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特表2024-528470隣接する送信デバイスの1つ又は複数の識別子に基づく、信頼度が増大した端末の地理的位置特定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】隣接する送信デバイスの1つ又は複数の識別子に基づく、信頼度が増大した端末の地理的位置特定
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20240723BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20240723BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240723BHJP
【FI】
H04W64/00 160
H04W64/00 173
G01S5/02 Z
H04W88/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579253
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022066804
(87)【国際公開番号】W WO2023274778
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】2106964
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523231071
【氏名又は名称】ウナビズ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】イソン,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】マルティ,ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ズニガ,フアン・カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ボワット,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062BB05
5J062CC18
5K067AA34
5K067DD17
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
(57)【要約】
本発明は、ワイヤレス通信システム(10)の端末(20)の地理的位置を特定する方法に関する。端末は、隣接する送信デバイス(40)の1つ又は複数の識別子(ID1、ID2、ID3)を検出する。端末は、検出した識別子をアクセス・ネットワーク(30)にメッセージ内で送信する。アクセス・ネットワークのサーバ(32)は、各識別子について、地理的位置特定データベース(51)に対する前記識別子の信頼度を表すスコアを決定する。この目的で、サーバ(32)は、送信デバイス(40)の識別子及び識別子のそれぞれのスコアを保存する識別子信頼度データベース(33)を使用する。地理的位置特定データベース(51)は、送信デバイス(40)の識別子及び識別子のそれぞれの地理的位置を保存する。サーバ(32)は、地理的位置特定データベース(51)を使用して端末(20)の地理的位置を特定するため、最良のスコアを有する識別子を選択する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信システム(10)の端末(20)の地理的位置を特定する方法(100)であって、前記端末(20)は、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って前記ワイヤレス通信システム(10)のアクセス・ネットワーク(30)とメッセージを交換するように適合され、前記方法は、
-前記端末(20)によって、少なくとも1つの送信デバイス(40)について、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って前記送信デバイス(40)が送信するメッセージに基づき、前記送信デバイス(40)の識別子を検出すること(101)と、
-前記端末(20)によって、前記第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、1つ又は複数の検出された識別子を含む少なくとも1つのメッセージを前記アクセス・ネットワーク(30)に送信すること(102)と、
-前記アクセス・ネットワーク(30)によって、受信した前記識別子の少なくとも1つを含む要求を地理的位置特定サーバ(50)に送信することによって、前記端末(20)の地理的位置を決定すること(106)と
を含み、前記地理的位置特定サーバ(50)は、前記送信デバイスの識別子のリスト及び前記送信デバイス(40)のそれぞれの地理的位置を含む地理的位置データベース(51)を保存し、前記要求は、「識別子信頼度データベース(33)」として既知であるデータベースを使用して規定され、任意の識別子と、前記地理的位置特定サーバ(50)に対する前記識別子の信頼度を表す少なくとも1つの値とを関連付けることを可能にし、前記識別子信頼度データベース(33)は、前記地理的位置特定サーバ(50)とは異なる1つ又は複数のサーバ(32)によって保存される、地理的位置特定方法(100)。
【請求項2】
前記端末(20)の地理的位置の決定(106)は、
-前記アクセス・ネットワーク(30)によって、前記識別子信頼度データベース(33)を使用して、受信した前記識別子の少なくとも1つについて、前記識別子の信頼度値を決定すること(103)と、
-受信した前記識別子の前記少なくとも1つが申し分のない信頼度値を有する場合、前記識別子に基づき、前記地理的位置特定サーバ(50)を用いて前記端末(20)の地理的位置を推定すること(104)と
を含む、請求項1に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項3】
前記識別子を、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用する前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用しなければならないか否かを決定するため、受信した前記識別子からの各識別子の前記信頼度値は、閾値と比較される、請求項2に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項4】
最良信頼度値を有する、受信した前記識別子からの最大所定数の識別子は、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用する前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用される、請求項2又は3に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項5】
受信した前記識別子のいずれも申し分のない信頼度値を有さない場合、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに前記端末(20)の近似地理的位置を推定すること(105)を更に含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項6】
前記識別子信頼度データベース(33)は、受信した前記識別子の前記少なくとも1つについて、前記識別子を保持する前記送信デバイス(40)の近似地理的位置を含み、前記近似地理的位置は、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに前もって決定されており、前記端末(20)の近似地理的位置の推定(105)は、前記識別子に関連付けられた前記近似地理的位置に応じて実行される、請求項5に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項7】
受信した前記識別子の前記少なくとも1つは、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられる、請求項2から4のいずれか一項に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項8】
前記弁別情報の値は、前記端末(20)から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、アクセス・ネットワーク(30)によって決定され、前記地理的位置特定方法(100)は、受信した前記識別子の前記少なくとも1つについて、信頼度値を得ることを含み、前記信頼度値は、前記弁別情報の前記値に基づく前記端末(20)の地理的位置の推定(104)のために考慮される、請求項7に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項9】
前記弁別情報は、地理的位置特定サーバ(50)の識別を可能にし、前記地理的位置特定方法(100)は、受信した前記識別子の前記少なくとも1つの様々な信頼度値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択することを含む、請求項7に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項10】
任意の識別子は、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、前記地理的位置特定方法(100)は、
-前記アクセス・ネットワーク(30)によって、前記端末(20)から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、前記弁別情報の値を決定すること(107)と、
-前記識別子信頼度データベース(33)において前記弁別情報の値に関連付けられた複数の信頼度値を決定すること(108)と、
-複数の地理的位置特定サーバ(50)の各個について、決定された前記信頼度値に基づき、集合信頼度値を計算すること(109)と、
-計算された前記集合値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択すること(110)と
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項11】
前記第1のワイヤレス通信プロトコルは、ワイヤレス・ワイド・エリア・ネットワーク又はワイヤレス低電力ワイド・エリア・ネットワーク通信プロトコルであり、前記第2のワイヤレス通信プロトコルは、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク通信プロトコル、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク通信プロトコル又は短距離通信プロトコルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項で規定される識別子信頼度データベース(33)を更新する方法(200)であって、前記方法(200)は、
-端末(20)によって、少なくとも1つの送信デバイス(40)について、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って前記送信デバイス(40)が送信するメッセージに基づき、前記送信デバイス(40)の識別子を検出すること(201)と、
-前記端末(20)によって、前記第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、前記識別子を含むメッセージを前記アクセス・ネットワーク(30)に送信すること(202)と、
-前記識別子に基づき、地理的位置特定サーバ(50)を使用して前記端末(20)の地理的位置を推定すること(204)と、
-前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに、前記端末(20)の近似地理的位置を決定すること(203)と、
-前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用して推定された前記端末(20)の地理的位置との間の整合性を確認すること(205)と、
-前記整合性確認(205)の結果に応じて、前記識別子についての前記識別子信頼度データベース(33)を更新すること(206)と
を含む、更新方法(200)。
【請求項13】
前記整合性確認(205)は、前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定データベース(51)内で前記識別子に関連付けられた地理的位置との間の距離を計算することを含む、請求項12に記載の更新方法(200)。
【請求項14】
前記更新(206)は、前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定データベース(51)内で前記識別子に関連付けられた地理的位置との間の距離に応じて、新たな信頼度値を計算することを含む、請求項12又は13に記載の更新方法(200)。
【請求項15】
前記新たな信頼度値は、前記識別子信頼度データベース(33)内で前記識別子に前もって割り当てられている信頼度値に応じて更に計算される、請求項14に記載の更新方法(200)。
【請求項16】
前記識別子信頼度データベース(33)は、前記識別子について、前記信頼度値の最終更新日を含み、前記新たな信頼度値は、現在の日付、及び前記識別子の前記信頼度値の前記最終更新日に応じて更に計算される、請求項15に記載の更新方法(200)。
