(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体関連タンパク質(UPARAP)を標的とするヒト化抗体を含む、抗体薬物複合体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240723BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240723BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240723BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240723BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240723BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20240723BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240723BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240723BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240723BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240723BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240723BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240723BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240723BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240723BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240723BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240723BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240723BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C07K16/28
A61K39/395 N ZNA
A61K47/68
A61K39/395 L
A61P35/00
A61P19/08
A61P19/10
A61P43/00 105
A61P9/10 101
A61P19/02
A61P29/00
A61P19/06
A61P35/02
A61P35/04
C12N15/13
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579560
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022067832
(87)【国際公開番号】W WO2023275112
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523483706
【氏名又は名称】リグスホスピタレ
(71)【出願人】
【識別番号】508335820
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ コペンハーゲン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ベーレント,ニールズ
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルホルム,ラーズ ヘニング
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
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4B065CA44
4C076AA95
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4C076EE59
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4C085AA14
4C085AA26
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4C085BB31
4C085DD62
4C085EE01
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4C085GG06
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体関連タンパク質(uPARAP)を標的とするヒト化抗体及び分子複合体に関し、特に、uPARAPに対して指向するヒト化抗体を含む抗体薬物複合体(ADC)、ならびにuPARAPを発現する細胞及び組織に活性薬剤を送達する際のそれらの使用に関する。本発明は更に、uPARAP発現細胞が関与する疾患、例えば、特定のがんの治療における前記ADCの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
uPARAPに結合する抗体であって、
a.配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び、
b.配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、前記抗体。
【請求項2】
前記抗体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、及び、
b.配列番号4のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン軽鎖、及び、
b.配列番号4のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン重鎖を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項4】
抗体薬物複合体(ADC)であって、
a.先行請求項のいずれか一項に定義される抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む、前記抗体薬物複合体。
【請求項5】
前記活性薬剤は、治療薬、放射性同位元素及び検出可能な標識から選択される、請求項4に記載の抗体薬物複合体。
【請求項6】
前記活性薬剤は、細胞傷害性薬物である、請求項4~5のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項7】
前記活性薬剤は、治療薬、例えば、微小管阻害/有糸分裂阻害剤、DNA架橋剤、DNAアルキル化剤、DNA鎖切断剤、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、キナーゼ阻害剤、代謝阻害剤、ペプチド抗生物質、免疫チェックポイント阻害剤、白金系抗悪性腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAまたはRNAポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオチド系薬剤、及び細胞毒性抗生物質からなる群から選択される治療薬である、請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項8】
前記活性薬剤は、例えば、アウリスタチンまたはドラスタチン(例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)など)の誘導体、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルなど)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビンなど)、マイタンシノイド、コルヒチン及びポドフィロトキシンからなる群から選択される有糸分裂阻害剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項9】
前記活性薬剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、請求項4~8のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項10】
前記活性薬剤は、DNA架橋剤、例えば、シスプラチンまたはシスプラチンの誘導体(例えば、カルボプラチンまたはオキサリプラチン)、マイトマイシンC(MMC)、ピロロベンゾジアゼピン、及び二量体ピロロベンゾジアゼピン誘導体(例えば、SGD-1882)から選択される、DNA架橋剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項11】
前記活性薬剤は、DNAアルキル化剤、例えば、トリス(2-クロロエチル)アミン、ピリジノベンゾジアゼピンもしくはピリジノベンゾジアゼピン誘導体、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びデュオカルマイシンSAなどのナイトロジェンマスタードから選択される、DNAアルキル化剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項12】
前記活性薬剤は、DNA鎖切断剤、例えば、カリケアミシン及びハミルトロンから選択されるDNA鎖切断剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項13】
前記活性薬剤は、アントラサイクリン、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びPNU-159682から選択されるアントラサイクリンである、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項14】
前記活性薬剤は、代謝拮抗剤、例えば、葉酸拮抗剤(例えば、メトトレキサート)、プリン代謝拮抗剤(例えば、6-メルカプトプリンまたは6-チオグアニンまたはリン酸フルダラビンまたはペントスタチンまたはクラドリビン)、及びピリミジン代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシルまたは5-フルオロデオキシウリジンまたはシタラビンまたはゲムシタビン)から選択される代謝拮抗剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項15】
前記活性薬剤は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、例えば、トリコスタチンA、ボリノスタット、ベリノスタット、パノビノスタット、ギビノスタット、レスミノスタット、アベキシノスタット、キシノスタット、ロシリノスタット、プラシノスタット、CHR-3996、バルプロ酸、酪酸、フェニル酪酸、エンチノスタット、タセジナリン、4SC202、モセチノスタット、ロミデプシン、ニコチンアミド、サーチノール、カンビノール、及びEX-527から選択されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項16】
前記活性薬剤は、キナーゼ阻害剤、例えば、ゲニステイン、ラベンダスチンC、PP1-AG1872、PP2-AG1879、SU6656、CGP77675、PD166285、イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラベンダスチンA、セツキシマブ、UCS15A、ハービマイシンA、及びラディシコールから選択されるキナーゼ阻害剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項17】
前記活性薬剤は、APO866、GMX-1777、GMX-1778、ATG-019及びOT-82から選択されるNAMPT阻害剤などの代謝阻害剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項18】
前記活性薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、AMP-224及びAMP-514から選択されるPD-1阻害剤;またはアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170及びBMS-986189から選択されるPD-L1阻害剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬剤複合体。
【請求項19】
前記活性薬剤は、白金系抗悪性腫瘍剤、例えば、リポプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、フェナントリプラチン、サトラプラチン、及びトリプラチンテトラナイトレートから選択される白金系抗悪性腫瘍剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項20】
前記活性薬剤は、トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシンまたはその誘導体、例えば、トポテカン、ベロテカン、ルルトテカン、イリノテカン、SN-38、エキサテカン、及びDxdから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項21】
前記活性薬剤は、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼ阻害剤、例えば、アマニチンもしくはα-アマニチンまたはその誘導体、アクチノマイシンD、及びアフィディコリンから選択されるポリメラーゼ阻害剤である、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項22】
前記活性薬剤は、60Co、89Sr、90Y、99mTc、131I、137Cs、153Sm、及び223Rdから選択される放射性同位元素を含む、請求項4~21のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項23】
薬物抗体比(DAR)は、2と8の間などの1と10の間、例えば、2または4などの2と6の間である、請求項4~22のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項24】
前記抗体薬物複合体は、切断型リンカー及び非切断型リンカーから選択されるリンカーを含み、任意選択で、前記リンカーはペプチドリンカーである、請求項4~23のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項25】
前記リンカーは、ジペプチド、例えば、バリン-シトルリン(VC)もしくはバリン-アラニン(VA)を含むか、またはそれからなる、請求項4~24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項26】
前記抗体薬物複合体は、スペーサー、例えば、p-アミノ安息香酸(PAB)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、p-アミノベンゾイルオキシカルボニル、またはポリエチレングリコール(PEG)を含むスペーサーを更に含む、請求項4~25のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項27】
