(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ハロイサイト-カオリン誘導体化ナノ多孔質炭素材料ならびにその調製および使用
(51)【国際特許分類】
C01B 32/15 20170101AFI20240723BHJP
H01G 11/32 20130101ALI20240723BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240723BHJP
【FI】
C01B32/15
H01G11/32
H01M4/587
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500563
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 AU2022050691
(87)【国際公開番号】W WO2023272363
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007321
【氏名又は名称】アンドロメダ、アイピー、プロプライアタリー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Andromeda IP Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アジャヤン、ヴィヌ
(72)【発明者】
【氏名】カビタ、ラマダス
【テーマコード(参考)】
4G146
5E078
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA07
4G146AA11
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC09A
4G146AC09B
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4G146CB37
5E078BA12
5H050AA19
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5H050HA17
5H050HA19
5H050HA20
(57)【要約】
本開示は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ、炭素前駆体、ヘテロ原子ドーパント前駆体および活性化剤を含むテンプレート材料から調製されたヘテロ原子ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料であって、フレークおよびナノチューブの形態を示し、表面ヘテロ原子官能性を有する、ヘテロ原子ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ、炭素前駆体、ヘテロ原子ドーパント前駆体および活性化剤を含むテンプレート材料から調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料であって、フレークおよびナノチューブの形態を示し、表面ヘテロ原子官能性を有する、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項2】
前記テンプレート材料が、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイからなる、請求項1に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項3】
前記天然ハロイサイト-カオリンナノクレイが、40重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する、請求項1または請求項2のいずれかに記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項4】
前記天然ハロイサイト-カオリンナノクレイが、80重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する、請求項3に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項5】
前記炭素前駆体が、炭水化物系化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項6】
前記炭素前駆体が、糖系化合物である、請求項5に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項7】
前記糖系化合物が、スクロース、グルコース、フルクトースおよび多糖類からなる群から選択される、請求項6に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項8】
前記多糖類が、セルロース、キトサンおよびデンプンからなる群から選択される、請求項7に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項9】
前記ヘテロ原子ドーパント前駆体が、1個以上のヘテロ原子を含む化合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項10】
前記ヘテロ原子ドーパント前駆体が、窒素前駆体、硫黄前駆体、ホウ素前駆体および酸素前駆体からなる群の1つまたは複数から選択される、請求項9に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項11】
前記窒素前駆体が、アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノトリアゾール、尿素、キトサン、シアナミド、ジシアナミド、チオ尿素、メラミン、カゼイン、ポリアニリン、ポリピロール、アミノテトラゾールおよびアミノトリアジンからなる群から選択され、前記硫黄前駆体が、ジフェニルジスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、アルキルチオール、チオフェン、硫黄粉末、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドからなる群の1つまたは複数から選択され、前記ホウ素前駆体が、ホウ酸、アンモニアボラン(ボラザン)、ジボラン、トリメチルボロン、コウルマナイト、または三酸化ホウ素、トリメトキシボラン、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム、二量体ジボラザン、三量体トリボラザン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素およびホウ酸フェニルからなる群から選択される、請求項10に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項12】
前記窒素前駆体が、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールである、請求項11に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項13】
前記活性化剤が、亜鉛化合物、リン酸、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムおよび過硫酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項14】
前記亜鉛化合物が、ZnCl
2およびZnOからなる群から選択される、請求項13に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項15】
約0.25重量%~約15.00重量%のヘテロ原子含有量を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項16】
0.3A/g、0.5A/gおよび1A/gの電流密度で、約299F/g、約228F/gおよび約194F/gの比容量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項17】
約1350m
2/g~約1700m
2/gの比表面積を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項18】
約1.000cm
3/g~約1.600cm
3/gの細孔容積を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項19】
0℃および30バールで決定した場合、少なくとも約22.5mmol/gのCO
2吸着容量を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料。
【請求項20】
ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を調製する方法であって、以下のステップ:
(a)天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを含むテンプレート材料に炭素前駆体およびヘテロ原子ドーパント前駆体を充填するステップ;
(b)ステップ(a)から得られた前記充填テンプレート材料から水分および揮発性物質を除去するステップ;
(c)ステップ(b)から得られた前記充填テンプレート材料および活性化剤を含む組成物を製造するステップ;
(d)ステップ(c)から得られた前記組成物を約600℃~約900℃の温度で活性化および炭化するステップ;ならびに
(e)ステップ(d)から得られた前記組成物から前記テンプレート材料および前記活性化剤を除去するステップ
を含む、方法。
【請求項21】
前記テンプレート材料が、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイからなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記天然ハロイサイト-カオリンナノクレイが、40重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する、請求項20または請求項21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記天然ハロイサイト-カオリンナノクレイが、80重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する、請求項22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
ステップ(a)について、前記炭素前駆体が、炭水化物系化合物である、請求項20~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記炭水化物系化合物が、糖系化合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記糖系化合物が、スクロース、グルコース、フルクトースおよび多糖類からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記多糖類が、セルロース、キトサンおよびデンプンからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ヘテロ原子ドーパント前駆体が、窒素前駆体、硫黄前駆体およびホウ素前駆体からなる群の1つまたは複数から選択される、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記窒素前駆体が、アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノトリアゾール、尿素、キトサン、シアナミド、ジシアナミド、チオ尿素、メラミン、カゼイン、ポリアニリン、ポリピロール、アミノテトラゾールおよびアミノトリアジンからなる群から選択され、前記硫黄前駆体が、ジフェニルジスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、アルキルチオール、チオフェン、硫黄粉末、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドからなる群の1つまたは複数から選択され、前記ホウ酸、アンモニアボラン(ボラザン)、ジボラン、トリメチルボロン、コウルマナイト、または三酸化ホウ素、トリメトキシボラン、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム、二量体ジボラザン、三量体トリボラザン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素およびホウ酸フェニルからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項30】
前記窒素前駆体が、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(a)について、前記炭素前駆体および前記テンプレート材料が、約2:10~約4:10の重量比である、請求項20~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(a)について、前記ヘテロ原子ドーパント前駆体および前記テンプレート材料が、約1:12~約1:4の重量比である、請求項20~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記テンプレート材料は、ステップ(b)の前に脱水剤でさらに充填される、請求項20~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記脱水剤が、硫酸、ギ酸、酢酸およびクエン酸からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ステップ(c)について、前記活性化剤が、亜鉛化合物、リン酸、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムおよび過硫酸アンモニウムから選択される、請求項20~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記亜鉛化合物が、ZnCl
2およびZnOからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(c)について、前記活性化剤および前記テンプレート材料が、約1:6~約4:3の重量比である、請求項20~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(b)から得られた前記充填テンプレート材料またはステップ(c)から得られた前記組成物が、ステップ(d)の前に粉砕に供される、請求項20~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(d)について、ステップ(c)から得られた前記組成物が、約600℃~約900℃の温度で約5時間、活性化および炭化される、請求項20~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(d)について、前記活性化および炭化が、不活性雰囲気下で行われる、請求項20~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(e)について、ステップ(d)から得られた前記組成物が、HClで処理されて前記活性化剤が除去され、HFで処理されて前記テンプレート材料が除去される、請求項20~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
請求項1~19のいずれか一項に記載のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または請求項20~41のいずれか一項に記載の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の、ナトリウムイオン電池またはリチウムイオン電池のアノード材料、スーパーキャパシタの電極材料、CO
2の吸収、電気化学エネルギーの貯蔵および変換、水/廃水処理、燃料電池、熱触媒反応および/または電気触媒反応、酵素バイオセンサなどのセンサまたは抗菌剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権書類
本出願は、2021年7月2日に出願された「ハロイサイト-カオリン誘導体化ナノ多孔質炭素材料ならびにその調製および使用」と題するオーストラリア仮特許出願第2021902019号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、誘導体化活性化ナノ多孔質炭素材料、その調製方法およびその使用に関する。より詳細には、本開示は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイから調製されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料、その調製方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ナトリウムの天然存在量のために、ナトリウムイオン電池は多くの関心を集めており、リチウムイオン電池と相補的であることが有望である。ナトリウムイオン電池は、典型的には、硬質炭素アノードおよび層状遷移金属酸化物カソードからなる。課題の1つは、高性能で低コストのアノード材料の設計である。
