(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】注射支持パッド
(51)【国際特許分類】
A61M 5/46 20060101AFI20240723BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61M5/46
A61M5/32 510K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501894
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022068018
(87)【国際公開番号】W WO2023285151
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スロボダン・ステファノフ
(72)【発明者】
【氏名】ヌレッティン・アリ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ラマザン・グアカン・デミロザー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL13
4C066LL15
(57)【要約】
本開示は概して自動注射器のような薬剤送達装置(110)に関し、特に、自動注射器のような薬剤送達装置を注射部位に取り付けるためのパッド(100、200、300、400、500、600、700)に関連する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(102)に沿って近位端(104)から遠位端(106)まで延在するパッド(100、200、300、400)であって、前記近位端は、前記パッドの使用時に注射部位に隣接する前記パッドの端部であり、前記パッドは、
薬剤送達装置(110)を受け入れるように構成された取り付け部分(108)と、
使用時、そして前記薬剤送達装置が前記取り付け部分に配置されている場合に、前記薬剤送達装置に当接するように構成された前記取り付け部分の前記近位端の支持構造(130、230、430)と、
を含み、
前記支持構造は、後退位置から伸長位置に移行する場合に、前記薬剤送達装置のカバー延長部(122)によって行使される力によって前記取り付け部分から押し離されるように構成され、前記薬剤送達装置が前記取り付け部分に存在する間に、前記パッドが前記注射部位から除去されることに応答して、前記カバー延長部が前記伸長位置に移動することが可能になるようになっている、パッド。
【請求項2】
前記パッドの使用中、前記支持構造は、前記注射部位に隣接する前記パッドの前記近位端にある、請求項1に記載のパッド。
【請求項3】
前記支持構造は、前記カバー延長部が前記取り付け部分を通って前記パッドの前記近位端の平面(143)を超えて貫通することが可能になるように構成されている、請求項1および2のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項4】
前記支持構造は、前記パッドに取り付けられた少なくとも1つの可撓性アーム(237)を含み、前記少なくとも1つの可撓性アームは、前記カバー延長部からの力によって曲がるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項5】
前記支持構造は、前記カバー延長部によって行使される力によって前記取り付け部分から分離されるように構成された近位注射面(132)を含む、請求項1および2のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項6】
前記近位注射面は、前記パッドの側面構造(134)にヒンジで取り付けられている、請求項5に記載のパッド。
【請求項7】
前記ヒンジは、リビングヒンジ(302)である、請求項6に記載のパッド。
【請求項8】
前記近位注射面は、前記カバー延長部によって行使される力によって解放される前に、前記近位注射面を所定の位置に保持するように構成されたクリップ(138)を含む、請求項6および7のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項9】
前記パッドの使用中、前記近位注射面は、前記注射部位に隣接している、請求項5から8のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項10】
軸に沿って近位端から遠位端まで延在するパッド(500、600)であって、前記近位端は、前記パッドの使用時に注射部位に隣接する前記パッドの端部であり、前記パッドは、
薬剤送達装置を解放可能に受け入れるように構成された取り付け部分であって、前記取り付け部分は、作動すると、前記薬剤送達装置を前記パッドから解放する解放機構(501、601)を含む、取り付け部分と、
前記注射部位から除去されている間に前記パッドが変形することによって引き起こされる前記パッドからの力を前記解放機構へ伝達することによって、前記パッドが前記注射部位から除去されているときに前記解放機構に作用するように構成された解放アーム(502、602)と、
を含む、パッド。
【請求項11】
前記解放アームは、前記パッドの前記遠位端のパッド表面(504)に取り付けられ、前記解放機構の解放ボタン(128)の遠位面(508)まで延在し、前記解放アームが前記解放ボタンの前記遠位面に作用すると、前記解放機構が作動する、請求項10に記載のパッド。
【請求項12】
前記解放アームは、前記パッドの前記遠位端の表面に向かって前記解放ボタンを押すように作用する、請求項11に記載のパッド。
【請求項13】
前記解放アームは、前記解放ボタンの前記遠位面に作用するようにフック形状である、請求項11または12に記載のパッド。
【請求項14】
前記解放ボタンは、リンクアーム(514)を介して前記パッドの前記遠位端の前記表面(504)に取り付けられている、請求項11から13のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項15】
前記解放アームは、前記パッドを前記注射部位から除去するためにユーザによって引っ張られるように適合された前記パッドの除去タブ(506)に取り付けられている、請求項11から14のいずれか一項に記載のパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して自動注射器のような薬剤送達装置に関し、特に、自動注射器のような薬剤送達装置を注射部位に取り付けるためのパッドに関連する。
【背景技術】
【0002】
