(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】第14族コンポジット
(51)【国際特許分類】
C01B 32/312 20170101AFI20240723BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240723BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240723BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20240723BHJP
【FI】
C01B32/312
H01M4/36 A
H01M4/38 Z
H01M4/1395
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500297
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022036127
(87)【国際公開番号】W WO2023091195
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519226632
【氏名又は名称】グループ14・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Group14 Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】コスタンティーノ,ヘンリー アール
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA06
4G146AA17
4G146AB02
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146AD11
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4G146BA01
4G146BA43
4G146BC03
4G146BC22
4G146BC25
4G146BC32A
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4G146CB32
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB11
5H050DA03
5H050FA17
5H050GA02
5H050GA10
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5H050GA27
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA06
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA18
5H050HA19
(57)【要約】
粒子状複合材料およびそれを含むデバイスが提供される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a.ポリオール及び任意選択の優先排除剤を水性環境に提供すること;
b.水性環境を150~250℃で加熱し、水熱チャーを生成すること;
c.水熱チャーを不活性ガスの存在下で750℃~1050℃に加熱し、熱分解炭素粒子を生成すること;
d.活性ガスの存在下で熱分解炭素粒子を750℃~1050℃に加熱し、多孔質炭素骨格を含む一次活性炭粒子を生成すること;および
e.ケイ素含有ガスの存在下、一次活性炭粒子を350℃~450℃に加熱し、多孔質炭素骨格内にケイ素を含浸させる工程、を含み、
ここで、第14族複合粒子の個々の粒子は、0.5超の球形度を有する、第14族複合粒子の製造方法。
【請求項2】
前記水性環境が、アルコール、アルカン、エーテル、THF、DMSO、DMF、N-メチルピロリドン、グリコール、およびグリンプのうちの1つまたはそれ以上を含む共溶媒を任意選択的に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記水性環境が、前記優先排除剤の分解温度以下の温度に加熱される、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ポリオールが、スクロースである、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記優先排除剤が、Span 80、ポリアクリル酸、Triton X、またはこれらの組み合わせである、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
ポリオールと優先排除剤との比(ポリオール:優先排除剤)が、1000:1以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記不活性ガスが、窒素である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記活性ガスが、二酸化炭素、水蒸気またはこれらの組み合わせである、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
水性環境を攪拌することをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ケイ素含有ガスが、前記一次活性炭粒子の表面の少なくとも一部にケイ素を堆積させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
多孔質炭素骨格内に含侵したケイ素部分に対する、前記多孔質炭素骨格内に含侵しなかったケイ素部分の比、Zが10未満である、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
多孔質炭素骨格内にケイ素を含侵させることが、活性炭粒子の内部骨格へのケイ素ナノ粒子の堆積を含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
第14族粒子が、2つまたはそれ以上の離散的な第14族粒子をさらに含み、かつ前記離散的な第14族粒子が非凝集性である、請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
一次活性炭の細孔容積が、少なくとも0.6cm
3/gである、請求項1~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
ケイ素含有ガスが、化学気相含侵(CVI)により導入される、請求項1~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
ケイ素含有ガスが、シランである、請求項1~15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
第14族粒子を含むスラリーを鋳造し、アノード電極を製造することをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
以下:
(a)複数の多孔質炭素粒子が球状のモルフォロジーを示す、ポリオール由来の複数の多孔質炭素一次粒子;
(b)前記多孔質炭素一次粒子の細孔内に含侵したケイ素;
(c)Dv50が10μm以下である;
(d)Z<10である;および
(e)phi(φ)≧0.15以上である、ここでdQ/dVは、ハーフセルコインセルで測定され、レジームIは0.8V~0.4Vであり、レジームIIIは0.15V~0Vである、
を含む、第14族コンポジット。
【請求項19】
Dv50が5μm以下である、請求項18に記載の第14族コンポジット。
【請求項20】
多孔質炭素一次粒子の個々の粒子が、離散的な非凝集粒子である、請求項18または19に記載の第14族コンポジット。
【請求項21】
Z<5である、請求項18~20のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項22】
φ≧0.2である、請求項18~21のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項23】
φ≧0.3である、請求項18~21のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項24】
以下:
(a)0.6cm
3/g超の全細孔容積;
(b)20~50%のミクロ細孔の体積分率、および50~80%のメソ細孔の体積分率;ならびに
(c)5nm~20μmの範囲の全細孔容積の少なくとも75%を含む、10nm以下の細孔の体積分率、
をさらに含む、請求項18~23のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項25】
多孔質炭素一次粒子に対するケイ素の重量パーセントが10%~80%である、請求項18~24のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項26】
以下:
(a)第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子であって、前記一次粒子が少なくとも0.5の球形度を有し、各粒子が多孔質炭素スキャフォールドを構成する、一次粒子;
(b)30~60重量%のケイ素;
(c)Dv50が10μm以下である;
(d)Z<10である;および
(e)phi(φ)≧0.15である、ここでdQ/dVは、ハーフセルコインセルで測定され、レジームIは0.8V~0.4Vであり、レジームIIIは0.15V~0Vである、
を含む、第14族コンポジット。
【請求項27】
炭素およびケイ素を含む第14族コンポジットであって、以下:
(a)ポリオール由来の多孔質炭素スキャフォールドを含む炭素であって、以下:
(i)非晶質炭素、
(ii)70%超が2nm未満の直径を有する細孔から構成される細孔容積、および
(iii)50nm未満のDv90;
をさらに含む、炭素;
(b)以下:
(i)多孔質炭素スキャフォールドの細孔容積内に埋め込まれた非晶質のナノサイズケイ素、
を含む、ケイ素;ならびに
(c)以下:
(i)30~60重量%のケイ素、
(ii)Dv50が10μm以下である、
(iii)Z<10である、および
(iv)phi(φ)≧0.15である、ここでdQ/dVは、ハーフセルコインセルで測定され、レジームIは0.8V~0.4Vであり、レジームIIIは0.15V~0Vである、
をさらに含む、第14族コンポジット、
である、第14族コンポジット。
【請求項28】
30m
2/g未満の表面積をさらに含む、請求項26または27に記載の第14族コンポジット。
【請求項29】
ハーフセルコインセルによって測定される1300mAh/gの最大容量をさらに含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項30】
Dv50が5μm以下である、請求項26~29のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項31】
Z<5である、請求項26~30のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項32】
phi(φ)が0.2以上である、請求項26~31のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項33】
phi(φ)が0.3以上である、請求項26~31のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項34】
多孔質炭素スキャフォールドが、0.5~0.8の平均球形度を有する、請求項26~33のいずれか一項に記載の第14族コンポジット。
【請求項35】
請求項26~34のいずれか一項に記載の第14族コンポジットを含む、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項36】
リチウムケイ素電池またはリチウムイオン電池である、請求項35に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、第14族元素を含む球状複合粒子およびそれを含むデバイスに関する。これらの材料は、優先排除剤(preferential exclusion agent)によって促進されるポリオールの水熱炭化(hydrothermal carbonization)、およびそれに続く化学的気相含侵法(CVI)を含む方法によって製造される。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、ケイ素-炭素複合材料の製造方法およびその組成物に関する。上記ケイ素-炭素複合材料は、炭素前駆体材料の水熱処理、熱分解、および活性化により高微孔性炭素粒子を生成し、続いて化学気相含侵法(chemical vapor infiltration)により微構成炭素粒子の細孔内にケイ素を生成し、最終的なケイ素-炭素複合粒子を得る、という一連の処理によって製造される。好適な炭素前駆体としては、糖類、その他のポリオール、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0003】
好適な多孔性スキャフォールドには、多孔質炭素スキャフォールド、例えば、ミクロ細孔(2nm未満)、メソ細孔(2~50nm)、および/またはマクロ孔(50nm超)を含む細孔容積を有する炭素が挙げられるが、これらに限定されない。多孔性スキャフォールド材料の細孔へのケイ素の化学気相含侵(CVI)は、上記多孔性スキャフォールドを高温でケイ素含有ガス(例えば、シラン)に曝露することによって達成される。
【0004】
関連技術の説明
化学気相含侵法CVIは、多孔質スキャフォールド材料内で気体基質が反応するプロセスである。この方法は複合材料、例えばケイ素-炭素複合材料の製造に採用することができ、ケイ素含有ガスが多孔質炭素スキャフォールド内で高温で分解する。この方法は様々な複合材料の製造に採用され得るが、特にケイ素-炭素(Si-C)複合材料に関心が集まっている。このようなSi-C複合材料は、例えば、リチウムイオン電池(LIB)内のアノード材料などのエネルギー貯蔵材料として有用である。LIBは、現在多くのアプリケーションで使用されているデバイスに取って代わる可能性を有している。例えば、現在の自動車用バッテリーは、放電中に不可逆的で安定した硫酸塩が形成されるため、次世代の完全電気自動車およびハイブリッド電気自動車には適さない。リチウムイオン電池は、その容量およびその他の点から、現在使用されている鉛ベースのシステムに代わる現実的な代替品である。
【0005】
このため、新しいLIBアノード材料、特に従来のグラファイトの10倍の重量容量を有するケイ素の開発に強い関心が寄せられ続けている。しかしながら、ケイ素はサイクル中の体積変化が大きいため、電極の劣化および固体電解質界面(SEI)の不安定性につながる。最も一般的な改善方法は、ケイ素の粒子径を小さくすることであり、例えばDv、50<150nm、例えばDv、50<100nm、例えばDv、50<50nm、例えばDv、50<20nm、例えばDv、50<10nm、例えばDv、50<5nm、例えばDv、50<2nmのように、離散粒子として、あるいはマトリックス内で小さくすることである。これまでのところ、ナノスケールのケイ素を製造する技術は、酸化ケイ素の高温還元、広範な粒子の減少、多段階の毒性エッチング、および/またはその他のコストを要する方法を含む。同様に、一般的なマトリックスアプローチは、グラフェンまたはナノグラファイト等の高価な材料を含む、および/または複雑な加工及びコーティングを必要とする。
【0006】
非黒鉛化(硬質)炭素がLIBアノード材料として有益であることは、科学文献から公知である(Liu Y, Xue, JS, Zheng T, Dahn, JR. Carbon 1996, 34:193-200; Wu, YP, Fang, SB, Jiang, YY. 1998, 75:201-206; Buiel E, Dahn JR. Electrochim Acta 1999 45:121-130)。この性能向上の基礎は、グラフェン層の無秩序構造にある。この無秩序構造により、リチウムイオンがグラフェン平面の両側にインターカレートし、理論的には結晶性グラファイトの2倍の化学量論量のリチウムイオンを含むことができる。さらに、リチオ化が積層グラフェン平面に対して平行にしか進行しないグラファイトとは対照的に、無秩序構造はリチウムイオンの等方的インターカレーションを可能にし、それによって材料の定格容量を向上させる。このような望ましい電気化学的特性にもかかわらず、非晶質炭素は、主に低いFCEおよび低いバルク密度(<1g/cc)のために、商業用リチウムイオン電池に広く展開されていない。その代わりに、非晶質炭素は、導電性を向上させ、表面副反応を低減させるために、電池の他の活物質成分に対する低質量添加剤およびコーティングとして、より一般的に使用されてきた。
【0007】
近年、LIB電池材料としての非晶質炭素は、ケイ素アノード材料のコーティングとして大きな注目を集めている。このようなケイ素-炭素コアシェル構造は、導電性を向上させるだけでなく、ケイ素がリチオ化する際の膨張を緩衝するため、サイクルの安定性が向上し、粒子の粉砕、分離、およびSEIの完全性に関連する問題を最小限に抑える可能性がある(Jung, Y, Lee K, Oh, S. Electrochim Acta 2007 52:7061-7067; Zuo P, Yin G, Ma Y. Electrochim Acta 2007 52:4878-4883; Ng SH, Wang J, Wexler D, Chew SY, Liu HK. J Phys Chem C 2007 111:11131-11138)。この方法に関する問題点としては、コーティングプロセスに適合する適切なケイ素出発材料がないこと、および炭素でコートされたケイ素のコアシェル複合粒子内に、リチオ化中のケイ素の膨張に対応するために作られた空隙が内在していないことが挙げられる。これは必然的に、コア-シェル構造およびSEI層の破壊のために、サイクル安定性の欠如につながる(Beattie SD, Larcher D, Morcrette M, Simon B, Tarascon, J-M. J Electrochem Soc 2008 155:A158-A163)。
【0008】
コアシェル構造に代わるものとして、非晶質かつナノサイズのケイ素が多孔質炭素スキャフォールドの細孔内に均質に分布した構造がある。 多孔質炭素は、以下の望ましい特性:(i)炭素の多孔性が、リチオ化時のケイ素の膨張に対応するボイド容積を提供し、かくして電極レベルでの正味の複合粒子の膨張が抑制される;(ii)無秩序なグラフェンネットワークにより、ケイ素への導電性が向上し、かくしてより速い充放電速度が得られる、(iii)ナノ細孔構造は、ケイ素を合成するためのテンプレートとして機能し、それによってケイ素のサイズ、分布およびモルフォロジーが決定される。
【0009】
