(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】一体化されたインターコネクタ、スペーサ、および接触可能化層のための取り付け手段を含むSOCスタック
(51)【国際特許分類】
C25B 9/65 20210101AFI20240723BHJP
H01M 8/0202 20160101ALI20240723BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240723BHJP
H01M 8/0276 20160101ALI20240723BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20240723BHJP
C25B 1/042 20210101ALI20240723BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20240723BHJP
C25B 9/75 20210101ALI20240723BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240723BHJP
C25B 13/02 20060101ALI20240723BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20240723BHJP
C25B 13/04 20210101ALI20240723BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
C25B9/65
H01M8/0202
H01M8/12 101
H01M8/0276
H01M8/2465
C25B1/042
C25B1/23
C25B9/75
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
C25B13/02 302
C25B15/08 302
C25B13/04 302
C25B9/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500294
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2022056613
(87)【国際公開番号】W WO2023280446
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ハイレデール-クラウスン・トマス
(72)【発明者】
【氏名】ラス-ハンスン・イェベ
(72)【発明者】
【氏名】ブレノウ・ベングト・ピーダ・ゴスタウ
(72)【発明者】
【氏名】レフスロン・ニルスン・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ナアビュー・トビーアス・ホルト
(72)【発明者】
【氏名】キュンガス・ライナー
(72)【発明者】
【氏名】クリトホルム・クリヴァ・セーアン
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AA09
4K021BA02
4K021CA07
4K021DB04
4K021DB40
4K021DB49
4K021DB53
4K021DC03
4K021DC15
4K021EA05
5H126AA14
5H126BB06
5H126DD05
5H126FF04
5H126GG02
5H126HH02
5H126HH10
(57)【要約】
固体酸化物セルスタックは、一体化されたインターコネクタとスペーサを有し、このスペーサは、プレート状インターコネクタの余剰部分を180°折り曲げてインターコネクタの上にスペーサ部分を形成し、少なくとも折り曲げ部分によってインターコネクタに接続され、また、一体化されたインターコネクタとスペーサの少なくとも片側に位置する接触可能化層のための取り付け手段を提供することによって形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタックされた複数のセルユニットを含み、各セルユニットは、セル層、接触可能化層、およびインターコネクタ層を含み、この際、一つのインターコネクタ層は、セルスタック内において、一つのセル層を隣接するセル層から隔離している、固体酸化物セルスタックであって、
前記インターコネクタ層が、厚さTの一片のプレートから製造された一体化されたインターコネクタおよびスペーサを含んでおり、前記スペーサは、インターコネクタのエッジの少なくとも一部分によって形成されており、この少なくとも一部分は、回数Nで180°折り曲げられてインターコネクタのエッジの少なくとも一部分を覆っており、その結果、前記スペーサおよびインターコネクタは、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成しており、
ここで、前記スペーサの少なくとも一部は、さらに、一体化されたインターコネクトとスペーサの少なくとも片側での前記接触可能化層の位置を確実にする前記接触可能化層のための取り付け手段を提供する、前記固体酸化物セルスタック。
【請求項2】
前記接触可能化層が、隣接するセル層の燃料側に面する、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの燃料側に配置される、請求項1に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項3】
前記スペーサの一部が前記接触可能化層の少なくとも一部と重なり、スペーサの前記一部と前記インターコネクトとの間に前記接触可能化層の前記一部を固定することにより、前記接触可能化層の位置を確実にする、請求項1または2に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項4】
前記接触可能化層が、前記スペーサの少なくとも一部と前記インターコネクタとの間にガス密封シーリングを提供する、請求項1~3のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項5】
