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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】流体流を生成するための装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/04 20060101AFI20240723BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F04B43/04 A
B63H25/42 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580443
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 FR2022051282
(87)【国際公開番号】W WO2023275482
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】2106940
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522052130
【氏名又は名称】フィンクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ギユマン,アロルド
(72)【発明者】
【氏名】ランドン,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】コミティ,リュカ
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077CC02
3H077CC09
3H077DD05
3H077EE37
3H077FF06
3H077FF32
(57)【要約】
本発明は、長手方向(L)に延びる流体流(100)を生成するための装置であって:
-フレームと、
-横断面上に配置された少なくとも1つのフランジ(F1)と、
-少なくとも1つのフランジの反対側に配置され、横断方向に延在する、少なくとも1つの膜(M1)であって、その少なくとも1つの膜は、その少なくとも1つのフランジに対向するフランジ面と、フランジ面の反対側にある外面と、を有する、少なくとも1つの膜と、
-上記の少なくとも1つの膜を往復並進運動で移動させるように構成されている少なくとも1つのアクチュエータ(1)と、
を備え、
-壁のいずれも、上記の少なくとも1つの膜の上記外面に対向しないことを特徴とする装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(L)に延びる流体流(100)を生成するための装置であって:
-フレームと、
-少なくとも1つのフランジ(F1)と、
-横断方向に延在し、前記少なくとも1つのフランジに対向して配置された少なくとも1つの膜(M1)であって、前記装置の外側に向けられた外面を有する、少なくとも1つの膜と、
-前記少なくとも1つの膜を往復並進運動で移動させるように構成されている少なくとも1つのアクチュエータ(1)と、を備え、
-壁のいずれも、前記少なくとも1つの膜の前記外面に対向しない、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフランジは、横断面上に配置され、前記少なくとも1つの膜は、前記少なくとも1つのフランジに対向するフランジ面を有し、前記外面は、前記フランジ面の反対側にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
単一のフランジ(F1)と単一の膜(M1)とを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
単一のフランジ(F1)と、一方が他方の背後に配置された一対の膜(M1、M2)と、を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも2つのフランジと少なくとも2つの膜とを備え、各フランジは、前記フレーム又は前記アクチュエータの1つの別個の端部に配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフランジは、前記長手方向軸線(L)と同軸に延在する管状部分(F11)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの膜が中央開口部を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフランジ及び前記少なくとも1つの膜は、それぞれ楕円形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記装置が、何もない中央ゾーンを有するように、前記フレーム上又は前記フレーム内に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電磁アクチュエータは:
-磁場を生成するように配置されたステータであって、前記長手方向軸線(L)の周りに配置され、前記長手方向軸線に対して円周方向又は正放線方向に延在する少なくとも2つのステータ要素(31、32、33、34、35、36)を備えるステータと、
-直線的に移動可能な可動部分であって、前記長手方向軸線の周りに延在する円周に沿って離間され、それぞれの駆動軸線(E1、E2、E3、E4、E5、E6)に沿った、少なくとも2つの別個の可動ロッド(41、42、43、44、45、46)を備え、各ロッドは、少なくとも1つの磁気要素を備え、各ロッドは、2つのステータ要素どうしの間に配置され、前記少なくとも2つのステータ要素に対して磁気的に移動可能である、直線的に移動可能な可動部分と、
を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電磁アクチュエータは:
-磁場を生成するように配置されたステータであって、互いに対向する少なくとも2つのステータ要素(31a、31b、32a、32b、33a、33b、34a、34b、35a、35b、36a、34b)を備えるステータと、
-直線的に移動可能な可動部分であって:
-その各々が前記2つのステータ要素の一端に配置されている、少なくとも2つのロッド(41a、41b、42a、42b、43a、43b、44a、44b、45a、45b、46a、46b)であって、それぞれの駆動軸線(E1a、E1b、E2a、E2b、E3a、E3b、E4a、E4b、E5a、E5b、E6a、E6b)に沿って移動可能な少なくとも2つのロッド、
