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特表2024-528548絶縁層を伴う微小機械加工超音波トランスデューサ、および、製造の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】絶縁層を伴う微小機械加工超音波トランスデューサ、および、製造の方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240723BHJP
   H04R 19/00 20060101ALI20240723BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20240723BHJP
   B81B 7/04 20060101ALI20240723BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H04R17/00 330J
H04R19/00 330
B81B3/00
B81B7/04
B81C1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580910
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2021039977
(87)【国際公開番号】W WO2023277914
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520342725
【氏名又は名称】エコー イメージング,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】マントラヴァディ,ナレーシュ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヘソン
(72)【発明者】
【氏名】バーカムショー,ブライアン
【テーマコード(参考)】
3C081
5D019
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA55
3C081BA72
3C081CA32
3C081DA04
3C081DA29
3C081EA39
5D019AA13
5D019AA21
5D019BB02
5D019BB03
5D019BB04
5D019BB13
5D019BB19
5D019DD01
5D019FF04
5D019GG05
5D019HH01
(57)【要約】
開示されるのは、多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイスである。デバイスは、多重SOI基板と、MUTとを含む。MUTは、多重SOI基板の表面に付着させられる。多重SOI基板は、第1のSOI層と、少なくとも、第1のSOI層の上方に配される第2のSOI層とを有する。第1のSOI層および第2のSOI層は、絶縁層と半導電層とを各々が含む。第1のSOI層は、MUTのメンブレンの下に場所を定められるキャビティと、少なくとも部分的にキャビティの周辺部の周りの、1つまたは複数のトレンチとをさらに規定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイスであって、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板と、
メンブレンを有する微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)とを含み、
前記微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)は、前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板の表面に付着させられ、
前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板は、第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層と、少なくとも、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の上方に配される第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層とを含み、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層および前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、絶縁層と半導電層とを各々が含み、
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、
前記微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)の前記メンブレンの下に場所を定められるキャビティと、
少なくとも部分的に前記キャビティの周辺部の周りの、1つまたは複数のトレンチとをさらに含む、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項2】
前記微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)は、圧電微小機械加工超音波トランスデューサ(pMUT)である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項3】
前記微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)は、容量性微小機械加工超音波トランスデューサ(cMUT)である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項4】
前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、高さにおいて40~80マイクロメートルである、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項5】
前記絶縁層は、埋め込み酸化物(BOX)層である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項6】
前記BOX層は、高さにおいて1~5マイクロメートルである、請求項5に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項7】
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層および少なくとも前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の前記半導電層は、ハンドル層であり、前記キャビティは、前記ハンドル層および前記BOX層のうちの少なくとも1つをエッチングすることにより創出される、請求項5に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項8】
シリコン貫通ビアをさらに含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項9】
前記半導電層は、シリコンメンブレン層である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項10】
前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板は、二重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項11】
前記キャビティは、堆積させられた酸化物層を含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項12】
前記トレンチは、前記デバイスの1つまたは複数の層にまたがる深さまでエッチングされる、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項13】
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の下方のハンドル層をさらに含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項14】
前記ハンドル層は、半導体層である、請求項13に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項15】
前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の前記半導電層は、金属コーティングを含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項16】
前記キャビティは、ガスによって充填される、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項17】
前記キャビティは、真空を内包する、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項18】
