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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電子半導体部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240723BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 21/263 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01L29/78 658A
H01L21/265 Z
H01L21/265 F
H01L21/265 Q
H01L21/02 B
H01L21/265 602C
H01L21/263 Z
H01L29/78 652T
H01L29/78 652H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500406
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022069462
(87)【国際公開番号】W WO2023285460
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021118315.4
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518351230
【氏名又は名称】エムアイツー‐ファクトリー ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カサト,コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】クリッペンドルフ,フロリアン
(57)【要約】
【課題】電子半導体部品を製造するための方法を提供する。
【解決手段】イオン注入によってドナー基板(12)内にSiCからなる第1の層(21)をドーピングするステップと、ドナー基板(12)内に所定の破損部位(26)を作成するステップと、ドナー基板(12)とアクセプタ基板(28)との間で接続を生成するステップとを含む。第1の層(21)は、、アクセプタ基板(28)とドナー基板(12)の残りの部分(22)との間の領域に配置される。最後に、ドナー基板(12)は、所定の破損部位(26)の領域で分割されて、前処理された複合基板(18)を作成する。前処理された複合基板(18)は、アクセプタ基板(28)およびそれに接続されたドープ層(32)を有し、ドナー基板(12)の第1の層(21)の第1のセクションを少なくとも含む。さらに、その過程でレーザー照射(43)により注入欠陥が修復される。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理された複合基板(18)を作成する中間ステップを介して電子半導体部品(50)を製造するための方法であって、前処理された前記複合基板(18)がアクセプタ基板(28)と、ドナー基板(12)の第1のセクション(48)と、を含み、第1のセクション(48)が少なくとも1つのドープ層(32)を有し、
a)単結晶SiCを含むドナー基板(12)を提供するステップと、
b)イオン注入によって前記ドナー基板(12)の第1の層(21)をドーピングするステップであって、所定のドーパント深さプロファイルがドーピング中に前記ドナー基板(12)の前記第1の層(21)に作成され、ここで前記第1の層(21)は、イオンビーム(10)に面する前記ドナー基板(12)の外面(23)から所定のドーピング深さ(T)まで延在し、そこで前記ドナー基板(12)の残りの部分(22)が隣接するステップと、
c)前記ドナー基板(12)の前記外面(23)と実質的に平行に延びる所定の破損部位(26)を前記ドナー基板(12)内に作成するステップと、
d)前記アクセプタ基板(28)を提供し、前記ドナー基板(12)と前記アクセプタ基板(28)との間の接続を生成するステップであって、前記第1の層(21)が前記アクセプタ基板(28)と前記ドナー基板(12)の前記残りの部分(22)との間の領域に配置されるステップと、
e)前記所定の破損部位(26)の領域で前記ドナー基板(12)を分割して、前記前処理された複合基板(18)を作成するステップであって、前記前処理された前記複合基板(18)は、前記アクセプタ基板(28)と、それに接続された前記ドナー基板(12)の第1のセクション(48)と、を含み、第1のセクション(48)は、少なくとも1つのドープ層(32)を有し、前記ドープ層(32)は、前記ドナー基板(12)の前記第1の層(21)の少なくとも1つのセクションを構成し、前記前処理された複合基板(18)は、分割後、前記所定の破損部位(26)の領域に第1の表面(58)を有するステップと、
f)前記半導体部品(50)の少なくとも1つのさらなる、好ましくは複数のさらなる構造要素を前記第1の表面(58)から前記複合基板(18)に導入し、および/または前記半導体部品(50)の少なくとも1つのさらなる、好ましくは複数のさらなる構造要素を前記第1の表面(58)上に配置するステップと、
を含む方法であって、
少なくともステップb)、c)、e)のうちの1つの後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中に、特に好ましくはステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中に、レーザー照射(43)によって、前記ドナー基板(12)の前記第1の層(21)および/または前記ドナー基板(12)の前記第1のセクション(48)において注入欠陥の修復ステップが実行される方法。
【請求項2】
レーザー照射(43)による修復ステップが、ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中に実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中に、前記修復ステップが、前記複合基板(18)の前記第1の表面(58)へのレーザー照射(43)によって実行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中のレーザー照射(43)による前記修復ステップ中に、前記アクセプタ基板(28)の領域の温度が、1500℃、好ましくは1450℃、より好ましくは1400℃、特に好ましくは1350℃を超えないことを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中のレーザー照射(43)による前記修復ステップ中に、前記複合基板(18)内に温度勾配が形成され、前記温度は、前記アクセプタ基板(28)内よりも前記第1の表面(58)付近の方が高いことを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中のレーザー照射(43)による修復ステップ中のドープ層(32)内の温度が、少なくとも一時的に少なくとも1400℃、好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の破損部位(26)が、前記ドナー基板(12)の前記残りの部分(22)の領域内にあり、さらに、ステップe)の後、前記修復ステップ前に、好ましくはエネルギーフィルタ(20)を使用して、前記複合基板(18)に前記第1の表面(58)からイオン注入するステップが実行され、それによって補助ドープ層(38)が形成されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記複合基板(18)への前記イオン注入が、少なくとも前記ドープ層(32)まで及ぶことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複合基板(18)への前記イオン注入は、前記補助ドープ層(38)のドーピング濃度が、前記補助ドープ層(38)に面している前記ドープ層(32)の領域のドーピング濃度よりも好ましくは1.5~100倍、特に好ましくは2~10倍高くなるように実行されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中の前記レーザー照射(43)による前記修復ステップ中の前記補助ドープ層(38)内の温度が、少なくとも一時的に少なくとも1400℃、好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃であることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
レーザー照射(43)による修復ステップが、ステップb)およびc)の少なくとも1つの後に実行されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後に、レーザー照射(43)による前記修復ステップが前記ドナー基板(12)の前記外面(23)上で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後の前記レーザー照射(43)による前記修復ステップ中に、前記ドナー基板(12)の前記残りの部分(22)の領域の温度が、1500℃、好ましくは1450℃、より好ましくは1400℃、特に好ましくは1350℃を超えないことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後のレーザー照射(43)による前記修復ステップ中に、前記ドナー基板(12)内に温度勾配が形成され、前記第1の層(21)の温度は、前記ドナー基板(12)の前記残りの部分(22)の温度よりも高いことを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後のレーザー照射(43)による前記修復ステップ中の前記第1の層(21)の温度が、少なくとも一時的に少なくとも1400℃、好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
修復ステップが光のパルス導入によって実行され、好ましくは照射点ごとに多数の個別パルスが堆積され、特に好ましくは100と5000の間の個数の個別パルスが堆積されることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
修復ステップ中に、深さへの温度導入および/または温度勾配が、異なる波長、パルス持続時間、および/またはパルス数の光の連続的または同時の適用によって制御されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