-前記少なくとも2つのロッドに関連付けられた少なくとも1つの磁気要素(61a、61b)であって、前記2つのステータ要素の間に配置され、かつ前記少なくとも2つのステータ要素に対して磁気的に可動である少なくとも1つの磁気要素、及び
前記少なくとも1つの磁気要素と前記ロッドとの間の結合手段(51a、51b)、
を備える、
可動部分と、
を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の流れ発生装置を備えることを特徴とする、船舶の推進のための液圧式スラスタ。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の流れ発生装置を備えることを特徴とする水車発電機。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、流体流を発生させるための装置、好ましくは液圧式の装置、例えば液圧式スラスタ、ポンプ、ファン、又はミキサに関し、装置は少なくとも1つのアクチュエータを備え、アクチュエータの可動部分は交互直線並進運動を行う。
【0002】
流体流を発生させるための装置、特に液圧式の流れ発生装置が知られている。
【0003】
しかしながら、パワー及び/又は流量の調整を可能にし、低減されたフォームファクタを提供する、シンプルで、経済的で、環境に優しい解決策を提案することが望ましい。
〔発明の目的〕
【0004】
この目的のために、そして第1の態様によれば、本発明は、長手方向(L)に延びる流体流を発生させるための装置が提案され、その装置は:
-フレームと、
-少なくとも1つのフランジと、
-横断方向に延在し、少なくとも1つのフランジの反対側に配置された少なくとも1つの膜であって、装置の外側に向けられた外面を有する、少なくとも1つの膜と、
-少なくとも1つの膜を往復並進運動で移動させるように構成されている少なくとも1つのアクチュエータと、を備え、
-壁のいずれも、少なくとも1つの膜の外面に対向しないことを特徴とする。
【0005】
本発明による、流体流を生成するための装置は、少数の部品、低減されたフォームファクタを提案し、フランジから構成される推進チャンバ内の藻類タイプの物体による目詰まりを回避し、高周波での往復運動を可能にするという利点を有する。この配置はまた、低い製造及び維持コストを提供する、流体流を生成するための装置を提案することを可能にする。
【0006】
代替的実施形態によれば、装置は:
-少なくとも1つのフランジは、横断面上に配置され、少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのフランジの反対側にフランジ面を有し、外面は、フランジ面の反対側にあり、
-単一のフランジ及び単一の膜と、
-単一のフランジと、互いに前後に、好ましくは同軸上に配置され、同位相又は逆位相で動作可能な一対の膜と、
-少なくとも2つのフランジ及び少なくとも2つの膜であって、各フランジは、フレーム又はアクチュエータの別個の端部に配置されている、少なくとも2つのフランジ及び少なくとも2つの膜と、のうちの1つ以上を備え得る。
【0007】
フランジは、流体の流れ、特に液圧流に対応する長手方向に対して横断方向に配置された壁を意味するものと理解される。各フランジは、少なくとも1つの膜と協働して、存在する流体を局所的に加圧し、周囲環境に対して流量を局所的に増加させる。
【0008】
好ましくは、各フランジは、フレーム又はアクチュエータの長手方向端部に配置される。
【0009】
各フランジは、剛性を有するものであってもよいし、ある程度の弾性を有する可撓性を有するものであってもよい。フランジは、例えば長方形、円筒形、円形、楕円形、円盤状、管状などの種々の形状を有することができる。フランジは、空隙、凹凸、又はリップを含み、圧力上昇を可能にすることができる。各フランジは、1つ以上の特定の材料、例えば、海洋性の、食品に対して安全で、生体適合性がある材料、又は炭化水素から構成されるか、又はそれらから成る。例えば、フランジは、以下の材料のうちの1つ以上を含む:PBT、ASA、ABS、PVC、PTFE、PEEK、PA、PET、PE、アルミニウム、ステンレス鋼、及びエラストマー。
【0010】
特定の実施形態によれば、フランジは、船舶用シェル要素、例えばボートの船体要素であってもよい。
【0011】
好ましくは、各膜は、例えば長方形、円筒形、円形、楕円形、円盤状、管状などの様々な形状を有することができる。各膜は、1つ以上の特定の材料、例えば、海洋性の、食品に対して安全で、生体適合性のある材料、又は炭化水素から構成されるか、又はそれらからなる。例えば、各膜は、以下の材料のうちの1つ以上を含む:エラストマー、ゴム、ポリウレタン、EPDM、シリコーン、PTFE、又は更にプラスチック若しくは金属。
【0012】
各膜は、装置の長手方向軸線に沿って、直線的かつ交互に並進移動するように配置される。各膜は、所定の周波数及び振幅で振動するように設けられている。
【0013】
代替の実施形態によれば、当該装置は、以下のステップのうちの1つ以上を更に含むことができる:
-少なくとも1つのフランジは、長手方向軸線と同軸に延在する管状部分を有し、この特徴により、ベンチュリ効果を生じさせることができ、
-少なくとも1つの膜は、好ましくはその直径がフランジの管状部分の直径よりも大きい中央開口部を有し、
-少なくとも1つのフランジ及び少なくとも1つの膜は、それぞれ楕円形状を有するか、又は
-少なくとも1つのフランジ及び少なくとも1つの膜は、それぞれ円形形状を有する。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つのアクチュエータは、装置が、何もない中央ゾーンを有するようにフレーム上又はフレーム内に配置される。この特徴は、特に、流体が、流れ発生装置内を、長手方向に通過することを可能にする。
【0015】
好ましくは、流れ発生装置は、少なくとも1つの膜の外面に面する壁を、含まない。特に、流れ発生装置は、横断方向に延在する壁であって、少なくとも1つの膜の外面に面する壁を備えない。好ましくは、流れ発生装置は、少なくとも1つのフランジ及び少なくとも1つの膜の周り、特に半径方向に延在する側壁を備えない。
【0016】
前述の1つ以上の壁は、流れ発生装置、特にプロペラ装置の流れをガイドすることを可能にし、流れパラメータを改善することができる。
【0017】
