(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】植物にインスパイアされた双性イオンモノマー、ポリマーおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C08F 26/02 20060101AFI20240723BHJP
C08F 12/26 20060101ALI20240723BHJP
C08F 20/36 20060101ALI20240723BHJP
B01D 71/82 20060101ALI20240723BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20240723BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240723BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20240723BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240723BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240723BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240723BHJP
A61L 27/34 20060101ALI20240723BHJP
A61L 15/60 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C08F26/02
C08F12/26
C08F20/36
B01D71/82 500
H01B1/06 A
H01M10/0568
H01M10/0565
H01M10/052
A61K9/06
A61K47/32
A61L27/34
A61L15/60 100
A61K9/70 401
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579714
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022034908
(87)【国際公開番号】W WO2023278268
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319009901
【氏名又は名称】トラスティーズ オブ タフツ カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】パンツァー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,モーガン
(72)【発明者】
【氏名】アレクシーウ,アイシェ アサテキン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4D006
4J100
5G301
5H029
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA72
4C076EE16A
4C076FF34
4C081AA01
4C081CA082
4C081DC02
4D006GA02
4D006MC72
4J100AB07P
4J100AG08P
4J100AL08P
4J100AQ11P
4J100BA03P
4J100BA10P
4J100BA18P
4J100BC69P
4J100DA28
4J100JA01
4J100JA43
4J100JA51
4J100JA53
5G301CD01
5H029AM16
5H029HJ02
(57)【要約】
複数のモノマーを含むポリマーであって、モノマーの少なくとも一部が、ピリジニウム基およびカルボキシレート基を有するベタインを含む双性イオンである、ポリマーを開示する。また、そのようなポリマーを含む、ろ過膜、コーティング材料、創傷被覆剤、電解質、電池、および製剤も開示する。さらに、そのようなポリマーを調製する方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモノマーを含むポリマーであって、前記モノマーの少なくとも一部が、ピリジニウム基およびカルボキシレート基を有するベタインを含む双性イオンである、ポリマー。
【請求項2】
ヒドロゲルである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記カルボキシレート基が、前記ピリジニウム基のC3に結合している、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記双性イオンが、アルキル、アリル、アリール、ビニルベンジル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはメタクリルアミド基をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
前記双性イオンが、
【化1-1】
【化1-2】
またはそれらの任意の組み合わせを含み、
Rは、アクリレート(-OC(O)CH=CH
2)、メタクリレート(-OC(O)C(CH
3)=CH
2)、アクリルアミド(-NHC(O)CH=CH
2)、またはメタクリルアミド(-NHC(O)C(CH
3)=CH
2)を表す、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
疎水性モノマー、荷電モノマー、イオン性モノマー、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含むコポリマーである、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーを含むろ過膜。
【請求項8】
水ろ過膜である、請求項7に記載のろ過膜。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーを含むコーティング材料。
【請求項10】
バイオインプラントコーティング材料である、請求項9に記載のコーティング材料。
【請求項11】
インプラント表面コーティング材料である、請求項9に記載のコーティング材料。
【請求項12】
生物医学デバイスコーティング材料である、請求項9に記載のコーティング材料。
【請求項13】
防汚材料である、請求項9に記載のコーティング材料。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーを含む創傷被覆材。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーを含むイオン液体系電解質。
【請求項16】
イオノゲル電解質である、請求項15に記載のイオン液体系電解質。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーを含むポリマー電解質。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか一項に記載の電解質を含むLiイオン電池。
【請求項19】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーを含む薬物送達製剤。
【請求項20】
カルボキシベタインモノマーを調製する方法であって、
ニコチン酸と求電子剤とを反応させてカチオン中間体を得ること;および
前記カチオン中間体と塩基とを反応させてカルボキシベタインモノマーを得ること
を含む、方法。
【請求項21】
溶媒をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒がDMFである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記求電子剤がハロゲン化物またはエポキシドである、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記求電子剤が、