【0004】
スーパーキャパシタは、非常に迅速に再充電することができ、大量の電力を放出することができる。スーパーキャパシタは、高電流および短時間で頻繁に充電および放電のサイクルを受けるエネルギー貯蔵に理想的である。それらは、特に電気自動車におけるそれらの有望な使用のために、多くの用途に特化した電力システムのための解決策として出現し得るので、広範な注目を集めている。これに関連して、スーパーキャパシタに使用され得る新しい材料の開発において多大な努力がなされている。
【0005】
スーパーキャパシタは、電気二重層キャパシタ(EDLC)、擬似キャパシタ、およびEDLCと擬似キャパシタとの組み合わせによって形成されるハイブリッドタイプの3つのタイプに分類することができる。EDLCは、従来の誘電体を有さないが、同じ基板の2つの層で作られた仮想板を使用し、それにより、層の物理的分離が驚くほど薄い(ナノメートル程度)にもかかわらず、電荷の効果的な分離をもたらす。電極-電解質界面は、電解質イオンと電極上の電荷との間に形成された二重層を組み込む。EDLCは、電気化学反応とは対照的に、静電荷によってエネルギーを貯蔵する。EDLCの電極材料の高い多孔性は、板が所与の体積内ではるかに大きい表面積を有することを可能にし、それは次に高い比容量をもたらす。
【0006】
大気中のCO2濃度の増加は、気候変動および環境に対する他の有害な影響の背後にある主な理由の1つであると仮定される。気候変動への影響を緩和するために、大量のCO2の捕捉および利用に向けた試みがなされている。例えば、モンモリロナイト粘土、スメクタイト、セピオライト、ハイドロタルサイト、サポナイトおよびヘクトライトがCO2吸着剤として適用されている。
【0007】
多孔質炭素は、その費用対効果、高い表面積、調整可能な細孔構造、熱的および化学的安定性、ならびに有望な電気化学的性能などのために、アノード材料、スーパーキャパシタ、および吸着剤の候補材料として提案されている。この点に関して、多孔質炭素の表面特性を高めるために異なる技術が採用されている。KOH、CO2、NH3およびH2Oによる炭素の化学的活性化によって、1000m2/gを超える表面積値を有する高い表面積が達成され得る。(Peng,Z.;Guo,Z.;Chu,W.;Wei,M.Facile Synthesis of High-Surface-Area Activated Carbon from Coal for Supercapacitors and High CO2 Sorption.RSC Adv.2016,6,42019-42028を参照。)活性化剤として固体ZnCl2またはKOHを使用して、非常に高いCO2収着容量を担う高い比表面積および大きな細孔容積を有するいくつかの活性化多孔質炭素材料を調製する、固体状態活性化技術が開発されている。(例えば、Singh,G.;Lakhi,K.S.;Ramadass,K.;Sathish,C.I.;Vinu,A.High-Performance Biomass-Derived Activated Porous Biocarbons for Combined Pre-and Post-Combustion CO2 Capture.ACS Sustainable Chem.Eng.2019,7,7412-7420;Singh,G.;Lakhi,K.S.;Sil,S.;Bhosale,S.V.;Kim,I.;Albahily,K.;Vinu,A.Biomass derived Porous Carbon for CO2 Capture.Carbon 2019,148,164-186;Singh,G.;Kim,I.Y.;Lakhi,K.S.;Joseph,S.;Srivastava,P.;Naidu,R.;Vinu,A.Heteroatom Functionalized Activated Porous Biocarbons and their Excellent Performance for CO2 Capture at High pressure.J.Mater.Chem.A 2017,5,21196-21204;Singh,G.;Kim,I.Y.;Lakhi,K.S.;Srivastava,P.;Naidu,R.;Vinu,A.Single Step Synthesis of Activated Bio-Carbons with a High Surface Area and their Excellent CO2 Adsorption Capacity.Carbon 2017,116,448-455を参照。)ナノ構造の形態は、多孔質炭素材料の最終的な表面特性に影響を及ぼすことも報告されている。これに関連して、異なる構造および形態を有するいくつかのタイプの多孔質炭素材料を合成するために、軟質および硬質テンプレート法などの化学的および物理的方法が使用されてきた。高い比表面積を有する秩序化メソ多孔質炭素を調製するために最も一般的に使用されるテンプレートは、秩序化メソ多孔質シリカである(Peng,L.;Hung,C.-T.;Wang,S.;Zhang,X.;Zhu,X.;Zhao,Z.;Wang,C.;Tang,Y.;Li,W.;Zhao,D.Versatile Nanoemulsion Assembly Approach to Synthesize Functional Mesoporous Carbon Nanospheres with Tunable Pore Sizes and Architectures.J.Am.Chem.Soc.2019,141,7073-7080を参照)。しかしながら、秩序化メソ多孔質シリカの合成には高価な化学物質および複雑な合成手順が必要であり、それにより、その大規模な商業化は制限される。
【0008】
低コストで天然に利用可能な粘土材料である天然ハロイサイトナノチューブ(HNT)が、フレークおよびナノチューブの形態および高い比表面積を有する活性化非ドープナノ多孔質炭素(AHNC)を調製するために使用されてきた(Kavitha Ramadass;C.I.Sathish;Sujanya MariaRuban;Gopalakrishnan Kothandam;Stalin Joseph;Gurwinder Singh;Sungho Kim;Wangsoo Cha;Ajay Karakoti;Tony Belperio;Jia Bao Yi;and Ajayan Vinu.Carbon Nanoflakes and Nanotubes from Halloysite Nanoclays and their Superior Performance in CO2 Capture and Energy Storage.ACS Applied Materials&Interfaces 2020 12(10),11922-11933参照)。しかしながら、最初に600℃で5時間加熱し、続いてHClで洗浄し、さらに900℃で5時間加熱することを含む二段階活性化がAHNCの調製に必要であった。この手順は、600℃を超える温度でのカオリナイト-ハロイサイトのメタカオリンへの変態を制限するために必要であった。メタカオリンは、超安定で複雑な非晶質材料であり、HFを使用して溶解することは困難である。900℃での加熱は、炭素壁の黒鉛化度を高めるために必要であった。
【0009】
高い比表面積、大きな細孔容積、表面官能性、およびミクロ細孔とメソ細孔との混合物のうちの少なくとも1つを有する改善されたナノ多孔質炭素材料および/またはそれらの製作するための改善された方法が依然として必要とされており、それらは、限定されないが、ナトリウムイオンまたはリチウムイオン電池のためのアノード材料、スーパーキャパシタおよび/またはCO2吸着を含む用途に使用され得る。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様では、本開示は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ、炭素前駆体、ヘテロ原子ドーパント前駆体および活性化剤を含むテンプレート材料から調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料であって、フレークおよびナノチューブの形態を示し、表面ヘテロ原子官能性を有する、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、テンプレート材料は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイからなる。いくつかのさらなる実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、最大約60重量%のカオリナイトおよび約40重量%のハロイサイトを含有する。いくつかのさらなる実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、約80重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、炭素前駆体は、炭水化物系化合物である。いくつかのさらなる実施形態では、炭水化物系化合物は、糖系化合物である。特定のこれらの実施形態では、糖系化合物は、スクロース、グルコース、多糖類およびフルクトースからなる群から選択される。いくつかの例示的な実施形態では、多糖類は、セルロース、キトサンおよびデンプンからなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、窒素前駆体である。窒素前駆体は、1個以上の窒素原子を含む化合物であり得る。例えば、窒素前駆体は、アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノトリアゾール、尿素、キトサン、シアナミド、ジシアナミド、チオ尿素、メラミン、カゼイン、ポリアニリン、ポリピロール、アミノテトラゾールおよびアミノトリアジンからなる群から選択され得る。いくつかのさらなる実施形態では、窒素前駆体は、アミノトリアゾールである。特定の例示的な実施形態では、窒素前駆体は、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールである。窒素前駆体は、1個以上の窒素原子および1個以上の他のヘテロ原子を含む化合物、例えば硫黄であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、硫黄前駆体である。硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子を含む炭素化合物であり得る。例えば、硫黄前駆体は、ジフェニルジスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、アルキルチオールおよびチオフェンからなる群から選択され得る。代替的に、硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子を含む無機化合物であり得る。例えば、硫黄前駆体は、硫黄粉末、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択され得る。代替的に、硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子および1個以上の他のヘテロ原子含む炭素含有化合物、例えば窒素であってもよい。例えば、硫黄前駆体は、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドからなる群から選択され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、ホウ素前駆体である。ホウ素前駆体は、1個以上のホウ素原子を含む化合物であり得る。適切なホウ素前駆体としては、ホウ酸、アンモニアボラン(ボラザン)、ジボラン、トリメチルボロン、コウルマナイト、三酸化ホウ素、トリメトキシボラン、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム、二量体ジボラザン、三量体トリボラザン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素およびホウ酸フェニルが挙げられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、酸素前駆体である。酸素前駆体は、1個以上の酸素原子を含む化合物であり得る。適切な酸素前駆体としては、ホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂が挙げられる。
【0017】
ヘテロ原子ドーパント前駆体は、上述の前駆体の2つ以上の任意の組み合わせ、例えば窒素前駆体およびホウ素前駆体、窒素前駆体および硫黄前駆体、ホウ素前駆体、硫黄前駆体、ホウ素前駆体および酸素前駆体、窒素前駆体および酸素前駆体、硫黄前駆体および酸素前駆体または窒素前駆体、ホウ素前駆体および硫黄前駆体であり得る。これらの組み合わせは、例えば、窒化炭素ホウ素材料を生じる。
【0018】
いくつかの実施形態では、活性化剤は、亜鉛化合物、リン酸、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、二酸化炭素(CO2)、炭酸アンモニウムおよび過硫酸アンモニウムからなる群から選択される。いくつかの例示的な実施形態では、亜鉛化合物は、塩化亜鉛(ZnCl2)および酸化亜鉛(ZnO)からなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、炭素前駆体およびテンプレート材料は、約2:10~約4:10の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、炭素前駆体およびテンプレート材料は、約3:10の重量比である。
【0020】
いくつかの実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料は、約1:12~約1:4の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料は、約1:10の重量比である。
【0021】
いくつかの実施形態では、活性化剤およびテンプレート材料は、約1:6~約4:3の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、活性化剤およびテンプレート材料は、約2:3の重量比である。
【0022】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.25重量%~約15.00重量%のヘテロ原子含有量を有する。ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料のヘテロ原子含有量は、少なくとも部分的に、合成方法、炭化温度および前駆体選択などの因子に依存する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.25重量%~約15.00重量%の窒素(N)含有量を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.30重量%~約2.28重量%の硫黄(S)含有量および約(9.25%)~19.76%の窒素(N)含有量を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約11.10重量%~26.92重量%のホウ素(B)含有量および酸素(O)含有量を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約200F/gを超える比容量を有する。いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約299F/gの比容量を有する。いくつかの例示的な実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/g、0.5A/gおよび1A/gの電流密度で、約299F/g、約228F/gまたは約194F/gの比容量を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1350m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1500m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1600m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.0cm3/g~約1.6cm3/gの細孔容積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.3cm3/g~約1.6cm3/gの細孔容積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.4cm3/g~約1.6cm3/gの細孔容積を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1700m2/gの比面積および約1.465cm3/gの細孔容積を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、少なくとも約22.5mmol/gのCO2吸着容量を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、約24.4mmol/gのCO2吸着容量を有する。
