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▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】マルチレベルの回転プラグ弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/04 20060101AFI20240723BHJP
   F16K 11/083 20060101ALI20240723BHJP
   F16K 27/06 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F16K5/04 F
F16K11/083 Z
F16K27/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579228
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022066739
(87)【国際公開番号】W WO2022268727
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/358,099
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エドワード グレイ
【テーマコード(参考)】
3H051
3H054
3H067
【Fターム(参考)】
3H051AA05
3H051BB02
3H051CC11
3H051CC16
3H051FF02
3H054AA01
3H054BB02
3H054BB16
3H054BB17
3H054CA03
3H054CA08
3H054CB09
3H054EE04
3H054GG02
3H067AA22
3H067AA31
3H067BB05
3H067BB14
3H067CC02
3H067CC32
3H067CC33
3H067DD03
3H067EA05
3H067EA13
3H067EB10
3H067FF11
3H067GG13
(57)【要約】
マルチポートの回転プラグ弁は、ラジエータ、電気的な駆動モータ、バッテリ、車両電子機器と、1つまたは複数のバイパスラインとの間の冷却流体の流れを制御するために、車両の流体供給システムにおいて使用することができる。弁は、弁ボディを含んでおり、この弁ボディは、弁ボディの高さ寸法に沿って2つ以上のレベルに半径方向ポートを有している。さらに、弁は、弁ボディ内に回転可能に配置されたプラグアセンブリを含んでいてもよい。プラグアセンブリは、弁ボディを通る流体の流れを制御するように協働する第1のプラグ部分および第2のプラグ部分から成っていてもよい。弁は、弁ボディの互いに異なる軸方向のレベルに配置されたポート間を通過する弁構成と、流路が、弁ボディに対して相対的なプラグアセンブリの回転位置に応じて単一のレベルに制限されている別の弁構成とを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転プラグ弁であって、
弁ボディおよび弁プラグアセンブリを備え、
前記弁ボディは、
ボディ軸線を取り囲みかつ該ボディ軸線上でセンタリングされているボディ側壁と、
前記ボディ側壁の一方の端部を閉じるボディベース部であって、前記ボディ側壁と前記ボディベース部とが弁ボディチャンバを画定するために協働する、ボディベース部と、
弁ポートであって、各弁ポートが前記弁ボディチャンバに連通する弁ポートと
を含み、
前記弁プラグアセンブリは、前記弁ボディチャンバ内に配置されており、前記弁プラグアセンブリは、前記ボディ軸線に一致する回転軸線を中心として前記弁ボディに対して相対的に回転可能である弁プラグを含んでおり、該弁プラグは、
第1のプラグ部分および第2のプラグ部分を含み、
前記第1のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第1の側壁であって、アルファ開口を含む第1の側壁と、
前記第1の側壁の一方の端部を閉じる第1のベース部であって、前記ボディベース部に面した第1の面と、前記ボディベース部から離れる方向に向いた第2の面とを有している第1のベース部と、
前記第1のベース部の前記第1の面から突出し、かつ前記第1の側壁に交差する突出部であって、前記第1の側壁と一緒にベータ開口を画定し、該ベータ開口は、前記第1の側壁の円周に沿って前記アルファ開口から離間している突出部と、
前記アルファ開口と前記ベータ開口との間に延びる第1の流路と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第2の側壁であって、ガンマ開口および凹部を含んでいる第2の側壁と、
前記第2の側壁の一方の端部を閉じる第2のベース部と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、前記第1のプラグ部分と前記ボディベース部との間に配置されていて、かつ
前記突出部は、前記第1のプラグ部分と前記第2のプラグ部分とは、互いに対して相対的に位置固定されていて、かつ前記回転軸線を中心として一緒に単独のユニットとして回転可能であるように、前記凹部内に配置されかつ前記凹部に係合している、回転プラグ弁。
【請求項2】
前記第2のベース部は、前記回転軸線に対して平行な方向で前記第1のベース部から離間しており、かつ
前記凹部は、前記第2の側壁の開いた端部に沿って開いており、前記開いた端部は、前記第2の側壁の前記一方の端部とは反対側にある、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項3】
前記第1の側壁は、前記第1の側壁の前記一方の端部とは反対側にある開いた端部を含み、前記第1の側壁の高さ寸法は、前記回転軸線に対して平行な方向で、前記第1の側壁の前記開いた端部と前記第1の側壁の前記一方の端部との間の距離に一致し、前記回転軸線に対して平行な方向での前記ベータ開口の寸法は、前記第1の側壁の高さ寸法よりも大きい、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項4】
前記第1の流路は、前記弁ポートのうちの第1の弁ポートと前記弁ポートのうちの第2の弁ポートの間の流体の流れを許容するように構成されており、前記第1の弁ポートは、前記第1のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁に配置されていて、前記第2の弁ポートは、前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁に配置されている、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項5】
前記第1の側壁と前記第2の側壁とが整列している、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項6】
前記第1の側壁は、前記第1のベース部に対して鋭角である第1の角度を成しており、前記第2の側壁は、前記第2のベース部に対して鋭角である第2の角度を成しており、前記第1の角度は、前記第2の角度に等しい、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項7】
前記第2の側壁は、前記第2の側壁の円周に沿って前記ガンマ開口から離間したデルタ開口を含み、
前記第2の弁部分は、前記ガンマ開口と前記デルタ開口との間に延びる第2の流路を含む、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項8】
前記第2の側壁は、ゼータ開口を含み、該ゼータ開口は、前記第2の側壁の円周に沿った寸法を有し、該寸法は、前記ガンマ開口の、前記第2の側壁の円周に沿った寸法の少なくとも2倍である、請求項7記載の回転プラグ弁。
【請求項9】
前記ガンマ開口は、ブラインド通路に向かって開いている、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項10】
前記弁ポートは、
前記第1のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第1の弁ポートと、
前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第2の弁ポートと、
前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第3の弁ポートと、
前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第4の弁ポートと
を備え、
前記第2の側壁は、デルタ開口を含み、前記第2のプラグ部分は、前記ガンマ開口と前記デルタ開口との間に延びる第2の通路を含み、
前記弁ボディに関する前記弁プラグの第1の回転配向において、
前記第1の通路は、前記第1の弁ポートと前記第2の弁ポートとの間の流体の流れを許容し、
前記第2の通路は、前記第3の弁ポートと前記第4の弁ポートとの間の流体の流れを許容する、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項11】
