(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】測定信号を検出するための方法及び測定デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 3/46 20060101AFI20240723BHJP
G01N 19/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G01N3/46
G01N19/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503343
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2022069661
(87)【国際公開番号】W WO2023001672
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118556.4
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523127187
【氏名又は名称】ヘルムート フィッシャー ゲーエムベーハー インスティトゥート フューア エレクトロニック ウント メステクニック
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ハース,ドクター.タニヤ
(72)【発明者】
【氏名】ティーレ,ヘンリー
(57)【要約】
本方法は、試験片(12)の表面または試験片(12)のコーティングへの圧子(14)の侵入運動中に測定信号を検出するための方法及び測定デバイスに関し、具体的には、試験片(12)上のコーティングの接着強度を決定するための方法及び測定デバイスに関し、試験片(12)は測定デバイス(11)の測定テーブル(18)上に固定され、光学デバイス(16)を使用して、試験片(12)上の試験区間(91)の始点(92)を決定し、試験片(12)の始点(92)は、測定デバイス(11)の制御システムによって作動する測定テーブル(18)の変位運動によって決定され、始点(92)は圧子(14)と整列され、圧子(14)は、Z軸に沿った変位運動により、測定デバイス(11)の制御システムによって、試験片(12)の始点(92)上に設置され、圧子(14)は、試験区間(91)の終点(93)までZ方向に作用する試験荷重を受け、X方向及びY方向における測定テーブル(18)の重ね合わされた変位運動が少なくとも断続的に制御されることにより、試験区間(91)の終点(93)に到達するまで、圧子(14)は少なくとも2次元試験区間(91)に沿って試験片(12)上で誘導され、測定信号は、試験区間(91)に沿った圧子(14)の変位運動中に、少なくとも2つの測定デバイス(57,67)によって検出され、圧子(14)は、Z方向と異なる方向に、また圧子(23)に対して異なる空間方向に整列する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片(12)の表面または試験片(12)のコーティングへの圧子(14)の侵入運動中に測定信号を検出するための方法、具体的には、前記試験片(12)上の前記コーティングの接着強度を決定するための方法であって、
-前記試験片(12)は、測定デバイス(11)の測定テーブル(18)上に固定され、
-光学デバイス(16)を使用して、前記試験片(12)上の試験区間(91)の始点(92)を決定し、
-前記試験片(12)の前記始点(92)は、前記測定デバイス(11)の制御システムによって作動する前記測定テーブル(18)の変位運動によって、前記圧子(14)と整列され、
-前記圧子(14)は、Z軸に沿った変位運動により、前記測定デバイス(11)の前記制御システムによって、前記試験片(12)の前記始点(92)上に設置され、
-前記圧子(14)は、前記試験区間(91)の終点(93)まで前記試験区間(91)に沿ってZ方向に作用する試験荷重が加えられ、
-X方向及びY方向における前記測定テーブル(18)の重ね合わされた変位運動が少なくとも一時的に制御されることにより、前記試験区間(91)の前記終点(93)に到達するまで、前記圧子(14)は、少なくとも2次元試験区間(91)に沿って前記試験片(12)上で誘導され、