【化2】
であり、
Rは、置換もしくは非置換アルキル、アリルまたはビニルであり、Xはハロゲンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ハロゲンが、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記求電子剤がハロゲン化物であり、該ハロゲン化物は、臭化アリル、4-ビニルベンジルクロリド、または2-クロロエチルアクリレートである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記カルボキシベタインモノマーが、
【化3】
であり、
Rは、置換もしくは非置換アルキル、アリルまたはビニルである、請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記カチオン中間体が、
【化4】
である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記塩基がアルカリ水酸化物である、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記アルカリ水酸化物が水酸化ナトリウムである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記カルボキシベタインモノマーが、
【化5】
である、請求項20~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
カルボキシベタインモノマーを含むポリマーを調製する方法であって、
複数のカルボキシベタインモノマー(例えば、請求項20~31のいずれか一項に記載の方法によって得られるカルボキシベタインモノマー)を重合させ、それによってポリマーを調製することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,781に対する優先権の利益を主張する;その内容は参照により組み込まれる。
【政府の支援】
【0002】
本発明は、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)によって授与された助成金番号1802729号の下で政府の支援により行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
双性イオン(ZI)ポリマーは、薬物送達、バイオインプラント、防汚材料、および電気化学的エネルギー貯蔵などの多くの分野の研究の焦点となっている多様なサブクラスの材料である。その特異な特性および電池電解質としての可能性を際立たせる、複数の異なるタイプの双性イオン化学物質および材料が存在する。
【0004】
しかしながら、市販のZIモノマーは、Li+輸送を促進しないスルホベタイン型(例えば、スルホベタインメタクリレート、SBMA)、および製造コストが高いホスホリルコリン型(例えば、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、MPC)など、官能基の選択肢が非常に限られている。
【0005】
したがって、双性イオンの広範な使用に対する主な欠点は、市販されているかまたは合成が容易な化学物質の数が限られていることである。そのため、特に、合成の障壁を低くしかつ将来の応用のための双性イオンの利用可能性を高めるカルボキシベタイン(CB)モチーフおよびホスホリルコリン(PC)モチーフを含む、新規な双性イオン化学物質の開発を続ける必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの態様では、本発明は、複数のモノマーを含むポリマーであって、モノマーの少なくとも一部が、ピリジニウム基およびカルボキシレート基を有するベタインを含む双性イオンである、ポリマーを提供する。
【0007】
特定の実施形態において、ポリマーはヒドロゲルである。
【0008】
特定の実施形態では、カルボキシレート基は、前記ピリジニウム基のC3に結合している。
【0009】
特定の実施形態では、双性イオンは、アルキル、アリル、アリール、ビニルベンジル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはメタクリルアミド基をさらに含む。
【0010】
特定の実施形態では、双性イオンは、
【化1-1】
【化1-2】
またはそれらの任意の組み合わせを含み、
Rは、アクリレート(-OC(O)CH=CH
2)、メタクリレート(-OC(O)C(CH
3)=CH
2)、アクリルアミド(-NHC(O)CH=CH
2)、またはメタクリルアミド(-NHC(O)C(CH
3)=CH
2)を表す。
【0011】
特定の実施形態において、ポリマーは、疎水性モノマー、荷電モノマー、イオン性モノマー(もしくはイオン化可能モノマー)(ionizable monomer)、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含むコポリマーである。
【0012】
他の態様において、本発明は、本発明のポリマーを含むろ過膜(例えば、水ろ過膜)を提供する。
【0013】
他の態様において、本発明は、本発明のポリマーを含むコーティング材料(例えば、バイオインプラントコーティング材料、インプラント表面コーティング材料、生物医学デバイスコーティング材料、防汚材料)を提供する。
【0014】
他の態様では、本発明は、本発明のポリマーを含む創傷被覆材(wound-dressing material)を提供する。
【0015】
他の態様において、本発明は、本発明のポリマーを含むイオン液体系電解質(ionic liquid-based electrolyte)(例えば、イオノゲル電解質)またはポリマー電解質を提供する。
【0016】
他の態様において、本発明は、本発明のイオン液体系電解質またはポリマー電解質を含むLiイオン電池を提供する。
【0017】
他の態様において、本発明は、本発明のポリマーを含む薬物送達製剤を提供する。
【0018】
いくつかの態様では、本発明は、ニコチン酸を求電子剤と反応させてカチオン中間体を得ること;およびカチオン中間体を塩基と反応させてカルボキシベタインモノマーを得ること;を含む、カルボキシベタインモノマーを調製する方法を提供する。
【0019】
ある実施態様において、その方法は、溶媒(例えば、DMF)をさらに含む。
【0020】
特定の実施形態では、求電子剤はハロゲン化物またはエポキシドである。
【0021】
特定の実施形態では、求電子剤は、
【化2】
であり、Rは、置換もしくは非置換アルキル、アリルまたはビニルであり、Xはハロゲン(例えば、臭素、塩素、フッ素、またはヨウ素)である。
【0022】
特定の実施形態では、求電子剤はハロゲン化物であり、ハロゲン化物は、臭化アリル、4-ビニルベンジルクロリド、または2-クロロエチルアクリレートである。
【0023】
特定の実施形態では、カルボキシベタインモノマーは、
【化3】
であり;Rは、置換もしくは非置換アルキル、アリルまたはビニルである。
【0024】
特定の実施形態では、カチオン中間体は、
【化4】
である。
【0025】
特定の実施形態において、塩基はアルカリ水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)である。
【0026】
特定の実施形態では、カルボキシベタインモノマーは、
【化5】
である。
【0027】
いくつかの態様では、カルボキシベタインモノマーを含むポリマーを調製する方法は、ニコチン酸をハロゲン化物と反応させてカチオン中間体を得ることと、カチオン中間体を塩基と反応させてカルボキシベタインモノマーを得ることとによって得られる複数のカルボキシベタインモノマーを重合させることを含む。
【0028】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】バイオインスパイアード(bio-inspired)双性イオンモノマーの合成スキーム。(a)ニコチン酸を臭化アリルと反応させることによって調製されるCBZ1、および(b)ニコチン酸を4-ビニルベンジルクロリドと反応させることによって調製されるCBZ2。