多くの病状に注射が要求される。最近では、さまざまなタイプのペン型注射器、自動注射器および身体装着型装置を含む、多くの異なる注射器が存在する。これらの装置の多くは多くの病状の管理において大きな改善を可能にしてきたが、現在の技術には依然としてさまざまな制限が存在する。これらの中で特に、頻繁な注射が要求される患者、および特に粘性の高い薬剤を注射する必要がある患者が直面する困難がある。これらの問題を検討する際、出願人は、今日市場にある薬剤送達装置の改良を助けるためにさまざまな開発がなされ得るであろうことを認識しており、これを以下でより詳細に説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、先行技術の問題を解決する、または少なくとも軽減するパッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様によれば、軸に沿って近位端から遠位端まで延在するパッドが提供される。近位端は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である。パッドは、薬剤送達装置を受け入れるように構成された取り付け部分と、使用時、そして薬剤送達装置が取り付け部分に配置されている場合、薬剤送達装置に当接するように構成された取り付け部分の近位端での支持構造とを含む。支持構造は、後退位置から伸長位置に移行する場合に薬剤送達装置のカバー延長部によって行使される力によって取り付け部分から押し離されるように構成され、薬剤送達装置が取り付け部分に存在する間にパッドが注射部位から除去されることに応答して、カバー延長部が伸長位置に移動することが可能になるようになっている。
【0005】
本開示の実施形態は、使用時、注射部位で取り付けられる有利なパッドを提供する。パッドは、使用時、ユーザが薬剤送達装置を取り外すまで、薬剤送達装置を所定の位置にロックする取り付け部分を有する。薬剤送達装置が取り付け部分から取り外される前にユーザが注射部位からパッドを除去する場合、針のような薬剤送達部材が露出しないことが望ましい。これに対処するため、本開示の実施形態は、薬剤送達装置を取り付け部分から取り外す前にパッドが注射部位から除去された場合に、カバー延長部が伸長位置に移行し、針を保護することを保証するための手段を提供する。
【0006】
本開示において、「遠位方向」という用語が使用される場合、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位から離れる方向を指す。「遠位部分/端」という用語が使用される場合、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位から最も遠くに配置されている、送達装置の部分/端、またはその構成要素の部分/端を指す。対応して、「近位方向」という用語が使用される場合、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位に向かう方向を指す。「近位部分/端」という用語が使用される場合、これは、薬剤送達装置の使用中、用量送達部位に最も近く配置されている、送達装置の部分/端、またはその部材の部分/端を指す。
【0007】
さらに、「長手方向の」、「長手方向に」、「軸方向に」または「軸方向の」という用語は、通常は装置またはその構成要素に沿って装置および/または構成要素の最長伸長の方向に、近位端から遠位端まで延在する方向を指す。
【0008】
同様に、「横方向」、「横方向の」および「横方向に」という用語は、長手方向に対して略垂直な方向を指す。
【0009】
さらに、「円周」、「円周方向の」、「円周方向に」という用語は、軸、通常は装置および/または構成要素の最長伸長の方向に延在する中心軸に対する円周または円周方向を指す。同様に、「半径方向の」または「半径方向に」は、軸に対して半径方向に延在する方向を指し、「回転」、「回転の」および「回転式に」は、軸に対する回転を指す。
【0010】
同じ方向の用語を使用してパッドのような他の構成要素を説明しており、たとえば、パッドの近位端は、用量送達部位(注射部位)に最も近いパッドの部分であり、パッドの遠位端は、用量送達部位から最も遠いパッドの部分である。図面において、長手方向は軸102の方向であり、軸102に対する対応する円周方向31および半径方向32も示されている。
【0011】
「注射部位で」または「用量送達部位で」という表現が本願において使用される場合、これは概して、薬剤送達装置(たとえば針)が患者に進入する点、ならびに周囲の領域、たとえばパッドが取り付けられている領域を指す。
【0012】
一実施形態によれば、パッドの使用中、支持構造は、注射部位に隣接するパッドの近位端にあってもよい。
【0013】
一実施形態によれば、支持構造は、カバー延長部が取り付け部分を通ってパッドの近位端の平面を超えて貫通することが可能になるように構成することができる。したがって、支持構造は有利には、カバー延長部が、伸長位置に移行する場合、支持構造を押してパッドを貫通するように構成されている。
【0014】
一実施形態によれば、支持構造は、パッドに取り付けられた少なくとも1つの可撓性アームを含むことができ、少なくとも1つの可撓性アームは、カバー延長部からの力によって曲がるように構成されている。可撓性アームは弾性的に可撓性であり、すなわち使用後に元の位置に向かって曲がって戻ることができる。取り付け部分に薬剤送達装置を備えた状態でパッドが注射部位で取り付けられると、可撓性アームは、注射部位でのユーザの体表面によって提供される反力によって元の位置に維持される。パッドが除去されると、少なくとも1つの可撓性アームは有利には、伸長位置に移行するカバー延長部からの力によって近位方向に押される。少なくとも1つの可撓性アームは、薬剤送達装置を取り付け部分から取り外す前にパッドが注射部位から除去された場合に、カバー延長部が伸長位置に移行し、針を保護することを保証する比較的簡単であるが信頼できる方法を提供する。
【0015】
一実施形態によれば、支持構造は、カバー延長部によって行使される力によって取り付け部分から分離されるように構成された近位注射面を含むことができる。この分離可能な支持構造は支持構造の別の有利な構成を提供する。一例の実施形態において、近位注射面はパッドの側面構造にヒンジで取り付けることができる。これにより、使用後にパッドに接続された支持構造が維持され、使用後にその元の位置に戻されるようになる。ヒンジはたとえばリビングヒンジであってもよい。
【0016】
一実施形態によれば、近位注射面は、カバー延長部によって行使される力によって解放される前に近位注射面を含む支持構造を所定の位置に保持するように構成されたクリップを含むことができる。これにより、パッドを使用する前に近位注射面が正しい位置にあることが保証されるようになる。さらに、クリップは有利には、パッドが注射部位から除去される場合、薬剤送達装置が取り付け部分に取り付けられている間、カバー延長部が支持構造を押すことによって克服されるように適合された力で近位注射面を所定の位置に保持するように構成されている。
【0017】
一実施形態によれば、パッドの使用中、近位注射面は注射部位に隣接することができる。
【0018】
一実施形態によれば、近位注射面はパッドの近位端の領域の少なくとも半分にわたって延在することができる。
【0019】
一実施形態によれば、支持構造は、支持構造を取り付け部分に解放可能にロックするように構成された一組のクリップを含むことができ、一組のクリップは、取り付け部分に挿入された場合のカバー延長部によって解放可能である。これは、支持構造を取り付け部分にロックするクリップが設けられた支持構造のさらに別の有利な構成である。したがって、支持構造は取り付け部分から解放可能である。クリップは、取り付け部分に係合されている場合に薬剤送達装置のハウジングによってこれらに行使される力により、支持構造が取り付け部分から解放可能である解放位置にクリップを置くように構成されている。
