(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】半導体構造、半導体デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20240723BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240723BHJP
H01L 33/30 20100101ALI20240723BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20240723BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240723BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20240723BHJP
H01L 29/24 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L21/316 U
H01L33/30
H01L33/22
H01L29/91 C
H01L29/91 F
H01L29/91 A
H01L29/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579324
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 FI2022050459
(87)【国際公開番号】W WO2022269139
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513317138
【氏名又は名称】トゥルク ユリオピスト
【氏名又は名称原語表記】Turun yliopisto
【住所又は居所原語表記】Yliopistonmaki, Turun yliopisto, 20014 Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ザーラ・ヤハンシャー・ラド
(72)【発明者】
【氏名】ペッカ・ラウッカネン
(72)【発明者】
【氏名】ユハ-ペッカ・レフティオ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・プンッキネン
(72)【発明者】
【氏名】カレヴィ・コッコ
【テーマコード(参考)】
5F058
5F149
5F241
【Fターム(参考)】
5F058BA20
5F058BB02
5F058BC02
5F058BE03
5F058BE04
5F058BF69
5F058BH01
5F149AA04
5F149AB07
5F149BA28
5F149BB06
5F149BB07
5F149CB18
5F149CB20
5F149GA06
5F149HA03
5F149HA17
5F149XB03
5F149XB18
5F149XB37
5F241CA05
5F241CA35
5F241CB01
(57)【要約】
本開示は、半導体構造、半導体デバイス、および、半導体構造を形成するための方法に関する。半導体構造(1000)は、第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素を含む結晶質III-V族半導体基板(1100)と、半導体基板(1100)に化学的に結合され、第13族ポスト遷移金属元素および酸素を含む結晶粒子(1200)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素Asを含む、結晶質III-V族半導体基板(1100)と、
前記半導体基板(1100)に化学的に結合され、前記第13族ポスト遷移金属元素および酸素Oを含む結晶粒子(1200)と、を備える、半導体構造(1000)。
【請求項2】
前記粒子(1200)が、ガリウム酸化物Ga
2O
3および/またはインジウム酸化物In
2O
3などといった、1つまたは複数の第13族ポスト遷移金属酸化物を含む、請求項1に記載の半導体構造(1000)。
【請求項3】
前記粒子(1200)が、ガリウム酸化水酸化物GaOOHおよび/またはインジウム酸化水酸化物InOOHなどといった、1つまたは複数の第13族ポスト遷移金属酸化水酸化物を含む、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項4】
前記半導体基板(1100)が、ガリウムGa、および/または、インジウムInを含む、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項5】
前記半導体基板(1100)が、ガリウムヒ素GaAsもしくはインジウムヒ素InAsなどのIII-V族化合物半導体を含み、および/または、前記半導体基板(1100)が、インジウムガリウムヒ素InGaAsなどのIII-V族半導体合金を含む、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項6】
前記粒子(1200)が、細長い形状、立方形状、またはとげのようにギザギザな形状を有する、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項7】
前記粒子(1200)が、前記半導体基板(1100)上でランダムに配向される、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項8】
前記粒子(1200)が、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、もしくは200nm以上、および/または、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、もしくは10μm以下の平均投影最小直径
【数1】
を有する、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項9】
前記粒子(1200)が、少なくとも40m%、少なくとも45m%、少なくとも55m%、少なくとも60m%、少なくとも65m%、少なくとも70m%、少なくとも75m%、少なくとも80m%、少なくとも85m%、少なくとも90m%、または少なくとも95m%の平均結晶化度w
aveを有する、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項10】
