されたM4,1~M4,n)からそれぞれ引き出された第3分岐路と第4分岐路を含み、前記第3分岐路の一端が直列接続で第2分岐路の他端に結合され、前記第3分岐路の他端が接地端に結合され、前記第4分岐路の一端が前記第1インピーダンスユニットR1の一端に結合され、前記第4分岐路の他端が接地し、これによって前記第2インピーダンスユニットR2と第1インピーダンスユニットR1を流れる電流の間の比例関係を形成する。選択可能な例において、前記第2カレントミラー中の一対のゲート共通のトランジスタは、具体的にカスコード接続された第1NMOS(図示例の1つであってもよく、並列接続された複数であってもよく、即ちM3である)、及び少なくとも一つの第2NMOS(図において並列接続された複数のものが示されており、即ちM4,1~M4,nである)で実現され、M3とM4,1~M4,nがそれぞれ所在する分岐路が第3分岐路と第4分岐路である。M3は、ゲートとドレインが第2PMOS(M2)のドレインに結合され、ソースが接地端に結合され、M4,1~M4,nはM3にゲート共通に接続され、そのドレインが前記第1インピーダンスユニットR1の一端に結合され、そのソースが接地端に結合されている。
【0131】
前記第4分岐路はn(n≧2)本の分岐路を含み、分岐路毎にトランジスタ(即ち、第2NMOSであり、M
4,1~M
4,nのうちの一つである)を有し、そのうちの各分岐路のトランジスタは、前記第1インピーダンスユニットと前記第2インピーダンスユニットを流れる電流間の比例値を調節するために、第3分岐路中のトランジスタに対して接続又は切断されるように選択されることが可能である。具体的な実現実例において、例えば、
図12Eに示すように、M
4,1~M
4,nのドレイン同士が結合され、且つ前記第1インピーダンスユニットR
1の一端に結合され、出力電圧V
outを形成する。
【0132】
M4,1~M4,nはトランジスタアレイM4を構成する。M4,2~M4,nはゲートがそれぞれ各自の第3スイッチ素子S3を介してM4,1のゲートに結合され、且つ第4スイッチ素子S4を介して接地端に結合されている。
【0133】
選択可能に、前記電流源は、更に、基準電圧VREFに接続する負極入力端と、前記第2インピーダンスユニットR2の一端に結合されて前記基準電圧を印加する正極入力端であって、第2インピーダンスユニットR2の他端が接地する正極入力端と、前記電流源の制御端とするための出力端とを含む演算増幅器を含む。具体的な実例において、VREFは一般に1V-1.2Vであり、非常に高い精度を有し且つ温度と関係なく、演算増幅器と第1PMOS(即ち、M1)で構成された負帰還ループによって、電圧V1=VREFにする。
【0134】
各カレントミラーの分岐路において生成される電流は各分岐路のMOSトランジスタの数の比例に関連する。図示例に示されているM
1、M
2、M
3、M
5はいずれも1つであるが、その実際の数が変わってもよく、例えば、複数のMOSトランジスタを並列接続して実現されてもよく、
図12中の901C等を参照できることを説明必要である。
【0135】
例えば、第1カレントミラーにおいて、M1とM2はデバイスパラメータが同じで且つ数が等しく、そのように、M2の所在する第2分岐路を流れる電流が第1分岐路におけるR2を流れる電流と等しい。
【0136】
第2カレントミラーにおいて、M3はM4,1~M4,n中の各NMOSのデバイスパラメータと同じであり、数の比例が1:nであるため、R2とR1を流れる電流の比例関係が1:nであり、第1インピーダンスユニットR1の両端の電圧がn*VREF/R2*R1であり、スイッチS3とS4の導通又は切断によってnの値を調節して電流比例関係の調節を実現して、R1両端電圧に対する精確な制御を実現する。また、安定的なVREFによって、Voutを安定的に出力する。第2スイッチユニットM5のゲートが選択ユニットの出力端に接続され、選択された測定チャネルの光検出ユニットの出力した電圧信号を受信する。第1給電端の電圧は以上で例示したVDDであり、その振幅が例として12Vであってもよい。第2給電端の電圧LVは振幅が例として1.8V又は5V等である。
【0137】
VINとVoutとの間の電圧は第2スイッチ素子M5のゲートソース間電圧(図示されておらず、VGSで表しても良い)と第1インピーダンスユニットR1の両端の電圧の和である。ここで、ゲートソース間電圧VGSはただ第1インピーダンスユニットR1を流れる電流に関連し、第1インピーダンスユニットR1を流れる電流はM3とM4中のトランジスタの数の比例によって決められ、そのため、M4中の各トランジスタのオンオフ状態を調節することによって、レベルシフトユニットの電圧調節に対する精確な制御を実現できる。具体的には、M4中のあるトランジスタのゲートに接続されたS3が導通され且つS4が切断されると、当該トランジスタは導通状態になり、所在する分岐路を電流が流れ、或いは、M4中のあるトランジスタのゲートに接続されたS3が切断され且つS4が導通されると、当該トランジスタは切断状態になり、所在する分岐路を電流が流れない。従って、M4中の導通トランジスタが多いほど、第1インピーダンスユニットR1を流れる電流が大きく、R1両端の電圧を増加させ、逆には、M4中の導通トランジスタが少ないほど、R1両端の電圧が小さい。
【0138】
第1PMOS(M1)、第2PMOS(M2)、第1NMOS(M3)及び少なくとも一つの第2NMOS(M4,1~M4,n)、並びに第2スイッチ素子(M5)はいずれも耐高圧性トランジスタであってもよい。
【0139】
いくつかの実施例では、異なるタイプの光検出ユニットのデバイス(例えば、SiPM又はSPAD)の動作電圧が異なり、例えば、4V、8V及び12V等である。そのため、実際の応用で、各光検出ユニットの動作電圧パラメータを予め測定し、例えば、光検出ユニットD1の動作電圧が4Vであり、光検出ユニットD3の動作電圧が12V等であり、そして測定した動作電圧パラメータを記憶媒体(例えば、レジスタ、RAM、ROM、ハードディスク等)に記憶するようにしてもよく、そのようにして、それを読み出すことで、各測定チャネルの光検出ユニットに対応して適合する電圧値VDDを提供して光検出ユニットに適切な逆バイアス電圧を提供してその動作をアクティブ化するように、給電調節ユニットを制御する。