この目的のために、ケイ素含有ガスがナノポーラスカーボンを完全に透過し、そこでナノサイズのケイ素に分解し得るCVIを採用することで、所望の逆階層構造が達成され得る。CVIのアプローチは、ケイ素構造に関していくつかの利点をもたらす。その一つは、ナノポーラスカーボンがケイ素を成長させるための核生成サイトを提供すると同時に、最大粒子形状および粒子径が決まることである。ケイ素の成長をナノポーラス構造内に閉じ込めることで、クラッキングおよび粉砕の影響を受けにくくなり、膨張による接触の損失も少なくなる。さらに、この構造はナノサイズのケイ素が非晶質相として残ることを促進する。この特性は、特に導電性炭素スキャフォールド内のケイ素近傍との組み合わせにおいて、高い充放電速度を実現する機会を提供する。このシステムは、ナノスケールのケイ素界面にリチウムイオンを直接供給する、高レート対応の固体リチウム拡散経路を提供する。炭素スキャフォールド内にCVIを介してケイ素を供給するその他の利点は、望ましくない結晶性Li15Si4相の形成を抑制することである。さらにもう一つの利点は、CVIプロセスによって粒子内部に空隙ができることである。
【0010】
多孔性カーボンの多孔質内に含浸したケイ素の相対量を測定するために、熱重量分析(TGA)を採用することができる。TGAは、存在する全ケイ素、すなわち多孔質内のケイ素と粒子表面のケイ素との合計に対する、多孔質炭素の多孔質内に存在するケイ素の割合を評価するために使用することができる。ケイ素-炭素複合材が空気下で加熱されると、サンプルは約300℃から500℃まで質量増加を示し始めるが、これはケイ素のSiO2への初期酸化を反映したものである。その後、サンプルは炭素の燃焼に伴って質量減少を示し、その後、サンプルはケイ素のSiO2への変換の再開を反映した質量増加を示し、温度が1100℃に近づくとケイ素の酸化が完結するにつれて漸近値に向かって増加する。この分析では、800℃から1100℃まで加熱したサンプルにおいて記録された最小質量が、炭素の燃焼が完了した時点であるとみなす。それ時点以降の質量の増加は、ケイ素のSiO2への酸化に対応し、酸化完了時の全質量はSiO2である。 従って、ケイ素の総量に対する炭素燃焼後の未酸化ケイ素の割合は、以下の式:
Z=1.875×[(M1100-M)/M1100]×100%
[式中、M1100は1100℃で酸化が完了したときのサンプルの質量であり、Mはサンプルを800℃から1100℃まで加熱したときに記録されたサンプルの最小質量である。]
によって算出され得る。
【0011】
理論に束縛されることなく、TGA条件下でケイ素が酸化される温度は、酸化物層を介した酸素原子の拡散によるケイ素上の酸化物コーティングの長さスケールに関係する。かくして、炭素多孔質内に存在するケイ素は、粒子表面に存在するコーティングが必然的に薄くなるため、粒子表面に堆積したケイ素よりも低い温度で酸化する。このように、Zを計算することで、多孔質炭素スキャフォールドの空隙内に含浸していないケイ素の割合を定量的に評価することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示では、第14族元素を含む球状および単峰性複合材料に関する組成物および製造方法を開示する。本明細書で使用される「第14族」とは、周期表の第14族(IVa)を指す。球状複合粒子は、一次ミクロンサイズの球状かつ微孔性炭素粒子を作製し、その後、球状多孔質炭素スキャフォールド粒子の細孔内にナノサイズの非晶質ケイ素を作製することによって製造される。この目的のために、ケイ素の作製は化学気相含侵法(CVI)によって行われる。球状炭素スキャフォールド粒子の採用は、例えば、二次ミクロンサイズの多孔質炭素粒子の採用と比較して、先行技術に勝る利点を提供する。ここで、多孔質炭素スキャフォールド粒子の記述子(descriptor)としての「一次ミクロンサイズ」は、粒子がその作製時にミクロンサイズの粒子として合成される場合を指す。例えば、その作製時の粒子は、1μm~100μmの粒子を含む粒度分布を有する。注目すべきは、最終的なミクロンサイズの複合粒子を作製するために、CVI処理の前に粒径を小さくする必要がないことである。さらに、本明細書では、多孔質炭素スキャフォールド粒子の記述子としての「二次ミクロンサイズ」は、ミクロンサイズ粒子の達成(例えば、1μm~100μmの粒子を含む粒度分布を有する粒子の達成)が、多孔質炭素スキャフォールド材料の合成後の粒子径の減少によって達成される場合を指す。
【0013】
第14族元素を含む複合粒子を作製するために一次ミクロンサイズの多孔質炭素粒子を採用することは、本明細書で開示するように多くの利点を有する。利点の一つは、粒子径減少工程の排除であり、これは、公知技術として記載されている、例えばハンマーミル、ボールミル、ジェットミル、または他の磨耗型(abrasion type)ミルを使用する粒子径減少といった、磨耗型粉砕法によって達成することができる。微粉化炭素スキャフォールド粒子を製造するための磨耗粉砕は、粒度分布が広くなり、不規則かつのこぎり歯状のモルフォロジーを示し、ならびにリチウムイオン電池システムで使用するための粒子の取り扱い、処理、および性能に課題や不整合(inconsistencies)をもたらす可能性のある微粉の割合が大きくなることがある。本明細書で概説する方法は、粉砕の必要性を回避したミクロンサイズの球状炭素粒子の合成について説明する。いくつかの実施形態において、ミクロンサイズの球状炭素粒子は、離散粒子として調製され、凝集しない。複合材料の球状モルフォロジーおよび単峰性の粒度分布は、粉砕の必要性を回避するだけでなく、粒子表面積の最小化による優れた電気化学的特性をもたらし、理論に束縛されるものではないが、粒子抵抗または望ましくない反応部位を増加させる可能性のある平面接触または点接触を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ケイ素および炭素といった第14族元素を含む本開示の複合材料は、多孔質炭素内に内包された非晶質かつナノサイズのケイ素を提供するための課題を解決する新規の特性を有する。上記ケイ素-炭素コンポジットは、多孔性スキャフォールドの細孔内に非晶質かつナノサイズのケイ素を含浸させるために、化学気相含侵法によって製造され得る。好適な多孔性スキャフォールドとしては、多孔質炭素スキャフォールド、例えば、ミクロ細孔(2nm未満)、メソ細孔(2~50nm)、および/またはマクロ孔(50nm超)を含む細孔容積を有する炭素が挙げられるが、これに限定されない。炭素スキャフォールドに適した前駆体としては、糖およびポリオール、有機酸、フェノール化合物、架橋剤、ならびにアミン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な複合材料としては、ケイ素材料が挙げられるが、これに限定されない。ケイ素の前駆体としては、シラン、高次シラン(ジ-、トリ-、および/またはテトラシランなど)、および/またはクロロシラン(モノ-、ジ-、トリ-、およびテトラクロロシランなど)などのケイ素含有ガス、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。多孔質スキャフォールド材料の細孔内にケイ素を生成させるCVIは、上記多孔質スキャフォールドを、高温でケイ素含有ガス(例えば、シラン)に曝露することにより達成される。多孔質炭素スキャフォールドは、粒子状多孔質炭素であり得る。
【0015】
本発明において重要な結果は、所望の形態のケイ素、すなわち非晶質かつナノサイズのケイ素を実現することである。さらに、その他の重要な結果は、多孔質炭素の細孔内にケイ素を含浸させることである。このような材料、例えばケイ素-炭素複合材料は、例えばリチウムイオン電池用の、例えばエネルギー貯蔵デバイスのアノード材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】様々なケイ素-炭素複合材料における、Zと平均クーロン効率との関係。
【
図2】ハーフセルを使用した第2サイクルからの、ケイ素-炭素コンポジット3における、微分容量vs電圧プロット。
【
図3】ハーフセルを使用した第2サイクル~第5サイクルの、ケイ素-炭素コンポジット3における、微分容量vs電圧プロット。
【
図4】様々なケイ素-炭素複合材料における、dQ/dV vs V プロット。
【
図5】ケイ素-炭素コンポジット3における、φの計算例。
【
図6】様々なケイ素-炭素複合材料における、Z vs φ プロット。
【
図7】優先排除剤の非存在下、熱水縮合機構(hydrothermal condensation mechanism)によって生成された一次球状熱分解炭素粒子を含む炭素スキャフォールド12のSEM。
【
図8】優先排除剤の存在下、熱水縮合機構によって生成された一次球状熱分解炭素粒子の各種サンプルのSEM。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
以下の説明では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細を示す。しかしながら、当業者であれば、これらの詳細がなくても本発明を実施できることを理解するであろう。他の例では、実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、公知の構造は示されず、詳細には説明されない。特段の指示がない限り、本明細書およびそれに続く特許請求の範囲を通して、"comprise"およびその変形語、例えば、"comprises "および "comprising "は、開放的かつ包括的な意味、すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味で解釈される。さらに、本明細書で提供される見出しは便宜上のものに過ぎず、請求される発明の範囲または意味を解釈するものではない。
【0018】
本明細書全体を通して、"one embodiment"または"an embodiment"(一実施形態)という言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。かくして、本明細書を通じて様々な箇所で"in one embodiment"または"in an embodiment"(一の実施形態において)という表現が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形"a"、"an"、および"the"は、特段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。 また、用語"or"(または)は、特段の指示がない限り、一般に「および/または」を含む意味で使用されることにも留意されたい。
【0019】
A.一次ミクロンサイズの多孔質炭素スキャフォールド粒子
ポリマー前駆体から多孔質炭素材料を製造する従来の方法は当該技術分野で公知である。例えば、炭素材料の製造方法は、米国特許第7,723,262号、同第8,293,818号、同第8,404,384号、同第8,654,507号、同第8,916,296号、同第9,269,502号、同第10,590,277号、および米国特許出願公開第16/745,197号に記載されており、これらの全開示内容は、全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。微粉化炭素スキャフォールド粒子を製造するために、粒子を摩滅粉砕の一形態によって製造する従来の方法を採用すると、粒度分布が広くなり、不規則かつのこぎり歯状の粒子形態を示し、ならびにリチウムイオン電池システムにおける取り扱い、処理、および性能に課題や不整合をもたらす可能性のある微粉の割合が大きくなることがある。本明細書で概説する方法は、粉砕の必要性を回避する、微粉化球状炭素粒子の合成について説明する。 いくつかの実施形態において、微粉化球状炭素粒子は、離散した非凝集粒子である。
【0020】
これら従来の方法とは対照的に、本明細書では、一次サブミクロンまたは一次ミクロンサイズの多孔質炭素スキャフォールド粒子の合成を可能にする別のアプローチを開示する。これらの粒子は球状のモルフォロジーを示す。 一次ミクロンサイズの多孔質炭素粒子は、反応混合物の水熱炭化によって製造され得る。従って、反応混合物は、ポリオールと、ポリオールの優先的排除を促進するための優先排除剤とを含む水性環境(aqueous milieu)であり、水性環境内に球状のミクロンサイズのドメインを形成するために、水熱チャー(hydrothermal char、HTC)を達成するのに十分な高温に供される。適切なポリオールとしては、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、イソマルト、ラクチトール、スクロース、フルクトース、フルフラール、グルコース、クエン酸、デンプン、セルロース、アルロース、キサンタムガム、アラビアガム、アルギン酸塩、キチン、キトサン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。 特定の好ましい実施形態において、還元糖が使用される。
【0021】
ポリオールの濃度は、例えば0.001M~10M、例えば0.01M~10M、例えば0.1M~10M、例えば0.5M~5Mであり得る。特定の実施形態において、反応混合物は、架橋剤を含んでもよい。好適な架橋剤としては、フルフラール、ヘキサメチレンテトラミン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。架橋剤の濃度は、例えば0.001M~10M、例えば0.01M~10M、例えば0.1M~10Mであってよく、別として0.001M~5M、例えば0.01M~5M、例えば0.1M~5M、例えば0.1M~1Mであってよい。
【0022】
反応混合物としては、アルコール、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン、グリコール、グリム、アルカン、エーテル、およびこれらの組み合わせを含む1つまたは複数の共溶媒が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、反応混合物としては、アルコール、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン、グリコール、グリム、アルカン、エーテル、およびこれらの組み合わせを含む1つまたは複数の共溶媒が挙げられ得るが、これらに限定されない。共溶媒対水の体積比(V:V)は、例えば0.001:1~1000:1、例えば0.01:1~100:1、例えば0.1~10:1であってよい。
【0023】
反応混合物は、優先排除剤を含む。水性環境は、後に反応混合物を時間をかけて高温に曝露するとHTCに変換されるところ、優先排除剤は、上記水性環境内の球状ミクロンサイズのドメインの形成を促進する薬剤として定義される。優先排除剤は、その存在がポリオールと溶媒との相互作用を排除し、ポリオール凝集体を促進する特性を有する。理論に束縛されるものではないが、優先排除剤が優先的排除をもたらし得る様々な機構があり、これにはイオン相互作用及び水素結合相互作用が含まれるが、これらに限定されない。優先排除剤の例として、カルボキシメチルセルロースまたはポリアクリル酸といったポリアニオン種が挙げられるが、これらに限定されない。優先排除剤の他の例としては、イオン性、非イオン性、または双性イオン性の界面活性剤が挙げられる。これに関する例示界面活性剤の例として、トリトン、SPAN、プルロニクス等が挙げられる。
【0024】
反応混合物は、HTCから成る球状粒子を形成するのに十分な時間及び温度に曝露され得る。HTCを製造する時間は、例えば1時間~72時間であってよい。温度は、例えば120℃~300℃、例えば140℃~240℃、例えば150℃~250℃まで、例えば160℃~220℃であってよい。特定の実施形態において、反応温度は、界面活性剤が劣化または分解を開始する温度以下に設定される。好ましい実施形態において、HTCを製造するための温度は、170℃~210℃、または180℃~200℃、または180℃~220℃である。周囲温度から反応温度へのランプ(ramp)は、例えば1℃/分~100℃/分、例えば2℃/分~50℃/分、例えば5℃/分~20℃/分であり得る。
【0025】
HTCを製造するための反応は、反応器内で行われ、ここで、圧力は、例えば周囲圧力から周囲圧力よりも高い圧力、例えば0.1psig~1000psig、例えば1psig~1000psig、例えば1psig~500、例えば、100psig~500psigであり得る。好ましい実施形態において、反応器圧力は、120psig~300psig、または130psig~280psig、例えば140psig~260psig、例えば145psig~225psigである。
【0026】
反応混合物を攪拌するか、または他の方法で混合して、反応混合物全体にわたって球状ポリオールリッチドメインの形成を促進できる。この混合は、磁気バーまたは1つ以上の座付きパドル、超音波処理、振動、反応器設計(例えば回転/固定子反応器設計など)などによる攪拌を含む、当該技術分野で公知の反応器において達成され得る。反応器の形状反応器材料(例えば、テフロン(登録商標)ライナーを有する密閉ステンレス鋼オートクレーブ型容器など)と同様に、当該技術分野で公知のように変更することができる。好ましいモードにおける反応容器(reactor vessel)は、反応の過程中の様々な時間において成分を導入するための1つ以上のポートを有し得る。反応器は、バッチ式でも連続式でも実行され得る。反応の進行は、サンプルを取り出し、粘度、導電性、吸光度(可視および/またはUV波長)、懸濁粒子のサイズ(当該技術分野で知られているように、例えばレーザー光散乱によって)などの様々な特性を分析することによって観察され得る。別として、反応の進行をラインで観察され得る。
【0027】
特定の実施形態において、水性反応環境は、酸性pH、例えばpH2~pH6、例えばpH2~pH4、又はpH4~pH5、又はpH5~pH6を示す。その他の特定の実施形態において、水性反応環境は、塩基性pH、例えばpH8~pH14、例えばpH8~pH12、又はpH8~pH10、又はpH9~pH10を示す。他の実施形態において、水性反応環境は、中世pH、例えばpH6~pH8、例えばpH6~pH7、例えばpH7~pH8を示す。pHは、当該技術分野で公知の酸および/または塩基の添加によって調整され得る。いくつかの実施形態においては、酢酸のような揮発性酸および/または酢酸アンモニウムのような揮発性塩基を用いてpHを調整できる。いくつかの実施形態において、緩衝系は、水性反応環境のpHを制御するために、当該該技術分野で公知のように使用され得る。いくつかの実施形態において、水性反応環境のpHを調整および/または制御するために使用される薬剤は、優先排除剤、例えばアミノ酸としても作用し得る。
【0028】
水性反応環境の導電率は、例えば0~1000mS/cmであり得る。水性反応環境の酸化還元電位(ORP)は、例えば+2.87V~-3.05Vであり得る。水性反応環境の粘度は、例えば0.1cP~1000cPであり得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、水性反応環境は、特に限定されないが、例えばリチウムのような金属を含む触媒粒子を含み得る。この点に関する他の触媒の例としては、非晶質炭素、ナノグラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどのナノサイズおよび/またはナノ構造炭素、およびこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態において、触媒は、シラン/シロキサン架橋剤、過硫酸塩、水酸化物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0030】
