(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】カメラと、光を吸収する不透明素子とを備える光学モジュール
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240723BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240723BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240723BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240723BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240723BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
G03B17/56 H
H04N23/55
B60R11/02 Z
G03B30/00
G03B11/00
G03B11/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579382
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2022064854
(87)【国際公開番号】W WO2022268460
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、グラール
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン、テキシエ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、プランシェ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ルノー
【テーマコード(参考)】
2H083
2H105
3D020
5C122
【Fターム(参考)】
2H083AA05
2H083AA26
2H083AA58
2H105DD06
3D020BA20
3D020BD05
5C122DA14
5C122EA15
5C122FB03
5C122GE01
5C122GE09
(57)【要約】
発明は車両用光学モジュール(1)に関し、前記光学モジュール(1)は:-光学レンズのセット(100)を有するカメラ(10);-前記カメラ(10)を受け入れるように構成されたハウジング(11);及び-前記カメラ(10)に面して配置され、前記カメラ(10)を前記車両の外部から隠すように構成されたガラス窓(12)と、を備え、前記光学モジュール(1)は、前記カメラ(10)の前記光学レンズのセット(100)での前記光(Lx)の迷光反射を低減するように、前記車両(2)の外部からの光(Lx)を吸収するように構成された不透明要素(13)を更に備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)のための光学モジュール(1)であって、前記光学モジュール(1)は:
- 光学レンズのセット(100)を具備するカメラ(10)と、
- 前記カメラ(10)を受け入れるように構成されるハウジング(11)と、
- 前記カメラ(10)に面して配置され、前記カメラ(10)を前記車両(2)の外側から隠すように構成される外側レンズ(12)であって、前記光学モジュール(1)が、前記カメラ(10)の前記光学レンズ(100)のセットでの光(Lx)の寄生反射を低減するように、前記車両(2)の外側から来る光(Lx)を吸収するように構成される不透明要素(13)を更に備えることを特徴とする、外側レンズ(12)と、
を備える光学モジュール(1)。
【請求項2】
前記寄生反射は、前記外側レンズ(12)の内面(120)における光(Lx)の反射によってもたらされる、請求項1に記載の光学モジュール(1)。
【請求項3】
前記不透明要素(13)は前記外側レンズ(12)であり、前記外側レンズ(12)は、第1部分(12a)及び第2部分(12b)を含み、非均質なやり方で不透明である、請求項1又は2に記載の光学モジュール(1)。
【請求項4】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)よりも不透明である、請求項3に記載の光学モジュール(1)。
【請求項5】
前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)よりも暗い、請求項4に記載の光学モジュール(1)。
【請求項6】