前記絶縁層は、非酸化物絶縁体を含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項19】
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)アレイであって、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板と、
メンブレンを各々が有する複数の微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)とを含み、
前記複数の微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)は、前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板の表面に付着させられ、
前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板は、第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の上方に配される第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層を含み、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層および前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、絶縁層と半導電層とを各々が含み、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、
各キャビティが、前記複数の微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)のうちの微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)のメンブレンの下に場所を定められる、複数のキャビティと、
少なくとも部分的に前記複数の微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)の前記複数のキャビティのうちのキャビティの周辺部の周りの、1つまたは複数のトレンチとをさらに含む、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)アレイ。
【請求項20】
二重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)アレイを製造する方法であって、
第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層において少なくとも1つのトレンチを、前記少なくとも1つのトレンチの幅を内包するように前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の酸化物層をエッチングすることにより規定するステップと、
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の前記酸化物層にフォトレジスト層を付与するステップと、
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層においてキャビティを、前記キャビティの幅を内包するように前記フォトレジスト層および前記酸化物層をパターンエッチングすることにより規定するステップと、
前記キャビティおよび前記少なくとも1つのトレンチをエッチングするステップと、
前記キャビティおよび前記少なくとも1つのトレンチに酸化物層を付与するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本開示は、医療環境において使用可能な半導体および微小電気機械システム(MEMS)技術、例えば、MEMs超音波トランスデューサに関係する。
【背景技術】
【0002】
[002]微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT:micromachined ultrasonic transducer)は、医用イメージング、空気結合イメージング、距離監視、指紋監視、非破壊欠陥監視、裏面照射、バイオMEMS、および診断を含む、ただしそれらに制限されない、多くの分野における大いなる潜在的可能性を供する。クロストークは、MUTによりしばしば直面される問題点である。
【0003】
[003]MEMSデバイスにおいて、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板の使用が、より卑近になってきた。SOIウェハによって、民生、自動車、産業、および健康管理用途において使用される、最も進歩したMEMS、相補型金属酸化物半導体(CMOS)、電力、および無線周波数(RF)構成要素の製造が可能になる。SOIウェハは、いくつものMEMSデバイスの設計において使用され得る、高品質二酸化ケイ素層(埋め込み酸化物すなわちBOX)の上の方の高品質単結晶シリコン層を可能なものにする。SOIウェハは、特有のデバイス構成の設計および製造を可能にする、いくつもの材料パラメータの精密な制御を可能なものにする。
【0004】
[004]これらの利点にもかかわらず、従来のSOIウェハ技術は、幾何学的形態の精密な制御が、CMOS回路網との3次元(3D)垂直統合を必要とする進歩したMEMSデバイスのために必要とされる、難題に行き当たる。これらの難題は、2つのSOI基板を層にする二重SOI技術を使用することにより減じられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005]二重SOI技術は、さらには、圧電MUT(pMUT)および容量性MUT(cMUT)を含む、微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)などの、様々な微小電気機械システム(MEMS)デバイスの機能性を改善することがある。二重SOI技術の使用によって、設計者が、より多くの柔軟性を伴って、デバイスの埋め込み酸化物(BOX)層および半導体層におけるエッチングのためにキャビティ(または導波路)およびトレンチについてサイズおよび位置を定めることが可能になることがある。そうして、二重SOI設計は、(例えば、波出力パワーを増大することにより)音響波送り出しを改善し、クロストークを低減することがある。
【0006】
[006]加えて、本明細書において開示される多重SOIプロセスによって、設計柔軟性を高める、MUTデバイスにおいてトレンチおよびキャビティをエッチングすることのプロセス中の、より良好な限界寸法制御が可能になることがある。加えて、多重SOIプロセスは、アライメント誤差からの影響を減じる、より精密なアライメント許容差をもたらすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[007]一部の態様において、多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイスが開示される。デバイスは、多重SOI基板を含む。デバイスは、さらには、メンブレンを有するMUTを含む。デバイスは、さらには、多重SOI基板の表面に付着させられるMUTを開示する。デバイスは、さらには、第1のSOI層と、少なくとも、第1のSOI層の上方に配される第2のSOI層とを含み、第1のSOI層および第2のSOI層は、絶縁層と半導電層とを各々が含む、多重SOI基板を開示する。第1のSOI層は、MUTのメンブレンの下に場所を定められるキャビティをさらに含む。少なくとも部分的にキャビティの周辺部の周りの、1つまたは複数のトレンチ。
【0008】
[008]一部の実施形態において、MUTは、圧電微小機械加工超音波トランスデューサ(pMUT)である。
[009]一部の実施形態において、MUTは、容量性微小機械加工超音波トランスデューサ(cMUT)である。
【0009】
[010]一部の実施形態において、第2のSOI層は、高さにおいて40~80マイクロメートルである。
[011]一部の実施形態において、絶縁層は、埋め込み酸化物(BOX)層である。
【0010】
[012]一部の実施形態において、BOX層は、高さにおいて1~5マイクロメートルである。
[013]一部の実施形態において、第1のSOI層および少なくとも第2のSOI層の半導電層は、ハンドル層であり、キャビティは、ハンドル層およびBOX層のうちの少なくとも1つをエッチングすることにより創出される。
【0011】
[014]一部の実施形態において、デバイスは、シリコン貫通ビアを含む。
[015]一部の実施形態において、半導電層は、シリコンメンブレン層である。
[016]一部の実施形態において、多重SOI基板は、二重SOI基板である。
【0012】
[017]一部の実施形態において、キャビティは、堆積させられた酸化物層を含む。
[018]一部の実施形態において、トレンチは、デバイスの1つまたは複数の層にまたがる深さまでエッチングされる。
【0013】
[019]一部の実施形態において、デバイスは、第1のSOI層の下方のハンドル層をさらに含む。
[020]一部の実施形態において、ハンドル層は、半導体層である。
