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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】エアロゾル生成
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20240723BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240723BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240723BHJP
【FI】
A24B15/16
A24D1/20
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503395
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2022070641
(87)【国際公開番号】W WO2023002022
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2110560.6
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジョエン, アシュリー
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BB17
4B043BB22
4B043BB24
4B043BC24
4B043BC27
4B043BC49
4B045AA21
4B045AB07
4B045AB08
4B045AB12
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB17
4B162AB28
4B162AC14
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル生成材料を形成する方法、この方法により得ることの可能なエアロゾル生成材料、この方法により得ることの可能なエアロゾル生成フィルム、エアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成組成物、非燃焼型エアロゾル供給システム内で使用される物品、及び物品を備える非燃焼型エアロゾル供給システムに関する。この方法は、ゲル化剤、溶媒、及びエアロゾル生成材料の任意のいずれかの更なる成分を混合するステップ、別途、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物とエアロゾル形成材料及び酸化防止剤とを混合するステップ、2つの混合物を一緒に組み合わせて、スラリーを形成するステップ、及びスラリーを乾燥させて、エアロゾル生成材料を形成するステップを含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビスの成分、誘導体又は抽出物、酸化防止剤、エアロゾル形成材料及びゲル化剤を含むエアロゾル生成材料を形成する方法であって、
(a)前記ゲル化剤、溶媒、及び前記エアロゾル生成材料の任意のいずれかの更なる成分を混合するステップと、
(b)別途、前記カンナビスの成分、誘導体又は抽出物と前記エアロゾル形成材料及び酸化防止剤とを一緒に混合するステップと、
(c)部分(a)及び部分(b)の混合物を組み合わせて、スラリーを形成するステップと、
(d)前記スラリーの層を形成するステップと、
(e)前記スラリーを乾燥させて、前記エアロゾル生成材料を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
乾燥ステップ(e)の前に、前記スラリーを固化させてゲルを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)で形成された前記層の厚さが4mm未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記層の厚さが、約1mm~約3mm、好適には約1.5mm~約2.5mmの範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エアロゾル生成材料が、1~60重量%、例えば、20~40重量%のゲル化剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記エアロゾル生成材料が、5~80重量%、例えば、30~70重量%のエアロゾル形成材料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エアロゾル生成材料が、1~50重量%、例えば、10~30重量%のカンナビスの成分、誘導体又は抽出物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エアロゾル生成材料が、約0.01~約0.25重量%の酸化防止剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エアロゾル生成材料が、固化剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エアロゾル形成材料が、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸及び炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含むか、又はこれらのうちの1つ以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾル形成材料が、グリセロール若しくはグリセロールとプロピレングリコールの組合せを含むか、又はグリセロール若しくはグリセロールとプロピレングリコールの組合せである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ゲル化剤が、多糖ゲル化剤、例えば、アルギネート、ペクチン、デンプン又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、プルラン、カラギーナン、寒天及びアガロース;ゼラチン;ガム、例えば、キサンタンガム、グアーガム及びアカシアガム;シリカ又はシリコーン化合物、例えば、PDMS及びケイ酸ナトリウム;クレイ、例えば、カオリン;並びにポリビニルアルコールから選択される1つ以上の化合物を含むか、又はこれらから選択される1つ以上の化合物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲル化剤が、アルギネート及びセルロース誘導体からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲル化剤が、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)及びセルロースアセテートプロピオネート(CAP)から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ゲル化剤が架橋されていない、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ゲル化剤がCMCである