-測定信号は、前記試験区間(91)に沿って、前記圧子(14)の変位運動中に、少なくとも2つの測定デバイス(57,67)によって検出され、前記圧子(14)は、前記Z方向からそれる方向に、また前記圧子(23)に対して互いにずれる空間方向に整列することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記圧子(14)は、さらに、前記試験区間(91)に沿って誘導されながら、前記Z方向における前記試験片(12)の前記表面の変化による、高さ補償のために、前記Z方向における及び/または前記Z方向の逆の変位運動と重ね合わされ、前記Z方向の前記変位運動は、前記試験荷重を加えるために制御されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験区間(91)を通過する前に、また好ましくは、前記試験片(12)の前記表面またはコーティングに前記圧子(14)を介して前記試験荷重を加えながら、前記試験区間(91)のコースは、前記試験片(12)における少なくとも2つの空間方向に記録され、前記測定デバイス(11)の前記制御システムに記憶されることを特徴とする、先行請求項の1項に記載の方法。
【請求項4】
前記試験区間(91)の前記始点(92)の位置ならびに前記終点(93)の位置、及び好ましくは、少なくとも1つの中間点(94)の位置は、前記試験片(12)上で決定され、前記試験片(12)から記憶された幾何学的データは、前記制御システムに読み込まれて処理され、処置された前記幾何学的データに基づいて、前記試験区間(91)を横断するために上部に配置された前記試験片(12)と一緒に前記測定テーブル(18)の前記変位運動を制御することを特徴とする、先行請求項の1項に記載の方法。
【請求項5】
前記試験片(12)上の前記試験区間(91)の前記始点(92)の位置ならびに前記終点(93)の位置、及び好ましくは、少なくとも1つの中間点(94)の位置が決定され、プログラムは前記制御システムでアクティブになり、前記制御システムが、前記試験片(12)の前記表面の輪郭に適応して、前記試験区間(91)内の幾何学的要素を選択することによって、前記試験区間(91)の前記コースは前記始点(92)と前記終点(93)との間で適合され、好ましくは、前記少なくとも1つの中間点(94)を考慮することを特徴とする、請求項1~3の1項に記載の方法。
【請求項6】
前記圧子(14)は、前記試験区間(91)の端まで前記Z方向に一定の試験荷重または増加する試験荷重が前記試験区間(91)に沿って荷重されることを特徴とする、先行請求項の1項に記載の方法。
【請求項7】
前記圧子(14)は、前記試験片(12)の前記表面への、または前記試験片(12)の前記コーティングへの侵入運動のために、前記Z方向に作用する前記試験荷重を受け、続いて、前記試験片(12)は前記試験区間に沿って減少する試験荷重を受けることを特徴とする、請求項1~5の1項に記載の方法。
【請求項8】
前記試験片(12)は前記光学デバイス(16)に対して位置付けられて整列し、前記試験片(12)上の前記始点(92)から前記終点(93)までの前記試験距離(91)の前記コースは、ティーチイン方法を用いて、前記測定テーブル(18)の変位運動によって横断して記憶されることを特徴とする、請求項1~3の1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの試験片ホルダーは前記測定テーブル(18)上に搭載され、前記試験片ホルダーは、前記測定テーブル(18)に対する少なくとも1つのさらなる空間方向で制御可能であることを特徴とする、先行請求項の1項に記載の方法。
【請求項10】
試験片(12)の表面または試験片(12)上のコーティングへの圧子の侵入運動中に測定信号を検出するための測定デバイス、具体的には、前記試験片(12)上の前記コーティングの接着強度を決定するための測定デバイスであって、
-前記試験片(12)が位置付け可能である測定テーブル(18)と、
-Z軸に沿った前記圧子(14)の変位運動を制御可能にする、揚力駆動デバイス(21)と、
-Z方向の横軸に沿って前記圧子(14)の変位運動を検出するための少なくとも1つの第1の測定デバイス(47)と、を伴い、
-請求項1~9の1項に記載のプロセスを制御できる制御システムを提供することを特徴とする、測定デバイス。
【請求項11】
