IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パブリチノエ アクツィオネルノエ オブスチェストヴォ “ガズプロム”の特許一覧

特表2024-528617ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法
<>
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図1
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図2
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図3
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図4
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図5
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図6
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図7
  • 特表-ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ガス蓄積用ブロック複合材料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/26 20060101AFI20240723BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20240723BHJP
   B01J 2/28 20060101ALI20240723BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B01J20/26 A
B01J2/00 A
B01J2/28
B01J20/20 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501741
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 RU2022000320
(87)【国際公開番号】W WO2023101575
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】2021135367
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522440197
【氏名又は名称】パブリチノエ アクツィオネルノエ オブスチェストヴォ “ガズプロム”
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォムキン,アナトリイ アレクセエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ツィヴァッゼ,アスラン ウスポヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】クニアゼヴァ,マリナ コンスタンチノヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ソロヴツァワ,オルガ ヴヤチェスラヴォヴナ
(72)【発明者】
【氏名】シコリン,アンドレイ ヴヤチェスラヴォヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】メンシチコフ,イリア エヴゲニエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】アクシウティン,オレグ イェヴゲニエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】イシコヴ,アレクサンドル ガヴリロヴィッチ
【テーマコード(参考)】
4G004
4G066
【Fターム(参考)】
4G004AA03
4G004NA01
4G066AA04B
4G066AB23B
4G066AC01D
4G066AC02D
4G066AC11B
4G066AC12D
4G066AC33D
4G066BA09
4G066BA23
4G066BA25
4G066BA26
4G066BA36
4G066CA51
4G066DA01
4G066FA03
4G066FA20
4G066FA21
4G066FA26
4G066FA33
4G066FA34
4G066FA35
4G066FA37
(57)【要約】