【0140】
なお、いくつかの実施例では、回路の環境温度を検出して更に検出された温度変化に応じて対応的に光検出ユニットの逆方向降伏電圧補償計算を行えるように、光検出回路に温度センサを増設してもよい。具体的には、異なる温度での降伏電圧値を取得して記憶媒体にフィードバックし、記憶媒体には逆方向降伏電圧変化値とマッチングする逆バイアス電圧値とを予め関連付けて記憶することができ、それによって逆方向降伏電圧変化値により適切な逆バイアス電圧値を提供でき、補償後のVDDを設定するように給電調節ユニットを制御するのに用いることができる。いくつかの例において、逆バイアス電圧値を調べる目的で、逆方向降伏電圧変化値とマッチングする逆バイアス電圧値とを関連付けて記憶するためにルックアップテーブルを設置してもよい。
【0141】
図13は本願の別の実施例における光検出回路の構造の模式図を示す。
【0142】
図10と比べると、
図13に示すように、レベルシフトユニットよりも後段の信号処理回路は、積分演算ユニット306及びアナログデジタル変換ユニット307を更に含む。
【0143】
前記積分演算ユニット306は、前記レベルシフトユニット305の出力端に結合され、受信した電気信号により積分演算を行って演算結果を得るために用いられる。いくつかの実施例では、前記積分演算ユニット306は積分器を含んでもよく、前記積分器は低圧デバイスであってもよく、動作電圧が例えば1.8V、5V等であってもよく、そのようにして、前段のレベルシフトユニット305は選択ユニットの出力信号を高圧から積分器に適合する低圧に変換し、更に入力積分器は積分演算を行う。
【0144】
応用例において、給電調節ユニットが光検出ユニットアレイに適切な動作電圧を提供することで、適切な逆バイアス電圧を生成して光検出ユニットを正常に動作させることができる。エコー信号の検出時に、スイッチ制御信号によって、スイッチアレイにおける測定チャネルに対応する少なくとも一つの第1スイッチ素子を導通させ(同時に第2スイッチ素子を切断させてもよい)、結合した測定チャネルに属する少なくとも一つの光検出ユニットを動作状態にし、且つ非測定チャネルに対応する第1スイッチ素子を切断させ(同時に第2スイッチ素子を導通させてもよい)、結合した非測定チャネルに属する少なくとも一つの光検出ユニットを非動作状態にし、従って、非測定チャネルに属する少なくとも一つの光検出ユニットは不必要な電力消費を発生したり、外部干渉光を検出して測定チャネルにクロストークを発生したりすることがない。
【0145】
更に、測定チャネルの出力信号は選択ユニット303に選択されて導通され、レベルシフトユニット305に入力されてレベル変換され、例えば、高圧から後段の積分演算ユニット306に適合する低圧信号に変換され、且つ積分演算ユニット306に入力される。積分演算ユニット306は入力信号により測定チャネルの取得したエコー信号のエネルギー情報の演算を行ってエネルギー情報のアナログ信号形式を取得し、且つアナログデジタル変換ユニット307に出力してデジタル信号のエネルギー情報に変換でき、更に例えばレーザーレーダーの制御モジュール308に伝送し、当該測定チャネルの検出結果の計算に用いる。
【0146】
いくつかの実施例では、前記積分演算ユニット306の回路実現は例えば
図14Aと
図14Bに示すようになってもよい。
【0147】
図14Aは本願の一実施例におけるRC積分演算ユニットの回路原理図を示す。RC積分演算ユニットは一つの演算増幅器を含み、演算増幅器は、正極入力端(+)が抵抗RとコンデンサCの一端に結合され、負極入力端(-)が基準電圧に結合可能であり、コンデンサCの他端が演算増幅器の出力端に結合され、抵抗Rの他端(即ち、図中の左端)には前段のレベルシフトユニットの出力信号が入力される。
【0148】
図14Bは本願の一実施例におけるGm-C積分演算ユニットの回路原理図を示す。Gmは即ちトランスコンダクタンス増幅器であり、その出力端がコンデンサCの一端に結合され、コンデンサCの他端が接地する。Gmの入力端には前段のレベルシフトユニットの出力信号が入力される。
【0149】
前記アナログデジタル変換ユニットは、前記積分演算ユニットの出力端に結合され、前記演算結果によりアナログデジタル変換を行うために用いられる。いくつかの実施例では、前記アナログデジタル変換ユニットは、アナログ信号からデジタル信号への変換を行うためのアナログデジタル変換器(ADC)を含んでもよい。
【0150】
いくつかの例において、前記アナログデジタル変換ユニットは出力端がレーザーレーダーの制御モジュールに結合されてもよく、前記制御モジュールはフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array,FPGA)、システムオンチップ(System On Chip,SoC)又は他の処理回路で実現できる。
【0151】
図15は本願の更に別の具体的実施例における光検出回路の構造の模式図を示す。
【0152】
図15は
図13の回路構造を基に、光検出ユニットアレイ1201、スイッチアレイ1202、選択ユニット1203、供給電圧調節ユニット1204、レベルシフトユニット1205、積分演算ユニット1206、アナログデジタル変換ユニット1207等の可能な具体的実施例での構造を提供する。アナログデジタル変換ユニット1207の出力したデジタル信号の演算結果を制御モジュール1208に伝送し、制御モジュール1208によってエコー信号の光エネルギー情報を計算することができる。
【0153】
具体的には、給電調節ユニット1204はBuck-Boostスイッチング電源で実現でき、スイッチアレイ1202と光検出ユニットアレイ1201は
図7Aの実施例に示す例で実現でき、レベルシフトユニット1205は例として
図11の形式で示すことができ、その中の可変電流源が例えば
図12Eにより実現でき、積分演算ユニット1206は例としてRC積分演算ユニットによって実現でき、また、例としてコンデンサ両端に一つのスイッチを並列接続してバイパスコンデンサの選択に用い、抵抗の一端に対応する入力端と前段のレベルシフトユニット1205の出力端との間の接続回路に一つのスイッチを直列接続して積分演算ユニット1206と前段の接続切断の制御に用いることができる。
【0154】
