(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電気自動車用電池の溶接
(51)【国際特許分類】
B23K 15/00 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
B23K15/00 501D
B23K15/00 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500086
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 GB2022051283
(87)【国際公開番号】W WO2023281236
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518436249
【氏名又は名称】アクアジウム・テクノロジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AQUASIUM TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オファーレル,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】プラム,ポール
(72)【発明者】
【氏名】デュモン,コンラッド
【テーマコード(参考)】
4E066
【Fターム(参考)】
4E066AB04
4E066BA01
4E066BA04
4E066BB05
4E066BD07
4E066BE02
4E066BE05
4E066BE06
4E066BE09
4E066CA03
4E066CA11
4E066CA15
(57)【要約】
電池アレイ(33)をバスバー(32)に溶接するように構成された溶接チャンバ(54)に関連付けられた電子ビームガン(50)と、電子ビームガン(50)によって生成された電子ビーム(52)のビーム特性および位置を変更するようにコントローラ(60)に応答して動作するビーム調整装置(56、58)とを備える電子ビーム溶接装置が提供され、少なくとも2つのサブチャンバ(70、72)は溶接チャンバ(54)の対向する両側に配置され、すべてのチャンバは真空下になるように排気可能であり、ビーム検出器(61)は、ビーム特性および位置に関するデータを生成するために溶接チャンバ(54)の近位に配置され、コントローラ(60)は、ビーム検出器(61)からのデータに応答してビーム調整装置(56、58)を同期して制御し、電子ビームの入射角にかかわらずバスバー(32)と電池アレイ(33)との間に形成される溶接部の一貫した溶接溶け込み深さを生成するように構成される。関連する溶接方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池アレイをバスバーに溶接するように構成された溶接チャンバに関連付けられた電子ビームガンと、前記電子ビームガンによって生成された電子ビームのビーム特性および位置を変更するようにコントローラに応答して動作するビーム調整装置とを備える電子ビーム溶接装置であって、少なくとも2つのサブチャンバは前記溶接チャンバの対向する両側に配置され、すべてのチャンバは真空下になるように排気可能であり、ビーム検出器は、ビーム特性および位置に関するデータを生成するために前記溶接チャンバの近位に配置され、前記コントローラは、前記ビーム検出器からのデータに応答して前記ビーム調整装置を同期して制御し、電子ビームの入射角にかかわらずバスバーと電池アレイとの間に形成される溶接部の一貫した溶接溶け込み深さを生成するように構成される、電子ビーム溶接装置。
【請求項2】
前記溶接チャンバは、各チャンバの独立した排気を可能にするために、封止可能なドアによって各サブチャンバから分離可能である、請求項1に記載の電子ビーム溶接装置。
【請求項3】
前記封止可能なドアは、前記溶接チャンバとサブチャンバとの間の開口部から前記サブチャンバの側壁まで枢動可能な折り畳み可能なドアである、請求項2に記載の電子ビーム溶接装置。
【請求項4】
電池アレイをバスバーに溶接するように構成された溶接チャンバに関連付けられた電子ビームガンと、前記電子ビームガンによって生成された電子ビームのビーム特性および位置を変更するようにコントローラに応答して動作するビーム調整装置とを備える電子ビーム溶接装置であって、少なくとも2つのサブチャンバは前記溶接チャンバの両側に配置され、すべてのチャンバは真空下になるように排気可能であり、前記溶接チャンバは、前記溶接チャンバおよびサブチャンバの各々の独立した排気を可能にするために封止可能なドアによって各サブチャンバから分離可能であり、前記封止可能なドアの少なくとも1つは、前記溶接チャンバとサブチャンバとの間の開口部から前記サブチャンバの側壁まで枢動可能に移動可能な折り畳み可能なドアである、電子ビーム溶接装置。