前記半導体構造(1000)が前記半導体基板(1100)上にコーティング(1300)を備え、前記コーティング(1300)が、酸素O、前記第13族ポスト遷移金属元素、およびヒ素Asを含む、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項11】
前記半導体構造(1000)が請求項13から25のいずれか一項に記載の方法(4000)によって得られる、請求項1または2に記載の半導体構造(1000)。
【請求項12】
請求項1または2に記載の半導体構造(1000)を備える半導体デバイス(3000)。
【請求項13】
第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素Asを含む、結晶質III-V族半導体基板と、前記半導体基板に化学的に結合され、前記第13族ポスト遷移金属元素および酸素Oを含む結晶粒子と、を備える、半導体構造を形成するための方法(4000)であって、前記粒子を形成するために、少なくとも2分の持続時間t
IPを有する浸漬期間IPの全体にわたって、40℃より高い水温T
H20の水に前記半導体基板をさらすプロセス(4200)を含む、方法(4000)。
【請求項14】
前記半導体基板を水にさらす前記プロセス(4200)の前に、前記半導体基板を洗浄するプロセス(4100)を含む、請求項13に記載の方法(4000)。
【請求項15】
前記半導体基板を洗浄する前記プロセス(4100)が湿式洗浄ステップ(4110)を含む、請求項14に記載の方法(4000)。
【請求項16】
少なくとも5分の持続時間t
APを有するアニール期間APの全体にわたって、200℃から1200℃におよぶアニール温度範囲ΔT内に前記粒子の温度T
pを維持することによって、前記粒子をアニールするプロセス(4300)を含む、請求項13に記載の方法(4000)。
【請求項17】
前記アニール温度範囲ΔTが、220℃から1100℃、250℃から1000℃、270℃から900℃、300℃から850℃、320℃から800℃、340℃から750℃、360℃から700℃、380℃から650℃、または400℃から600℃におよぶ、請求項16に記載の方法(4000)。
【請求項18】
前記アニール期間APの前記持続時間t
APが、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも35分、少なくとも40分、少なくとも45分、少なくとも50分、少なくとも55分、または少なくとも60分である、請求項16または17に記載の方法(4000)。
【請求項19】
前記粒子をアニールする前記プロセス(4300)が、真空チャンバ中の全圧力p
totが前記アニール期間APの全体にわたって、1×10
-3mbarの最高全圧力
【数2】
より低く維持されるように、前記アニール期間APの全体にわたって前記真空チャンバ中に前記半導体基板を保持するプロセス(4310)を含む、請求項16に記載の方法(4000)。
【請求項20】
前記最高全圧力
【数3】
が、5×10
-4mbar、1×10
-4mbar、5×10
-5mbar、1×10
-5mbar、5×10
-6mbar、または2×10
-6mbarである、請求項19に記載の方法(4000)。
【請求項21】
前記水温T
H2Oが、42℃、45℃、47℃、50℃、52℃、55℃、57℃、60℃、62℃、65℃、70℃、もしくは75℃以上、および/または、100℃、98℃、95℃、90℃、85℃以下である、請求項13に記載の方法(4000)。
【請求項22】
前記浸漬期間IPの前記持続時間t
IPが、3分、5分、7分、10分、12分、15分、17分、20分、22分、25分、30分、40分、50分、もしくは60分以上、および/または、72時間、60時間、48時間、36時間、24時間、12時間、10時間、8時間、6時間、5時間、4時間、もしくは3時間以下である、請求項13に記載の方法(4000)。
【請求項23】
前記半導体基板を水にさらす前記プロセスの前に前記半導体基板を機械的に摩耗させるプロセスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記半導体基板を水にさらす前記プロセスの前に前記半導体基板をイオンスパッタリングにさらすプロセスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記半導体構造が請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体構造(1000)である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体技術に関する。特に、本開示は、III-V族半導体構造、半導体デバイス、および、III-V族半導体構造を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのIII-V族半導体は、シリコンより優れた電気的特性を提供する。たとえば、ガリウムヒ素は、シリコンのものより高い電子移動度およびバンドギャップを呈する。加えて、シリコンとは対照的に、ガリウムヒ素は、フォトニクスにおけるそれの使用を容易にする直接バンドギャップをやはり有する。
【0003】
しかし、シリコンは、それを半導体産業の主要部分にしてきたある種の有益な特徴を有する。これらの特徴のうちの1つは、シリコンを覆って自然に形成される安定な自然酸化物であって、微細加工において、十分に利用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに照らして、III-V族半導体構造に関する新規の解決策を開発することが望ましい可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、下で詳細な説明中にさらに記載される、簡略化した形の概念を選択したものを導くために設けられる。この概要は、特許請求される主題のキーとなる特徴または本質的な特徴を識別することは意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0006】