図15に示す具体的な光検出回路の構造は一例に過ぎず、必要に応じて変更してもよく、その実現を制限するものとならないことが理解できる。
【0155】
図16は本願の一実施例におけるレーザーレーダーの構造の模式図を示す。
【0156】
この例において、レーザーレーダー1300は光射出モジュール1301、光検出モジュール1302及び制御モジュール1303を含む。ここで、光射出モジュール1301は光射出ユニットアレイ1311を含み、前記光射出ユニットアレイ1311は複数の光射出ユニット13111を含む。前記光射出ユニット13111は少なくとも一つの光射出装置で実現でき、前記光射出装置はレーザー装置であり得、例えば、垂直共振器型面発光レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting Lasers,VCSEL)、又は端面発光レーザー(Edge Emitting Laser,EEL)である。
【0157】
前記光射出モジュール1301は更に射出レンズ1312及び光射出ユニットアレイ1311の駆動回路1313を含んでもよい。
【0158】
前記光検出モジュール1302は光検出回路1320を含む。前記光検出回路1320は以上の
図6、
図8、
図10、
図13又は
図15の実施例中の光検出回路を参照して実現できる。前記光検出回路1320は、光検出ユニットアレイ1321及びその出力信号を読み出すための多段の信号処理回路(例えば、スイッチアレイ、選択ユニット、供給電圧調節ユニット1、レベルシフトユニット、積分演算ユニット及びアナログデジタル変換ユニットであり、更に処理モジュールを有しても、有さなくてもよい)を含む。前記光検出ユニットアレイ1321は複数の光検出ユニット13211を含み、光検出ユニット13211は少なくとも一つの光検出器(例えば、SiPM又はSPAD)を含んでもよい。
【0159】
各光射出ユニット13111が射出信号を出力し、射出レンズ1312を通過した後(例えば、整形/コリメート)、レーザーレーダー1300から射出し、障害物Aに当たった後反射されてエコー信号を形成し、エコー信号がレーザーレーダー1300に入って受信レンズ1322を通過した後(例えば、整形/集中)、光検出ユニットアレイ1321中の各光検出ユニット13211に検出される。いくつかの実施例では、一つの光射出ユニット13111と一つの光検出ユニット13211は一つの検出チャネルを構成し、即ち、一つの光射出ユニット13111の射出信号が反射されて形成したエコー信号が一つの光検出ユニット13211に検出され、N対の光射出ユニット13111と光検出ユニット13211があれば、対応的にN個の検出チャネルを形成でき、各検出チャネルは異なる視野に対応することが可能である。選択可能に、検出チャネル間の視野は重なっても、重ならなくてもよい。ここで、動作のために選択される検出チャネルは即ち上述した測定チャネルであり、他の動作のために選択されないのは非測定チャネルである。
【0160】
前記制御モジュール1303は、前記光射出モジュール1301及び光検出モジュール1302に結合されており、スイッチアレイにスイッチング信号を伝送して一部の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して、一部の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットを駆動して起動させて光信号を検出させ、また、他の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して他の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニットをオフさせるように配置されている。具体的には、前記制御モジュールはFPGA、SoC又は他の処理回路で実現できる。上記の実施例において、例えば
図13又は
図15で記述した処理モジュール308又は1208は前記制御モジュール1303に位置してもよく、光検出モジュール1302に統合されて制御モジュール1303に通信可能に接続されてもよい。
【0161】
本願の実施例では更に光検出方法を提供できる。前記光検出方法は、以上の実施例中のレーザーレーダーに適用されて光検出回路の動作を制御することができる。具体的には、前記方法はレーザーレーダー中の制御モジュールで実行でき、又はEDAソフトウェア中の前記光検出回路の設計(Design)のシミュレーションに実現される。
【0162】
前記光検出方法は、
スイッチアレイにスイッチング信号を伝送して一部の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して、一部の第1スイッチユニットに結合された光検出ユニット(測定チャネルに属する)を駆動して起動させて光信号を検出させ、また、他の第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定して第1スイッチユニットに結合された光検出ユニット(非測定チャネルに属する)をオフさせて不動作状態にするステップを含んでもよい。
【0163】
いくつかの実施例では、スイッチアレイ中の一部の第1スイッチユニットにスイッチング信号を印加して、結合された光検出ユニットを駆動して起動させる前記ステップは、一部のスイッチアレイ中の各第1スイッチユニットに個別にスイッチング信号を印加し、各光検出ユニットを駆動して対応的に起動させるステップを含む。
【0164】
例を挙げて上記の光検出ユニット逐次起動手順を説明する。例えば、リニアアレイ又はエリアアレイ形式の光検出ユニットアレイにおいて、検出するたびに、共に(同時であってもよい)アクティブ化される一つ又は複数の光検出ユニット(一つ又は複数の測定チャネルに対応してもよい)が検出を行い、次回に他の一又は複数の光検出ユニット(他の一つ又は複数の測定チャネルに対応する)をアクティブ化して検出させ、これによって類推し、全ての光検出ユニット(各検出チャネル)が交互に動作した後、再度繰り返す。
【0165】