前記スペーサのエッジの少なくとも一部は、前記接触可能化層のための前記取り付け手段を提供するように適合された1つ以上のくぼみを含む、請求項1~4のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項6】
前記くぼみが、スペーサのエッジの一部をエッチング除去することにより形成されている、請求項5に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項7】
前記くぼみが、コイニングまたはエンボス加工により形成されている、請求項5に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項8】
前記くぼみが、前記折り曲げ後のインターコネクタに面する方のスペーサの面上に形成されている、請求項5、6または7に記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項9】
一体化されたインターコネクタおよびスペーサが、プレートTの厚さの(1+N)倍以下の厚さを有する、請求項1~8のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項10】
前記スペーサおよびインターコネクタが、プレートの厚さTの2倍以下の厚さを持って、前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成するように、前記インターコネクトのエッジのうちの前記の少なくとも一部分が1回、180°折り曲げられてインターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供している、請求項1~9のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項11】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~10のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項12】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、外部マニホールドへの流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~11のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項13】
前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、内部マニホールドの周囲に流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、請求項1~12のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項14】
前記スペーサが、折り曲げられた部分だけでなく、インターコネクタに面する方のスペーサの少なくとも1つのさらなるエッジまたは表面においても追加的にインターコネクタに接続されている、請求項1~13のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項15】
前記スペーサが、インターコネクタに面する方のスペーサの表面のうちの少なくとも一部で拡散接合によってインターコネクトに接続されている、請求項1~14のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項16】
前記スペーサが、インターコネクタに面する方のスペーサの表面のうちの少なくとの一部で溶接によってインターコネクタに接続している、請求項1~15のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項17】
前記インターコネクタが、前記の180°の回数Nの折り曲げを促進しかつ案内するように適合された溝を、少なくとも一つの面上に有する、請求項1~16のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項18】
前記インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するように適合された溝を、少なくとも一つの面上に有する、請求項1~17のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項19】
前記インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するように、少なくとも一つの面上にエッチングまたはコイニングまたはエンボス加工によって形成された溝を有する、請求項1~18のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項20】
前記接触可能化層がメッシュまたは箔である、請求項1~19のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項21】
前記接触可能化層がニッケルメッシュまたはニッケル箔である、請求項1~20のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【請求項22】
固体酸化物電解セルスタックである、請求項1~21のいずれか一つに記載の記載の固体酸化物セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、固体酸化物セル(SOC)スタック、特に固体酸化物電解セル(SOEC)スタックまたは固体酸化物燃料セル(SOFC)スタックであって、一体化されたインターコネクタおよびスペーサ、特に接触可能化層のための取り付け手段を含む一体化されたインターコネクタおよびスペーサを備える、固体酸化物セル(SOC)スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、一般にSOCスタックで使用することができ、したがってSOECモードでもSOFCモードでも使用することができるが、簡単のために以下の説明の一部はSOECモードに関するものである。
【0003】