前記抗体薬物複合体は、結合基、例えば、マレイミド及びカプロン酸(MC)、N-ヒドロキシスクシンイミド、修飾もしくは未修飾のタンパク質結合炭水化物を指向する反応性結合基、酵素反応に必要なペプチド配列、アジドもしくはアルキン、もしくは抗体との反応によってこれらから誘導されるもの、もしくはこれらの化学的もしくは酵素的に生成される誘導体を含むか、またはそれらからなる結合基を更に含む、請求項4~26のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項28】
前記抗体薬物複合体は、
a.請求項3に定義される抗体、
b.VCリンカー、
c.MC結合基、
d.PABまたはPABCスペーサー、及び、
e.活性薬剤としてのMMAEを含むか、またはそれらからなる、請求項4~9及び23~27のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項29】
前記抗体薬物複合体は、請求項3に定義される抗体、及びMC-VC-PAB-MMAEからなる、請求項4~9及び23~28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項30】
前記抗体薬物複合体は、請求項3に定義される抗体、及びMC-VC-PABC-MMAEからなる、請求項4~9及び23~29のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項31】
配列番号2のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、任意選択で、配列番号5のアミノ酸配列を更に含む、ポリペプチド。
【請求項32】
配列番号1、2または3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、任意選択で、前記ポリヌクレオチドは、配列番号4、5または6のいずれか1つのアミノ酸配列を更にコードする、前記単離されたポリヌクレオチド。
【請求項33】
前記ポリヌクレオチドは配列番号11を含み、任意選択で、配列番号12を更に含む、請求項33に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項34】
請求項32~33のいずれか一項に定義されるポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項35】
請求項32または33のいずれか一項に定義されるポリヌクレオチド、及び/または請求項34に定義されるベクターを含む、宿主細胞。
【請求項36】
薬物として使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、または請求項4~30のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体。
【請求項37】
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、または請求項4~30のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体、及び薬学的に許容される緩衝液、希釈剤、担体、アジュバントまたは賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項38】
uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患の治療で使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、請求項4~30のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体、または請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患は、がん、骨分解疾患、例えば、骨粗鬆症、線維症及びマクロファージ関連疾患または障害、例えば、アテローム性動脈硬化、関節炎または慢性炎症から選択される、請求項38に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項40】
前記関節炎は、変形性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、ループス、ライム病誘発関節炎、例えば、ライム関節炎、痛風または偽痛風、及び強直性脊椎炎から選択される、請求項39に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項41】
前記疾患はがんであり、例えば、前記がんは、肉腫、神経膠芽腫、中皮腫、結腸癌、前立腺癌、前立腺癌由来の骨転移、乳癌、頭頸部癌、及び白血病から選択される、請求項38~39のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項42】
前記がんは、固形腫瘍である、請求項41に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項43】
前記がんは、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及び慢性骨髄性白血病(CML)である、請求項41に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項44】
前記がんは、神経膠芽腫である、請求項41~42のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項45】
前記がんは、肉腫、例えば、骨肉腫もしくは軟部組織肉腫(STS)である、請求項41~42のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項46】
前記軟部組織肉腫(STS)は、類上皮肉腫、明細胞肉腫、胞状軟部肉腫、骨外粘液軟骨肉腫、類上皮血管内皮腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、胚未分化肉腫、胞状軟部肉腫(ASPS)、血管肉腫、軟骨肉腫、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、デスモイド肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、粘液線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、非子宮平滑筋肉腫、子宮平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維組織球腫(MFH)、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、及び/または平滑筋肉腫(LMS)から選択される、請求項45に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項47】
前記がんは、転移性がんである、請求項41~46のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項48】
投与は、非経口、例えば、静脈内、脳室内、関節内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下に、または注入技術によるものである、請求項38~47のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項49】
前記投与は静脈内である、請求項38~48のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項50】
前記抗体、前記抗体薬物複合体または前記組成物は、1つ以上の更なる薬剤、例えば、1つ以上の更なる治療薬と組み合わせて投与される、請求項38~49のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項51】
前記uPARAPを発現する細胞は、uPARAP過剰発現を示し、任意選択で、前記uPARAP発現細胞は、腫瘍細胞及び/または腫瘍関連細胞である、請求項38~50のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項52】
前記抗体、前記抗体薬物複合体または前記組成物は、細胞死を誘発し、及び/または前記uPARAP発現細胞の成長及び/または増殖を阻害する、請求項38~51のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項53】
前記抗体、前記抗体薬物複合体または前記組成物は、前記uPARAP発現細胞から遊離した細胞毒の遊離を誘発し、細胞死をもたらし、及び/または隣接するがん細胞の成長及び/または増殖を阻害する、請求項38~52のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項54】
前記治療は、寛解または治癒である、請求項38~53のいずれか一項に記載の使用のための抗体、抗体薬物複合体または組成物。
【請求項55】
対象における腫瘍増殖を阻害する方法で使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、請求項4~30のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体、または請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項56】
対象におけるuPARAPを発現する腫瘍の転移能を阻害、低下または除去するための方法で使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、請求項4~30のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体、または請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項57】
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、請求項4~30のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体、または請求項37に記載の医薬組成物を含むキットであって、任意選択で、前記抗体または前記抗体薬物複合体を対象に投与するための手段、及び/または使用のための指示書を更に含む、前記キット。
【請求項58】
uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患、例えば、がんの治療のための薬物の製造で使用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、請求項4~30のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体、または請求項37に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受容体uPARAPを標的とする抗体及び分子複合体に関し、特に、uPARAPに対して指向するヒト化抗体を含む抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate、ADC)、ならびにuPARAPを発現する細胞及び組織に活性薬剤を送達する際のそれらの使用に関する。本発明は更に、uPARAP発現細胞が関与する疾患、例えば、特定のがんの治療における前記ADCの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体関連タンパク質(Urokinase-type Plasminogen Activator Receptor Associated Protein、uPARAP)(CD280、Endo180及びマンノース受容体C2型としても公知である)は、エンドサイトーシス膜貫通糖タンパク質のマクロファージマンノース受容体ファミリーのメンバーである。uPARAPは、組織リモデリング中のマトリックス代謝、特にコラーゲンの取り込み及び細胞内分解に関与する、膜タンパク質である。uPARAP受容体は、N末端システインリッチドメイン(CysR)、フィブロネクチンII型(FN-II)ドメイン、及び8つのC型レクチン様ドメイン(C-type lectin-like domain)(CTLD 1~8)からなる。
【0003】
受容体uPARAPは、肉腫及び後期神経膠芽腫を含む特定のがんの腫瘍細胞で上方制御される。更に、受容体は、固形腫瘍を取り囲む間質細胞で最も多く上方制御されており、いくつかの文献は、前立腺癌からの骨転移におけるuPARAPの高発現を示唆している(Caley et al.,2012,J.Pathol 5:775-783)。健康な成人の個体では、受容体は、制限された発現パターンを示す(Melander et al.,2015,Int J Oncol 47:1177-1188)。
【0004】
抗体薬物複合体(ADC)は、特に、がんの治療のための標的療法として設計された、高度に強力なバイオ医薬品の種類である。ADCは、不安定な結合を有し得る安定な化学的リンカーを介して、活性薬剤、例えば、生物学的に活性な薬剤または細胞毒性化合物に結合した抗体(全mAbまたは抗体断片)から構成される複合分子である。抗体の独自のターゲティング能力と細胞傷害性薬剤の細胞殺傷能力とを組み合わせることにより、抗体薬物複合体は、抗体抗原の発現に基づいて、健康な組織と疾患した組織とを敏感に区別することができる。このことは、従来の化学療法剤とは対照的に、抗体薬物複合体ががん細胞を能動的に標的にして攻撃するので、抗原発現がほとんどまたはまったくない健康な細胞は、それほど深刻な影響を受けないことを意味する。現在のところ、10を超えるADCが市場で承認されており、複数のADCが現在臨床試験中である。
【0005】
WO2010/111198には、抗uPARAP抗体を含む複合体が開示されており、uPARAPを発現する細胞に治療剤を送達する際のかかる複合体の使用が示唆されている。
【0006】
WO2017/133745には、uPARAPに対して指向するADCが開示されている。
【0007】
現在、ほとんどの種類のがんに対して治療法が存在する。しかしながら、多くの場合、効率が不十分であるか、または治療薬の高投与量による悪影響を伴う。したがって、効力を増大させたより効率的な治療が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、マウス9b7抗体のヒト化形態、及びuPARAP受容体を標的とする抗体薬物複合体(ADC)におけるその実施が提供される。マウス9b7抗体は、WO2017/133745に最初に記載されていた。本明細書に記載の抗体及びADCは、uPARAPを発現する細胞及び組織を特異的に標的とすることができ、マウス9b7抗体を含むADCと比較して効力が増強していること、及びマウス9b7抗体の他のヒト化形態と比較して効力が増強していることを実証する。
【0009】
特に、本開示は、uPARAPに結合する抗体であって、
a.配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び/または、
b.配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、前記抗体に関する。
【0010】
更に、本開示は、
a.上記で定義された抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む、抗体薬物複合体(ADC)に関する。
【0011】
更に、本開示は、uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患を治療する方法に関し、前記方法は、上記で定義された抗体、上記で定義されたADC、または上記で定義された抗体もしくはADCを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0012】
