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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ロボット支援電気外科手術用装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20240723BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20240723BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61B34/37
A61B18/18 100
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502549
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022065731
(87)【国際公開番号】W WO2023006290
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】2111041.6
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C130
4C160
【Fターム(参考)】
4C130AA34
4C130AB02
4C160JK01
4C160KK03
4C160KK04
4C160MM32
(57)【要約】
種々の実施形態は、ロボット支援手術システムのための装置を提供する。この装置は、電気外科手術インストゥルメントを支持するための関節式ロボットアームを有するロボット手術ツールを備えている。この装置はまた、ロボット手術ツールに取り付けられた電気外科手術発生器ユニットから熱を除去するための冷却アセンブリであって、電気外科手術発生器ユニットが、電気外科手術インストゥルメントによって使用される電気外科手術信号を生成するためのものである、冷却アセンブリを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット支援手術システムのための装置であって、
電気外科手術インストゥルメントを支持するための関節式ロボットアームを備えるロボット手術ツールと、
前記ロボット手術ツールに取り付けられた電気外科手術発生器ユニットから熱を除去するための冷却アセンブリであって、前記電気外科手術発生器ユニットが、前記電気外科手術インストゥルメントによって使用される電気外科手術信号を生成するためのものである、前記冷却アセンブリと、
を備える、前記装置。
【請求項2】
前記電気外科手術発生器ユニットを前記ロボット手術ツールに取り付けるためのコネクタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電気外科手術発生器ユニットをさらに備え、前記電気外科手術発生器ユニットが、
ハウジングと、
前記ハウジング内に含まれる信号発生器であって、前記信号発生器が、前記電気外科手術インストゥルメントによって使用される前記電気外科手術信号を生成するように構成されている、前記信号発生器と、
前記電気外科手術信号を前記ロボット手術ツールに結合するエネルギー送達構造と、
を備える、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記冷却アセンブリは、前記電気外科手術発生器ユニットが前記ロボット手術ツールに取り付けられたときに、前記電気外科手術発生器ユニットと熱連通するように配置されるヒートシンクを備える、いずれかの先行請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記冷却アセンブリは、前記電気外科手術発生器ユニットが前記ロボット手術ツールに取り付けられたときに、前記ヒートシンクと前記電気外科手術発生器ユニットとの間を熱的に結合するためのヒートパイプをさらに備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記冷却アセンブリは、前記電気外科手術発生器ユニットが前記ロボット手術ツールに取り付けられたときに、前記ロボット手術ツール及び前記電気外科手術発生器ユニットに押し付けられるように、前記ロボット手術ツールと前記電気外科手術発生器ユニットとの間で位置決めするための弾性的な熱伝導性コネクタを備える、いずれかの先行請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記冷却アセンブリは、前記電気外科手術発生器ユニットが前記ロボット手術ツールに取り付けられたときに、前記電気外科手術発生器ユニットと熱連通するように配置される1つ以上のフィンを備える、いずれかの先行請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記冷却アセンブリは、前記装置をアクティブに冷却するための電気的に制御されるアクティブ冷却メカニズムを備える、いずれかの先行請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記ロボット手術ツールは、前記アクティブ冷却メカニズムに電力を供給するエネルギー送達構造を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置の温度を検出するためのセンサと、
前記検出された温度に基づいて前記アクティブ冷却メカニズムを制御するコントローラと、
をさらに備える、請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記アクティブ冷却メカニズムは、空気流を前記装置の表面上に向かわせるファンを備える、請求項8~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記アクティブ冷却メカニズムは、前記装置から熱を除去するヒートポンプを備える、請求項8~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記電気外科手術発生器ユニットが前記ロボット手術ツールに取り付けられたときに、前記電気外科手術発生器ユニットと熱連通するように配置される1つ以上の導管を備え、
前記アクティブ冷却メカニズムが、前記1つ以上の導管を通して冷却流体を循環させるように構成される、請求項8~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記ロボット手術ツールが、前記1つ以上の導管を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ロボット手術ツールが、前記冷却アセンブリを備える、いずれかの先行請求項に記載の装置。
【請求項16】
ロボット手術ツールに取り付けるための電気外科手術発生器ユニットであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に含まれる信号発生器であって、前記信号発生器が、前記ロボット手術ツールによって支持される電気外科手術インストゥルメントによって使用される電気外科手術信号を生成するように構成されている、前記信号発生器と、
前記電気外科手術信号を前記ロボット手術ツールに結合するエネルギー送達構造と、
前記電気外科手術発生器ユニットから熱を除去するための冷却アセンブリと、
を備える、前記電気外科手術発生器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月7日に出願されたGB2012303.0の優先権を主張するものであり、その内容及び要素をあらゆる目的のために参照として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、ロボット支援手術システム用の装置に関する。特に、本発明は、ロボット手術ツールに取り付け可能な電気外科手術発生器ユニットによって発生した熱を除去するために、ロボット支援手術システムに組み込むことができる様々な冷却装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁(EM)エネルギー、特にマイクロ波及び高周波(RF)エネルギーは、体組織の切断、凝固、及びアブレーションを行うその能力のため、電気手術に有用であることが見出されている。典型的には、EMエネルギーを体組織に送達するための装置は、EMエネルギー源を含む発生器と、エネルギーを組織に送達するために、発生器に接続される電気外科手術インストゥルメントとを含む。
【0004】
マイクロ波EMエネルギーを使用する組織アブレーションは、生物組織が主に水から構成されているという事実に基づいている。人間の軟器官組織は、通常、水分含有量が70%~80%である。水分子には永続的な電気双極子モーメントがあり、これは、分子全体に電荷の不均衡が存在することを意味する。この電荷の不均衡から、分子が回転して電気双極子モーメントを印加電場の極性と整合させる際に、時間により変化する電場の印加によって生成される力に応じて、分子が運動する。マイクロ波周波数では、急速な分子の振動が摩擦の加熱を引き起こし、その結果、熱の形で場のエネルギーが散逸する。これは誘電加熱として知られている。
【0005】
この原理はマイクロ波アブレーション療法において利用され、この療法では、マイクロ波周波数の局所的な電磁界を加えることにより、標的組織中の水分子が急速に加熱され、組織の凝固及び細胞死がもたらされる。肺及びその他の器官の様々な症状を治療するために、マイクロ波放射プローブを用いることが知られている。例えば、肺では、マイクロ波放射を用いて、喘息を治療したり、腫瘍または病変を切除したりすることができる。
【0006】
外科的切除は、ヒトまたは動物の体内から器官の部分を取り除く手法である。かかる器官は、血管が多い場合がある。組織が切断されると(分割または横切されると)、細動脈と呼ばれる微小血管が損傷し、または破裂する。初期出血に続いて、出血点を塞ごうとして血液が凝血塊に変えられる凝固カスケードが起こる。手術中に、患者が、可能な限り血液を失わないことが望ましく、したがって出血のない切断を提供しようとして、様々なデバイスが開発されてきた。
【0007】
鋭利なブレードの代わりに、高周波(RF)エネルギーを用いて生物組織を切断することが知られている。RFエネルギーを使用して切断する方法は、電流が(細胞及び細胞間電解質のイオン含有量によって助長されて)組織マトリクスを通過する際に、組織を横切る電子の流れに対するインピーダンスによって熱が生じるという原理を用いて行われる。組織マトリックスにRF電圧が印加されると、細胞内に十分な熱が発生して組織の含水を蒸発させる。このように乾燥が増加する結果、特に、組織を通る電流経路全体の中で電流密度が最も高いインストゥルメントのRF放出領域(本明細書ではRFブレードと言う)に隣接して、RFブレードの切断ポールに隣接する組織はブレードとの直接接触を失う。印加電圧は次いで、この空隙のほとんど全体にわたって現れ、結果として空隙はイオン化して、プラズマが形成され、体積抵抗率が組織と比べて非常に高くなる。この相違は重要である。なぜならば、RFブレードの切断ポールと組織との間の電気回路を完成させたプラズマに印加エネルギーを集中させるからである。なんらかの揮発性材料がプラズマに十分ゆっくりと入ると蒸発するため、組織解離性のプラズマという認識になる。
