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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】トレーラー用回生制動発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/18 20060101AFI20240723BHJP
   F16D 65/12 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H02K7/18 A
F16D65/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500502
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 KR2022004589
(87)【国際公開番号】W WO2023128064
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192003
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508026799
【氏名又は名称】相信ブレーキ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SANGSIN BRAKE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】10, Nongongjungang-ro 33-gil, Nongong-eup Dalseong-gun Daegu Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ チャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジョンギュ
(72)【発明者】
【氏名】グォン スンマン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヒョンジョン
【テーマコード(参考)】
3J058
5H607
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058BA67
3J058CB11
3J058DD00
3J058FA01
5H607AA12
5H607BB02
5H607BB07
5H607BB14
5H607BB17
5H607CC05
5H607EE07
5H607EE10
5H607FF24
(57)【要約】
本発明は、トレーラーのブレーキディスク空間部に発電機を設けることで、トレーラーで必要とする電気を自己発電することができるようにしたトレーラー用回生制動発電システムに関するものであり、トレーラーの車台(2)に固定される少なくとも一つ以上の車軸(3)と、車軸(3)の外面に複数のベアリング(4)を介して軸設され、被動回転するホイールハブ(5)及び/又はブレーキディスク(6)と、ブレーキディスク(6)の一側面に凹設される空間部(7)と、空間部(7)の内周面に密着して着固定され、ブレーキディスク6とともに回転する永久磁石(8)と、永久磁石(8)に対応する車軸(3)の外周面に固定される発電機ステータ(9)と、を含む。前記発電機(10)で生産された交流電力は複数の全波ダイオード(D1、D2、D3、D4、D5、D6)及び平滑キャパシタ(C)で構成される整流部(20)によって直流電力に変換された後、充電制御部(30)によって充電池(2次電池)又はバッテリー(40)に充電された後、DC(直流)負荷(50)に供給され、前記バッテリー(40)の電源はインバーター(60)によって50~60Hzの交流電力に変換された後、AC(交流)負荷70に供給される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラーの車台に固定される少なくとも一つ以上の車軸と、
前記車軸の外面に複数のベアリングを介して軸設され、被動回転するホイールハブ及びブレーキディスクと、
前記ブレーキディスクの一側面に凹設される空間部に設けられる発電機と、を含み、
前記発電機は、
前記ブレーキディスクの空間部の内周面に密着して固定され、複数の永久磁石が等間隔で配置されるリング状の回転子と、
前記回転子に対応する車軸の外周面に固定され、ステータコイルで構成されるステータと、
を含む、トレーラー用回生制動発電システム。
【請求項2】
前記発電機は永久磁石式同期発電機であることを特徴とする、請求項1に記載のトレーラー用回生制動発電システム。
【請求項3】
前記ステータコイルは車軸を通ってトレーラーの内部に配線されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトレーラー用回生制動発電システム。
【請求項4】
前記発電機で生産された交流電力は整流部によって直流電力に変換された後、充電制御部によってバッテリーに充電されてDC負荷に供給され、前記バッテリーの電源はインバーターによって交流電力に変換された後、AC負荷に供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトレーラー用回生制動発電システム。
【請求項5】
前記インバーターは、3相交流電力及び単相交流電力を同時に又は択日的に変換して出力することを特徴とする、請求項4に記載のトレーラー用回生制動発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトレーラーのブレーキディスク空間部に発電機を設けることで、トレーラーで必要とする電気を自己発電することができるようにしたトレーラー用回生制動発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トレーラーは動力なしにトラクター(牽引車、牽引手段)に連結して荷物や人を積んで運ぶ車両であり、商業用トレーラー及びキャンピング用トレーラーに大別される。商業用トレーラーは、室内電灯、テールゲート、冷蔵などのための電源(電気エネルギー)が必要であり、キャンピング用トレーラーは、室内外照明灯、TV、冷蔵庫などの家電製品を動作させるための電源が必要である。
