(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】リンパ節位置特定デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20240723BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240723BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240723BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G01N1/28 H
G01N1/28 J
G06T1/00 290D
G06T7/00 612
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501990
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 CA2022051089
(87)【国際公開番号】W WO2023283734
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509232164
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ウェスタン オンタリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ラヴダス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス サウミク
(72)【発明者】
【氏名】パスマン エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】アブドウ シェリフ
(72)【発明者】
【氏名】ンゴ ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】フェドロフ キリル
(72)【発明者】
【氏名】アブディク セジラ
(72)【発明者】
【氏名】セッチーニ マシュー
【テーマコード(参考)】
2G052
4C601
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AB16
2G052AD32
2G052BA15
2G052EC01
2G052FD20
2G052GA26
4C601DD18
4C601GC02
4C601JC05
4C601JC37
5B057AA07
5B057BA05
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA24
5L096DA01
5L096FA69
(57)【要約】
システムは、組織試料と共に使用するためのものであり、トレイ及び装置を含む。トレイは、使用中に組織試料を受け入れるためのものである。この装置は、使用中にトレイを受け入れる支持体と、波を送信し、波エコーを識別するように適合されたプローブと、組織マーキングデバイスと、輸送器であって、プローブを使用中に組織試料上に搬送することであって、プローブ及び輸送器は、使用中に放射線科医が組織試料内のリンパ節に類似する構造を識別できるのに十分な組織試料に関する情報が収集されるように適合される、ことと、組織マーキングデバイスを、組織試料中のリンパ節に類似する構造の位置に対応する関心位置に搬送することと、に適合される、輸送器と、を含む。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織試料と共に使用するためのシステムであって、前記システムは、使用中に前記組織試料を受け入れるためのトレイと、装置とを備え、前記装置が、
使用中に前記トレイを受け入れる支持体と、
波を送信し、波エコーを識別するように適合されたプローブと、
組織マーキングデバイスと、
輸送器であって、
前記プローブを使用中に前記組織試料上に搬送することであって、前記プローブ及び前記輸送器は、使用中に放射線科医が前記組織試料内のリンパ節に類似する構造を識別できるのに十分な前記組織試料に関する情報が収集されるように適合される、ことと、
前記組織マーキングデバイスを、前記組織試料中のリンパ節に類似する構造の位置に対応する関心位置に搬送することと、
を行うように適合される、輸送器と、
を含む、システム。
【請求項2】
前記プローブは、超音波プローブであり、前記輸送器は、前記組織試料の完全な超音波画像を捕捉するために、前記プローブを自動的に搬送するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記完全な超音波画像が画面上で見られることを可能にすることと、
閲覧者が、前記画面上で、マウス、スタイラス、キーボード、又はタッチスクリーンインターフェースのうちの1つ以上を用いて、選択を行うことを可能にすることであって、各選択がリンパ節に類似する構造である、ことと、
前記選択に基づいて前記関心位置を生成することと
に適合された、コンピューティング設備をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記輸送器は、前記組織マーキングデバイスを前記関心位置の各々に自動的に搬送するように適合され、前記組織マーキングデバイスは、前記関心位置の各々にマーキングを自動的に配置するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記輸送器システムは、X-Yテーブルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記組織マーキングデバイスは、ピンセッターである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
コンピューティング設備をさらに備え、
前記プローブは、超音波プローブであり、前記輸送器は、前記組織試料の完全な超音波画像を捕捉するために前記プローブを自動的に搬送するように適合され、
前記コンピューティング設備は、
前記完全な超音波画像が画面上で見られることを可能にすることと、
閲覧者が、前記画面上で、マウス、スタイラス、キーボード、又はタッチスクリーンインターフェースのうちの1つ以上を用いて、選択を行うことを可能にすることであって、各選択がリンパ節に類似する構造である、ことと、
前記選択に基づいて前記関心位置を生成することと、
に適合され、
前記輸送器は、前記組織マーキングデバイスを前記関心位置の各々に自動的に搬送するように適合され、前記組織マーキングデバイスは、前記関心位置の各々にマーキングを自動的に配置するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
組織試料と共に使用するための方法であって、
トレイに前記試料を固定するステップと、
波を送信し、波エコーを識別するように適合されたプローブを前記組織試料上に自動的に搬送して、放射線科医が前記組織試料中のリンパ節に類似する構造を識別することを可能にするのに十分な前記組織試料についての情報を収集するステップと、
前記情報を使用して前記試料中の関心位置を識別するステップであって、各関心位置は、リンパ節に放射線学的に類似する構造の位置に対応する、ステップと、
マーキングデバイスを自動的に搬送することによって、前記関心位置の各々を自動的にマーキングするステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記プローブは、超音波プローブである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プローブ及び前記マーキングデバイスは、同じ装置によって自動的に搬送される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記トレイは、前記情報が収集された後に前記装置から取り外され、前記関心位置が識別された後に前記装置内に配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
放射線科医が、
前記組織試料の超音波画像を見るために画面を有するコンピューティング設備を使用し、
前記画面上で、マウス、スタイラス、キーボード又はタッチスクリーンインターフェースのうちの1つ以上を用いて、選択を行い、各選択がリンパ節に類似する構造である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コンピューティング設備は、前記選択に基づいて、前記関心位置を生成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トレイは、前記試料が固定された後、前記装置内に配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記プローブは、超音波プローブであり、
前記プローブ及び前記マーキングデバイスは、同じ装置によって自動的に搬送され、
前記トレイは、前記情報が収集された後に前記装置から取り外され、前記関心位置が識別された後に前記装置内に配置され、
放射線科医が、前記組織試料の超音波画像を見るために画面を有するコンピューティング設備を使用し、前記画面上で、マウス、スタイラス、キーボード又はタッチスクリーンインターフェースのうちの1つ以上を用いて、選択を行い、各選択がリンパ節に類似する構造であり、