ここで、共にアクティブ化される複数の光検出ユニットは光検出ユニットアレイにおける一列の光検出ユニット、一列中の一部の光検出ユニット、一行の光検出ユニット又は一行中の一部の光検出ユニット等であってもよい。或いは、光検出器アレイにおける各光検出ユニットを所在空間位置の近さによりグループ化してもよく、毎回に共にアクティブ化される複数の光検出ユニットはそれぞれ各光検出ユニットグループからのものであってもよく、各光検出ユニットグループは一つのチャネルに対応してもよく、そのように異なるチャネルに属する、共に動作する複数の光検出ユニットは空間位置的に離れ、チャネル間のクロストークを減少する。
【0166】
本願の実施例では、実行されると、前記の光検出方法を実行するプログラムコマンドを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体を更に提供できる。即ち、上記光検出方法のステップは、前記可読記憶媒体(例えば、CD ROM、RAM、フレキシブルディスク、ハードディスク又は光磁気ディスク)に記憶可能なプログラムコマンド(例えば、ソフトウェア又はコンピュータコード)として実現でき、もしくは、ネットワークを介してダンロードされる、最初に遠隔記録媒体又は非一時的な機械読み取り可能な記憶媒体に記憶されており且つローカル記録媒体に記憶されるようになるプログラムコマンドとして実現でき、それによって、汎用コンピュータ、専用プロセッサ或いはプログラマブル又は専用ハードウェア(例えば、SoC又はFPGA等)は読み出してその中のプログラムコマンドを実行して前記光検出方法を実現することができる。
【0167】
以上をまとめると、本願で提供された光検出回路、光検出方法、レーザーレーダー及び記憶媒体において、光検出回路は、光信号を受信して対応する電気信号を生じるための複数の光検出ユニットを含む光検出ユニットアレイと、それぞれ一つの光検出ユニットに対応的に結合され、それぞれ結合した光検出ユニットの動作状態を制御して結合した光検出ユニットの信号出力端に前記電気信号を出力させるように配置されている複数の第1スイッチユニットを含むスイッチアレイと、動作状態にある光検出ユニットを選択して前記電気信号を出力させるための選択ユニットとを含む。光検出回路中のスイッチアレイの各第1スイッチユニットのオンオフ状態を設定することによって、共に動作必要な光検出ユニットを、アクティブ化して動作するように選択でき、そして動作する必要のない光検出ユニットをアクティブ化不可能な状態に設定することによって、外部環境光等の干渉を受けることを回避でき、レーザーレーダーの検出正確度を向上させると共に、不必要な電力消費をも避ける。
【0168】
従来技術においてピークホールド回路及び中低速ADCを用いてエコーパルス信号をサンプリングする方式に存在する問題に対して、本発明の実施例はパルス信号ピーク検出システムを提供し、ピークホールドサンプリング回路とADC回路構造を基に、多重サンプルホールド回路を増設して、複数のエコーパルス信号のピーク信号をそれぞれサンプリングして保存することを実現し、そしてADCにサンプリングされるように保存されている各ピーク信号を逐次選択して導通させる。
【0169】
図17は本発明の実施例のパルス信号ピーク検出システムの構造のブロック図を示す。
【0170】
当該実施例において、前記システムは、順に信号接続されたピーク検出回路401、多重サンプルホールド回路402及びアナログデジタル変換回路403を含む。
前記ピーク検出回路401は、検出待ちパルス信号を受信し、前記パルス信号のピーク信号を検出して前記多重サンプルホールド回路402に出力するために用いられ、
前記多重サンプルホールド回路402は、それぞれ前記検出待ちパルス信号の各ピーク信号をサンプリングして保存するために用いられ、
前記アナログデジタル変換回路403は、前記多重サンプルホールド回路に保存されている各ピーク信号を逐次サンプリングし、前記検出待ちパルス信号に対応するサンプリングデータを出力するために用いられる。
【0171】
実際の応用で、前記多重サンプルホールド回路402は二つ又は二つ以上のサンプルホールド回路を含む。前記多重サンプルホールド回路の具体的な数は、前記検出待ちパルス信号のパルス周波数範囲と前記アナログデジタル変換器の変換周波数に基づいて設定できる。
【0172】
本発明の実施例で提供されたパルス信号ピーク検出システムは、従来からピークホールドサンプリング回路と中低速ADCを用いて高速パルス信号をサンプリングする過程に存在する問題に対して、ピークホールドサンプリング回路とADC回路構造を基に、多重サンプルホールド回路を増設し、多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路によって順に複数のエコーパルス信号のピーク信号をそれぞれサンプリングして保存し、そしてADCにサンプリングされるように保存されている各ピーク信号を逐次選択して導通させ、そのようにして、検出待ちのパルス信号中の複数のエコーパルス信号の時間間隔が比較的に接近している場合でも、各ピーク信号に対するサンプリングを実現でき、エコーパルス信号サンプリングの正確性を有効に向上させる。
【0173】
前記多重サンプルホールド回路402のサンプリングタイミングは第1制御信号CK<1-N>によって制御でき、即ち、第1制御信号CK<1-N>は、前記パルス信号中の各ピーク信号を順にサンプリングして保存するように、前記多重サンプルホールド回路402を制御する。
【0174】
図18に示すように、前記第1制御信号CK<1-N>は第1コンパレータ51とクロック発生器52によって生成できる。
【0175】
前記第1コンパレータ51の二つの入力端にはそれぞれ検出待ちパルス信号INPUT及び前記ピーク検出回路401の出力信号PKD_OUTが入力され、それによって前記検出待ちパルス信号INPUTをデジタルパルス信号に変換して前記クロック発生器52に出力する。
【0176】
説明が必要なこととして、前記検出待ちパルス信号は負方向パルス信号又は正方向パルス信号であってもよい。前記ピーク検出回路401は電圧追従機能を有し、それに対して、前記ピーク検出回路401の出力信号PKD_OUTは負方向パルス信号又は正方向パルス信号であってもよい。
【0177】
前記ピーク検出回路401の出力信号PKD_OUTが負方向パルス信号である場合に、前記検出待ちパルス信号が前記ピーク検出回路の出力信号よりも大きいときに、ピーク信号を取得したことを意味し、前記クロック発生器は前記第1制御信号を出力する。逆に、前記ピーク検出回路401の出力信号PKD_OUTが正方向パルス信号である場合に、前記検出待ちパルス信号が前記ピーク検出回路の出力信号よりも小さいときに、前記クロック発生器は前記第1制御信号を出力する。以下、前記ピーク検出回路401の出力信号PKD_OUTが負方向パルス信号である場合を例として、前記第1制御信号の生成を更に説明する。