【請求項5】
前記チャンバ間で電池アレイおよびバスバーを搬送するための前記チャンバに関連付けられた搬送手段をさらに備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の電子ビーム溶接装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、3つの実質的に隣接する部分を備えるコンベア手段を備え、1つの部分は各チャンバ内に配置される、請求項5に記載の電子ビーム溶接装置。
【請求項7】
前記搬送手段は押圧要素を備える、請求項5または請求項6に記載の電子ビーム溶接装置。
【請求項8】
複数のサブチャンバの直線的な連続をさらに備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の電子ビーム溶接装置。
【請求項9】
車両電池を電子ビーム溶接する方法であって、
(i)電池アレイおよびバスバーを電子ビームガンの溶接チャンバ内に配置することと、
(ii)前記電池アレイおよびバスバーの近位にビーム検出器を配置することと、
(iii)複数の位置で前記電池アレイを前記バスバーに溶接するために電子ビームを発生させることと、
(iii)電子ビームの入射角にかかわらず前記バスバーと前記電池アレイとの間に形成される溶接部の一貫した溶接溶け込み深さを形成するように、データに応答して同期してビーム調整装置を制御するためにビーム検出器からコントローラにデータを送信することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記バスバーと前記電池アレイとの間に複数の線形溶接部を形成することをさらに含む、請求項9に記載の車両電池を電子ビーム溶接する方法。
【請求項11】
前記電池アレイおよび前記バスバーを予備チャンバ内に配置することと、前記アレイを真空下で前記溶接チャンバ内に移動させる前に前記予備チャンバおよび前記溶接チャンバを排気することとをさらに含む、請求項9または10に記載の車両電池を電子ビーム溶接する方法。
【請求項12】
実質的に隣接する3つの部分を備え、1つの部分は各チャンバ内に配置される、コンベア手段を使用して前記チャンバ間で前記電池アレイおよび前記バスバーを搬送することをさらに含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の車両電池を電子ビーム溶接する方法。
【請求項13】
前記電池アレイは円筒形セルのアレイである、請求項9~12のいずれか1項に記載の車両電池を電子ビーム溶接する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電気自動車電池の溶接、特に円筒形セルを含む電池の電子ビーム溶接に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
電気自動車の生産は世界中で拡大しているが、これらの自動車の生産におけるボトルネックは、電池の生産速度である。電池は、電気効率を最大にするために低電気抵抗の良好な電気接続を必要とするため、コネクタの溶接が必要である。溶接は、多くの場合、異種金属を接合することを必要とし、損傷を防ぐために電池への熱入力を常に最小限とする必要とするが、これは、電池材料の一部が非常に可燃性であるためである。
【0003】
そのような車両電池へのコネクタの溶接は、通常、レーザを使用して行われる。レーザは、単一点源から偏向されて、電池セルのアレイをコネクタに溶接する。ビーム方向を変更するためにプリズムの機械的操作が使用されるが、これは溶接速度を制限する。長い焦点範囲および大きな偏向角は、溶接の精度を低下させ、また、レーザビームに非点収差を導入し、電池全体の溶接品質にばらつきを生じさせる。
【0004】