前記コンピューティング設備は、前記選択に基づいて、前記関心位置を生成する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床ワークフローにおける切除組織処理に関し、より詳細には、外科的な切除組織におけるリンパ節の検出又は識別に関する。
【背景技術】
【0002】
リンパ節(LN)分析、例えば、リンパ節症の評価は、臨床ワークフローにおいて望ましい。LN分析は、例えば、感染性疾患、自己免疫疾患又は悪性疾患を含む様々な疾患の評価において行われる。例えば、LN病期分類は、固形腫瘍癌について国際的に採用されたTNM分類標準の主要なパラメータであり、略語TNMでは、Tは原発腫瘍を指し、Nはリンパ節を指し、Mは転移を指す。
【0003】
外科的な切除組織試料におけるLN探索のための既存の臨床診療は、切除組織を連続的にスライスし、その後、引き伸ばして、目視検査、触診、及び手動解剖(MND)を通してLNについて検査することを伴うが、これは、概して、病理研修医、病理学者の助手(PA)、及び場合によってはスタッフの病理学者のために確保される手順である。
【0004】
LNの検出及び抽出を支援するために機械的デバイスが提案されてきた。Omnia Inventa Medicalにより開発されたLNL300は、手動で操作され、病理学スタッフが切除組織標本からLNを抽出することを可能にする機械的デバイスである。
【0005】
簡潔に述べると、このデバイスのワークフローは、以下の点から説明される。
・解剖器は、まず、任意の大きなLNについて標本を手動で触診し、それらを肉眼視用標本から除去することを必要とする。これは、LN、特に癌陽性LNの重複カウントを防止するために行われるが、その理由は、このデバイスの機構が偶発的により大きいLNを半分にスライスする可能性があるからである
・大きな触診可能なLNの除去に続いて、解剖器は、脂肪組織の両側に0.5~1cm毎にいくつかの表面切開を行い、次いで、これらの組織を約0.5cm幅(幅1cm以下)の長いストリップに切断する必要がある。
・いったん、これらのストリップが切断されると、解剖器は、後続のステップにおいてデバイスを使用するときに組織のより良好な凝集及び圧縮を可能にするために、少なくとも6時間又は一晩、これらの組織を大量の脂肪溶解溶媒(アセトン、95%アルコール又はカルノアのアセトンのいずれか)に入れる必要がある。
・組織片が固定されると、デバイスの構成要素が組み立てられ、250グラムまでの脂肪組織が装填チャンバに充填され、次いで、クランクが手動で回され、次いで、プランジャを駆動し、出口点/穴を有する装置の下方で組織を圧縮する。LNL300機械的デバイスの開発者によれば、特定の「完全に飽和した多孔質媒体」理論及び「Terzaghiの原理」に基づくと、脂肪を(出口点を含む管の下方へ)圧縮すると、固体脂肪/組織粒子の間隙に存在する流体の除去が可能になり、それによって、標本を精密なサイズの組織ブロックに成功裏に圧縮することが可能になる。
・そこから、切断チャンバが取り付けられ、その後、組織ブロックのために使用され、そこで、連続切片化(単一切断)が行われる。次いで、組織切片を標準的な組織カセットに直接入れる。
・このプロセスは、組織の全てが処理されるまで繰り返される(一度に250gまで)。
【発明の概要】
【0006】
組織試料と共に使用するためのシステムは、本発明の一態様を形成する。システムは、使用中に組織試料を受け入れるためのトレイと、装置とを備える。この装置は、
使用中にトレイを受け入れる支持体と、
波を送信し、波エコーを識別するように適合されたプローブと、
組織マーキングデバイスと、
輸送器であって、
プローブを使用中に組織試料上に搬送することであって、プローブ及び輸送器は、使用中に放射線科医が組織試料内のリンパ節に類似する構造を識別できるのに十分な組織試料に関する情報が収集されるように適合される、ことと、
組織マーキングデバイスを、組織試料中のリンパ節に類似する構造の位置に対応する関心位置に搬送することと、
に適合される、輸送器と、
を含む。
【0007】
別の態様によれば、プローブは、超音波プローブとすることができ、輸送器は、組織試料の完全な超音波画像を捕捉するためにプローブを自動的に搬送するように適合される。
【0008】
別の態様によれば、システムは、コンピューティング設備をさらに備えることができ、コンピューティング設備は、
完全な超音波画像が画面上で見られることを可能にすることと、
閲覧者が、画面上で、マウス、スタイラス、キーボード、又はタッチスクリーンインターフェースのうちの1つ以上を用いて、選択を行うことを可能にすることであって、各選択がリンパ節に類似する構造である、ことと、
選択に基づいて、関心位置を生成することと、
に適合される。
【0009】
別の態様によれば、輸送器は、組織マーキングデバイスを関心位置の各々に自動的に搬送するように適合することができ、組織マーキングデバイスは、関心位置の各々にマーキングを自動的に配置するように適合される。
【0010】
別の態様によれば、輸送器システムは、X-Yテーブルを備えることができる。
【0011】
別の態様によれば、組織マーキングデバイスは、ピンセッターとすることができる。
【0012】
組織試料と共に使用するための方法は、本発明の別の態様を形成する。この方法は、
トレイに試料を固定するステップと、
波を送信し、波エコーを識別するように適合されたプローブを組織試料上に自動的に搬送して、放射線科医が組織試料中のリンパ節に類似する構造を識別することを可能にするのに十分な組織試料についての情報を収集するステップと、
情報を使用して試料中の関心位置を識別するステップであって、各関心位置は、リンパ節に放射線学的に類似する構造の位置に対応する、ステップと、
マーキングデバイスを自動的に搬送することによって、関心位置の各々を自動的にマーキングするステップと、
を含む。
【0013】
別の態様によれば、プローブは、超音波プローブとすることができる。
【0014】
別の態様によれば、プローブ及びマーキングデバイスは、同じ装置によって自動的に搬送することができる。
【0015】
別の態様によれば、トレイは、情報が収集された後に装置から取り外され、関心位置が識別された後に装置内に配置される。
【0016】
別の態様によれば、放射線科医は、組織試料の超音波画像を見るために画像を有するコンピューティング設備を使用し、画面上で、マウス、スタイラス、キーボード、又はタッチスクリーンインターフェースのうちの1つ以上を用いて、選択を行い、各選択は、リンパ節に類似する構造である
【0017】
別の態様によれば、コンピューティング設備は、選択に基づいて、関心位置を生成することができる。
【0018】
別の態様によれば、トレイは、試料が固定された後、装置内に配置することができる。
【0019】
リンパ節位置特定デバイスは、本発明の別の態様を形成する。デバイスは、
・ベースと、
・ベースに結合されたトレイであって、切除組織試料を保持するためのリザーバを画定する、トレイと、
・超音波プローブの少なくとも2つの運動自由度を作動させるガントリと、
を備える。
【0020】
別の態様では、コンピュータ実装リンパ節位置特定方法が提供され、この方法は、
・超音波走査データの取得中に捕捉された複数の画像フレームと、超音波走査データの取得中に記録された複数の位置座標とを含む切除組織試料の超音波走査データを取得するステップと、
・複数の画像フレームの各々が固有の位置座標に登録されるように、複数の画像フレームの各々を複数の位置座標のうちの固有の位置座標に登録するステップと、
・リンパ節を示す少なくとも1つの画像フレームを選択し、選択された画像フレームを、関連する固有の位置座標を有するリンパ節関心領域として記録するステップと、
を含む。
【0021】
さらに別の態様では、リンパ節位置特定システムが提供され、このシステムは、
・超音波走査データの取得中に捕捉された複数の画像フレームと、超音波走査データの取得中に記録された複数の位置座標とを含む切除組織試料の超音波走査データを記憶するためのメモリと、
・複数の画像フレームの各々が固有の位置座標に登録されるように、複数の画像フレームの各々を複数の位置座標のうちの固有の位置座標に登録するように構成され、リンパ節を示す少なくとも1つの画像フレームを選択するように構成され、選択された画像フレームをリンパ節関心領域及びその関連する固有の位置座標として記録するように構成されたプロセッサと、
を備える。
【0022】
さらなる態様では、デバイスを制御するためのシステム及び方法も提供される。
【0023】
本発明の利点、特徴及び特性は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を検討すると明らかになる。添付図面について、以下で簡潔に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】切除組織試料におけるリンパ節の位置特定又は探索のためのデバイスの一例の上面斜視図を示す。
【
図4】
図3にマーキングされた線4-4に沿って切断されたデバイスの断面図を示す。
【
図5】
図3にマーキングされた線5-5に沿って切断されたデバイスの断面図を示す。
【
図6】
図1に示すデバイスに組み込むことができるマーキングエンドエフェクタの正面図を示す。
【
図7】
図6に示すマーキングエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図8】
図6に示すマーキングエンドエフェクタの上面図を示す。
【
図9】LN位置特定システムの一例のブロック図マップを示す。
【