【0003】
現在、トレーラーに使用されている電源は、トラクター(牽引車)のバッテリーから必要な電源を受けるか、又はトレーラーに別途に設けられるディーゼル発電機で電気エネルギーを生産して電源として用いている。
【0004】
一方、トラクター側からバッテリー電源を受ける場合、別途の電源供給線を配線及び設置する過程でトラクター側の車両の一部改造が必要であり、トレーラーに別途に設けられるディーゼル発電機を運用する場合には、ディーゼル燃料、潤滑油などの頻繁な注入と保管及び維持保守が必要であるだけでなく、トレーラーの内部空間の制約によってディーゼル発電機の設置及び運転に様々な制約及び限界があり、前記ディーゼル発電機が動作しながら騷音及び有害ガスを発生させるなどの多くの問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2124003号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1407096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、トレーラーのブレーキディスク空間部に発電機を設けることで、トレーラーで必要とする電気を自己発電することができるように構成されたトレーラー用回生制動発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるトレーラー用回生制動発電システムは、トレーラーの車台に固定される少なくとも一つ以上の車軸と、前記車軸の外面に複数のベアリングを介して軸設され、被動回転するホイールハブ及びブレーキディスクと、前記ブレーキディスクの一側面に凹設される空間部に設けられる発電機と、を含み、前記発電機は、前記ブレーキディスクの空間部の内周面に密着して固定され、複数の永久磁石が等間隔で配置されるリング状の回転子と、前記回転子に対応する車軸の外周面に固定され、ステータコイルで構成されるステータと、を含む。
【0008】
前記発電機は永久磁石式同期発電機(PMSG)であり得る。
【0009】
前記ステータコイルは車軸の長手方向に形成された通孔の内部又は外部を通ってトレーラーの内部に配線され得る。
【0010】
前記発電機で生産された交流電力は整流部によって直流電力に変換された後、充電制御部によってバッテリーに充電されてDC負荷に供給され、前記バッテリーの電源はインバーターによって交流電力に変換された後、AC負荷に供給され得る。
【0011】
前記インバーターは、3相交流電力及び単相交流電力を同時に又は択日的に変換して出力することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、トレーラーのブレーキディスク部分に設けられる残余空間部に発電機を設けることで、トレーラーに必要な電気エネルギーを直接供給する自己発電方式を採択することにより、従来のトレーラーの電源に関連した問題点を一掃する効果がある。
【0013】
本発明は、発電機で生産された交流電力を整流部によって直流電力に変換した後、充電制御部によってバッテリーに充電してDC負荷に供給し、前記バッテリーの電源はインバーターによって交流電力に変換した後、AC負荷にそれぞれ又は選択的に供給することができる効果がある。
【0014】
本発明は、トレーラーの残余空間に設けられる自己発電方式であるので、空間活用度に優れるだけでなく、トラクターから電源を受けるための別途の配線作業が不要であり、回生制動方式であるから、ディーゼル発電機などが不要であるので、ディーゼル発電機の設置及び稼働による騷音や有害ガスが発生せず、維持管理費用を大きく節減するなどの効果がある非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一例として示す回生制動発電システムの構成図である。
図2】本発明においてトレーラーのブレーキディスクに形成された残余空間部に発電機を設けた状態の断面図である。
図3】本発明の一例として示す永久磁石式同期発電機(PMSG)の構成図である。
図4】本発明の一例として示す回路ブロック図である。
図5】本発明の一例として示す発電機及び整流部の回路図である。
図6】本発明の一例として示す発電機の電力出力を示すグラフである。
図7】本発明の一例として示す発電機の相電圧を示すグラフである。
図8】本発明の一例として示す発電機の相電流を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。本発明の実施例の説明において、図面で同じ構成要素はできるだけ同じ符号で指示し、関連した公知の構成や機能についての具体的な説明は本発明の要旨があいまいにならないように省略し、また、添付図面に示す事項は本発明の実施例を容易に説明するために図式化した図面であり、実際に具現される形態とは異なることがあり得る。
【0017】
本発明によるトレーラー回生制動発電システム1は、トレーラーの車台2に固定される少なくとも一つ以上の車軸3と、車軸3の外面に複数のベアリング4を介して軸設され、被動回転するホイールハブ5及びブレーキディスク6と、ブレーキディスク6の一側面に凹設される空間部7に設けられる回生制動式発電機10と、を含む。前記発電機10は、ブレーキディスク6の空間部7の内周面に密着して固定され、複数の永久磁石8が等間隔で配置又は配列されるリング(Ring)状の回転子と、回転子に対応する車軸3の外周面固に固定され、コア9bにステータコイル9aが巻線されているステータ9と、を含み、回転子と固定子との間には所定の間隔の空隙11が形成されることにより、近接するが接触しなくなる。
【0018】
前記ブレーキディスク6の空間部7に複数の永久磁石8がリング状に設けられることにより、回転しながら回転磁界を発生させ、複数の永久磁石8に対応して車軸3の外周面に嵌合されて固定されるコア9b及びステータコイル9aから構成される固定子ステータ9では回転磁界が鎖交しながら電圧を発生させることにより、回生制動の発電がなされる。