【0178】
図19に示すように、検出待ちパルス信号INPUTが負方向パルスであることを例とし、t<t1のときに、INPUT<PKD_OUTであり、前記第1コンパレータ51がローレベルを出力し、t1時刻において、前記ピーク検出回路401が検出待ちパルス信号INPUTのピークを検出でき、t2時刻まで当該ピークを保持し、従って、t2>t>t1のときに、INPUT>PKD_OUTであり、前記第1コンパレータ51がハイレベルを出力する。ここで、t1は前記ピーク検出回路401の出力信号中のパルスピークホールド時刻であり、t2は前記ピーク検出回路401のリセット時刻である。t2時刻において、前記ピーク検出回路401はリセットされ、続いて検出待ちパルス信号INPUT中の次のピーク信号を改めて検出することを開始する。
【0179】
前記クロック発生器52は前記第1コンパレータ51の出力したデジタルパルス信号CMP_OUTに基づいて第1制御信号CK<1-N>を生成する。
【0180】
具体的には、第1コンパレータ51が入力信号INPUTのピークの到来を検出できたときに、即ち、コンパレータがハイレベルを出力したときに、クロック発生器52は第1制御信号CK<1-N>を出力してサンプルホールド回路1-Nを制御して順に起動させ、毎回にただ一つのサンプルホールド回路がピーク検出回路401に接続され、ここで、CK<1>は検出待ちパルス信号INPUT中の1番目のパルスピークに対応し、1番目のサンプルホールド回路をピーク検出回路401に接続して、1番目のサンプルホールド回路によってピーク検出回路401の検出できた1番目のパルスピークをサンプリングして保存するように制御するのものであり、CK<2>は検出待ちパルス信号INPUT中の2番目のパルスピークに対応し、2番目のサンプルホールド回路をピーク検出回路401に接続して、2番目のサンプルホールド回路によってピーク検出回路401の検出した2番目のパルスピークをサンプリングして保存するように制御するためのものであり、これによって類推する。サンプルホールド回路の数Nは入力信号INPUTのパルス周波数とアナログデジタル変換回路403の変換周波数によって決められる。
【0181】
本発明の実施例のパルス信号ピーク検出システムにおいて、ピーク検出回路の出力信号に基づき、第1コンパレータとクロック発生器を用いて第1制御信号を生成して、多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路のサンプリングタイミングを制御し、それによって各サンプルホールド回路が順に複数エコーパルスのピーク信号をそれぞれサンプリングして保存し、サンプリング信号の正確性をより好適に確保できる。ADCにサンプリングされるように保存されている各ピーク信号を逐次選択して導通させることによって、検出待ちのパルス信号中の複数のエコーパルス信号の時間間隔が比較的に接近している場合でも、各ピーク信号に対するサンプリングを実現でき、エコーパルス信号サンプリングの正確性を有効に向上させる。
【0182】
更に、前記クロック発生器52は更に前記第1コンパレータ51の出力したデジタルパルス信号CMP_OUTに基づいて、前記ピーク検出回路401のリセットに用いられる第2制御信号PKD_RSTを生成することができ、つまり、前記第2制御信号PKD_RSTは前記ピーク検出回路401のリセット信号とする。具体的には、前記多重サンプルホールド回路402が前記検出待ちパルス信号中の各ピーク信号をサンプリングして保存した後、前記第2制御信号は前記ピーク検出回路401をリセットさせ、それによって前記ピーク検出回路401は前記検出待ちパルス信号中の次のピーク信号を改めて検出する。
【0183】
前記第2制御信号による前記ピーク検出回路401のリセット制御によって、前記ピーク検出回路401は前記検出待ちパルス信号中の複数のパルス信号ピーク全体を有効に検出できる。
【0184】
具体的な一実施例では、前記ピーク検出回路401は
図20に示すようになってもよく、前記ピーク検出回路401は、トランスコンダクタンス演算増幅器OTA、MOSトランジスタM1とM2で構成された整流カレントミラー(Rectifier Current Mirrors,RCM)、コンデンサCH及びMOSトランジスタMrstを含む。この例において、RCM(Rectifier Current Mirrors,整流カレントミラー)を用いて一方向導通作用を実現し、MOSトランジスタMrstはスイッチング作用を果たす。当該回路の動作手順はリセット、サンプリング及び保持の3段階に分けられる。
【0185】
リセット段階において、RSTがハイであり、MOSトランジスタMrstが導通され、出力電圧Voが0にリセットされる。
【0186】
サンプリング段階において、RSTがローであり、MOSトランジスタMrstが切断され、Vi>Voのときに、トランスコンダクタンス増幅器OTAはコンデンサCHを充電するようにRCMを制御し、ここで、RCMは一方向に導通し、コンデンサCHのみを充電し、Voが次第に上がり、Vo>Viになると、トランスコンダクタンス増幅器OTAの出力電圧がVDDに近づき、充電電流が0に低下する。
【0187】
コンデンサCHはパルスピークをサンプリングできた後、保持状態に遷移し、VoがViに伴って変化することがない。
【0188】
具体的な一実施例では、
図21に示すように、前記多重サンプルホールド回路402中の各サンプルホールド回路は、サンプリングスイッチK1、K2、…、KN、演算増幅器OPA及びコンデンサCSHを含む。前記サンプリングスイッチは前記ピーク検出回路401の出力端及び前記演算増幅器OPAの正方向入力端に接続され、前記コンデンサCSHは前記演算増幅器OPAの正方向入力端とグランドに接続され、前記演算増幅器OPAは負方向の入力端が前記演算増幅器OPAの出力端に接続されている。前記演算増幅器は異なるチャネル間のクロストークを回避すると共に、バッファの作用を果たすために用いられる。
【0189】