【0014】
[021]一部の実施形態において、第2のSOI層の半導電層は、金属コーティングを含む。
[022]一部の実施形態において、キャビティは、ガスによって充填される。
【0015】
[023]一部の実施形態において、キャビティは、真空を内包する。
[024]一部の実施形態において、絶縁層は、非酸化物絶縁体を含む。
[025]一態様において、多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)アレイが開示される。アレイは、多重SOI基板を含む。アレイは、さらには、メンブレンを各々が有する複数のMUTを含む。複数のMUTは、多重SOI基板の表面に付着させられた。多重SOI基板は、第1のSOI層の上方に配される第2のSOI層を含み、第1のSOI層および第2のSOI層は、絶縁層と半導電層とを各々が含む。第1のSOI層は、複数のキャビティをさらに含み、各キャビティは、複数のMUTのうちのMUTのメンブレンの下に場所を定められる。第1のSOI層は、さらには、少なくとも部分的に複数のMUTの複数のキャビティのうちのキャビティの周辺部の周りの、1つまたは複数のトレンチを含む。
【0016】
[026]一態様における、二重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)アレイを製造する方法。方法は、第1のSOI層において少なくとも1つのトレンチを、少なくとも1つのトレンチの幅を内包するように第1のSOI層の酸化物層をエッチングすることにより規定するステップを含む。方法は、さらには、第1のSOI層の酸化物層にフォトレジスト層を付与するステップを含む。方法は、さらには、第1のSOI層においてキャビティを、キャビティの幅を内包するようにフォトレジスト層および酸化物層をパターンエッチングすることにより規定するステップを含む。方法は、さらには、キャビティおよび少なくとも1つのトレンチをエッチングするステップを含む。方法は、さらには、キャビティおよび少なくとも1つのトレンチに酸化物層を付与するステップを含む。
参照による組み込み
[027]本明細書において述べられるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み込まれるように具体的および個々に指示されるかのように、それと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
[028]本主題の特徴および利点のより良好な理解は、例解的な実施形態を論述する、後に続く詳細な説明、および、付随する図面への参照により得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】[029]実施形態による、音響媒体に付けられる一般化されたMUTアレイの断面を示す概略線図である。
図1B】[030]実施形態による、MUTアレイの上面視図を示す図である。
図1C】[031]実施形態による、イメージングデバイスのブロック線図である。
図1D】[032]実施形態による、MUTの上面視図を示す図である。
図1E】[033]実施形態による、図1Dにおける方向4-4に沿ってとられた、MUTの断面視図を示す図である。
図2】[034]実施形態による、近似的に22mmにまたがる、方位方向における128の素子を伴うMUTアレイの動きの振幅を示すグラフであり、中央の2つのMUTが駆動され、他の126のMUTが応答について監視されており、グレーレベルは、正(白の方)または負(黒の方)のダイヤフラムたわみを指示し、2つの始動させられた素子は、クロストークリップルが視覚化され得るようにプロットから除かれており、破線230は、1,480m/s速さを伴う波により規定されるイメージングコーンを近似的に表す。
図3】[035]実施形態による、空間的および周波数領域におけるデータを表す、図2からのデータの空間および時間におけるフーリエ変換を示すグラフ(さらにはf-kプロットと呼称される)であり、振幅が、より高い振幅を有する白データ、黒青データによって、フーリエデータの最大振幅に相対的なdBにおいてプロットされ、2MHzから4MHzの間、および、0.5μsecから1.5μsecの間において円で囲まれたデータが、所望されないクロストークである。
図4】[036]実施形態による、図2および図3のMUTアレイと同様のMUTアレイによってとられた超音波画像の図であり、「スポットライト」効果が、2つの矢印により強調され、一方で、「ゴースティング」アーチファクトが、円で囲まれる。
図5】[037]実施形態による、二重SOI MEMSデバイスを例解する図である。
図6】[038]実施形態による、二重SOI MEMSデバイスを例解する図である。
図7】[039]二重SOI基板の「ハンドル」ウェハにおいてキャビティおよびトレンチをエッチングするためのプロセスを例解する図である。
図8】[040]二重SOI基板の「ハンドル」ウェハにおいてキャビティおよびトレンチをエッチングするためのプロセスを例解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[041]本明細書において説明されるのは、とりわけ、圧電MUT(pMUT)および容量性MUT(cMUT)を含む、微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)の、微小電気機械システム(MEMS)製造のための基板としての使用のための多重SOI構造である。本明細書において開示される具体的な実施形態において、多重SOI構造は、二重SOI構造である。
【0020】
[042]開示される多重SOI構造は、MUTアレイ設計者に多くの利益を与えることがある。追加的なSOI層を追加することから結果的に生じる、デバイスの深さによって、埋め込まれたキャビティおよびトレンチが、単一SOI構造においてよりも長いようにエッチングされることが可能になる。開示されるシステムによって、設計者が、MEMsデバイスおよびアレイにおいて、どこにトレンチを配置すべきか、ならびに、どれほど大きくキャビティおよびトレンチを作製すべきかを決めるときに、柔軟性を有することが可能になり得る。この柔軟性によって、MEMS MUTアレイが、対象内への深い入り込みのために、生成される音響信号の出力パワーを増大すること、および、アレイのシリコン基板を通って進行する界面波からのクロストークの影響を減じることの、高められた能力が可能になり得る。
【0021】
[043]出力パワーを増大することは、多重SOI基板における、埋め込まれたキャビティ、または導波路のエッチングによって実行され得る。キャビティは、それらが多重SOI基板の複数個の層にまたがるようにエッチングされることがある。多重SOI MEMSデバイス製造のための、本明細書において開示される方法によって、エッチングおよびマスキングの複数個の反復による、キャビティの厚さおよび深さの精密な制御が可能になることがある。キャビティのエッジを初期のままに保つために、酸化物の層が、キャビティに付与されることがある。酸化物は、酸化物を熱成長させること、または、(例えば、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)により)その酸化物を堆積させることにより付与されることがある。
【0022】
[044]クロストークの影響を減じるために、設計者は、多重SOI基板の中の様々な場所において、埋め込まれたトレンチを配置することがある。トレンチは、MEMSデバイスの基板と、クロストークトレンチの中にある材料が何であれ、その材料との間に、インピーダンス不整合を持ち込むことがある。このインピーダンス不整合が、減衰、反射、および散乱によってクロストーク波を途絶し得る。設計者は、様々な深さまで、および、キャビティの付近の様々な場所において、トレンチをエッチングすることがある。多くの事例において、エッチングされるトレンチのパターンは、MEMSデバイス(例えば、MUT)アレイの全域で均一であることを必要としない。
【0023】
[045]開示されるシステムによって、電子デバイスが、シリコン貫通ビア(TSV)を使用して互いと通信することが可能になることがある。TSVは、単一のパッケージにおいて垂直に積重される複数個のシリコンダイを接続するための垂直導電構造であることがある。複数個SOIシステムを使用して、設計者は、多くのデバイスを接続する能力をもつ垂直電気接続を生み出すことができることがある。TSVを使用することは、相互接続およびデバイス密度を増大して、デバイス同士の間の接続を短くし、そうして、電気損失を低減することがある。TSVは、デバイスの上部層から下部層まで、多重SOI基板においてコード化されることがある。例えば、多重SOI基板において凹部を、凹部の幅を規定するためのマスクを使用して形成することがある。次いで、(例えば、異方性プロセスにより)凹部を、その凹部が基板において規定されるところにエッチングすることがある。次いで、金属、金属合金などの導電材料、または、TiNなどの導電性セラミック化合物、または、ドープされた半導体もしくは半導体合金によって、凹部を充填することがある。
【0024】