【0008】
手術を支援するためのロボット装置の使用は、急速に増加している。通常、ロボット支援手術は、所与の外科処置の様々な動きまたは操作を行うために外科医が直接的にまたは遠隔で制御できるロボットアームの使用を伴う。ロボットアームは、ロボットアームの遠位端にエンドエフェクタを有し得る。エンドエフェクタは、手術インストゥルメントであってもよいし、手術インストゥルメントを運ぶものであってもよい。ロボット支援手術システムは、開腹手術及び腹腔鏡手術で使用され得る。
【0009】
電気外科手術処置においてロボット支援手術システムを使用することが知られている。例えば、Intuitive Surgical(商標)が製造するDa Vinch(商標)システムは、ロボットアームを運ぶペイシェントカートに接続可能であるビジョンカートに発生器を組み込むことを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の考慮事項に照らして考案された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年8月7日に出願された本出願人の先行の英国特許出願第2012303.0号に提示された概念の発展形態を記述する。GB特許出願第2012303.0号は、電気外科手術機能を提供するための電気外科手術発生器ユニットが、ロボットアームに直接的に取り付け可能であるか、またはロボットアーム内に組み込まれるロボット支援手術システムを提供する。電気外科手術発生器ユニットは、同じ環境内の異なるロボットアーム間で移動可能であってよい、(本明細書では「カプセル」と呼ばれる)脱着可能なモジュールであってよい。電気外科手術発生器ユニットは、それぞれが異なる治療モダリティを提供する複数のモジュールを含み得る。行うべき処置に応じて、異なるモジュールまたはモジュールの組み合わせが選択され、1つ以上のロボットアームに取り付けられ得る。
【0012】
本機構はいくつかの利点を提供し得る。第1に、電気外科手術発生器ユニットをロボットアームに直接的に取り付けることによって、電気外科手術用エネルギーを生成するための手段を電気外科手術インストゥルメントにより近づけることができる。これにより、発生器と電気外科手術インストゥルメントとの間でエネルギーを伝達する際に発生する可能性がある損失の低減または排除が促進される。第2に、電気外科手術発生器ユニットをロボットアームに設けることにより、電気外科手術発生器を収容するために別品である手術室備品が必要ではなくなる。これにより、手術室のスペースが節約され得る。第3に、モジュール式セットアップを提供することにより、マルチアームシステムの各ロボットアームが、電気外科手術用に各アームを別々に構成するコストをかけずに、同じ機能を有することが可能になり得る。
【0013】
本開示では、この概念をさらに発展させる。本発明は、最も一般的には、ロボット手術ツールに取り付け可能な電気外科手術発生器ユニットによって生じた熱を放散させるための冷却アセンブリ(本明細書では冷却機構とも称される)を提供する。
【0014】
電気外科手術発生器ユニットが(例えば別品の手術用備品ではなく)ロボット手術ツールに取り付け可能である場合には、電気外科手術発生器ユニットの加熱により、ロボット手術ツール及び/または電気外科手術発生器ユニット自体に損傷が与えられる危険性があり得る。さらに、発生器ユニットは(患者に比較的近い)ロボット手術ツールに取り付け可能であるので、ユーザ(例えば、患者または本システムの操作者)に害を及ぼさないように、この領域で安全な温度を保つことが好ましい。さらにまた、電気外科手術発生器ユニットはロボット手術ツールに取り付け可能であるので、これにより、取り付け可能な発生器ユニットのフォームファクタ(例えば、サイズ、形状など)に制限が加えられる可能性がある。例えば、取り付け可能な発生器ユニットは、これがロボット手術ツール(例えばロボットアーム)の動作(例えば移動)を妨げないように、ロボット手術ツールに取り付けられない場合よりも小さくなければならない場合がある。したがって、このようにフォームファクタを縮小することにより、取り付け可能な発生器ユニットの単位体積あたりの発熱量を、取り付け可能ではない発生器ユニットの同等発熱量の場合よりも多くなり得る。その結果、例えば取り付け可能ではない発生器ユニットに比べると、取り付け可能な発生器ユニットを冷却する必要性は高くなり得る。
【0015】
本発明は、電気外科手術発生器ユニットからの熱を放散する冷却機構を設けることにより、これらのリスクを軽減し、それと同時に優先権出願に関連する上記の利点を提供することもできる。すなわち、本発明は、ロボット手術ツールに発生器を直接的に設け、それと同時にロボット手術システムの信頼できる性能を確保することもできる機構を提供するのに有用である。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、ロボット支援手術システムのための装置であって、装置が、電気外科手術インストゥルメントを支持するための関節式ロボットアームを備えるロボット手術ツールと、ロボット手術ツールに取り付けられた電気外科手術発生器ユニットから熱を除去するための冷却アセンブリであって、電気外科手術発生器ユニットが、電気外科手術インストゥルメントによって使用される電気外科手術信号を生成するためのものである、冷却アセンブリと、を備える、装置が提供される。
【0017】
例えば、冷却アセンブリは、ロボット手術ツールに取り付けられたときに、電気外科手術発生器ユニットから熱を除去するための1つ以上のパッシブ冷却機構及び/またはアクティブ冷却メカニズムを含んでいてよい。本明細書で使用される「アクティブ冷却メカニズム」とは、冷却の実行に動力(例えば電力)を必要とする冷却メカニズムを意味する。「パッシブ冷却メカニズム」とは、例えば、熱放散を促進するように装置の形状及び/または材料を選択することによって、動力を必要としない冷却機構を意味する。熱放散を向上させるために、アクティブ及び/またはパッシブな冷却メカニズムの任意の組み合わせが提供されてもよい。
【0018】
ロボット手術ツールを、ロボット手術ユニット、ロボット手術装置、またはロボット手術デバイスと称することもある。ロボット手術ツールはさらに、関節式ロボットアームを支持するための制御カラム(支持構造または台座とも称される)を含んでいてよい。
【0019】
冷却アセンブリは、装置の任意の部分に(例えば、関節式ロボットアームまたはそのアームのための支持構造などのロボット手術ツールの一部として、電気外科手術発生器ユニットの一部として、あるいは別個の構成要素として)設けられていてよい。
【0020】
冷却アセンブリは、ロボット手術ツールに取り付けられたときに、電気外科手術発生器ユニットと熱連通する(すなわち、電気外科手術発生器ユニットと熱的に結合される)ように配置される。すなわち、この装置は、電気外科手術発生器ユニットがロボット手術ツールに取り付けられているときに、冷却アセンブリを電気外科手術発生器ユニットに熱的に結合するための熱流路を含む。熱流路は、1つ以上の物理的要素(例えば熱伝導性要素などの冷却メカニズム)を含むことができ、これらの物理的要素は、互いに物理的に(例えばチェーン状に)接続されており、電気外科手術発生器ユニット及び冷却アセンブリに物理的に接触している。あるいは、熱流路は、電気外科手術発生器ユニットと冷却アセンブリとの間に1つ以上のギャップ(例えばチェーン内の隣接する2つの要素間のギャップ)を含んでもよく、そしてギャップは、電気外科手術発生器ユニットと冷却アセンブリとの間の熱連通を可能にするように寸法設定されている。例えば、ギャップは、電気外科手術発生器ユニットから冷却アセンブリに向かう熱流を可能にするように実質的に狭くてもよい。代わりにまたは組み合わせて、冷却アセンブリはファンを有していてもよく、ギャップは、このファンから装置の要素に向かう空気流(例えば電気外科手術発生器ユニットに直接向かう空気流、ロボット手術ツールまたは別の冷却メカニズムなどの別の要素に向かう空気流)を可能にすることができる。
【0021】
したがって、本明細書でさらに説明するように、冷却アセンブリは、電気外科手術発生器ユニットによって発生した熱を放散させるために、(取り付けられたときに)電気外科手術発生器ユニットと直接的に(すなわち、直接、物理的に接触することによって)熱連通するように、または間接的に(物理的なギャップを許容することによって)熱連通するように、配置されてよい。
【0022】
冷却アセンブリは、電気外科手術発生器ユニットが高温にあるときに、電気外科手術発生器ユニットから冷却アセンブリへの指向性熱流を促進する熱勾配を(例えば熱流路にわたって)提供するために、低温を維持するように構成されていてよい。例えば、これは、冷却アセンブリでアクティブに低温を提供するためのアクティブ冷却メカニズム(例えばファン)を含めることによって、及び/または冷却アセンブリからの急速な熱放散を促進するためのパッシブ冷却メカニズム(例えばフィンまたはヒートシンク)を含めることによって、達成することができる。
【0023】
電気外科手術発生器ユニットと同様に、冷却アセンブリを装置に取り外し可能に取り付けることができ、これにより、この冷却アセンブリを同じ手術室環境内の異なる装置間で交換可能にすることができる。冷却アセンブリは、既存の装置に後付けすることができてもよい。
【0024】
この装置はさらに、電気外科手術発生器ユニットをロボット手術ツールに取り付けるためのコネクタを備えてよい。
【0025】
コネクタは、装置の任意の部分に(例えば、関節式ロボットアームまたはそのアームのための支持構造などのロボット手術ツールの一部として、あるいは電気外科手術発生器ユニットの一部として)設けられてもよく、または別個の構成要素(例えば、ストラップ)として設けられてもよい。コネクタは、電気外科手術発生器ユニットとロボット手術ツールとの間の接続の一部を形成する任意の適切な要素であってもよい。例えば、コネクタは、電気外科手術発生器ユニットを受けるための(例えばロボットアーム及び/または制御カラムにおける)ソケットまたは凹部を含み得るか、または電気外科手術発生器ユニットをロボット手術ツールに固定するためのスナップフィット要素または別個のストラップを含み得る。
【0026】
装置は、電気外科手術発生器ユニットをさらに備え得、前記電気外科手術発生器ユニットは、ハウジングと、ハウジング内に含まれる信号発生器であって、信号発生器が、電気外科手術インストゥルメントによって使用される電気外科手術信号を生成するように構成されている、信号発生器と、電気外科手術信号をロボット手術ツールに結合するエネルギー送達構造とを備える。
【0027】