特定の実施形態において、水性反応環境は、電気化学修飾剤(electrochemical modifier)を含む。例えば、いくつかの実施形態においては、金属粒子、金属ペースト、金属塩、金属酸化物または溶融金属の形態の電気化学修飾剤は、HTCが生成される混合物に溶解または懸濁され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤はリチウム塩であり、特に限定されるものではないが、例えばフッ化リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、安息香酸リチウム、臭化リチウム、ギ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、ヨウ素酸リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、リン酸リチウム、硫酸リチウム、四ホウ酸リチウム、四フッ化リチウム、およびこれらの組み合わせである。
【0032】
特定の実施形態において、電気化学修飾剤は金属を含み、化学種としては、特に限定されるものではないが、例えばアルミニウムイソプロプロキシド、酢酸マンガン、酢酸ニッケル、酢酸鉄、塩化スズ、塩化ケイ素、およびこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態において、電気化学修飾剤はリン酸化合物であり、例えばフィチン酸、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、電気化学修飾剤はケイ素を含み、種の例として、ケイ素粉末、ケイ素ナノチューブ、多結晶ケイ素、ナノ結晶ケイ素、非晶質ケイ素、多孔質ケイ素、ナノサイズケイ素、ナノフィーチャーケイ素(nano-featured silicon)、ナノサイズかつナノフィーチャーケイ素、シリシン、およびブラックケイ素、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
電気化学修飾剤は、潜在的(または二次的)ポリマー機能性(functionality)を有する物理的混合または化学反応のいずれかを通じて、様々なポリマー系と組み合わせることができる。潜在的ポリマー機能性の例としては、エポキシド基、不飽和(二重及び三重結合)、酸基、アルコール基、アミン基、塩基性基が挙げられるが、これらに限定されない。潜在的な機能性を有する架橋は、ヘテロ原子(例えば、硫黄との加硫、リン酸との酸/塩基/開環反応)、有機酸または塩基との反応(上述した反応)、遷移金属(Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ag、Auを含むがこれらに限定されない)への配位、開環または閉環反応(ロタキサン、スピロ化合物等)によって生じ得る。
【0034】
HTCの生成後、得られた複数の粒子は、濾過、遠心分離、沈殿などの当該技術分野で公知の方法によって水性環境から除去することができ、いずれの残留水も、材料を加熱および/または真空にさらすことによって除去することができ、乾燥HTCが得られる。乾燥HTCを熱分解して、複数の球状の一次サブミクロンまたはミクロンサイズの多孔性熱分解炭素粒子が得られる。熱分解の温度および滞留時間は様々であってよく、例えば、滞留時間は1分~10分、10分~30分、30分~1時間、1時間~2時間、2時間~4時間、4時間~24時間であり得る。温度は様々であってよく、例えば熱分解温度は、200℃~300℃、250℃~350℃、350℃~450℃、450℃~550℃、540℃~650℃、650℃~750℃、750℃~1050℃、750℃~850℃、850℃~950℃、950℃~1050℃、1050℃~1150℃、1150℃~1250℃であり得る。熱分解は、不活性ガス、例えば窒素またはアルゴン中で行われ得る。
【0035】
いくつかの実施形態においては、代替ガスを使用して炭素活性化をさらに達成し、ケイ素-炭素複合材料を製造するための後続のCVI反応のためのスキャフォールドとして役立つ十分な多孔性を有する複数の一次多孔質炭素粒子を得る。特定の実施形態においては、熱分解と活性化とが組み合わされる。炭素活性化を達成するための適切なガスは、活性ガスとして定義することができ、例えば二酸化炭素、一酸化炭素、水(蒸気) 、空気、酸素、およびこれらのさらなる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。活性化の温度および滞留時間は様々であってよく、例えば、滞留時間は1分~10分、10分~30分、30分~1時間、1時間~2時間、2時間~4時間、4時間~24時間であり得る。温度は様々であってよく、例えば、200℃~300℃、250℃~350℃、350℃~450℃、450℃~550℃、540℃~650℃、650℃~750℃、750℃~850℃、750℃~1050℃、850℃~950℃、950℃~1050℃、1050℃~1150℃、1150℃~1250℃であり得る。
【0036】
熱分解前、および/または熱分解後、および/または活性化後のいずれかにおいて、炭素は粒子径の低減を受けてもよい。粒子径の低減は、種々のガス(例えば空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、超臨界蒸気、およびその他の公知のガス)の存在下で、当該技術分野で公知の種々の技術(例えばジェットミル)よって達成され得る。その他の粒径の減少方法としては、研削、ボールミル、ジェットミル、ウォータージェットミル、およびその他の当技術分野で公知の方法も想定される。しかしながら、好ましい実施形態において、HTC材料は、ケイ素-炭素コンポジットを製造するためのスキャフォールドとして使用するのに適切な範囲にある複数の一次粒子として既に製造されているため、さらなる粒子径の低減方法は行われない。
【0037】
一次多孔質炭素スキャフォールド粒子の粒径および粒度分布は、当該技術分野で公知の種々の技術によって測定され、体積分率に基づいて記述され得る。この点に関して、炭素スキャフォールドのDv,50は、10nm~10mm、例えば100nm~1mm、例えば1マイクロメータ(μm)~100μm、例えば2μm~50μm、例えば3μm~30μm、例えば4μm~20μm、例えば5μm~10μmであり得る。特定の実施形態において、Dv,50は、1mm未満、例えば100μm未満、例えば50μm未満、例えば30μm未満、例えば20μm未満、例えば10μm未満、例えば8μm未満、例えば5μm未満、例えば3μm未満、例えば1μm未満である。特定の実施形態において、Dv,100は、1mm未満、例えば100μm未満、例えば50μm未満、例えば30μm未満、例えば20μm未満、例えば10μm未満、例えば8μm未満、例えば5μm未満、例えば3μm未満、例えば1μm未満である。特定の実施形態において、Dv,99は、1mm未満、例えば100μm未満、例えば50μm未満、例えば30μm未満、例えば20μm未満、例えば10μm未満、例えば8μm未満、例えば5μm未満、例えば3μm未満、例えば1μm未満である。特定の実施形態において、Dv,90は、1mm未満、例えば100μm未満、例えば50μm未満、例えば30μm未満、例えば20μm未満、例えば10μm未満、例えば8μm未満、例えば5μm未満、例えば3μm未満、例えば1μm未満である。特定の実施形態において、Dv,0は、10nm超、例えば100nm超、例えば500nm超、例えば1μm超、例えば2μm超、例えば5μm超、例えば10μm超である。特定の実施形態において、Dv,1は、10nm超、例えば100nm超、例えば500nm超、例えば1μm超、例えば2μm超、例えば5μm超、例えば10μm超である。特定の実施形態において、Dv,10は、10nm超、例えば100nm超、例えば500nm超、例えば1μm超、例えば2μm超、例えば5μm超、例えば10μm超である。
【0038】
いくつかの実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドの表面積は、400m2/g超、例えば500m2/g超、例えば750m2/g超、例えば1000m2/g超、例えば1250m2/g超、例えば1500m2/g超、例えば1750m2/g超、例えば2000m2/g超、例えば2500m2/g超、例えば3000m2/g超を含み得る。他の実施形態においては、多孔質炭素スキャフォールドの表面積は、500m2/g未満であり得る。いくつかの実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドの表面積は、200~500m2/gである。いくつかの実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドの表面積は、100~200m2/gである。いくつかの実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドの表面積は、50~100m2/gである。いくつかの実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドの表面積は、10~50m2/gである。いくつかの実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドの表面積は、10m2/g未満であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、一次多孔質炭素スキャフォールド粒子の細孔容積は、0.4cm3/g超、例えば0.5cm3/g超、例えば0.6cm3/g超、例えば0.7cm3/g超、例えば0.8cm3/g超、例えば0.9cm3/g超、例えば1.0cm3/g超、例えば1.1cm3/g超、例えば1.2cm3/g超1.4、例えば1.6cm3/g超、例えば1.8cm3/g超、例えば2.0cm3/g超である。その他の実施形態において、多孔質ケイ素スキャフォールドの細孔容積は、0.5cm3未満であり、例えば0.1cm3/g~0.5cm3/gである。特定の他の実施形態において、多孔質ケイ素スキャフォールドの細孔体積は、0.01cm3/g~0.1cm3/gである。さらなる別の実施形態において、細孔容積は、0.001cm3/g~0.01cm3/gであってもよい。
【0040】
その他のいくつかの実施形態において、一次多孔質炭素スキャフォールド粒子は、0.2~2.0cm3/gの細孔容積を有する非晶質な活性炭を含む。特定の実施形態において、炭素は、0.4~1.5cm3/gの細孔容積を有する非晶質な活性炭である。特定の実施形態において、炭素は、0.5~1.2cm3/gの細孔容積を有する非晶質活性炭である。特定の実施形態において、炭素は、0.6~1.0cm3/gの細孔容積を有する非晶質活性炭である。
【0041】
その他のいくつかの実施形態において、一次多孔質炭素スキャフォールド粒子は、1.0g/cm3未満、例えば0.8g/cm3未満、例えば0.6g/cm3未満、例えば0.5g/cm3未満、例えば0.4g/cm3未満、例えば0.3g/cm3未満、例えば0.2g/cm3未満、例えば0.1g/cm3未満のタップ密度を含む。
【0042】
一次多孔質炭素スキャフォールド粒子の表面機能性は様々であり得る。表面機能性を予測できる一つの特性は、多孔質炭素スキャフォールドのpHである。本開示の多孔質炭素スキャフォールドは、1未満~約14、例えば5未満、5~8または8超のpH値を含む。いくつかの実施形態において、多孔質炭素のpHは、4未満、3未満、2未満、または1未満であってもよい。その他の実施形態において、多孔質炭素のpHは、約5~6、約6~7、約7~8、または8~9、または9~10である。さらにその他の実施形態においては、pHは高く、多孔質炭素のpHは、8超、9超、10超、11超、12超、または13超である。
【0043】
一次多孔質炭素スキャフォールド粒子の細孔体積分布は様々であり得る。例えば、ミクロ細孔の割合(%)は、30%未満、例えば20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満、例えば4%未満、例えば3%未満、例えば2%未満、例えば1%未満、例えば0.5%未満、例えば0.2%未満、例えば0.1%未満を含み得る。特定の実施形態においては、多孔質炭素スキャフォールドに検出可能なミクロ細孔容積は存在しない。
【0044】
一次多孔質炭素スキャフォールド粒子を構成するメソ細孔は様々であり得る。例えば、%メソ細孔は、30%未満、例えば20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満、例えば4%未満、例えば3%未満、例えば2%未満、例えば1%未満、例えば0.5%未満、例えば0.2%未満、例えば0.1%未満を含み得る。特定の実施形態においては、多孔質炭素スキャフォールドに検出可能なメソ細孔容積は存在しない。
【0045】
いくつかの実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドの細孔容積分布は、50%超のマクロ孔、例えば60%超のマクロ孔、例えば70%超のマクロ孔、例えば80%超のマクロ孔、例えば90%超のマクロ孔、例えば95%超のマクロ孔、例えば98%超のマクロ孔、例えば99%超のマクロ孔、例えば99.5%超のマクロ孔、例えば99.9%超のマクロ孔を含む。
【0046】
特定の好ましい実施形態において、一次多孔質炭素スキャフォールド粒子の細孔容積は、ミクロ細孔、メソ細孔、およびマクロ孔のブレンドを含む。したがって、特定の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、0~20%のミクロ細孔、30~70%のメソ細孔、および10%未満のマクロ孔を含む。その他の特定の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、0~20%のミクロ細孔、0~20%のメソ細孔、および70~95%のマクロ孔を含む。特定の他の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、20~50%のミクロ細孔、50~80%のメソ細孔、および0~10%のマクロ孔を含む。その特定の他の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、40~60%のミクロ細孔、40~60%のメソ細孔、および0~10%のマクロ孔を含む。その他の特定の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、80~95%のミクロ細孔、0~10%のメソ細孔、および0~10%のマクロ孔を含む。その他の特定の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、0~10%のミクロ細孔、30~50%のメソ細孔、および50~70%のマクロ孔を含む。その他の特定の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、0~10%のミクロ細孔、70~80%のメソ細孔、および0~20%のマクロ孔を含む。その他の特定の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、0~20%のミクロ細孔、70~95%のメソ細孔、および0~10%のマクロ孔を含む。その他の特定の実施形態において、多孔質炭素スキャフォールドは、0~10%のミクロ細孔、70~95%のメソ細孔、および0~20%のマクロ孔を含む。
【0047】
特定の実施形態において、100~1000A(10~100nm)の細孔を表す一次多孔質炭素スキャフォールド粒子における細孔容積の%は、全細孔容積の30%超、例えば全細孔容積の40%超、例えば全細孔容積の50%超、例えば全細孔容積の60%超、例えば全細孔容積の70%超、例えば全細孔容積の80%超、例えば全細孔容積の90%超、例えば全細孔容積の95%超、例えば全細孔容積の98%超、例えば全細孔容積の99%超、例えば全細孔容積の99.5%超、例えば99.9%超を含む。
【0048】
特定の実施形態において、一次多孔質炭素スキャフォールド粒子のピクノメトリー密度(pycnometry density)は、約1g/cc~約3g/ccであり、例えば約1.5g/cc~約2.3g/ccである。他の実施形態において、骨格密度は、約1.5cc/g~約1.6cc/g、約1.6cc/g~約1.7cc/g、約1.7cc/g~約1.8cc/g、約1.8cc/g~約1.9cc/g、約1.9cc/g~約2.0cc/g、約2.0cc/g~約2.1cc/g、約2.1cc/g~約2.2cc/g、または約2.2cc/g~約2.3cc/g、約2.3cc~約2.4cc/gであり、例えば約2.4cc/g~約2.5cc/gである。
【0049】
B.化学気相含侵法(CVI)によるケイ素の製造
化学気相成長法(CVD)は、基材がコンポジットの第1成分を含む固体表面を提供し、ガスがこの固体表面上で熱分解してコンポジットの第2成分を提供する方法である。このようなCVDアプローチは、例えば、ケイ素粒子の外面にケイ素をコーティングしたSi-C複合材料の製造に使用できる。別として、化学気相含侵法(CVI)は、基材がコンポジットの第1成分を含む多孔質スキャフォールドを提供し、ガスが多孔質スキャフォールド材料の多孔質内(細孔内)で熱分解してコンポジットの第2成分を提供する方法である。
【0050】
一の実施形態において、ケイ素は、多孔質炭素粒子を、ケイ素含有ガス、好ましくはシランの存在下、高温で、ケイ素含有前駆体ガスに供して、当該ガスをケイ素に分解することにより、多孔質炭素スキャフォールドの細孔内に生成される。ケイ素含有前駆体ガスは、他の不活性ガス、例えば窒素ガスと混合することができる。処理の温度および時間は様々であえってよく、例えば温度は200~900℃、例えば200~250℃、例えば250~300℃、例えば300~350℃、例えば300~400℃、例えば350~450℃、例えば350~400℃、例えば400~500℃、例えば500~600℃、例えば600~700℃、例えば700~800℃、例えば800~900℃、例えば600~1100℃であり得る。
【0051】
混合ガスは、0.1~1%のシランおよび残りの不活性ガスを含み得る。あるいは、混合ガスは、1%~10%のシランおよび残りの不活性ガスを含み得る。あるいは、混合ガスは、10%~20%のシランおよび残りの不活性ガスを含み得る。あるいは、混合ガスは、20%~50%以下のシランおよび残りの不活性ガスを含み得る。あるいは、混合ガスは、50%超のシランおよび残りの不活性ガスを含み得る。あるいは、ガスは本質的に100%シランガスであり得る。適切な不活性ガスとしては、水素、窒素、アルゴン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
CVIプロセスの圧力は様々であり得る。いくつかの実施形態において、圧力は大気圧である。いくつかの実施形態において、圧力は大気圧未満である。いくつかの実施形態において、圧力は大気圧超である。
【0053】
C.ケイ素-炭素コンポジットの物理的および電気化学的性質