本開示の更なる態様は、配列番号2及び/または配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるポリペプチド;本明細書で定義されたアミノ酸配列をコードする単離されたポリヌクレオチド;上記で定義されたポリヌクレオチドを含むベクター;ならびに上記で定義されたポリヌクレオチド及び/または上記で定義されたベクターを含む宿主細胞である。
【0013】
本開示の更に別の態様は、上記で定義された抗体、上記で定義されたADC、または上記で定義された抗体もしくはADCを含む医薬組成物を含む、キットであって、任意選択で、抗体もしくは抗体薬物複合体を対象に投与するための手段及び/または使用のための指示書を更に含む、前記キットである
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】LC0HC0抗体(ヒトIgG定常領域に融合された元のマウス9b7抗体の可変ドメインを含む)またはヒト化LC4HC3抗体のいずれかを含む、MMAEベースのADCに曝露されたU937がん細胞株のin vitro細胞生存率アッセイ。ただし抗体の場合、2つのADCは同一であり、同一の方法によって生成されたものである。細胞を96時間インキュベートし、その後、比色生存率アッセイにより分析した。U937細胞株についてのアッセイは、LC4HC3に基づくADCが、LC0HC0 ADCと比較して全細胞生存率の著しく大きな減少を有することを示す。
【
図2】SAOS-2骨肉腫細胞におけるヒト化抗体LC4HC3及びLC3HC3の内在化。詳細なプロトコルを実施例2に示す。データは、LC4HC3がLC3HC3よりも速く内在化されるだけでなく、SAOS-2骨肉腫細胞でもより広範囲に内在化されることを示している。
【
図3a】LC4HC3(LC4HC3-vc-MMAE)に基づくベドチン型ADCのin vivo有効性。CB17マウスにU937細胞を播種し、腫瘍増殖を誘発した。腫瘍の大きさを注意深く監視し、約80~150mm
3の大きさに達したら、治療を開始した。ただし抗体の場合、2つのADCは同一であり、同一の方法によって生成されたものである。各線は、参照ADCを4mg/kg用量で7日間、1日2回、投与したマウスの腫瘍サイズを表す。このデータは、ヒト化9b7抗体LC4HC3に基づくADCが、異なるヒト化9b7抗体LC3HC3に基づくADCと比較して、優れた抗腫瘍剤であることを示している。
【
図3b】LC3HC3(LC3HC3-vc-MMAE)に基づくベドチン型ADCのin vivo有効性。CB17マウスにU937細胞を播種し、腫瘍増殖を誘発した。腫瘍の大きさを注意深く監視し、約80~150mm
3の大きさに達したら、治療を開始した。ただし抗体の場合、2つのADCは同一であり、同一の方法によって生成されたものである。各線は、参照ADCを4mg/kg用量で7日間、1日2回、投与したマウスの腫瘍サイズを表す。このデータは、ヒト化9b7抗体LC4HC3に基づくADCが、異なるヒト化9b7抗体LC3HC3に基づくADCと比較して、優れた抗腫瘍剤であることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の抗体は、細胞表面のuPARAP受容体への結合時に内在化され、したがって、抗体薬物複合体の活性薬剤の細胞内作用を可能にする。
【0016】
本明細書では、uPARAP受容体に結合する、マウス9b7抗体のヒト化型が提供される。
【0017】
抗uPARAPヒト化抗体
抗体を生成する方法は、当技術分野で周知である。例えば、抗体は、抗体分子のin vivoでの生産の誘導、免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング、または培養中の細胞株によるモノクローナル抗体分子の生成を利用する、いくつかの方法のいずれか1つを介して生成され得る。これらの技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びエプスタイン・バーウイルス(EBV)-ハイブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
ヒト化抗体は、一般的にヒト向けに意図された医薬品において好ましく、抗体をヒト化するための方法は、当技術分野において周知である。ヒト化技術は公知であるが、初期抗体の結合特性を保持するヒト化抗体を達成することは困難であり、初期抗体と比較して、改善されたリガンド親和性及び有効性などの改善された特性を有するヒト化抗体を達成することは、更に困難であり得る。
【0019】
本明細書の発明者らは、9b7マウス抗体のヒト化型であり、9b7マウス抗体と比較して改善されたリガンドの親和性及び有効性、ならびに9b7抗体の他のヒト化型と比較して改善された内在化及びin vivo有効性を示す、改善された抗uPARAP抗体を提供する。
【0020】
本開示の抗uPARAP抗体は、IgG、IgM、IgD、IgE、IgA及びそれらのサブクラスを含む、任意の免疫グロブリンの種類であり得る。IgGのサブクラスも当業者には周知であり、ヒトIgGl、IgG2、IgG3及びIgG4が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、抗体は、IgGモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体はIgG1κである。
【0021】
本開示の抗uPARAP抗体は、uPARAP受容体に結合するヒト化9b7抗体であり、より具体的には、本明細書に開示されたヒト化9b7抗体は、uPARAP受容体のフィブロネクチンII型(FN-II)ドメインに少なくとも結合する。
【0022】
本明細書では980.2 LC4HC3とも称されるヒト化9b7抗体は、LC4の可変領域である配列番号3を含むアミノ酸の軽鎖可変領域と、HC3の可変領域である配列番号6を含むアミノ酸の重鎖可変領域と、を含む。
【0023】
本明細書では980.2 LC4HC3とも称されるヒト化9b7抗体は、LC4である配列番号1を含むか、またはそれからなるアミノ酸の軽鎖と、HC3である配列番号4を含むか、またはそれからなるアミノ酸の重鎖と、を含み得る。
【0024】
本開示の一実施形態では、本明細書で定義される抗uPARAP抗体は、
a.配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び/または、
b.配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む。
【0025】
本開示の一実施形態では、本明細書で定義されるuPARAPに結合する抗体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖(LC4)、及び/または、
b.配列番号4のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖(HC3)を含む。
【0026】
本開示の一実施形態では、本明細書で定義されるuPARAPに結合する抗体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン軽鎖(LC4)、及び、
b.配列番号4のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン重鎖(HC3)を含む。
【0027】
ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞
本開示の一実施形態は、配列番号2及び/または配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるポリペプチドである。配列番号2及び配列番号5はそれぞれ、配列番号1及び配列番号4に相当するが、更に発現用のN末端シグナルペプチドを有する。
【0028】
本開示の一実施形態は、本明細書に開示されたポリペプチドのいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチド、すなわち、配列番号1、2、3、4、5及び/または6のうちのいずれか1つのアミノ酸配列をコードする単離されたポリヌクレオチドである。
【0029】
一実施形態では、ポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号2及び配列番号5をコードする配列番号11及び/または配列番号12を含む。
【0030】
一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、任意選択で、ポリペプチドは配列番号5のアミノ酸配列を更に含む。
【0031】
一実施形態では、本開示は、配列番号1、2または3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、任意選択で、前記ポリヌクレオチドは更に配列番号4、5または6のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする、前記単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0032】
一実施形態では、本開示は、配列番号11を含む単離されたポリヌクレオチドであって、任意選択で、前記ポリヌクレオチドは配列番号12を更に含む、前記単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0033】
一実施形態では、ポリペプチドは、単離されたポリペプチドである。
【0034】
本開示の一実施形態は、本明細書で定義されるポリヌクレオチドを含む、ベクター、例えば、発現ベクターである。
【0035】
本開示の一実施形態では、ベクターは、哺乳動物発現ベクターである。
【0036】
本開示の一実施形態では、ベクターは、プラスミドベクター、例えば、pD2610-v13(ATUM)、pSV及びpCMVシリーズのプラスミドベクターから選択される、プラスミドベクターである。
【0037】
本開示の一実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、バキュロウイルスベクター及び腫瘍溶解性ウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである。
【0038】
本開示の更なる実施形態は、本明細書で定義されるポリヌクレオチド及び/またはベクターを含む、宿主細胞である。
【0039】
本開示の一実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/またはベクターを含む宿主細胞は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、COS(CV-1(サル)由来の及びSV40遺伝物質を担持する)細胞、HEK(ヒト胎児由来腎臓)細胞、ならびにHeLa(Henrietta Lacks)細胞からなる群から選択される。
【0040】
一実施形態では、宿主細胞は、CHOである。
【0041】
一実施形態では、宿主細胞は、組換え宿主細胞である。
【0042】
抗uPARAPヒト化抗体を含む抗体薬物複合体(ADC)
本発明者らのデータは、驚くべきことに、LC4HC3(ヒト化9b7抗体)に基づくADCが、ADCに基づくLC0HC0(ヒトIgG定常領域に融合した9b7マウス抗体の可変ドメインを有する)と比較して、全細胞生存率の大幅な低下をもたらすことを示す。LC4HC3に基づくADCはまた、LC3HC3に基づくADC(別のヒト化9b7抗体)と比較して、改善された内在化及びin vivo有効性を示す。
【0043】
本開示の特に好ましい一実施形態は、
a.本明細書で定義された抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む、抗体薬物複合体(ADC)である。
【0044】
本開示の一実施形態では、本明細書で定義される抗体薬物複合体(ADC)は、
a.本明細書で定義される抗体であって、
i)配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び/または、
ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、前記本明細書で定義される抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む。
【0045】
本開示の一実施形態では、本明細書で定義される抗体薬物複合体(ADC)は、
a.本明細書で定義される抗体であって、
i)配列番号1のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖、及び/または、
ii)配列番号4のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖を含む、前記本明細書で定義される抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む。
【0046】
本開示の一実施形態では、本明細書で定義される抗体薬物複合体(ADC)は、
a.本明細書で定義される抗体であって、
i)配列番号1のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン軽鎖、及び
ii)配列番号4のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン重鎖を含む、前記本明細書で定義される抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む。
【0047】
活性薬剤
本開示のADCは、uPARAPを発現する細胞に細胞内で送達され得る活性薬剤、例えば薬物を含む。活性薬剤は、例えば、治療薬、放射性同位元素または検出可能な標識であり得る。好ましい実施形態では、活性薬剤は、治療薬である。
【0048】
一実施形態では、活性薬剤は、放射性同位元素であり得るか、または放射性同位元素を含み得る。放射性同位元素は、患部組織の治療または診断目的のいずれかのために、放射線エミッタとして機能し得る。一実施形態では、放射性同位元素は、60Co、89Sr、90Y、99mTc、131I、137Cs、153Smまたは223Rdからなるか、またはそれを含むことができる。本開示の一実施形態では、放射性同位元素は、DOTAもしくはEDTA、または当技術分野で周知の他のものなどのキレート剤と組み合わせてもよい。
【0049】
一実施形態では、活性薬剤は、治療薬である。治療薬の種類としては、DNA架橋剤、DNAアルキル化剤、DNA鎖切断剤、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、微小管阻害/有糸分裂阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、キナーゼ阻害剤、代謝阻害剤、ペプチド抗生物質、免疫チェックポイント阻害剤、白金系抗悪性腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAまたはRNAポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオチド系薬剤、及び細胞毒性抗生物質が挙げられる。
【0050】
好ましい実施形態では、活性薬剤は、uPARAPを発現する細胞を効率的に殺傷することを可能にする細胞傷害性薬物である。
【0051】
一実施形態では、活性薬剤は、化学療法薬である。
【0052】
一実施形態では、活性薬剤は、DNA架橋剤、例えば、シスプラチンまたはシスプラチンの誘導体(例えば、カルボプラチンまたはオキサリプラチン)、マイトマイシンC(MMC)、ピロロベンゾジアゼピン、及び二量体ピロロベンゾジアゼピン誘導体(例えば、SGD-1882)またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択される、DNA架橋剤である。