電気外科手術発生器ユニットは、電気外科手術インストゥルメントで使用するための様々なタイプの電磁エネルギーを生成するように構成され得る。例えば、生物組織を治療または測定するために、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波エネルギーを生成し得る。例えば、高周波エネルギー及び/またはマイクロ波エネルギーは、アブレーション、止血(つまり、血液凝固を促進することによって損傷した血管を密封すること)、切断、滅菌などのいずれかを行うために使用され得る。
【0028】
エネルギー送達構造は、電気外科手術インストゥルメントによる使用のために、電気外科手術信号をロボット手術ツールに結合する働きをする。例えば、エネルギー送達構造は、インストゥルメントが信号発生器によって生成された信号で動くように、信号発生器とインストゥルメントとの間にロボット手術ツール(例えば、関節式ロボットアーム及び/または制御カラム)を介して延在する給電構造の少なくとも一部を形成することができる。すなわち、エネルギー送達構造は、発生器ユニットのハウジング内に位置する給電構造の一部を含んでいてよい。実施形態では、給電構造は、ロボット手術ツールの外面上、及び/またはロボット手術ツールの外側ハウジングの内部を移動し得る。実施形態では、給電構造は、例えば、少なくとも1つの同軸ケーブルを含む、ケーブルまたはケーブルアセンブリを含み得る。
【0029】
電気外科手術発生器ユニットは、ロボット手術ツールの任意の部分に、例えばロボット手術ツールの関節式ロボットアームに、またはロボット手術ツールの制御カラムに、着脱可能に取り付け可能であってよい。例えば、電気外科手術発生器ユニットのハウジングは、別個のコネクタ(例えばストラップ)を介して、または一体化されたコネクタ(例えばスナップフィット機構)を介して、ロボット手術ツールに固定されてもよい。この一体化されたコネクタは、電気外科手術発生器ユニットをロボット手術ツールに接続するために、ロボット手術ツール及び/または電気外科手術発生器ユニットの構造内に組み込まれてもよい。すなわち、上記のように、電気外科手術発生器ユニットをロボット手術ツールに取り付けるためのコネクタは、発生器ユニット及び/またはロボット手術ツールの一部であってよい。
【0030】
電気外科手術発生器ユニットは、装置の冷却アセンブリと同じ部分または異なる部分に設けられていてよい。例えば、冷却アセンブリ、及び/または電気外科手術発生器ユニットは両方とも、ロボット手術ツールの制御カラムに(例えば電気外科手術インストゥルメントを支持する端部とは反対側の、関節式ロボットアームの端部に)設けられていてよい。これは、例えば、電気外科手術発生器ユニット及び/または冷却アセンブリが、電気外科手術インストゥルメントにおいてまたはその近傍で関節式ロボットアーム上にある場合と比較して、電気外科手術発生器ユニットによって発生した熱を患者からさらに放散させるのに効果的であり得る。
【0031】
電気外科手術発生器ユニットの可能な構成に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、優先権出願であるGB特許出願第2012303.0号に記載されている。
【0032】
冷却アセンブリは、電気外科手術発生器ユニットがロボット手術ツールに取り付けられたときに、電気外科手術発生器ユニットと熱連通するように配置されるヒートシンクを備えていてよい。
【0033】
好ましくは、ヒートシンクは、熱伝導性材料で作られる。例えば、ヒートシンクは、銅、アルミニウム、または黄銅などの金属で作られ得る。これにより、ヒートシンクが電気外科手術発生器ユニットからエネルギーを逃がすことが可能になり、したがって、熱が電気外科手術発生器ユニットからヒートシンクに優先的に流れることが可能になる。
【0034】
ヒートシンクは、比較的大きな熱容量を有することができ、例えば、電気外科手術発生器ユニットの熱容量よりも大きい(例えば、電気外科手術発生器ユニットのハウジングの熱容量よりも大きい)熱容量を有することができる。これにより、ヒートシンクが過剰な熱を吸収することを促進し、それに伴ってヒートシンクで起きる温度上昇は最小限に抑えられ得る。
【0035】
このヒートシンクを、ロボット手術ツール及び/または電気外科手術発生器ユニットとは別個の構造体(例えば別個の金属片)とすることができる。代替形態として、ヒートシンクは、(例えば関節式ロボットアームの少なくとも一部を適切なヒートシンク材料で作ることにより)装置内に組み込まれてもよく、それによって比較的コンパクトで使いやすい機構が提供されるのを助長し得る。このような機構により、例えば、ヒートシンク材料で作った別個のブロックを関節式ロボットアームに取り付けることに比べて、可動範囲が向上するという効果もあり得る。したがって、ヒートシンクは、発生器ユニットから引き続き熱を引き込む働きをすることができる限り、いかなる特定の形状またはサイズにも限定されない。
【0036】
ヒートシンクは、電気外科手術発生器ユニットから熱を逃がすことができるように、使用時に電気外科手術発生器ユニットと熱連通するように配置される。熱連通は、直接的に(すなわち、ヒートシンクと電気外科手術発生器ユニットとの間に直接的な物理的接触をもたらすことによって)達成することができるか、または間接的に(すなわち、ヒートシンクと電気外科手術発生器ユニットとの間に物理的なギャップを許容して)達成することができる。間接的な熱連通を利用する実施形態では、(例えば、電気外科手術発生器ユニットを保持するためのソケットなどのコネクタとの接触によって)ギャップを少なくとも部分的に埋めて、それによって使用時のヒートシンクと電気外科手術発生器ユニットとの間の熱的結合を向上させるために、冷却機構が熱伝導性要素(例えば、ヒートパイプまたは熱伝導性材料)を含むのが好ましい場合がある。
【0037】
一例として、ヒートシンクを電気外科手術発生器ユニットの表面上に、または取り付けたときに発生器ユニットに物理的に接触するロボット手術ツールの一部分の上に、直接的に取り付けることによって、直接的な熱連通を達成することができる。追加的または代替的に、ヒートシンクを、取付け時に電気外科手術発生器ユニットに物理的に接触するコネクタの部分に設けてもよい。
【0038】
間接的な熱連通は、ヒートシンクをコネクタと熱連通するように配置することによって達成することができる。コネクタは、使用時にヒートシンクと電気外科手術発生器ユニットとを熱的に結合するために、熱伝導性材料で作られてもよい(または熱的リンク、例えばヒートパイプを含んでもよい)。
【0039】
冷却アセンブリは、ヒートシンクを電気外科手術発生器ユニットに熱的に結合する熱伝導性要素を含んでいてよい。熱伝導性要素は、高い熱伝導率を有する材料、例えばアルミニウム、銅、黄銅などの金属元素を含んでいてもよい。代替的または付加的に、冷却アセンブリは、電気外科手術発生器ユニットがロボット手術ツールに取り付けられたときに、ヒートシンクと電気外科手術発生器ユニットとの間を熱的に結合するためのヒートパイプを含んでいてよい。
【0040】
ヒートパイプは、効率的な熱伝導体であり、熱伝導性要素の一種と見なされることができ、熱を電気外科手術発生器ユニットからヒートシンクへ引き出すのに役立ち得る。ヒートパイプは、ヒートシンクと電気外科手術発生器ユニットとの間に(両ユニットの直接接触による)直接接続を提供するように、または間接的な接続(すなわち、電気外科手術発生器ユニットとヒートシンクとの間の熱的経路の一部のみを形成することによる接続)を提供するように配置されていてよい。これらの直接的及び間接的な結合は、例えばヒートシンクに関して上述したものに類似している。間接的な接続は、例えば、ヒートパイプがヒートシンクに接触するが、電気外科手術発生器には物理的に接触しない(代わりに、例えば別個のコネクタに接触する)ことによって達成することができる。
【0041】
要約すると、電気外科手術発生器ユニットからの熱放散を促進するのに効果的であるように選択された材料特性(例えば、熱容量及び/または熱伝導率)を有する1つ以上のヒートシンク及び/または熱伝導性要素を設けることができる。これらは、パッシブな熱放散の形態であると見なすことができる。
【0042】
代わりにまたは組み合わせて、熱伝達を向上させるために、ロボット手術ツール及び/または電気外科手術発生器ユニットの形状を構成することによって、パッシブな熱放散を提供することもできる。
【0043】
例えば、ロボット手術ツールは、コネクタを含んでいてよく、このコネクタは、ロボット手術ツールに形成された凹部(または空洞またはソケット)の形態であってよく、そして凹部は、電気外科手術発生器ユニットに密着するように寸法決めされている。例えば、凹部は、電気外科手術発生器ユニットからロボット手術ツールへの熱伝達を促進するために、電気外科手術発生器ユニットの外面の大部分または全体を覆うことができる。凹部は、ロボット手術ツールのハウジングへの中間ばめまたは締まりばめ(interference fit)を提供するように、寸法設定及び形状設定されていてよい。これにより、電気外科手術発生器ユニットとロボット手術ツールとの間の密接な熱的接触を提供することができ、それによって、それらの間の熱流量が向上する。実施形態では、コネクタは、静的部分(例えば凹部)と、可動部分(例えばドア)とを有することができる。使用中、可動部分は、発生器ユニットを静的部分に挿入することができるように、開放位置に移動させることができ、次いで、挿入されると、可動部分は、閉鎖位置に移動させることができ、これによって、発生器ユニットが静的部分と可動部分との間に保持される。
【0044】
任意選択的に、冷却アセンブリは、電気外科手術発生器ユニットがロボット手術ツールに取り付けられたときに、ロボット手術ツール及び電気外科手術発生器ユニットに押し付けられるように、ロボット手術ツールと電気外科手術発生器ユニットとの間で位置決めするための、弾性的な熱伝導性コネクタを備えていてよい。熱伝導性コネクタは、ロボット手術ツールと電気外科手術発生器ユニットとの間の熱的結合を向上させるのに効果的であり得る。コネクタの弾性的な性質は、電気外科手術発生器ユニットとロボット手術ツールとの間の熱的接触を向上させるために締まりばめ(tight fit)をもたらすのに有用であり得る一方で、熱伝導性は熱を放散するのに有用である。例えば、弾性コネクタは、熱伝導性材料(例えば金属)で作られた1つ以上のばねを含むことができる。実施形態では、電気外科手術発生器ユニットをロボット手術ツールに取り付けるためのコネクタは、弾性的な熱伝導性コネクタを含む。
【0045】
任意選択的に、冷却アセンブリは、電気外科手術発生器ユニットがロボット手術ツールに取り付けられたときに、電気外科手術発生器ユニットと熱連通するように配置される1つ以上のフィンを備えていてよい。フィンは、装置の表面積を増大させ、これにより熱放散を促進するのに効果的である。フィンは、電気外科手術発生器ユニットの外面、コネクタの外面、及び/または電気外科手術発生器ユニットと熱連通しているロボット手術ツールの外面(例えば、コネクタに近い関節式ロボットアームの表面)に設けられていてよい。追加的または代替的に、電気外科手術発生器ユニットと熱的に結合するように構成された外部ヒートシンクに、フィンを設けることができる。このようにして、フィンは、ヒートシンクからの熱放散を促進して、発生器ユニットからヒートシンクへの熱伝達率を間接的に増大させることができる。
【0046】