少なくとも1つのアクチュエータは、電磁機械であってもよく、又は電磁機械を含んでもよい。電磁機械は、ステータ部分と呼ばれる固定部分と、可動部分と、を備える。
【0018】
ステータは、電磁機械の固定部分を意味するものと理解される。ステータは機械のフレームに取り付けられている。好ましくは、ステータは、強磁性材料、好ましくは軟鉄で作られたシート状の金属プレートのスタックと、導電性ワイヤの巻線と、からなる。ステータは、電流が導線を通過するときに電磁場を生成する。
【0019】
第1の実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータは、電磁機械であって:
-磁場を生成するように配置されたステータであって、長手方向軸線の周りに配置され、長手方向軸線に対して円周方向又は正放線方向に延在する少なくとも2つのステータ要素を備えるステータと、
-直線的に移動可能な可動部分であって、長手方向軸線の周りに延在する円周に沿って離間され、それぞれの駆動軸線に沿った、少なくとも2つの別個の可動ロッドを備え、各ロッドは、少なくとも1つの磁気要素を備え、各ロッドは、2つのステータ要素どうしの間に配置され、少なくとも2つのステータ要素に対して磁気的に移動可能である、直線的に移動可能な可動部分と、
を備えるものである。
【0020】
ステータ要素は、電磁場の一部を生成する、ステータの一部を意味するものと理解される。好ましくは、各ステータ要素は、巻線によって囲まれた、シート状の金属プレートの中央スタックと、2つのエアギャップスタックとを備え、各エアギャップスタックは、中央スタックの一端に配置される。機械の形状に応じて、各ステータ要素は、少なくとも1つの直線部分又は円弧部分を有する。各エアギャップスタックは、ロッドに対向して配置されるように設けられた遠位端を有する。エアギャップスタックの遠位端は、可動部分のロッドを部分的に取り囲むように配置された形状を有する。好ましくは、遠位端は、ロッドの形状と相補的な形状を有する。例えば、円筒形状のロッドの場合、エアギャップスタックの遠位端は凹面形状を有する。これまで及びこれからの説明では、各ステータ要素は、2つのロッドを接続し、各ロッドは空隙によって遠位端から離間される。
【0021】
好ましくは、各ステータ要素は、2つの別個の磁気回路部分を生成するように長手方向に離間された、シート状の金属プレートの少なくとも2つの別個のスタックのセットを備える。
【0022】
例えば、プレートは、1つ以上のコイルによって電力供給され得る。
【0023】
直線的に移動可能な可動部分は、少なくとも2つの磁性ロッドを備える。各ロッドは、少なくとも1つの磁気要素を備えるか、又は磁気要素からなる。ロッドの代わりに、機械の可動部分は、少なくとも1つの磁気要素を支持するか、又は少なくとも1つの磁気要素からなることができる任意の可動部分を備え得る。少なくとも1つの磁気要素は、ロッドの外側エンベロープ又は部品の外側エンベロープに一体化されるか、又はロッド又は部品と同一の外部全体形状を有する。
【0024】
好ましくは、各ロッドは、少なくとも2対の交替する極を含む。別の一実施形態によれば、各ロッドは、少なくとも4対の交替する極を含む。好ましくは、各ロッドは複数の、反対の磁極を含む。
【0025】
極の対とは、北極及び南極を有する系を意味するものと理解される。一対の極は磁石であることが好ましい。例えば、各ロッドは、少なくとも1つの永久磁石を含むか、又は少なくとも1つの永久磁石に対応する。2対の交互の極は、逆に配置された、又は第1の対の各極が、第2の対又は隣接する対の逆極性の極に対向して配置されるように配置された、上で定義した2つの系を意味するものと理解される。
【0026】
各ロッドが少なくとも1つの永久磁石を含む一実施形態によれば、永久磁石は、ロッドの断面の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%を占める。更に、各永久磁石は、ロッドの形状と実質的に同一の形状を有してもよい。可動ロッドがいくつかの磁石を備える場合、これらの磁石はロッドの駆動軸線に沿って同軸に整列される。
【0027】
好ましくは、各ロッドは、極の2つの対どうしの間に配置されたスペーサを備える。可動ロッドが複数の磁石を備える場合、各ロッドは、2つの磁石どうしの間に配置されたスペーサを備える。この特徴は、スペーサを支持するロッドの運動の力又は振幅を規定することを可能にする。スペーサは、所望の力及び振幅に応じて、磁化可能であっても非磁性であってもよい。
【0028】
別の一実施形態によれば、各ロッドは、強磁性材料及び非磁性材料からなる。永久磁石(複数可)は、機械の可動部分から取り外される。したがって、2つの磁石のうちの一方の磁石を磁性コアに置き換えることができ、他方は非磁性である。ステータ要素の電磁石のコイルは、正電流のみで動作し、逆の場合には短絡されるように取り付けられる。これにより、振動する各ロッドは、ステータの電磁界によって交互に引き付けられ、次いで、例えば、好ましくはばねである位置復帰手段の力によって押し戻される。復帰手段については後述する。この実施形態は、特にシンプルで安価な機械を提案することを可能にする。
【0029】
任意のタイプのロッドによれば、可動部分の少なくとも2つのロッドは、長手方向軸線が中心である円に沿って離間され得る。優先的に、少なくとも2つのロッドは、長手方向軸線が中心である円に沿って、等間隔に離間され得る。
【0030】
好ましくは、ロッドは互いに平行であり、長手方向軸線に対して平行である。
【0031】
複数のロッドは、互いに異なる形状を有してもよい。断面によれば、各ロッドは、平行六面体、長方形、六角形、円筒形、又は円形の形状を有してもよい。
【0032】
好ましくは、少なくとも2つのステータ要素及び少なくとも2つのロッドによって画定される空間は、その中心に何も存在しない。機械の中央部分内には、部品は存在しない。これは、例えば以下のような様々な利点を可能にする:
-中心を通る部品又は流体(特に熱伝達流体)の通過を可能にすること、
-船内に提供されるシステムにとって重要である、体積及び重量がより小さいこと、
-機械の取り扱い中に機械のより良好な把持を可能にすること、又は
-より良い冷却を介して、機械の熱性能を改善すること。
【0033】
第2の実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータは、電磁機械であって:
-磁場を生成するように配置されたステータであって、互いに対向する少なくとも2つのステータ要素と、
-直線的に移動可能な可動部分であって:
-それぞれの駆動軸線に沿って移動可能な少なくとも2つの別個のロッドであって、各ロッドが2つのステータ要素の一端に配置されている、少なくとも2つの別個のロッド、
-少なくとも2つのロッドに関連付けられた少なくとも1つの磁気要素であって、2つのステータ要素の間に配置され、かつ少なくとも2つのステータ要素に対して磁気的に可動である少なくとも1つの磁気要素、及び
-少なくとも1つの磁気要素とロッドとの間の結合手段、を備える可動部分と、を備える。
【0034】
ステータ要素は、電磁場を生成する、ステータの一部を意味するものと理解される。好ましくは、各ステータ要素は、少なくとも2つの歯を備える、シート状の金属プレートのスタックを備える。優先的に、各ステータ要素は、少なくとも1つのノッチを含むシート状の金属プレートのスタックを備える。例えば、シート状の金属プレートは、1つ以上のコイルによって電力供給され得る。ステータ要素は、1つ以上の磁気回路を生成するために、複数の対で、又は二つ一組の複数の組で配置される。ステータ要素どうしは、歯の間に少なくとも1つの磁気要素を挿入するように互いに離間され、歯を通過する磁場の影響下で磁気的に移動することができる。
【0035】
一実施形態によれば、各ステータ要素は、「E」字形パターンを生成するように、3つの歯を備えるシート状の金属プレートのスタックを備える。2つのノッチは、電線の巻線によって占有される。他の実施形態によれば、ステータ要素は、無制限の数の長手方向に整列した歯を備えていてもよい。
【0036】
直線的に移動可能な可動部分は、少なくとも2つの磁気ロッドを備え、それらのロッドはそれぞれが、一対のステータ要素のいずれかの側に配置される。ロッドは、長方形、好ましくは正方形、又は円筒形、好ましくは円形の断面を有してもよい。
【0037】
可動部分は、ステータの磁界の影響下で移動されるように意図された、少なくとも1つの磁気要素を更に備える。少なくとも1つの磁気要素は、2つのロッドに接続される。好ましくは、少なくとも1つの磁気要素は、2つのロッドどうしの間に配置される。
【0038】
少なくとも1つの磁気要素は、ロッド内に完全には嵌合しない。一実施形態によれば、各磁気要素は、2つのロッドに対して径方向に又は垂直に延びる。好ましい実施形態によれば、可動部分は、2つのロッドに接続された少なくとも1つの磁気要素を備える。
【0039】
結合手段の一実施形態によれば、その手段は:
-ロッドに取り付けられるように構成されたロッド部と、
-少なくとも1つの磁気要素を固定して、少なくとも1つの磁気要素を、ロッドに機械的に結合するように配置された磁気要素部分と、を含む。
【0040】
好ましくは、ロッド部分は、ロッドの外側エンベロープを取り囲み、かつ所定位置に保持するための手段によって外側エンベロープに接続されて、少なくとも1つの磁気要素の移動中にロッドを駆動する。優先的には、磁気要素部は、少なくとも1つの磁気要素の一端又は一部分を受け入れるために、溝内のキー型取付具などの空洞又は凹部を備える。
【0041】
結合手段の別の一実施形態によれば、その手段は、ロッドの周囲又は外面に配置された空洞又は凹部、たとえば溝内のキー型取付け部を備える。
【0042】
各磁気要素は、少なくとも1対の交替する極を含む。好ましくは、各磁気要素は、少なくとも2対の交替する極を含む。代替的な一実施形態によれば、各磁気要素は、少なくとも4対の交替する極を備える。好ましくは、各磁気要素は、複数の反対の磁極を備える。
【0043】
極の対とは、北極及び南極を有する系を意味するものと理解される。一対の極は磁石であることが好ましい。2対の交互の極は、逆に配置された、又は第1の対の各極が、第2の対又は隣接する対の逆極性の極に対向して配置されるように配置された、上で定義した2つの系を意味するものと理解される。
【0044】
一実施形態によれば、少なくとも1つの磁気要素は、少なくとも1つの永久磁石を含むか、又は少なくとも1つの永久磁石である。磁石(複数可)は、異なる幾何学的形状を有してもよい。好ましくは、各磁石は略長方形の形状を有する。好ましくは、各磁石は長方形の断面を有する。この実施形態は、活性磁化領域を最大化するために、長さ及び/又は幅に対して小さな厚さを提供するという利点を有する。第1の変形例によれば、各磁石は直線状である。第2の変形例によれば、各磁石は、湾曲しているか又は凹面状である。
【0045】
好ましくは、直線的に移動可能な可動部分は、極の2つの対どうしの間に配置されたスペーサを備える。可動部が複数の磁石を備える場合、2つの磁石どうしの間にスペーサが配置される。この特徴は、磁石に接続されたロッドの運動の力及び/又は振幅を規定することを可能にする。スペーサは、所望の力及び振幅に応じて、磁化可能であっても非磁性であってもよい。
【0046】
別の一実施形態によると、少なくとも1つの磁気要素は、強磁性材料から作製される。永久磁石(複数可)は、機械の可動部分から取り外される。機械は、少なくとも1つの磁気要素を初期位置に復帰させるような位置復帰のための少なくとも1つの手段を更に備えることができる。
【0047】
特定の一実施形態によれば、ステータは、長手方向軸線の周りに配置され、長手方向軸線に対して円周方向又は正放線方向に延在する、2つのステータ要素の2つの対を形成する少なくとも4つのステータ要素を備え、直線的に移動可能な可動部分は、2つのロッドの2つの対を形成する4つのロッドを備える。ここまで及びここからの説明のために、一対のロッド及び少なくとも1つの磁気要素に関連付けられた、一対のステータ要素は、モジュールとも呼ばれる。したがって、電磁機械は、1つ以上のモジュールを備えることができる。
【0048】
好ましくは、少なくとも2対のステータ要素は、長手方向軸線が中心である円に沿って離間される。
【0049】
任意のタイプのロッドによれば、可動部分の少なくとも2対のロッドは、長手方向軸線が中心である円に沿って離間され得る。好ましくは、少なくとも2つのロッドは、長手方向軸線が中心である円に沿って、等間隔に離間され得る。
【0050】
好ましくは、ロッドは互いに平行であり、長手方向軸線に対して平行である。
【0051】
任意の実施形態によれば、ロッドはそれぞれ異なる形状を有することができる。断面によれば、各ロッドは、平行六面体、長方形、六角形、円筒形、又は円形の形状を有してもよい。
【0052】
好ましくは、ステータ要素は、何も存在しない中央ゾーンを画定するように配置される。少なくとも2つのステータ要素及び少なくとも2つのロッドによって画定される空間は、その中心に何も存在しない。機械の中央部分内には、部品は存在しない。これは、例えば以下のような様々な利点を可能にする:
-中心を通る部品又は流体(特に熱伝達流体)の通過を可能にすること、
-船内に提供されるシステムにとって重要である、体積及び重量がより小さいこと、
-機械の取り扱い中に機械のより良好な把持を可能にすること、又は
-より良い冷却を介して、機械の熱性能を改善すること。
【0053】
特定の一実施形態によれば、ステータは、6対のステータ要素を形成する12個のステータ要素を備え、可動部分は、6対のロッドを形成する12個のロッドを備える。好ましくは、直線的に移動可能な可動部分は、ステータ要素の各対と協働する、2つの永久磁石を備える。
【0054】
好ましくは、ステータ要素の複数の対及び関連する可動部分は、交互に逆位相で配置される。3対のステータ要素は、他の3対のステータ要素に対して180°シフトされている。好ましくは、ロッドは10~150Hz(ヘルツ)の周波数で移動する。
【0055】
任意のタイプの電磁機械によれば、装置は、以下の特徴を有することができる。
【0056】
好ましくは、電磁機械は、並進をガイドするための手段、例えば、ベアリング、スライド、及び/又はパッドを備える。ガイド手段は、ロッド、少なくとも1つの磁気要素、好ましくは磁石(複数可)、及び/又は結合手段と協働することができる。
【0057】
好ましくは、電磁機械は、ステータ及び/又は少なくとも2つのロッドを外部環境に対して封止するための手段を備える。
【0058】
封止手段はロッド封止手段を含む。好ましくは、2つのロッド封止手段が各ロッドに関連付けられ、各手段はロッドの一端に配置される。それらは、各ロッドの周りの空隙を保護することを可能にする。一実施形態によれば、単一のロッド封止手段、例えばベローズが設けられる。
【0059】
封止手段は、水に没している最中に、塩水雰囲気、汚染された雰囲気、又は淡水若しくは塩水から機械を保護しなければならない。例えば、封止手段は、Oリング、封止を確実にする摺動要素、可撓性ベローズ(エラストマー又は金属から作製される)、又は機械的、又はそれらの組み合わせであってもよい。封止手段は以下のものであってもよい:ワイパー封止手段、バッファ封止手段、単効用封止手段、複動封止手段、リップ封止手段(又はspi封止手段)、スプリング式封止手段。これらの封止手段を単独で使用するか、又はそれらを組み合わせ、異なる機能を得ることが可能である。例えば、不純物を濾過し、浸漬されたチャンバを得るために予備シーリングを行いしたがってガイドライニングを潤滑し、次いで完全なシーリングを可能にする別のシールを行うことが可能である。
【0060】
更に、機械、特にステータ又は各コイル状ステータ要素は、例えばエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂で作製することができる。更に加えて、可動部分の少なくとも2つのロッドは、油浴によって囲まれることができ、深い水没の場合に圧力を維持する、又はシステムを恒久的に潤滑及び冷却するという利点を提供する。
【0061】
更に、電磁機械は、少なくとも1つのロッドに関連付けられた、少なくとも1つの位置復帰手段を備えることができる。一実施形態によれば、機械は、各ロッドのための位置復帰手段を備える。好ましくは、位置復帰手段は、弾力を有する弾性復帰手段、例えばばね、好ましくは金属ばね、特に鋼製のばねである。各ロッドは往復運動を生成するが、2つの運動のうちの一方の運動の動態を促進することが有益であり得る。通常動作では、本発明による電磁機械は、極ピッチで振動する可動ロッドを有するか、又は制御電子機器によって駆動されて移動するので、可動ロッドのための復帰手段を必要としない。しかしながら、機械の効率を最適化するために、復帰手段を追加することが有益であり得る。例えば、ばねは、可動ロッドの第1の端部に、かつ/又は可動ロッドの第1の端部の反対側の第2の端部に、配置することができる。この特徴により、運動の反転の第1の段階中に運動エネルギーを吸収して位置エネルギーをそこに蓄積し、次にそれを反転の第2の段階中に可動ロッドに再伝達することが可能になる。これらの復帰手段はまた、機械の早期摩耗につながり得るか、又は機械から意図せずに延出する1つ以上の可動ロッドにつながり得る、過剰な振幅の制御されない移動を回避することを可能にする。好ましくは、ロッドの振動周波数は、系の共振周波数と同じであり、これにより、動き始めるエネルギーを可能な限り最小にすることができる。
【0062】
電磁機械は、パワーエレクトロニクス及び/又は制御手段を備えて、可動部分のロッドの動きが、パワーエレクトロニクスによって開ループで制御されるようにする。制御は、例えば、実効電圧及び周波数を変化させることができるインバータなど、異なる周波数で電圧をゆるやかに波動させることを可能にするパワーエレクトロニクスによって行われる。
【0063】
別の一実施形態によれば、機械は、例えば可動部分を移動させるためのセンサ又は電流センサなどの少なくとも1つのセンサを備える。パワーエレクトロニクス及び/又は制御手段は、少なくとも1つのセンサからの情報によって、可動部分のロッドの動きを閉ループで制御する。
【0064】
好ましくは、機械は、好ましくは制御電子機器に直接接続された温度センサであって、機械の温度を測定するための温度センサを備える。機械はまた、過度の加熱から、温度ヒューズによって保護することもできる。コイルは熱を拡散させる主要な構成要素であるため、これら2つの構成要素は、好ましくはコイルの周囲に、かつ有利にはコイルの中心に取り付けられる。
【0065】
制御手段は、各モジュールを独立して、又は他のモジュールと同期若しくは非同期で制御することを可能にし、かつ/又は例えば逆位相で2つのモジュールの振動を制御することによって不均衡を除去するように制御することを可能にする。
【0066】
他の実施形態によれば、装置は複数のアクチュエータを備えてもよい。少なくとも1つのアクチュエータは、任意のタイプのものであってよい:電気的(直線的動作式アクチュエータ、又は回転式のアクチュエータであって、動作運動を変換する部品を有するもの)、熱的、圧縮空気、機械的(ペダルなどの手動式のもの)。
【0067】
好ましくは、流体流を発生させるための装置は、液圧式で流れを発生する装置である。例えば、装置は、ポンプ、ミキサ、スラスタ、特に船舶用の液圧式スラスタであり得る。
【0068】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の特徴のうちの1つ以上による流れ発生装置を備える、船舶の推進のための液圧式スラスタが提供される。装置は、モータモードで動作する。装置は、モータモードで装置を制御するように構成されている制御手段又はコントローラを備える。