【請求項17】
前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに、前記識別子を保持する前記送信デバイス(40)の近似地理的位置を決定することと、前記送信デバイス(40)の前記近似地理的位置と、前記識別子信頼度データベース(33)内の前記識別子とを関連付けることとを更に含む、請求項12から16のいずれか一項に記載の更新方法(200)。
【請求項18】
前記ワイヤレス通信システム(10)の1つ又は複数の端末(20)に、前記識別子信頼度データベース(33)内で前記識別子に関連付けられた信頼度値に応じて選択された識別子のリストを含むメッセージを送信することを更に含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の更新方法(200)。
【請求項19】
ワイヤレス通信システム(10)のアクセス・ネットワーク(30)のサーバ(32)であって、前記システム(10)は、少なくとも1つの端末(20)を含み、前記少なくとも1つの端末(20)は、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、前記アクセス・ネットワーク(30)とメッセージを交換し、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って送信デバイス(40)が送信するメッセージを受信するように適合され、前記サーバ(32)は、
-前記端末(20)によって検出された送信デバイス(40)の少なくとも1つの識別子を含む少なくとも1つのメッセージを前記端末(20)から受信し、
-前記アクセス・ネットワーク(30)によって、受信した前記識別子の少なくとも1つを含む要求を地理的位置特定サーバ(50)に送信することによって、前記端末(20)の地理的位置を決定する
ように構成され、前記地理的位置特定サーバ(50)は、送信デバイスの識別子のリスト及び前記送信デバイス(40)のそれぞれの地理的位置を含む地理的位置データベース(51)を保存し、前記要求は、「識別子信頼度データベース(33)」として既知であるデータベースを使用して規定され、任意の識別子と、前記地理的位置特定サーバ(50)に対する前記識別子の信頼度を表す少なくとも1つの値とを関連付けることを可能にし、前記識別子信頼度データベース(33)は、前記地理的位置特定サーバ(50)とは異なる1つ又は複数のサーバ(32)によって保存されることを特徴とする、サーバ(32)。
【請求項20】
-受信した前記識別子の少なくとも1つについて、前記識別子信頼度データベース(33)を使用して信頼度値を決定し、
-受信した前記識別子の少なくとも1つが申し分のない信頼度値を有する場合、前記識別子に基づき、前記地理的位置特定サーバ(50)により前記端末(20)の地理的位置を推定する
ように構成される、請求項19に記載のサーバ(32)。
【請求項21】
前記サーバ(32)は、受信した前記識別子のいずれも申し分のない信頼度値を有さない場合、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに、前記端末(20)の近似地理的位置を推定するように更に構成される、請求項20に記載のサーバ(32)。
【請求項22】
前記サーバ(32)は、受信した前記識別子の少なくとも1つについて、前記識別子を保持する前記送信デバイス(40)の近似地理的位置に基づき、前記端末(20)の前記近似地理的位置を推定するように更に構成され、前記送信デバイス(40)の近似地理的位置は、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに前記サーバ(32)によって前もって決定されており、前記識別子信頼度データベース(33)内に保存されている、請求項21に記載のサーバ(32)。
【請求項23】
受信した前記識別子の前記少なくとも1つは、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、地理的位置特定サーバ(50)の識別を可能にし、前記サーバ(32)は、前記識別子に関連付けられた様々な信頼度値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択するように更に構成される、請求項20に記載のサーバ(32)。
【請求項24】
任意の識別子は、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、前記サーバ(32)は、
-前記端末(20)から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、前記弁別情報の値を決定し、
-前記識別子信頼度データベース(33)において、前記弁別情報の値に関連付けられた複数の信頼度値を決定し、
-複数の地理的位置特定サーバ(50)の各個について、決定された前記信頼度値に基づき、集合信頼度値を計算し、
-計算された前記集合値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択する
ように構成される、請求項19に記載のサーバ(32)。
【請求項25】
前記サーバ(32)は、
-前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに、前記端末(20)の近似地理的位置を決定し、
-前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用して推定された前記端末(20)の地理的位置との間の整合性を確認し、
-前記整合性確認の結果に応じて、受信した前記識別子の少なくとも1つについての前記識別子信頼度データベース(33)を更新する
ように更に構成される、請求項19に記載のサーバ(32)。
【請求項26】
前記サーバ(32)は、受信した前記識別子の少なくとも1つについて、前記端末(20)の前記近似地理的位置と、前記地理的位置特定サーバ(51)内で前記識別子に関連付けられた前記地理的位置との間の距離に応じて、新たな信頼度値を計算するように更に構成される、請求項25に記載のサーバ(32)。
【請求項27】
請求項19から26のいずれか一項に記載のサーバ(32)を含むアクセス・ネットワーク(30)。
【請求項28】
前記アクセス・ネットワーク(30)は、ワイヤレス・ワイド・エリア・ネットワーク又はワイヤレス低電力ワイド・エリア・ネットワークである、請求項27に記載のアクセス・ネットワーク(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス通信システムの端末の地理的位置を特定する分野に属する。端末の地理的位置特定は、隣接する送信デバイスの1つ又は複数の識別子に基づき、地理的位置特定サーバを使用して実施され、隣接する送信デバイスは、端末によって検出され、地理的位置特定サーバは、送信デバイスと送信デバイスの地理的位置との間の関連付けを行うデータベースを含む。
【背景技術】
【0002】
現在、送信デバイス(例えば、WiFi若しくはBluetoothアクセス・ポイント、又はRFIDタグ)の識別子と、送信デバイスの地理的位置との間の関連付けを行うデータベースに基づく、複数の地理的位置特定システムがある。
【0003】
そのような地理的位置特定システムにおいて、端末は、少なくとも1つの送信デバイスについて、送信デバイスによって送信されるメッセージ、例えばビーコン信号に基づき、送信デバイスの識別子を検出する。端末は、次に、照会メッセージを地理的位置特定サーバに送信する。照会メッセージは、送信デバイスの識別子を含む。地理的位置特定サーバは、地理的位置特定データベースを含み、地理的位置特定データベースは、送信デバイスの識別子と送信デバイスのそれぞれの地理的位置との間の関連付けを行う。地理的位置特定サーバは、次に、前記送信デバイスに関連付けられた地理的位置を決定し、次に、応答メッセージ内でこの情報を端末に送信する。送信デバイスの地理的位置は、端末の推定地理的位置に対応する。
【0004】
端末の地理的位置は、可能性として、端末が受信するビーコン信号の電力レベルに応じて洗練させ得る。複数の異なる送信デバイスの地理的位置に応じて、端末の地理的位置を推定することも可能であり、複数の異なる送信デバイスに対する端末は、所与の瞬間でビーコン信号を受信している。
【0005】
しかし、送信デバイスの地理的位置は、経時的に変化することがある。この場合、地理的位置特定データベースは、送信デバイスの識別子と地理的位置との間の関連付けが依然として正しいように更新しなければならない。送信デバイスの識別子と地理的位置との間の関連付けが地理的位置特定データベース内で正しくない場合、前記識別子に基づく端末の地理的位置の推定は、歪められる。
【0006】
地理的位置特定データベースの更新キャンペーンは、特に高額であり、地理的位置特定データベースの更新を実行する頻度は、時として、端末の地理的位置特定において申し分のない信頼度を保証するのに不十分である。更に、これらの更新キャンペーンは、まず網羅的ではない。
【0007】
異なる地理的位置に位置する2つの異なる送信デバイスが同じ識別子を共有することも起こり得る。地理的位置特定データベースは、前記識別子と前記2つの地理的位置のただ1つとの間の関連付けを行い得る。この関連付けは、一部の使用ケースでは、特に、端末が送信デバイスの範囲内に位置し、この送信デバイスの地理的位置が地理的位置特定データベース内に保存されている場合、正確である。一方で、この関連付けは、他の使用ケースでは、特に、端末が他の送信デバイスの範囲内に位置し、この他の送信デバイスの地理的位置が地理的位置特定データベース内に保存されていない場合、不正確である。ケースに応じて、前記識別子に基づく端末の地理的位置の推定は、歪められることがある。
【0008】
複数の異なる地理的位置特定データベースは、時として、端末の地理的位置の推定に利用可能である(様々なデータベースは、様々なサービス提供業者によって管理される)。しかし、現在、ケースバイケース基準で端末位置の最良の推定を得るため、どのデータベースを使用すべきか決定することに対する解決策はない。
【0009】
したがって、端末によって検出される、隣接する送信デバイスの1つ又は複数の識別子に基づく端末の地理的位置特定の信頼度を増大させるため、申し分のない解決策を発見すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、隣接する送信デバイスの1つ又は複数の識別子に基づく端末の地理的位置特定の信頼度を増大させるための解決策を提案することによって、従来技術、特に上記で開示された従来技術の欠点の全て又は一部を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的で、第1の態様によれば、本発明は、ワイヤレス通信システムの端末の地理的位置を特定する方法を提案する。端末は、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、前記ワイヤレス通信システムのアクセス・ネットワークとメッセージを交換するように適合される。方法は、
-端末によって、少なくとも1つの送信デバイスについて、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って前記送信デバイスが送信するメッセージに基づき、前記送信デバイスの識別子を検出すること(101)と、
-端末によって、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、1つ又は複数の検出された識別子を含む少なくとも1つのメッセージをアクセス・ネットワークに送信すること(102)と、
-アクセス・ネットワークによって、受信した識別子の少なくとも1つを含む要求を地理的位置特定サーバに送信することによって、端末の地理的位置を決定すること(106)と
を含み、地理的位置特定サーバは、送信デバイスの識別子のリスト及び前記送信デバイスのそれぞれの地理的位置を含む地理的位置特定データベースを保存し、前記要求は、「識別子信頼度データベース」として既知であるデータベースを使用して規定され、任意の識別子と、前記地理的位置特定サーバに対する前記識別子の信頼度を表す少なくとも1つの値とを関連付けることを可能にし、識別子信頼度データベースは、地理的位置特定サーバとは異なる1つ又は複数のサーバによって保存されている。
【0012】
本出願において、物体(端末又は送信デバイス)の「地理的位置」という表現は、広範に、前記物体の厳密な地理的位置を表す位置情報に対応し得ることを留意されたい。したがって、「地理的位置」は、地理的位置の座標(経度、緯度及び可能性としては高度)に直接関係し得るが、物体の厳密な地理的位置の推定を可能にする背景上の情報(例えば、郵便住所、店名、地区、地域又は国名等)にも関係し得る。
【0013】
本発明は、地理的位置特定データベースとは異なるデータベースが、端末によって検出される識別子のそれぞれに関連付けられた信頼度値に関する情報を与えることに基づく。
【0014】
識別子信頼度データベースにおいて、信頼度値は、識別子及び地理的位置特定サーバと関連付けられる。信頼度値は、前記地理的位置特定サーバと共にこの識別子を使用して端末の正確な地理的位置の特定を可能にするため、この識別子に与え得る信用を表す。識別子信頼度データベースは、単一の地理的位置特定サーバ、又は複数の異なる地理的位置特定サーバに対する識別子の信頼度についての情報を与えるように構成し得る。
【0015】
しかし、識別子の信頼度値は、例えば、関連付けられる地理的位置特定サーバのサービス費用等の更なる基準に応じて重み付けし得ることにも留意されたい。
【0016】