理論に束縛されることは望まないが、多孔質炭素スキャフォールドの特定の所望の細孔容積構造(例えば、5~1000nmまたは本明細書の他の箇所に開示されるような他の範囲の細孔を充填するケイ素)を充填する結果として達成されるナノサイズのケイ素は、低表面積、低ピクノメトリー密度を含むコンポジットの他の成分の有利な特性と共に、異なる有利な特性、例えば、コンポジットがリチウムイオンエネルギー貯蔵デバイスのアノードを構成する場合の電気化学的性能を有する複合材料をもたらすと考えられる。
【0054】
特定の実施形態において、コンポジット内に埋め込まれた埋め込みケイ素粒子は、ナノサイズの特徴(feature)を含む。ナノサイズの特徴は、好ましくは1μm未満、好ましくは300nm未満、好ましくは150nm未満、好ましくは100μm未満、好ましくは50nm未満、好ましくは30nm未満、好ましくは15nm未満、好ましくは10nm未満、好ましくは5nm未満の特徴的な長さスケールを有し得る。
【0055】
特定の実施形態において、コンポジット中に埋め込まれたケイ素は球状である。他の特定の実施形態において、多孔質ケイ素粒子は非球状、例えば棒状、または繊維状構造である。いくつかの実施形態において、ケイ素は多孔質炭素スキャフォールド内の細孔の内側を被覆する層として存在する。このケイ素層の深さは様々であり得、例えば深さは5nm~10nm、例えば5nm~20nm、例えば5nm~30nm、例えば5nm~33nm、例えば10nm~30nm、例えば10nm~50nm、例えば10nm~100nm、例えば10~150nm、例えば50nm~150nm、例えば100~300nm、例えば300~1000nmであり得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、コンポジット中に埋め込まれたケイ素はナノサイズであり、多孔質炭素スキャフォールドの細孔内に存在する。例えば、埋め込まれたケイ素は、5~1000nm、例えば10~500nm、例えば10~200nm、例えば10~100nm、例えば33~150nm、例えば20~100nmの細孔サイズを含む多孔質炭素粒子内の細孔に、CVIまたは他の適切な方法によって含侵、堆積され得る。ミクロ細孔、メソ細孔、マクロ孔のいずれであっても、分画細孔容積に関して他の範囲の炭素細孔サイズも想定される。
【0057】
いくつかの実施形態において、炭素スキャフォールドの細孔容積分布は、ガス収着分析、例えば窒素ガス収着分析に基づいて当該技術分野で知られているように決定される、細孔の数または容積分布として記載され得る。いくつかの実施形態において、細孔径分布は、全細孔容積のある割合が存在する細孔径またはそれ以下の細孔径という観点から表すことができる。例えば、細孔の10%以下が存在する細孔径は、DPv10で表すことができる。
【0058】
多孔質炭素スキャフォールドのDPv10は様々であり得、例えばDPv10は、0.01nm~100nm、例えば0.1nm~100nm、例えば1nm~100nm、例えば1nm~50nm、例えば1nm~40nm、例えば1nm~30nm、例えば1nm~10nm、例えば1nm~5nmであり得る。
【0059】
多孔質炭素スキャフォールドのDPv50は様々であり得、例えばDPv50は0.01nm~100nm、例えば0.1nm~100nm、例えば1nm~100nm、例えば1nm~50nm、例えば1nm~40nm、例えば1nm~30nm、例えば1nm~10nm、例えば1nm~5nmであり得る。他の実施形態において、DPv50は2~100であり、例えば2~50、例えば2~30、例えば2~20、例えば2~15、例えば2~10である。
【0060】
多孔質炭素スキャフォールドのDPv90は様々であり得、例えばDPv90は0.01nm~100nm、例えば0.1nm~100nm、例えば1nm~100nm、例えば1nm~50nm、例えば1nm~50nm、例えば1nm~40nm、例えば1nm~30nm、例えば1nm~10nm、例えば1nm~5nmであり得る。他の実施形態において、DPv50は2nm~100nmであり、例えば2nm~50nm、例えば2nm~30nm、例えば2nm~20nm、例えば2nm~15nm、例えば2nm~10nmである。
【0061】
いくつかの実施形態において、DPv90は100nm未満であり、例えば50nm未満、例えば40nm未満、例えば30nm未満、例えば20nm未満、例えば15nm未満、例えば10nm未満である。いくつかの実施形態において、炭素スキャフォールドは、70%超のミクロ細孔(および、DPv90が100nm未満、例えばDPv90が50nm未満、例えばDPv90が40nm未満、例えばDPv90が30nm未満、例えばDPv90が20nm未満、例えばDPv90が15nm未満、例えばDPv90が10nm未満、例えばDPv90が5nm未満、例えばDPv90が4nm未満、例えばDPv90が3nm未満)を有する細孔容積を含む。他の実施形態において、炭素スキャフォールドは、80%超のミクロ細孔を有する細孔容積、および100nm未満のDPv90、例えば50nm未満のDPv90、例えば40nm未満のDPv90、例えば30nm未満のDPv90、例えば20nm未満のDPv90、例えば15nm未満のDPv90、例えば10nm未満のDPv90、例えば5nm未満のDPv90、例えば4nm未満のDPv90、例えば3nm未満のDPv90を含む。
【0062】
多孔質炭素スキャフォールドのDPv99は様々であり得、例えばDPv99は0.01nm~1000nm、例えば0.1nm~1000nm、例えば1nm~500nm、例えば1nm~200nm、例えば1nm~150nm、例えば1nm~100nm、例えば1nm~50nm、例えば1nm~20nmであり得る。他の実施形態において、DPv99は2nm~500nmであり、例えば2nm~200nm、例えば2nm~150nm、例えば2nm~100nm、例えば2nm~50nm、例えば2nm~20nm、例えば2nm~15nm、例えば2nm~10nmである。
【0063】
本明細書に開示されるリチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを有するコンポジットの実施形態は、あらゆる電気エネルギー貯蔵デバイス、例えばリチウムイオン電池の特性を改善する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZを示し、例えば5未満のZ、例えば4未満のZ、例えば3未満のZ、例えば2未満のZ、例えば1未満のZ、例えば0.1未満のZ、例えば0.01未満のZ、例えば0.001未満のZを示す。特定の実施形態において、Zは0である。
【0064】
特定の好ましい実施形態において、ケイ素-炭素コンポジットは、他の所望の物理化学的および/または電気化学的特性と組み合わせて、または1つ以上の他の所望の物理化学的特性および/または電気化学的特性と組み合わせて、好ましくは低いZを含む。表1は、ケイ素-炭素コンポジットの特性の組み合わせに関する特定の実施形態の説明を提供する。表面積は、当該技術分野において公知のように、例えば窒素ガス収着分析によって、決定され得る。ケイ素含有量は、当該技術分野において公知のように、例えばTGAによって決定され得る。特性Zは、本開示に従ってTGAから決定され得る。第1サイクル効率は、当該技術分野において公知のように決定することができ、例えば、フルセルまたはハーフセルにおける第1サイクル充放電容量に基づいて計算され得る。例えば、第1サイクル効率は、5mV~0.8Vの電圧ウィンドウ、別として5mV~1.5Vの電圧ウィンドウのハーフセルにおいて決定され得る。可逆容量は、最大可逆容量または最大容量として記述することができ、例えば、当技術分野で公知のように、5mV~0.8V、別として5mV~1.5Vの電圧ウィンドウのハーフセルで、決定され得る。
【0065】
表1.具体化された特性を有するケイ素-炭素コンポジットの実施形態
【表1】
【0066】
表1によると、ケイ素-炭素コンポジットは、様々な特性の組み合わせを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、100m2/g未満の表面積、80%超の第1サイクル効率、および少なくとも1300mAh/gの可逆容量を含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、100m2/g未満の表面積、80%超の第1サイクル効率、および少なくとも1600mAh/gの可逆容量を含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、20m2/g未満の表面積、85%超の第1サイクル効率、および少なくとも1600mAh/gの可逆的な容量を含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、10m2/g未満の表面積、85%超の第1サイクル効率、および少なくとも1600mAh/gの可逆容量を含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、10m2/g未満の表面積、90%超の第1サイクル効率、および少なくとも1600mAh/gの可逆容量を含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、10m2/g未満の表面積、90%超の第1サイクル効率、および少なくとも1800mAh/gの可逆容量を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、TGAオンセット温度は、非ポリオール前駆体から作製された同様のケイ素-炭素複合材料よりも高い。理論に束縛されるものではないが、より高いTGAオンセット温度は、電池アノード(例えば、リチウムイオン電池アノードまたはリチウムケイ素電池アノード)のアノード材料として使用される場合、ケイ素-炭素コンポジットのガス化がより少なくなり得る。
【0068】
表2.ケイ素-炭素コンポジットのTGAオンセット温度
【表2】
【0069】
いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素コンポジットのTGAオンセット温度は、600℃超である。さらに他の実施形態において、ケイ素-炭素コンポジットのTGAオンセット温度は、300℃~400℃;400℃~500℃;または500℃~600℃である。いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素コンポジットのTGAオンセット温度は、600℃超である。
【0070】
ケイ素-炭素コンポジットは、本開示内に記載される特性も含む炭素スキャフォールドも含むことに加え、前述の特性の組み合わせを含み得る。従って、表2は、ケイ素-炭素コンポジットの特性の組み合わせに関する特定の実施形態の説明を提供する。
【0071】
表3.具体化された特性を有するケイ素-炭素コンポジットの実施形態
【表3】
【0072】
本明細書で使用される「ミクロ細孔率(microporosity)」、「メソ細孔率(mesoporosity)」および「マクロ孔率(macroporosity)」は、それぞれ全細孔容積に対するミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ孔の割合を意味する。例えば、90%のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドは、炭素スキャフォールドの全細孔容積の90%がミクロ細孔によって形成される炭素スキャフォールドである。
【0073】
表3によると、ケイ素-炭素コンポジットは、様々な特性の組み合わせを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、100m2/g未満の表面積、80%超の第1サイクル効率、少なくとも1600mAh/gの可逆容量、15%~85%のケイ素含有量、0.2~1.2cm3/gの炭素スキャフォールド総細孔容積を含み得、ここで、スキャフォールド細孔容積は、80%超のミクロ細孔、20%未満のメソ細孔、および10%未満のマクロ孔を含む。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、20m2/g未満の表面積、85%超の第1サイクル効率、少なくとも1600mAh/gの可逆容量、15%~85%のケイ素含有量、0.2~1.2cm3/gの炭素スキャフォールド全細孔容積を含み得、ここで、スキャフォールド細孔容積は、80%超のミクロ細孔、20%未満のメソ細孔、および10%未満のマクロ孔を含む。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、10m2/g未満の表面積、85%超の第1サイクル効率、および少なくとも1600mAh/gの可逆容量、15%~85%のケイ素含有量、0.2~1.2cm3/gの炭素スキャフォールド全細孔容積を含み得、ここで、スキャフォールド細孔容積は、80%超のミクロ細孔、20%未満のメソ細孔、および10%未満のマクロ孔を含む。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、10m2/g未満の表面積、90%超の第1サイクル効率、および少なくとも1600mAh/gの可逆容量、15%~85%のケイ素含有量、0.2~1.2cm3/gの炭素スキャフォールド全細孔容積を含み得、ここで、スキャフォールド細孔容積は、80%超のミクロ細孔、20%未満のメソ細孔、および10%未満のマクロ孔を含む。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、10m2/g未満の表面積、90%超の第1サイクル効率、および少なくとも1800mAh/gの可逆容量、15%~85%のケイ素含有量、0.2~1.2cm3/gの炭素スキャフォールド全細孔容積を含み得、ここでスキャフォールド細孔容積は、80%超のミクロ細孔、20%未満のメソ細孔、および10%未満のマクロ孔を含む。
【0074】
また、表3によると、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9969以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9970以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9975以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9980以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9985以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9990以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9995以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9970以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。例えば、ケイ素-炭素コンポジットは、80%超のミクロ細孔、30~60%のケイ素含有量、0.9999以上の平均クーロン効率、および10未満のZを有する炭素スキャフォールドを含み得る。
【0075】
理論に束縛されるものではないが、多孔質炭素の細孔内へのケイ素の充填は、多孔質炭素スキャフォールド粒子内の多孔性を捕捉(trap)し、その結果、アクセス不可能な体積、例えば窒素ガスがアクセス不可能な体積をもたらす。従って、ケイ素-炭素複合材料は、2.1g/cm3未満、例えば2.0g/cm3未満、例えば1.9g/cm3未満、例えば1.8g/cm3未満、例えば1.7g/cm3未満、例えば1.6g/cm3未満、例えば1.4g/cm3未満、例えば1.2g/cm3未満、例えば1.0g/cm3未満のピクノメトリー密度を示し得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、1.7g/cm3~2.1g/cm3、例えば1.7g/cm3~1.8g/cm3、1.8g/cm3~1.9g/cm3、例えば1.9g/cm3~2.0g/cm3、例えば2.0g/cm3~2.1g/cm3のピクノメトリー密度を示し得る。いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、1.8g/cm3~2.1g/cm3のピクノメトリー密度を示し得る。いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、1.8g/cm3~2.0g/cm3のピクノメトリー密度を示し得る。いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、1.9g/cm3~2.1g/cm3のピクノメトリー密度を示し得る。
【0077】
リチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを示す複合材料の細孔容積は、0.01cm3/g~0.2cm3/gであり得る。特定の実施形態において、複合材料の細孔容積は、0.01cm3/g~0.15cm3/gであり得、例えば0.01cm3/g~0.1cm3/g、例えば0.01cm3/g~0.05cm2/gであり得る。
【0078】
リチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを示す複合材料の粒度分布は、電力性能および体積容量の両方を決定する上で重要である。パッキングが改善されると、体積容量が増加し得る。一の実施形態において、当該分布は単一のピークを持つガウス型、二峰性、または多峰性(2つ超の異なるピーク、例えば三峰性)のいずれかである。コンポジットの粒子径の特性は、D0(分布中の最小粒子径)、Dv50(平均粒子径)およびDv100(最大粒子径)によって記述され得る。粒子充填と性能との最適な組み合わせは、以下のサイズ範囲のいくつかの組み合わせであり得る。このような実施形態における粒子径の低減は、当該技術分野で公知のように、様々な気体(例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、超臨界水蒸気、および当該技術分野で公知の他の気体を含む)の存在下でのジェットミルによって行われ得る。
【0079】
一の実施形態において、複合材料のDv0は、1nm~5ミクロンであり得る。別の実施形態において、複合材料のDv0は、5nm~1ミクロン、例えば5~500nm、例えば5~100nm、例えば10~50nmである。別の実施形態において、コンポジットのDv0は、500nm~2ミクロン、または750nm~1μm、または1~2μm、ミクロン~2ミクロンである。他の実施形態において、コンポジットのDv0は、2~5μm、または5μm超である。
【0080】
いくつかの実施形態において、複合材料のDv50は、5nm~20μmである。他の実施形態において、複合材料のDv50は、5nm~1μm、例えば5~500nm、例えば5~100nm、例えば10~50nmである。別の実施形態において、コンポジットのDv50は、500nm~2μm、750nm~1μm、1~2μmである。さらに別の実施形態において、コンポジットのDv50は、1~1000μm、例えば1~100μm、例えば1~10μm、例えば2~20μm、例えば3~15μm、例えば4~8μmである。特定の実施形態において、Dv50は20μm超、例えば50μm超、例えば100μm超である。