【0053】
本開示の一実施形態では、活性薬剤は、DNAアルキル化剤、例えば、トリス(2-クロロエチル)アミン、ピリジノベンゾジアゼピンもしくはピリジノベンゾジアゼピン誘導体、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びデュオカルマイシンSAなどのナイトロジェンマスタード、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択される、DNAアルキル化剤である。
【0054】
一実施形態では、活性薬剤は、DNA鎖切断剤、例えば、カリケアマイシン及びハミルトロン、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択されるDNA鎖切断剤である。
【0055】
一実施形態では、活性薬剤は、アントラサイクリン、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びPNU-159682、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択されるアントラサイクリンである。
【0056】
一実施形態では、活性薬剤は、代謝拮抗剤、例えば、葉酸拮抗剤(例えば、メトトレキサート)、プリン代謝拮抗剤(例えば、6-メルカプトプリンまたは6-チオグアニンまたはリン酸フルダラビンまたはペントスタチンまたはクラドリビン)、及びピリミジン代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシルまたは5-フルオロデオキシウリジンまたはシタラビンまたはゲムシタビン)、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択される代謝拮抗剤である。
【0057】
一実施形態では、活性薬剤は、例えば、アウリスタチンまたはドラスタチン(例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)など)の誘導体、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルなど)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビンなど)、マイタンシノイド、コルヒチン及びポドフィロトキシン、またはこれらのうちのいずれかの誘導体からなる群から選択される有糸分裂阻害剤である。
【0058】
一実施形態では、活性薬剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはその誘導体である。
【0059】
毒性が高いため、チューブリンの重合を阻害することにより細胞分裂を阻害するMMAEは、単剤化学療法薬として使用できない。しかしながら、抗CD30モノクローナル抗体に結合したMMAEの組み合わせ(Brentuximab Vedotin、商品名Adcetris(商標))は、細胞外流体中で安定し、カテプシンによって開裂可能で、治療に安全であることが証明されている。
【0060】
一実施形態では、活性薬剤は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、例えば、トリコスタチンA、ボリノスタット、ベリノスタット、パノビノスタット、ギビノスタット、レスミノスタット、アベキシノスタット、キシノスタット、ロシリノスタット、プラシノスタット、CHR-3996、バルプロ酸、酪酸、フェニル酪酸、エンチノスタット、タセジナリン、4SC202、モセチノスタット、ロミデプシン、ニコチンアミド、サーチノール、カンビノール、及びEX-527、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である。
【0061】
一実施形態では、活性薬剤は、キナーゼ阻害剤、例えば、ゲニステイン、ラベンダスチンC、PP1-AG1872、PP2-AG1879、SU6656、CGP77675、PD166285、イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラベンダスチンA、セツキシマブ、UCS15A、ハービマイシンA、及びラディシコール、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択されるキナーゼ阻害剤である。
【0062】
一実施形態では、活性薬剤は、NAMPT阻害剤などの代謝阻害剤である。NAMPT阻害剤の例としては、APO866、GMX-1777、GMX-1778、ATG-019、及びOT-82、またはこれらのうちのいずれかの誘導体が挙げられる。
【0063】
一実施形態では、活性薬剤は、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤などの免疫チェックポイント阻害剤である。PD-1阻害剤の例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、AMP-224及びAMP-514が挙げられる。PD-L1阻害剤の例としては、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170及びBMS-986189、またはこれらのうちのいずれかの誘導体が挙げられる。
【0064】
一実施形態では、活性薬剤は、白金系抗悪性腫瘍剤、例えば、リポプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、フェナントリプラチン、サトラプラチン、及びトリプラチンテトラナイトレート、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択される白金系抗悪性腫瘍剤である。
【0065】
一実施形態では、活性薬剤は、トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシンまたはその誘導体、例えば、トポテカン、ベロテカン、ルルトテカン、イリノテカン、SN-38、エキサテカン、及びDxd、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択されるトポイソメラーゼ阻害剤である。
【0066】
一実施形態では、活性薬剤は、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼ阻害剤、例えば、アマニチンもしくはα-アマニチンまたはその誘導体、アクチノマイシンD、及びアフィディコリン、またはこれらのうちのいずれかの誘導体から選択されるポリメラーゼ阻害剤である。
【0067】
一実施形態では、活性薬剤は、ヌクレオチド系剤、例えば、RNAオリゴヌクレオチドまたはDNAオリゴヌクレオチド、例えば、siRNAまたはmiRNAである。
【0068】
抗体分子1つ当たり1つ以上の単位の薬物が存在し得る。抗体1つ当たりの薬物分子の数の間の比率は、薬物抗体比(drug-to-antibody ratio、DAR)で表される。一実施形態では、DARは、2と8の間などの1と10の間、例えば、2または4などの2と6の間である。
【0069】
リンカー
抗体と活性薬剤との間の安定した結合は、ADC技術の重要な態様である。リンカーは、例えば、ジスルフィド、ヒドラゾンもしくはペプチド(切断型)、またはチオエーテル(非切断型)を含む化学モチーフに基づいてもよく、標的細胞への細胞傷害性薬物の分布及び送達を制御する。切断型及び非切断型の種類のリンカーは、前臨床及び臨床試験において安全であることが証明されている。例えば、ブレンツキシマブベドチンは、合成抗悪性腫瘍剤である、強力で毒性の高い抗微小管剤モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を細胞に送達する、酵素感受性の切断可能なリンカーを含む。
【0070】
別の承認されたADCであるトラスツズマブエムタンシンは、マイタンシンの誘導体である微小管形成阻害剤のメルタンシン(DM-1)と、安定な非切断型リンカーによって結合された抗体トラスツズマブ(Herceptin(商標),Genentech/Roche)との組み合わせである。
【0071】
切断型または非切断型リンカーの種類は、送達される薬物に特定の特性をもたらす。例えば、切断型リンカーは、例えば、標的細胞中の酵素によって切断することができ、その結果、活性薬剤、例えば、細胞傷害性薬物の効率的な細胞内放出がもたらされる。それとは対照的に、非切断型リンカーを含むADCは、薬物放出のためのメカニズムを有さず、薬物放出のための標的抗体の分解などのメカニズムに依存しなければならない。更に、当業者であれば理解するように、リンカー組成物は、総じてADCの溶解性及び薬物動態特性などの重要な要因に影響を及ぼし得る。
【0072】
どちらの種類のリンカーも、細胞効果を得るために薬剤放出は重要である。細胞膜を横断して自由に拡散することができる薬物は、標的細胞から逃避することができ、「バイスタンダー殺傷」と呼ばれる過程で、uPARAP発現標的細胞の近傍のがん細胞などの隣接細胞も攻撃する。
【0073】
本開示の好ましい実施形態では、本明細書に開示されているuPARAPを標的とするADCは、抗体を活性薬剤に結合するリンカーを含む。
【0074】
本開示の一実施形態では、リンカーは、切断型または非切断型であり得る。
【0075】
切断型基は、ジスルフィド結合、アミド結合、ペプチド結合の形態の置換アミド結合、チオアミド結合、エステル結合、チオエステル結合、近接ジオール結合、またはヘミアセタールを含む。これらのまたは他の切断型結合には、ペプチド結合(ペプチダーゼによる切断)、リン酸結合(ホスファターゼによる切断)、核酸結合(エンドヌクレアーゼによる切断)、及び糖結合(グリコシダーゼによる切断)などの酵素的切断型結合が含まれ得る。
【0076】
本開示の更なる実施形態では、リンカーは、標的細胞内部への活性薬剤の細胞内放出を可能にする切断型リンカーである。
【0077】
更なる実施形態では、リンカーはペプチドリンカーである。ペプチド配列の選択は、複合体の成功に重要である。いくつかの実施形態では、リンカーは血清プロテアーゼに対して安定しているが、標的細胞におけるリソソーム酵素によって切断される。
【0078】
更なる実施形態では、リンカーは、酵素切断型ペプチド含有リンカー、例えば、カテプシン切断型ペプチド含有リンカーである。カテプシンは、リソソームプロテアーゼの群の1つである、いくつかのカテプシン型の1つである。
【0079】
本開示の更なる実施態様では、リンカーは、ジペプチド、例えば、バリン-シトルリン(VC)もしくはバリン-アラニン(VA)を含むか、またはそれからなる。
【0080】
一実施形態では、リンカーは、ジペプチド、例えば、バリン-シトルリン(VC)もしくはバリン-アラニン(VA)を含むか、またはそれからなり、これは、更にアミド結合を介して他の構造要素に結合し得る。シトルリンカルボキシル官能基が置換アミドに修飾されている、バリン-シトルリン系リンカーは、リソソームカテプシンによって切断され得るが、アラニンカルボキシル官能基が置換アミドに修飾されているバリン-アラニン系リンカーは、他のカテプシンを含む他のリソソームプロテアーゼによって切断され得る。
【0081】
本開示の更なる実施形態では、本明細書で定義される抗体薬物複合体は、スペーサー、例えば、p-アミノ安息香酸(PAB)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、p-アミノベンゾイルオキシカルボニル、またはポリエチレングリコール(PEG)を含むスペーサーを更に含む。
【0082】
本開示の一実施形態では、本明細書で定義される抗体薬物複合体は、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)を含む。
【0083】
本開示の更なる実施形態では、本明細書で定義される抗体薬物複合体は、結合基、例えば、マレイミド及びカプロン酸(MC)、N-ヒドロキシスクシンイミド、修飾もしくは未修飾のタンパク質結合炭水化物を指向する反応性結合基、酵素反応に必要なペプチド配列、アジドもしくはアルキン、もしくは抗体との反応によってこれらから誘導されるもの、もしくはこれらの化学的もしくは酵素的に生成される誘導体を含むか、またはそれらからなる結合基を更に含む。
【0084】
本開示の一実施形態では、本開示のADCは、結合実体を更に含む。結合実体は、例えば、抗体と切断型リンカーとを結合してもよく、結合実体は、リンカー前駆体中の抗体アミノ酸側鎖と反応性結合基との反応生成物である。一実施形態では、この反応性結合基は、マレイミド及びカプロン酸(MC)を含むか、またはそれらからなり、マレイミドは、好ましくはカップリング中にシステインチオールと反応する。他の実施形態では、結合基は、N-ヒドロキシスクシンイミド、修飾もしくは未修飾タンパク質結合炭水化物を指向する反応性結合基、酵素反応に必要なペプチド配列、アジドもしくはアルキン、もしくは抗体との反応によってこれらから誘導されるもの、もしくはこれらの化学的もしくは酵素的に生成される誘導体を含むか、またはそれらからなる。
【0085】
本開示の一実施形態では、ADCは、本明細書で定義されるuPARAPを標的とする抗体、及びリンカー薬物複合体ベドチンを含む。ベドチンは、細胞傷害性薬物MMAE、スペーサー(p-アミノ安息香酸)、カテプシン切断型リンカー(バリン-シトルリンジペプチド)、ならびにカプロン酸及びマレイミドからなる結合基を含む、リンカー薬物複合体である。ベドチンは、MC-VC-PAB-MMAEである。
【0086】
一実施形態では、uPARAPを標的とする本開示のADCは、本明細書で定義される抗体、及びVC-PAB-MMAFであるリンカー-スペーサー-毒素単位を含む。
【0087】
一実施形態では、uPARAPを標的とする本開示のADCは、本明細書で定義される抗体、及びVC-PABC-MMAFであるリンカー-スペーサー-毒素単位を含む。
【0088】
一実施形態では、uPARAPを標的とする本開示のADCは、
a.本明細書で定義される抗体であって、
i)配列番号1のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン軽鎖、及び
ii)配列番号4のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン重鎖を含む、前記本明細書で定義される抗体、
b.VCリンカー、
c.MC結合基、
d.PABまたはPABCスペーサー、ならびに
e.活性薬剤としてのMMAEを含むか、またはそれらからなる。
【0089】
一実施形態では、uPARAPを標的とする本開示のADCは、
a.本明細書で定義される抗体であって、
i)配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び/または、
ii)配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、前記本明細書で定義される抗体、
b.VCリンカー、
c.MC結合基、
d.PABまたはPABCスペーサー、ならびに
e.活性薬剤としてのMMAEを含むか、またはそれらからなる。
【0090】
治療用途
本明細書に記載のuPARAPに対して指向するADCは、uPARAP及び類似のタンパク質を発現する細胞への活性薬剤、例えば、治療薬または細胞傷害性薬物の送達に有用であり、したがって、前記タンパク質の発現または過剰発現のいずれかによって特徴付けられる様々な疾患及び障害の治療に有用である。
【0091】
したがって、本開示の一実施形態は、薬物として使用するための、本明細書で定義される抗体または抗体薬物複合体である。
【0092】
本開示の一実施形態は、本明細書で定義される有効量の抗体または抗体薬物複合体、及び薬学的に許容される緩衝液、希釈剤、担体、アジュバントまたは賦形剤を含む、医薬組成物である。
【0093】