上記の冷却機構は、「パッシブ」冷却機構と見なされてよく、それらが熱の放散を助長するために動力源(例えば電源)を必要としないことを意味する。追加的または代替的に、冷却アセンブリは、装置をアクティブに冷却するための電気的に制御されるアクティブ冷却メカニズムを備えてもよい。
【0047】
アクティブ冷却メカニズムは、電気外科手術発生器ユニットと熱連通する装置の要素(例えばロボット手術ツール)を冷却するように構成されてもよい。この間接的な冷却は、被冷却要素(例えばロボット手術ツール)と(より高温の)電気外科手術発生器ユニットとの間の温度勾配を増加させる働きをし、それによって、電気外科手術発生器ユニットから被冷却要素(例えばロボット手術ツール)への優先的な熱の流れを促進し得る。代替形態として、アクティブ冷却メカニズムは、例えば電気外科手術発生器ユニット内にファンを組み込むことによって、または空気流を発生器ユニットの外面(例えばハウジング)上に向けるようにファンを構成することによって、電気外科手術発生器ユニット自体を直接冷却するように構成されていてよい。
【0048】
好ましくは、ロボット手術ツールは、アクティブ冷却メカニズムに電力を供給するエネルギー送達構造を備える。換言すれば、アクティブ冷却メカニズムに動力を供給するエネルギー送達構造(例えばケーブルまたは誘導リンク)は、ロボット手術ツール自体に(例えば制御カラム及び/または関節式アームに)組み込まれてもよい。この機構は、アクティブ冷却メカニズムに動力を供給する別個のケーブルが必要となるのを避けるのに役立つことができ、これにより、手術室のスペースを節約しかつ別個のリード線に足をとられる原因となり得る危険性を低下させるのに役立つ。
【0049】
好ましくは、アクティブ冷却メカニズムを有する機構は、装置の温度を検出するためのセンサと、検出された温度に基づいてアクティブ冷却メカニズムを制御するコントローラとをさらに備えてもよい。例えば、制御ユニットは、冷却メカニズムが冷却するように構成されている要素での検知温度に基づいて、アクティブ冷却メカニズムの動力レベルを変化させるように構成されていてよい。したがって、アクティブ冷却は、装置の状態を示す実質的にリアルタイムのフィードバックに応答して提供される。実施形態では、制御ユニットは、アクティブ冷却メカニズムを起動/停止させることにより、すなわちアクティブ冷却メカニズムを「オン」の動力レベルと「オフ」の動力レベルとの間で切り替えることにより、アクティブ冷却メカニズムの動力レベルを変化させるように構成され得る。別の実施形態では、制御ユニットは、アクティブ冷却メカニズムにおいて異なる増分で動力レベル(例えば低動力レベル、中動力レベル、高動力レベル)を変化させるように構成されていてよい。
【0050】
例えば、センサは、電気外科手術発生器ユニットの温度を検出するように構成されてもよく、制御ユニットは、検出された温度に基づいて、アクティブ冷却メカニズム(例えばファン)を制御してもよい。これにより、電気外科手術発生器ユニットが使用されているときに、電気外科手術発生器ユニットでの過熱を回避すること、及び(例えば、外科医が電気外科手術インストゥルメントの使用を中断しているため)電気外科手術発生器ユニットが使用されていないときに、電気外科手術発生器ユニットを不必要に冷却するのを回避することが支援され得る。
【0051】
代替形態として、センサは、電気外科手術発生器ユニットに熱的に接続可能な別の要素、例えばヒートパイプの温度を検出するように構成されていてよい。このことは、電気外科手術発生器ユニットから最も離れたヒートパイプの端部が、パイプ内の流体を蒸気から液体へ転移させるのに十分に低い温度にあることを保証して、ヒートパイプが、必要に応じて機能できるようにするのに役立ち得る(その詳細は後述される)。
【0052】
いくつかの他の実施形態では、センサは、コネクタ、ロボット手術ツール(例えば、取り付けられたときの生成ユニットに近い部分)、及び/または冷却アセンブリ(例えば、取り付けられたときの生成ユニットに近い部分)の温度を検出するように構成されていてもよい。
【0053】
実施形態では、コントローラは、例えば冷却流体供給部の温度を制御することにより、検出された温度に応答してアクティブ冷却メカニズムの温度レベルを制御するように、構成されていてよい。
【0054】
好ましくは、制御ユニットは、温度が許容可能閾値を超えた場合に通知を発するウォッチドッグユニットを含む。この通知は制御ユニットに送出することができ、制御ユニットは、システムの安全性を確保するのに役立つために、アクティブ冷却メカニズムの動力レベルを変更すること、追加のアクティブ冷却メカニズムを起動すること、及び/または装置の動力を遮断することによって応答することができる。
【0055】
任意選択的に、アクティブ冷却メカニズムは、空気流を装置の表面上に向かわせるファンを備えていてよい。例えば、ファンは、空気流をロボット手術ツール、電気外科手術発生器ユニット、コネクタ、または冷却機構の別の要素(例えば、別個のヒートシンク)の表面上に向かわせることができる。
【0056】
代替的または追加的に、アクティブ冷却メカニズムは、装置から熱を除去するヒートポンプを備えてもよい。例えば、ヒートポンプは、熱電ヒートポンプ、例えばペルチェ冷却器を備えることができる。ヒートポンプは、装置、例えば、ロボット手術ツール、電気外科手術発生器ユニット、コネクタ、または冷却機構の別の要素(例えば、別個のヒートシンク)から熱を除去するのを促進し得る。例えば、ヒートポンプは、ヒートシンクから熱を除去するために装置のヒートシンクに接続され得る。
【0057】
任意選択的に、冷却機構は、装置から熱を奪うために流体を使用してよい。これは、受動的に、例えばヒートパイプを使用することによって、または装置の要素を冷却流体槽に浸すことによって(例えば、電気外科手術発生器ユニットに熱的に接続可能なヒートシンク材料の別個のブロックを浸すことによって)、達成することができる。代替形態として、流体を用いることによって装置を冷却するために、アクティブ冷却メカニズムが採用されてもよい。例えば、装置は、電気外科手術発生器ユニットがロボット手術ツールに取り付けられたときに、電気外科手術発生器ユニットと熱連通するように配置される1つ以上の導管を備えていてよく、アクティブ冷却メカニズムが、1つ以上の導管を通して冷却流体を循環させるように構成される。例えば、導管は、電気外科手術発生器ユニットをロボット手術ツールに取り付けるためのコネクタと直接的または間接的に熱連通してもよい。このようにして、冷却流体が1つ以上の導管を通って循環する際に、冷却流体によって熱を効果的に除去することができる。
【0058】
導管は、電気外科手術発生器ユニットと、直接的に(例えば、電気外科手術発生器ユニット自体のチャネルとして形成されることによって直接的に)、または間接的に(例えば、ロボット手術ツールのチャネルとして、またはロボット手術ツールもしくは電気外科手術発生器ユニットの周囲の導管/パイプとして、形成されることによって間接的に)、熱連通するように構成されてよい。1つ以上の導管は、不規則な経路または波形の経路を画定してもよい。これは、電気外科手術発生器ユニットと熱連通し得る流体の面積を増加させて、より効果的に熱を除去できるようにするのに役立ち得る。
【0059】
アクティブ冷却メカニズムは、冷却流体を、例えば冷却流体リザーバから1つ以上の導管中に流すために、ポンプまたは他の適切なメカニズムを備えてもよい。任意選択的に、制御ユニットは、検出された温度に基づいて、1つ以上の導管を通る流体の流量を変化させるためにポンプ(または他のメカニズム)を制御してもよい。この制御ユニットは、センサ温度に基づいてアクティブ冷却を制御する上述したコントローラであってもよい。
【0060】
好ましくは、ロボット手術ツールが、1つ以上の導管を備える。導管をロボット手術ツールに組み込むことにより、その結果、上記及び優先権出願で述べたのと同様の利点、すなわち、手術室のスペースを節約しかつ別個の導管に足をとられる危険性を低下させるのに役立つことによる利点をもたらすことができる。任意選択的に、ロボット手術ツールは、ロボット手術ツール内に冷却流体を循環させるための1つ以上の導管を収容できる1つ以上の穴を有した断熱外層を備えてもよい。したがって、導管は、電気外科手術発生器ユニットからロボット手術ツールを介して熱を奪うのを助長することができ、一方、断熱層は、過熱からユーザを保護するのに有用であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ロボット手術ツールは、例えば、冷却アセンブリをロボット手術ツールの関節式ロボットアーム及び/または制御カラムに組み込む/統合することによって、冷却アセンブリを備える。こうすると、冷却アセンブリが、追加の別個の構成要素を必要とせずに、ロボット手術ツール自体の一部を形成するので、比較的使いやすいコンパクトな機構が得られる。
【0062】
変形実施形態では、冷却アセンブリは、ロボット手術ツール及び/または電気外科手術発生器ユニットに熱的に接続可能な別個の構成要素として提供されてもよい。ロボット手術ツールには組み込まれていない冷却機構を設けることにより、冷却機構を、さらにもっと患者から離して熱を放散させるように位置決めすることができる。さらに、そのような機構は、複数の手術装置に後付けするために交換可能に接続可能であってもよい。
【0063】
代わりにまたは組み合わせて、冷却機構が、電気外科手術発生器ユニット自体に組み込まれていてもよい。したがって、本発明の第2の態様は、ロボット手術ツールに取り付けるための電気外科手術発生器ユニットであって、電気外科手術発生器ユニットが、ハウジングと、ハウジング内に含まれる信号発生器であって、信号発生器が、ロボット手術ツールによって支持される電気外科手術インストゥルメントによって使用される電気外科手術信号を生成するように構成されている、信号発生器と、電気外科手術信号をロボット手術ツールに結合するエネルギー送達構造と、電気外科手術発生器ユニットによって発生した熱を放散させるための冷却アセンブリと、を備える、電気外科手術発生器ユニットを提供する。
【0064】
冷却アセンブリを電気外科手術発生器ユニットの一部として含み、電気外科手術発生器ユニットが、ロボット手術ツールに取り外し可能に取り付けることが可能であり、かつロボット支援手術システムに結合するためのエネルギー送達構造を有することにより、その結果、適切な温度を維持し、過熱のリスクを軽減するのに役立ちつつ、様々なロボット手術システムで使用可能な、使いやすい、一体型の発生器ユニットが提供される。
【0065】
本発明の第1の態様に関連して上述した任意選択の特徴は、本発明の第2の態様にも同様に適用可能である。すなわち、これらの特徴を、電気外科手術発生器ユニットの一部として単独で提供することもできる。
【0066】
例えば、電気外科手術発生器ユニットは、電気外科手術発生器ユニットの1つ以上の要素から熱を逃がすためにヒートシンクを備えてもよい。例えば、ヒートシンクは、電気外科手術発生器ユニットの内部構成要素(例えば、信号発生器、プロセッサ、制御ユニット、または他のモジュール)から熱を奪うために電気外科手術発生器ユニットのハウジングに取り付け可能である。