【0031】
第2の態様では、本開示は、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を調製する方法であって、
(a)天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを含むテンプレート材料に炭素前駆体およびヘテロ原子ドーパント前駆体を充填するステップ;
(b)加熱することによって、ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料から水分および揮発性物質を除去するステップ;
(c)ステップ(b)から得られた充填テンプレート材料および活性化剤を含む組成物を製造するステップ;
(d)ステップ(c)から得られた組成物を約600℃~約900℃の温度で活性化および炭化するステップ;ならびに
(e)ステップ(d)から得られた組成物からテンプレート材料および活性化剤を除去するステップ
を含む、方法を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、テンプレート材料は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイからなる。いくつかのさらなる実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、最大約60重量%のカオリナイトおよび約40重量%のハロイサイトを含有する。いくつかのさらなる実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、約80重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、炭素前駆体は、炭水化物系化合物である。いくつかのさらなる実施形態では、ステップ(a)について、炭水化物系化合物は、糖系化合物である。特定のこれらの実施形態では、糖系化合物は、スクロース、グルコース、フルクトースおよび多糖類からなる群から選択される。いくつかの例示的な実施形態では、多糖類は、セルロース、キトサンおよびデンプンからなる群から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、窒素前駆体である。窒素前駆体は、1個以上の窒素原子を含む炭素化合物であり得る。例えば、窒素前駆体は、アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノトリアゾール、尿素、キトサン、シアナミド、ジシアナミド、チオ尿素、メラミン、カゼイン、ポリアニリン、ポリピロール、アミノテトラゾールおよびアミノトリアジンからなる群から選択され得る。いくつかのさらなる実施形態では、窒素前駆体は、アミノトリアゾールである。特定の例示的な実施形態では、窒素前駆体は、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールである。
【0035】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、硫黄前駆体である。硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子を含む炭素化合物であり得る。例えば、硫黄前駆体は、ジフェニルジスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、アルキルチオールおよびチオフェンからなる群から選択され得る。代替的に、硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子を含む無機化合物であり得る。例えば、硫黄前駆体は、硫黄粉末、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択され得る。代替的に、硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子および1個以上の他のヘテロ原子含む炭素含有化合物、例えば窒素であってもよい。例えば、硫黄前駆体は、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドからなる群から選択され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、ホウ素前駆体である。ホウ素前駆体は、1個以上のホウ素原子を含む化合物であり得る。適切なホウ素前駆体としては、ホウ酸、アンモニアボラン(ボラザン)、ジボラン、トリメチルボロン、コウルマナイト、三酸化ホウ素、トリメトキシボラン、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム、二量体ジボラザン、三量体トリボラザン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素およびホウ酸フェニルが挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、酸素前駆体である。酸素前駆体は、1個以上の酸素原子を含む化合物であり得る。適切な酸素前駆体としては、ホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂が挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、炭素前駆体およびテンプレート材料は、約2:10~約4:10の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、炭素前駆体およびテンプレート材料は、約3:10の重量比である。
【0039】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料は、約1:12~約1:4の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料は、約1:10の重量比である。
【0040】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体および炭素前駆体は、含浸によってテンプレート材料に充填される。いくつかのさらなる実施形態では、炭素前駆体の水溶液およびヘテロ原子ドーパント前駆体の水溶液は、別々に調製され、次いで、テンプレート材料に滴下されて、充填テンプレート材料が形成される。特定のこれらの実施形態では、溶液を調製するために使用される水およびテンプレート材料は、約1:1~約2:1の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、溶液を調製するために使用される水およびテンプレート材料は、約4:3の重量比である。
【0041】
いくつかの実施形態では、テンプレート材料には、ステップ(b)の前に脱水剤がさらに充填される。いくつかのさらなる実施形態では、脱水剤は、硫酸、ギ酸、酢酸およびクエン酸からなる群から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、ステップ(b)について、水分および揮発性物質の除去は、加熱によって行われる。いくつかのさらなる実施形態では、ステップ(b)について、ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料は、約100℃、次いで約160℃で加熱されて、そこから水分および揮発性物質が除去される。このプロセスはまた、炭素とヘテロ原子ドーパント前駆体との間の重合を開始するのに役立つ。いくつかの例示的な実施形態では、ステップ(b)について、ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料は、約100℃で約6時間、次いで約160℃で約6時間加熱されて、そこから水分および揮発性物質が除去される。
【0043】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)について、活性化剤は、亜鉛化合物、リン酸、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムおよび過硫酸アンモニウムからなる群から選択される。いくつかの例示的な実施形態では、亜鉛化合物は、ZnCl2およびZnOからなる群から選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)について、活性化剤および天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、約1:6~約4:3の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、活性化剤および天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、約2:3の重量比である。
【0045】
いくつかの実施形態では、ステップ(c)について、活性化剤は、乾燥固体として組成物に導入される。
【0046】
いくつかの実施形態では、ステップ(b)から得られた充填テンプレート材料またはステップ(c)から得られた組成物は、ステップ(d)の前に粉砕に供される。粉砕は、典型的には、固体状態の活性化に必要である。
【0047】
いくつかの実施形態では、ステップ(d)について、ステップ(c)から得られた組成物は、約600℃~約900℃の温度で約5時間、活性化および炭化される。いくつかのさらなる実施形態では、ステップ(c)から得られた組成物は、約800℃の温度で約5時間、活性化および炭化される。いくつかの実施形態では、ステップ(d)について、活性化および炭化は、不活性雰囲気下、例えば不活性雰囲気下で行われる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ステップ(e)について、ステップ(d)から得られた組成物は、HClで処理されて活性化剤が除去され、HFで処理されてテンプレート材料が除去される。
【0049】
第2の態様のいくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.25重量%~約15.00重量%のヘテロ原子含有量を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.25重量%~約15.00重量%の窒素(N)含有量を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.30重量%~約2.28重量%の硫黄(S)含有量および約(9.25%)~13.19%の窒素(N)含有量を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約11.10%~26.92%のホウ素(B)含有量および酸素含有量を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約200F/gを超える比容量を有する。いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約299F/gの比容量を有する。いくつかの例示的な実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/g、0.5A/gおよび1A/gの電流密度で、約299F/g、約228F/gおよび約194F/gの比容量を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1350m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1500m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1600m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.0cm3/g~約1.6cm3/gの細孔容積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.3cm3/g~約1.6cm3/gの細孔容積を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.4cm3/g~約1.6cm3/gの細孔容積を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1700m2/gの比面積および約1.465cm3/gの細孔容積を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、少なくとも約22.5mmol/gのCO2吸着容量を有する。いくつかのさらなる実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、約24.4mmol/gのCO2吸着容量を有する。
【0058】
第3の態様では、本開示は、ナトリウムイオン電池またはリチウムイオン電池のアノード材料における、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0059】
第4の態様では、本開示は、スーパーキャパシタの電極材料における、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0060】
第5の態様では、本開示は、CO2吸着における、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0061】
第6の態様では、本開示は、電気化学エネルギーの貯蔵および変換のための、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0062】
第7の態様では、本開示は、水/廃水処理のための、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0063】
第8の態様では、本開示は、燃料電池における、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0064】
第9の態様では、本開示は、熱触媒反応および/または電気触媒反応の触媒材料としての、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0065】
第10の態様では、本開示は、酵素バイオセンサなどのセンサにおける、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【0066】
第11の態様では、本開示は、抗菌剤としての、第1の態様のドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または第2の態様の方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、1%、70%および99%のハロイサイト:カオリナイト天然混合物を示す、Streaky Bay産の天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ試料のSEM画像を示す。
【0068】
【
図2】
図2は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイをテンプレートとして使用することによる、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の例示的な合成プロセスを示す。
【0069】
【
図3】
図3は、本開示による異なる温度(700、800および900℃)で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料のFTIRスペクトルを示す。
【0070】
【
図4】
図4は、本開示による800℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料のXPS調査および高分解能スペクトルを示す。
【0071】
【
図5】
図5は、700℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の一実施形態のSEM画像を示す。
【0072】
【
図6】
図6は、800℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の一実施形態のSEM画像を示す。
【0073】
【
図7】
図7は、900℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の一実施形態のSEM画像を示す。
【0074】
【
図8】
図8は、a)0~30バールの圧力範囲で測定されたN-ANCx試料のCO
2吸着等温線、b)0、10および25℃の3つの異なる温度および0~30バールの共通圧力範囲で測定されたN-ANC
800のCO
2吸着等温線、c)0、10および25℃の3つの異なる温度で得られた吸着等温線から計算されたN-ANCx試料の等量吸着熱、ならびにd)N-ANC