【0069】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様の特徴の1つ以上による流れ発生装置を備える水車発電機が提供される。装置は発電機モードで動作する。装置は、発電機モードで装置を制御するように構成されている制御手段又はコントローラを備える。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明は、添付の図面によって例示される非限定的な実施形態を参照する、以下の記載を読むことによって、より良く理解されるであろう。
図1】第1の実施形態による液圧式スラスタの斜視図である。
図2】第1の実施形態による液圧式スラスタの長手方向断面図であり、スラスタは、図1による電磁機械、並びに中央開口部を有する単一のフランジ及び中央開口部を有する単一の円盤状膜を備える。
図3】第2の実施形態による液圧式スラスタの斜視図であり、単一の中実フランジを備え、かつ円錐形状を有する尾部及び開口部を有する単一の膜を備えるスラスタの図である。
図4図3による、第2の実施形態による液圧式スラスタの長手方向断面図である。
図5図3及び図4による液圧式スラスタと、4対のステータ要素及び4対のロッドを備える、一実施形態による電磁機械との断面図である。
図6】上流ロッド及び下流ロッドを備える、一実施形態による電磁機械の側面図である。
図7】上流及び下流の両方にあるロッドを備える、一実施形態による電磁機械の側面図である。
図8図1による液圧式スラスタを備える船舶推進アセンブリの側面図である。
図9】本発明の一実施形態による、可動部分の各ロッドが2つの永久磁石を備え、周期的直線運動を伴う電磁機械の斜視図であり、機械がそのフレームなしで見られるようにした図である。
図10図9による機械と、各々機械の一端に配置されている2つの円盤状膜とを備える、一実施形態による機械アセンブリの斜視図である。
図11】可動部分の各ロッドが4つの永久磁石を備える、第2の実施形態による電磁機械を備える機械アセンブリの長手方向断面の斜視図である。
図12図11に示される、各ロッドが2つの非磁性スペーサを更に備え、1つのスペーサが、2つの隣接する永久磁石の間にある図である。
図13】4つの永久磁石を支持する可動部分のロッドが拡大されて示されている、図12の機械の拡大図である。
図14】本発明の第4の実施形態による、周期的直線運動を伴う電磁機械の斜視図であり、機械は、円を形成するように互いに対して配置された6対のステータ要素及び6対のロッドを備え、フレームが示されている図である。
図15】一対のステータ要素及び一対のロッドを備える、本発明の第1の実施形態による、周期的直線運動を伴う電磁機械の斜視図であり、フレームが示されていない図である。
図16図15による、互いに対向する2つのステータ要素の側面図であり、各ステータ要素は、電線の巻線を含む図である。
図17】2つのロッドの間に配置された2つの永久磁石を備える、一実施形態による、直線的に移動可能な可動部分の斜視図である。
図18】第3の実施形態による液圧式スラスタの正面図であり、別の実施形態による電磁機械、並びに中央開口部を有する単一のフランジ及び中央開口部を有する単一の円盤状膜を備えるスラスタの図である。
図19図18によるスラスタの側面図である。
【0071】
図1及び図2を参照すると、流体流を生成するための装置の第1の実施形態が提示される。装置は、特に水に没するように構成されている。流体流を発生させる装置は、液圧式スラスタ100である。
【0072】
図2は、電気アクチュエータ、特に以下で説明する電磁機械と、フランジF1と、膜M1と、を備える液圧式スラスタの断面図であり、フランジ及び膜は、長手方向軸線Lに対して同軸に、機械の下流端と呼ばれる同じ端に配置されている。上流端と呼ばれる反対側の端は、電磁機械の中央ゾーン10を通る流れの循環を妨げる壁を有していない。この実施形態では、スラスタは管状の全体形状を有する。
【0073】
フランジF1は、流れが通過できるように中央開口部を有する。フランジF1は、電磁機械の一端部に接続されるように構成された接続面と呼ばれる第1の面と、接続面の反対側の外面と呼ばれる第2の面と、を有する。フランジF1は、円錐又はノズルの形態の内面を有し、内面の最大直径は、電磁機械の内径に対応する。フランジは、外面から突出する管状部分F11を更に備える。
【0074】
膜M1は、リングの形状を有し、電磁機械のロッドのすべての遠位端に接続された電機子MA1を備える(図1参照)。膜M1は、フランジF1の管状部分F11が、それを通って延在する中央開口部を有する。膜M1は、フランジに向けられたフランジ面と、外部環境に向けられた、フランジ面の反対側の外面と、を有する。装置、特に液圧式スラスタは、上記の装置の後面又は上記の推進ユニットに接続されるか又は遠隔的に追加される要素、部品又は付属物なしで動作するように提供される。
【0075】
図3及び図4を参照すると、液圧式スラスタの第2の実施形態が示されている。先述の実施形態と比較して、本発明のスラスタは、各端部において閉じられている。少なくとも1つの壁が電磁機械の中央ゾーンを閉鎖し、その結果、スラスタは楕円形及び/又は卵形の全体形状を有する。
【0076】
フランジF1は中央開口部を有していない。フランジF1は、電磁機械の一端部に接続されるように構成された接続面と呼ばれる第1の面と、接続面の反対側の外面と呼ばれる第2の面と、を有する。フランジは、外面から突出する円錐部分F12を更に備え、円錐の直径は、外面から円錐部分の先端まで減少する。円錐部分は、膜M1の中央開口部を通過する(図3及び図4参照)。
【0077】
フランジF1と膜M1との結合は、液圧式スラスタの推進を可能にする。
【0078】
図4及び図5は、アクチュエータの一実施形態を示す。アクチュエータは、電磁機械である。図5を参照すると、電磁機械は、ステータと、ステータと磁気的に協働する磁性ロッドを備える可動部分と、を備える。ステータは、4対のステータ要素31、32、33、及び34を備え、ステータ要素の対31はロッド41a、41bの対に関連付けられ、ステータ要素の対32はロッド42a、42bの対に関連付けられ、ステータ要素の対33はロッド43a、43bの対に関連付けられ、ステータ要素の対34はロッド44a、44bの対に関連付けられる。電磁機械は、長手方向軸線Lに沿って延在する。ロッドのそれぞれの駆動軸線は、機械の長手方向軸線Lに平行である。更に、4つのモジュールは、長手方向軸線Lが中心である円に沿って配置される。4つの電磁モジュールは等間隔に離間されている。各電磁モジュールは、互いに独立して制御することができる。電磁機械は、以下に、より詳細に説明される。