【
図2】新規なCB型双性イオンを含有するモノマー溶液の写真。1M LiTFSI/BMP TFSI中のCBZ1(左)およびCBZ2(右)(0.3のZI単位:Li
+モル比)である。このモル比において、おおよその濃度は、500μLの1M LiTFSI/BMP TFSI中、22mgのCBZ1および33mgのCBZ2であった。
【
図3】1M LiTFSI/BMP TFSIおよび双性イオンモノマー溶液の
7Li NMRスペクトル。プロットは、1M LiTFSI/BMP TFSI溶液(下)、ならびにCBMA、CBZ1、SB2VP、およびCBZ2を含有するZIモノマー溶液のNMRスペクトルを含む。
【
図4】ニコチン酸を2-クロロエチルアクリレートと反応させることによるCBZ3の提案された合成スキーム。
【
図5】CBZ1モノマーの
1H NMRスペクトル。実験方法において概説される手順に従って、ニコチン酸を臭化アリルと反応させることによって合成した。ピーク帰属を挿入図に示しており、溶媒としてD
2Oを使用してNMRを行った。
1H NMR(D
2O,500MHz):9.14,8.82,8.79,8.01(m,Pr),5.9-6.01(1H,=CH),5.35-5.4(2H,=CH
2),5.14(2H,-CH
2N)。
【
図6】CBZ2モノマーの
1H NMRスペクトル。ニコチン酸を4-ビニルベンジルクロリドと反応させることによって調製した。ピーク帰属を挿入図に示しており、溶媒としてD
2Oを使用してNMRを行った。
1H NMR(D
2O,500MHz):8.75,8.41,8.05,7.89(m,Pr),7.18-7.33(m,ベンゼン),6.49-6.55(2H,=CH
2),5.6(1H,=CH),5.16(2H,-CH
2N)。
【
図7】1M LiTFSI/BMP TFSI溶液および双性イオンモノマー溶液の
19F NMRスペクトル。図は、1M LiTFSI/BMP TFSI溶液(下)ならびにCBMA、CBZ1、SB2VPおよびCBZ2を含有するZIモノマー溶液のNMRスペクトルを含む。全ての試料は、図の凡例に示すように特定のZI単位:Li
+モル分率を含み、全ての試料が、-79.15ppmのD
2O中の0.5M LiTFSIを基準とする。
【
図8】イオン伝導度(ionic conductivity)の温度依存性。1M LiTFSI/BMP TFSI溶液(緑色)、ならびに双性イオンCBZ1(紫色)およびpCBZ2(ピンク色)を含有する電解質試料(0.3のZI単位:Li
+モル分率)について測定した。各電解質について計算されたイオン伝導度の活性化エネルギーを名称の隣の凡例に示す。
【
図9】1M LiTFSI/BMP TFSIベースの電解質の分極前後のセルインピーダンス応答(ナイキストプロット)。サンプルは、(a)イオン液体(IL)溶液、(b)CBZ1モノマー溶液、および(c)pCBZ2ゲルを含む。(b)および(c)における双性イオンの濃度は、ZI単位:Li
+モル分率値が0.3であり、挿入図は、10mVの印加電位に対するクロノアンペロメトリー応答(chronoamperometry response)を示す。
【
図10】双性イオンモノマーCBZ4、CBZ5、CBZ6、CBZ7、およびCBZ8を作製するための、ナイアシンと様々なモノマービルディングブロックとの反応のための合成スキーム。R=アクリレート(H
2C=CHC(O)O-)、メタクリレート(H
2C=C(CH
3)C(O)O-)、アクリルアミド(H
2C=CHC(O)NH-)、またはメタクリルアミド(H
2C=C(CH
3)C(O)NH-)基;X=ClまたはBr。矢印は、概して、2ステッププロセス(ナイアシンの窒素を四級化(quaternize)するための反応、続いて塩基と反応させてカルボキシレート基を脱プロトン化することによって双性イオン化する)を表す。
【
図11】CBZ9モノマー(酸バージョン)の
1H NMRスペクトル。ニコチン酸を2-ブロモエチルメタクリレートと反応させることによって調製した。ピーク帰属を挿入図に示しており、溶媒としてD
2Oを使用してNMRを行った。
1H NMR(D
2O,500MHz):9.38,9.00,8.93,8.11,(m,Pr),5.60-5.96(2H,=CH
2),4.96(2H,-CH
2O),4.60(2H,-CH
2N),1.73(3H,-CH
3)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、前駆体としてのニコチン酸から単純な2ステップ法(例えば、
図1を参照)で初めて合成されたCB型ZIモノマーに関する。これら材料の利点は、天然に存在する試薬(ニコチン酸、ナイアシン)を使用するそれらの単純な合成である。別の潜在的な利点は、強力にLi
+-配位するカルボキシレートアニオン単位と組み合わされた、ピリジニウムカチオン単位の疎水性である。
【0031】
本開示は、天然に存在する非毒性で低コストの出発材料に由来する新規クラスの双性イオン(ZI)モノマーおよびそれらの(コ)ポリマーの化学合成のための戦略を記載する:ニコチン酸は、ナイアシン、またはビタミンB3の一形態としても知られる。ZIモノマーおよびそれらの(コ)ポリマーは、それらの防汚特性、高度の水和性、生体適合性、およびイオンとの強い静電相互作用により、実用的に重要である。開示された実験は、出発材料としてニコチン酸を使用する様々なZIモノマーの合成の成功を実証し、コーヒー植物(例えば、アラビカコーヒーノキ(coffea arabica))などのいくつかの植物に見出されるアルカロイドZI小分子であるトリゴネリン(1-メチルピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート)によってインスパイアされた新規なZI官能基をもたらす。この特定のZI官能基は、合成モノマー/(コ)ポリマーに関して、これまで広く調査されたり報告されたりしていない。したがって、これは、ZIモノマー/ポリマーコミュニティへの重要な新たな追加を表す。NMR分光法によって、これらのZIモノマーのカルボキシレートアニオン単位はLi+カチオンと強く相互作用することが示されており、イオン液体系電解質(例えば、Liイオン電池用)においてLi+伝導性を改善することができる。加えて、これらのZIモノマーの比較的疎水性のピリジニウムカチオン単位は、これらのZI単位を組み込んだコポリマー選択層に基づくろ過膜におけるナノ細孔特性の調整可能性を高めることができると予測される。
【0032】
本明細書に開示されるZIモノマーおよび(コ)ポリマーは、新しいクラスのカルボキシベタイン(CB)型双性イオンを表す。本発明者らは、1つのそのような新規なホモポリマー(pCBZ2)が、より高価で合成が困難な別のCB型双性イオンホモポリマー(pCBMA)に匹敵する、イオン液体系イオノゲル電解質内のLi+伝導性を向上させる能力をすでに実証している(表1)。したがって、この新しいクラスのモノマー/(コ)ポリマーは、不揮発性Liイオン電池ゲル電解質や、場合によっては固体ポリマー電解質にも利点をもたらすことができる。これらの材料はまた、そのCBのタイプおよび疎水性ピリジニウムモチーフの組み合わせに基づいて、水ろ過用途のためのコポリマー選択層を細かく調整することを可能にする。より一般的には、これらの(コ)ポリマーは、防汚性および生体適合性であることができ、生物医学用途(創傷被覆またはインプラント表面コーティングなど)につながる。本開示はまた、電池開発、浄水、および生物医学デバイスにも有用である。
【0033】
ある態様において、ポリマーは複数のモノマーを含み、モノマーの少なくとも一部は、ピリジニウム基およびカルボキシレート基を有するベタインを含む双性イオンである。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポリマーはヒドロゲルである。いくつかの実施形態では、カルボキシレート基は、ピリジニウム基のC3に結合している。いくつかの実施形態では、双性イオンは、アルキル、アリル、アリール、ビニルベンジル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはメタクリルアミド基をさらに含む。いくつかの実施形態では、双性イオンは、CBZ1(