前記圧子(14)を保持し、前記圧子(14)を通る前記測定信号を検出するための少なくとも2つの測定デバイス(57,67)を有する圧子レセプタクル(23)が提供され、前記少なくとも2つの測定デバイス(57,67)は、前記Z方向とは異なって、また互いに異なる空間方向に整列されることを特徴とする、請求項10に記載の測定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片の表面または試験片のコーティングへの圧子の侵入運動中に測定信号を検出するための方法、具体的には、試験片上のコーティングの接着強度を決定するための方法に関し、また、本方法を実行するための測定デバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムまたはコーティングの引っかきに対する抵抗を測定するための測定デバイスは、DE69917780T2から知られている。この測定デバイスは、取り付けできる圧子を伴う圧子ガイドが提供されるスタンドを備える。さらに、駆動装置は、圧子を試験片に向けてZ軸に沿って移動させるために提供される。この圧子駆動装置は2つのL字形脚を備え、2つのL字形脚は相互に整列し、2つのL字形脚の間に、移動可能キャリヤが搭載される。この移動可能キャリヤは、ダイヤフラムスプリングの対によって、L字形脚に移動可能に保持される。2つのL字形脚はキャリヤ上に提供され、キャリヤは、さらに、圧子レセプタクルを収容し、キャリヤは、ダイヤフラムスプリングの対によってL字形脚に対して支持される。この装置は、互いに対になって配置及び整列されるダイヤフラムスプリングの平面に垂直に弾性があり、他の空間方向に剛性がある。したがって、圧子レセプタクルは、Z軸に沿って単一自由度を有し、圧子は、試験片の表面に垂直な試験片に向かって移動する。
【0003】
この測定デバイスにより、いわゆる、引っかき試験を実行することを可能にし、圧子は、試験片の表面に向かってZ軸に沿って移動し、そして、測定テーブルは、X方向またはY方向に単一の空間方向にある直線に一致する測定経路に沿って移動する。これは、1つだけの空間方向で、または、この1つの空間方向の反対方向で、そのような引っかき試験を実行できることを意味する。また、測定テーブルの接触面に平行に試験片の表面を整列することも必要である。
【0004】
独国特許出願公開第102016123010号明細書では、引っかき試験を実行するためのアナログ測定デバイスが説明されている。プレスキャン中、引っかきが試験片の表面に入れられるとき、またはポストスキャン中に、圧子は試験片の表面に向かってZ軸に沿って移動し、そして、測定テーブルは、直線に一致する測定経路に沿って1つだけの空間方向に沿って移動する。
【0005】
表面特性を検出するための測定デバイスは、特開2004-28949号公報から知られている。試験荷重は振動下の針に加えられる。針の振動及び増加する試験荷重は、一般的な図で表示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE69917780T2
【特許文献2】独国特許出願公開第102016123010号明細書
【特許文献3】特開2004-28949号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明は、試験片の表面またはコーティングへの圧子の侵入運動中に、測定信号を検出するための方法及び測定デバイスを提案する目的に基づいており、それによって、試験区間のコース及び/または試験片の表面の輪郭への柔軟適応が可能になる。
【0008】
この目的は、試験片の表面またはコーティングへの圧子の侵入運動の測定信号を検出するための方法によって解決され、X方向及びY方向における測定テーブルの重ね合わされた変位運動を少なくとも一時的に制御することにより、圧子は、試験片上の少なくとも2次元試験区間に沿って誘導される。本方法は、試験区間がXY平面内の任意のコースを進むことを可能にする。圧子が試験片の表面またはコーティングに侵入するとき、測定信号は、Z方向とは異なって、また圧子に対して異なる空間方向に整列される少なくとも2つの測定デバイスによって、この試験区間に沿って検出される。少なくとも2つの測定デバイスは、好ましくは、圧子レセプタクル上に位置付けられ、圧子レセプタクルの上にまたは中に、圧子が提供される。試験区間に沿って発生し、試験区間に沿って圧子に作用する力を記録できる。これにより、試験区間を横断するときの引っかきの方向の摩擦力及び/または横方向力を記録することを可能にする。少なくとも2つの測定デバイスのセンサーは、X平面及びY平面内の任意の方向における力を検出して、有利に、ベクトル加法によって、引っかき試験に必要な摩擦力を決定できる。
【0009】
さらに、圧子は、好ましくは、試験区間の通過中に試験区間に沿って、Z方向の圧子の表面の輪郭の変化による高さ補償のために追加変位運動により重ね合わされ、圧子の変位運動はZ方向に制御され、試験荷重を加える。これは、試験片上の試験区間が3次元コースを有し得ることを意味する。これにより、過去に不可能であった様々な適用が可能になる。
【0010】
例えば、シェル表面はドリル上で試験できる。この例では、試験区間はS形輪郭を含み得、同時に、シェル表面の屈曲によるZ方向における高さの調整を可能にする。
【0011】