図10A】LN位置特定方法のフローチャートを示す。切除組織試料内のLNを位置特定する完全なワークフローの一例のフロー図を示し、組織配向、組織走査及びデータ取得、データ検査、LN識別、切除組織試料からのマーキング及び切除の例示的ステップを提供する。
【
図10B】
図10Aに示すLN位置特定方法において超音波走査から画像及び位置データを捕捉して、登録するフロー図を示す。
【
図10C】
図10Aに示すLN位置特定方法において超音波走査から画像及び位置データを捕捉して、登録する代替例のフロー図を示す。
【
図10D】
図10Aに示すLN位置特定方法における画像データ検査のフロー図を示す。
【
図10E】
図10Aに示すLN位置特定方法における画像データ検査の代替例のフロー図を示す。
【
図10F】
図10Aに示すLN位置特定方法における画像データ検査の別の代替例のフロー図を示す。
【
図10G】
図10Aに示すLN位置特定方法における組織マーキングのフロー図を示す。
【
図11】切除組織標本を埋め込む例を示す。切除された腸間膜組織(LNを含む)を、2層のアガロースの間に包埋した。これは、標本が超音波走査中に固定された位置/配向にあることを確実にする。
【
図12】標本グリッドシステムの一例を示す。超音波走査の完了後の組織後処理に役立つように、2×2cmのグリッドシステム(合計で25個の正方形、関心組織を含む正方形が20個)を作製した。
【
図13】デバイス10の直角座標ロボット実装の走査プロファイルを示す。直角座標ロボットの可動アーム及び可動グリッパは、200mm/sの移動速度で特定の掃引運動を行うようにプログラムされた。直角座標ロボットのホーム座標は(0,0)であり、走査が開始されると、可動グリッパは、Y方向に(オペレータに向かって)130mm移動し、可動アームは、X方向に20mmシフトし、その後、可動グリッパは、反対のY方向に(オペレータから離れて)130mm移動し、この掃引パターンは、組織全体が走査されるまで継続する。
【
図14】X線撮影所見及びリンパ節の決定を示す。記録された超音波走査を放射線科医に送信し、放射線科医は、それらの形状及びエコー源性(周囲の脂肪組織のものと比較して)に基づいてLNを識別し、次いでスクリーンショットし、下流のデータ分析のためにLNをマーキングするように指示された。この画像において、2つのLNが、グリッドシステムにおける特定の座標において明確な低エコー外観で観察できる。
【
図15】超音波走査とデカルト座標系との相関を示す。標本の超音波走査のビデオが捕捉され、次いで、リンパ節識別のために放射線科医に送られる。放射線科医は、ビデオ内の疑わしいリンパ節に注目し、次いで、走査のフレームが捕捉されたXY空間内の座標に、リンパ節が関連付けられた画像をユーザに提供する。
【
図16】代表的な試料からの組織学的所見を示す。B2中の2つのLNのH&E染色は、光学顕微鏡を用いて観察することができる特定の組織学的構造を明らかにする。2つのLNの横断直径は、約2mm及び約14mmであった。
【
図17】デバイスの性能パラメータ及び組織学を示す。以下は、放射線学及び病理学からの独立した所見の相互相関で、感度(LNを有する正方形/ブロックを正確に識別する試験の能力)、特異度(LNを有しないブロックを識別する試験の能力)、精度(ゴールドスタンダード[H&E染色]と試験との全体的な一致)、陽性予測値(組織学に送られたブロックがLNについて陽性である可能性)、及び陰性予測値(組織学に送られたブロックがLNに対して陰性である可能性)を計算した(フィッシャーの正確確率検定による<0.0001の両面P値、N=20ブロック)。
【
図18】病理学及び放射線学によって独立して識別された陽性及び陰性ブロックを示すグリッドレイアウトを示す。放射線学及び病理学からの知見は両方とも、LNを含有する6つのブロックを識別したが、他の14のブロックは、LNを含有しなかった。
【
図19】本発明の別の実施形態を示す
図2と同様の図である。
【
図24】発射位置(firing position)における
図23と同様の図である。
【
図35】本発明の別の実施形態の一部を形成するコンピューティング設備の放射線インターフェースの図である。
【
図36】コンピューティング設備のデータエントリーインターフェースの図である。
【
図37】コンピューティング設備の技師インターフェースの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照すると、リンパ節位置特定デバイス10が
図1~
図5に示されている。デバイス10は、切除組織試料を画像化することによってリンパ節を検出するために使用され得る。
【0026】
デバイス10は、支持体/ベース12と、切除組織試料を受け入れるためのトレイ14(例えば、
図11及び12に示されるような)と、波を送信し、波エコーを識別するように適合されたプローブ、すなわち、超音波プローブ18の少なくとも2つの運動自由度を作動/搬送する、輸送器/ガントリ16とを備える。
【0027】
ベース12は、ガントリ16及び支持トレイ14をガントリ16及び超音波プローブ18に対して所望の向きに取り付けるためのプラットフォーム作業面20を備える。
【0028】
トレイ14は、作業面20上に取り付けられたフレーム22に可逆的に結合することによって作業面20上に配置される。フレーム22は、ガントリ16及び超音波プローブ18に対するトレイ14の適切な位置決めのためのガイドを提供する。トレイ14は、フレーム22に可逆的に結合され、ガントリ16の所定の作業エンベロープ内でトレイ14の固定された所望の向きを維持するように、フレーム22に可逆的にラッチ又はロックすることができる。トレイは、超音波プローブ18で走査するために切除組織試料を受け入れ、提示するための取付面24を画定する。取付面24の全て又は一部は、任意選択で、切除組織試料を所望の向きに設定又は固定するために、任意の従来の化学的又は物理的支持体を備えてもよい。
【0029】
取付面24は、側壁26の連続的な周囲によって境界を定められ、取付面24と側壁26の内面とは組み合わさって、切除組織試料を受け入れ保持するために十分な容積を有するリザーバ28と、超音波プローブ18を切除組織試料に音響的に結合するための音響伝導流体又は媒体(例えば、
図11及び
図12に示されるように)とを画定する。トレイ14は、コルクボードで裏打ちされ、リザーバ28及びその内容物の超音波プローブ18への開放アクセスを提供するように、取付面24に対向する開放面を提供する。
【0030】
ガントリ16は、ベースに結合された可動アーム30と、第一の軸に平行な可動アーム30の第一の直線運動自由度をもたらす第一のリニアアクチュエータ32とを含む。ガントリ16は、可動アーム30に結合された可動グリッパ34をさらに含む。グリッパ34は、グリッパアーム36と、超音波プローブ18を保持するためのハーネス(又はクレードル)38とを含み、ハーネス38はグリッパアーム36に結合され、グリッパアーム36は可動アーム30に結合される。第二のリニアアクチュエータ40は、第二の軸に平行なグリッパ34の第二の直線運動自由度をもたらす。第一のリニアアクチュエータは、ベース12の作業面20に取り付けられ、第二のリニアアクチュエータ40は、可動アーム30に取り付けられる。可動アーム30の直線運動は、可動グリッパ34の直線運動に対して垂直であり、これらが組み合わされて、トレイ24及びその内容物のデカルト座標掃引を提供する。
【0031】
図6~
図8は、可視インジケータを、切除組織試料内で識別されたLN位置に配置するためのマーキングエンドエフェクタを保持する第一の変形グリッパ34aを示す。第一の変形グリッパ34aは、グリッパアーム36と、マーキングエンドエフェクタを固定するためのクランプ42とを含み、クランプ42はグリッパアーム36に結合され、グリッパアーム36は可動アーム30に結合される。クランプ42は、第一のロッド44及び第二のロッド46の2つに接続され、第一及び第二のロッドの両方がグリッパアーム36に摺動可能に結合される。第一のロッド44に取り付けられた弾性部材48は、クランプ42をグリッパアームに対して第一の位置に付勢し、グリッパアーム36に対する第二のロッド46の直線運動を制御する第三のリニアアクチュエータ(図示せず)は、弾性部材48の付勢力方向と反対の直線方向にクランプの運動を作動させる。第一の変形グリッパ34aは、任意選択で、マーキング動作中にグリッパ34を置換してもよく、又はマーキングエンドエフェクタを保持するクランプ42は、任意選択で、クランプ及びハーネスの両方がグリッパアーム36に結合された状態で、ハーネス38に隣接して位置付けられてもよい。
【0032】
マーキングエンドエフェクタは、従来の組織マーキングペン、又はマーキングを行うか、又はピンを関心点に射出することができるピンガンとすることができ、これらは両方とも、多くの解剖処置のために、病理学研究所で使用される。ガントリは、マーカ先端又はピンガンの先端を、全ての識別されたLNのXY座標に関節運動させ、解剖器によるより容易な抽出のために試料中のそれらの表面をマーキングする。
【0033】
解剖、切除又は抽出ツールを保持するためのさらなる変形グリッパ(図示せず)は、また、任意選択で、各コア又はブロックが識別されたLNを含有する状態で、切除組織試料からのコア又はブロックのコンピュータ指向抽出を提供するために設置されてもよい。
【0034】