第1の態様によれば、半導体構造が提供される。半導体構造は、第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素を含む結晶質III-V族半導体基板と、半導体基板に化学的に結合され、第13族ポスト遷移金属元素および酸素を含む結晶粒子と、を備える。
【0007】
第2の態様によれば、第1の態様にしたがった半導体構造を備える半導体デバイスが提供される。
【0008】
第3の形態によれば、第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素を含む結晶質III-V族半導体基板と、半導体基板に化学的に結合され、第13族ポスト遷移金属元素および酸素を含む結晶粒子と、を備えた半導体構造を形成するための方法が提供される。方法は、粒子を形成するために、少なくとも2分の持続時間を有する浸漬期間の全体にわたって、40℃より高い水温の水に半導体基板をさらすプロセスを含む。
【0009】
第3の態様の実施形態では、半導体構造は、第1の態様にしたがった半導体構造である。
【0010】
第1の態様の実施形態では、半導体構造は、第3の態様にしたがった方法によって得ることができる。
【0011】
本開示は、添付図面に照らして以下の詳細な記載を読めば、より良好に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】半導体構造を形成するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
具体的に反対に明記されない限り、上述の図面のうちの任意の図面は、原寸に比例しない場合があり、その結果、前記図面の実施形態のある構造的態様を強調するために、前記図面中の任意の要素は、前記図面中の他の要素に対して不正確な比率で描かれる場合がある。
【0014】
さらに、上述の図面のうちの任意の2つの図面の実施形態中の対応する要素は、前記2つの図面の実施形態のある構造的態様を強調するために、前記2つの図面中で互いに不釣合いとなる場合がある。
【0015】
図1は、一実施形態にしたがった半導体構造1000を描く。
【0016】
本明細書では、「半導体」とは、金属などの導電材料の導電率と、多くのプラスチックおよびガラスなどの絶縁材料の導電率との間の中間の導電率を有する、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムヒ素(InAs)、またはインジウムガリウムヒ素(InGaAs)などの材料のことを呼ぶことができる。一般的に、半導体は、結晶構造を有しても、有さなくてもよい。
【0017】
ここで、材料の「結晶」構造とは、前記材料の原子核などの構成物質が、秩序立った3次元結晶格子を形成することを呼ぶことができる。
【0018】
さらに、「半導体構造」とは、構造部分、層、および/または、たとえばパワートランジスタもしくはフォトトランジスタといったトランジスタ、コンデンサ、たとえばフォトダイオードもしくはパワーダイオードといったダイオード、マイクロプロセッサ、または、たとえばディスプレイ、光検出器、もしくは太陽電池といったフォトニクスデバイスなどの完全な動作可能半導体デバイスの他の要素の全部もしくは単なる部分を備えることができる構造のことを呼ぶことができる。そのような構成要素、要素、もしくはデバイスの単なる部分を形成する場合、「構造」という用語は、そのような構成要素、要素、もしくはデバイスの「ための」構造、またはビルディングブロックと考えることができる。特に、半導体構造は、一般的に、半導体材料に加えて、導体および/または絶縁体などの非半導体材料を含んでよい。
【0019】
図1の実施形態では、半導体構造1000は、結晶質III-V族半導体基板1100を備える。半導体基板1100は、第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素(As)を含む。
【0020】
本開示を通して、「III-V族半導体基板」とは、III-V族半導体材料でできており、その上に材料を堆積することができる表面を設ける固形体のことを呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、III-V族半導体基板は、たとえば集積回路もしくはフォトニクスデバイスといった様々な半導体構造および/またはデバイスを製造するのに好適な、GaAs、InAs、もしくはInGaAsなどといったIII-V族半導体材料から形成される半導体ウェハを備えることができる。
【0021】
さらに、「第13族ポスト遷移金属元素」とは、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはタリウム(Tl)のことを呼ぶことができる。
【0022】
図1の実施形態では、半導体構造1000は、半導体基板1100に化学的に結合される結晶粒子1200を備える。粒子1200は、第13族ポスト遷移金属元素および酸素(O)を含む。一般的に、第13族ポスト遷移金属元素および酸素を含んでおり、第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素を含む結晶質III-V族半導体基板に化学的に結合される結晶粒子は、半導体基板の光反射率を減少させること、および/または、フォトルミネッセンス強度を増加させることができる。
【0023】
図1の実施形態の半導体基板1100が、Gaを含むことができる。他の実施形態では、半導体基板が、たとえば、Gaおよび/またはInといった、任意の第13族ポスト遷移金属元素を含むことができる。
【0024】
特に、
図1の実施形態の半導体基板1100は、GaAsを含むことができる。いくつかの実施形態では、半導体基板は、GaAsまたはInAsなどといったIII-V族化合物半導体を含むこと、本質的にIII-V族化合物半導体からなること、または、III-V族化合物半導体からなることができる。他の実施形態では、半導体基板が、InGaAsなどといったIII-V族半導体合金を含むことができる。
【0025】
図1の実施形態の粒子1200は、ガリウム酸化物(Ga
2O
3)を含むことができる。特に、粒子1200は、立方欠陥スピネル構造のγ-Ga
2O
3を含むことができる。他の実施形態では、粒子は、Ga
2O
3および/またはインジウム酸化物(In
2O
3)などといった、1つまたは複数の第13族ポスト遷移金属酸化物を含むこと、本質的に第13族ポスト遷移金属酸化物からなること、または第13族ポスト遷移金属酸化物からなることができても、できなくてもよい。粒子がGa