前記第2の側壁は、ゼータ開口を含み、該ゼータ開口は、前記ガンマ開口の前記第2の側壁の円周に沿った寸法の少なくとも2倍である、前記第2の側壁の円周に沿った寸法を有しており、
前記ガンマ開口は、ブラインド通路に向かって開いており、かつ
前記弁ボディに関する前記弁プラグの第2の回転配向において、
前記第1の弁ポートと前記第2の弁ポートとの間の流体の流れが阻止されており、かつ
前記ブラインド通路は、前記第3の弁ポートと前記第4の弁ポートとの間の流体の流れを許容する、請求項10記載の回転プラグ弁。
【請求項12】
前記弁プラグアセンブリは、前記弁ボディと前記弁プラグとの間に配置されたシールを含み、該シールは、前記弁ボディに対して相対的に位置固定されており、前記シールは、
第1のリングと、
該第1のリングに対して平行に、かつ前記第1のリングから離間している第2のリングと、
前記第1のリングと前記第2のリングとの間に延びる第1のリブと、
前記第1のリングと前記第2のリングとの間に延びる第2のリブであって、前記第1のリングの円周に沿って前記第1のリブから離間している第2のリブと
を備える、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項13】
前記第1のリングは、第1の直径を有し、前記第2のリングは、第2の直径を有し、前記第2の直径は、前記第1の直径よりも小さい、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項14】
前記シールは、単独のユニットとして一体的に成形されており、これにより、前記シールがシームを有していない、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項15】
前記シールは、前記回転軸線に面した内面を含み、前記第1のプラグ部分と前記第2のプラグ部分とがそれぞれ、前記シールに該シールの前記内面において当接している、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項16】
前記第1のリブの部分と前記第2のリブの部分とは、前記ボディ側壁に設けられた溝内に収容されている、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項17】
前記第1のリブおよび前記第2のリブの、前記プラグに面した面は、V字形の外形を有している、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項18】
流体搬送システムであって、
熱交換器と、
回転プラグ弁であって、該回転プラグ弁の或る構成において前記熱交換器に流体を搬送する回転プラグ弁と、
前記熱交換器と前記回転プラグ弁との間の流体ライン内に配置されたポンプであって、前記流体搬送システムを通じて流体を駆動するように構成されている、流体ポンプと
を備え、
前記回転プラグ弁は、
弁ボディおよび弁プラグアセンブリを含み、
前記弁ボディは、
ボディ軸線を取り囲みかつ該ボディ軸線上でセンタリングされているボディ側壁と、
前記ボディ側壁の一方の端部を閉じるボディベース部であって、前記ボディ側壁と前記ボディベース部とが弁ボディチャンバを画定するために協働する、ボディベース部と、
弁ポートであって、各弁ポートが前記弁ボディチャンバに連通する弁ポートと
を含み、
前記プラグアセンブリは、前記弁ボディチャンバ内に配置されており、該弁プラグアセンブリは、前記ボディ軸線に一致する回転軸線を中心として前記弁ボディに対して相対的に回転可能である弁プラグを含み、該弁プラグは、
第1のプラグ部分および第2のプラグ部分を含み、
前記第1のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第1の側壁であって、アルファ開口を含む第1の側壁と、
前記側壁の一方の端部を閉じる第1のベース部であって、前記ボディベース部に面した第1の面と、前記ボディベース部から離れる方向に向いた第2の面とを有している第1のベース部と、
前記第1のベース部の前記第1の面から突出し、かつ前記第1の側壁に交差する突出部であって、前記第1の側壁と一緒にベータ開口を画定し、該ベータ開口は、前記第1の側壁の円周に沿って前記アルファ開口から離間している突出部と、
前記アルファ開口と前記ベータ開口との間に延びる第1の流路と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第2の側壁であって、ガンマ開口および凹部を含んでいる第2の側壁と、
前記第2の側壁の一方の端部を閉じる第2のベース部と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、前記第1のプラグ部分と前記ボディベース部との間に配置されていて、
前記突出部は、前記第1のプラグ部分と前記第2のプラグ部分とは、互いに対して相対的に位置固定されていて、かつ一緒に単独のユニットとして前記回転軸線を中心として回転可能であるように、前記凹部内に配置されかつ前記凹部に係合している、流体搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
回転プラグ弁は、一種の方向制御弁であり、流体搬送システムにおいて使用することができ、システムを通る流体の流れおよび分配を制御することができる。例えば、回転プラグ弁は、車両冷却システムを通る冷却材の流れを制御するために使用することができる。回転プラグ弁は、幾つかのポートを規定する弁ボディと、この弁ボディ内に配置された弁プラグとを含んでいてもよい。弁プラグは、弁ボディ内における弁プラグの特定の回転配向のために予め規定されたポートに流れを分配するように成形されていて、弁を通る流れを制御するために弁ボディに対して回転させられる。
【0002】
概要
複雑な流体搬送システムは、弁ボディの3つ、4つ、5つまたはそれ以上の個別のポート間で流体流れを制御することができる回転プラグ弁を必要とすることがある。システムの要求に応じて、幾つかの流路を同時に閉じることが望まれることがある。例えば、5ポートの回転プラグ弁において、弁ボディに対して相対的な弁プラグの所与の回転配向のために、5つの流路のうちの3つもの流路を閉じることが望まれることがある。このことは、弁プラグの大きな角度部分が、通路開口を有しないことを必要とする。弁ボディにおける全ての弁ポートが、弁ボディの高さ寸法に沿って同一のレベルにある場合、閉じられているポートのために利用可能な領域は制限されている。本明細書に開示された回転プラグ弁では、弁プラグの流路が2つのレベルに分離されており、このことは、1つの弁ボディポートに合致する通路開口を有しないプラグ上のより大きな領域を提供する。しかし、マルチレベルの弁プラグは、製造が複雑となってしまい、複雑な型および/または成形プロセスを必要としてしまう。1つの解決手段では、弁ボディと弁プラグとの間の境界面は、円錐形であってもよく、このことは、単純な2つの部品型において弁シール(弁座とも呼ばれる)を成形することを可能にする。しかしながら、円錐形状は、大きな肉厚を有する領域を形成することなしに単純な2つの部品型において弁プラグを成形することを困難にし、この構成は、部材の不十分な寸法制御に関連する。この問題に対処するために、弁プラグは、複数の部分で形成されており、これにより、弁プラグによって規定された円錐形の内側の領域および通路の外側の領域のコアリング(例えば、材料の除去)が可能になる。
【0003】
例えば熱的用途を有する幾つかの流体搬送システムでは、所定の弁プラグ配向位置において2つまたは3つのポートを閉じることが望ましいことがある。例えば、マルチポート回転プラグ弁は、ラジエータ、電気的な駆動モータ、バッテリ、車両電子機器と、1つまたは複数のバイパスラインとの間で冷却流体の流れを制御するために、電気自動車の冷却システムにおいて使用することができる。回転プラグ弁は、弁ボディを含んでいてもよく、弁ボディは、弁ボディの高さ寸法に沿った2つ以上のレベルにポートを有している。さらに、回転プラグ弁は、弁ボディ内に配置されたプラグアセンブリを含んでいてもよく、このプラグアセンブリは、弁ボディの高さ方向に対して平行な回転軸線を中心として弁ボディに対して相対的に回転可能である。プラグアセンブリは、弁ボディを通る流体の流れを制御するように協働する2つのインターロック部材(例えば、第1のプラグ部分および第2のプラグ部分)から成っていてもよい。プラグアセンブリは、流体を互いに異なるレベルに流すために3つ以上の開口を有していてもよい。レベルおよび対応するプラグ開口を増やすことは、弁ボディに対する弁プラグのある回転位置に対応する複数の弁構成を提供することを可能にし、これらの弁構成では、流路がレベル間に延びているか、単一のレベルに制限されているか、または弁ボディのポートが開放していない。これは、一度に1つのポートを閉じることしか可能にしない幾つかの従来の回転プラグ弁と比較することができる。プラグアセンブリは、複数のレベルに設けられたポートにアクセスすることができる幾つかの通路と、1つのレベルにのみアクセスすることができる別の通路とを提供する。2部材から成るプラグアセンブリは、付加的なポートレベルを提供することができる弁プラグの成形を単純化する。弁ボディとプラグアセンブリとは、製造を単純化し、シールを改善するために、回転軸線に沿ってテーパされていてもよい。
【0004】