800とK-HNTおよび他の多孔質炭素材料:K-HNT由来のHNC-多孔質炭素;N-HNC
800-活性化なしのK-HNT由来のNドープ多孔質炭素との比較を示す。
【0075】
【
図9】
図9は、5~100mV s
-1の走査速度範囲で測定された試料、(a)N-ANC
700、(c)N-ANC
800および(e)N-ANC
900のサイクリックボルタモグラム(CV);0.3~10A g
-1の範囲の異なる電流密度で測定されたN-ANCx試料、(b)N-ANC
700、(d)N-ANC
800および(f)N-ANC
900の定電流充電/放電(GCD)測定値を示す。
【0076】
【
図10】
図10は、N-ANC
Xの比容量データ、(a)走査速度-10mV s
-1で測定された試料のサイクリックボルタモグラム(CV)、(b)1A g
-1の電流密度で測定されたN-ANCx試料の定電流充電/放電(GCD)測定値、(c)0.1hzで測定されたN-ANCx試料のナイキストプロット、および(d)様々な電流密度で測定されたN-ANCx試料の比容量値(Cs)を示す。
【0077】
【
図11】
図11は、異なる電流密度0.5A g
-1で測定されたB-ANCx試料の定電流充電/放電(GCD)測定値、および10mV s
-1の走査速度範囲で測定された試料のサイクリックボルタモグラム(CV)を示す。
【0078】
【
図12】
図12は、100mAh g
-1の電流密度での1サイクル目、2サイクル目、5サイクル目、50サイクル目の充電および放電容量プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本明細書で使用される「ナノ多孔質」という用語は、一般に100ナノメートル以下である細孔のサイズを意味する。
【0080】
「活性化された」という用語は、本開示において炭素材料に言及する場合、吸着またはイオン輸送に利用可能な表面積を増加させる小さな低容積の細孔を示すように炭素材料が処理されていることを意味する。
【0081】
本明細書で使用される「天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ」という語句は、精製の有無にかかわらず使用することができる低コストの天然に利用可能な粘土材料を指す。これらの材料の例を
図1に示す。天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、ハロイサイトAl
2Si
2O
5(OH)
4-2H
2OとカオリナイトAl
2Si
2O
5(OH)
4粘土鉱物とのハイブリッドブレンドである。カオリナイトは、式Al
2Si
2O
5(OH)
4を有し、典型的には板状形態で存在する。ハロイサイトは、層間に追加の水分子を含み、ナノチューブ形態を示すことを除いて、カオリナイトと同様の組成を有する。ハロイサイトは、その層間水を非常に容易に失い、部分的に脱水された状態で存在し得る。ハロイサイトは、大きな管腔を有する長い管として存在し、管腔は、ストローの内側と同様に管の内側である。例えば、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、南オーストラリア州の西地域で容易に入手可能である。
図1は、南オーストラリア州西側の堆積物からの天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ試料のSEM画像を示す。本明細書で使用される天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、可変比のハロイサイトおよびカオリナイトを含有し得るが、一般に約40%を超えるハロイサイトナノチューブ、および最大約80%を超えるハロイサイトナノチューブを含有し得る。カオリナイトは、一旦剥離すると、ハロイサイトナノチューブと一緒になって、フレーク状構造を有するNドープ多孔質炭素を合成するのに有益なフレーク状構造を有する。言い換えれば、カオリナイトのフレーク状構造は、ハロイサイトのナノチューブ構造と一緒に、炭化手順中にNドープ活性化ナノ多孔質炭素に複製される。Nドープ活性化ナノ多孔質炭素のフレーク状構造は、ガスの電気化学的操作または吸着中に、イオンのより速い拡散/輸送のための追加のチャネルを提供する。さらに、テンプレートとしての天然ハロイサイト-カオリンナノクレイの利用可能性は、シリカなどの従来のテンプレートと比較して、低コストで豊富であるという追加の利点を提供する。
【0082】
本発明は、フレーク状形態と管状形態との混合物を有するハロイサイト-カオリンナノクレイが、その形態学的特徴を炭素材料に複製することを可能にするテンプレートとして機能することができ、比容量、CO2吸着、充電および放電容量において望ましい性能を有するNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を製作するために、テンプレートプロセスと組み合わせた単純な固体状態一段階活性化を採用することが可能であるという本発明者らの知見から生じる。
【0083】
炭素ホストは、リン、ホウ素、硫黄および窒素などのヘテロ原子でドープすることによって修飾することができる。窒素の導入は、炭素フレームワークの電子密度を改善するか、または炭素フレームワークの塩基性度を増加させ、これは、次に、CO2の電子不足炭素をルイス酸/ルイス塩基(N原子)相互作用によって炭素細孔表面に固定すると考えられる。
【0084】
しかしながら、ナノ多孔質炭素材料の表面の窒素官能性を制御することは困難であった。後処理手法は、一般に、複雑なプロセス、およびアンモニアまたはメラミンなどの有毒な窒素前駆体の使用を伴う。また、アンモニアおよびメラミンなどのN含有前駆体で処理された多孔質炭素材料は、ドーパント分布および多孔性を制御するためにはあまり好ましくない。さらに、後処理手法は、多孔質構造を容易に崩壊させ得る。後処理手法とは対照的に、テンプレート戦略は、現在、秩序化ヘテロ原子ドープ多孔質炭素とヘテロ原子含有炭素前駆体との合成、またはそれらを他の炭素源と混合するために広く採用されている。この手法によって、有毒な前駆体/ガスを用いずに、最終材料中の窒素含有量を制御することも可能である。それにもかかわらず、大きな表面積および高いヘテロ原子ドープの両方を有するヘテロ原子ドープ多孔質炭素を製作するための効果的な戦略を開発することは依然として困難である。
【0085】
本明細書に開示されるプロセスを使用してナノ多孔質炭素材料の表面を官能化することができ、電池などの用途性能が向上するという利点を有することが本発明者らによって見出された。さらに、炭化温度を使用して、電気化学的および吸着用途における最終性能を決定するように、最終生成物の窒素含有量およびテクスチャ特性を調整することができる。
【0086】
したがって、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ、炭素前駆体、ヘテロ原子ドーパント前駆体および活性化剤を含むテンプレート材料から調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料が本明細書で提供され、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、フレークおよびナノチューブの形態を示し、表面ヘテロ原子官能性を有する。
【0087】
ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を調製する方法であって、
(a)天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを含むテンプレート材料に炭素前駆体およびヘテロ原子ドーパント前駆体を充填するステップ;
(b)ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料から水分および揮発性物質を除去するステップ;
(c)ステップ(b)から得られた充填テンプレート材料および活性化剤を含む組成物を製造するステップ;
(d)ステップ(c)から得られた組成物を約600℃~約900℃の温度で活性化および炭化するステップ;ならびに
(e)ステップ(d)から得られた組成物からテンプレート材料および活性化剤を除去するステップ
を含む、方法も本明細書で提供される。
【0088】
一般に、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを含むテンプレート材料から、活性化と組み合わせた犠牲ハードテンプレート法および単純なin-situドープによって調製される。いくつかの実施形態では、テンプレート材料は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイからなる。
【0089】
天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、低コストであり、例えば南オーストラリア州の西地域から天然に入手可能である。本開示の目的のために、ハロイサイト-カオリンナノクレイは、抽出された直後に使用することができ、精製を必要としない。例えば、本明細書で使用されるハロイサイト-カオリンナノクレイは、ParlaWhite(登録商標)の下で市販されている。
【0090】
約40%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを使用することが可能である。いくつかの実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、約80%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する。天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、カオリンのフレーク状構造がスリット状細孔としてドープ活性化ナノ多孔質炭素材料に複製可能であり、ハロイサイトの管壁がメソ多孔質構造としてドープ活性化ナノ多孔質炭素材料に複製されるように、テンプレートとして機能することが分かった。この機構を
図2に示す。
【0091】
炭素前駆体の選択は、高い炭素含有量、費用対効果、および比較的低い温度で脱水を受けやすいことなどを考慮に入れることができる。これに関連して、本明細書で使用される炭素前駆体は、炭水化物系化合物、例えば糖系化合物、またはそれらの混合物であり得る。具体的には、糖系化合物は、スクロース、グルコース、フルクトース、多糖類を含み得る。必要に応じて、糖系化合物は、廃果汁/果肉および廃炭酸糖含有飲料などの材料から供給されてもよい。多糖類の例は、限定されないが、セルロース、キトサンおよびデンプンである。好ましい実施形態では、炭素前駆体としてスクロースが用いられる。スクロースを有する天然ハロイサイト-カオリンナノクレイテンプレートの熱処理は、ナノクレイの外面とスクロース分子との間の結合を確立するのに役立つと考えられる。これにより、スクロース由来の炭素によるナノクレイの表面の被覆がもたらされる。さらに、スクロースは、低コストで無毒であり、豊富に入手可能な炭素前駆体である。スクロースは、例えば、Sigma-Aldrichから純度99.5%以上で市販されている。ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を調製するために、炭素前駆体およびテンプレート材料(例えば、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ)は、約2:10~約4:10、例えば、2:10、2.5:10、3:10、3.5:10および4:10の重量比であり得る。好ましい実施形態では、炭素前駆体およびテンプレート材料は、約3:10の重量比である。
【0092】
ヘテロ原子ドーパントは、炭素または水素ではない任意の適切な原子であり得る。非限定的な例としては、限定されないが、窒素(N)、硫黄(S)、酸素(O)およびホウ素(B)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「ドーパント」という用語は、その電気的、光学的または構造的特性などの、材料の1つまたは複数の特性を調整する目的で内因性炭素フレームワークに意図的に導入される不純物を意味する。本開示の目的のために、ヘテロ原子が炭素フレームワークに本質的に組み込まれるようにヘテロ原子を炭素フレームワークの割れ目に組み込むことを含む「ドープ」と、ヘテロ原子を炭素フレームワーク内の格子間空間に充填することを含む「充填」とを区別することができる。当業者は、ドープおよび充填が最終材料において異なる特性をもたらすことを理解するであろう。
【0093】
任意の適切なヘテロ原子ドーパント前駆体が使用され得る。強固に結合した窒素を有する窒素前駆体は、熱炭化中に化学反応のために窒素原子を放出しない可能性があるのに対し、比較的低い温度で容易に窒素を供与することができる前駆体が本開示にとって望ましい場合がある。さらに、液体および気体窒素前駆体と比較して、費用対効果が高く、取り扱いが容易であり、高含有量の窒素を含有する固体窒素含有前駆体がこの目的に適している。本明細書で使用される窒素前駆体は、1個以上の窒素原子を含む化合物であり得る。窒素前駆体の非限定的な例としては、アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノトリアゾール、尿素、キトサン、シアナミド、ジシアナミド、チオ尿素、メラミン、カゼイン、ポリアニリン、ポリピロール、アミノテトラゾールおよびアミノトリアジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、窒素前駆体は、アミノトリアゾールである。特定の例示的な実施形態では、窒素前駆体は、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールである。窒素前駆体は、1個以上の窒素原子および1個以上の他のヘテロ原子を含む化合物、例えば硫黄であってもよい。これに関して適切な窒素前駆体としては、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドが挙げられる。
【0094】
Sドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を提供するために、ヘテロ原子ドーパント前駆体として、硫黄前駆体が使用され得る。硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子を含む炭素化合物、例えばジフェニルジスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、アルキルチオールおよびチオフェンであってもよい。硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子を含む無機化合物、例えば硫黄粉末、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、およびチオ硫酸ナトリウムであってもよい。代替的に、硫黄前駆体は、1個以上の硫黄原子および1個以上の他のヘテロ原子含む炭素含有化合物、例えば窒素であってもよい。例えば、硫黄前駆体は、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドからなる群から選択され得る。
【0095】
Bドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を提供するために、ヘテロ原子ドーパント前駆体として、ホウ素前駆体が使用され得る。ホウ素前駆体は、1個以上のホウ素原子を含む化合物、例えばホウ酸、アンモニアボラン(ボラザン)、ジボラン、トリメチルボロン、コウルマナイト、三酸化ホウ素、トリメトキシボラン、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム、二量体ジボラザン、三量体トリボラザン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、ホウ酸フェニルであってもよい。
【0096】
Oドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を提供するために、ヘテロ原子ドーパント前駆体として、酸素前駆体が使用され得る。酸素前駆体は、1個以上の酸素原子を含む化合物、例えばホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂であってもよい。
【0097】
ヘテロ原子ドーパント前駆体は、硫黄および窒素前駆体、例えばチオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドであってもよい。
【0098】
ヘテロ原子ドーパント前駆体は、ホウ素および酸素前駆体、例えばホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂であってもよい。
【0099】
ヘテロ原子ドーパント前駆体の量は、ハロイサイトテンプレートの比表面積および細孔容積ならびにテンプレートの純度に基づいて変化する。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料(例えば、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ)は、約1:12~約1:4の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料は、約1:10の重量比である。