図1に示す)、CBZ2(
図1に示す)、CBZ3(
図4に示す)、CBZ4(
図10に示す)、CBZ5(
図10に示す)、CBZ6(
図10に示す)、CBZ7(
図10に示す)、CBZ8(
図10に示す)、またはそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、ポリマーは、疎水性モノマー、荷電モノマー、イオン性モノマー、またはそれらの組み合わせをさらに含むコポリマーである。
【0035】
いくつかの態様では、ろ過膜(例えば、水ろ過膜)、コーティング材料(例えば、バイオインプラントコーティング材料、インプラント表面コーティング材料、生物医学デバイスコーティング材料、防汚材料)、創傷被覆材、イオン液体系電解質(例えば、イオノゲル電解質)、ポリマー電解質、イオン液体系電解質もしくはポリマー電解質を有するLiイオン電池、または薬物送達製剤は、開示されるポリマーを含む。
【0036】
いくつかの態様では、カルボキシベタインモノマーを調製する方法は、ニコチン酸をハロゲン化物と反応させてカチオン中間体を得ること;およびカチオン中間体を塩基と反応させてカルボキシベタインモノマーを得ること;を含む。
【0037】
いくつかの態様では、カルボキシベタインモノマーを含むポリマーを調製する方法は、ニコチン酸をハロゲン化物と反応させてカチオン中間体を得ることと、カチオン中間体を塩基と反応させてカルボキシベタインモノマーを得ることとによって得られる複数のカルボキシベタインモノマーを重合させることを含む。
【0038】
定義
本明細書において別段定義されない限り、本出願において使用される科学用語および技術用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。概して、本明細書に記載される化学、細胞および組織培養、分子生物学、細胞および癌生物学、神経生物学、神経化学、ウイルス学、免疫学、微生物学、薬理学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法、ならびにそれらの技術は、当技術分野において周知であり、通常使用されるものである。
【0039】
本開示の方法および技法は、別段の指示がない限り、概して、当技術分野でよく知られており、本明細書を通して引用および考察される様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されている従来の方法に従って実施される。例えば、“Principles of Neural Science”,McGraw-Hill Medical,New York,N.Y.(2000);Motulsky,“Intuitive Biostatistics”,Oxford University Press,Inc.(1995);Lodish et al.,“Molecular Cell Biology,4th ed.”,W.H.Freeman & Co.,New York(2000);Griffiths et al.,“Introduction to Genetic Analysis,7th ed.”,W.H.Freeman & Co.,N.Y.(1999);およびGilbert et al.,“Developmental Biology,6th ed.”,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA(2000)を参照されたい。
【0040】
本明細書で使用される化学用語は、本明細書で他に定義されない限り、“The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms”,Parker S.,Ed.,McGraw-Hill,San Francisco,C.A.(1985)によって例示されるように、当技術分野における従来の使用法に従って使用される。
【0041】
本明細書で使用される場合、「任意選択の」または「任意選択で」という用語は、後で説明される事象または状況が生じても生じなくてもよいこと、および説明が、事象または状況が生じる場合、ならびに生じない場合を含むことを意味する。例えば、「任意選択で置換されたアルキル」とは、アルキルが置換されていてもよく、またアルキルが置換されていない場合も含むことを意味する。
【0042】
本発明の化合物上の置換基および置換パターンは、容易に入手可能な出発物質から当技術分野において公知の技術ならびに以下に記載の方法によって容易に合成することができる化学的に安定な化合物をもたらすように当業者によって選択され得ることが理解される。置換基自体が複数の基で置換されている場合、安定な構造が得られる限り、これらの複数の基は同じ炭素上にあっても異なる炭素上にあってもよいことが理解される。
【0043】
本明細書で使用する場合、「任意選択で置換された」という用語は、所与の構造中の1~6個の水素ラジカルが、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロゲン、アルキル、ニトロ、シリル、アシル、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アミノ、アミノアルキル、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-OCO-CH2-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキル)2 または-CH2-OP(O)(O-アルキル)2を含むがこれらに限定されない指定された置換基のラジカルで置き換えられることを指す。好ましくは、「任意選択で置換された」とは、所与の構造中の1~4個の水素ラジカルが上記の置換基で置き換えられることを指す。より好ましくは、1~3個の水素ラジカルが、上記の置換基によって置き換えられる。置換基はさらに置換され得ることが理解される。
【0044】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」などの冠詞は、そうでないと示されない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、1つまたは複数のことを意味し得る。群の1つまたは複数のメンバー間に「または」を含む請求項または説明は、反対の指示がない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、群メンバーの1つ、1つより多く、または全てが、所与の製品またはプロセスに存在するか、使用されるか、または別様に関連する場合に、満たされると考えられる。本発明は、群の正に1つのメンバーが所与の製品またはプロセス中に存在するか、使用されるか、または別様に関連する実施形態を含む。本発明は、群メンバーの1つより多くまたは全てが、所定の製品またはプロセス中に存在するか、使用されるか、または別様に関連する実施形態も含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基を指し、C1~C10直鎖アルキル基またはC1~C10分枝鎖アルキル基を含むが、これらに限定されない。好ましくは、「アルキル」基は、C1~C6直鎖アルキル基またはC1~C6分枝鎖アルキル基を指す。最も好ましくは、「アルキル」基は、C1~C4直鎖アルキル基またはC1~C4分枝鎖アルキル基を指す。「アルキル」の例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、neo-ペンチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、1-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、1-オクチル、2-オクチル、3-オクチルまたは4-オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「アルキル」基は置換されていてもよい。