電池に関連する多くの電気部品が、溶接中に酸化するアルミニウムまたはアルミニウム合金で作られていることを考えると、レーザ溶接は、アルゴンなどの高価なシールドガス下で実行する必要がある。レーザ溶接はまた、反射率の問題のために特定の金属を溶接することができず、これにより、電池製造に使用できる金属が制限される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の一態様によれば、電池アレイをバスバーに溶接するように構成された溶接チャンバに関連付けられた電子ビームガンと、電子ビームガンによって生成された電子ビームのビーム特性および位置を変更するようにコントローラに応答して動作するビーム調整装置とを備える電子ビーム溶接装置が提供され、少なくとも2つのサブチャンバは溶接チャンバの対向する両側に配置され、すべてのチャンバは真空下になるように排気可能であり、ビーム検出器は、ビーム特性および位置に関するデータを生成するために溶接チャンバの近位に配置され、コントローラは、ビーム検出器からのデータに応答してビーム調整装置を同期して制御し、電子ビームの入射角にかかわらずバスバーと電池アレイとの間に形成される溶接部の一貫した溶接溶け込み深さを作成するように構成される。したがって、溶接深さを制御することができ、燃焼をもたらし得るセルへの過剰な溶け込みを回避することができる。真空内で溶接することにより、発生する燃焼が最小限に抑えられることも保証される。
【0006】
ビーム調整装置は、典型的には、電子ビームの高速偏向、動的焦点、および動的非点収差制御を達成するように構成された電磁コイルである。
【0007】
好ましくは、溶接チャンバは、各チャンバの独立した排気を可能にするために、封止可能なドアによって各サブチャンバから分離可能である。これは、望ましくは、封止可能なドアが、隣接するチャンバ間の開口部からサブチャンバの側壁まで枢動可能に移動可能な折り畳み可能なドアであることによって達成され得る。
【0008】
本発明の別の態様によれば、電池アレイをバスバーに溶接するように構成された溶接チャンバに関連付けられた電子ビームガンと、電子ビームガンによって生成された電子ビームのビーム特性および位置を変更するようにコントローラに応答して動作するビーム調整装置とを備える電子ビーム溶接装置が提供され、少なくとも2つのサブチャンバは溶接チャンバの対向する両側に配置され、すべてのチャンバは真空下になるように排気可能であり、溶接チャンバは、溶接チャンバおよびサブチャンバの各々の独立した排気を可能にするために封止可能なドアによって各サブチャンバから分離可能であり、封止可能なドアの少なくとも1つは、溶接チャンバとサブチャンバとの間の開口部からサブチャンバの側壁まで枢動可能に移動可能な折り畳み可能なドアである。
【0009】
本発明の両方の態様について、装置は、チャンバ間で電池アレイおよびバスバーを搬送するためのチャンバに関連付けられた搬送手段をさらに備えることができる。これにより、溶接チャンバを通るバスバーおよび電池アレイの貫流の自動化が可能になる。
【0010】
搬送手段は、3つの実質的に隣接する部分を備えるコンベア手段を備えることができ、1つの部分は各チャンバ内に配置され、さらにまたは代替的に押圧要素を備えることができる。
【0011】
装置は、バスバーおよび電池アレイが溶接チャンバに入ったときでも、溶接チャンバ内で良好な真空を維持することができることを保証するために、複数のサブチャンバの直線的な連続をさらに備えることができる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、車両電池を電子ビーム溶接する方法が提供され、方法は、
(i)電池アレイおよびバスバーを電子ビームガンの溶接チャンバ内に配置することと、
(ii)電池アレイおよびバスバーの近位にビーム検出器を配置することと、
(iii)複数の位置で電池アレイをバスバーに溶接するために電子ビームを発生させることと、
(iii)電子ビームの入射角にかかわらずバスバーと電池アレイとの間に形成される溶接部の一貫した溶接溶け込み深さを形成するように、データに応答して同期してビーム調整装置を制御するためにビーム検出器からコントローラにデータを送信することと、
を含む。
【0013】
方法は、バスバーと電池アレイとの間に複数の線形溶接部を形成することをさらに含んでもよい。これは、スポット溶接よりも大きな接触表面積およびより堅牢な溶接を提供する。
【0014】
電池アレイおよびバスバーは、好ましくは、溶接チャンバに入る前に予備チャンバ内に配置され、予備チャンバおよび溶接チャンバは、アレイが真空下で溶接チャンバ内に移動される前に排気される。
【0015】
電池アレイおよびバスバーは、3つの実質的に隣接する部分を備えるコンベア手段を使用してチャンバ間で搬送されてもよく、各チャンバに1つの部分が配置される。
【0016】
望ましくは、電池アレイは円筒形セルのアレイである。
以下の図面を参照して、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明による車両電池の電子ビーム溶接の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明