[046]本明細書において開示される多重SOIプロセスによって、設計柔軟性を高める、MUTデバイスにおいてトレンチおよびキャビティをエッチングすることのプロセス中の、より良好な限界寸法制御が可能になることがある。加えて、多重SOIプロセスは、アライメント誤差からの影響を減じる、より精密なアライメント許容差をもたらすことがある。例えば、多重SOIプロセスは、10マイクロメートル(μm)の程度から3μmの程度に、アライメント誤差について補償するために必要な許容差を低減することがある。多重SOI構造におけるキャビティおよびトレンチは、SOI構造が通常エッチングされる際、下部からではなく、SOI層の上部からエッチングされることがある。このことは、エッチングプロセスからの、テーパなどのアーチファクトの形成を防止することがある。
所定の定義
[047]別段に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語は、本発明が属する技術分野における当業者により、通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書および添付される特許請求の範囲において使用される際、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で別段に明確に指し示さない限り、複数の参照物を含む。本明細書における「または」へのいかなる言及も、別段に説述されない限り、「および/または」を包含することを意図される。
MEMSデバイス
[048]図5は、実施形態による、二重SOI MEMSデバイス500を例解する。この実施形態において、デバイスは、pMUTデバイスである。他の実施形態において、多重SOI MEMSデバイスは、3、4、5、6、または10以上のSOI層を有することがある。実施形態において使用される半導体はシリコンであるが、他の実施形態において、半導体材料は、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭素ドープシリコン、炭素ドープシリコンゲルマニウム、または、別の材料であることがある。一般的には、pMUTアレイは、周期的方式において繰り返される、ただし、空間的に変動するトレンチ配置を伴う、同様の構造を実現することになる。
【0025】
[049]表面層510は、2つの導電層の間に挟まれた圧電層を含み、二重SOI基板に付着させられる。導電層は、SRO(SrRuO)、チタン、および白金を含む複数個の層から作製されることがある電極を含むことがある。電圧が導電層に付与されるとき、圧電層は、圧迫された様態になり得る。この圧迫が、音響出力波を創出するように、圧電層および導電層の下方のメンブレンを駆動することがある。圧電層は、PZT、KNN、PZT-N、PMN-Pt、AlN、Sc-AlN、ZnO、PVDF、およびLiNiO3などの圧電材料から作製されることがある。圧電層の厚さは、100nmから5μm、ことによると5μm以上の間で変動することがある。他の実施形態において、表面層510は、さらには、複数の圧電サブ層および電極を含む、多重層圧電素子(マルチモルフ)を含むことがある。
【0026】
[050]絶縁層520は、多重SOI基板の上の方に堆積させられる酸化物層であることがある。酸化物層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素であることがある。絶縁層520は、0.1μmから0.3μmの厚さであることがある。絶縁体は、熱成長または堆積させられることがある。
【0027】
[051]第2のSOI層530は、絶縁層の上方に配されるシリコンメンブレン層を含むことがある。絶縁層は、埋め込み酸化物層(BOX)と呼称されることがある酸化物層であることがある。しかしながら、絶縁層は、さらには、サファイアなどの非酸化物絶縁体から成立させられることがある。絶縁層は、導電層を互いから物理的に分離して、それらの導電層が電荷を蓄積することを防止することにより、MEMSデバイスにおける寄生容量を低減するのに役立つことがある。
【0028】
[052]シリコンメンブレン層は、pMUTトランスデューサによる音響波の送り出しおよび受け取りを容易にすることがある。トランスデューサは、圧電層が圧迫され、そのことがシリコンメンブレン層を駆動するときに、音響波を送り出すことがある。反射された波がトランスデューサに入射するとき、その波は、メンブレン層に圧力を提供することがあり、そのことが、圧電層における電荷における変化を誘導し得る。
【0029】
[053]シリコンメンブレン層は、シリコン直接または融着接合を使用して、絶縁層に接合されることがある。別の例において、シリコン層および酸化物層は、後に続く方法を使用して接合されることがある。シリコンウェハが、酸化され、次いで、エッチ停止層を植え込まれることがある。次いで、酸化された層は、シリコンウェハに、そのシリコンウェハの下の方で接合されることがある。次いで、接合された層は、アニールされることがある。シリコンウェハは、研磨され、エッチ停止層に至るまでエッチングされることがある。最終的には、エッチ停止層は除去され、上部シリコン層が、さらに研磨されることがある。
【0030】
[054]第1のSOI層540は、絶縁層の上方に配されるシリコン層を含むことがあり、その絶縁層自体は、シリコン基板の上方に配される。第1のSOI層は、第2のSOI層の下側に配されることがある。第1のSOI層は、第2のSOI層におけるシリコン層および絶縁層と同様のシリコン層および絶縁層に加えて、キャビティおよび1つまたは複数のトレンチを含むことがある。
【0031】
[055]キャビティ550は、pMUTデバイスの性能を改善するための特異性を伴ってサイズを定められることがある。例えば、キャビティは、半導電層および絶縁層にまたがる深さまで、ならびに、ある深さまでシリコン基板内へと食い込んで、エッチングされることがある。設計者は、さらには、キャビティの幅を修正することがある。キャビティ550の深さおよび幅を修正することは、音響媒体内へのより良好な入り込みを可能なものにするように、トランスデューサにより生み出される出力波を形状設定するのに役立つことがある。多重SOIデバイスの層の数を増大することによって、キャビティ550がエッチングされることがある深さが増大し得る。一部の実施形態において、キャビティ550は、真空におけるものであることがあるが、他の実施形態において、キャビティは、あらかじめ決定された圧力においてガスによって充填されることがある。pMUTアレイは、それぞれ、一部の場所においてメンブレンの振動性運動の自由を可能にし、他の場所においてメンブレンの振動性動きを弱めるための、真空よって充填される一部のキャビティと、ガスによって充填される他のものとを有することがある。
【0032】
[056]トレンチ560は、さらには、設計者の裁量においてサイズを定められ、設計者の裁量においてデバイスの中に配置されることがある。1つまたは複数のトレンチが、キャビティ550の周辺部の周りに場所を定められて、二重SOIデバイス500において存することがある。トレンチは、半導電材料の層の中の様々な場所において配置されることがある。トレンチは、さらには、pMUTデバイスの1つまたは複数のSOI層にまたがる深さまでエッチングされることがある。トランスデューサアレイにおけるトレンチの分布は、均一であることを必要としない。一部の個々のpMUT素子は、それらの素子と並んで配される複数個のトレンチを有することがあるが、他のものは、1つのトレンチを有するのみであることがある。加えて、pMUTアレイの中のトレンチは、二重SOIトランスデューサシステムの必要性に依存して、様々な長さ、および、表面層510からの距離のものであることがある。
【0033】
[057]基板570は、半導体層、例えば、シリコン層であることがある。基板570は、さらには、ハンドル層と呼称されることがあり、SOI層のいずれよりも有意に大きいことがある。
【0034】
[058]図6は、実施形態による、二重SOI MEMSデバイス600を例解する。この実施形態において、デバイスは、cMUTデバイスである。一般的には、cMUTアレイは、周期的方式において繰り返される、ただし、空間的に変動するトレンチ配置を伴う、同様の構造を実現することになる。
【0035】
[059]一般的には、cMUTデバイスは、半導電基板において形成されるキャビティの上方の可撓性メンブレン層を含む。メンブレン層および基板は、電極として役立ち、直流(DC)バイアスが、それらのメンブレン層および基板に付与される。メンブレン層は、金属コーティングを含むことがある。交流(AC)がメンブレンおよび基板層をまたいで付与されるとき、変化する電圧により引き起こされる静電力(帯電物体同士の間の引力および斥力)は、可撓性メンブレンが振動することを引き起こし、そのことが、音響波を生み出す。
【0036】
[060]二重SOI MEMS cMUTデバイスは、二重SOI MEMS pMUTデバイスと同様の様式において構造化されることがある。デバイスは、上部から下部へと、(1つまたは複数の電極を含むことがある)表面層610と、絶縁層620と、第2のSOI層630と、第1のSOI層640と、半導電基板670とを含むことがある。第1のSOI層は、メンブレン層を含むことがあり、一方で、第2のSOI層は、音響波生成および形状設定ならびにクロストーク消失のために、1つまたは複数のキャビティ650と、1つまたは複数のトレンチ660とを含むことがある。
MUT