図9は、リンパ節位置特定システム100の概略ブロック図を示す。システム100は、電源と、メインプロセッサ又はCPUと、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサを含むCNCシールドと、リミットスイッチと、ガントリに結合された超音波トランスデューサにデカルト座標運動を提供するためにガントリ内に配置された複数の電動リニアアクチュエータとを含む。電源は、AC120Vを、CNCシールド及びCPUのために使用可能なDC電圧、例えば、CNCシールドへの入力のためのDC24V及びCPUへのDC9Vに変換する。CPUは、超音波トランスデューサ走査に電力を供給し、調整し、読み取り、移動又はナビゲーションコマンドを生成し、CNCシールドに送信し、リンパ節識別のためのターミナルとして働く。リミットスイッチによって、リニアアクチュエータがガントリの可動構成要素をホーム又は原点基準位置にリセットすることが可能になり、ステップを逃した場合の衝突を回避できる。CNCシールドは、CPU及びリミットスイッチからのコマンドを解釈し、モータドライバによる解釈のために移動命令をGコードから変換し、電力をドライバ、例えばDC24Vに接続する。X軸モータ及びY軸モータは、それぞれの送りねじを駆動する電動リニアアクチュエータの例であり、親ねじは、次に、走査、マーキング及び/又は切除ツールを、切除組織試料に対する所望の位置又は所望のセットの位置に平行移動させる。マーキングアクチュエータは、低トルクアクチュエータであり、マーキングツールのマーキングヘッドに力を付与して、解剖のための領域(LNを含む)の物理的指示を配置する。
【0035】
図10Aは、コンピュータ実装リンパ節位置特定方法200の一例を示す。方法200は、切除組織試料をトレイに挿入するステップ220と、組織試料と超音波プローブとの間に音響結合を提供するのに十分な量の音響伝導流体で組織試料を覆うステップ240とを含む。
【0036】
超音波プローブが設置されたガントリは、音響伝導流体と物理的に接触しながら、超音波プローブのデカルト座標運動のために作動して260、超音波走査データを取得するために組織試料を走査する。画像データ及び位置データの両方が超音波走査から取得又は捕捉され280、捕捉された画像データがその対応する位置データに登録される280。捕捉された画像データは、捕捉された画像データのセットから画像フレームのサブセットを選択するためにリンパ節を含む関心領域を識別するために検査され300、対応する関心位置が、識別された各関心リンパ節領域について出力される300。マーカ又はピン銃が設置されたガントリは、マーカ又はピン銃のデカルト座標運動のために作動される320。ガントリは、ステップ300において出力された1つ以上の関心位置の各々に対するデカルト座標によって指示され、各関心位置にマーカ又はピンガンを位置決めするようにナビゲートされ340、マーカ又はピンガンは、各関心位置にマーキングするように作動される340。解剖器は、ステップ340のマーキングによって誘導され、マーキングされた関心位置で組織試料からコア又はブロックを切除する360。各物理的に切除された関心領域は、切除の位置を識別するようにコード化された組織カセット内に配置され380、各組織カセットは、組織学的リンパ節分析のために提出される380。関心位置という用語は、関心領域という用語に関連しているが、同じではない。なぜなら、関心領域は、2D又は3D画像において指定された外接面積又は容積であり、関心位置は、対応する関心領域又は対応する関心領域内の1つ以上の関心点のいずれかを参照するための位置データを含むからである。切除組織試料の解剖が実行される場合、画像において指定された関心領域は、切除組織試料からの切除されたコア又はブロックに対応し、その結果、画像処理関心領域は、物理的に切除された関心領域と相関する。
【0037】
図10Bは、超音波走査から画像及び位置データを捕捉及び登録する280一例を示す。画像及び位置データの捕捉及び登録280は、CNCコントローラによって超音波トランスデューサを保持する電動ガントリの自動制御を含み、CNCコントローラは、所定の超音波走査経路に沿ってガントリをナビゲートするためのコマンドを実行する281。ガントリ及び超音波トランスデューサが超音波走査経路を通過する際に、超音波画像データは、各時点における位置座標のCNCソフトウェアによる記録及び補間283と組み合わせて、ビデオ映像として捕捉される282。捕捉された画像データは、超音波ビデオ映像の各フレームが固有の位置座標に登録されるように、記録された位置データに登録される284。
【0038】
図10Cは、超音波走査から画像及び位置データを捕捉し、登録する280a代替例を示す。画像及び位置データの捕捉及び登録280aのこの代替例は、所望の超音波走査経路に沿ってガントリをナビゲート285するための、超音波トランスデューサを保持する電動ガントリの手動指向制御285を含む。ガントリ及び超音波トランスデューサが超音波走査経路を通過する際に、超音波静止画像フレームは、任意選択で、例えば、ガントリに結合される位置エンコーダ又はセンサによって提供されるようなタイムスタンプを伴う、各捕捉された画像フレームに対する位置データの記録287と組み合わせて、任意選択で、タイムスタンプを伴って捕捉される286。捕捉された画像データは、各捕捉された画像フレームが固有の位置座標に登録されるように、記録された位置データに登録される288。
【0039】
図10Dは、ステップ280で捕捉された画像データから、リンパ節の関心領域を示す画像フレームを識別するための画像データ検査300の一例を示す。画像データ検査300は、放射線科医が捕捉されたビデオ映像を検査すること301と、リンパ節を示すフレームを識別すること301又は選択することとを含む。各識別又は選択されたフレームは、その対応する位置座標と共に記録される302。一意に識別されたフレームに対応するセットの各メンバーの位置座標のセットは、ガントリナビゲーションコントローラへの出力のために行列にフォーマットされる303。
【0040】
図10Eは、ステップ280で捕捉された画像データから、リンパ節の関心領域を示す画像フレームを識別するための代替の例示的な画像データ検査300aを示す。画像データ検査300aのこの代替例は、コンピュータプロセッサが、捕捉されたビデオ映像を検査し304、規則ベースの検出アルゴリズムに基づいてリンパ節を示すフレームを自動的に識別すること304又は選択することを含む。識別又は選択された各フレームは、対応する位置座標と共に記録される305。一意の識別されたフレームに対応するセットの各メンバーの位置座標のセットは、ガントリナビゲーションコントローラへの出力のために行列にフォーマットされる309。コンピュータプロセッサは、複数の連続する近接又は隣接フレームに示される単一の大きなリンパ節の可能性に対応するように構成される。コンピュータプロセッサは、連続する近接フレームが識別されるかどうかを判定する306ように構成される。連続する近接フレームが識別される場合、リンパ節がいくつかの捕捉されたフレームに及ぶほど大きいことがあるので、中心フレームのみが関心位置として記録される307。そうではなく、フレームが、識別された隣接フレームなしで識別される場合、識別されたフレームは、関心位置として記録される308。
【0041】
図10Fは、ステップ280で捕捉された画像データから、リンパ節の関心領域を示す画像フレームを識別するための代替の例示的な画像データ検査300bを示す。画像データ検査300bのこの代替例は、コンピュータプロセッサによって実行される機械学習dv分類器が、捕捉されたビデオ映像を検査し310、リンパ節を示すフレームを自動的に識別すること310又は選択することを含む。識別又は選択された各フレームは、対応する位置座標と共に記録される311。一意の識別されたフレームに対応するセットの各メンバーの位置座標のセットは、ガントリナビゲーションコントローラへの出力のために行列にフォーマットされる309。コンピュータプロセッサは、複数の連続する近接又は隣接フレームに示される単一の大きなリンパ節の可能性に対応するように構成される。コンピュータプロセッサは、連続する近接フレームが識別されるかどうかを判定する306ように構成される。連続する近接フレームが識別される場合、リンパ節がいくつかの捕捉されたフレームに及ぶほど大きいことがあるので、中心フレームのみが関心位置として記録される307。そうではなく、フレームが、識別された隣接フレームなしで識別される場合、識別されたフレームは、関心位置として記録される308。
【0042】
図10D、
図10E、及び
図10Fに示される画像データ検査の例(ステップ300における放射線科医、代替ステップ300aにおける規則ベースの画像処理ソフトウェア、及び代替ステップ300bにおける機械学習分類器)では、ステップ280において捕捉された画像データの検査について説明したが、各例は、画像データ及び位置データのデータ取得及び登録のために、代替例のステップ280a又は他の代替例で捕捉された画像データに適応するように容易に適合させることができる。
【0043】
図10Gは、切除組織試料内のリンパ節関心領域を視覚的にマーキングするための自動組織マーキング340の一例を示す。組織マーキング340は、コンピュータメモリ構成要素から識別された関心位置の位置座標を取り出すこと341と、コンピュータ実行可能コード内に取り出された位置座標を入力すること342とによって、識別された各関心位置へのガントリナビゲーションのためのコンピュータ実行可能コードを生成するように構成されたコンピュータプロセッサを含む。コンピュータプロセッサは、また、ガントリ運動を関心位置に導くナビゲーションコマンドの後、及びガントリ運動を後続の関心位置に導く後続のナビゲーションコマンドの前に、物理的マーキングを達成するようにマーキングツール運動を作動させるためのコマンドを挿入する343ように構成される。生成されたコンピュータ実行可能コードは、コントローラに送信344され、コントローラは、生成されたコードを実行し345、電動ガントリ運動及び電動マーキングツール運動を作動させ、各リンパ節関心領域における切除組織試料を物理的にマーキングする。