【0067】
任意選択的には、冷却機構は、ヒートシンクと1つ以上の要素(例えば、ハウジング、信号発生器、プロセッサ、制御ユニット、または他のモジュール)との間を熱結合するためにヒートパイプを含むことができる。
【0068】
この冷却機構は、電気外科手術発生器ユニットがロボット手術ツールに取り付けられたときに、ロボット手術ツールに押し付けられるために、電気外科手術発生器ユニットのハウジング上に、弾性的な熱伝導性コネクタを含んでいてよい。
【0069】
ハウジングは、電気外科手術発生器ユニットからの熱を放散させるための1つ以上のフィンを含んでいてよい。
【0070】
電気外科手術発生器ユニットは、電気外科手術発生器ユニットの一部を能動的に冷却するための電気的に制御されるアクティブ冷却メカニズムを備えることができる。アクティブ冷却メカニズムは、電気外科手術発生器ユニットの内部バッテリから動力を受け取るように構成されていてよい。代替形態として、アクティブ冷却メカニズムは、ロボット手術ツールのエネルギー送達構造から動力を受け取るための入力部に結合されてもよい。
【0071】
アクティブ冷却メカニズムは、空気流を、電気外科手術発生器ユニットの表面上に、例えば電気外科手術発生器ユニット内に、向かわせるファンを含んでいてよい。
【0072】
アクティブ冷却メカニズムは、電気外科手術発生器ユニットから熱を除去するために、例えばハウジングに取り付けられたヒートポンプを含んでいてよい。
【0073】
電気外科手術発生器ユニットは、電気外科手術発生器ユニットの1つ以上の要素(例えばハウジング、信号発生器、プロセッサ、制御ユニット、または他のモジュール)と熱連通するように配置された1つ以上の導管を備えることができ、アクティブ冷却メカニズムは、1つ以上の導管を通して冷却流体を循環させるように構成され得る。例えば、1つ以上の導管は、電気外科手術発生器ユニットのハウジング内のチャネルとして、または電気外科手術発生器ユニットの周囲の導管/パイプとして、形成されてもよい。
【0074】
本発明は、本記載の態様及び好ましい特徴の組み合わせを含むが、かかる組み合わせが、明らかに容認できない場合または明らかに回避される場合を除く。
【0075】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】本発明を適用するロボット支援電気外科手術システムの全体的な概略システム図である。
図2】電気外科手術用の関節式ロボットアームの斜視図である。
図3】関節式ロボットアーム用のインストゥルメントホルダの概略図である。
図4】ロボット手術ツール用の取り外し可能な電気外科手術カプセルの概略図である。
図5】ロボットアーム用の取り外し可能な電気外科手術カプセルの概略図であり、電気外科手術カプセルが本発明の実施形態による冷却機構を有する。
図6】本発明の実施形態によるロボット手術ツール及び冷却機構の概略図である。
図7】本発明の実施形態によるロボット手術ツール及び冷却機構の概略図である。
図8】本発明の実施形態において関節式ロボットアームによって操作され得る電気外科手術インストゥルメントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本発明の態様及び実施形態を、添付の図面を参照してここで説明する。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。本文において言及される全ての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
本発明は、ロボット支援手術の文脈に関する。
【0079】
上述したように、本明細書の開示は、2020年8月7日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の先行のGB特許出願第2012303.0号に提示された概念の発展形態に関する。ロボット支援電気外科手術システムの例は、以下に説明する図1図4を参照して理解され得る。
【0080】
図1は、本発明を適用し得るロボット支援電気外科手術システム100の全体的な概略システム図である。システム100は、3つの主要なエンティティ、つまりロボット手術ツール102と、手術台104と、制御コンソール106とを備える。手術台104は、ロボット手術ツール102が支援できる処置のために患者を受け入れるための場所を提供する。
【0081】
この例では、ロボット手術ツール102は、そこから延びる関節式アーム110を有する制御カラム108を含む。制御カラム108は、複数の関節式アームを支持し得る。インストゥルメントホルダ112が、関節式アーム110の遠位端に取り付けられる。関節式アーム110が、インストゥルメントホルダ112を備えていると見なしてもよい。インストゥルメントホルダ112は、手術ツール114を保持するように構成される。
【0082】
この例では、手術ツール114は、例えば既知の腹腔鏡技術などを使用して患者の体内に挿入するために適した剛性の細長い要素として示されている。関節式アーム110は、手術台104に対して手術ツール114の位置及び角度を変えることを可能にする。制御カラム108はまた、手術室環境内で移動可能であってよい。
【0083】
インストゥルメントホルダ112は、手術インストゥルメント114に接続可能である様々なポートを含み得る。例えば、インストゥルメントホルダ112は、手術インストゥルメント114のエンドエフェクタを制御できるリンクを提供し得る。インストゥルメントホルダ112はまた、動力または他の物質(例えば、生理食塩水など)を手術インストゥルメントに送達するために使用され得る。
【0084】
通常、手術台104及びロボット手術ツール102と同じ室内にある制御コンソール106は、通常はロボット手術ツール102とは別個であり、関節式アーム110及びインストゥルメントホルダ112を遠隔で制御するために使用される。関節式アーム110はまた、手動で位置決めされ得る。
【0085】
ロボット手術ツール102は、手術インストゥルメント114による使用のための電気外科手術信号を生成して、インストゥルメントホルダ112を介して送達するように構成された脱着可能な電気外科手術カプセル116を具備する。この例では、電気外科手術カプセル116は、例えばストラップなど、1つ以上の適切な接続部120によって関節式アーム110に固定される。しかしながら、本明細書に説明される他の例では、電気外科手術カプセル116は、例えばプラグインモジュールとして、インストゥルメントホルダ112に直接的に接続可能であり得る。さらに他の例では、電気外科手術カプセル116は、関節式アーム110に固定されるのではなく、ロボット手術ツール102の制御カラム108に固定されてもよい。
【0086】
電気外科手術カプセル116は、電気外科手術で使用するために適した信号の発生及び送達のためのスタンドアロンユニットであってよい。本出願人の先行のGB特許出願第2012303.0号でさらに詳細に説明されるように、電気外科手術カプセル116は、ロボット手術ツール102の内部DC電源によって動力を供給され得る。すなわち、ロボット手術ツール102は、標準的な方法で(図示せず)幹線電力供給に接続され得る。制御カラム108は、幹線給電を、ロボットが使用するためのDC電源に変換するための回路を含み得る。制御カラム108は、関節式アーム110の動きを制御するための第1のDC電源を有し得る。通常、第1のDC電源は、24Vの電圧を有し、最大2Aまでの電流を許容し得る。制御カラム108は、インストゥルメントホルダ112が使用するための、またはインストゥルメントホルダ112で使用するための第2のDC電源を提供し得る。第2のDC電源は、第1のDC電源と同じ電圧(例えば、24V)またはそれより低い電圧(例えば12V)を有し得る。第2のDC電源は、より制限された電流源(例えば、600mA以下)を有し得る。電気外科手術カプセル116は、第1のDC電源または第2のDC電源のどちらかを利用し得る。
【0087】
図1に示される例では、電気外科手術カプセル116は、1つ以上のクリップ122によって関節式アーム110に保持され得る、別個のケーブル118によって制御カラム108に接続される。ケーブル118は、第1のDC電源からのDC信号を伝達し得る。代わりにまたはさらに、電気外科手術カプセル116は、インストゥルメントホルダ112と同じ経路を介して動力を受け取るように配置され得る。
【0088】
図2は、電気外科手術用の関節式ロボットアーム111の斜視図である。図1のシステムと共通の特徴には同じ参照番号が与えられている。この例では、関節式ロボットアーム111は、図1の関節式ロボットアーム110と同じ機能を実行する。しかしながら、1つ以上の電気外科手術カプセル116がその外側表面に取り付けられる代わりに、関節式ロボットアーム111は、電気外科手術カプセル116を受け入れるように構成された凹部またはソケットを具備するインストゥルメントホルダ112を有する。電気外科手術カプセル116は、例えば、それが、異なるモダリティを提供する電気外科手術カプセルと容易に交換されるようにするために、または電気外科手術カプセル116が、同じもしくは異なる制御カラム上の別の関節式ロボットアーム111に乗り換えさせられるようにするために、凹部に脱着可能に取り付け可能であってよい。
【0089】
図3は、図2に示されるタイプの関節式ロボットアーム111用のインストゥルメントホルダ112の概略図である。インストゥルメントホルダ112は、本例では、その遠位部分117から延びる手術インストゥルメント114と整列した長手方向軸に沿って延びる、概して円筒形の形を有するが、任意の適切な形状を有し得る。
【0090】
インストゥルメントホルダ112は、関節式ロボットアームの遠位端に取り付けられた(その上で枢動し得る)近位部分113を含む。近位端113は、関節式ロボットアームを通じて伝達される動力入力124を受け取るように構成され得る。
【0091】
この例では、インストゥルメントホルダ112は、その中に凹部126が形成される中間部分115を含む。中間部分の周囲の周りに形成された複数の凹部があり得る。したがって、インストゥルメントホルダ112は、凹部126内に1つ以上の電気外科手術カプセルを受け入れるように構成され得る。
【0092】
中間部分115は、電気外科手術カプセルを相互接続するための手段をさらに含み得る。例えば、凹部126は、その内部表面に1つ以上の入力ポート/出力ポートを取り付けられ得る。図3に示される例では、動力(例えば、DC信号)を電気外科手術カプセルに送達するように構成された入力ポート130がある。入力ポート130は、動力入力124に接続される適切な伝送線路128によって近位部分113に接続される。同様に、電気外科手術カプセルから手術インストゥルメント114に電磁信号(例えば、高周波エネルギーまたはマイクロ波エネルギー)を送達するように構成された出力ポート132がある。出力ポート132は、適切な伝送線路134(例えば、同軸ケーブル)によって遠位部分117に接続され得る。遠位部分117は、伝送線路134を手術インストゥルメント114自体の中のエネルギー伝達構造(例えば、別の同軸伝送線路)に接続するように、適切なコネクタ(例えば、QMAコネクタなど)で構成され得る。この例は、図8を参照して以下に説明される。