幾つかの態様では、回転プラグ弁が、弁ボディを有している。弁ボディは、ボディ軸線を取り囲みかつボディ軸線上でセンタリングされているボディ側壁と、ボディ側壁の一方の端部を閉じるボディベース部とを有している。ボディ側壁とボディベース部とは弁ボディチャンバを画定するために協働する。弁ボディは、弁ボディチャンバに連通する複数の弁ポートを有している。さらに、回転弁プラグは、弁ボディチャンバ内に配置された弁プラグアセンブリを含んでいる。弁プラグアセンブリは、ボディ軸線に一致する回転軸線を中心として弁ボディに対して相対的に回転可能である弁プラグを含んでいる。弁プラグは、第1のプラグ部分と第2のプラグ部分とを有している。第1のプラグ部分は、第1の側壁を含んでいて、この第1の側壁は、回転軸線を取り囲みかつ回転軸線上でセンタリングされている。第1の側壁は、アルファ開口を含んでいる。第1のプラグ部分は、第1の側壁の一方の端部を閉じる第1のベース部を有している。第1のベース部は、ボディベース部に面した第1の面と、ボディベース部から離れる方向に向いた第2の面とを有している。第1のプラグ部分は、突出部を含んでいる。この突出部は、第1のベース部の第1の表面から突出し、かつ第1の側壁に交差していて、かつこの突出部は、第1の側壁と一緒にベータ開口を画定しており、ベータ開口は、第1の側壁の円周に沿ってアルファ開口から離間している。さらに、第1のプラグ部分は、アルファ開口とベータ開口との間に延びる第1の流路を含んでいる。第2のプラグ部分は、回転軸線を取り囲みかつ回転軸線上でセンタリングされている第2の側壁を含んでいる。第2の側壁は、ガンマ開口および凹部を含んでいる。第2のプラグ部分は、第2の側壁の一方の端部を閉じる第2のベース部を含んでいる。第2のプラグ部分は、第1のプラグ部分とボディベース部との間に配置されており、突出部は、第1のプラグ部分と第2のプラグ部分とが互いに対して相対的に位置固定されていて、かつ回転軸線を中心として一緒に単独のユニットとして回転可能であるように、凹部内に配置されかつ凹部に係合している。
【0005】
幾つかの実施形態では、第2のベース部が、回転軸線に対して平行な方向で第1のベース部から離間していて、凹部が、第2の側壁の開いた端部に沿って開いており、この開いた端部が、第2の側壁の一方の端部とは反対側にある。
【0006】
幾つかの実施形態では、第1の側壁は、第1の側壁の一方の端部とは反対側にある開いた端部を含んでいる。第1の側壁の高さ寸法は、回転軸線に対して平行な方向での、第1の側壁の開いた端部と第1の側壁の一方の端部との間の距離に一致する。さらに、回転軸線に対して平行な方向でのベータ開口の寸法は、第1の側壁の高さ寸法よりも大きい。
【0007】
幾つかの実施形態では、第1の流路が、弁ポートのうちの第1の弁ポートと弁ポートのうちの第2の弁ポートとの間の流体の流れを許容するように構成されており、第1の弁ポートが、第1のプラグ部分と整列する箇所においてボディ側壁に配置されており、第2の弁ポートは、第2のプラグ部分と整列する箇所においてボディ側壁に配置されている。
【0008】
幾つかの実施形態では、第1の側壁と第2の側壁とが整列している。
【0009】
幾つかの実施形態では、第1の側壁が、第1のベース部に対して鋭角である第1の角度を成し、第2の側壁が、第2のベース部に対して鋭角である第2の角度を成し、第1の角度が、第2の角度に等しい。
【0010】
幾つかの実施形態では、第2の側壁が、第2の側壁の円周に沿ってガンマ開口から離間したデルタ開口を含んでおり、第2の弁部分が、ガンマ開口とデルタ開口との間に延びる第2の流路を含んでいる。
【0011】
幾つかの実施形態では、第2の側壁が、ゼータ開口を含んでおり、このゼータ開口が、第2の側壁の円周に沿った寸法を有しており、この寸法は、ガンマ開口の、第2の側壁の円周に沿った寸法の少なくとも2倍である。
【0012】
幾つかの実施形態では、ガンマ開口は、ブラインド通路に向かって開いている。
【0013】
幾つかの実施形態では、弁ポートは、第1のプラグ部分と整列する箇所においてボディ側壁に配置されている第1の弁ポートと、第2のプラグ部分と整列する箇所においてボディ側壁に配置されている第2の弁ポートと、第2のプラグ部分と整列する箇所においてボディ側壁に配置されている第3の弁ポートと、第2のプラグ部分と整列する箇所においてボディ側壁に配置されている第4の弁ポートとを有している。第2の側壁はデルタ開口を有しており、第2のプラグ部分は、ガンマ開口とデルタ開口との間に延びる第2の通路を有している。弁ボディに対する弁プラグの第1の回転配向では、第1の通路は、第1の弁ポートと第2の弁ポートとの間の流体の流れを許容し、第2の通路が、第3の弁ポートと第4の弁ポートとの間の流体の流れを許容する。
【0014】
幾つかの実施形態では、第2の側壁は、第2の側壁の円周に沿った寸法を有するゼータ開口を含んでおり、このゼータ開口の寸法は、ガンマ開口の第2の側壁の周囲に沿った寸法の少なくとも2倍である。ガンマ開口がブラインド通路に向かって開いており、弁ボディに対する弁プラグの第2の回転配向では、第1の弁ポートと第2の弁ポートとの間の流体の流れが阻止され、ブラインド通路は、第3の弁ポートと第4の弁ポートとの間の流体の流れを許容する。
【0015】
幾つかの実施形態では、弁プラグアセンブリは、弁ボディと弁プラグとの間に配置されたシールを含んでおり、シールが、弁ボディに対して相対的に位置固定されている。シールは、第1のリングと、この第1のリングに平行であり、かつ第1のリングから離間している第2のリングと、第1のリングと第2のリングとの間に延びる第1のリブと、第1のリングと第2のリングとの間に延びる第2のリブとを含んでいる。第2のリブは、第1のリングの円周に沿って第1のリブから離間している。
【0016】
幾つかの実施形態では、第1のリングが第1の直径を有していて、第2のリングが第2の直径を有していて、第2の直径が、第1の直径よりも小さい。
【0017】
幾つかの実施形態では、シールが、単独のユニットとして一体的に成形されており、これにより、シールがシームを有していない。
【0018】
幾つかの実施形態では、シールが、回転軸線に面した内面を含んでおり、第1のプラグ部分および第2のプラグ部分がそれぞれ、シールにこのシールの内面において当接している。
【0019】
幾つかの実施形態では、第1のリブおよび第2のリブの部分が、ボディ側壁に設けられた溝内に収容されている。
【0020】
幾つかの実施形態では、第1のリブおよび第2のリブの、弁プラグに面した面が、V字形の外形を有している。
【0021】
幾つかの態様において、流体搬送システムは、熱交換器と、回転プラグ弁とを含んでおり、この回転プラグ弁は、回転プラグ弁のある構成において熱交換器に流体を搬送する。流体搬送システムは、熱交換器と回転プラグ弁との間の流体ライン内に配置されたポンプを含んでいる。流体ポンプは、流体搬送システムを通じて流体を駆動するように構成されている。回転プラグ弁は、弁ボディと、弁プラグアセンブリとを含んでいる。弁ボディは、ボディ側壁であって、ボディ軸線を取り囲みかつボディ軸線上でセンタリングされたボディ側壁と、ボディ側壁の一方の端部を閉じるボディベース部とを含んでいる。ボディ側壁とボディベース部とは協働して、弁ボディチャンバを規定する。弁ボディは、弁ポートも含んでおり、各弁ポートは、弁ボディチャンバに連通している。弁プラグアセンブリは、弁ボディチャンバ内に配置されており、弁ボディに対して相対的に、ボディ軸線に一致する回転軸線を中心として回転可能な弁プラグを含んでいる。弁プラグは、第1のプラグ部分と第2のプラグ部分とを含んでいる。第1のプラグ部分は、第1の側壁を有しており、この第1の側壁は、回転軸線を取り囲みかつ回転軸線上でセンタリングされている。第1の側壁は、アルファ開口を含んでいる。第1のプラグ部分は、第1の側壁の一方の端部を閉じる第1のベース部を有している。第1のベース部は、ボディベース部に面した第1の面と、ボディベース部から離れるほうに向いた第2の面とを有している。第1のプラグ部分は、第1のベース部の第1の表面から突出して第1の側壁と交差する突出部を含んでいる。突出部は第1の側壁と一緒に、第1の側壁の円周に沿ってアルファ開口から離間しているベータ開口を規定している。第1のプラグ部分は、アルファ開口とベータ開口との間に延びる第1の流路を含んでいる。第2のプラグ部分は、第2の側壁を含んでおり、この第2の側壁は、回転軸線を取り囲みかつ回転軸線上でセンタリングされている。第2の側壁は、ガンマ開口と凹部とを有している。第2のプラグ部分は、第2の側壁の一方の端部を閉じる第2のベース部を含んでいる。第2のプラグ部分は、第1のプラグ部分とボディベース部との間に配置されていて、突出部は、第1のプラグ部分と第2のプラグ部分とが互いに対して位置固定されていて、かつ回転軸線を中心として単一のユニットとして一緒に回転可能であるように、凹部内に配置され、かつ凹部に係合している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】マルチレベル、マルチポートの回転プラグ弁を含む車両冷却システムを示す概略図である。
図2図1に示したマルチレベル、マルチポートの回転プラグ弁を示す斜視図である。
図3図2に示した回転プラグ弁を示す分解斜視図である。
図4図2に示した回転プラグ弁の弁ボディを示す斜視図である。
図5図2に示した線5-5に沿って見た回転プラグ弁の断面図である。