【0044】
図10Hは、切除組織試料からリンパ節関心領域を物理的に切除するための自動組織切除360の一例を示す。組織切除360は、組織マーキング340(すなわち、組織マーキングが行われていない)を、マーキングツールの代わりに解剖ツールの作動ガントリ運動のために修正されたステップ320と置き換えることができる。組織切除360は、コンピュータメモリ構成要素から識別された関心位置の位置座標を取り出すこと361と、コンピュータ実行可能コード内に取り出された位置座標を入力すること362とによって、識別された各関心位置へのガントリナビゲーションのためのコンピュータ実行可能コードを生成するように構成されたコンピュータプロセッサを含む。コンピュータプロセッサは、また、ガントリ運動を関心位置に導くナビゲーションコマンドの後、及びガントリ運動を後続の関心位置に導く後続のナビゲーションコマンドの前に、解剖ツール運動を作動させ、リンパ節関心領域を含有するコア又はブロックを切除するためのコマンドを挿入する363ように構成される。コンピュータプロセッサは、また、解剖ツールを現在の関心位置で作動させる各コマンドの後、及びナビゲーションコマンドが後続の関心位置に進む前に、切除組織を堆積させるために、組織リポジトリ位置へのガントリナビゲーションを作動させるコマンドを挿入する364ように構成される。生成されたコンピュータ実行可能コードは、コントローラに送信され365、コントローラは、生成されたコードを実行して366、電動ガントリ運動及び電動解剖ツール運動を作動させて、切除組織試料からリンパ節関心領域を物理的に切除し、各物理的に切除された関心領域を組織リポジトリ位置に堆積させる。
【0045】
切除組織におけるLNの位置を特定するためのデバイス、システム及び方法は、実験的試験によって検証されている。実験的試験結果は、切除組織試料内の1つ以上のLN位置を識別又は検出するデバイス、システム、及び方法の能力を実証する。以下の実験例は、例示することのみを目的とし、限定的な説明を意図したものではない。
【0046】
実験例1では、新しいLN位置特定デバイス及びシステムは、どの組織ブロック/正方形が組織病理学的分析を保証し、どれがそうでないかを正確に指摘する能力について評価される。臨床文脈において、PAは、切除された標本中のLNの全てを見つけるように指示され、しばしば、患者がネオアジュバント化学療法で前処置されている場合、LNを見出すことは、ますます困難になる。これらの場合に、見出されたLNが12未満の場合、PAは、さらなる組織処理のために、腸間膜組織のさらなる切片を提出しなければならない。
【0047】
これらの理由により、本発明者らは、本発明者らの実験において、この臨床シナリオを再現することを欲し、解剖器は、さらなる組織学的処理のために、本発明者らの自動化デバイスによって識別された特定の組織領域(2×2cmの組織カセット内に適合する)を正確に提出することができる。これを達成するために、実験例1は、以下の要件を含めた。
・ブタから腸間膜脂肪組織を取得する
・組織標本を固定位置/向きに保つ
・標本全体にわたって2×2cmのグリッドを作成する
・超音波を使用して固定走査プロファイルで標本を撮像し、ビデオを記録する
・走査が完了すると、各2×2cmの組織正方形を組織カセットに入れ、さらなる組織病理学的処理及びH&E染色に供した
・記録された超音波ビデオは、疑わしいLNの検査及び識別のために放射線科医に提出した
・次いで、放射線科医からの所見を、組織学(「グラウンドトゥルース」)からの所見と比較し、下流の分析を行って、LNを含有した組織正方形又は含有しなかった組織正方形を識別する際のデバイスの性能を決定した。
材料及び方法を以下に記載する。
【0048】
(材料及び方法)
組織採取:
本発明者らの概念実証実験のためのブタ動物モデルを使用して、3頭のブタ(胃及び大腸を含む)由来の胃腸器官を、オンタリオ州農業食料農村問題省の承認の下で、地元の精肉店Mount Brydges屠殺場(カナダ国オンタリオ州Mount Brydges)から寛大に寄贈された。標本を得て、10%ホルマリン中で24時間固定した後、病理学者は、LN含有腸間膜脂肪組織を慎重に切除し、次いで、標本を本発明者らのデバイスのために直ちに調製した。
【0049】
標本の固定位置:
超音波走査中に組織の配向を維持するために、標本を1%アガロースゲルに包み込んだ。簡潔に述べると、まずアガロース(1%;500mLの蒸留水中の5グラムのアガロースA)の層を作製してアルミニウムトレイの底面をコーティングし、次いで組織標本を上に置いた。ひとたび置くと、別のアガロース層を組織標本の上部に穏やかに注ぎ入れて、それを包み込んだ(
図11)。アガロース包埋は、組織配向を設定するための選択肢であるが、アガロースも包埋も、組織配向を維持するために必要ではない。例えば、パラフィンワックスの層を含むアルミニウム解剖トレイは、解剖ピンを使用してトレイのパラフィン層に直接物理的にピン付けされる組織標本を提供する。さらなる例として、トレイは、トレイ内にある間に組織を固定された向き/位置に維持することができる任意のカスタムガイド、クリップ、クランプ、ブラケット、バンド等を装備してもよい。
【0050】
水浴槽:
標本をアガロースゲルに包み込んだ後、超音波プローブの先端が水中にわずかに沈むまで、水を注意深くトレイに注いだ。これが行われたのは、水及びゲルを使用すると、超音波のための最良の音響特徴(高い透過係数及び良好な音響結合[60])を提供するのに役立ち得るからである。本発明者らの実験設定において水を使用すると、また、超音波プローブが組織標本と直接接触する必要がなく、したがって、Z軸作動の必要性がなくなり、これによって、実装に対する技術的障壁が少なくなる。
グリッドシステム:
【0051】
病理学において、標準的な組織カセットは、3×2.5×0.4cmで測定され、組織標本は、2.5×2.0×0.4cmよりも大きく切断すべきではないことが推奨され、そうでなければ、カセットに標本を過剰に充填すると、組織処理が不適切になり、その後のパラフィン包埋ブロックが低品質になることがある[61、62]。したがって、走査後に組織後処理を可能にするために、本発明者らは、標本全体にわたってマッピングされた2×2cmのグリッド(合計で正方形25個、関心組織を含む正方形は20個)を構築した(
図12)。
【0052】
この実験では、グリッドをアガロースゲルの上部に直接彫り込んだ(engraved)が、多くの代替案が企図され、代替案には、例えば、標本の上部又は下部に配置される物理的グリッドシステム、トレイのフレーム内に直接基準マーカを構築すること、又はグリッドレーザ照明システム(マシンビジョンの使用の有無にかかわらず)のいずれかが含まれる。さらに、グリッドは重要ではなく、LN位置特定デバイス、システム、又は方法は、グリッドがない場合も動作することができる。
【0053】
超音波走査プロファイル:
上記の2×2cmグリッドに基づいて、20個の正方形グリッドを、CNC機械用のソフトウェアプログラミング言語であるGコードを使用して標本用に構築し、直角座標ロボットのアームを、200mm/分(しかし、720mm/分までが理論的に適切である)の移動速度で特定の掃引運動を行うようにプログラムした。直角座標ロボットのホーム座標は、グローバルかつ相対的(0,0)であった。いったん走査が開始されると、アームは、Y方向に(オペレータに向かって)130mm移動し、X方向に20mmシフトし、反対Y方向に(オペレータから離れて)130mmシフトし、この掃引パターンは、組織全体が走査されるまで継続する(
図13)。移動速度及び標本のサイズに基づいて、走査は3分51秒で完了した。代替実装では、アーム速度は、より迅速な走査(又は、標本の複雑さ及びエンドユーザの必要性に応じて、より遅い走査)を可能にするように最適化できる。このロボットが完全パラメトリック設計であることに留意されたい。診療所でより大きな試料量が必要な場合、より大きなトレイを収容するためにシステムに、より長い親ねじ及び線形軸受を追加することによって、任意の(実用的な)走査領域に対応することができる。これは、必要に応じて、グロッシングベンチ(grossing bench)全体のサイズに合わせて、スケーリングできる可能性がある。また、必要に応じて、多数の標本を同時に走査することもできることに留意することも重要である。この実験では超音波プローブの(X軸と平行な)1つの向きが使用されたが、デバイスは、X平面とY平面の両方の捕捉が可能な90度(回転)プローブマウントを含み、これは、潜在的な標的を相互相関させ、両方の向きにおいて見出される標的を保持するのに役立つであろう。これは、超音波検査者が、臨床診療で2つの直交平面における関心構造の画像を取得するに類似している。全ての走査を、Lumify L12-4リニアアレイトランスデューサプローブ(Philips,米国)、4~12MHzで行い、ビデオをLumify超音波ソフトウェアアプリケーションで記録した。注目すべきことに、これらの走査は、市販の超音波プローブ、例えば、毎秒20フレーム超で8~25MHz範囲の画像を捕捉することができる市販のリニア超音波プローブを使用して行うことができる。
【0054】
超音波ビデオの分析:
記録された超音波ビデオは、LNの位置を知らない(盲検)放射線科医に送信された。放射線科医は、それらの形状及びエコー源性(周囲の脂肪組織のものと比較して)に基づいて、LNを識別し、次いでスクリーンショットし、下流のデータ分析のためにLNをマーキングするように指示された(
図14及び
図15)。超音波走査データにおけるLN識別の代替例では、超音波走査から捕捉された画像データは、機械学習アルゴリズム又は規則ベースの画像処理(すなわち、エッジ検出)アルゴリズムのいずれか又は両方によって検査され、これらのアルゴリズムは、切除された標本におけるLN及び他の関連する生物学的構造を検出するのに役立ち、最終的に、本発明者らのデバイスのためのこの特定のステップにおける放射線科医を不要にする。
【0055】
マーキングシステム:
組織ペン又はピンガンは、現在の実験では使用されなかったが、このデバイスの代替例は、任意選択で、組織標本の別個の領域内の疑わしいLN位置を物理的に及び/又は視覚的にマーキングすることができるマーキングツールを含むことができる(放射線科医画像選択又は規則ベースもしくは画像分類の機械学習アルゴリズムによる記録された超音波ビデオの処理の後)。組織ペンがこのプロセスのために使用される場合、再充填可能なペンは、病理学研究所において利用可能な組織マーキング染料(すなわち、Royal India Ink)とともに使用することができる。一方、自動ピンガンが使用される場合、病理解剖ピンは、空気圧式、油圧式、又はモータ駆動式のピンガンに組み込まれ得る。両方の機構について、ロボットアームの端部に取り付けられたエンドエフェクタは、組織標本上の識別された標的領域にマーキングするための電動制御を目的としてプログラムされ得る。
【0056】
ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色:
標本からの全ての組織をさらなる組織学的処理に供し、2×2cmグリッドにおけるそれらの相対位置を記録した。組織を切除し、10%緩衝ホルマリン溶液中で固定し、包埋し、厚さ5μmの切片に切片化した。次いで、組織切片をルーチンな組織学のためにH&Eで染色した。盲検の病理学者は、光学顕微鏡を用いてLNの組織学的構造が存在するかどうかを評価し、画像を捕捉した(Nikon,日本)。LNの横断直径及びグリッド上のそれらの相対位置も記録した(
図16)。
【0057】
下流データ分析:
本発明者らは、放射線科医及び病理学者からの独立した知見と盲検の知見とを相互相関させ、次いで、さらなる分析を行って、感度(LNを有する正方形/ブロックを正確に識別する試験の能力)、特異度(LNを有さないブロックを正確に識別する試験の能力)、精度(ゴールドスタンダード[H&E染色]と試験との間の全体的な一致)、陽性予測値(組織学に送られたブロックがLNに対して陽性である可能性)、及び陰性予測値(組織学に送られたブロックが、LNに対して陰性である可能性)を調べた(
図17)。デバイスの感度及び特異度と組織学的所見との間の統計的差異も計算した(フィッシャーの正確確率検定による両側P値<0.0001)。
【0058】
(結果)
超音波走査及び組織病理学的知見:
超音波ビデオに基づいて、放射線科医は、周囲の脂肪組織と比較して異なる低エコー性の特徴(出現した高エコー性)を提示した7つの疑わしいLNを識別することができた。2×2cmグリッドシステムを参照すると、放射線科医は、A3(列A、行3)に1つのLN、B2に2つのLN、B4に1つのLN、B5に1つのLN、C2に1つのLN、及びD4に別の1つのLNを識別した。興味深いことに、組織学的検査によっても、7つの疑わしいLNの位置が確認した。顕微鏡分析は、標本中の様々なサイズのLNの存在をさらに決定した。例えば、B2における2つのLNの横径は、2.146mm及び14.48mmであり(
図16)、5mm未満のLNを検出する際の超音波ソリューションの能力をさらに裏付けた。
【0059】
性能パラメータは、また、超音波ビデオを使用して各2×2cmの正方形における潜在的なLNを検出する放射線科医の能力に基づいて計算された。放射線科医は、潜在的にLNを含有しない14個の「陰性」ブロックのうち、潜在的にLNを有する6個の「陽性」ブロックを識別することができ、これは、組織学からの所見と同じであった(
図18)。20個のブロックの試料サイズに基づいて、感度、特異度、精度、陽性予測値及び陰性予測値は、100%に等しかった。同様に、デバイスの超音波所見及び組織学の感度及び特異度の間の統計的差異は、有意である(フィッシャーの正確確率検定による<0.0001の両側P値;感度値=1.0、95%CI=0.6097~1.0;及び特異度値=1.0、95%CI=0.7847~1.0)。
【0060】
(LNを検出するための超音波検査の利点)
超音波イメージングの適用は、切除された標本(及び概して病理学分野)におけるLNの識別にはまだ使用されていないが、頸部リンパ節症の評価における超音波の役割は、確立されており、超音波の特徴は、頭頸部癌を有する患者の頸部における異常なLNの識別を助けるために放射線科医によって使用される[1~3]。特に、高分解能のリアルタイム超音波検査は、放射線科医が、LNの形状、サイズ、エコー源性門(echogenic hilius)、鋭い結節境界、低エコー源性、凝固壊死、さらには結節内石灰化を調べることを可能にする[2]。興味深いことに、ある研究は、また、(手動の)超音波検査が、手による触診(73.3%)と比較して、頸部における癌陽性LNの識別において高感度(96.8%)であることを示し、超音波検査と細針吸引生検とを組み合わせることで、頭頸部癌における結節性疾患のより正確な評価が可能になった(95.7%の感度及び92.9%の特異度)[1]。さらに、他のイメージングモダリティ(コンピュータ断層撮影及び磁気共鳴イメージング)もまた、頸部LNの評価に使用することができるが、これらのツールは、直径5mm未満のLNを検出する際に超音波よりも感度が低い可能性があるが、超音波は、直径2mm未満のLNを検出することができる[2,4]。
【0061】
図19~
図21は、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態は、
・全体的に400として示される
図1の構造の全部と、
・リニアアクチュエータ500と、
・L字形ブロック502と、
・組織マーキングデバイス504と、
・複数のピン506と、
を含む。
【0062】
この実施形態では、リニアアクチュエータ500は、グリッパアーム36(図示せず)と一体に形成され、可動アーム30上を移動し、プローブは、Intersonリニアアレイトランスデューサ(Pleasanton,米国カリフォルニア州)A,10-20MHZであり、輸送器は、プローブを100mm/分で搬送するように構成される。
【0063】
L字形ブロック502は、可動アーム30に対する選択的な垂直移動のためにリニアアクチュエータ500に取り付けられ、そこから一対のダボ507が突出し、磁石509を有する
【0064】
組織マーキングデバイス504は、
図27~
図30に見られ、マウント508と、シャトル510と、一対の弾性体512とを有する。
【0065】
マウント508は、磁石514と、ストライカピン516と、一対のフック518とを含み、一対のソケット520及び一対のシリンダ522を画定する。
【0066】
シャトル510は、一対のピストン524と、頂部キャップ526と、マガジン528とを含む。
【0067】
ピストン524は、シリンダ522によって受けられる。
【0068】
頂部キャップ526は、ピストン524を互いに連結し、そこから突出する一対のフック530を有する。
【0069】
マガジン528は、ピストン524を互いに連結し、ストライカピン516の軸と一致するバレル532を画定し、バレル532と連通するチャンバ534を有し、一対のスロット536を有し、各スロット内に弾性体538を有する。
【0070】
複数のピン506は、チャンバ内に配置され、弾性体538によってバレル532に向かって付勢される。
【0071】
一対の弾性体512は、マウント508上のフック518及び頂部キャップ526上のフック530によって係合され、頂部キャップ526をシリンダ522に向かって移動するように付勢する。
【0072】
使用中に、マウント508内のソケット520は、L字形ブロック502のダボ507を受け入れ、マウント508内の磁石514は、マウント508をL字形ブロック502内の磁石509に向かって付勢し、それによって、
図21、
図19のシーケンスによって示されるように、組織マーキングデバイス504をL字形ブロック502に取り付ける。
【0073】
組織マーキングデバイス504が動作する様式は、
図23~
図26のシーケンスを検討すると明らかになる。
【0074】
図23は、完全に持ち上げられたL字形ブロック502を示す。この構成では、組織マーキングデバイス504は、ガントリによって、組織試料上の任意の所望の位置に搬送できることが理解される。
【0075】
図24は、
図23の位置から下げられたL字形ブロック502を示す。ブロック502が下げられると、マガジン528は、最終的に組織試料に遭遇し、これによってマガジン528のさらなる下向きの移動が制限されることが理解される。
【0076】
図25は、
図24の位置からさらに下げられたL字形ブロック502を示すが、マガジンは定位置に固定されている(組織に遭遇したときに生じるように)。ここで、ストライカピン516は、バレル532(いずれも図示せず)に入り、ピン506の1つをバレル532から(及び組織内に)押し出していることが理解される。