本発明群は、ガス貯蔵に効率的な高いかさ密度および二峰性の細孔分布を有する、有機金属配位高分子および炭素材料を含有するガス蓄積用ブロック複合材料の製造方法に関する。提案された方法には、初期成分として有機金属配位ポリマー、炭素含有材料(マイクロ孔炭素吸着剤、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒色黒鉛)、ポリビニルアルコール、キトサンの酢酸溶液、オキシエチルセルロースなどのバインダー溶液、の混合が含まれ、調製した混合物を加圧下でブロックに成形し、ブロックを乾燥および活性化する。提案されたブロック複合材料は、それぞれが特定の熱力学的パラメータ:温度および圧力において最大効率でガスを蓄積することができる少なくとも2つの細孔モードが利用可能であるため、幅広い温度および圧力の範囲で動作する場合の複雑なガス混合物の蓄積システムの効率と信頼性を向上させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分をバインダーと混合し、得られた混合物をブロックに成形し、その後乾燥することを含むガス蓄積用ブロック複合材料の製造方法において、有機金属配位ポリマーおよびナノ多孔質炭素吸着剤またはカーボンナノチューブベースの吸着剤を30/70~95/5重量%の割合で混合して成分として使用し、混合した成分のマイクロ孔の有効内径が最小で0.4nm、最大で0.8nmだけ相互に異なり、ポリビニルアルコール、キトサンの酢酸溶液、オキシエチルセルロースのような化合物の2~15%水溶液を結合剤として使用し、得られた混合物を25~75kNの負荷力で1~2分以内に加圧下でブロックに成形し、ブロックを通常の状態で乾燥室に置き、その後、温度を最大60℃/hの速度で110~120℃まで上昇させ、最短で12時間、最長で36時間乾燥させ、次に、ブロックを熱真空チャンバ内、温度120℃、最低6時間、残留圧力0.26kPaで活性化させることを特徴とするガス蓄積用ブロック複合材料の製造方法。
【請求項2】
有機金属配位ポリマー、ナノ多孔質炭素吸着剤またはカーボンナノチューブベースの吸着剤をそれぞれ30/70~95/5重量%の比率で含有し、結合剤として、ポリビニルアルコール、キトサンの酢酸溶液、オキシエチルセルロースのような化合物の2~15%水溶液を含有するガス蓄積用ブロック複合材料において、ブロック複合材料のかさ密度が0.540~1.220g/cmの範囲にあり、ナノ多孔質構造が二峰性であり、マイクロ孔の有効内径が初期成分と同等であり最小で0.4nm、最大で0.8nmだけ相互に異なり、材料がマイナス30~プラス60℃の温度および最大10MPaの圧力で使用されることを特徴とするガス蓄積用ブロック複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明群は、ガスの貯蔵、複合ガス混合物の貯蔵および分離、ならびにガスの貯蔵および分離のための材料の製造方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
最大10,000m/gの大きい表面積のため、有機金属配位ポリマー(OMCP)は、ガスの貯蔵または分離での使用に高い需要があるかも知れない。しかし、合成されたOMCPは一般に、結晶のサイズがナノメートルから数百マイクロメートルの結晶粉末である。動的条件下での粉末吸着剤の使用は、ガスが層を通過する際の圧力差の発生、発塵、磨耗、流れによるキャリーオーバー、輸送および加工の困難さなどにより不利である。合成されたOMCPは、効率的に使用できるよう、顆粒、球形、錠剤などのコンパクトな形状に成形される。さらに、純粋な形態のOMCPは、機械加工、吸脱着サイクルの影響、吸着プロセスの熱影響により、機械的および熱的に不安定である。したがって、OMCPベースの複合材料は、ガスの貯蔵および分離のシステムにおいてより効率的である。
【0003】
2016年6月21日に発行された米国特許第9370771号明細書(B2)、IPC B01D53/04、B01J31/16、C10L3/10、B01D53/02、B01J20/02、B01J20/22、B01J20/28、B01J20/30の既知の発明は、溶媒、水を使用し、少なくとも1つの追加物質、結合剤と混合し、得られた組成物を成形OMCPブロックに押し出すソルボサーマル合成によって得られるアルミニウムをベースとする成形OMCPブロックの調製方法を提供する。この発明の実施例の分析は、得られた材料の比表面積が平均1,000m/gであることを示し、これはアルミニウムをベースとするOMCPに関する既知のデータに対するその比表面積の減少を証明している。
【0004】
2017年9月12日に発行された米国特許第9757710号明細書(B1)、IPC B01J20/22、B01J20/28、B01J20/30、C01B3/00、C10L3/06の発明は、OMCP粉末の圧縮方法を提供し、最初の溶媒の適用中に合成されたOMCPは、細孔容積の少なくとも10%まで最初の溶媒を置換できる溶媒で満たされ、その後OMCPは圧縮され、そして溶媒が除去されるまで乾燥される。この著者らは、OMCPブロックは比表面積の少なくとも80~90%を保持し、ブロックの密度は、合成および圧縮の条件に応じて、ブロックに詰め込まれたOMCPの結晶構造の理論密度の60%未満であると述べている。この発明の欠点は、細孔特性の範囲が狭いことと、OMCP使用条件があいまいなことである。