パルス周波数が20Hz~3kHzの範囲、好ましくは30Hzと1kHzの間であることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
パルス幅が1~1000nsの範囲であることを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記光の波長が250と400nmの間の範囲内であることを特徴とする、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の層(21)が3~15μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ドナー基板(12)が、高純度を有する高品質の半絶縁性SiC材料で作られた結晶であることを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ドナー基板(12)が、100μmを超え、好ましくは200μmを超え、より好ましくは300μmを超え、15cmまで、好ましくは10cmまでの厚さを有することを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の層(21)のドーピングは、前記第1の層(21)におけるドーピング濃度が1E15cm-3~5E17cm-3であるpドーピングまたはnドーピングを適用することを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の層(21)のドーピングが、窒素、リン、ホウ素、またはアルミニウムの元素のうちの1つのイオンを使用して実行されることを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の層(21)のドーピングが、実質的に一定のドーパント深さプロファイルを提供することを特徴とする、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の層(21)のドーピングが、前記イオンビーム(10)に面する前記ドナー基板(12)の前記外面(23)から段階的に降下するドーパント深さプロファイルを提供し、前記イオンビーム(10)に面する前記第1の層(21)の表面近位領域の段差は、前記第1の層(21)の合計深さ(T)の最大40%、好ましくは最大30%まで形成されることを特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
最も高い段と最も低い段との間の濃度差が、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも500倍、特に好ましくは少なくとも1000倍であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の層(21)のドーピングが、前記イオンビーム(10)に面する前記ドナー基板(12)の前記外面(23)から連続的に降下するドーパント深さプロファイルを提供することを特徴とする、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記連続的に降下するドーパント深さプロファイルは、次の式
に従ったプロファイルであることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の層(21)の表層領域にコンタクト層(24)を作成するか、または前記第1の層(21)の表面にコンタクト層(24)を適用するさらなるステップを有し、ドナー基板(12)とアクセプタ基板(28)との間の結合接続の生成は、前記コンタクト層(24)を介して行われ、アクセプタ基板(28)、コンタクト層(24)、第1の層の残りの部分または第1の層(21)、前記ドナー基板(12)の残りの部分(22)の順番となることを特徴とする、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記コンタクト層(24)の作成がイオン注入によって実行されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記コンタクト層(24)内のドーパント濃度が、前記第1の層の残りの部分または前記第1の層(21)内の平均ドーパント濃度よりも少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍、より好ましくは少なくとも10,000倍、さらにより好ましくは少なくとも100,000倍であることを特徴とする、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記コンタクト層(24)内のドーパント濃度が1E17cm-3より大きく、好ましくは1E19cm-3より大きいことを特徴とする、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記所定の破損部位(26)の作成が、分割トリガーイオンのイオン注入によって実行されることを特徴とする、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記分割トリガーイオンが、前記ドナー基板(12)の全幅にわたって導入されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記分割トリガーイオンが、前記ドナー基板(12)の幅の一部にわたってのみ導入されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記分割トリガーイオンが、前記ドナー基板(12)の少なくとも1つのエッジ領域にのみ導入されることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記分割トリガーイオンが、H、H、He、Bから選択されることを特徴とする、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記所定の破損部位(26)の作成は、レーザー分割法によって実行されることを特徴とする、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ドナー基板(12)の分割が、600℃と1300℃の間、好ましくは750℃と1200℃の間、より好ましくは850℃と1050℃の間の温度での前記複合基板(18)の温度処理によって引き起こされることを特徴とする、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ドナー基板(12)とアクセプタ基板(28)との間の接続の生成が、800℃と1400℃の間、好ましくは900℃と1300℃の間の温度での前記複合基板(18)の温度処理によって実行されることを特徴とする、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ドナー基板(12)とアクセプタ基板(28)との間の接続の生成と、前記ドナー基板(12)の分割の両方が、温度処理によって実行され、両方のステップを同時に実行されることを特徴とする、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ドナー基板(12)とアクセプタ基板(28)との間の接続を生成するステップの前に、接続される少なくとも一方の表面、好ましくは両方の表面の前処理、特に湿式化学処理、プラズマ処理、またはイオンビーム処理が行われることを特徴とする、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記アクセプタ基板(28)が、最大1400℃まで、好ましくは最大1350℃まで、特に好ましくは最大1300℃までの温度でのみ安定であることを特徴とする、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記アクセプタ基板(28)がシリコンから形成されることを特徴とする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ステップb)における前記ドーピングは、エネルギーフィルタ(20)を使用して実行され、前記エネルギーフィルタ(20)は、前記ドナー基板(12)の前記第1の層(21)に、注入によって引き起こされるドーパントの深さプロファイルを設定するための所定の構造プロファイルを有する微細構造膜であることを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ステップd)によって生成されるドナー基板(12)とアクセプタ基板(28)との間の接続が永久的であることを特徴とする、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ステップd)によって生成されるドナー基板(12)とアクセプタ基板(28)との間の接続が一時的であることを特徴とする、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ステップe)の後、かつステップf)の前に、好ましくは化学機械研磨によって前記第1の表面(58)を研磨するか、または前記第1の表面(58)を研削するさらなるステップが行われることを特徴とする、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前処理された複合基板(18)を提供するステップであって、前記前処理された複合基板(18)は、アクセプタ基板(28)と、前記アクセプタ基板(28)に接続されたSiCからなる少なくとも1つのドープ層(32)と、を有するステップと、
レーザー照射(43)によって、前記ドープ層(32)の注入欠陥を修復するステップであって、前記アクセプタ基板(28)の領域の温度は、1500℃、好ましくは1450℃、より好ましくは1400℃、特に好ましくは1350℃を超えないステップと、
を含む電子半導体部品(50)を製造するための方法。
【請求項52】
前記ドープ層(32)は、前記アクセプタ基板(28)とは反対側の第1の表面(58)を有し、前記レーザー照射(43)は、前記第1の表面(58)上で行われることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
レーザー照射(43)による前記修復ステップ中に、前記複合基板(18)内に温度勾配が形成され、前記温度は、前記アクセプタ基板(28)内より前記第1の表面(58)付近の方が高いことを特徴とする、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