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ゲル化剤がアルギネートである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記カンナビスの成分、誘導体又は抽出物がカンナビノイドである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記カンナビノイドが、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カンナビノイドがカンナビジオールである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化防止剤がエネジオールである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、レチノール、コレカルシフェロール及びこれらの組合せから選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記スラリーの層がキャリア上に形成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記エアロゾル生成材料が充填剤を含有しない、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記キャリアが、タバコ、金属箔、紙、厚紙、木材又はこれらの組合せを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の方法により得ることの可能な又は得られる、エアロゾル生成材料。
【請求項27】
前記層の厚さが、約0.01mm~約1mm、好適には約0.05mm~約0.3mmの範囲である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法により得ることの可能な又は得られる、エアロゾル生成フィルム。
【請求項28】
請求項26に記載のエアロゾル生成材料又は請求項27に記載のエアロゾル生成フィルムを含む、エアロゾル生成組成物。
【請求項29】
非燃焼型エアロゾル供給システム内で使用される物品であって、請求項28に記載のエアロゾル生成組成物を含む、物品。
【請求項30】
請求項29に記載の物品と、非燃焼型エアロゾル供給デバイスとを備える非燃焼型エアロゾル供給システムであって、前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスが、前記物品が前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスと共に使用されるときに前記物品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスを備える、非燃焼型エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成材料を作製する方法、当該方法により得ることの可能な又は得られるエアロゾル生成材料、並びに当該エアロゾル生成材料が組み込まれる物品及びシステムに関する。
【背景】
【0002】
紙巻きタバコ、葉巻などの喫煙物品は、使用中にタバコを燃やしてタバコの煙を生成する。このような種類の物品に対する代替物は、燃焼させることなく加熱することによって基体材料から化合物を放出することにより、吸入可能なエアロゾル又は蒸気を放出する。これらは、非燃焼型喫煙物品又はエアロゾル生成アセンブリ又は非燃焼型エアロゾル供給システムと称されることがある。
【0003】
このような製品の一例は、固体のエアロゾル生成組成物を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出する加熱デバイスである。この固体のエアロゾル生成組成物は、幾つかの例では、タバコ材料を含んでもよい。加熱は、材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には吸入可能なエアロゾルを形成する。これらの製品は、非燃焼加熱式(heat not burn)デバイス、タバコ加熱デバイス、又はタバコ加熱製品と呼ばれることがある。固体エアロゾル生成組成物の少なくとも1つの成分を揮発させるための様々な異なる構成が知られている。
【0004】
別の例として、ハイブリッドデバイスがある。これらのハイブリッドデバイスは、加熱によって気化して吸入可能な蒸気又はエアロゾルを生成する液体源(ニコチンを含んでいても含んでいなくてもよい)を含む。このデバイスは、固体のエアロゾル生成組成物(タバコ材料を含んでいても含んでいなくてもよい)を更に含み、この材料の成分は、吸入可能な蒸気又はエアロゾルに同伴されて吸入媒体を生成する。
【概要】
【0005】
本発明の第1の態様は、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物、酸化防止剤、エアロゾル形成材料及びゲル化剤を含むエアロゾル生成材料を形成する方法であって、
(a)ゲル化剤、溶媒、及びエアロゾル生成材料の任意のいずれかの更なる成分を一緒に混合するステップと、
(b)別途、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物とエアロゾル形成材料及び酸化防止剤とを一緒に混合するステップと、
(c)部分(a)及び部分(b)の混合物を組み合わせることによって、スラリーを形成するステップと、
(d)スラリーの層を形成するステップと、
(e)スラリーを乾燥させて、エアロゾル生成材料を形成するステップと、
を含む方法を提供する。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様の方法により得ることの可能な又は得られるエアロゾル生成材料を提供する。
【0007】
本発明の第3の態様は、非燃焼型エアロゾル供給システムに使用される物品であって、物品が、第2の態様によるエアロゾル生成材料を含む、物品を提供する。そのような物品は、本明細書においてエアロゾル生成物品、消耗品等と代替的に称されることもある。
【0008】
本発明の第4の態様は、第3の態様による物品と、非燃焼型エアロゾル供給デバイスとを備える非燃焼型エアロゾル供給システムを提供し、非燃焼型エアロゾル供給デバイスは、物品が非燃焼型エアロゾル供給デバイスと共に使用されるときに物品からエアロゾルを生成するように構成されているエアロゾル生成デバイスを備える。幾つかの例において、デバイスは、エアロゾル生成材料を燃焼させることなく加熱するように構成された加熱器を備えてもよい。そのようなシステムは、本明細書においてエアロゾル生成アセンブリと代替的に称されることもある。
【0009】
本発明の更なる特徴及び利点は、例示のためにのみ、添付の図面を参照して、以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品の一例の断面図である。
図2図1の物品の斜視図である。
図3】物品の一例の断面立面図である。
図4図3の物品の斜視図である。
図5】非燃焼型エアロゾル供給システムの一例の斜視図である。
図6】非燃焼型エアロゾル供給システムの一例の断面図である。
図7】非燃焼型エアロゾル供給システムの一例の斜視図である。