【0005】
請求の範囲に記載されたOMCPベース材料に最も近い背景技術は、有機金属複合ポリマーおよび少なくとも1つの液体を含む組成物、および、非有機酸化物、酸化アルミニウム、粘土、ベントナイトおよびコンクリートからなる群から選択される結合剤を含む少なくとも1つの添加剤、ならびに、有機ポリマーからなる群から、例えば、メチルセルロースおよびポリエチレンオキシドまたはそれらの混合物からなる群から選択される膨張剤を含む添加剤、を混合することを含む、球形の成形体の製造方法を提供する(2014年8月7日に発行された国際公開2014/118054号(A1)、IPC B01J2/06、B01J2/14、B01J20/22、B01J20/28、B01J20/30)。
【0006】
このようなアプローチにより、OMCPおよびかさ密度が増加した球状OMCP顆粒を含む複合材料の作成が可能になる。OMCPの圧縮中に発泡剤を使用すると、発泡剤によって追加の多孔性が生成されるため、機械加工(プレス、押出)と結合剤による細孔の充填によって引き起こされる多孔質構造の劣化を段階的に調整することができる。この方法の欠点は、発泡剤によって形成される細孔がマクロ細孔とメソ細孔に関連するため、細孔の比表面積が減少し、その結果、ガス蓄積効率が低下することであり、つまり、それらは複雑なガス混合物の吸着と貯蔵には不十分である。
【0007】
ガス混合物、特に、天然ガス、メタンの貯蔵システムでの使用に推奨される、特許請求の範囲に記載されているガス混合物貯蔵方法に最も近いものは、2018年4月6日に発行されたロシア国特許発明第2650012号明細書、IPC F17C11/00(2006.01)、B82B1/00(2006.01)であり、ここでは、細孔の平均有効幅が0.6~1.2nmのナノ多孔質材料が、3.5MPaの動作圧力およびプラス10~プラス30℃の温度でのアキュムレータ容器の動作中に使用される。細孔の平均有効幅が0.5~1.0nmのナノ多孔質材料が、7MPaの動作圧力および同じ温度でのアキュムレータ容器の動作中に使用される。マイナス30~マイナス10℃の低温領域でアキュムレータ容器を動作させる場合、0.9~2nmのより広い細孔を持つ吸着剤を使用すると、効率的な蓄積が得られる可能性がある。これにより、蓄積システム内の吸着剤細孔の容積Wは可能な限り最大となる。この既知の方法の欠点は、提案された各材料が効率的となるプロセスパラメータ(温度および圧力)の動作範囲が狭いため、複雑なガス混合物の貯蔵効率が低いことである。
【発明の概要】
【0008】
二峰性の細孔分布を持つ吸着剤に基づく複合材料の作成は、効率的なガス貯蔵と複雑なガスのさまざまな成分の最大限の完全な蓄積の問題を解決するために提供される。このような複合材料は、例えば、天然ガス吸着の場合に使用することができ、小さい最頻値は主にメタンを蓄積し、大きい最頻値はより重い炭化水素を蓄積する。最頻値は、マイクロ孔の有効内径、nmに対応する。しかしながら、2つの最頻値が2.0nm未満の有効内径を有し、それらの細孔の体積が比較的等しいような二峰性の細孔分布を達成することは困難である。OMCPと炭素吸着剤をベースにした複合材料は、この問題を解決する可能性があり、多孔質構造の成分の特定の比率とパラメータで、ガスの貯蔵および分離のシステムでの使用に必要な最適な吸着率と機械的特性を確保できる。
【0009】
したがって、この発明群の課題は、ガスおよび混合物の蓄積に効率的な細孔サイズを有し、発達した内面を有し、広範囲の温度および圧力で動作する場合の複雑なガス混合物の相組成および他の特性の変化に柔軟に適応する、機械的に強靭な複合材料を得ることである。
【0010】
この発明群によって達成される技術的成果は、
・発達した内面を維持しながら成形することにより、ブロック複合材料のかさ密度を増加させ、これにより、貯蔵システムの容積単位におけるガス蓄積の比体積を増加させることが可能となり、よりコンパクトなガス貯蔵システムの設計の可能性が確保され、
・空気力学的負荷が増大した条件下でのOMCPの産業応用の可能性を確保するため、組成配合とその混合技術の最適化により、得られたブロック複合材料の硬度を増加させ、
・ブロック複合材料の二峰性細孔径分布による、ガス貯蔵システム内の温度および圧力の乱れによるガス損失を減少させる
ことである。
【0011】