【0100】
ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体および炭素前駆体は、様々な方法で、例えば含浸によってテンプレート材料に充填することができる。この目的のために、炭素前駆体の溶液およびヘテロ原子ドーパント前駆体の溶液は、別々に調製して、テンプレート材料に含浸する。好ましくは、炭素前駆体の水溶液およびヘテロ原子ドーパント前駆体の水溶液は、別々に調製され、次いでテンプレート材料に滴下される。水の添加が多すぎる場合、テンプレートの外面上に重合炭素材料が形成され得るが、後続のステップ(b)中に除去するには多すぎないので、使用される水の量は、テンプレート材料内の炭素前駆体およびヘテロ原子ドーパント前駆体の完全な拡散を可能にするように最適化される。特定のこれらの実施形態では、溶液を調製するために使用される水およびテンプレート材料(例えば、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ)は、約1:1~約2:1の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、溶液を調製するために使用される水およびテンプレート材料は、約4:3の重量比である。
【0101】
使用される水の量は、テンプレート材料、特に天然ハロイサイト-カオリンナノクレイのナノチャネル内の前駆体の完全な拡散を達成するために最適化される。いくつかの実施形態では、前駆体(すなわち、炭素前駆体+窒素前駆体)と水との比は、重量で約1:2.5~約1:6、好ましくは重量で約12:40の範囲である。好ましくは、脱水剤もテンプレート材料に塗布される。これは、糖系化合物の水溶液に脱水剤を導入することにより達成することができる。適切な脱水剤としては、限定されないが、硫酸、ギ酸、酢酸およびクエン酸が挙げられる。使用される脱水剤の量は、テンプレート内に使用される炭素および窒素前駆体の量によって容易に決定される。
【0102】
本開示は、熱処理前に炭素前駆体とヘテロ原子ドーパント前駆体とが組み合わされるin-situドープ手法を使用し、これは、ヘテロ原子ドーパント前駆体が既に炭化された多孔質炭素に添加される後処理手法よりも有利であると考えられる。これは、前者が多孔質炭素上のヘテロ原子の均一な分布を可能にするのに対して、後者は炭素前駆体の構造を破壊し、細孔のサイズおよび形態の変化をもたらす可能性があるためである。
【0103】
さらに、炭素前駆体の脱水を補助するために、テンプレート材料に脱水剤をさらに充填することが提案されている。例えば、含浸のための炭素前駆体溶液に、脱水剤が添加され得る。本明細書で使用される脱水剤としては、硫酸および有機酸、例えばギ酸、酢酸またはクエン酸が挙げられる。テンプレート材料に添加される炭素前駆体およびヘテロ原子ドーパント前駆体の脱水剤の量は、炭化後の炭素の質量収率を増加させ、炭化中の試料収縮を減少させるという利点を有し得る。
【0104】
必要に応じて、テンプレート材料、炭素前駆体、ヘテロ原子ドーパント前駆体および他の成分、例えば脱水剤(存在する場合)から形成される充填テンプレート材料は、次いで、十分に混合することができる。
【0105】
水分および揮発性物質は、100Cで6時間、次いで160Cで6時間加熱することによって、有意な分解なしに得られた充填テンプレート材料から除去される。このプロセスはまた、炭素とヘテロ原子ドーパント前駆体との間の重合を開始するのに役立つ。この目的のために、ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料は、例えば熱風オーブンまたは真空オーブンを用いて低温加熱処理に供することができる。いくつかの実施形態では、ステップ(b)について、充填テンプレート材料は、約100℃、次いで約160℃で加熱される。いくつかの例示的な実施形態では、ステップ(b)について、充填テンプレート材料は、約100℃で約6時間、次いで約160℃で約6時間加熱される。
【0106】
活性化および炭化を同時に実施するために、充填テンプレート材料と活性化剤とが、組み合わされる。ヘテロ原子ドーパント前駆体と活性化剤との併用は、最終生成物の細孔径を著しく拡大させる。
【0107】
活性化剤のタイプは、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の多孔性の性質を制御するために使用することができる。いくつかの実施形態では、活性化剤は、亜鉛化合物、リン酸、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムおよび過硫酸アンモニウムから選択される。いくつかの例示的な実施形態では、亜鉛化合物は、ZnCl2およびZnOから選択され得る。活性化剤の量は、活性化ドープナノ多孔質炭素材料のいくつかの特性、例えば表面積、ミクロ多孔質面積およびミクロ細孔容積を達成するために役割を果たす。いくつかの実施形態では、活性化剤およびテンプレート材料(例えば、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ)は、約1:6~約4:3の重量比である。いくつかの例示的な実施形態では、活性化剤およびテンプレート材料は、約2:3の重量比である。
【0108】
活性化剤は、乾燥状態または固体状態で、充填テンプレート材料と組み合わせることができる。好ましい実施形態では、ステップ(c)について、乾燥固体形態の活性化剤が、充填テンプレート材料と組み合わされる。必要に応じて、前述のように処理された充填テンプレート材料は、充填テンプレート材料と組み合わせる前に微粉末に粉砕することができる。固体状態の手順は、液体状態よりも、または活性化剤の溶液中への前駆体の浸漬が関与する場合よりも良好な特徴を有する炭素材料を製造するのにより好ましいことが実証されている。固体状態の手順はまた、高温炭化の前に溶液を蒸発乾固させる追加のステップの必要性を排除する。
【0109】
本開示では活性化および炭化が同時に実施され、調製プロセスを単純かつ費用効果的にすることは、言及する価値がある。活性化および炭化を組み合わせた手順は、従来の2ステップ手順に必要な時間要件を排除する。これは、プロセスに費やされるエネルギーおよび労働力などの考慮事項の代わりに、より好ましい手順である。
【0110】
上述のように調製された組成物は、テンプレート材料、炭素前駆体、ヘテロ原子ドーパント前駆体、活性化剤、および存在する場合には脱水剤などの他の成分を含み、次いでステップ(d)について、約600℃~約900℃の温度で活性化および炭化に供される。活性化および炭化は、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気下で行うことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、約600℃~約900℃の温度で約5時間、活性化および炭化される。好ましくは、組成物は、約800℃の温度で活性化および炭化される。テクスチャ特徴の減少は最小限に抑制可能であり、活性化剤は約800℃の温度で完全な効果を発揮することができると考えられる。
【0111】
活性化および炭化プロセスは、炭素鎖の重合から始まる。これらの炭素鎖は、破壊、改質、さらなる重合、芳香族化などを受けることがあり、最終的には、ナノクレイの周りにドープ活性化ナノ多孔質炭素の生成をもたらす。ナノクレイ自体は、原子の再配列/構造の部分的崩壊を受ける可能性があるが、それらの構造にあまり大きな影響はないと推測される。炭化中、炭素前駆体は、利用可能な管状構造体の空の管腔に入り、炭素中の管状構造体を複製する。
【0112】
活性化および炭化された後、テンプレート材料および活性化剤は、組成物から除去される必要がある。活性化剤は、HClまたは水で洗浄することによって、例えば2M HCl溶液を使用することによって除去することができる。テンプレート材料は、HFで洗浄することによって、例えば希HF溶液を使用することによって除去することができる。活性化剤を完全に除去するために、HCl処理後に水(例えば、蒸留水)で組成物をすすぐことが好ましい。いくつかの実施形態では、活性化および炭化組成物は、HCl溶液で(例えば、2時間)洗浄され、次いで水ですすがれ、その後、組成物は、希HF溶液(例えば5重量%)で洗浄される。これに続いて、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料から不純物の大部分を除去するために、濾過し、過剰のエタノールで洗浄し、次いで乾燥させてもよい。
【0113】
元素組成、形態、比容量、比表面、細孔容積、ならびに充電および放電プロファイルなどの様々な特徴を使用して、上述のように得られたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を特徴付けることができる。
【0114】
以下の説明では、例示のみを目的としてNドープ材料を参照する。必要に応じて、Sドープ活性化ナノ多孔質炭素材料およびBドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を含む他のヘテロ原子ドープ材料も使用および試験することができる。
【0115】
元素組成
【0116】
Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の元素組成は、CHNS/O元素分析器を用いて推定することができる。Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の元素分析は、炭化温度が最終材料の炭素および窒素含有量に強く影響することを示している。炭素および窒素含有量は、異なる温度で炭化された材料ごとに異なる。高温は窒素種の蒸発を引き起こす可能性があるため、炭素フレームワーク中の窒素含有量は、炭化温度が600℃から900℃に上昇するにつれて徐々に減少する。しかしながら、800℃で炭化された材料の炭素フレームワーク中の窒素含有量(約10%)は、これまでに報告された他のNドープ材料(Zhou et al.2018;Lu et al.2017;Kim et al.2019;Zou et al.2019)よりも比較的高い。
【0117】
いくつかの実施形態では、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.25重量%~約15.00重量%の窒素含有量を有する。
【0118】
図3は、異なる温度(600、700、800および900℃)で合成したNドープナノ多孔質炭素材料のFTIRスペクトルを示す。C=N結合(約1600cm
-1)およびN-H結合(約1300cm
-1)の形態の窒素が、材料試料の表面に明確に観察される。多孔質炭素フレームワークへの均一なNドープは、水溶液中の濡れ性を高め、酸化還元部位を提供するので、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の並外れた性能に役割を果たすと考えられる。さらに、表面の窒素官能性は、表面電荷および濡れ性を高め、それによって炭素捕捉およびエネルギー貯蔵の性能を促進する。
【0119】
第四級窒素およびピリジン-N-オキシドなどの高温窒素種は、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の表面に見られ、これは本明細書に開示されるプロセスで使用される高い活性化温度に起因し得る。これは
図4から分かる。炭素材料中のNの熱力学的安定性が非常に低いため、炭化温度を調節することによって、窒素量は制御することができる。
【0120】
形態
【0121】
形態学的分析は、FE-SEMおよびHRTEMを使用して行うことができる。
図5~
図7から、本明細書に開示される材料の形態は、多数の均一に分布したフレーク状および管状粒子で構成される多孔性を有するシート状構造を示したことが観察される。これらは、テンプレートの形態学的特徴がNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料に複製されることを明らかにする。900℃で炭化されたNドープ活性化多孔質炭素材料は、フレーク状-シート状形態の凝集形態を示した(例えば、
図7を参照)。それらは高温で単純なシロキサン架橋を介して一緒に凝集したと仮定される。
【0122】
CO2吸着容量
【0123】
温度制御サーキュレータを備えたMicromeritics HPVA機器を使用して、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の高圧CO
2吸着容量を測定することができる。0~30バールの圧力範囲を使用して、0℃、10℃および25℃の温度で吸着等温線を記録した。分析の前に、試料は、200℃の温度で12時間、一定の真空下で脱気した。
図8(d)に示すCO
2吸着等温線からの結果は、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料が、ドープまたは活性化なしの炭素材料と比較して優れたCO
2吸着容量を示すことを示唆している。吸着等温線から、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、CO
2吸着の最初の急激な増加と、それに続く高圧(5~30バールの圧力)での線形増加を示すことが観察され得る。これは、30バールのより高い圧力でも崩壊しないNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の多孔質構造の堅牢性を明確に実証している。低圧レジームでは、表面の活性ミクロ多孔質部位が最初に満たされ、圧力が増加するにつれて、CO
2分子が炭素構造の内側メソ多孔質中心も満たす。
【0124】
いくつかの実施形態では、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、少なくとも約22.5mmol/gのCO
2吸着容量を有する。いくつかのさらなる実施形態では、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、約24.4mmol/gのCO
2吸着容量を有する。Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料のCO
2吸着容量が、Nドープなしの非活性化多孔質炭素材料のCO
2吸着容量(約13.1mmol/g)よりも高いことは、
図8から明らかである。約1バールの低圧で、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の吸着容量は約3.9mmol/gであり、これはNドープなしの非活性化ナノ多孔質炭素材料(約2.4mmol/g)よりも比較的良好である。N-ANCxのCO
2吸着について、窒素官能化メソ多孔質炭素、Nドープ活性化炭素、およびメソ多孔質窒化炭素と比較した(表2)。データは、N-ANCxが、その優れたテクスチャ特性および窒素ドープのために、比較材料よりも高いCO
2吸着容量を有することを明らかにした。
【0125】
材料の比表面積および細孔容積は、-196℃でのN2吸着および脱着等温線を測定することによって分析される。測定は、micromeritics ASAP 2420表面積および多孔度分析器を用いて行うことができる。比表面積は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)モデルを利用することによって決定することができる。本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1350m2・g-1~約1700m2・g-1の範囲の比表面積を有する。いくつかの実施形態では、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1500m2・g-1~約1700m2・g-1、好ましくは約1600m2・g-1~約1700m2・g-1の比表面積を有する。追加的または代替的に、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.000cm3/g~約1.600cm3/gの細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.300cm3/g~約1.600cm3/g、好ましくは約1.400cm3/g~約1.600cm3/gの比表面積を有する。好ましい実施形態では、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1700m2・g-1の比表面積および約1.465cm3/gの細孔容積を示す。より高い表面積および比較的高い細孔容積は、より高いCO2吸着容量に大きく寄与すると考えられる。さらに、高度の表面官能基は、より高いCO2吸着容量にさらに寄与する。
【0126】
N-ANCおよび他の報告された多孔質炭素材料のCO2吸着特性を表1に示す。
【0127】
表1-N-ANCおよび他の報告された多孔質炭素材料のCO
2高圧固体吸着剤としての性能の比較。
【表1】
【0128】
なお、CPC-3は、サセイン由来の多孔質炭素であり;N-HPCは、ジシアンジアミドおよびフェノール樹脂に由来するNドープ階層的多孔質炭素であり;G-3.6-1は、グルコースおよびシュウ酸カリウムおよびメラミンに由来するNドープ活性化多孔質炭素である。