[061]本開示は、例えば、圧電微小機械加工超音波トランスデューサ(pMUT)技術、または、容量性微小機械超音波のトランスデューサ(cMUT:capacitive micromachine ultrasonic transducer)技術のいずれかを含む、微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)技術を利用するイメージングデバイスの環境において利用されることがある。
【0037】
[062]適正に動作するために、MUTは、それらのMUTが付けられる音響媒体内へとエネルギーを送り出すように設計され得る。図1AにおけるMUTアレイの一般化された例を取り上げる。この事例において、MUTは、キャビティ120a、120b、および120cにより基板100の上部内または上に形成される可動ダイヤフラム101a、101b、101cにより表される。ダイヤフラム101a、101b、101cは、界面110において半無限音響媒体200に音響的に結合される。音響媒体200は、任意の物質または複数の物質であり得るものであり、卑近な媒体は、身体に対する整合層として使用される、空気、水、組織、電解ゲル、金属、シリコーンゴム、その他を含む。
【0038】
[063]動作中、ダイヤフラム101a~101cは、主としてz方向における動きへと励振される。励振は、一般的には、(圧電MUT(pMUT)については)圧電効果または(容量性MUT(cMUT)については)容量性効果により創出される。両方の事例において、ダイヤフラムの動きは、音響媒体200内へと伝わる圧力波を創出する。しかしながら、ダイヤフラム動きは、さらには、音響媒体200の外側の望まれない波を創出する。最も卑近な望まれない波は、基板100の中を、および、基板100を通って進行する弾性圧縮波、ならびに、基板100と音響媒体200との間の界面110、および、基板100に所属させられる他の界面に沿って進行する界面波である。
【0039】
[064]音響媒体200の外側に放射されるすべてのエネルギーは、一般的には望まれない。そのエネルギーは、無駄にされたパワーであるのみではなく、そのエネルギーは、MUTの機能実行を妨害し得る。例えば、医用イメージングにおいて、弾性圧縮波は、他の表面に反響し、音響媒体200からの反射されたエネルギーから形成される、医学的に重要性をもつ画像を覆う、静止画像などのアーチファクトを引き起こすことになる。別の例として、界面110に沿って進行する界面波は、スポットライティング効果および望まれないゴースト画像を創出する、医用イメージングにおけるクロストークを創出することになる。
【0040】
[065]MUTアレイ210の一般化された例が、図1Bにおいて示される。MUTアレイ210は、基板100と、複数のMUT101とを含む。複数のMUT101は、基板の表面に付着させられる。各MUTは、図1Aにおいて示されるような可動ダイヤフラムを含む。一部の実施形態において、MUT101の各々は、pMUTである。一部の実施形態において、MUT101の各々は、cMUTである。MUT101は、直交方向において配置構成される2次元アレイ210をなして配置構成されることがある。すなわち、MUT101は、MUT101の、N個の列およびM個の行を伴う2次元MxNアレイ210へと形成される。列の数(N)および行の数(M)は、同じまたは異なることがある。一部の実例において、アレイ210は、例えば、イメージングされている物体の、より広い角度をもたらすように、湾曲させられることがある。一部の実例において、アレイは、図1Bにおいて表示される標準的な正方形パッキングではなく、六角形パッキングなどの異なるパッキングを呈することがある。一部の実例において、アレイは、例えば、米国特許第10,656,007号において説明されるように、非対称的であることがあり、その米国特許の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
[066]本開示は、中でも、MUTアレイにおける圧縮波および界面波、ならびに、それらの波が創出するクロストークの問題点に対処するための新規の解決法を提供する。図2は、水音響媒体200に結合されるシリコン基板100から形成される、MUTアレイにおけるこのクロストークの例を提供する。斜めのリップル220は、進行する圧力波を表す。2つの破線230は、水音響媒体の音の速度(近似的に1,480m/s)を表す。これらの線230の下方のリップルおよび高振幅データ240は、典型的には、良好な音響データを表す。2つの破線230の上方のデータ250は、クロストークの様々な形式を表す。
【0042】
[067]図2におけるデータの空間的および時間的フーリエ変換を講じることが、図3におけるf-kプロットを生む。図3において、我々は、破線300によって円で囲まれたクロストーク音響エネルギーが、およそ2,000から6,000m/sで分布させられるということを確認することができる。シリコンにおける音の縦速度は、近似的に8,800m/sであり、一方で、レイリー波およびせん断波についての界面波速度は、5,000m/sから5,500m/sの間である。このことは、クロストークエネルギーが、界面波およびバルク波の組み合わせに起因することがあるということを示唆する。
【0043】
[068]ファントムをイメージングするために、図2および図3において描写される出力を生み出すために使用されるMUTアレイに類するMUTアレイを使用することが、図4の結果に類する結果を生み出す。2つのアーチファクトが明確に可視であり、(1)画像の中央部分が縁部よりも明るい「スポットライト」効果420、および、(2)高反射標的の「ゴースト」画像430が、画像の縁部において明らかである。
【0044】
[069]図1Cは、本明細書において説明される原理による、コントローラ109により制御される選択的に変更可能なチャネル106、108を伴う、および、イメージング計算がコンピューティングデバイス110上で実行される、イメージングデバイス105のブロック線図である。イメージングデバイス105は、人間または動物の体の、内部組織、骨、血流、または臓器の画像を生成するために使用されることがある。よって、イメージングデバイス105は、体内へと信号を送り出すことがあり、イメージングされている体部分からの反射された信号を受け取る。そのようなイメージングデバイスは、光音響または超音波の効果に基づくことがある、トランシーバまたはイメージャと呼称されることがある、pMUTまたはcMUTのいずれかを含むことがある。イメージングデバイス105は、他の物体もまたイメージングするために使用され得る。例えば、イメージングデバイス105は、医用イメージング;パイプ、スピーカ、およびマイクロホンアレイにおける流れ測定;砕石術;治療のための局所化された組織加熱;ならびに、高密度焦点式超音波(HIFU:highly intensive focused ultrasound)外科手術において使用され得る。
【0045】
[070]人間の患者とともに使用することに加えて、イメージングデバイス105は、動物の内臓の画像を得るためにもまた使用されることがある。その上、内臓をイメージングすることに加えて、イメージングデバイス105は、さらには、ドプラモードイメージングにおいてのように、動脈および静脈における血流の方向および速さを決定するために使用されることがあり、さらには、組織硬度を測定するために使用されることがある。
【0046】
[071]イメージングデバイス105は、異なるタイプのイメージングを実行するために使用されることがある。例えば、イメージングデバイス105は、さらにはAスキャンとして知られる1次元イメージング、さらにはBスキャンとして知られる2次元イメージング、さらにはCスキャンとして知られる3次元イメージング、およびドプライメージングを実行するために使用されることがある。イメージングデバイス105は、プログラム制御のもとで、異なるイメージングモードに切り替えられ、電子的に構成されることがある。
【0047】
[072]そのようなイメージングを容易にするために、イメージングデバイス105は、pMUTまたはcMUTトランスデューサ210のアレイを含み、各トランスデューサ210は、トランスデューサ素子(すなわち、MUT)101のアレイを含む。MUT101は、1)体または他の塊を通過させられる圧力波を生成し、2)イメージングされることになる、体または他の塊の中の物体に反射される波を受け取るように動作する。一部の例において、イメージングデバイス105は、超音波の波形を同時的に送り出し受け取るように構成されることがある。例えば、所定のMUT101が、イメージングされている標的物体の方に圧力波を送ることがあり、一方で、他のMUT101が、標的物体から反射された圧力波を受け取り、受け取られた波に応答して電荷を生じさせる。
【0048】
[073]図1Dは、例示的なMUT400(この例においては、pMUT)の上面視図を示す。図1Eは、本開示の実施形態による、線4-4に沿ってとられた、図1DにおけるMUT400の断面視図を示す。MUT400は、本明細書において説明されるMUT101と実質的に同様であることがある。描写されるように、MUTは、基板402から懸架され、キャビティ404の上の方に配されるメンブレン層406と、メンブレン層(または、短くメンブレン)406上に配される下部電極(O)408と、下部電極(O)408上に配される圧電層410と、圧電層410上に配される上部電極(X)412とを含むことがある。