レーザー照射(43)による前記修復ステップ中の前記ドープ層(32)内の温度が、少なくとも一時的に少なくとも1400℃、好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃であることを特徴とする、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記修復ステップが、光のパルス導入によって実行され、好ましくは、照射点ごとに多数の個別パルスが堆積され、特に好ましくは100と5000の間の個数の個別パルスが堆積されることを特徴とする、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記修復ステップ中に、深さへの温度導入および/または温度勾配が、異なる波長、パルス持続時間、および/またはパルス数の光の連続的または同時の適用によって制御されることを特徴とする、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
パルス周波数が20Hz~3kHzの範囲内、好ましくは30Hzと1kHzの間であることを特徴とする、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
パルス幅が1~1000nsの範囲内であることを特徴とする、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記光の波長が250と400nmの間の範囲内であることを特徴とする、請求項55~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記アクセプタ基板(28)が、最大1400℃まで、好ましくは最大1350℃まで、特に好ましくは最大1300℃までの温度でのみ安定であることを特徴とする、請求項55~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記アクセプタ基板(28)がシリコンから形成されることを特徴とする、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記修復ステップの実行後に、前記半導体部品(50)の少なくとも1つのさらなる、好ましくは複数のさらなる構造要素を前記第1の表面(58)から前記複合基板(18)に導入し、および/または前記半導体部品(50)の少なくとも1つのさらなる、好ましくは複数のさらなる構造要素を前記第1の表面(58)上に配置するステップが実行されることを特徴とする、請求項55~61のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子半導体部品の製造方法に関する。
【0002】
公称ブロッキング電圧が600Vを超える個別の高ブロッキングパワー半導体部品は、通常、シリコンとSiCの両方で垂直に構築される。これがダイオード、すなわちMPS(マージPINショットキー)ダイオード、ショットキーダイオード、またはp-nダイオードにとって意味することは、カソードが基板の表側に、アノードが基板の裏側に配置されていることである。同様の構成は、縦型パワーMOS(金属酸化膜半導体)部品の場合にも適用できる。ゲート電極とソース電極は基板の表側にあり、ドレイン電極は基板の裏側にある。従来のパワーMOSFETでは、実際のトランジスタ素子および/またはチャネル領域は、表面に平行(D-MOS)または表面に垂直(トレンチMOS)に配置され得る。トレンチトランジスタなどのSiC MOSFETでは、特別な設計が確立されている。
【0003】
必要なブロッキング能力(逆ブロッキング電圧)に応じて、ドリフト領域(=活性領域、電圧吸収層)の幅が設定される。例えば、シリコン内の600V MOSFET部品のドリフトゾーンの幅は約50μmになる。
【0004】
いわゆるスーパージャンクション部品の場合、電圧吸収層の幅は、「単純な」縦型MOSFETに比べて若干狭くなる場合がある。このタイプの縦型部品の特別な特徴は、ドリフトが交互に配置された垂直のpドープカラムとnドープカラムによって特徴付けられることである。追加的に導入されたpドーピングは、ブロッキングの場合に、スイッチオン状態でのソース電極とドレイン電極間の抵抗を決定するnドープ領域の電荷の増加を補償する。したがって、同等のブロッキング能力で、オン状態抵抗を従来の縦型MOSトランジスタと比較して最大約10分の1まで低減できる。実際のトランジスタ素子、つまりチャネル領域は、表面に平行(D-MOS)または表面に垂直(トレンチMOS)の超接合MOSFETアーキテクチャで配置できる。
【0005】
SiCの特殊な材料特性には、特定の製造方法の提供と、縦型パワー半導体部品のチャネルおよびトランジスタ領域の特定のアーキテクチャの適用が必要である。
【0006】
通常、すべての縦型パワーダイオードまたはすべてのパワートランジスタ(MOSFETおよびJ-FET)の活性ゾーンは、単結晶エピタキシャル層で形成される。これらのエピタキシャル層は、結晶キャリアウェハ上に構築または堆積される。したがって、活性エピタキシャルゾーンのドーピングおよび垂直方向の広がり(厚さ)をそれぞれのブロッキング電圧に適合させることができ、高ドープキャリアウェハをそのドーピングに関して最適化して、オン状態抵抗への寄与を最小限に抑えることができる。
【0007】
特にSiC基板の場合、エピタキシャル層の堆積とさらに単結晶キャリアウェハの準備に多大なコストがかかるため、上述の層構造の製造は複雑でコストがかかる。
【0008】
DE 10 2019 112 985 A1は、代替として、SiCウェハから基板を分割し、続いてエネルギーフィルタを使用してドリフトゾーンにイオン注入することによって、エピタキシャル堆積を行わずに半導体部品を製造することを提案している。
【0009】
本発明は、複雑さを軽減し、コストを削減する電子半導体部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
この目的は、請求項1または請求項51の特徴によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0011】
第1の態様によれば、前処理された複合基板(18)を作成する中間ステップを介して電子半導体部品(50)を製造するための本発明による方法であって、前処理された複合基板(18)がアクセプタ基板(28)と、ドナー基板(12)の第1のセクション(48)と、を含み、第1のセクションが少なくとも1つのドープ層(32)を含む方法は、
a)単結晶SiCを含むドナー基板を提供するステップと、
b)イオン注入によってドナー基板の第1の層全体をドーピングするステップであって、ドーピング中、所定のドーパント深さプロファイルがドナー基板の第1の層に作成され、第1の層は、イオンビームに面するドナー基板の外面から所定のドーピング深さまで延在し、ドナー基板の残りの部分が隣接し、ドーピング中に注入欠陥が作成されるステップと、
c)ドナー基板の外面と実質的に平行に延びる所定の破損部位をドナー基板内に作成するステップと、
d)アクセプタ基板を提供し、ドナー基板とアクセプタ基板との間に結合接続を生成するステップであって、第1の層は、アクセプタ基板とドナー基板の残りの部分との間の領域に配置されるステップと、
e)所定の破損部位の領域でドナー基板を分割して、前処理された複合基板を作成するステップであって、前処理された複合基板は、アクセプタ基板と、それに接続されたドナー基板の第1のセクションと、を含み、第1のセクションは、少なくとも1つのドープ層を有し、ドープ層は、ドナー基板の第1の層の少なくとも1つのセクションを構成し、分割は、ドナー基板の第1のセクションが所定の破損部位の領域に第1の表面を有し、第1の表面が複合基板のアクセプタ基板とは反対側となるように行われるステップと、
f)半導体部品(50)の少なくとも1つのさらなる、好ましくは複数のさらなる構造要素を第1の表面(58)から複合基板(18)に導入するステップ、および/または半導体部品(50)の少なくとも1つのさらなる、好ましくは複数のさらなる構造要素を第1の表面(58)上に配置するステップと、
を含み、ここで、ステップb)、c)、e)、およびf)のうちの少なくとも1つの後、これらのうち、好ましくはステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中に、レーザー照射(43)によって、ドナー基板(12)の第1の層(21)および/またはドナー基板(26)の第1のセクション(48)において注入欠陥の修復ステップが実行される。
【0012】
レーザー照射による修復ステップは、好ましくは、ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはステップ中に行われる。この場合、耐高温性を必要としないアクセプタ基板、例えばシリコン製の基板を使用することが可能である。ステップf)中は、製造にイオン注入が必要ない半導体部品の特定の構造要素も、修復後に作成または適用できることを意味する。
【0013】
レーザー照射による修復ステップは、ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはステップ中に、複合基板の第1の表面上で実行されることが好ましい。
【0014】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはステップ中におけるレーザー照射による修復ステップ中、アクセプタ基板の領域の温度は、好ましくは1500℃、より好ましくは1450℃、さらにより好ましくは1400℃を超えず、特に好ましくは1350℃を超えない。
【0015】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはそのステップ中のレーザー照射による修復ステップ中に、複合基板内に温度勾配が形成されることが好ましく、第1の表面に近い温度はアクセプタ基板内よりも高い。
【0016】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはステップ中のレーザー照射による修復ステップ中のドープ層の温度は、少なくとも一時的に好ましくは少なくとも1400℃、より好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃である。
【0017】
一実施形態では、所定の破損部位は、ドナー基板の残りの部分の領域内にあり、さらに、ステップe)の後、修復ステップの前に、イオン注入を実行するさらなるステップが実行され、好ましくは複合基板の第1の表面からエネルギーフィルタを使用し、それによって補助ドープ層が形成される。
【0018】
複合基板へのイオン注入は、ここでは少なくともドープ層まで及ぶことが好ましい。
【0019】
複合基板へのイオン注入は、補助ドープ層のドーピング濃度が補助ドープ層に面するドープ層の領域よりも高くなるように、好ましくは1.5~100倍高くなるように、特に好ましくは2~10倍高くなるように実行されることが好ましい。