さらに、試験片上の試験区間のコースは、好ましくは、少なくとも2つの空間方向に記録され、試験区間を通過する前に、制御システムに、具体的には、制御システムのデータ処理プログラムに記憶されると同時に、試験荷重は、圧子によって、試験片の表面またはコーティングに加えられる。これにより、いくつかの連続試験片の再現可能試験を可能にする。
【0012】
好ましくは、試験区間の始点の位置ならびに終点の位置、及び好ましくは、少なくとも1つの中間点の位置は、試験片上で規定され、試験片によって記憶された幾何学的データは、試験区間を横断する測定テーブルの運動を制御するために、制御システムに読み込まれて処理される。試験片の表面の輪郭は、試験片の記憶された幾何学的データの提供によって知られている。始点及び終点と、好ましくは少なくとも1つの中間点とを考慮して、試験区間のコースを決定でき、次に、試験区間のコースを計算できる。
【0013】
本方法の代替の実施形態によると、始点の位置ならびに終点の位置、及び好ましくは、少なくとも1つの中間点の位置は試験片上の試験区間に対して決定され、プログラムは、データ処理デバイス、各々、制御デバイスに記憶され、制御システムが、試験片の表面の輪郭に適応して、試験区間内の幾何学的要素を選択することによって、始点と終点との間の試験区間のコースは、必要である場合、少なくとも1つの中間点も考慮され、その試験区間のコースは適合する。そのような幾何学的要素は、例えば、S形の輪郭、楕円、半円、直線、または同等物であり得、その結果、試験区間のコースは、いくつかの幾何学的要素を一緒に一続きにすることよって規定される。個々の幾何学的要素の間の移行エリアでは、好ましくは角がない試験区間のコースを決定するように、平滑化が可能になり得る。
【0014】
本方法のさらなる代替の実施形態によると、試験片は、試験区間を決定するために光学デバイスに対して位置付けられ、試験区間の始点から試験区間の終点までのコースは、次に、ティーチイン方法を使用して決定及びをセーブされる。これにより、自由に設定可能な試験区間を試験片の表面上に選択するが可能になる。
【0015】
本方法のさらに好ましい実施形態によると、試験片ホルダーは、少なくとも1つのさらなる空間方向に制御できる測定デバイスの測定テーブル上に搭載できる。これは、例えば、X軸またはY軸の周りでの、同様に、Z軸の周りでの回転運動の形態であり得る。これは、さらに、引っかき試験を実行するための順応性を向上できる。
【0016】
本発明の目的は、さらに、試験片の表面または試験片上のコーティングへの圧子の侵入運動中に測定信号を検出するための測定デバイスによって解決され、測定デバイスには、上記に説明した実施形態の1つによって方法を制御できる制御システムが提供される。したがって、この制御システムにより、測定テーブルを、引っかき試験中に、すなわち、試験区間に沿った試験荷重による圧子の変位運動中、X方向及びY方向で、相互に独立して、また同時に制御することを可能にし、その結果、X方向またはY方向に整列された直線の外側にある試験区間を横断できる。試験荷重は、試験区間に沿って、一定にまたは増加するように制御できる。また、試験片の表面または試験片上のコーティングへの圧子の侵入運動後の試験荷重の減少を制御することも可能である。試験荷重の増加または減少は、連続的または不連続的に制御できる。
【0017】
さらに、測定デバイスは好ましくは圧子レセプタクルを有し、圧子レセプタクルは、圧子を保持し、圧子を通る測定信号を検出するための少なくとも2つのセンサーを伴う少なくとも2つの測定デバイスを備え、2つの測定デバイスは、Z方向からそれる2つの空間方向に整列される。好ましくは、センサーはX方向及びY方向に整列される。さらに、少なくとも1つのセンサーは、好ましくは、Z方向の偏向を検出するために提供される。X方向及びY方向に整列されたセンサーによって記録された測定信号は、引っかき試験中に作用する摩擦力を決定するために、ベクトル加法によって記録できる。Z軸を監視するセンサーは、侵入運動を検出して、試験荷重を制御できる。具体的には、Z軸に沿って圧子を制御するとき、試験片の表面のコースを考慮して、制御システムによって、試験区間の高さプロファイルを考慮でき、その結果、圧子は、依然として、試験区間の高さの変化にかかわらず、増加する試験荷重で制御できる。
【0018】
本発明及びさらに有利な実施形態ならびにその修正は、図面に示される例を参照して、下記により詳細に記述及び説明される。本発明に従って、個々に、または任意の組み合わせで、説明及び図面から理解される特徴を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1の測定デバイスによる、圧子を保持するための圧子レセプタクルの斜視図である。