【0081】
スパン(Dv50)/(Dv90-Dv10)(ここでDv10、Dv50およびDv90は、体積分布の10%、50%および90%における粒径を表す)は、例えば100から10、10から5、5から2、2から1で有り得;いくつかの実施形態において、スパンは1未満であり得る。特定の実施形態において、炭素および多孔性ケイ素材料を含むコンポジットの粒度分布は、多峰性、例えば二峰性、または三峰性であり得る。
【0082】
リチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを示す現在開示されている複合材料の表面機能性は、所望の電気化学的特性を得るために変更してもよい。表面機能性を予測することができる特性の1つは、複合材料のpHである。現在開示されている複合材料は、1未満~約14、例えば5未満、5~8、または8超のpH値を含む。いくつかの実施形態において、複合材料のpHは、4未満、3未満、2未満、またはさらに1未満である。他の実施形態において、複合材料のpHは、約5~6、約6~7、約7~8、または8~9、または9~10である。さらに他の実施形態において、複合材料のpHは高く、pHは8超、9超、10超、11超、12超、またはさらに13超である。
【0083】
ケイ素-炭素複合材料は、ガスクロマトグラフィーCHNO分析によって測定される、様々な量の炭素、酸素、水素および窒素を含んでもよい。一の実施形態において、複合材料の炭素含有量は、CHNO分析による測定で98重量%以上、さらには99.9重量%以上である。他の実施形態において、ケイ素-炭素コンポジットの炭素含有量は、約10~90%、例えば20~80%、例えば30~70%、例えば40~60%である。
【0084】
いくつかの実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、0~90%、例えば0.1~1%、例えば1~3%、例えば1~5%、例えば1~10%、例えば10~20%、例えば20~30%、例えば30~90%の窒素含有量を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、酸素含有量は、0~90%、例えば0.1~1%、例えば1~3%、例えば1~5%、例えば1~10%、例えば10~20%、例えば20~30%、例えば30~90%である。
【0086】
また、ケイ素-炭素複合材料は、非修飾コンポジットの電気化学的性能を最適化するために選択された電気化学的修飾剤を導入してもよい。電気化学的修飾剤は、細孔構造内および/または多孔質炭素スキャフォールドの表面上、埋め込まれたケイ素内、または炭素の最終層内、または導電性ポリマー、コーティング、またはその他のあらゆる箇所に導入され得る。例えば、いくつかの実施形態において、複合材料は、炭素材料の表面上の電気化学修飾剤(例えば、ケイ素またはAl2O3)のコーティングを含む。いくつかの実施形態において、複合材料は、約100ppm超の電気化学修飾剤を含む。特定の実施形態において、電気化学的修飾剤は、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、アルミニウムおよびマンガンから選択される。
【0087】
特定の実施形態において、電気化学修飾剤は、リチウム金属に対して3~0Vのリチオ化能を有する元素(例えば、ケイ素、スズ、硫黄)を含む。他の実施形態において、電気化学修飾剤は、リチウム金属に対して3~0Vのリチオ化能を有する金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン)を含む。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤は、リチウム金属に対して3~0Vでリチオ化しない元素(例えば、アルミニウム、マンガン、ニッケル、金属リン酸塩)を含む。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤は、非金属元素(例えば、フッ素、窒素、水素)を含む。さらに他の実施形態において、電気化学修飾剤は、前述の電気化学修飾剤のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、スズ-ケイ素、ニッケル-酸化チタン)を含む。
【0088】
電気化学修飾剤は、あらゆる形態で提供され得る。例えば、いくつかの実施形態において、電気化学修飾剤は、塩を含む。他の実施形態において、電気化学修飾剤は、元素形態の1つ以上の元素、例えば鉄元素、スズ元素、ケイ素元素、ニッケル元素またはマンガン元素を含む。他の実施形態において、電気化学修飾剤は、酸化形態の1つ以上の元素、例えば、酸化鉄、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ニッケル、酸化アルミニウムまたは酸化マンガンを含む。
【0089】
複合材料の電気化学特性は、材料中の電気化学修飾剤の量によって、少なくとも部分的に修飾され得る。ここで、電気化学修飾剤は、ケイ素、スズ、インジウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム等の合金材料である。従って、いくつかの実施形態において、複合材料は、0.10%、少なくとも0.25%、少なくとも0.50%、少なくとも1.0%、少なくとも5.0%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または少なくとも99.5%の電気化学的修飾剤を含む。
【0090】
複合材料の粒径は、非リチオ化状態と比較して、リチオ化時に膨張し得る。例えば、膨張係数は、リチオ化時の多孔質ケイ素材料を含む複合材料の粒子の平均粒径の比を、非リチオ化条件下の平均粒径で除した非として定義される。当技術分野で説明されているように、この膨張係数は、例えば約4倍(リチオ化時の400%体積膨張に相当)のような、以前に知られている最適でないケイ素含有材料に対して、比較的大きく成り得る。本発明者らは、より低い膨張度を示し得る多孔質ケイ素材料を含む複合材料(例えば、膨張係数は、3.5~4、3.0~3.5、2.5~3.0、2.0~2.5、1.5~2.0、1.0~1.5であり得る)を発明した。
【0091】
特定の実施形態における複合材料は、捕捉された細孔容積の一部、すなわち、窒素ガス吸着測定によって探知されるような窒素ガスがアクセスできない空隙容積を含むことが想定される。理論に束縛されるものではないが、このトラップされた細孔体積は、ケイ素がリチオ化によって膨張できる体積を提供するという点で重要である。
【0092】
特定の実施形態において、複合粒子を含むケイ素容積に対するトラップされた空隙容積の比は、0.1:1から10:1である。例えば、複合粒子を含むケイ素容積に対するトラップされた空隙容積の比は、1:1~5:1、または5:1~10:1である。実施形態において、リチオ化時のケイ素の最大膨張度を効率的に収容するための、複合粒子を含むケイ素容積に対するトラップされた空隙容積の比は、2:1~5:1、または約3:1である。
【0093】
いくつかの実施形態において、複合粒子は、少なくとも0.5、または少なくとも0.55の(本明細書で定義されるような)平均球形度を有する。他の実施形態において、平均球形度は、少なくとも0.65、少なくとも0.7、少なくとも0.75、または少なくとも0.8である。
【0094】
走査電子顕微鏡(SEM)、または粒子によって投影される影(shadow)をデジタルカメラで記録する動的画像解析によって、ミクロンスケールの粒子の高精度な二次元画像(projection)を得ることができる。本明細書で使用される用語「球形度(sphericity)」は、(かかる画像技術から得られる)円の面積に対する粒子画像の面積の比として理解され、粒子画像と円は同一の円周を有する。かくして、個々の粒子における球形度Sは、以下:
【数1】
[式中、A
mは、粒子画像の測定面積であり、C
mは、粒子画像の測定円周である。]のように定義される。本明細書で使用される粒子集団の平均球形度S
avは、以下:
【数2】
[式中、nは、母集団内の粒子数を表す。]のように定義される。粒子集団の平均球形度は、好ましくは、少なくとも50個の粒子の二次元画像から計算される。
【0095】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるコンポジットの電気化学的性能は、ハーフセルにおいて試験される;別として、本明細書に開示されるリチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを有するコンポジットの性能は、フルセル(例えば、フルセルコインセル、フルセルパウチセル、プリズムセル、又は当技術分野で公知のその他の電池構成)において試験される。本明細書に開示されるリチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを有するコンポジットを含むアノード組成物は、当技術分野で公知の様々な種をさらに含み得る。更なる配合成分としては、特に限定されないが、例えば導電性炭素(例えばSuper C45、Super P、ケッチェンブラック炭素等)、導電性ポリマー等の導電性添加剤、スチレン-ブタジエンゴムカルボキシメチルセルロースナトリウム(SBR-Na-CMC)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)等のバインダー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態において、バインダーは、対イオンとしてリチウムイオンを含み得る。
【0096】
電極を構成する他の種は、当技術分野において公知である。電極中の活性物質の重量%は様々であり得、例えば1~5%、例えば5~15%、例えば15~25%、例えば25~35%、例えば35~45%、例えば45~55%、例えば55~65%、例えば65~75%、例えば75~85%、例えば85~95%であり得る。いくつかの実施形態において、活性材料は、電極の80~95%を含む。特定の実施形態において、電極中の導電性添加剤の量は様々であり得、例えば1~5%、例えば5~15%、例えば15~25%、例えば25~35%であり得る。いくつかの実施形態において、電極中の導電性添加剤の量は、5~25%である。特定の実施形態において、バインダーの量は様々であり得、例えば1~5%、5~15%、例えば15~25%、例えば25~35%であり得る。特定の実施形態において、電極中の導電性添加剤の量は、5~25%である。
【0097】
ケイ素-炭素複合材料は、当技術分野で公知のように、事前にリチオ化されてもよい。特定の実施形態において、事前のリチオ化は、多孔質ケイ素材料を含むリチオ化アノードをフルセルリチウムイオン電池にアセンブルする前に、電気化学的に、例えばハーフセルにおいて達成される。特定の実施形態において、事前のリチオ化は、カソードをリチウム含有化合物、例えばリチウム含有塩でドーピングすることによって達成される。この文脈における適切なリチウム塩としては、特に限定されないが、例えばテトラブロモニッケル酸ジリチウム(II)、四塩化ジリチウム(II)、アジ化リチウム、安息香酸リチウム、臭化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、シクロヘキサン酪酸リチウム、フッ化リチウム、ギ酸リチウム、ヘキサフルオロアルセネート(V)、ヘキサフルオロリン酸リチウム、水酸化リチウム、ヨウ素酸リチウム、ヨウ化リチウム、メタホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、リン酸リチウム、硫酸リチウム、四ホウ酸リチウム、テトラクロロアルミン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、チオシアン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0098】
ケイ素-炭素複合材料を含むアノードは、種々のカソード材料とペアにして、フルセルリチウムイオン電池を得ることができる。適切なカソード材料の例は、当技術分野において公知である。かかるカソード材料としては、特に限定されないが、例えばLiCoO2(LCO)、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2(NCA)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NMC)、LiMn2O4およびそのバリアント(LMO)、およびLiFePO4(LFP)が挙げられる。
【0099】
ケイ素-炭素複合材料をさらに含むアノードを含むフルセルリチウムイオン電池において、アノードに対するカソードの比は様々であり得る。例えば、カソード対アノード容量の比は、0.7~1.3であり得る。特定の実施形態において、カソード対アノード容量の比は、0.7~1.0であり得、例えば0.8~1.0、例えば0.85~1.0、例えば0.9~1.0、例えば0.95~1.0であり得る。他の実施形態において、カソード対アノード容量の比は、1.0~1.3であり得、例えば1.0~1.2、例えば1.0~1.15、例えば1.0~1.1、例えば1.0~1.05であり得る。さらに他の実施形態において、カソード対アノード容量の比は、0.8~1.2であり得、例えば0.9~1.1、例えば0.95~1.05であり得る。
【0100】
ケイ素-炭素複合材料をさらに含むアノードを含むフルセルリチウムイオン電池において、充放電における電圧ウィンドウは様々であり得る。この点に関して、電圧ウィンドウは、リチウムイオン電池の様々な特性に応じて、当技術分野で公知のように様々であり得る。例えば、カソードの選択は、当該技術分野で公知のように、選択された電圧ウィンドウにおいて役割を果たす。電圧ウィンドウは様々であり、例えば、電位対Li/Li+に関して、2.0V~5.0Vであり、例えば、2.5V~4.5V、例えば、2.5V~4.2Vである。
【0101】
ケイ素-炭素複合材料をさらに含むアノードを含むフルセルリチウムイオン電池において、セルのコンディショニング方法は、当技術分野で公知のように様々であり得る。例えば、コンディショニングは、種々の速度、例えば所望のサイクル速度より遅い速度での1回以上の充放電サイクルによって達成され得る。当該技術分野で公知のように、コンディショニングプロセスはまた、リチウムイオン電池の封を開け、コンディショニングプロセス中に内部で発生したガスを排気し、次いでリチウムイオン電池を再封する工程を含んでもよい。
【0102】
ケイ素-炭素複合材料をさらに含むアノードを含むフルセルリチウムイオン電池において、サイクル速度は、当該技術分野で公知のように様々であり得、例えば、C/20~20C、例えば、C10~10C、例えば、C/5~5Cであり得る。特定の実施形態において、サイクル速度はC/10である。特定の実施形態において、サイクル速度はC/5である。特定の実施形態において、サイクル速度はC/2である。特定の実施形態において、サイクル速度は1Cである。特定の実施形態において、サイクル速度は1Cであり、周期的に速度を低下させ、例えば、1Cでサイクルし、20回目のサイクルごとに速度をC/10低下させる。特定の実施形態において、サイクル速度は2Cである。特定の実施形態において、サイクル速度は4Cである。特定の実施形態において、サイクル速度は5Cである。特定の実施形態において、サイクル速度は10Cである。特定の実施形態において、サイクル速度は20Cである。
【0103】
本明細書に開示される、リチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを有するコンポジットの第1サイクル効率は、事前のリチオ化修飾よりも前に、第1サイクル中にアノードに挿入されたリチウムと、第1サイクル中にアノードから抽出されたリチウムとを比較することによって決定される。挿入と抽出が等しい場合、効率は100%である。当技術分野で公知のように、アノード材料は、市販のポリプロピレンセパレータを用いて、対向電極がリチウム金属であり、電解質が1MのLiPF6 1:1 エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート(EC:DEC)であるハーフセルで試験され得る。特定の実施形態において、電解質は、性能を向上させることが知られている様々な添加物(フルオロエチレンカーボネート(FEC)または他の関連するフッ素化カーボネート化合物)、または電気化学的性能を向上させることが知られている他の電解質添加物(酪酸メチル、ビニレンカーボネート、およびケイ素含有アノード材料)等のエステル共溶媒を含み得る
【0104】
クーロン効率は平均化することができ、例えば、ハーフセルでテストした場合、サイクル7からサイクル25にわたって平均化することができる。クーロン効率は平均化することができ、例えば、ハーフセルでテストした場合、サイクル7からサイクル20にわたって平均化することができる。特定の実施形態において、リチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを有するコンポジットの平均効率は、0.9超、または90%である。特定の実施形態において、平均効率は0.95超、または95%である。その他の特定の実施形態において、平均効率は0.99以上であり、例えば0.991以上、例えば0.992以上、例えば0.993以上、例えば0.994以上、例えば0.995以上、例えば0.996以上、例えば0.998以上、例えば0.999以上、例えば0.9991以上、例えば0.9992以上、例えば0.9993以上、例えば0.9994以上、例えば0.9995以上、例えば0.9996以上、例えば0.9997以上、例えば0.9998以上、例えば0.9999以上である。
【0105】
さらなるその他の実施形態において、本開示は、リチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを示す複合材料を提供する、ここで、複合材料がリチウムベースのエネルギー貯蔵デバイスの電極に組み込まれる場合、当該複合材料は、リチウムベースのエネルギー貯蔵デバイスがグラファイト電極を含む場合よりも、少なくとも10%大きい体積容量を有する。いくつかの実施形態において、リチウムベースのエネルギー貯蔵デバイスは、リチウムイオン電池である。他の実施形態において、複合材料は、グラファイト電極を有する同様の電気エネルギー貯蔵デバイスの体積容量よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%大きいリチウムベースのエネルギー貯蔵デバイスの体積容量を有する。さらに他の実施形態において、複合材料は、グラファイト電極を有する同様の電気エネルギー貯蔵デバイスの体積容量より少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも200%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%大きいリチウムベースのエネルギー貯蔵デバイスの体積容量を有する。
【0106】
複合材料は、当技術分野で公知のように、事前にリチオ化されてもよい。これらのリチウム原子は、炭素から分離することができても、できなくてもよい。6つの炭素原子に対するリチウム原子の数 (#Li)は、当業者に公知の以下の方法:
#Li=Q×3.6×MM/(C%×F)
[式中、Qはリチウム金属に対する5mV~2.0Vの電圧においてmAh/gで測定されたリチウム抽出能であり、MMは72または6個の炭素の分子量であり、Fはファラデー定数96500であり、C%はCHNOまたはXPSによって測定される、構造中に存在する炭素の質量パーセントである。]により計算され得る。
アートで:
【0107】
複合材料は、リチウム原子と炭素原子の比(Li:C)によって特徴付けることができ、これは約0:6~2:6であり得る。いくつかの実施形態において、Li:C比は、約0.05:6~約1.9:6である。他の実施形態において、リチウムが金属形態ではなくイオン形態である場合の最大Li:C比は、2.2:6である。その他の特定の実施形態において、Li:C比は、約1.2:6~約2:6、約1.3:6~約1.9:6、約1.4:6~約1.9:6、約1.6:6~約1.8:6、または約1.7:6~約1.8:6である。他の実施形態において、Li:C比は、1:6超、1.2:6超、1.4:6超、1.6:6超、または1.8:6超である。他の実施形態においても、Li:C比は、約1.4:6、約1.5:6、約1.6:6、約1.6:6、約1.7:6、約1.8:6または約2:6である。特定の実施形態において、Li:C比は、約1.78:6である。
【0108】
その他の特定の実施形態において、複合材料は、約1:6~約2.5:6、約1.4:6~約2.2:6、または約1.4:6~約2:6のLi:C比を含む。さらなる他の実施形態において、複合材料は必ずしもリチウムを含んでいなくてもよいが、代わりにリチウム取込容量(すなわち、例えば2つの電圧条件(リチウムイオンハーフセルの場合、例示的な電圧ウィンドウは、0V~3V、例えば0.005V~2.7V、例えば0.005V~1V、例えば0.005V~0.8Vにある。)の間で材料をサイクルさせる際に、一定量のリチウムを取り込む能力)を有する。理論に束縛されることを望まないが、複合材料のリチウム取込容量は、リチウムベースのエネルギー貯蔵デバイスにおけるそれらの優れた性能に寄与すると考えられる。リチウム取込容量は、コンポジットによって取込まれるリチウム原子の比として表される。その他の特定の実施形態において、リチウムの非常に耐久性の高いインターカレーションを示す複合材料は、約1:6~約2.5:6、約1.4:6~約2.2:6、または約1.4:6~約2:6のリチウム取込容量を含む。
【0109】
その他の特定の実施形態において、リチウム取込容量は、約1.2:6~約2:6、約1.3:6~約1.9:6、約1.4:6~約1.9:6、約1.6:6~約1.8:6、または約1.7:6~約1.8:6である。他の実施形態において、リチウム取込容量は、1:6超、1.2:6超、1.4:6超、1.6:6超、または1.8:6超である。他の実施形態においても、Li:C比は、約1.4:6、約1.5:6、約1.6:6、約1.6:6、約1.7:6、約1.8:6または約2:6である。特定の実施形態において、Li:C比は、約1.78:6である。
【0110】
実施例
実施例1.CVIによるケイ素-炭素複合材料の製造
ケイ素-炭素コンポジットを製造するために用いた炭素スキャフォールド(炭素スキャフォールド1)の特性を表4に示す。炭素スキャフォールド1を用いて、以下のようなCVIによって、ケイ素-炭素コンポジット(ケイ素-炭素コンポジット1)を作製した。質量0.2gの非晶質多孔質炭素を2インチ×2インチのセラミックるつぼに入れ、次いで水平管炉の中心に配置した。炉を密閉し、窒素ガスを500立方センチメートル/分(ccm)で連続的にパージした。炉温度を20℃/分で450℃のピーク温度まで上昇させ、30分間平衡させた。この時点で、窒素ガスを遮断し、次いで、シランおよび水素ガスを、それぞれ50ccmおよび450ccmの流量で、合計滞留時間30分間で導入した。滞留時間後、シランおよび水素を遮断し、窒素ガスを再び炉内に導入して内部雰囲気をパージした。同時に炉熱を遮断し、周囲温度まで冷却した。その後、完成したSi-C材料を炉から取り出した。
表4.実施例1で使用した炭素スキャフォールドの説明
【表4】
【0111】
実施例2.種々のケイ素-複合材料の分析
種々の炭素スキャフォールド材料を使用し、窒素吸着ガス分析により炭素スキャフォールド材料を特性化し、比表面積、全細孔容積、並びにミクロ細孔、メソ細孔およびマクロ孔を含む細孔容積の割合を決定した。炭素スキャフォールド材料の特性評価データを表5に示す。すなわち、表5はすべて、窒素吸着分析によって決定された炭素スキャフォールド表面積、細孔容積および細孔容積分布(ミクロ細孔%、メソ細孔%、マクロ孔%)のデータである。
【0112】
表5.種々の炭素スキャフォールド材料の特性
【表5】
【0113】
表5に記載された炭素スキャフォールドサンプルを使用して、実施例1に一般的に記載された静的ベッド構成においてCVI方法論を採用する様々なケイ素-炭素複合材料を製造した。これらのケイ素-炭素サンプルは、シラン濃度が1.25%~100%、希釈ガスが窒素または水素、出発炭素スキャフォールドの質量が0.2g~700g、というプロセス条件を用いて製造された。
【0114】
ケイ素-炭素コンポジットの表面積を決定した。ケイ素-炭素コンポジットも、TGAにより分析し、ケイ素含有量およびZを決定した。ケイ素-炭素コンポジットも、ハーフセルコインセルで試験した。ハーフセルコインセルのアノードは、60~90%のケイ素-炭素コンポジット、5~20%のNa-CMC(バインダーとして)および5~20%のSuper C 45(導電性向上剤として)を含み得、電解質は、2:1のエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート、1MのLiPF6および10%のフルオロエチレンカーボネートを含み得る。ハーフセルコインセルは、25℃において、速度C/5で5サイクル、その後速度C/10でサイクルすることができる。電圧は、0V~0.8Vでサイクルすることができ、別として、電圧は、0V~1.5Vでサイクルすることができる。ハーフセルコインセルのデータから、最大容量、およびサイクル7からサイクル20のサイクル範囲にわたる平均クーロン効率(CE)が測定され得る。種々のケイ素-炭素複合材料の物理化学的および電気化学的性質を表6に示す。
【0115】
【0116】
Zの関数としての平均クーロン効率のプロットを
図1に示す。
図1の通り、低いZを有するケイ素-炭素サンプルの平均クーロン効率は劇的に増加した。特に、Zが10.0未満のすべてのケイ素-炭素サンプルは、0.9941以上の平均クーロン効率を示し、Zが10超のすべてのケイ素-炭素サンプル(ケイ素-炭素複合サンプル12~ケイ素-炭素複合サンプル16)は、0.9909以下の平均クーロン効率を有することが観察された。理論に束縛されるものではないが、10未満のZを有するケイ素-炭素サンプルにおける高いクーロン効率は、フルセルリチウムイオン電池において優れたサイクル安定性を提供する。表をさらに調べると、10未満のZを有し、かつ、70以上のミクロ細孔率を含む炭素スキャフォールドを含むケイ素-炭素コンポジットの組み合わせが、0.9950以上の平均クーロン効率をもたらすという、驚くべき、かつ予想外の事実が明らかになる。
【0117】
したがって、好ましい実施形態において、ケイ素-炭素コンポジットは、10未満のZ、例えば5未満のZ、例えば3未満のZ、例えば2未満のZ、例えば1未満のZ、例えば0.5未満のZ、例えば0.1未満のZ、または0のZを含む。
【0118】
特定の好ましい実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔を含み、例えば、5未満のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、5未満のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、5未満のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、5未満のZおよび95%超のミクロ細孔を含み、例えば、3未満のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、3未満のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、3未満のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、3未満のZおよび95%超のミクロ細孔を含み、例えば、2未満のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、2未満のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、2未満のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、2未満のZおよび95%超のミクロ細孔を含み、例えば、1未満のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、1未満のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、1未満のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、1未満のZおよび95%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.5未満のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.5未満のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.5未満のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.5未満のZおよび95%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.1未満のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.1未満のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.1未満のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、0.1未満のZおよび95%超のミクロ細孔を含み、例えば、0のZおよび70%超のミクロ細孔を含み、例えば、0のZおよび80%超のミクロ細孔を含み、例えば、0のZおよび90%超のミクロ細孔を含み、例えば、0のZおよび95%超のミクロ細孔を含む。
【0119】
特定の好ましい実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および100m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、15%~85%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含む。
【0120】
特定の好ましい実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>70%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>90%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積を含み、例えば、10未満のZおよび>95%のミクロ細孔を含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積を含む。
【0121】
特定の好ましい実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9969以上の平均クーロン効率を含む。例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9970以上の平均クーロン効率を含む。例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9975以上の平均クーロン効率を含む。例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9980以上の平均クーロン効率を含む。例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9985以上の平均クーロン効率を含む。例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9990以上の平均クーロン効率を含む。例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9995以上の平均クーロン効率を含む。例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび>80%のミクロ細孔を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素、30m2/g未満の表面積および0.9999以上の平均クーロン効率を含む。
【0122】
実施例3.種々のケイ素-炭素材料におけるdV/dQ。
リチウム電池電極における電圧の関数としての相転移を理解するための非破壊ツールとして、微分容量曲線(dQ/dVvs電圧)がしばしば使用される(Loveridge, M. J. et al. Towards High Capacity Li-Ion Batteries Based on Silicon-Graphene Composite Anodes and Sub-micron V-doped LiFePO4 Cathodes. Sci. Rep. 6, 37787; doi: 10.1038/srep37787 (2016); M. N. Obrovac et al. Li15Si4Formation in Silicon Thin Film Negative Electrodes, Journal of The Electrochemical Society,163 (2) A255-A261 (2016); Q.Pan et al. Improved electrochemical performance of micro-sized SiO-based composite anode by prelithiation of stabilized lithium metal powder, Journal of Power Sources 347 (2017) 170-177)。第1サイクルのリチオ化挙動は、特にケイ素の結晶性および酸素含有量に依存する。
【0123】
第1サイクル後、当該技術分野における従来の非晶質ケイ素材料は、リチオ化におけるdQ/dV対Vプロットにおいて2つの特定の相転移ピークを示し、これに対応して、脱リチオ化におけるdQ/dV対Vプロットにおいて、2つの特定の相転移ピークを示す。リチオ化では、リチウムの乏しいLi-Si合金相に対応する一つのピークは0.2~0.4Vに生じ、リチウムの豊富なLi-Si合金相に対応するもう一つのピークは0.15V未満に生じる。脱リチウムでは、リチウムの抽出に対応する一つの脱リチオ化ピークは0.4V未満に生じ、もう一つのピークは0.4V~0.55Vに生じる。Li15Si4相がリチオ化中に形成されると、それは約0.45Vで脱リチオ化され、非常に狭い鋭いピークとして現れる。
【0124】
図2は、実施例1のケイ素-炭素複合コンポジット3に対応するケイ素-炭素複合材料のサイクル2のdQ/dV対電圧曲線を示す。ケイ素-炭素コンポジット3は、0.6のZを含む。識別を容易にするために、プロットをレジームI、II、II、IV、VおよびVIに分けた。レジームI(0.8V~0.4V)、II(0.4V~0.15V)、III(0.15V~0V)は、リチオ化ポテンシャルを含み、レジームIV(0V~0.4V)、V(0.4V~0.55V)、VI(0.55V~0.8V)は、脱リチオ化ポテンシャルを含む。上述のように、従来の非晶質ケイ素ベース材料は、リチオ化ポテンシャルにおける2つのレジーム(レジームIIおよびレジームIII)および脱リチオ化ポテンシャルにおける2つのレジーム(レジームIVおよびレジームV)において相転移ピークを示す。
【0125】
図2に見られるように、dQ/dV対電圧曲線は、Zが0.6であるケイ素-炭素コンポジット3が、dQ/dV対電圧曲線における2つの追加のピーク、すなわち、リチオ化ポテンシャルのレジームIおよび脱リチオ化ポテンシャルのレジームVIを含むという、驚くべきかつ予想外の結果を明らかにする。
図3に示すように、6つのピークはすべて可逆的であり、次のサイクルでも観察される。
【0126】
理論に束縛されるものではないが、dQ/dV対V曲線におけるこのような三峰性の挙動は新規であり、同様にケイ素の新規の形態を反映する。
【0127】
特に、レジームIおよびレジームVIで観察された新規のピークは、特定のスキャフォールドマトリックスではより顕著であり、先行技術を表す他のサンプル(Z>10のケイ素-炭素コンポジットサンプル、以下の説明および表を参照)においては完全に欠如している。
【0128】
図4は、ケイ素-炭素コンポジット3のdQ/dV対V曲線を示す。ここでは、ケイ素-炭素コンポジット15、ケイ素-炭素コンポジット16およびケイ素-炭素コンポジット14と比較して、レジームIおよびレジームVIにおける新規のピークが明らかである。これら3つの全ては、Zが10超であり、かつそれらのdQ/dV対V曲線には、レジームIおよびレジームVIにおけるピークがない。
【0129】
理論に拘束されるものではないが、レジームIおよびレジームVIで観察されたこれらの新規のピークは、多孔質炭素スキャフォールドに含浸されたケイ素の特性に関連している、すなわち、CVIによって多孔質炭素スキャフォールドに含浸されたケイ素とリチウムとの相互作用に関連している。定量的な分析を提供するために、ここでは、ピークIIIに関して正規化されたピークIとして計算されるパラメータφを、以下:
φ=(レジーム1におけるdQ/dVの最大ピーク高さ)/(レジーム3におけるdQ/dVの最大ピーク高さ)
[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、レジーム3は0.15V~0Vであり;ハーフセルコインセルは、当該技術分野で公知のように製造される。]のように定義する。Si-Cサンプルが、微分曲線のレジームIIIにおいてグラファイトに関連するピークを示す場合、D因子の計算では、Li-Si関連の相転移ピークを優先して除外した。例えば、ハーフセルコインセルは、60~90%のケイ素-炭素コンポジット、5~20%のSBR-Na-CMC、および5~20%のSuper C 45を含むアノードを含む。ケイ素-炭素コンポジット3における、φの計算例を
図5に示す。この場合、レジームIの最大ピーク高さは-2.39であり、電圧0.53Vに見られる。同様に、レジームIIIの最大ピーク高さは0.04Vにおいて-9.71である。この場合、φは上記の式で計算でき、φ=-2.39/-9.71=0.25が得られる。φの値は、実施例2に示した種々のケイ素-炭素コンポジットにおけるハーフセルコインセルのデータから求めた。これらのデータを表7にまとめる。表7は、5mVで0.8Vでサイクルされたハーフセルコインセルにおいて測定された、第一サイクル効率のデータも含む。