【0020】
ステップe)の後、および/またはステップf)の後もしくはステップ中のレーザー照射による修復ステップ中の補助ドープ層の温度は、少なくとも一時的に、好ましくは少なくとも1400℃、より好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃である。
【0021】
代替的または追加的に、レーザー照射による修復ステップは、ステップb)およびc)の少なくとも1つの後に実行することができる。
【0022】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後のレーザー照射による修復ステップは、ドナー基板の外面上で実行されることが好ましい。
【0023】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後のレーザー照射による修復ステップ中、ドナー基板の残りの部分の領域の温度は、好ましくは1500℃、より好ましくは1450℃、さらにより好ましくは1400℃、特に好ましくは1350℃を超えない。
【0024】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後のレーザー照射による修復ステップ中に、ドナー基板内に温度勾配が形成されることが好ましく、ドナー基板の残りの部分よりも第1の層の温度が高い。
【0025】
ステップb)およびc)の少なくとも1つの後のレーザー照射による修復ステップ中の第1の層の温度は、少なくとも一時的に、好ましくは少なくとも1400℃、より好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃である。
【0026】
修復ステップは、好ましくは一般にパルス光の導入によって実行され、好ましくは照射点ごとに多数の個別パルス、特に好ましくは100~5000個の個数の個別パルスが堆積される。
【0027】
一般に、修復ステップ中に、深部への温度導入および/または温度勾配が、異なる波長、パルス持続時間、および/またはパルス数の光の連続的または同時の適用によって制御されることも好ましい。
【0028】
また、パルス周波数は20Hz~3kHzの範囲内であることが好ましく、30Hzと1kHzの間であることがより好ましい。
【0029】
1つの好ましい実施形態では、パルス幅は1~1000nsの範囲である。
【0030】
光の波長は、250~400nmの範囲内であることが好ましい。
【0031】
非常に一般的には、本発明の範囲において、各イオン注入が完了した直後に修復ステップを行うこともできるし、複数の連続するイオン注入の注入欠陥を1回の修復ステップで同時に修復することもできる。ドナー基板では、平衡プロセス(例えば炉内)によって修復が行われることもあり、その場合、ドナー基板全体が1400℃を超え、または1450℃を超え、または1500℃を超える温度に加熱される。
【0032】
したがって、全体として、レーザー照射による本発明による単一の修復ステップを提供することができ(ドナー基板または複合基板のいずれかに適用する)、レーザー照射による本発明による2つの修復ステップを提供することができ(ドナー基板と複合基板、またはそれぞれの場合において2つのうちの一方のみに適用される)、あるいは、レーザー照射による本発明による3つ以上の修復ステップを提供することもできる(ドナー基板と複合基板、またはそれぞれの場合において2つのうちの一方のみに適用される)。
【0033】
本発明による修復工程が複合基板に適用される場合、複合基板はすでに完全または部分的に修復していてもよく、または、まだまったく修復していなくてもよい。
【0034】
ソースおよびボディ領域、チャネル領域、シールド構造、J-FET構造、接続コンタクト、エッジ仕上げなどの製造は、イオン注入によって実行できる。ドーピングは、p型またはn型にすることができ、重ね合わせたり、単独で導入したりすることができる。適切なマスク(リソグラフィー)が提供されることが好ましい。注入ステップの一般的なエネルギーは、数keVから最大約1MeVである。注入ステップは、室温または500℃から1000℃までの温度で実行されることが好ましい。複合基板の構築後のベースドーピングまたはベースドーピングの一部の導入中に、イオンエネルギーは最大30MeVに達する可能性がある。
【0035】
イオン注入欠陥(準備時に複合材料中に元々存在する欠陥を含む)の修復は、レーザー修復または適切な波長および強度の光によって行われる。適切な波長は、十分な侵入深さを確保し、エネルギー吸収を確保する波長である。
【0036】
修復する領域の深さに応じて、そのエネルギーがバンドギャップより大きい波長(吸収性が高く、深さが浅い、つまりエネルギー吸収が狭い深さ範囲で起こる)、またはバンドギャップより小さい波長(透過率が大きく、エネルギー吸収は広い深さ範囲で起こる)が使用される。
【0037】
深さへの温度導入または温度勾配は、異なる波長、パルス持続時間、パルス数の光を順次または同時に照射することによって制御できる。
【0038】
エネルギー導入はさらに、パルス幅変調とパルス当たりの出力密度の変調、およびパルスの時系列シーケンスによって制御できる。したがって、例えば、急速なダブルパルスまたは複数のパルスの後に長い休止期間が続く時間的微細構造が考えられる。例えば、パルス幅は50ns、ダブルパルスはkHzの範囲、休止期間は数Hzの範囲である。
【0039】
パルス幅はピコ秒の範囲からミリ秒の範囲であるが、好ましくは1~1000ナノ秒の範囲である。パルス周波数は、数ヘルツから数キロヘルツの範囲にあり、例えば50Hzである。前述のパラメータを使用すると、非常に大きなパラメータ空間が広がる。
【0040】
修復は、「サブ溶融状態」、すなわち非溶融状態、または「フル溶融状態」、すなわち溶融状態のいずれかで起こる。
【0041】
照射プロセスは、アクセプタ基板の過度の加熱を防ぐためにパルス状に実行されることが好ましい。
【0042】
照射点ごとに所望の量のエネルギーが材料内に蓄積されるように、多数の個別パルスが照射点ごとに堆積されることが好ましい。
【0043】
レーザー修復は、好ましくは連続プロセスであり、例えば、ピコ秒範囲からナノ秒範囲のパルス長を有するパルスエキシマレーザー(例えば、波長308nmまたは355nm)が使用される。通常、各点は、例えば数百または数千のレーザーパルスで占有され、ウェハは順次走査される。
【0044】
レーザーアニーリングプロセスは、保護ガス雰囲気下で実行されることが好ましい。
【0045】
レーザーアニーリングプロセスは、薄いキャッピング層を堆積した後に実行されることが好ましい。キャッピング層は炭素質材料またはシリコン含有材料から構成される。キャッピング層は、レーザーアニーリングプロセス中に化学的または物理的に変更(溶融)する可能性がある。キャッピング層は、レーザーアニーリングステップの後に除去される。キャッピング層は薄く、通常は20nm~500nmである。
【0046】
層堆積、さらなる注入またはエッチングなどのさらなるプロセスステップも、それぞれの注入ステップとそれぞれの修復ステップとの間にあり得ることに留意されたい。一般に、注入ステップと修復ステップは直接相互に続く必要はない。単一の修復ステップで複数の個別の注入を修復することもできる。
【0047】
最初の層は常に単結晶SiCで構成される。好ましくは、ドナー基板は完全に単結晶SiCからなる。
【0048】
第1の層の厚みは3~15μmが好ましい。イオン注入は、このオーダーの厚さにわたって合理的に実行することができる。
【0049】
1つの好ましい実施形態では、ドナー基板は、高純度を有する高品質の単結晶半絶縁性SiC材料で作られた結晶である。特に、これは、元素汚染物質、特にN、B、Pの濃度が主に5E15cm-3未満である材料として理解されるべきである。この文脈において、「主に」とは、深さプロファイルの過程のほぼどこでも基準が適用されるが、例えば表面などの特定の領域では偏差が存在する可能性があることを意味する。この場合、これはHT-CVD(高温化学蒸着)材料であることが好ましい。
【0050】
1つの好ましい実施形態では、ドナー基板は、4H、6H、または3CポリタイプのSiCで作られる。これらのポリタイプは、半導体部品の製造に有利であることが証明されている。
【0051】
イオンビームに面するドナー基板の外面は、イオンビームに垂直な方向からドナー基板の結晶構造のc方向まで、好ましくは0.5°未満、より好ましくは0.3°未満、さらにより好ましくは0.1°未満偏り、最も好ましくは全く偏らない。約0°の場合の利点は、特に、ドナー基板を外面と平行に切断できるため、円筒からより多くの部分ウェハを得ることができることである。
【0052】
ドナー基板は、好ましくは100μmを超え、好ましくは200μmを超え、より好ましくは300μmを超えて15cmまで、好ましくは10cmまでの厚さを有する。
【0053】
一般に、第1の層のドーピングは、第1の層におけるドーピング濃度が1E15cm-3~5E17cm-3であるpドーピングまたはnドーピングを供給することが好ましい。このドーピング濃度は、多数の高性能部品のドリフトゾーン(活性層、電力吸収層)に非常に適している。ドーピングは、第1の層の厚さにわたって一定であってもよいし、そこから逸脱したドーピングプロファイルを示してもよい。
【0054】
第1の層のドーピングは、好ましくは、窒素、リン、ホウ素、またはアルミニウムの元素のうちの1つのイオンを使用して実行される。
【0055】
第1の層のドーピング中のイオンビームの一次エネルギー範囲は、好ましくは1MeVと30MeVの間であり、特定の状況下では50MeVまでである。
【0056】
1つの好ましい実施形態では、第1の層のドーピングにより、一定のドーパント深さプロファイルまたは実質的に一定のドーパント深さプロファイルが提供される。これらは、完全に平坦なドーパント深さプロファイルからの偏差が20%未満、好ましくは10%未満であるプロファイルとして理解されるべきである。実際には、プラトーには下降する側面が隣接しており、すなわち、プロファイルの下降は、ドーピング深さの領域で垂直または急峻ではない。
【0057】
代替実施形態では、第1の層のドーピングにより、イオンビームに面するドナー基板の外面から段階的に降下するドーパント深さプロファイルが提供され、ここで、段差は、イオンビームに面する第1の層の表面近位領域に形成され、イオンビームに向かって、第1の層の合計深さの最大40%、好ましくは最大30%の範囲の深さである。
【0058】
最も高い段と最も低い段との間の濃度差は、好ましくは少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも500倍、特に好ましくは少なくとも1000倍である。