【
図3】引っかき試験のための2次元試験区間用の物体の概略図である。
【
図4】引っかき試験のための3次元試験区間を用いる物体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、測定デバイス11の斜視図を示す。そのような測定デバイス11は、フィルム、蒸着コーティング及び/または塗料等、試験片12の表面の、または試験片12上の少なくとも1つのコーティングの機械的特性及び/または物理的特性を試験するために提供できる。さらに、この測定デバイス11は、物体上のフィルム、層、またはコーティングの接着強度を決定するために提供できる。例えば、CVDまたはPVDコーティングは、それらの接着強度について試験できる。
【0021】
また、この測定デバイス11は、顕微鏡33及び/またはカメラ34を含む光学デバイス16を含む。この光学デバイス16を用いて、圧子14の侵入点から試験片12の表面までの、または試験片12のコーティングまでの情報は、記録され、電子的に評価できる。
【0022】
この測定デバイス11はベース17を含む。ベース17は測定テーブル18を収容し、測定テーブル18は、好ましくは、クロステーブルとして設計される。この測定テーブル18はX/Y平面内で移動でき、それによって、測定テーブル18は、X方向の長軸に沿って、またY方向の短軸に沿って移動できる。スタンド19は、ベース17上に提供される。持ち上げ駆動デバイス21は、このスタンド19に提供され、スタンド19を用いて、圧子レセプタクル23(
図2)は、測定テーブル18に対してZ軸に沿って移動できる。この圧子レセプタクル23は圧子14を収容する。圧子レセプタクル23に光学デバイス16が隣接し、光学デバイス16は、好ましくは、Z軸に沿って測定テーブル18に対して圧子レセプタクル23と一緒に移動可能である。持ち上げ駆動デバイス21は、柱状ガイド24及び好ましくは、スピンドル駆動装置25を含み、それによって、モーター26は、圧子レセプタクル23のZ軸に沿った変位運動を制御するために、スピンドル駆動装置25のスピンドル27を駆動させる。モーター26は、好ましくは、高解像度モーターとして設計され、その結果、非常に微細なステップの制御は、Z軸に沿った圧子レセプタクル23の進行経路を正確に制御するために可能である。
【0023】
圧子レセプタクル23は、取り外し可能な測定ヘッドハウジング29によって囲まれる。
【0024】
この測定デバイス11は、概略的に示されるデータ処理デバイス31を含む制御システムによって制御できる。このデータ処理デバイス31は、ディスプレイ、入力キーボード、及びストレージ媒体またはデータ伝送用のインターフェース等の他の接続部を含み得る。
【0025】
図2は、圧子レセプタクル23の第1の斜視図を示す。この圧子レセプタクル23はインターフェース35を含み、インターフェース35を通って、この圧子レセプタクル23は、持ち上げ駆動デバイス21、具体的には、柱状ガイド24に接続できる。圧子14を挿入するためのレセプタクル36は、インターフェース35の反対側に提供される。この圧子14は、レセプタクル36に交換可能に配置される。
【0026】
圧子レセプタクル23は、固体ジョイント装置37によって、インターフェース35とレセプタクル36との間に形成される。この固体ジョイント装置37は、少なくとも第1の固体ジョイント41を含む。第1の固形物ジョイント41は、好ましくは、閉鎖フレーム42から成る。フレーム42は、断面を見ると、長方形であり得る。上から見ると、フレームは例示的な台形輪郭を有し得る。フレーム42は、インターフェース35が提供される後端面43を含む。反対側に、フレーム42は、圧子14用のレセプタクル36が割り当てられた前端面44を含む。上側脚及び下側脚は、後端面43と前端面44との間に延在する。後端面43及び前端面44のそれぞれに隣接して、脚45はジョイント46を有する。このジョイント46は、脚45の厚さの断面先細部によって形成される。この第1の実施形態では、ジョイント46を形成するためのこの断面先細部は、脚45の全幅にわたって延在する。
【0027】
好ましくは、第1の固形物ジョイント41は一体的に形成される、すなわち、モノブロックから形成される。この第1の固形物ジョイント41はミリングによって生成できる。第1の固形物ジョイント41は、持ち上げ駆動デバイス31上の後端面43に固く接続される。結果として、前端44は、後端43に対してZ軸に沿って偏向できる。
【0028】