【0020】
一例の実施形態において、クリップは、取り付け部分の壁の貫通穴を通って延在する突出部を備えた可撓性アームを含むことができ、突出部は、カバー延長部によって貫通穴から押し出され、これによって支持構造を取り付け部分から解放するように構成されている。一例の実施形態において、可撓性アームは取り付け部分の壁と実質的に平行であってもよい。
【0021】
一実施形態によれば、近位注射面は接着剤を含むことができる。接着剤によりパッドが注射部位に取り付けられるようになる。
【0022】
本開示の第2の態様によれば、軸に沿って近位端から遠位端まで延在するパッドが提供される。近位端は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である。パッドは、薬剤送達装置を解放可能に受け入れるように構成された取り付け部分を含む。取り付け部分は、作動すると、薬剤送達装置をパッドから解放する解放機構と、注射部位から除去されている間にパッドが変形することによって引き起こされるパッドからの力を解放機構へ伝達することによって、パッドが注射部位から除去されている場合に解放機構に作用するように構成された解放アームと、を含む。
【0023】
この態様は、第1の態様に関して上で議論したものと同様の利点を提供する。
【0024】
一実施形態によれば、解放アームはパッドの遠位端でパッド表面に取り付けられてもよく、解放機構の解放ボタンの遠位面まで延在し、解放アームが解放ボタンの遠位面に作用すると、解放機構が作動する。一例の実施形態において、解放アームは、パッドの遠位端での表面に向かって解放ボタンを押すように作用し、したがって解放アームは解放ボタンを近位方向に押す。解放アームは、解放ボタンの遠位面に作用するようにフック形状であってもよい。一例において、解放ボタンはリンクアームを介してパッドの遠位端で表面に取り付けられてもよい。
【0025】
一実施形態によれば、解放アームは、パッドを注射部位から除去するためにユーザによって引っ張られるように適合されたパッドの除去タブに取り付けられてもよい。したがって、ユーザが、パッドを注射部位から除去するように意図された除去タブを引っ張ると、解放アームは有利には解放機構を作動させ、これによってカバー延長部を伸長位置へ適時に移送する。
【0026】
一実施形態によれば、解放アームの第1の端部を解放機構の解放ボタンの近位面に取り付けることができ、解放アームの第2の端部をパッドの遠位面に当接するように適合することができ、これによってパッドが注射部位から除去されると、第2の端部がパッドの遠位端に向かう方向に移動するように解放アームが曲がり、これによって解放ボタンが空間的に移送されて解放機構の作動を引き起こす。
【0027】
一実施形態によれば、解放アームは、その間に鋭角を形成する第1のアーム部分と第2のアーム部分とを含むことができ、第1のアーム部分は第1の端部を含み、第2のアーム部分は第2の端部を含み、第1および第2のアーム部分間の接合部はパッドの停止縁に当接して、接合部が取り付け部分に向かって移動するのを防止し、これによって解放アームが曲がると、第1のアーム部分と第2のアーム部分との間の角度が増加し、これによって解放ボタンを取り付け部分から遠ざけるように移動させ、これによって解放機構を作動させる。
【0028】
一実施形態において、取り付け部分は摩擦ロックを含むことができる。
【0029】
一般に、請求項に使用されるすべての用語は、本明細書で明示的に他の方法で定義されていない限り、当該技術分野におけるその通常の意味にしたがって解釈されるべきである。「部材、装置、構成要素、手段など」へのすべての言及は、明示的に他の方法で述べられていない限り、部材、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとして公然と解釈されるべきである。
【0030】
添付の図面を参照して、例として、本発明の概念の具体的な実施形態を次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の実施形態によるパッドおよび自動注射器の斜視図である。
【
図2】
図1におけるパッドおよび自動注射器の側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、カバー延長部が後退位置にあるパッドおよび自動注射器の斜視図である。
【
図6】支持構造が取り付け部分から押し離された
図5におけるパッドおよび自動注射器の斜視図である。
【
図7】本開示の実施形態によるパッドの斜視断面図である。
【
図8A】本開示の実施形態によるパッドの斜視断面図である。
【
図8B】支持構造が取り付け部分から押し離された、
図7および
図8Aにおけるパッドの斜視断面図である。
【
図9】本開示の実施形態によるパッドの斜視断面図である。
【
図11】
図10におけるパッドおよび自動注射器の側面図である。
【
図12】支持構造が取り付け部分から押し離された
図11におけるパッドおよび自動注射器の側面図である。
【
図13】
図12におけるパッドおよび自動注射器の一部の斜視断面図である。
【
図14】本開示の実施形態によるパッドの斜視遠位図である。
【
図16】本開示の実施形態によるパッドの斜視図である。
【
図18】本開示の実施形態によるパッドの側面図である。
【
図19】本開示の実施形態によるストラップ付きパッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、次に本発明の概念を以降でより十分に説明する。しかしながら、本発明の概念は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的で完全になり、本発明の概念の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供される。説明全体を通じて、同様の番号は同様の部材を指す。
【0033】
図1および
図2は本開示の実施形態によるパッド100の一例を示す。パッド100は軸102に沿って近位端104から遠位端106まで延在する。近位端104は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である。注射部位は薬物送達部位として理解される。
【0034】
パッド100は、自動注射器またはペン型注射器のような薬剤送達装置110を受け入れるように構成された取り付け部分108を含む。
【0035】
図1および
図2における薬剤送達装置110は軸102に対して近位端112から遠位端114まで延在する。薬剤送達装置110は、ハウジング116、窓118、針120、および針120を覆うように構成されたカバー延長部122を含む。薬剤送達装置110はまた取り付け部分124を含み、これは、パッド100の取り付け部分108と係合するように構成されている。
【0036】