2O
3を含む、本質的にGa
2O
3からなる、Ga
2O
3からなる実施形態では、Ga
2O
3は、α-Ga
2O
3、および/またはβ-Ga
2O
3、および/またはγ-Ga
2O
3、および/またはδ-Ga
2O
3、および/またはε-Ga
2O
3のような任意の好適な結晶形態で粒子中に存在することができる。
【0026】
図1の実施形態では、粒子1200が細長い形状を有する。他の実施形態では、粒子は、たとえば、細長い形状または立方形状といった任意の好適な形状を有することができる。
【0027】
図1の実施形態の粒子1200は、半導体基板1100上でランダムに配向される。一般的に、粒子のそのようなランダムな配向は、そのような粒子を形成するため使用されるボトムアップ製造手法を表すことができる。他の実施形態では、粒子は、半導体基板上でランダムに配向されてもされなくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、半導体基板は、1つまたは複数の特定の成長方向に沿った粒子の形成を導くマイクロ構造および/またはナノ構造を備えることができる。
【0028】
図1の実施形態の粒子1200の各々が投影最小直径
【数1】
を有し、粒子1200は、約350ナノメートル(nm)の平均投影最小直径
【数2】
を有する。一般的に、より大きい平均投影最小直径は、半導体基板の光反射率を減少させるのを助けることができる。他の実施形態では、粒子は、たとえば、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、もしくは200nm以上、および/または、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、もしくは10μm以下の平均投影最小直径といった、任意の好適な平均投影最小直径を有することができる。
【0029】
本明細書を通して、複数の粒子の「平均投影最小直径」は、測定面上への、前記複数の粒子の個々の粒子の投影の、最小直径の平均のことを呼ぶことができる。ここで、測定面上への粒子の投影の最小直径は、前記投影のたとえば重心といった中心点を通り前記測定面に沿って延びる線に沿って測定することができる。半導体基板が半導体ウェハを備える実施形態では、測定面は、前記半導体ウェハの面に平行に延在することができる。
【0030】
粒子1200の
【数3】
は、半導体基板1100の単一の断面に沿って測定されるように
図1に概略的に示されるが、複数の粒子の個々の粒子の投影最小直径は、一般的に、そのような方法で測定されてもされなくてもよい。たとえば、粒子が半導体基板上にランダムに配向される実施形態では、前記粒子の投影最小直径は、前記半導体基板の異なる断面に沿って測定される場合がある。
【0031】
図1の実施形態では、半導体構造1000は、半導体基板1100上にコーティング1300を備える。コーティング1300は、O、Ga、およびAsを含む。一般的に、第13族ポスト遷移金属元素およびAsを含む半導体基板上で、O、第13族ポスト遷移金属元素およびAsを含むコーティングは、半導体基板のフォトルミネッセンスを増加させる助けになることができる。他の実施形態では、半導体構造は、第13族ポスト遷移金属元素およびAsを含む、本質的に第13族ポスト遷移金属元素およびAsからなる、または第13族ポスト遷移金属元素およびAsからなる半導体基板上で、O、第13族ポスト遷移金属元素およびAsを含む、本質的にO、第13族ポスト遷移金属元素およびAsからなる、またはO、第13族ポスト遷移金属元素およびAsからなるコーティングを備えてよく、備えなくてよい。
【0032】
図1の実施形態では、粒子1200は、約80質量パーセント(m%)の平均結晶化度(w
ave)を有することができる。一般的に、複数の粒子の平均結晶化度は、X線粉末回折を使用して測定することができる。他の実施形態では、粒子は、たとえば、少なくとも40m%、少なくとも45m%、少なくとも55m%、少なくとも60m%、少なくとも65m%、少なくとも70m%、少なくとも75m%、少なくとも80m%、少なくとも85m%、少なくとも90m%、または少なくとも95m%の平均結晶化度といった、任意の好適な平均結晶化度を有することができる。
【0033】
図2は、一実施形態にしたがった半導体構造2000を描く。
図2の実施形態は、
図1を参照して、または、
図1と組み合わせて開示される任意の実施形態にしたがってよい。加えてまたは代わりに、
図2には明示的に示されないが、
図2の実施形態またはその任意の部分は、一般的に、
図2から省略された
図1の実施形態の任意の特徴および/または要素を含むことができる。
【0034】
図2の実施形態では、半導体構造2000は、第13族ポスト遷移金属元素およびAsを含む結晶質III-V族半導体基板2100、ならびに、半導体基板2100に化学的に結合される結晶粒子2200を備える。粒子2200は、第13族ポスト遷移金属元素およびOを含む。
【0035】
図2の実施形態の半導体構造2000は、Inを含むことができる。特に、半導体構造2000は、InAsを含むことができる。
【0036】
図2の実施形態の粒子2200は、インジウム酸化水酸化物(InOOH)を含むことができる。他の実施形態では、粒子は、ガリウム酸化水酸化物(GaOOH)および/またはInOOHなどといった、1つまたは複数の第13族ポスト遷移金属酸化水酸化物を含むこと、本質的に第13族ポスト遷移金属酸化水酸化物からなること、または第13族ポスト遷移金属酸化水酸化物からなることができても、できなくてもよい。
【0037】
図2の実施形態では、粒子2200は、立方形状を有する。粒子1200は、半導体基板2100上でランダムに配向される。
【0038】
上に記載された第1の態様の実施形態を互いに組み合わせて使用できることを理解されたい。実施形態のうちのいくつかを一緒に組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。
【0039】
図3は、一実施形態にしたがった半導体デバイス3000を描く。
図3の実施形態は、
図1または
図2のいずれかを参照して、または、
図1または
図2のいずれかと組み合わせて開示される任意の実施形態にしたがってよい。加えてまたは代わりに、
図3には明示的に示されないが、
