(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】トリフルオロヨードメタンを生成するための統合プロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 17/361 20060101AFI20240723BHJP
C07C 19/16 20060101ALI20240723BHJP
C01B 7/13 20060101ALI20240723BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
C07C17/361
C07C19/16
C01B7/13
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501124
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022073603
(87)【国際公開番号】W WO2023288201
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】コプカリ、ハルク
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイユー
(72)【発明者】
【氏名】チェッリ、グスタボ
(72)【発明者】
【氏名】ベクテセビッチ、セルマ
(72)【発明者】
【氏名】チウ、ユオン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンゴン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ホーワス、リチャード ディ.
(72)【発明者】
【氏名】マーケル、ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】マクレイン、ジェニファー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、テリス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】クローズ、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】マレパリー、ラジェンダー
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC30
4H006BA21
4H006BA37
4H006BA55
4H006BC10
4H006BC11
4H006BE20
4H006BE53
4H006EA02
4H039CA50
4H039CL25
(57)【要約】
本開示は、a)第1の触媒の存在下で水素(H2)及びヨウ素(I2)を含む第1の反応物流を反応させて、ヨウ化水素(HI)を含む第1の生成物流を生成する工程、(b)第1の生成物流を、第2の触媒の存在下でトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の反応物流と反応させて、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む中間生成物流を生成する工程、並びに(c)中間生成物流を反応させて、トリフルオロヨードメタン。(CF3I)を含む最終生成物流を生成する工程の3つの工程でトリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための統合プロセスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するためのプロセスであって、
(a)ヨウ化水素(HI)を含む第1の反応物流を提供することと、
(b)前記第1の反応物流を、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の反応物流と反応させて、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む中間生成物流を生成することと、
(c)前記中間生成物流を反応させて、トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を含む最終生成物流を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
水素(H
2)とヨウ素(I
2)とを反応させて、ヨウ化水素(HI)を含む前記第1の反応物流を生成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
約150℃~約600℃の温度、
約0psig~約600psigの圧力、
約1.0~約10.0の水素(H
2)とヨウ素(I
2)とのモル比、及び
触媒、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第1の生成物流が、未反応ヨウ素(I
2)及び未反応水素を更に含み、これらの両方が、前記反応工程にリサイクルされる、請求項1に記載のプロセス
【請求項5】
前記プロセスが、第1の触媒を含み、前記第1の触媒が、ニッケル、ヨウ化ニッケル(NiI
2)、コバルト、鉄、酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト、及び酸化鉄、ヨウ化コバルト(II)(CoI
2)、ヨウ化鉄(II)(FeI
2)、及びヨウ化鉄(III)(FeI
3)の群から選択される少なくとも1つの触媒を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第2の反応物流が、二酸化硫黄(SO
2)を更に含み、前記プロセスが、工程(b)の前に、
(i)トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO
2)の共沸性若しくは共沸様組成物を形成すること、並びに前記組成物を蒸留カラムに供給することによって、二酸化硫黄(SO
2)を除去する追加の工程、又は
(ii)トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)と二酸化硫黄(SO
2)との混合物を、少なくとも1つの固体吸着剤と接触させて、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)と二酸化硫黄(SO
2)との前記混合物から二酸化硫黄(SO
2)を除去する追加の工程、を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
工程(b)が、以下:
約25℃~約180℃の温度、
約0~約225psigの圧力、
約2.0:1.0~約0.02:1.0のトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)とヨウ化水素(HI)とのモル比、及び
触媒、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(b)において、前記第2の反応物流が、
複数の成分を含み、TFAC及びHIの合計が、少なくとも99重量%を構成し、
二酸化硫黄(SO
2)が、250ppm以下の量で存在し、
ヨウ素及びHI
3の合計が、2000ppm以下であり、
ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、ヨードブタン、ヨウ化tert-ブチル、及びジヨードプロパンのうちの1つ以上を含むヨード炭化水素が、500ppm以下の量で存在し、
水素が、500ppm以下の量で存在し、
CF
3Iが、5000ppm以下の量で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
工程(b)が、触媒を更に含み、前記触媒が、活性炭及び炭化シリカの群から選択される少なくとも1つの触媒を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記中間生成物流が、未反応トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を更に含み、前記プロセスが、
(i)前記中間生成物流から未反応トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を分離する追加の工程と、
(ii)前記分離したトリフルオロアセチルクロリドを前記反応物流に戻す追加の工程と、を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記中間生成物流が、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、ヨウ化水素(HI)、塩化水素(HCl)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリフルオロヨードメタン(CF
3I)、ヨウ素含有種、及び一酸化炭素(CO)のうちの少なくとも1つを更に含み、工程(b)が、前記中間生成物流を精製して、約99%を超える濃度のトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を有する精製された中間生成物流を得ることを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記中間生成物流を精製することが、
(i)前記中間生成物流を第1の蒸留カラムに供給して、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、ヨウ化水素(HI)、塩化水素(HCl)、トリフルオロヨードメタン(CF
3I)、及び一酸化炭素(CO)のうちの少なくとも1つを含む第1の塔頂流、並びにトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、トリフルオロ酢酸(TFA)、及びヨウ素含有種を含む第1の塔底流を得ることと、
(ii)前記第1の塔頂流を第2の蒸留カラムに供給して、塩化水素(HCl)を含む第2の塔頂流、並びにヨウ化水素(HI)及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の塔底流を得ることと、を更に含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記中間生成物流を精製することが、
(i)前記中間生成物流を第1の蒸留カラムに供給して、塩化水素(HCl)を含む第1の塔頂流、並びにトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、ヨウ化水素(HI)、及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第1の塔底流を得ることと、
(ii)前記第1の塔底流を第2の蒸留カラムに供給して、ヨウ化水素(HI)及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の塔頂流、並びにトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む第2の塔底流を得ることであって、前記第2の蒸留カラムが、前記第1の蒸留カラムの圧力よりも低い圧力で動作される、得ることと、を更に含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記中間生成物流を精製することが、約150℃未満の温度で実施される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)又はトリフルオロヨードメタン(CF
3I)を含む流れを炭素質材料と接触させて、前記流れからヨウ化水素(HI)、三ヨウ化水素(HI
3)、及びヨウ素(I
2)のうちの少なくとも1つを除去することによって、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)又はトリフルオロヨードメタン(CF
3I)を含む前記流れから少なくとも1つのヨウ素含有種を除去することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月16日に出願された、仮出願第63/222819号に対する優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスに関する。具体的には、本開示は、トリフルオロヨードメタンを生成するための統合プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
トリフルオロヨードメタン(CF3I)は、ペルフルオロメチルヨージド、トリフルオロメチルヨージド、又はヨードトリフルオロメタンとしても知られているが、例えば、冷媒又は消火剤としての商業用途において有用な化合物である。トリフルオロヨードメタンは、ほぼゼロのオゾン破壊係数を有する低地球温暖化係数分子である。トリフルオロヨードメタンは、より環境的に害のある材料に取って代わることが可能である。
【0004】
トリフルオロヨードメタンの調製方法は既知である。例えば、米国特許第7,196,236号(Mukhopadhyayら)は、トリフルオロヨードメタンを生成するための触媒プロセスを開示し、このプロセスは、ヨウ素源、少なくとも化学量論量の酸素、及び反応物CF3R(式中、Rは、-COOH、-COX、-CHO、-COOR2、及び-SO2Xからなる群から選択され、なお、R2はアルキル基であり、Xは塩素、臭素、又はヨウ素である)を含む、反応物を使用するものである。反応により生成され得るヨウ化水素は、少なくとも化学量論量の酸素によって酸化され、水及びヨウ素を生成することができ、経済的なリサイクルが可能となっている。
【0005】
別の例では、米国特許第7,132,578号(Mukhopadhyayら)もまた、触媒を用いる、1工程のプロセスを開示しており、このプロセスでは、トリフルオロアセチルクロリドからトリフルオロヨードメタンを生成する。しかしながら、ヨウ素源はフッ化ヨウ素(iodine fluoride、IF)である。ヨウ化水素とは対照的に、フッ化ヨウ素は比較的不安定であり、0℃を超えるとI2及びIF5に分解してしまう。フッ化ヨウ素はまた、商業的に有用な量で利用することができない場合がある。
【0006】
別の例では、トリフルオロヨードメタンを生成するための気相プロセスである米国特許第10,752,565号(Nairら)が開示されている。本プロセスは、ヨウ化水素と、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるトリフルオロアセチルハライドと、を含む反応物流を提供することと、反応物流を触媒の存在下で約200℃~約600℃の温度で反応させて、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成することと、を含む。
【0007】
比較的安価な原料から商業的な量のトリフルオロヨードメタンを生成するように規模が調整され得る、より効率的なプロセスを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための統合プロセスを提供する。
【0009】
一実施形態によれば、本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスを提供し、このプロセスは、(a)ヨウ化水素(hydrogen iodide、HI)を含む第1の反応物流を提供することと、(b)第1の反応物流を、トリフルオロアセチルクロリド(trifluoroacetyl chloride、TFAC)を含む第2の反応物流と反応させて、トリフルオロアセチルヨージド(trifluoroacetyl iodide、TFAI)を含む中間生成物流を生成することと、(c)中間生成物流を反応させて、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む最終生成物流を生成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】水素(H
2)及びヨウ素(I
2)からのヨウ化水素(HI)の生成を含む、本統合プロセスの第1の工程のプロセスフロー図である。
【
図2】トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及びヨウ化水素(HI)からのトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の生成を含む、本統合プロセスの第2の工程のプロセスフロー図である。
【
図2A】トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及びヨウ化水素(HI)からのトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の生成を含む、本統合プロセスの第2の工程の代替実施形態のプロセスフロー図である。
【
図3】トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)からのトリフルオロヨードメタン(CF
3I)の生成を含む、本統合プロセスの第3の工程のプロセスフロー図である。
【
図4】実施例8に記載されるようなトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)気化器/過熱器/熱分解反応器のための実験装備を示す図である。
【
図5】実施例27bに記載されるように、粗CF3Iを苛性溶液で脱酸し、湿った、酸を含まない粗CF3Iを濃硫酸で乾燥するためのプロセスフロー図である。
【
図6】実施例29に記載されるように、リサイクルのための未反応TFAI流、精製されたCF3I生成物、及びCO廃棄流を生成するためのプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、以下の全体的な反応スキームに従ってトリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための統合プロセスを提供する:
式1:H2+I2→2HI
式2:TFAC+HI→TFAI+HCl
式3:TFAI→CF3I+CO
【0012】
1.ヨウ化水素(HI)の形成
本明細書に開示されるように、CF3Iを生成するための統合プロセスのための第1の反応工程では、水素(H2)は、ヨウ素(I2)と反応して、ヨウ化水素(HI)を形成し得る。HIは、水素及びヨウ素を含む反応物流から生成される無水ヨウ化水素であってもよい。反応物流は、本質的に水素及びヨウ素からなってもよい。反応物流は、水素及びヨウ素からなってもよい。
【0013】
無水HI(式1)の生成は、以下でより詳細に記載される。代替的に、HIは、他の手段によって生成されてもよく、又は本発明のプロセスにおいて使用するために購入されてもよい。HIは、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及びHIからトリフルオロヨードメタン(CF3I)を製造するための統合プロセスに供給される前に、更に精製されてもよい。
【0014】
プロセスは、水素及びヨウ素を含む蒸気相反応物流を提供することと、反応物流を触媒の存在下で反応させて、ヨウ化水素を含む生成物流を生成することと、を含む。触媒は、ニッケル、ヨウ化ニッケル(NiI2)、コバルト、ヨウ化コバルト(CoI2)、鉄、ヨウ化鉄(FeI2又はFeI3)、酸化ニッケル、酸化コバルト、及び酸化鉄からなる群から選択される少なくとも1つを含む。触媒は担体上に担持されてもよい。
【0015】
本プロセスは、水素とヨウ素とを触媒の存在下で蒸気相中で反応させて、HI、未反応ヨウ素、及び未反応水素を含む生成物流を生成する工程と、生成物流を冷却して固体ヨウ素を形成することによって、生成物流から未反応ヨウ素の少なくとも一部を除去する工程と、固体ヨウ素から液体ヨウ素を生成する工程と、液化ヨウ素を反応工程にリサイクルする工程と、を含む。固体ヨウ素は、第1のヨウ素除去槽又は第2のヨウ素除去槽で形成される。液体ヨウ素は、生成物流を第2のヨウ素除去槽に通して冷却するときに、第1のヨウ素除去槽を加熱して固体ヨウ素を液化することによって、又は生成物流を第1のヨウ素除去槽に通して冷却するときに、第2のヨウ素除去槽を加熱して固体ヨウ素を液化することによって、固体ヨウ素から生成されてもよい。未反応水素は、反応工程にリサイクルされる。触媒は、ニッケル、ヨウ化ニッケル(NiI2)、コバルト、ヨウ化コバルト(CoI2)、鉄、ヨウ化鉄(FeI2又はFeI3)、酸化ニッケル、酸化コバルト、及び酸化鉄からなる群から選択される少なくとも1つを含む。触媒は担体上に担持されてもよい。
【0016】
触媒は、不動態化された形態で供給されてもよく、次いで活性化されてもよい。更に、触媒は、反応の過程で1つの種から別の種に変換されてもよい。例えば、支持体上の金属ニッケルは、ヨウ化ニッケル(NiI2)にその場で変換されてもよい。不活性材料上に担持された金属ニッケルは、ニッケル金属の様々な担持量で市販され得る。供給される場合、不活性材料上に担持されたニッケルは、不動態化された形態にあり、ヨウ素蒸気が供給されて金属ニッケル相をNiI2に変換する前に、水素ガス中で活性化して金属ニッケル相を露出させる必要があり得る。代替的に、触媒は、NiI2のようにその場で調製され得るか、又は含浸、細孔充填、沈殿、及び/若しくは担体上への吸着を通して触媒を調製することによって、既製の形態で供給され得る。
【0017】
触媒は、潮解性であってもよく、周囲条件に曝露されると、水分を吸収し、それ自体の水和水に溶解してもよい。したがって、触媒がその場で調製されるか外部で調製されるかにかかわらず、触媒を水分に曝露すると水和錯体が形成され得るので、触媒を無水条件で使用することが望ましい場合がある。水和錯体の形成は、著しい凝集及び触媒活性の損失と関連し得る。失活した触媒は、高温不活性ガス中で乾燥させ、続いて水素ガス又は他の好適な還元剤中での還元及び酸素ガス又は他の酸化剤中での酸化の連続的な繰り返しサイクルによって再生され得る。
【0018】
触媒はまた、一定期間後に再生されてもよい。再生された触媒は、使用済み及び/又は凝集した触媒と比較して、減少した触媒粒径を有してもよく、増加した触媒活性を有してもよい。例えば、新鮮な触媒は、第1の粒径を有してもよく、使用済み触媒は、第1の粒径より大きい第2の粒径を有してもよい。使用済み触媒はまた、周囲条件に曝露されたときに凝集して、第2の粒径よりも大きい第3の粒径を形成し得る。凝集した触媒を乾燥させ、化学的に還元して粒径を小さくし、触媒活性を増大させ得る。触媒は、複数回の還元、酸化、及び乾燥を受けて、粒径を更に低減し、かつ/又は触媒活性を増加させ、それによって、第4の粒径を有する再生触媒を作製してもよい。還元は、水素ガスを用いて実施され得、酸化は、酸素ガスを用いて実施され得る。他の還元剤及び酸化剤も使用され得る。還元剤の好適な非限定的な例としては、水素、一酸化炭素(CO)、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)などのアルカンが挙げられる。酸化剤の好適な非限定的な例としては、酸素(O2)、オゾン(O3)、窒素酸化物(NO2、N2O)が挙げられる。
【0019】
水素及びヨウ素は、無水である。水分の存在は、腐食性でかつ装置及びプロセスラインに有害であり得るヨウ化水素酸をもたらすため、反応物流の中の水は、可能な限り少ないことが好ましい。加えて、ヨウ化水素酸からのHIの回収は、製造コストを増加させる。
【0020】
水素は、実質的に水を含まず、重量で約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、10ppm未満、約5ppm未満、約2ppm未満若しくは約1ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量で任意の水を含む。好ましくは、水素は、重量で約50ppm未満の量で任意の水を含む。より好ましくは、水素は、重量で約10ppm未満の量で任意の水を含む。最も好ましくは、水素は、重量で約5ppm未満の量で任意の水を含む。
【0021】
ヨウ素はまた、実質的に水を含まず、重量で約3000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満若しくは約10ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量で任意の水を含む。好ましくは、ヨウ素は、重量で約100ppm未満の量で任意の水を含む。より好ましくは、ヨウ素は、重量で約30ppm未満の量で任意の水を含む。最も好ましくは、ヨウ素は、重量で約10ppm未満の量で任意の水を含む。
【0022】
固体形状の元素状ヨウ素は、例えば、SQM、Santiago,Chile、又はKanto Natural Gas Development Co.,Ltd、Chiba,Japanから市販されている。圧縮ガス形態の水素は、例えば、Airgas、Radnor,PAから市販されている。
【0023】
反応物流及び触媒は、反応温度に予熱されてもよい。反応温度は、例えば、約150℃、約200℃、約250℃、約280℃、約290℃、約300℃、約310℃、若しくは約320℃の程度に低くてもよいか、又は約330℃、約340℃、約350℃、約360℃、約380℃、約400℃、約450℃、約500℃、約550℃、若しくは約600℃の程度に高くてもよいか、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約150℃~約600℃、約200℃~約550℃、約250℃~約500℃、約280℃~約450℃、約290℃~約400℃、約300℃~約380℃、約310℃~約360℃、約320℃~約350℃、若しくは約320℃~約340℃であってもよい。好ましくは、反応温度は、約200℃~約500℃である。より好ましくは、反応温度は、約300℃~約400℃である。最も好ましくは、反応温度は、約300℃~約350℃である。
【0024】
反応器の動作圧力は、約0psig、約10psig、約20psig、約40psig、約100psig、約125psig、約150psig、約175psigの程度に低くてもよいか、又は約200psig、約250psig、約300psig、約400psig、約500psig、約600psigの程度に高くてもよいか、又は例えば、約0psig~600psig、約10psig~約500psig、約20psig~約400psig、約40psig~約300psig、約100psig~約250psig、約150psig~約175psig、若しくは約0psig~約175psigなどの前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲であってもよい。好ましくは、反応器の動作圧力は、約5psig~約300psigである。より好ましくは、反応器の動作圧力は、約5psig~約150psigである。最も好ましくは、反応器の動作圧力は、約5psig~約120psigである。
【0025】
反応物流中で、水素とヨウ素とのモル比は、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約2.7:1、若しくは約3:1程度に低くてもよいか、又は約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、若しくは約10:1程度に高くてもよいか、又は、例えば、約1:1~約10:1、約2:1~約8:1、約3:1~約6:1、約2:1~約5:1、約2:1~約3:1、約2.5:1~約3:1、若しくは約2.7:1~約3.0:1などの、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内であってもよい。好ましくは、水素とヨウ素とのモル比は、約2:1~約9:1である。より好ましくは、水素とヨウ素とのモル比は、約2.5:1~約8:1である。最も好ましくは、水素とヨウ素とのモル比は、約2.5:1~6:1である。
【0026】
反応物流は、約0.1秒、約2秒、約4秒、約6秒、約8秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、若しくは約30秒ほど短い、又は約40秒、約50秒、約60秒、約70秒、約80秒、約100秒、約120秒、約200秒若しくは約1,800秒ほど長い、又は、例えば、約0.1秒~約1,800秒、約2秒~約120秒、約4秒~約100秒、約6秒~約80秒、約8秒~約70秒、約10秒~約60秒、約15秒~約50秒、約20秒~約40秒、約20秒~約30秒、約10秒~約20秒、若しくは約100秒~約120秒など、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内の接触時間の間、触媒と接触してもよい。好ましくは、反応物流は、約2秒~約200秒の接触時間の間、触媒と接触する。
【0027】
別の実施形態では、本プロセスは、触媒の存在下の蒸気相中で水素とヨウ素とを反応させて、ヨウ化水素、未反応ヨウ素、及び未反応水素を含む生成物流を生成する工程と、任意選択的に、粗ヨウ化水素生成物の圧力を上昇させるために、反応器流出物を圧縮機に導いて、蒸留カラム(2~多数の範囲の理論段を有する)中の水素及びヨウ化水素の回収を促進し、それによって水素及びHIを含む流れを更なる反応のためにリサイクルさせ、ヨウ化水素及びヨウ素を含む液体流れを更なる分離に供して、ヨウ素に富む流れを回収して反応器にリサイクルさせ、HIに富む流れを蒸留カラムに戻す工程と、を含む。蒸留カラムに戻されない精製されたHIの一部は、上で示される式2に記載される工程において使用されてもよい。システム中の水分の蓄積を制御するために、ヨウ化水素及びヨウ素を含む液体流、ヨウ素に富むリサイクル流又はHIに富む流れのうちの1つ以上を吸着剤床に通過させて水分を選択的に吸着させ得る。HI及び水素を含むこの工程からのパージ流は、任意選択的に、HIの更なる回収のために上で示される式2に記載される工程に送られてもよい。記載されたシステムからヨウ素、水素、又は水を除去する目的で、複数の側流(蒸留カラムからのサイドドローとして)が利用され得る。