【実施例】
【0046】
本開示は、以下の具体的な実施例を参照してさらに説明される。これらの実施例は、例示として与えられ、本開示または以下の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0047】
イントロダクション
双性イオン(ZI)ポリマーは、薬物送達、バイオインプラント、防汚材料、および電気化学的エネルギー貯蔵などの多くの分野の研究の焦点となっている多様なサブクラスの材料である1-6。その特異な特性および電池電解質としての可能性を際立たせる、複数の異なるタイプの双性イオン化学物質および材料が存在する7-11。しかしながら、双性イオンの広範な使用に対する主な欠点は、市販されているかまたは合成が容易な化学物質の数が限られていることである12。文献の中に様々な化学物質を見出すことができるが、商業的に容易に購入できるものはほんの一握りであり、そのほとんどがスルホベタイン(SB)双性イオンである。入手可能なものでさえ、合成は非常に困難であり、収率も低い。そのため、特に、合成障壁を低くしかつ将来の応用のための双性イオンの利用可能性を高めるカルボキシベタイン(CB)モチーフおよびホスホリルコリン(PC)モチーフを含む、新規な双性イオン化学物質の開発を続ける必要がある。
【0048】
文献において研究および合成されている双性イオンのうち、いくつかは、天然に見出される既存の構造によって動機付けられてきた。最もよく知られている市販のZIモノマーの1つである2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)は、細胞の膜に見られるリン脂質によってインスパイアされる13-15。その高い生体適合性および親水性のため、長年にわたって、MPCは、インプラント用の防汚コーティングのような多数のバイオ用途に使用されてきた16,17。自然物からインスパイアされた(nature-inspired)双性イオンポリマーの別の最近の例は、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)に由来する。塩水魚類に見られる有機オスモライトであるTMAOは、3つの主要なカテゴリー(カルボキシベタイン、スルホベタイン、ホスホリルコリン)の1つに分類されない新しいクラスの双性イオン材料である。カチオン双性イオン部分とアニオン双性イオン部分との間の単共有結合のみを特徴とするが、TMAO由来双性イオンポリマーは、新規な生体材料の開発にとって重要である極めて高い親水性および防汚可能性を示す18。トリゴネリン(N-メチルニコチン酸)として知られる天然に存在する双性イオン分子は、CB型カルボキシレートアニオンおよびピリジニウムカチオンを含む19。コーヒー豆および他の植物種子に見られるトリゴネリンは、高温で焙煎するとニコチン酸になり、新規なCB型双性イオンモノマーの合成に有用な前駆体材料である20。
【0049】
異なる重合性基を有するニコチン酸から、2つの新規なバイオインスパイアードCB型双性イオンを合成する。次いで、モノマーをリチウム含有イオン液体電解質に混合し、イオン輸送性能に対するそれらの影響をいくつかの既存の化学物質と比較する11。臭化アリルを用いて合成された第1のモノマーは、CBMAについて観察されたものよりもわずかに低い中程度の7Li 1D NMR化学シフトを示した。しかしながら、ラジカル重合によるアリル基の重合が困難であるため、イオノゲルを形成することができず、イオン輸送に最小限の変化しかもたらさなかった。対照的に、4-ビニルベンジルクロリド(VBC)を用いて作製された第2のモノマーは、無視できる程度の化学シフトを示したが、DC分極およびACインピーダンス分光測定によりリチウム伝導度の中程度の改善を示した。これらの結果は、イオン液体(IL)環境におけるLi+輸送に対する、連結ポリマーネットワークおよびポリ双性イオン(polyzwitterion)の溶解性の重要性を示しており、新しい双性イオンモノマーを設計および合成する際にこれらの要因を考慮すべきである。利用可能な化学物質を用いた結果は、ニコチン酸から誘導された双性イオンが、合成しやすく、イオノゲル電解質の特性に有益な影響を与えることができることを実証した。
【0050】
実験方法
材料
N-ブチル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMP TFSI)(高純度グレード)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)、および2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(HOMPP)は、MilliporeSigmaから購入し、N2充填グローブボックス(H2O、O2<1ppm)内で保存した。合成試薬、ニコチン酸、臭化アリル、4-ビニルベンジルクロリド、無水ジメチルホルムアミド(DMF)、およびテトラヒドロフラン(THF)は、Sigma Aldrichから購入した。リチウム箔(99.9%、厚さ0.75mm)は、Alfa Aesarから購入し、コインセルを調製するまでAr充填グローブボックス(H2O、O2<0.5ppm)内で保存した。Celgardセパレータ(厚さ25μm)およびステンレス鋼(SS)コインセル部品(CR2032)は、MTI Corpから購入した。
【0051】
CBZ1の合成
ニコチン酸を無水DMFに1~15モル比で溶解し、完全に溶解するまで50℃で撹拌した。低光条件において、臭化アリルをニコチン酸に対して1:1のモル比で添加し、反応を終夜行う(溶液の色の変化によって確認することができる)。THF中でDMF溶液を沈殿させることによってモノマー生成物を回収し、固体が形成されるまで氷浴中で冷却する。次いで、モノマー生成物を追加のTHFで洗浄し、再沈殿させ、真空中において終夜低温で乾燥させる。生成物を双性イオンにするために、H2O中の5重量%のNaOH溶液にモノマーを添加し、少なくとも1時間撹拌する。氷浴中においてアセトン中で沈殿させ、真空下で乾燥させることによって、最終的に双性イオンモノマー(CBZ1)を回収する。最終生成物を室温で減圧乾燥し、使用するまで冷蔵庫で保存した。溶媒としてD2Oを使用して、Bruker AVANCE III 500MHz NMR分光計においてNMR分光法を行った。1H NMR(D2O,500MHz):9.14,8.82,8.79,8.01(m,Pr),5.9-6.01(1H,=CH),5.35-5.4(2H,=CH2),5.14(2H,-CH2N)。
【0052】
CBZ2の合成
CBZ2の合成のために、ニコチン酸を再び無水DMFに1~15モル比で溶解し、完全に溶解するまで50℃で撹拌する。モノマーの反応性のために、まず溶液を室温まで冷却し、その後、4-ビニルベンジルクロリド(VBC)を1:1のモル比で溶液に添加する。反応を終夜行い、溶液の不透明度の目に見える変化(乳白色になる)を観察することができる。テトラヒドロフラン(THF)中でDMF溶液を沈殿させることによってモノマー生成物を回収し、固体が形成されるまで氷浴中で冷却する。次いで、モノマー生成物を追加のTHFで洗浄し、再沈殿させ、真空中において終夜低温で乾燥させる。ジエチルエーテルでも沈殿を試みたが、全体的にTHFが室温でもうまく機能するより良好な非溶媒であることが判明した。生成物を双性イオンにするために、モノマーをH2O中の5重量%のNaOH溶液に添加し、少なくとも1時間撹拌する。双性イオンモノマー(CBZ2)を、低温でのアセトン中での沈殿によって回収し、真空下で乾燥させる。最終生成物を、使用するまで冷蔵庫で保存する。溶媒としてD2Oを使用して、Bruker AVANCE III 500MHz NMR分光計においてCBZ2のNMR分光法を行った。NMR(D2O、500MHz):8.75,8.41,8.05,7.89(m,Pr),7.18-7.33(m,ベンゼン),6.49-6.55(2H,=CH2),5.6(1H,=CH),5.16(2H,-CH2N)。