動作温度が600℃~1000℃、好ましくは600℃~850℃であるSOCスタックでは、複数のセルユニットが組み立てられてスタックを形成し、インターコネクタによって互いに連結される。インターコネクタは、隣接するセルユニットのアノード側とカソード側を分離するガスバリアとしての役割を果たすと同時に、隣接するセル間、すなわち一つのセルのアノードと隣接するセルのカソード間の電流の伝導を可能にする。さらに、インターコネクタは通常、インターコネクタの両側にプロセスガスを通すための複数の流路を備えている。SOCスタックの性能を最適化するためには、最小化すべき関連する不利な値の別の範囲に許容できない結果を及ぼすことなく、有利な値の範囲を最大化する必要がある。これらの値には次のようなものがある:
【0004】
【0005】
上記の値のほとんどすべては相互に関連しており、これは一つの値を変更すると他の値にも影響することを意味する。ここでは、セル内のプロセスガス流の特性と上記の値との関係をいくつか挙げる:
【0006】
プロセスガスの利用:
インターコネクタ上の流路は、スタック内の各セルへのプロセスガスの等しい量を求めるために設計されるべきであり、すなわちスタックを通るフロー「ショートカット」はあるべきではない
【0007】
寄生損失:
SOCスタックおよびそのセルユニット中のプロセスガス流路の設計は、単位体積あたりの圧力損失を低くするよう努めるべきであり、これによりブロワーへの寄生損失を低減することとなる。
【0008】
電気効率:
インターコネクタは、隣接するセルのアノード層とカソード層の間において電流を案内する。したがって、内部抵抗を低減するために、インターコネクタの電気伝導性接点(以下、単に「接点」と示す)は、電極(アノードおよびカソード)に良好な電気的接触を確立するように設計されるべきであり、接点は、どこにも離れるべきではなく、その場合は、電流がより長い距離の電極を流れることを余儀なくされ、結果として内部抵抗が高くなるからである。
【0009】
寿命:
SOCスタックの寿命が最大化されること、すなわちSOFCモードでは可能な限り多くの電気を生成するために使用でき、SOECモードでは電解生成物(例えばH2Oおよび/またはCO)の量が最大化されることが望ましい。スタックの寿命は、多くの要因、例えな、インターコネクタとスペーサの選択、インターコネクタの両プロセスガス側状の流れの分配、材料上の均一に分布した保護コーティング、作動条件(温度、電流密度、電圧など)、セルの設計と材料、寿命を低下させるエッジの再酸化などに依存する。
【0010】
コスト:
インターコネクタ(およびスペーサ)のコスト負担は、希少な材料を使用しないこと、インターコネクタおよびスペーサの製造時間を短縮すること、部品点数を最小限に抑えること、材料損失(製造工程で廃棄される材料の量)を最小限に抑えることで低減できる。
【0011】
寸法:
燃料スタックの全体的な寸法は、インターコネクタ設計が、有効セル領域の高い利用率を保証する時に縮小される。プロセスガス流速の低いデッドエリアは減少するべきであり、そしてシーリング表面用の不活性ゾーンは最小化するべきである。
【0012】
製造時間:
インターコネクタおよびスペーサ自体の製造時間は最短化するべきであり、そしてインターコネクタ設計もまた、スタック全体の高速な組み立てに寄与するべきである。一般的に、全ての部品に関してのインターコネクタ設計は不要であり、というのも、製造時間が増加するからである。
【0013】
欠陥率:
インターコネクタおよびスペーサの製造方法と材料は、低いインターコネクタ欠陥率(例えば、インターコネクタガスバリア中の望ましくない穴、不均一な材料厚または特性)を可能にするべきである。さらに、インターコネクタ設計が組み立てるべき全部品点数を減らしおよびシール表面の長さおよび数を減らす時に、組み立てられたセルスタックの欠陥率を減少させることできる。
【0014】
部品点数:
すでに述べたように、エラーおよび組み立て時間を最小化する他、部品点数の減少はコストを低下させる。
【0015】
アノードおよびカソードガス流がSOCスタック内でどのように分配されるかは、これらの二つのプロセスガスのそれぞれのための共通のマニホールドを備えることによる。これらのマニホールドは、内部マニホールドまたは外部マニホールドのいずれかであることができる。マニホールドは、SOCスタック中の個々の層へ、各々の層への流路によってプロセスガスを供給する。これらの流路は、通常はSOCスタック中に含まれる反復する要素の一つの層、すなわちスペーサまたはインターコネクタ中に配置される。
【0016】
板金で作られたインターコネクタおよびスペーサは、通常は、SOCスタック中で一緒にシールされるシート材料の二つの別個の部分から作られる。これは、インターコネクタおよびスペーサ間のシーリングを必要とする他、製造中の個別の部品の取り扱いも必要とする。さらに、これらの二つの別個のシート状ピースはおおむね同じ外寸を有するために、スペーサシートの中心材料の殆どが除去される場合(例えば打ち抜かれる場合)には、多くの材料が廃棄される。
【0017】
固体酸化物電解セル(SOEC)は、H2OをH2に、CO2をCO2に、またはH2OとCO2の組み合わせを合成ガス(H2とCO)に変換するために使用することができる。この変換は、還元状態のニッケル含有層からなるSOECのカソード側で行われる。SOECの酸素側(アノード)では、酸素が生成され、通常は空気で洗浄される。
【0018】
フラッシュ空気と生成酸素は、スタック内の各SOECアノードから供給/除去されなければならないが、これは通常、各アノードコンパートメントから共通マニホールド(内部でも外部でもよい)への流路によって行われる。共通のアノード(酸素、オキシ)マニホールドは、このようにスタックの個々の単一のリピートユニットを接続し、セルのエッジ(縁)でスタックの個々のセルにまたがっている。
【0019】
アノードおよびカソードガス流がSOCスタック内でどのように分配されるかは、これらの二つのプロセスガスのそれぞれのための共通のマニホールドを備えることによる。これらのマニホールドは、内部マニホールドまたは外部マニホールドのいずれかであることができる。マニホールドは、SOCスタック中の個々の層へ、各々の層への流路によってプロセスガスを供給する。これらの流路は、通常はSOCスタック中に含まれる反復する要素の一つの層、すなわちスペーサまたはインターコネクタ中に配置される。
【0020】