図3の実施形態またはその任意の部分は、一般的に、
図3から省略された
図1および
図2の実施形態のいずれかの任意の特徴および/または要素を含むことができる。
【0040】
図3の実施形態の半導体デバイス3000はフォトダイオードであり、第1の態様にしたがった半導体構造を備える半導体デバイスの例として働く。他の実施形態では、第1の態様にしたがった半導体構造を備える半導体デバイスは、半導体デバイス3000と同様または同一であってもなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の態様にしたがった半導体構造を備える半導体デバイスは、たとえばMOSFETもしくはフォトトランジスタといったトランジスタ、たとえばスーパーキャパシタといったコンデンサ、メモリスタ、たとえばフォトダイオード、発光ダイオード、レーザダイオード、もしくはパワーダイオードといったダイオード、たとえばマイクロプロセッサもしくはメモリチップといった集積回路、または、たとえばディスプレイ、光検出器、放射検出器、もしくは太陽電池といったフォトニクスデバイスとして実装することができる。
【0041】
図3の実施形態では、半導体デバイス3000は、半導体基板として働く結晶質GaAs半導体ウェハ3100を備える。半導体ウェハ3100は、ドナードープ層3110、ドナードープ層3110上の真性層3120、および真性層3120上のアクセプタドープ層3130を備える。
【0042】
図3の実施形態の半導体デバイス3000は、アクセプタドープ層3130に化学的に結合される結晶GaOOH粒子3200、場合によって不定比のGaおよびAs酸化物の混合物から形成できるコーティング3300、ならびに、それぞれ、ドナードープ層3110に接続される第1の金属接点3401およびアクセプタドープ層3130に接続される第2の金属接点3402をさらに備える。
【0043】
上では、半導体構造および半導体デバイスの主に構造的特徴および材料的特徴が議論されている。下では、半導体構造を形成するための方法が、より強調されることになる。半導体構造および半導体デバイスに関する、実装の方法、定義、詳細、および利点について上で言及されたことは、下で議論される方法に変更すべき点を変更して適用される。同じことが逆も同様に適用される。
【0044】
図4は、第13族ポスト遷移金属元素およびAsを含む結晶質III-V族半導体基板と、半導体基板に化学的に結合され、第13族ポスト遷移金属元素および酸素を含む結晶粒子と、を備えた半導体構造を形成するための、方法4000を図示する。他の実施形態では、そのような半導体構造を形成するための方法は、
図4の実施形態の方法4000と同一、同様、または異なってよい。
【0045】
方法4000では、半導体構造は、第1の態様にしたがった半導体構造であってよく、または含んでよい。
【0046】
図4の実施形態では、方法4000は、粒子を形成するために、少なくとも5分(min)の持続時間t
IPを有する浸漬期間IPの全体にわたって、40℃より高い水温T
H20の水に半導体基板をさらすプロセス4200を含む。他の実施形態では、第3の態様にしたがった方法は、たとえば、42℃、45℃、47℃、50℃、52℃、55℃、57℃、60℃、62℃、65℃、70℃、もしくは75℃以上および/または100℃、98℃、95℃、90℃、85℃以下のT
H2Oといった、40℃より高い任意の好適なT
H2Oの水に半導体基板をさらすプロセスを含むことができる。前記他の実施形態では、IPは、たとえば、3分、5分、7分、10分、12分、15分、17分、20分、22分、25分、30分、40分、50分、もしくは60分以上、および/または、72時間、60時間、48時間、36時間、24時間、12時間、10時間、8時間、6時間、5時間、4時間、もしくは3時間以下のt
IPといった少なくとも5分の任意の好適なt
IPを有することができる。
【0047】
図4の実施形態では、半導体基板を水にさらすプロセス4200で使用される水は超純水である。他の実施形態では、任意の十分な純度の水を使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、「高純度水」または「高度に純粋な水」としても知られている超純水を使用することができる。いくつかの実施形態では、ASTM規格D1193-06(2018)のタイプ1、2、3、4、または5の超純水を使用することができる。いくつかの実施形態では、ISO規格ISO 3696:1987のグレード1、2、または3の超純水を使用することができる。
【0048】
本明細書では、「プロセス」とは、最終結果に導く、一連の1つまたは複数のステップのことを呼ぶことができる。そのため、プロセスは、単一ステッププロセスまたはマルチステッププロセスであってよい。加えて、プロセスは、複数のサブプロセスに分割可能であってよく、そのような複数のサブプロセスの個別のサブプロセスは、共通のステップを共有してもしなくてもよい。ここで、「ステップ」とは、予め規定された結果を達成するためにとられる処置のことを呼ぶことができる。
【0049】
点線を使用して
図4に示されるように、
図4の実施形態の方法4000は、半導体基板を水にさらすプロセス4200の以前に、半導体基板を洗浄するプロセス4100を任意選択で含むことができる。他の実施形態では、第3の態様にしたがった方法は、半導体基板を洗浄するプロセスを含んでも含まなくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、予め洗浄された半導体基板を使用することができる。
【0050】
図4の実施形態では、半導体基板を洗浄するプロセス4100は、たとえば、塩酸(HCl)湿式洗浄ステップおよび/またはイソプロパノール(IPA)湿式洗浄ステップといった、湿式洗浄ステップ4110を含むことができる。一般的に、湿式洗浄ステップの利用は、半導体構造を形成する方法の拡張性を向上させる。他の実施形態では、半導体基板を洗浄するプロセスは、たとえば、1つまたは複数の湿式洗浄ステップといった任意の好適なステップを含むことができる。半導体基板を洗浄するプロセスが1つまたは複数の湿式洗浄ステップを含む実施形態では、前記1つまたは複数の湿式洗浄ステップが、たとえば、HCl湿式洗浄ステップ、および/または、IPA湿式洗浄ステップ、および/または、水酸化アンモニウム(NH
4OH)、および/または硫酸(H