パッド100の取り付け部分108には、薬剤送達装置110をパッド100に解放可能にロックするためのロック機構126が装備されている。ロック機構126は、たとえば、可動アーム127が薬剤送達装置110の取り付け部分124に保持力を印加する摩擦ロック、または、薬剤送達装置110のハウジング116の近位端の突出部がパッド100の取り付け部分108上の対応する部分と係合し、薬剤送達装置110を所定の位置にロックするスナップ嵌めロックとして、さまざまな方法で構成することができる。
【0037】
さらに、パッド100は任意選択で解放ボタン128を含み、解放ボタン128を作動させることにより、薬剤送達装置が取り付け部分108から解除されるように構成されている。
【0038】
図2は、取り付け部分108でパッド100に取り付けられた薬剤送達装置110を示す。針120はパッド100の近位端104から外に延在する。この状態において、カバー延長部は、時折針ガードとも呼ばれるが、後退位置にあり、これによって針120を露出させる。薬剤送達装置110が取り付け部分108に取り付けられた状態でパッド100が注射部位から除去される場合、針120がこの露出状態に維持されないことが望ましい。
【0039】
露出した針の問題に対処するため、パッド100には、次により詳細に説明するさまざまな構成で設けることができる支持構造が設けられる。
【0040】
次にパッド100の2つの斜視図を示す
図3および
図4に移る。パッド100は取り付け部分108の近位端に支持構造130を含む。支持構造130は、使用時、そして薬剤送達装置が取り付け部分108に配置されている場合、薬剤送達装置に当接するように構成されている。支持構造130は取り付け部分108に遠位支持面を提供する。遠位支持面は遠位方向を向いており、取り付け部分108の近位端に配置されている。
【0041】
図5は、薬剤送達装置110が取り付け部分108においてパッド100に取り付けられ、針120がパッド100の近位端104で外に延在するパッド100を示す。この状態において、カバー延長部122は後退位置にある。一般に、カバー延長部は、たとえばばねによって、針120を保護する伸長位置に向かって付勢されている。
【0042】
図6に示すように、支持構造130は、後退位置から伸長位置に移行する場合に薬剤送達装置110のカバー延長部122によって行使される力によって取り付け部分108から押し離されるように構成され、薬剤送達装置110が取り付け部分108に存在する間にパッド100が注射部位から除去されることに応答して、カバー延長部122が伸長位置に移動することが可能になるようになっている。
【0043】
パッドの使用中、支持構造130は、注射部位に隣接するパッド100の近位端にある。さらに、支持構造130は、カバー延長部122が取り付け部分108を通ってパッド100の近位端104の平面を超えて貫通することが可能になるように構成されている。したがって、支持構造130が近位端104から除去された場合、カバー延長部122はパッド100の近位端に達する。
【0044】
支持構造130はこの実施形態において、パッド100の本体141と略平行な板状構造である。支持構造130は、ばね付勢されたカバー延長部122によって行使される力によって取り付け部分108から分離されるように構成された近位注射面132を含む。近位注射面132は、たとえば接着剤を介して注射部位に取り付けられる面である。したがって、パッドの使用中、近位注射面132は注射部位に隣接する。ここで、近位注射面はパッド100の近位端104の実質的に全体にわたって延在する。
【0045】
この実施形態において、近位注射面132を含む支持構造130はパッド100の側面構造134にヒンジで取り付けられている。したがって、パッド100は、平面支持構造130をパッド100の本体に接続するヒンジ136を含む。
【0046】
ヒンジ136の反対側で、近位注射面132を含む支持構造130は、カバー延長部122によって行使される力によって解放される前に近位注射面132を所定の位置に保持するように構成されたクリップ138を含む。クリップ138は支持構造の遠位側に配置され、パッド100の本体141の受け入れスロット139にロックするように構成されている。
【0047】
支持構造130がクリップとスロットの接続部で解放されると、
図3に最もよく見られる、パッド100の本体141の主平面143に平行な軸140を中心に支持構造130が回転し、カバー延長部122が延在することができる貫通穴が取り付け部分108に形成されるようになる。
【0048】
パッド100が注射部位に取り付けられている限り、反力により支持構造130が所定の位置に維持される。しかしながら、薬剤送達装置110が取り付け部分108にロックされた状態でパッド100が注射部位から除去されれば、反力はもはや印加されず、これによってカバー延長部からの力がクリップ138を解放し、支持構造130がヒンジ136で揺動して開く。結果的に、カバー延長部122は、針120が覆われる後退状態に移行する。
【0049】
図7および
図8A~
図8Bは、パッド100と同様の構成要素を共有するパッド300の一実施形態を示すが、ヒンジがリビングヒンジ302である点が異なる。パッド100の機能と同様に、カバー延長部122が取り付け部分108の近位端で遠位支持面133を押すと、リビングヒンジ302が揺動して開き、近位注射面132を含む支持構造130が、
図8Bに最もよく見られる、取り付け部分108から離れる。リビングヒンジ302により、
図3にも関連して議論したように、近位注射面132を含む支持構造130が軸140にわたって回転するようになる。
【0050】
図8A~
図8Bによりよく見られるように、近位端104は、折り畳み可能な支持構造130と、近位端104が注射部位上で平らになることができるということを保証する折り畳み不可能部分150と、を含む。支持構造130の近位注射面132はここでパッド300の近位端104の領域の少なくとも半分にわたって延在する。
【0051】
図9~
図13は本開示の別の一実施形態を示す。このパッドは、
図1~
図8に示すパッド100と同様の構成要素を共有する。たとえば、パッド200のパッドは軸102に沿って近位端104から遠位端106まで延在する。近位端104は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部である。注射部位は薬物送達部位として理解される。
【0052】
パッド200は、自動注射器またはペン型注射器のような薬剤送達装置110を受け入れるように構成された取り付け部分108を含む。薬剤送達装置110および取り付け部分108における可能な取り付け手段は上述しており、ここでは繰り返さない。
【0053】
パッド200は本開示の一実施形態による支持構造230を含む。パッド200の使用中、支持構造230は、注射部位に隣接するパッド200の近位端104にある。
【0054】
支持構造230は、使用時、そして薬剤送達装置110が取り付け部分108に配置されている場合、薬剤送達装置110に当接するように構成されている。支持構造230は取り付け部分108に遠位支持面233を提供する。遠位支持表面233はパッド200の遠位方向を向いている。
【0055】
パッド200の断面図を示す