前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)よりも大きい厚さを有する、請求項4に記載の光学モジュール(1)。
【請求項7】
前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)の材料(m2)よりも多くの光(Lx)を吸収する材料(m1)で作られる、請求項4に記載の光学モジュール(1)。
【請求項8】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、30%~50%の不透明度である、請求項4~7のいずれか一項に記載の光学モジュール(1)。
【請求項9】
前記外側レンズ(12)の前記第2部分(12b)は、75%~80%の透明度である、請求項4~8のいずれか一項に記載の光学モジュール(1)。
【請求項10】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、前記カメラ(10)の光軸(Aa)に対して11°以上の角度(β)で配置される、請求項3~9のいずれか一項に記載の光学モジュール(1)。
【請求項11】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、前記カメラ(10)の光軸(Aa)に対して21°以上の角度(β)で配置される、請求項3~10のいずれか一項に記載の光学モジュール(1)。
【請求項12】
前記不透明要素(13)は、前記カメラ(10)の前記ハウジング(11)から突出して位置づけられる不透明キャップである、請求項1又は2に記載の光学モジュール(1)。
【請求項13】
前記不透明要素(13)は、前記カメラ(10)の前記光学レンズのセット(100)の上方に位置づけられる不透明キャップである、請求項1又は2に記載の光学モジュール(1)。
【請求項14】
前記ハウジング(11)は非反射性内面(11b)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学モジュール(1)。
【請求項15】
前記光(Lx)は、自然光又は街灯からの光である、請求項1~14のいずれか一項に記載の光学モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用光学モジュールに関する。それは特に、非限定的ではあるが、動力車両に適用可能である。
【発明の概要】
【0002】
図1に示すように、当業者に既知の車両用光学モジュール6の一例は、以下を備える:
- 光学レンズ600のセットを備えるカメラ60、
- 前記カメラ60を受け入れるように構成されたハウジング61、
- 前記カメラ60に面して配置された外側レンズ62。
【0003】
外側レンズ62は不透明であり、それは、カメラ60を車外から隠すことを可能にする。したがって、車両外部の観察者は、光学モジュール6を見るときにカメラ60を見ることはない。カメラ60は、車両の外部環境を監視するために使用される。それは、車両の外部環境の画像を生成し、特に前記車両を駐車する場合に、車両の運転手に役立つ画像を生成する。車両はカメラ60からの画像をその車載スクリーンに表示する。
【0004】
この先行技術の1つの不利な点は、車外から到来する光Lxが、特に上方から到来する光が、光学レンズ600のセット上で外側レンズ62の内面620に向かって反射され、それによって
図1に示すように一次反射r1が生じることである。これらの一次反射r1は次数1の反射である。これらの一次反射r1は、今度は前記外側レンズ62の内面620で反射され、それによって
図1に示すように、不透明レンズ600のセットに戻される二次反射r2が生じる。これらの二次反射r2は次数2の反射である。これらの二次反射r2は、光学レンズ600のセットの内部に光Lxの寄生拡散(parasitic diffusion)を生じさせ、フレアと呼ばれる。運転者は、カメラ60によって生成された画像上にこれらの二次反射r2を見ることになり、それは車載スクリーン上でカメラ60からの画像を見ている当該運転者にとって視覚的に煩わしいものとなる。これは、彼らにとって車両を駐車することを難しくする。
【0005】
これに関連し、本発明は、前述の欠点を克服することを可能にする光学モジュールを提供することを目的とする。
【0006】
この目的のために、発明は車両用の光学モジュールを提案し、前記光学モジュールは、以下を備える:
- 光学レンズのセットを備えるカメラ、
- 前記カメラを受け入れるように構成されたハウジング、
- 前記カメラに面して配置され、前記カメラを前記車両の外側から隠すように構成された外側レンズであって、前記光学モジュールが、前記カメラの前記光学レンズのセット上での前記光の寄生反射を低減するように、前記車両の外側から来る光を吸収するように構成された不透明要素を更に備えることを特徴とする外側レンズ。