【0028】
更に別の実施形態では、本プロセスは、触媒の存在下の蒸気相中で水素とヨウ素とを反応させて、ヨウ化水素、未反応ヨウ素、及び未反応水素を含む生成物流を生成する工程と、反応器流出物を蒸留カラム(2~多数の範囲の理論段を有する)に導き、それによって水素及びHIを含む流れを更なる反応のためにリサイクルさせ、ヨウ化水素及びヨウ素を含む液体流れを更なる分離に供して、ヨウ素に富む流れを回収して反応器にリサイクルさせ、HIに富む流れを蒸留カラムに戻す工程と、を含む。蒸留カラムに戻されない精製されたHIの一部は、上で示される式2に記載される工程において使用されてもよい。システム中の水分の蓄積を制御するために、ヨウ化水素及びヨウ素を含む液体流、ヨウ素に富むリサイクル流、又はHIに富む流れのうちの1つ以上を吸着剤床に通過させて水分を選択的に吸着させ得る。HI及び水素を含むこの工程からのパージ流は、任意選択的に、HIの更なる回収のために上で示される式2に記載される工程に送られてもよい。記載されたシステムからヨウ素、水素、又は水を除去する目的で、複数の側流(蒸留カラムからのサイドドローとして)が利用され得る。
【0029】
本開示は、必要に応じて、この工程から残留未反応ヨウ素を回収する方法を提供する。そのような方法の1つでは、ヨウ素蒸気並びに不活性ガス及び水蒸気のうちの少なくとも1つを含む流れをアルカリ溶液と接触させて、ヨウ化物塩を形成し得、これは回収され得る。
【0030】
別の代替法では、ヨウ素蒸気及び水蒸気を含む流れを吸着剤と接触させて、流れから水を選択的に吸着して、実質的に水を含まず、回収又はリサイクルに好適であり得るヨウ素の流れを提供し得る。
【0031】
更に別の代替法では、不活性ガス、水蒸気、及びヨウ素蒸気を含む流れを濃酸と接触させて、流れから水蒸気を吸収して、実質的に水を含まず、回収又はリサイクルに好適であり得るヨウ素の流れを提供し得る。
【0032】
更なる代替法は、ヨウ素蒸気及び水蒸気を含む流れを提供することと、ヨウ素蒸気を逆昇華又は凝縮させて、回収又はリサイクルされ得る固体又は液体ヨウ素を形成することと、を含むヨウ素を回収する方法である。
【0033】
最後に、ヨウ素を回収する更に別の方法は、ヨウ素蒸気並びに不活性ガス及び水蒸気のうちの少なくとも1つを含む流れを提供することと、流れを材料と接触させて、材料が、材料の相変化を通して潜熱を吸収し、顕熱を吸収する際に、流れからヨウ素蒸気を凝縮又は逆昇華させることと、を含む。
【0034】
図1は、水素及びヨウ素から無水HIを生成する1つの方法の例を示す。
図1に示すように、プロセス10は、固体ヨウ素12及び水素ガス14の原料フローを含み得る。固体ヨウ素12は、固体貯蔵タンク16に連続的又は間欠的に添加され得る。固体ヨウ素18のフローは、固体搬送システム(図示せず)によって、又は固体貯蔵タンク16からヨウ素液化装置20への重力によって、連続的又は間欠的に移送されてもよく、ここで、固体ヨウ素は、その融点を上回るがその沸点を下回って加熱され、ヨウ素液化装置20中の液体ヨウ素のレベルを維持する。1つの液化装置20のみが示されているが、複数の液化装置20が並列配置で使用され得ることが理解される。次いで、液体ヨウ素22は、ヨウ素液化装置20からヨウ素気化器24へ流れ得る。ヨウ素液化装置20は、液体ヨウ素22のフローを動かすために不活性ガスによって加圧されてもよい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、若しくはヘリウム、又はこれらの混合物が挙げられ得る。代替的に、又は付加的に、液体ヨウ素22のフローは、ポンプ(図示せず)によって駆動されてもよい。液体ヨウ素22の流量は、液体フロー制御装置26によって制御されてもよい。ヨウ素気化器24では、ヨウ素がその沸点を上回って加熱され、ヨウ素蒸気28のフローを形成し得る。水素14の流量は、ガスフロー制御装置30で制御されてもよい。ヨウ素蒸気28のフロー及び水素14のフローは、過熱器36に供給され、反応温度に加熱されて反応物流38を形成する。反応物流38は、反応器40に提供される。反応物流38は、反応器40内に収容される触媒42の存在下で反応して、生成物流44を生成する。触媒42は、本明細書に記載の触媒のいずれかであり得る。生成物流44は、ヨウ化水素、未反応ヨウ素、未反応水素並びに微量の水及び他の不純物を含み得る。
【0035】
生成物流44は、上流弁46に供給され得る。上流弁46は、生成物流44をヨウ素除去工程に導くことができる。代替的に、生成物流44を冷却器(図示せず)に通過させて、ヨウ素除去工程に導く前に熱の一部を除去し得る。ヨウ素除去工程では、第1のヨウ素除去トレーン48aは、第1のヨウ素除去槽50a及び第2のヨウ素除去槽50bを含んでもよい。生成物流44は、第1のヨウ素除去槽50aにおいてヨウ素の沸点未満の温度に冷却され、ヨウ素の少なくとも一部を凝縮するか又はそれから昇華する能力を奪って、生成物流44から分離してもよい。生成物流44は、更に第1のヨウ素除去槽50aにおいてヨウ素の融点未満の温度に冷却され、生成物流44から更に多くのヨウ素を分離し、第1のヨウ素除去槽50a内でヨウ素の少なくとも一部を固体として堆積させ、減ヨウ素生成物流52を生成してもよい。減ヨウ素生成物流52は、第2のヨウ素除去槽50bに供給されて、冷却され、減ヨウ素生成物流52から更なるヨウ素の少なくとも一部を分離して、更に粗ヨウ化水素生成物流54を生成してもよい。
【0036】
第1のヨウ素除去トレーン48aは、直列配置で動作する2つのヨウ素除去槽からなるが、第1のヨウ素除去トレーン48aは、並列配置で動作する2つ以上のヨウ素除去槽、直列配置で動作する2つを超えるヨウ素除去槽、又はこれらの任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。第1のヨウ素除去トレーン48aは、単一のヨウ素除去槽からなり得ることも理解されたい。ヨウ素除去槽のいずれかは、熱交換器を含んでもよいか、又は熱交換器の形態にあってもよいことが、更に理解される。連続した容器は、複数の冷却段階を有する単一の容器に組み合わせ得ることも理解される。
【0037】
第1のヨウ素除去槽50aで収集されたヨウ素は、第1のヨウ素リサイクル流56aを形成し得る。同様に、第2のヨウ素除去槽50bで収集されたヨウ素は、第2のヨウ素リサイクル流56bを形成し得る。第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bの各々は、図のようにヨウ素液化装置20及び/又はヨウ素気化器24に連続的又は断続的に供給されてもよい。
【0038】
固体形態でヨウ素を収集する一方で連続動作を提供するために、上流弁46は、生成物流44を第2のヨウ素除去トレーン48bへ選択的に導くように構成され得る。第2のヨウ素除去トレーン48bは、上述のように、第1のヨウ素除去トレーン48aと実質的に同様であり得る。第1のヨウ素除去トレーン48aの第1のヨウ素除去槽50a又は第2のヨウ素除去槽50bのいずれかが、固体ヨウ素の除去に都合のよい十分な固体ヨウ素を蓄積したら、上流弁46を選択して、生成物流44を第1のヨウ素除去トレーン48aから第2のヨウ素除去トレーン48bへ導いてもよい。ほぼ同時に、粗ヨウ化水素生成物流54を第1のヨウ素除去トレーン48a又は第2のヨウ素除去トレーン48bのいずれかから選択的に導くように構成された下流弁58を選択して、粗ヨウ化水素生成物流54を第2のヨウ素除去トレーン48bから導き得、それによって、生成物流44からヨウ素を除去して粗ヨウ化水素生成物流54を生成するプロセスが、中断されずに継続し得る。生成物流44がもはや第1のヨウ素除去トレーン48aに導かれなくなると、第1のヨウ素除去トレーン48aの第1のヨウ素除去槽50a及び第2のヨウ素除去槽50bは、ヨウ素の融点を超えて加熱されて、固体ヨウ素を液化してもよく、それによって、液化ヨウ素が、第1のヨウ素除去トレーン48aの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素液化装置20へ流れることができる。
【0039】
プロセスが継続するにつれて、第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素除去槽50a又は第2のヨウ素除去槽50bのいずれかが、固体ヨウ素を除去するために有益な十分な固体ヨウ素を蓄積したら、上流弁46を選択して、生成物流44を第2のヨウ素除去トレーン48bから第1のヨウ素除去トレーン48aへ戻して導いてもよく、また下流弁58を選択して、粗ヨウ化水素生成物流54を第1のヨウ素除去トレーン48aから導いてもよく、それによって、生成物流44からヨウ素を除去して粗ヨウ化水素生成物流54を生成するプロセスが、中断されずに継続することができる。生成物流44がもはや第2のヨウ素除去トレーン48bに導かれなくなると、第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素除去槽50a及び第2のヨウ素除去槽50bは、ヨウ素の融点を超えて加熱されて、固体ヨウ素を液化してもよく、それによって、液化ヨウ素が、第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素液化装置20へ流れることができる。第1のヨウ素除去トレーン48aと第2のヨウ素除去トレーン48bとの間で継続して切り替えることにより、生成物流44中の未反応ヨウ素は、効率的かつ連続的に除去及びリサイクルされ得る。
【0040】
上記のように、液体ヨウ素は、第1のヨウ素除去トレーン48a及び第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素液化装置20へ流れることができる。代替的に、液体ヨウ素は、第1のヨウ素除去トレーン48a及び第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素気化器24へ流れ、ヨウ素液化装置20及び液体フロー制御装置26を迂回してもよい。
【0041】
粗HI生成物流54は、重質物蒸留カラム60に提供される。重質物蒸留カラム60は、ヨウ化水素及び残留未反応ヨウ素などの高沸点物質を、未反応水素などの低沸点物質から分離するように構成され得る。重質物蒸留カラム60からのヨウ化水素及び残留未反応ヨウ素を含む塔底生成物流62は、ヨウ素リサイクルカラム64に提供され得る。ヨウ素リサイクルカラム64は、残留未反応ヨウ素をヨウ化水素から分離するように構成され得る。未反応ヨウ素を含むヨウ素リサイクルカラム64の塔底生成物流66は、ヨウ素液化装置20に戻してリサイクルされ得る。代替的に、未反応ヨウ素を含むヨウ素リサイクルカラム64の塔底生成物流66は、ヨウ素気化器24に戻してリサイクルされ得る。ヨウ化水素を含むヨウ素リサイクルカラム64の塔頂生成物流68は、生成物蒸留カラム70に提供され得る。重質物蒸留カラム60からの水素及び残留ヨウ化水素を含む塔頂生成物流72も生成物蒸留カラム70に提供され得る。生成物蒸留カラム70は、未反応水素をヨウ化水素から分離するように構成され得る。未反応水素及び残留ヨウ化水素を含む生成物カラム70の塔頂生成物流74は、反応器40に戻してリサイクルされ得る。得られた精製されたヨウ化水素生成物は、生成物カラム70の塔底流76から収集され得る。
【0042】
所望であれば、より多くの又はより少ないカラムが、ヨウ化水素(HI)からの水素(H2)及びヨウ素(I2)の分離のために使用され得る。カラムは、単段分離ユニット動作、二段階分離ユニット動作、例えば蒸発器若しくは再沸器、及び/若しくは凝縮器、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0043】
精製されたHIは、99.5重量%を超えるHI、3000ppm未満のヨウ素種、300ppm未満の不揮発性残留物(non-volatile residue、NVR)、100ppm未満の水素ガス、並びに微量の有機物及び水分を含み得る。HIの濃度は、滴定又は1H NMRによって判定される。ヨウ素種の総濃度は、チオ硫酸塩を使用する滴定によって判定され、元素状ヨウ素及び三ヨウ化水素(HI3)の付随濃度の累積表示である。NVRは、ヨウ素、ジヨードプロパン、ヨウ化tertブチル、ヨードプロパン、ヨードプロペン、又は他のヨード炭化水素を含んでもよい。
【0044】
ヨウ素含有種(Iodine-containing species、ICS)は、HIを含む流れから除去又は分離され得る。本明細書に記載されるように、HIからヨウ素を除去するために、複数の異なるユニット及びその構成が使用されてもよい。
【0045】
例として、供給原料又は反応物流(試薬、例えば水素及びヨウ素、並びに任意の他のキャリア流体及び/又は副生成物若しくは不純物を含む)が反応器に供給されてもよい。反応器は、一般に、触媒の上で水素及びヨウ素をHIに変換するように構成され得る。反応器に供給される前に、供給原料はまた、ヨウ素及び/又は水素、並びにヨウ化水素などの反応器流出物流からの未反応試薬を含み得る任意選択のリサイクル流と混合されてもよい。
【0046】
反応器流出物は、反応器を出て、次いでICS除去システムに入る。反応器流出物流内のICSの少なくとも一部は、ICS除去システム内で除去されてもよく、HI生成物流は、任意選択の廃棄物流及び任意選択のリサイクル流に加えて、ICS除去システムを出る。次いで、HI生成物流は、別の反応器、カラム、又は他のプロセスユニットに送られて、更に反応又は精製されてもよい。ICS除去システムは、少なくとも1つの分離ユニット、例えば吸着カラム、急冷ユニット、蒸留カラム、凝縮器、又は他の分離ユニット、及びそれらの組み合わせを備える。
【0047】
一例では、ヨウ化水素からヨウ素含有種を除去する際に吸着剤が使用され得る。そのような吸着剤の使用は、ヨウ化水素からのヨウ素含有種の効率的な除去を提供し得る。
【0048】
この方法では、ヨウ化水素(HI)を含有する流れは、HIを生成するように構成された反応器などの反応器を出た後に、吸着材料が充填された少なくとも1つのカラムを通過してもよい。HIは、液体形態、蒸気形態、又はこれら2つの任意の組み合わせであってもよい。好ましくは、HIは液体形態にある。吸着カラムは、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃、約-10℃、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、若しくは約40℃の程度に低い温度、又は約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約110℃若しくは約120℃の程度に高い温度、又は例えば、-50℃~約120℃、約-30℃~約110℃約0℃~約100℃、約10℃~約90℃、約20℃~約80℃、約30℃~約70℃、約40℃~約60℃、約50℃~約70℃、約40℃~約50℃、約60℃~約90℃、約0℃~約60℃、若しくは約20℃~約40℃の前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内の温度で動作される。好ましくは、吸着カラムは、約0℃~約60℃の温度で動作される。より好ましくは、吸着カラムは、約20℃~約50℃の温度で動作される。
【0049】
吸着カラムは、プロセス中の次のユニットの圧力よりわずかに高い圧力、又は約-10psig、0psig、約5psig、約20psig、約50psig、約70psig、若しくは約100psigの程度に低い圧力、又は約150psig、約200psig、約250psig、約300psig、約400psig、約500psig、若しくは約600psigの程度に高い圧力、又は例えば、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約-10psig~約600psig、約0psig~約500psig、約0psig~約400psig約5psig~約250psig、約20psig~約200psig、約50psig~約150psig、約5psig~約100psig、約20psig~約70psig、若しくは約150psig~約250psigの圧力で動作され得る。好ましくは、吸着カラムは、約5psig~約250psigの圧力で動作される。より好ましくは、吸着カラムは、約10psig~約200psigの圧力で動作される。
【0050】
好適な吸着材料の非限定的な例としては、シリカライト(Alを含まないZSM-5)修飾シリカライト、及びアルミノシリケートモレキュラーシーブが挙げられる。ZSM-5、ゼオライトSocony Mobil-5(ZSM-5(5)からの骨格型MFI)は、ゼオライトのペンタシル族に属するアルミノシリケートゼオライトである。修飾シリカライトの非限定的な例としては、遷移金属修飾シリカライト、アルカリ金属修飾シリカライト、アルカリ土類金属修飾シリカライト、希土類金属修飾シリカライト、金属酸化物修飾シリカライト、及び金属ハロゲン化物修飾シリカライトが挙げられる。
【0051】
シリカライトは、二酸化ケイ素のいくつかの形態(多形体)のうちの1つである。それは、白色固体である。それは、四面体シリコン中心及び2配位酸化物からなる。それは、水酸化テトラプロピルアンモニウムを使用して水熱反応させ、続いて焼成して残留アンモニウム塩を除去することによって調製され得る。この化合物は、33%の多孔性であることが注目に値する。生成物流は、約0.1秒、約2秒、約4秒、約6秒、約8秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、若しくは約30秒のように短い接触時間、又は約40秒、約50秒、約60秒、約70秒、約80秒、約100秒、約120秒、約1,800秒、約3,600秒、約1時間、約5時間、約10時間、約24時間、約48時間、約72時間、約144時間、若しくは約168時間、若しくは約240時間のように長い接触時間、吸着剤と接触させてもよい。生成物流は、数時間又は更には数日間の接触時間にわたって吸着剤と接触させてもよく、滞留時間は、経済的考慮によってのみ制限される。例えば、生成物流は、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内の接触時間、例えば、約0.1秒~約240時間、約0.1秒~約3,600秒、約2秒~約120秒、約4秒~約100秒、約6秒~約80秒、約8秒~約70秒、約10秒~約60秒、約15秒~約50秒、約20秒~約40秒、約20秒~約30秒、約10秒~約20秒、又は約100秒~約120秒間、吸着剤と接触させてもよい。
【0052】
更に、吸着は、高純度HIを作製するための最終処理工程として、蒸留又は他の分離ユニット又はシステムと組み合わせることもできる。
【0053】
この方法では、ヨウ素含有種は、吸着によってヨウ素含有種とヨウ化水素との混合物から除去され得る。混合物は、購入されたHI、生成反応器流出物からのHI、及び/又はHI生成から得られた精製されたHIからのHIを含み得る。混合物は、直列に配置された2つの吸着カラムを備えるヨウ素除去トレーンに通されてもよい。ヨウ素除去トレーンは、HI生成物からICSを少なくとも部分的に除去するように構成され得る。ICSの一部が混合物から除去されると、HI生成物流は、ICS除去トレーンを出てもよく、更なる反応器、カラム、又は他のユニットに供給されてもよい。
【0054】
上述のヨウ素除去トレーンは、直列配置で動作する2つのヨウ素除去槽からなるが、ヨウ素除去トレーンは、並列配置で動作する2つ以上のヨウ素除去槽、直列配置で動作する2つを超えるヨウ素除去槽、及びそれらの任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。ヨウ素除去トレーンは、単一のヨウ素除去槽からなり得ることも理解されたい。
【0055】
第1の吸着カラムで収集されたヨウ素は、除去されて第1のヨウ素リサイクル流を形成し得る。同様に、第2の吸着カラムで収集されたヨウ素は、除去されて第2のヨウ素リサイクル流を形成し得る。第1のヨウ素リサイクル流及び第2のヨウ素リサイクル流の各々は、ヨウ素液化装置に提供されて、HI生成のためにリサイクルされ得る。
【0056】
代替的に、ICS除去システムは、HI、未反応ヨウ素、未反応水素、及び潜在的副生成物、少量の水などを含む反応器流出物がHI液体で急冷され得る急冷ユニットを備えてもよい。HI液体は、入ってくるICSを捕捉し得る。動作条件に応じて、捕捉されたICSは、1つの液相を形成するHI液体と完全に混和性であってもよく、又はICSは、HI液体とスラリーを形成する固体であってもよい。HI含有ICSは、部分的に蒸発させてHIの一部を除去してもよく、残りのHI及びICSは、反応器にリサイクルされ得る。急冷ユニットは、入ってくる反応器流出物(典型的には蒸気)を急冷液体HIと、任意の液体-気体接触デバイスを通して、例えば、HI液体に浸漬させたスパージャー若しくは複数のスパージャー、蒸留トレイ、シャワーカーテントレイ、傾斜トレイ、シェッドトレイ、ランダム充填物、構造化充填物、液体噴霧デバイス若しくはノズル、又は任意の他の好適なシステム/デバイス若しくはそれらの組み合わせを通して接触させ得る。
【0057】
例として、急冷システムは、液体-気体接触器として一般的に記載され得る急冷器を備え得る。このシステムはまた、蒸発器、凝縮器及び再沸器を装備した第1の蒸留カラム、並びに第2の蒸留カラムを備え得る。
【0058】
反応器流出物は、急冷器内でHI液体で急冷されてもよい。HI液体又は接触液体は、プロセスから生成されたHIであり得、その後、工程1で生成されたHIによって補充されてもよく、又はHI還流を増加させることによって部分的に若しくは全体的に補充されてもよい。HI補充液はまた、蒸留カラムから供給されてもよい。更に、HIを反応器流出物に添加して、急冷HI液に供給される蒸気流中のヨウ素濃度を希釈するのを助けてもよく、これにより、HI液と最初に接触するときの局所的な固体形成を減少させ得る。急冷HI液は、急冷の下流に導入されてもよく、これは最終的に急冷器に流れて戻る。
【0059】
高温の反応器流出物蒸気とHI液体との間のエネルギー交換は、HI液体の一部の蒸発をもたらし得る。この蒸発したHIは、急冷プール混合物からの潜在的に非常に少量のI2とともに、残留ヨウ素からHIを除去するのに十分な精留段及び塔頂凝縮器を有する多段蒸留カラムに送られ得る。I2の分圧は、急冷プール混合物から出てくるHIに対して小さいので、蒸気含量又はI2の量は、I2がHI液体中でいくらかの溶解度を呈するので、主な固体堆積物なしに蒸留カラム内で管理され得る。この予備調整工程は、その後のいかなる汚れ及び固体堆積物の発生も排除し得、圧縮機及び蒸留動作などの信頼できる下流処理を可能にする。蒸発したHI蒸気の一部は、塔頂凝縮器によって凝縮され、還流され、この残留I2を溶解するために蒸留カラムに送られてもよい。
【0060】
残留ヨウ素及びHI液体を含有する蒸留カラム塔底液は、蒸発されるHI液体を補充するために、急冷器に送り戻されてもよい。急冷器は、蒸留カラムと直接統合されてもよく、これは、システム内の配管の必要量を低減し得る。
【0061】
次いで、急冷プール内の収集されたICSを蒸発器に送ってHIの大部分を蒸発させ、ヨウ素及びいくらかのHIを残して、収集するか、又はHI生成のために反応器にリサイクルさせる。この蒸発器からのいくらかのICSを含有する蒸発したHIは、蒸留カラム及び/又は急冷プールに送り戻されて、先に記載されたのと同じ様式でHI及びICSを再び分離する。
【0062】
上述のヨウ素収集方法の代替として、HI液体プールが十分な量のICSを収集した後、高温の反応器流出物蒸気を別の急冷器に切り替えて、他の急冷器においてICS収集モードを継続してもよい。次いで、ICSを含有するHI液体プールを蒸発させて、上記のようにHIの大部分を除去し、蒸留及び/又は新たな急冷プールに送り戻して、先に記載されたのと同じ様式でHI及びICSを再び分離し得る。残りのI2及びいくらかのHIは、反応器にリサイクルされ得る。HI液体プール/急冷器の2つのセットは、交互のICS収集モード及びICSリサイクルモードで構成及び配列決定され得る。交互の、複数の、又は冗長なICS収集装置を有する利点は、ヨウ素又は他の装置の故障若しくは保守によって引き起こされる詰まりの場合に、サービスのために装置を容易に隔離する能力を提供し得る。この構成はまた、ICSリサイクルモード中に必要な動作圧力を高めるための固体処理ポンプの必要性を排除又は低減し得る。
【0063】
蒸留カラム中で精製され、ICSから分離されたH2とともにHIは、蒸留塔頂中に残ってもよい。次いで、それを更に処理して、H2流からHIを分離して、反応器にリサイクルするためのH2を含むリサイクル流を得てもよい。液化HIの一部は、前述のように急冷動作を補充するために使用されてもよい。残りの液化HI部分は、精製されたHI生成物であり、これは次いで、更なる使用又は処理のために別のユニットに送られ得る。
【0064】
2.トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の形成
本明細書に開示されるように、統合プロセスの第2の反応工程において、TFAC(トリフルオロアセチルクロリド)をHI(ヨウ化水素)と反応させて、式2に従ってTFAI(トリフルオロアセチルヨージド)及びHCl(塩化水素)を含む中間生成物流を形成する:
TFAC+HI→TFAI+HCl
【0065】
本プロセスは、気相、液相、又は気/液相で行われ得る。本プロセスは、ヨウ化水素と、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、トリフルオロアセチルフルオリド(trifluoroacetyl fluoride、TFAF)、トリフルオロアセチルブロミド(trifluoroacetyl bromide、TFAB)、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのトリフルオロアセチルハライドと、を含む反応物流を提供して、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む中間生成物流を生成することを含む。
【0066】
本プロセスは、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル-クロム合金、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、若しくはニッケル-銅合金などのニッケル合金などの金属から作製された管を備える加熱管反応器などの反応器内で行われ得る。代替的に、反応器は、ガラス又はポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(perfluoroalkoxy alkanes、PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、及び他のフルオロポリマーなどのポリマーでライニングされた金属から構成されてもよい。反応器は、加熱され得、又は供給材料は、反応器に入る前に予熱され得る。反応器は、任意のタイプの装填された床反応器であり得る。
【0067】
反応物流中のヨウ化水素及びトリフルオロアセチルクロリドは、任意選択的に反応器内に含有される触媒の存在下で反応し得る。触媒が使用される場合、それは、活性炭、メソカーボン、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、銅、アルミナ、白金、パラジウム、若しくは炭化鉄、炭化モリブデン及び炭化ニッケルなどの金属炭化物、並びに炭化ケイ素などの非金属炭化物などの炭化物、又はそれらの組み合わせを含む群から選択され得る。触媒は、反応器内に含有されるメッシュ、ペレット、又は球体の形態であり得る。
【0068】
プロセスの収率、操作性、及びコスト(とりわけ)などの因子が最適化されるように、不純物が少ないTFAIを生成することが望ましい。したがって、HI及びTFACを含む反応器供給材料の組成が重要である。反応器への供給物は、未反応HI及びTFACを含むリサイクルだけではなく、必要に応じて及び以下に記載されるように、二酸化硫黄(SO2)を除去するために処理され得る新鮮なHI、新鮮なTFACを含む。一実施形態によれば、組成物は、複数の成分を含み、TFAC及びHIの合計は、少なくとも99重量%を構成し、二酸化硫黄(SO2)は、250ppm以下の量で存在してもよく、ヨウ素及びHI3の合計は、2000ppm以下であってもよく、ヨード炭化水素は、500ppm以下の量で存在してもよく、水素は、500ppm以下の量で存在してもよく、CF3Iは、5000ppm以下の量で存在してもよい。ヨード炭化水素としては、ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、ヨードブタン、ヨウ化tert-ブチル、ジヨードプロパンなどが挙げられる。
【0069】
反応温度は、約0℃以上、約25℃以上、約35℃以上、約40℃以上、約50℃以上、若しくは約60℃以下、約90℃以下、約120℃以下、約150℃以下、若しくは約200℃以下、若しくは約250℃以下の程度に低くてもよいか、又はこれらの終点によって包含される任意の値であってもよい。
【0070】
反応圧力は、約0psig以上、約25psig以上、約50psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以上、約250psig以上、約300psig以下、約350psig以下、約400psig以下、約450psig以下、約500psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0071】
反応物流は、約0.1秒以上、約0.5秒以上、約1秒以上、約2秒以上、約3秒以上、約5秒以上、約8秒以上、約10秒以上、約12秒以上、若しくは約15秒以上、約18秒以上、約20秒以下、約25秒以下、約30秒以下、約35秒以下、約40秒以下、約50秒以下、約60秒以下、約80秒以下、若しくは約300秒以下、若しくは約1800秒以下の接触時間、又はこれらの終点によって包含される任意の値の間、触媒と接触させてもよい。
【0072】