【0093】
手術インストゥルメント114は、遠位部分117に脱着可能に取り付けられ得る。同じインストゥルメントホルダ112が、このようにして複数のインストゥルメントと共に使用され得る。さらに、本発明では、インストゥルメントホルダ112は、複数の異なるタイプの電気外科手術カプセルと共に使用され得る。これにより、インストゥルメント及びエネルギーモダリティの様々な組み合わせを、同じインストゥルメントホルダで交換可能なようにして使用することが可能になる。
【0094】
図4は、ロボットアーム用の取り外し可能な電気外科手術カプセル116(「電気外科手術発生器ユニット」とも称される)の概略図である。電気外科手術カプセル116は、上述のタイプの凹部126内に受け入れ可能であってよい。
【0095】
電気外科手術カプセル116は、カプセルを適切に整列させるようにロボットアームのインストゥルメントホルダ内の凹部と協調するように形作られ得る剛性ハウジング200を含む。電気外科手術カプセル116は、例えばインストゥルメントホルダを介して、ロボット支援手術システムの制御ネットワークに通信可能なように接続可能である入力部分202を含む。入力部分202はまた、動力供給(例えばインストゥルメントホルダの内部DC供給部)を受け取るように構成されてもよい。電気外科手術カプセル116は、さらに、電磁信号を生成及び/または制御するための様々な機能構成要素またはモジュールを収容する操作部分203と、電磁信号をインストゥルメントホルダに送達するための出力部分204とを含み、インストゥルメントホルダから電磁信号はロボットアームが保持する電気外科手術インストゥルメントに伝達される。
【0096】
この例では、入力部分202は、入力制御信号及び動力信号を受信するための入力コネクタ206を含む。出力部分204は、生成された電磁信号を電気外科手術カプセル116から外へ送達するための出力コネクタ208を備え得る。一般に、本明細書で言及される電気外科手術カプセルは、生物組織の治療または測定に適した高周波(RF)またはマイクロ波EM放射などの電磁(EM)放射を生成するように構成される。
【0097】
様々な電気外科手術モダリティが、EMエネルギー、例えば、RFエネルギー及びマイクロ波エネルギーの制御された送達を伴う腹腔鏡処置または内視鏡処置で使用するためのロボット支援手術システムとの関連で以下に提示される。そのようなEMエネルギーは、ポリープ及び悪性腫瘍の除去において有用である場合がある。しかしながら、本明細書で提示される発明の態様は、この特定の用途に限定される必要はないことが理解されよう。また、本発明の態様は、RFエネルギーのみが必要とされる実施形態、またはRFエネルギー及び流体送達のみが必要とされる実施形態に等しく適用可能であってよい。
【0098】
図4に戻ると、この例における電気外科手術カプセル116の操作部分203は、複数のモジュールを含むモジュール式システムとして構成される。複数のモジュールは、コントローラモジュール212と、信号発生器モジュール214と、給電構造モジュール216とを含む。これらは、操作部分203のコアモジュールであり得る。これらのコアモジュールは、生物組織を治療するためのEM信号を制御可能に生成し、電気外科手術インストゥルメントにそのEM信号を送達するための機構を提供する。EM信号は、RFまたはマイクロ波などのいずれかのタイプの電磁信号であってもよい。
【0099】
さらに、複数のモジュールは、信号検出器モジュール218、流体供給モジュール220、及び/または1つ以上の追加信号発生器モジュール222などのさらなる任意選択のモジュールを含み得る。これらのモジュールの任意選択の性質は、破線によって図4に示される。いくつかの例では、異なる任意選択のモジュールは、カプセルに異なる電気外科手術的能力を提供するために、コアモジュールと共に組み合わされ得る。
【0100】
電気外科手術的カプセル及びそのモジュールのさらなる詳細は、本出願人の先行のGB特許出願第2012303.0号に記載されている。簡潔にまとめると、カプセル(または複数のカプセル)の制御は、ロボット支援手術システムの制御ネットワークを介して(例えば、制御コンソールまたはリモートコンピューティングデバイス210を使用して)カプセル116内のコントローラモジュール212に送達される制御信号を使用して行われる。コントローラモジュール212は、電気外科手術カプセル116の他の各モジュールと通信し、制御コマンドを介して他の各モジュールを制御することができる。信号発生器モジュール214は、生物組織の治療のためにEM信号を形成するよう、制御コマンドに基づいてEM放射を生成し制御するように動作可能である。信号発生器モジュール214は、入力コネクタ206から受信した信号及び/または内蔵電池213によって動力を供給され得る。給電構造モジュール216は、ロボットアームを介してEM信号を手術インストゥルメントに結合するように構成されたエネルギー送達構造を提供する。
【0101】
電気外科手術カプセルは、外部主電源への専用接続を必要としない。これは、幹線給電を手術インストゥルメントから、そして最終的には患者から隔離するための手段を考慮する必要がなくなるので、望ましい場合がある。
【0102】
流体供給モジュール220は、流体供給構造228を介した出力コネクタ208への流体(例えば、ガスまたは液体)の流れを供給し制御するよう制御コマンドに基づいてコントローラモジュール212によって制御可能である。流体供給モジュール220の目的は、遠位インストゥルメント先端136に流体を提供することであってよい。例えば、流体は、生物組織の治療のためのプラズマを生成するため手術インストゥルメント114に供給されるガスであってよく、または流体供給モジュール220は、遠位インストゥルメント先端136に液体(例えば、生理食塩水)を供給することができる。
【0103】
流体供給モジュール220は、流体を手術インストゥルメント114に出力するために流体ポートと流体連通している流体供給構造228を含む。この例では、流体供給構造228は、流体を出力コネクタ208に送達し、そこで流体はインストゥルメントホルダ112内の適切な結合を介して手術インストゥルメントに伝達され得る。エネルギー送達構造及び流体供給は、共通供給構造内で結合され得る。例えば、インストゥルメントホルダ112内の伝送線路134は、流体とEMエネルギーの両方を手術インストゥルメント114に送達するための結合された流体及びエネルギー供給として構成され得る。手術インストゥルメント114は、流体を遠位インストゥルメント先端136に移送する流体供給を含み得る。
【0104】
流体供給源224(例えば、加圧ガスキャニスターなど)は、電気外科手術カプセル116の外面に取り付けられ得る。流体供給モジュール220は、供給導管226によって流体供給源224に接続され得る。
【0105】
図5は、本発明の実施形態による、カプセル116によって生成された熱を放散させるための冷却機構を有する取り外し可能な電気外科手術カプセル(電気外科手術発生器ユニット)116を示す。冷却機構は、パッシブ冷却メカニズム及びアクティブ冷却メカニズムを含んでおり、これには、ヒートシンク230、フィン232、熱伝導性コネクタ234、及びファン(図示せず)が含まれる。これらの冷却メカニズムのそれぞれは、電気外科手術発生器ユニットからの熱の放散を支援する。他の実施形態は、異なる冷却メカニズムを単独でまたは様々な組み合わせで含むことができる。
【0106】
図4のカプセル116と同様に、図5のカプセル116は、インストゥルメントホルダ112の凹部126内に受容されるように構成されている(図3参照)。特にカプセル116のハウジング200は、例えばスナップフィット係合により、凹部126内に取り付けられるように構成されている。
【0107】
ここでは、インストゥルメントホルダ内の凹部に関して説明するが、変形実施形態では、凹部は、本明細書でさらに説明するように、ロボット手術ツールの別の部分に、例えば制御カラム内に形成されてもよい。
【0108】
図5では、入力コネクタ206及び出力コネクタ208は、カプセル116の後面207に位置している。凹部126内に取り付けられると、入力コネクタ206及び出力コネクタ208は、凹部126の相補的な後面131に位置するそれぞれの入力ポート130及び出力ポート132と接続される。
【0109】
ハウジング200は、凹部126の相補的な周辺部内面の内部に位置するように周辺部外面をさらに含む。この実施形態では、周辺部外面は4つの側壁238を形成している(図2及び図5参照)。図5の実施形態では、弾性的な熱伝導性コネクタ234(例えば金属ばね)が、側壁238のうちの1つの外面に設けられている。これらのコネクタ234は、使用時に凹部126の相補的な内壁に対して係合するように構成されている。その際に、コネクタ234は、凹部126内に締りばめ(close fit)を提供するのに有用であり、向かい合うカプセルの側壁238を効果的に凹部126に押し付けて近づける。したがって、コネクタ234は、ハウジング200とインストゥルメントホルダ112の凹部126との間の熱的結合を増加させ、カプセル116からインストゥルメントホルダ112に向かう熱の流れを促進する。このことにより、(例えばプロセッサまたは信号発生器における)カプセル116の過熱のリスクを低減するのに役立てることができる。したがって、カプセルの誤作動が回避され得る。
【0110】
後面207及び側壁208に加えて、ハウジング200は、さらに、使用時にスロット126から外向きに面する前面240を含む。図5では、前面240に冷却機構が設けられており、この冷却機構は、カプセル116及びインストゥルメントホルダ112の両方から熱を放散し得る。前面240にある冷却機構は、フィン232が形成されたヒートシンク230を含む。ヒートシンク230は、カプセル116の残りの構成要素から熱を逃がすために、高い熱伝導率を有する材料(例えば金属)のブロックである。フィン232はまた、熱伝導性材料で作られており、熱の放散を助長するためにフィンを通る空気流を可能にするチャネルを画定する。
【0111】
組み合わせた状態で、インストゥルメントホルダ112は、手術インストゥルメント114から離れる方向に熱を引き出すように配置され得る冷却機構(例えば、ヒートシンク)を含むこともできる。
【0112】
この実施形態では、ハウジング200は、それ自体でカプセル116から熱を伝導するのを助長する熱伝導性材料(例えば金属)で作られている。したがって、ハウジング200は、追加のヒートシンクと見なすことができる。図示されていない変形実施形態では、(追加のヒートシンク230を省略して)フィンをハウジング200の表面に直接形成することができる。さらにさらなる変形実施形態では、ハウジングは、断熱材料で作られてもよく、カプセルの内部構成要素に外部ヒートシンク(例えばヒートシンク230)を熱的に結合するためにハウジングを貫通して延在する熱伝導性要素を含んでもよい。
【0113】