本明細書で使用される場合、「治療上有効な量」または「有効量」または「治療上有効な」とは、所与の状態及び投与レジメンに関して治療効果をもたらす量を指す。これは、必要な添加剤及び希釈剤、すなわち、担体または投与ビヒクルに関連して所望の治療効果をもたらすように計算される、予め定められた量の活性物質である。更に、それは、宿主の活性、機能及び応答における臨床的に有意な欠如を軽減し、最も好ましくは予防するのに十分な量を意味することが意図されている。あるいは、治療上有効な量は、宿主において臨床的に重要な状態を改善させるのに十分である。当業者であれば理解するように、化合物の量は、その比活性に応じて変動し得る。適切な投与量は、必要な希釈剤に関連して所望の治療効果をもたらすように計算される、予め定められた量の活性組成物を含んでもよい。
【0094】
本開示のADCを、その投与に適するように、当技術分野において公知の任意の種類の医薬組成物に配合することができる。
【0095】
医薬組成物は、十分に貯蔵安定性があり、ヒト及び/または動物への投与に適した当技術分野で公知の方法で調製することができる。例えば、医薬組成物を、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、噴霧冷却によって、または超臨界粒子形成からの粒子形成の使用によって凍結乾燥することができる。
【0096】
「薬学的に許容される」とは、ADCの有効性を低下させない無毒性物質を意味する。このような薬学的に許容される緩衝液、担体または賦形剤は、当技術分野で周知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R Gennaro,Ed.,Mack Publishing Company(1990)及びhandbook of Pharmaceutical Excipients,3rd edition,A.Kibbe,Ed.,Pharmaceutical Press(2000)を参照のこと、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0097】
「緩衝液」という用語は、pHを安定化させる目的の、酸塩基混合物を含有する水溶液を意味することを意図している。薬学的に許容される緩衝液は、当技術分野で周知である。
【0098】
「希釈剤」という用語は、医薬製剤中の薬剤を希釈する目的の、水溶液または非水溶液を意味することを意図している。
【0099】
「アジュバント」という用語は、本発明の薬剤の生物学的効果を増大させるために製剤に添加される、あらゆる化合物を意味することを意図している。アジュバントは、異なるアニオンを有する亜鉛、銅または銀の塩、例えば、これらに限定されるものではないが、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアン酸塩、亜硫酸塩、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、及び異なるアシル組成の酢酸塩のうちの1種以上であり得る。アジュバントはまた、カチオン性ポリマー、例えば、カチオン性セルロースエーテル、カチオン性セルロースエステル、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、カチオン性デンドリマー、ポリ(ビニルイミダゾール)などのカチオン性合成ポリマー、ならびにカチオン性ポリペプチド、例えば、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、及びこれらのアミノ酸を含むペプチドであってもよい。
【0100】
賦形剤は、炭水化物、ポリマー、脂質、及びミネラルのうちの1つ以上であり得る。炭水化物の例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、マンニトール、及びシクロデキストリンが挙げられ、これらは、例えば、凍結乾燥を促進するために組成物に添加される。ポリマーの例は、デンプン、セルロースエーテル、セルロースカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸塩、ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド共重合体、異なる加水分解度のポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート、ならびにポリビニルピロリドンであり、すべて異なる分子量であり、これらは、例えば、粘度調整、生体接着、または化学的分解及びタンパク質分解から脂質を保護するために、組成物に添加される。脂質の例は、脂肪酸、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、セラミド、すべての異なるアシル鎖長及び飽和度であるスフィンゴ脂質ならびに糖脂質、卵レシチン、大豆レシチン、水素化卵及び大豆レシチンであり、これらは、ポリマーのものと同様の理由で組成物に添加される。ミネラルの例は、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、及び酸化チタンであり、これらは、液体蓄積の低減または有利な顔料特性などの利点を得るために組成物に添加される。
【0101】
本開示の別の実施形態は、uPARAPを発現する対象の細胞によって特徴付けられる疾患を治療する方法であって、前記方法は、本明細書に定義される抗体または抗体薬物複合体を対象に投与することを含む。
【0102】
がんにおけるuPARAPの発現及び役割は、いくつかの研究グループによって調査されており、Melander et al(Melander et al.,2015,Int J Oncol 47:1177-1188)によるレビュー、及びEngelholm et al(Engelholm et al.,2016,J.Pathol.238,120-133)による論文を参照されたい。
【0103】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患は、がん、骨分解疾患、例えば、骨粗鬆症、線維症及びマクロファージ関連疾患または障害、例えば、アテローム性動脈硬化、関節炎または慢性炎症から選択される。
【0104】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、関節炎は、変形性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、ループス、ライム病誘発関節炎、例えば、ライム関節炎、痛風または偽痛風、及び強直性脊椎炎から選択される。
【0105】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、疾患は、がんである。
【0106】
uPARAPの過剰発現によって特徴付けられるがんの例としては、骨肉腫(Engelholm et al.,2016,J Pathol 238(1):120~33)及び他の肉腫を含む肉腫、神経膠芽腫(Huijbers et al.,2010,PLoS One 5(3):e9808)、前立腺癌及び前立腺癌由来の骨転移(Kogianni et al., 2009,Eur J Cancer 45(4):685-93)、乳癌、特に「基底細胞様」乳癌(Wienke et al.,2007,Cancer Res 1;67(21):10230-40)、頭頸部癌(Sulek et al.,2007,J Histochem Cytochem 55(4):347-53)、ならびに中皮腫(Cakilkaya et al., 2021,Int J Mol Sci 22(21):11452)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、がんは、肉腫、神経膠芽腫、中皮腫、結腸癌、前立腺癌、前立腺癌由来の骨転移、乳癌、頭頸部癌、及び白血病から選択される。
【0108】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、がんは、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及び慢性骨髄性白血病(CML)、またはこれらのサブタイプである。
【0109】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書に定義される方法であり、がんは、肉腫、例えば、骨肉腫もしくは軟部組織肉腫(soft tissue sarcoma、STS)、またはこれらのサブタイプである。
【0110】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書に定義される方法であり、軟部組織肉腫(STS)は、類上皮肉腫、明細胞肉腫、胞状軟部肉腫、骨外粘液軟骨肉腫、類上皮血管内皮腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、胚未分化肉腫、胞状軟部肉腫(ASPS)、血管肉腫、軟骨肉腫、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、デスモイド肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、粘液線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、非子宮平滑筋肉腫、子宮平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維組織球腫(MFH)、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、及び/または平滑筋肉腫(LMS)から選択される。
【0111】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、がんは、転移性がんである。
【0112】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、がんは、固形腫瘍である。
【0113】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、がんは、神経膠芽腫である。
【0114】
本開示の一実施形態では、がんは、固形腫瘍ではない。例えば、本開示のADCは、例えば、マクロファージ単球細胞系に由来する、uPARAP発現白血病の治療に使用され得る。
【0115】
本開示の他の実施形態では、uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患または障害は、がんではない。
【0116】
uPARAPは、骨成長及び恒常性に関与している(Madsen et al.,2013,PLoS One 5;8(8):e71261)。したがって、一実施形態では、本開示のADCを、骨分解によって特徴付けられる疾患の治療に使用することができ、骨分解は、骨粗鬆症などの非悪性細胞を介している。
【0117】
コラーゲン蓄積におけるその役割のために、uPARAPについての役割も線維症において示されている(Madsen et al.,2012,J Pathol 227(1):94-105)。したがって、一実施形態では、本開示のADCは、線維症、例えば腎臓、肺及び肝臓の治療に使用され得る。
【0118】
本開示の一実施形態では、本開示のADCは、アテローム性動脈硬化、関節炎及び慢性炎症を含むマクロファージに関連する疾患ならびに障害の治療に使用され得る。
【0119】
本開示のADCまたはADCを含む医薬組成物は、当業者に公知の任意の適切な経路により投与することができる。したがって、可能な投与経路は、非経口(静脈内、皮下、及び筋肉内)、局所、眼内、経鼻、肺内、頬側、口腔内、膣内、及び直腸内を含む。また、インプラントからの投与も可能である。
【0120】
好ましい一実施形態では、医薬組成物は、非経口で、例えば、静脈内、脳室内、関節内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、もしくは皮下に投与されるか、または注入技術によって投与され得る。それらは、他の物質、例えば、溶液を血液と等張性にするための十分な塩またはグルコースを含有し得る滅菌水溶液の形で好都合に使用される。水溶液は、必要に応じて適切に緩衝化されるべきである。
【0121】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、抗体薬物複合体は、非経口で、例えば、静脈内、脳室内、関節内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下に、または注入技術によって投与される。
【0122】
非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性の滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が含まれる。製剤は、単位用量または複数回の用量容器、例えば、密封アンプル及びバイアルに提供されてもよく、使用直前に注射するために、滅菌液体担体、例えば、水を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管されてもよい。即席の注射溶液及び懸濁液を、前述の種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製し得る。
【0123】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、抗体薬物複合体または抗体は、静脈内投与される。
【0124】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、抗体薬物複合体または抗体は、皮下投与される。
【0125】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、抗体薬物複合体または抗体は、1つ以上の更なる薬剤、例えば、1つ以上の更なる治療薬と組み合わせて投与される。
【0126】
本開示の一実施形態では、ADCまたは本開示の抗体を、ADCの機能効率を増大させ得る追加の試薬及び/または治療薬、例えば、リソソーム膜透過性を増大させる確立されたもしくは新規な薬剤と組み合わせて投与することにより、リソソーム内部から細胞質への分子侵入を促進するか、または血液脳関門の透過性を増大させる薬剤と組み合わせて投与する。
【0127】
本開示の一実施形態では、本明細書に記載のADCまたは抗体は、様々な抗がん剤、例えば、代謝拮抗剤、アルキル化剤、アントラサイクリン及び他の細胞傷害性抗生物質、ビンカアルカロイド、抗微小管/抗有糸分裂剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、キナーゼ阻害剤、ペプチド抗生物質、免疫チェックポイント阻害剤、白金系抗悪性腫瘍剤、エトポシド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、抗増殖性免疫抑制剤、コルチコステロイド、性ホルモン及びホルモン拮抗薬、細胞傷害性抗生物質、ならびに他の治療薬と組み合わせて投与され得る。
【0128】
したがって、本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、uPARAPを発現する細胞は、uPARAP過剰発現を示す。
【0129】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、uPARAPを発現する細胞は、腫瘍細胞である。
【0130】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、uPARAPを発現する細胞は、腫瘍関連細胞である。
【0131】