図8】1つの例示的物品の立体分解図を示す。
図9】エアロゾル生成材料の複数の別個の部分を含む物品の一例を示す。
【詳細な説明】
【0011】
本明細書に記載される方法は、「非晶質固体」でありうるエアロゾル生成材料を生成する。幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、非晶質固体であるエアロゾル生成フィルムを含む。幾つかの実施形態において、非晶質固体は、「モノリシック固体」である。エアロゾル生成材料は、非繊維質であっても、繊維質であってもよい。例えば、エアロゾル生成材料は、実質的に非繊維質であってもよい。幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、「乾燥ゲル」であってもよい。エアロゾル生成材料は、その中に幾らかの流体、例えば液体を保持しうる固体材料である。
【0012】
上述のように、本発明は、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物、酸化防止剤、エアロゾル形成材料及びゲル化剤を含むエアロゾル生成材料を形成する方法であって、
(a)ゲル化剤、溶媒、及びエアロゾル生成材料の任意のいずれかの更なる化合物を一緒に混合するステップと、
(b)別途、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物とエアロゾル形成材料及び酸化防止剤とを一緒に混合するステップと、
(c)部分(a)及び部分(b)の混合物を組み合わせることによって、スラリーを形成するステップと、
(d)スラリーの層を形成するステップと、
(e)スラリーを乾燥させて、エアロゾル生成材料を形成するステップと、
を含む方法を提供する。
【0013】
カンナビスの成分、誘導体又は抽出物をエアロゾル生成材料に使用するときに生じうる問題は、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物が製造プロセスで酸化して、望ましくない色変化を得ることがありうることである。本発明者らは、別途、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物及びエアロゾル形成材料を酸化防止剤と一緒に混合し、次いでこの混合物を、ゲル化剤、溶媒、及び任意でいずれかの成分を含む混合物に添加することによって、望ましくない色変化を低減又は回避できることを確立した。
【0014】
エアロゾル生成材料は、エアロゾル生成組成物の一部を形成してもよい。エアロゾル生成組成物は、例えば、いずれかの他の方法で加熱、照射又は電圧印加されたときにエアロゾルを生成することができる組成物である。
【0015】
幾つかの実施形態において、エアロゾル生成組成物は、例えば、エアロゾル生成組成物の重量に基づいて約50重量%、60重量%又は70重量%のエアロゾル生成材料から約90重量%、95重量%又は100重量%までのエアロゾル生成材料を含むことができる。これらの重量%の値は、湿重量基準(WWB)、すなわち、エアロゾル生成組成物又はエアロゾル生成材料中に存在するあらゆる水又は他の溶媒を含む湿重量基準で計算される。
【0016】
幾つかの実施形態において、エアロゾル生成組成物は、エアロゾル生成材料からなる。
【0017】
幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、ヒドロゲルであり、湿重量基準で計算して約20重量%未満の水を含む。幾つかの例において、ヒドロゲルは、湿重量基準(WWB)で計算して約15重量%、12重量%又は10重量%未満の水を含むことができる。幾つかの例において、ヒドロゲルは、少なくとも約1重量%、2重量%又は少なくとも約5重量%の水(WWB)を含むことができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、湿重量基準(WWB)で計算して約20重量%未満、例えば、約15重量%、12重量%又は10重量%未満の水を含有してもよい。例えば、エアロゾル生成材料は、約1~15重量%の水、例えば、3~12重量%の水(WWB)を含有してもよい。幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、約1~5重量%の水(WWB)を含有してもよい。
【0019】
スラリー及び/又はエアロゾル生成材料の成分に関して、スラリーに存在することが本明細書において特定される成分のいずれかの量は、全ての成分が添加された後(すなわち、本発明の方法のステップ(b)の後)のスラリーに存在する成分の量に相当する。
【0020】
ゲル化剤
幾つかの例において、スラリー(又はエアロゾル生成材料)は、1~60重量%のゲル化剤を含むことができ、これらの重量は乾重量基準で計算される。好適には、スラリーは、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、又は25重量%から約60重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、又は27重量%までのゲル化剤(全て乾重量基準で計算)を含んでもよい。
【0021】
例えば、スラリーは、1~50重量%、5~45重量%、10~40重量%、15~40%、又は20~40重量%のゲル化剤を含むことができる。
【0022】
幾つかの例において、ゲル化剤は親水コロイドを含む。幾つかの例において、ゲル化剤は、多糖ゲル化剤、例えば、アルギネート、ペクチン、デンプン又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、プルラン、カラギーナン、寒天及びアガロース;ゼラチン;ガム、例えば、キサンタンガム、グアーガム及びアカシアガム;シリカ又はシリコーン化合物、例えば、PDMS及びケイ酸ナトリウム;クレイ、例えば、カオリン;並びにポリビニルアルコールから選択される1つ以上の化合物を含む(又は、である)。
【0023】
例えば、幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、アルギネート、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プルラン、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、アガロース、アカシアガム、フュームドシリカ、PDMS、ケイ酸ナトリウム、カオリン、及びポリビニルアルコールのうちの1つ以上を含む。
【0024】
幾つかの例において、ゲル化剤は、アルギネート及び/又はペクチンを含み、エアロゾル生成材料の形成の際に固化剤(例えば、カルシウム源)と組み合わせることができる。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、カルシウム架橋アルギネート及び/又はカルシウム架橋ペクチンを含むことができる。
【0025】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、1つ以上の多糖ゲル化剤を含む(又は、である)。
【0026】
幾つかの実施形態において、多糖は、アルギネート、ペクチン、デンプン若しくはその誘導体、又はセルロース若しくはその誘導体から選択される。幾つかの実施形態において、多糖ゲル化剤は、アルギネート及びセルロース誘導体から選択される。