この技術的な成果は、ガス蓄積用ブロック複合材料の製造方法が、成分をバインダーと混合し、得られた混合物をブロックに成形し、その後乾燥することを含み、有機金属配位ポリマーおよびナノ多孔質炭素吸着剤またはカーボンナノチューブベースの吸着剤を30/70~95/5重量%の割合で混合して成分として使用し、混合した成分のマイクロ孔の有効内径が最小で0.4nm、最大で0.8nmだけ相互に異なり、ポリビニルアルコール、キトサンの酢酸溶液、オキシエチルセルロースのような化合物の2~15%水溶液を結合剤として使用し、得られた混合物を25~75kNの負荷力で1~2分以内に加圧下でブロックに成形し、ブロックを通常の状態で乾燥室に置き、その後、温度を最大60℃/hの速度で110~120℃まで上昇させ、最短で12時間、最長で36時間乾燥させ、次に、ブロックを熱真空チャンバ内、温度120℃、最低6時間、残留圧力0.26kPaで活性化させることによって達成される。
【0012】
この技術的成果は、有機金属配位ポリマー、ナノ多孔質炭素吸着剤またはカーボンナノチューブベースの吸着剤をそれぞれ30/70~95/5重量%の比率で含有し、結合剤として、ポリビニルアルコール、キトサンの酢酸溶液、オキシエチルセルロースのような化合物の2~15%水溶液を含有するガス蓄積用ブロック複合材料が、ブロック複合材料のかさ密度が0.540~1.220g/cmの範囲にあり、ナノ多孔質構造が二峰性であり、マイクロ孔の有効内径が初期成分と同等であり最小で0.4nm、最大で0.8nmだけ相互に異なり、材料がマイナス30~プラス60℃の温度および最大10MPaの圧力で使用されることを特徴とする、ことによって達成される。
【0013】
T1、T6、およびCNTマイクロ孔炭素吸着剤を複合材料の炭素成分として使用した。T1およびT6は、泥炭を硫化カリウムと混合し、その後の排ガスまたは熱分解ガスによる造粒および炭化、その後の800℃の温度での活性化プロセスおよび>0.2mmの破砕サイズまでの粉砕によって、泥炭から得た。カーボンナノチューブを含有するマイクロ孔-メソ孔CNT炭素吸着剤は、「ナノテクセンター(NanoTechCenter)」リミテッド(タンボフ)によって商品名MPU-007にて製造された。特定の炭素成分の多孔質構造パラメータを表1に示す。
【0014】
PVAL、キトサン、オキシセルロースの希釈(2~5%)溶液を複合材料バインダーとして使用し、許容可能な強度を提供する際の結合剤によるブロック複合材料のマイクロ孔の阻害を最小限に抑えた。
【0015】
発明群の本質は、特定の例示的な実施形態の詳細な説明、ならびに添付の図面および表によって説明されるが、これらは本発明群を限定するものではない。
【0016】
表1は、複合吸着剤の成形に使用される炭素材料の多孔質構造のパラメータであって、SBETは、BET法による比表面積、m/g、Wは、比マイクロ孔容積、cm/g、Dは、マイクロ孔の有効内径、nm、аは、マイクロ孔における吸着の限界値、mmol/g、Eは、窒素の吸着特性エネルギー、kJ/mol、Eは、ベンゼンの吸着特性エネルギー、kJ/mol、Wは、総計した細孔容積、cm/g、Wmeは、メソ孔容積、cm/g、Smeは、メソ孔面積、m/gである。
【0017】
表2は、結合剤を使用して成形されたOMCPと炭素吸着剤に基づく複合材料の特性であって、SBETは、BET法による比表面積、m/g、Wは、比マイクロ孔容積、cm/g、Pは、成形圧力、kN、tは、成形時間、分、ρは、かさ密度、g/cm、Wは、比マイクロ孔容積、cm/g、Dは、マイクロ孔の有効内径、nm、HAは、硬さ(ショア)、ShA、HBは、硬さ(ブリネル)、kg/mmである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】F-18ブロック複合材料の写真画像である。
図2】以下の温度(℃)でF-18ブロック複合材料によって蓄積できる特定のメタン量である:1-マイナス30、2-0、3-プラス20、4-プラス40および5-プラス60。
図3】77Kでの標準窒素蒸気の等温線に従ってNLDFT法により測定した、表2のF-18およびF-63複合材料のサンプルの二峰性のマイクロ孔サイズ分布であり、d11,12、d21,22は、それぞれF-18とF-63のモードサイズである。
図4】F-41ブロック複合材料の写真画像である。
図5】以下の温度、℃でF-41ブロック複合材料によって蓄積されたa)メタン、b)СОの特定の量である:1-マイナス30、。2-0、3-プラス20、4-プラス40および5-プラス60。
図6】F-27ブロック複合材料の写真画像である。
図7】以下の温度、℃でF-27ブロック複合材料によって蓄積できる特定のメタン量である:1-マイナス30、2-0、3-プラス20、4-プラス40および5-プラス60。
図8】体積濃度95/5%のメタンとn-プロパンの混合物の複合材料への吸着である:a)F-27、b)プラス20℃およびプラス60℃のF-41。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明群の本質は、以下のパラメータによって説明される。
【実施例1】
【0020】