【0130】
表7.種々のケイ素-炭素スキャフォールド材料の特性
【表7】
・第一サイクル効率におけるこれらカッコ内のデータは、5mV~1.5Vの電圧ウィンドウにおいて測定した。
【0131】
表7のデータは、Zの減少とφの増加との間の予想外の関係を明らかにしている。Z<10の全てのケイ素-炭素複合材料のφは0.13以上であり、Z>10の全てのケイ素-炭素複合材料φは0.13未満であった。実際には、10超のZを含むすべてのケイ素-炭素複合材料のφ=0であった。この関係は
図6にも示されている。理論に束縛されるものではないが、0.10以上のφ、例えば0.13以上のφ、例えば0.15以上のφ、例えば0.20以上のφ、例えば0.25以上のφ、例えば0.30以上のφを含むケイ素材料は、新規の形態のケイ素に対応する。別として、φ>0を含むケイ素材料は、新規の形態のケイ素に対応する。0.10以上のφ、例えば0.13以上のφ、例えば0.15以上のφ、例えば0.20以上のφ、例えば0.25以上のφ、例えば0.30以上のφを含むケイ素を含むケイ素-炭素複合材料は、新規のケイ素-炭素複合材料に対応する。別として、φ>0を含むケイ素-炭素複合材料は、新規のケイ素-カーボン複合材料に対応する。
【0132】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素コンポジットは、φ≧0.1、φ≧0.11、φ≧0.12、φ≧0.13、φ≧0.14、φ≧0.15、φ≧0.16、φ≧0.17、φ≧0.18、φ≧0.19、φ≧0.20、φ≧0.24、φ≧0.24、φ≧0.25、φ≧0.30またはφ≧0.35を含む。いくつかの実施形態において、φ>0である。いくつかの実施形態においては、φ≧0.001、φ≧0.01、φ≧0.02、φ≧0.05、φ≧0.1、φ≧0.11、またはφ≧0.12である。
【0133】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0134】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0135】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0超のφを含む。
【0136】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび70%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0超のφを含む。
【0137】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0138】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0139】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0超のφを含む。
【0140】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0超のφを含む。
【0141】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0142】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0143】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0超のφを含む。
【0144】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび90%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0超のφを含む。
【0145】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0146】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0147】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0.1以上のφを含む。
【0148】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および100m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および50m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および10m2/g未満の表面積、および0超のφを含み、例えば、10未満のZおよび95%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、40%~60%のケイ素および5m2/g未満の表面積、および0超のφを含む。
【0149】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9969以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9970以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9975以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9980以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9985以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9990以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9995以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.15以上のφおよび0.9999以上の平均クーロン効率を含む。
【0150】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9969以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9970以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9975以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9980以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9985以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9990以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9995以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.20以上のφおよび0.9999以上の平均クーロン効率を含む。
【0151】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9969以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9970以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9975以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9980以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9985以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9990以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9995以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.25以上のφおよび0.9999以上の平均クーロン効率を含む。
【0152】
特定の実施形態において、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9969以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9970以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9975以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9980以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9985以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9990以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9995以上の平均クーロン効率を含み、例えば、ケイ素-炭素複合材料は、10未満のZおよび80%超のミクロ細孔率を有する炭素スキャフォールドを含み、また、ケイ素-炭素コンポジットは、30%~60%のケイ素および30m2/g未満の表面積、0.3以上のφおよび0.9999以上の平均クーロン効率を含む。
【0153】
実施例4.優先排除剤の非存在下における一次球状熱分解炭素粒子の製造。
表8に従って様々なサンプルを製造した。テフロン(登録商標)被覆オートクレーブ中にスクロースを計量し、続いて脱イオン水を添加した。スクロースが完全に溶解するまで溶液を攪拌し、次いでオートクレーブを密封し、高温のコンベクションオーブンに配置した。容器をその温度で滞留させた。この間、反応は熱水縮合機構によって進行する。滞留後、容器をオーブンから取り出し、室温まで完全に冷却した。ゆっくりと蓋を開けて残留蒸気圧を通気させ、容器から茶色の粒子状の水熱チャー(HTC)を採取した。HTCをフィルター上で脱イオン水で二度すすぎ、続いて80℃で2時間超乾燥させ、続いて25ミクロンサイズのふるいにかけた。次いで、乾燥したHTCをアルミナるつぼに装填し、窒素ガスの一定フロー下、900℃で1時間、チューブ炉内で熱分解させた。その後、炉を室温まで冷却し、熱分解した球状炭素生成物を得た。
【0154】
表8.優先排除剤を使用しない場合の一次球状熱分解炭素粒子の種々のサンプルの製造
【表8】
【0155】
優先排除剤の非存在下で製造した一次球状熱分解炭素粒子の種々のサンプルを、表9にまとめたように特徴付けた。
【0156】
表9.優先排除剤の非存在下における一次球状熱分解炭素粒子の種々のサンプルの特徴
【表9】
【0157】
実施例5.優先排除剤の存在下における一次球状熱分解炭素粒子の製造。
表10に従って様々なサンプルを製造した。テフロン(登録商標)被覆オートクレーブ中にスクロースを計量し、優先排除剤として様々な量のポリアクリル酸(PAA)を含む脱イオン水を添加した。スクロースが完全に溶解するまで溶液を攪拌し、次いでオートクレーブを密封し、高温のコンベクションオーブンに配置した。容器をその温度で滞留させた。この間、反応は熱水縮合機構によって進行する。滞留後、容器をオーブンから取り出し、室温まで完全に冷却した。ゆっくりと蓋を開けて残留蒸気圧を通気させ、容器から茶色の粒子状の水熱チャー(HTC)を採取した。HTCをフィルター上で脱イオン水で二度すすぎ、続いて80℃で2時間超乾燥させ、続いて25ミクロンサイズのふるいにかけた。次いで、乾燥したHTCをアルミナるつぼに装填し、窒素ガスの一定フロー下、900℃で1時間、チューブ炉内で熱分解させた。その後、炉を室温まで冷却し、熱分解した球状炭素生成物を得た。
【0158】
表10.優先排除剤の存在下における一次球状熱分解炭素粒子のサンプルの製造
【表10】
【0159】
表のデータから分かるように、優先排除剤の存在下で製造したサンプルの全体の収率は高い傾向にあり、炭素スキャフォールド14では最大7.4%であった。炭素スキャフォールド13のDv1、Dv50及びDv99は、それぞれ1.6μm、9.5μm及び33.0μmであり、炭素スキャフォールド14のDv1、Dv50及びDv99は、それぞれ1.6μm、8.6μm及び40.4μmであった。
【0160】
図8は、実施例5による種々のサンプルのSEMを示す。SEM像は、優先排除剤としてのPAAの添加が炭素スキャフォールド粒子のモルフォロジーおよび粒径を制御することを明らかにした。添加したPAAの最小量、すなわちスクロース:PAAが1000:1(
図8の左下図、炭素スキャフォールド16)においては、粒子はえくぼ状になり、ほとんどの粒子は6~13μmのサイズであった。PAA添加量が、スクロース:PAAで800:1(
図8の右下の図、炭素スキャフォールド13)に増加すると、粒子はより滑らかになり、大部分の粒子は2.3~2.9μmのサイズであった。PAA添加量をさらにスクロース:PAAで400:1(
図8の右上図、炭素スキャフォールド14)に増加させると、粒子はより滑らかになり、大部分の粒子は2.3~2.9μmのサイズであった。最後に、スクロース:PAAが100:1(
図8の左上の図、炭素スキャフォールド15)の最高量のPAA添加においては、粒子はもはや球形ではなく、非常に不規則なモルフォロジーを示した。
【0161】
特定の実施形態において、ポリオール:界面活性剤比は1000:1より大きい。いくつかの実施形態において、ポリオール:界面活性剤比は、1000:1~800:1である。さらなるその他の実施形態において、ポリオール:界面活性剤比は、800:1~600:1、600:1~500:1、500:1~400:1、400:1~300:1、300:1~200:1、200:1~100:1である。いくつかの実施形態において、ポリオール:界面活性剤比は、100:1未満である。
【0162】
実施例6.一次球状活性炭粒子の製造。
炭素スキャフォールド13、炭素スキャフォールド14、および炭素スキャフォールド16を蒸気によって活性化して利用可能な細孔率を増加させることで、スキャフォールドサンプル17、スキャフォールドサンプル18、およびスキャフォールドサンプル19を作成した。典型的な実験では、熱分解した材料1gをアルミナるつぼに入れ、それを水平管炉の中央ホットゾーンに入れた。蒸留水を含む炉の上流にあるバブラー(設定温度200℃まで加熱したフラスコ)を通って流れる窒素ガスフロー(約500sccm)で炉をパージした。これはC+H2O=>CO+H2反応によって炭素を活性化するための蒸気源として作用した。炉の温度を10℃/分で900℃まで上昇させ、様々な時間保持した。次いで、炉を周囲冷却(cooled ambiently)し、サンプルを分析のために除去した。サンプル及びそれらの特性のまとめを表11に示す。
【0163】
表11.優先排除剤の存在下における、一次球状活性炭粒子のサンプルの製造
【表11】
【0164】
実施例7.一次球状14族複合粒子の製造。
シランガスを使用して炭素スキャフォールド13にCVIを施し、炭素多孔質内にケイ素を堆積させた。その結果得られた材料は、ケイ素-炭素コンポジット21であり、その特性を表12にまとめた。典型的な実験では、0.2gの活性化物質をアルミナるつぼに入れ、それを水平管炉の中央ホットゾーンに入れた。窒素ガスフロー(約500sccm)で10分間パージした後、20℃/分で475℃まで上昇させ、炉温度をピーク温度で30分間安定させた後、ガスフローを1.75時間、580sccmで1.3mol%のSiH4/N2混合ガスに時間切り替えた。堆積後、ガスを純窒素に戻し、炉を周囲冷却した。炉温度が60℃未満に達した時点で、サンプルを分析のために採取した。
【0165】
表12.ケイ素-炭素コンポジット21の特性
【表12】
【0166】
ケイ素-炭素コンポジット21の測定された粒度分布は、出発炭素スキャフォールド13と非常に類似していた;それぞれDv1は0.8μm、Dv50は10.3μm、Dv99は48.7μmであった。ケイ素-炭素コンポジット21のSEMを
図9に示す。
【0167】
実施例8.優先排除剤の非存在下における、一次球状活性炭粒子の製造。
一次球状活性炭粒子を表13に従って製造した。テフロン(登録商標)被覆されたオートクレーブ中にスクロースを計量し、脱イオン水を添加した。サンプルは優先排除剤なしで調製した。スクロースが完全に溶解するまで溶液を攪拌し、次いでオートクレーブを密封し、高温のコンベクションオーブンに入れた。容器をその温度で滞留させた。この間、反応は熱水縮合機構によって進行する。滞留後、容器をオーブンから取り出し、室温まで完全に冷却した。ゆっくりと蓋を開けて残留蒸気圧を通気させ、粒子状の水熱チャー(HTC)を容器から取り出した。HTCをフィルター上で脱イオン水で2回すすぎ、その後80℃で2時間超乾燥させた。次いで、乾燥したHTCをアルミナるつぼに装填し、窒素ガスの一定フロー下、900℃で1時間チューブ炉内で熱分解させた。その後、炉を室温まで冷却し、熱分解した球状炭素生成物を得た。
【0168】
表13.熱分解および活性化された一次球状炭素粒子のサンプルの製造
【表13】
【0169】
熱分解後、粒子を蒸気で活性化し、利用可能な気孔率を増加させた。典型的な実験では、熱分解した材料1gをアルミナるつぼに入れ、それを水平管炉の中央ホットゾーンに入れた。蒸留水を含む炉の上流にあるバブラー(設定温度200℃まで加熱されたフラスコ)を通って流れる窒素ガスフロー(約500sccm)で、炉をパージした。これはC+H2O=>CO+H2反応を介して炭素を活性化する蒸気源として作用した。炉の温度を10℃/分で900℃まで上昇させ、様々な時間保持した。次いで、炉を周囲冷却し、サンプルを分析のために取り出した。
【0170】
蒸気による活性化に続いて、表13に記載した活性炭スキャフォールドを用いて、実施例1に一般的に記載された静的ベッド構成においてCVI法を用いた様々なケイ素-炭素複合材料を製造した。得られたケイ素-炭素複合材料の物理化学的特性を、ケイ素-炭素コンポジットC1およびC2として指定した非ポリオール前駆体材料から得られたケイ素-炭素複合材料の比較とともに、表14に示す。
【0171】
表14.一次球状Si-C複合粒子の特性
【表14】
【0172】
得られたケイ素-炭素複合材料は、外観が均一で、目に見える粒子の凝集はなく、かつ柔らかい構造(texture)であった。理論に束縛されるものではないが、いくつかの例においては、表14に示すように、ポリオールベースのSi-C複合材料は、非ポリオール前駆体から製造したSi-Cコンポジットと比較して、ケイ素CVI後の表面積が小さかった。いくつかの場合において、表面積は1.0m2/g未満であったが、0.5m2/g超であった。
【0173】
実施例2に一般的に記載された方法に従って、ケイ素-炭素コンポジット22および23も試験した。これらのケイ素-炭素複合材料の物理化学的および電気化学的性質を、表15に示す。
【0174】
表15.一次球状Si-C複合粒子の特性
【表15】
【0175】
実施形態の詳細