【0027】
幾つかの例において、ゲル化剤はアルギネートを含む。幾つかの例において、アルギネートは、エアロゾル生成材料に存在する唯一のゲル化剤である。他の実施形態において、ゲル化剤は、アルギネート及び少なくとも1つの更なるゲル化剤、例えば、ペクチンを含む。
【0028】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、セルロース誘導体である。
【0029】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0030】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、グアーガム又はアカシアガムのうちの1つ以上を含む(又は、である)。
【0031】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤はCMCである。
【0032】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤は架橋されていない。ゲル化剤における架橋の非存在は、エアロゾル生成材料からのカンナビス(並びに、任意でいずれかの追加の活性物質及び/又は香料)の成分、誘導体又は抽出物のより急速な送達を容易にする。
【0033】
幾つかの実施形態において、ゲル化剤の総量とカンナビスの成分、誘導体又は抽出物の総量との重量比は、約2:1~1:2、例えば、約1.5:1~1:1.5又は1.2:1~1:1.2である。
【0034】
エアロゾル形成材料
本明細書で使用するとき、用語「エアロゾル形成材料」は、エアロゾルの生成を促進する薬剤を指す。エアロゾル形成材料は、吸入可能な固体及び/又は液体エアロゾルへの気体の初期気化及び/又は凝集を促進することによって、エアロゾルの生成を促進することができる。
【0035】
適切には、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約5重量%、10重量%、15重量%又は20重量%から約80重量%、70重量%、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%、40重量%又は35重量%までのエアロゾル形成材料(全て乾重量基準で計算)を含むことができる。
【0036】
例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、5~80重量%、10~70重量%、20~70重量%、30~70重量%、30~60重量%、35~50重量%のエアロゾル形成材料を含むことができる。スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、10~60重量%、15~50重量%、20~40重量%、又は20~30重量%のエアロゾル形成材料を代替的に含むことができる。
【0037】
エアロゾル形成材料は、可塑剤として作用してもよい。可塑剤の含有量が高すぎると、エアロゾル生成材料は、水を吸収して、使用時に適切な消費経験を作り出さない材料を得ることがある。可塑剤の含有量が低すぎると、エアロゾル生成材料は、脆くなり、容易に壊れることがある。本明細書で特定される可塑剤含有量は、エアロゾル生成材料をボビンに巻き取ることを可能にするエアロゾル生成材料可撓性をもたらし、これはエアロゾル生成に使用される物品の製造に有用である。
【0038】
適切なエアロゾル形成材料には、これに限定されるものではないが、ポリオール、例えば、エリスリトール、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコールやトリエチレングリコールのようなグリコール、並びに、非ポリオール、例えば、一価アルコール、高沸点炭化水素、酸(乳酸など)、グリセロール誘導体、エステル(ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル又はミリスチン酸塩(ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含む))、及び脂肪族カルボン酸エステル(例えば、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチル)が含まれる。エアロゾル形成材料は、好適には、メンソールを溶解しない組成物を有しうる。エアロゾル形成材料は、好適には、グリセロールを含んでもよく、グリセロールから本質的になってもよく、又はグリセロールからなってもよい。
【0039】
幾つかの例において、エアロゾル形成材料は、エリスリトール、プロピレングリコール、グリセロール、トリアセチン、ソルビトール及びキシリトールから選択される1つ以上の化合物を含む。幾つかの例において、エアロゾル形成材料は、グリセロールを含むか、グリセロールから本質的になるか、又はグリセロールからなる。
【0040】
幾つかの実施形態において、エアロゾル形成材料は、多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール及びグリセリン;多価アルコールのエステル、例えば、グリセロールモノ-、ジ-若しくはトリアセテート;並びに/又はモノ-、ジ-若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステル、例えば、ジメチルドデカンジオエート及びジメチルテトラデカンジオエートのうちの1つ以上を含む。
【0041】
幾つかの例において、エアロゾル形成材料は、グリセロール及びプロピレングリコールを含むか、又はグリセロール及びプロピレングリコールから本質的になるか、又はグリセロール及びプロピレングリコールからなる。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約5~35%のプロピレングリコール及び約10~50%のグリセロールを含むことができる。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約10~30%のプロピレングリコール及び約20~40%のグリセロールを含むことができる。
【0042】
カンナビスの成分、誘導体又は抽出物
好適には、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約1~約50重量%のカンナビスの1つ以上の成分、誘導体又は抽出物を含むことができる。
【0043】
例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約1.5重量%又は2重量%から約12重量%、10重量%、8重量%、7重量%又は6重量%までのカンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)を含むことができる(全て乾重量基準で計算)。例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約1~12重量%、約1.5~10重量%、約1.5~8重量%、約2~8重量%、又は約2~6重量%のカンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)を含むことができる。
【0044】
スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約15重量%、20重量%、約25重量%、30重量%又は35重量%から約40重量%、43重量%又は45重量%までのカンナビスの1つ以上の成分、誘導体又は抽出物を含むことができる(全て乾重量基準で計算)。例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約15~約50重量%、約25~45重量%、約30~43重量%、又は約35~40重量%のカンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)を含むことができる。
【0045】
スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約5重量%又は10重量%~約40重量%又は30重量%のカンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)を含むことができる(全て乾重量基準で計算)。例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約5~40重量%、又は約10~30重量%のカンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)を含むことができる。
【0046】
カンナビスから得ることができるいずれかの化合物又は化合物の混合物は、そのような化合物(複数可)の合成型又は他の天然源に由来するそのような化合物(複数可)を含む、それらの成分、誘導体又は抽出物でありうる。
【0047】
幾つかの実施形態において、カンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)は、カンナビノイド、任意でフィトカンナビノイド(phytocannabinoid)、又はテルペン、任意でトリテルペンから選択される1つ以上の化合物を含む。
【0048】
幾つかの実施形態において、カンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)は、1つ以上のカンナビノイド、任意でフィトカンナビノイドを含む。
【0049】
カンナビノイドは、脳内の神経伝達物質放出を抑制する細胞内のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)に作用する天然又は合成化合物の一分類である。カンナビノイドは、カンナビスなどの植物から天然に見つかるもの(フィトカンナビノイド)でもよいし、動物からのもの(内因性カンナビノイド)でもよいし、人工的に製造されたもの(合成カンナビノイド)でもよい。カンナビス種は、少なくとも85の異なるフィトカンナビノイドを表し、複数の下位分類に分けられる。これらの下位分類には、カンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノール及びカンナビノジオール、及び他のカンナビノイドが含まれる。カンナビス中に見つかるカンナビノイドには、これらに限定されるものではないが、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)が含まれる。
【0050】
幾つかの実施形態において、カンナビノイドはフィトカンナビノイドである。
【0051】
幾つかの実施形態において、テルペンはトリテルペンである。
【0052】
特定の実施形態において、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)及び/又はカンナビジオール(CBD)を含む(又は、である)。
【0053】
幾つかの実施形態において、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物は、THCを含む(又は、である)。
【0054】
特定の実施形態において、カンナビスの成分、誘導体又は抽出物は、CBDを含む(又は、である)。
【0055】
酸化防止剤
好適には、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約0.01重量%、0.05重量%、0.08重量%又は0.1重量%から約0.15重量%、0.25重量%、0.5重量%又は1重量%までの酸化防止剤を含むことができる(全て乾重量基準で計算)。
【0056】
例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、0.01~0.15重量%、0.05~0.2重量%、0.08~0.25重量%、0.1~0.15重量%の酸化防止剤を含むことができる。
【0057】
任意の酸化防止剤を本発明に使用することができる。幾つかの例において、酸化防止剤は、エネジオール、例えばアスコルビン酸を含む。酸化防止剤は、また、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、レチノール、コレカルシフェロール及びこれらの組合せからなる群から選択されうる。
【0058】
一実施形態において、1つ以上の酸化防止剤は、アスコルビン酸、及び1つ以上の追加の酸化防止剤を含む。一実施形態において、1つ以上の酸化防止剤は、アスコルビン酸ナトリウム、及び1つ以上の追加の酸化防止剤を含む。一実施形態において、1つ以上の酸化防止剤は、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸ナトリウムを含む。一実施形態において、1つ以上の酸化防止剤は、アスコルビン酸及びアスコルビン酸ナトリウムを含む。一実施形態において、酸化防止剤はアスコルビン酸である。一実施形態において、酸化防止剤はアスコルビン酸ナトリウムである。
【0059】
香料
幾つかの例において、スラリー(したがって、エアロゾル生成材料)は、また、香料を含む。香料は、本発明の方法のステップ(a)又はステップ(b)のスラリーに添加されうるが、概ねステップ(a)で添加される。
【0060】
好適には、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約60重量%、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%又は5重量%までの香料を含むことができる。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、少なくとも約0.5重量%、1重量%、2重量%、5重量%、10重量%、20重量%又は30重量%の香料を含むことができる(全て乾重量基準で計算)。例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、0.1~60重量%、1~60重量%、5~60重量%、10~60重量%、20~50重量%又は30~40重量%の香料を含むことができる幾つかの例において、香料(もし存在すれば)は、メンソールを含むか、メンソールから本質的になるか、又はメンソールからなる。幾つかの例において、スラリー及びエアロゾル生成材料は、香料を含まない。
【0061】