2SO
4)湿式洗浄ステップといった任意の好適な湿式洗浄ステップを含むことができる。一般的に、異なるタイプの洗浄手順の利用は、半導体基板上に形成される結晶粒子の形状、および/またはサイズ、および/または面密度に影響をおよぼす可能性がある。
【0051】
点線を使用して
図4にやはり示されるように、
図4の実施形態の方法4000は、少なくとも5分の持続時間t
APを有するアニール期間APの全体にわたって、摂氏200度(℃)から1200℃におよぶアニール温度範囲(ΔT)内に粒子の温度(T
p)を維持することによって、粒子をアニールするプロセス4300を任意選択でさらに含むことができる。一般的に、粒子のアニールは、前記粒子中の第13族ポスト遷移金属酸化物の量を増やす場合がある。他の実施形態では、第3の態様にしたがった方法は、粒子をアニールするプロセスを含んでも含まなくてもよい。第3の態様にしたがった方法が粒子をアニールするプロセスを含む他の実施形態では、ΔTは、たとえば、220℃から1100℃、250℃から1000℃、270℃から900℃、300℃から850℃、320℃から800℃、340℃から750℃、360℃から700℃、380℃から650℃、または400℃から600℃におよぶ場合がある。前記実施形態では、「AP」は、たとえば、少なくとも5分、または、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも35分、少なくとも40分、少なくとも45分、少なくとも50分、少なくとも55分、または、少なくとも60分のt
APといった、任意の好適なt
APを有してよい。
【0052】
図4の実施形態では、粒子をアニールするプロセス4300は、真空チャンバ中の全圧力(p
tot)がAPの全体にわたって、1×10
-3ミリバール(mbar)の最高全圧力
【数4】
より低く維持されるように、APの全体にわたって真空チャンバ中に半導体基板を保持するプロセス4310を任意選択で含むことができる。他の実施形態では、第3の態様にしたがった方法は、半導体基板を真空チャンバ中で保持するプロセスを含んでも含まなくてもよい。他の実施形態では、p
totは、たとえば、1×10
-3mbar、または5×10
-4mbar、または1×10
-4mbar、または5×10
-5mbar、または1×10
-5mbar、または5×10
-6mbar、または2×10
-6mbarの
【数5】
より低い任意の好適な
【数6】
より下に維持することができる。
【0053】
一実施形態では、第3の態様にしたがった方法は、
図4の実施形態の方法4000のプロセスに対応するプロセスを実施するステップを含む。他の実施形態では、第3の態様にしたがった方法は、
図4の実施形態の方法4000の、半導体基板を水にさらすプロセス4200に対応するプロセスを実施するステップを含むことができる。
【0054】
一般的に、方法4000のプロセスのいずれかに対応するプロセスを実施する第3の態様にしたがった方法のステップを、固定の順番で実行する必要はない。しかし、方法4000の半導体基板を洗浄するプロセス4100に対応するプロセスを実施する任意のステップは、一般的に、半導体基板を水にさらすプロセス4200に対応するプロセスを実施するステップの前に実行され、方法4000の半導体基板を水にさらすプロセス4200に対応するプロセスを実施する任意のステップは、一般的に、半導体基板を真空チャンバ中に保持するプロセス4310に対応するプロセスを実施するステップより前に実行される。
【0055】
一般的に、第3の態様にしたがった方法は、
図4の実施形態の方法4000に関連して本明細書で開示されない、任意の数の追加プロセスまたはステップを含むことができる。
【0056】
上に記載された第3の態様の実施形態を互いに組み合わせて使用できることを理解されたい。実施形態のうちのいくつかを一緒に組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。
【0057】
以下で、いくつかの実施例が詳述される。
【0058】
第1の実施例では、
図5Aの電子顕微鏡写真に描かれる第1の半導体構造5001、および
図5Bの電子顕微鏡写真に描かれる第2の半導体構造5002が形成される。
【0059】
第1の半導体構造5001は、結晶質GaAs半導体基板を準備するプロセス、HClおよびIPAを使用して半導体基板を洗浄するプロセス、および、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子を形成するため、30分のtIPを有するIPの全体にわたって、80℃のTH2Oの水に半導体基板をさらすプロセスによって形成された。第1の半導体構造5001は、30分のtAPを有するAPの全体にわたって、350℃で粒子のTpを維持することによってアニールするプロセスにやはりさらされた。
【0060】
第2の半導体構造5002は、第1の半導体構造5001の半導体基板と同一の半導体基板を準備するプロセス、第1の半導体構造5001の半導体基板と同様にHClおよびIPAを使用して半導体基板を洗浄するプロセス、および、30分のtIPを有するIPの全体にわたって、50℃のTH2Oの水に半導体基板をさらすプロセスによって形成された。
【0061】
図5Aおよび
図5Bに明らかに見られるように、第2の半導体構造5002の場合に、粒子の成長が低下することが観察された。そのように低下した粒子の成長は、より低いT
H2Oに起因すると考えることができる。
【0062】
第1の半導体構造5001の粒子の元素組成を決定するために、エネルギー分散X線分光法(EDS)測定を実行した。測定に基づき、粒子は、本質的にGaおよびOからなっていた。
【0063】
さらに、第1の半導体構造5001の粒子が受けるアニールプロセスの効果を決定するために、第1の半導体構造5001を形成するため使用された方法と同様の方法を使用して、さらなる半導体構造が形成された。しかし、第1の半導体構造5001とは反対に、さらなる半導体構造は、半導体基板を水にさらす手順に続けてアニールされなかった。
【0064】
第1の半導体構造5001の粒子およびさらなる半導体構造の半導体基板上に形成されるものの結晶構造を決定するために、X線回折(XRD)測定が実行された。結果によれば、第1の半導体構造5001の粒子が欠陥スピネル構造のγ-Ga2O3を含む一方で、さらなる半導体構造の半導体基板上の粒子は、GaOOHを含んだ。