このプロセスの例では、新鮮なHI及びTFACは、下流の処理、例えば蒸留トレーンから回収されたHI及びTFACを含むリサイクル混合物と合わせされる。合わせられたTFAC/HIモル比は、過剰のTFACとともに提供されて、より高価なHIの高い転化率を与えるが、等モル量又は過剰のHIも使用される場合がある。
【0073】
一実施形態では、TFAC/HIモル比は、約1:10、約1:5、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1の程度に低くてもよいか、又は約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、若しくは約10:1の程度に高くてもよいか、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内であってもよい。より好ましくは、TFAC/HI比は、1:2~2:1である。より好ましくは、TFAC/HI比は、1:1~2:1である。
【0074】
別の実施形態では、TFAC/HIモル比は、約1:1以下、約0.9:1以下、約0.8:1以下、約0.7:1以下、又は約0.6:1以下、又は約0.1:1以下、又は約0.05:1以下、又は約0.02:1以下であり得る。
【0075】
混合物を蒸発させ、過熱して、反応を行い得る。
【0076】
以下で更に考察する精製オプションのいくつかを含む第2の反応工程の例の概略図を
図2に示す。TFACを含む第1の供給流は、第1のカラム100に搬送されて二酸化硫黄(SO
2)を除去し、二酸化硫黄の濃度が低減されたTFACを含む塔底生成物流102、並びにTFAC及びSO
2の共沸性又は近共沸性を含む塔頂流101を提供する。次いで、生成物流102を、未反応TFAC及び未反応HIを含むリサイクル流116と合わせて、反応器104に搬送し得る。上記のプロセスの工程1からのHIを含む第2の供給流もまた、反応器104に供給されてもよく、又は反応器104に供給される前に流れ102及び116と合わされて、粗TFAI、塩化水素(HCl)、ヨウ素、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)、HI、及びTFACを含む生成物流106を提供し得る。生成物流106を第2のカラム108に搬送して、HCl、TFAC、及びHIを含む塔頂生成物流110、並びにTFAI、ヨウ素、HI
3、及びTFAを含む塔底生成物流112を提供し得る。塔頂生成物流110を第3のカラム114に搬送して、反応器104に戻してリサイクルされ得る塔底生成物流116、及びHClを含む塔頂生成物流118を提供し得る。次いで、塔頂生成物流118は、統合プロセスの工程3に搬送されてもよく、又は回収されてもよい。
【0077】
第2のカラム108からの塔底生成物112は、プロセスの工程3からのリサイクルされたTFAI(
図3からの流れ206)及びトルエンなどの溶媒120の流れと合わされて、流れ112中のヨウ素が合わされた流れ122中で凝固するのを防止し、並びに第4のカラムにおいてTFAIを含む混合物からヨウ素を選択的に吸収する溶媒として作用してもよい。流れ122を第4のカラム124に搬送して、TFAI及びTFAを含む塔頂生成物流126、並びにトルエン及びヨウ素を含む塔底生成物流128を提供し得る。塔底生成物流128を第5のカラム130に搬送して、トルエンを含む塔頂生成物流132を提供し得、これは第4のカラム124にリサイクルされ得る。流れ132は、第4のカラムに供給される前に流れ122と合わされてもよく、又は第4のカラムに別々に供給されてもよい。ヨウ素を含む第5のカラム130からの塔底生成物流134は、収集され得るか、又は統合プロセスの工程1に戻してリサイクルされ得る。第4のカラムからの塔頂生成物流126は、第6のカラム136に搬送されて、TFAIを含む塔頂生成物流138を提供し得、これは統合プロセスの工程3に通され得る。TFA及び他の高沸点不純物を含む塔底生成物流140は、他の使用又は廃棄のために収集され得る。
【0078】
代替的に、
図2Aを参照すると、第2のカラム108からの塔底生成物112は、プロセスの工程3からのリサイクルされたTFAI(流れ206)及びトルエンなどの溶媒120の流れと合わされて、流れ112中のヨウ素が合わされた流れ122中で凝固するのを防止し、並びにTFAIを含む混合物からヨウ素を選択的に吸収する溶媒として作用してもよい。流れ122は、第4のカラム124Aに搬送して、統合プロセスの工程3に通され得るTFAIを含む塔頂生成物流126A、並びにTFA、ヨウ素、及びトルエンを含む塔底生成物流128Aを提供し得る。塔底生成物流128Aを第5のカラム130Aに搬送して、TFA及びトルエンを含む塔頂生成物流132Aを提供し得、これは第6のカラム136Aに搬送され得る。ヨウ素を含む第5のカラム130からの塔底生成物流134Aは、収集され得るか、又は統合プロセスの工程1に戻してリサイクルされ得る。トルエンを含む第6のカラム136の塔底生成物140Aは、第4のカラム124にリサイクルされ得る。TFA及び他の不純物を含む塔頂生成物流138Aは、他の使用又は廃棄のために収集され得る。
【0079】
3.トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の精製
TFACの商業的供給は、TFACと極小沸点共沸物を形成する二酸化硫黄不純物を含有し得る。反応トレーンに供給する前に二酸化硫黄を除去することが望ましい。
【0080】
TFACが精製され得る1つの方法としては、二酸化硫黄を有する共沸性又は共沸様組成物の形成が挙げられる。この共沸性又は共沸様組成物は、蒸留を介してTFACから除去され得る。二酸化硫黄が、TFACから除去され得る別の方法は、TFACと二酸化硫黄との混合物を固体吸着剤又は2つ以上の固体吸着剤の混合物と接触させて、TFACと二酸化硫黄との混合物から二酸化硫黄を除去することを含む。TFACが精製され得る更に別の方法としては、これらの方法の組み合わせが挙げられる。TFACと二酸化硫黄との混合物を固体吸着剤と接触させることは、蒸留の前又は後であり得る。蒸留の有無にかかわらず、複数の吸着剤工程が使用され得る。
【0081】
TFACが、均質な、極小沸点の共沸性及び共沸様組成物又は二酸化硫黄を有する混合物を形成することが見出され、本開示は、TFAC及び二酸化硫黄を含む、均質な共沸性又は共沸様組成物を提供する。共沸性若しくは共沸様組成物は、TFAC及び二酸化硫黄から本質的になるか、又は共沸性若しくは共沸様組成物は、TFAC及び二酸化硫黄からなり得る。
【0082】
「共沸性」組成物とは、2つ以上の成分の特有の組み合わせである。共沸性組成物は、様々な方法で特徴付けることができる。例えば、所与の圧力では、共沸性組成物は、沸点が高い方の成分よりも高い一定の特性温度で沸騰する(極大沸点の共沸物)か、又は沸点が低い方の成分よりも低い一定の特性温度で沸騰する(極小沸点の共沸物)かのいずれかである。この特性温度では、同じ組成が気相及び液相の両方に存在することになる。共沸性組成物は、沸騰又は蒸発時に分留しない。したがって、共沸性組成物の成分を相変化において分離することはできない。
【0083】
代替的に、共沸性組成物は、所与の温度における特徴的な蒸気圧で沸騰する組成物として特徴付けることができる。蒸気圧は、より低い蒸気圧成分より低くなり得(圧力最小共沸物)、又は蒸気圧は、より高い蒸気圧成分より高くなり得る(圧力最大共沸物)。圧力最小共沸物は、極大沸点共沸物と称され得、逆もまた同様であり、圧力最大共沸物は、極小沸点共沸物と称され得、逆もまた同様である。
【0084】
共沸性組成物の挙動は、沸騰又は蒸発中に液体組成物がかなりの程度で変化する非共沸性組成物の挙動とは対照的である。
【0085】
しかしながら、当業者であれば、異なる圧力では、共沸性組成物の組成及び沸点の両方がある程度変化すると理解するであろう。したがって、温度及び/又は圧力に応じて、共沸性組成物は、変化し得る組成を有し得る。したがって、当業者であれば、固定された組成ではなく組成範囲を使用して共沸性組成物を定義することができると理解するであろう。更に、共沸物は、特定の圧力での固定された沸点によって特徴付けられる組成物の各成分の正確な重量パーセンテージの観点から定義することもできる。
【0086】
「共沸様」組成物とは、実質的に共沸性組成物として挙動する2つ以上の成分の組成物である。したがって、本開示の目的の場合、共沸様組成物は、所与の圧力下で液体形態にあるとき実質的に一定の温度で沸騰し、かつ沸騰中の液体組成物と実質的に同一の気体組成を提供する、2つ以上の異なる成分の組み合わせである。
【0087】
本明細書で使用される場合、共沸性又は共沸様組成物又は混合物の成分に関して、「から本質的になる」という用語は、組成物が、示された成分を共沸比又は共沸様比で含有し、更なる成分が新たな共沸性又は共沸様の系を形成しないという条件で、更なる成分を含有し得ることを意味する。例えば、2つの化合物から本質的になる共沸性混合物は、二成分共沸物を形成するものであり、更なる成分が混合物を非共沸性にせず、かつ化合物のいずれか一方又は両方と共沸物を形成しない(例えば、三成分以上の共沸物を形成しない)という条件で、任意選択的に1つ以上の更なる成分を含み得る。
【0088】
約45psia+0.3psiaの圧力において約-10.0℃+3℃の沸点を有する共沸性又は共沸様組成物は、約25重量%~約99重量%のTFAC及び約1重量%~約75重量%の二酸化硫黄、約48重量%~約90重量%のTFAC及び約10重量%~約52重量%の二酸化硫黄、又は約68重量%~約78重量%のTFAC及び約22重量%~約32重量%の二酸化硫黄を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり得る。
【0089】
代替的に、約45psia+0.3psiaの圧力において約-10.0℃+3℃の沸点を有する共沸性又は共沸様組成物は、約24.5重量%~約94.9重量%のTFAC及び約5.1重量%~約75.5重量%の二酸化硫黄、又は約47.9重量%~約89.7重量%のTFAC及び約10.3重量%~約52.1重量%の二酸化硫黄を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなり得る。
【0090】
本開示はまた、共沸性又は共沸様組成物を含む組成物も提供する。例えば、1ppmの低濃度の共沸性又は共沸様組成物、10ppmの共沸性又は共沸様組成物、25ppmの共沸性又は共沸様組成物、又は50ppmに達する共沸性又は共沸様組成物、100ppmの共沸性又は共沸様組成物、1000ppmの共沸性又は共沸様組成物、1重量%の共沸性又は共沸様組成物、5重量%以上の共沸性又は共沸様組成物を含む組成物が提供される。
【0091】
別の組成物からの共沸性又は共沸様組成物の分離に続いて、共沸性組成物は、少なくとも10重量%の共沸性若しくは共沸様組成物、又は少なくとも約20重量%の共沸性若しくは共沸様組成物、又は少なくとも約50重量%の共沸性若しくは共沸様組成物、又は少なくとも約70重量%の共沸性若しくは共沸様組成物、又は少なくとも約90重量%の共沸性若しくは共沸様組成物を含み得る。
【0092】
本明細書において開示された、有効量のTFAC及び二酸化硫黄を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる共沸性若しくは共沸様組成物は、TFACから二酸化硫黄を含む不純物を分離するために使用され得る。
【0093】
特に、有効量のTFAC及び二酸化硫黄を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる共沸性若しくは共沸様組成物は、TFAC及び二酸化硫黄のうちの一方又は両方を、任意選択的に、他の不純物などの、TFAC及び二酸化硫黄以外の1つ以上の他の化学化合物とともに含む組成物から形成され得る。共沸性又は共沸様組成物の形成後に、共沸性又は共沸様組成物は、蒸留、又は分留などの好適な方法によって他の化学化合物から分離され得る。
【0094】
本開示は、二酸化硫黄を、存在する場合、任意の追加の不純物とともに不純物として含むTFACの粗組成物から、不純物として二酸化硫黄を分離する方法を提供する。二酸化硫黄は、約5ppm以上、約50ppm以上、約100ppm以上、約500ppm以上、約1000ppm以上、約2000ppm以上、約3000ppm以上、又は約5000ppm以上の量でTFACの粗組成物中に存在し得る。
【0095】
1つの方法は、粗TFAC、不純物としての二酸化硫黄、及び存在する場合、任意の他の不純物を提供する工程と、粗TFACを蒸留カラムに搬送する工程と、二酸化硫黄、又は二酸化硫黄とTFACとの共沸性若しくは共沸様混合物を含む留出物を蒸留カラムから収集する工程と、TFACから本質的になる塔底生成物流を蒸留カラムから収集する工程と、を含む。
【0096】
別の方法は、TFAC、不純物としての二酸化硫黄、及び存在する場合、任意の他の不純物を含む粗組成物を提供する工程と、有効量のTFAC及び二酸化硫黄から本質的になるか、又はそれらからなる共沸性若しくは共沸様組成物を形成するための有効な条件に粗組成物を供する工程と、共沸性又は共沸様組成物を、例えば、蒸留又は分留などの分離技術によって粗組成物から分離する工程と、を含む。その後、共沸性又は共沸様組成物を、更なる分離又は精製工程に供して、精製されたTFACを取得し得る。
【0097】
TFAC及び二酸化硫黄を含む供給流からTFAC及び二酸化硫黄を分離するための更なる方法は、共沸性又は共沸様組成物の形成を含んでもよく、又はそれらの形成を含まなくてもよい。本方法は、TFAC及び二酸化硫黄を含む供給流を蒸留カラムに搬送して、塔底生成物流及び塔頂生成物流の両方を提供する初期工程を含む。塔底生成物流は、再沸器を通過し得、その一部分は、カラムに戻してリサイクルされ得、別の部分は、塔底生成物流として収集され得る。塔底生成物流は、TFACから本質的になる。塔頂生成物流は、凝縮器を通過し、その一部分は、カラムに戻って還流され、残りは塔頂生成物流として収集され得る。塔頂生成物流は、有効量のTFAC及び二酸化硫黄から本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む。生成物流は、過剰のTFACを更に含み得る。カラムは、所望の分離を実現するために様々な温度及び圧力条件下で動作され得る。
【0098】
塔底生成物流は、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下、又は約1ppm以下の量で二酸化硫黄を含み得る。
【0099】
別の例では、本開示は、少なくとも1つの追加の不純物とともに、不純物としての二酸化硫黄を含むTFACの粗組成物から、不純物としての二酸化硫黄を分離する方法を提供し、粗TFAC、不純物としての二酸化硫黄、及び少なくとも1つの追加の不純物の組成物を提供する工程と、粗組成物を固体吸着剤と接触させる工程と、を含む。
【0100】
好適な吸着剤としては、Acros Organicsから入手可能な(またHoneywell UOPからも入手可能な)3Åモレキュラーシーブなどのモレキュラーシーブ;Honeywell UOPから入手可能な4Å及びXH-9モレキュラーシーブ、Grace Davisonから入手可能な10Åモレキュラーシーブ、及びOsaka Gas Chemicalsから入手可能なMSC-3K 172炭素モレキュラーシーブなどの炭素モレキュラーシーブ;BASFから入手可能なSAS40 1/8”Aluminaなどの活性アルミナ;Zeolyst Internationalから入手可能なCBV5524G CYなどのゼオライトアンモニウム粉末;並びにCabotから入手可能なNORIT ROX 0.8 Activated Carbonなどの活性炭を挙げることができる。
【0101】
この方法では、二酸化硫黄は、SO2含有TFAC供給流を吸着剤と接触させることによる吸着プロセスによってTFACから除去され得る。この接触は、圧力差によって装填床を通して供給物流を移動させるために、ポンプを介して仲介され得る。吸着剤と接触すると、供給物流は、更なる処理のために前方に送られ得るか、又は所望の純度が実現されるまで、床から保持容器に戻してリサイクルされ得る。
リサイクルプロセス(又は吸着プロセス)は、約-30℃以上、約-20℃以上、約-10℃以上、約0℃以上、約10℃以上、約20℃以下、約30℃以下、約40℃以下、約50℃以下、約60℃以下、約70℃以下、約80℃以下、約90℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の範囲の温度で動作することができる。
リサイクルプロセス(又は吸着プロセス)は、約0psig以上、約5psig以上、約10psig以上、約20psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約120psig以下、約150psig以下、約200psig以下、約300psig以下、約500psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の範囲の圧力で動作することができる。
【0102】
4.トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の精製
TFAC及びHIからトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を形成する反応は、一般に、TFAIに対する高度の選択率で進行する。中間生成物流中の主な不純物は、未反応出発材料(TFAC及びHI)であり得、少量の不純物は、未反応HI及びトリフルオロ酢酸(TFA)などの酸性副生成物を含み得る。反応の主な副生成物は、少量の一酸化炭素(CO)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)とともに、塩化水素(HCl)を含み得る。これらの副生成物の沸点は、TFAIの沸点よりも低く、したがって、それらは、蒸留によってTFAIから分離され得る。
【0103】
中間生成物流中の有機化合物の組成は、ガスクロマトグラフィー(gas chromatography、GC)分析及びガスクロマトグラフィー質量分光(gas chromatography-mass spectroscopy、GC-MS)分析によるものとして測定され得る。有機化合物の各々に対してGC分析によって提供されるグラフ面積は、有機化合物の各々に対する全有機化合物のGC面積パーセンテージ(GC面積%)を中間生成物流中の有機化合物の相対濃度の測定値として提供するために組み合わせることができる。
【0104】
中間生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、全有機化合物のGC面積%で、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以下、約65%以下、約70%以下、約75%以下、約80%以下、約85%以下、約90%以下、約95%以下、約99%以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0105】
中間生成物流中の未反応トリフルオロアセチルクロリドの濃度は、全有機化合物のGC面積%で、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以下、約65%以下、約70%以下、約75%以下、約80%以下、約85%以下、約90%以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0106】
中間生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、全有機化合物のGC面積%で、約10%以下、約8%以下、約6%以下、約4%以下、約3%以下、約2.5%以下、約2%以下、約1.5%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、約0.1%以下、約0.01%以下、約0.001%以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0107】
中間生成物流中の全ての他の有機化合物の濃度は、全有機化合物のGC面積%で、約15%以下、約14%以下、約13%以下、約12%以下、約11%以下、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下、若しくは約0.1%以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であり得る。
【0108】
中間生成物流を第1の蒸留カラムに導いて、TFAC、HI、HCl、CF3I、COを含む塔頂生成物流を、第1の蒸留カラムの塔底生成物流中のTFAI、トリフルオロ酢酸(TFA)、I2、及び他の高沸点物質から分離し得る。第1の蒸留カラムの塔頂生成物流は、第1の蒸留カラムよりも高い圧力で動作される第2の蒸留カラムに導かれる。任意選択的に、第1の蒸留カラムの塔頂生成物流は、圧縮機を介して第2の蒸留カラムに導かれる。第2の蒸留カラムの塔頂生成物流は、主にHClを含み得る。第2の蒸留カラムの塔底生成物流は、主に未反応HI及びTFACを含み得、これらは任意選択的にリサイクルされてもよい。主にTFAIを少量のトリフルオロ酢酸(TFA)及びI2とともに含む第1の蒸留カラムの塔底生成物流は、上に示した統合プロセスの工程3からのリサイクルされたTFAIと合わせてもよい。
【0109】
第1の蒸留カラムの塔頂生成物流は、約-50℃以上、約-40℃以上、約-30℃以上、約-20℃以上、約-10℃以上、約0℃以上、約10℃以下、約20℃以下、約30℃以下、約40℃以下、約50℃以下、[又はこれらの終点によって包含される任意の値の温度であってもよい。
【0110】
第1の蒸留カラムの塔底生成物流は、一般に、約150℃未満、例えば、約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下、又は約100℃以下、又は約80℃以下、又は約70℃以下の温度に維持され得る。
【0111】
第1の蒸留カラムは、約0psig以上、約10psig以上、約25psig以上、約50psig以上、約75psig以上、約100psig以上、約125psig以上、約150psig以上、約175psig以下、約200psig以下、約225psig以下、約250psig以下、約275psig以下、約300psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の圧力で動作され得る。
【0112】
第2の蒸留カラムの塔頂生成物流は、約-60℃以上、約-50℃以上、約-40℃以上、約-30℃以下、約-20℃以下、約-10℃以下、約-5℃以下、約0℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の温度であってもよい。
【0113】
第2の蒸留カラムの塔底生成物流は、一般に、約150℃未満、例えば約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下、又は約100℃以下の温度に維持され得る。
【0114】
第2の蒸留カラムは、約20psig以上、約40psig以上、約60psig以上、約80psig以上、約100psig以上、約120psig以上、約140psig以上、約160psig以上、約180psig以上、約200psig以下、約220psig以下、約240psig以下、約260psig以下、約280psig以下、約300psig以下、約320psig以下、約340psig以下、約350psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の圧力で動作され得る。
【0115】
代替的に、中間生成物流を第1の蒸留カラムに導いて、第1の蒸留カラムの塔底生成物流中のTFAI、HI、TFAC、及び他の高沸点物質から主にHClを含む塔頂生成物流を分離してもよい。第1の蒸留カラムの塔底生成物流は、第2の蒸留カラムに導かれる。第2の蒸留カラムの塔頂生成物流は、主にHI及びTFACを含み、これは任意選択的にリサイクルされる。第2の蒸留カラムの塔底生成物流は、少量のTFA及びI2とともに、主にTFAIを含み、これは統合プロセスの工程3からのリサイクルされたTFAIと合わされてもよい。
【0116】
この代替プロセスでは、第1の蒸留カラムの塔頂生成物流は、約-60℃以上、約-55℃以上、約-50℃以上、約-45℃以上、約-40℃以上、約-35℃以上、約-30℃以上、約-25℃以下、約-20℃以下、約-15℃以下、約-10℃以下、約-5℃以下、約0℃以下、又はこれらの終点よって包含される任意の値の温度であってもよい。
【0117】
第1の蒸留カラムの塔底生成物流は、約20℃以上、30℃以上、40℃以上、約60℃以上、約80℃以上、約100℃以上、約125℃以上、約150℃以下、約125℃以下、約100℃以下、約80℃以下、約60℃以下、約40℃以下、約30℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の温度であってもよい。
【0118】
第1の蒸留カラムは、約20psig以上、約40psig以上、約60psig以上、約80psig以上、約100psig以上、約120psig以上、約140psig以上、約160psig以上、約180psig以上、約200psig以上、約220psig以下、約240psig以下、約260psig以下、約280psig以下、約300psig以下、約320psig以下、約340psig以下、約350psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の圧力で動作され得る。
【0119】
第2の蒸留カラムの塔頂生成物流は、約-30℃以上、約-20℃以上、約-10℃以上、約0℃以上、10℃以上、約20℃以上、約30℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以下、約70℃以下、約60℃以下、約50℃以下、約40℃以下、約30℃以下、約20℃以下、約10℃以下、約0℃、約-10℃以下、約-20℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の温度であってもよい。
【0120】
第2の蒸留の塔底生成物流は、約20℃以上、30℃以上、40℃以上、約60℃以上、約80℃以上、約100℃以上、約125℃以上、約150℃以下、約125℃以下、約100℃以下、約80℃以下、約60℃以下、約40℃以下、約30℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の温度であってもよい。
【0121】
第2の蒸留カラムは、約0psig以上、約10psig以上、約20psig以上、約40psig以上、約60psig以上、約80psig以上、約100psig以上、約120psig以上、約140psig以上、約160psig以上、約180psig以上、約200psig以上、約225psig以上、約250psig以下、約225psig以下、約200psig以下、約180psig以下、約160psig以下、約140psig以下、約120psig以下、約100psig以下、約80psig以下、約60psig以下、約40psig以下、約20psig、約10psig以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の圧力で動作され得る。
【0122】
これらの動作条件は、単なる例示であることが理解される。当業者は、例えば、動作圧力が変化する場合、動作温度も同じ組成物について変化することを容易に理解するであろう。
【0123】
精製された中間生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、約97%を超え得る。好ましくは、精製された中間生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、約99%を超え得る。より好ましくは、精製された中間生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、約99.5%を超え得る。最も好ましくは、精製された中間生成物流中のトリフルオロアセチルヨージドの濃度は、約99.9%を超え得る。
【0124】
精製された中間生成物流は、貯蔵されてもよく、又はトリフルオロヨードメタンに変換するための第2の反応器に供給されてもよい。トリフルオロアセチルヨージドを含む精製された中間生成物流は、第2の反応器に直接供給され得る。代替的に、又は追加的に、精製された中間生成物流は、精製された中間生成物流が第2の反応器に供給される前に、精製された中間生成物流を加熱する予熱器を通過してもよい。
【0125】
反応の第2工程(TFAC及びHIからのTFAIの形成)の間に、特に高温で、いくらかのCF3Iが形成され得る可能性がある。しかしながら、TFAIのCF3I及び一酸化炭素(CO)への分解は完了せず、したがって、とりわけ、TFAI、CF3I、CO、TFAC、及びHClを含む混合物を形成し得る。これは、TFAC及びCF3Iが共沸性若しくは共沸様組成物を形成し得るか、又はそうでなければ非常に近い沸点のために蒸留によって分離することが困難であり得るので、精製装置における追加の資本支出をもたらし得る。したがって、工程2において形成される任意のCF3Iは、収率損失又は追加の装置及び費用を表し得る。したがって、この工程中のCF3Iの形成を最小限に抑えるか、又は場合によっては排除することは、プロセスに対する著しい改善を表し得る。
【0126】
この工程におけるCF3Iの形成を低減するために、150℃を超えるバルク温度は回避されるべきであることが見出されている。このプロセスは、かなりの量のTFAIが存在するときはいつでもカラム温度をこの温度未満で動作するようにカラム温度を調節することによって最適化され得る。したがって、バルク温度は、約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下、又は約110℃以下であってもよい。