本明細書で使用するとき、用語「香料」及び「香味料」は、現地の規制が許す場合に成人消費者向けの製品に所望の味、香り、又は他の体性感覚を作り出すために使用できる材料を指す。それらは、天然に存在する香味材料、植物性材料、植物性材料の抽出物、合成により得られる材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、カンナビス、甘草、アジサイ、ユージノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローヴ、メープル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニスの実(アニス)、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンティン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ(Drambuie)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カット(khat)、ナスワール(naswar)、キンマ(betel)、シーシャ(shisha)、パイン、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ミント属の任意の品種から得られるミント油、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジの皮、バラ、茶(緑茶、紅茶など)、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味増強剤、苦味受容体部位遮断薬、感覚受容体部位活性化剤、若しくは刺激剤、糖類及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、木炭、クロロフィル、ミネラル、植物性材料、又は呼気清涼化剤を含んでもよい。それらは、模造成分、合成成分、若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、液体(油など)、固体(粉末など)、又は気体とすることができる。
【0062】
香料は、好適には、1種類以上のミント香料、好適にはミント属の任意の品種から得られるミント油を含んでもよい。香料は、好適には、メンソールを含むか、メンソールから本質的になるか、又はメンソールからなってもよい。
【0063】
幾つかの例において、香料は、メンソール、スペアミント及び/又はペパーミントを含む。
【0064】
幾つかの実施形態において、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類果実、及び/又はレッドベリーの香味成分を含む。
【0065】
幾つかの実施形態において、香料はオイゲノールを含む。
【0066】
幾つかの実施形態において、香料は、タバコから抽出された香味成分を含む。
【0067】
幾つかの実施形態において、香料は、カンナビスから抽出された香味成分を含む。
【0068】
幾つかの実施形態において、香料は、嗅神経又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、第5の脳神経(三叉神経)を刺激することによって通常化学的に誘起され、知覚される体性感覚を達成することを目的とした感覚剤を含んでもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、ひりつき効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱効果剤は、これに限定されるものではないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、これに限定されるものではないが、ユーカリプトールやWS-3であってもよい。
【0069】
他の活性剤
幾つかの実施形態において、カンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)は、スラリー及びエアロゾル生成材料中に存在する唯一の活性剤(複数可)である。特定の実施形態において、カンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)は、エアロゾル生成組成物中に存在する唯一の活性剤(複数可)である。しかし、エアロゾル生成材料及び/又はエアロゾル生成組成物は、追加の活性成分を更に含むことができる。この例において、他の活性剤(複数可)は、本発明の方法のステップ(a)又はステップ(b)のスラリーに添加されうるが、概ねステップ(a)で添加される。
【0070】
幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、カンナビスの成分(複数可)、誘導体(複数可)又は抽出物(複数可)に加えて、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%又は25重量%から約60重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%又は30重量%(全て乾重量基準で計算)までの別の活性物質を含むことができる。
【0071】
追加の活性物質は、本明細書で使用するとき、生理学的に活性な材料(カンナビスの成分、誘導体又は抽出物以外)であってもよく、これは、生理反応を達成又は増強することが意図される材料である。追加の活性物質は、例えば、機能性食品、向知性物質及び精神作用物質から選択してもよい。追加の活性物質は、天然に存在するものでもよいし、合成により得られるものでもよい。追加の活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6若しくはB12若しくはCなどのビタミン、メラトニン又はそれらの成分、誘導体、若しくは組合せを含んでもよい。追加の活性物質は、タバコ又は別の植物性材料の1つ以上の成分、誘導体又は抽出物を含んでもよい。
【0072】
一実施形態において、活性物質は、法的に許される娯楽的薬物である。
【0073】
幾つかの実施形態において、追加の活性物質は、ニコチンを含む。
【0074】
幾つかの実施形態において、追加の活性物質は、カフェイン、メラトニン又はビタミンB12を含む。
【0075】
本明細書に記載されるように、追加の活性物質は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体若しくは抽出物を含むか、又はそれらに由来してもよい。本明細書に記載されるように、活性成分は、1つ以上の植物性材料又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含むか、又はそれらに由来してもよい。本明細書中で使用される場合、用語「植物性材料」は、植物に由来する任意の材料を含み、これらに限定されるものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、殻、皮などを含む。あるいは、この材料は、植物性材料中に天然に存在し、又は合成により得られる活性化合物を含んでもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、破砕粒子、顆粒、ペレット、断片、細片、シートなどの形態であってもよい。