マイクロ孔の有効内径が0.68nmのCuBTC有機金属配位ポリマーを、マイクロ孔の有効内径が1.34nmのT6ナノ多孔質炭素吸着剤と30/70%重量の比率で混合し、結合剤であるポリビニルアルコールの5%水溶液を加え、均質化を行い、その後、混合物を50kNの負荷力、1分間の範囲内で加圧成形した。得られた複合材料のブロックを室温の乾燥室に置き、最大60℃/hの速度で温度をプラス120℃まで上昇させ、36時間の範囲内で保持し、次に、熱真空チャンバ内で120℃の温度、6時間の範囲内、最大0.26kPaの残留圧力で活性化させた。
【0021】
得られたF-18ブロック複合材料、図1、は、初期混合成分の二峰性多孔質構造を有し、かさ密度は0.65g/cmであった。熱真空活性化により、初期複合成分に固有の多孔質二峰構造の特性を最も慎重な方法で保存し、その後のガス混合物の蓄積材としての用途に備えて材料の内面を清浄化することが可能になる。マイナス30~プラス60℃の温度範囲内、最大10MPaの圧力でこの吸着剤に蓄積されたメタン量を図2に示し、使用した炭素成分の特性を表1に示し、OMCPおよび得られたF-18複合材料の特性を表2に示す。
【実施例2】
【0022】
マイクロ孔の有効内径が1.74nmのAlBTC有機金属配位ポリマーを、マイクロ孔の有効内径が1.34nmのT6ナノ多孔質炭素吸着剤と50/50%重量の比率で混合し、結合剤であるポリビニルアルコールの5%水溶液を加え、均質化を行い、その後、混合物を75kNの負荷力、2分間の範囲内で加圧成形した。得られた複合材料のブロックを室温の乾燥室に置き、最大60℃/hの速度で温度をプラス110℃まで上昇させ、24時間の範囲内で保持し、次に、熱真空チャンバ内で110℃の温度、8時間の範囲内、最大0.26kPaの残留圧力で活性化させた。
【0023】
得られたF-41ブロック複合材料、図4、は、初期混合成分の二峰性多孔質構造を有し、そのかさ密度は0.65g/cmであった。マイナス40~プラス50℃の温度範囲内、最大10MPaの圧力でこの吸着剤に蓄積されたメタン量を図4に示し、使用した炭素成分の特性を表1に示し、OMCPおよび得られたF-41複合材料の特性を表2に示す。
【実施例3】
【0024】
マイクロ孔の有効内径が0.68nmのCuBTC有機金属配位ポリマーを、マイクロ孔の有効内径が1.48nmのCNTナノ多孔質炭素吸着剤と90/10%重量の比率で混合し、結合剤であるポリビニルアルコールの5%水溶液を加え、均質化を行い、その後、混合物を75kNの負荷力、1分間の範囲内で加圧成形した。得られた複合材料のブロックを室温の乾燥室に置き、最大60℃/hの速度で温度をプラス120℃まで上昇させ、36時間の範囲内で乾燥させ、次に、熱真空チャンバ内で120℃の温度、10時間の範囲内、最大0.26kPaの残留圧力で活性化させた。
【0025】
得られたF-27ブロック複合材料、その写真画像を図6に示す、は、初期混合成分の二峰性多孔質構造を有する。そのかさ密度は0.77g/cmである。マイナス40~プラス50℃の温度範囲内、最大10MPaの圧力でこの吸着剤が蓄積できるメタン量を図6に示し、使用した炭素成分の特性を表1に示し、OMCPおよび得られたF-27複合材料の特性を表2に示す。
【実施例4】
【0026】
吸着剤混合物にキトサンの2%水溶液を加えた点だけ実施例1と異なる。得られたブロック複合材料は、実施例1の材料と同一の吸着特性を有する。そのかさ密度は0.760g/cmである。使用した炭素成分の特性を表1に示し、OMCPおよび得られたF-111複合材料の特性を表2に示す。
【実施例5】
【0027】
吸着剤混合物にオキシセルロースの2%溶液が添加され、75kNの負荷力で成形した点において実施例1と異なる。得られたブロック複合材料は、実施例1の材料と同一の吸着特性を有する。そのかさ密度は1.200g/cmである。使用した炭素成分の特性を表1に示し、OMCPおよび得られたF-116複合材料の特性を表2に示す。
【0028】
得られた発明群の複合材料は、マイクロ孔とメソ孔を有する二峰性の多孔質構造を有し、メタン、窒素、二酸化炭素、天然ガス、関連石油ガスなどのガスやガス混合物の蓄積材として使用できる強度を備えたコンパクトなブロックにプレス成形され、特許請求の範囲に記載された技術的成果の達成を可能にする。二峰性細孔分布は、異なる細孔モードが使用されるため、プロセス操作または気象条件の変化によって引き起こされる複雑なガス混合物の相組成の変化に対するガス貯蔵の迅速な適応を容易にする。その結果、安全弁からの排出によるガスの損失が減少する。ブロック複合材料のかさ密度の増加により、貯蔵システムの体積単位におけるガス蓄積の比体積を増加させることが可能になり、複雑なガス混合物のよりコンパクトな貯蔵システムの設計および構築が可能になる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2-1】
【0031】
【表2-2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】