腫瘍関連細胞には、活性化線維芽細胞、筋線維芽細胞、マクロファージ-単球系もしくは他の白血球性細胞型の血管新生性及び浸潤性細胞、ならびに腫瘍を取り囲む間質組織の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、抗体または抗体薬物複合体は、細胞死を誘発し、及び/またはuPARAP発現細胞の成長及び/または増殖を阻害する。
【0133】
本開示の一実施形態では、本方法は、本明細書で定義される方法であり、抗体または抗体薬物複合体は、uPARAP発現細胞から遊離した細胞毒の遊離を誘発し、細胞死をもたらし、及び/または隣接するがん細胞の成長及び/または増殖を阻害する。
【0134】
本開示の一実施形態では、方法は、本明細書で定義される方法であり、治療は、寛解または治癒である。
【0135】
本開示の更なる実施形態は、対象における腫瘍の進行を抑制するための方法であって、本明細書で定義された抗体もしくは抗体薬物複合体、または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法である。
【0136】
本開示の更なる実施形態は、対象における腫瘍の転移能を阻害、低下または除去するための方法であって、本明細書で定義された抗体もしくは抗体薬物複合体、または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法である。
【0137】
本開示の更に別の実施形態は、本明細書で定義された抗体もしくは抗体薬物複合体、または医薬組成物を含み、任意選択で、前記抗体薬物複合体もしくは医薬組成物を対象に投与するための手段及び/または使用のための指示書を更に含む、キットである。
【0138】
一実施形態では、本開示は、uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患、例えば、がんの治療のための薬物の製造において使用される、本明細書に記載された抗体薬物複合体、または本明細書に記載された医薬組成物に関する。
【0139】
一実施形態では、本開示は、uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患、例えば、がんの治療のための薬物の製造において使用される、抗体もしくは抗体薬物複合体、または前記抗体もしくは前記抗体薬物複合体を含む医薬組成物に関し、前記抗体または前記抗体薬物複合体は、
a.配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び、
b.配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、抗体であるか、またはそれを含む。
【0140】
一実施形態では、本開示は、uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患、例えば、がんの治療のための薬物の製造において使用される、抗体もしくは抗体薬物複合体、または前記抗体もしくは前記抗体薬物複合体を含む医薬組成物に関し、前記抗体または前記抗体薬物複合体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖、及び、
b.配列番号4のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖を含む、抗体であるか、またはそれを含む。
【0141】
一実施形態では、本開示は、uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患、例えば、がんの治療のための薬物の製造において使用される、抗体もしくは抗体薬物複合体、または前記抗体もしくは前記抗体薬物複合体を含む医薬組成物に関し、前記抗体または前記抗体薬物複合体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン軽鎖、及び、
b.配列番号4のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン重鎖を含む、抗体であるか、またはそれを含む。
【実施例】
【0142】
実施例1:マウス9b7抗体のヒト化、及びそれに基づくADCの効力
材料及び方法
uPARAPに対して指向するマウス抗体9b7のヒト化
マウス抗体9b7のアミノ酸配列及びそのCDR領域に関するデータは、公開された特許出願のWO2017/133745において入手可能である。
【0143】
9b7抗体のヒト化変異体を、サードパーティ(Fusion Antibodies,Belfast,UK)によって構築した。簡単に言えば、マウスの親抗体(クローン9b7)をシークエンシングし、コンセンサスCDR配列をヒトドナー配列にin silicoで移植した。
【0144】
この目的のために、多数のヒトフレームワーク配列(以下の検索手順を参照のこと)をCDR配列のアクセプターフレームワークとして使用した。これらのアクセプター配列はすべて、ヒト起源の成熟ヒトIgGから得られたものであり、ファージディスプレイまたは他の技術から得られたものではない。抗体9b7配列から生成されたヒト化変異体は、Ab980.2 LCXHCX(軽鎖X、重鎖X)と称される軽鎖及び重鎖の組み合わせであるが、ただし、LC0HC0は、元のマウス抗体の可変領域が、ヒト化抗体で使用されているのと同じヒトIgG定常領域に融合されているキメラ抗体を指す。成熟ヒト化抗体は、IgG1κ型の完全なIgG分子である。
【0145】
重鎖については、ヒトIgG配列のオンラインデータベースを、BLAST検索アルゴリズムを使用して、マウスVHドメインと比較するために検索し、上位200のBLAST結果から選択される候補ヒト可変領域を検索した。これらは、フレームワークの相同性の組み合わせに基づいて4つの候補に減少し、重要なフレームワーク残基及び標準ループ構造を維持した。
【0146】
軽鎖については、ヒトIgK配列のオンラインデータベースを、BLAST検索アルゴリズムを使用して、マウスVLドメインと比較するために検索し、上位200のBLAST結果から選択される候補ヒト可変領域を検索した。これらは、フレームワークの相同性の組み合わせに基づいて4つの候補に減少し、重要なフレームワーク残基及び標準ループ構造を維持した。
【0147】
こうして、全体で、4つのヒト化軽鎖及び4つのヒト化重鎖をコードするDNA配列が選択された。得られた16個の軽鎖及び重鎖の組み合わせはすべて、CHO細胞におけるタンパク質発現に使用した。タンパク質発現を可能にするために、可変軽鎖ドメインのそれぞれは、ヒトIgKアイソタイプ定常ドメイン配列と共にインフレームに配置され、一方、可変重鎖ドメインのそれぞれは、ヒトIgG1アイソタイプ定常ドメイン配列と共にインフレームに配置された。マウスタンパク質の可変ドメインを同じヒトIgG定常領域に融合したキメラ抗体LC0HC0を、比較のために発現させた。
【0148】
タンパク質発現(サードパーティ(Fusion Antibodies,Belfast,UK)によって実行)のために、各変異体をコードする哺乳動物の発現ベクターを、CHO細胞にトランスフェクトし、各変異体のバッチ培養物を7日間まで成長させた。次いで、発現された抗体を、アフィニティークロマトグラフィーにより細胞培養上澄みから精製した。精製された抗体産物について、濃度及び純度を決定した。
【0149】
得られた配列を、哺乳動物の一過性発現プラスミドpD2610-v13(ATUM)にクローニングした。ヒト化抗体変異体をCHOベースの一過性発現系を用いて発現させ、得られた抗体含有細胞培養上清を遠心分離及び濾過により清澄化した。次に、ヒト化変異体を細胞培養上清から(従来技術のAKTAクロマトグラフィー装置を用いて)アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。精製された抗体を、リン酸緩衝生理食塩水に透析/緩衝液交換した。抗体の純度は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲルによって評価し、95%超であると判断された。
【0150】
得られた16個のヒト化抗体の中から、好ましいタンパク質発現収率及び抗原結合特性に基づいて更なる実験のために、LC4HC3と命名された組み合わせを選択した。LC3HC3と命名された別のヒト化抗体を、製造性、内在化及びin vivo有効性などの重要なパラメーターについてLC4HC3と比較するために選択した。
【0151】
抗体-リガンド親和性の決定のためのSPR分析
適切な抗体が得られたら、それらは、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)またはELISAにより、抗原特異性を試験し得る。uPARAPの3つのN末端ドメイン(CysR、FN-II及びCTLD-1)からなる可溶性組換えタンパク質をBIAcoreセットアップ中に固定化した場合、mAb 9b7は、このコンストラクトに結合する。
【0152】
得られた抗体のuPARAPに対する親和性を決定するために、SPR分析を行った。これらの分析は、抗体結合のための抗ヒトFc捕捉表面を有するCM5センサチップを使用して、Biacore 2000機器(Biaffin GmbH,Kassel,Germany)を使用して実施した。分析温度を25℃に設定した。抗体をこの表面に結合させた後、可溶性完全長uPARAPをチップ上に通過させ、得られた会合及び解離速度は、得られた結合曲線から導いた。動力学的相互作用分析のために、30μL/分の流量を使用し、分析バッファーを、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%のTween 20から構成した。
【0153】
抗体薬物複合体(ADC)の調製及び評価
これらの実験で使用されるADCは、十分に確立されたコンジュゲーション方法を使用して生成された。簡単に説明すると、標的抗体は、鎖間ジスルフィドの穏やかな還元により「ベドチン」型のペイロード(MC-VC-PABC-MMAE)へのコンジュゲーションに供され、続いて、マレイミド基を介して過剰なペイロードへのコンジュゲーションが行われ、約4の中程度の平均薬物抗体比(DAR)になった。次にADCを、PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)を使用して精製した。
【0154】
細胞株
U937細胞株をATCCから得て、RPMI(10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン)中にて、摂氏37度のインキュベーター中で5%のCO2雰囲気下で維持した。
【0155】
ADCのin vitro細胞毒性-細胞生存率アッセイ
U937細胞を、平底96ウェルプレート内で90μLの培地に低密度(20%のコンフルエンス、1ウェル当たり2×103細胞)で播種し、一晩インキュベートした。翌日、上記の方法を用いて比較可能に合成したLC4HC3抗体及びLC0HC0抗体のMMAEベースADCを、PBSの連続希釈(1:4)として調製し、0.1μg/mLのADCの最終的な最大ADC濃度(mAb成分)で、各ウェルに10μLの容量で添加した。細胞を96時間インキュベートしてから、12μLのCellTiter 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(MTS,Promega)を添加し、色の形成に適した時間(約60分)インキュベートした。次いで、プレートを、プレートリーダーを用いて630nmでの背景差分により490nmで読み取り、得られた生存率推定値を得た。PBSのみで処理した細胞を未処理の対照として使用し、その生存率にADCで処理したウェルを正規化した。
【0156】
結果
LC4HC3及びLC3HC3の製造性ならびに発現:
LC4HC3及びLC3HC3と命名されたヒト化抗体を、CHO細胞で発現させ、上記のように精製した。両方の抗体について、同じ手順を実施した。結果を以下の表1にまとめ、LC4HC3を十分な純度で著しくより大量に製造できることを明確に示す。
【表1】
【0157】
SPR解析:
LC4HC3及びLC0HC0を、上記の材料及び方法に記載されるようにSPRによって解析した。特に、LC4HC3の結合動力学を、LC0HC0のものと比較した(表2)。これらの解析から明らかなように、抗体LC4HC3に関する低いK
Dは、親抗体であるLC0HC0よりも約1.7倍高いリガンド親和性を示す。
【表2】
【0158】
ADCのin vitro力価解析:
抗体LC4HC3及び抗体LC0HC0のいずれかを含むMMAE含有ADCを、上記のように調製した。これらのADCのin vitro細胞毒性を、ADCの濃度系列を用いてuPARAPポジティブU937細胞に対して試験した(
図1)。LC4HC3-vc-MMAEでの処理から得られる生存率曲線は、LC0HC0-vc-MMAEでの処理から得られる曲線と比較して、低濃度に数倍シフトしているため、細胞根絶に必要なADCの量は、LC0HC0ベースのADCよりもLC4HC3ベースの方が少ないことは明らかである。
【0159】
結論
ヒト化抗体980.2 LC4HC3は、マウスモノクローナル抗体mAb 9b7から開発されている。この新規な抗体の特性は、マウス可変配列全体が他の点ではヒトIgGの設定に保持されているキメラ抗体980.2 LC0HC0と比較することにより、親可変配列から得られる特性と直接比較することができる。この比較は、1)ヒト化980.2 LC4HC3が、980.2 LC0HC0より高いリガンド親和性を有し、2)980.2 LC4HC3に基づくADCが、980.2 LC0HC0に基づく他の同等のADCよりも、細胞毒性に関してより効率的であることを明らかにしている。
【0160】
実施例2:マウス9b7抗体、LC3HC3及びLC4HC3のヒト化変異体の内在化
材料及び方法
抗体標識
ヨードゲン(Thermo Fischer)を120μg/mlでクロロホルムに溶解させ、ガラス管の底部を蒸着によってコーティングするために使用した。コーティングされた管中で、200μg/mlのヒト化抗体(LC3HC3またはLC4HC3のいずれか)を、0.1Mのトリス緩衝液中の588ng/mlのI-125(Perkin Elmer)とpH7.6で10分間反応させた。0.01%のTween-80を含有する0.1MトリスpH8.1緩衝液を9倍過剰で添加することによって、反応を停止させた。非結合ヨウ素をPD-10カラムでコラーゲンから分離し、標識抗体をpH8.1の0.01%Tween-80を含む0.1Mトリス/HCl緩衝液中で溶出した。すべての抗体がこの緩衝液中に溶出されると仮定すると、8μg/mlの濃度になる。標識コラーゲンの完全性及び放射活性を、SDS-PAGEで実行し、続いてクマシー染色及びホスホロイメージングにより日常的に確認した。
【0161】
細胞培養及び抗体の内在化手順
SAOS-2骨肉腫細胞(Finsenlab;生存率98.7%、密度1.07×10^6/ml)を1×10^5/mlにまで希釈し、24ウェル当たり1mlを実験用に播種した。細胞を一晩接着させた。放射性標識抗体を添加する少なくとも30分前に、この培地を、1.5%のFBS及び20mMのHEPESを含むDMEM/F12からなる内在化培地に置き換えた。細胞を含まない内在化培地を、対照として別のウェルに播種した。これらの試料からの放射活性は、プラスチックに付着し、トリプシン処理の際に回収される放射性標識タンパク質の量を表すと考えられる。これらの測定値を「ベースラインレベル」とみなすことができ、細胞を含む試料の測定値から差し引くことができる。上記の仮定に基づいて40ngをわずかに下回ると推定される5μlのLC4HC3またはLC3HC3を、各ウェルに添加した。1時間または4時間後に、培地を吸引により除去し、細胞を500μlの氷冷PBSで3回洗浄した。50μg/mlのプロテイナーゼKを含む500μlのトリプシン-EDTAを、各ウェルに2分間添加した。細胞を回収し、エッペンドルフチューブに移し、1000g、4℃にて1分間回転させた。上清(細胞結合抗体を含む)及びペレットを別々に収集し、ガンマカウンタで分析した。2μlの標識抗体ストックを同時に分析し、標識効率を評価した。
【0162】
結果