【0007】
非限定的な実施形態によれば、前記光学モジュールは、更に、単独で又は技術的に可能な任意の組み合わせで実施される、以下の追加的な特徴のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0008】
非限定的な一実施形態によれば、
非限定的な一実施形態によれば、
非限定的な一実施形態によれば、前記寄生反射は、前記外側レンズの内面における光の反射によってもたらされる。
【0009】
非限定的な一実施形態によれば、前記不透明要素は前記外側レンズであり、前記外側レンズは、第1部分と第2部分とを含み、非均質な態様で不透明である。
【0010】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は、前記第2部分よりも不透明である。
【0011】
非限定的な一実施形態によれば、前記第1部分は第2部分よりも暗い。
【0012】
非限定的な一実施形態によれば、前記第1部分は、前記第2部分よりも大きな厚さを有する。
【0013】
非限定的な一実施形態によれば、前記第1部分は、前記第2部分の材料よりも多くの光を吸収する材料で作られている。
【0014】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は、30%~50%の不透明さである。
【0015】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第2部分は、75%~80%の透明さである。
【0016】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は、前記カメラの光軸に対して11°以上の角度で配置される。
【0017】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は、前記カメラの光軸に対して21°以上の角度で配置される。
【0018】
非限定的な一実施形態によれば、前記不透明要素は、前記カメラのハウジングから突出して配置された不透明キャップである。
【0019】
非限定的な一実施形態によれば、前記不透明要素は、カメラの光学レンズの前記セットの上方に配置された不透明キャップである。
【0020】
非限定的な一実施形態によれば、前記ハウジングは、非反射性の内面を備える。
【0021】
非限定的な一実施形態によれば、前記光は、自然光又は街灯からの光である。
【0022】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は、30%~50%の不透明さであり、前記外側レンズの前記第2部分は、75%~80%の透明さである。
【0023】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は50%の不透明さであり、前記外側レンズの前記第2部分は80%の透明さである。
【0024】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は、可変的なやり方で不透明である。
【0025】
非限定的な一実施形態によれば、前記外側レンズの前記第1部分は、2mmよりも大きな厚さを有し、前記第2部分は、2mmに実質的に等しい厚さを有する。
【0026】
非限定的な一実施形態によれば、第1部分は、前記カメラの光軸に対して11°~25°の角度で配置される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
発明及びその様々な適用は、以下の説明を読み、添付の図を検討することにより、より良く理解され、当該添付の図において:
【
図1】
図1は、先行技術による、車両用光学モジュールの概略図であり、前記光学モジュールは、カメラ、前記カメラ用のハウジング、及び外側レンズを備える。
【
図2】
図2は、発明による、車両用光学モジュールの概略図であり、前記光学モジュールは、カメラ、前記カメラ用ハウジング、外側レンズ、及び不透明要素を備える。
【
図3】
図3は、非限定的な第1実施形態の第1代替実施形態による
図2の光学モジュールの概略側面図であり、当該第1代替実施形態によれば前記外側レンズと前記不透明要素とが組み合わされる。
【
図4】
図4は、非限定的な第1実施形態の第2代替実施形態による
図2の光学モジュールの概略側面図であり、当該第2代替実施形態によれば前記外側レンズと前記不透明要素とが組み合わされる。
【
図5】
図5は、非限定的な第1実施形態の第3代替実施形態による