実施形態1. 第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子を含み、当該粒子が球状のモルフォロジーを示し、10μm以下のDv50、10未満のZ、およびφ=(レジームIにおける最大ピーク高さdQ/dV)/(レジームIIIにおける最大ピーク高さdQ/dV)[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである]で表される0.15以上のφを有する、第14族コンポジット。
【0176】
実施形態2. 第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子を含み、当該粒子が球状のモルフォロジーを示し、10μm以下のDv50、10未満のZ、およびφ=(レジームIにおける最大ピーク高さdQ/dV)/(レジームIIIにおける最大ピーク高さdQ/dV)[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである]で表される0.2以上のφを有する、第14族コンポジット。
【0177】
実施形態3. 第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子を含み、当該粒子が球状のモルフォロジーを示し、10μm以下のDv50、10未満のZ、およびφ=(レジームIにおける最大ピーク高さdQ/dV)/(レジームIIIにおける最大ピーク高さdQ/dV)[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである]で表される0.3以上のφを有する、第14族コンポジット。
【0178】
実施形態4. (a)ポリオール由来の複数の多孔質炭素一次粒子、ここで、当該複数の多孔質炭素粒子は、球状のモルフォロジーを示す;(b)多孔質炭素一次粒子の細孔内に含侵したケイ素;(c)10μm以下のDv50;(d)10未満のZ;および(e)0.15以上のphi(φ)、ここで、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである、
を含む、第14族コンポジット。
【0179】
実施形態5. φが0.2以上である、実施形態4に記載の第14族コンポジット。
【0180】
実施形態6. φが0.3以上である、実施形態4に記載の第14族コンポジット。
【0181】
実施形態7. Dv50が5μm以下である、実施形態1~6のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0182】
実施形態8. 多孔質炭素一次粒子の各粒子が、離散的な、非凝集粒子である、実施形態1~7のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0183】
実施形態9. Zが5未満である、実施形態1~8のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0184】
実施形態10. さらに50m2/g未満の表面積を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0185】
実施形態11. 実施形態1~10のいずれかに記載の第14族コンポジットであって、以下:(a)0.6cm3/g超の全細孔容積;(b)20~50%のミクロ細孔の体積分率および50~80%のメソ細孔の体積分率;ならびに(c)5nm~20μmの全細孔容積のうち、10nm以下の細孔容積の割合が少なくとも75%である、細孔容積、
をさらに含む、第14族コンポジット。
【0186】
実施形態12. 多孔質炭素一次粒子に対するケイ素の重量パーセントが、10%~80%である、実施形態1~11のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0187】
実施形態13. 第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子を含み、重量比で30~60%のケイ素を含み、当該粒子が球状のモルフォロジーを示し、10μm以下のDv50、10未満のZ、およびφ=(レジームIにおける最大ピーク高さdQ/dV)/(レジームIIIにおける最大ピーク高さdQ/dV)[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである]で表される0.15以上のφを有する、第14族コンポジット。
【0188】
実施形態14. 第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子を含み、重量比で30~60%のケイ素を含み、当該粒子が球状のモルフォロジーを示し、10μm以下のDv50、10未満のZ、およびφ=(レジームIにおける最大ピーク高さdQ/dV)/(レジームIIIにおける最大ピーク高さdQ/dV)[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである]で表される0.2以上のφを有する、第14族コンポジット。
【0189】
実施形態15. 第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子を含み、重量比で30~60%のケイ素を含み、当該粒子が球状のモルフォロジーを示し、10μm以下のDv50、10未満のZ、およびφ=(レジームIにおける最大ピーク高さdQ/dV)/(レジームIIIにおける最大ピーク高さdQ/dV)[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである]で表される0.3以上のφを有する、第14族コンポジット。
【0190】
実施形態16. (a)第14族元素であるケイ素および炭素を含む複数の一次粒子、ここで、当該複数の粒子は、少なくとも0.5の球形度を有し、かつそれぞれの粒子は、炭素スキャフォールドを含む;(b)重量比で30%~60%のケイ素;(c)10μm以下のDv50;(d)10未満のZ;および(e)0.15以上のphi(φ)、ここで、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである、
を含む、第14族コンポジット。
【0191】
実施形態17. (a)ポリオール由来の多孔質炭素スキャフォールドを含む炭素であって、さらに以下:(i)非晶質の炭素、(ii)細孔容積の70%超が、2nm未満の直径を有する細孔から成る、細孔容積、および(iii)50nm未満のDv90、を含む炭素;(b)ケイ素であって、以下:(i)多孔質炭素スキャフォールドの細孔容積内に埋め込まれた、非晶質かつナノサイズのケイ素を含む、ケイ素;ならびに(c)第14族コンポジットであって、以下:(i)重量比で30%~60%のケイ素;(ii)10μm以下のDv50;(iii)10未満のZ;および(iv)0.15以上のphi(φ)、ここで、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0Vである、をさらに含む、
を含む、第14族コンポジット。
【0192】
実施形態18. 実施形態1~10および実施形態12~17のいずれかに記載の第14族コンポジットであって、70%超のミクロ細孔率を含む細孔容積を含む炭素スキャフォールドをさらに含む、第14族コンポジット。
【0193】
実施形態19. 実施形態1~10および実施形態12~17のいずれかに記載の第14族コンポジットであって、80%超のミクロ細孔率を含む細孔容積を含む炭素スキャフォールドをさらに含む、第14族コンポジット。
【0194】
実施形態20. 実施形態1~10および実施形態12~17のいずれかに記載の第14族コンポジットであって、90%超のミクロ細孔率を含む細孔容積を含む炭素スキャフォールドをさらに含む、第14族コンポジット。
【0195】
実施形態21. 900mA/g超の容量を含む、実施形態1~20のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0196】
実施形態22. 1300mA/g超の容量を含む、実施形態1~20のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0197】
実施形態23. 1600mA/g超の容量を含む、実施形態1~20のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0198】
実施形態24. 0.9970以上の平均クーロン効率を含む、実施形態1~23のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0199】
実施形態25. 0.9980以上の平均クーロン効率を含む、実施形態1~23のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0200】
実施形態26. 0.9985以上の平均クーロン効率を含む、実施形態1~23のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0201】
実施形態27. 0.9990以上の平均クーロン効率を含む、実施形態1~23のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0202】
実施形態28. 0.9995以上の平均クーロン効率を含む、実施形態1~23のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0203】
実施形態29. 0.9995以上の平均クーロン効率を含む、実施形態1~23のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0204】
実施形態30. 0.9999以上の平均クーロン効率を含む、実施形態1~23のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0205】
実施形態31. 一次粒子が、少なくとも0.5、少なくとも0.55、少なくとも0.65、少なくとも0.7、少なくとも0.75、または少なくとも0.8の平均球形度を有する、実施形態1~30のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0206】
実施形態32. 一次粒子が、その製造工程において、ふるい分けまたはミリングを必要としない第14族コンポジットを含む、実施形態1~31のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0207】
実施形態33. (a)多孔質炭素スキャフォールドを含む炭素であって、以下:(i)非晶質の炭素、(ii)細孔容積の70%超が、直径2nm未満の細孔に存在する細孔容積、および(iii)50nm未満のDv90、を含む炭素;(b)ケイ素であって、以下:(i)炭素スキャフォールドの細孔容積内に埋め込まれた、非晶質かつナノサイズのケイ素を含む、ケイ素;ならびに(c)コンポジットであって、以下:(i)重量比で30%~60%のケイ素;(ii)10μm以下のDv50;(iii)10未満のZ;および(iv)0.15以上のφ、ここで、φ=(レジームIにおける最大ピーク高さdQ/dV)/(レジームIIIにおける最大ピーク高さdQ/dV)[式中、dQ/dVは、ハーフセルコインセルにおいて測定され、レジーム1は0.8V~0.4V、およびレジームIIIは0.15V~0V]である、を含む、コンポジット、
を含む、第14族コンポジット。
【0208】
実施形態34. 実施形態1~33のいずれかに記載の第14族コンポジットであって、30m2/g未満の表面積をさらに含む、第14族コンポジット。
【0209】
実施形態35. 実施形態1~21および実施形態24~34のいずれかに記載の第14族コンポジットであって、1300mAh/gの容量をさらに含む、第14族コンポジット。
【0210】
実施形態36. 実施形態1~21および実施形態24~34のいずれかに記載の第14族コンポジットであって、ハーフセルコインセルによって測定される、1300mAh/gの最大容量をさらに含む、第14族コンポジット。
【0211】
実施形態37. Dv50が5μm以下である、実施形態1~6および実施形態8~36のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0212】
実施形態38. Zが5未満である、実施形態1~8および実施形態10~37のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0213】
実施形態39. phi(φ)が0.2以上である、実施形態7~13および実施形態16~38のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0214】
実施形態40. phi(φ)が0.3以上である、実施形態7~13および実施形態16~38のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0215】
実施形態41. 多孔質炭素スキャフォールドが、0.5~0.8の平均球形度を有する、実施形態1~40のいずれかに記載の第14族コンポジット。
【0216】
実施形態42. 実施形態1~41のいずれかによって表される第14族コンポジットを含む、エネルギー貯蔵デバイス。
【0217】
実施形態43. 実施形態1~41のいずれかによって表される第14族コンポジットを含む、リチウムイオン電池。
【0218】
実施形態44. 実施形態1~41のいずれかによって表される第14族コンポジットを含む、リチウムケイ素電池。
【0219】
実施形態45. 第14族複合粒子の製造方法であって、以下の工程:a.水性環境にポリオールおよび任意選択の優先排除剤を提供すること;b.水性環境を150℃~250℃に加熱して水熱チャーを得ること;c.不活性ガスの存在下、水熱チャーを750℃~1050℃に加熱して熱分解炭素粒子を得ること;d.活性ガスの存在下で、熱分解炭素粒子を750℃~1050℃に加熱し、多孔質炭素骨格を含む一次活性炭粒子(primary activated carbon particle)を得ること;およびe.ケイ素含有ガスの存在下、一次活性炭粒子を350℃~450℃に加熱して、多孔質炭素骨格内にケイ素を含浸させること、を含み、
ここで、個々の第14族粒子は、0.5超の球形度を有する、
製造方法。
【0220】
実施形態46. 第14族複合粒子の製造方法であって、以下の工程:a.水性環境においてポリオールおよび任意選択の優先排除剤を提供すること;b.水性環境を150℃~250℃に加熱して、水熱チャーを得ること;c.不活性ガスの存在下、水熱チャーを750℃~1050℃に加熱して、熱分解炭素粒子を得ること;d.活性ガスの存在下で、熱分解粒子を750℃~1050℃に加熱して、細孔容積を含む一次活性炭粒子を得ること;およびe.ケイ素含有ガスの存在下、細孔容積を含む一次活性炭粒子を350℃~450℃に加熱して、多孔質炭素骨格内にケイ素を含浸させること、を含む、
製造方法。
【0221】
実施形態47. 水性環境が、任意選択的に、アルコール、アルカン、エーテル、THF、DMSO、DMF、N-メチルピロリドン、グリコール、およびグリンプ(glymp)のうち1つまたはそれ以上を含む共溶媒を含む、実施形態45または46に記載の製造方法。
【0222】
実施形態48. 水性環境が、優先排除剤の分解温度以下の温度まで加熱される、実施形態45~47のいずれかに記載の製造方法。
【0223】
実施形態49. 水性環境が、全体にわたって球状ドメインの形成を促進するために、攪拌またはその他の方法によって混合され得る、実施形態45~48のいずれかに記載の製造方法。
【0224】
実施形態50. ポリオールが、スクロースである、実施形態45~49のいずれかに記載の製造方法。
【0225】
実施形態51. 優先排除剤が、Span 80、ポリアクリル酸、Triton X、又はこれらの組み合わせである、実施形態45~50のいずれかに記載の製造方法。
【0226】
実施形態52. 優先排除剤が、ポリアクリル酸である、実施形態45~51のいずれかに記載の製造方法。
【0227】
実施形態53. ポリオールと優先排除剤との比(ポリオール:優先排除剤)が、1000:1以下である、実施形態45~52のいずれかに記載の製造方法。
【0228】
実施形態54. 不活性ガスが、窒素である、実施形態45~53のいずれかに記載の製造方法。
【0229】
実施形態55. 活性ガスが、二酸化炭素、蒸気、又はこれらの組み合わせである、実施形態45~54のいずれかに記載の製造方法。
【0230】
実施形態56. 水性環境を攪拌することをさらに含む、実施形態45~55のいずれかに記載の製造方法。
【0231】
実施形態57. ケイ素含有ガスが、一次活性炭粒子の表面の少なくとも一部にケイ素を堆積させる、実施形態45~56のいずれかに記載の製造方法。
【0232】
実施形態58. 多孔質炭素骨格内に含侵したケイ素部分に対する、多孔質炭素骨格内に含侵しなかったケイ素部分の比、Zが、10未満である、実施形態45~57のいずれかに記載の製造方法。
【0233】
実施形態59. 多孔質炭素骨格内に含侵したケイ素が、活性炭粒子の内部骨格へのケイ素ナノ粒子の堆積を含む、実施形態45~58のいずれかに記載の製造方法。
【0234】
実施形態60. 熱分解炭素粒子が離散粒子または非凝集粒子であり、かつふるいを必要としない、実施形態45~59のいずれかに記載の製造方法。
【0235】
実施形態61. 第14族コンポジット粒子が離散粒子または非凝集粒子であり、かつふるいを必要としない、実施形態45~60のいずれかに記載の製造方法。
【0236】
実施形態62. 熱分解粒子および第14族コンポジット粒子の両方が離散粒子または非凝集粒子であり、かつふるいを必要としない、実施形態45~59のいずれかに記載の製造方法。
【0237】
実施形態63. 第14族粒子が2つ以上の離散的な第14族粒子をさらに含み、かつ当該離散的な第14族粒子が非凝集性である、実施形態45~61のいずれかに記載の製造方法。
【0238】
実施形態64. 一次活性炭の細孔容積が、少なくとも0.6cm3/gである、実施形態45~63のいずれかに記載の製造方法。
【0239】
実施形態65. ケイ素含有ガスが、化学気相含侵(chemical vapor infusion、CVI)によって導入される、実施形態45~64のいずれかに記載の製造方法。
【0240】
実施形態66. ケイ素含有ガスが、シランである、実施形態45~65のいずれかに記載の製造方法。
【0241】
実施形態67. 第14族粒子を含むスラリーを鋳造し、アノード電極を製造することをさらに含む、実施形態45~66のいずれかに記載の製造方法。
【0242】
以上より、本発明の具体的な実施形態は、例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更が加えられ得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
【0243】
本出願は、2021年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/218,786号の、米国特許法第119条に基づく出願日の利益を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】