スペーサまたはインターコネクタは通常1つの入口流路を持ち、その入口流路は材料を貫通するようにプレス、カット、またはエッチングされる。入口流路が1つしかない理由は、スペーサが一体化された部品でなければならないからである。この解決策により、スペーサまたはインターコネクタ流路の安価で制御可能な製造が可能になる。
【0021】
複合流路を可能にするプロセスガス・流路を作るもう一つの方法は、エッチング、コイニング、プレスまたは他の方法で、スペーサまたはインターコネクタの一部を通して流路を作ることである。この場合、スペーサは一体化された部品となり得るが、材料の一部を通して流路を作る方法は正確ではないため、ガス流路における不確実で制御不能な圧力降下を与える。
【0022】
スペーサまたはインターコネクタの材料を通して部分的にしか形成されていないガス流路全体にわたってシーリング材料が適用されると、ガス流路内でより不確実で制御不能な圧力降下が発生する。もちろん、シーリング材料をスクリーン印刷して所望の表面だけに合わせたり、接着してガス流路から切り離したりすることも可能であり、そうすれば不確実な圧力降下のリスクを下げることができるが、これにはコストと時間がかかる。
【0023】
エッジ再酸化とは、カソード層(SOECモード)のニッケルが酸素含有ガス(例えば、酸素マニホールドなど)にさらされたスタックやセルのエッジから徐々に再酸化され、最終的にガス気密性の喪失、燃焼による歩留まりの低下、電解質クラックによるスタックのハード故障につながるSOCスタックの故障メカニズムを指す。これは特に、セルがフレームやカセットに挿入されず、スタック内の他の部品と同じフットプリントを持つスタック設計の場合に当てはまる。
【0024】
セルとスタック内の他の部品のフットプリントが同じスタック(「セルからエッジ」)は、シーリング領域が活性領域と同じ層と材料で作られているため、熱勾配や変化に対してより堅牢であると考えられている。そのため、シーリング領域とアクティブ領域に使用される材料のCET(熱膨張係数)間のミスマッチがない。フレームまたはカセットを使用したスタックコンセプトの場合、セルはシーリング領域に配置されないため、スタックはシーリング領域と比較してアクティブ領域中において相違するCETを有する。
【0025】
セルと残りの部品のフットプリントが同じスタック中においてセルエッジが、スタックの個々の部品をシーリングするために使用されるガラスでカバー/カプセル化されている場合、酸素マニホールドからの酸素がニッケルを含む層中に拡散することはできず、したがってエッジ再酸化は回避される。セルのエッジを、セルに隣接する層(多くの場合、酸素と燃料スペーサだが、場合によってはインターコネクタも)のエッジよりもわずかに引っ込めると、セルのエッジをガラスで覆うことができる。
【0026】
SOECのカソード側(燃料側)は、多くの場合、インターコネクタとセルの燃料側との間に接触可能化層が作られている。この接触可能化層は、ニッケルメッシュまたは箔でできていることが多い。
【0027】
特にスタックの組み立てとコンディショニングの際に、接触可能化層層を正しく安全に位置決めして固定することが課題となる。
【0028】
SOCスタックの組み立てとコンディショニングの間、複数の部品が積層され、一緒に接合される。SOCスタックの各層(セル、IC、スペーサー、ガスケットなど)は通常個別に積層されるため、積層時やコンディショニング時に位置ずれが生じ、漏れや流れの偏り、接触関連の問題が発生する可能性がある。
【0029】
個々の層は、部品を接着または溶接することにより、SOCスタックの積層前にサブアセンブリで接合することができる。これは、位置ずれのリスクを低減することができるが、組み立てと調整中にコンポーネントを固定することのみを目的とした接着(接着剤)または溶接プロセスを導入することになる。接着剤や溶接による小部品(サブコンポーネント)の固定は、すべての部品を一緒にコンディショニングしてスタックを形成する作業中には使用されない。したがって、これは扱いにくく、費用のかかる解決策である。
【0030】
US6492053(特許文献1)は、インターコネクタおよびスペーサを含む燃料電池スタックを開示している。インターコネクタおよびスペーサの両方とも、酸素/燃料の流れのために入口マニホールドおよび出口マニホールドを備える。これらの入口マニホールドおよび出口マニホールドは、アノードおよびカソードに沿った酸素/燃料の分配のためにそれの表面上に溝/通路を有する。しかし、インターコネクタおよびスペーサの溝/通路は、互いに整列しておらず、それ故、それらの幾何学的形状は、複数の入口ポイントを達成するために組み合わせることができなかった。また、これらの溝/通路は、インターコネクタおよびスペーサの両方の表面上にあるため、複数の入口ポイントの形成は実現可能ではない。
【0031】
US2010297535(特許文献2)は、流路を備えた燃料電池のバイポーラプレートを開示している。そのフロープレートは、燃料セルの有効領域間に流体を均一に分配するための複合流路を有する。この文献は、第二の層およびそれの中の類似の流路を開示していない。
【0032】
US2005016729(特許文献3)は、熱伝導性インターコネクタプレート中に担持されているセラミック製燃料電池(複数可)を開示しており、複数のプレートが、スタックを呼ばれる伝導性ヒーターを形成する。複数のスタックの接続は、燃料電池のステッキ(stick)を形成する。複数のステッキをそれらの端部同士で接続することにより、燃料電池のストリングが形成される。このストリングの長さは、千フィート以上であることができ、地下の資源層、例えば油層に入り込むような長さに作られる。プレヒーターが、前記ストリングを700℃を超える作動温度にし、次いで燃料電池が、燃料電池に燃料および酸化剤を供給しおよび排ガスを惑星表面に運ぶ複数の導管を介して前記温度を維持する。前記複数の導管を延長しそして排ガスと酸化剤/燃料との間の熱交換体として働くようにするために、ストリングと惑星表面との間にマニホールドを使用できる。
【0033】
上記の既知技術のいずれも、上記の問題に対する簡単で効果的でかつ確実な方策を提供するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】US6492053
【特許文献2】US2010297535