【0127】
温度を所望の温度に維持するために、調整水若しくは他の伝熱流体が使用されてもよく、又は低圧蒸気が使用されてもよい。場合によっては、バルク温度を150℃ポイント未満に保つために、より低沸点の化合物を添加してもよく、これは、純粋なTFAIが望まれない場合に特に有用であり得る。低沸点化合物は、好ましくは、TFAC、HCl、及び/又はCOなどの統合プロセス内から選択される。バルク温度はまた、TFAIを含有する蒸留工程において約137psig未満の動作圧力を選択することによって制限され得るが、圧力は、蒸留工程における他の化合物の存在に依存し得る。
【0128】
TFAIの精製のための蒸留条件(具体的には、低温及び/又は低圧)を選択することにより、CF3Iの形成が最小限に抑えられ得る。高温表面(再沸器及び他のヒーターなど)上でのCF3Iを形成する可能性は、130℃未満、例えば約130℃以下、約125℃以下、約120℃以下、又は約115℃以下の温度で加熱媒体を使用することによって更に低減され得る。
【0129】
低圧蒸気を使用することにより、CF3Iの形成も低減し得る。蒸気は、約30psig未満、例えば、約30psig以下、約25psig以下、約22psig以下、約20psig以下、又は約15psig以下の圧力を有し得る。
【0130】
CF3Iの形成を低減させるための更なる手段として、中間伝熱流体が用いられてもよい。好適な流体は、例えば、調整された水及び熱い油を含んでもよい。
【0131】
5.CF3I及びTFACの共沸性又は共沸様組成物
上述のように、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)が、トリフルオロヨードメタン(CF3I)と、均質な、極小沸点の共沸性及び共沸様組成物又は混合物を形成すること、並びに本開示が、TFAC及びCF3Iを含む均質な共沸性又は共沸様組成物を提供することが見出された。共沸性又は共沸様組成物は、TFAC及びCF3Iから本質的になり得るか、又は共沸性若しくは共沸様組成物は、TFAC及びCF3Iからなり得る。
【0132】
TFAC及びCF3Iの共沸様組成物は、例えば、約14.41psia±0.30psiaの圧力において約-22.50℃±0.30℃の温度範囲で沸騰する組成物又は組成物の範囲を含む、約4.9psia~約348psiaの圧力において約-46.0℃~約90.0℃の温度範囲で沸騰する組成物又は組成物の範囲である。
【0133】
共沸性又は共沸様組成物は、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になるか、又はそれらからなる。
【0134】
以下の実施例に示されるように、本発明の共沸組成物の圧力感受性は、TFAC及びCF3Iを含む組成物の分離を可能にし、「圧力スイング」蒸留によってTFAC及びCF3Iの各々の本質的に純粋な組成物を形成する。
【0135】
トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を、TFAC及びCF3Iを含む一次組成物から分離する1つの方法は、一次組成物含む供給流を低圧カラムに搬送する初期工程を含む。塔底生成物は、純粋なTFACから本質的になる高圧カラムから収集されてもよい。次いで、第1の留出物は、ポンプ又は圧縮機を介して低圧カラムから高圧カラムに搬送され、圧力が上昇し、ここで、第1の留出物は、有効量のTFAC及びCF3Iから本質的になる共沸性又は共沸様組成物である。第2の塔底生成物は、純粋なCF3Iから本質的になる高圧カラムから収集されてもよい。本方法は、第2の収集工程の後に、高圧カラムからの第2の留出物を、一次組成物を含む供給流に戻す、追加の工程を更に含んでもよい。
【0136】
同様に、TFAC及びCF3Iを、TFAC及びCF3Iを含む一次組成物から分離する別の方法は、一次組成物含む供給流を高圧カラムに搬送する初期工程を含む。塔底生成物は、純粋なCF3Iから本質的になる高圧カラムから収集されてもよい。次いで、第1の留出物は、高圧カラムから低圧カラムへ搬送され、ここで、第1の留出物は、有効量のTFAC及びCF3Iから本質的になる共沸性又は共沸様組成物である。第2の塔底生成物は、TFACから本質的になる低圧カラムから収集されてもよい。本方法は、第2の収集工程の後に、ポンプ又は圧縮機を介して低圧カラムからの第2の留出物を、一次組成物を含む供給流に戻してリサイクルさせる追加の工程を更に含んでもよい。
【0137】
6.TFAC及びCF3Iの共沸性又は共沸様組成物の破壊
共沸性又は共沸様組成物の成分(トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I))は、互いに分離することが困難であり得る。換言すれば、共沸性又は共沸様組成物を破壊することは困難であり得る。
【0138】
トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の共沸性又は共沸様組成物を破壊するための本開示によって提供される1つの方法は、共沸性又は共沸様組成物を溶媒と接触させることと、CF3I及びTFACの一方を溶媒中に抽出して、溶媒並びにCF3I及びTFACの一方を含む第1の組成物、並びにCF3I及びTFACの他方を含む第2の組成物を形成することと、第1及び第2の組成物を分離することと、を含む。分離後、CF3I及び/又はTFACは、精製されてもよい。
【0139】
具体的には、共沸性又は共沸様組成物を溶媒と接触させて、共沸性又は共沸様組成物の成分のうちの1つと選択的に相互作用させるか、又は吸収させて、第1の組成物及び第2の組成物をもたらし得る。第1の組成物は、CF3I及びTFACのうちの1つ、並びに溶媒を含み、共沸性又は共沸様混合物のこれらの成分のうちのどれと溶媒が選択的に相互作用するかに依存する。第2の組成物は、CF3I及びTFACの他方を含む。次いで、第1及び第2の組成物は、互いに分離され得る。
【0140】
共沸様組成物の破壊に関連して本明細書で使用される場合、「溶媒」という用語は、共沸性又は共沸様組成物の成分のうちの1つと選択的に相互作用する1つ以上の化学化合物を指す。例えば、共沸性又は共沸様組成物の成分のうちの1つを溶媒に選択的に吸収させ、それによって共沸性又は共沸様組成物の成分を分離し得る。好適な溶媒としては、例えば、二酸化硫黄(SO2)、鉱油、トルエン、アセトニトリル、又はこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ得る。鉱油とは、石油留出物などの鉱物源からの高級アルカンの軽質混合物を指す。
【0141】
特に、共沸性又は共沸様組成物の破壊は、共沸性又は共沸様組成物を溶媒と接触させる際に起こる。これは、共沸性又は共沸様組成物と溶媒との単純なブレンドによって、例えば混合によって、又は蒸留カラム中で達成され得る。任意選択的に、ブレンドを蒸留条件に供してもよい。
【0142】
共沸性又は共沸様組成物を溶媒と接触させた後、共沸性又は共沸様組成物間の十分な接触時間は、混合物が平衡条件に達することを可能にする。平衡に達すると、共沸性又は共沸様組成物の一方の成分は、主に溶媒中に見出されるが、他方の成分は、主に溶媒から排除される。
【0143】
特に、溶媒中のトリフルオロヨードメタン(CF3I)とトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)との比は、約2.0:1.0以上、約2.5:1.0以上、約3.0:1.0以上、約3.5:1.0以上、約5.0:1.0以上、約10.0:1.0以上、約100:1.0以上、又は約1000:1.0以上であってもよい。代替的に、溶媒中のトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)とトリフルオロヨードメタン(CF3I)との比は、約2.0:1.0以上、約2.5:1.0以上、約3.0:1.0以上、約3.5:1.0以上5.0:1.0以上、約10.0:1.0以上、約100:1.0以上、又は約1000:1.0以上であってもよい。
【0144】
溶媒の添加に続いて、例えば、圧力スイング蒸留、共沸抽出、液液抽出、吸収又は抽出蒸留を含む、トリフルオロアセチルクロリド(TFACl)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)を互いに分離し得るいくつかの可能な方法が存在する。
【0145】
一例では、本開示は、抽出蒸留を使用して共沸性又は共沸様組成物の成分(トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I))を分離する方法を提供する。共沸性又は共沸様組成物は、抽出蒸留カラムに供給されてもよい。溶媒が共沸性又は共沸様組成物と接触して、第1の留出物を含むトリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の一方を含む第1の組成物、並びに第1の塔底生成物を含むトリフルオロヨードメタン(CF3I)又はトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の他方及び溶媒を含む第2の組成物がもたらされるように、溶媒を抽出蒸留カラムに供給してもよい。
【0146】
第1の留出物は、前のプロセスフローに戻してリサイクルされてもよく、かつ/又は精製に供されてもよい。次いで、第1の塔底生成物を蒸留カラムに通して、第2の留出物及び第2の塔底生成物を生成し得る。第2の留出物は、精製されたCF3I又は精製されたTFACのうちの1つの生成物流を含む。第2の塔底生成物は、回収された溶媒を含み、これはパージされ得る。代替的に、回収された溶媒は、最初に溶媒の温度を下げるための任意選択の冷却器を介してリサイクルされ得る。必要に応じて追加の溶媒を添加してもよく、回収された溶媒及び追加の溶媒を任意選択の溶媒回収容器に通してもよい。任意選択の溶媒回収容器から、溶媒は、溶媒リサイクルポンプを通過して、抽出蒸留カラムに供給される前に溶媒流と合流してもよい。
【0147】
抽出蒸留カラムは、一段階フラッシュカラムであってもよい。代替的に、抽出蒸留カラムは、多段塔であってもよい。
【0148】
上で考察された方法の一例では、第1の組成物は、TFACを含んでもよく、第2の組成物は、CF3I及び溶媒を含んでもよい。抽出蒸留に続いて、第1の留出物は、TFACを含み得、これは反応器に戻してリサイクルされ得る。次いで、CF3I及び溶媒を含む第1の塔底生成物を蒸留カラムに通して、CF3Iの生成物流を含む第2の留出物、及び回収溶媒を含む第2の塔底生成物を生成し得、これは抽出蒸留カラムに戻してパージ又はリサイクルされ得る。更なる工程では、CF3Iは、任意選択的に精製されてもよい。
【0149】
7.トリフルオロアセチルヨージド供給流及びトリフルオロヨードメタン生成物流からのヨウ素(I2)の除去及び回収
トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)中にヨウ素(I2)及びHI3の両方の形態でヨウ素(I2)含有不純物が存在すると、動作上の問題が生じ得る。具体的には、これらのヨウ素化不純物の存在は、HI及びHI3などの水素含有種の存在に起因してTFAIのトリフルオロヨードメタン(CF3I)への変換工程中に形成され得るトリフルオロメタンなどの望ましくない副生成物の形成を増加させ得、それによって全体的なプロセス収率を低下させ、トリフルオロヨードメタン最終生成物の精製を困難にする可能性がある。更に、ヨウ素の存在は、装置及び配管内に固体材料の堆積をもたらす可能性があり、これは目詰まり又は汚損をもたらす可能性がある。
【0150】
本開示は、プロセス中の異なる時点でヨウ素を除去する様々な方法を提供する。例えば、ヨウ素は、反応器の上流のTFAI供給原料から、又は反応器の下流のCF3I生成物流から、又はその両方から除去され得る。
【0151】
1つの方法では、TFAI供給原料を、炭素質材料を充填したカラムを通過させ、供給原料からHI、三ヨウ化水素(HI3)、及びヨウ素を除去し得る。
【0152】
本開示はまた、少なくとも1つのカラムを使用して、反応器流出物流からヨウ素含有生成物を除去する方法を提供する。このカラムは、HI3及びI2などのヨウ素含有種が上記の反応式3からのCF3I生成物流から除去され得るように配置され得る。1つの方法では、ヨウ素が表面上に堆積するのを防止するために、ヨウ素を可溶性に保つために溶媒を反応器流出物に添加してもよい。ヨウ素固体の形成を制限することは、目詰まり及び腐食などの動作上の問題を制限し得る。
【0153】
上述したように、好適な溶媒は、ベンゼン及びアルキル置換ベンゼンなどの高いヨウ素溶解度を有するものである。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、エチルベンゼンなど、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、及び例えばイミダゾリウム塩及び硫酸水素カプロラクタミウムなどのイオン性液体、並びにそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0154】
図2、
図2A、及び
図3を参照すると、1つの方法において、ヨウ素含有生成物は、以下に記載される方法を使用してCF
3I生成物流から除去され得る。TFAIを含む供給流を反応器200に通過させ、CF
3I、TFAI、一酸化炭素(CO)、トリフルオロ酢酸(TFA)、三ヨウ化水素(HI
3)、及びヨウ素(I
2)を含む生成物流202を提供し得る。トルエンなどの溶媒を生成物流202に添加して、固体ヨウ素が表面上に堆積するのを防止し得る。TFAIの形成(統合プロセスの前の工程)から誘導された、粗トリフルオロアセチルヨウ化物(TFAI)、ヨウ素(I
2)、及びHI
3を含む流れ(
図2の138又は
図2Aの126A)は、第1のカラム204に搬送される前に生成物流202と合わされて、CF
3I、CO、及び少量の低沸点不純物を含む第1の塔頂生成物流208を提供し得る。第1の塔頂生成物流208を更に処理して、冷媒グレードCF
3Iを提供し得る。未反応TFAI、ヨウ素、HI
3、及び高沸点成分を含む第1の塔底生成物流206は、粗TFAI、ヨウ素、及びHI
3を含む統合プロセスの前の工程からの流れ112(
図2及び
図2Aにおいて)と合わされ得る。次いで、合わせた流れを第2のカラム124(
図2及び
図2A)に供給し、上記のように処理する。上述の例などの本開示のヨウ素除去プロセスは、連続プロセスとして実行されてもよく、又は間欠プロセスとして行われてもよい。
【0155】
カラムは、有機構成成分、例えば、TFAI、TFAなど、ヨウ素(I2)と使用される溶媒との間の反応を防止又は最小限に抑える条件下で動作される。
【0156】
第2のカラム(
図2のカラム124)の塔頂は、約0℃~約150℃の温度、例えば、約0℃以上、約20℃以上、約40℃以上、約60℃以上、約80℃以上、約100℃以上、約125℃以上、約150℃以下、約125℃以下、約100℃以下、約80℃以下、約60℃以下、約40℃以下、約20℃以下、約10℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0157】
第2のカラムの塔底温度は、約60℃~約260℃の温度、例えば、約60℃以上、約90℃以上、約120℃以上、約150℃以上、約180℃以上、約210℃以上、約240℃以上、約260℃以下、約240℃以下、約210℃以下、約180℃以下、約150℃以下、約120℃以下、約90℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0158】
第2のカラムは、約-10psig~250psigの圧力、例えば、約0psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以上、約250psig以下、約200psig以下、約150psig以下、約100psig以下、約50psig以下、約0psig以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0159】
第3のカラム(
図2のカラム130)の塔頂は、約60℃~約250℃の温度、例えば、約60℃以上、約90℃以上、約120℃以上、約150℃以上、約180℃以上、約210℃以上、約240℃以上、約250℃以下、約240℃以下、約210℃以下、約180℃以下、約150℃以下、約120℃以下、約90℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0160】
第3のカラムの塔底温度は、約135℃~約350℃の温度、例えば、約150℃以上、約200℃以上、約250℃以上、約300℃以上、約325℃以上、約350℃以下、約325℃以下、約300℃以下、約250℃以下、約200℃以下、約150℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0161】
第3のカラムは、約-10psig~約200psigの圧力、例えば、約0psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以下、約150psig以下、約100psig以下、約50psig以下、約0psig以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0162】
第4のカラム(
図2のカラム136)の塔頂は、約0℃~約150℃の温度、例えば、約0℃以上、約20℃以上、約40℃以上、約60℃以上、約80℃以上、約100℃以上、約125℃以上、約150℃以下、約125℃以下、約100℃以下、約80℃以下、約60℃以下、約40℃以下、約20℃以下、約10℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0163】
第4のカラムの塔底温度は、約55℃~250℃未満の温度、例えば、約60℃以上、約90℃以上、約120℃以上、約150℃以上、約180℃以上、約210℃以上、約240℃以上、約250℃以下、約240℃以下、約210℃以下、約180℃以下、約150℃以下、約120℃以下、約90℃以下、約90℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値に維持され得る。
【0164】
第4のカラムは、約-10psig~約200psigの圧力、例えば、約0psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以下、約150psig以下、約100psig以下、約50psig以下、約0psig以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0165】
代替実施形態では、
図2Aに示すように、第2のカラム(
図2Aのカラム124A)の塔頂は、約0℃~約150℃の温度、例えば、約0℃以上、約20℃以上、約40℃以上、約60℃以上、約80℃以上、約100℃以上、約125℃以上、約150℃以下、約125℃以下、約100℃以下、約80℃以下、約60℃以下、約40℃以下、約20℃以下、約10℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0166】
第2のカラムの塔底温度は、約60℃~約250℃の温度、例えば、約60℃以上、約90℃以上、約120℃以上、約150℃以上、約180℃以上、約210℃以上、約240℃以上、約250℃以下、約240℃以下、約210℃以下、約180℃以下、約150℃以下、約120℃以下、約90℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0167】
第2のカラムは、約-10psig~約250psigの圧力で、例えば、約0psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以上、約250psig以下、約200psig以下、約150psig以下、約100psig以下、約50psig以下、約0psig以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0168】
第3のカラム(
図2Aのカラム130A)の塔頂は、約60℃~約200℃の温度、例えば、約60℃以上、約90℃以上、約120℃以上、約150℃以上、約180℃以上、約200℃以下、約180℃以下、約150℃以下、約120℃以下、約90℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0169】
第3のカラムの塔底温度は、約70℃~約350℃の温度、例えば約100℃以上、約150℃以上、約200℃以上、約250℃以上、約300℃以上、約325℃以上、約350℃以下、約325℃以下、約300℃以下、約250℃以下、約200℃以下、約150℃以下、約100℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0170】
第3のカラムは、約-10psig~約200psigの圧力、例えば、約0psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以下、約150psig以下、約100psig以下、約50psig以下、約0psig以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0171】
第4のカラム(
図2Aのカラム136A)の塔頂は、約40℃~150℃の温度、例えば、約60℃以上、約80℃以上、約100℃以上、約125℃以上、約150℃以下、約125℃以下、約100℃以下、約80℃以下、約60℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0172】
第4のカラムの塔底温度は、約65℃~約300℃未満の温度、例えば、約70℃以上、約90℃以上、約120℃以上、約150℃以上、約180℃以上、約210℃以上、約250℃以上、約300℃以下、約250℃以下、約210℃以下、約180℃以下、約150℃以下、約120℃以下、約90℃以下、約70℃以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値に維持され得る。
【0173】
第4のカラムは、約-10psig~約200psigの圧力、例えば、約0psig以上、約50psig以上、約100psig以上、約150psig以上、約200psig以下、約150psig以下、約100psig以下、約50psig以下、約0psig以下、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、又はこれらの終点によって包含される任意の値で動作され得る。
【0174】
蒸気/液体接触カラムを使用して蒸気流からヨウ素を除去するための別の代替法は、ヨウ素が液体として回収されることを可能にし得、これは、任意の装置から溶融除去される必要がなく、目詰まりなどの問題を引き起こさないので、固体ヨウ素の回収に勝る利点を提供する。
【0175】
この方法では、例えば、TFAI及びTFAなどの回収される成分を含む供給流は、低濃度のヨウ素を含む溶媒とともに第1のカラムに供給され得る。第1のカラムは、還流を可能にするために凝縮器及び精留セクションを含み、任意選択的に再沸器及びストリッピングセクションを含み得る。第1カラムからの蒸気を含む第1の塔頂生成物流は、TFAIなどの回収される成分を含有してもよい。第1の塔底生成物流は、溶媒及びヨウ素を含んでもよい。第1の塔底生成物流は、再沸器及びストリッピングセクション、並びに任意選択的に凝縮器及び精留セクションを含む第2のカラムに搬送されてもよい。第2の塔頂生成物流は、蒸気又は液体の形態の溶媒を含み得る。この塔頂生成物流は、任意選択の新鮮な溶媒とともに第1のカラムに戻してリサイクルされ得る。第2のカラムからの第2の塔底生成物流は、液体ヨウ素を含み得、これは回収され得る。
【0176】
任意選択的に、更なるカラムが、部分的な分離を行うために含まれ得る。
【0177】
上記の方法における溶媒は、ヨウ素の溶解度が高い溶媒であってもよい。溶媒は、ヨウ素の蒸気圧よりも高いが、ガス流中で回収される成分の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有し得る。好適な溶媒としては、例えば、ベンゼン;キシレン、例えばパラキシレン及びメタキシレン;アルキル化ベンゼン、例えばメシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トルエン、エチルベンゼン;ジメチルホルムアミド(DMF);並びにジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられ得る。
【0178】
溶媒タイプ、溶媒循環速度、第1のカラム圧力、及び第1のカラム再沸器熱入力は、ヨウ素が固相を形成しないように選択される。例えば、温度は、ヨウ素(I2)の融点である114℃を超えてもよい。これは、ヨウ素が溶媒中に溶解し、塔底生成物中で第1のカラムから出るので、第1の塔頂生成物がヨウ素(I2)を実質的に含まないことを可能にする。
【0179】
第1の塔頂生成物流は、約10,000ppm以下、約7000ppm以下、約5000ppm以下、約2500ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下、約1ppm以下、又は約0ppmの量でヨウ素を含有し得る。これは、ヨウ素が溶媒に溶解して塔底生成物流中の第1のカラムに存在するので、第1の塔頂生成物流は、ヨウ素を実質的に含まないことを可能にする。
【0180】
溶媒タイプ、溶媒循環速度、第2のカラム圧力、及び第2のカラム再沸器熱入力は、ヨウ素(I2)が固相を形成しないように選択される。例えば、温度は、ヨウ素(I2)の融点である114℃を超えてもよい。これは、ヨウ素が液体として存在し、塔底生成物流として第2のカラムから出るので、第2の塔頂生成物流がヨウ素を実質的に含まないことを可能にする。第2のカラムの動作圧力は、第1のカラムの動作圧力より低くてもよい。
【0181】
第2の塔頂生成物流は、約10,000ppm以下、約7000ppm以下、約5000ppm以下、約2500ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下、約1ppm以下、又は約0ppmの量でヨウ素を含有し得る。
【0182】
更に別の代替法として、液体ヨウ素は、第3の成分を使用する相分離を介して回収される成分から回収されてもよい。好適な第3の成分は、反応及び回収プロセスと適合性であり得、存在する有機成分と混和性であり得、ヨウ素と実質的に不混和性であり得る。そのような成分の1つは、TFAである。
【0183】
ヨウ素とTFAとの混合物を、ヨウ素の融点より高い温度に加熱して、それを液相に維持し得る。次いで、混合物を2層に沈降させてもよい。上部有機層をデカントして所望の生成物を回収し得る。好ましくは、TFAは、リサイクルのために蒸留又は一連の蒸留工程によってTFAIから分離される。次いで、液体ヨウ素を含む底部層は、統合プロセスの第1の工程に戻してリサイクルされ得るか、又は代替使用のために貯蔵され得る。任意選択的に、ヨウ素は、更に精製されてもよい。
【0184】
温度は、約114℃以上、約115℃以上、約120℃以上、約125℃以下、約130℃以下、約135℃以下、約140℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であってもよい。
【0185】
別の代替法として、TFAI、CF3I、HI3、及びヨウ素を含む粗CF3I生成物流を、炭素質材料を充填したカラムに通過させ、粗生成物から三ヨウ化水素(HI3)及びヨウ素を除去し得る。
【0186】
8.トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)からのトリフルオロヨードメタン(CF3I)の形成
上記で考察したように、統合プロセスの第3の反応工程において、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を反応させて、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び一酸化炭素(CO)を形成する。本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するための気相プロセスを提供する。
【0187】
本プロセスは、TFAIを含む反応物流を提供することと、流れを反応器に提供することと、任意選択的に、流れを触媒と接触させることと、流れを反応器内で変換してCF3Iを含む生成物流を生成することと、を含む。
【0188】
触媒が使用される場合、触媒は、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-銅合金、銅、アルミナ、炭化ケイ素、白金、パラジウム、レニウム、活性炭、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。触媒は、活性炭を含んでもよい。
【0189】
反応温度は、約200℃以上、約250℃以上、約300℃以上、約350℃以上、約400℃以上、約450℃以下、約500℃以下、約550℃以下、約600℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であってもよい。好ましくは、反応は、約300℃~約500℃の温度で実施され得る。より好ましくは、反応は、約300℃~約400℃の温度で実施され得る。
【0190】
反応は、約0psig以上、約5psig以上、約20psig以上、約50psig以上、約70psig以上、約100psig以上、約150psig以下、約200psig以下、約225psig以下、約250psig以下、約275psig以下、約300psig以下、又はこれらの終点を包含する任意の範囲内の圧力で実施され得る。しかしながら、任意の圧力、例えば減圧又は過圧が反応に使用され得る。
【0191】