【0053】
【0054】
ニコチン酸を無水DMFに1~15モル比で溶解し、完全に溶解するまで60℃で撹拌した。次に、この混合物に、2-ブロモエチルメタクリレートをニコチン酸に対して1.1:1のモル比でゆっくり滴下し、48時間反応させた(溶液中の色の変化により確認した)。反応混合物を氷浴中で冷却し、THF中(1:20の比)で少なくとも1日間沈殿させることによって、モノマー生成物を回収した。次いで沈殿物をろ過し、室温で1日間乾燥させ、その後に真空下でさらに1日間乾燥させた。溶媒としてD2Oを使用して、Bruker AVANCE III 500MHz NMR分光計においてモノマーの酸バージョンについてNMR分光法を行った。1H NMR(D2O,500MHz):9.38,9.00,8.93,8.11,(m,Pr),5.60-5.96(2H,=CH2),4.96(2H,-CH2O),4.60(2H,-CH2N),1.73(3H,-CH3)。
【0055】
リチウム含有イオン液体電解質およびイオノゲルの調製
従来のIL/リチウム塩溶液電解質は、LiTFSIを1Mの濃度でBMP TFSIに溶解し、均質な溶液が得られるまでN2充填グローブボックス内において50℃で一晩撹拌することによって調製した。ZIモノマーを所望のZI単位:Li+比で添加し、終夜撹拌することによって、モノマー溶液を調製した。CBZ2の場合、透明なモノマー溶液は得られず、限定された溶解性を示すが、重合は依然として進行することができた。1M LiTFSI/BMP TFSI電解質(すなわち、0.25~0.67MのZI単位濃度)において、0.2~0.4のZI単位/(ZI単位+Li+)モル分率に相当する、1:4~2:3の範囲のZI単位:Li+モル比を使用した。明確にするために、ZI単位:Li+モル分率値を使用して実験データをラベル付けする。イオノゲルを調製するために、HOMPP光開始剤(モノマーベースで2重量%)をモノマー溶液に添加し、それを10分間撹拌した後、ハンドヘルドランプ(Spectronic Corp.,8W)を使用して、365nmで10分間UV照射することによって重合を達成した。イオノゲル試料は、使用前に一晩グローブボックス内で保存した。
【0056】
コインセルの調製
DC分極測定のためのコインセルは、セル電解質層の幾何学形状および厚さを標準化するために、Celgardセパレータの細孔内に液体電解質を装填するか、またはCelgardセパレータの細孔内でイオノゲルを重合させることによって調製した。電解質溶液を、穏やかな真空条件下で少なくとも2時間(イオノゲル前駆体溶液の場合、UV照射の前に)、Celgardセパレータ(直径17mmおよび厚さ25μm)内に浸透させた。リチウム/電解質/LiコインセルをAr充填グローブボックス内で組み立て、ガラスバイアルを使用してLi+金属(直径約15mm)のディスクを圧延し、使用前にリチウム金属表面を磨いた。イオン伝導度の温度依存性を決定するために、SSディスク電極(直径15.5mm)を使用してSS/電解質/SSコインセルを調製した;SS電極間に配置された輪状テフロン(登録商標)スペーサー(内径7.6mmおよび厚さ1.6mm)を用いて電解質を閉じ込めた。全てのコインセルを、デジタル圧力制御電気クリンパー(MTI Corp.)を用いて密封した。
【0057】
核磁気共鳴分光法測定
z勾配の標準多核広帯域観察プローブ(standard multinuclear broadband observe probe)を有するBruker AVANCE III 500MHz NMR分光計を使用して、1D NMRスペクトルを得た。0.1msの緩和遅延および室温(20℃)で合計32回の走査を用いて分光測定を行い、調べた核は7Liおよび19Fであり、それぞれLi+およびTFSI-局所環境を観察した。D2O中の0.5M LiTFSIの溶液を、全ての試料についての参照およびロッキング溶液(locking solution)として使用した。全ての試料をガラスキャピラリーチューブ(内径1.5mm)中で調製し、これを、測定のための参照溶液を含有する標準的なNMRチューブ(内径5mm)に入れた。
【0058】
電気化学的測定
全ての電気化学的測定は、内蔵周波数分析器(Princeton Applied Research)を備えたVersaSTAT3ポテンショスタットを用いて行った。ACインピーダンス分光法を使用して、両方の電解質システムのIL、SIL、およびポリ双性イオン支持イオノゲルのイオン伝導度を測定した。室温イオン伝導度測定は、カスタムテフロン(登録商標)セルを使用して、N2充填グローブボックス内で行われ、測定は、10mVの正弦波電圧振幅を使用して、1Hz~100kHzの周波数範囲にわたって行われた。温度依存性イオン伝導度測定は、温度制御された顕微鏡ステージ(Linkam Scientific Instruments,LTS 420)に固定された対称SS/電解質/SSコインセルを使用して実施した。加熱および冷却サイクル中、各温度で10分間の保持時間を利用して熱平衡を確実にし、全ての温度依存性アレニウスモデルの傾向線が0.99以上のR2値で適合した。
【0059】
Bruceおよび共同研究者によって開発された方法を使用して、対称Li/電解質/LiコインセルのDC分極により、Li+輸率(transference number)(tLi+)を計算した。測定前に、0.01mAcm-2での2時間の定電流充電期間、続いて2時間の定電位保持、最後に2時間の-0.01mAcm-2での定電流放電を用いて、セルをプレコンディショニング(preconditioned)した。プレコンディショニング工程が完了した後、追加の12時間の休止期間を実施した後、任意の実験を実施した。2時間、10mVの印加電位を用いてDC分極/クロノアンペロメトリー測定によってLi+輸率の決定を行い、測定の前後の両方でACインピーダンススペクトルを記録した。
【0060】
結果および考察
合成および特徴付け
この研究において、本発明者らは、ニコチン酸から出発して2つのカルボキシベタイン系双性イオンモノマーを設計し、合成した。両方の場合において、ニコチン酸を無水DMFに溶解し、ハロゲン化アルキルモノマーと反応させて、中間体カチオン生成物を作製した。次いで、モノマーを5重量%のNaOH水溶液に溶解して、COO
-アニオン基を脱プロトン化し、双性イオンモノマーを作製した。両方のモノマーの合成および最終化学構造を
図1に概説する。第1のステップにおけるモノマーの合成中、溶液が不透明な白色になることにより、生成物の形成が視覚的に確認される。さらに、NaOH溶液中でモノマーを双性イオンにする際にわずかな色の変化が見られる。
【0061】
合成された2つのモノマーは両方とも、同じCB型双性イオン部分(ピリジニウムカチオンおよびカルボキシレートアニオン)を有するが、その溶液挙動に影響を及ぼす非常に異なる重合性基を有する。水系では、(CBZ2上の大きな非極性ベンジル基にもかかわらず)両方のモノマーは易溶性であり、2つの間で違いはほとんど観察されない。しかしながら、リチウム含有IL電解質中での溶解度に関して大きな違いが観察され、
図2に示されているのは、1M LiTFSI/BMP TFSI中のCBZ1およびCBZ2の溶液である。これらの溶液は、ZI単位:Li
+モル比が0.3となるように選ばれ、これはCBZ1について約3重量%、CBZ2については4.5重量%に等しい。約3重量%で、CBZ1は、1M LiTFSI/BMP TFSI中で中程度の溶解度および溶液中で観察可能なわずかな黄色味を示す。濃度を下げても透明な溶液は得られず、これはピリジニウムに基づくカチオン基と特定のIL環境との間のある程度の不適合性を示唆する。比較して、CBZ2モノマーは、おそらくベンゼン環に起因して、さらに溶解性が低く、試験した全ての濃度で不透明な白色溶液を形成する。
【0062】