図6】プラグアセンブリの一方の側を示す、図2に示した回転プラグ弁のプラグアセンブリを示す斜視図である。
図7】プラグアセンブリの他方の側を示す、図2に示した回転プラグ弁のプラグアセンブリの別を示す斜視図である。
図8】第1のプラグ部分の一方の側を示す、図6に示したプラグアセンブリの第1のプラグ部分を示す斜視図である。
図9】第1のプラグ部分の平面図を示す、図6に示したプラグアセンブリの第1のプラグ部分を示す斜視図である。
図10】第1のプラグ部分の底面図を示す、図6に示したプラグアセンブリの第1のプラグ部分を示す斜視図である。
図11図9に示した線11-11に沿って見た、第1のプラグ部分の断面図である。
図12図2に示した線12-12に沿って見た、回転プラグ弁の断面図である。
図13図2に示した線13-13に沿って見た、回転プラグ弁の断面図である。
図14】第2のプラグ部分の一方の側を示す、図6に示したプラグアセンブリの第2のプラグ部分を示す斜視図である。
図15】第2のプラグ部分の他方の側を示す、図6に示したプラグアセンブリの第2のプラグ部分を示す斜視図である。
図16】第2のプラグ部分の他方の側を示す、図6に示したプラグアセンブリの第2のプラグ部分を示す斜視図である。
図17】第2のプラグ部分の別の側および底部を示す、図6に示したプラグアセンブリの第2のプラグ部分を示す斜視図である。
図18図19に示した線18-18に沿って見たシールの断面図である。
図19】シールの平面図である。
図20】AおよびBは、弁ボディに対するプラグアセンブリの1つの回転位置に関する、図2に示した回転プラグ弁の弁プラグを通る流体の流れを示しており、実線矢印は、弁プラグを通る流体の流れを表しており、白抜き矢印は、閉塞された流路を表している。
図21】AおよびBは、弁ボディに対するプラグアセンブリの別の回転位置に関する、図2に示した回転プラグ弁の弁プラグを通る流体の流れを示しており、実線矢印は、弁プラグを通る流体の流れを表し、白抜き矢印は、閉塞された流路を表す。
図22】AおよびBは、弁ボディに対するプラグアセンブリの別の回転位置に関する、図2の回転プラグ弁の弁プラグを通る流体の流れを示しており、実線矢印は、弁プラグを通る流体の流れを表しており、白抜き矢印は、閉塞された流路を表している。
図23】AおよびBは、弁ボディに対するプラグアセンブリの別の回転位置に関する、図2に示した回転プラグ弁の弁プラグを通る流体の流れを示しており、実線矢印は、弁プラグを通る流体の流れを表しており、白抜き矢印は、閉塞された流路を表している。
図24】代替的な実施形態の回転プラグ弁を示す分解斜視図である。
図25図24に示した回転プラグ弁の断面図である。
【0023】
詳細な説明
図1図3を参照すると、流体搬送システム1は、マルチレベル、マルチポートの回転プラグ弁18を含んでいる。この回転プラグ弁18は、システム1内で3つ、4つ、5つまたはそれ以上の個別の流体ライン10,11,12,13,14間でポンプ8によって駆動される流体の流れを制御することができる。回転プラグ弁18は、例えば、電気自動車の冷却システム1における冷却材の分配および流れを制御するために使用されてもよい。この例では、回転プラグ弁18は、車両の乗員キャビンの暖房および冷却システム7の一部であるラジエータ2と回転プラグ弁18との間の冷却流体の流れを制御することができ、ラジエータ2からの冷却材は、バッテリ3およびバッテリ管理システム4を冷却することもできる。さらに、回転プラグ弁18は、電気駆動モータ、車両電子機器および/または電子制御ユニットおよび/またはオイル供給部のような別の車両装置およびシステムの温度制御を支援する熱交換器5,6への流体の流れを制御することができる。回転プラグ弁18は、弁ボディ20と、プラグアセンブリ50とを含んでおり、プラグアセンブリ50は、弁ボディ20内に配置されていて、回転軸線52を中心として弁ボディ20に対して相対的に回転する。さらに、回転プラグ弁18は、弁ボディ20とプラグアセンブリ50との間に流体密なシールを提供する単一のエラストマー弁シール110を有している。弁ボディ20は、複数の弁ポート33,34,35,36,37を含んでおり、ポートの個数は、特定の用途によって決定されている。少なくとも1つの弁ポート33は、弁ボディ20の高さ寸法に沿って、別の弁ポート34,35,36,37とは異なるレベルに位置決めされており、その高さ寸法は、回転軸線52に対して平行な方向で測定される。弁ボディ20に対して相対的なプラグアセンブリ50の回転配向は、アクチュエータ(図示せず)を介して設定される。弁ボディ20に対して相対的なプラグアセンブリ50の回転配向は、弁ポート33,34,35,36,37のうちの対応する1つの弁ポートを通る1つまたは複数の流体流路を決定する。プラグアセンブリ50は、弁ボディ20を通る流体の流れを一緒に制御する2つのインターロック式のプラグ部分60,80のアセンブリであってもよい。プラグアセンブリ50は、通路72,92,96に関連する複数の開口を有しており、通路72,92,96は、弁ボディ20に対して相対的なプラグアセンブリ50の回転配向に応じて、流体を弁ポート33,34,35,36,37のうちの1つの弁ポートへと流し、これにより、冷却材システム1における冷却流体の分配を制御する。弁ボディ20、プラグアセンブリ50および弁シール110を含む回転プラグ弁18の詳細を以下に説明する。
【0024】
図4および図5を参照すると、弁ボディ20は、ベース部26と側壁21とを含んでいる。ベース部26は、回転軸線52に対して平行な方向で見た場合に、円形の外形を有している。側壁21は、一方の端部(ここでは「ベース部端部」と称する)22において、ベース部26の周縁部に接合されており、側壁21が、ベース部26を取り囲んでいる。側壁21およびベース部26は一緒に概してカップ形の構造を形成し、この構造が内部に弁プラグチャンバ30を規定する。側壁21の開いた端部23(例えば、側壁21の、ベース部26から離間している端部)は、ベース部端部22の直径よりも大きな直径を有していて、側壁21は、ベース部26に対して鈍角θ1で突出している(図5)。図示した実施形態では、角度θ1は、95~150度の範囲にあり、例えば97度である。
【0025】
図示した実施形態では、弁ボディ20が、5つの弁ポート33,34,35,36,37を含んでいるが、ポートのこの個数に制限されるものではない。特に、弁ボディ20は、第1の弁ポート33、第2の弁ポート34、第3の弁ポート35、第4の弁ポート36および第5の弁ポート37を含んでいる。弁ポート33,34,35,36,37のそれぞれは、回転軸52の半径方向に沿って側壁21から外方へ突出し、弁プラグチャンバ30に連通している。図示された実施形態では、弁ポート33,34,35,36,37は円筒形の管であり、各弁ポート33,34,35,36,37は、弁ボディ側壁21との交差部において円形の開口を形成している。
【0026】
図示された実施形態では、弁ポート33,34,35,36,37は円筒形の管であり、各弁ポート33,34,35,36,37は、弁ボディ側壁21との交差部において円形の開口を形成している。図示したように、弁ポート33,34,35,36,37はそれぞれ、同一の長さ、横断面形状および寸法を有しているが、弁ポート33,34,35,36,37は、この構成に限定されない。さらに、弁ポート33,34,35,36,37は、図示された同一平面かつ半径方向に配向された構成に限定されない。例えば、別の実施形態では、複数の弁ポート33,34,35,36,37のうちのある弁ポートが、別の弁ポートと同一平面でなくてもよく、かつ/または側壁ではなくベース部から突出してもよい。弁ポート33,34,35,36,37は、回転軸線16に対して平行な方向、回転軸線16に対して垂直な方向、または回転軸線16に対して垂直な方向と平行な方向の間の任意の角度で突出していてもよい。弁ポート33,34,35,36,37は、非半径方向に突出していてもよく、所与の弁ポートの軸線は、回転軸線16と交差することを要求されていない。多くの用途において、弁ポート33,34,35,36,37の構成は、実装要求によって決定される。
【0027】
弁ポート33,34,35,36,37は、側壁21の周囲に沿って離間した箇所に設けられている。図示された実施形態では、第1の弁ポート33および第4の弁ポート36は、弁ボディ20の互いに反対側に配置されており、弁ボディ20の共通の直径に対して平行に延びており、弁ボディ20の高さ寸法に沿って互いに異なるレベルにある。特に、第1の弁ポート33は第4の弁ポート36よりも、弁ボディ20を回転軸線52に対して垂直な方向で見た場合に、弁ボディの開いた端部23に近い。第2の弁ポート34および第5の弁ポート37は、弁ボディ20の互いに反対に位置する側に配置され、弁ボディの共通の直径に対して同軸的であり、第4の弁ポート36と同じレベルにある。第3の弁ポート35は、第2の弁ポート34、第4の弁ポート36および第5の弁ポート37と同じレベルにあり、第2の弁ポート34と第4の弁ポート36との間に配置されている。すなわち、第1の弁ポート33は、回転軸線52に対して垂直な第1の平面P1に位置し、第2の弁ポート34、第3の弁ポート35、第4の弁ポート36および第5の弁ポート37は、回転軸線52に対して垂直な、かつ第1の平面から離間した第2の平面P2に位置している。図示された実施形態では、平面P1は、平面P2と、弁ボディ20の開いた端部23との間にあるが、この構成に限定されない。