図10に移ると、支持構造230は、支持構造230を取り付け部分108に解放可能にロックするように構成された一組のクリップ235を含む。クリップ235は、取り付け部分に挿入された場合の薬剤送達装置110によって解放可能状態へ作動する。取り付け部分108と係合した場合のクリップ235により支持構造230が所定の位置に維持され、取り付け部分108の近位端に遠位支持面233を提供する。
【0056】
薬剤送達装置110が取り付け部分108に係合されると、薬剤送達装置110の近位端112がクリップ235に作用し、これらが取り付け部分108から取り外され、これによって支持構造230が解放される。しかしながら、注射部位から反力が提供される限り、支持構造230は所定の位置に維持される。
【0057】
図11は、薬剤送達装置110が取り付け部分108において所定の位置にあり、針が近位端104で外に延在するパッド200を示す。したがって、薬剤送達装置110のカバー延長部は後退位置にある。支持構造230は、後退位置から伸長位置に移行する場合、
図12および
図13に示すように、薬剤送達装置110のカバー延長部122によって行使される力によって取り付け部分108から押し離されるように構成され、薬剤送達装置110が取り付け部分108に存在する間にパッド200が注射部位から除去されることに応答して、カバー延長部122が伸長位置に移動することが可能になるようになっている。
【0058】
再び
図10に戻ると、クリップ235はそれぞれ、取り付け部分108の壁243の貫通穴241を通って半径方向に延在する突出部239を備えた可撓性アーム237を含む。突出部239は、薬剤送達装置110によって貫通穴241から半径方向に押し出され、これによって支持構造230を取り付け部分108から解放するように構成されている。可撓性アーム(1つのみ番号を付している)は取り付け部分108の壁243と実質的に平行である。
【0059】
図13は、カバー延長部122が解放された支持構造230を取り付け部分108から遠ざけるように押した場合のパッド200の斜視断面図である。この位置において、支持構造230は、カバー延長部122が取り付け部分108を通ってパッド200の近位端104の平面を超えて貫通することが可能になるように構成されている。支持構造230は近位注射面132を含み、ばね付勢されたカバー延長部122によって行使される力によって取り付け部分108から分離されるように構成されている。近位注射面132は、たとえば接着剤を介して注射部位に取り付けられる面である。したがって、パッドの使用中、近位注射面132は注射部位に隣接する。ここで、近位注射面132はパッド100の近位端104全体の一部のみにわたって延在する。
【0060】
図11に示す初期状態において、ハウジング116は突出部239を押し、
図10または
図13参照、可撓性アーム237がそれぞれの貫通穴241から弾性的に半径方向に押し出されるようになっている。突出部は、貫通穴241における係合位置から突出部239を半径方向に押し出すためにハウジング116が摺動するように適合された傾斜面244を含む。
【0061】
図14および
図15は別の一実施形態によるパッド400を示す。パッド400は、前の図面を参照して説明した実施形態と同様の構成要素を含み、同じ参照番号が付されており、ここでは繰り返さない。しかしながら、パッド400は、他の実施形態のものとは異なる支持構造430を含む。支持構造430は、パッド400に取り付けられた可撓性アーム431の形態で設けられている。可撓性アーム431は、取り付け部分108に係合される場合の薬剤送達装置のための遠位支持面433を提供する。可撓性アーム431は、後退位置から伸張位置に移行する場合に薬剤送達装置のカバー延長部によって行使される力によって取り付け部分108から押し離されるように構成され、薬剤送達装置が取り付け部分108に存在する間にパッド400が注射部位から除去されることに応答して、カバー延長部が伸長位置に移動することが可能になるようになっている。換言すれば、少なくとも1つの可撓性アーム431は、カバー延長部からの力によって曲がるように構成されている。可撓性アーム431は、パッド400が注射部位から除去される場合、ばね付勢されたカバー延長部からの力が可撓性アームを曲げるのに十分であるように、そしてカバー延長部が取り付け部分を通って近位方向にパッド400の近位端の平面を超えるまで貫通することができるように構成されている。
【0062】
図14および
図15に示すこの特定の実施形態において、可撓性アーム431はそれぞれ、U形状構造435と、U形状構造435を近位端104で取り付け部分108と接続するリンクアーム436と、を含む。
【0063】
図16~
図18は第2の態様によるパッド500および600を示す。この第2の態様においてパッド500、600は、軸102に沿って近位端104から遠位端106まで延在する。近位端104は、パッド500、600の使用時に注射部位に隣接するパッド500、600の端部である。
【0064】
パッド500、600は、薬剤送達装置を解放可能に受け入れるように構成された取り付け部分108を含む。取り付け部分は、作動すると、薬剤送達装置をパッド500、600から解放する解放機構501、601を含む。
【0065】
パッド500、600は、注射部位から除去されている間にパッドが変形することによって引き起こされるパッドからの力を解放機構へ伝達することによって、パッド500、600が注射部位から除去されている場合に解放機構501、601に作用するように構成された解放アーム502、602をそれぞれ含む。
【0066】
パッド500、600の取り付け部分108には、薬剤送達装置110をパッド100に解放可能にロックするためのロック機構126が装備されている。ロック機構126は、薬剤送達装置110の取り付け部分124に保持力を印加する可動アーム127を含む。たとえば
図2~
図3参照。これは摩擦ロックであってもよい。
【0067】
【0068】
この実施形態において、解放アーム502はパッド500の遠位端106でパッド表面504に取り付けられている。解放アーム502は、遠位方向に解放機構126の解放ボタン128の遠位側まで延在する。解放アーム502は、パッド500を注射部位から除去するためにユーザによって引っ張られるように適合されたパッド500の除去タブ506に取り付けられている。ユーザがタブ506を引っ張ることによってパッド500が変形すると、解放アーム502は解放ボタン128の遠位面508に作用し、解放機構126が作動するようになる。
【0069】
この実施形態において、解放ボタン128はリンクアーム514を介してパッド500の遠位端106で表面に取り付けられている。
【0070】
使用中、ユーザが除去タブ506を引っ張ると、フック状解放アーム502は、パッド500の遠位端106で表面に向かう、矢印510によって示すような近位方向において解放ボタン128に到達してこれを押す。可動アーム127は次いで、薬剤送達装置が配置されている取り付け部分108の半径方向に引っ張られ、たとえば
図3参照、これによって、可動アーム127によって薬剤送達装置に印加される力が低減され、これによって薬剤送達装置を取り付け部分108から解放する。
【0071】
図16および
図17におけるものと同様の別のパッドを
図22~