ジョイント46の残りの脚及び/またはフレーム42に使用される材料の幾何学的形状、具体的には、その材料の厚さに起因して、圧子14が試験片12と接触する場合、規定された力は、Z軸に沿って既定の進行経路を進んでいる間、Z方向で試験片12に伝達されるように、第1の固形物ジョイント41を設計できる。例えば、Z軸に沿った1mmの進行運動により、試験片12の表面上に載っている圧子14を用いて、例えば、30、50、100、または200Nの力を生成できる。これにより、試験片12への圧子14の侵入運動に関する規定値が生じる。これにより、初期測定値を記録することを可能にする。本実施形態では、したがって、ストローク駆動デバイス21は、Z軸に沿った圧子14の変位運動に対して第1の測定デバイス47を形成できる。
【0029】
固形物ジョイント装置37は、少なくとも1つのさらなる固形物ジョイント51を含む。好ましくは、第2の固形物ジョイント51及び第3の固形物ジョイント61が提供される。これらの固形物ジョイント41,51,61は、直接直列に、また直接互いに接続される。
【0030】
第2の固形物ジョイント51は、好ましくは、Y軸に沿って曲がりやすくなり、他の2つの空間方向に、すなわち、X軸及びZ軸に機械的に剛性がある。第2の固形物ジョイント51は突起52上に提供される。突起52は、第1の固形物ジョイント41の前端面44に直接固定される。第2の固形物ジョイント51は、好ましくは、突起52の下側に、またはバーもしくは他の支持物の下側に固定される。第2の固形物ジョイント51は脚53を含み、脚53は両側に先細部を有し得、先細部は、好ましくは、脚53上で鏡像のように形成される。これらの先細部は、好ましくは、半円の形状である。本発明の実施形態の例では、脚53が2つの部分に形成されることによって、凹部を脚53の中央領域に提供できる。
【0031】
接続要素56、好ましくは、接続プレートは、第2の固形物ジョイント51と第3の固形物ジョイント61との間に提供され、第2の固形物要素51の脚53は、接続要素56に直接合体する。有利に、第3の固形物ジョイント61の脚53は、Z軸に見られるように、この接続要素56から下向きに延在する。ウェブ53は脚53に類似して設計されていることにより、この説明を完全に参照できる。
【0032】
第3の固形物ジョイント61は、X軸に沿って曲がりやすくなり、Y軸及びZ軸に沿って他の2つの空間方向に機械的に剛性がある。第3の固形物ジョイント61の脚53は、第2の固形物ジョイント51の脚53に対して90°回転して配置される。
【0033】
第3の固形物ジョイント61の下端に、圧子14を挿入できるレセプタクル36を提供できる。
【0034】
第1の固形物ジョイント41、第2の固形物ジョイント51、及び第3の固形物ジョイント61を伴う固形物ジョイント装置37は、好ましくは、一体的に形成される。代替として、また、インターフェースは、第1の固形物ジョイント41と第2の固形物ジョイント51との間に、及び/または第2の固形物ジョイント51と第3の固形物ジョイント61との間にも提供できる。
【0035】
突起52と関連付けられるセンサー49は、測定ヘッドハウジング29の内部のホルダーに取り付けできる。また、これらのセンサー49は、Z軸に沿って、第1の固形物ジョイント41の変位運動または偏向を検出できる。センサー49からのこれらの測定信号及び線形アクチュエータ21からの信号は、それぞれ、評価のために、個々に、または両方とも使用できる。
【0036】
第2の測定デバイス57は第2の固形物ジョイント51に割り当てられ、第3の測定デバイス67は第3の固形物ジョイント61に割り当てられる。例えば、第2の測定デバイス57及び第3の測定デバイス67は、上側脚45または前端面44の上に位置付けできる。結果として、第2の測定デバイス57及び第3の測定デバイス67のセンサー58、68は、Z軸から離される。すなわち、第1の固形物ジョイント41がZ軸に沿って偏向されるとき、また、それらが移動することにより、この運動によって、測定信号が中和される。センサーホルダー72は、好ましくは、上側脚45に提供され、センサーホルダー72に使って、Y軸に沿ってセンサー58を整列して受け、X軸に沿って整列してセンサー68を受ける。ホルダー36は基準表面73を有し、基準表面73がセンサー58及びセンサー68に割り当てられることにより、基準表面73とセンサー58,68との間の距離の変化は互いに独立して検出できる。さらに、開いている、部分的に閉じている、または閉じている支持フレーム75は、基準表面73を受けるレセプタクル36に提供される。この基準表面73は、好ましくは、レセプタクル36上の圧子14の反対側に提供される。距離センサーまたは近接スイッチを使用する場合、対応するコンポーネントを基準表面73に提供できることにより、センサー58,68は、距離の変化を検出できる。
【0037】