反応物流と触媒との接触時間は、約0.1秒以上、約1秒以上、約5秒以上、約10秒以上、約20秒以上、約30秒以上、約40秒以上、約50秒以下、約60秒以下、約80秒以下、約100秒以下、約120秒以下、約180秒以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であってもよい。
【0192】
本プロセスは、連続プロセスであり得る。本プロセスは、生成物流から未反応TFAIを分離し、分離された未反応TFAIを反応物流に戻す追加の工程を更に含んでもよい。本プロセスは、生成物流からCOを分離する追加の工程を更に含んでもよい。本プロセスは、CF3Iを濃縮し、粗生成物として収集する追加の工程を更に含んでもよい。
【0193】
CF3I粗生成物中のCF3Iの濃度は、99重量%超、例えば、約99重量%以上、約99.5重量%以上、又は約99.9重量%以上であってもよい。
【0194】
1つの方法では、反応の第2工程からの精製された反応物TFAI流を蒸発させ、反応温度まで過熱してもよい。いくつかの実施形態では、CF3I及び/又はCOなどの、好ましくは統合プロセス内から選択されるより低沸点の化合物を気化器に供給して、気化混合物の露点を低下させて、ヨウ素の形成を低減し得るより低い温度での動作を可能にし得る。
【0195】
反応は、加熱された管型反応器又は電気加熱反応器中で行われてもよい。電気ヒーター反応器は、低電圧の交流を利用してヒーター管壁を直接通過する電流を有するインピーダンス管反応器であり得る。代替的に、電気ヒーター反応器は、浸漬型電気ヒーターであり得る。この新規な浸漬型電気ヒーターは、加熱媒体として電気を使用するシステムであってもよく、反応は加熱要素の外側で起こる。別の方法では、伝熱媒体が管の外側を流れ、反応器供給物が管を通って流れるシェルアンドチューブ反応器も好適であり得る。反応管が電気によって直接加熱されるインピーダンスヒーターも使用され得る。インピーダンス反応器は、シェルアンドチューブ構成で見られるような管又はパイプから構成されてもよい。一実施形態では、管又はパイプのうちの1つ以上がフィン付きであってもよく、別の実施形態では、管又はパイプのうちのいずれの管もフィン付きではない。したがって、一実施形態では、管又はパイプの全てが平滑であり、別の実施形態では、管又はパイプのうちの少なくとも1つが平滑である。電流は、反応器加熱を提供するために、パイプの表面を通過させて、かつ/又はパイプの内側若しくは外側に配設された充填物を通過させて、又は別様に反応器内に通過させてもよい。
【0196】
反応器は、圧縮された酸化マグネシウム(MgO)粉末内にニクロム加熱要素を収容する金属合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のユニットを直列及び/又は並列で使用し得る。
【0197】
反応器は、例えば、Inconel(登録商標)600、Inconel(登録商標)625、Incoloy(登録商標)800、及びIncoloy(登録商標)825などの金属合金を含み得る。
【0198】
ヒーター表面は、触媒表面又は非触媒表面であってもよい。好適な金属表面は、無電解ニッケル、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケル-銅合金、ニッケル-クロム-鉄合金、ニッケル-クロム合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0199】
反応温度は、約200℃以上、約250℃以上、約300℃以上、約350℃以上、約400℃以上、約450℃以下、約500℃以下、約550℃以下、約600℃以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値であってもよい。好ましくは、反応は、約300℃~約500℃の温度で実施され得る。より好ましくは、反応は、約300℃~約400℃の温度で実施され得る。
【0200】
反応は、約0psig以上、約5psig以上、約20psig以上、約50psig以上、約70psig以上、約100psig以上、約150psig以下、約200psig以下、約225psig以下、約250psig以下、約275psig以下、約300psig以下、又はこれらの終点を包含する任意の範囲内の圧力で実施され得る。しかしながら、任意の圧力、例えば減圧又は過圧が反応に使用され得る。
【0201】
反応物流は、約0.1秒以上、約1秒以上、約5秒以上、約10秒以上、約20秒以上、約30秒以上、約40秒以上、約50秒以下、約60秒以下、約80秒以下、約100秒以下、約120秒以下、約180秒以下、又はこれらの終点によって包含される任意の値の期間にわたってヒーターと接触していてもよい。
【0202】
任意選択的に、反応器流出物(又は粗生成物流)は、エネルギーを節約するために、蒸発したTFAIを加熱するために使用されてもよい。
【0203】
TFAIを分解してCF3I及びCOを形成する間、1回の通過当たりの転化率は、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、又は約90%以上であり得る。転化率は、装置サイズと選択率との間のバランスが達成され得るように選定される。
【0204】
装置サイズに関しては、1回の通過当たりの低い転化率は、リサイクルが大きくなり、より大きな装置が必要となる。
【0205】
望ましくない副生成物に対する選択率に関して、1回の通過当たりのより高い転化率は、より多くの望ましくない副生成物をもたらし得る。
【0206】
9.トリフルオロヨードメタン(CF3I)の精製
生成物流は、主にCF3I及びCOを含み得る。反応物流はまた、更なる副生成物、例えば、一酸化炭素(CO2)、TFA、及び有機ハロゲン化物、例えば、R23(CH3F)、R13(CClF3)、トリフルオロアセチルフルオリド(TFAF)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ペンタフルオロプロパノン、133a(2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)、ペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)、メチルプロパン(イソブタンCH(CH33としても知られる)、並びにヨウ素を含み得る。反応器流出物はまた、未反応TFAIを含み得る。
【0207】
本開示は、蒸留カラムを使用してCF3I生成物を精製する方法を提供する。この方法では、反応器流出物は、任意選択的に冷却され、第1の蒸留カラムに供給されて、第1の塔頂生成物流及び第1の塔底生成物流を提供し得る。任意選択的に、ヨウ素が配管内又はカラム内部で凝固するのを防止するために、反応器流出物が第1のカラムに入る前にトルエンを反応器流出物に添加してもよい。第1の塔頂生成物流は、例えばペンタフルオロヨードエタン(CF3CF2I)、TFAF、R13及びR23、メチルプロパンを含む、CF3I、CO、並びに他の低沸点成分を含み得る。
【0208】
第1の塔底生成物流は、未反応TFAI、並びに例えばTFA及びI2などの高沸点成分を含有し得る。トルエンがカラムに入る前に流れに添加される場合、それは塔底生成物流の一部を含み得る。塔底生成物流は、上述のリサイクル流と混合され得る。
【0209】
第1の塔頂生成物流を圧縮機で圧縮し、第2の蒸留カラムに供給して、第2の塔頂生成物流及び第2の塔底生成物流を提供し得る。プロセスに沿った他の点で使用される蒸留カラムからのHCl流(上述したように)も、第2の蒸留カラムにも供給され得る。第2の塔頂生成物流は、CO及びHClを含み得る。第2の塔頂生成物流は、任意選択的に、吸着剤上を通過させて、HIなどのHCl以外の任意の残留酸性成分及びTFAFなどの残留有機物を除去し、次いで水に吸収させてHCl水溶液を形成し得る。第2のカラムにHClを供給することにより、第2の塔頂生成物流が主にCOを含む場合よりも高い温度で還流を開始させることが可能になり得、COは、高圧及び極低温冷却剤の組み合わせを必要とする非常に低い沸点を有する。したがって、本プロセスは、他の方法で必要となるCOの低温凝縮を必要としないか、又はその低い沸点のために高圧と組み合わせて別の試薬による抽出蒸留を伴う更なる蒸留を必要としないことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、1つ以上の異なるプロセスから生成されたHClはまた、COの存在下で還流を発生させる目的で第2のカラムに供給するために使用されてもよい。
【0210】
CF3I生成物流から酸性副生成物を除去するために本開示によって提供される1つの方法は、反応器流出物流を酸吸収システムに供給することを含み得、ガス流を水又は塩基性溶液と接触させて、HF、HCl、及びHI(又は対応するハロゲン化物塩)、並びにTFAを形成し得る。
【0211】
精製は、連続的に行われ得る。CF3I、フッ素化物及びヨウ素化炭化水素、CO2、鉱酸、並びに水分を含む反応器流出物流は、穏やかな苛性溶液と接触させて、鉱酸及び有機酸を中和し得る。スクラビングシステムにおけるCF3Iの分解及び金属塩の沈殿の両方を制限するために、高濃度の苛性成分を回避することが望ましい。例えば、アルカリ土類金属水酸化物又は炭酸塩の弱塩基性水溶液が使用され得る。好適な弱塩基性溶液は、例えば、水中0.5重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)又は水中0.5重量%の水酸化カリウム(KOH)を含み得る。
【0212】
弱塩基性溶液は、反応器流出物流中の酸を中和するために使用され得る。反応器流出物流は、いくつかの異なる技術を使用して溶液と接触させることができる。一例では、スクラビング塔は、並流又は向流で使用されてもよい。
【0213】
更なる例として、接触は、反応器流出物流が適切な接触時間、温度、及び圧力でガスとして泡立てられる容器中で起こり得る。動作上、接触時間は、約30秒であり、スクラビングは、周囲温度及び圧力で行われ、1ppm未満の総酸含量を含有する材料をもたらす。
【0214】
代替的に、スクラビングシステムは、酸を除去するための好適な吸着剤を含有する吸着カラムで置き換えられてもよい。好適な吸着剤としては、アルミナ、活性炭、炭化物、窒化物、ジルコニア、及びシリカが挙げられ得る。使用される吸着剤は、CF3Iの分解を開始又は助長することなく、酸を選択的に除去することが望ましい。アルミナP188もアルミナCLR-204もCF3Iの分解を促進せず、したがって酸の除去に好適である。
【0215】
吸着カラム内で、いくつかの異なるタイプの吸着剤が同時に使用され得る。吸着剤は混合されてもよく、又は連続して積層されてもよい。吸着剤カラムを使用する酸の除去は、好適な温度及び圧力で、液体又は気体のいずれかとして吸着剤カラムを通って流れる材料を用いて行われ得る。P188及びCLR-204が吸着剤カラムにおいて連続して使用される場合、90%を超える総酸含量の減少が観察され得る。
【0216】
所望であれば、スクラビングシステム又は吸着カラムからの流出流は、次いで、水除去のための好適な乾燥剤を含有する乾燥カラムに通されてもよい。この用途には、例えばモレキュラーシーブ、無水塩化カルシウム、無水硫酸カルシウム、濃硫酸、シリカ、活性炭、及びゼオライトなどのいくつかの乾燥剤を使用することができる。乾燥剤は、CF3Iの分解に有利な二次反応経路を助長しないことが望ましく、その理由は、それが精製の全収率を低下させるからである。そのような選択肢の1つは、CF3Iと適合性である3Aモレキュラーシーブの使用である。
【0217】
乾燥剤は、水分を吸着するための有限の能力を有し、通常の使用後には、減少した吸着能力を有するか、又は認識可能な吸着能力を有さない。モレキュラーシーブ、硫酸カルシウムなどの乾燥剤は、例えばモレキュラーシーブについて以下に記載するように、反復使用のために再生されてもよい。同じ又は類似の手順が、硫酸カルシウムなどの他の乾燥剤に適用され得ることが理解されるべきである。
【0218】
残留CF3Iの回収は、残留CF3Iを液体として排出することによって、又はCF3Iを蒸気として放出することによって達成され得る。この初期CF3I回収は、任意選択的に、真空下及び/又は加熱下で、例えば、吸着カラム上のジャケットを介して、約100℃まで加熱して行われ、吸着器から残留CF3Iの除去を加速するために追加の駆動力を提供してもよい。
【0219】
上記のようにCF3Iを回収した後、モレキュラーシーブは、窒素又は空気などの高温不活性ガスをモレキュラーシーブ床に通すことによって再生され得る。吸着器は、高温不活性ガスによって漸進的かつ漸増的に約230℃以上の温度に加熱されて、残りのCF3Iを脱着し、続いてモレキュラーシーブから水を脱着する。この漸進的かつ増分的な一連の温度上昇及び保持は、より高い温度で水の大部分を脱着する前に、より低い温度で残りのCF3Iをモレキュラーシーブから脱着することを可能にする。
【0220】
再生に続いて、床は冷却され、次の水吸着サイクルに備えるために再生に使用される非凝縮性不活性ガスを除去するために優先的に排気される。非凝縮性物質の排気は、収率の低下につながる下流の処理工程への非凝縮性物質の導入を最小限に抑えるか又は防止する。
【0221】
乾燥カラムからの流出物流は、原油貯蔵タンクに収集されてもよい。次に、材料は、第1の蒸留カラムに供給されてもよく、一酸化炭素(CO)及び揮発性有機成分が第1の塔頂生成物流として除去されてもよく、CF3I及びより高沸点の成分は、再沸器で濃縮されてもよい。次いで、再沸器の内容物を第2の蒸留カラムに通されてもよく、CF3Iは、第2の塔頂生成物流として収集され得、より高沸点の成分は、再沸器中に蓄積され得る。
【0222】
第2の塔頂生成物流は、約95重量%以上、約99重量%以上、99.5重量%以上、99.9重量%以上、又は99.99重量%以上の量でCF3Iを含み得る。
【0223】
第2の塔頂生成物流中のCF3Iの酸含量は、約0.1重量%以下、約0.01重量%以下、約0.001重量%以下、又は約0.0001重量%以下であってもよい。
【0224】
第2の塔頂生成物流中のCF3Iの含水量は、約10重量%以下、約5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、約0.01重量%以下、約0.001重量%以下、又は約0.0001重量%以下であってもよい。
【0225】
これらの精製プロセスは、必ずしも上記の順序で行う必要はない。例えば、蒸留プロセスは、酸及び水の除去工程の前又は後に行われ得る。使用される順序とは無関係に、得られるCF3I材料は、上記の高純度のものであり得る。
【0226】
代替的に、硫酸乾燥システムは、上記のようなモレキュラーシーブを使用する乾燥の代わりに、又はそれに加えて使用され得る。そのような方法の1つでは、CF3I及び水を含む供給流を濃硫酸溶液と接触させてもよい。驚くべきことに、多くのヒドロフルオロオレフィン(hydrofluoroolefin、HFO)は、硫酸に曝露されたときに分解を受けるが、CF3I及びCF3Iを含有する本開示の混合物は、硫酸の存在下で最小限の分解を受けるか又は全く分解を受けないことが見出された。
【0227】
この方法では、水を硫酸に優先的に吸収させて、実質的に水を含まないCF3Iの生成物流をもたらし得る。CF3I及び水を含む供給流は、CF3I及び水を含む供給流が液体硫酸に対して向流様式で流れる蒸気として存在し得る接触塔内で硫酸と接触され得る。効率のために、循環システムは、硫酸のために使用され得る。
【0228】
CF3Iの生成物流中の水の量は、約20ppm以下、約15ppm以下、約10ppm以下の水、約5ppm以下の水、又は約1ppm以下の水であってもよい。
【0229】
更なる代替法として、CF3I及び水を含む供給流は、水を凍結させることなく水の凝縮を可能にする温度及び圧力の組み合わせで凝縮されてもよい。得られた混合物を沈降させてもよく、水層(存在する場合)をデカントしてもよい。次いで、有機層が蒸留カラムに供給され得、そこから、CF3Iと水との単純混合物又はCF3Iと水との共沸性若しくは共沸様混合物などの不均一混合物が塔頂生成物流として収集され得、CF3Iを含む塔底生成物流が収集され得る。
【0230】
CF3Iを含む塔底生成物流は、実質的に水を含まなくてもよい。具体的には、塔底生成物流中の水の量は、約20ppm以下、約15ppm以下、約10ppm以下の水、約5ppm以下の水、又は約1ppm以下の水であってもよい。
【0231】
更に別の方法では、CF3I及び水を含む供給流を乾燥剤と接触させて、実質的に水を含まないCF3Iを含む生成物流を提供し得る。好適な乾燥剤としては、例えば、3オングストロームモレキュラーシーブ、4オングストロームモレキュラーシーブ、5オングストロームモレキュラーシーブ、活性アルミナ、シリカゲル、硫酸カルシウム(「Drierite」)、及び塩化カルシウムが挙げられ得る。
【0232】
供給流は、蒸気又は液体であり得る。
【0233】
生成物流中の水の量は、約200ppm以下、約170ppm以下、約150ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約30ppm以下、約20ppm以下、約15ppm以下、約10ppm以下、約5ppm以下、又は約1ppm以下であり得る。
【0234】
CF3Iを更に精製するために、CF3Iを含む酸吸収及び乾燥からの生成物流を含む供給流を凝縮し、第1の蒸留カラムに供給して、第1の塔頂生成物流及び第1の塔底生成物流を提供し得る。第1の塔頂生成物流は、CF3Iの沸点よりも低い沸点を有する不純物を含み得る。第1の塔頂生成物流は、廃棄のために熱酸化装置に送られてもよい。第1の塔底生成物流を第2の蒸留カラムに搬送して、第2の塔頂生成物流及び第2の塔底生成物流を提供し得る。第2の塔頂生成物流は、精製されたCF3Iを含み得る。第2の塔底生成物流は、高沸点化合物を含んでもよく、これは蒸気又は液体として除去されてもよく、例えば熱酸化によって廃棄され得る。
【0235】
更なる代替法として、本開示は、不純物を分離するために使用され得る、有効量のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる、共沸性又は共沸様組成物形成する方法を提供する。不純物が除去されると、CF3I及び水は、以下に更に記載されるように互いに分離され得る。
【0236】
共沸性又は共沸様組成物は、約47.7重量%~約99.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び約1.0重量%~約52.3重量%の水、約60.4重量%~約95.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び約5.0重量%~約39.6重量%の水、約70.2重量%~約90.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び約10.0重量%~約29.8重量%の水を含み得るか、又は共沸性若しくは共沸様組成物は、約77.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び約23.0重量%の水から本質的になり得る。共沸性又は共沸様組成物は、上記量のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水から本質的になり得るか、又は上記量のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水からなり得る。
【0237】
共沸様組成物の共沸物は、約58.0psia~約60.0psiaの圧力で約18.0℃~約19.0℃の沸点を有する。
【0238】
本開示は、共沸性又は共沸様組成物を形成する方法であって、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水を合わせて、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、方法を提供する。共沸様組成物の共沸物は、約58.0psia~約60.0psiaの圧力で約18.0℃~約19.0℃の沸点を有し得る。
【0239】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、水、及び少なくとも1つの不純物を含む組成物から不純物を分離する方法であって、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水の相対量を変更し、有効量のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水から本質的になるか、又はそれらからなる共沸性若しくは共沸様組成物を形成するのに有効な条件に組成物を供する工程と、共沸性又は共沸様組成物を少なくとも1つの不純物から分離する工程であって、分離工程が、相分離、蒸留、及び分留のうちの少なくとも1つを含み得る、工程と、を含む、方法を更に提供する。
【0240】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び少なくとも1つの不純物を含む組成物から不純物を分離する方法を更に提供し、方法は、有効量の水を組成物に添加する工程と、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水の相対量を変更し、有効量のトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水から本質的になるか、又はそれらからなる共沸性若しくは共沸様組成物を形成するのに有効な条件に組成物を供する工程と、共沸性又は共沸様組成物を少なくとも1つの不純物から分離する工程であって、分離工程が、相分離、蒸留、及び分留のうちの少なくとも1つを含み得る、工程と、を含む。
【0241】
前述の方法において、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水の相対量を変更する工程は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を組成物に添加することと、水を組成物に添加することと、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水の両方を組成物に添加することと、を含み得る。
【0242】
分離後、組成物から水を除去することができ、CF3Iを更に精製することができるように、組成物の特性を変化させることができる。CF3Iを精製するための好適な方法としては、蒸留、液液抽出、又は乾燥剤への曝露などの上述の方法、及び以下に記載の方法を挙げられ得る。
【0243】
CF3Iを含む酸吸収及び乾燥からの生成物流を凝縮し、第1の蒸留カラムに供給して、第1の塔頂生成物流及び第1の塔底生成物流を提供し得る。第1の塔頂生成物流は、CF3Iの沸点よりも低い沸点を有する不純物、並びに上述のCF3I及び水を含む不均一共沸性又は共沸様組成物を含み得る。低沸点不純物は、熱酸化装置に送られ得、共沸性又は共沸様組成物は、相分離され、水をデカントされ得、湿ったCF3Iは、リサイクルされ得る。第1の塔底生成物流を第2の蒸留カラムに搬送して、第2の塔頂生成物流及び第2の塔底生成物流を提供し得る。第2の塔頂生成物流は、精製されたCF3Iを含んでもよく、第2の塔底生成物流は、廃棄され得る高沸点化合物を含んでもよい。
【0244】
精製方法の例、並びに前節で考察したTFAIからのCF3Iの合成を
図3に示す。この方法では、TFAIを含む供給流(
図2からの流れ138又は
図2Aからの流れ126A)を反応器200に搬送して、トリフルオロヨードメタン、一酸化炭素(CO)、TFAI、ヨウ素、R23(CF
3H)、並びにトリフルオロアセチルフルオリド(TFAF)、二酸化炭素(CO
2)、R13(CClF
3)、TFA、ペンタフルオロプロパノン、133a(2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)、及びペンタフルオロヨードエタン(C
2F
5I)などの他の不純物を含む生成物流202を提供し得る。生成物流202は、第1の蒸留カラム204に搬送される前にトルエンの流れと合わされて、未反応TFAI及びヨウ素を含む第1の塔底生成物流206、並びにCF
3I、CO、R23、及び他の不純物を含む第1の塔頂生成物流208を提供し得る。第1の塔底生成物流206は、上述の統合プロセスの第2の工程にリサイクルされ得る。第1の塔頂生成物流208は、第2の蒸留カラム210に搬送される前にHCl(
図2からの又は別の供給源からの流れ118)と合わされて、HCl、CO、及び他の不純物を含む第2の塔頂生成物流212、並びにトリフルオロヨードメタン、低沸点不純物、高沸点不純物、及び残留酸を含む第2の塔底生成物流224を提供し得る。代替的に、HClは、流れ208と合わせることなく、別個に第2の蒸留カラムに供給されてもよい。第2の塔頂生成物流212を吸収剤床214に搬送して、HCl及びCOを含む第1の精製された生成物流216を提供し得る。第1の精製生成物流216をHCl吸収器218に搬送して、流れ216を水又は弱HCl溶液と接触させて、COを含む流れ220及びHCl水溶液を含む第2の精製された生成物流222を提供し得る。精製されたCOを含む流れ220は、COと水との水性ガスシフト反応を介して水素を含む他の生成物のための供給原料として使用するために回収されてもよく、又は熱酸化装置に搬送されてもよい。HCl水溶液を含む第2の精製された生成物流222は、HCl貯蔵領域に搬送され、利益のために販売され得る。
【0245】
第2の蒸留カラム210からの塔底生成物224は、スクラバー226に搬送され、残留酸、残留TFAC、残留TFAFを除去し、トリフルオロヨードメタン、低沸点不純物、高沸点不純物、及び水を含む流れ228を提供し得る。流れ228は、乾燥機230に搬送され、水を除去し、トリフルオロヨードメタン、低沸点不純物、及び高沸点不純物を含む生成物流232を提供し得る。流れ232は、第3の蒸留カラム234に搬送され、低沸点不純物を含む第3の塔頂生成物流236、並びにトリフルオロヨードメタン及び高沸点不純物を含む第3の塔底生成物流238を提供し得る。第3の塔頂生成物流236は、熱酸化装置に搬送され得る。第3の塔底生成物流238は、第4の蒸留カラム240に搬送され、精製されたトリフルオロメタンを含む第4の塔頂生成物流242、及び高沸点不純物を含む第4の塔底生成物流244を提供し得る。第4の塔底生成物流244は、熱酸化装置に搬送され得る。精製されたCF3Iを含む第4の塔頂生成物流242は、貯蔵領域に搬送され得る。
【0246】
CF3Iを精製するために使用される方法とは無関係に、CF3Iは、高純度であってもよく、例えばTFAC、クロロトリフルオロエタン、ヘキサフルオロエタン、トリフルオロメタン、一酸化炭素、HCl、トリフルオロアセチルフルオリド、ヘキサフルオロプロパノン、及びトリフルオロアセトアルデヒドなどの不純物を少量しか含まなくてもよい。
【0247】
TFACは、約1ppm(part per million by weight、重量百万分率)以上、約10ppm以上、約50ppm以上、約100ppm以上、約150ppm以上、約200ppm以下、約250ppm以下、約300ppm以下、約350ppm以下、約400ppm以下、約450ppm以下、約500ppm以下、又はガスクロマトグラフィー(GC)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0248】
クロロトリフルオロエタンは、1ppm以上、約10ppm以上、50ppm以上、約100ppm以上、約150ppm以上、約200ppm以下、約250ppm以下、約300ppm以下、約350ppm以下、約400ppm以下、約450ppm以下、約500ppm以下、又はガスクロマトグラフィー(GC)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0249】
ヘキサフルオロエタンは、1ppm(重量百万分率)以上、約10ppm以上、約50ppm以上、約100ppm以上、約150ppm以上、約200ppm以下、約250ppm以下、約300ppm以下、約350ppm以下、約400ppm以下、約450ppm以下、約500ppm以下、又はガスクロマトグラフィー(GC)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0250】
トリフルオロメタンは、1ppm以上、約10ppm以上、約50ppm以上、約100ppm以上、約150ppm以上、約200ppm以下、約250ppm以下、約300ppm以下、約350ppm以下、約400ppm以下、約450ppm以下、約500ppm以下、又はガスクロマトグラフィー(GC)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0251】
一酸化炭素は、約1ppm以上、5ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約30ppm以上、約40ppm以上、約50ppm以下、約60ppm以下、約70ppm以下、約80ppm以下、約90ppm以下、約100ppm以下、又は熱伝導率検出(thermal conductivity detection、TCD)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0252】
HClは、滴定によって判定される約1ppm以下、500ppb以下、250ppb以下、100ppb以下、又は50ppb以下の量でCF3I中に存在し得る。
【0253】
トリフルオロアセチルフルオリド(TFAF)は、約1ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約50ppm以上、約75ppm以上、約100ppm以上、約125ppm以下、約150ppm以下、約175ppm以下、約200ppm以下、約225ppm以下、約250ppm以下、又はガスクロマトグラフィー(GC)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0254】