【0079】
図6は、電磁機械の一実施形態を示し、特に、実施形態の1つ又は以下で説明される実施形態と組み合わせ可能である。電磁機械は、機械の第1の端部から延びる複数対の上流ロッドを備える。機械は、電磁機械の第1の端部の反対側の第2の端部から延びる複数対の下流ロッドを更に備える。図6は、軸線E3a、E3b、E5a、E5b、E2a、E2b、E6a、E6bに沿って延在する上流ロッドを示す。軸線E1a、E1b、E4a、E4bに沿って延在する上流ロッドも示されている。この実施形態は、装置の長手方向各端部の膜を配置することを可能にする。
【0080】
代替として、図7は、電磁機械の別の一実施形態を示し、ロッドの各対は、機械のフレームを通過して、上流ロッドと下流ロッドの対とを対にする。
【0081】
図8は、第1の実施形態による液圧式スラスタが、ボートのステアリング及び制御装置に接続される適用例を示す。
【0082】
図18及び図19は、最小限のバージョンの液圧式スラスタが、ボートの中央基部に接続される別の適用例を示す。
【0083】
スラスタは、モータが広範囲の使用事例において使用されることが可能であるように、制御手段及び/又はパワーエレクトロニクスを備える。例えば、それは、送電網、ソーラーパネルアレイ、又は任意の他のAC若しくはDCエネルギー設備によって、又はそのパワーエレクトロニクスを通した接続が、電流を調整及び制御することを可能にするエネルギー貯蔵システムにおいて、電力供給され得る。
【0084】
制御信号のタイプ及びその形状に依存して、モータは、異なる使用事例を満たすことができる:連続電圧による電力供給の場合、モータの位置が制御される。したがって、モータは、供給された電圧値に従って正確かつ反復可能な位置を維持する。交流電圧が供給される場合、モータの速度が制御される。電圧の値は、可動バーのストロークの振幅を調整することを可能にする。電気信号の周波数に関しては、モータの動作周波数を調整することが可能である。
【0085】
図9図13は、アクチュエータ、特に、長手方向軸線Lに沿って延びる周期的な直線運動をする電磁機械1の、第1のタイプの実施形態を示す。可能な限り多くの部品を見るために、機械フレームは図9及び図10には示されていない。
【0086】
機械は、電磁界を生成するように構成されたステータと呼ばれる静止部分3を備える。ステータは、6つのステータ要素31、32、33、34、35、及び36を備える。各ステータ要素は、電気巻線によって囲まれた、シート状の金属プレートのスタックを備える。6つのステータ要素31、32、33、34、35、及び36は、長手方向軸線Lの周りに配置され、長手方向軸線Lに対して円周方向Tに延在するので、磁力線は、すべてのステータ要素を通過することによって円周状になる。
【0087】
機械は、直線的に移動可能な可動部分4を備える。それは、それぞれの駆動軸線E1、E2、E3、E4、E5、及びE6に沿った、6本の別個のロッド41、42、43、44、45、及び46を備える。ロッドは、長手方向軸線Lの周りに延在する円周に沿って等間隔に離間される。この配置は、中央ゾーン10を何もない状態にすることを可能にする。中央ゾーンは管状形状を有する。
【0088】
各ロッドは、円形の断面を有し、各ロッドは、棒の形状を有する。以下の残りの説明では、ロッド又はバーという用語は、互換的に使用され得る。各ロッドは、2つのステータ要素の間に配置される。空隙のみが各ロッドを2つのステータ要素から分離する。各ロッドは、ロッドの駆動軸線に沿って位置合わせされ、極性の観点から逆に配置された2つの永久磁石を備える。各磁石は、実質的にロッドの断面全体を占め、円形断面を有する。ロッドは、ステータ要素に対して磁気的に動くことが可能である。
【0089】
図11に示される代替的な一実施形態によれば、可動部分の各ロッドは、4つの永久磁石を備えており、同図にはロッド43及び46のみが見えている。特に、ロッド43は永久磁石63a、63b、63c、及び63dを備え、ロッド46は永久磁石66a、66b、66c、及び66dを備える。各永久磁石は、各ロッドの円筒形コアに嵌合するように配置された管の形態である。
【0090】
この構成により、ステータによってバーを、ステータによって生成される電流磁界に従って駆動することが可能になる。ステータに対する極の整列は、バーが互いに対して同相又は逆位相で動作することを可能にする。バーどうしの位置揃えは、磁石の磁力によって保持される。ガイド手段又は追加の支持部品の存在は、最小限の及び/又はより安価な実施形態の文脈においては、必須というわけではない。
【0091】
任意選択的に、各バーの並進ガイドとして働く、好ましくは円筒形の2つのガイドピースが、各バーの端部に取り付けられる。これらのガイド部分は、磁場漏れを最小限に抑えるために非磁性材料で作られることが有利である。これらの2つの部分は、動かす必要がある任意のエフェクタ又は可動部分のための接続部分として役立つ、他の機能を有する。
【0092】
複数のロッドの存在は、より大きな力をエフェクタに送達することを可能にする。更に、2つの永久磁石の代わりに、4つの永久磁石が存在することによって、より大きな力をエフェクタに送達することも可能になる。
【0093】
図12及び図13を参照すると、ステータの特定の実施形態が示されており、各ステータ要素は、2つの平行な磁気回路を生成するように2つのステータ要素を備える。図12を参照すると、ステータ要素35は、2つのステータサブ要素35a、35bを備え、ステータ要素34は、2つのステータサブ要素34a、34bを備える。更に、関連するロッドは、4つの永久磁石64a、64b、64c、及び64dを備える(図13参照)。当該ロッドの移動中、永久磁石64a、64bはステータサブ要素35a及び34aに対向するように設けられ、永久磁石64c、64dはステータサブ要素35b及び34bに対向するように設けられる。
【0094】