図25に示す。この例において、解放アーム502は再び、
図16および
図17におけるパッドについて説明したのと同じ方法で解放機構126を作動させるように作用するが、解放アーム502は解放ボタン128に直接ではなくレバー509に作用する。特に
図25に見られるように、レバー509は、(任意選択で)解放ボタン128を含む解放機構126に取り付けられる。任意選択の隆起が解放ボタン128の遠位面に設けられ、これは把持に役立つことができる。任意選択の隆起が除去タブ506の近位面に設けられ、これは把持に役立つことができる。除去タブ506の遠位面のような他の場所に任意選択で隆起を設けることもできる。任意選択のカバー511も見られ、このカバー511はパッドの近位端上の粘着層を保護することができ、通常パッドを使用する前にユーザによって除去されることになろう。
【0072】
次にパッド600を示す
図18に移る。この実施形態において、解放アーム602の第1の端部604が解放ボタン128の近位面606に取り付けられている。解放アーム602の第2の端部608が、パッド600の遠位面610に当接するように適合されている。このように、パッド600が注射部位から除去されると、第2の端部608がパッド600の遠位端106に向かって近位方向に移動するように解放アーム602が曲がり、これにより解放ボタン128が空間的に移送されて解放機構601の作動を引き起こす。
【0073】
解放アーム602は、可撓性であり、近位方向に付勢されて所定の位置に保持されるように、すなわちパッド600がユーザに取り付けられている場合に注射部位によって提供される反力によって解放機構126を作動させないように適合されている。パッド600が除去されると、解放アーム602が曲がって開き、解放ボタン128に対する半径方向における引っ張り作用を引き起こし、可動アーム127が薬剤送達装置を取り付け部分108から解放するようになる。
【0074】
この特定の実施形態において、解放アーム602は、その間に鋭角を形成する第1のアーム部分611と第2のアーム部分612とを含む。第1のアーム部分611は第1の端部604を含み、第2のアーム部分612は第2の端部608を含む。第1および第2のアーム部分間の接合部はパッド600の停止縁614に当接して、接合部が取り付け部分108に向かって移動するのを防止する。解放アーム602が曲がると、第1のアーム部分611と第2のアーム部分612との間の角度が増加し、これによって第2のアーム部分が矢印620によって示すような湾曲した経路に沿って移動し、これによって解放ボタン128を取り付け部分108から遠ざけるように移動させ、これによって解放機構601を作動させる。解放アーム602の屈曲運動はしたがって第1のアーム部分611と第2のアーム部分612との間の相対運動である。
【0075】
パッド600の解放ボタン128は、パッド500の場合のように、パッド遠位面610に取り付けられていない。パッド600の解放ボタン128は、取り付け部分108内および解放アーム602へ延在する可動アーム127にのみ接続されている。これにより有利には、パッド600が注射部位から除去される場合、解放アーム602による解放ボタンに対する効率的な引っ張り作用が可能になる。
【0076】
図19は、接着剤の代わりにストラップ702を介して注射部位に取り付けられるように構成されたパッド700を開示している。ストラップ702はパッド700上の取り付け点704を介して取り付けることができ、またはストラップ702はパッド700と直接接着または同時成形することができる。ストラップ702はロッククリップで調整することができる。可能な実装形態において、パッド700を体にロックするためにベルクロストラップを使用することができる。
【0077】
図20および
図21は別のパッド800を示す。このパッドは近位部分811および遠位部分813を含む。近位部分811は、
図20に分離して示され、近位部分811の近位側にある近位注射面832を含む。本明細書の他の例のように、近位注射面832は、たとえば接着剤を介して注射部位に取り付けられる面である。したがって、パッドの使用中、近位注射面832は注射部位に隣接する。近位注射面832は近位部分811の近位側でのただの接着層とすることができ、使用前に接着層を保護する除去可能なカバー833を含むことができる。任意選択で、近位注射面832は穴839を含み、これにより針が(代替的に接着層に穿孔する代わりに)穴を通過することが可能になり得る。同様に、近位注射面832における任意の穴841により針が(代替的に近位注射面832に穿孔する代わりに)穴を通過することが可能になり得る。
【0078】
遠位部分813は取り付け部分808を含む。取り付け部分808は、自動注射器を備えた
図21に示すように、自動注射器またはペン型注射器のような薬剤送達装置を受け入れることができる。
図21において、ハウジング116、針120を含むシリンジ117、シリンジキャリア119、カバー延長部122(針ガード)、およびカバー延長部ばね123を含む、自動注射器の一部が見られる。
【0079】
取り付け部分808は任意選択の管状セクション809を含む。管状セクションは、パッド800への挿入中に薬剤送達装置を位置合わせするのに役立つことができる。
【0080】
パッドの円錐台形の設計(および、この例においてボタン828のグリップを改善するための任意選択のリブを含むボタンの目立つ配置)は、注射後に薬剤送達装置およびパッドを注射部位から除去しようとする場合、ユーザが自然にボタンを握り、これによって遠位部分813を近位部分811から解放することになるように設計され、これは、ユーザが使用指示に厳密に従っていない場合でも、装置およびパッドの正しい使用を保証するのに役立つことができる。
【0081】
近位部分811は遠位部分813に解放可能に取り付けられている。遠位部分813は解放ボタン828を含み、これは可撓性アームを含み、これは、軸から離れるように可撓性アームから延在する外向き延在フック837を含む。近位部分811は対応する凹部835を含み、この中へ外向き延在フック837が延在する(
図21参照)。2つの解放ボタンおよび2つの対応する凹部が設けられるが、あるいは1つの解放ボタンおよび1つの対応する凹部が設けられる。
【0082】
近位部分811は支持構造830を含み、これはこの例において、長手軸に対して垂直に延在する表面であり、支持構造830は、使用時(薬剤送達装置が取り付け部分に配置されている場合)、薬剤送達装置に当接するように構成されている。
図21に見られるように、これによりカバー延長部を後退位置に保つことができる。
【0083】
パッド800の使用中、パッドは通常まず注射部位に取り付けられることになるであろう。薬剤送達装置がパッドに挿入され、通常パッドへの挿入によって(たとえばカバー延長部を
図21に示す位置に後退させることによって)および/またはユーザがたとえばボタンを押すことによって作動することになるであろう。薬剤送達装置は、たとえば、摩擦嵌めまたはスナップ嵌めによってパッドに対して所定の位置に(
図21に示す位置に)保持することができるであろう。これにより、ユーザが薬剤送達装置を注射部位の所定の位置に保持する必要なく、薬剤送達装置を