図1は、電動車両で典型的に使用される蓄電装置または電池10を示し、電池10は円筒型であり、例えばリチウムイオンセルまたはニッケル水素セルなどの個々の電力セル12のアレイを備える。各電池10は、典型的には、グリッド配列に配置された数百の円筒形セル12で構成される。電池バスバー14は、アレイ内の個々のセル12を互いに接続するために使用される。バー14は、一般に、レーザ溶接を使用して各セル12の上面に溶接され、レーザは、各セル12に関連付けられた接続タブ16を8mmの円形溶接を使用してバスバー14に溶接するように、プリズムを使用して各セル12の上部の溶接位置に偏向される。バスバー14は、セル12への接続を形成するスポット溶接部の列を備えるさらなる溶接部を有する。
【0019】
従来技術のレーザ溶接を説明するための概略図を
図2に示す。レーザ20は、レンズ24を使用して集束され、モータ付き偏向プリズム26を使用して、バスバー32への溶接を必要とするセル30のアレイに関連付けられた異なる溶接位置に偏向されるレーザビーム22を生成する。典型的には、電池セルアレイ33は、約500mm×500mmの領域にわたって配置される。溶接領域34がレーザ20の真下にあるとき、レーザビーム直径36は円形である。ビーム22がある角度で溶接領域36、38に衝突する場合、ビームの断面40、42は歪み、非点収差を示し、断面が円形ではなく卵形になる。
【0020】
ビーム22を偏向させるためのレーザプリズム26の機械的操作は、可能な最大溶接速度および長い焦点範囲および大きな偏向角を制限し、精度を損ない、レーザビームに非点収差を導入し、そのためアレイ33全体の溶接品質に変動を生じさせる。ビーム22の反射性は、この方法を使用して特定の金属が溶接されるのを防止する。溶接中に酸化するアルミニウムまたはアルミニウム合金の場合、溶接はアルゴンなどの高価なシールドガス下で行われなければならない。
【0021】
レーザビーム溶接の代わりに電子ビーム(EB)溶接を使用することは、円筒形セルのアレイを備える円筒形電池に関連するバスバーのレーザビーム溶接に関連する問題の多くを克服する。
図3は、バスバーおよび他のコネクタを電池セルのアレイ33に溶接するためのEB溶接セットアップを示す。電子ガン50は、真空チャンバ54内に3つの別々の位置が示されている電子ビーム52を生成し、このビームは、動的焦点を使用して溶接を達成するように高速で偏向され、コントローラ60に応答して、非点収差補正コイル56および偏向コイル58は、ビーム52の位置ならびにビーム幅および電力/溶け込みなどの特性を調整する。
【0022】
バスバー32への溶接を必要とするセル30のアレイ33は、ガン50に接続された主真空チャンバ54内に配置される。動作中、ピンホールプローブなどのビームプローブ61は、ビーム52のプロファイル62を検出し、フィードバックデータをコントローラ60に瞬時に送信し、コントローラは、電源64を調整してコイル56、58への電力を変更し、ビームプロファイルをほぼ瞬時に調整する。検出されたビームに応答して生成されたビームのこの同期制御は、バー32上へのビーム52の入射角に関係なく円形のままである3つの位置52、52’、52’’および対応するプロファイル62、62’および62’’で例として示されるように、溶接領域へのビーム52の入射角に関係なく一貫した円形断面ビームプロファイルを保証する。
【0023】
この偏向システムには物理的な可動部品がなく、電子の質量は無視できるほど低いため、偏向速度に対する唯一の制限要因は、偏向コイル58のインダクタンスである。偏向コイル巻線および電力増幅器構成は、現在のレーザプリズムシステムによって達成可能な15倍を超える偏向速度を達成することができる。
【0024】
ビーム52の高速偏向、動的焦点および動的非点収差補正コイルは同期して制御される。再集束は、迅速に調整可能な動的集束コイル56が、コイル58の偏向制御と同期して収束角を調整し、偏向システムが作動距離の変化を生成するときに一定の溶接スポット直径を維持することによって、高速で容易に実行される。偏向された電子ビームがその進行方向に対して垂直ではない表面上に着陸することによって生じる非点収差の問題を克服するために、表面上に着陸するときにビームが正確になるようにカラム内のビームを逆に再成形することによって溶接点においてビーム形状を同じに保つように、非点収差補正コイルアセンブリ56を同期的に制御することもできる。ビームプローブ61および関連するコントローラ60を使用して、各溶接点における集束および非点収差補正を較正することができる。
【0025】