【0028】
弁ボディ側壁21の内面には、ベース部端部22と開いた端部23との間に延びる溝32が設けられている。溝32は、シール110のリブと同一の横断面形状を有していて、以下でさらに説明するように、プレス嵌め構成でシール110のリブを収容するように寸法設定されている。設けられる溝32の個数は、シール110のリブの個数に対応する。図示された実施形態では、弁ボディ20が、6つの溝32を含んでいる。少なくとも1つの溝32が、弁ポート33,34,35,36,37の隣り合った各対のポート間に配置されている。例えば、回転軸線に平行な方向で見た場合に、第1の弁ポート33および第2の弁ポート34は、隣り合った一対の弁ポートを形成し、第1の弁ポート33と第2の弁ポート34との間には1つの溝32が配置されている。同様に、第2の弁ポート34と第3の弁ポート35との間、第3の弁ポート35と第4の弁ポート36との間、第4の弁ポート36と第5の弁ポート37との間および第5の弁ポート37と第1の弁ポート33との間に溝32が設けられている。弁ボディ20の内周面に沿った弁ボディの溝32の間隔は、弁ボディの弁ポート33,34,35,36,37の間隔に依存し、したがって不均一であってもよい。
【0029】
弁ボディ側壁21は、回転軸線に対して平行な方向での側壁の開いた端部23と側壁のベース部端部22との間の距離に一致する高さ寸法を有している。図示された実施形態では、弁ボディの高さ寸法は、側壁のベース部端部の直径と同一であるか、または側壁のベース部端部の直径よりも僅かに小さい。
【0030】
幾つかの実施形態では、弁ボディ20の開いた端部23を閉じる蓋(図示せず)が設けられているが、別の実施形態では、弁ボディ20の開いた端部23は、アクチュエータまたは別の補助的な構造のハウジング(図示せず)によって閉じられていてもよい。第2のシール(図示せず)は、弁ボディの開いた端部23と、蓋またはハウジングとの間に配置されてもよい。
【0031】
図6および図7を参照すると、プラグアセンブリ50は、弁ボディチャンバ30内に配置されていて、このチャンバ30内で回転軸線52を中心として回転可能である。プラグアセンブリ50は、回転軸52に沿って互いに積み重ねられた第1のプラグ部分60と第2のプラグ部分80とのアセンブリである。第1のプラグ部分60および第2のプラグ部分80の接合する面はインターロックしており、これにより第1のプラグ部分60および第2のプラグ部分80は一致して回転し、弁ボディ20を通る流体の流れを制御するように協働する。
【0032】
図8図12を参照すると、第1のプラグ部分60が、第1のベース部66および第1の側壁61を含んでいる。第1のベース部66は、ボディベース部26に対して平行であり、回転軸線52に対して平行な方向で見た場合に円形の外形を有している。第1のベース部66は、ボディベース部26に面している外面67と、ボディベース部26から離れる方向に向いた反対側の内面68とを有している。第1の側壁61は、一方の端部(ここでは「ベース部端部」と称する)62において、第1のベース部66の周縁部に接合されている。第1の側壁61は、第1のベース部66を取り囲んでいて、回転軸線52上でセンタリングされている。第1の側壁61および第1のベース部66は一緒に概してカップ形の構造を形成している。第1の側壁61の開いた端部63(例えば、第1の側壁61の、第1のベース部66から離間している端部)は、ベース部端部62の直径よりも大きい直径を有しており、第1の側壁61は、第1のベース部66に対して鈍角θ2で突出している(図5)。図示された実施形態では、角度θ2は、95~150度の範囲にあり、例えば97度である。
【0033】
第1の側壁61は、第1の側壁61の円周に沿って離間されたアルファ開口70およびベータ開口71を含んでいる。プラグアセンブリ50の基準直径D1(図12)に関して、アルファ開口70およびベータ開口71は、プラグアセンブリ50を回転軸線52に対して平行な方向で見た場合に、基準直径D1の同じ側に位置している。
【0034】
第1のプラグ部分60は、ベース部の外面67から突出しかつベータ開口71に対応する箇所において第1の側壁61と交差する突出部73を含んでいる。突出部73は、中空であり、直角柱の形状を有している。突出部73は、第1のベース部66の半径方向に沿って延びており、第1のベース部66の中心と第1のベース部66の周縁部との間の箇所において最小の高さ寸法を有している。突出部は、第1の側壁61において最大の高さを有している。突出部73は、第1の側壁61と一緒に、ベータ開口71を規定しており、ベータ開口71は、第1の側壁61の高さ寸法h2よりも大きい高さ寸法h1を有している。
【0035】
第1のプラグ部分60は、ベース部の内面68に沿って延びかつベース部の内面68から突出している第1の通路72を含んでいる。第1の通路72は、アルファ開口70とベータ開口71との間に延びている。第1の通路72は、アルファ開口70と第1のベース部66の中心との間で第1のベース部66の半径方向に沿って延びる第1の線形部分74と、ベータ開口71と第1のベース部66の中心との間で第1のベース部66の半径方向に沿って延びる第2の線形部分75とを含んでいる。第1の線形部分74と第2の線形部分75との間の内角θ3(図9)は、180度未満である。図示された実施形態では、内角θ3は、約135度である。
【0036】
第1のプラグ部分60は、中空の円筒形の管片76を含んでいる。この管片76は、第1の通路72の外面から突出している。管片76は、長手方向軸線と同軸的であり、アクチュエータの出力軸と係合することを可能にする平面、軸方向のスプラインまたは歯車の歯のような表面特徴を有しており、これにより、第1のプラグ部分60を、アクチュエータによって回転軸線52を中心として回転するように駆動することができる。図示された実施形態では、表面特徴は外側にある。別の実施形態では、表面特徴が内側にあってもよい。図示された実施形態では、管片76は、この管片76の高さ寸法と第1の通路72の高さ寸法との合計が、第1の側壁61の高さ寸法より小さいか、または等しくなる低い外形を有している。別の実施形態では、管片76は、高さのある外形を有していてもよく、特定の用途によって要求されるように、第1のプラグ部分60から突出していてもよい。
【0037】
図13図17を参照すると、第2のプラグ部分80が、第2のベース部86および第2の側壁81を含んでいる。第2のベース部86は、回転軸線52に対して平行な方向で見た場合に円形の外形を有している。第2のベース部86は、ボディベース部26に面している外面87と、ボディベース部26とは離れる方向に、かつ第1のベース部66に向いている反対側の内面88とを有している。第2の側壁81は、一方の端部(ここでは「ベース部端部」と称する)82において、第2のベース部86の周縁部に接合されている。第2の側壁81は、第2のベース部86を取り囲んでいて、回転軸線52上でセンタリングされている。第2の側壁81および第2のベース部86は一緒に概してカップ形の構造を形成している。第2の側壁81の開いた端部83(例えば、第2の側壁81の、第2のベース部86から離間している端部)は、ベース部端部62の直径よりも大きい直径を有しており、第2の側壁81は、第2のベース部86に対して鈍角θ4(図5)で突出している。図示された実施形態では、角度θ4は、95~150度の範囲にあり、例えば97度である。
【0038】
第2の側壁81は、第2の側壁81の円周に沿って離間されたデルタ開口90、ガンマ開口91およびゼータ開口95を含んでいる。プラグアセンブリ50の基準直径D1(図13)に関して、デルタ開口90およびガンマ開口91は、プラグアセンブリ50を回転軸線52に対して平行な方向で見た場合に、基準直径D1の同じ側に位置している。さらに、デルタ開口90およびガンマ開口91は、ゼータ開口95、アルファ開口70およびベータ開口71に対して、基準直径D1の反対側に位置している。
【0039】
第2のプラグ部分80は、ベース部の内面88に沿って延びてかつベース部の内面88から突出している第2の通路92を含んでいる。第2の通路92は、デルタ開口90とガンマ開口91との間に延びている。第2の通路92は、デルタ開口90と第2のベース部86の中心との間で第2のベース部86の半径方向に沿って延びる第1の線形部分93と、ガンマ開口91と第2のベース部86の中心との間で第2のベース部86の半径方向に沿って延びる第2の線形部分94とを含んでいる。第1の線形部分93と第2の線形部分94との間の内角θ5(図15)は、180度以下である。図示された実施形態では、第2の通路92の内角θ5は、第1の通路72の内角θ3よりも小さい。例えば、内角θ5は、約112度である。
【0040】
ゼータ開口95は、弁ボディ20に対するプラグアセンブリ50の或る回転配向において隣り合う弁ポートを接続するように構成されているブラインド開口である。このためには、ゼータ開口95は、第2の側壁81の円周に沿った寸法を有しており、この寸法は、デルタ開口90およびガンマ開口91の第2の側壁81の円周に沿った寸法の少なくとも2倍であり、ゼータ開口95は、第2のプラグ部分80を横断面で見た場合に(図13)、概して扇形形状を有している。ゼータ開口95は、第3の流路96として機能し、ベース部の内面88に沿って延び、かつベース部の内面88から突出している。