図21に示す位置(つまり注射を行うことができる位置)に保持することが可能になり得る。注射が完了したら、ユーザが2つのボタン828を互いに向かって握ることによりフック837を凹部835から解放し、これによって近位部分811を遠位部分813から取り外す。結果として、遠位部分813は、薬剤送達装置とともに注射部位から除去され、近位部分811を注射部位に取り付けたままにすることができる(近位部分を続いて注射部位から除去することができる)。近位部分811を遠位部分813から取り外すことにより、カバー延長部122がその後退位置から延在することが可能になり(近位部分811がカバー延長部122の近位方向移動を制限しなくなるため)、これによって針を覆う。この例において、凹部835からフック837を解放すれば通常、カバー延長部が延在するため、近位部分811から離れるように遠位部分813が能動的に押されることになる。
【0084】
本明細書に開示されるパッドは透明な材料から作製することができる。さらに、取り付け部分の側壁は、パッド表面に隣接する取り付け部分の基部の近くに窓を形成する開口を含むことができる。使用前、自動注射器を使用する場合にカバー延長部が完全に押し込まれているかどうかを見るように指示書で患者に教えることができる。窓および/または透明な材料で、患者は、自動注射器を注射支持パッドと組み合わせて使用する場合、カバー延長部の状態を検査することができる。
【0085】
本明細書に開示されるパッドは、異なるユニットを含む埋め込み電子機器を含むことができる。
【0086】
自動注射器が取り付け部分に挿入される、注射が開始される、そして注射が終了することのような注射事象を認識することができるセンサユニット。
【0087】
注射中に記録されたデータを保存するように構成されているメモリユニット。
【0088】
保存されたデータをスマートデバイスまたはネットワークに直接送信するように構成された接続ユニット。
【0089】
システム全体を制御し、データを送信する前に処理するように構成された処理ユニット。
【0090】
ステータスLED、触覚、および/または音声フィードバックのようなフィードバックを患者に提供するように構成されているユーザインターフェイスユニット。
【0091】
自動注射器が注射ポートに配置されると、事象を認識し、触覚/視覚または音声要素を介して患者にフィードバックを与えるように、支持パッドの内側のセンサを構成することができる。
【0092】
注射が終了すると、事象を認識し、再び患者にフィードバックを与えるように、センサを構成することができる。さらに、収集されたデータは、メモリユニットに保存され、注射事象が終了した後に接続ユニットを介してスマートデバイス/ネットワークに送信することができる。
【0093】
センサは、次のもの、すなわち、機械的スイッチ、ホール効果センサ、および加速度計の1つまたは組み合わせとすることができる。
【0094】
機械的スイッチ、ホール効果センサ、および/または加速度計は、注射ポートへの自動注射器の挿入の検出に使用することができる。
【0095】
加速度計は、注射事象を検出するために使用することができる。
【0096】
可能な無線通信方法は、ブルートゥースおよびセルラーネットワークを含む。
【0097】
ブルートゥース接続には一般に、保存されたデータをネットワークに送信するスマートデバイスが要求され、一般に、支持パッドを使用することができるようになる前に、支持パッドとスマートデバイスとの間のペアリング動作が要求される。しかしながら、ブルートゥースは、より安価な代替手段を提供することができ、一般にPCB(プリント基板)上に要求されるスペースが少なくなる。
【0098】
セルラーネットワークの使用にはいかなるペアリングプロセスも要求されず、これはプラグアンドプレイデバイスとして使用することができ、事前のセットアップも必要とされない。しかしながら、これは、より高価である可能性があり、一般にPCB上により多くのスペースが要求される。
【0099】
製品の要件に応じて、これら2つの技術のいずれか(または両方)を使用することができる。
【0100】
このような処理ユニットは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサおよび/または別のプログラマブルデバイスを含む論理回路または制御ユニットを含むことができる。処理回路はまた、または代わりに、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイまたはプログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、またはデジタル信号プロセッサをそれぞれ含むことができる。処理回路が、上述のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはプログラマブルデジタル信号プロセッサのようなプログラマブルデバイスを含む場合、プロセッサは、プログラマブルデバイスの動作を制御するコンピュータ実行可能コードをさらに含むことができる。
【0101】
本発明の概念を主にいくつかの例を参照して説明してきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の請求項によって定義される本発明の概念の範囲内で、上に開示されたもの以外の実施形態も同等に可能である。
【0102】
いくつかの特徴を以下の節にまとめる。
【0103】
1.軸(102)に沿って近位端(104)から遠位端(106)まで延在するパッド(100、200、300、400)であって、近位端は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部であり、パッドは、
薬剤送達装置(110)を受け入れるように構成された取り付け部分(108)と、
使用時、そして薬剤送達装置が取り付け部分に配置されている場合、薬剤送達装置に当接するように構成された取り付け部分の近位端での支持構造(130、230、430)と、
を含み、
支持構造は、後退位置から伸長位置に移行する場合に薬剤送達装置のカバー延長部(122)によって行使される力によって取り付け部分から押し離されるように構成され、薬剤送達装置が取り付け部分に存在する間にパッドが注射部位から除去されることに応答して、カバー延長部が伸長位置に移動することが可能になるようになっている、
パッド。
【0104】
2.パッドの使用中、支持構造は、注射部位に隣接するパッドの近位端にある、節1によるパッド。
【0105】
3.支持構造は、カバー延長部が取り付け部分を通ってパッドの近位端の平面(143)を超えて貫通することが可能になるように構成されている、節1および2のいずれか1つによるパッド。
【0106】
4.支持構造は、パッドに取り付けられた少なくとも1つの可撓性アーム(237)を含み、少なくとも1つの可撓性アームは、カバー延長部からの力によって曲がるように構成されている、先行する節のいずれか1つによるパッド。
【0107】
5.支持構造は、カバー延長部によって行使される力によって取り付け部分から分離されるように構成された近位注射面(132)を含む、節1および2のいずれか1つによるパッド。
【0108】