貫通穴77は突起52に提供される。これは、突起52でさらなるボア78と整列する。このボア77は、圧子14を挿入するためのレセプタクル36のボアの円周よりも大きい。一方では、これにより、圧子14が、第1の固形物ジョイント51及び第2の固形物ジョイント61の起こり得る偏向の周辺を移動することを可能にする。他方では、ツールを用いて、ホルダー36にある圧子14を固定するために、貫通穴77を使用できる。
【0038】
脚53の凹部は、スペースを節約する配置で、第2の固形物ジョイント51及び第3の固形物ジョイント61のそれらの各々の交点を通るように、圧子14を誘導することを可能にし得る。同時に、圧子14の縦軸は、第1の固形物ジョイント51及び第2の固形物ジョイント61の各々の旋回軸の交点にある。これにより、正確な測定のために幾何学的に規定された比を可能にし得る。
【0039】
図3は、試験片12の概略図を示す。試験片12は例えばプリント基板であり、電子コンポーネント89は、プリント基板上に位置し、導体トラック90と接続される。試験片12の試験区間91は、例えば、導体トラック90の区間を形成する。始点92及び終点93は、試験区間91を規定するように決定される。また、これは、試験区間91の長さも決定する。好ましくは、さらなる中間点94は、試験区間91のコースまたは形状によって規定できる。この試験区間91では、試験片12が搭載される測定テーブル18の運動は、導体経路90または試験区間91の幾何学的形状及びコースに適応し、その運動が制御される。圧子14は、始点92上に存在するZ軸に沿って位置付けられる。次に、測定テーブル18は移動し、圧子14は試験片12に向かってZ方向に移動する。この試験区間91が、X方向またはY方向に進む完全な直線からそれるコースを有するため、測定デバイス11の制御は、測定テーブル18の変位運動をトリガーし、その結果、試験片12は、始点92、少なくとも1つの中間点93、及び終点93の間で、圧子14の下を移動する。試験区間91の始点92と第1の中間点94との間で、X方向の直線運動を制御する。第1の中間点94と、それに続く第2の中間点94との間で、X方向及びY方向における測定テーブルの変位運動の重ね合わせが制御される。有利に、別個の駆動装置は測定テーブル18の横軸ごとに提供され、その駆動装置はコントローラーによって制御できる。続いて、第2の中間点94から終点93まで、Y方向における、またはY方向の逆の直線変位運動は、再度、制御され、試験区間に沿って働く。
【0040】
圧子14が試験区間91を通過する際に圧子14に作用する力は、第2の測定デバイス57及び第3の測定デバイス67によって、X方向及びY方向に関して記録及び評価される。Z軸に沿った圧子14の運動に関して、圧子14が試験区間91を通過する際に、経路の変化は、第1の測定デバイス47によって検出される。
【0041】
図3に示される2次元試験区間91のコースは、単に例示的なものである。また、試験区間91の弓形のコース、S形コース、閉鎖円、三角形輪郭、またはXY平面内に配設される別の幾何学的輪郭は、試験区間91を形成できる。
【0042】
図4は、試験片12の代替の実施形態を示す。例えば、試験片12はドリルである。試験区間91はドリルの側面上にある。3次元試験区間91は、試験区間91の始点92と終点93との間に形成される。3次元試験区間91について、X方向及びY方向の変位運動と、また、Z軸における及び/またはZ軸の逆の変位運動との両方の重ね合わせが、側面の輪郭を辿りながら進むために必要であることを意味する。始点92から試験区間91を通過するとき、最初に、Z軸において、頂点または中間点94まで上昇する。次に、試験区間91は終点93まで降下する。試験区間91のこの高さの変化は、増加する試験荷重を加えるために、圧子の制御により重ね合わされる。したがって、増加する試験荷重は、試験区間91に沿って維持できる。
【0043】
代替として、追加試験片ホルダーは測定テーブル18上に搭載でき、そのホルダーは、例えば、試験片12、具体的には、ドリルを保持する。試験片12の縦軸は、測定テーブル18のXY平面と平行に整列できる。ドリルのシェル表面に沿って試験区間91を進んで、引っかき試験を行うために、X方向及びY方向における測定テーブル18の変位運動は、試験片レセプタクルによって、その縦軸を中心に試験片12の回転運動と協調して制御できる。この場合、Z軸の高さ補償は必要ないだろう。その理由として、試験片12は、試験片レセプタクルによる試験片12の制御された回転運動によって、また、X方向及びY方向における測定テーブル18の変位運動の追加の重ね合わせによって、試験区間91に沿って移動するためである。
【国際調査報告】