図10図12は、2つの膜を備える流れ発生装置を示す。各膜は、液圧式スラスタを製造するように、プラスチック、エラストマー、又は金属材料で作られ、電磁機械はモータモードで動作する。図10を参照すると、ロッド42、44、及び46は、接続され、同時に制御されて、上流モータと呼ばれる第1のサブモータを形成する。ロッド41(43、及び45、ただしこれらは不可視)は、接続され、制御されて下流モータと呼ばれる第2のサブモータを形成する。ロッド42、44、及び46の端部は、上流膜と呼ばれる膜M1を支持する補強材にしっかりと接続される。ロッド41、(43、及び45、ただしこれらは不図示)の端部は、下流膜と呼ばれる膜M2を支持する補強材にしっかりと接続される。膜は円盤状の形状であるが、他の形状であってもよい。サブモータは、膜M1及びM2が逆位相で作動されるように、180°(度)だけ電気的に位相シフトされる。特に、磁石は逆にされ、それは、磁場が真に円形であり、次のコイルの磁場と反対でないということを可能にする。
【0095】
以下の説明では、サブモータのロッドの動作及び/又は動きについて説明する。
【0096】
図12及び図13を参照すると、上流膜は、機械のフレーム2の近位側の位置に配置される。ロッドの位置は、永久磁石64aが、ステータサブ要素35a及び34aに対向し、永久磁石64cが、ステータサブ要素35b及び34bに対向するような位置であり、これは、一方のステータサブ要素35a及び34aと、他方のステータサブ要素35b及び34bとの間のエアギャップに誘導される磁束が、一方の側に極性、例えば北極を生成し、他方の側に逆の極性、例えば南極を生成するのに十分であるという事実による。各永久磁石は逆の極性を有するので、磁束は永久磁石を通過し、永久磁石を所定の位置に保持する。
【0097】
コイルへの電流のスイッチングの間、空隙内の磁束は、永久磁石の各極が同一極性と反対になるように反転され、反発力及びロッドの平行移動を生成する。同時に、磁束は、逆の極性の隣接する永久磁石64b及び64dを通過するようになり、その結果、引力がロッドを並進運動させる。その結果、ロッドの新しい位置は、永久磁石64bが、ステータサブ要素35a及び34aに対向し、永久磁石64dが、ステータサブ要素35b及び34bに対向するような位置である。次いで、上流膜M1が遠位側の位置に配置される。
【0098】
変形の一実施形態によれば、スペーサが、逆の極性の2つの隣接する永久磁石どうしの間に配置される。図13を参照すると、スペーサ164が、永久磁石64aと64bとの間に配置され、スペーサ264が、永久磁石64cと64dとの間に配置されている。
【0099】
図14図17は、第2のタイプのアクチュエータ、特に第2のタイプの電磁機械を示す。
【0100】
図14は、6つの電磁モジュールを備える電磁機械を示し、電磁モジュールについては以下に説明する。電磁機械は、ステータと、ステータと磁気的に協働する磁性ロッドを含む可動部分とを含む。ステータは、6対のステータ要素31、32、33、34、35、及び36を備え、ステータ要素の対31は、ロッド41a、41bの対に関連付けられ、ステータ要素の対32は、ロッド42a、42bの対に関連付けられ、ステータ要素の対33は、ロッド43a、43bの対に関連付けられ、ステータ要素の対34は、ロッド44a、44bの対に関連付けられ、ステータ要素の対35は、ロッド45a、45bの対に関連付けられ、ステータ要素の対36は、ロッド46a、46bの対に関連付けられる。電磁機械は、長手方向軸線Lに沿って延在する。ロッドのそれぞれの駆動軸線は、機械の長手方向軸線Lに平行である。更に、6つのモジュールは、長手方向軸線Lを中心とする円に沿って配置される。3つの電磁モジュールは、等間隔に離間されている。
【0101】
図15図16、及び図17を参照すると、周期的直線運動を伴う電磁機械1の第1の実施形態が提示されている。
【0102】
モジュールは、電磁界を生成するように構成されたステータと呼ばれる静止部分31を備える。図16を参照すると、ステータは、一対のステータ要素を形成する2つのステータ要素31a及び31bを備える。各ステータ要素は、「E」字形パターンを形成するように配置された、シート状の金属プレートのスタックを含む。各ステータ要素は、3つの歯と2つのノッチとを備える。各ステータ要素31a、31bは、ループを形成するようにシート状の金属プレートのスタックのノッチに挿入された電気巻線311、312を更に備える。ステータ要素31a、31bは、対向して配置され、可動部分の少なくとも1つの磁気要素を挿入することを可能にする距離及び空隙距離だけ互いに離間される。図15及び図16を参照すると、ステータ要素は、一般的な形状及び長方形の断面を有し、直線的に延在する。
【0103】
モジュールは、交互直線並進運動を実行する直線的に移動可能な可動部分を備える。図15及び図17を参照すると、可動部分は、それぞれの駆動軸線E1a、E1bに沿って移動可能な2つの別個のロッド41a、41bを備え、当該軸線は、ある軸線又は長手方向に沿って延在する。それらは、ステータ31の両側に、特に2つの巻線部分どうしの間に、半円形の形状に配置され、シート状の金属プレートのスタックの外側に延在する。ロッド41a、41bは、円形の断面を有する。図17を参照すると、可動部分は、2つのロッド41aと41bとの間に配置された、2つの永久磁石61aと61bと、を備える。永久磁石は、長方形の形状を有する。それらは、2つのステータ要素31aと31bとの間に挿入されるように配置され、ステータ要素のスイッチング中に磁気的に移動する。2つの磁石61a、61bどうしは、それらの2つの磁石がステータ要素の2つの連続する歯と位置揃えされることができるように、長手方向に離間されている。
【0104】
可動部分は、永久磁石61a、61bとロッド41a、41bとの間に、結合手段51a、51bを更に備える。各結合手段51a、51bは、並進において一体となるようにロッドに固定されるように配置されたロッド部分を備える。ロッド部分は、ロッドの外側エンベロープを取り囲む。各結合手段51a、51bは、2つの磁石を受けて固定し、それにより磁石をロッドに機械的に結合するように配置された磁気要素の一部を備える。
【0105】
任意選択的に、機械は、各ロッドのための並進ガイドとして役立つ、好ましくは円筒形の、2つのガイド部分80を備える。2つのガイド部分は、フレームの長手方向端部に取り付けられる。これらのガイド部分は、磁場漏れを最小限に抑えるために非磁性材料で作られることが有利である。これらの2つの部分は、動かす必要がある任意のエフェクタ又は可動部分のための接続部分として役立つ、他の機能を有する。
【0106】
各タイプの電磁機械は、高周波での直線運動、特に毎秒500サイクル、すなわち500Hzまでの動作を提供することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
【国際調査報告】