したがって、この信頼度値は、特に、識別子の信頼度値に応じて、地理的位置特定データベースを使用して端末の地理的位置を推定する際に考慮すべき識別子のフィルタ処理を可能にし得る。例えば、低い信頼度値は、信頼度データベースにおいて、地理的位置特定データベース内で関連付けられた地理的位置が誤りであるとみなされる識別子に割り当てられ、信頼度値が低すぎる識別子は、端末の地理的位置の推定に考慮されない。
【0017】
代替又は追加として、複数の異なる地理的位置特定サーバを考慮する際、信頼度値は、複数の地理的位置特定サーバから、端末の地理的位置特定に最も信頼できるように見える地理的位置特定サーバを選択することを可能にし得る。この選択は、端末によって検出された識別子とは異なる識別子に関連付けられた信頼度値の使用によってでさえ行い得る。したがって、用語「任意の識別子」は、地理的位置の特定が求められる端末によって検出、送信される識別子セット内の識別子だけでなく、端末によって検出、送信されるこの識別子セットの一部ではない識別子にも対応可能であるものと理解されたい。
【0018】
したがって、信頼度データベースは、要求内に含まれるべき識別子を使用及び/又は選択する地理的位置特定サーバの決定に使用される(即ち、要求のレシピエント及び/又はコンテンツを規定する)。
【0019】
特定の実装形態では、本発明は、単独で、又はあらゆる技術的に可能な組合せに従って取られる1つ又は複数の以下の特徴を更に含み得る。
【0020】
特定の実装形態では、端末の地理的位置の決定は、
-アクセス・ネットワークによって、識別子信頼度データベースを使用して、受信した識別子の少なくとも1つについて、前記識別子の信頼度値を決定することと、
-受信した識別子の前記少なくとも1つが申し分のない信頼度値を有する場合、前記識別子に基づき、地理的位置特定サーバにより端末の地理的位置を推定することと
を含む。
【0021】
特定の実装形態では、識別子を、地理的位置特定サーバを使用して端末の地理的位置の推定に使用しなければならないか否かを決定するため、受信した識別子からの各識別子の信頼度値は、閾値と比較される。
【0022】
特定の実装形態では、最良の信頼度値を有する、受信した識別子からの最大所定数の識別子が、地理的位置特定サーバを使用する端末の地理的位置の推定に使用される。
【0023】
特定の実装形態では、方法は、受信した識別子のいずれも申し分のない信頼度値を有さない場合、地理的位置特定サーバを使用せずに、端末の近似地理的位置を推定することを更に含む。
【0024】
特定の実装形態では、識別子信頼度データベースは、受信した識別子の前記少なくとも1つについて、前記識別子を保持する送信デバイスの近似地理的位置を含み、前記近似地理的位置は、地理的位置特定サーバを使用せずに前もって決定されている。次に、端末の近似地理的位置の推定は、前記識別子と関連付けられた近似地理的位置に応じて実行される。
【0025】
特定の実装形態では、受信した識別子の前記少なくとも1つは、識別子信頼度データベースにおいて、複数の信頼度値と関連付けられ、複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられる(用語「弁別鍵」も用語「弁別情報」の代わりに使用し得るが、同じ意味を有する)。
【0026】
特定の実装形態では、弁別情報の値は、端末から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、アクセス・ネットワークによって決定され、地理的位置特定方法は、受信した識別子の前記少なくとも1つについて、信頼度値を得ることを含み、信頼度値は、弁別情報の前記値に基づく端末の地理的位置の推定のために考慮される。
【0027】
特定の実装形態では、弁別情報は、地理的位置特定サーバの識別を可能にし、地理的位置特定方法は、受信した識別子の前記少なくとも1つの様々な信頼度値に応じて、端末の地理的位置の推定に使用すべき地理的位置特定サーバを選択することを含む。
【0028】
特定の実装形態では、任意の識別子は、識別子信頼度データベースにおいて、複数の信頼度値と関連付けられ、複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、地理的位置特定方法は、
-アクセス・ネットワークによって、端末から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、弁別情報の値を決定することと、
-識別子信頼度データベースにおいて、前記弁別情報値に関連付けられた複数の信頼度値を決定することと、
-複数の地理的位置特定サーバの各個について、決定された信頼度値に基づき、集合信頼度値を計算することと、
-計算された集合値に応じて、端末の地理的位置の推定に使用すべき地理的位置特定サーバを選択することと
を含む。
【0029】
特定の実装形態では、第1のワイヤレス通信プロトコルは、ワイヤレス・ワイド・エリア・ネットワーク又はワイヤレス低電力ワイド・エリア・ネットワーク通信プロトコルであり、第2のワイヤレス通信プロトコルは、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク通信プロトコル、ワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク通信プロトコル又は短距離通信プロトコルである。
【0030】
第2の態様によれば、本発明は、以前の実装形態のいずれか1つで規定された識別子信頼度データベースを更新する方法に関する。方法は、
-端末によって、少なくとも1つの送信デバイスについて、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って前記送信デバイスが送信するメッセージに基づき、前記送信デバイスの識別子を検出することと、
-端末によって、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、前記識別子を含むメッセージをアクセス・ネットワークに送信することと、
-前記識別子に基づき、地理的位置特定サーバ(50)を使用して端末の地理的位置を推定することと、
-地理的位置特定サーバを使用せずに、端末の近似地理的位置を決定することと、
-端末の近似地理的位置と、地理的位置特定サーバ(50)を使用して推定された端末の地理的位置との間の整合性を確認することと、
-整合性確認の結果に応じて、前記識別子についての識別子信頼度データベースを更新することと
を含む。
【0031】
特定の実装形態では、本発明は、単独で、又はあらゆる技術的に可能な組合せに従って取られる1つ又は複数の以下の特徴を更に含み得る。
【0032】
特定の実装形態では、整合性確認は、端末の近似地理的位置と、地理的位置特定データベース内で前記識別子に関連付けられた地理的位置との間の距離を計算することを含む。
【0033】
特定の実装形態では、更新は、端末の近似地理的位置と、地理的位置特定データベース内で前記識別子に関連付けられた地理的位置との間の距離に応じて、新たな信頼度値を計算することを含む。
【0034】
特定の実装形態では、新たな信頼度値は、識別子信頼度データベース内で前記識別子に前もって割り当てられている信頼度値に応じて更に計算される。
【0035】
特定の実装形態では、識別子信頼度データベースは、前記識別子について、信頼度値の最終更新日を含み、新たな信頼度値は、現在の日付、及び前記識別子の前記信頼度値の最終更新日に応じて更に計算される。
【0036】
特定の実装形態では、更新方法は、地理的位置特定サーバを使用せずに、前記識別子を保持する送信デバイスの近似地理的位置を決定することと、送信デバイスの前記近似地理的位置と、識別子信頼度データベース内の前記識別子とを関連付けることとを更に含む。
【0037】
第3の態様によれば、本発明は、ワイヤレス通信システムのアクセス・ネットワークのサーバに関する。前記システムは、少なくとも1つの端末を含み、少なくとも1つの端末は、第1のワイヤレス通信プロトコルに従ってアクセス・ネットワークとメッセージを交換し、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って送信デバイスが送信するメッセージを受信するように適合される。前記サーバは、
-前記端末によって検出された送信デバイスの少なくとも1つの識別子を含む少なくとも1つのメッセージを端末から受信し、
-アクセス・ネットワークによって、受信した識別子の少なくとも1つを含む要求を地理的位置特定サーバに送信することによって、端末の地理的位置を決定する
ように構成され、地理的位置特定サーバは、送信デバイスの識別子のリスト及び前記送信デバイスのそれぞれの地理的位置を含む地理的位置特定データベースを保存し、前記要求は、「識別子信頼度データベース」として既知であるデータベースを使用して規定され、任意の識別子と、前記地理的位置特定サーバに対する前記識別子の信頼度を表す少なくとも1つの値とを関連付けることを可能にし、識別子信頼度データベースは、地理的位置特定サーバとは異なる1つ又は複数のサーバによって保存されている。
【0038】
サーバは、地理的位置特定方法の上記実装形態のいずれか1つ、及び/又は識別子信頼度データベース更新方法の上記実装形態のいずれか1つを実施するように構成される。特に、サーバは、単独で、又はあらゆる可能な技術的組合せに従って取られる1つ又は複数の以下の特徴を更に含み得る。
【0039】
特定の実施形態では、サーバは、
-受信した識別子の少なくとも1つについて、識別子信頼度データベースを使用して信頼度値を決定し、
-受信した識別子の少なくとも1つが申し分のない信頼度値を有する場合、前記識別子に基づき、地理的位置特定サーバにより端末の地理的位置を推定する
ように構成される。
【0040】
特定の実装形態では、サーバは、受信した識別子のいずれも申し分のない信頼度値を有さない場合、地理的位置特定サーバを使用せずに、端末の近似地理的位置を推定するように更に構成される。
【0041】
特定の実施形態では、サーバは、受信した識別子の少なくとも1つについて、前記識別子を保持する送信デバイスの近似地理的位置に基づき、端末の近似地理的位置を推定するように更に構成され、送信デバイスの前記近似地理的位置は、地理的位置特定サーバを使用せずにサーバによって前もって決定されており、識別子信頼度データベース内に保存されている。
【0042】
特定の実施形態では、受信した識別子の前記少なくとも1つは、識別子信頼度データベースにおいて、複数の信頼度値と関連付けられ、複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、地理的位置特定サーバの識別を可能にし、前記サーバは、前記識別子に関連付けられた様々な信頼度値に応じて、端末の地理的位置の推定に使用すべき地理的位置特定サーバを選択するように更に構成される。
【0043】
特定の実施形態では、任意の識別子は、識別子信頼度データベースにおいて、複数の信頼度値と関連付けることができ、複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、サーバは、
-端末から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、弁別情報の値を決定し、
-識別子信頼度データベースにおいて、前記弁別情報値に関連付けられた複数の信頼度値を決定し、
-複数の地理的位置特定サーバの各個について、決定された信頼度値に基づき、集合信頼度値を計算し、
-計算された集合値に応じて、端末の地理的位置の推定に使用すべき地理的位置特定サーバを選択する
ように構成される。
【0044】
特定の実施形態では、サーバは、
-地理的位置特定サーバを使用せずに、端末の近似地理的位置を決定し、
-端末の近似地理的位置と、地理的位置特定サーバを使用して推定された端末の地理的位置との間の整合性を確認し、
-整合性確認の結果に応じて、受信した識別子の少なくとも1つについての識別子信頼度データベースを更新する
ように更に構成される。
【0045】
特定の実施形態では、サーバは、受信した識別子の少なくとも1つについて、端末の近似地理的位置と、地理的位置特定サーバ内で前記識別子に関連付けられた地理的位置との間の距離に応じて、新たな信頼度値を計算するように更に構成される。
【0046】
第4の態様によれば、本発明は、以前の実施形態のいずれか1つによるアクセス・ネットワーク・サーバを含むアクセス・ネットワークに関する。
【0047】
特定の実施形態では、前記アクセス・ネットワークは、ワイヤレス・ワイド・エリア・ネットワーク又はワイヤレス低電力ワイド・エリア・ネットワークである。
【0048】
本発明は、非限定的な例として示され、図1から図6を参照する以下の説明を読めばより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】地理的位置特定サーバを使用する端末の地理的位置特定に使用されるワイヤレス通信システムの実施形態の一例の概略図である。
図2】端末の実施形態の一例の概略図である。
図3】本発明による地理的位置特定方法の主なステップの概略図である。
図4】地理的位置特定方法の特定の実装形態の主なステップの概略図である。
図5】地理的位置特定方法の実装形態の一例の図である。
図6】識別子信頼度データベースに対する可能な構造の一例の図である。
図7】識別子信頼度データベース更新方法の主なステップの概略図である。
図8】地理的位置特定方法の特定の実装形態の主なステップの概略図である。
図9】地理的位置特定方法の特定の実装形態の主なステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