【特許文献3】US2005016729
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
従って、上記に列挙された考慮事項を参照すると、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも片側(一方の側)に接触可能化層のための取り付け手段を含む一体化されたインターコネクタとスペーサを製造するための、簡便で、低廉で、容易であるが、なお堅牢で、精密な解決策が必要とされている。
【0036】
これらおよびその他の課題は、以下に説明する本発明によって達成される。
【0037】
発明の概要
本発明は、板金の形の(インターコネクタおよびスペーサの機能を兼ね合わせる)単一の部品を、スペーサ部分を、ICシートから板金の一つの面上に折り畳むことによって製造するものである。折り畳み(または折り曲げ)は、質量保存的なプロセスであり、それ故、廃棄物が生じない。本発明の場合のように薄いシート材料を折り畳む時は、折り畳み半径は、シート厚に依存し、非常に小さな折り畳み半径を得ることができる。
【0038】
インターコネクタ板金からスペーサを折り畳むことによって、幾つかの問題が解消される:
-スタック中のシーリング領域が減少し、それ故、インターコネクタ-スペーサアセンブリ当たりのシーリング層を節約しつつ、漏れが生じる虞のある場所が少なくなる。
-製造の際に取り扱うべき部品が減少する。
-スペーサが、インターコネクタと同じ板金から製造されるため、インターコネクタおよびスペーサの厚さが同じであり、それにより、スタックアセンブリにおける公差の問題が減少する。
-スペーサが別個の板金から製造される場合には、インターコネクタの周辺部に通常位置するシーリング領域よりも材料使用量が多くなる。それ故、この折り畳み方策は材料の節約となる、なぜなら、折り曲げられた部分がインターコネクタ周辺部に含まれており、そしてスペーサの「内側」がインターコネクタに使用されるためである。
-インターコネクタおよびスペーサが同一の材料であること(並びにシーリング材料が無いこと)は、同一の熱膨張係数を与える。
-スペーサが、インターコネクタの一部であるため、別個のスペーサ部分のアライメントは排除される。
-折り畳みプロセスは低廉であり、工業的なスケールにすることが可能である。
【0039】
一体化されたインターコネクタとスペーサを製造するために、インターコネクタの幾何学的形状は、スペーサを含むように拡大され、スペーサは、インターコネクタの頂部に折り畳まれる。折りたたみプロセスは簡便かつ頑強であり、いくつかの産業(例えば金属缶)で使用される。
【0040】
スペーサの厚さは、インターコネクタの厚さと同じであり、インターコネクタとスペーサの間に追加される材料の厚みを加えたものである。これは、スタックを組み立てる時の公差を減少させる。これと同じ公差は、他のプロセスでは達成できず、すなわち、インターコネクタとスペーサとの間のシールのエッチングは省かれる。インターコネクタとスペーサが一つの部品となるため、これは、部品の取り扱いを節約する。スペーサは、通常はインターコネクタの周辺部に配置されるため、中央部は、標準的な方法を用いて切り抜き、廃棄される。スペーサがインターコネクタの一部である場合には、スペーサの内側は廃棄されず、材料廃棄量を低減させことができる。
【0041】
さらに、本発明は、SOCスタックのインターコネクタスペーサアセンブリの「内部」に一体化された酸素流路(オキシ流路)を含み、これによって酸素流路は、セルのエッジをカプセル化するために使用されるガラスに曝露されることがない。
【0042】
酸素流路は、インターコネクタとスペーサの両方に形成されるが、それぞれの部品のシーリング領域の半分以上にしか形成されない。インターコネクタの流路とスペーサの流路が重なり合って、シーリング領域全体を通して単一の流路が形成される。
【0043】
こうすることで、酸素スペーサの外側エッジを流路なしで作ることができ、ガラスが酸素流路に入ることなく、セルエッジを全面的にカバーすることができる。
【0044】
本発明によれば、接触可能化層は、一体化されたインターコネクタおよびスペーサアセンブリ(ICアセンブリ)の少なくとも片面に固定される。
【0045】
一体化されたインターコネクタおよびスペーサアセンブリにおける接触可能化層(例えばニッケル箔)の固定は、本発明によるさまざまな方法で行うことができる:
【0046】
1) ICアセンブリの折り畳み時の固定:
接触可能化層を十分に大きく作成された場合、それがICアセンブリのシーリング領域まで延び、これを折り畳む前にICアセンブリ上に配置すれば、折り畳まれたICアセンブリのICとスペーサの間に接触可能化層を固定することができる。こうして、接触可能化層が固定されたICアセンブリのシーリング領域は、IC+Ni-箔+スペーサで構成され、シーリング領域の厚さは3層の合計となる。
【0047】
2) ICアセンブリの折り畳み後の固定:
ICアセンブリのスペーサ部分の下にスロットやくぼみ(indentation)を作ることで、ICアセンブリの折り畳み後に接触可能化層を挿入して固定することができる。これはもちろん折り畳み工程中に行うこともできるが、スタックアセンブリの前にサブアセンブリを作り、その後に行うことも可能である。図面のくぼみは、例えば、ICアセンブリが折り畳まれる前に、ICアセンブリのスペーサ部分を部分的にエッチング(または他の公知の材料除去または変形プロセス)することによって作ることができる。
【0048】
一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも片側の接触可能化層は、接着剤や溶接プロセスを使用することなく、スタックアセンブリの前に一体化されたインターコネクタおよびスペーサアセンブリにサブコンポーネントとして固定される。このため、サブアセンブリを有さない場合と比較して、また、本発明による固定よりも精度が劣る(公差が大きい)接着や溶接によってサブアセンブリを作成する場合と比較して、スタック(積層)およびコンディショニング時のこれらの部品のミスアライメントを最小限に抑えることができる。
【0049】
前述したように、SOECスタックとSOFCスタックの両方について、燃料と酸素スペーサの両方と接触可能化層の固定を本発明に従って行うことができることを理解されたい。