【0059】
ここでは、段差の側面領域の深さの広がりが、階段状のプラトーの深さの広がりを上回る。
【0060】
代替実施形態では、第1の層のドーピングにより、イオンビームに面するドナー基板の外面から連続的に降下するドーパント深さプロファイルが提供される。
【0061】
ここで、連続的に降下するドーパント深さプロファイルは、好ましくは次の式に従ったプロファイルである。
ここで、
maxは最大ドーピング濃度、
αは10と10,000の間の値、
zは外面までの距離、
bは最初の層の厚さ、
fは0.95と1.05の間の公差係数、
はバックグラウンドドーピングであり、
ここで、
ここで、
maxは最大フィールド、
εは半導体の比誘電率、
εは真空中の誘電率、
は電子の素電荷、
brは降伏電圧であり、
そして、ここで、
【0062】
一般に、第1の層の表層領域にコンタクト層を作成するか、または第1の層の外面にコンタクト層を塗布するさらなるステップが好ましく、ここでドナー基板とアクセプタ基板との間の結合接続がコンタクト層を介して生成される。この場合、アクセプタ基板、コンタクト層、第1の層の残りの部分または第1の層、ドナー基板の残りの部分という順序が生じる。したがって、ドナー基板とアクセプタ基板との間に特に良好な低抵抗接続を確保することができる。
【0063】
コンタクト層の作成は、好ましくはイオン注入によって実行される。
【0064】
コンタクト層のドーパント濃度は、第1の層の残りの部分または第1の層の平均ドーパント濃度よりも、好ましくは少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍、より好ましくは少なくとも10,000倍、さらにより好ましくは少なくとも100,000倍高い。このようにして、可能な限り最も低い抵抗の係合接続が達成され、半導体部品内の界面への電界の侵入が回避される。
【0065】
1つの好ましい実施形態では、コンタクト層内のドーパント濃度は1E17cm-3より大きく、より好ましくは1E19cm-3より大きい。
【0066】
所定の破損部位は、好ましくは第1の層の領域、特に好ましくは所定のドーピング深さに近い第1の層の端部領域にあり、エッジ領域は特に好ましくは1μm以下である。このようにして、分割後にドナー基板上に残るドープされた材料はできるだけ少なくなる。
【0067】
代替実施形態では、所定の破損部位はドナー基板の残りの部分の領域内にあり、さらにステップe)の後に、半導体部品における複合基板に側方からイオン注入を実行するさらなるステップが実行される。これには、より大きな全体の厚さを有する活性ゾーンを形成できるという利点がある。このようにして可能になった2つの異なる注入の重ね合わせにより、異なる好ましいドーピングプロファイルを作成することもでき、または好ましいドーピングプロファイルを段階的に作成することもできる。
【0068】
この代替実施形態の範囲において、複合基板へのイオン注入により、少なくともドープ層まで広がる補助ドープ層のドーパント深さプロファイルが提供されることが好ましい。
【0069】
複合基板へのイオン注入は、例えば、ドープ層と補助ドープ層の両方のドーパント深さプロファイルの組み合わせが、一定のプロファイル、アクセプタ基板に向かって段階的に上昇するプロファイル、またはアクセプタ基板に向かって連続的に上昇するプロファイルとなるように実行される。他のプロファイル形状も考えられる。
【0070】
ここでは、ドープ層と補助ドープ層の2つのドーパント深さプロファイルの遷移領域で斜めに下降する側面が重なる可能性がある。
【0071】
補助ドープ層内のドーピング濃度が、補助ドープ層に面するドープ層の領域よりも高く、好ましくは1.5~100倍高く、特に好ましくは2~10倍高い実施形態が特に好ましい。ここでも、ドープ層内のドーピング濃度は、一定のプロファイル、アクセプタ基板に向かって段階的に上昇するプロファイル、またはアクセプタ基板に向かって連続的に上昇するプロファイルとすることができる。
【0072】
所定の破損部位の作成は、好ましくは、分割トリガーイオンのイオン注入によって実行される。
【0073】
分割トリガーイオンは、可能な限り均一な分離面を生成するために、ドナー基板の全幅にわたって導入されることが好ましい。
【0074】
あるいは、分割トリガーイオンをドナー基板の幅の一部にわたってのみ導入することもできる。これにより、イオン注入中の労力が軽減される。
【0075】
分割トリガーイオンは、好ましくは、ここではドナー基板のエッジ領域にのみ導入される。
【0076】
好ましい実施形態では、分割トリガーイオンは、水素(HまたはH)、ヘリウム(He)、ホウ素(B)から選択される。
【0077】
原理的には、分割トリガーイオンが0.5と10MeVの間、好ましくは0.5と5MeVの間、より好ましくは0.5と2MeVとの間のエネルギーを有する高エネルギーイオンであれば有利である。
【0078】
分割トリガーイオンの粒子線量は、それぞれの場合において、1E15cm-2と5E17cm-2の間であることが好ましい。この用量で信頼性の高い分割が達成される。
【0079】
分割トリガーイオンの一次イオンビームのエネルギー鋭さ(ΔE/E)は、好ましくは10-2未満、より好ましくは10-4未満である。このようにして、所定の破損部位が最小の厚さを有し、所定の破損部位におけるイオンのエネルギー損失ピークが可能な限り鋭いことが保証される。
【0080】
ドナー基板の分割は、600℃と1300℃の間、好ましくは750℃と1200℃の間、より好ましくは850℃と1050℃の間の温度での複合基板の温度処理によって引き起こされることが好ましい。あるいは、機械的な方法も考えられる。
【0081】
あるいは、ドナー基板の分割は、他の分割方法、例えばレーザー分割方法によって実行することもできる。
【0082】
好ましい一実施形態では、接着接続の製造は、800℃と1400℃の間、好ましくは900℃と1300℃の間の温度で複合基板を温度処理することによって行われる。
【0083】
方法を簡略化するために、結合接続の生成とドナー基板の分割の両方を温度処理によって実行し、両方のステップを同時に実行することが考えられる。
【0084】
好ましくは、結合される少なくとも一方の表面、好ましくは両方の表面の前処理、特に湿式化学処理、プラズマ処理、またはイオンビーム処理が、結合接続を生成するステップの前に行われる。
【0085】
アクセプタ基板は、好ましくは最大1400℃まで、好ましくは最大1350℃まで、特に好ましくは最大1300℃までの温度でのみ安定である。
【0086】
1つの好ましい実施形態では、アクセプタ基板はシリコンから形成される。
【0087】
ステップb)におけるドーピングは、エネルギーフィルタを使用して実行されることが好ましく、エネルギーフィルタは、ドナー基板の第1の層における注入によって誘発されるドーパント深さプロファイルを設定するための所定の構造プロファイルを有する微細構造膜である。同じことが、この方法中に行われる他のすべてのイオン注入にも当てはまる。別の種類のイオン注入には、例えば、チェーン注入またはチャネリング注入がある。
【0088】
好ましくは、複合基板の表面の後処理は、特に研削または研磨および/または(表面近位の)欠陥の除去によって、分割ステップ後の所定の破損部位の領域で行われる。この場合、化学機械研磨が特に有利である。
【0089】
ドナー基板またはドープ層とアクセプタ基板との間の接続は、永久的または一時的であり得る。後者の場合、アクセプタ基板は、半導体部品の部分的または完全な処理後に再び除去される。
【0090】
さらなる態様によれば、本発明による電子半導体部品を製造する方法は、
前処理された複合基板を提供するステップであって、前処理された複合基板は、アクセプタ基板と、アクセプタ基板に接続されたSiCからなる少なくとも1つの完全にドープされた層とを有し、ドープされた層(32)は、好ましくは3μm~30μmの厚さを有するステップと、
レーザー照射によりドープ層内の注入欠陥を修復するステップであって、ドープ層には注入欠陥が実質的に完全に存在せず、アクセプタ基板の領域の温度は1500℃、好ましくは1450℃、より好ましくは1400℃、特に好ましくは1350℃を超えないステップと、を含む。
【0091】
この場合、前処理された複合基板またはドープ層がどの方法で作成されたかは、最初は無関係である。上述の方法ステップに加えて、例えば、アクセプタ基板上への3C SiC材料のヘテロタクティック堆積も考慮される。この態様に関して、より敏感なアクセプタ基板の温度が著しく低い一方で、ドープされたSiC層は実質的に完全に欠陥を除去できるという事実は、本発明の範囲内に関連する。
【0092】
この場合も、ドープ層はアクセプタ基板とは反対側の第1の表面を有し、レーザー照射は第1の表面上で行われることが好ましい。
【0093】
レーザー照射による修復工程中に、複合基板内に温度勾配が形成されることが好ましく、第1の表面付近の温度がアクセプタ基板内よりも高くなる。
【0094】
レーザー照射による修復ステップ中のドープ層の温度は、少なくとも一時的に少なくとも1400℃、好ましくは少なくとも1450℃、特に好ましくは少なくとも1500℃である。
【0095】
修復ステップの好ましい詳細(例えば、パルス光の導入、波長、パルス周波数、パルス幅など)は、上記のものと同一である。
【0096】
アクセプタ基板は、好ましくは、最大1400℃まで、好ましくは最大1350℃まで、特に好ましくは最大1300℃までの温度でのみ安定であることが好ましい。
【0097】
ここでは、アクセプタ基板もシリコンから形成されることが特に好ましい。
【0098】
電子半導体部品は、一般に、縦型半導体部品であることが好ましく、高ブロッキング縦型パワー半導体部品であることがより好ましい。
【0099】
構造要素の例としては、異なるドーピングのアクティブ領域とパッシブ領域(ソース、J-FET pドープゲート構造、MOSFETチャネル、シールド領域、p-n遷移、再表面エッジ領域、ソース-ゲートコンタクト領域、J-FETチャネル領域)、絶縁酸化物、ゲート酸化物、コンタクト領域(金属、シリサイド)、ショットキー電極(金属、合金)、オーミック電極、ソースゲートのメタライゼーションまたは配線、パッシベーション層、ゲート電極用のトレンチ、ボンドパッド、コンタクトホールまたはコンタクトトレンチが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1は、本発明による方法で使用することができるドナー基板の第1の実施形態の概略断面図である。
【0101】
図2は、ドナー基板を照射するためのエネルギーフィルタを有する照射装置の概略図である。
【0102】
図3は、本発明による方法で使用できるエネルギーフィルタの動作モードの概略図である。