【0049】
[074]MUTは、cMUTであれpMUTであれ、様々な半導体ウェハ製造工程を活用して、基板上に効率的に形成され得る。半導体ウェハは、15.24cm(6インチ)、20.32cm(8インチ)、および30.48cm(12インチ)のサイズがあることがあり、数百ものトランスデューサアレイを収容する能力をもつ。これらの半導体ウェハは、シリコン基板として始まり、そのシリコン基板に関して、様々な処理ステップが実行される。そのような工程の例は、さらには絶縁酸化物として知られるSiO層の形成である。相互接続および接合パッドとして役立つための金属層の追加などの様々な他のステップが、他のエレクトロニクスへの接続を可能とするために実行される。機械工程のなおも別の例は、基板におけるキャビティ(例えば、図1Eにおけるキャビティ404)のエッチングである。
トレンチを伴うpMUTのための製造の方法
[075]トレンチを伴う二重SOI pMUTデバイスのための製造の例示的な方法が、今から説明される。
【0050】
[076](a)最初に、第1のSOI層を含む第1のSOI基板が用意されることがある。第1のSOI層は、第1のシリコン層と、埋め込み酸化物層と、第2のシリコン層とを含むことがあり、第1のシリコン層および第2のシリコン層は、典型的には、単結晶シリコンである。酸化物層(典型的には二酸化ケイ素)が、第1のシリコン層の上の方に堆積させられることがある。
【0051】
[077](b)キャビティおよび1つまたは複数のクロストークトレンチが、「ハンドル」ウェハを形成するために、第1のSOI層においてパターニングおよびエッチングされることがある。トレンチエッチは、4つのステップ、(1)酸化物層をエッチングするステップ、(2)DRIEによって第1のシリコン層をエッチングするステップ、(3)(典型的にはドライRIEエッチングによって、または一部の事例において、ウェットエッチングによって)BOXをエッチングするステップ、および、(4)所望される深さまでDRIEによって第2のシリコン層をエッチングするステップを含むことがある。エッチングの後に続いて、酸化物層が、所望される場合に、キャビティおよびトレンチの上方に堆積させられることがあり、トレンチを狭くするのに役立つことがある。第2のSOI「デバイス」ウェハが、次いで、二重SOI基板において、埋め込まれたトレンチおよびキャビティを形成するために、「ハンドル」に融着接合されることがある。「デバイス」ウェハは、二重SOI基板の第2のSOI層を形成することがあり、第1のSOI層の第1のシリコン層は、第2のSOI層の第2のシリコン層を形成する。
【0052】
[078]大部分のSOIウェハはシリコンであり、そのことは、「デバイス」ウェハおよび「ハンドル」ウェハのシリコン層は、典型的には、単結晶シリコンであることになるということを意味する。絶縁体BOXは、この事例において、典型的には、熱成長させられた二酸化ケイ素である。酸化物BOXを伴う単結晶シリコンハンドル層およびデバイス層を伴うシリコンSOIウェハが、典型的には使用されることがある。デバイス層は、5μmであることがあるが、典型的には、100nmから100μmの間で変動し、一方で、ハンドル層厚さは、典型的には、100μmから1000μmの間で変動する。BOXは、典型的には、100nmから5μmの間であるが、1μmが、多くの事例において使用されることがある。
【0053】
[079](c)所望される場合に、ウェハの裏面またはハンドルは、研削によって薄くされ、任意選択で、この時点において研磨され得る。多くの実施形態において、ハンドル層は、500μmから300μmの厚さに薄くされる。よくある厚さは、典型的には、50μmから1000μmの間で変動する。
【0054】
[080](d)キャビティそばのトレンチ105(図1Cの)が、パターニングおよびエッチングされることがある。基板100の裏面は、典型的には、DRIE(深堀り反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching))によってエッチングされることがある。
【0055】
[081](e)キャビティエッチは、タイミングを図られ得る。キャビティは、キャビティそばのトレンチ105と同時にエッチングされることがある。エッチは、BOX上で選択的に停止することがある。キャビティは、KOH、TMAH、HNA、およびRIEなどの他の技法によってエッチングされ得る。ウェハは、フォトレジスト剥離の後に完了と考えられ得る。
【0056】
[082](f)絶縁層が、次いで、二重SOI基板の上の方に堆積させられ得る。絶縁層は、典型的には、約0.1μmから3μmの厚さの、何らかの形式のSiOである。その絶縁層は、通常、熱酸化、PECVD堆積によって、または、別の技法により堆積させられる。
【0057】
[083](g)第1の金属層408(図1Eの)(さらにはM1または金属1と呼称される)が、次いで堆積させられ得る。典型的には、この第1の金属層408は、基板に接着し、圧電体の拡散を防止し、構造化された堆積/成長において圧電体に助力する膜の、および、導電性である、組み合わせである。SRO(SrRuO3)が、(SiO2に対するPtのための)接着層としてのTiの上部上の、拡散障壁および導電のためのPtの上部上の、構造化された膜成長のために使用されることがある。普通、これらの層は、200nm未満で薄く、一部の膜は、10から40nmである。圧迫、製造、およびコスト問題点が、普通、この積重体を1μm未満に制限することになる。導体(Pt)は、典型的には、構造化層(SRO)および接着層(Ti)よりも厚い。SROではない、他の卑近な構造化層は、数個の名前を挙げると、(La0.5Sr0.5)CoO3、(La0.5Sr0.5)MnO3、LaNiO3、RuO2、IrO2、BaPbO3を含む。Ptは、Cu、Cr、Ni、Ag、Al、Mo、W、およびNiCrなどの他の導電性材料によって置き換えられ得る。これらの他の材料は、普通、劣った拡散障壁、脆弱性、または、意に沿わない接着などの不利点を有し、Ptが、使用される最も卑近な導体である。接着層、Tiは、TiW、TiN、Cr、Ni、Cr、その他などの任意の卑近な接着層によって置き換えられ得る。
【0058】
[084](h)圧電材料410が、次いで堆積させられ得る。適する圧電材料の一部の卑近な例は、PZT、KNN、PZT-N、PMN-Pt、AlN、Sc-AlN、ZnO、PVDF、およびLiNiO3を含む。圧電層の厚さは、100nmから5μm、ことによると5μm以上の間で変動することがある。
【0059】
[085](i)第2の金属層412(さらにはM2または金属2と呼称される)が、次いで堆積させられ得る。この第2の金属層412は、第1の金属層408と同様であることがあり、同様の目的に役立つことがある。M2については、M1と同じ積重体が、ただし、構造のためのSROの上部上の、拡散を防止するためのPtの上部上の、接着のためのTiという逆順において、使用されることがある。
【0060】
[086](j)第2の金属層またはM2 412は、次いで、圧電層上で停止するように、パターニングおよびエッチングされることがある。エッチは、例えば、RIE(反応性イオンエッチング)、イオンミル、ウェット化学エッチング、等方性ガスエッチング、その他によって、本明細書における多くの手立てにおいてなされ得る。パターニングおよびエッチングの後に、M2をパターニングするために使用されたフォトレジスタが、ウェットおよび/またはドライエッチングによって剥離されることがある。本明細書において説明されるcMUTおよびpMUTを製造するための多くの実施形態において、エッチングの任意の数の手立てが使用されることがあり、フォトレジストは、典型的には、大部分のパターンおよびエッチステップの後に剥離される。
【0061】
[087](k)圧電層が、次いで、第1の金属層またはM1 408において停止するように、同様にパターニングおよびエッチングされることがある。典型的には、ウェット、RIE、および/またはイオンミルエッチが使用される。
【0062】
[088](l)第1の金属層またはM1 408が、次いで、誘電絶縁層上で停止するように、同様にパターニングおよびエッチングされることがある。
[089](m)所望される場合に、後に続くものの1つまたは両方が追加されることがある。
【0063】
(1)H2障壁。圧電層内へのH2拡散は、その圧電層の寿命を制限し得る。このことを防止するために、H2障壁が使用され得る。40nmのALD(原子層堆積)酸化アルミニウム(Al203)が、このことを成し遂げるために使用されることがある。他の適する材料は、SiC、ダイヤモンドライクカーボン、その他を含むことがある。
【0064】
(2)再配線層(RDL)。この層は、M1とM2との間の接続性、および、他の接続(例えば、ワイヤ接合、バンプ接合、その他)をもたらし得る。RDLは、最初に酸化物などの誘電体を追加し、誘電体においてビアをエッチングし、導体(典型的にはAl)を堆積させ、最終的に導体をパターニングすることにより形成され得る。加えて、物理的引っかき、偶発的短絡、および/または湿気進入を防止するために、パッシベーション層(典型的には酸化物+窒化物)を追加することがある。