【0019】
図2は本発明のトレーラー回生制動発電システム1の構成図であり、トレーラーの車台2に固定される少なくとも一つ以上の車軸3と、車軸3の外面に複数のベアリング4を介して軸設され、被動回転するホイールハブ5及び/又はブレーキディスク6と、ブレーキディスク6の一側面に凹設される空間部7と、空間部7の内周面に密着して固定され、ブレーキディスク6とともに回転する永久磁石8と、永久磁石8に対応する車軸3の外周面に固定される発電機10のステータ9、又は図1のように車軸3の外周面に固定されるブラケット12の外周面に固定される発電機10のステータ9と、を含んでなる。
【0020】
前記永久磁石8はホイール及びブレーキディスク6とともに回転する回転子に相当し、ステータ9はトレーラー車軸3に設けられる固定子に相当する。
【0021】
前記永久磁石8は複数の永久磁石が等間隔で配置されるリング状を有し、前記ステータ9は、多数枚の薄鉄板が積層されたコア9bに3個のステータコイル9aが巻線される。この3個のステータコイル9aにそれぞれ1相ずつ3相交流が誘導される。前記ステータコイル9aは線間電圧が高いY結線方式であり得る。
【0022】
前記ステータコイル9aは車軸3の長手方向に形成される通孔の内部又は外部を通ってトレーラーの内部に配線され得る。
【0023】
前記発電機10は永久磁石式同期発電機(Permanent Magnet Synchronous Generator)であり得る。
【0024】
前記発電機10はブラシレス自励磁同期発電機(Brushless synchronous generator)であり得る。
【0025】
前記永久磁石式同期発電機(PMSG)は、永久磁石を使用するので、一般の誘導発電機方式よりも約90%程度効率が高く、小型化及び軽量化が可能であり、ギアがないので、低速運転が可能な利点がある。
【0026】
前記永久磁石8とステータ9との間の空隙11は、近接するが互いに摩擦しないように構成される。
【0027】
図4は本発明の一例を示す回路ブロック図であり、発電機10で生産された交流電力は複数の全波ダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6及び平滑キャパシタCで構成される整流部20によって直流電力に変換された後、充電制御部30によって充電池(2次電池)又はバッテリー40に充電された後、DC(直流)負荷50に供給され、前記バッテリー40の電源はインバーター60によって50~60Hzの交流電力に変換された後、AC(交流)負荷70に供給される。
【0028】
前記充電制御部30は定電圧部及び/又は定電流部を含む。もちろん、発電機10と充電制御部30との間に定電圧部及び定電流部を接続させて発電電力を安定化させるように構成することができる。
【0029】
前記インバーター60は3相交流電力及び単相交流電力を同時に変換して出力するか又は択日的に変換して出力することができる。
【0030】
前記バッテリー40及びインバーター60の出力には2個以上の負荷をそれぞれ接続することができる端子又はコンセントを提供することにより、少なくとも2個以上のAC負荷70及びDC負荷50を接続して使用することができる。
【0031】
本発明の発電機10の3相ステータコイルphA、phB、phCから出力される3相交流電力は、図5のように、複数の全波ダイオードD1、D2、D3、D4、D5、D6によって整流された後、キャパシタCによって平滑されながら直流V+に変換されて出力され、出力に接続された直流負荷LOADを駆動するようになる。
【0032】
前記発電機10の相電圧及び相電流と出力電圧は、ブレーキディスク6の回転速度(又は磁場の回転速度)及び強度、及びステータコイル9aの巻数によって決定される。
【0033】
図6は発電機10の回転速度、つまりブレーキディスク6の回転速度が400rpmであるとき、平均1,291Wの電力を得た例示グラフであり、図7は発電機10で202Vの相電圧を得た例示グラフであり、図8は発電機10で2.7Aの相電流を得た例示グラフである。
【0034】
本発明は、トレーラーがトラクター(牽引車、牽引手段)によって牽引されると、ホイール(車輪)及びホイールハブ5が回転し、ホイールハブ5に固定されたブレーキディスク6が連動して回転し、空間部7に設けられた永久磁石8が一緒に回転しながら回転磁界を発生させ、前記回転磁界(磁束)はステータコイル9aに誘導されることによって電圧が発生し、よって回生制動の発電がなされ、発電機10で生産された交流電力は整流部20によって直流電力に変換された後、充電制御部30によってバッテリー40にずっと充電された後、トレーラーの複数DC負荷50に供給されるか又はインバーター60を介して複数のAC負荷70に供給されて使用される。
【0035】
本発明は、トレーラーに設けられる少なくとも一つ以上のブレーキディスク6の残余空間部7ごとに発電機10を設けて複数の発電をなすように構成することが好ましい。
【0036】
以上のように説明した本発明は本実施例及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を離脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であり、これは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に自明なものである。
【符号の説明】
【0037】
1 回生制動発電システム
2 車台
3 車軸
4 ベアリング
5 ホイールハブ
6 ブレーキディスク
7 空間部
8 永久磁石(回転子)
9 ステータ(固定子)
9a ステータコイル
9b コア
10 発電機
11 空隙
12 ブラケット
20 整流部
30 充電制御部
40 バッテリー(充電池)
50 DC負荷
60 インバーター
70 AC負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】