【0129】
比容量/充電および放電プロファイル
【0130】
Nドープなしのハロイサイトナノチューブ由来の活性化多孔質炭素(AHNC)の比容量は(Kavitha Ramadass;C.I.Sathish;Sujanya MariaRuban;Gopalakrishnan Kothandam;Stalin Joseph;Gurwinder Singh;Sungho Kim;Wangsoo Cha;Ajay Karakoti;Tony Belperio;Jia Bao Yi;and Ajayan Vinu.Carbon Nanoflakes and Nanotubes from Halloysite Nanoclays and their Superior Performance in CO2 Capture and Energy Storage.ACS Applied Materials&Interfaces 2020 12(10),11922-11933を参照)、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の比容量よりも比較的小さい。具体的には、800℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約299F/gの比容量を示し、これは、AHNCの比容量(約192F/g)よりも高い。これは、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料がAHNCと比較してより高いエネルギーを貯蔵することができることを意味し、したがって、スーパーキャパシタ電極材料としてのその高い可能性を示唆している。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約200F/gを超える比容量を有することができる。いくつかのさらなる実施形態では、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約299F/gの比容量を有する。いくつかの例示的な実施形態では、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/g、0.5A/gおよび1A/gの電流密度で、約299F/g、約228F/g、約194F/gの比容量を有する。
【0131】
本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の導電率、比表面積、大きな細孔容積および表面窒素官能性は、効率的なイオン/電子輸送を促進し、これは、より多くのNa
+貯蔵部位を提供する。本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料はまた、100mV/sもの高い走査速度でも良好な電荷貯蔵能力を示し(例えば、
図10を参照)、良好なサイクル安定性を示す(例えば、
図11を参照)。具体的には、このような電極は、0.1A/gで測定された200サイクル後の有望な容量保持率を示す。これらの特性の結果として、本明細書に開示されるNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、高性能のナトリウムイオン電池またはリチウムイオン電池によく適している。
【0132】
表2に示すように、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の方が窒素を含まない活性化ナノ多孔質炭素試料よりも迅速に電気化学的特性の安定化が起こることが分かった。
【0133】
表2-N-ANC
900の超静電容量値と既に報告された材料との比較
【表2】
【0134】
なお、NCNFは、窒素ドープカーボンナノファイバーであり;CPC-3は、カゼイン由来の多孔質炭素であり;CP-NAは、コーヒー廃棄物由来の窒素ドープ炭素である。
【0135】
天然ハロイサイト-カオリンナノクレイ、炭素前駆体、ヘテロ原子ドーパント前駆体および活性化剤を含むテンプレート材料から調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料が本明細書で提供され、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、フレークおよびナノチューブの形態を示し、表面ヘテロ原子官能性を有することは、前述の説明および以下の実施例から明らかであろう。
【0136】
特定の実施形態では、テンプレート材料は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイからなる。
【0137】
特定の実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、40重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する。
【0138】
特定の実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、80重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する。
【0139】
特定の実施形態では、炭素前駆体は、炭水化物系化合物である。
【0140】
特定の実施形態では、炭素前駆体は、糖系化合物から選択される。
【0141】
特定の実施形態では、糖系化合物は、スクロース、グルコース、フルクトースおよび多糖類からなる群から選択される。
【0142】
特定の実施形態では、多糖類は、セルロース、キトサンおよびデンプンからなる群から選択される。
【0143】
特定の実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、複数のヘテロ原子を含む化合物である。
【0144】
特定の実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、窒素前駆体、硫黄前駆体、ホウ素前駆体および酸素前駆体からなる群の1つまたは複数から選択される。
【0145】
特定の実施形態では、窒素前駆体は、アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノトリアゾール、尿素、キトサン、シアナミド、ジシアナミド、チオ尿素、メラミン、カゼイン、ポリアニリン、ポリピロール、アミノテトラゾールおよびアミノトリアジンからなる群から選択される。
【0146】
特定の実施形態では、窒素前駆体は、アミノトリアゾールである。
【0147】
特定の実施形態では、窒素前駆体は、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールである。
【0148】
特定の実施形態では、硫黄前駆体は、ジフェニルジスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、アルキルチオール、チオフェン、硫黄粉末、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0149】
特定の実施形態では、ホウ素前駆体は、ホウ酸、アンモニアボラン(ボラザン)、ジボラン、トリメチルボロン、コウルマナイト、または三酸化ホウ素、トリメトキシボラン、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム、二量体ジボラザン、三量体トリボラザン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素およびホウ酸フェニルからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0150】
特定の実施形態では、酸素前駆体は、ホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂からなる群の1つまたは複数から選択される。
【0151】
特定の実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、硫黄および窒素前駆体、例えばチオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドである。
【0152】
特定の実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、ホウ素および酸素前駆体、例えばホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂である。
【0153】
特定の実施形態では、活性化剤は、亜鉛化合物、リン酸、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムおよび過硫酸アンモニウムからなる群から選択される。
【0154】
特定の実施形態では、亜鉛化合物は、ZnCl2およびZnOからなる群から選択される。
【0155】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.25重量%~約15.00重量%のヘテロ原子含有量を有する。
【0156】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約200F/gを超える比容量を有する。
【0157】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約299F/gの比容量を有する。
【0158】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/g、0.5A/gおよび1A/gの電流密度で、約299F/g、約228F/gおよび約194F/gの比容量を有する。
【0159】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1350m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0160】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1500m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0161】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1600m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0162】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.000cm3/g~約1.600cm3/gの細孔容積を有する。
【0163】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1,300cm3/g~約1,600cm3/gの細孔容積を有する。
【0164】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1,400cm3/g~約1,600cm3/gの細孔容積を有する。
【0165】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、少なくとも約22.5mmol/gのCO2吸着容量を有する。
【0166】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、約24.4mmol/gのCO2吸着容量を有する。
【0167】
ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を調製する方法であって、以下のステップ:
(a)天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを含むテンプレート材料に炭素前駆体およびヘテロ原子ドーパント前駆体を充填するステップ;
(b)ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料から水分および揮発性物質を除去するステップ;
(c)ステップ(b)から得られた充填テンプレート材料および活性化剤を含む組成物を製造するステップ;
(d)ステップ(c)から得られた組成物を約600℃~約900℃の温度で活性化および炭化するステップ;ならびに
(e)ステップ(d)から得られた組成物からテンプレート材料および活性化剤を除去するステップ
を含む、方法が本明細書で提供されることは、前述の説明および以下の実施例から明らかであろう。
【0168】
特定の実施形態では、テンプレート材料は、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイからなる。
【0169】
特定の実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、40重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する。
【0170】
特定の実施形態では、天然ハロイサイト-カオリンナノクレイは、80重量%を超えるハロイサイトナノチューブを含有する。
【0171】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、炭素前駆体は、炭水化物系化合物である。
【0172】
特定の実施形態では、炭水化物系化合物は、糖系化合物である。
【0173】
特定の実施形態では、糖系化合物は、スクロース、グルコース、フルクトースおよび多糖類からなる群から選択される。
【0174】
特定の実施形態では、多糖類は、セルロース、キトサンおよびデンプンからなる群から選択される。
【0175】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、複数のヘテロ原子を含む炭素化合物である。
【0176】
特定の実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、窒素前駆体、硫黄前駆体、ホウ素前駆体および酸素前駆体からなる群の1つまたは複数から選択される。
【0177】
特定の実施形態では、窒素前駆体は、アミノグアニジン、アミノグアニジン塩酸塩、アミノトリアゾール、尿素、キトサン、シアナミド、ジシアナミド、チオ尿素、メラミン、カゼイン、ポリアニリン、ポリピロール、アミノテトラゾールおよびアミノトリアジンからなる群から選択される。
【0178】
特定の実施形態では、窒素前駆体は、アミノトリアゾール類から選択される。
【0179】
特定の実施形態では、窒素前駆体は、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールである。
【0180】
特定の実施形態では、硫黄前駆体は、ジフェニルジスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、アルキルチオール、チオフェン、硫黄粉末、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0181】
特定の実施形態では、ホウ素前駆体は、ホウ酸、アンモニアボラン(ボラザン)、ジボラン、トリメチルボロン、コウルマナイト、または三酸化ホウ素、トリメトキシボラン、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、水素化ホウ素ナトリウム、二量体ジボラザン、三量体トリボラザン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素およびホウ酸フェニルからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0182】
特定の実施形態では、酸素前駆体は、ホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂からなる群の1つまたは複数から選択される。
【0183】
特定の実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、硫黄および窒素前駆体、例えばチオ尿素、チオアセトアミド、L-システイン、メチオニン、ジチオカルバメート、ジチオオキサミド、チアゾール類、例えば2-アミノチアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、チオセミカルバジドおよびチオカルボヒドラジドである。
【0184】
特定の実施形態では、ヘテロ原子ドーパント前駆体は、ホウ素および酸素前駆体、例えばホウ酸、三酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウムおよびホウ砂である。
【0185】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、炭素前駆体およびテンプレート材料は、約2:10~約4:10の重量比である。
【0186】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、炭素前駆体およびテンプレート材料は、約3:10の重量比である。
【0187】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料は、約1:12~約1:4の重量比である。