植物性材料の例は、タバコ、ユーカリノキ、スターアニス、麻、カカオ、コーヒー、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ葉エキス、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、甘草、抹茶、マテ、オレンジピール、パパイヤ、バラ、セージ、茶(緑茶、紅茶など)、タイム、クローヴ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、ウコン、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、マルベリー、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、又はそれらの任意の組合せである。ミントは、以下のミント品種、すなわち、ヨウシュハッカ(Mentha arvensis)、グレープフルーツミント(Mentha c.v.)、エジプシャンミント(Mentha niliaca)、ペパーミント(Mentha piperita)、ライムミント(Mentha piperita citrata c.v.)、チョコレートミント(Mentha piperita c.v.)、カーリーミント(Mentha spicata crispa)、ワイルドミント(Mentha cordifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、パイナップルミント(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、イングリッシュスペアミント(Mentha spicata c.v.)、及びアップルミント(Mentha suaveolens)から選択してもよい。
【0076】
幾つかの実施形態において、追加の活性物質は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体若しくは抽出物を含むか、又はそれらに由来してもよく、植物性材料はタバコである。
【0077】
幾つかの実施形態において、追加の活性物質は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体若しくは抽出物を含むか、又はそれらに由来してもよく、植物性材料は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ及び麻から選択される。幾つかの実施形態において、追加の活性物質は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ及び麻から選択される植物性材料を含む(又は、である)。
【0078】
幾つかの実施形態において、追加の活性物質は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体若しくは抽出物を含むか、又はそれらに由来してもよく、植物性材料はルイボス及びウイキョウから選択される。幾つかの実施形態において、追加の活性物質は、ルイボス及びウイキョウから選択される植物性材料を含む(又は、である)。
【0079】
幾つかの例において、スラリーは、タバコ材料及び/又はニコチンを更に含む。例えば、スラリーは、粉末タバコ及び/又はニコチン及び/又はタバコ抽出物を更に含んでもよい。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%又は25重量%から約60重量%、50重量%、45重量%又は40重量%まで(全て乾重量基準で計算)の活性成分を含むことができる。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%又は25重量%から約60重量%、50重量%、45重量%又は40重量%まで(全て乾重量基準で計算)のタバコ材料及び/又はニコチンを含むことができる。
【0080】
本明細書で使用するとき、用語「タバコ材料」は、タバコ又はその派生物を含む任意の材料を指す。用語「タバコ材料」は、タバコ、タバコ派生物、膨化タバコ、再構成タバコ、又はタバコ代替物のうちの1つ以上を含んでもよい。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ葉柄、再構成タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0081】
タバコ材料を製造するために使用されるタバコは、バージニア及び/又はバーレー及び/又はオリエンタルを含む、単一グレード又はブレンド、刻みラグ又は全葉などの任意の適切なタバコであってもよい。それはまた、タバコ粒子の「微粉」又は粉塵、膨化タバコ、葉柄、膨化葉柄、及び他の加工葉柄材料(圧延刻み葉柄など)であってもよい。タバコ材料は、挽きタバコ又は再構成タバコ材料であってもよい。再構成タバコ材料は、タバコ繊維を含んでもよく、キャスティング、タバコ抽出物の背面付加を伴う長網抄紙型アプローチ、又は押出によって形成されてもよい。
【0082】
幾つかの例において、スラリーは、タバコ抽出物などの活性成分を更に含む。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約5~60重量%(全て乾重量基準で計算)のタバコ抽出物を含むことができる。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%又は25重量%から約55重量%、50重量%、45重量%又は40重量%まで(全て乾重量基準で計算)のタバコ抽出物を含むことができる。例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、5~60重量%、10~55重量%、又は25~55重量%のタバコ抽出物を含むことができる。タバコ抽出物は、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)が1重量%、1.5重量%、2重量%又は2.5重量%から約6重量%、5重量%、4.5重量%又は4重量%まで(全て乾重量基準で計算)のニコチンを含むような濃度でニコチンを含有してもよい。幾つかの例では、タバコ抽出物からもたらされるもの以外のニコチンがスラリー中に存在しなくてもよい。
【0083】
幾つかの実施形態において、スラリーは、タバコ材料を含まないが、ニコチンを含む。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、約1重量%、2重量%、3重量%又は4重量%から約20重量%、15重量%、10重量%又は5重量%まで(全て乾重量基準で計算)のニコチンを含むことができる。例えば、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、1~20重量%又は2~5重量%のニコチンを含むことができる。
【0084】
幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)中の活性成分及び/又は香料の総含有量は、少なくとも約0.1重量%、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、25重量%又は30重量%であってもよい。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)中の活性成分及び/又は香料の総含有量は、約60重量%、50重量%又は40重量%未満(全て乾重量基準で計算)であってもよい。