これらの図面において、図面間の同一の参照符号は、同一又は同様の要素を指す。明快にするため、表される要素は、別段に記載されていない限り、必ずしも同じ尺度で描かれていない。
【0051】
図1は、ワイヤレス通信システム10を概略的に表し、ワイヤレス通信システム10は、少なくとも1つの端末20と、複数の基地局31を含むアクセス・ネットワーク30とを含む。
【0052】
端末20は、アップリンク上でアクセス・ネットワーク30にメッセージを送信するように適合される。各基地局31は、前記端末がその範囲内に位置する場合、端末20からメッセージを受信するように適合される。従来通り、端末20によって送信されるメッセージは、端末20の識別子を含む。基地局によって受信される各メッセージは、例えば、アクセス・ネットワーク30のサーバ32に送信され、メッセージは、可能性としては、メッセージを受信した基地局31の識別子、前記受信したメッセージの受信電力レベル、前記メッセージの到着時間、メッセージが受信された周波数等の他の情報を伴う。サーバ32は、例えば、様々な基地局31から受信したメッセージの全てを処理する。
【0053】
ワイヤレス通信システム10は、一方向、即ち、端末20のアップリンク上でのアクセス・ネットワーク30に向けたメッセージの交換のみを可能にするものである。しかし、他の例によれば、双方向交換の可能性を除外しない。必要な場合、アクセス・ネットワーク30は、基地局31により、メッセージを受信するように適合された端末20にメッセージをダウンリンク上で送信するようにも適合される。
【0054】
アップリンク上でのアクセス・ネットワーク30へのメッセージの交換は、第1のワイヤレス通信プロトコルを使用する。
【0055】
特定の実施形態では、第1のワイヤレス通信プロトコルは、ワイヤレス・ワイド・エリア・ネットワーク(WWAN)通信プロトコルである。例えば、第1のワイヤレス通信プロトコルは、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、Long Term Evolution(LTE)、LTE―Advanced Pro、5G等の種類の規格化された通信プロトコルである。
【0056】
代替的に、第1のワイヤレス通信プロトコルは、低電力ワイド・エリア・ネットワーク(LPWAN)通信プロトコルである。そのようなワイヤレス通信システムは、長距離アクセス・ネットワーク(1キロメートルを超える、又は更には数10キロメートル超える)であり、電力消費量は低く(例えば、メッセージの送受信中の電力消費量は、100mW未満、又は更には50mW未満、又は更には25mW未満である)、送受信速度は、概して、1Mbpsを下回る。LPWANネットワークの例から、Sigfox、LoRaWAN、Ingenu、Amazon Sidewalk、Helium等を特に挙げ得る。そのようなワイヤレス通信システムは、特に、IoT又はM2M型のアプリケーションに適合する。
【0057】
IoT又はM2M型の通信システムにおいて、データ交換は、主に一方向であり、この例では端末20のアップリンク上で、ワイヤレス通信システム10のアクセス・ネットワーク30に対してである。端末20が送信するメッセージ喪失の危険性を最小化するため、アクセス・ネットワークは、所与の地理的領域が、複数の基地局31によって同時にカバーされるように生成され、送信デバイス20が送信するメッセージを、複数の基地局31によって受信し得るようにする。
【0058】
本明細書の残りにおいて、非限定的な例として、第1のワイヤレス通信プロトコルは、超狭帯域ワイヤレス低電力ワイド・エリア・ネットワーク通信プロトコルあるとみなされる。用語「超狭帯域(UNB)」は、本明細書では、端末によって送信される無線電気信号の瞬間的な周波数スペクトルが、2キロヘルツ未満又は更には1キロヘルツ未満の周波数帯域幅を有することを意味すると理解されたい。
【0059】
図1に示すように、端末20は、前記端末20の近傍内に位置する少なくとも1つの送信デバイス40が送信するメッセージを受信するようにも適合される。送信デバイス40が送信するメッセージは、第1のワイヤレス通信プロトコルとは異なる第2のワイヤレス通信プロトコルを使用する。送信デバイス40は、ワイヤレス通信システム10から完全に独立でき、第1のワイヤレス通信プロトコルを支持する必要はないことを留意されたい。
【0060】
特定の実施形態では、第2のワイヤレス通信プロトコルは、第1のワイヤレス通信プロトコルの範囲よりも短い範囲を有する。そのような場合、送信デバイス40の地理的位置は、端末20が位置する範囲内で、例えば、端末20によって送信されるメッセージを受信する基地局31の地理的位置より、端末20の地理的位置について正確な情報を提供する。
【0061】
しかし、他の例によれば、第2のワイヤレス通信プロトコルが、第1のワイヤレス通信プロトコルの範囲より短くない範囲を有することも可能であることを留意されたい。
【0062】
第2のワイヤレス通信プロトコルは、例えば、WiFi型(IEEE802.11規格)等のワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)通信プロトコル、又は例えば、Bluetooth 又はBluetooth Low Energy(BLE)型等のワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク(WPAN)通信プロトコルである。また別の例によれば、第2のワイヤレス通信プロトコルは、例えば、短距離通信(NFC)技術又はRadio Frequency Identification(RFID)技術に基づく近距離通信プロトコルとし得る。
【0063】
地理的位置特定サーバ50は、送信デバイス40の識別子を保存する表を含む「地理的位置特定データベース」として既知であるデータベースを含む。送信デバイス40の各識別子は、表内で、送信デバイス40の地理的位置を表す少なくとも1つの位置情報と関連付けられる。
【0064】
送信デバイス40の識別子は、例えば、送信デバイス40のメディア・アクセス制御(MAC)アドレスに対応する。しかし、他のパラメータは、例えば、WiFiアクセス・ポイントのサービス・セット識別子(SSID)又は基本サービス・セット識別子(BSSID)等の送信デバイス40の識別子、Bluetoot又はBLEアクセス・ポイントの識別子、RFIDタグの識別子等として作用し得る。
【0065】
位置情報は、直接、送信デバイス40の地理的位置の座標(経度、緯度及び可能性として高度)とし得る。しかし、位置情報は、送信デバイス40の地理的位置の推定を可能にする背景上の情報、例えば、郵便住所、店名、地区、地域、又は国名等であってもよい。
【0066】
地理的位置特定サーバ50は、例えば、インターネット接続によってアクセス・ネットワーク30のサーバ32に接続される。
【0067】
図1に示すように、複数の地理的位置特定サーバ50が利用可能であることが可能である。これらの様々な地理的位置特定サーバは、例えば、様々な地理的位置特定サービス提供業者によって動作し得る。
【0068】
図2は、端末20の実施形態の一例を概略的に表す。
【0069】
図2によって示されるように、端末20は、第1の通信モジュール21を含み、第1の通信モジュール21は、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って基地局31とメッセージを交換するように適合される。第1の通信モジュール21は、例えば、機器(アンテナ、増幅器、局部発振器、混合器、アナログ・フィルタ等)を含む無線電気回路の形態である。
【0070】
端末20は、第2の通信モジュール22も含み、第2の通信モジュール22は、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って、対象送信デバイス40が送信するメッセージを受信するように適合される。第2の通信モジュール22は、例えば、機器(アンテナ、増幅器、局部発振器、混合器、アナログ・フィルタ等)を含む電気無線回路の形態である。
【0071】
更に、端末20は、第1の通信モジュール21及び第2の通信モジュール22に接続される処理回路23を含む。処理回路23は、例えば、1つ又は複数のプロセッサと記憶手段(磁気ハード・ドライブ、電子メモリ、光ディスク等)とを含み、記憶手段には、コンピュータ・プログラム製品がプログラム・コード命令セットの形態で保存され、プログラム・コード命令セットは、端末の地理的位置特定方法のステップを実施するために実行すべきものである(以下を参照)。
【0072】
アクセス・ネットワーク30のサーバ32も、1つ又は複数のプロセッサと、記憶手段とを含み、記憶手段には、コンピュータ・プログラム製品がプログラム・コード命令セットの形態で保存され、プログラム・コード命令セットは、端末の地理的位置特定方法及び/又は識別子信頼度データベース更新方法のステップの全て又は一部を実施するために実行すべきものである(以下を参照)。
【0073】
図3は、本発明による端末20の地理的位置特定方法100の主なステップを概略的に表す。
【0074】
方法100は、端末20によって、少なくとも1つの送信デバイス40について、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って送信デバイス40が送信するメッセージに基づき、送信デバイス40の識別子を検出するステップ101を含む。
【0075】
方法100は、次に、端末20によって、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、ステップ101内で検出された識別子(複数可)を含む少なくとも1つのメッセージをアクセス・ネットワーク30に送信するステップ102を含む。検出された識別子は、単一メッセージで、又は複数のメッセージで(この場合、各メッセージが前記識別子の一部を含む)送信し得ることを留意されたい。同じメッセージは、可能性として、複数の識別子を含み得る。
【0076】
方法100は、次に、アクセス・ネットワーク30によって、受信した識別子の少なくとも1つに基づき、「識別子信頼度データベース」として既知であるデータベース及び地理的位置特定サーバ50を使用して端末20の地理的位置を決定するステップ106を含む。この決定ステップ106は、特に、受信した識別子の少なくとも1つを含む要求を地理的位置特定サーバ50に送信することを含む。
【0077】
識別子信頼度データベースは、信頼度値と識別子との関連付けを可能にする。信頼度値は、地理的位置特定サーバと共にこの識別子を使用して端末の正確な地理的位置の特定を可能にするために、この識別子に与え得る信用を表す。
【0078】
識別子信頼度データベースは、単一の地理的位置特定サーバ、又は複数の異なる地理的位置特定サーバに対する識別子の信頼度についての情報を与えるように構成し得ることを留意されたい。複数の異なる地理的位置特定サーバがある場合、各信頼度値は、特定の地理的位置特定サーバと更に関連付けられる。
【0079】
識別子信頼度データベースは、受信した識別子の信頼度値に応じて、地理的位置特定サーバ50を使用して端末の地理的位置を推定する際に考慮すべき識別子のフィルタ処理を可能にし得る。例えば、低信頼度値は、信頼度データベースにおいて、地理的位置特定データベース内で関連付けられた地理的位置が誤りであるとみなされる識別子に割り当てられ、信頼度値が低すぎる識別子は、端末の地理的位置の推定に考慮されない。
【0080】
代替又は追加として、複数の異なる地理的位置特定サーバを考慮する際、信頼度値は、複数の地理的位置特定サーバから、端末の地理的位置特定に最も信頼できるように見える地理的位置特定サーバを選択することを可能にし得る。
【0081】
図4は、例として、図3を参照して上記で説明した地理的位置特定方法100の特定の実装形態を示す。図4で説明される特定の実装形態は、地理的位置特定サーバ50を使用して端末の地理的位置を推定する際に考慮すべき識別子のフィルタ処理を可能にする。
【0082】
図4に示すように、この特定の実装形態では、方法100は、図3を参照して上記で説明したステップ101及び102を繰り返す。
【0083】
方法100は、次に、各受信した識別子について、信頼度値を決定するステップ103を含む。信頼度値は、地理的位置特定サーバ50により端末20の地理的位置を特定するために識別子に与えられる信用を表す。各識別子について、信頼度値は、「識別子信頼度データベース」として既知であるデータベースを使用して決定される。識別子信頼度データベースは、地理的位置特定サーバ50とは異なる1つ又は複数のサーバによって保存される。特に、識別子信頼度データベースは、アクセス・ネットワーク30のサーバ32によって保存し得る。しかし、識別子信頼度データベースは、アクセス・ネットワーク30に属する複数のサーバ間で共有することもできる。また別の変形形態によれば、識別子信頼度データベースは、アクセス・ネットワーク30に接続される1つ又は複数のサードパーティ・サーバによって保存されるが、アクセス・ネットワーク30を管理するオペレータとは異なるオペレータによって管理し得る。
【0084】
識別子信頼度データベースは、信頼度値と識別子との関連付けを可能にする。信頼度値は、例えば、ゼロから1の間の値(スコア)に対応する。識別子の信頼度値が1に近いほど、地理的位置特定データベース内で前記識別子と関連付けられた送信デバイスの地理的位置がより信頼できるとみなし得る。逆に、識別子の信頼度値がゼロに近いほど、地理的位置特定データベース内で前記識別子と関連付けられた送信デバイスの地理的位置が不正確である可能性が高い。
【0085】
しかし、信頼度値をパーセンテージ(ゼロから100の間)に従って規定することを妨げない。また、(高信頼度値を信頼できる識別子に割り当てるのではなく)低信頼度値を信頼できる識別子に割り当てることを妨げない。