【0050】
請求項1に記載の発明は、スタック(積層)された複数のセルユニットを含む固体酸化物セルスタックである。セルユニットのそれぞれは、アノード、カソードおよび電解質を備えるセル層と、インターコネクタ層とを含む。これらの層は、一つのインターコネクタ層が、セルスタック内において、一つのセル層を隣接するセル層から隔離するように、交互にスタックされる。このインターコネクタ層は、従来技術において知られるような別個のスペーサを備えるのではなく、厚さTの一片のプレートから製造される一体化されたインターコネクタおよびスペーサを含む。このスペーサは、インターコネクタのエッジ(縁)のうちの少なくとも一部を、インターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供するように、回数Nで180°折り曲げることによって形成される。この折り曲げは、この折り曲げ製造プロセスにとって固有でかつ通常の公差を持って180°であり、ある程度の反り返りも含み得ると理解されたい。また、折り曲げ前の折り曲げるべきプレート片は、最終の一体化されたインターコネクタおよびスペーサよりも大きな寸法を有し、この際、余剰の領域が折り曲げられるべきであり、そして折り曲げの後にスペーサを形成するものと理解されたい。折り曲げの後、スペーサおよびインターコネクタは、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成する(その際、プレートの厚さTの(1+N)倍以下の厚さとインターコネクタとスペーサの間又はその両側に加えられたいずれかの材料の厚さを加えたものである厚さを有し、その厚さは、上述の厚さよりもわずかに大きい又は小さい測定値に至る可能性のある材料および製造公差に依存することが理解されるものであり、したがって、クレームの範囲内である。)しかしながら、スペーサとインターコネクタとの間のガスケットが省略されるためであり、また折り曲げプロセスの後に、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの厚さを精密な公差まで平らにする精密なプレス加工を行うことができるため、本発明の一部においては、該折り曲げプロセスは、通常の固体酸化物セルスタックから知られるよりも高い精度も供することができる。該一体化されたインターコネクタおよびスペーサによるセル間の接触は、折り曲げられたエッジと、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの表面全体の接触点との両方によって保証されると理解されたい。これらの接触点は、折り曲げ部と同じ側のインターコネクタ上に供される接触実現要素によって供し得る。この接触実現要素は、プレス加工された接触点または任意の他の既知技術によって、ネットの形であることができる。請求項1によれば、本発明は、接触可能化層と、前記接触可能化層のための取り付け手段(固定具、治具)とをさらに備える。本発明によれば、スペーサの少なくとも一部が、接触可能化層のための取り付け手段を提供し、この取り付け手段は、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも片側に設けられる。本発明によれば、スペーサは、接触可能化層の取り付け手段をいくつかの方法で提供することができるが、これは、本発明の以下の実施形態から明らかになるであろう。
【0051】
本発明のさらなる実施形態によれば、接触可能化層は、一体化されたインターコネクタとスペーサの燃料側に位置し、隣接するセル層の燃料側に面している。この実施形態では、接触可能化層は、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの片側、すなわち燃料側のみにある。別の実施形態では、接触可能化層は、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの反対側(酸素側)、またはさらなる実施形態では、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの両側にあってもよいことを理解されたい。
【0052】
本発明の一実施形態においては、スペーサの一部が接触可能化層の少なくとも一部と重なり、その結果、スペーサの一部とインターコネクタの間に接触可能化層の前記一部を固定することにより、前記接触可能化層の位置を確実にする。この実施形態では、スペーサまたは接触可能化層は、接触可能化層の固定を可能にするために、重なりを確実にする突起を有していてもよいし、接触可能化層は、単に全体的に、曲げられたときに、スペーサの内縁よりもわずかに大きな外縁面積を有していてもよいし、上記の組み合わせまたは他の公知の解決策を用いてもよい。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、接触可能化層は、スペーサの少なくとも一部とインターコネクタとの間にガス密封シーリングを提供する。これは、接触可能化層が固定されたときに層間に形成される単純な物理的バリアによって提供される固定領域の場合であってもよいが、例えば、層間の接合、例えば金属接合の形態であってもよい。
【0054】
本発明の別の実施形態では、スペーサの縁部の少なくとも一部は、接触可能化層のための取り付け手段を提供するように適合された1つかそれ以上のくぼみを含む。上述したように、このくぼみは、その領域におけるスペーサのエッジの残りの部分とインターコネクタとの間に形成され、接触可能化層は、スペーサがインターコネクタ上に折り畳まれた後、またはその前に、くぼみ内の一部で位置決めされることができる。この実施形態は、いくつかの図面でもさらに視覚化されている。
【0055】
くぼみは、当該技術分野で知られている任意の方法で作ることができる。ある実施形態では、くぼみはスペーサの材料をエッチング除去することによって作られ、他の実施形態では、くぼみは例えばコイニングやエンボス加工によって作られる。くぼみは、スペーサの材料を除去することによっても、塑性変形(プラスチック変形)させることによっても作ることができる。本発明の一実施形態では、くぼみはスペーサの曲げ後のインターコネクタに面する側に作られる。
【0056】