図2の光学モジュールの概略側面図であり、当該第3代替実施形態によれば前記外側レンズと前記不透明要素とが組み合わされる。
【
図6】
図6は、非限定的な第2実施形態の第1代替実施形態による
図2の光学モジュールの概略側面図であり、当該第1代替実施形態によれば前記外側レンズと前記不透明要素とは別個の要素である。
【
図7】
図7は、非限定的な第2実施形態の第2代替実施形態による
図2の光学モジュールの概略側面図であり、当該第2代替実施形態によれば前記外側レンズと前記不透明要素とは別個の要素である。
【
図8】
図8は、非限定的な一実施形態による
図2の光学モジュールの概略側面図であり、前記光学モジュールは街灯から距離をおいて配置される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
構造又は機能の点で同一であり且つ様々な図に現れる要素は、特に断りのない限り、同じ参照を保持する。
【0029】
発明による車両2用の光学モジュール1を、
図2~
図8を参照して説明する。非限定的な一実施形態において、車両2は動力車両である。動力車両は、任意のタイプの動力駆動の車両を意味すると理解される。この実施形態は、明細書の残りの部分を通して非限定的な例として取り上げられる。従って、本明細書の残りの部分において、車両2が動力車両2と称される。
【0030】
図2に示すように、動力車両2用の光学モジュール1は、以下を備える:
- カメラ10、
- ハウジング11、
- 外側レンズ12、及び
- 不透明要素13。
【0031】
カメラ10は、光学レンズのセット100を備える。前記光学レンズのセット100は、1つ又は複数の光学レンズを含む。カメラ10は、視野Fovを有する。カメラ10は、動力車両2の外部環境の画像i1を生成する。言い換えれば、それは外部環境におけるシーンに関する画像i1を生成する。したがって、カメラ10は、他の車両、歩行者、自転車などの移動物体、又は、歩道、道路標識、建物、樹木などの静止物体を検出する。非限定的な一例において、画像i1は、動力車両2のダッシュボードに表示され、動力車両2の運転手が、前記動力車両2を駐車するための操作を行うことを可能にする。別の非限定的な例において、画像i1は、運転者が、彼らが交差点を安全に横断できるかどうかを判断するために、右及び左から来るかもしれない交差点における車両を見ることを可能にする。別の非限定的な例において、画像i1はリバースカメラからの画像である。これにより、それらは動力車両2の後方にいる歩行者を見ることを可能にし、したがって運転者が歩行者を轢くことなく完全に安全にリバース操作を行うことを可能にする。カメラ10は、光学レンズ100に関連づけられる光学センサ101を更に備え、前記光学センサ101は積分時間t1を有する。積分時間t1は、光学センサ101のセルの開口時間である。
【0032】
非限定的な一実施形態において、カメラ10はHDR、すなわち「ハイダイナミックレンジ」、カメラであり、複数の積分時間t1を有する。HDRカメラは、同時に取得されるシーンの3つの画像を使用して、特に異なる積分時間t1で、再構成してノイズのない単一の最終画像を生成することを可能にする。これにより、最終画像において更なるディテールを有するように、最終画像の光コントラストも向上する。
【0033】
非限定的な一実施形態において、カメラ10は広角カメラである。非限定的な一例において、カメラ10は、車両軸Axに対して170°の合計水平角度を有する。非限定的な実施形態において、カメラ10は、前記動力車両2のフロント、リア、又は一方のサイドに配置される。非限定的な実施形態において、カメラ10は:
- 動力車両2のフロントにおけるロゴに、又は
- フロントヘッドランプに、又は
- テールランプに、又は
- リアバンパーに、又は
- バックミラーに、
配置される。
【0034】
ハウジング11はカメラ10を受け入れるように構成されている。それは外側レンズ12によって閉鎖されている。非限定的な一実施形態において、ハウジング11の内面11bは黒色で非反射性である。非反射性にするために、非限定的な一実施形態において、それはつや消し塗料で覆われている。これは、動力車両2の外部からカメラ10を隠すことを可能にする。したがって、動力車両2の外側の観察者は、彼らが光学モジュール1を見ても、カメラ10を見ることはない。
【0035】
保護レンズと呼ばれる外側レンズ12は、カメラ10に面して配置される。それは、動力車両2の外部からカメラ10を隠すように構成されている。したがって、カメラ10は、光学モジュール1を見ている動力車両2の外部の観察者には見えない。したがって、外側レンズ12は不透明である。非限定的な一実施形態において、外側レンズ12は、実質的に20%に等しい不透明度(言い換えれば、実質的に80%に等しい透明度)を有する。外側レンズ12は、カメラ10に向けられる内面120と、内面120の反対側で動力車両2の外部に向けられる外面121とを有する。非限定的な一実施形態において、外側レンズ12はハウジング11を閉鎖する。