【0041】
第2のプラグ部分80は、第2の側壁の開いた端部83に形成された凹部98を含んでいる。凹部98は、ゼータ開口95とデルタ開口90との間に配置されている。凹部98は、第2のベース部86から離れるほうに向かって開いており、突出部73を公差嵌めで収容するように成形かつ寸法設定されている。突出部73と凹部98との間の協働する係合は、第1のプラグ部分60と第2のプラグ部分80とが回転軸線52を中心として互いに一致して回転することを保証する。
【0042】
再び図5図7を参照すると、プラグアセンブリ50では、第1のプラグ部分60のベース部の外面67が第2の側壁の開いた端部83に当接し、突出部73が凹部98内に配置され、かつ凹部98に係合するように、第1のプラグ部分60が軸方向で第2のプラグ部分80に整列している。この構成において、突出部73はキーとして機能し、このキーは、第1のプラグ部分60と第2のプラグ部分80とが互いに対して位置固定され、回転軸線52を中心として単一のユニットとして一緒に回転可能であるように、凹部98に係合する。さらに、ベータ開口71は凹部98内に部分的に収容されており、第1の通路72は、弁ボディ20に対するプラグアセンブリ50の或る回転配向において、弁ボディ20の複数のレベル間での流体連通を提供することができる。プラグアセンブリ50では、第2のプラグ部分80が、第1のプラグ部分60とボディベース部26との間に配置されている。第2の側壁82ならびに第2の通路92および第3の通路96が第1のベース部66と第2のベース部86との間に配置された状態で、第2のベース部86は、回転軸線52に対して平行な方向で第1のベース部66から離間している。さらに、第1の側壁61および第2の側壁81は整列している。
【0043】
図18図19を参照すると、シール110は、ケージ状の構造であり、第1のリング111と、この第1のリング111に対して平行でありかつ第1のリング111から離間された第2のリング112と、第1のリング111と第2のリング112との間に延びる線形リブ113とを含んでいる。第1のリング111は、側壁の開いた端部23において弁ボディ20の内径に対応する第1の直径d1を有している。第2のリング112は、側壁のベース部端部22における弁ボディ20の内径に対応する第2の直径d2を有している。弁ボディは、側壁の開いた端部23が側壁のベース部端部22よりも大きな直径を有する円錐形の外形を有しているので、第2の直径d2は、第1の直径d1よりも小さい。シール110は、回転軸線52およびプラグアセンブリ50に面した内面114を含んでいる。プラグアセンブリ50の第1のプラグ部分60および第2のプラグ部分80は、シール内面114においてシール110に当接する。
【0044】
リブ113は、第1のリング111および第2のリング112の円周に沿って互いから離間している。各弁ポートの間には少なくとも1つのリブ113が設けられている。弁ボディ20が5つの弁ポート33,34,35,36,37を含んでいる図示された実施形態では、シールが6つのリブ113を含んでいる。しかし、別の実施形態では、一対の隣り合うポート間に2つのリブ113を設けることにより、ブロックされた領域または閉鎖されたポートを提供することができる。第1のリング111および第2のリング112の円周に沿ったリブ113の特定の間隔は、弁ボディ溝32の間隔に依存し、この弁ボディの溝32の間隔は、弁ボディ側壁21の円周に沿った弁ボディのポート33,34,35,36,37の間隔に依存する。さらに、弁ポート33,34,35,36,37に対するリブ113および弁のボディ溝32の関係は、弁ポート33,34,35,36,37の開弁タイミングを規定する。
【0045】
第1のリング111および第2のリング112ならびにリブ113のそれぞれは、矩形の横断面形状を有している。さらに、各リブ113の内面114は、第1のリング111と第2のリング112との間に延びるチャネル115を含んでいる。このチャネル115は、流体によって運ばれる粒子または破片が流体内に保持されることを阻止するように成形かつ寸法設定されていてもよい。チャネル115は、各リブ113とプラグアセンブリ50との間の接触面積も減じることもできる。図示された実施形態では、チャネル115はV字形の外形を有していてもよい。その結果、各リブ113の内面114は、一対の平行なランド116を含んでおり、チャネル115の各側に1つのランド116が配置されている。各ランド116は、シール110とプラグアセンブリ50の外面との間で線形の狭いシーリング接触面を提供する。幾つかの実施形態では、チャネル115を画定するランド116は、汚染粒子および/または他の破片がシール/プラグ境界面に捕捉されるのを阻止するために機能することができ、これにより、アブレシブ摩耗が減じられる。
【0046】
各リブ113の外面(例えば、弁ボディに面した面)118は、弁ボディ20の軸方向に延びる溝32のうちの対応する1つ溝内に収容されている。外面118の形状または横断面外形は、溝32の形状に対応する。図示された実施形態では、外面118は、溝32の矩形の形状に対応する矩形の形状を有している。
【0047】
シール110は、弾性材料から形成されており、この弾性材料は、回転プラグ弁18を通って流れる流体と適合性があり、運転温度および耐久性に関する要求を満たしている。例えば、車両冷却材システムにおいて流体を制御するために使用される流体弁のために、シール110は、自動車冷却材と適合性のエラストマーから形成されている。幾つかの実施形態では、シール110は、成形プロセスにおいて単一のユニットとして形成されている。シール110を単一のユニットとして形成することにより、シール110は、シーム(例えば、シール材料の2つの部分が一緒に接合される線)なしに、または別の接合部なしに形成され、これによって、幾つかの別の製造方法と比較して、シール110の信頼性および耐久性が向上する。
【0048】
幾つかの実施形態では、シール110の、プラグアセンブリに面した面114が、低摩擦コーティングを含んでいてもよく、これらの面は、シール110の残りの部分よりも低い摩擦係数を有していてもよい。別の実施形態では、シール110の全体は、シール110を形成するために使用されるエラストマーと比較して低い摩擦のコーティングでコーティングされている。非限定的である或る例では、シール110は、エラストマーから形成されており、コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されている。シール110に低摩擦コーティングを設けることにより、回転プラグ弁18を運転するために必要とされるトルクが減じられる。さらに別の実施形態では、シール110の全体が低摩擦エラストマーから形成されている。
【0049】
使用時に、シール110は、第1のリング111がボディ側壁の開いた端部23に隣接し、第2のリング112がボディ側壁のベース部端部22に隣接し、かつリブ113が溝32内に配置された状態で、弁ボディ20内に配置されている。溝32は、プラグアセンブリ50が回転軸線52を中心として回転する場合に、弁ボディ20に対して位置固定された構成でシール110を保持する。プラグアセンブリ50は、シール110がプラグアセンブリ50とボディ側壁21との間に配置された状態で、弁ボディチャンバ30内に配置されている。この構成では、シールの第1のリング111は、第1のプラグ部分の開いた端部63を取り囲んでいて、第1のプラグ部分60と弁ボディ20との間に流体密な環状シールを提供する。さらに、シールの第2のリング112は、第2のベース部86において第2のプラグ部分80を取り囲んでいて、第2のプラグ部分と弁ボディ20との間に流体密な環状シールを提供する。さらに、各弁ポート33,34,35,36,37は、隣り合った一対のリブ113と、隣り合った一対のリブ113間に延びる第1のリング111および第2のリング112の一部とを含むシール110の部分によって取り囲まれており、流体密なシールは、各弁ポートを別の弁ポートから分離している。
【0050】
回転プラグ弁18は、5つの弁ポート33,34,35,36,37を有する弁ボディ20を含んでいる。第1の弁ポート33は、第1のレベルL1(例えば軸方向第1の位置)に配置されており、残りの弁ポート34,35,36,37は、第2のレベルL2(例えば軸方向の第2の位置に)配置されている。さらに、弁プラグアセンブリ50は、シール110によって弁ボディ20に対して密閉されているように、弁ボディ20内に配置されている。インターロックする第1のプラグ部分60および第2のプラグ部分80を含む弁プラグアセンブリ50は、弁ボディ20を通る流体の流れを制御するために回転軸線52を中心として回転可能である。例えば、弁ボディ20に対して相対的な弁プラグアセンブリ50の1つの回転位置(図20A図20B)では、第1の通路72が、第1のレベルL1と第2のレベルL2との間に延びていて、第1の弁ポート33と第5の弁ポート37との間の流体の流れを許容する。この位置において、第2の通路92は、第3の弁ポート35および第4の弁ポート36の間の流体の流れを可能にする一方で、第3の通路96は、複数の弁ポートと整列しないので使用されていない。弁ボディ20に対して相対的な弁プラグアセンブリ50の別の回転位置(図21A図21B)では、第3の通路96が、第3の弁ポート35および第4の弁ポート36の両方に整列されていて、第3の弁ポート35と第4の弁ポート36との間の流体の流れを許容する。この位置では、第1の通路72および第2の通路92は、これらの通路が弁ポートの間に延びていないので、使用されていない。弁ボディ20に対して相対的な弁プラグアセンブリ50の別の回転位置(図22A図22B)では、第2の通路92は、第2の弁ポート34と第3の弁ポート35との間の流体の流れを許容するのに対して、第3の通路96は、第4の弁ポート36と第5の弁ポート37との間の流体の流れを許容する。この位置では、第1の通路72が、弁ポート間に延びていないので、使用されていない。弁ボディ20に対して相対的な弁プラグアセンブリ50のさらに別の回転位置(図23A図23B)では、第3の通路96が、第2の弁ポート34と第3の弁ポート35との間の流体の流れを許容する。この位置では、第1の通路72および第2の通路92が、弁ポート間に延びていないので、使用されていない。