本発明の一実施形態においては、一体化されたインターコネクタおよびスペーサは、プレートの厚さTの(1+N)倍以下の厚さを有する。このように、インターコネクタのエッジがインターコネクタの残りの部分に曲げられる(それによりスペーサとなる)場合、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの全厚は、すべて同じ厚さTを有する同じ材料である層の厚さの合計である。しかし、全厚は前記合計よりも小さくてもよく、曲げ工程が塑性変形プレス(プラスチック変形)で終了され、これは、曲げ工程における較正工程である、一体化されたインターコネクタおよびスペーサのすべての端部の厚さを均等にする役割も果たし得る。
【0057】
本発明の特定の実施形態では、インターコネクタのエッジの少なくとも一部が1回180°折り曲げられ、これにより、プレートの厚さTの2倍以下の厚さのインターコネクタおよびスペーサが得られる。
【0058】
本発明の実施形態においては、スペーサは、少なくとも部分的に、連続した流体密封エッジによって形成されていてもよい。流体密封エッジは、外部マニホールドへの流体密封シールまたは内部マニホールドの周囲で流体密封シールを形成するように適合させることができる。折り畳み自体とは別に、スペーサは、スペーサのエッジまたは表面の少なくとも一部において、拡散接合(ここで、2つの固体金属表面の原子が経時的にそれら自体を拡散させる)、溶接、または他の任意の適切な接続技術によって、インターコネクタにさらに接続することができる。本発明の一実施形態では、一体化されたインターコネクタとスペーサのスペーサは、内部マニホールドの周囲に流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成される。
【0059】
本発明の一実施形態では、折り曲げは、折り曲げ線の少なくとも一部において、インターコネクタの一方の面、他方の面、または両面上に設けられた溝によって促進され、案内される。溝は、プロセス流のための流動場を形成するために、インターコネクタの少なくとも一方の面に存在することができる。前記溝は、例えば、エッチング、コイニング、エンボスまたはあらゆる公知の技術によって形成することができる。
【0060】
前述した本発明の一実施形態においては、接触可能化層はメッシュまたは箔であってもよく、接触可能化層は例えばニッケルであってもよい。
【0061】
本発明の特定の態様の一つでは、該スタックは、先に述べたような作動温度を有する固体酸化物電解セルスタックである。本発明のさらに別の態様の一つでは、該スタックは、固体酸化物燃料電池スタックである。該一体化されたインターコネクタおよびスペーサを製造するために使用される板金は、オーステナイト鋼、フェライト鋼、または該スタックに最適な任意の合金であることができる。
【0062】
本発明の特徴
1.スタックされた複数のセルユニットを含み、各セルユニットは、セル層、接触可能化層、およびインターコネクタ層を含み、この際、一つのインターコネクタ層は、セルスタック内において、一つのセル層を隣接するセル層から隔離している、固体酸化物セルスタックであって、
前記インターコネクタ層が、厚さTの一片のプレートから製造された一体化されたインターコネクタおよびスペーサを含んでおり、前記スペーサは、インターコネクタのエッジの少なくとも一部分によって形成されており、この少なくとも一部分は、回数Nで180°折り曲げられてインターコネクタのエッジの少なくとも一部分を覆っており、その結果、前記スペーサおよびインターコネクタは、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部のエッジを一緒に形成しており、
ここで、前記スペーサの少なくとも一部は、さらに、一体化されたインターコネクタとスペーサの少なくとも片側に前記接触可能化層の位置を確実にする前記接触可能化層のための取り付け手段を提供する、前記固体酸化物セルスタック。
【0063】
2.前記接触可能化層が、隣接するセル層の燃料側に面する、一体化されたインターコネクタおよびスペーサの燃料側に配置される、特徴1に記載の固体酸化物セルスタック。
【0064】
3.前記スペーサの一部が前記接触可能化層の少なくとも一部と重なり、前記スペーサの一部と前記インターコネクタとの間に前記接触可能化層の前記一部を固定することにより、前記接触可能化層の位置を確実にする、前記特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0065】
4.前記接触可能化層が、前記スペーサの少なくとも一部と前記インターコネクタとの間にガス密封シーリングを提供する、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0066】
5.前記スペーサのエッジの少なくとも一部は、前記接触可能化層のための前記取り付け手段を提供するように適合された1つ以上のくぼみを含む、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0067】
6.前記くぼみが、スペーサのエッジの一部をエッチング除去することにより形成されていることを特徴とする、特徴5に記載の固体酸化物セルスタック。
【0068】
7.前記くぼみは、コイニングまたはエンボス加工により形成されていることを特徴とする特徴5に記載の固体酸化物セルスタック。
【0069】
8.前記くぼみが、前記折り曲げ後のインターコネクタに面する方のスペーサの側面に形成されている特徴5、6または7に記載の固体酸化物セルスタック。
【0070】
9.一体化されたインターコネクタおよびスペーサは、プレートTの厚さの(1+N)倍以下の厚さを有する、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0071】
10.前記スペーサおよびインターコネクタが、プレートの厚さTの2倍以下の厚さを持って、前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサの少なくとも一部分のエッジを一緒に形成するように、前記インターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部が1回、180°折り曲げられてインターコネクタのエッジのうちの少なくとも一部を覆うスペーサを供している、前記特徴のうちのいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0072】