【0036】
不透明要素13は、カメラ10の光学レンズのセット100における前記光Lxの寄生反射(先行技術を示す
図1において参照されるr2)を大幅に低減するように或いは完全に除去するように、動力車両2の外部から来る光Lxを吸収するように構成される。
【0037】
外から来る光Lxは、外光Lxと呼ばれる。この光Lxは、太陽からの自然光(さもなければ天頂光(zenith light)と称される)であったり、街灯からの光であったりする。それは、カメラ10の光軸Aaに対して上方から来る光である。非限定的な一実施形態において、カメラ10の光軸Aaは、光学レンズのセット100の光学中心に対応する。
【0038】
以下に見られるように、不透明要素13は、外側レンズ12と組み合わされるか或いは外側レンズ12とは区別される。
図2において、不透明要素13は、外側レンズ12から図式的に分離して示されている。
【0039】
図3~
図5に示す非限定的な第1実施形態において、不透明要素13は前記外側レンズ12である。このように、不透明要素13と前記外側レンズ12とが組み合わされている。前記外側レンズ12は、上側部分12aと別称される第1部分12aと、下側部分12bと別称される第2部分12bとを備え、それは非均質なやり方で不透明である。
【0040】
非限定的な一実施形態において、第1部分12a及び第2部分12bは、カメラ10の視野Fovをカバーするように配置される。
【0041】
第1部分12aは、光Lxを直接受光するように構成され、その一方で第2部分12bは、光Lxのうちの小さい部分を直接受光するように又は光Lxを直接受光しないように、構成される。したがって、上側部分12aは、車両軸Axに垂直な軸Azに沿って下側部分12bの上方に位置する。光Lxが、特に第2部分12bに到達するように動力車両2が位置する地面で、反射されうることに留意される。従って、第2部分12bは、光Lxを受光するが、主に或いは完全に、地面でのその反射を介して間接的に受光する。地面からの反射はほとんどフレアを生じないことに留意される。したがって、これらの反射の源は、街灯と太陽である。他の源は、他の車であってもよい。
【0042】
非限定的な一実施形態において、上側部分12aは、したがって、ハウジング11の上部110からカメラ10のほぼ中間の高さまで、言い換えればカメラ10のほぼ光軸Aaまで、延在し;下側部分12bは、ハウジング11の底部111からカメラ10のほぼ中間の高さまで、言い換えればカメラ10のほぼ光軸Aaまで、延在する。
【0043】
非限定的な一実施形態において、上側部分12a及び下側部分12bは平坦である。
【0044】
図8に示すように、非限定的な一実施形態において、カメラ10は、20メートルの最大視距離(maximum viewing distance)D1まで焦点を合わせる。最悪の場合、カメラ10は、D2=街灯4の大きさから地面5に対するカメラ10の高さh1を引いた角度β=Arctan(D2/D1)で、
図8に示す街灯4から来る光Lxによって眩惑される可能性がある。非限定的な例示的実施形態において、カメラ10は、地面5に対して1メートルの高さh1に配置される。これは「サラウンドビューカメラ」と呼ばれるパノラマビジョン用のカメラ10の場合である。非限定的な一実施形態において、街灯4は、高さ5m~9mのサイズD0を有する。したがって、β=Arctan(4/20)=11°であり、4=5m-1mである。したがって、非限定的な一実施形態において、第1部分12aは、カメラ10の光軸Aaに対して11°以上の角度βで配置される。すなわち、第1部分12aの下端は、11°の角度βを超えて停止する。
【0045】
街灯4の照度は、高さ5mの街灯の場合、約500ルクス又は40500cd(カンデラ)の光度であることに留意される。20mの視距離D1において、照度は100ルクスにほぼ等しく、それは非常に小さい。一方、10mの視距離D1において、照度は約250ルクスとなる。したがって、そのような街灯4から来る光Lxは、視距離D1=20mの場合よりも、視距離D1=10mの場合の方が、より強いフレア効果をもたらす。更に、別の非限定的な実施形態において、第1部分12aは、カメラ10の光軸Aaに対して21°以上の角度βで配置される。
【0046】
非限定的な一実施形態において、第1部分12aは、カメラ10の光軸Aaに対して11°~25°の角度βで配置される。
【0047】