【0051】
図24および図25を参照すると、代替的な実施形態の回転プラグ弁218は、弁ボディ220と、弁ボディ220内に配置されかつ回転軸線52を中心として弁ボディ220に対して相対的に回転するプラグアセンブリ250とを含んでいる。さらに、回転プラグ弁218は、弁ボディ220内に配置された弁シール110を含んでいる。上述した実施形態のように、シール110は、弁ボディ220とプラグアセンブリ250との間に流体密なシールを提供する。
【0052】
弁ボディ220は、弁ボディ220が、複数の弁ポート33,34,35,36,37を含んでいて、ポートの個数が、特定の用途によって決定されるという点で、上述した弁ボディ20と同様である。しかし、回転プラグ弁218では、弁ポート33,34,35,36,37は単一のレベルに配置されている(例えば、弁ポート33,34,35,36,37は、回転軸線52を横切る単一の平面に存在する)。弁ボディ220は、弁ボディ220がベース部226と、側壁221とを含んでいるという点で、上述した弁ボディ20と同様である。ベース部226は、回転軸線52に対して平行な方向で見た場合に、円形の外形を有している。側壁221は、側壁のベース部端部222においてベース部226の周縁部に接合されており、側壁221は、ベース部226を取り囲んでいる。側壁221とベース部226とは一緒に、概してカップ状の構造を形成し、この構造が内部に弁プラグチャンバ230を規定する。側壁221の開いた端部223は、ベース部端部222の直径よりも大きな直径を有しており、側壁221は、ベース部226に対して鈍角θ1で突出している。図示された実施形態では、角度θ1は、95~150度の範囲であり、例えば97度である。
【0053】
弁ボディ220において、弁ボディ側壁221の内面に、ベース部端部222と開いた端部223との間に延びる溝232が設けられている。溝232は、シール110のリブと同じ横断面形状を有しており、プレス嵌め構成でシール110のリブを収容するように寸法設定されている。設けられた溝232の個数は、シール110のリブの個数に対応している。図示された実施形態では、弁ボディ220は、6つの溝232を含んでいる。少なくとも1つの溝232が、弁ポート33,34,35,36,37の隣り合った各対のポート間に配置される。
【0054】
図24および図25に示した回転プラグ弁218は、弁ボディ220の開いた端部を閉じる蓋240を含んでいるという点で、上述の実施形態とは異なる。蓋240の内面241は、内面241の周縁部に沿って延びる環状の溝242を含んでよい。溝242は、弁ボディ側壁221の開いた端部223を、例えばプレス嵌め係合で収容するように成形かつ寸法設定されている。蓋の内面241は、シールの第1のリング111に係合する環状の突出部243を含んでいてもよく、これにより、蓋240は、流体密な形式で弁ボディ220に接続されている。環状の突出部243は、溝242に隣接する箇所において、溝242と蓋240の中央との間に配置されている。
【0055】
図24および図25に示した回転プラグ弁218は、弁ボディチャンバ30内に蓋240とプラグアセンブリ250との間で配置されたばね246を含んでいるという点で、上述の実施形態と異なる。図示された実施形態では、ばね246の第1の端部248は、蓋の内面241に設けられた、中央に配置された盲孔244内に収容されている。さらに、ばね246の第2の端部249は、管片276を取り囲んでいる。ばね246は、圧縮されたコイルばねであってもよく、これにより、ばね246が、プラグアセンブリ250に力を加え、プラグアセンブリ250とシール110との間およびシール110と弁ボディ220との間の良好なシールを保証する。
【0056】
図24および図25に示した回転プラグ弁218は、プラグアセンブリ250が、単独のレベル内での流体の搬送を可能にする2つの流路272,292を規定する単独部品の構造であるという点で、上述の実施形態とは異なる。プラグアセンブリ250は、プラグアセンブリ250が第1のベース部266と、第1の側壁261とを含んでいるという点で、上述したプラグアセンブリ50と同様である。第1のベース部266は、ボディベース部226に対して平行であり、回転軸線52に対して平行な方向で見た場合に、円形の外形を有している。第1のベース部266は、ボディベース部226に面している外面267と、ボディベース部226から離れる方向に向いた反対側の内面268とを有している。第1の側壁261は、ベース部端部262において第1のベース部266の周縁部に接合されている。第1の側壁261は、第1のベース部266を取り囲んでおり、回転軸線52上でセンタリングされている。第1の側壁261と第1のベース部266とは一緒に、概してカップ形の構造を形成している。第1の側壁261の開いた端部263(例えば、第1の側壁261の、第1のベース部266から離間している端部)は、ベース部端部262の直径よりも大きな直径を有しており、第1の側壁261は、第1のベース部266に対して鈍角θ2で突出している。図示された実施形態では、角度θ2は、95~150度の範囲、例えば97度である。
【0057】
図24および図25に示した回転プラグ弁218は、弁ボディ220のベース部226が中央の開口229を含み、プラグアセンブリ250が、ベース部の外面267から外方に突出しかつベース部の中央の開口229を通って延びる入力軸297を含んでいるという点で、上述の実施形態とは異なる。入力軸297とベース部26との間に、環状のシール299が配置されている。入力軸297は、スプライン結合部または別の公知の結合構造を介してアクチュエータに接続されていてもよく、これによりプラグアセンブリ250は、アクチュエータによって回転軸線52を中心として回転するように駆動されていてもよい。
【0058】
回転プラグ弁を含む流体搬送システムの選択的で例示的な実施形態を、ある程度詳細に上述した。流体搬送システムおよび回転プラグ弁を明確にするために必要と考えられる構造のみが本明細書に記載されていることを理解すべきである。別の従来の構造、ならびに流体搬送システムおよび回転プラグ弁の付属的および補助的な構成要素の構造は、当業者には公知であり、理解されているものと想定される。さらに、流体搬送システムおよび回転プラグ弁の作動例は上述されているが、流体搬送システムおよび回転プラグ弁は、上述した作動例に限定されているわけではなく、特許請求の範囲に記載された流体搬送システムおよび/または回転プラグ弁から逸脱することなく、種々異なる設計変更がされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転プラグ弁であって、
弁ボディおよび弁プラグアセンブリを備え、
前記弁ボディは、
ボディ軸線を取り囲みかつ該ボディ軸線上でセンタリングされているボディ側壁と、
前記ボディ側壁の一方の端部を閉じるボディベース部であって、前記ボディ側壁と前記ボディベース部とが弁ボディチャンバを画定するために協働する、ボディベース部と、
弁ポートであって、各弁ポートが前記弁ボディチャンバに連通する弁ポートと
を含み、
前記弁プラグアセンブリは、前記弁ボディチャンバ内に配置されており、前記弁プラグアセンブリは、前記ボディ軸線に一致する回転軸線を中心として前記弁ボディに対して相対的に回転可能である弁プラグを含んでおり、該弁プラグは、
第1のプラグ部分および第2のプラグ部分を含み、
前記第1のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第1の側壁であって、アルファ開口を含む第1の側壁と、
前記第1の側壁の一方の端部を閉じる第1のベース部であって、前記ボディベース部に面した第1の面と、前記ボディベース部から離れる方向に向いた第2の面とを有している第1のベース部と、
前記第1のベース部の前記第1の面から突出し、かつ前記第1の側壁に交差する突出部であって、前記第1の側壁と一緒にベータ開口を画定し、該ベータ開口は、前記第1の側壁の円周に沿って前記アルファ開口から離間している突出部と、
前記アルファ開口と前記ベータ開口との間に延びる第1の流路と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第2の側壁であって、ガンマ開口および凹部を含んでいる第2の側壁と、