【0103】
図4は、異なる構造のエネルギーフィルタによって作成され得る様々なドーピングプロファイルの概略図である。
【0104】
図5は、ドナー基板の第1の層のドーピングの順序と、それから得られるドナー基板のドーピングプロファイルを概略的に示す。
【0105】
図6は、ドナー基板の第1の層のドーピングプロファイルの様々な可能性を示す。
【0106】
図7aは、ドナー基板におけるコンタクト層の作成または適用を概略的に示す。
【0107】
図7bは、ドナー基板における修復ステップを概略的に示す。
【0108】
図8は、ドナー基板内に所定の破損部位を作成する第1の変形例を概略的に示す。
【0109】
図9は、ドナー基板内に所定の破損部位を作成する第2の変形例を概略的に示す。
【0110】
図10は、ドナー基板とアクセプタ基板との間の結合接続の生成を概略的に示す。
【0111】
図11は、複合基板からのドナー基板の残りの部分の分割を概略的に示す。
【0112】
図12は、分割点の領域における複合基板の表面の後処理を概略的に示す。
【0113】
図13aは、前処理された複合基板の一実施形態の断面を概略的に示す。
【0114】
図13bは、複合基板における修復ステップを概略的に示す。
【0115】
図14は、前処理された複合基板のさらなる実施形態の断面図および関連するドーピングプロファイルを概略的に示す。
【0116】
図15は、ドナー基板から複合基板を複数作成するために使用する際の、ドナー基板として機能するウェハロッドの分割の概略図である。
【0117】
図16は、ドナー基板のいくつかの領域におけるマスキングを使用したドナー基板の第1の層のドーピングの順序と、それから得られるドナー基板の代替ドーピングプロファイルを概略的に示す。
【0118】
図17は、本発明による製造方法を用いて製造された半導体電子部品の例示的な基本構造の断面を概略的に示す。
【0119】
図18は、本発明による製造方法を使用して製造された電子半導体部品の別の例示的なベース構造の断面を概略的に示す。
【0120】
図19は、プレーナ型MOSトランジスタの形態の電子半導体部品の一実施形態の断面を概略的に示す。
【0121】
図20は、電子半導体部品の好ましいドーピングプロファイルを概略的に示す。
【0122】
電子半導体部品を製造するための本発明による方法は、第1の態様によれば、単結晶炭化ケイ素(SiC)を含むかまたは完全に単結晶炭化ケイ素からなるドナー基板12を用意することから始まる(図1および図2を参照)。
【0123】
図1に示されるドナー基板12の実施形態は、高純度を有する高品質の半絶縁性SiC材料で作られたウェハである。特に、これは、N、B、Pなどの元素汚染物質の濃度が5E15cm-3未満である材料として理解されるべきである。この文脈での主な意味は、深さプロファイルの過程のほぼどこでも基準が適用されるが、表面などの特定の領域では偏差が存在する可能性があることを意味する。特に好ましくは、HT-CVD(高温化学気相成長)材料である。
【0124】
図1によるドナー基板12は、好ましくは100μmを超え、好ましくは200μmを超え、より好ましくは300μmを超え、15cmまで、好ましくは10cmまでの厚さを有する。特に、ドープされていない、または弱くnドープされたウェハロッドとして形成できる(図15を参照)。
【0125】
1つの好ましい実施形態では、ドナー基板は、4H、6H、または3CポリタイプのSiCで作られる。これらのポリタイプは、それを用いて製造される半導体部品の特性にとって有利であることが証明されている。
【0126】
ドナー基板12を用意した後、ドナー基板12内の第1の層21のドーピング(図5を参照)が行われ、これは少なくとも後で完成部品のドリフトゾーン(活性ゾーンまたは電圧吸収ゾーンとも呼ばれる)の機能を引き受けるか部分的に引き受ける。ドナー基板12の第1の層21のこのドーピングは、エネルギーフィルタ20を使用するイオン注入によって実行される。対応する基本構造が図2に示されている。
【0127】
図2は、照射チャンバ8を示しており、その中には典型的には高真空が存在する。ドーピングされるドナー基板12は、照射チャンバ8内の基板ホルダ30に収容される。
【0128】
イオンビーム10は粒子加速器(図示せず)によって生成され、照射チャンバ8内に導かれる。イオンビーム10のエネルギーはそこでエネルギーフィルタ20によって分散され、照射されるドナー基板12に入射する。あるいは、エネルギーフィルタ20は、照射チャンバ8内、または照射チャンバ8に直接隣接する、バルブを使用して閉鎖可能な別個の真空チャンバ内に配置することができる。
【0129】
基板ホルダ30は静止している必要はなく、むしろ任意選択でドナー基板12をx-y(シート面に垂直な面内)に変位させる装置を設けることができる。さらに、基板ホルダ30としてウェハホイールが考慮され、その上に注入されるドナー基板12が固定され、注入中に回転する。基板ホルダ30をビーム方向(z方向)に変位させることも可能である。さらに、基板ホルダ30には、必要に応じて、ヒーターまたはクーラーを設けることができる。
【0130】
エネルギーフィルタ20の基本原理を図3に示す。単一エネルギーイオンビーム10は、微細構造膜として設計されたエネルギーフィルタ20を通過する間に、入射位置に応じてそのエネルギーが変化する。結果として生じるイオンビーム10のイオンのエネルギー分布により、ドナー基板12のマトリクス内の注入材料の深さプロファイルが変更される。E1は第1のイオンのエネルギーを示し、E2は第2のイオンのエネルギーを示し、concはドーピング濃度を示し、dはドナー基板12内の深さを示す。典型的なガウス分布は、図の右側の参照符号Aによって識別され、これはエネルギーフィルタ20を使用しない場合に生じる。これとは対照的に、長方形の分布は、参照符号Bを用いて例として描かれており、これはエネルギーフィルタ20の使用により達成することができる。
【0131】
図4に示すエネルギーフィルタ20のレイアウトまたは三次元構造は、エネルギーフィルタ20によって多数のドーパント深さプロファイルを作成するための基本的な可能性を示している。concは再びドーピング濃度を示し、dは再びドナー基板12内の深さを示す。フィルタ構造プロファイルは原則的に互いに結合して、新しいフィルタ構造プロファイル、ひいては新しいドーパント深さプロファイルを得ることができる。
【0132】
このようなエネルギーフィルタ20は、一般にシリコンから製造される。それらは、3μmと200μmの間、好ましくは5μmと50μmの間、特に好ましくは7μmと20μmの間の厚さを有する。それらはフィルタフレーム(図示せず)内に保持することができる。フィルタフレームはフィルタホルダ(図示せず)に交換可能に収容可能である。
【0133】
nドープされた第1の層21の好ましい形成には、窒素またはリンのイオンを使用する注入が特に適しており、pドープ層にはホウ素またはアルミニウムのイオンを使用する注入が特に適している。
【0134】
図5に示す第1の層21のドーピングの方法ステップの例示的な実施形態では、ドナー基板12へのイオン注入は、ドナー基板12の前面から行われる。イオンビームに向かうドナー基板12の面は、以下、外面23と呼ばれる。短い黒い実線の矢印は、エネルギーフィルタ20を通過する最小エネルギーのイオンを示し、長い黒い実線の矢印は、エネルギーフィルタ20を通過する最大エネルギーのイオンを示す。断面A-A'に沿った結果のドーピングプロファイルが座標系の右側に示されている。concはドーピング濃度を表す。ドーピングプロファイルは、図1によるドナー基板12の設計に基づいており、第1の層21全体にわたってほぼ均一である。第1の層21は、イオンビーム10に面するドナー基板12の外面23から所定のドーピング深さ(T)まで延在する。ここで、ドナー基板12の残りの部分22が隣接し、エネルギーフィルタによるイオン注入の影響を受けない。
【0135】
第1の層21の厚さは、後続の構成要素における活性層、または活性層とフィールドストップ層の組み合わせ、または活性層とフィールドストップ層および表面機能ゾーンの組み合わせの、事前に決定された厚さに実質的に対応することが好ましい。したがって、第1の層21の合計の厚さは、製造される半導体部品の種類、そしてとりわけ電圧クラスによって決定される。電圧クラスが高くなるほど、第1の層21は厚くなる。特に高い電圧クラスについては、図14および関連する説明を参照する。
【0136】
第1の層21の厚さは、3と15μmの間であることが好ましい。これは、SiCにおける上述の好ましいイオンタイプの現在妥当で可能なドーピング深さTに対応する。
【0137】
図6aから6cは、ドナー基板12の第1の層21における可能な好ましいドーピングプロファイルを示す。
【0138】
原則として、第1の層21のドーピングは、第1の層21におけるドーピング濃度(conc)が1E15cm-3~5E17cm-3であるpドーピングまたはnドーピングを供給する。
【0139】
図7aは、第1の層21の表面領域にコンタクト層24を作成するか、または第1の層21の表面にコンタクト層24を塗布する任意のステップの結果を示す。
【0140】
コンタクト層24は、第1の層24へのイオン注入によって作成されることが好ましい。ここでは、コンタクト層24の厚さはわずか10nmから1μmである。好ましくは、P、N、またはAlのイオンが注入に使用される(エネルギーフィルタなし)。
【0141】
コンタクト層24のドーパント濃度は、第1の層21の残りの部分または第1の層21の平均ドーパント濃度よりも、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1000倍、より好ましくは少なくとも10,000倍、さらにより好ましくは少なくとも100,000倍高い。
【0142】
コンタクト層24のドーパント濃度は、1E17cm-3より大きいことが好ましく、1E19cm-3より大きいことがより好ましい。
【0143】
例えば数ナノメートルの厚さの薄いコンタクト層24を第1の層21に適用することも可能である。これは、例えばスパッタ堆積、蒸着、またはCVD堆積法によって実行される。コンタクト層24は完全に覆われている必要はなく、ナノ粒子で構成することもできる。
【0144】
コンタクト層24の層塗布と同時に、または層塗布後に、表面のさらなる処理、例えば物理的バックエッチングを行うことができる。
【0145】
図7bに示すように、ドナー基板12へのイオン注入が完了した後、場合によってはコンタクト層の製造が完了した後、レーザー照射43によって本発明による修復ステップを実行する最初の可能性がある。これは、図では矢印43で単に模式的に示されている。実際には、レーザー照射43は、ドナー基板12の多くの異なる点で実行される。修復ステップの詳細について、図13を参照して以下でさらに説明される。