外側レンズの第1部分12aは、第2部分12bよりも不透明であるため、より多くの光Lxを吸収し、その一方で、第2部分12bはより透明であるため、特に地面で反射されたより多くの光Lxと、それが同じものを受光する場合にはより多くの直接光Lxと、を取り込む。
【0048】
非限定的な一実施形態において、第1部分12aは30%~50%の不透明性(言い換えれば70%~50%の透明性)であり、その一方で第2部分12bは75%~80%の透明性(言い換えれば20%~25%の不透明性)である。非限定的な代替実施形態において、第1部分12aは50%の不透明性(言い換えれば50%の透明性)であり、第2部分は80%の透明性(言い換えれば20%の不透明性)である。これは、第1部分12aが光Lxを50%まで遮断し、第2部分12bが光学モジュール10に到達する光Lxの80%を透過させることを意味する。
【0049】
非限定的な一実施形態において、第1部分12aは可変的なやり方で不透明である。したがって、非限定的な一例において、第1部分12aの不透明度は、下から上へ、換言すればカメラ10の光軸Aaの近くに位置する端部からハウジング11の頂部110の近くに位置する端部まで、徐々に増加してもよい。同様に、非限定的な一実施形態において、第2部分12bは、可変的なやり方で透明である。したがって、非限定的な一例において、第2部分12bの透明度は、上から下へ、換言すればカメラ10の光軸Aaの近くに位置する端部からハウジング11の底部111の近くに位置する端部まで、徐々に増加してもよい。
【0050】
上側部分12aは、それがこのレベルで外側レンズ12を部分的にのみ通過するように、且つ、カメラ10からの画像i1を乱す前記外側レンズ12の前記内面120上での寄生反射が極めて少ないか又は全くないように、光Lxを吸収する。
図3~
図5に示すように、上側部分12aは、光Lxの大部分Lx’を吸収し、小部分Lx’’を通過させる。上側部分12aはまた、他の寄生反射であって、光学レンズのセット100上の他の二次反射であり、外光Lxの外側レンズ12内部での反射、換言すればその内面120上での直接の反射、に由来し、且つ光学レンズのセット100に戻される他の寄生反射を、かなり減少させ或いは除去さえする。
【0051】
外側レンズ12の第1部分12aを第2部分12bに比べてより不透明にするための3つの非限定的な代替実施形態を以下に説明する。
【0052】
図3に示す非限定的な第1代替実施形態において、第1部分12aは第2部分12bよりも暗い。これにより、それをより不透明にする。第1部分12aを第2部分12bよりも暗くするために、非限定的な一実施形態において、工業的なプロセスで、上側部分12aが暗くされることに留意される。したがって、20%の不透明度の代わりに、非限定的な一例において、上側部分12aは30%の不透明度となる。別の非限定的な実施形態において、下側部分12bはより透明化される。したがって、上側部分12aのように70%の透明さである代わりに、下側部分12bは、非限定的な一例では90%の透明さとなる。上側部分12aを暗くするために、非限定的な一例において、着色塗料が使用されてもよい。別の非限定的な例において、2K又は3Kのマルチショット射出成形プロセスが使用されてもよい。
【0053】
図4に示す非限定的な第2代替実施形態において、第1部分12aは、前記第2部分12bの厚さe2よりも大きい厚さe1を有する。第1部分12aの材料を厚くすると、それがより不透明になり、したがって、それはより多くの光Lxを吸収する。非限定的な一実施形態において、厚さe1は2mmより大きい。非限定的な一実施形態において、それは50%の不透明度を得るために3mmに等しい。非限定的な一実施形態において、厚さe2は実質的に2mmに等しい。
【0054】
材料は線形吸収係数αに従って光を吸収し、当該線形吸収係数αは、P=P0×exp(-α×e)となっており、eは材料の厚さであり、この場合e=e1は第1部分12aの材料の厚さであり、Pは光Lxの発光パワー(luminous power)であり、P0は初期光パワー(initial light power)であることに留意される。したがって、α=(4×π×k)/λであり、λは光Lxの波長であり、kは第1部分12aの材料に固有の減衰係数である。kは材料の屈折率及び誘電率に依存する。kの定式化は当業者に知られているので、kはここでは説明されない。
【0055】
図5に示す非限定的な第3代替実施形態において、第1部分12aは、前記第2部分12bの材料m2よりも多くの光Lxを吸収する材料m1で作られている。非限定的な一例において、下側部分12bは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPC(ポリカーボネート)材料で作られている。非限定的な一例において、上側部分12aは、より多くの着色顔料(ドットで図示)を内部に有するPMMA又はPC材料で作られており、それは光Lxを吸収し、それによってそれがより不透明になる。