図2に示される結果は、ヒト化抗体LC4HC3がヒト化抗体LC3HC3よりも有意に速いだけでなく、より広範囲に内在化されることを明確に示している。
【0163】
結論
ヒト化抗体LC4HC3は、時間依存的様式でSAOS-2骨肉腫細胞によって最大の範囲まで内在化された。LC3HC3も内在化されたが、はるかに少なく、LC4HC3ほど迅速ではなかった。2つの参照抗体は同じ重鎖を含み、内在化の違いは、軽鎖のアミノ酸配列の違いにのみ起因し得る。
【0164】
実施例3:ヒト化マウス9b7抗体LC3HC3及びLC4HC3に基づくADCのin vivo有効性
材料及び方法
細胞培養及び調製
この実験用に十分な細胞が得られるまで、(上記の)U937細胞を標準的な手順に従って継代した。細胞を150gで5分間にわたって遠心沈殿させ、低温PBS(Gibco)中で3回洗浄した。細胞濃度を3.6×106細胞/mlに調整した。これは、意図される接種容量である100μl当たり約300万個の生細胞に変換される。
【0165】
異種移植腫瘍接種
レシピエントCB17マウスをZoletil(AEM)で麻酔し、Viscotears点眼薬を投与し、耳標を作った。右側腹部を剪毛し、70%エタノールで消毒した。25G針を使用し、100μlの再懸濁させたU937細胞を皮下空間に注入した(切開または縫合は不要)。マウスは、ケージ内で麻酔から回復させた。マウスが動くまで、回復を監視した。翌日にマウスを再び監視し、処置開始まで腫瘍サイズを詳細に監視した。
【0166】
処置は、腫瘍が適切なサイズ(約80~150mm3)に達したらすぐに開始した。
【0167】
ADC処置及び監視
LC3HC3またはLC4HC3ヒト化抗体を含むベドチン型(MMAE)ADCを、上記のように調製した。マウスを群に分け、1群当たり3~5匹(N=3~5)の動物を用い、群は、用いるADCまたは前記ADCの投与量によって異なった。マウスの1つのコホートを、2mg/kg、4mg/kgまたは6mg/kgの濃度を受ける群のLC3HC3 ADCで試験し、別のコホートを、同じ濃度範囲を受ける群のLC4HC3 ADCで試験した。
【0168】
各群について、マウスに、週1回合計2回の注射(qd7×2)について静脈(尾部静脈)内に制御量のADCを投与し、処置後も腫瘍増殖を注意深く監視した。例示的に、
図3a及び
図3bは、それぞれ4mg/kg用量のLC4HC3及びLC3HC3 ADCで処置された群における腫瘍増殖を示す。
【0169】
監視は、全体的な健康状態を点検すること、ならびにデジタルキャリパーを用いて腫瘍の幅及び長さの寸法を測定することからなる。すべての観察及び測定値は、手作業で記録され、検査の後にデジタルデータシートに転送される。動物は、1次元で腫瘍サイズが12mmを超えた場合、((長さ×幅2)/2として計算した)腫瘍の体積が1000mm3を超えた場合、または一般的な健康状態に対する深刻な影響が観察された場合に安楽死させた。動物は、頸椎脱臼により安楽死させた。
【0170】
結果
LC4HC3及びLC3HC3に基づくADCでの処置後のU937腫瘍体積を、それぞれ
図3a及び
図3bに示す。
図3aは、4匹のマウスの群(N=4)についての腫瘍体積を示し、それぞれ、週1回合計2回の注射(qd7×2)について4mg/kgでLC4HC3 ADCを投与し、
図3bは、4匹のマウスの異なる群(N=4)についての腫瘍体積を示し、それぞれ、週1回合計2回の注射(qd7×2)について4mg/kgでLC3HC3 ADCを投与した。
【0171】
結論
図3a及び
図3bを比較すると明らかなように、LC4HC3 ADCに基づく処置は、処理後の期間に、特に試験されたすべての用量で、腫瘍の再増殖を伴わずに、すべてのマウスを完全に治癒させた。対照的に、LC3HC3に基づく同じ処置は、すべての腫瘍細胞を死滅させることができず、例えば、処置後の監視期間において侵攻性の腫瘍増殖が観察された。
【0172】
データは、ヒト化抗体LC4HC3及び前記ヒト化抗体を含むADCが、別のヒト化抗体LC3HC3と比較して、in vivo有効性が改善された強力な抗腫瘍剤であることを示している。2つの参照抗体は同じ重鎖を含み、有効性の違いは、軽鎖のアミノ酸配列の差異にのみ起因し得る。
【0173】
【0174】
条項1
項目1.uPARAPに結合する抗体であって、
a.配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び/または、
b.配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、前記抗体。
【0175】
項目2.前記抗体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、及び/または、
b.配列番号4のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖を含む、項目1に記載の抗体。
【0176】
項目3.前記抗体は、
a.配列番号1のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン軽鎖、及び、
b.配列番号4のアミノ酸配列からなる免疫グロブリン重鎖を含む、先行項目のいずれか1つに記載の抗体。
【0177】
項目4.抗体薬物複合体(ADC)であって、
a.先行項目のいずれか1つに記載の抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む、前記抗体薬物複合体。
【0178】
項目5.前記活性薬剤は、治療薬、放射性同位元素及び検出可能な標識から選択される、項目4に記載の抗体薬物複合体。
【0179】
項目6.前記活性薬剤は、細胞傷害性薬物である、項目4~5のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0180】
項目7.前記活性薬剤は、治療薬、例えば、微小管阻害/有糸分裂阻害剤、DNA架橋剤、DNAアルキル化剤、DNA鎖切断剤、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、キナーゼ阻害剤、代謝阻害剤、ペプチド抗生物質、免疫チェックポイント阻害剤、白金系抗悪性腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAまたはRNAポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオチド系薬剤、及び細胞毒性抗生物質からなる群から選択される治療薬である、項目4~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0181】
項目8.前記活性薬剤は、例えば、アウリスタチンまたはドラスタチン(例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)など)の誘導体、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルなど)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビンなど)、マイタンシノイド、コルヒチン及びポドフィロトキシン、またはこれらのうちのいずれかの誘導体からなる群から選択される有糸分裂阻害剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0182】
項目9.前記活性薬剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、項目4~8のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0183】
項目10.前記活性薬剤は、DNA架橋剤、例えば、シスプラチンまたはシスプラチンの誘導体(例えば、カルボプラチンまたはオキサリプラチン)、マイトマイシンC(MMC)、ピロロベンゾジアゼピン、及び二量体ピロロベンゾジアゼピン誘導体(例えば、SGD-1882)から選択される、DNA架橋剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0184】
項目11.前記活性薬剤は、DNAアルキル化剤、例えば、トリス(2-クロロエチル)アミン、ピリジノベンゾジアゼピンもしくはピリジノベンゾジアゼピン誘導体、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びデュオカルマイシンSAなどのナイトロジェンマスタードから選択される、DNAアルキル化剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0185】
項目12.前記活性薬剤は、DNA鎖切断剤、例えば、カリケアミシン及びハミルトロンから選択されるDNA鎖切断剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0186】
項目13.前記活性薬剤は、アントラサイクリン、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びPNU-159682から選択されるアントラサイクリンである、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0187】
項目14.前記活性薬剤は、代謝拮抗剤、例えば、葉酸拮抗剤(例えば、メトトレキサート)、プリン代謝拮抗剤(例えば、6-メルカプトプリンまたは6-チオグアニンまたはリン酸フルダラビンまたはペントスタチンまたはクラドリビン)、及びピリミジン代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシルまたは5-フルオロデオキシウリジンまたはシタラビンまたはゲムシタビン)から選択される代謝拮抗剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0188】
項目15.前記活性薬剤は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、例えば、トリコスタチンA、ボリノスタット、ベリノスタット、パノビノスタット、ギビノスタット、レスミノスタット、アベキシノスタット、キシノスタット、ロシリノスタット、プラシノスタット、CHR-3996、バルプロ酸、酪酸、フェニル酪酸、エンチノスタット、タセジナリン、4SC202、モセチノスタット、ロミデプシン、ニコチンアミド、サーチノール、カンビノール、及びEX-527から選択されるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0189】
項目16.前記活性薬剤は、キナーゼ阻害剤、例えば、ゲニステイン、ラベンダスチンC、PP1-AG1872、PP2-AG1879、SU6656、CGP77675、PD166285、イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラベンダスチンA、セツキシマブ、UCS15A、ハービマイシンA、及びラディシコールから選択されるキナーゼ阻害剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0190】
項目17.前記活性薬剤は、APO866、GMX-1777、GMX-1778、ATG-019及びOT-82から選択されるNAMPT阻害剤などの代謝阻害剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0191】
項目18.前記活性薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、AMP-224及びAMP-514から選択されるPD-1阻害剤;またはアテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170及びBMS-986189から選択されるPD-L1阻害剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬剤複合体。
【0192】
項目19.前記活性薬剤は、白金系抗悪性腫瘍剤、例えば、リポプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、フェナントリプラチン、サトラプラチン、及びトリプラチンテトラナイトレートから選択される白金系抗悪性腫瘍剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0193】
項目20.前記活性薬剤は、トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシンまたはその誘導体、例えば、トポテカン、ベロテカン、ルルトテカン、イリノテカン、SN-38、エキサテカン、及びDxdから選択されるトポイソメラーゼ阻害剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0194】
項目21.前記活性薬剤は、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼ阻害剤、例えば、アマニチンもしくはα-アマニチンまたはその誘導体、アクチノマイシンD、及びアフィディコリンから選択されるポリメラーゼ阻害剤である、項目4~7のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0195】
項目22.前記活性薬剤は、60Co、89Sr、90Y、99mTc、131I、137Cs、153Sm、及び223Rdから選択される放射性同位元素を含む、項目4~21のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0196】
項目23.薬物抗体比(DAR)は、2と8の間などの1と10の間、例えば、2または4などの2と6の間である、項目4~22のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0197】
項目24.前記抗体薬物複合体は、切断型リンカー及び非切断型リンカーから選択されるリンカーを含む、項目4~23のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0198】
項目25.前記リンカーはペプチドリンカーである、項目4~24のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0199】
項目26.前記リンカーは、ジペプチド、例えば、バリン-シトルリン(VC)もしくはバリン-アラニン(VA)を含むか、またはそれからなる、項目4~25のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0200】
項目27.前記抗体薬物複合体は、スペーサー、例えば、p-アミノ安息香酸(PAB)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、p-アミノベンゾイルオキシカルボニル、またはポリエチレングリコール(PEG)を含むスペーサーを更に含む、項目4~26のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0201】
項目28.前記抗体薬物複合体は、結合基、例えば、マレイミド及びカプロン酸(MC)、N-ヒドロキシスクシンイミド、修飾もしくは未修飾のタンパク質結合炭水化物を指向する反応性結合基、酵素反応に必要なペプチド配列、アジドもしくはアルキン、もしくは抗体との反応によってこれらから誘導されるもの、もしくはこれらの化学的もしくは酵素的に生成される誘導体を含むか、またはこれらからなる結合基を更に含む、項目4~27のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0202】
項目29.前記抗体薬物複合体は、
a.項目3に定義される抗体、
b.VCリンカー、
c.MC結合基、
d.PABまたはPABCスペーサー、及び、