これらのモノマー間の別の重要な違いは、重合性基の性質である。CBZ1上のアリル基は、ラジカル重合によって反応することが困難であることが知られており、また熱開始剤および光開始剤の両方を使用したIL、有機および水性溶媒環境におけるすべての試みは成功しなかった。その結果、CBZ1を用いてイオノゲルを作製することはできず、この研究におけるその後の電気化学的測定はすべて、特定濃度のモノマー溶液を用いて行った。対照的に、CBZ2では重合が達成され、これは、1H NMRにおけるビニルピークの減少および非流動性イオノゲルの形成によって観察された。注目すべきことに、(リチウム塩を含まない)ニート(neat)BMP TFSI中の同様の濃度は液体のままであり、ゲル化しなかったが、これは、ZIモノマーと錯体形成するLi+イオンが、ゲル中で物理的架橋を形成するためのブリッジ(bridge)として作用し得ることを示唆することができる
【0063】
1D NMR化学シフト
モノマー溶液を、1D NMR化学シフトを使用してスクリーニングし、ZI部分とLiイオンとの間の相互作用を調べた。異なるZI部分の存在下でILの
7Li化学シフトを分析することによって、局所的な電子環境の変化についての洞察を得ることができる。試験したいくつかの他のモノマー溶液は、視覚的に透明な均質な溶液であった。比較すると、ニコチン酸系双性イオンは、1M LiTFSI/BMP TFSI中において同等の濃度でより低い溶解度を示した。それにもかかわらず、1D NMRは依然として有益な洞察を提供することができ、IL電解質、この実験で合成された2つの双性イオン、ならびにCBMAおよびSB2VPのスペクトルを
図3に示す。
【0064】
別の研究において、IL電解質環境のピークと比較して、
7Li NMRシグナルのピーク位置の最大のダウンフィールドシフトがCBMAのモノマー溶液において観察された。このシフトは、CB型双性イオン部分間の顕著なクーロン相互作用を示唆し、第1の新規に合成されたZIモノマーCBZ1でも同様の効果が見られる。
図3に見られるように、CBZ1は、わずかに低い濃度のCBMAに匹敵する、中程度のダウンフィールド
7Liピークシフト(ZI単位:Li
+モル分率が0.3の場合、Δδは約0.4ppm)をもたらす。化学シフトの違いは、IL中でのCBZ1のより低い溶解度、またはカチオン部分の異なる挙動の結果によるものであり得る。しかしながら、この結果は、CB型双性イオンに見られるCOO
-アニオン基が、Li
+イオンと強い相互作用を有し得るという我々の理解を支持する。比較して、CBZ2では同様のことは観察されず、SB双性イオンにより匹敵する非常に小さなダウンフィールドシフトを示すだけである(ZI単位:Li
+モル分率が0.3の場合、Δδは約0.1ppmである)。この違いは、ベンゼン環の存在に起因するCBZ2の著しく低い溶解度の結果として生じ得る。溶解していないモノマーの大きな塊は、双性イオン部分の接近可能性(accessibility)を制限し、Li
+イオンとの相互作用の可能性を低減すると考えられる。同様の傾向が
19Fピーク化学シフトについても観察される(
図7参照)。これは、低い溶解度および溶液の粘度上昇から生じるピーク強度の平坦化が見られることによってさらに支持される。両方のZIモノマーがよく溶解しているIL環境では、双性イオンモチーフが同一であるため化学シフトはかなり近くなると推測される。
【0065】
イオン輸送の特性評価
周囲条件(約0℃~100℃)付近での全イオン伝導度の温度依存性および室温でのリチウムイオン輸率値(t
Li+、印加電界において全電流に対するLi
+によって運ばれる電流の割合)を、同じ電解質配合物について、それぞれACインピーダンス分光法およびDC分極を用いて測定した。これらの値を、1M LiTFSI/BMP TFSIおよび対応する双性イオン試料について表1に要約する。同じZI単位:Li
+モル比での比較のためにpCBMAおよびpSB2VPを含有するイオノゲル試料のデータも含まれる。新規なCB型モノマーの温度依存性イオン伝導度データ、ならびにt
Li+値を決定するために使用されるDC分極およびACインピーダンス分光法のデータも得た(
図8および
図9参照)。室温で、双性イオン含有試料は、ニート液体とほぼ同じであるイオン伝導度(σ)値を示し、ZI基が電解質中でより高い程度のイオンクラスター/対の解離を促進していることを示唆した。
【0066】
より興味深いことに、同等の全イオン伝導度を有するにもかかわらず、2つの新規な双性イオンについてtLi+およびEaの値に顕著な差がある。CBZ1については、値はニート液体とほぼ同等であり、CBMAについて観察されたようなリチウム移動に対する改善はない。これは、大きなダウンフィールド7Li化学シフトを有する双性イオンも改善されたLiイオン輸送を示すことを示した以前の傾向と矛盾するようである。しかしながら、tLi+がCBZ1の添加によって変化しない理由の1つの可能性のある説明は、それがポリ双性イオン試料ではないからである。本発明者らのグループは、以前の研究において、ポリ双性イオン鎖に沿ったLiイオンホッピングが、SBVI:MPCコポリマーイオノゲルにおける改善されたLiイオン移動度のメカニズムであると仮定しており8、これは、非重合性CBZ1が同じ恩恵を示さない理由であり得る。これは、ニートILおよびCBZ1からの中程度の違いを示す、pCBZ2について測定されたtLi+およびEa値によってさらに支持される。同一の双性イオン部分にもかかわらず、Eaのわずかな減少およびリチウム伝導度の中程度の増加がpCBZ2で観察され、これは、ポリ双性イオンがイオン輸送特性を改善するために重要であることを示唆する。リチウム伝導度(σLi+)は、pCBMAを用いて達成された最高値より低いが、これは、pCBZ2の溶解度が低いため、利用可能な双性イオンの有効濃度が低下した結果であると考えられる。現在、2つの化学物質間の直接的な比較は困難であるが、ニートIL電解質と比較してpCBZ2の改善された性能は、ニコチン酸由来の双性イオンがイオノゲル電解質での使用に有効であり得ることを実証する。
【0067】
【0068】
これらのCB型双性イオンCBZ1およびCBZ2を1M LiTFSI/BMP TFSI中で試験し、いくつかの他の化学物質と比較した。pCBZ2含有イオノゲルについてリチウム伝導度の改善が観察され、ベンゼン環に起因する低い溶解度は双性イオンとILとの間の相互作用を制限した。これは、同一の双性イオンモチーフを有するにもかかわらず、
7Li 1D NMR化学シフトを通して観察されるCBZ1とCBZ2との間の化学シフトの違いによって強調され、CBZ1のシフトはCBMAにより近いが、CBZ2のシフトは最小限である。重合可能な基として2-クロロエチルアクリレートを使用して第3のニコチン酸系双性イオンを作製する合成を
図4に示す。いくつかの追加の双性イオンモノマーの合成のバリエーションを
図10に示す。CBZ1上に見られるアリル基と比較して、アクリレートは、ラジカル重合を介して非常に容易に反応し、いくつかの双性イオンモノマー上に見られる官能基と化学的に類似する。さらに、構造中に大きな非極性環が存在しないため、1M LiTFSI/BMP TFSI中のCBZ2から溶解度が有意に改善されると予想される。CBMAと比較してより低い溶解限度(solubility limit)が存在し得るが、このアクリレート系双性イオンモノマー(CBZ3)は、Liイオン輸送をブーストするイオノゲルを形成することができると想定される。
【0069】
本明細書では様々な実施形態を詳細に図示し説明したが、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な修正、追加、置換などを行うことができ、したがって、これらは、以下の特許請求の範囲で規定される本開示の範囲内であると見なされることが当業者に明らかであろう。
【参考文献】
【0070】
(1) Blackman, L. D.; Gunatillake, P. A.; Cass, P.; Locock, K. E. S. An Introduction to Zwitterionic Polymer Behavior and Applications in Solution and at Surfaces. Chem. Soc. Rev. 2019, 48, 757-770.