【0056】
図6及び
図7に示す非限定的な第2実施形態において、不透明要素13は、前記外側レンズ12とは異なり、不透明キャップである。したがって、それらは組み合わされていない。この非限定的な第2実施形態において、非限定的な一例において、外側レンズ12は20%の不透明さであり、それによって動力車両2の外側から来る光Lxの80%を取り入れる。非限定的な一実施形態において、不透明キャップ13は平坦である。不透明キャップ13は、カメラ10の視野Fovを妨げないように配置される。
【0057】
図6に示す非限定的な第1代替実施形態において、不透明キャップ13は、カメラ10のハウジング11から突出して配置される。それは、カメラ10の光軸Aaと平行に、ハウジング11の上部110から延びる。見られるように、不透明キャップ13は光Lxを吸収する。それは、部分的又は全体的に光を吸収する。これはその不透明度に依存する。示した非限定的な例において、それは光を完全に吸収する。非限定的な一例において、不透明キャップ13はハウジング11に接着接合されている。
【0058】
図7に示す非限定的な第2代替実施形態において、不透明キャップ13は、カメラ10の前記光学レンズのセット100の上方に配置される。それは、カメラ10の光軸Aaに平行に延びる。見られるように、不透明キャップ13は光Lxを吸収する。それは、部分的又は全体的に光を吸収する。これはその不透明度に依存する。示した非限定的な例において、それは光を完全に吸収する。この非限定的な第2代替実施形態の非限定的な一実施形態において、不透明キャップ13は外側レンズ12にくっついて配置される。非限定的な一例において、それは外側レンズ12に接着接合されている。
【0059】
不透明要素13のないカメラにおいて、シーンが暗ければ暗いほど、前記シーンの画像i1をキャプチャして生成するために積分時間t1を長くしなければならず、シーンが明るければ明るいほど、積分時間t1を短くしなければならないことに留意される。更に、不透明要素13がなければ、撮像されたシーンのすべての領域においてディテールを明瞭に見ることができる画像のさまざまな領域間の強いコントラストを有する最終的な画像i1に到達するまでに、複数の積分時間t1を要する。例えば、空の雲を道路よりも明るく撮像するには短い積分時間t1が必要であり(画像の暗い要素は暗くされる)、道路の段差を空よりも暗く撮像するには長い積分時間t1が必要である(空は飽和し、それによってほとんど真っ白になる)。
【0060】
画像i1において、シーンの光強度は、カメラ10の光軸Aaにおける部分や地面に向かう部分よりも、(スカイレベル(sky level)で)上部に向かって大きくなる。不透明要素13は、この光強度の差を補償することを可能にする。光強度は、カメラ10によって生成される画像i1全体にわたってより均一になる。不透明素子13は、画像i1の上部を暗くすることを可能にする。画像i1において、単一の積分時間t1で、複数の積分時間t1を使用する代わりに、画像i1のすべての領域において、特に撮像されるシーンの上部において及び撮像されるシーンの下部においても、ディテールをはっきりと見ることが可能である。このようにして、画像i1における様々な要素間のコントラストは、不透明要素13によって低減される。
【0061】
また、不透明素子13のないカメラにおいて、画像i1におけるコントラストを上げることで、光学センサ101の信号対雑音比が低下することにも留意される。具体的には、不透明素子13がないと、所定の積分時間t1に関し、光強度の極値に向かってより大きな定量化誤差(quantification errors)を有する画像が得られる。不透明素子13を用いると、光強度の極値における定量化ノイズが低減されるため、信号対ノイズ比が向上する。従って、積分時間t1が異なる複数の画像を使用する従来のHDRは必要ない。
【0062】
このように、不透明要素13を用いると、画像i1のコントラストが低下し、信号対ノイズ比が向上し、そのことによって画像i1におけるより多くのディテールを見ることが可能になる。従って、カメラ10からの画像i1を見ている運転者は、ディテールをより明瞭に見て、そのことは例えば駐車の際の操縦をより容易にする。
【0063】
もちろん、発明の説明は、上述した実施形態及び上述した分野に限定されない。したがって、非限定的な一実施形態において、光学レンズのセット100は反射防止処理により処理されてもよい。したがって、別の非限定的な実施形態において、ハウジング11の上部からカメラ10のほぼ中間の高さまで延びる代わりに、上側部分12aは、ハウジング11の上部110からカメラ10の1/3まで延びてもよい。