【0086】
別の例によれば、識別子信頼度データベースは、十分に信頼できるとみなされている識別子のリストに対応する。ある識別子が識別子信頼度データベース内にない場合、この識別子にゼロに等しい信頼度値を割り当て得る。ある識別子が識別子信頼度データベース内にある場合、この識別子に1に等しい信頼度値を割り当て得る。
【0087】
別の例によれば、識別子信頼度データベースは、十分に信頼できるとみなされていない識別子のリストに対応する。ある識別子が識別子信頼度データベース内にない場合、この識別子に1に等しい信頼度値を割り当て得る。ある識別子が識別子信頼度データベース内にある場合、この識別子にゼロに等しい信頼度値を割り当て得る。
【0088】
したがって、ある信頼度値をある識別子に割り当て、識別子信頼度データベース内にこの情報を保存する多数の様々な方法がある。しかし、その他からの1つの特定の方法の選択は、本発明の一変形形態を表すにすぎない。
【0089】
受信した識別子の少なくとも1つが申し分のない信頼度値を有する(即ち、例えば、信頼度値が所定の閾値より高い)場合、方法100は、こうして決定された信頼度値に応じて、地理的位置特定サーバ50を使用して、端末20の地理的位置を推定するステップ104を含む。
【0090】
特定の実装形態では、識別子を、地理的位置特定サーバを使用する端末20の地理的位置の推定104に使用しなければならないか否かを決定するため、受信した各識別子からの信頼度値は、閾値と比較される。
【0091】
特定の実装形態では、最高信頼度値を有する識別子の最大所定数の識別子が、地理的位置特定サーバ50を使用する端末20の地理的位置の推定104に使用される。
【0092】
そのような規定は、識別子の信頼度値に応じて、地理的位置特定データベースを使用して端末の地理的位置を推定する際に考慮すべき識別子のフィルタ処理を可能にする(即ち、地理的位置特定サーバ50に送信される要求内に含めるべき識別子のフィルタ処理を可能にする)。例えば、信頼できるデータベースにおいて、地理的位置特定データベース内で関連付けられた地理的位置が誤りであるとみなされる識別子に低信頼度値が割り当てられる場合、高信頼度値を有する識別子を優先することが可能になる。
【0093】
考慮される例では、ステップ103及び104は、アクセス・ネットワーク30のサーバ32によって実施される。しかし、一変形形態では、これらのステップが、サードパーティ・サーバ、例えば、識別子信頼度データベースをホストするサードパーティ・サーバによって実施されることを妨げないことに留意されたい。しかし、識別子信頼度データベースを保存するサーバ(複数可)が、地理的位置特定サーバ50とは異なるケースには当てはまる。このことにより、地理的位置特定サーバ50のオペレータに依存せずに、識別子信頼度データベースのオペレータがデータベースを維持することを可能にする。更に、これらのサーバは、地理的位置特定サーバ50が知らない情報を含み得る(このことは、例えば、アクセス・ネットワーク30のみが知っており、地理的位置特定サーバ50に伝達してはならない個人情報に関し得る)。
【0094】
第1の例によれば、アクセス・ネットワーク30のサーバ32は、地理的位置特定サーバ50に、十分に信頼できるとみなした識別子(複数可)を送信し、地理的位置特定サーバ50は、地理的位置特定データベース内で様々な識別子と関連付けられた地理的位置に基づき、端末20の位置を推定する。第2の例によれば、地理的位置特定サーバ50は、地理的位置特定データベース内で各識別子に関連付けられた地理的位置を返信するだけであり、様々な識別子に関連付けられた地理的位置に基づき端末20の位置を推定するのは、サーバ32である。
【0095】
図4に示され、考慮される例では、方法100は、受信した識別子のいずれも申し分のない信頼度値を有さない場合、地理的位置特定サーバ50を使用せずに、端末20の近似地理的位置を推定するステップ105を含む。このステップは、例えば、アクセス・ネットワーク30のサーバ32によって実施される。しかし、一変形形態では、このステップは、サードパーティ・サーバ、例えば、識別子信頼度データベースをホストするサードパーティ・サーバによっても実施し得ることに留意されたい。このステップは、オプションであることにも留意されたい(受信した識別子のいずれも申し分のない信頼度値を有さない場合、端末20の位置を信頼して決定できないとみなし得ることが可能である)。
【0096】
端末20の近似地理的位置は、端末20の推定位置の座標(経度、緯度及び可能性として高度)に対応し、可能性として、この推定位置の精度を示し得る。しかし、近似地理的位置は、例えば、郵便住所、店名、地区、地域、又は国名等、端末20の位置の推定を可能にする背景上の情報であってもよい。この背景上の情報は、特に、端末20が送信するメッセージ内に含まれる1つ又は複数のパラメータに基づき、及び/又はメッセージを送信した端末20に関連付けられたアクセス・ネットワーク内で利用可能であって、前記メッセージから得られる情報に基づき、直接決定し得る。例として、アクセス・ネットワーク30が、端末20がある地域又は特定の国のみで営業する顧客企業に属するという知識を有する場合、端末20の識別子に基づき、端末20がどの地域又はどの国に位置するかを決定することが可能である。
【0097】
アクセス・ネットワーク30は、例えば、前記端末20から受信したメッセージに応じて、端末20の近似地理的位置を推定するように構成される。特定の実装形態では、近似地理的位置は、送信デバイス40の識別子を含む受信したメッセージに基づき推定される。しかし、他の例によれば、端末20が前もって送信した他のメッセージに基づき、端末20の近似地理的位置を推定することを除外しない。
【0098】
端末20の近似地理的位置を推定する様々な方法を実施し得る。例えば、アクセス・ネットワーク30は、端末20が送信したメッセージを受信した基地局31の地理的位置として、端末20の近似地理的位置を推定し得る。端末20が送信するメッセージを複数の基地局31が受信し得る場合、端末20が送信したメッセージを受信した基地局31の全ての地理的位置に応じて、(例えば、これらの地理的位置の重心を規定することによって)端末20の近似地理的位置を推定することが可能である。
【0099】
別の例によれば、アクセス・ネットワーク30は、様々な基地局31へのこのメッセージの到着時間(TOA)測定又は到達時間差(TDOA)測定に基づき、端末20が基地局30に送信したメッセージの伝搬時間を計算することによって、1つ又は複数の基地局31から端末20を隔てる距離を推定し得る。この場合、その後、基地局31の地理的位置が既知である場合、マルチラテレーションによって端末20の位置を推定することが可能である。
【0100】
別の例によれば、端末20がアクセス・ネットワーク30に送信したメッセージについて、各基地局31に対するRSSI測定に基づき、複数の基地局31から端末20を隔てる距離の決定により、マルチラテレーションによって端末20の位置を推定することが可能である。
【0101】
別の例によれば、アクセス・ネットワーク30によって端末20の近似地理的位置を推定する方法は、無線指紋と、考慮される地理的領域の地理的位置とを関連付ける機械学習技法に基づき得る。そのような方法は、所与の地理的位置に位置する端末20が送信したメッセージについて基地局31が受信する電力レベルが経時的に安定しているという仮定に基づく。実際問題として、このことは、第1の較正段階の間、既知の地理的位置と、「無線署名」とを関連付けるデータベースを構築することに関係し、「無線署名」は、基地局31のセットで考慮される地理的位置で端末20のために得られるRSSI測定の全てに対応する。その後、探索段階の間、近似地理的位置の推定が求められる端末20について観測された無線署名は、データベースの無線署名の全てと比較され、端末20の無線署名に最も類似する無線署名(複数可)に対応する地理的位置(複数可)に基づき、端末20の近似地理的位置を推定する。
【0102】
特定の実装形態では、端末20の近似地理的位置の推定は、この推定に寄与する明示的な情報が端末によってアクセス・ネットワークにメッセージ内で送信されずに、アクセス・ネットワーク30によって実行される(言い換えれば、端末は、バイナリ・データが端末の地理的位置の推定を可能にする情報を含むメッセージを、アクセス・ネットワークに送信しない)。そのような規定は、端末と、端末20の地理的位置を特定するアクセス・ネットワークとの間で交換されるデータ量の制限を可能にする。
【0103】
特定の実装形態では、近似地理的位置は、識別子信頼度データベース内で送信デバイス40に割り当て得る。送信デバイス40のこの近似地理的位置は、地理的位置特定サーバ50を使用せずに、前もって決定し得る。送信デバイス40のこの近似地理的位置は、例えば、アクセス・ネットワーク30によって推定される、前記送信デバイス40の識別子を含むメッセージを前もって送信した端末20の近似地理的位置に対応し得る。近似地理的位置は、前記送信デバイス40の識別子を含むメッセージを前もって送信した複数の端末20の推定した位置に基づき、アクセス・ネットワーク30によっても推定し得る。したがって、この識別子を検出、送信した端末の推定位置の時間平滑化(中央、加重平均、指数関数的な平滑化等)を確立することが可能である。
【0104】
法的問題のため、識別子信頼度データベース内に、地理的位置特定データベースが提供する送信デバイス40の位置を保存することが可能ではないことを留意されたい。とはいえ、地理的位置特定データベース内で識別子と関連付けられた位置が信頼できない場合、識別子信頼度データベース内に送信デバイス40の近似地理的位置を保存し、次に、この識別子を検出する端末20の地理的位置の特定を助けることは有利である。
【0105】
したがって、特定の実装形態では、識別子信頼度データベースは、受信した識別子の少なくとも1つについて、前記識別子を保持する前記送信デバイス40の近似地理的位置を含み(前記近似地理的位置は、前記地理的位置特定サーバ50を使用せずに前もって決定されている)、端末20の近似地理的位置は、前記識別子に関連付けられた近似地理的位置に応じて、ステップ105で推定される。
【0106】
図5は、本発明による地理的位置特定方法100の実装形態の一例を示す。
【0107】
この例では、端末20が、(ステップ101において)それぞれ識別子ID1、ID2、ID3と関連付けられた3つの送信デバイス40を検出するとみなされる。各識別子は、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って、各送信デバイス40によってそれぞれ送信されるビーコン信号上で検出される。
【0108】
次に、端末20は、(ステップ102において)検出された識別子ID1、ID2及びID3を含むメッセージを送信する。このメッセージは、第1のワイヤレス通信プロトコルに従ってアクセス・ネットワーク30に送信される。
【0109】
考慮され、図5で示される例では、アクセス・ネットワーク30のサーバ32は、(ステップ103において)受信した各識別子について、識別子信頼度データベース33内で信頼度値を決定する。考慮される例では、識別子信頼度データベース33は、サーバ32によって保存される。この識別子信頼度データベース33は、スコア(Score1、Score2、Score3等)と各識別子(ID1、ID2、ID3等)とを関連付ける。
【0110】
サーバ32とは異なる地理的位置特定サーバ50は、識別子(ID1、ID2、ID3等)と、各識別子とそれぞれ関連付けられた地理的位置(pos1、pos2、pos3等)との間を関連付ける地理的位置特定データベース51を保存する。
【0111】
考慮される例では、識別子信頼度データベースのスコアは、ゼロから1の間の値に対応し、識別子と関連付けられたスコア値が高いほど、地理的位置特定データベース51内で前記識別子と関連付けられた地理的位置の信頼度を信頼できるとみなされる。
【0112】
例として、識別子ID2と関連付けられたスコアScore2は、低い値、例えば、0.2を有すると考慮する。このことは、地理的位置特定データベース51内で識別子ID2と関連付けられた位置pos2が誤っているとみなされることを意味する。また、例として、スコアScore1及びScore3はそれぞれ0.8及び0.9に等しいとみなされる。このことは、地理的位置特定データベース51内でそれぞれ識別子ID1及びID3と関連付けられた位置pos1及びpos3が正確であるとみなされることを意味する。
【0113】
非限定的な例として、信頼度値が0.7以上である識別子のみを、地理的位置特定データベース51を使用する端末20の地理的位置特定に使用しなければならないと考慮する。したがって、サーバ32は、識別子ID1及びID3のみを含む要求を地理的位置特定データベース50に送信し、端末20の位置を推定する。
【0114】
次に、端末20の地理的位置(pos)は、(ステップ104において)信頼度値に応じて、地理的位置特定サーバ50を使用して、選択してある識別子ID1及びID3に基づき推定される。図5に示される例では、位置posは、地理的位置特定サーバ50によって決定される。一変形形態では、地理的位置特定サーバ50は、それぞれ識別子ID1及びID3と関連付けられた位置pos1及びpos3の返信が可能であり、次に、サーバ32は、(例えば、位置pos1及びpos3の重心を計算することによって)位置pos1及びpos3に基づき端末20の地理的位置の決定が可能である。
【0115】
識別子ID1及びID3の位置pos1及びpos3に基づき推定された端末20の位置は、識別子ID2の位置pos2を考慮することによっても決定される位置より信頼でき、より正確である(この位置pos2は不正確であるため)。