6.近位注射面はパッドの側面構造(134)にヒンジで取り付けられている、節5によるパッド。
【0109】
7.ヒンジはリビングヒンジ(302)である、節6によるパッド。
【0110】
8.近位注射面は、カバー延長部によって行使される力によって解放される前に近位注射面を所定の位置に保持するように構成されたクリップ(138)を含む、節6および7のいずれか1つによるパッド。
【0111】
9.パッドの使用中、近位注射面は注射部位に隣接している、節5から8のいずれか1つによるパッド。
【0112】
10.近位注射面はパッドの近位端の領域の少なくとも半分にわたって延在する、節5から9のいずれか1つによるパッド。
【0113】
11.支持構造は、支持構造を取り付け部分に解放可能にロックするように構成された一組のクリップ(236)を含み、一組のクリップは、取り付け部分に挿入された場合のカバー延長部によって解放可能である、節5によるパッド。
【0114】
12.クリップは、取り付け部分の壁(243)の貫通穴(241)を通って延在する突出部(239)を備えた可撓性アーム(237)を含み、突出部は、カバー延長部によって貫通穴から押し出され、これによって支持構造を取り付け部分から解放するように構成されている、節11によるパッド。
【0115】
13.可撓性アームは取り付け部分の壁と実質的に平行である、節12によるパッド。
【0116】
14.近位注射面は接着剤を含む、節5から13のいずれか1つによるパッド。
【0117】
15.軸に沿って近位端から遠位端まで延在するパッド(500、600)であって、近位端は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部であり、パッドは、
薬剤送達装置を解放可能に受け入れるように構成された取り付け部分であって、取り付け部分は、作動すると、薬剤送達装置をパッドから解放する解放機構(501、601)を含む、取り付け部分と、
注射部位から除去されている間にパッドが変形することによって引き起こされるパッドからの力を解放機構へ伝達することによって、パッドが注射部位から除去されている場合に解放機構に作用するように構成された解放アーム(502、602)と、
を含む、パッド。
【0118】
16.解放アームはパッドの遠位端でパッド表面(504)に取り付けられ、解放機構の解放ボタン(128)の遠位面(508)まで延在し、解放アームが解放ボタンの遠位面に作用すると、解放機構が作動する、節15によるパッド。
【0119】
17.解放アームは、パッドの遠位端の表面に向かって解放ボタンを押すように作用し、または解放アームは、パッドの遠位端の表面に向かって解放機構のレバーを押すように作用する、節16によるパッド。
【0120】
18.解放アームは、解放ボタンの遠位面に作用するようにフック形状である、節16および17のいずれか1つによるパッド。
【0121】
19.解放ボタンはリンクアーム(514)を介してパッドの遠位端で表面(504)に取り付けられている、節16から18のいずれか1つによるパッド。
【0122】
20.解放アームは、パッドを注射部位から除去するためにユーザによって引っ張られるように適合されたパッドの除去タブ(506)に取り付けられている、節16から19のいずれか1つによるパッド。
【0123】
21.注射部位から除去されている間のパッドの変形は除去タブ(506)の変形である、節20によるパッド。
【0124】
22.解放アームの第1の端部(602)が解放機構の解放ボタンの近位面(606)に取り付けられ、解放アームの第2の端部(608)がパッドの遠位面(610)に当接するように適合され、これによってパッドが注射部位から除去されると、第2の端部がパッドの遠位端に向かう方向に移動するように解放アームが曲がり、これによって解放ボタンが空間的に移送されて解放機構の作動を引き起こす、節15によるパッド。
【0125】
23.解放アームは、その間に鋭角を形成する第1のアーム部分(611)と第2のアーム部分(612)とを含み、第1のアーム部分は第1の端部を含み、第2のアーム部分は第2の端部を含み、第1および第2のアーム部分間の接合部はパッドの停止縁(614)に当接して、接合部が取り付け部分に向かって移動するのを防止し、これによって解放アームが曲がると、第1のアーム部分と第2のアーム部分との間の角度が増加し、これによって解放ボタンを取り付け部分から遠ざけるように移動させ、これによって解放機構を作動させる、節22によるパッド。
【0126】
24.取り付け部分は摩擦ロックを含む、節16から23のいずれか1つによるパッド。
【0127】
25.軸(102)に沿って近位端(104)から遠位端(106)まで延在するパッド(800)であって、近位端は、パッドの使用時に注射部位に隣接するパッドの端部であり、パッドは、
遠位部分(813)であって、遠位部分は、薬剤送達装置を受け入れるように構成された取り付け部分を含む、遠位部分と、
使用時、そして薬剤送達装置が取り付け部分に配置されている場合、薬剤送達装置に当接するように構成された遠位部分の近位端での近位部分(811)と、
を含み、
近位部分(811)は、遠位部分(813)のボタン(828)の移動によって遠位部分(813)から除去されるように構成されている、
パッド。
【0128】
26.ボタン(828)は可撓性アームを含み、これは、軸から離れるように可撓性アームから延在する外向き延在フック(837)を含み、近位部分(811)は凹部(835)を含み、この中へフック(837)が延在する、節25によるパッド(800)。
【符号の説明】
【0129】
100 パッド
102 軸
104 近位端
106 遠位端
108 取り付け部分
110 薬剤送達装置
112 近位端
114 遠位端
116 ハウジング
118 窓
120 針
122 カバー延長部
124 取り付け部分
126 ロック機構
127 可動アーム
128 解放ボタン
130 支持構造
132 近位注射面
133 遠位支持面
134 側面構造
136 ヒンジ
138 クリップ
139 受け入れスロット
140 軸
141 本体
143 主平面
150 折り畳み不可能部分
200 パッド
230 支持構造
233 遠位支持面
235 クリップ
237 可撓性アーム
239 突出部
241 貫通穴
243 壁
244 傾斜面
300 パッド
302 リビングヒンジ
400 パッド
430 支持構造
431 可撓性アーム
433 遠位支持面
435 U形状構造
436 リンクアーム
500 パッド
501 解放機構
502 解放アーム
504 パッド表面
506 除去タブ
508 遠位面
509 レバー
511 カバー
514 リンクアーム
600 パッド
601 解放機構
602 解放アーム
604 第1の端部
606 近位面
608 第2の端部
610 遠位面
611 第1のアーム部分
612 第2のアーム部分
614 停止縁
700 パッド
702 ストラップ
704 取り付け点
800 パッド
808 取り付け部分
811 近位部分
813 遠位部分
828 解放ボタン
830 支持構造
832 近位注射面
833 カバー
835 凹部
837 外向き延在フック
839 穴
841 穴
【国際調査報告】