ヘキサフルオロプロパノンは、約1ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約50ppm以上、約75ppm以上、約100ppm以上、約125ppm以下、約150ppm以下、約175ppm以下、約200ppm以下、約225ppm以下、約250ppm以下、又はガスクロマトグラフィー(GC)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0255】
トリフルオロアセトアルデヒドは、約1ppm以上、約10ppm以上、約20ppm以上、約50ppm以上、約75ppm以上、約100ppm以上、約125ppm以下、約150ppm以下、約175ppm以下、約200ppm以下、約225ppm以下、約250ppm以下の量、又はガスクロマトグラフィー(GC)によって判定されるこれらの終点によって包含される任意の値の量でCF3I中に存在し得る。
【0256】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
【0257】
本明細書で使用する場合、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれか2つから選択され得ることを意味する。例えば、一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択され得る。
【実施例】
【0258】
実施例1a:H2及びI2のHIへの転化率
この実施例は、H2及びI2からHIを生成するための、上で開示されたプロセスの工程1を例示する。連続蒸気相反応システムは、平均5.88のH2:I2モル比を達成するために以下の表1に示される供給速度を利用する。平均接触時間は、7.9秒であった。反応器内の目標温度及び圧力は、350℃及び100psigであった。これらの条件下で948.5時間実験を実施した。平均I2転化率は、質量収支の計算により判定して97.3%であった。
【0259】
表1は、アルミナ上20重量%ニッケル触媒18.5mlを使用して行った実験についての反応条件、H2とI2とのモル比、及び転化率を示す。
【0260】
【0261】
実施例1b:NiI2/Al2O3のインサイチュ形成
この実施例では、Ni/Al2O3触媒は、HI合成反応中にその場でNiI2/Al2O3触媒に変換される。
【0262】
20重量%のNi/Al2O3触媒を使用前に純水素中で活性化して、空気不動態化層を除去し、それによって活性ニッケル相を露出させた。より具体的には、100mLの触媒を反応器に充填し、室温で約30分間、窒素ガス(400mL/分)でパージした。窒素ガスフローを停止し、水素ガスフロー(250mL/分)を開始した。触媒を120℃に加熱し、ランプ速度3℃/分で1時間保持した。保持後、温度を230℃まで上昇させ(3℃/分)、更に1時間保持した。次いで、温度を所定の反応温度まで上昇させた(3℃/分)。
【0263】
特に明記しない限り、全ての材料は、更に精製することなく得られたままの状態で使用した。所定の量のヨウ素を気化器に充填し、排気し、窒素ガスで3回パルスパージした後、所定の温度に加熱した。水素ガスを所定の流量で気化器を通してバブリングした。気化器からの流出物流を反応器内部でNi/Al2O3触媒と接触させた。反応器からの流出物流を、2つの連続したヨウ素収集器、次いで2つの連続した生成物収集シリンダ(product collection cylinder、PCC)、続いて水バブラー、最後に苛性スクラバー(10重量%KOH/H2O)に通過させた。ヨウ素収集器を約20℃に維持して(収集器の本体上に巻き付けられた銅コイルを通して水道水を循環させることによって)、反応器流出物流中の未反応ヨウ素が収集器内で凝縮することを確実にした。反応器流出物流中の無水HIは、液体窒素又はアセトン-ドライアイス冷却浴によって冷却されたPCC中で凝縮した。PCCからの捕捉されなかったHIを、水性HIとして水バブラー中で捕捉した。主に未反応水素及び同伴された水性HIである水バブラーからの流出物流は、放出される前に苛性スクラバーを通過した。
【0264】
触媒の重量は、稼働時間とともに増加することが分かった。重量の変化は、最初の300時間の稼働中が最も高く、その間に触媒の重量が約82.3%増加した。600時間後、触媒の重量は、約86.9%増加し、これは触媒表面上の全ての金属ニッケルがNiI2に変換されたことを示している。この観察は、金属ニッケルの平衡濃度が無限小であることを明らかにした平衡計算によって裏付けられた。
【0265】
触媒の重量の変化は、式4に示すように、ヨウ化ニッケル(II)(NiI2)の形成によるものである。
式4 Ni+I2-->NiI2
【0266】
金属ニッケル及びヨウ素蒸気からのNiI2の形成は、発熱性であり、反応の標準エンタルピー及び標準ギブス自由エネルギーは、それぞれ-158.8kJ/mol及び-113.8kJ/molである。標準条件での平衡定数は、8.9×1019である。大きな平衡定数及び負のギブス自由エネルギーは、反応が自発的であり、順方向に容易に進行することを示す。これは、ニッケルが他の後期金属と比較して相対的に電気陽性であり、電子密度を容易に失ってNi(II)種を形成することができるという事実によって可能になる。
【0267】
実施例2a:H2及びI2のリサイクル
実施例1における反応器の流出物は、約200psigに圧縮され、約190psigで動作する蒸留カラムに供給されて、水素(H2)を含む第1のリサイクル流、不純物を実質的に含まない、HIを含む生成物流、及び(I2)を含む第2のリサイクル流を回収し得る。システム中の水分は、ヨウ素リサイクル流中に濃縮する傾向がある。そのようなシステムにおいて、以下のプロセスシミュレーション結果は、122ppmの蒸留カラム供給物含水量で達成された。蒸留カラムは、7つの理論段及び3.4の質量還流比を含む。水分は、HI及びI2の両方に適合する乾燥剤を使用して、塔底液から除去される。以下の表2は、プロセスシミュレーション結果を示す。
【0268】
【表2】
異なる段数、異なる供給段階、異なる圧力、異なる還流比、及び異なる沸騰比を含む他の条件も使用され得る。
【0269】
実施例2b:HIの精製
水素とヨウ素との反応からHIが生成されると、残留不純物は、HIを精製トレーンに通過させることによってHIから除去され得る。精製されたHIは、1H NMR及び/又は滴定によって分析され得る。より具体的には、HIの濃度は、滴定又は1H NMRによって判定され得、一方、ヨウ素種の総濃度は、チオ硫酸塩による滴定によって判定され得る。代表的な組成を以下の表2Aに示す。
【0270】
【0271】
上記の表中のNVRは、ヨウ素、ジヨードプロパン、ヨウ化tertブチル、ヨードプロパン、ヨードプロペン、及び他のヨード炭化水素からなる群から選択される1つ以上の成分を含んでもよい。
【0272】
実施例3a:TFAC及びHIからのTFAIの形成
以下の実施例では、TFAC及びHIからのTFAIの製造が実証される。オーブン又は砂浴などの温度制御装置内に位置する4分の3インチの金属管を、ある量の触媒を予め装入した、又は触媒を充填していない反応器として使用した。一定量のTFAC及びHIを加熱した固定床管型反応器に共供給して反応を行った。反応器流出物は、TFAIの凝縮を防止するために電気的に熱トレースされたラインを通過させ、粗生成物を捕捉するためにドライアイスデュアー瓶内に位置するシリンダに導いた。ドライアイストラップから逃れた微量の蒸気は、水スクラバー及び苛性スクラバーに導いた。反応圧力を制御するために、圧力変換器及び制御弁も反応器の出口に設置した。
【0273】
定期的に、反応器流出物からサンプルを採取し、サンプル中の有機化合物の組成をガスクロマトグラフィー(GC)で測定した。各有機化合物のGC分析によって提供されるグラフ領域を組み合わせて、有機化合物の各々に対する全有機化合物のGC領域パーセンテージ(GC領域%)を提供した。反応器内の接触時間は、ヨウ化水素及びTFACの組み合わせ供給速度に基づいて計算された。
【0274】
反応の実行時間の終わりに、システムを停止し、全ての容器からの重量変化を質量収支目的のために確認した。ドライアイストラップ内に収集された液体粗生成物をサンプリングし、GC及び/又はGCMSによって分析した。
【0275】
実施例3b:20mLの触媒を用いたTFAC転化率
以下の表3は、28回の異なる実行についてのTFACの転化率(「Conv.%」)を示す。実行1~26では、3/4”Inconel 600反応器を使用し、一方実行27及び28では、3/4”Inconel 625反応器を使用した。触媒が存在する場合には、20mLの触媒を使用した。試験された触媒の中には、アルミナ上の5%パラジウム、炭化シリカ触媒(SiC2-E3-HP及びSiC1-E3-P)、活性炭素触媒(Norit ROX0.8、CPG CF12X40、OLC12X30、及びJEChem C2X8/12)、並びにInconel 625ワイヤメッシュ(以下の表において「ワイヤメッシュ」と称される)があった。40℃~210℃の範囲の温度を試験し、圧力は、0psig(周囲圧力、「Amb.」と称される)~20psigの範囲であった。
【0276】
【0277】
表3の実行の生成物をGC分析に供して、その結果を以下の表4に示す。そこに見られるように、TFAIは、28回の実行のうちの1回を除く全てにおいて主生成物として形成された。
【0278】
【0279】
実施例3c:炭化シリカ触媒を用いた長期試験
20mLの炭化シリカ触媒(SiC1-E3-M)を充填した3/4”Inconel 600反応器を、90℃の反応温度、20psigの反応器出口圧力での長期試験に使用した。定期的にシステムを停止して質量収支を確認し、分析のために粗生成物を収集し、反応条件及び結果を表5に列挙した。TFACの転化率は、TFAI及びCF3Iに対する選択率とともに、モルパーセントで与えられる。
【0280】
【0281】
TFAC転化率は、TFAC GC面積%に基づく平均であった。TFAI及びCF3I選択率は、各実行後にドライアイストラップに収集された粗生成物のガスクロマトグラフィー/質量分析(gas chromatography/mass spectrometry、GC/MS)分析に基づいて計算した。455時間の動作中に、CF3I形成も触媒失活も観察されなかった。
【0282】
実施例3d:活性炭触媒を用いた長期試験
90℃の反応温度及び20psig~50psigの範囲の反応器出口圧力での長期試験のために、20mLの活性炭触媒(NORIT ROX0.8)を3/4”Inconel 600反応器に充填した。定期的にシステムを停止して質量収支を確認し、分析のために粗生成物を収集し、反応条件及び結果を表6に列挙した。TFACの転化率は、TFAI及びCF3Iに対する選択率とともに、モルパーセントで与えられる。
【0283】
【0284】
TFAC転化率は、TFAC GC面積%に基づく平均であった。TFAI及びCF3I選択率は、各実行後にドライアイストラップに収集された粗生成物のガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)分析に基づいて計算した。2052時間の動作中に、CF3I形成も触媒失活も観察されなかった。
【0285】
実施例3e:74mLの触媒を用いたTFAC転化率
以下の表7は、4回の異なる実行についてのTFACの転化率(「Conv.%)を示す。各実行において、74mlの活性炭触媒(Norit ROX0.8)を充填した3/4”Inconel 625反応器を使用した。反応器を90℃に予熱し、反応器出口圧力を70psigに制御した。いずれの場合も、CF3I形成は、観察されなかった。
【0286】
【0287】
実施例3f:TFAI反応器供給組成物
TFAC+HI□TFAI+HIの反応への反応器供給物の代表的な組成を以下の表7Aに示す。
【0288】
【0289】
反応器供給材料は、GC、GCMS、1H NMR、及び/又は滴定によって分析され得る。
【0290】
実施例4:統合ベンチスケールユニットにおけるTFAIの形成及び分離
この実施例は、TFAC及びHIからTFAIを生成するための連続プロセス、並びに反応生成物からのTFAIの分離を例示する。統合ベンチスケールユニットは、TFAC及びHI供給システム、反応器システム、第1のカラムにおいて反応粗生成物からHClを除去し、第2のカラムにおいてTFAIから未反応TFAC及びHIを除去するための2つの蒸留カラムを有する分離システム、並びにKOHスクラバーシステムからなっていた。反応器システムは、予熱器及び反応器からなり、反応器には触媒が装入されていた。予熱器及び反応器の両方を砂浴に入れた。両方の蒸留カラムは、同じ装備を有し、10ガロンの再沸器、Goodloe2”直径×6”厚の構造化金属充填物を有する2”ID×120”長さのカラム)、及びシェル型凝縮器中の管からなっていた。
【0291】
動作中、反応器に触媒として74mlのNORIT ROX0.8活性炭を装入した。反応器システムを窒素パージしながら90℃に予熱した。反応器温度が90℃に達した後、120グラム/時の液体TFAC及び82グラム/時の蒸気HIを予熱器に供給し、気化された供給混合物を連続反応のために反応器に供給した。始動時に反応器出口制御弁によって反応圧力を70psigに制御し、次いで粗生成物を第1の蒸留カラムに供給して粗生成物からHClを除去した。第1の蒸留カラム再沸器を、30psigの飽和蒸気及び水道水混合物によって55~60℃に加熱し、凝縮器を液体窒素で冷却した。HClをカラム塔頂からKOHスクラバーシステムに定期的に放出して、カラム塔頂圧力を70psigに維持した。第1のカラム圧力が70psigに達した後、反応器出口圧力制御弁を迂回して、反応圧力を第1のカラム塔頂圧力によって制御した。30psigの飽和蒸気及び28psigに制御した塔頂圧力によって、主にTFAI、並びに未反応TFAC及びHIを含有する第1のカラム再沸器材料を、カラム再沸器温度を55~60℃に制御して第2の蒸留カラムに供給した。主にTFAC及びHIを含有する塔頂流を、リサイクルのためにシリンダに収集し、主にTFAIを含有する再沸器材料を、いくらかの未反応TFAC及びHIとともに、更なる精製のためにシリンダに収集した。
【0292】
985時間の動作中、典型的な反応器流出物流は、30.7%のTFAC及び69.1%のTFAIを含有し、他の不純物とバランスがとれており、69.2%のTFAC転化率及び99.8%のTFAIに対する選択率を示した。イオンクロマトグラフィー(ion chromatography、IC)分析によると、第1のカラム塔頂流は、いかなる他の化合物も含まずにHClのみを含有していた。ガスクロマトグラフィー(GC)分析により、第1のカラム再沸器は、23.2%のTFAC、76.1%のTFAIを含有し、その他とバランスがとれており、第2のカラム塔頂流は、98.7%のTFAC、0.8%のTFAIを含有し、その他とバランスがとれており、第2のカラム再沸器は、3.5%のTFAC、95.4%のTFAIを含有し、その他とバランスがとれていた。
【0293】
実施例5:TFAIのCF
3Iへの転化率
組み合わせたトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)気化器/過熱器/熱分解反応器を、一定温度の砂浴に浸漬した。
図4に示されるように、入口300は、U字型の3/4”OD Incoloy 825管302につながり、その中に、0.495インチ外径のInconel 600電気加熱要素(electric heating element、EHE)304が挿入され、EHEとIncoloy管306の内壁との間に小さな環状空間を残した。反応装備を
図4のレベル308まで砂浴に入れ、砂浴を200℃に加熱した。TFAIが環状空間を通過するにつれて、CF
3I及びCOを提供するためのTFAIの熱分解が起こり、生成物が出口310を通って出た。
【0294】
TFAI転化率及びCF3I選択率の両方に対する温度及び接触時間の影響を判定するために、4つの反応条件を使用して実験を行った。実験で使用したTFAIの純度は、GC面積%で99.33であった。
【0295】
条件#1は、0.25lb/時のTFAI供給速度、25psigの圧力、390±1℃の範囲のヒーター要素温度、及び2.1秒の環状空間を通る接触時間として定義された。平均TFAI転化率は、68.6モル%であり、CF3I選択率は、99.5モル%であった。転化率及び選択率の両方は、実験を通して比較的一定であった。実験中の反応器出口GC分析の表は、面積%として示される以下の表8に見出すことができる。TFAFは、トリフルオロアセチルフルオリドであり、PFPは、ペンタフルオロプロパノンであり、133aは、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタンであり、TFAは、トリフルオロ酢酸である。ヨードメタン(CH3I)形成は、観察されなかった。稼働時間は、第1列に時間で示されている。
【0296】
【0297】
【0298】
条件#2は、0.08lb/時のTFAI供給速度、25psigの圧力、332.5±2.5℃の範囲のヒーター要素温度、及び7.2秒の環状空間を通る接触時間として定義された。平均TFAI転化率は、68.1モル%であり、CF3I選択率は、99.5モル%であった。研究は、52時間行った。
【0299】
実験中の反応器出口GC分析の表は、面積%として示される以下の表9に見出すことができる。TFAFは、トリフルオロアセチルフルオリドであり、133aは、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタンであり、TFAは、トリフルオロ酢酸である。ペンタフルオロプロパン、ペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)、及びヨードメタン(CH3I)の形成は、観察されなかった。稼働時間は、第1列に時間で示されている。
【0300】
【0301】
条件#3は、0.15lb/時のTFAI供給速度、25psigの圧力、390±1℃の範囲のヒーター要素温度、及び3.5秒の環状空間を通る接触時間として定義された。平均TFAI転化率は、85.9モル%であり、CF3I選択率は、99.5モル%であった。研究は、44時間行った。
【0302】
実験中の反応器出口GC分析の表は、面積%として示される、以下の表10に見出すことができる。TFAFは、トリフルオロアセチルフルオリドであり、PFPは、ペンタフルオロプロパノンであり、133aは、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタンであり、TFAは、トリフルオロ酢酸である。ヨードメタン(CH3I)形成は、観察されなかった。稼働時間は、第1列に時間で示されている。
【0303】
【0304】
条件#4は、0.35lb/時のTFAI供給速度、25psigの圧力、390±1℃の範囲のヒーター要素温度、及び1.5秒の環状空間を通る接触時間として定義された。平均TFAI転化率は、59.9モル%であり、CF3I選択率は、99.5モル%であった。研究は、44時間行った。実験中の反応器出口GC分析の表は、面積%として示される以下の表11に見出すことができる。TFAFは、トリフルオロアセチルフルオリドであり、PFPは、ペンタフルオロプロパノンであり、133aは、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタンであり、TFAは、トリフルオロ酢酸である。ペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)の形成もヨードメタン(CH3I)の形成も観察されなかった。稼働時間は、第1列に時間で示されている。
【0305】
【0306】
実施例6:トルエンへのヨウ素吸収
トルエンを溶媒として使用したヨウ素(I2)吸収に関する6つの研究を行った。各研究は、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の分解のための異なる連続実行の間に定常状態反応器条件に到達した後に行われ、その間、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の平均転化率は、約65%であり、反応圧力は、25psigであった。
【0307】
各場合において、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)反応器流出物流を、トルエンを含有する950ml高圧Fisher-Porter(F-P)管(すなわち、トルエンバブラー)、続いて第2の950ml高圧F-P管ドライアイストラップからなる収集システムに導いた。各実験において、950mlトルエンバブラーに最初に300グラムのトルエンを充填し、電気加熱テープをバブラーの周りに緩く巻き付けることによって45~50℃に加熱した。950mlのドライアイストラップ(dry ice trap、DIT)を、-81℃のアセトン/ドライアイススラッシュを含有するデュアー瓶に入れた。反応器流出物を、浸漬管を通して950mlのF-P管トルエンバブラーに供給した。次いで、トルエンは、ヨウ素(I2)の大部分を吸収し、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の大部分が縮合した。
【0308】
バブラーの上部から出る流れは、ヨウ素(I2)を実質的に含まなかった。ヨウ素濃度は、滴定によって判定され得る。この方法の例は、既知量のサンプルを36グラムの脱イオン水に添加し、混合し、4.0グラムのヨウ化カリウム(KI)を添加し、混合物をチオ硫酸ナトリウムで滴定することである。このヨウ素(I2)フリー流を第2の950mlのF-P管ドライアイストラップに供給し、そこでトリフルオロヨードメタン(CF3I)、未反応トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、及び副生成物を収集した(同伴又は揮発トルエンを含む)。次いで、ドライアイストラップからの出口流を、トリフルオロヨードメタン(CF3I)粗カラムに約16時間導いて、反応の過程で生成された一酸化炭素(CO)を放出させ、実験設備において25psigを超える圧力上昇を回避した。
【0309】
トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給シリンダの初期及び最終重量を記録し、バブラー及びドライアイストラップ中に収集された材料の総量を記録した。バブラー中に残っているトルエン及び追加の材料、並びにドライアイストラップ中に収集された材料をサンプリングし、各々のヨウ素(I2)濃度を滴定によって判定した。実行番号1~12についての実験ごとのデータを以下の表12に示すが、バブラーの正味重量は、実行の開始時に充填された300gのトルエンを含む。表1に示すように、トルエンバブラーは、反応器流出物流中のヨウ素(I2)の93.85%~98.45%を吸収した。
【0310】
また、サンプルをガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)によって分析し、トルエンと反応器流出物材料との間の反応がほとんど起こらなかったことを確認した(トルエンとの可能な反応に起因する副生成物の1桁ppmレベルのみが見出された)。
【0311】
【0312】
以下の表13は、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の65%転化率を使用して計算した、実行ごとのトリフルオロヨードメタン(CF3I)及び一酸化炭素(CO)の両方の質量収支及び理論収率を示す。実行ごとの質量収支も示す。
【0313】
【0314】
実施例7:TFAI及びトルエンの回収
トルエンは、実施例6に記載されたものと同様の実験においてトルエンバブラーから収集された材料から回収された。回収実験は、磁気スプリッタを装備した20段オールダーショーガラス蒸留カラムで行った。トルエンバブラー材料(526g)を1Lガラス丸底フラスコ再沸器に充填した。再沸器を電気加熱マントル内に置き、穏やかに加熱して非凝縮性物質及び「軽質物」を追い出した。ヘッド温度が25℃~29℃であるときに還流が観察された。この温度で蒸気ラインを通して生成物受け器に収集された材料を軽質留分と称した。材料はピンク色であり、およそ30mlの体積を有すると推定され、更に定量化されなかった。
【0315】
ヘッド温度が30℃に達し、十分な還流があったとき、1秒の取り出しに対して10秒の還流のスプリッタタイマーを用いて留出物留分を採取し、主留分#1と称した。全ての材料は、30℃~35℃のヘッド温度で留出物受け器に収集した。合計157.3グラムのピンク色の液体を収集した。ガスクロマトグラフィー(GC)分析は、材料が98.3%のトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、少量で存在するトリフルオロヨードメタン(CF3I)、トリフルオロ酢酸(TFA)、及びトルエンからなることを示した。ヨウ素(I2)の濃度を滴定によって判定したところ、378ppmであった。この結果は、溶解したI2の大部分を後に残しながら、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)をトルエンから首尾よく回収することができることを示した。
【0316】
次に、同じスプリッタ設定を使用して、ヘッド温度が35℃~110℃であったときに、材料の中間留出物留分を採取した。28.1gが留出物受け器に収集され、材料は暗紫色であった。GC分析は、材料が、いくらかのトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)及びトリフルオロ酢酸(TFA)を含む99.6 GC面積%のトルエンからなることを示した。ヨウ素濃度は、判定しなかった。
【0317】
十分な還流でヘッド温度が110℃で安定したとき、第2の主留出物留分を収集し、主留分#2と称した。同じスプリッタ設定を使用した。再沸器温度が117℃に達するまで、留分を約12時間にわたって収集した。合計115.1グラムのオレンジ色の液体を収集した。この留分の間の再沸器温度は、112.5℃~117℃であり、ヘッド温度は、110℃~110.5℃の範囲であった。GC分析は、材料が99.9 GC面積%を超えるトルエンからなることを示した。滴定により判定したヨウ素濃度は、564ppmであった。この結果は、溶解したヨウ素の大部分を後に残しながら、トルエンをトルエン/I2混合物から首尾よく回収することができることを示した。
【0318】
再沸器残留物をフラスコから排出すると94.5gになった。GC分析は、材料に対して行われなかったが、滴定によってヨウ素濃度について分析し、11,049ppmのヨウ素を示した。表14は、トルエン回収実験についての関連データを示す。
【0319】
【0320】
実施例8:TFAI及びトルエンの回収
実施例6で使用したトルエンバブラーのうちの1つから収集した材料からトルエンを回収するために、第2の実験を行った。実施例7と同じバッチガラス蒸留設備を使用した。実施例6の実行2で収集されたトルエンバブラー材料(558.1g)を、1Lガラス丸底フラスコ再沸器からなるトルエン回収設備に充填した。ヨウ素濃度は、14,304ppmであった。再沸器を電気加熱マントル内に置き、穏やかに加熱して非凝縮性物質及び「軽質物」を追い出した。短時間後、還流が25℃~29℃のヘッド温度で観察された。非常に少量の材料(0.9グラム)を蒸気ラインを通して生成物受け器に収集し、「軽質留分」と称した。軽質留分をシリンダに移送する試みは、成功せず、したがって、この留分については分析を行わなかった。
【0321】
十分な還流でヘッド温度が30℃に達したとき、1秒の取り出しに対して10秒の還流のスプリッタタイマーを用いて留出物留分を採取し、主留分#1と称し、30℃~32℃のヘッド温度範囲で留出物受け器に収集した。わずかにピンク色の合計208.4グラムの液体を収集した。滴定により判定したヨウ素濃度は、153ppmであった。ガスクロマトグラフィー(GC)分析は、97.17GC面積%のトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、1.38GC面積%のトルエン、1.12GC面積%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)、及び0.19GC面積%のトリフルオロ酢酸(TFA)を示した。
【0322】
次に、32℃~110℃のヘッド温度で同じスプリッタ設定を用いて、材料の中間留分を収集した。サンゴ色の液体(57.3g)を留出物受け器に収集した。滴定により判定したヨウ素濃度は、451ppmであった。GC分析は、99.61GC面積%のトルエン、0.23GC面積%のトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、及び0.11GC面積%のトリフルオロ酢酸(TFA)を示した。
【0323】
十分な還流でヘッド温度が110℃で安定したとき、第2の主留出物留分を収集し、主留分#2と称した。同じスプリッタ設定を使用した。この留分の間、ヘッド温度は、110℃~110.5℃の範囲であり、再沸器温度は、112.5℃~200℃の範囲であった。明るいピンク色の液体(196.1g)を留出物受け器に収集した。滴定により判定したヨウ素濃度は、202ppmであった。GC分析は、99.996GC面積%トルエンを示した。これらの結果は、溶解したヨウ素の大部分を後に残しながら、トルエン/I2混合物からトルエンを首尾よく回収することができることを示した。
【0324】
再沸器中の暗紫色残留物のGC分析を試みた。しかしながら、ヨウ素の濃度は、固体結晶が再沸器において視覚的に観察され得るほど十分に高く、トルエンの更なる添加は、それらを全て除去するのに十分ではなかった。大量のヨウ素が存在するため、GC分析を完了することができなかった。
【0325】
表15は、このトルエン回収実験についてのデータを示す。
【0326】
【0327】
比較例9:TFAI精製
この実施例は、粗TFAIのより大規模な実験室規模のバッチ蒸留を例示する。蒸留カラムは、10ガロンの再沸器、Propakカラム充填物を有する内径2インチ、長さ10フィートのカラム、及びシェルアンドチューブ凝縮器からなっていた。カラムは、約30の理論段を有していた。蒸留カラムは、再沸器レベル計、並びに温度、圧力、及び差圧伝送器を装備していた。