円形スポット溶接の代わりに、ガン50、コイル56、58、および関連するコントローラ60を備えるEBビーム装置は、バスバー32と各セルとの間の溶接接続の堅牢性を改善するように、細長い線形溶接部を生成するように構成可能である。特に、円形断面ビームの直径の2倍を超える長さの線形溶接部が生成されて、各タブ16をバスバー14に溶接する。したがって、一定の溶け込み深さまで直線溶接が形成され、必要に応じて、10mmを超える溶接長さ、典型的には10から20mmの範囲の長さの溶接長さを生成することができる。スポット溶接部は経時的に故障しやすくなり、または過度の振動に応答して故障しやすくなるため、線形溶接部を作成すると、タブ16とバスバー14との間の接触面積が大きくなり、接続性が向上し、溶接部の堅牢性も向上する。望ましくは、EB装置は、アレイをバスバーに接続するためにスポット溶接部が使用されないように、スポット溶接部の代わりに線形溶接部を使用するように構成される。
【0026】
EB溶接は、ビームプローブからのフィードバックにより溶け込みの深さを正確に制御することを可能にし、これにより、発火を引き起こす可能性があるセル自体への溶け込みのリスクを低減する。溶接中にセルへの溶け込みが発生した場合、チャンバ54内の真空は、レーザ溶接に必要なシールドガスを必要とせずに燃焼を抑制するように作用する。真空中での溶接は溶接空隙率を減少させるので、最終溶接品質はレーザ溶接のものよりも優れている。
【0027】
EB溶接は、レーザ溶接で遭遇するような反射率の問題なしに異種金属を溶接することができる。このような自動車製造業者は、溶接プロセスに起因して、また反射率がないことに起因して、材料の選択において制限されず、ビームサイズおよび出力の改善された制御により、各セルにわたってより均一な溶接が得られる。
【0028】
ローディング真空チャンバ70、72は、チャンバ54の両側に配置される。これにより、チャンバ54内へのアレイの迅速なスループットが可能になる。したがって、別のアレイが予備チャンバ70にロードされると、チャンバ54内で溶接が行われる。次に、予備チャンバ70は、ポンプおよびバルブ71を使用して溶接に適した真空レベルまで急速にポンプダウンされ、主溶接チャンバ54で溶接が終了すると、次のアレイは真空下に入る準備ができ、一方、溶接されたばかりのアレイは主チャンバ54を出て、同じく真空下にある2次チャンバ72に入る。次いで、チャンバ54内で溶接が再び開始され、次のアレイは真空にポンプダウンするための予備チャンバ70に入り、2次チャンバ72は溶接されたアレイを除去するために大気に戻され、その後、空になると、真空に再び急速に排気され、チャンバ54から次の溶接されたアレイを受け取る準備が整う。典型的には、次のアレイの選択的な進入または退出を可能にするために、チャンバ間にバッフルシステムが設けられる。ポンプおよびバルブ73は、2次チャンバ72内の真空を達成するためのバルブおよびポンプの同様のセットを用いてチャンバ54内の真空を維持するように作用する。
【0029】
チャンバ間にアレイを通すための封止可能なドアおよび可動工具の構成を有するチャンバのこのようなロードロックシステムは、アンロード/ローディングチャンバ70、72が換気されている間、中央主溶接チャンバ54が適切な真空に保たれることを確実にする。
図3は、封止およびスライドドアを用いてアレイを2つのチャンバ間で一度に移動させて、所与の時点でどのチャンバが排気またはポンピングされているかを切り離すために、プッシュシステムを使用してロード、溶接、およびアンロードするための3つのチャンバを有する線形構成を示す図である。通常、セルの13×13アレイを溶接するには約4秒かかるため、最も生産的なスループットを確保するには、予備チャンバおよび2次チャンバからのスループットの速度が必要である。スループットの速度をさらに改善し、システムのポンプダウン時間を短縮するために、主チャンバ54内の真空がほぼ一定のままであることを確実にするために、さらなるチャンバを搬送ラインに追加することができる。
【0030】
折り畳み式チャンバインターフェースドアをスライドドアの代わりに使用することができ、チャンバ54、70、および72を上方から見た
図4を参照されたい。ドア80は、チャンバ54と72との間の開口を封止する閉鎖位置Aの間を移動するために内部レールに沿って移動可能であり、チャンバ間のアレイの自由な移動を可能にするために側壁に対して位置Cに達するように中間位置Bを通って枢動可能に移動する。
【0031】
表1は、レーザ溶接の71秒の時間と比較して、13×13個の電池のアレイについて4.3秒の溶接時間を達成するEBとレーザとの溶接速度の比較を示す。溶接時間は、同様に比較するために、8mmの円形溶接の場合である。
【0032】
【国際調査報告】