ここで、前記サンプリングスイッチK1、K2、…、KNはそれぞれ前記第1制御信号CK<1-N>によって制御される。コンデンサCSHはパルス信号ピークを保存するために用いられ、例えば、CK<1>がスイッチK1を制御して導通させると、PKD_OUTはCK<1>に対応するサンプルホールド回路に入力され、その中のコンデンサCSHを充電し、最後にコンデンサCSHにPKD_OUT中の直流電圧、即ちパルス信号ピーク電圧が蓄積されている。増幅器の仮想短絡と仮想開放の原理により、演算増幅器OPAの出力端はコンデンサCSHに蓄積されているパルス信号ピーク電圧を出力し、CK<1>がスイッチK1を制御して切断させると、CSHは放電し、次回のCK<1>による選択導通を待つ。
【0190】
実際の応用で、前記アナログデジタル変換回路403は多種の方式で実現でき、以下、それぞれ例を挙げて詳細に説明する。
【0191】
図22は本発明の実施例におけるアナログデジタル変換回路の具体的な一構造の模式図を示す。
【0192】
当該実施例において、前記アナログデジタル変換回路403は、マルチプレクサ431と、前記マルチプレクサ431の出力端に接続されたアナログデジタル変換器432(即ち、ADC)とを含む。
【0193】
ここで、前記マルチプレクサ431は、前記アナログデジタル変換器432がサンプリングできるように、第3制御信号CK_MUX<1-N>に基づいて前記多重サンプルホールド回路402のうちの各サンプルホールド回路を逐次選択して導通させるために用いられる。具体的には、前記第1制御信号CK<1-N>が前記多重サンプルホールド回路402のうちの一つのサンプルホールド回路を制御して保存させた後、前記マルチプレクサ431は、アナログデジタル変換器432がサンプリングできるように、前記第3制御信号CK_MUX<1-N>に基づいて前記の一つのサンプルホールド回路を選択して導通させる。
【0194】
図18を参照し、前記マルチプレクサ431の選択導通タイミングを制御するための前記第3制御信号CK_MUX<1-N>も前記クロック発生器52によって前記第1コンパレータの出力したデジタルパルス信号CMP_OUTに基づいて生成できる。
【0195】
前記マルチプレクサ431は具体的に複数の制御スイッチを含んでもよく、各制御スイッチは一つのサンプルホールド回路の出力端及び前記アナログデジタル変換器432の入力端に接続されている。各制御スイッチの選択導通は前記第3制御信号CK_MUX<1-N>によって制御される。
【0196】
図22に示すアナログデジタル変換回路構造を基に、本発明の実施例で提供されたパルス信号ピーク検出システムは
図23に示す通りである。
【0197】
当該実施例において、多重サンプルホールド回路402はサンプリングスイッチK1~KN、コンデンサCSH及び演算増幅器で構成されている。マルチプレクサ431はN個の制御スイッチK11~K1Nで構成されている。ここで、前記演算増幅器は異なるチャネル間のクロストークを回避すると共に、バッファの作用を果たすために用いられ、出力電圧と入力電圧が同じであり、アナログデジタル変換器432を駆動するために用いられる。
【0198】
図18と
図23を同時に参照し、当該実施例において、入力パルス信号INPUTはそれぞれピーク検出回路401と第1コンパレータ51に入力される。ピーク検出回路401は入力パルス信号INPUTのピークを出力し、N個のパルスのピークは順にN個のサンプルホールド回路402によって保存され、次に順にマルチプレクサ431を経由してアナログデジタル変換器432に入力されてサンプリングされ、パルスピークに対応するデジタル信号が出力される。
【0199】
当該実施例において、第1制御信号CK<1-N>によってサンプリングスイッチK1~KNのうちの一つを制御して導通させ、コンデンサCSHを充電し、充電完了後パルスピーク電圧が蓄積されている。制御信号CK_MUX<1-N>が制御スイッチK11~K1Nのうち、当該回路に対応するスイッチK11を制御して導通させると、アナログデジタル変換器432は当該パルス信号に対してピークサンプリングを行う。
【0200】
説明必要なこととして、実際の応用で、前記アナログデジタル変換器432として逐次比較(SAR,successive approximation register)型、パイプライン型等、様々なタイプのアナログデジタル変換器を採用することができ、これについて本発明の実施例は限定しない。
【0201】
SAR型アナログデジタル変換器の特徴は電力損失がサンプリングレートに伴って変わることであり、SAR型アナログデジタル変換器を例として
図23を参照すると、前記アナログデジタル変換器432は、第2コンパレータ61、逐次比較論理回路62、コンデンサ型デジタルアナログ変換器63及びコンデンサCを含んでもよい。ここで、前記第2コンパレータ61は、一方の入力端が前記マルチプレクサ431の出力端に接続され、他方の入力端が前記コンデンサ型デジタルアナログ変換器63の出力端に接続され、出力端が前記逐次比較論理回路62の入力端に接続され、前記逐次比較論理回路62の出力端は前記検出待ちパルス信号のサンプリングデータを出力し且つ前記コンデンサ型デジタルアナログ変換器63にフィードバック信号を出力する。コンデンサCはパルス信号ピークを保存するために用いられ、例えば、CK_MUX<1>がスイッチK11を制御して導通させると、CK<1>に対応するサンプルホールド回路はコンデンサCSHに蓄積されているパルス信号ピーク電圧を出力してコンデンサCを充電し、CK_MUX<1>がスイッチK11を制御して切断させると、コンデンサCは放電し、次回に制御信号CK_MUXがマルチプレクサ431中の一つの制御スイッチを制御して導通させることを待つ。前記アナログデジタル変換器432の動作原理は以下の通りである。先に一つの初期推定値を取得し、次に一連のステップによって推定値の誤差を徐々に縮小し、一般に反復によって実現する。実際の応用で、前記アナログデジタル変換器432はサンプリング時間を一定(例えば、20ns毎)に保持でき、或いは、パルス信号に応じて異なるサンプリング時間を採用でき、例えば、非同期SAR型アナログデジタル変換器を用いて異なるサンプリング時間を設定する。
【0202】
図23に示す実施例における各信号のタイミングチャートは
図24に示す通りであり、
図23と