【0146】
次のステップでは、図8によれば、所定の破損部位26がドナー基板24内に作成される。図8の例における所定の破損部位26は、第1の層21の領域内にあり、好ましくは、所定のドーピング深さTに近い第1の層21の端部領域である。ここで、所定の破損部位26は、ドーピング深さTから、よって第1の層21の端部からの距離が好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下、特に好ましくは100nm以下である。特に、下降する側面を有する長方形の輪郭では、所定の破損部位26は依然としてプラトーの領域内にあるはずである。
【0147】
所定の破損部位26の作成は、好ましくは、図8に黒点として概略的に示される分割トリガーイオンのイオン注入によって実行される。ここでは、エネルギーフィルタは使用されない。図8によれば、分割トリガーイオンは、ドナー基板12の全幅にわたって導入される。分割トリガーイオンは、H、H、He、Bから選択されることが好ましい。分割トリガーイオンは、0.5と10MeVの間、好ましくは0.5と5MeVの間、より好ましくは0.5と2MeVの間のエネルギーを有する。水素の場合、0.6MeVのイオンエネルギーでは、所定の破損部位26の形成は約5μmの深さとなり、1.0MeVのイオンエネルギーでは約10μmの深さとなり、1.5MeVのイオンエネルギーでは深さ約20μmになる。
【0148】
分割トリガーイオンの粒子線量は、それぞれの場合において、1E15cm-2と5E17cm-2の間であることが好ましい。分割トリガーイオンのイオンビームのエネルギー鋭さ(ΔE/E)は、好ましくは10-2未満、より好ましくは10-4未満である。分割トリガーイオンの注入中、ドナー基板12内の温度が300℃未満、好ましくは200℃未満に維持されると有利である。この目的のために、ドナー基板12が置かれるチャックは、必要に応じて冷却される。
【0149】
これらのパラメータを使用して、鋭いピークを持つドーピングプロファイルが作成される(図3のAで示されるガウス分布を参照)。このようにして、所定の破損部位26が極めて薄い厚さ上に高濃度のドーピングを確実に分散させることができる。ドナー基板12内のイオンの飛程の変動(縦方向散乱σ)は、イオンビームの一次エネルギーに応じて、100nmと500nmの間、好ましくは200nmと400nmの間だけである。
【0150】
あるいは、矢印および黒い水平バーに基づいて図9に示すように、分割トリガーイオンをドナー基板12の幅の一部のみ、好ましくはドナー基板12の一方または両方のエッジ領域にのみ導入することもできる。このようにして、所定の破損部位26がいくつかのセクションで事前に画定される。
【0151】
なお、イオン注入の他に、電子照射やレーザー照射によって所定の破損部位26を形成することもできる。
【0152】
この時点で、図7bに示すように、好ましくはレーザー照射によって、注入欠陥の修復ステップを初めてまたは再度行うことができる。
【0153】
次に、図10に概略を示すように、ドナー基板12は、アクセプタ基板28への結合接続によって、第1の層21の側面を前にして結合される。したがって、第1の層21は、アクセプタ基板28とドナー基板12の残りの部分22との間の領域に配置される。図10の曲線矢印で示されるように、ドナー基板12が結合接続を生成するためにアクセプタ基板28に向かって移動するかどうかは無関係であり、これはドナー基板12を裏返しにするか、それともアクセプタ基板28をドナー基板12の方向に向かって移動させるのかをも示している。
【0154】
結合プロセスの中間結果を図10の左下に示す。アクセプタ基板28をドナー基板12の方向に向かって移動させた場合には、層の順序は、例えば次のように逆にすることもできる。
【0155】
コンタクト層24は、図9および図10のいずれの場合にも示されていないが、存在することが好ましい。この場合、ドナー基板12とアクセプタ基板28との間の結合接続の生成は、コンタクト層24を介して行われ、その結果、アクセプタ基板28、コンタクト層24、第1の層21の残りの部分または第1の層21、ドナー基板12の残りの部分22の順序が生じる。
【0156】
低抵抗結合接続の生成は、中間結果として得られる基板を800℃と1400℃の間、より好ましくは900℃と1300℃の間の温度で温度処理することによって行うことが好ましい。
【0157】
結合接続の生成工程の前に、結合される少なくとも片面、好ましくは両面の前処理、特に湿式化学処理、プラズマ処理、またはイオンビーム処理を行うことができる。1つの処理表面はコンタクト層24であってもよい。アクセプタ基板28とドナー基板12との後の低抵抗接続を生成するために、厚さ数ナノメートルの薄層を適用することも考えられる。原理的には、アクセプタ基板28とドナー基板12との間の極めて低い抵抗接触が重要である。
【0158】
原理的には、アクセプタ基板28とドナー基板12との間の永久的な結合接続が好ましく、これは、得られる半導体部品にも存在し続ける。しかしながら、例えばいくつかのプロセスステップのために、アクセプタ基板28とドナー基板12との間の一時的な結合接続または固定も考えられる。これにより、アクセプタ基板を側面から除去して露出させた後、例えばイオン注入や、場合によってはその後の修復ステップなど、さらなるプロセスステップを実行する可能性が開かれる。
【0159】
図11は、所定の破損部位26の領域でドナー基板12を分割するステップを概略的に示しており、これにより、アクセプタ基板28と、それに接続されたドープ層32とを含む、前処理された複合基板18が作成され、ここで、ドープ層32は、ドナー基板12の第1の層21の少なくとも一部を構成する。アクセプタ基板28から分離されたドナー基板12の部分34が除去される。
【0160】
ドナー基板12の分割は、600℃と1300℃の間、好ましくは750℃と1200℃の間、より好ましくは850℃と1050℃の間の温度での複合基板18の温度処理によって引き起こされることが好ましい。図8および図9に示される一実施形態では、注入されたイオンにより気泡が形成され、一緒に成長して分割が生じる。
【0161】
あるいは、複合基板18に外力を加えて、ドナー基板12を所定の破損部位26に沿って破損することもできる。熱処理と外力の組み合わせも必要または有用である。特にイオンがドナー基板12の一部の部分にのみ導入された場合には、外力が加わることは避けられない。
【0162】
結合接続の生成とドナー基板12の分割の両方が温度処理によって実行される場合、両方のステップは、特定の状況下で同時に実行することができる。
【0163】
さらに、図12の矢印で概略的に示すように、分割ステップの後、複合基板18の第1の表面の後処理を、特に研磨および/または欠陥の除去および/または研削によって、所定の破損部位26の領域で実行することができる。化学機械研磨が好ましい方法である。
【0164】
図13aに概略的に示される注入欠陥42は、前処理された複合基板18のドープ層32内で最終的に修復することができる。
【0165】
修復ステップは、好ましくはレーザー照射43によって実行され、図13bに概略的に示されている。所望の温度分布は、照射点または照射領域およびレーザービームのパラメータを適切に選択することによって達成されることが好ましい。このようにして、基板のより深い層ではより低い温度を維持しながら、表面近傍領域の欠陥を修復することができる。3つの照射点が例として図13bに示されており、等温度の線が概略的に示されている(例えば、点線は1650℃、破線は1500℃)。望ましい温度勾配は、様々な温度導入を重ね合わせることで実現される。
【0166】
電子半導体部品を形成するためのさらなる処理の基礎として使用される複合基板18が、図13aに再度示されている。これは、アクセプタ基板28と、それに結合された単結晶SiCからなるドープ層32とを含む。さらに、アクセプタ基板28とドープ層32との間にコンタクト層24を有することができる。
【0167】
ドープ層32は、好ましくは3μm~30μm、より好ましくは3μm~15μmの厚さを有する。それは、4H、6H、または3CポリタイプのSiCで作られることが好ましい。ドープ層32は、1E15cm-3~5E17cm-3のドーピング濃度を有するpドーピングまたはnドーピングを有することが好ましい。ドープ層32は、ドーパントとして、N、P、B、またはAlの元素のうちの1つのイオンを用いてドープされることが好ましい。
【0168】
ドープ層32のドーパント深さプロファイルは、好ましくは、ドナー基板12の第1の層21のドーパント深さプロファイルの反転から実質的に生じる。
【0169】
したがって、ドープ層32は、例えば、実質的に一定のドーパント深さプロファイルを有することができる。
【0170】
ドープ層32は、アクセプタ基板28の方向に段階的に上昇するドーパント深さプロファイルを有することもでき、アクセプタ基板28に面するドープ層32の領域の段差は、ドープ層32の合計深さの最大40%、好ましくは30%まで形成される。
【0171】
ドープ層32はまた、アクセプタ基板28の方向に連続的に上昇するドーパント深さプロファイルを提供することもできる。
【0172】
注入欠陥プロファイルは、注入された外来原子濃度の深さプロファイルに実質的に従う。
【0173】
図14は、前処理された複合基板18の別の実施形態を断面図で示し、その下に、矢印Fに従った複合基板18の断面に沿ったドーパント濃度プロファイルを示す。これは、例えば600Vを超える非常に高ブロッキングの構成要素の製造に特に適している。
【0174】
この場合、前処理された複合基板18は、ドープ層32に加えて、単結晶SiCからなる補助ドープ層38を有する。それぞれのドーパント深さプロファイルの重複領域40は、好ましくは、ドープ層32と補助ドープ層38との間の遷移セクションに存在する。
【0175】
図13aに示す実施形態では、後の半導体部品の必要な活性層(ドリフトゾーン、電圧吸収層)は、ドープ層32のみによって形成され、したがって同時にドナー基板12の第1の層21または第1の層21の(好ましくは大きな)部分によって形成される。
【0176】
対照的に、活性層は、図14のような実施形態では、ドープ層32と補助ドープ層38の組み合わせによって形成される。図14では、2つの部分プロファイルの重ね合わせにより、実質的に一定の合計ドーピングプロファイルが得られるが、任意の他のドーピングプロファイルも、ドープ層32および補助ドープ層38におけるドーピングプロファイルの連結および部分的重なりによって形成することができる。ドープ層32および補助ドープ層38の両方のドーパント深さプロファイルの組み合わせから構成される、組み合わされた全体的なドーピングプロファイルは、したがってアクセプタ基板28に向かって段階的に上昇するプロファイル、またはアクセプタ基板28に向かって連続的に上昇するプロファイルであってもよい。