【0065】
第2の実施例では、
図6Bの電子顕微鏡写真に描かれる第3の半導体構造6003は、結晶質GaAs半導体基板を準備するプロセス、HClおよびIPAを使用して半導体基板を洗浄するプロセス、および、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子を形成するため、150分のt
IPを有するIPの全体にわたって、80℃のT
H2Oの水に半導体基板をさらすプロセスによって形成された。
【0066】
第3の半導体構造6003は、第1の実施例の第1の半導体構造5001を形成するために使用されたものと同様の方法を使用して形成された。しかし、第3の半導体構造6003は、より長いIPの間超純水にさらされ、アニールにはさらされなかった。第1の半導体構造5001は
図6Aに図示される。
【0067】
図6Aおよび
図6Bに明らかに見られるように、第3の半導体構造6003の場合に、粒子サイズの増大が観察された。そのような粒子サイズの増大は、より長いIPに起因すると考えることができる。
【0068】
さらに、第3の半導体構造6003の結晶質GaAs半導体基板の光学特性に対する第3の半導体構造6003の粒子の効果を評価するために、フォトルミネッセンスおよび光反射率測定値が使用された。測定の期間に、自然酸化物層でコーティングされる結晶質GaAs半導体基板は、基準試料として使用された。結果に基づいて、基準試料の測定したフォトルミネッセンスおよび光反射率とそれぞれ比較すると、粒子は、測定されるフォトルミネッセンスの強度を約850nmの波長で約8倍増加し、反射率を550nmの波長で、たとえば約37%から約24%といった、半分近くに減少させた。
【0069】
第3の実施例では、
図7Bの電子顕微鏡写真に描かれる第4の半導体構造7004は、結晶質GaAs半導体基板を準備するプロセス、HClおよびIPAを使用して半導体基板を洗浄するプロセス、および、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子を形成するため、120分のt
IPを有するIPの全体にわたって、100℃のT
H2Oの水に半導体基板をさらすプロセスによって形成された。
【0070】
第4の半導体構造7004は、第2の実施例の第3の半導体構造6003を形成するために使用されたものと同様の方法を使用して形成された。しかし、第4の半導体構造7004は、より高いT
H2Oで形成された。第3の半導体構造6003は
図7Aに図示される。
【0071】
粒子に加えて、第4の半導体構造7004は、半導体基板を覆う、粗いアモルファスコーティングを備える。加えて、第3の半導体構造6003とは反対に、半導体基板の表面のかなりの部分に粒子がないように、粒子は、半導体基板の表面の全体にわたって不均一に分散された。
【0072】
第4の実施例では、
図8Aおよび
図8Bの電子顕微鏡写真に描かれる第5の半導体構造8005は、結晶質InAs半導体基板を準備するプロセス、HClおよびIPAを使用して半導体基板を洗浄するプロセス、および、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子であって、立方形状を有する粒子を形成するため、120分のt
IPを有するIPの全体にわたって、70℃のT
H2Oの水に半導体基板をさらすプロセスによって形成された。
【0073】
第5の半導体構造8005の粒子の元素組成を決定するために、EDS測定が行われた。測定に基づくと、粒子はInとOの両方を含んだ。
【0074】
さらに、粒子の成長へのTH2Oの変化の効果を決定するために、2つのさらなる半導体構造試料が形成された。そのうちの一方が60℃のTH2Oを使用して形成され、そのうちの他方が80℃のTH2Oを使用して形成された。2つのさらなる半導体構造試料の両方の場合で、粒子の成長がかなり低下することが観察された。
【0075】
第5の実施例では、
図9の電子顕微鏡写真に描かれる第6の半導体構造9006は、結晶質GaAs半導体基板を準備するプロセス、HClおよびIPAを使用して半導体基板を洗浄するプロセス、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子を形成するため、30分のt
IPを有するIPの全体にわたって、80℃のT
H2Oの水に半導体基板をさらすプロセス、40分のt
APを有するAPの全体にわたって、400℃で粒子のT
pを維持することによって粒子をアニールするプロセス、および、真空チャンバ中のp
totがAPの全体にわたって、1×10
-3mbarの最高全圧力
【数7】
より低く維持されるように、APの全体にわたって真空チャンバ中に半導体基板を保持するプロセスによって形成された。結果として得られた多結晶粒子は、とげのようにギザギザな形状を有することが観察された。
【0076】
第6の実施例では、別の半導体構造が、n型GaAsエミッタ層、エミッタ層を覆うガリウムインジウムリン(GaInP)閉込め層、閉込め層を覆うGaAsから形成される第1のバリア層、第1のバリア層を覆うガリウムインジウムヒ素(GaInAs)量子井戸層、および量子井戸層を覆うGaAsから形成される第2のバリア層を備える半導体基板を設けること、ならびに、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子を形成するために、30分のtIPを有するIPの全体にわたって、80℃のTH2Oの水に半導体基板をさらすことによって形成された。結晶粒子の形成に続けて、第6の実施例の半導体基板は、そのような粒子のない同様の基準試料と比較して、フォトルミネッセンスの増加および可視光反射率の減少を呈した。フォトルミネッセンス強度の増加および反射率の減少は、粒子の形成の2週間後でさえ観察された。
【0077】
第7の実施例では、さらに別の半導体構造が、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子を形成するため、150分のtIPを有するIPの全体にわたって、80℃のTH2Oの水に半導体基板をさらすプロセスの前に、GaAs半導体基板を機械的に摩耗させることによって形成された。GaAs半導体基板を機械的に摩耗させるプロセスに起因して、半導体基板の摩耗されない部分上により高い表面密度で、半導体基板の摩耗された部分上にかなり低い表面密度で、結晶粒子が形成された。他の実施形態では、第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素を含む結晶質III-V族半導体基板と、半導体基板に化学的に結合され、第13族ポスト遷移金属元素および酸素を含む結晶粒子と、を備えた半導体構造を形成するための方法は、半導体基板を水にさらすプロセスの前に半導体基板を機械的に摩耗させるプロセスを含んでも含まなくてもよい。