要約すると、コネクタ234、ヒートシンク230、及びフィン232は、それぞれ、いかなる動力も印加する必要なしに、指向性の熱流を促進するパッシブ冷却機構である。これは、例えばコントローラモジュール212での処理、または信号発生器モジュール(複数可)214、222に起因する過熱を軽減するのに役立つ。使用時に、カプセル116の内部構成要素が過熱し始めると、過剰な熱が、より低温の領域に向かって流れるようになり、そこで、その熱の吸収または放散を補助するために、パッシブな冷却手段が設けられている。
【0114】
カプセル116は、例えばコントローラモジュール212のプロセッサまたはメモリを冷却することによって、カプセル116の内部構成要素を冷却する内部ファン(図示せず)の形態のアクティブ冷却メカニズムをさらに含む。内部ファンは、入力コネクタ206を介して手術ツールから動力を受け取ることができ、及び/またはバッテリ213から動力を受け取ることができる。この機構は、ファンに動力を供給するために別個の外部ケーブルを必要とせずに、過熱によって生じる内部構成要素の誤動作を回避するのに役立つ。
【0115】
したがって、この実施形態では、アクティブ冷却メカニズム(ファン)はカプセルの内部にある。変形実施形態では、アクティブ冷却メカニズムが、カプセル116の外部の要素または表面を冷却するように構成されていてよい。そのような外部冷却は、カプセルの内側と外側との間の熱勾配を増加させ、それによってカプセルの内側から離れる方向の熱流を増加させるのを促進するのに有用であり得る。
【0116】
図5では、コントローラモジュール212は、システムがその意図した仕様に則して実行しない結果となるであろう一連の潜在的なエラー状態を監視するためのウォッチドッグ(または、障害検出ユニット)を含む。さらに、コントローラモジュール212は、システムの様々な部分の動作を監視する1つ以上のセンサを含む。ウォッチドッグは、これらのセンサの出力が予め設定された限界から外れて移行すると、アラーム信号を生成することができる。例えば、コントローラモジュール212は、コントローラモジュール212のプロセッサまたはメモリなど、コントローラモジュール212の部分の温度に基づいて、温度測定値を生成するように動作可能な1つ以上の温度センサを含み得る。ウォッチドッグは次いで、温度測定値と1つ以上の事前設定された温度限界との比較に基づいてアラーム信号を生成して、その部分が過熱していることを示すように動作可能であってよい。コントローラモジュール212は、検出した温度に基づいてアクティブ冷却メカニズムの動力レベルを制御することができる。例えば、コントローラモジュール212は、検出した温度を目標範囲内に維持するために、ファンの動力レベルを制御することができる。例えば、ウォッチドッグは、温度が閾値を超えたことを示す通知を発行することができ、コントローラモジュール212は、アクティブ冷却メカニズムの動力レベルを増加することによって、または1つ以上の追加のアクティブ冷却メカニズムを起動することによって、応じることができる。
【0117】
追加的または代替的に、アクティブ冷却メカニズムの動作を監視するために、異なるタイプのセンサ(例えば、電圧センサまたは電流センサ)が設けられ得、その結果、ウォッチドッグは、アクティブ冷却メカニズム(例えばファン)が誤動作した(例えば、それが電圧または電流を使用していない)ことをセンサが示す場合に、アラーム信号を生成する。追加的または代替的に、センサは、コントローラモジュール212のDC電源の電圧レベルを監視し得、ウォッチドッグは、電圧レベルが動作の所定の許容範囲から外れた場合にアラーム信号を生成し得る。
【0118】
コントローラモジュール212は、コントローラモジュールの異なる要素の動作を監視する異なるタイプのセンサを含むことができ、ウォッチドッグが、これらのセンサの出力を監視し、これらの出力のいずれか1つが事前設定された限界から外れた場合にアラーム信号を生成し得ることが理解されよう。加えて、コントローラモジュール212は、他のモジュールの動作を監視するセンサを含み得、ウォッチドッグは、これらのセンサの出力を監視し、これらの出力のいずれか1つが事前設定された限界から外れた場合にアラーム信号を生成し得る。さらに、センサ及びウォッチドッグユニットは、ロボット手術システムの別の要素の一部として、例えば発生器ではなくロボット手術ツールの一部として、提供されてもよい。この場合、検知された温度及び/またはウォッチドッグの警告を受信し、それに応じてアクティブ冷却メカニズムを制御するために、別個の制御装置が提供されてもよい。そのような機構は、アクティブ冷却メカニズムが、生成ユニットの一部としてではなく、ロボット手術ツールの一部として設けられている場合には、特に使いやすくなり得る。冷却メカニズム、センサ、及びウォッチドッグをカプセルの外部に設けることにより、カプセルにおける動力需要を低減させ、それによってカプセルにおける過熱のリスクをさらに低減させることができる。
【0119】
コントローラモジュール212は、いくつかの異なる方法でアラーム信号に対処し得る。例えば、コントローラモジュール212は、ウォッチドッグに、無線通信インタフェースを介してリモートコンピューティングデバイス210にアラーム信号を送信させ得る。このようにして、リモートコンピューティングデバイス210は、障害が発生したときの記録またはログを保持することができる。また、ウォッチドッグは、アラーム信号に、アラーム信号が関連する障害のタイプへの参照を含め得、その結果、リモートコンピューティングデバイス210は、ログにこの情報を含むことができる。また、リモートコンピューティングデバイス210は、アラーム信号に基づいて、カプセルの応答を外部で制御し得る。例えば、リモートコンピューティングデバイス210は、例えば、安全な方法で電気外科手術カプセル116を停止するように、アラーム信号に基づいて、コントローラモジュール212に特定の制御コマンドを送信し得る。このようにして、リモートコンピューティングデバイス210は、アラーム信号に基づいて、電気外科手術カプセル116の応答を外部で制御し得る。追加的または代替的に、コントローラモジュール212は、それ自体でアラーム信号に基づいて制御コマンドを生成し得る。このようにして、コントローラモジュール212は、アラーム信号に基づいて電気外科手術カプセル116の応答を内部で制御し得る。
【0120】
実施形態では、コントローラモジュール212がプロセッサを含む場合、ウォッチドッグは、独立したプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)を含み、ウォッチドッグが、プロセッサが正確に機能していることを確認できるようにする。すなわち、プロセッサが誤動作すると(例えば、電圧または電流を使用していない)、アラーム信号を発することができる。代替形態として、ウォッチドッグは、コントローラモジュール212のプロセッサによって実行されるソフトウェアに実装され得る。すなわち、別個のハードウェアプロセッサが含まれない場合がある。
【0121】
図6は、本発明の実施形態によるロボット手術ツール102の概略図である。
【0122】
図6のロボット手術ツール102は、前に説明したものと同様であるが、主に2つの点で異なっている。第1に、図6の制御カラム108は、カプセルを(図1に示したように)関節式アームにストラップで固定する、またはカプセルを(図2に示したように)インストゥルメントホルダの凹部内へ挿入するのではなく、カプセルを収容するための凹部126を含む。第2に、図6のロボット手術ツール102には、カプセルから熱を放散させるための冷却機構が設けられている。
【0123】
制御カラム108の凹部126は、インストゥルメントホルダ111に関して前述した凹部とほぼ同じである。しかしながら、図6では、凹部126には、その内面に、弾性的な熱伝導性コネクタ136(例えば金属ばね)の形態の冷却機構が設けられている。コネクタ136は、カプセルが凹部126に挿入されたときにカプセルとの締りばめ(close fit)を提供することによって、図5を参照して前に説明したコネクタ234と同じように機能する。凹部126の壁部は、制御カラム108への熱伝達を可能にする熱伝導性材料で作られている。
【0124】
図6の冷却機構は、冷却流体を制御カラム108内の導管を通して循環させるための流体システム300をさらに含む。この制御カラム108は、凹部126の壁と熱連通していて、使用時に電気外科手術発生器ユニット116から熱を奪う。特に、流体システム300は、冷却流体を供給するための冷却流体源302を含む。流体システム300は、冷却流体源302に流体接続された入口導管304をさらに含んでおり、これにより、制御カラム108内に形成された入口306を通して冷却流体源302から冷却流体が運ばれる。制御カラム108内では、冷却剤導管(図示せず)が、入口306から出口308に流体接続されており、これにより、冷却流体を制御カラム108内で循環させるための流体密封流路が提供される。出口導管310は、出口308に流体接続されており、これにより、冷却流体(ひいては冷却流体が吸収した熱)が装置から運び出される。次いで、この加熱された冷却流体を(例えば、アクティブ及び/またはパッシブな冷却手段を介して)冷却し、再利用のために供給源302に再導入することができる。
【0125】
冷却剤システム300(例えば流体源302)は、冷却剤システムを通る流体の流量を制御するポンプまたは他のメカニズムを有してもよい。ポンプは、上述したのと同様の手法で、(例えばカプセル内の温度センサに基づいて)測定温度に応じて冷却流体の流量を変化させるように、コントローラによって制御されてもよい。コントローラを制御カラムの一部とすることができ、または、例えばカプセル116内の手術システムの別の要素の一部とすることができる。
【0126】
冷却剤導管は、好適には、波形(例えば、蛇行)構造を有しており、熱伝導性材料で作られている。これにより、冷却流体が、カプセル116から、及び/または(それ自体がヒートシンクを含んでいてもよい)制御カラム自体から、より多くの熱を奪うことが可能になり得る。この実施形態では、冷却剤導管(図示せず)は、入口306から凹部126に向かって上方へ、そして出口308に向かって再び下方へ(すなわち、U字形に)延びている。これにより、冷却流体が、使用時にカプセルからより効率的に熱を奪うことができるように、凹部126とのより近い熱連通を有する流路が提供される。
【0127】
図示されていない変形実施形態では、代わりに、冷却剤導管は、制御カラムの外面を囲むように循環させてもよく、その場合、冷却剤導管は、入口306または出口308を含まなくてもよい。
【0128】
図7は、本発明の実施形態によるロボット手術ツール102の概略図である。
【0129】
図7のロボット手術ツール102は、図6を参照して前に説明したものと同様であるが、異なる冷却機構を設けられている。
【0130】