【0177】
さらに特に好ましいドーピングプロファイルについては、図20を参照して以下でより詳細に説明する。
【0178】
これらの実施形態のそれぞれにおいて、参照符号48は、ドナー基板12の第1のセクションを示しており、いずれの場合も分割後に複合基板18の一部として残る。この第1のセクション48は、補助ドープ層38が存在しない場合(図13a)にはドープ層32のみから構成することもでき、あるいは、ドープ層32と補助ドープ層38の組み合わせ(図14図20)から構成することもできる。
【0179】
このような複合プロファイルは、ドナー基板12内の所定の破損部位26が第1の層21内に作成されるのではなく、ドナー基板12内にイオン注入によってドープされなかったドナー基板12の残りの部分22内に生成されるという点で得られる。
【0180】
図11のような所定の破損部位26での分割後、補助ドープ層38のドーピングは、エネルギーフィルタによるさらなるイオン注入によって、アクセプタ基板28とは反対側の側面から実行することができる。エネルギーフィルタによるイオン注入に関する図2~6の上記の記述は、補助ドープ層38へのイオン注入にも同様に適用される。補助ドープ層38の厚さは一般に3と15μmとの間である。このようにして、最大30μmのイオン注入によってドープされた活性ゾーンの合計厚さが得られる。
【0181】
注入に続いて、本発明による修復ステップがレーザー照射43によって行われ、補助ドープ層38内の欠陥が除去される。
【0182】
原理的には、図1のドナー基板12の厚さが複合基板18の必要なドープ層32の厚さの少なくとも2倍であれば、本発明による方法を使用して、2つ以上の複合基板18、さらには多数の複合基板18を1つのドナー基板12から製造することができる。この効果は、ドナー基板12として厚いウェハロッドを使用する場合に特に高い。このようにして、製造コストを大幅に節約することができる。これを図15に模式的に示す。
【0183】
図16に示すように、エネルギーフィルタ20によるドナー基板12の第1の層21(および/または複合基板18の補助ドープ層38)へのイオン注入中に、マスク46を使用して、ドナー基板12の第1の層21内(および/または複合基板18の補助ドープ層38内)に1つまたは複数のドープされていない領域44を作成することができる。
【0184】
複合基板18は、さらなるステップ、例えば、さらなる活性領域の注入、酸化物の生成、ゲート電極、コンタクト、ラインまたはビアの堆積などによって、完成した半導体部品50になることができる。
【0185】
この部品の処理後、本発明による修復ステップは、レーザー照射43によって再度、または初めて行うことができる。例えば、ソース・ドレインコンタクト注入、チャネル注入、p-JFET注入などの欠陥は、その過程で除去することができる。この修復は、おそらく、補助ドープ層38内の、または補助ドープ層が存在しない場合にはドープ層32内の欠陥の修復と同時に行われる可能性がある。
【0186】
この方法を使用して製造された電子半導体部品50の2つの基本的な基本構造が図17および図18に示されている。
【0187】
図17の第1の基本構造は、通常、前処理された複合基板18のアクセプタ基板28に対応するキャリア基板52を備える。キャリア基板52は、通常、高濃度ドープ材料からなり、一般にフィールドフリーである。
【0188】
SiCからなる結晶53がキャリア基板52に適用される。この結晶53は、通常、前処理された複合基板18のドナー基板12の第1のセクション48に対応する。
【0189】
電子半導体部品50は、第1の表面58の領域の第1のゾーン54と、深さ方向で第1のゾーン54に隣接する第2のゾーン56とを有する能動部品領域64を備える。
【0190】
第1のゾーン54は、結晶53の第1の表面58の少なくともサブセクションを含む領域に表面近位シールド構造60またはJFET構造を含む。シールド構造またはJ-FET構造は、p/n遷移が一方向に中断されることを特徴とする。つまり、p領域はいくつかの領域(連続的ではなく)に形成され、一般にクリアすることはできない。p+ドーピングを有する領域は、参照符号68によって識別される。
【0191】
第2のゾーン56は、電圧吸収層(ドリフトゾーンまたは活性層とも呼ばれる)を備えるか、またはそれらから構成される。第1のゾーン54と第2のゾーン56との間の遷移は、破線によって識別される。第2のゾーン56の厚さは、2μmと50μmの間であることが好ましい。
【0192】
図19に示すように、半導体部品50はさらに、第2のゾーン56とキャリア基板52との間の遷移部に、フィールドフリーコンタクトゾーンまたはフィールドストップゾーン62を備える。このフィールドストップゾーン62は、通常、前処理された複合基板18のコンタクト層24に対応する。フィールドフリーコンタクトゾーンまたはフィールドストップゾーン62は、最大2μm、好ましくは最大1μmの垂直厚さを有する。
【0193】
不活性なエッジ領域66は、第1のゾーン54および第2のゾーン56を横方向に実質的に完全に取り囲む。
【0194】
図18に示す半導体部品50の第2の基本構造は、図17の基本構造に本質的な部分で対応する。同一の参照符号は同一の要素を示す。違いは、p領域60がトレンチ領域ではなく、第1の表面58まで連続的に形成されていることである。
【0195】
全てのpドープされたシールド構造60は、半導体部品50のそれぞれの種類に関係なく、複数の共通の特徴を有する。シールド構造60は、連続的に形成されるのではなく、第1の表面58に平行に、むしろ周期的に中断される。距離は、次の理由により形成される。第1の表面58までの距離は、「開いた」領域での遮断動作において第1の表面58における最大許容電界強度を確実に超えないようにする。シールド構造60は、ソース電位、ゲート電位、またはアノード電位に直接またはライン(第3次元、図示せず)を介して接続される。シールド構造60は、n領域に埋め込まれて孤立して配置される(電気的接続を除く)か、または第1の表面58から始まる高アスペクト比を有するドープ領域として形成される。p-n遷移の典型的な深さは500nmと3.0μmの間である。シールド構造60は非常に高濃度にドープされているため、最大ブロッキング電圧の場合でも領域はクリアされない。
【0196】
図17および図18の破線によって示される第1のゾーン54と第2のゾーン56との間の空間的境界は、典型的には、結晶53の深さ方向においてpドープ領域68が終わる点にある。遷移は、典型的には、本明細書では第1の表面58に平行であると定義される。
【0197】
図19に示される電子半導体部品50の例示的な実施形態は、半導体部品50の詳細のみを示す。それぞれの右側面は、切り取られた側面として見ることができる。
【0198】
図19は、プレーナMOSトランジスタの形態の縦型パワー半導体部品50を示す。不活性なエッジ領域66は、おそらく存在する表面近位エッジ構造70を除いて、名目上アンドープであることが好ましい。参照符号52は再びキャリア基板を示し、参照符号53は再びSiC結晶を示し、参照符号54は再び第1のゾーンを示し、参照符号56は再び第2のゾーンを示し、参照符号62は再びフィールドストップゾーンを示し、参照符号68は再びシールド構造のp領域を示す。金属コンタクト71がキャリア基板52の下側に適用される。Gはゲート電極を示し、Sはソース電極を示し、Dはドレイン電極を示す。参照符号72はp領域(pウェル)を示し、参照符号74はn+領域を示す。参照符号75はさらなるp+領域を示す。結晶53の第1の表面58は、ここでは平面的に形成され、好ましくは半導体部品50の幅全体にわたって延びる。ゲート酸化物は、明らかに第1の表面58の一部とはみなされない。
【0199】
本発明による方法を使用して製造できる半導体部品のさらに多くの形態が存在する。
【0200】
図19の半導体部品50の図20に示されるドーピングプロファイル(conc)は、前処理された複合基板18に関してすでに説明したように、第2のゾーン56の領域において深さ方向に連続的に上昇するプロファイルを有する。あるいは、ドーピングプロファイルは、第2のゾーン56の領域内で一貫して広がることもできるし、破線で示すように、第2のゾーン56の端部領域で段階的に上昇するプロファイルとすることもできる。図6aから図6cを参照して、そのようなドーピングプロファイルがどのように得られるかについてはすでに詳細に説明した。
【0201】
さらに、第1のゾーン54の領域において、ドーピングプロファイルが、その上に隣接する第2のゾーン56の領域におけるドーピングよりも高いプラトーを有することが好ましい。一般に、第1のゾーン54の領域および第2のゾーン56の領域はそれぞれnドープされている。第1のゾーン54のnドープ領域のドーピング濃度は、第1のゾーン54に面する第2のゾーン56のnドープ領域よりも1.5~100倍高いことが好ましく、特に2~10倍高いことが好ましい。ドーピングプロファイルの下降する側面は、通常、完全には垂直ではない。
【0202】
もちろん、示されたプロファイルから逸脱したドーピングが、第1のゾーン54のp+領域68において得られる。第1のゾーン54のp領域68におけるドーピング濃度は、第1のゾーン54に面する第2のゾーン56のnドープ領域のドーピング濃度よりも、好ましくは2~1000倍高く、特に好ましくは50~1000倍高い。
【0203】
図20とは反対に、第1のゾーン54と第2のゾーン56のドーピングプロファイルが互いに実質的に同一平面上に隣接することも可能である。これは、第1のゾーン54および第2のゾーン56が(ドナー基板12のドープ層32と同様に)同じ注入プロセスによってドープされた場合には自明である。しかしながら、これは、第1のゾーン54が下流の注入プロセスで最初にドープされる場合(例えば補助ドープ層38として)も可能である。
【0204】
図20の第2のゾーン56のドーピングプロファイルは、基本的に他の多くの半導体部品50にも適用できる。
【0205】
本発明の範囲において、「接続された」とは、直接的または間接的に、すなわち、介在するさらなる要素を介して接続されるものとして理解される。2つの要素間の「接続」は、直接的または間接的な場合もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
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図15
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図19
図20
【国際調査報告】