【0064】
このように、記載された発明は、特に以下の利点を有する:
- それは、光学レンズのセットにおける寄生反射、光Lxによってもたらされる寄生反射、をかなり低減することが可能であり或いは除去することさえも可能になる;したがって、それはフレアを低減することが可能であり或いは除去することさえも可能であり、それによってそれはカメラからの画像を見る際に車両2の運転手が煩わしく感じることがなくなる、
- それは、動力車両2の外部から光学モジュール1を見る観察者からカメラ10を隠すことが可能になる、
- それは、より均質な画像を得ることが可能になり、したがって画像i1におけるコントラストを下げることが可能になり、それによってより良好な画像レンダリング品質を得ることが可能になる、
- それは、特に一般に画像i1の下部に向かって位置する暗部において、信号対ノイズ比を増大させることが可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)のための光学モジュール(1)であって、前記光学モジュール(1)は:
- 光学レンズのセット(100)を具備するカメラ(10)と、
- 前記カメラ(10)を受け入れるように構成されるハウジング(11)と、
- 前記カメラ(10)に面して配置され、前記カメラ(10)を前記車両(2)の外側から隠すように構成される外側レンズ(12)であって、前記光学モジュール(1)が、前記カメラ(10)の前記光学レンズ(100)のセットでの光(Lx)の寄生反射を低減するように、前記車両(2)の外側から来る光(Lx)を吸収するように構成される不透明要素(13)を更に備えることを特徴とする、外側レンズ(12)と、
を備える光学モジュール(1)。
【請求項2】
前記寄生反射は、前記外側レンズ(12)の内面(120)における光(Lx)の反射によってもたらされる、請求項1に記載の光学モジュール(1)。
【請求項3】
前記不透明要素(13)は前記外側レンズ(12)であり、前記外側レンズ(12)は、第1部分(12a)及び第2部分(12b)を含み、非均質なやり方で不透明である、請求項1又は2に記載の光学モジュール(1)。
【請求項4】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)よりも不透明である、請求項3に記載の光学モジュール(1)。
【請求項5】
前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)よりも暗い、請求項4に記載の光学モジュール(1)。
【請求項6】
前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)よりも大きい厚さを有する、請求項4に記載の光学モジュール(1)。
【請求項7】
前記第1部分(12a)は、前記第2部分(12b)の材料(m2)よりも多くの光(Lx)を吸収する材料(m1)で作られる、請求項4に記載の光学モジュール(1)。
【請求項8】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、30%~50%の不透明度である、請求項
4記載の光学モジュール(1)。
【請求項9】
前記外側レンズ(12)の前記第2部分(12b)は、75%~80%の透明度である、請求項
4に記載の光学モジュール(1)。
【請求項10】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、前記カメラ(10)の光軸(Aa)に対して11°以上の角度(β)で配置される、請求項
3に記載の光学モジュール(1)。
【請求項11】
前記外側レンズ(12)の前記第1部分(12a)は、前記カメラ(10)の光軸(Aa)に対して21°以上の角度(β)で配置される、請求項
3に記載の光学モジュール(1)。
【請求項12】
前記不透明要素(13)は、前記カメラ(10)の前記ハウジング(11)から突出して位置づけられる不透明キャップである、請求項1又は2に記載の光学モジュール(1)。
【請求項13】
前記不透明要素(13)は、前記カメラ(10)の前記光学レンズのセット(100)の上方に位置づけられる不透明キャップである、請求項1又は2に記載の光学モジュール(1)。
【請求項14】
前記ハウジング(11)は非反射性内面(11b)を有する、請求項1
又は2に記載の光学モジュール(1)。
【請求項15】
前記光(Lx)は、自然光又は街灯からの光である、請求項1
又は2に記載の光学モジュール(1)。
【国際調査報告】