図24を同時に参照しながら、具体的に以下のように説明する。
【0203】
一番目のパルスが到来した時、CK<1>がハイレベルであり、サンプリングスイッチK1が導通し、他のCK<x>がローレベルであり、即ち1番目のサンプルホールド回路のみがピーク検出回路401の出力に接続され、パルスがピークに到達すると、第1コンパレータ出力信号CMP_OUTがローレベルからハイレベルに変わり、コンデンサCSHが充電され、パルスピークが保持される。
【0204】
第1コンパレータ出力信号CMP_OUTがハイレベルからローレベルに変わったとき、一番目のパルスのピーク情報がすでに1番目のサンプルホールド回路に記憶されており、このときにクロック発生器がCK<1>をハイレベルからローレベルに変更し、それに対してスイッチK1が導通から切断に変わり、コンデンサCSHが放電し、それと同時にマルチプレクサの制御信号CK_MUX<1>がハイレベルを保持するときに、スイッチK11を制御して導通を保持させ、アナログデジタル変換器432がピークサンプリングを行い、デジタル信号OUTPUTを出力する。クロック発生器は一つのピーク検出回路401のリセットパルス(PKD_RST)を生成し、ピーク検出回路401を制御してリセットさせ、PKD_RSTがローであるときに、ピーク検出回路401のリセットが完了し、且つCK_MUX<1>がハイレベルからローレベルに変わり、それに対してスイッチK11が切断し、次のパルスの到来を待つ。
【0205】
次に、2番目のパルスが到来したとき、CK<2>がハイレベルであり、他のCK<x>がローレベルであり、第2サンプルホールド回路がピーク検出回路401の出力に接続され、以上の工程を繰り返す。マルチプレクサ432はサンプルホールド回路402での出力VINが順にアナログデジタル変換器432に入力されて変換されるように制御し、アナログデジタル変換器432が変換を完了した後、CK_MUXは次のチャネルに切り替えるようにマルチプレクサ431を制御する。
【0206】
上記過程において、第1制御信号CK<1-N>は多重サンプルホールド回路402のうちの一つのサンプルホールド回路を制御して保存させた後、マルチプレクサ431は、アナログデジタル変換器432がサンプリングできるように、第3制御信号CK_MUX<1-N>に基づいて前記の一つのサンプルホールド回路を選択して導通させる。例えば、
図24において、CK_MUX<2>の立ち上がりエッジはMUX2を選択して導通させ、CK<2>とCK<3>の立ち上がりエッジの間において、即ち現在のCK<2>において立ち上がりエッジを生じ、それによってCK<2>が対応的に制御するサンプルホールド回路はピークサンプリングと保存を行い、ピーク保存後に次のCK<3>において立ち上がりエッジを生じ、即ち、CK<3>が対応的に制御するサンプルホールド回路がピークサンプリングと保存を行う前に、マルチプレクサ431は現在MUX2を選択して導通させ、アナログデジタル変換器432はCK<2>が対応的に制御するサンプルホールド回路に記憶されているピーク信号をサンプリングする。
【0207】
図25は本発明の実施例におけるアナログデジタル変換回路の別の具体的構造の模式図を示す。
【0208】
当該実施例において、前記アナログデジタル変換回路403は、それぞれの入力端が前記多重サンプルホールド回路のうちの一つのサンプルホールド回路の出力端に接続されている複数のアナログデジタル変換器ADCを含む。
【0209】
当該実施例において、前記アナログデジタル変換器ADCとして
図23に示すSAR型アナログデジタル変換器を採用できる。
【0210】
本発明の実施例で提供されたパルス信号ピーク検出システムは、ピークホールドサンプリング回路とADC回路構造を基に、多重サンプルホールド回路を増設し、多重サンプルホールド回路中の各サンプルホールド回路によって順に複数のエコーパルス信号のピーク信号をそれぞれサンプリングして保存し、そしてADCにサンプリングされるように保存されている各ピーク信号を逐次選択して導通させ、そのようにして、検出待ちのパルス信号中の複数のエコーパルス信号の時間間隔が比較的に接近している場合でも、各ピーク信号に対するサンプリングを実現でき、エコーパルス信号サンプリングの正確性を有効に向上させた。
【0211】
更に、多種の方式によって、前記多重サンプルホールド回路に保存されている各ピーク信号を逐次サンプリングして出力することを実現でき、
図22に示すマルチプレクサとアナログデジタル変換器を含む構造態様において、即ち、前記アナログデジタル変換器432がサンプリングできるように、マルチプレクサによって前記多重サンプルホールド回路402のうちの各サンプルホールド回路を逐次選択して導通させる。或いは、
図25に示す複数のアナログデジタル変換器を含む構造態様において、即ち、各アナログデジタル変換器ADCの入力端が前記多重サンプルホールド回路402のうちの一つのサンプルホールド回路の出力端に接続され、当該サンプルホールド回路に保持されているピーク信号をデジタル信号に変換して出力する。異なる構造態様を提供ことによって、回路構造の多様性が豊富になり、ユーザが応用需要に応じて異なる選択をすることができる。本発明の実施例で提供されたパルス信号ピーク検出システムによれば、中低速ADC(例えば、サンプリングレートが1MHz)を用いて高速パルス信号ピークの正確な測定を実現でき、即ち、一般にシステムに必要な高速ADCの代わりに中低速ADCを使用することができ、高速ADCを用いてパルス信号ピーク検出を実現する手段と比べると、本発明のシステムはシステムのコストと電力消費を著しく低下させることができる。
【0212】
本発明の実施例は更にレーザーレーダーを提供し、
図26に示すように、前記レーザーレーダーは射出ユニット1001、受光ユニット1002及び上述した各実施例に記載のパルス信号ピーク検出システム1003を含む。
射出ユニット1001は、対象物を検出するための検出光束を射出できるように配置され、
受光ユニット1002は、前記検出光束が対象物で反射したエコー光束を受光し、且つエコー光束をエコーパルス信号に変換できるように配置され、
パルス信号ピーク検出システム1003は、前記エコーパルス信号をサンプリングし、サンプリング信号を出力するために用いられる。
【0213】