11.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0073】
12.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、外部マニホールドへの流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0074】
13.前記一体化されたインターコネクタおよびスペーサのうちのスペーサが、内部マニホールドの周囲に流体密封シールを形成するように適合された連続した流体密封エッジによって少なくとも部分的に形成されている、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0075】
14.スペーサは、折り曲げられた部分だけでなく、インターコネクタに面する方のスペーサの少なくとも1つのさらなるエッジまたは表面においても追加的にインターコネクタに接続されている、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0076】
15.前記スペーサが、インターコネクタに面する方のスペーサの表面のうちの少なくとも一部で拡散接合によってインターコネクタに接続されている、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0077】
16.前記スペーサが、インターコネクタに面する方のスペーサの表面のうちの少なくとの一部で溶接によってインターコネクタに接続している、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0078】
17.インターコネクタが、前記の180°の回数Nの折り曲げを促進しかつ案内するように適合された溝をそれの少なくとも一つの面上に有する、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0079】
18.インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するように適合された溝をそれの少なくとも一つの面上に有する、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0080】
19.インターコネクタが、プロセス流体のための流動場を形成するようにそれの少なくとも一つの面上にエッチングまたはコイニングまたはエンボス加工によって形成された溝を有する、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0081】
20.接触可能化層がメッシュまたは箔である、先行する特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0082】
21.接触可能化層がニッケルメッシュまたはニッケル箔である、先行する特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【0083】
22.固体酸化物電解セルスタックである、先の特徴のいずれか一つに記載の固体酸化物セルスタック。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図面の簡単な説明
本発明は、本発明の実施形態の例を示す添付図面によってさらに説明される。
図1は、本発明の一実施形態による、折り曲げ後の一体化されたインターコネクタ、スペーサ、および接触可能化層の側面図である。
図2は、本発明の一実施形態による、折り曲げ後の一体化されたインターコネクタ、スペーサ、および接触可能化層の側面図である。
図3は、本発明の一実施形態による、折り曲げ後の一体化されたインターコネクタ、スペーサ、および接触可能化層の斜視図である。
【0085】
ポジション番号
01.一体化されたインターコネクタおよびスペーサ
02.スペーサ
03.接触可能化層
04.接触可能化層のための取り付け手段
05.スペーサのくぼみ
【0086】
詳細な説明
図1は、固体酸化物電池スタック(図示せず)用の一体化されたインターコネクタとスペーサ01を側面から見た図である。この図は、折り曲げ後の一体化されたインターコネクタとスペーサを示したものであり、この実施形態においては、インターコネクタの一部が1回折り曲げられてスペーサ02を形成している。折り曲げられたスペーサは、接触可能化層03のための取り付け手段04を形成しており、この実施形態においては、接触可能化層03は一体化されたインターコネクタとスペーサの片側に配置されている。この実施形態のおいては、接触可能化層は、そのエッジの一部または全部が、屈曲したスペーサの一部の下に突出している。取り付け手段は、接触可能化層の突出部の周囲で、スペーサとインターコネクタの間の開口部として形成される。例えば、スペーサを接触可能化層上に折り曲げて押圧することにより、接触可能化層がスペーサとインターコネクタの間で押圧/圧迫される場合、取り付け手段は接触可能化層のハードフィックスを形成することができる。この実施形態においては、接触可能化層がインターコネクタとスペーサの間に配置されるため、一体化されたインターコネクタとスペーサの厚さは、インターコネクタの厚さの2倍より大きくなることができるが、ただし、スペーサが接触可能化層とインターコネクタに強く押し付けられ、塑性変形(プラスチック変形)が生じる場合は除き、この場合、厚さは、インターコネクタの厚さの2倍以下となる。
【0087】
図2は本発明の他の実施形態を示す。要素および要素の位置は
図1の実施形態とほぼ同じであるが、この実施形態においてのみ、スペーサをインターコネクタ上に折り曲げたときにインターコネクタに面するスペーサの一部にくぼみ05が形成されている。このくぼみは、接触可能化層の一部に適合する空間/空隙を形成しており、それにより接触可能化層は固定される。接触可能化層のこの固定は、スペーサがインターコネクタ上に曲げられた後、接触可能化層を一体化インターコネクタとスペーサに位置決めして固定することを可能にするため、緩くてもよい。
図3では、
図2の実施形態が斜視図で示されている。
【国際調査報告】