【0116】
図5に示される識別子信頼度データベース33の構造は、識別子信頼度データベース33が信頼度値と識別子とを関連付けるだけであるので、かなり基本的なものである。しかし、識別子信頼度データベース33内に保存された各識別子と他の情報を関連付けることが可能である。
【0117】
特に、上記で既に述べたように、各識別子と、前記識別子を保持する送信デバイス40の近似地理的位置とを関連付けることが可能であり、前記近似地理的位置は、地理的位置特定サーバ50を使用せずに前もって決定されている。
【0118】
他の情報は、識別子信頼度データベース33内で識別子と関連付け得る。
【0119】
特定の実装形態では、識別子は、識別子信頼度データベース33において、複数の信頼度値と関連付けることができ、複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられる。
【0120】
この場合、地理的位置特定方法100は、受信したメッセージに基づき、端末20についての弁別情報の値を決定するステップと、受信した識別子の少なくとも1つについて、端末20の地理的位置の推定104に考慮すべき信頼度値を得るステップとを更に含み得る。このことは、例えば、前記識別子のために利用可能な様々な信頼度値から信頼度値を選択することに関係する(この選択は、決定された弁別情報の値に応じて実行される)。別の例によれば、識別子のために考慮すべき信頼度値は、複数の信頼度値に基づく計算を介して得ることができる。
【0121】
この弁別情報は、端末20が属する端末群を表す情報(例えば、端末20が属する顧客企業名、端末20に対応する機器の種類等)に対応し得る。
【0122】
弁別情報は、端末20が位置する地理的領域にも対応し得る。同じ識別子を共有する2つの送信デバイス40が、互いからかなり遠い2つの地理的位置に位置し、2つの地理的位置のうち一方のみが地理的位置特定データベース51内で前記識別子と関連付けられることが起こる場合がある。この場合、識別子信頼度データベース33は、その位置が地理的位置特定データベース51内に保存されている送信デバイスも含む地理的領域に位置する端末20に対して、高い信頼度値と前記識別子とを関連付け得る。一方、識別子信頼度データベース33は、その位置が地理的位置特定データベース51内に保存されていない送信デバイスを含む地理的領域に位置する端末20に対して、低い信頼度値と前記識別子とを関連付け得る。この場合、弁別情報の使用により、問題の識別子を、端末20の地理的位置の推定104で使用しなければならないか否かを知ることを可能にし得る。
【0123】
弁別情報は、端末20によって検出される送信デバイス40の少なくとも1つの他の識別子を表す情報にも対応し得る。実際、互いに地理的に近い送信デバイス40は、概して、端末20によって同時に検出される。この情報は、所与の識別子のために考慮すべき信頼度値の選択を可能にし得る。例えば、2つの送信デバイスが同じ識別子を共有しているが、これら2つの送信デバイスの一方のみが、端末20が送信するメッセージ内で示される別の送信デバイスと共に同時に既に検出されている場合、信頼度データベース33において、もう一方の識別子も検出される場合に前記識別子に第1の信頼度値を割り当て、もう一方の識別子が検出されない場合に前記識別子に第2の信頼度値を割り当てることが可能である。
【0124】
特定の実装形態では、弁別情報は、(例えば、サーバのインターネット・アドレス、ドメイン・ネーム、サーバを管理するオペレータ名等を介して)地理的位置特定サーバ50の識別を可能にする。この場合、地理的位置特定方法100は、端末20の地理的位置の推定104に使用すべき地理的位置特定サーバ50を(様々な利用可能地理的位置特定サーバから)選択するステップを含み得る。この選択は、受信した識別子の少なくとも1つに関連付けられた様々な信頼度値に応じて実行される。この選択は、端末の位置を推定するために地理的位置特定サーバに送信される要求のレシピエントを規定することを可能にする。
【0125】
実際、その識別子が第1の地理的位置特定サーバに保存されている送信デバイスの地理的位置が不正確であるが、第2の地理的位置特定サーバ内に保存されている前記送信デバイスの地理的位置が正確であることは、起こり得る。この場合、識別子信頼度データベース33は、第1の地理的位置特定データベース51に対して低い信頼度値と前記識別子とを関連付け、第2の地理的位置特定データベース51に対して高い信頼度値と前記識別子とを関連付け得る。この場合、弁別情報は、2つの地理的位置特定データベースのうちどちらを、端末20の地理的位置の推定104で優先的に使用しなければならないかを知ることを可能にし得る。
【0126】
多数の他の例の弁別情報は、端末20から受信したメッセージ内に明示的に含まれる情報に基づき、又はアクセス・ネットワーク30が知るメッセージのメタデータに基づき、想定、決定し得る。弁別情報の1つの特定の項目の選択は、本発明の一変形形態にすぎない。
【0127】
弁別情報は、様々な性質をもつ複数の情報の組合せにも対応し得る。
【0128】
識別子信頼度データベース33内にデータを保存する様々な構成を想定し得る。識別子信頼度データベース33の特定の構造の選択は、本発明の一変形形態にすぎない。
【0129】
図5は、識別子信頼度データベース33が、各識別子に割り当てられるスコアを単に保存する第1の例を示す。
【0130】
図6は、非限定的な例として、識別子信頼度データベース33の別の可能な構造を示す。
【0131】
考慮され、図6に示される例では、各列は、通信システム10の端末20から到来した、過去に少なくとも1つの既に受信したメッセージ内で既に情報として与えられている送信デバイス40の識別子ID(又は可能性としては識別子のタプル)を含む。前記メッセージに関係する複数の情報は、前記識別子(又は識別子のタプル)と関連付けて保存される。例えば、情報C1、C2、・・・CKは、受信したメッセージに基づき、アクセス・ネットワーク30によって決定される端末20に関係する特徴に対応する。このことは、特に、メッセージ、又はメッセージ若しくはメッセージ送信した端末20と関連付けられたメタデータ内に含まれる明示的なデータに関係する(例えば、端末の識別子、端末が属する顧客企業名、特定の種類の端末、端末に関連付けられた特定のサービス、アクセス・ネットワークによって決定された端末の地理的位置についての情報等)。いくつかの情報C1、C2、・・・CKも、特定の地理的位置特定サーバの識別(複数の地理的位置特定サーバ50が利用可能である場合、信頼できる値を特定の地理的位置特定サーバと関連付け得る)、又は前記地理的位置特定サーバ50の特徴付け(例えば、提案されるサービスの種類若しくは費用)を可能にし得る。各識別子IDについて、識別子信頼度データベース33は、前記識別子と関連付けられる信頼度値(スコア)も保存する。複数の送信デバイスが端末20によって検出され、アクセス・ネットワーク30に送信されるメッセージ内で情報として与えられる場合、列は、複数の識別子及び関連付けられたスコアを含み得る。スコアを計算する方法は、後に詳述する。
【0132】
地理的位置の推定が求められる端末20から到来したメッセージを受信すると、弁別情報を前記メッセージに基づき決定し得る。弁別情報は、受信したメッセージについて決定された特定の特徴、又は受信したメッセージについて決定された特定の特徴の組合せに対応し得る。
【0133】
例えば、値Aの識別子ID(ID=A)がメッセージ内に含まれ、アクセス・ネットワーク30が、端末20が顧客企業Bに属し(C1=B)、端末が国Cに位置する(C2=C)ことを決定可能である場合、条件(ID=A)、(C1=B)及び(C2=C)のための様々なスコアを得て、得られたスコアに基づく識別子Aの信頼度値を決定する要求を識別子信頼度データベース33に行うことが可能である。
【0134】
別の例によれば、特徴(例えばC3)は、アクセス・ネットワーク30によって決定された端末20の近似地理的位置の座標に対応し得る(C3=D)。この場合、様々なスコアを得る要求を識別子信頼度データベース33に行うことが可能であり、これらのスコアは、一方で、条件(ID=A)が申し分なく、もう一方で、特徴C3に対して示される位置が、Cを中心とし特定の直径を有する地理的位置に属するようなものである。
【0135】
したがって、ステップ103において、端末20によって検出される送信デバイス40の識別子に対する信頼度値を決定する様々な方策を展開することが可能である。しかし、1つの特定の方策の選択は、本発明の一変形形態を構成するにすぎない。
【0136】
ここで、識別子信頼度データベース33を構成し、最新に保ち得る方法に関心を払われたい。
【0137】
図7は、識別子信頼度データベース33を更新する(又は識別子信頼度データベース33がまだ存在しない場合、これを生成する)方法200の実装形態の一例の主なステップを概略的に示す。
【0138】
更新方法200は、ワイヤレス通信システム10の端末20によって、少なくとも1つの送信デバイス40について、前記送信デバイス40の識別子を検出するステップ201を含む。送信デバイス40の識別子は、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って送信デバイス40が送信するメッセージに基づき検出される。このことは、同じ端末20、又は地理的位置特定方法100の説明で上記で述べたもの以外の端末20に関係し得ることに留意されたい。更に、このことは、同じ送信デバイス40、又は地理的位置特定方法100の説明で述べたもの以外の送信デバイス40に関係し得る。このステップ201は、図3を参照しながら上記で説明したステップ101と同様である。
【0139】
更新方法200は、次に、端末20によって、アクセス・ネットワーク30に前記識別子を含むメッセージを送信するステップ202を含む。このメッセージは、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って端末20によって送信される。このステップ202は、図3を参照しながら上記で説明したステップ102と同様である。
【0140】
更新方法200は、地理的位置特定サーバ50を使用せずに、端末20の近似地理的位置を決定するステップ203を含む。このステップは、図4を参照しながら上記で説明したステップ105と同様である。ステップ105の説明で上記で提案した、端末20の近似地理的位置を決定する様々な方法も、このステップ203で有効である。
【0141】
更新方法200は、地理的位置特定サーバ50を使用して、受信した識別子に基づき、端末20の地理的位置を推定するステップ204を含む。このステップにおいて、識別子信頼度データベース33内で識別子と関連付けられた信頼度値は、必ずしも考慮に入れられない。
【0142】
次に、更新方法200は、(ステップ203で決定された)端末20の近似地理的位置と、(ステップ204において)地理的位置特定サーバ50を使用して推定された端末20の地理的位置との間の整合性を確認するステップ205を含む。
【0143】
最後に、更新方法200は、整合性確認205の結果に応じて、前記識別子についての識別子信頼度データベース33を更新するステップ206を含む。
【0144】
考慮される例では、ステップ203、204、205及び206は、アクセス・ネットワーク30のサーバ32によって実施される。しかし、一変形形態では、これらのステップの全て又は一部が、識別子信頼度データベースをホストするサードパーティ・サーバによって実施されることを妨げないことに留意されたい(しかし、依然として、識別子信頼度データベースを保存するサーバ(複数可)が地理的位置特定サーバ50とは異なるケースには当てはまる)。
【0145】
整合性確認ステップ205は、受信した識別子について、(ステップ203で決定された)端末20の近似地理的位置と、地理的位置特定データベース51内で識別子と関連付けられた地理的位置(この位置は、概して、特に1つの識別子のみを考慮する場合にステップ204で推定された端末20の位置に対応する)との間の距離を計算することを含み得る。
【0146】
例えば、Pが端末20の近似地理的位置であり、Rがこの地理的位置Pの推定精度レベルを表す値(端末が特定レベルの確率、例えば、90%で存在すると仮定されるP回りの半径)であり、Pが地理的位置特定データベース51内で識別子と関連付けられた地理的位置であり、Rがこの地理的位置Pの精度レベルを表す値であり、dist(P,P)がPとPとの間の距離であると示される場合、以下の式:
dist(P,P)≦f(R,R) 式1
に応じて、整合性確認205の結果の決定が可能である。
【0147】
この式が誤りである場合、(ステップ203で決定された)端末20の近似地理的位置と地理的位置特定データベース51内で識別子と関連付けられた地理的位置との間に不整合がある。一方、この式が正しい場合、ステップ203で決定された端末20の近似地理的位置は、地理的位置特定データベース51内で識別子と関連付けられた地理的位置と整合性がある。こうして、非限定的な例として、関数fを規定し得る(例えば、distの結果及びf関数は、メートル単位の値である):
f(R,R)=3×(R+R)+500 式2
【0148】
地理的位置が背景上の情報である(座標ではない)場合、ステップ203で決定された端末20の地理的位置を表す背景上の情報は、地理的位置特定データベース51内で送信デバイス40の識別子と関連付けられた背景上の情報と比較し得る。この比較は、可能性として、逆ジオコーディング型アプリケーションを使用して実施し得る。
【0149】