【0065】
[090]他のプロセスが、同様の最終結果を達成するために使用されることがあるということは、本明細書における教示に基づいて、当業者により理解されることになる。
トレンチを伴うcMUTのための製造の方法
[091](a)最初に、典型的には、単結晶シリコンの第1の層と、埋め込み酸化物層と、単結晶シリコン基板とを伴う第1のSOI層が用意されることがある。
【0066】
[092](b)第1のSOI層は、次いで、熱酸化されることがある。
[093](c)キャビティが、「ハンドル」ウェハを生成するために、酸化物においてパターニングおよびエッチングされることがある。このことは、典型的には、酸化物のプラズマエッチ、またはウェットエッチ(例えば、HF)によって成し遂げられる。
【0067】
[094](d)所望される場合に、埋め込まれたクロストークトレンチが、「ハンドル」ウェハの酸化物においてパターニングおよびエッチングされることがある。このことは、典型的には、酸化物のプラズマエッチ、またはウェットエッチ(例えば、HF)によって成し遂げられる。
【0068】
[095](e)シリコン層と埋め込み酸化物層とを含み、シリコン層の上方に堆積させられた追加的な酸化物層を伴う、「デバイス」ウェハが、次いで、パターニングされた酸化物「ハンドル」ウェハに融着接合されることがある。所望される場合に、「デバイス」ウェハは、「ハンドル」ウェハおよび「デバイス」ウェハの融着接合が(例えば、図9Bにおいて示されるような)埋め込まれたトレンチ104を形成するように、融着接合よりも前に、「ハンドル」ウェハにおける埋め込まれたトレンチ104に対応するように(例えば、DRIEによって)パターニングおよびエッチングされることがある。
【0069】
[096](f)「デバイス」ウェハは、所望されるダイヤフラム厚さまで研削および研磨されることがある。
[097]他のプロセスが、同様の最終結果を達成するために使用されることがあるということは、本明細書における教示に基づいて、当業者により理解されることになる。
可変酸化物厚さプロセス
[098]図7は、二重SOI基板の「ハンドル」ウェハにおいてキャビティおよびトレンチをエッチングするためのプロセス700を例解する。初期には、第1の層は、1μmのBOX層を含む65μm SOIウェハである。他の実施形態において、SOIウェハは、40μmから80μmの間であることがあり、BOX層は、1μmから5μmの間であることがある。SOI層は、酸化されている。SOIウェハの下の方にあるのが、300~700μmの厚さの「ハンドル」ウェハであることがある半導体基板である。
【0070】
[099]エッチングよりも前に、フォトマスクが、キャビティを規定するために使用されることがある。フォトマスクは、キャビティの高さおよび幅、または、MEMSアレイのためのキャビティの高さおよび幅を規定することがある。
【0071】
[0100]第1の工程710において、キャビティがエッチングされることがある。最初に、酸化物が、ウェットまたはドライエッチング方法を使用してエッチングされることがある。次いで、SOIウェハのシリコン層が、DRIEエッチングを使用してエッチングされることがある。BOX層が、やはり、ウェットまたはドライ(例えば、RIE)エッチング方法を使用してエッチングされることがある。最終的には、シリコン基板がエッチングされることがある。この実施形態において、キャビティは、80μm+/-2μm(第1のSOI層を完全に通る65μm、および、ハンドル層内への15μm)の深さまでエッチングされる。
【0072】
[0101]第2の工程720において、キャビティをエッチングすることが完了する後に、キャビティは、次いで酸化されることがある。酸化は、キャビティ形状を元のままに保って、導波路として役立つためのキャビティの能力を維持し得る。酸化物がキャビティに付与されない場合に、キャビティは、直線的なエッジの代わりに、テーパ状のエッジを有することがある。
【0073】
[0102]第3の工程730において、第1のSOI層が、(第2のSOI層を作り上げる)5μm SOIウェハに接合されることがある。第2のSOI層は、加えて、シリコン層の上方に熱成長または堆積させられた酸化物を含み得る。
【0074】
[0103]上記のステップは、多くの実施形態によるプロセス700を示すが、当業者は、本明細書において説明される教示に基づいて、多くの変形を認識することになる。ステップは、異なる順序において完了されることがある。ステップは、追加または省略されることがある。ステップのうちの一部は、サブステップを含むことがある。ステップおよびサブステップの多くは、有益である限り何度でも繰り返されることがある。
【0075】
[0104]一部の実施形態において、キャビティは、デバイスの上部層の下方の半導体またはシリコン層内へとエッチングされないことがある。一部の実施形態において、キャビティは、上部層内へとエッチングされることがある。他の実施形態において、特に、3つ以上の層を伴う実施形態において、キャビティは、デバイスの上部層のすぐ下方の層よりも低い層内へとエッチングされることがある。
可変キャビティおよびトレンチ深さプロセス
[0105]図8は、二重SOI基板の「ハンドル」ウェハにおいてキャビティおよびトレンチをエッチングするためのプロセス800を例解する。
【0076】
[0106]第1の工程810において、オペレータは、トレンチサイズを規定する。このことは、ウェハ上のトレンチの場所を決定するためにフォトマスクを使用することにより実行されることがある。フォトマスクは、基板の全体を通してトレンチの個別のパターンまたは構成を規定するように構成されることがある。例えば、トランスデューサ素子が配置されることがあるウェハ上の場所は、マスクの中で規則的に間を空けられることがあるが、トレンチの異なる構成が、トランスデューサ素子について指定される空間と並んで配置されることがある。マスキングプロセスの後に続いて、オペレータは、トレンチを規定するために「ハンドル」ウェハの酸化物層をエッチングすることがある。酸化物層は、ドライ(例えば、RIE)エッチングまたはウェット(例えば、フッ化水素酸(HF))エッチングされることがある。
【0077】
[0107]第2の工程820において、フォトレジストが、スピンコーティング方法を使用して、ウェハの酸化物表面に付与されることがある。フォトレジスト層は、紫外光に対して高感度である高分子材料であることがある。他の実施形態において、溶射、ローラコーティング、ディップコーティング、および押出コーティングを含む、代替の方法が、ウェハの酸化物表面をコーティングするために使用されることがある。
【0078】
[0108]第3の工程830において、フォトレジスト層は、キャビティを規定するためにパターンエッチングされることがある。パターンエッチングは、所望されるパターンを得るために、マスクを通して紫外光にフォトレジスト層を露出することにより実行されることがある。赤外線アライナが、パターンを精密にエッチングするために、ウェハ上のマスクをアライメントすることがある。
【0079】
[0109]第4の工程840において、キャビティが、部分的にエッチングされることがあり、一方で、トレンチ開口部が、依然としてフォトレジスト層により保護される。そうして、(異なる深さまでエッチングされることがある)キャビティおよびトレンチのエッチングは、別個に制御されることがある。フォトレジスト層が付与されない場合に、キャビティをエッチングするために使用されるエッチング液が、トレンチもまた部分的にエッチングすることがある。
【0080】
[0110]第5の工程850において、フォトレジストは、(例えば、化学的に)剥離されることがある。フォトレジストが剥離される後に、酸化物層が、トレンチおよびキャビティのエッチングを完了するためのハードマスクとして役立つことがある。
【0081】
[0111]オペレータは、BOX層の下方のキャビティをエッチングし、トレンチをエッチングするために、マスクとして酸化物を使用することがある。オペレータは、次いで、キャビティ上へと酸化物を堆積させることがある。キャビティに酸化物を付与することによって、キャビティは、テーパ状のエッジではなく、直線的なエッジを有することが可能になり、そのことによって、音響波のより良好な形状設定が可能になる。
【0082】
[0112]追加的な層を伴うMEMSデバイスにおいて、オペレータは、より深いキャビティおよびトレンチをエッチングするために、マスクとして酸化物層を下方で使用し続けることがある。
【0083】
[0113]上記のステップは、多くの実施形態によるプロセス800を示すが、当業者は、本明細書において説明される教示に基づいて、多くの変形を認識することになる。ステップは、異なる順序において完了されることがある。ステップは、追加または省略されることがある。ステップのうちの一部は、サブステップを含むことがある。ステップおよびサブステップの多くは、有益である限り何度でも繰り返されることがある。
【0084】