(2) Xuan, F.; Liu, J. Preparation, Characterization and Application of Zwitterionic Polymers Andmembranes: Current Developments and Perspective. Polym. Int. 2009, 58, 1350-1361.
(3) Sun, J.; MacFarlane, D. R.; Byrne, N.; Forsyth, M. Zwitterion Effect in Polyelectrolyte Gels Based on Lithium Methacrylate-N,N-Dimethyl Acrylamide Copolymer. Electrochim. Acta 2006, 51, 4033-4038.
(4) Bengani-Lutz, P.; Converse, E.; Cebe, P.; Asatekin, A. Self-Assembling Zwitterionic Copolymers as Membrane Selective Layers with Excellent Fouling Resistance: Effect of Zwitterion Chemistry. ACS Appl. Mater. Interfaces 2017, 9, 20859-20872.
(5) Leigh, B. L.; Cheng, E.; Xu, L.; Derk, A.; Hansen, M. R.; Guymon, C. A. Antifouling Photograftable Zwitterionic Coatings on PDMS Substrates. Langmuir 2019, 35, 1100-1110.
(6) Lin, X.; Boit, M. O. K.; Wu, K.; Jain, P.; Liu, E. J.; Hsieh, Y. F.; Zhou, Q.; Li, B.; Hung, H. C.; Jiang, S. Zwitterionic Carboxybetaine Polymers Extend the Shelf-Life of Human Platelets. Acta Biomater. 2020, 109, 51-60.
(7) Qin, H.; Panzer, M. J. Zwitterionic Copolymer-Supported Ionogel Electrolytes Featuring a Sodium Salt/Ionic Liquid Solution. Chem. Mater. 2020, 32, 7951-7957.
(8) D'Angelo, A. J.; Panzer, M. J. Decoupling the Ionic Conductivity and Elastic Modulus of Gel Electrolytes: Fully Zwitterionic Copolymer Scaffolds in Lithium Salt / Ionic Liquid Solutions. Adv. Energy Mater. 2018, 8, 1801646.
(9) Taylor, M. E.; Panzer, M. J. Fully-Zwitterionic Polymer-Supported Ionogel Electrolytes Featuring a Hydrophobic Ionic Liquid. J. Phys. Chem. B 2018, 122, 8469-8476.
(10) Taylor, M. E.; Lounder, S. J.; Asatekin, A.; Panzer, M. J. Synthesis and Self-Assembly of Fully Zwitterionic Triblock Copolymers. ACS Mater. Lett. 2020, 2, 261-265.
(11) Taylor, M. E.; Clarkson, D.; Greenbaum, S. G.; Panzer, M. J. Examining the Impact of Polyzwitterion Chemistry on Lithium Ion Transport in Ionogel Electrolytes. 2021, 3, 2635-2645.
(12) Damodaran, V. B.; Murthy, S. N. Bio-Inspired Strategies for Designing Antifouling Biomaterials. Biomater. Res. 2016, 20, 1-11.
(13) Shaplov, A. S.; Marcilla, R.; Mecerreyes, D. Recent Advances in Innovative Polymer Electrolytes Based on Poly(Ionic Liquid)S. Electrochim. Acta 2015, 175, 18-34.
(14) Ueda, T.; Oshida, H.; Kurita, K.; Ishihara, K.; Nakabayashi, N. Preparation of 2-Methacryloyloxyethyl Phosphorylcholine Copolymers with Alkyl Methacrylates and Their Blood Compatibility. Polym. J. 1992, 24, 1259-1269.
(15) Ishihara, K.; Ueda, T.; Nakabayashi, N. Preparation of Phospholipid Polylners and Their Properties as Polymer Hydrogel Membranes. Polym. J. 1990, 22, 355-360.
(16) Feng, W.; Brash, J.; Zhu, S. Atom-Transfer Radical Grafting Polymerization of 2-Methacryloyloxyethyl Phosphorylcholine from Silicon Wafer Surfaces. J. Polym. Sci. Part A Polym. Chem. 2004, 42, 2931-2942.
(17) Ma, Y.; Tang, Y.; Billingham, N. C.; Armes, S. P.; Lewis, A. L. Synthesis of Biocompatible, Stimuli-Responsive, Physical Gels Based on ABA Triblock Copolymers. Biomacromolecules 2003, 4, 864-868.
(18) Li, B.; Jain, P.; Ma, J.; Smith, J. K.; Yuan, Z.; Hung, H. C.; He, Y.; Lin, X.; Wu, K.; Pfaendtner, J.; Jiang, S. Trimethylamine N-Oxide-Derived Zwitterionic Polymers: A New Class of Ultralow Fouling Bioinspired Materials. Sci. Adv. 2019, 5, eaaw9562.
(19) Ashihara, H.; Ludwig, I. A.; Katahira, R.; Yokota, T.; Fujimura, T.; Crozier, A. Trigonelline and Related Nicotinic Acid Metabolites: Occurrence, Biosynthesis, Taxonomic Considerations, and Their Roles in Planta and in Human Health. Phytochem. Rev. 2015, 14, 765-798.
(20) Kalaska, B.; Piotrowski, L.; Leszczynska, A.; Michalowski, B.; Kramkowski, K.; Kaminski, T.; Adamus, J.; Marcinek, A.; Gebicki, J.; Mogielnicki, A.; Buczko, W. Antithrombotic Effects of Pyridinium Compounds Formed from Trigonelline upon Coffee Roasting. J. Agric. Food Chem. 2014, 62, 2853-2860.
【0071】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての米国特許、ならびに米国およびPCT特許出願公開は、あたかも各個々の特許または特許出願公開が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、本明細書の任意の定義を含む本出願が優先する。
【0072】
均等物
当業者は、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。本明細書に記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲に記載される通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、この説明に対する様々な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。
【国際調査報告】