図7では、冷却機構は、使用時にカプセル116をヒートシンク402に熱的に接続するヒートパイプ400を有する。ヒートパイプは、第1の領域404から第2の領域406まで延び、その間で流体を搬送する。この実施形態では、第1の領域404は(破線で示されているように)制御カラム108内に位置しており、かつ凹部126の近くに位置しているので、使用時にカプセル116と熱連通する。第2の領域406は、ロボット手術ツール102の外側に位置するヒートシンク402に取り付けられている。出口408が制御カラム108の壁に設けられており、これにより、ヒートパイプ400を貫通させて、第1の領域404と第2の領域406とを流体接続することを可能にする。
【0131】
ヒートパイプは、異なる温度の2つの領域の間で流体を搬送するための導管である。ヒートパイプは、流体の流体相転移の特性を利用して、その第1の領域(すなわち、電気外科手術発生器ユニットの近傍)から、その第2の領域(すなわち、電気外科手術発生器ユニットから離れた領域)へ、熱を効果的に転送する。使用時に、カプセル116が過熱し始めると、第1の領域404は比較的高い温度を有し得る。ヒートパイプ400内に含まれる流体は、第1の領域404で熱を吸収し、その結果、流体が液体から蒸気へ転移し、次いでこの蒸気はヒートパイプ400に沿って第2の領域406へ移動する。そして、第2の領域406におけるより低い温度によって蒸気を液体に転移させて戻すことができて、ヒートシンク402での放散のために第2の領域406内の潜熱が放出される。次いで液体は、(例えばヒートパイプ400内のウィックを介して)第1の領域404に戻り、このプロセスが繰り返される。
【0132】
当実施形態では、冷却機構は、さらに、ヒートシンク402を低温に維持するための冷却メカニズムを含む。これは、第2の領域406で相転移を引き起こすために低温を維持するのを助長するように、ヒートパイプと併用して、特に有用であり得る。
【0133】
例えば、冷却機構は、ヒートシンク402を冷却するように配置されたファン410を含む。追加として、ヒートシンク402は、その外面に配置されたフィン(図示せず)を含む。フィンは、ファンに向かって配向されたチャネルを画定するので、ファンからの空気流は、チャネルを通って進み、より効果的にヒートシンク402を冷却することができる。
【0134】
冷却機構は、さらに、ヒートシンク402から熱を除去するためにヒートシンク402上に取り付けられた熱電ヒートポンプ412(例えば、ペルチェ冷却器)を含む。
【0135】
図8は、本発明の実施形態において関節式ロボットアームが対処できる電気外科手術インストゥルメント114を通る概略断面図である。電気外科手術インストゥルメント114は、上述の方法で関節式ロボットアームを介して電気外科手術カプセル116に接続可能であり得る。電気外科手術インストゥルメント114は、遠位アセンブリにある、または遠位アセンブリの近くの治療部位に位置する生物組織を治療するために、遠位インストゥルメント先端(または遠位アセンブリ)136からEM放射を送達するように配置または構成される。電気外科手術インストゥルメント114は、使用中、生物組織の治療のためにEMエネルギー(例えば、RFエネルギー、マイクロ波エネルギー)を使用するように配置された任意のデバイスであってよい。電気外科手術インストゥルメント114は、摘出、凝固、及びアブレーションのいずれかまたは全てにEMエネルギーを使用し得る。例えば、インストゥルメント114は、摘出デバイス、1対のマイクロ波鉗子、またはマイクロ波エネルギーを放射する、及び/またはRFエネルギーを結合するスネア、及びアルゴンビームコアギュレータであってよい。
【0136】
電気外科手術インストゥルメント114は、遠位端138にEM放射(例えば、EM信号)を伝達するためのインストゥルメント給電構造140を含む。この例では、給電構造140は、外部導体146から分離された内部導体142から形成される同軸伝送線である。内部導体142は、流体を送達するための通路148を画定するように中空である。
【0137】
上述の説明、もしくは以下の特許請求の範囲、もしくは添付の図面で開示し、その具体的な形態でもしくは開示した機能を行うための手段の形で表した特徴、または開示した結果を得るための方法もしくはプロセスを、必要に応じて、別個に、またはこのような特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用してもよい。
【0138】
本発明を、上記の例示的な実施形態と併せて説明してきたが、本開示が与えられた場合、多くの均等の修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、上記の本発明の例示的な実施形態は、例示的であり限定的でないと判断される。記載される実施形態への様々な変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに行ってもよい。
【0139】
誤解を避けるために、本明細書に提供する理論的な説明は、読者の理解を深めることを目的として提供されている。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望むものではない。
【0140】
本明細書で使用される任意のセクションの見出しは構成の目的のみのためであり、記載される対象物の限定として解釈されるべきではない。
【0141】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書を通して、文脈が特別に要求しない限り、「含む(comprise)」及び「含む(include)」という単語、ならびに変形、例えば、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」及び「含むこと(including)」は、明示された構成要素もしくはステップ、または構成要素もしくはステップの群を包含するが、他の構成要素もしくはステップ、または構成要素もしくはステップの群を除外しないことを示唆すると理解される。
【0142】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確にそうでないと示されない限り、複数の指示物を包含することに留意されたい。範囲は、「約」ある特定の値から及び/または「約」別の特定の値までとして、本明細書において表現され得る。かかる範囲が表現されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が近似として表現される場合に、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関連する用語「約」は、任意であり、例えば、±10%を意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本出願は、2021年7月30日に出願されたGB2111041.6の優先権を主張するものであり、その内容及び要素をあらゆる目的のために参照として本明細書に組み込む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本開示は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月30日に出願された本出願人の先行の英国特許出願第2111041.6号に提示された概念の発展形態を記述する。GB特許出願第2111041.6号は、電気外科手術機能を提供するための電気外科手術発生器ユニットが、ロボットアームに直接的に取り付け可能であるか、またはロボットアーム内に組み込まれるロボット支援手術システムを提供する。電気外科手術発生器ユニットは、同じ環境内の異なるロボットアーム間で移動可能であってよい、(本明細書では「カプセル」と呼ばれる)脱着可能なモジュールであってよい。電気外科手術発生器ユニットは、それぞれが異なる治療モダリティを提供する複数のモジュールを含み得る。行うべき処置に応じて、異なるモジュールまたはモジュールの組み合わせが選択され、1つ以上のロボットアームに取り付けられ得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
電気外科手術発生器ユニットの可能な構成に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、優先権出願であるGB特許出願第2111041.6号に記載されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
上述したように、本明細書の開示は、2021年7月30日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の先行のGB特許出願第2111041.6号に提示された概念の発展形態に関する。ロボット支援電気外科手術システムの例は、以下に説明する図1図4を参照して理解され得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
電気外科手術カプセル116は、電気外科手術で使用するために適した信号の発生及び送達のためのスタンドアロンユニットであってよい。本出願人の先行のGB特許出願第2111041.6号でさらに詳細に説明されるように、電気外科手術カプセル116は、ロボット手術ツール102の内部DC電源によって動力を供給され得る。すなわち、ロボット手術ツール102は、標準的な方法で(図示せず)幹線電力供給に接続され得る。制御カラム108は、幹線給電を、ロボットが使用するためのDC電源に変換するための回路を含み得る。制御カラム108は、関節式アーム110の動きを制御するための第1のDC電源を有し得る。通常、第1のDC電源は、24Vの電圧を有し、最大2Aまでの電流を許容し得る。制御カラム108は、インストゥルメントホルダ112が使用するための、またはインストゥルメントホルダ112で使用するための第2のDC電源を提供し得る。第2のDC電源は、第1のDC電源と同じ電圧(例えば、24V)またはそれより低い電圧(例えば12V)を有し得る。第2のDC電源は、より制限された電流源(例えば、600mA以下)を有し得る。電気外科手術カプセル116は、第1のDC電源または第2のDC電源のどちらかを利用し得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
電気外科手術的カプセル及びそのモジュールのさらなる詳細は、本出願人の先行のGB特許出願第2111041.6号に記載されている。簡潔にまとめると、カプセル(または複数のカプセル)の制御は、ロボット支援手術システムの制御ネットワークを介して(例えば、制御コンソールまたはリモートコンピューティングデバイス210を使用して)カプセル116内のコントローラモジュール212に送達される制御信号を使用して行われる。コントローラモジュール212は、電気外科手術カプセル116の他の各モジュールと通信し、制御コマンドを介して他の各モジュールを制御することができる。信号発生器モジュール214は、生物組織の治療のためにEM信号を形成するよう、制御コマンドに基づいてEM放射を生成し制御するように動作可能である。信号発生器モジュール214は、入力コネクタ206から受信した信号及び/または内蔵電池213によって動力を供給され得る。給電構造モジュール216は、ロボットアームを介してEM信号を手術インストゥルメントに結合するように構成されたエネルギー送達構造を提供する。
【国際調査報告】