【0328】
複数の比較的大規模な実験室TFAI粗バッチ蒸留を行った。粗TFAIは、TFAI、I2、HI3、トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロリド、並びにTFAIに対して少量の低沸点不純物及び高沸点不純物を含んでいた。
【0329】
典型的なバッチ蒸留の実施例において、カラム再沸器に、TFAI、I2、HI3、トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロリド、並びにTFAIに対して少量の低沸点不純物及び高沸点不純物からなる110lbの粗TFAIを充填した。いくらかの非凝縮性物質及び軽質物を苛性スクラバーに放出した後、還流を確立し、主留分留出物の取り出しを開始した。蒸留動作条件を表16に示す。
【0330】
【表18】
*再沸器温度が35~65℃に達したときに蒸留を終了する。
【0331】
101lbが生成物収集シリンダに収集され、再沸器温度が40℃に達した後、蒸留を終了した。精製されたTFAIを、サンプリングし、I2及びHI3濃度について分析し、TFAI純度について水素炎イオン化検出(gas chromatography/mass spectrometry-flame ionization detection、GC/MS-FID)によって分析した。以下の表17に示すように、複数の蒸留にわたる典型的なI2濃度は、1310ppmであり、典型的なHI3濃度は、650ppmであり、典型的なTFAI純度は、99.15FID面積%であった。
【0332】
【0333】
実施例10:溶媒からのTFAI精製
比較例9で使用したのと同じバッチ蒸留カラムを使用して、粗TFAIの精製を行った。粗TFAIは、TFAI、I2、HI3、トリフルオロ酢酸、トリフルオロアセチルクロリド、並びにTFAIに対して少量の低沸点不純物及び高沸点不純物からなり、同じ方法によって生成され、同じ比較例9で使用されたものと同じ品質であった。
【0334】
バッチ蒸留カラム再沸器に127lbのTFAI粗製物を充填した。いくらかの非凝縮性物及び軽質物を苛性スクラバーに放出した後、蒸留を2日間停止し、3ガロンの試薬グレードトルエンを再沸器に充填した。蒸留を再開し、主留分を正常に進行させた。動作条件は、比較例9のものと同じであり、唯一の違いは、再沸器温度が開始時のカラム温度よりも暖かく、より多くのTFAIが塔頂で収集されるにつれて徐々に上昇したことであった。113lbが生成物収集シリンダ(111lb)及びサンプル(2lb)に収集された後、蒸留を終了した。蒸留が終了した時点の再沸器温度は、94℃であり、カラムはわずかな真空下にあった。トルエンの110℃の沸点に基づいて回収され得るいくらかのTFAIが依然として存在した。塔頂流をスポットチェックし、蒸留の過程で2回サンプリングした。第1のサンプル(サンプル#1)は、約35lbが収集された後に採取し、サンプル#2は、80lbの後に採取した。両方のサンプルは、半透明の紫色であり、サンプル#2が最も透明であり、両方とも、以下の図に見られるように、トルエンを添加していない典型的な主留分よりもはるかに色が少なかった。
【0335】
スポットチェックしたTFAIサンプルTFAIを、I2及びHI3濃度について分析し、GCMS-FIDによってTFAI純度について分析した。2つのサンプルのI2濃度は、それぞれ513ppm及び644ppmであり、トルエンが存在しない典型的な精製されたTFAI材料に対してI2濃度が61%及び51%減少したことを表している。2つのサンプルのHI3濃度は、それぞれ254ppm及び493ppmであり、トルエンが存在しない典型的な精製されたTFAI材料に対してHI3濃度が61%及び24%減少したことを表している。両方のサンプルのTFAI純度(99.88及び99.72GC FID面積%)は、トルエンが存在しない典型的な精製されたTFAI材料(99.15GCMS FID面積%)よりも優れている。結果を以下の表18に示す。
【0336】
【0337】
実施例11:80℃及び250℃でのトルエン及びヨウ素(I2の反応性
10重量%のヨウ素と90重量%のトルエンとの混合物を600mlのオートクレーブに充填し、混合し、80℃に24時間加熱した。次いで、浸漬管を介して液体をサンプリングし、1H NMR及びガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)によって分析して、ヨウ素含有化合物が存在するかどうかを判定した。
【0338】
第2の実行では、10重量%のヨウ素と90重量%のトルエンとの混合物を再び600mlのオートクレーブに充填し、混合し、250℃に2週間加熱したが、その後、圧力の増加は観察されなかった。次いで、浸漬管を介して液体をサンプリングし、1H NMR及びGC/MSによって分析して、ヨウ素含有化合物が存在するかどうかを調べた。
【0339】
実験データは、以下の表19に見出すことができる。
【0340】
【0341】
1H NMR及びGC/MSに基づいて、24時間後に80℃でも、2週間後に250℃でも、トルエンとヨウ素(I2)との間で反応が起こらないと結論付けられた。ヨウ素化トルエン種又は他のヨウ素含有種は、250℃で2週間後にGC/MSによって検出されなかったが、少量(<0.5%)のベンゼン、キシレン、p-キシレンが検出されたが、これらの種が形成される正確な機構は、現時点では知られていない。
【0342】
実施例12:粗CF3Iの乾燥及び精製
苛性スクラバー出口からの1000ポンドの湿った酸フリー粗CF3I蒸気を凝縮器で凝縮させる。次いで、凝縮された湿ったCF3Iは、デカンターに流入する。水は上部層として沈降するが、CF3Iは下部層として沈降する。
【0343】
上部水層は、回収され、約1.89lbの水及び約1200ppmの溶解したCF3I又は0.002lbを含むと予想される。この水は、有機物回収のために苛性スクラバーにリサイクルされ得るか、又は処分され得る。
【0344】
CF3Iを含む底部有機層は、回収され、約1,000lbのCF3Iを有し、約130ppmの溶解水又は0.13lbを含有すると予想される。次いで、この得られたCF3I流を、例えば3オングストローム又は4オングストロームモレキュラーシーブ、活性アルミナ、シリカゲル、硫酸カルシウム(CaSO4)などの乾燥剤で乾燥させる。
【0345】
最大15%の水分を吸着することができる市販の3オングストロームのモレキュラーシーブ乾燥剤を使用すると、この改善されたプロセスは、処理されるCF3Iの1,000ポンドごとに0.87ポンドのモレキュラーシーブしか消費しなかった。含水量は、この処理後に約10ppmである。この低い乾燥剤消費速度を考慮すると、乾燥装置のサイズは、現存の処理方法で使用されるものよりもはるかに小さくすることができる。更に、モレキュラーシーブを再生することができるとすれば、最終的な乾燥剤の消費を最小限に抑えることができる。
【0346】
実施例13-トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)を使用するPTx研究:10℃等温線
一組の体積較正されたPTxセルを使用して、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)の共沸性及び共沸様組成物を測定した。TFAC及びSO2の混合物を、排気されたPTxセルに重量測定により調製し、各純粋成分を測定するために、2つのセルを保留した。調製後、異なる組成の最大8つのセルの各々を、恒温チャンバに挿入した。チャンバ内で、各セルを、較正された圧力変換器及び抵抗温度検出器(resistance temperature detector、RTD)を装備する計装マニホールドに取り付け、これが、その局所温度における各セルの内容物の総飽和圧力を測定し、記録する手段を提供した。
【0347】
標的温度において平衡を確立するために、チャンバの設定点を10℃の平均温度(Tavg)に調節した。各セルの温度及び圧力が数時間にわたって安定したままであるとして認識される平衡に達すると、各セルの局所温度及び飽和圧力を記録した。これらの圧力-温度-組成データから、Helmholtz Energy Equation of State(HEOS)に関するTFAC及びSO2の二元相互作用パラメータを同定した。極小沸点共沸物は、約75.0重量%のTFAC及び約25.0重量%のSO2の組成で形成され、データが以下の表20に提示される。
【0348】
【0349】
実施例14-様々な固体吸着剤のSO2吸着効率
吸着カラムに、約50mLの予め秤量した選択された固体吸着剤を充填した。500mLのステンレス鋼シリンダに、約300gの0.1069重量%のSO2含有トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を充填した。システムの圧力を確認した後、次いで、SO2含有TFACを、室温(20℃~30℃)でリサイクルポンプによって吸着カラムを通して循環させた。24時間後、リサイクルポンプを停止し、TFACサンプルを分析のために採取して、SO2の濃度を判定した。次いで、SO2除去効率を計算した。
【0350】
試験した固体吸着剤を、以下の表21に列挙する。
【0351】
【0352】
以下の表22は、異なる吸着剤の除去効率を示す。試験した全ての固体吸着剤は、ある程度のSO2除去能力を示し、SO2は、Osaka Gas Chemicals MSC-3K 172 carbon Mol-Sievesによって完全に吸着された。
【0353】
【0354】
実施例15-トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の分離及び精製
粗トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、二酸化硫黄(SO2)、及び少なくとも1つの追加の不純物を含む組成物が提供される。第1の工程において、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)の相対量は、トリフルオロヨードメタン(TFAC)を組成物に添加すること、二酸化硫黄(SO2)を組成物に添加すること、又はトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)の両方を組成物に添加することによって調節される。次いで、組成物を、共沸性又は共沸様混合物が形成されるように有効な条件に曝露する。次いで、共沸性又は共沸様混合物は、蒸留、相分離、又は分留によって少なくとも1つの不純物から分離され得る。共沸性又は共沸様混合物が不純物から分離されると、共沸性又は共沸様混合物の成分、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)は、第2の工程において互いに分離される。トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)の分離は、次いで、蒸留、固体吸着剤への曝露、又はこれらの組み合わせによって達成され得る。
【0355】
実施例16-トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の蒸留
粗トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)を含む組成物が提供される。組成物は、蒸留カラムに搬送される。二酸化硫黄(SO2)、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、又はこれらの混合物を含み得る留出物が収集される。トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む塔底生成物が収集され得る。塔底生成物中に存在する二酸化硫黄(SO2)の量は、100ppm以下、50ppm以下、10ppm以下、又は1ppm以下であり得る。
【0356】
実施例17-バッチ蒸留によるトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)からの二酸化硫黄(SO2)除去
52.73lbの740ppmのSO2含有TFACを、TFACからSO2を除去するためのバッチ蒸留のために、10ガロンの再沸器、2”ID×120”Lのカラム(Goodloe2インチ直径×6インチ厚の構造化金属充填物が装填される)、及びシェル型凝縮器中の管(10.45ft2の表面積)を装備した蒸留ユニットに充填した。再沸器を、30psigの蒸気/水道水混合物で最大約40℃に加熱した。動作中、2~4時間ごとに、2~4psigのカラム圧力を、塔頂から軽質物収集シリンダに放出して、始動時に非凝縮性ガスを除去し、システムから濃縮SO2をパージした。塔頂還流及び再沸器サンプルを、予め較正された熱伝導率検出ガスクロマトグラフ(thermal conductivity detection gas chromatograph、TCD-GC)を使用して、SO2分析のために定期的に採取した。この結果に基づき、TFACに含有されるSO2を、塔頂に濃縮した。塔頂パージを継続すると、再沸器SO2濃度は、低下し続け、最終的にGC検出限界(5ppm未満)未満に達した。8つの再沸器サンプルが、GC検出限界(<5ppm)未満のSO2量を示した後、再沸器材料を、<5ppmのSO2(GC検出限界未満)を含有する49.67lbの精製されたTFACを収集し、96.84%の収率を表す状態で、重質物収集シリンダに完全に排出した。軽質物収集シリンダは、動作中に1.53lb増加し、99.82%の総質量収支を与えた。
【0357】
第2のバッチ蒸留を、上で説明される同じ蒸留ユニットで行った。54.70lbの958ppmのSO2含有TFACを再沸器に充填した。動作中、2~4時間ごとに、2~4psigの塔圧力を、塔頂から軽質物収集シリンダに放出して、始動時に非凝縮性ガスを除去し、システムから濃縮SO2をパージした。塔頂還流及び再沸器サンプルを、予め較正されたTCD-GCを使用して、SO2分析のために定期的に採取した。結果に基づいて、TFAC中に含有されるSO2を、塔頂流へ濃縮した。塔頂パージを継続すると、再沸器SO2濃度は、低下し続け、最終的にGC検出限界(5ppm未満)未満に達した。3つの再沸器サンプルが、GC検出限界未満のSO2量を示した後、再沸器材料を、<5ppmのSO2(GC検出限界未満)を含有する53.93lbの精製されたTFACを収集し、98.59%の収率を表す状態で、重質物収集シリンダに完全に排出した。軽質物収集シリンダは、動作中に0.49lb増加し、99.49%の総質量収支を与えた。
【0358】
実施例18:蒸留によるトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の精製
トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び2500ppmの二酸化硫黄(SO2)を含む組成物は、精製されて、5ppmのSO2を含有するTFACの精製された流れを提供する。
【0359】
997.5lb/時のTFAC及び2.5lb/時のSO2を含有する1000lb/時の粗TFACが、カラムの上部において、52.7psiaで動作する蒸留カラムに供給される。蒸留カラムは、40段を有し、カラムの塔頂温度が、約10℃で動作するように供給温度5℃の冷水で冷却された凝縮器が取り付けられる。再沸器は、蒸気(例えば、115℃で10psigの飽和蒸気)で加熱される。1540lb/時の還流速度及び1820lb/時の沸き上げ速度で、5ppmのSO2を含有する精製されたTFACの塔底流が回収される。塔頂流及び留出物流は、TFAC及びSO2の近似する共沸組成物(約76重量%のTFAC、総留出物流量10.25lb/時)に濃縮される。TFACの蒸留収率は、99.2%以上である。成分の供給速度及び重量パーセンテージを以下の表23に示す。
【0360】
【0361】
カラム条件は、以下の表24に示される。
【0362】
【0363】
異なる段数、異なる供給段階、異なる圧力、異なる還流比、及び異なる沸き上げ比を含む他の条件がまたTFAC/SO2の混合物を精製するために使用され得る。
【0364】
実施例19-トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の蒸留のための代替的な方法
粗トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)を含む組成物が提供される。第1の工程において、組成物は、蒸留カラムに搬送され、共沸性又は共沸様混合物が形成されるような有効な条件に曝露される。トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む塔底生成物が収集され得る。塔底生成物中に存在する二酸化硫黄(SO2)の量は、100ppm以下、50ppm以下、10ppm以下、又は1ppm以下であり得る。
【0365】
共沸性又は共沸様混合物は、留出物として収集される。留出物中の共沸性又は共沸様混合物の成分、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)は、第2の工程において互いに分離される。トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)の分離は、次いで、蒸留、固体吸着剤への曝露、又はこれらの組み合わせによって達成され得る。
【0366】
実施例20:トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)からのトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)の分離
この実施例では、トリフルオロアセチルヨージドの分離を記載する。約80重量%のトリフルオロアセチルヨージド、約10重量%のトリフルオロアセチルクロリド、約5重量%のヨウ化水素、及び約5重量%の塩化水素を含有する混合物を蒸留カラムに充填することができる。蒸留カラムは、10ガロンの再沸器、Cannon Instrument Company(State College,PA)製の内径2インチの10フィートのPro-Pak(登録商標)カラム、及び約30の理論段を含むことができる。蒸留カラムは、温度、絶対圧力、及び差圧伝送器を装備することができる。蒸留は、約300kPaGの圧力及び約55℃の温度で実行することができ、塩化水素がカラムの上部から取り出され、生成物がカラムの塔底から取り出される。
【0367】
実施例21:処理されたトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)の分析
外径1インチ×長さ9インチのステンレス鋼カラムに、ヨウ素価1,100及びBET表面積1,225m2/gを有する29.2gの新鮮なNorit ROX 0.8活性炭を充填した。2つの300mL収集シリンダを準備した。第1のシリンダを、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給ラインの出口に接続し、湿った氷で満たされたデュアー瓶に入れ、天秤上にセットした。TFAIのフローを0.25lb/時で開始し、室温で活性炭(activated carbon、AC)カラムに通過させた。次いで、液体がカーボイに入るのが観察され、供給ライン全体が液体で満たされていることが示されるまで、フローをスクラバーカーボイに導いた。次に、供給流路を収集シリンダに約3時間切り替えて、天秤上の重量増加によって確認されるように合計約0.75ポンドにした。シリンダを隔離し、第2のシリンダと交換し、TFAIのフローを新しい収集シリンダに再開した。TFAIの2つの収集シリンダを、元のTFAI供給物のシリンダと一緒に、I2滴定及び1H NMRを含む様々な分析に供した。
【0368】
ヨウ素濃度は、サンプルを36グラムのDI水に添加し、混合し、4.0グラムのKIを添加し、混合し、チオ硫酸ナトリウムで滴定することによって判定した。水素及びヨウ素含有種の濃度は、較正されたテトラメチルシラン(tetramethylsilane、TMS)標準とともに重水素化クロロホルム(CDCl3)を含有する厚肉のバルブ付きNMR管にサンプルを移送することによって、プロトンNMR(1H-NMR)法によって判定した。サンプル中の同定された成分の濃度を、それらのピークの積分値に基づいて計算した。サンプルの分析には300mHzの電界強度を使用した。
【0369】
I2並びにHI及びHI3などの他の水素及びヨウ素含有種の濃度を、活性炭(AC)カラムによる処理の前後で比較した。これらの分析の結果は、表25に示される。
【0370】
【0371】
実施例22-生成物選択率に対する処理された供給原料の効果
トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)からHI及びHI3などのヨウ素含有不純物並びにヨウ素(I2)を除去するために活性炭(AC)を使用する効果を試験した。TFAIのCF3Iへの分解は、300℃、25psig、0.25lb/時のTFAI供給速度、及び4.9秒の接触時間で行った。外径1インチ×長さ9インチのステンレス鋼カラムに、29.5グラムの新鮮なNorit ROX 0.8活性炭(AC)を充填し、カラムの周りの迂回ループとともに、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給ラインに設置した。液体トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給物を室温でカラムに通過させた(「稼働中」)。反応器及び反応器流出ガスクロマトグラフィー(GC)データを48時間にわたって収集した。トリフルオロヨードメタン(CF3I)の平均選択率は、99.62%であった。主な副生成物は、トリフルオロメタン(CF3H)であった。
【0372】
次に、同じトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給原料を未処理のままにし(すなわち、ACカラムを迂回する、「迂回」)、上記と同じ反応条件下で約48時間、供給物として使用した。トリフルオロヨードメタン(CF3I)に対する平均選択率は、99.33%に減少したが、同じ主要不純物(トリフルオロメタン、CF3H)に対する選択率は、増加した。
【0373】
異なるトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給原料を用いて実験を繰り返し、同じ傾向が観察された。試験結果を以下の表26に見出すことができる。試験は、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給ライン上に設置されたACカラムの使用が、トリフルオロヨードメタン(CF3I)に対する改善された選択率をもたらした一方で、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)転化率は、同等のレベルのままであったことを示す。
【0374】
【表28】
*他には、トリフルオロアセチルフルオリド、C
2F
5Iなどが含まれる。
【0375】
活性炭カラムをトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)ラインから取り外し、ACを排液して秤量した。使用後、その重量は、元の重量の2.7倍であり、これは、それがトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給物中に存在する有意な量の種を吸着したことを示した。ACをTGA-MS(熱重量分析-質量分析)によって更に分析して、吸着種の性質を判定した。表27に示されるように、TGAの間に脱着された種は、I2、HI、及びトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む。検出された種の中にHI3が存在しないのは、加熱時のその不安定性に起因し、その間にHI及びヨウ素(I2)に分解し得るためであろう。
【0376】
【表29】
*ピーク強度が大きいほど、分析物の濃度が高い。
**これは、TFAI供給物がACカラムを通過したことを考慮すると、TFAI分子からのCF
3Iフラグメントを表す可能性がより高い。
【0377】
これらの結果は、実施例21からの結果とともに、ACを使用して、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)供給原料からI2、HI、及びHI3を除去できることを示す。
【0378】
実施例23-トリフルオロヨードメタン(CF3I)の分離及び精製
粗トリフルオロヨードメタン(CF3I)、少なくとも1つの不純物、及び水を含む組成物を精製する。第1の工程では、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水の相対量を調節する。トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水の相対量は、水を添加すること、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を添加すること、又はその両方によって調節することができる。次いで、組成物を、共沸性又は共沸様混合物が形成されるように有効な条件に曝露する。次いで、共沸性又は共沸様混合物は、蒸留、相分離、又は分留によって少なくとも1つの不純物から分離され得る。共沸性又は共沸様混合物が不純物から分離されると、共沸性又は共沸様混合物の成分である、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水を互いに分離して、トリフルオロヨードメタンを精製する。次いで、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及び水の分離は、蒸留、液液抽出、又は乾燥剤への曝露によって達成することができる。
【0379】
実施例24-トリフルオロヨードメタン(CF3I)からの不純物の分離
この実施例では、トリフルオロメタン(HFC-23又はR23)などの1つ以上の他の不純物と一緒に、不純物としてトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)を含む、トリフルオロヨードメタン(CF3I)の粗組成物が提供される。トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の相対量は、十分な相対量を形成するために必要であれば変更され、この組成物は、組成物の残部からトリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物を形成し、分離するのに有用な条件で蒸留に供される。トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)からなる分離した共沸性又は共沸様組成物を、軽質成分としてのトリフルオロヨードメタン(CF3I)の残りの粗組成物から除去する。次いで、トリフルオロヨードメタン(CF3I)の残りの粗組成物を異なる温度及び圧力条件にかけて、トリフルオロメタン(HFC-23)などの他の不純物を更なる蒸留によって分離して、精製されたトリフルオロヨードメタン(CF3I)を得ることができる。
【0380】
実施例25-トリフルオロヨードメタン(CF3I)からの不純物の分離
本実施例では、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、及び例えば、トリフルオロメタン(HFC-23)などの少なくとも1つの不純物を含む組成物が提供される。この組成物には、及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)を、十分な量で添加し、この組成物を、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である組成物を形成するのに有用な条件に供し、続いて例えば、相分離、蒸留、又は分留などの分離技術により、不純物から共沸性又は共沸様組成物を分離する。その後、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物を更なる分離又は精製工程に供して、精製トリフルオロヨードメタン(CF3I)を得てもよい。
【0381】
実施例26-トリフルオロヨードメタン(CF3I)からの不純物の分離
本実施例では、トリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)、及び例えば、トリフルオロメタン(HFC-23)などの少なくとも1つの不純物を含む組成物が提供される。この組成物には、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を、十分な量で添加し、この組成物を、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)及びトリフルオロヨードメタン(CF3I)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である組成物を形成するのに有用な条件に供し、続いて例えば、相分離、蒸留、又は分留などの分離技術により、不純物から共沸性又は共沸様組成物を分離する。その後、トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物を更なる分離又は精製工程に供して、精製トリフルオロヨードメタン(CF3I)を得てもよい。
【0382】
実施例27-濃硫酸(H2SO4)中のトリフルオロヨードメタン(CF3I)の安定性
この実施例では、濃硫酸(H2SO4)中のCF3Iの安定性が実証される。
【0383】
PFA反応容器に、15ml(25.5818g)の98重量%H2SO4を充填した。反応容器を油浴中で40℃に加熱した。H2SO4が40℃に均一に加熱されることを確実にするために、CF3Iの添加を開始する前に、温度を40℃で30分間維持した。一定の温度を確保し、添加されたCF3IとH2SO4との混合を提供するために、実験を通して反応容器に磁気撹拌を適用した。