前記第2の側壁の一方の端部を閉じる第2のベース部と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、前記第1のプラグ部分と前記ボディベース部との間に配置されていて、かつ
前記突出部は、前記第1のプラグ部分と前記第2のプラグ部分とは、互いに対して相対的に位置固定されていて、かつ前記回転軸線を中心として一緒に単独のユニットとして回転可能であるように、前記凹部内に配置されかつ前記凹部に係合している、回転プラグ弁。
【請求項2】
前記第2のベース部は、前記回転軸線に対して平行な方向で前記第1のベース部から離間しており、かつ
前記凹部は、前記第2の側壁の開いた端部に沿って開いており、前記開いた端部は、前記第2の側壁の前記一方の端部とは反対側にある、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項3】
前記第1の側壁は、前記第1の側壁の前記一方の端部とは反対側にある開いた端部を含み、前記第1の側壁の高さ寸法は、前記回転軸線に対して平行な方向で、前記第1の側壁の前記開いた端部と前記第1の側壁の前記一方の端部との間の距離に一致し、前記回転軸線に対して平行な方向での前記ベータ開口の寸法は、前記第1の側壁の高さ寸法よりも大きい、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項4】
前記第1の流路は、前記弁ポートのうちの第1の弁ポートと前記弁ポートのうちの第2の弁ポートの間の流体の流れを許容するように構成されており、前記第1の弁ポートは、前記第1のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁に配置されていて、前記第2の弁ポートは、前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁に配置されている、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項5】
前記第1の側壁と前記第2の側壁とが整列している、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項6】
前記第1の側壁は、前記第1のベース部に対して鋭角である第1の角度を成しており、前記第2の側壁は、前記第2のベース部に対して鋭角である第2の角度を成しており、前記第1の角度は、前記第2の角度に等しい、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項7】
前記第2の側壁は、前記第2の側壁の円周に沿って前記ガンマ開口から離間したデルタ開口を含み、
前記第2のプラグ部分は、前記ガンマ開口と前記デルタ開口との間に延びる第2の流路を含む、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項8】
前記第2の側壁は、ゼータ開口を含み、該ゼータ開口は、前記第2の側壁の円周に沿った寸法を有し、該寸法は、前記ガンマ開口の、前記第2の側壁の円周に沿った寸法の少なくとも2倍である、請求項7記載の回転プラグ弁。
【請求項9】
前記ゼータ開口は、ブラインド通路に向かって開いている、請求項記載の回転プラグ弁。
【請求項10】
前記弁ポートは、
前記第1のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第1の弁ポートと、
前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第2の弁ポートと、
前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第3の弁ポートと、
前記第2のプラグ部分と整列する箇所において前記ボディ側壁内に配置されている第4の弁ポートと
を備え、 前記第2の側壁は、デルタ開口を含み、前記第2のプラグ部分は、前記ガンマ開口と前記デルタ開口との間に延びる第2の流路を含み、
前記弁ボディに関する前記弁プラグの第1の回転配向において、
前記第1の流路は、前記第1の弁ポートと前記第2の弁ポートとの間の流体の流れを許容し、
前記第2の流路は、前記第3の弁ポートと前記第4の弁ポートとの間の流体の流れを許容する、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項11】
前記第2の側壁は、ゼータ開口を含み、該ゼータ開口は、前記ガンマ開口の前記第2の側壁の円周に沿った寸法の少なくとも2倍である、前記第2の側壁の円周に沿った寸法を有しており、
前記ゼータ開口は、ブラインド通路に向かって開いており、かつ
前記弁ボディに関する前記弁プラグの第2の回転配向において、
前記第1の弁ポートと前記第2の弁ポートとの間の流体の流れが阻止されており、かつ
前記ブラインド通路は、前記第3の弁ポートと前記第4の弁ポートとの間の流体の流れを許容する、請求項10記載の回転プラグ弁。
【請求項12】
前記弁プラグアセンブリは、前記弁ボディと前記弁プラグとの間に配置されたシールを含み、該シールは、前記弁ボディに対して相対的に位置固定されており、前記シールは、
第1のリングと、
該第1のリングに対して平行に、かつ前記第1のリングから離間している第2のリングと、
前記第1のリングと前記第2のリングとの間に延びる第1のリブと、
前記第1のリングと前記第2のリングとの間に延びる第2のリブであって、前記第1のリングの円周に沿って前記第1のリブから離間している第2のリブと
を備える、請求項1記載の回転プラグ弁。
【請求項13】
前記第1のリングは、第1の直径を有し、前記第2のリングは、第2の直径を有し、前記第2の直径は、前記第1の直径よりも小さい、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項14】
前記シールは、単独のユニットとして一体的に成形されており、これにより、前記シールがシームを有していない、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項15】
前記シールは、前記回転軸線に面した内面を含み、前記第1のプラグ部分と前記第2のプラグ部分とがそれぞれ、前記シールに該シールの前記内面において当接している、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項16】
前記第1のリブの部分と前記第2のリブの部分とは、前記ボディ側壁に設けられた溝内に収容されている、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項17】
前記第1のリブおよび前記第2のリブの、前記プラグに面した面は、V字形の外形を有している、請求項12記載の回転プラグ弁。
【請求項18】
流体搬送システムであって、
熱交換器と、
回転プラグ弁であって、該回転プラグ弁の或る構成において前記熱交換器に流体を搬送する回転プラグ弁と、
前記熱交換器と前記回転プラグ弁との間の流体ライン内に配置された流体ポンプであって、前記流体搬送システムを通じて流体を駆動するように構成されている、流体ポンプと
を備え、
前記回転プラグ弁は、
弁ボディおよび弁プラグアセンブリを含み、
前記弁ボディは、
ボディ軸線を取り囲みかつ該ボディ軸線上でセンタリングされているボディ側壁と、
前記ボディ側壁の一方の端部を閉じるボディベース部であって、前記ボディ側壁と前記ボディベース部とが弁ボディチャンバを画定するために協働する、ボディベース部と、
弁ポートであって、各弁ポートが前記弁ボディチャンバに連通する弁ポートと
を含み、
前記プラグアセンブリは、前記弁ボディチャンバ内に配置されており、該弁プラグアセンブリは、前記ボディ軸線に一致する回転軸線を中心として前記弁ボディに対して相対的に回転可能である弁プラグを含み、該弁プラグは、
第1のプラグ部分および第2のプラグ部分を含み、
前記第1のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第1の側壁であって、アルファ開口を含む第1の側壁と、
前記側壁の一方の端部を閉じる第1のベース部であって、前記ボディベース部に面した第1の面と、前記ボディベース部から離れる方向に向いた第2の面とを有している第1のベース部と、
前記第1のベース部の前記第1の面から突出し、かつ前記第1の側壁に交差する突出部であって、前記第1の側壁と一緒にベータ開口を画定し、該ベータ開口は、前記第1の側壁の円周に沿って前記アルファ開口から離間している突出部と、
前記アルファ開口と前記ベータ開口との間に延びる第1の流路と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、
前記回転軸線を取り囲みかつ該回転軸線上でセンタリングされている第2の側壁であって、ガンマ開口および凹部を含んでいる第2の側壁と、
前記第2の側壁の一方の端部を閉じる第2のベース部と
を含み、
前記第2のプラグ部分は、前記第1のプラグ部分と前記ボディベース部との間に配置されていて、
前記突出部は、前記第1のプラグ部分と前記第2のプラグ部分とは、互いに対して相対的に位置固定されていて、かつ一緒に単独のユニットとして前記回転軸線を中心として回転可能であるように、前記凹部内に配置されかつ前記凹部に係合している、流体搬送システム。
【国際調査報告】