【0188】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体およびテンプレート材料は、約1:10の重量比である。
【0189】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、ヘテロ原子ドーパント前駆体および炭素前駆体は、含浸によってテンプレート材料に充填される。
【0190】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、炭素前駆体の水溶液およびヘテロ原子ドーパント前駆体の水溶液は、別々に調製され、次いで、テンプレート材料に滴下されて、充填テンプレート材料が形成される。
【0191】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、溶液を調製するために使用される水およびテンプレート材料は、約1:1~約2:1の重量比である。
【0192】
特定の実施形態では、ステップ(a)について、溶液を調製するために使用される水およびテンプレート材料は、約4:3の重量比である。
【0193】
特定の実施形態では、テンプレート材料には、ステップ(b)の前に脱水剤がさらに充填される。
【0194】
特定の実施形態では、脱水剤は、硫酸、ギ酸、酢酸およびクエン酸からなる群から選択される。
【0195】
特定の実施形態では、ステップ(b)について、水分および揮発性物質の除去は、加熱によって行われる。
【0196】
特定の実施形態では、ステップ(b)について、ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料は、約100℃、次いで約160℃で加熱されて、そこから水分および揮発性物質が除去される。
【0197】
特定の実施形態では、ステップ(b)について、ステップ(a)から得られた充填テンプレート材料は、約100℃で約6時間、次いで約160℃で約6時間加熱されて、そこから水分および揮発性物質が除去される。
【0198】
特定の実施形態では、ステップ(c)について、活性化剤は、亜鉛化合物、リン酸、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウムおよび過硫酸アンモニウムから選択される。
【0199】
特定の実施形態では、亜鉛化合物は、ZnCl2およびZnOからなる群から選択される。
【0200】
特定の実施形態では、ステップ(c)について、活性化剤およびテンプレート材料は、約1:6~約4:3の重量比である。
【0201】
特定の実施形態では、ステップ(c)について、活性化剤およびテンプレート材料は、約2:3の重量比である。
【0202】
特定の実施形態では、ステップ(c)について、活性化剤は、乾燥固体として組成物に導入される。
【0203】
特定の実施形態では、ステップ(b)から得られた充填テンプレート材料またはステップ(c)から得られた組成物は、ステップ(d)の前に粉砕に供される。
【0204】
特定の実施形態では、ステップ(d)について、ステップ(c)から得られた組成物は、約600℃~約900℃の温度で約5時間、活性化および炭化される。
【0205】
特定の実施形態では、ステップ(d)について、ステップ(c)から得られた組成物は、約800℃の温度で約5時間、活性化および炭化される。
【0206】
特定の実施形態では、ステップ(d)について、活性化および炭化は、不活性雰囲気下で行われる。
【0207】
特定の実施形態では、ステップ(e)について、ステップ(d)から得られた組成物は、HClで処理されて活性化剤が除去され、HFで処理されてテンプレート材料が除去される。
【0208】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約0.25重量%~約15.00重量%の窒素含有量を有する。
【0209】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約200F/gを超える比容量を有する。
【0210】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/gの電流密度で約299F/gの比容量を有する。
【0211】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0.3A/g、0.5A/gおよび1A/gの電流密度で、約299F/g、約228F/g、約194F/gの比容量を有する。
【0212】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1350m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0213】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1500m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0214】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1600m2/g~約1700m2/gの比表面積を有する。
【0215】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.000cm3/g~約1.600cm3/gの細孔容積を有する。
【0216】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.300cm3/g~約1.600cm3/gの細孔容積を有する。
【0217】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1.400cm3/g~約1.600cm3/gの細孔容積を有する。
【0218】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、約1700m2/gの比面積および約1.465cm3/gの細孔容積を有する。
【0219】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、少なくとも約22.5mmol/gのCO2吸着容量を有する。
【0220】
特定の実施形態では、ドープ活性化ナノ多孔質炭素材料は、0℃および30バールで決定した場合、約24.4mmol/gのCO2吸着容量を有する。
【0221】
ナトリウムイオン電池またはリチウムイオン電池のアノード材料における、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0222】
スーパーキャパシタの電極材料における、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0223】
CO2の吸収における、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0224】
電気化学エネルギーの貯蔵および変換のための、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0225】
水/廃水処理のための、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0226】
燃料電池における、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0227】
熱触媒反応および/または電気触媒反応のための、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0228】
酵素バイオセンサなどのセンサにおける、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【0229】
抗菌剤としての、本明細書に開示されるドープ活性化ナノ多孔質炭素材料または本明細書に開示される方法によって調製されたドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の使用。
【実施例】
【0230】
実施例1-ZnCl2による活性化およびアミノグアニジンによるドープを有するNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料試料の調製
【0231】
窒素ドープ活性化ナノ多孔質炭素試料を、スクロース(99.5%以上、0.9g)、水(4g)、硫酸(95~98%、0.1008g)およびアミノグアニジン塩酸塩(0.35g)を含有する溶液を浸透させた、40:60の比のハロイサイト(Al2Si2O5(OH)4・2H2O):カオリナイト(Al2Si2O5(OH)4)を有する3gの天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを使用して調製した。スクロースの水溶液およびアミノグアニジン塩酸塩の水溶液を別々に調製し、次いで、他の出発材料と合わせた。これにより得られた混合物をハロイサイト-カオリンナノクレイ粉末に滴下した。スクロース、アミノグアニジン塩酸塩および硫酸を充填したハロイサイト-カオリンナノクレイを約15~20分間十分に混合し、次いで、100℃の熱風オーブン中で6時間加熱し、温度を160℃に上げ、この温度をさらに6時間保持した。加熱処理後、試料を手作業で微粉末に粉砕し、乾燥塩としての塩化亜鉛と十分に混合した。塩化亜鉛を含有する試料を、水平石英ガラス管炉内で、一定の窒素流下、3℃/分の温度勾配速度を使用して、異なる温度、600、700、800および900℃で5時間、活性化および炭化した。活性化および炭化の後、塩化亜鉛およびナノクレイは除去する必要があった。この目的のために、2M HCl溶液を使用して、約2時間撹拌しながら塩化亜鉛を除去した。試料を蒸留水でさらにすすぎ、濾過し、洗浄ステップを2回繰り返し、濾過し、次いで約100℃のオーブンで一晩、乾燥に供した。次いで、試料を5重量% HF溶液で再び溶解し、約2時間撹拌して、ハロイサイト-カオリンナノクレイを除去した。この後、試料を濾過し、過剰のエタノールですすぎ、次いで約100℃のオーブンで一晩、乾燥させた。塩化亜鉛を添加せずに同様の試料セットを調製して、Nドープ多孔質炭素(NHNC)のテクスチャ特性および性能の改善における活性化の効果を比較した。
【0232】
結果および考察
【0233】
Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を、天然に利用可能な粘土鉱物から、活性化と組み合わせたテンプレート法および単純なin situドープによって合成した。窒素源としてアミノグアニジン塩酸塩などの新しい窒素に富む前駆体を、犠牲ハードテンプレートとしてハロイサイトナノチューブ(HNT)を使用し、活性化剤としてZnCl2を使用した。スクロースおよびアミノグアニジン前駆体から調製された非活性化Nドープ多孔質炭素試料(NHNC)の比表面積および細孔容積は、それぞれ561~680m2 g-1および0.822~0.989cm3 g-1の範囲である。塩化亜鉛で活性化した後、N-ANCの比表面積および細孔容積は、それぞれ1466~1649m2 g-1および1.234~1.576cm3 g-1に増加し、塩化亜鉛の導入が比表面積および細孔容積の増加に役立ち得ることを示唆している。800℃で調製された試料が、最も高い比表面積(1649m2/g)および最も大きい細孔容積(1.576cm3/g)を有するのに対し、600℃および700℃で調製された試料は、より低い比表面積および細孔容積を示す。塩化亜鉛による活性化なしのNドープナノ多孔質炭素材料の比表面積は、活性化ありのものよりもはるかに低い。しかしながら、活性化試料および非活性化試料の両方が、ヒステリシスループを有するIV型等温線をもたらし(P/P0>0.8)、これは、これらのNドープ炭素質材料のメソ多孔質性を強調している(Kim et al.2019)。N2等温線は、メソ細孔の存在を示し、より高い相対圧力で生成されたH3型ヒステリシスループは、広い細孔サイズ分布を意味する(Cheng et al.2019)。
【0234】
800℃で炭化された試料の炭素フレームワーク中の窒素含有量(約10%)は、これまでに報告された他のNドープ材料の窒素含有量よりも比較的高い(Zhou et al.2018;Lu et al.2017;Kim et al.2019;Zou et al.2019)。N-ANC材料の形態および構造をSEMによって調べた(
図5~
図7を参照)。得られたNドープ活性化ハロイサイトナノカーボン材料は、主に、不規則なフレーク状形態を有する薄い炭素シートからなり、ハロイサイトの管状構造はほとんど観察することができない。Nドープ炭素材料の観察された形態は、炭素および窒素前駆体とハロイサイトテンプレートとの間の相互作用に起因する可能性がある。
【0235】
実施例2-ZnCl2による活性化および3-アミノ1,2,4-トリアゾールによるドープを有するNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料試料の調製
【0236】
0.35gのアミノグアニジン塩酸塩を0.3gの3-アミノ1,2,4-トリアゾールに置き換えることを除いて、実施例1の手順を使用してNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料試料を調製した。
【0237】
結果および考察
【0238】
Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料を、天然に利用可能な粘土鉱物から、活性化と組み合わせたテンプレート法および単純なin situドープによって合成した。窒素源として3-アミノ-1,2,4-アミノトリアゾールを、犠牲ハードテンプレートとしてハロイサイトナノチューブ(HNT)を使用し、活性化剤としてZnCl2を使用した。スクロースおよびアミノトリアゾール前駆体から調製された非活性化試料(NHNCx)の比表面積および細孔容積は、それぞれ490~638m2 g-1および0.77~1.00cm3 g-1の範囲である。塩化亜鉛で活性化した後、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料のBET表面積および細孔容積は、それぞれ1360~1695m2 g-1および1,087~1,464cm3 g-1に増加し、塩化亜鉛の導入が比表面積および細孔容積の増加に役立ち得ることを示唆している。同様に、アミノグアニジン前駆体において、800℃で3-アミノ-1,2,4-トリアゾールを用いて調製した試料は、最も高い比表面積(1695m2/g)および最も大きい細孔容積(1,464cm3/g)を有するので優れている(表3)。より低い炭化温度(600℃および700℃)で調製された試料は、800℃で得られた材料と比較した場合、より低い比表面積を有する。細孔容積も、800℃で調製された炭素材料の細孔容積ほど優れてはいない。塩化亜鉛による活性化なしのNドープ炭素ナノフレーク材料の比表面積は、活性化ありのものよりもはるかに低い。しかしながら、活性化材料および非活性化材料の両方が、ヒステリシスループを有するIV型等温線をもたらし(P/P0>0.8)、これは、これらのNドープ炭素質材料のメソ多孔質性を強調している(Kim et al.2019)。N2等温線は、メソ細孔の存在を示し、より高い相対圧力で生成されたH3型ヒステリシスループは、広い細孔サイズ分布を意味する(Cheng et al.2019)。
【0239】
表3-異なる温度で炭化された3-アミノ-1,2,4-トリアゾールを用いて調製したNドープ活性化多孔質炭素のテクスチャ特性
【表3】
【0240】
対照実施例-ドープされた窒素を含まない活性化ナノ多孔質炭素材料の調製
【0241】
粘土テンプレート法による活性化ナノ多孔質炭素の典型的な合成では、3gの天然ハロイサイト-カオリンナノクレイに、4gの水に0.9gのスクロースを溶解し、硫酸(0.1008g)を添加することによって調製したスクロース溶液を含浸させた。得られた混合物を約15~20分間十分に混合した後、熱風オーブンに移した。最初に、混合物を100℃で6時間加熱し、その後、温度を160℃に上げ、さらに6時間維持した。加熱処理後、乳鉢および乳棒を使用して微粉末に粉砕する。加熱したナノクレイ-スクロース混合物に、ZnCl2を乾燥塩として添加し、その後、圧砕することによって十分に混合し、一定の窒素流下、3℃/分の温度勾配速度を使用して、5時間、600℃に再び加熱した。炭化された試料を2M HClで洗浄してZnCl2を除去し、蒸留水中ですすぎ、濾過し、乾燥させ、次いで、一定の窒素流下で5℃/分の温度勾配速度を使用して、5時間、900℃にさらに加熱した。この後、得られた黒色粉末を5重量%希HF溶液に溶解し、約2時間撹拌した後、濾過し、過剰のエタノールで洗浄した。濾過後の試料を100℃の熱風オーブン中で一晩乾燥させた後、特性評価した。
【0242】
Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料と窒素ドープなしの活性化ナノ多孔質炭素材料との比較
【0243】
N-ANCx試料を使用して電極を製作し、3電極セル構成を使用する標準的な電極試験方法でスーパーキャパシタ性能を試験した。静電容量測定に使用される電解質は、3M KOH水溶液である。サイクリックボルタンメトリー(CV)曲線を得るための走査速度を5から100mV s