【0384】
CF3Iの反応容器への液体送達を確実にするために、CF3Iシリンダを反転させ、1/4”移送ラインをH2SO4の表面下の出口に取り付けた。反応容器の出口を、20ml(20.0250g)のDI水(脱イオン水)を含有するPFAトラップに接続し、任意の同伴されたH2SO4又はCF3IとH2SO4との反応で形成され得るあらゆる酸性材料を除去した。
【0385】
H2SO4反応混合物のサンプルを1、2、及び4時間間隔で取り出し、19F NMRスペクトルをサンプリング間隔ごとに3回(3×)取得した。
【0386】
反応容器からのガス流出物のサンプルも、1、2、及び4時間間隔でTedlarガスバッグにサンプリングし、GCMS分析に供した。実験の終わりに、DI水トラップ内容物をガラスバイアルに移送し、IC分析に供した。
【0387】
19F NMRスペクトルは、CF3I及び内部標準以外の追加のピークを示さず、CF3Iが試験条件下でH2SO4中で安定であることを示した。
【0388】
GCMS分析は、初期CF3Iサンプル及びH2SO4への曝露時間で得られたサンプルの純度が感知できるほどのいかなる変化も示さなかったことを示し、試験条件下でCF3IとH2SO4との間の反応が本質的にないことを示した。分析は、新しい不純物を示さなかった。分析の結果は、以下の表28に示される。
【0389】
【0390】
IC分析は、試験後のDI水サンプル中に存在するヨウ化物及びフッ化物の量に基づいて、CF3Iの無視できる破壊を示した。驚くべきことに、CF3Iは、濃硫酸中で比較的安定であることが見出された。
【0391】
実施例27b:生成物流を硫酸でスクラビング及び乾燥することによるトリフルオロヨードメタン(CF
3I)の精製
残留酸を含む1000lb/時のCF
3I蒸気を含む粗供給流は、10psigで動作する循環苛性スクラバーに供給されてもよい。得られた湿った酸フリー粗CF3I蒸気を15℃に冷却して水を凝縮させて、含水量が減少した蒸気流を得られ得る。CF3I及び水を含むこの流れは、濃硫酸溶液と接触させ得る。水は、硫酸中に優先的に吸収され得、実質的に水を含まないCF
3Iの生成物流をもたらす。CF
3I及び水を含む供給流は、CF
3I及び水を含む供給流が液体硫酸に対して向流様式で流れる蒸気として存在し得る接触塔内で硫酸と接触され得る。硫酸の濃度が94重量%に減少したとき、それを排液し、99重量%硫酸の新しい充填物を添加する。このプロセスのプロセスフロー図を
図5に示す。
【0392】
以下の表29は、濃硫酸(H2SO4)を使用してCF3Iを乾燥させるための典型的な(例示的な)条件を示す。
【0393】
【0394】
より高い温度若しくはより低い温度、及び/又はより高い圧力若しくはより低い圧力などの他の動作条件が用いられてもよいことは、当業者によって理解されるべきである。この実施例では98~99重量%の硫酸が使用されているが、それより低い又は高い他の濃度が使用されてもよい。
【0395】
実施例28-高圧下でのTFAIのCF3Iへの転化率
この実施例では、高動作圧力TFAI分解反応を使用して、CF3I及びCOを生成する。
【0396】
低圧(low pressure、LP)及び高圧(high pressure、HP)反応器性能を直接比較するための一組の2つの実験対を、精製されたTFAI粗供給原料を使用して実行した。LP/HP対ごとに、連続実験室蒸気相反応器を最初に25psigのLP及び410℃で開始し、定常動作条件にし、これらの条件下で約2日間実行した。この間、反応器出口サンプルを規則的な4時間間隔で採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。次いで、反応器圧力を、供給を停止することなく1時間かけて220psigに上昇させ、反応器温度を350℃に調節して、所望のTFAI転化率、すなわち、LP条件で達成されたものに匹敵する転化率、すなわち約65~70%を達成した。
【0397】
LP/HP実験の第1の対について、実行のLP部分は、定常状態条件で合計54時間続いた。平均TFAI転化率は、64.8モル%であり、CF3I並びに2つの主要な不純物であるHFC23及びTFAFの選択率は、それぞれ平均で99.5%、0.42%、及び0.06%であった。
【0398】
次いで、圧力を220psigに上昇させ、反応器温度を350℃に低下させた。この対の部分をHP220実行#1と名付けた。実行のこの部分の52時間の間に、平均TFAI転化率は、70.1モル%であり、HFC23選択率は、0.50%に増加し、TFAF選択率は、平均0.03%に減少した。CF3I転化率の平均値は、平均99.5%であった。第1の実験対のLP及びHP部分についてのデータは、同等である。
【0399】
同じ手順を使用して、更なるLP/HP実験対を実行した。
【0400】
対のLP部分を、定常状態条件で合計44時間実行した。平均TFAI転化率は、66.31モル%であり、CF3I並びに2つの主要な不純物であるHFC23及びTFAFの選択率は、それぞれ平均で99.5%、0.47%、及び0.05%であった。
【0401】
次いで、圧力を220psigに上昇させ、反応器温度を350℃に低下させた。この対の部分をHP220実行#2と名付けた。実行のこの部分の56時間の間、平均TFAI転化率は、67.4モル%であり、HFC23選択率は、0.50%に減少し、TFAF選択率は、平均で0.04%に減少した。CF3I転化率の平均値は、平均99.5%であった。第2の実験対のLP及びHP部分についてのデータは、同等である。
【0402】
動作条件、平均TFAI転化率、及び生成物選択率を以下の表30に示すが、ここでPFPは、ペンタフルオロプロパノンであり、低圧実行及び高圧実行は、それぞれ25psig及び220psigである。
【0403】
【0404】
実施例29:CF
3Iの実験室規模の精製
この実施例は、精製されたTFAIで開始し、リサイクルのための未反応TFAI流、精製されたCF3I生成物、及びCO廃棄流を生成する実験室処理ユニットの動作を実証する。処理ユニットを
図6に示す。
【0405】
実験室処理ユニットは、以下の工程/ユニット動作からなる:(1)TFAIの気化、(2)TFAIの気相熱分解、(3)リサイクルのための未転化TFAIの分離(リサイクルカラム再沸器流は、工程2のTFAI精製カラムに送られる)、(4)酸除去、(5)CO除去、及び(6)粗CF3Iの蒸留。
【0406】
工程(1)において、TFAIの気化/過熱中、TFAIは、貯蔵シリンダから個々の気化器/過熱器に所定の流量で供給され、所定の温度に加熱される。次いで、過熱されたTFAIは、反応のために予熱された反応器に供給される。
【0407】
工程(2)において、TFAIの熱分解反応は、電気加熱要素を装備した気相反応器中で起こる。転化率は、電気加熱要素表面(皮膚)温度及び接触時間の関数である。接触時間は、反応器体積、TFAI供給速度、圧力、及び温度によって判定される。
【0408】
工程(3)において、TFAIは、CF3I及びCOから分離され、TFAIはリサイクルされる。CF3I及びCO粗反応生成物は、TFAIリサイクルカラムにおいて塔頂流として分離される。主にTFAIからなるカラム塔底流は、TFAI熱分解反応器に戻してリサイクルされる前に、TFAI精製カラムに送られる。
【0409】
工程(4)において、リサイクルカラムの塔頂流は、低圧でスクラビングされる。TFAIリサイクルカラムの上部から出るCF3I及びCO粗反応生成物を苛性スクラバーに通過させて残留酸を除去し、次いで乾燥剤を使用して乾燥させる。
【0410】
工程(5)において、流れは、圧縮され、COが除去される。酸フリー粗CF3I及びCOは、CF3I/CO分離器内に圧縮され、COは、放出され、CF3Iは、CF3I還流凝縮器の助けを借りて生成物収集シリンダ内に収集される。
【0411】
工程(6)において、CF3I生成物は、精製される。粗生成物を冷媒グレードCF3Iに精製するためにバッチ蒸留を用いる。
【0412】
CF3I実験室処理ユニットを合計708時間連続的に実行し、キャンペーン16及び17(C16及びC17)と称した。キャンペーンの目的は、低圧動作条件でのプロセスの長期安定性を実証することであった。C16及びC17のためのTFAI供給原料は、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)とヨウ化水素(HI)との反応によって生成された精製された粗TFAIであった。供給原料の純度をガスクロマトグラフィーによって判定し、C16については99.1%及びC17については99.2%であった。
【0413】
合計79lbのTFAIをC16の間にユニットに供給し、104.5lbをC17の間に供給した。全時間にわたって「ベースライン条件」と称される条件:0.25lb/時のTFAI供給速度、25psigの圧力、及び390±1℃の電気ヒーター要素温度で反応を実行した。これは、2.10秒の接触時間(contact time、CT)を提供した。
【0414】
動作の708稼働時間にわたる平均TFAI転化率は、70.4mol%であり、CF3I並びに2つの主要な不純物あるHFC23及びTFAFの選択率は、それぞれ平均で99.4%、0.51%、及び0.07%であった。転化率及び選択率は両方とも、キャンペーンを通して比較的一定であった。キャンペーンは、ベースライン動作条件でのプロセスの長期安定性を実証するために、より多くの稼働時間を蓄積するというその目的を果たした。2つのキャンペーンの平均動作条件及び結果の概要を以下の表31に示し、PFPは、ペンタフルオロプロパノンである。CHF2Iの形成は、観察されなかった。
【0415】
【0416】
反応器流出物を連続蒸留カラム(以下に記載されるような)に供給し、CF3I、CO、及び低沸点不純物を凝縮器の上部から連続的に取り出し、酸性低沸点不純物を中和するための弱NaOH溶液を含有したスクラバーに供給した。スクラバー装置を以下に説明する。スクラバーの前後にサンプルを採取して、酸性不純物の消失を確認及び観察した。TFAIリサイクルカラムの動作条件を表32に示す。
【0417】
【0418】
表33は、スクラバーの成分及び条件を示す。
【0419】
【0420】
表34及び35は、それぞれスクラバー前後の粗CF3Iの組成を示す。全ての値をGC面積%で示す。スクラバーには最初に0.5重量%の水酸化ナトリウム(NaOH)を充填した。
【0421】
【0422】
【0423】
スクラバーカラムを出た後、この流れをDrierite(硫酸カルシウム)乾燥剤を充填したカラムに供給して水分を除去した。次いで、乾燥CF3I/CO粗流を約200psigに圧縮し、液体窒素によって過冷却された還流凝縮器が取り付けられた冷却生成物収集シリンダ(PCC)に供給した。背圧調節器を使用して、一酸化炭素(及びいくらかのCF3I)をシステムから連続的に放出した。キャンペーン中に73ポンドのCF3IがPCC中に収集された。複数のキャンペーンにわたってPCC中に収集されたCF3I粗材料の典型的な品質は、以下の表36に見ることができる。
【0424】
【0425】
この材料の一部を、以下に記載する2リットルのR12高圧バッチ蒸留カラムで更に蒸留した。約2150グラムのCF3I粗材料を充填し、非凝縮性物を放出した後、102グラムの軽質留分を採取した。920グラムの主留分を収集し、主留分#1と称した。追加の534グラムの留出物を収集し、主留分#2と称した。蒸留の完了後、再沸器残留物をラボGCによって分析した。両方の主留分は、約99.99%純度であり、99.5%CF3I製造仕様よりもはるかに高かった。不揮発性残留物、酸性度、及び水分分析を以下の表に見出すことができる。水分レベルは、冷凍グレード仕様よりも10倍高かったが、材料をドライエライト乾燥剤で処理すると、水分レベルは、4ppmに減少し、これは10ppm仕様よりも低かった。再沸器は、約38%の高沸点物(CF3Iに対して)が残っており、これは、H2及びI2(HIを生成するため)並びにTFACから出発する3工程プロセスによって生成される問題のある不純物がないことを示す。
【0426】
最終CF3Iバッチ蒸留装置の成分及び条件の説明を以下の表37に示す。
【0427】
【0428】
表38は、バッチ蒸留による粗CF3Iの精製中に生成された実験室処理ユニットからの様々な留分及び再沸器残留物のGC分析を示す。
【0429】
【0430】
表39は、バッチ蒸留による実験室処理ユニットからの粗CF3Iの精製からの主留分1の追加分析を示す。
【0431】
【表41】
*乾燥剤としてドライエライトを使用した
【0432】
未反応TFAI及び高沸点不純物を、全708時間の稼働時間の間再沸器中に蓄積させた。この材料を、再沸器レベルが約80%になるまで、他の前及び後のキャンペーンからの他の蓄積された未反応TFAI材料と合わせた。合計175lbの未反応TFAIを再沸器から排出した。次に、材料をバッチ蒸留して、I2及び高沸点不純物を除去した。使用したバッチ蒸留カラムを以下に記載する。蒸留カラム再沸器を充填した後、蒸留を開始し、非凝縮性物質及びCF3Iなどの低沸点不純物を放出した後、蒸留を開始した。136.8lbの留出物を生成物収集シリンダ(PCC)に収集した。再沸器温度が、通常の手順に従ってカラム温度より高い>10℃に上昇した後、蒸留を停止した。PCC中に収集された複合TFAIのガスクロマトグラフィー(GC)分析は、材料の純度が99.0%であることを判定した。キャンペーン22(Campaign 22、C22)を開始する前に、材料をCF3I実験室処理ユニットの供給シリンダに移送して、未反応TFAIをリサイクルできることを実証した。
【0433】
TFAIバッチカラムの条件を以下の表40に示す。
【0434】
【0435】
精製された未反応TFAIをCF3I実験室処理ユニット用の供給シリンダに充填した後、反応を220psig、0.25lb/時のTFAI供給、及び340℃の高圧条件で開始し、定常動作条件にし、そこで約100時間連続的に実行し、反応器出口サンプルを規則的な4時間間隔で採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。この実行をキャンペーン22(C22)と称した。
【0436】
平均TFAI転化率は、68.4%モル%であり、HFC-23選択率は、0.28%であり、TFAF選択率は、平均で0.07%であり、CF3I転化率は、平均値で99.6%であった。これらの結果は、未反応TFAIが、CF3I選択率を失うことなく、TFAI分解反応器に首尾よくリサイクルされ得ることを示した。表41は、C22平均動作条件及び結果の概要である。PFPは、ペンタフルオロプロパノンであり、TFAF、R23、PFP、CF3I、C2F5I、及びCHF2Iに対する選択率は、モルパーセントで示される。TFAIの転化率(conversion of TFAI、「TFAI Conv.」)は、モルパーセントで示される。供給原料は、未反応TFAIリサイクルであった。稼働時間は、100時間であった。
【0437】
【0438】
態様
態様1は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスである。本プロセスは、(a)ヨウ化水素(HI)を含む第1の反応物流を提供することと、(b)第1の反応物流を、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の反応物流と反応させて、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む中間生成物流を生成することと、(c)中間生成物流を反応させて、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む最終生成物流を生成することと、を含む。
【0439】
態様2は、水素(H2)とヨウ素(I2)とを反応させて、ヨウ化水素(HI)を含む第1の反応物流を生成する、態様1に記載のプロセスである。
【0440】
態様3は、約150℃~約600℃の温度、約0psig~約600psigの圧力、約1.0~約10.0の水素(H2)とヨウ素(I2)とのモル比、及び触媒、のうちの少なくとも1つを更に含む、態様1又は態様2のいずれかに記載のプロセスである。
【0441】
態様4は、第1の生成物流が、未反応ヨウ素(I2)及び未反応水素を更に含み、これらの両方が、反応工程にリサイクルされる、態様1~3のいずれかに記載のプロセスである。
【0442】
態様5は、プロセスが、第1の触媒を含み、第1の触媒が、ニッケル、ヨウ化ニッケル(NiI2)、コバルト、鉄、酸化ニッケル(NiO)、酸化コバルト、及び酸化鉄、ヨウ化コバルト(II)(CoI2)、ヨウ化鉄(II)(FeI2)、及びヨウ化鉄(III)(FeI3)の群から選択される少なくとも1つの触媒を含む、態様1~4のいずれかに記載のプロセスである。
【0443】
態様6は、第2の反応物流が、二酸化硫黄(SO2)を更に含み、プロセスが、工程(b)の前に、(i)トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)及び二酸化硫黄(SO2)の共沸性若しくは共沸様組成物を形成すること、並びに組成物を蒸留カラムに供給することによって、二酸化硫黄(SO2)を除去する追加の工程、又は(ii)トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)と二酸化硫黄(SO2)との混合物を少なくとも1つの固体吸着剤と接触させて、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)と二酸化硫黄(SO2)との混合物から二酸化硫黄(SO2)を除去する追加の工程、を更に含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0444】
態様7は、工程(b)が、以下:約25℃~約180℃の温度、約0~約225psigの圧力、約2.0:1.0~約0.02:1.0のトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)とヨウ化水素(HI)とのモル比、及び触媒、のうちの少なくとも1つを更に含む、態様1~6のいずれかに記載のプロセスである。
【0445】
態様8は、工程(b)において、第2の反応物流が、複数の成分を含み、TFAC及びHIの合計が、少なくとも99重量%を構成し、二酸化硫黄(SO2)が、250ppm以下の量で存在し、ヨウ素及びHI3の合計が、2000ppm以下であり、ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードプロパン、ヨードブタン、ヨウ化tert-ブチル、及びジヨードプロパンのうちの1つ以上を含むヨード炭化水素が、500ppm以下の量で存在し、水素が、500ppm以下の量で存在し、CF3Iが、5000ppm以下の量で存在する、態様1~7のいずれかに記載のプロセスである。
【0446】
態様9は、工程(b)が、触媒を更に含み、触媒が、活性炭及び炭化シリカの群から選択される少なくとも1つの触媒を含む、態様1~8のいずれかに記載のプロセスである。
【0447】
態様10は、中間生成物流が、未反応トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を更に含み、プロセスが、(i)中間生成物流から未反応トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を分離する追加の工程と、(ii)分離したトリフルオロアセチルクロリドを反応物流に戻す追加の工程と、を更に含む、態様1~9のいずれかに記載のプロセスである。
【0448】
態様11は、中間生成物流が、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、ヨウ化水素(HI)、塩化水素(HCl)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、ヨウ素含有種、及び一酸化炭素(CO)のうちの少なくとも1つを更に含み、工程(b)が、中間生成物流を精製して、約99%を超える濃度のトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を有する精製された中間生成物流を得ることを更に含む、態様1~10のいずれかに記載のプロセスである。
【0449】
態様12は、中間生成物流を精製することが、(i)中間生成物流を第1の蒸留カラムに供給して、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、ヨウ化水素(HI)、塩化水素(HCl)、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、及び一酸化炭素(CO)のうちの少なくとも1つを含む第1の塔頂流、並びにトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、トリフルオロ酢酸(TFA)、及びヨウ素含有種を含む第1の塔底流を得ることと、(ii)第1の塔頂流を第2の蒸留カラムに供給して、塩化水素(HCl)を含む第2の塔頂流、並びにヨウ化水素(HI)及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の塔底流を得ることと、を更に含む、態様11に記載のプロセスである。
【0450】
態様13は、中間生成物流を精製することが、(i)中間生成物流を第1の蒸留カラムに供給して、塩化水素(HCl)を含む第1の塔頂流、並びにトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)、ヨウ化水素(HI)、及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第1の塔底流を得ることと、(ii)第1の塔底流を第2の蒸留カラムに供給して、ヨウ化水素(HI)及びトリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の塔頂流、並びにトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む第2の塔底流を得ることであって、第2の蒸留カラムが、第1の蒸留カラムの圧力よりも低い圧力で動作される、得ることと、を更に含む、態様11に記載のプロセスである。
【0451】
態様14は、中間生成物流を精製することが、約150℃未満の温度で実施される、態様11~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0452】
態様15は、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)又はトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む流れを炭素質材料と接触させて、流れからヨウ化水素(HI)、三ヨウ化水素(HI3)、及びヨウ素(I2)のうちの少なくとも1つを除去することによって、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)又はトリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む流れから少なくとも1つのヨウ素含有種を除去することを更に含む、態様1~14のいずれかに記載のプロセスである。
【0453】
態様16は、第1の塔底流に溶媒を添加して、溶媒及び第1の塔底流を含む流れを提供することによって、第1の塔底流から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去することと、溶媒及び第1の塔底流を含む流れを第2のカラムに通過させて、第2の塔頂生成物及び第2の塔底生成物を提供することと、第2の塔底生成物を第3のカラムに通過させて、第3の塔頂生成物及び第3の塔底生成物を提供することであって、第3の塔底生成物が、ヨウ素を含む、提供することと、を更に含む、態様12に記載のプロセスである。
【0454】
態様17は、溶媒がトルエンを含む、態様16に記載のプロセスである。
【0455】
態様18は、溶媒がリサイクルされ、第1の塔底流に添加される、態様16又は態様17のいずれかに記載のプロセスである。
【0456】
態様19は、工程(c)が、以下:約300℃~約450℃の反応温度、約25~約300psigの圧力、のうちの少なくとも1つを更に含み、反応が、浸漬型電気ヒーター反応器、シェルアンドチューブ反応器、又はインピーダンスヒーター型反応器中で起こる、態様1~18のいずれかに記載のプロセスである。
【0457】
態様20は、最終生成物流が、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、R23(CH3F)、R13(CClF3)、トリフルオロアセチルフルオリド(TFAF)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ペンタフルオロプロパノン、133a(2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)、ペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)、ヨード(I2)、又はTFAIのうちの少なくとも1つを更に含み、工程(c)が、最終生成物流を精製して、約99%を超えるトリフルオロヨードメタン(CF3I)の濃度を有する精製された最終生成物流を得ることを更に含む、態様1~19のいずれかに記載のプロセスである。
【0458】
態様21は、溶媒を最終生成物流に添加して、溶媒及び最終生成物流を含む流れを提供することによって、最終生成物流から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去することと、溶媒を含む流れ及び最終生成物流を第1のカラムに通過させて、第1の塔頂生成物及び第1の塔底生成物を提供することと、第1の塔底生成物を第2のカラムに通過させて、第2の塔頂生成物及び第2の塔底生成物を提供することであって、第2の塔底生成物が、ヨウ素を含む、提供することと、を更に含む、態様1~20のいずれかに記載のプロセスである。
【0459】
態様22は、溶媒がトルエンを含む、態様21に記載のプロセスである。
【0460】
態様23は、溶媒がリサイクルされ、第1の塔底流に添加される、態様21又は態様22のいずれかに記載のプロセスである。
【0461】
態様24は、最終生成物流を精製することが、(i)最終生成物流を第1の蒸留カラムに供給して、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、一酸化炭素(CO)、及び低沸点不純物を含む塔頂流、並びにトリフルオロアセチルヨージド(TFAI)及び高沸点不純物を含む塔底流を得ることと、(ii)塩化水素(HCl)流と合わせたトリフルオロヨードメタン(CF3I)、一酸化炭素(CO)、及び低沸点不純物を含む塔頂流を第2の蒸留カラムに供給して、一酸化炭素(CO)及び塩化水素(HCl)を含む第2のカラムの塔頂流、並びにトリフルオロヨードメタン(CF3I)、不純物、及び残留酸を含む第2のカラムの塔底流を得ることと、を更に含む、態様20に記載のプロセスである。
【0462】
態様25は、(i)残留酸を除去するために第2のカラムの塔底流をスクラビングシステムに提供して、トリフルオロヨードメタン、不純物、及び水を含む流れを得ることと、(ii)水を除去するためにトリフルオロヨードメタン、不純物、及び水を含む流れを乾燥させて、トリフルオロヨードメタン、不純物を含む乾燥流を得ることと、を更に含む、態様24に記載のプロセスである。
【0463】
態様26は、乾燥工程が、トリフルオロヨードメタン、不純物、及び水を含む流れを、モレキュラーシーブ、無水塩化カルシウム、無水硫酸カルシウム、濃硫酸、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、及び前述の組み合わせのうちの少なくとも1つからなる群から選択される乾燥剤に曝露することを更に含む、態様25に記載のプロセスである。
【0464】
態様27は、乾燥工程が、トリフルオロヨードメタン、不純物を含む流れを濃硫酸溶液と接触させることを含む、態様25又は態様26に記載のプロセスである。
【0465】
態様28は、(i)トリフルオロヨードメタン、低沸点不純物、及び高沸点不純物を含む乾燥流を第3の蒸留カラムに提供して、低沸点不純物を含む第3の塔頂生成物流、並びにトリフルオロヨードメタン及び高沸点不純物を含む第3の塔底生成物流を提供することと、(ii)第3の塔底生成物流を第4の蒸留カラムに提供して、高沸点不純物を含む第4の塔底生成物流、並びに精製されたトリフルオロメタン(CF3I)を含む第4の塔頂生成物流を提供することと、を更に含む、態様25~27のいずれかに記載のプロセスである。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するためのプロセスであって、
(a)ヨウ化水素(HI)を含む第1の反応物流を提供することと、
(b)前記第1の反応物流を、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)を含む第2の反応物流と反応させて、トリフルオロアセチルヨージド(TFAI)を含む中間生成物流を生成することと、
(c)前記中間生成物流を反応させて、トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を含む最終生成物流を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
水素(H
2)とヨウ素(I
2)とを反応させて、ヨウ化水素(HI)を含む前記第1の反応物流を生成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
約150℃~約600℃の温度、
約0psig~約600psigの圧力、
約1.0~約10.0の水素(H
2)とヨウ素(I
2)とのモル比、及び
触媒、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【国際調査報告】