[0114]本発明の好まれる実施形態が、本明細書において示され説明されたが、そのような実施形態は、単に例として提供されるということが、当業者には明白であることになる。数多くの変形、改変、および代用が、今や、本発明から逸脱することなく、当業者の頭に浮かぶことになる。本明細書において説明された本発明の実施形態に対する様々な代替法が、本発明を実践することにおいて用いられることがあるということが理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)デバイスであって、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板と、
メンブレンを有する微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)とを含み、
前記微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)は、前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板の表面に付着させられ、
前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板は、第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層と、少なくとも、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の上方に配される第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層とを含み、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層および前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、絶縁層と半導電層とを各々が含み、
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、
前記微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)の前記メンブレンの下に場所を定められるキャビティと、
少なくとも部分的に前記キャビティの周辺部の周りの、1つまたは複数のトレンチとをさらに含む、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項2】
前記微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)は、圧電微小機械加工超音波トランスデューサ(pMUT)である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項3】
前記微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)は、容量性微小機械加工超音波トランスデューサ(cMUT)である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項4】
前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、高さにおいて40~80マイクロメートルである、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項5】
前記絶縁層は、埋め込み酸化物(BOX)層である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項6】
前記BOX層は、高さにおいて1~5マイクロメートルである、請求項5に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項7】
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層および少なくとも前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の前記半導電層は、ハンドル層であり、前記キャビティは、前記ハンドル層および前記BOX層のうちの少なくとも1つをエッチングすることにより創出される、請求項5に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項8】
前記半導電層は、シリコンメンブレン層である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項9】
前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板は、二重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板である、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項10】
前記キャビティは、堆積させられた酸化物層を含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項11】
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の下方のハンドル層をさらに含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項12】
前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の前記半導電層は、金属コーティングを含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項13】
前記絶縁層は、非酸化物絶縁体を含む、請求項1に記載の多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)デバイス。
【請求項14】
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)アレイであって、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板と、
メンブレンを各々が有する複数の微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)とを含み、
前記複数の微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)は、前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板の表面に付着させられ、
前記多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板は、第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の上方に配される第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層を含み、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層および前記第2のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、絶縁層と半導電層とを各々が含み、前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層は、
各キャビティが、前記複数の微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)のうちの微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)のメンブレンの下に場所を定められる、複数のキャビティと、
少なくとも部分的に前記複数の微小機械加工超音波のトランスデューサ(MUT)の前記複数のキャビティのうちのキャビティの周辺部の周りの、1つまたは複数のトレンチとをさらに含む、
多重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)アレイ。
【請求項15】
二重シリコン・オン・インシュレータ(SOI)微小機械加工超音波トランスデューサ(MUT)アレイを製造する方法であって、
第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層において少なくとも1つのトレンチを、前記少なくとも1つのトレンチの幅を内包するように前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の酸化物層をエッチングすることにより規定するステップと、
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層の前記酸化物層にフォトレジスト層を付与するステップと、
前記第1のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層においてキャビティを、前記キャビティの幅を内包するように前記フォトレジスト層および前記酸化物層をパターンエッチングすることにより規定するステップと、
前記キャビティおよび前記少なくとも1つのトレンチをエッチングするステップと、
前記キャビティおよび前記少なくとも1つのトレンチに酸化物層を付与するステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】