【0077】
図26は、
図25の位置から持ち上げられたL字形ブロック502を示し、そのように持ち上げられ、組織からのクリアランスを提供すると、弾性体512は、マガジン528を下向きに付勢している。
【0078】
上述の構造の有利な使用は、本発明の別の態様を形成し、以下に説明するように4つの別個のワークフローを含む方法の一部となっていることである。
【0079】
(走査)
このワークフローでは、典型的には検査技師が以下のステップ、すなわち、組織試料を受容又は調製するステップと、組織を貫通してコルクボード内に解剖ピンを配置することによってトレイに組織試料を固定するステップと、
図19の装置にトレイを配置するステップと、組織試料及びトレイの詳細をデータベースに入力するステップと、走査を開始するステップであって、装置が自動的にプローブを組織試料上に搬送し、組織試料の完全な超音波画像を捕捉する、ステップとを完了させる。走査が完了すると、超音波画像は、データベースによって維持される識別キューに配置され、トレイ及び組織試料の詳細と関連付けられる。
【0080】
(識別)
このワークフローでは、例えば、放射線科医が、実験室から離れた位置で、コンピューティング設備を使用して、以下のステップ、すなわち、キューからの超音波画像を検討するステップと、リンパ節に放射線学的に類似する選択された画像内の関心エリアを識別するステップとを実行する。検討が完了すると、走査に関連付けられ、それによって試料及びトレイに関連付けられた位置のセットをマーキングキューに配置し、走査及びトレイ/試料識別子を識別キューからマーキングキューに移動する。
【0081】
(マーキング)
このワークフローでは、典型的には検査技師が、以下のステップ、すなわち、マーキングキュー内のトレイ/試料に関してマーキング動作を開始するステップを完了させる。このワークフローでは、試料に関連する位置を自動的にマーキングする。マーキングするステップが完了すると、トレイ/試料及び関連する走査は、マーキングキューから除去され、抽出キューに配置される。
【0082】
(抽出)
このワークフローでは、典型的には検査技師が、マーキングされた組織のリンパ節分析を実行し、マーキングによって、技師は、作業に集中できる。このステップの一部として、トレイ/試料及び関連する走査は、抽出キューから除去される。
【0083】
(変形例)
上記のワークフローに対する変形例は、これらに限定されることなく、可能である。他のプローブ及びマーキングデバイスを使用することもでき、マーキング動作は、自動的に行う必要はなく、マーキング及び走査のための装置は、全く同一である必要はない。
【0084】
(グラフィックユーザインターフェース)
図35は、上記の方法における走査ステップで使用されるコンピューティング機能におけるユーザインターフェースを示す。検査技師は、描写されたデータエントリー画面を使用して、試料の詳細[すなわち、患者及びトレイ]を入力し、「確認」を選択する。これは、
図36に示されるインターフェースの提示をトリガする。このインターフェース上で、技師は、「トレイ初期化」ボタンを選択し、これはデバイスに内部チェックを行わせてトレイが適所にあることを保証し、操作性のためにプローブ及びモータのステータスをチェックし、試料の寸法及びトレイ/ガントリに対するその位置を走査し、[標本に対するプローブの走査能力を考慮して]プローブを標本全体の走査近接させる掃引経路を計算する。いったんデバイスが経路を計算し、マシンステータスを確認すると、マシンは、「OK」を信号伝達する。そこから、技師は、「ガントリ開始(Start Gantry)」を選択し、ここで、デバイスは、プローブに掃引経路を横断させ、試料の完全な超音波画像を捕捉させ、この画像が、データベースに記憶され、入力された詳細と関連付けられ、技師がトレイ及び試料を後日識別することを可能にする。走査が完了すると、ガントリシステムは、自動的に、そのグローバルホーム座標/位置に戻るようにナビゲートし、モータ及びプローブは、試料の安全な除去及び好適な(冷たい)貯蔵を可能にするように無効にされ、貯蔵されたトレイ/試料詳細及び走査は、識別キューの中に配置される。
【0085】
図37は、上記の方法における識別ステップで使用されるコンピューティング機能におけるユーザインターフェースを示す。インターフェースは、放射線科医によって以前に記憶された超音波画像(組織の自動走査におけるプローブの経路に続く)を検討するために使用される一連のボタン[「プレイ(play)」、「進む(forward)」、「停止(stop)」及び「巻き戻し(rewind)」]を含むことが分かる。リンパ節に放射線学的に類似する構造が見られるとき、「関心領域のマーキング」ボタンを選択することができ、これによって、放射線科医は、疑わしいリンパ節(白いボックスによって示される)の上にフレームをドラッグアンドドロップするためにカーソルを使用することが可能になる。フレームの作成は、フレームの中心として計算される位置を作成する。識別作業が完了すると、検討者は、「走査を保存(Save Scan)」を選択し、マーキングキューに作成された位置のリストを配置する。
【0086】
図35のインターフェースは、上記の方法において、マーキングステップでも使用される。より具体的には、技師が、完了した走査に関連して以前に記憶された識別子と一致する識別子を入力した後、このインターフェースが提示されることが理解される。「トレイ初期化」ボタンを再び選択すると、デバイスは診断を実行して、デバイスがアクティブであり、トレイが正しく配置されていることを保証する。デバイスは、再び試料を走査し、サイズ及び形状を抽出する。しかしながら、このステップでは、計算機能は、サイズ及び形状が、トレイ/試料に関連して以前にファイル上にあるサイズ及び形状に一致することを確認する。これらの内部チェックが完了すると、技師は、「ジャンプ・ツー(Jump to)」、「前のマーカ(Previous Marker)」、又は「次のマーカ(Next Marker)」ボタンを使用して、マーキングデバイスを記憶された位置の各々にナビゲートすることができる。選択された位置に関連付けられた関心領域は、マグニファイドビューイングコントロールに自動的に表示される。「ドロップ・ピン(Drop Pin)」ボタンを選択すると、デバイスはピンを配置し、次の格納位置に進み、「スキップ・マーカ(Skip Marker)」ボタンを選択すると、ピンを配置することなくデバイスを次の位置に進める。「ガントリ停止(Stop gantry)」ボタンを選択すると、デバイスは、走査をマーキングキューから取り除いて抽出キューに進め、ガントリをそのグローバルなホーム座標/位置に移動させ、モータを係合解除してトレイの取り外しを可能にする。
【0087】
(競争上の優位性と差別化)
本技術は、既存のLN解剖法に勝る1つ以上の有意な競合的利点を提供し得る。
・試料当たりのグロッシングにおける大幅な時間の節約、労力の軽減
・病理学スタッフの人間工学的な改善
・容易な洗浄及び保守を可能にするシンプルで安全な設計
・試料中のLNの正確な識別
・切除組織標本の元のバルク構造を保持し、病理学スタッフが、標準プロトコルによって必要とされる場合、後日標本を再検査できるようにする非破壊試験法
・病理「廃棄物」及び資源の削減(すなわち、処理のために提出される「偽陰性」組織カセットの減少)
・解剖前の標本中のLNの元の位置の文書化
・再グロッシング/再採血の必要がなく、診断所要時間、実験室効率及び標本スループットの改善
・LN、腫瘍沈着及び血管浸潤のより良好な分化[67]
・LN収率の向上
・外科的及び病理学的品質指標メトリックの収集における改善
・適切なLNサンプリングが満たされるので、患者の正確な癌病期分類に寄与し、適時、正しい癌治療に寄与することができる
・LN解剖プロセスのさらなる制御を解剖器に提供し、デバイスによってマーキングされたLN位置は、さらなる処理のために組織領域を提出する前に、解剖器によって二重にチェックすることができる
・注意深いLN解剖を必要とする他の切除癌組織への潜在的適用。
【0088】
リンパ節位置特定デバイス、方法、又はシステムのいくつかの例示的な変形例を上記で説明してきた。さらなる変形例及び修正を以下に記載する。さらに、変形例や修正を構成するための案内関係についても後述する。なおさらなる変形例及び修正が企図され、当業者によって認識される。案内関係及び例示的な変形例又は修正は、当業者の理解を高める目的で提供され、限定的な記述として意図されないことを理解されたい。
【0089】
例えば、直角座標ロボットガントリが例示され、デカルト座標は、ほとんどの企図される実装に対して単純であるが、本デバイス、システム、及び方法は、極座標又は円筒座標等の非線形座標系に適応することができる。例えば、切除組織試料の走査及び後続の画像分析が円形補間から利益を得る場合、極座標は、デカルト座標よりも便利なこともある。デカルト座標は三次元(x、y、及びz)で使用することができるが、極座標は、二次元(r及びθ)のみを指定する。第三の軸z(高さ)が極座標に追加される場合、座標系は、円筒座標(r,θ,z)と呼ばれる。
【0090】
別の例として、デカルト座標は、特定の実装のために所望されるように、二次元又は三次元で実装されてもよい。例えば、二次元デカルト座標実装は、超音波プローブの全ての走査経路位置が単一平面に制約される場合に十分である。しかしながら、三次元デカルト座標実装を、超音波プローブの走査経路位置が複数の別個の平面内で望まれているときに、使用してもよい。
【0091】