端末20によって検出された送信デバイス40の複数の異なる識別子が、同じメッセージ(又は同様の瞬間に送信された複数のメッセージ)内でアクセス・ネットワーク30によって受信されると、ステップ204において、受信した識別子セットに基づき、端末20の地理的位置を推定し得る。「対象識別子」として既知である受信した識別子の少なくとも1つについて、整合性の確認205は、以下:
-地理的位置特定サーバ50を使用してステップ204で推定された端末20の地理的位置と、ステップ203で決定された端末20の近似地理的位置との間の第1の整合性を確認するステップと、
-第1の整合性確認が不整合を示す場合、地理的位置特定データベース51内で対象識別子と関連付けられた地理的位置と、端末20の近似地理的位置との間の第2の整合性を確認するステップと
を含み得る。
【0150】
言い換えれば、端末20の近似地理的位置は、最初に、1つ又は複数の識別子のタプルについて決定された1つ又は複数の地理的位置のタプルと比較される。1つ又は複数の識別子のタプルは、受信した識別子に基づき構成されるものである。この場合、第1の整合性確認は、(地理的位置特定サーバ50を用いずにステップ203で決定された)端末20の近似地理的位置と、前記識別子のタプルに基づく、地理的位置特定サーバ50を用いる地理的位置(複数可)との間で実施される。不整合が示される場合、考慮されるタプルの各識別子に対して第2の整合性確認を実行し得る。更なる情報を使用して、タプルを構成する様々な識別子を重み付けし得ることに留意されたい。この更なる情報は、例えば、検出される様々な送信デバイス40から到来する、識別子を含む様々なメッセージが端末20によって受信された電力レベルに対応し得る。
【0151】
そのような規定は、特に、地理的位置特定サーバ50に送信される要求の数の低減を可能にし得る(まず、複数の識別子を含む1つの要求が地理的位置特定サーバ50に送信され、1つの識別子に関係する個々の要求は、不整合が観察された場合にのみ送信される)。
【0152】
ある識別子について不整合が観察された場合、このことは、この識別子を信頼できない、又は少なくとも、この識別子をそれほど信頼できないことを意味し、この情報は、識別子信頼度データベース33内で示されるべきである。
【0153】
この目的で、識別子信頼度データベース33が、信頼できるとみなしたこの識別子のみを保存する場合、前記識別子は、識別子信頼度データベース33から削除すべきである。
【0154】
別の例によれば、識別子信頼度データベース33が、信頼できないとみなされる識別子のみを保存する場合、前記識別子は、識別子信頼度データベース33に追加すべきである。
【0155】
また別の例によれば、識別子信頼度データベース33が、ゼロから1の間で、識別子信頼度データベース33が保存する各識別子と信頼度値を関連付ける場合(1に近い値が良好な信頼度を示す)、更新ステップ206は、この識別子についての新たな信頼度値の計算を含み得る。新たな信頼度値は、特に、端末20の近似地理的位置と、地理的位置特定データベース51内で前記識別子に関連付けられた地理的位置との間の距離に応じて計算し得る。
【0156】
例えば、式1及び式2のために上記で使用したスコアを利用することによって、新たな信頼度値Sを次のように計算し得る(αは正規化係数である):
【0157】
【0158】
特定の実装形態では、新たな信頼度値は、識別子信頼度データベース内33で前記識別子に事前に割り当てられている信頼度値Sに応じて更に計算される。
【0159】
特定の実装形態では、識別子信頼度データベース33は、各識別子について、信頼度値の最終更新日を含む。この場合、新たな信頼度値Sは、現在の日付T、及び前記識別子の信頼度値の最終更新日Tに応じて計算し得る(γは正規化係数である):
β=exp(-γ×|TN-TP|)
【0160】
【0161】
既に上記で示したように、識別子信頼度データベース33において、前記識別子について、前記識別子を保持する送信デバイス40の近似地理的位置を更新することも可能である(近似地理的位置は、地理的位置特定サーバ50を使用せずに決定されている)。
【0162】
更新方法200は、整合性確認ステップ205及び更新ステップ206が、端末20によって送信されるメッセージの受信に応じて実施されるシナリオで上記で説明してある。しかし、更新方法200は、必ずしも、メッセージごとに実施されないことに留意されたい。更新方法200を実施するサーバは、特に、整合性確認ステップ205及び更新ステップ206の前、複数のメッセージを収集するように構成し得る。実際、データベースを連続的に更新するのは、複雑で高額である場合があり、データベースに対して行われる確認及び/又は修正をグループ化することがより有利であり得る。
【0163】
言い換えれば、整合性確認ステップ205及び更新ステップ206(並びに可能性として、地理的位置特定サーバ50を使用せずに端末20の近似地理的位置を決定するステップ203、及び/又は地理的位置特定サーバ50を使用して端末20の地理的位置を推定するステップ204も)は、所定の基準を満たすまで遅らせ得る。この基準は、特に、送信デバイスの識別子を含む一定数のメッセージが受信されていることによる、又は送信デバイスの一定数の識別子が受信されていることによる、待機時間の有効期限に対応し得る。しかし、送信デバイスの複数の異なる識別子について、これらのステップの実施を遅らせる、したがってグループ化する他の基準を想定し得る。整合性確認ステップ205に関連して、更新ステップ206を遅らせることも可能である。
【0164】
複数の地理的位置特定サーバ50が利用可能である場合、様々な地理的位置特定サーバ50に照会し、識別子信頼度データベースを更新することが可能であることに留意されたい。特に、同じ識別子に対して、複数の異なる信頼度値を規定することが可能であり、各信頼度値は、特定の地理的位置特定サーバ50に関連付けられる(各信頼度値は、関連付けられた地理的位置特定サーバ50に対して実行される整合性確認205の結果に応じて計算可能である)。別の例によれば、所与の識別子について、信頼度値は、複数の地理的位置特定サーバ50により実行される複数の整合性確認205の結果に応じて計算されることを規定可能である(例えば、信頼度値は、各地理的位置特定サーバ50に対して個々に計算される複数の信頼度値の平均に対応し得る)。
【0165】
特定の実装形態では、識別子信頼度データベース33内で識別子に関連付けられた信頼度値に応じて選択された識別子のリストを含むメッセージをワイヤレス通信システム10の1つ又は複数の端末20に送信することが更に可能である。例えば、信頼できないとみなされる識別子のリストを端末に伝達し、端末が、アクセス・ネットワーク30に宛てるメッセージ内でこれらの識別子を不必要に送信しないようにすることが可能である。別の例によれば、信頼できるとみなされる識別子のリストを端末に伝達し、端末が、アクセス・ネットワーク30に宛てるメッセージ内でこれらの識別子を送信することを促進可能である。
【0166】
識別子信頼度データベース33の更新方法200は、概して、端末20から受信された各メッセージに対して実施されないことに留意されたい。しかし、識別子信頼度データベースは、定期的に更新しなければならない。というのは、地理的位置特定データベース51内の送信デバイス40の誤った地理的位置を、特定の時間量の終了時に修正し得るためである。したがって、識別子信頼度データベース33において、ある識別子があまり信頼できないとみなされた場合、この識別子について信頼度データベース33を更新する方法200を定期的に実施すべきである。
【0167】
アクセス・ネットワーク30のサーバ32と、地理的位置特定サーバ50との間、及びサーバ32と、識別子信頼度データベースをホストするサーバとの間(識別子信頼度データベースが、サーバ32とは異なるサーバによってホストされる場合)で、任意の種類のインターフェースを想定し得る。特に、ファイル、プログラム・インターフェース、リマインダ機能等の使用を想定することが可能である。
【0168】
図8は、例として、図3を参照して上記で説明した地理的位置特定方法100の別の特定の実装形態を示す。この特定の実装形態の場合、複数の異なる地理的位置特定サーバ50が、端末20の地理的位置特定のために利用可能であることが考慮される。識別子信頼度データベースにおいて、識別子は、複数の信頼度値と関連付けられ、各信頼度値は、特定の地理的位置特定サーバと関連付けられる。更に、各信頼度値は、弁別情報の特定の値と関連付けられる。
【0169】
図8で説明した特定の実装形態は、様々な利用可能な地理的位置特定サーバ50から、端末の地理的位置特定に最も信頼できるように見える地理的位置特定サーバ50の選択を可能にする。
【0170】
この特定の実装形態では、方法100は、アクセス・ネットワーク30によって、端末20から受信したメッセージに基づき、弁別情報の値を決定すること107を含む(前記メッセージは、端末20によって検出される送信デバイス40の識別子の少なくとも一部分を含む)。
【0171】
例えば、弁別情報は、端末20がメッセージを送信する際の端末20の近似地理的位置(端末20がメッセージを送信する際、端末20が位置することが推定される地理的領域)に対応し得る。端末20の近似位置は、アクセス・ネットワーク30によって、既に上記した様々な方法に従って推定し得る。別の例によれば、弁別情報は、端末20が属する顧客企業名、端末20に対応する機器の種類等に対応し得る。
【0172】
方法100は、次に、識別子信頼度データベース33において前記弁別情報値に関連付けられた複数の信頼度値を決定すること108を含む。これらの信頼度値は、端末20によって検出され情報として与えられる1つ(又は複数)の識別子に対応する識別子と必ずしも関連付けられていないことに留意されたい。
【0173】
方法100は、次に、利用可能な地理的位置特定サーバ50の各個について、決定された信頼度値に基づき、集合信頼度値を計算すること109を含む。集合値は、様々な方法(平均、中央、分位等)に従って計算し得る。集合値は、弁別値を満たす識別子のセットを考慮するか、又は弁別値を満たす識別子のサブセットのみを考慮することによって計算し得る。特に、考慮される地理的位置特定サーバの全てに対して弁別値を満たす識別子を考慮することが可能である。
【0174】
方法100は、次に、計算された集合値に応じて、端末20の地理的位置の推定104に使用すべき地理的位置特定サーバ50を選択すること110を含む(例えば、最高集合値が計算された地理的位置特定サーバ50が選択される)。
【0175】
最後に、端末20の地理的位置は、受信した識別子の少なくとも1つに基づき、選択された地理的位置特定サーバを使用して、ステップ106において決定される。
【0176】
この特定の実装形態の場合、端末20によって検出され、アクセス・ネットワーク30に送信される1つ(又は複数の)識別子が識別子信頼度データベース33内に存在しない場合でさえ、端末20の地理的位置特定に最も信頼できるように見える地理的位置特定サーバ50を選択することが可能になる。
【0177】
集合値の計算に他の基準を考慮し得ることを留意されたい。例えば、最も高額ではない地理的位置特定サーバ50を優先するため、地理的位置特定サーバ50に関連付けられるサービス費用を考慮することが可能である。別の例によれば、弁別値を満たす信頼度データベース33内の識別子の数を考慮することが可能である。別の例によれば、集合値の計算中、(最近更新された信頼度値により大きな重要性を与えるため)前記信頼度値の最終更新日に応じて、識別子の信頼度値を重み付けすることが可能である。(最も最近の情報を得ている地理的位置特定サーバ50を優先するため)集合値の計算に使用された識別子の信頼度値の平均的な最終更新日に応じて、地理的位置特定サーバ50のために計算された集合値を重み付けすることも可能である。
【0178】
所与の弁別情報について、集合値は、端末20の位置の決定が求められる際(即ち、アクセス・ネットワーク30が、送信デバイス40の1つ若しくは複数の識別子を含む端末20から1つ若しくは複数のメッセージを受信する際)、直接計算し得る、又は特定の基準(例えば、集合値を周期的に更新し得る、若しくは一定数のメッセージを受信した後、等)に応じて、別の時間で計算し得ることに留意されたい。特に、弁別情報が、端末20が位置する地理的領域である場合、この地理的領域は、アクセス・ネットワーク30が1つ又は複数のメッセージを端末20から受信した際、端末20の推定近似位置に応じて規定し得る。しかし、この地理的領域は、端末20の推定近似位置に応じて、カバーされる地理的空間の所定区分に対応する複数の地理的領域から識別することもできる(この場合、集合値は、端末20から到来するメッセージの受信とは無関係な時間で、所定区分の各地理的領域について前もって計算し得る)。
【0179】
端末20の地理的位置を決定するステップ106は、様々な様式で、特に、図4を参照して上記で説明したように実施し得る。特に、図9に記載されているように、地理的位置特定サーバ50を選択した後、端末20の受信した識別子から、選択された地理的位置特定サーバ50についての前記識別子の信頼度値に応じて、1つ又は複数の識別子を選択することが可能である。次に、端末20の地理的位置は、選択された識別子に基づき、選択された地理的位置特定サーバ50を使用してステップ104において推定し得る。
【0180】