e.活性薬剤としてのMMAEを含むか、またはそれらからなる、項目4~28のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0203】
項目30.前記抗体薬物複合体は、項目3に定義される抗体、及びMC-VC-PAB-MMAEからなる、項目4~9及び23~29のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0204】
項目31.前記抗体薬物複合体は、項目3に定義される抗体、及びMC-VC-PABC-MMAEからなる、項目4~9及び23~29のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0205】
項目32.配列番号2及び/または配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、ポリペプチド。
【0206】
項目33.配列番号1、2、3、4、5及び/または6のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【0207】
項目34.前記ポリヌクレオチドは、配列番号11及び/または配列番号12を含む、項目33に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【0208】
項目35.項目33~34のいずれか1つに定義されるポリヌクレオチドを含むベクター。
【0209】
項目36.前記ベクターは、哺乳動物発現ベクターである、項目35に記載のベクター。
【0210】
項目37.前記ベクターは、プラスミドベクター、例えば、pD2610-v13(ATUM)、pSV及びpCMVシリーズのプラスミドベクターから選択される、プラスミドベクターである、項目35~36のいずれか1つに記載のベクター。
【0211】
項目38.前記ベクターは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、バキュロウイルスベクター及び腫瘍溶解性ウイルスベクターからなる群から選択されるウイルスベクターである、項目35~37のいずれか1つに記載のベクター。
【0212】
項目39.項目32~33のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド及び/または項目35~38のいずれか1つに記載のベクターを含む、宿主細胞。
【0213】
項目40.前記宿主細胞は、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、COS(CV-1(サル)由来の及びSV40遺伝物質を担持する)細胞、HEK(ヒト胎児由来腎臓)細胞、ならびにHeLa(Henrietta Lacks)細胞からなる群から選択される、項目39に記載の宿主細胞。
【0214】
項目41.薬物として使用するための、項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、または項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0215】
項目42.項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、または項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、及び薬学的に許容される緩衝液、希釈剤、担体、アジュバントまたは賦形剤を含む、医薬組成物。
【0216】
項目43.uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患を治療する方法であって、前記方法は、項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、前記方法。
【0217】
項目44.前記uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患は、がん、骨分解疾患、例えば、骨粗鬆症、線維症及びマクロファージ関連疾患または障害、例えば、アテローム性動脈硬化、関節炎または慢性炎症から選択される、項目43に記載の方法。
【0218】
項目45.前記関節炎は、変形性関節炎、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、ループス、ライム病誘発関節炎、例えば、ライム関節炎、痛風または偽痛風、及び強直性脊椎炎から選択される、項目44に記載の方法。
【0219】
項目46.前記疾患はがんである、項目43~44のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
項目47.前記がんは、肉腫、神経膠芽腫、中皮腫、結腸癌、前立腺癌、前立腺癌由来の骨転移、乳癌、頭頸部癌、及び白血病から選択される、項目46に記載の方法。
【0221】
項目48.前記がんは固形腫瘍である、項目46~47のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
項目49.前記がんは、白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及び慢性骨髄性白血病(CML)である、項目46~47のいずれか1つ記載の方法。
【0223】
項目50.前記がんは神経膠芽腫である、項目46~48のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
項目51.前記がんは、肉腫、例えば、骨肉腫もしくは軟部組織肉腫(STS)である、項目46~48のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
項目52.前記軟部組織肉腫(STS)は、類上皮肉腫、明細胞肉腫、胞状軟部肉腫、骨外粘液軟骨肉腫、類上皮血管内皮腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、胚未分化肉腫、胞状軟部肉腫(ASPS)、血管肉腫、軟骨肉腫、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、デスモイド肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、粘液線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、非子宮平滑筋肉腫、子宮平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維組織球腫(MFH)、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、及び/または平滑筋肉腫(LMS)から選択される、項目51に記載の方法。
【0226】
項目53.前記がんは転移性がんである、項目46~52のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
項目54.項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物は、非経口で、例えば、静脈内、脳室内、関節内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下に、または注入技術によって投与される、項目43~53のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
項目55.項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物は、静脈内投与される、項目43~54のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
項目56.項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物は、1つ以上の更なる薬剤、例えば、1つ以上の更なる治療薬と組み合わせて投与される、項目43~55のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
項目57.前記uPARAPを発現する細胞は、uPARAP過剰発現を示す、項目43~56のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
項目58.前記uPARAPを発現する細胞は、腫瘍細胞及び/または腫瘍関連細胞である、項目43~57のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
項目59.項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物は、細胞死を誘発し、及び/または前記uPARAP発現細胞の成長及び/または増殖を阻害する、項目43~58のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
項目60.項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物は、前記uPARAP発現細胞から遊離した細胞毒の遊離を誘発し、細胞死をもたらし、及び/または隣接するがん細胞の成長及び/または増殖を阻害する、項目43~59のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
項目61.前記治療は、寛解または治癒である、項目43~60のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
項目62.対象における腫瘍の進行を抑制するための方法であって、項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0236】
項目63.対象におけるuPARAPを発現する腫瘍の転移能を阻害、低下または除去するための方法であって、項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0237】
項目64.項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物を含むキットであって、任意選択で、前記抗体または前記抗体薬物複合体を対象に投与するための手段、及び/または使用のための指示書を更に含む、前記キット。
【0238】
項目65.uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患、例えば、がんの治療のための薬物の製造で使用するための、項目1~3のいずれか1つに記載の抗体、項目4~31のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目42に記載の医薬組成物。
【0239】
条項2
項目1.uPARAPに結合する抗体であって、
a.配列番号3のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン軽鎖可変領域、及び/または、
b.配列番号6のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれからなる免疫グロブリン重鎖可変領域を含む、前記抗体。
【0240】
項目2.抗体薬物複合体(ADC)であって、
a.項目1に記載の抗体、
b.活性薬剤、及び、
c.任意選択で、a)をb)に結合するリンカーを含む、抗体薬物複合体。
【0241】
項目3.前記活性薬剤は、治療薬、例えば、微小管阻害/有糸分裂阻害剤、DNA架橋剤、DNAアルキル化剤、DNA鎖切断剤、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、キナーゼ阻害剤、代謝阻害剤、ペプチド抗生物質、免疫チェックポイント阻害剤、白金系抗悪性腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAまたはRNAポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオチド系薬剤、及び細胞毒性抗生物質からなる群から選択される治療薬である、項目2に記載の抗体薬物複合体。
【0242】
項目4.前記抗体薬物複合体は、切断型リンカー及び非切断型リンカーから選択されるリンカーを含む、項目2~3のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0243】
項目5.前記抗体薬物複合体は、スペーサー、例えば、p-アミノ安息香酸(PAB)、p-アミノベンジルカルバメート(PABC)、p-アミノベンゾイルオキシカルボニル、またはポリエチレングリコール(PEG)を含むスペーサーを更に含む、項目2~4のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0244】
項目6.前記抗体薬物複合体は、
a.項目1に定義される抗体、
b.VCリンカー、
c.MC結合基、
d.PABまたはPABCスペーサー、及び、
e.活性薬剤としてのMMAEを含むか、またはそれらからなる、項目2~5のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0245】
項目7.配列番号2及び/または配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、ポリペプチド。
【0246】
項目8.配列番号1、2、3、4、5及び/または6のいずれか1つのアミノ酸配列をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【0247】
項目9.薬物として使用するための、項目1に記載の抗体、または項目2~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体。
【0248】
項目10.項目1に記載の抗体、または項目2~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、及び薬学的に許容される緩衝液、希釈剤、担体、アジュバントまたは賦形剤を含む、医薬組成物。
【0249】
項目11.uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患を治療するための方法で使用するための、項目1に記載の抗体、項目2~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目10に記載の医薬組成物。
【0250】
項目12.前記uPARAPを発現する細胞によって特徴付けられる疾患は、がん、骨分解疾患、例えば、骨粗鬆症、線維症及びマクロファージ関連疾患または障害、例えば、アテローム性動脈硬化、関節炎または慢性炎症から選択される、項目11に記載の使用のための項目1に記載の抗体、項目2~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目10に記載の医薬組成物。
【0251】
項目13.対象における腫瘍増殖を阻害する方法で使用するための、項目1に記載の抗体、項目2~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目10に記載の医薬組成物。
【0252】
項目14.uPARAPを発現する腫瘍の転移能を阻害、低下または除去するための方法で使用するための、項目1に記載の抗体、項目2~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目10に記載の医薬組成物。
【0253】
項目15.項目1に記載の抗体、項目2~6のいずれか1つに記載の抗体薬物複合体、または項目10に記載の医薬組成物を含むキットであって、任意選択で、前記抗体または前記抗体薬物複合体を対象に投与するための手段、及び/または使用のための指示書を更に含む、前記キット。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】