-1まで変化させた。CV曲線は、優れた電荷貯蔵能力および高い効率を示すほぼ長方形の形状を示し、これはまた、N-ANCx材料が理想的な電気二重層キャパシタ(EDLC)の特性を有することを裏付ける。N-ANC
700試料のCV曲線の形状は、N-ANC
800およびN-ANC
900ほど長方形ではないことに留意されたい。N-ANC
800およびN-ANC
900のCV曲線の準長方形形状は、走査速度が100mV s
-1まで上昇した場合でも保持され、これは、充電/放電サイクルプロセスにおける迅速な電子輸送を暗示した。定電流充電-放電(GCD)サイクルプロセスに選択される電流密度範囲は、0.3~10A g
-1であり、N-ANCx材料のGCDプロファイルは、IR電圧の有意な低下を明らかにせず、プロファイルの形状はほぼ線形および対称であり、これは、N-ANC
800およびN-ANC
900材料が高い比容量を有し、電気二重層キャパシタの効率的な電極となり得ることを裏付ける(
図9(a~f))。
【0244】
図10(a)は、10mV s
-1の走査速度で得られたN-ANCx材料のCV曲線を示し、これは、N-ANC
800およびN-ANC
900の準長方形形状がN-ANC
700試料のCVよりも良好であることを明確に説明した。0.3A g
-1の電流密度でのN-ANC
900の比容量は、299F g
-1であり、電流密度が1A g
-1に増加した場合、194F g
-1に低下する。研究されたN-ANCx材料の中で、N-ANC
900は、N-ANC
800が最も高い比表面積および細孔容積を示すにもかかわらず、1A g
-1においてN-ANC
800(183F g
-1)およびN-ANC
700(151F g
-1)よりも最も高い静電容量(194F g
-1)を示す(
図10(b))。材料N-ANC
900は、N-ドープなしのハロイサイトナノチューブ由来の活性化多孔質炭素ナノフレークである、本発明者らが以前に報告した材料AHNC(158F g
-1/1A g
-1)(Ramadass et al.2020)よりも高い静電容量値(194F g
-1/1A g
-1)を示した。
【0245】
一般に、より高い電流密度では、電解質イオンが電極材料に透過する時間がより短いため、より低い静電容量値が観察される(Yanilmaz,et al.2017)。しかしながら、N-ANC800およびN-ANC900材料は、より高い電流密度であっても電解質イオンの良好な拡散のための豊富な内面を提供し、したがって10A g-1の電流密度で148F g-1のかなり高い比容量が認められ、より高い電流密度でのそれらのより良好な静電容量能力を実証した。
【0246】
N-ANCx試料を使用して調製した電極の電気化学的挙動を調べるために電気化学インピーダンス(EIS)分析も行い、EIS分析からナイキストプロットを得た(
図10(c))。EDLCの典型的なナイキストプロットは、高周波ゾーンにおける半円曲線および低周波ゾーンにおける垂直直線を示す。N-ANC
800およびN-ANC
900のナイキストプロットは、良好な電気化学的挙動および材料の表面における電解質イオンの迅速な透過も裏付ける、低周波領域における垂直線を示す。N-ANC
800およびN-ANC
900試料の高周波ナイキストプロットで認められる半円弧は、電極と電解質との間の高速電子輸送を意味する。この研究でN-ANC
900について得られた超静電容量値(
図10(d))は、市販の単層および多層CNT、活性化炭素、秩序化メソ多孔質炭素、HNT由来の活性炭多孔質炭素、およびこれまでに報告された少数の他の炭素系材料について報告された超静電容量値を超えることが分かった(Mansuer,et al.2021)。
【0247】
表1のデータは、N-ANC900が、最近の文献に報告された窒素ドープカーボンナノファイバー、カゼイン由来多孔質炭素、コーヒー廃棄物由来窒素ドープ炭素などのNドープ多孔質炭素材料の性能を上回ることを示している。N-ANC900の並外れた性能は、表面の濡れ性を高める、多孔質炭素のナノ構造への均一なNドープのためである。管状ネットワーク内の相互接続されたメソチャネルおよびマイクロチャネルに由来する高い比表面積と大きな細孔容積との組み合わせは、レート性能をさらに改善する。N-ANC900の向上した電気化学的挙動は、完全なナノアーキテクチャによるものであり、これは、イオンアクセスの増加および高速の拡散に有利である。階層的細孔分布の存在は、電気化学的挙動を向上させる利点を提供する。ミクロ多孔質構造は、電気二重層を形成するのに役立ち、メソ細孔は、電解質-電極界面間の長さを短くする(Song et al.2021)。N-ANC900材料についてサイクル性能試験を行った。比容量保持率は、充電/放電プロセスの長時間の実行(5A g-1の電流密度で4000サイクル)後でも約91%であり、N-ANC900材料から調製された電極が非常に安定であり、優れたサイクル性能を有することを示唆している。ヘテロ原子が大量に充填された場合、炭素フレームワークが崩壊し、電極の安定性の低下をもたらすことが知られているが、この研究では、in-situナノテンプレート法と活性化手法との効果的な組み合わせによって、高Nドープが首尾よく行われた。
【0248】
N-ANC900から製作された電極の優れたサイクル能力は、N原子がそのナノ構造に影響を及ぼすことなくナノ多孔質炭素フレームワークに首尾よく組み込まれることを示唆している(Zhou et al.2020)。N-ANC800は、最も高い比表面積を有するが、比容量はN-ANC900よりも低い。これは、高い比表面積、高い窒素含有量、および最も重要なことには、900℃で調製された材料の優れた比容量に寄与する高い炭化温度で生成された高い結晶化度の組み合わせに起因する可能性がある。N-ANC900の優れた性能は、この研究で採用されたドープ、テンプレート化および活性化を組み合わせた処理の重要性を明らかにする。優れたテクスチャパラメータは、高温炭化およびZnCl2による活性化によって生じた、結晶化度、多孔質炭素構造中のN原子の均一な分布、および広範な酸化によって生成された酸素官能基と組み合わされた場合、N-ANC900の優れた比容量を達成するのに役立つ。
【0249】
実施例3-Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の比容量
【0250】
スーパーキャパシタ測定を、PtロッドおよびAg/AgClをそれぞれ対電極および参照電極として使用する3電極アセンブリ下で、6M KOH水系電解質溶液中のCHI760E(CH instruments)ワークステーションで実施した。電気化学インピーダンス分光法(EIS)測定は、0.01Hz~100kHzの周波数範囲で10mVの振幅を有するAC電圧を印加することによって研究した。定電流充電-放電(GCD)試験も、異なる電流密度で行った。
【0251】
比容量(Csp)は、CVから以下の式を使用して算出し、
Csp=(i+-i-)/(m×走査速度)
式中、i+およびi-は、それぞれ正走査および負走査における電流の最大値であり、mは、単一電極の質量である。
【0252】
比容量は、以下の式を使用して定電流充電-放電曲線から計算し、
Csp=(i)(dt)/(m×dv)
式中、iは、放電電流であり、dt/dvは、放電曲線の傾きである。
【0253】
Nドープ活性化ナノ多孔質炭素の電気化学的性能を、6M H
2SO
4水系電解質中でサイクリックボルタンメトリー(CV)、定電流充電-放電曲線および電気化学インピーダンス分光法(EIS)によって調べた。異なる走査速度(5~100mV/s)でサイクリックボルタモグラム(CV)を測定し、
図10に示した。ピーク電流は走査速度の増加と共に増加することが観察される。Nドープ活性化ナノ多孔質炭素のCVは、材料の優れた超静電容量挙動を示す準長方形曲線を示す。CVから得られる比容量は、0.3A/g電流密度で約228F/gである。材料の定電流充電-放電曲線は、0~-0.8V対Ag/AgCl(3M KOH)の電位窓で測定した。
図9は、異なる電流密度(0.3~5A/g)で測定された充電-放電曲線を示す。放電曲線は、理想的なキャパシタの放電曲線に似たほぼ三角形に見える。一般に、電流密度の増加と共に、開口制限の存在により比容量が徐々に減少し、より高い電流密度でのキャパシタの充電時間が短くなるにつれて、電解質イオンが炭素材料の内部空間に十分に入ることができなくなり、比容量を減少させる有効比表面積の減少がもたらされる。しかしながら、本開示に従って調製されたNドープ炭素材料は、5A/gの電流密度でも約153F/gの比容量を示し、900℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料の良好なレート性能を実証した。
【0254】
実施例4-Nドープ活性化ナノ多孔質炭素材料によるCO2吸着
【0255】
CO
2吸着等温線を、温度制御サーキュレータを取り付けたMicromeritics HPVAで圧力範囲(0~30バール)で測定した。CO
2吸着は、0℃、10℃および25℃の3つの異なる温度で測定した。すべての測定の前に、試料の脱気を250℃で10時間行った。800℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料のCO
2吸着容量は、24.4mmol g
-1であり、700℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料のCO
2吸着容量は、0℃および30バールで21.6mmol g
-1であった。800℃で炭化されたNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料について、CO
2吸着実験を0~30バールで変化する圧力で異なる温度(0℃、10℃および25℃)でも行った(
図8(b))。30バールのCO
2圧力を適用した場合、最高のCO
2吸着は、0℃で約24.4mmol g
-1であったが、0~1バールの低圧では、CO
2吸着容量は、0℃で3.9mmol g
-1であった。圧力の増加に伴うCO
2吸着のこの増加は、CO
2吸着プロセスが本質的に発熱性であったことを示唆している。一方、吸着は、温度の上昇と共に減少する。例えば、0~1バールの低圧では、25℃でのCO
2吸着容量は、2.0mmol g
-1であり、0℃でのCO
2吸着容量のほぼ半分である。
【0256】
実施例5-ZnCl2による活性化およびチオ尿素によるドープを有するSおよびNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料試料の調製
【0257】
硫黄および窒素ドープ活性化ナノ多孔質炭素試料を、スクロース(99.5%以上、0.9g)、水(5g)、硫酸(95~98%、0.1008g)およびチオ尿素(0.35g)を含有する溶液を浸透させた、40:60の比のハロイサイト(Al2Si2O5(OH)4・2H2O):カオリナイト(Al2Si2O5(OH)4)を有する3gの天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを使用して調製した。スクロースの水溶液およびチオ尿素の水溶液を別々に調製し、次いで他の出発材料と合わせた。これにより得られた混合物をハロイサイト-カオリンナノクレイ粉末に滴下した。スクロース、チオ尿素および硫酸を充填したハロイサイト-カオリンナノクレイを約15~20分間十分に混合し、次いで、100℃の熱風オーブン中で6時間加熱し、温度を160℃に上げ、この温度をさらに6時間保持した。加熱処理後、試料を手作業で微粉末に粉砕し、乾燥塩としての塩化亜鉛と十分に混合した。塩化亜鉛を含有する試料を、水平石英ガラス管炉内で、一定の窒素流下、3℃/分の温度勾配速度を使用して、異なる温度、700および800℃で5時間、活性化および炭化した。活性化および炭化の後、塩化亜鉛およびナノクレイを除去した。この目的のために、2M HCl溶液を使用して、約2時間撹拌しながら塩化亜鉛を除去した。試料を蒸留水でさらにすすぎ、濾過し、洗浄ステップを2回繰り返し、濾過し、次いで約100℃のオーブンで一晩、乾燥に供した。次いで、試料を5重量% HF溶液で再び溶解し、約2時間撹拌して、ハロイサイト-カオリンナノクレイを除去した。この後、試料を濾過し、過剰のエタノールですすぎ、次いで約100℃のオーブンで一晩、乾燥させた。
【0258】
表4-異なる温度で炭化されたチオ尿素を用いて調製したS-Nドープ活性化多孔質炭素のテクスチャ特性
【表4】
【0259】
塩化亜鉛を添加せずに同様の試料セットを調製して、SおよびNドープ多孔質炭素(S-N-HNC)のテクスチャ特性および性能の改善における活性化の効果を比較した。
【0260】
表5-S-Nドープ活性化ナノ多孔質炭素と、活性化なしで調製したSおよびNドープナノ多孔質炭素(S-N-HNC)とのテクスチャ特性の比較
【表5】
【0261】
実施例6-ZnCl2による活性化およびホウ酸によるドープを有するBドープ活性化ナノ多孔質炭素材料試料の調製
【0262】
ホウ素ドープ活性化ナノ多孔質炭素試料を、スクロース(99.5%以上、0.9g)、水(6g)、硫酸(95~98%、0.1008g)およびホウ酸(0.35g)を含有する溶液を浸透させた、40:60の比のハロイサイト(Al2Si2O5(OH)4・2H2O):カオリナイト(Al2Si2O5(OH)4)を有する3gの天然ハロイサイト-カオリンナノクレイを使用して調製した。スクロースの水溶液およびホウ酸の水溶液を別々に調製し、次いで他の出発材料と合わせた。これにより得られた混合物をハロイサイト-カオリンナノクレイ粉末に滴下した。スクロース、ホウ酸および硫酸を充填したハロイサイト-カオリンナノクレイを約15~20分間十分に混合し、次いで、100℃の熱風オーブン中で6時間加熱し、温度を160℃に上げ、この温度をさらに6時間保持した。加熱処理後、試料を手作業で微粉末に粉砕し、乾燥塩としての塩化亜鉛と十分に混合した。塩化亜鉛を含有する試料を、水平石英ガラス管炉内で、一定の窒素流下、3℃/分の温度勾配速度を使用して、異なる温度、800および900℃で5時間、活性化および炭化した。活性化および炭化の後、塩化亜鉛およびナノクレイは除去する必要があった。この目的のために、2M HCl溶液を使用して、約2時間撹拌しながら塩化亜鉛を除去した。試料を蒸留水でさらにすすぎ、濾過し、洗浄ステップを2回繰り返し、濾過し、次いで約100℃のオーブンで一晩、乾燥に供した。次いで、試料を5重量% HF溶液で再び溶解し、約2時間撹拌して、ハロイサイト-カオリンナノクレイを除去した。この後、試料を濾過し、過剰のエタノールですすぎ、次いで約100℃のオーブンで一晩、乾燥させた。
【0263】
表6-異なる温度で炭化されたホウ酸を用いて調製したBドープ活性化多孔質炭素のテクスチャ特性
【表6】
【0264】
塩化亜鉛を添加せずに同様の試料セットを調製して、Bドープ多孔質炭素(B-HNC)のテクスチャ特性および性能の改善における活性化の効果を比較した。
【0265】
表7-Bドープ活性化ナノ多孔質炭素と、活性化なしで調製したBドープナノ多孔質炭素(B-HNC)とのテクスチャ特性の比較
【表7】
【0266】
実施例7-ZnCl2による活性化およびアミノトリアゾールによるドープを有する異なる粘土テンプレートからのNドープ活性化ナノ多孔質炭素材料試料の調製
【0267】
Nドープ活性化ナノ多孔質炭素の調製のための天然ナノテンプレートとしてのカオリン-ハロイサイト混合粘土の独自性を理解するために、異なるタイプの他の粘土材料を、Nドープ活性化ナノ多孔質炭素の合成のためのテンプレートとして使用した。ハロイサイト(100%)、カオリナイト(100%)、アタパルジャイト、ベントナイトをテンプレートとして使用した。実験手順は、カオリン-ハロイサイト混合粘土テンプレートを他の粘土テンプレートと置き換えることを除いて、実施例1で述べたのと同じであった。
【0268】
表8-異なる温度で炭化された異なる粘土テンプレートを用いて調製したNドープ活性化多孔質炭素のテクスチャ特性
【表8】
【0269】
本発明の実施形態を上記の詳細な説明で説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく多数の再構成、修正および置換が可能であることが理解されよう。
【0270】
本明細書を通して、「含む(comprise)」という単語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を含むが、他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を除外しないことを意味すると理解される。
【0271】
本明細書で言及されるすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれている文書、行為、材料、装置、物品などの説明は、本発明との関連を提供することのみを目的としている。これらの事項のいずれかまたはすべてが、本出願の各請求項の優先日前にオーストラリアまたは他の場所に存在していたように、先行技術の基礎の一部を形成するか、または本発明に関連する分野の一般的な知識であったことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0272】
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