別の例として、可動ガントリは、任意のリニアアクチュエータを収容してもよく、リニアアクチュエータの親ねじ及びリードナットバージョンに限定される必要はない。
【0092】
別の例として、可動ガントリは、例えば、関節アームを含む、任意の形態を成してもよく、可動ガントリの運動の制御は、任意の好適なコンピュータ制御によって達成されてもよい。
【0093】
コルクボードは、トレイのライナーとして使用されることが示されるが、トレイの底部からの音響反射を最小限に抑えるか又は回避する他の材料を超音波プローブとの関連で使用することができる。
【0094】
別の例として、可動ガントリのコンピュータ制御は、可動ガントリのコンピュータ制御作動を手動で修正するための手動オーバーライドオプションとともに構成することができる。さらなる例として、可動ガントリの最小実装は、コンピュータ制御を欠いてもよく、較正されたマーキングによって示される位置座標を伴う手動操作(例えば、作動ノブ又はダイヤルの操作)によって、あるいは可動ガントリの可動構成要素に結合された位置エンコーダ又はセンサによって提供されるデジタル位置データによって作動されてもよい。
【0095】
別の例として、組織標本の全体積の複合表現が、超音波走査データから生成されてもよい。複合表現は、特定の実装のために所望されるように、3D体積又は2D面積を示してもよい。複合表現は、選択されたリンパ節の関心領域及び血管特徴等の周囲の解剖学的特徴の医学的評価に利益をもたらすことがある。コンピュータ生成グリッドは、複合表現に登録されてもよい。複合表現は、組織試料全体のコレジストレーション(co-registration)に利益をもたらすことがある。
【0096】
本明細書で開示される実施形態、又はその部分は、非一時的コンピュータ可読媒体で具現化されるコンピュータ実行可能命令で1つ以上のコンピュータシステム又はデバイスをプログラミングすることによって実装することができる。プロセッサによって実行されると、これらの命令は、これらのコンピュータシステム及びデバイスに、本明細書に開示される実施形態に特有の1つ以上の機能を実行させるように動作する。これを達成するために必要なプログラミング技法、コンピュータ言語、デバイス、及びコンピュータ可読媒体は、当技術分野で知られている。
【0097】
一例では、リンパ節の位置を特定するためのコンピュータプログラムを具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体は、超音波走査データの取得中に捕捉された複数の画像フレームと、超音波走査データの取得中に記録された複数の位置座標とを含む切除組織試料の超音波走査データを取得するためのコンピュータプログラムコードと、複数の画像フレームの各々が固有の位置座標に登録されるように、複数の画像フレームの各々を複数の位置座標のうちの固有の位置座標に登録するためのコンピュータプログラムコードと、リンパ節を示す少なくとも1つの画像フレームを選択し、選択された画像フレームを、関連する固有の位置座標を有するリンパ節の関心領域として記録するためのコンピュータプログラムコードと、を含んでもよい。
【0098】
別の関連する例では、コンピュータ可読媒体は、超音波プローブを保持する可動ガントリの自動コンピュータ制御作動によって超音波走査データを取得し、超音波プローブを走査経路に沿って移動させて切除組織試料を撮像するためのコンピュータプログラムコードをさらに備える。さらに別の関連の例では、コンピュータ可読媒体は、マーキングツールを保持する可動ガントリの自動コンピュータ制御作動によって、切除組織試料内の選択されたリンパ節の関心領域をマーキングし、切除組織試料に対する固有の位置座標にマーキングツールを移動させるためのコンピュータプログラムコードをさらに備える。さらに別の関連の例では、コンピュータ可読媒体は、解剖ツールを保持する可動ガントリの自動コンピュータ制御作動によって切除組織試料から選択されたリンパ節の関心領域を切除して、解剖ツールを切除組織試料に対する固有の位置座標に移動させるコンピュータプログラムコードをさらに備える。
【0099】
コンピュータ可読媒体は、データ及びコンピュータ実行可能命令を記憶することができ、その後、コンピュータシステムによって読み取ることができる、データ記憶デバイスである。コンピュータ可読媒体の例は、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD-ROM、磁気テープ、光データ記憶デバイス等を含む。コンピュータ可読媒体は、地理的に局所化されてもよく、又はコンピュータ可読コードが分散方式で記憶及び実行されるように、ネットワーク結合コンピュータシステム上に分散されてもよい。
【0100】
システム又は方法のコンピュータ実装は、典型的には、メモリと、インターフェースと、プロセッサとを備える。メモリ、インターフェース、及びプロセッサのタイプ及び配置は、実装形態に従って変更されてもよい。例えば、インターフェースは、インターネット接続を介してエンドユーザコンピューティングデバイスと通信するソフトウェアインターフェースを含んでもよい。インターフェースは、また、デジタル及び/又はアナログ情報を送信するデバイスから要求又はクエリを受信するように構成された物理的電子デバイスを含んでもよい。他の例では、インターフェースは、リンパ節位置特定デバイス、方法、又はシステムに関する信号及び/又はデータを、例えば、撮像スキャナ又は画像処理デバイス又はガントリコントローラから受信するように構成された物理的電子デバイスを含むことができる。
【0101】
任意の好適なプロセッサタイプを、特定の実装形態に応じて使用してもよく、例えば、マイクロプロセッサ、プログラマブル論理コントローラ、又はフィールドプログラマブル論理アレイを含むタイプを使用してもよい。さらに、任意の従来のコンピュータアーキテクチャを、システム又は方法のコンピュータ実装のために使用してもよく、例えば、データ処理装置のシステムバスに一般に接続されるメモリ、大容量ストレージデバイス、プロセッサ(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含むアーキテクチャを使用してもよい。メモリは、ROM、RAM、それらの組合せ、又は単に汎用メモリユニットとして実装されてもよい。システム又は方法の特徴を実行するためのルーチン及び/又はサブルーチンの形態のソフトウェアモジュールは、メモリ内に記憶され、次いで、特定のタスク又は機能を実行するためにプロセッサを介して取り出され、処理されてもよい。同様に、1つ以上の方法ステップは、プログラム構成要素として符号化され、メモリ内に実行可能命令として記憶され、次いで、プロセッサを介して取り出され、処理されてもよい。キーボード、マウス、又は別のポインティングデバイス等のユーザ入力デバイスは、PCI(周辺構成要素相互接続)バスに接続することができる。必要に応じて、ソフトウェアは、コンピュータモニタ画面上にグラフィック表示されたアイコン、メニュー、及びダイアログボックスを用いて、プログラム、ファイル、オプション等を表す環境を提供してもよい。
【0102】
例えば、任意の数の血流画像及び血流特性、例えば、時間エンハンスメント曲線を含む特性が表示されてもよい。
【0103】
システム又は方法のコンピュータ実装は、ネットワーク接続を介して通信するコンピューティングデバイスを含む、任意のタイプのエンドユーザコンピューティングデバイスに適応してもよい。コンピューティングデバイスは、例えば、リンパ節の関心領域を示す選択された画像フレームの表示を含む、システム又は方法の様々な機能を実行するためのグラフィカルインターフェース要素を表示してもよい。例えば、コンピューティングデバイスは、サーバ、デスクトップ、ラップトップ、ノートブック、タブレット、携帯情報端末(PDA)、PDA電話又はスマートフォン等であってもよい。コンピューティングデバイスは、有線及び/又は無線通信のために構成されたハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の適切な組み合わせを使用して実装されてもよい。通信は、例えば、システムの遠隔制御が望まれるネットワークを介して行うことができる。
【0104】
ネットワーク接続が望まれる場合、システム又は方法は、任意のタイプのネットワークに適応してもよい。ネットワークは、単一のネットワークであっても、複数のネットワークの組み合わせであってもよい。例えば、ネットワークは、インターネット、及び/又は1つ以上のイントラネット、陸線ネットワーク、無線ネットワーク、及び/又は他の適切なタイプの通信ネットワークを含んでもよい。別の例では、ネットワークは、インターネット等の他の通信ネットワークと通信するように適合され無線電気通信ネットワーク(例えば、セルラー電話ネットワーク)を備えてもよい。例えば、ネットワークは、(HTTP、HTTPS又はFTP等のTCP/IPプロトコルに基づくプロトコルを含む)TCP/IPプロトコルを利用するコンピュータネットワークを含んでもよい。
【0105】
本明細書で説明される実施形態は、一般性のいかなる意図された損失も伴わずに、例証目的を意図する。そのさらなる変形、修正及び組み合わせが企図され、当業者によって認識されるであろう。したがって、前述の詳細な説明は、特許請求される主題の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図するものではない。
【0106】
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【国際調査報告】