非限定的な一実施例において、前記受光ユニット1002はSiPMアレイであってもよく、それは複数のSiPMを含み、各SiPM同士は間隔をおいて設置され、例えば、複数列のSiPMを形成してもよく、具体的には行列式配置又は交差式配置であってもよい。
【0214】
本発明の実施例におけるパルス信号ピーク検出システムに基づくレーザーレーダーによれば、前記エコーパルス信号中の複数のパルス信号の時間間隔が比較的に接近している場合でも、各ピーク信号に対する有効なサンプリングを実現でき、レーザーレーダーによるエコーパルス信号サンプリングの正確性を有効に向上させた。パルス信号ピーク検出システムが中低速ADCを用いてパルス信号をサンプリングできるので、レーザーレーダーのハードウェアコストを有効に低減させることができる。
【0215】
具体的な実施では、上記実施例に記載の各装置、製品に含まれる各モジュール/ユニットについては、それはソフトウェアモジュール/ユニットであってもよいし、ハードウェアモジュール/ユニットであってもよく、或いは、一部がソフトウェアモジュール/ユニットであり、一部がハードウェアモジュール/ユニットであるようになってもよい。
【0216】
例えば、チップに適用又は統合される各装置、製品に対して、それに含まれる各モジュール/ユニットを全て回路等のハードウェアの方式で実現でき、或いは、少なくとも一部のモジュール/ユニットをチップ内部に統合されたプロセッサで実行されるソフトウェアプログラムの方式で実現でき、他の部分のモジュール/ユニット(ある場合)を回路等のハードウェアの方式で実現できる。チップモジュールに適用又は統合される各装置、製品に対して、それに含まれる各モジュール/ユニットを全て回路等のハードウェアの方式で実現でき、異なるモジュール/ユニットがチップモジュールの同一コンポーネント(例えば、チップ、回路モジュール等)又は異なるコンポーネントに位置してよく、或いは、少なくとも一部のモジュール/ユニットをチップモジュール内部に統合されたプロセッサで実行されるソフトウェアプログラムの方式で実現でき、他の部分のモジュール/ユニット(ある場合)を回路等のハードウェアの方式で実現できる。端末に適用又は統合される各装置、製品に対して、それに含まれる各モジュール/ユニットを全て回路等のハードウェアの方式で実現でき、異なるモジュール/ユニットが端末内の同一コンポーネント(例えば、チップ、回路モジュール等)又は異なるコンポーネントに位置してよく、或いは、少なくとも一部のモジュール/ユニットを端末内部に統合されたプロセッサで実行されるソフトウェアプログラムの方式で実現でき、他の部分のモジュール/ユニット(ある場合)を回路等のハードウェアの方式で実現できる。
【0217】
理解すべきこととして、本明細書において「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3種の関係があってもよいのを意味し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独して存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独して存在するといった3種の状況を意味してもよい。また、本明細書における符号の「/」は、前後の関連対象が「又は」という関係にあることを意味する。
【0218】
本願の実施例において出現した「複数」とは二つ又は二つ以上である。
【0219】
本願の実施例において出現した「第1」、「第2」等の記述は、記述対象を例示、区別するためのものであり、順序を区別する意図がなく、本願の実施例においてデバイスの数を特に限定するものとなることもなく、本願の実施例に何ら制限も加えない。
【0220】
本願の実施例において出現した「接続」とは、デバイス間の通信を実現するための直接的接続又は間接的接続等の各種の接続方式であってもよく、本願の実施例はこれについて何ら制限も加えない。
【0221】
上記実施例は本出願の原理及びその効果を例示的に説明するものに過ぎず、本出願を制限するためのものではない。当業者が本出願の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記実施例を修飾又は変更することができる。従って、所属する技術分野で通常知識を有する者は、本出願に開示された趣旨と技術的構想から逸脱することなくなされたすべての等価修飾又は変更は、本出願の請求項に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0222】
51 第1コンパレータ
52 クロック発生器
61 第2コンパレータ
62 逐次比較論理回路
63 コンデンサ型デジタルアナログ変換器
101 光検出器
102 電荷感応増幅器
201 抵抗アレイ
202 光検出器アレイ
203 マルチプレクサ
204 電圧増幅器
211 抵抗
221 光検出器
301 光検出ユニットアレイ
302 スイッチアレイ
303 選択ユニット
304 給電調節ユニット
305 レベルシフトユニット
306 積分演算ユニット
307 アナログデジタル変換ユニット
308又は1208 処理モジュール
311 光検出ユニット
321 第1スイッチユニット
401 ピーク検出回路
402 多重サンプルホールド回路
403 アナログデジタル変換回路
431 マルチプレクサ
432 アナログデジタル変換器
801 第2スイッチユニット
802 第1インピーダンスユニット
803 電流源
901 第2スイッチユニット
902 第1インピーダンスユニット
903 電流源
1001 射出ユニット
1002 受光ユニット
1003 パルス信号ピーク検出システム
1201 光検出ユニットアレイ
1202 スイッチアレイ
1203 選択ユニット
1204 供給電圧調節ユニット
1205 レベルシフトユニット
1206 積分演算ユニット
1207 アナログデジタル変換ユニット
1208 制御モジュール
1300 レーザーレーダー
1301 光射出モジュール
1302 光検出モジュール
1303 制御モジュール
1311 光射出ユニットアレイ
1312 射出レンズ
1313 駆動回路
1320 光検出回路
1321 光検出ユニットアレイ
1322 受信レンズ
13111 光射出ユニット
13211 光検出ユニット
【国際調査報告】