【0078】
第8の実施例では、さらに別の半導体構造が、半導体基板に化学的に結合される結晶粒子を形成するため、150分のtIPを有するIPの全体にわたって、80℃のTH2Oの水に半導体基板をさらすプロセスの前に、GaAs半導体基板をアルゴン(Ar)イオンスパッタリングにさらすことによって形成された。イオンスパッタリングは、たとえば、室温で実行することができる。350℃などの高温が使用される場合にも、ナノ結晶密度が同じであってよいことも発見されている。半導体基板をイオンスパッタリングにさらすプロセスに起因して、半導体基板上により低い表面密度で、結晶粒子が形成された。他の実施形態では、第13族ポスト遷移金属元素およびヒ素を含む結晶質III-V族半導体基板と、半導体基板に化学的に結合され、第13族ポスト遷移金属元素および酸素を含む結晶粒子と、を備えた半導体構造を形成するための方法は、半導体基板を水にさらすプロセスより前に、Arイオンスパッタリングなどといったイオンスパッタリングに半導体基板をさらすプロセスを含んでも含まなくてもよい。
【0079】
さらなる実施例
以下では、様々な有利な結果を達成することができるさらなる実施例およびその追加の特徴が提示される。
【0080】
さらなる実施例1
以下のプロセスによって、ナノ結晶のサイズを小さくすること、およびそれらの密度を高めることを可能にできることが発見されている。GaAsは、最初に3分の間、HCl+IPAによって化学的に洗浄され、次いで、150分の間80℃でHW処理が行われ、その後にナノ結晶を摩耗させる。摩耗の後に、同じ試料に、化学的洗浄およびHWの第2のラウンドが適用される。
【0081】
ナノ結晶を除去するための摩耗が、より小さい粒子を形成するための重要な要因であってよい。機械的除去期間に既存のナノ結晶を破壊することによって、第2のHW処理期間の、より小さいナノ結晶(ナノワイヤ)の成長のための新しい核を形成することができる。化学的洗浄のステップを省略することが可能な場合がある。
【0082】
さらなる実施例2
HW中のAsの量が、ナノ結晶の成長に影響をおよぼしてよい。As濃度がより高くなると、成長がより少なくなってよい。たとえば、HW中のAs濃度範囲を、0.012~0.026mg/mlの範囲で有すること、および高いAs濃度を有する水中において150分間80℃でHW処理を実行することによって、有利な結果が達成されている。
【0083】
さらなる実施例3
化学的洗浄->150分間80℃でのHW->ナノ結晶を摩耗->IPA中にナノ結晶を収納によって開始する以下の手順で、試料の基板上により小さいナノ構造を成長させることが可能であることが発見されている。次いでプロセスは、別のサンプルから採取されたナノ結晶を有するIPAの中に試料を浸すことによって続けられる。次いで、第2の試料がHW処理された。次いで、試料のSEM画像に見られるように、基板上に、より小さいナノ結晶が成長することができる。
【0084】
任意選択で、上で説明したプロセス中で、GaAs基板上のより小さいナノ結晶の形成を促進するため、ナノ結晶+IPAの中に浸す前に、GaAs基板を洗浄する場合がある。
【0085】
さらなる実施例4
150分間80℃でのHW処理の前に、室温で20秒間H2O2:アンモニア(20:1)の化学的事前処理を使用することによって、基板上のヒ素酸化物ナノ結晶の形成がもたらされてよい。
【0086】
さらなる実施例5
GaOOHナノ結晶のUHV加熱およびそれらの相をGa2O3に変えた後は、ナノ結晶の形態および密度は、UHV加熱の前と同じであってよい。
【0087】
これは、4時間450℃でのUHV加熱の後に、GaAs 45からのSEM画像中で確認されている。この試料は、IPA+HCl洗浄にさらされ、次いで、UHV加熱の前に80℃で150分間HW処理されたGaAs基板であった。
【0088】
技術の進歩で、本発明の基本的な考えを様々な方法で実装できることは、当業者には明らかである。本発明およびその実施形態は、したがって、上で記載された実施例に限定されず、その代わりに、請求の範囲内で変化することができる。
【0089】
上で記載された任意の利益および長所が1つの実施形態に関係してよく、または、いくつかの実施形態に関係してよいことを理解されよう。実施形態は、言及された問題の一部もしくは全部を解決するもの、または、言及された利益および長所の一部もしくは全部を有するものに限定されない。
【0090】
「備える(comprising)」という用語は、本明細書では、1つまたは複数の追加の特徴または行為の存在を除外することなく、以降に続く特徴または行為を含むことを意味するように使用される。「1つの」項目に対する参照が、1つまたは複数のそれらの項目のことを呼ぶことを、さらに理解されよう。
【符号の説明】
【0091】
【数8】
投影最小直径
【数9】
平均投影最小直径
w
ave 平均結晶化度
IP 浸漬期間
t
IP 浸漬期間の持続時間
T
H2O 水温
T
p 粒子の温度
ΔT アニール温度範囲
AP アニール期間
t
AP アニール期間の持続時間
p
tot 全圧力
【数10】
最高全圧力
1000 半導体構造
1100 半導体基板
1200 粒子
1300 コーティング
2000 半導体構造
2100 半導体基板
2200 粒子
3000 半導体デバイス
3100 半導体ウェハ
3110 ドナードープ層
3120 真性層
3130 アクセプタドープ層
3200 粒子
3300 コーティング
3401 第1の金属接点
3402 第2の金属接点
4000 方法
4100 半導体基板を洗浄する
4110 湿式洗浄
4200 半導体基板を水にさらす
4300 粒子をアニールする
4310 半導体基板を真空チャンバ中で保持する
5001 第1の半導体構造
5002 第2の半導体構造
6003 第3の半導体構造
7004 第4の半導体構造
8005 第5の半導体構造
9006 第6の半導体構造
【国際調査報告】