上記で提供した説明は、様々な特徴及びその利点を介して、本発明が設定した目的を達成することを明らかに示している。特に、本発明は、隣接する送信デバイスの1つ又は複数の識別子に基づき、信頼度が増大した端末の地理的位置特定を可能にする。この信頼度が増大した端末の地理的位置特定は、地理的位置特定サーバ50に対する識別子の信頼度についての情報を与えるデータベースを使用するおかげで、特に、使用すべき地理的位置特定サーバ50の選択及び/又は使用すべき識別子の選択によって実施される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信システム(10)の端末(20)の地理的位置を特定する地理的位置特定方法(100)であって、前記端末(20)は、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って前記ワイヤレス通信システム(10)のアクセス・ネットワーク(30)とメッセージを交換するように適合され、前記方法は、
-前記端末(20)によって、少なくとも1つの送信デバイス(40)について、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って前記送信デバイス(40)が送信するメッセージに基づき、前記送信デバイス(40)の識別子を検出すること(101)と、
-前記端末(20)によって、前記第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、1つ又は複数の検出された識別子を含む少なくとも1つのメッセージを前記アクセス・ネットワーク(30)に送信すること(102)と、
-前記アクセス・ネットワーク(30)によって、受信した前記識別子の少なくとも1つを含む要求を地理的位置特定サーバ(50)に送信することによって、前記端末(20)の地理的位置を決定すること(106)と
を含み、前記地理的位置特定サーバ(50)は、前記送信デバイスの識別子のリスト及び前記送信デバイス(40)のそれぞれの地理的位置を含む地理的位置特定データベース(51)を保存し、前記要求は、「識別子信頼度データベース(33)」として既知であるデータベースを使用して規定され、任意の識別子と、前記地理的位置特定サーバ(50)に対する前記識別子の信頼度を表す少なくとも1つの値とを関連付けることを可能にし、前記識別子信頼度データベース(33)は、前記要求を送信する前記地理的位置特定サーバ(50)の選択、及び前記要求内に含めるべき前記識別子の選択の少なくとも1つのために使用され、前記識別子信頼度データベース(33)は、前記地理的位置特定サーバ(50)とは異なる1つ又は複数のサーバ(32)によって保存される、地理的位置特定方法(100)。
【請求項2】
前記端末(20)の地理的位置の決定(106)は、
-前記アクセス・ネットワーク(30)によって、前記識別子信頼度データベース(33)を使用して、受信した前記識別子の少なくとも1つについて、前記識別子の信頼度値を決定すること(103)と、
-受信した前記識別子の前記少なくとも1つが申し分のない信頼度値を有する場合、前記識別子に基づき、前記地理的位置特定サーバ(50)を用いて前記端末(20)の地理的位置を推定すること(104)と
を含む、請求項1に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項3】
前記識別子を、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用する前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用しなければならないか否かを決定するため、受信した前記識別子からの各識別子の前記信頼度値は、閾値と比較される、請求項2に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項4】
受信した前記識別子のいずれも申し分のない信頼度値を有さない場合、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに前記端末(20)の近似地理的位置を推定すること(105)を更に含む、請求項2に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項5】
前記識別子信頼度データベース(33)は、受信した前記識別子の前記少なくとも1つについて、前記識別子を保持する前記送信デバイス(40)の近似地理的位置を含み、前記近似地理的位置は、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに前もって決定されており、前記端末(20)の近似地理的位置の推定(105)は、前記識別子と関連付けられた前記近似地理的位置に応じて実行される、請求項4に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項6】
受信した前記識別子の前記少なくとも1つは、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられる、請求項2に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項7】
前記弁別情報の値は、前記端末(20)から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、前記アクセス・ネットワーク(30)によって決定され、前記地理的位置特定方法(100)は、受信した前記識別子の前記少なくとも1つについて、前記弁別情報の前記値に基づく前記端末(20)の地理的位置の推定(104)のために考慮すべき信頼度値を得ることを含む、請求項6に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項8】
前記弁別情報は、地理的位置特定サーバ(50)の識別を可能にし、前記地理的位置特定方法(100)は、受信した前記識別子の前記少なくとも1つの様々な信頼度値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択することを含む、請求項6に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項9】
任意の識別子は、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、前記地理的位置特定方法(100)は、
-前記アクセス・ネットワーク(30)によって、前記端末(20)から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、前記弁別情報の値を決定すること(107)と、
-前記識別子信頼度データベース(33)において前記弁別情報値と関連付けられた複数の信頼度値を決定すること(108)と、
-複数の地理的位置特定サーバ(50)の各個について、決定された前記信頼度値に基づき、集合信頼度値を計算すること(109)と、
-計算された前記集合信頼度値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択すること(110)と
を含む、請求項1に記載の地理的位置特定方法(100)。
【請求項10】
請求項1で規定される識別子信頼度データベース(33)を更新する更新方法(200)であって、前記方法(200)は、
-端末(20)によって、少なくとも1つの送信デバイス(40)について、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って前記送信デバイス(40)が送信するメッセージに基づき、前記送信デバイス(40)の識別子を検出すること(201)と、
-前記端末(20)によって、前記第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、前記識別子を含むメッセージを前記アクセス・ネットワーク(30)に送信すること(202)と、
-前記識別子に基づき、地理的位置特定サーバ(50)を使用して前記端末(20)の地理的位置を推定すること(204)と、
-前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに、前記端末(20)の近似地理的位置を決定すること(203)と、
-前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用して推定された前記端末(20)の地理的位置との間の整合性確認を実施すること(205)と、
-前記整合性確認(205)の結果に応じて、前記識別子についての前記識別子信頼度データベース(33)を更新すること(206)と
を含む、更新方法(200)。
【請求項11】
前記整合性確認(205)は、前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定データベース(51)内で前記識別子と関連付けられた地理的位置との間の距離を計算することを含む、請求項10に記載の更新方法(200)。
【請求項12】
前記更新(206)は、前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定データベース(51)内で前記識別子と関連付けられた地理的位置との間の距離に応じて、新たな信頼度値を計算することを含む、請求項10に記載の更新方法(200)。
【請求項13】
前記新たな信頼度値は、前記識別子信頼度データベース(33)内で前記識別子に前もって割り当てられている信頼度値に応じて更に計算される、請求項12に記載の更新方法(200)。
【請求項14】
前記識別子信頼度データベース(33)は、前記識別子について、前記信頼度値の最終更新日を含み、前記新たな信頼度値は、現在の日付、及び前記識別子の前記信頼度値の前記最終更新日に応じて更に計算される、請求項13に記載の更新方法(200)。
【請求項15】
ワイヤレス通信システム(10)のアクセス・ネットワーク(30)のサーバ(32)であって、前記システム(10)は、少なくとも1つの端末(20)を含み、前記少なくとも1つの端末(20)は、第1のワイヤレス通信プロトコルに従って、前記アクセス・ネットワーク(30)とメッセージを交換し、第2のワイヤレス通信プロトコルに従って送信デバイス(40)が送信するメッセージを受信するように適合され、前記サーバ(32)は、
-前記端末(20)によって検出された送信デバイス(40)の少なくとも1つの識別子を含む少なくとも1つのメッセージを前記端末(20)から受信し、
-受信した前記識別子の少なくとも1つを含む要求を地理的位置特定サーバ(50)に送信することによって、前記端末(20)の地理的位置を決定する
ように構成され、前記地理的位置特定サーバ(50)は、送信デバイスの識別子のリスト及び前記送信デバイス(40)のそれぞれの地理的位置を含む地理的位置特定データベース(51)を保存し、前記要求は、「識別子信頼度データベース(33)」として既知であるデータベースを使用して規定され、任意の識別子と、前記地理的位置特定サーバ(50)に対する前記識別子の信頼度を表す少なくとも1つの値とを関連付けることを可能にし、前記識別子信頼度データベース(33)は、要求を送信する前記地理的位置特定サーバ(50)の選択、及び前記要求内に含められる識別子の選択の少なくとも1つのために使用され、前記識別子信頼度データベース(33)は、前記地理的位置特定サーバ(50)とは異なる1つ又は複数のサーバ(32)によって保存されることを特徴とする、サーバ(32)。
【請求項16】
-受信した前記識別子の少なくとも1つについて、前記識別子信頼度データベース(33)を使用して信頼度値を決定し、
-受信した前記識別子の少なくとも1つが申し分のない信頼度値を有する場合、前記識別子に基づき、前記地理的位置特定サーバ(50)により前記端末(20)の地理的位置を推定する
ように構成される、請求項15に記載のサーバ(32)。
【請求項17】
受信した前記識別子の前記少なくとも1つは、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、地理的位置特定サーバ(50)の識別を可能にし、前記サーバ(32)は、前記識別子と関連付けられた様々な信頼度値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択するように更に構成される、請求項15に記載のサーバ(32)。
【請求項18】
任意の識別子は、前記識別子信頼度データベース(33)において、複数の信頼度値と関連付けられ、前記複数の信頼度値はそれぞれ、弁別情報の異なる値と関連付けられ、前記サーバ(32)は、
-前記端末(20)から受信した前記少なくとも1つのメッセージに基づき、前記弁別情報の値を決定し、
-前記識別子信頼度データベース(33)において前記弁別情報値と関連付けられた複数の信頼度値を決定し、
-複数の地理的位置特定サーバ(50)の各個について、決定された前記信頼度値に基づき集合信頼度値を計算し、
-計算された前記集合信頼度値に応じて、前記端末(20)の地理的位置の推定(104)に使用すべき前記地理的位置特定サーバ(50)を選択する
ように構成される、請求項15に記載のサーバ(32)。
【請求項19】
前記サーバ(32)は、
-前記地理的位置特定サーバ(50)を使用せずに、前記端末(20)の近似地理的位置を決定し、
-前記端末(20)の近似地理的位置と、前記地理的位置特定サーバ(50)を使用して推定された前記端末(20)の地理的位置との間の整合性確認を実施し、
-前記整合性確認の結果に応じて、受信した前記識別子の少なくとも1つについての前記識別子信頼度データベース(33)を更新する
ように更に構成される、請求項15に記載のサーバ(32)。
【請求項20】
前記サーバ(32)は、受信した前記識別子の少なくとも1つについて、前記端末(20)の前記近似地理的位置と、前記地理的位置特定サーバ(51)内で前記識別子と関連付けられた前記地理的位置との間の距離に応じて、新たな信頼度値を計算するように更に構成される、請求項19に記載のサーバ(32)。
【請求項21】
請求項15に記載のサーバ(32)を含むアクセス・ネットワーク(30)。
【国際調査報告】