【0085】
幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)中のタバコ材料、ニコチン及び香料の総含有量は、少なくとも約0.1重量%、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、25重量%又は30重量%であってもよい。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)中のタバコ材料、ニコチン及び香料の総含有量は、約60重量%、50重量%又は40重量%未満(全て乾重量基準で計算)であってもよい。
【0086】
幾つかの実施形態において、スラリー及びエアロゾル生成材料は、タバコ繊維を含まない。幾つかの実施形態において、スラリー及びエアロゾル生成材料は、繊維質材料を含まない。
【0087】
幾つかの実施形態において、スラリー及びエアロゾル生成材料は、植物性材料を実質的に含まない。幾つかの実施形態において、スラリー及びエアロゾル生成材料は、植物性材料を含まない。
【0088】
幾つかの実施形態において、スラリー及びエアロゾル生成材料は、タバコを実質的に含まない。幾つかの実施形態において、スラリー及びエアロゾル生成材料は、タバコを含まない。
【0089】
充填剤
幾つかの実施形態において、スラリー(又はエアロゾル生成材料)は、充填剤を含む。幾つかの例において、スラリー(又は、エアロゾル生成材料)は、60重量%未満、例えば、1重量%~60重量%、又は5重量%~50重量%、又は5重量%~30重量%、又は10重量%~20重量%(全て乾重量基準で計算)の充填剤を含む。
【0090】
他の実施形態において、スラリー(又はエアロゾル生成材料)は、20重量%未満、好適には10重量%未満又は5重量%未満の充填剤を含む。幾つかの例において、スラリーは、1重量%未満の充填剤を含み、幾つかの例においては、充填剤を含まない。
【0091】
充填剤が存在する場合、充填剤は、1つ以上の無機充填材料、例えば炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び適切な無機吸着剤(モレキュラーシーブなど)を含んでもよい。充填剤は、1つ以上の有機充填材料、例えば木材パルプ、セルロース及びセルロース誘導体を含んでもよい。特定の例において、エアロゾル生成材料は、チョークなどの炭酸カルシウムを含まない。
【0092】
充填剤を含む特定の実施形態では、充填剤は繊維質である。例えば、充填剤は、繊維質有機充填剤材料、例えば木材パルプ、麻繊維、セルロース又はセルロース誘導体であってもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、エアロゾル生成材料中に繊維質充填剤を含むことで、材料の引張強度を増加させうると考えられる。これは、エアロゾル生成材料がシートとして提供される例、例えば、エアロゾル生成材料シートがエアロゾル生成組成物のロッドを取り囲むときにおいて、特に有利となりうる。
【0093】
幾つかの実施形態において、スラリー(及びエアロゾル生成材料)は、タバコ繊維を含まない。特定の実施形態において、スラリー(及びエアロゾル生成材料)は、繊維質材料を含まない。幾つかの実施形態において、スラリー(及びエアロゾル生成材料)は、タバコを含まない。
【0094】

スラリー(及びエアロゾル生成材料)は、酸を含んでもよい。酸は有機酸であってもよい。これらの実施形態の幾つかにおいて、酸は、一塩基酸、二塩基酸及び三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、少なくとも1つのカルボキシル官能基を含有してもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、アルファ-ヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、アルファ-ケト酸であってもよい。
【0095】
そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸及びピルビン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0096】
好適には、酸は乳酸である。他の実施形態において、酸は安息香酸である。他の実施形態において、酸は無機酸であってもよい。これらの実施形態の幾つかにおいて、酸は鉱酸であってもよい。そのような実施形態の幾つかにおいて、酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸及びリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。幾つかの実施形態において、酸はレブリン酸である。
【0097】
酸を含めることは、スラリーがニコチンを含む実施形態において特に好ましい。そのような実施形態において、酸の存在は、エアロゾル生成材料が形成されるスラリーにおいて溶解種を安定化させうる。酸の存在は、スラリーの乾燥の際にニコチンの蒸発を低減又は実質的に防止し、それによって製造の際のニコチンの損失を低減しうる。
【0098】
着色剤
スラリー及び/又はエアロゾル生成材料は、着色剤を含んでもよい。着色剤の添加は、エアロゾル生成材料の外観を変えうる。エアロゾル生成材料中の着色剤の存在は、エアロゾル生成材料及びエアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成組成物の外観を向上させうる。エアロゾル生成材料への着色剤の添加によって、エアロゾル生成材料は、エアロゾル生成組成物の他の成分又はエアロゾル生成材料を含む物品の他の成分と色合せされうる。
【0099】
様々な着色剤が、エアロゾル生成材料の所望の色に応じて使用されうる。エアロゾル生成材料の色は、例えば、白色、緑色、赤色、紫色、青色、褐色又は黒色であってもよい。他の色も想定される。天然又は合成の着色剤、例えば、天然又は合成染料、食品用着色剤及び医薬品用着色剤を使用してもよい。ある特定の実施形態において、着色剤はカラメルであり、カラメルはエアロゾル生成材料に褐色の外観を付与しうる。そのような実施形態において、エアロゾル生成材料の色は、エアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成組成物の他の成分(例えば、タバコ材料)の色と類似しうる。幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料への着色剤の添加は、エアロゾル生成材料をエアロゾル生成組成物の他の成分と視覚的に区別不能にする。
【0100】
着色剤を、エアロゾル生成材料の形成の際に(例えば、本発明の方法のステップ(a)若しくは(b)において)組み込んでもよいか、又はエアロゾル生成材料が形成された後に(例えば、着色剤をエアロゾル生成材料に噴霧して)付与してもよい。
【0101】
幾つかの例において、スラリーは、ゲル化剤、エアロゾル形成材料、タバコ材料及び/又はニコチン源、水、並びに任意で香味料から本質的になるか、又はそれらからなっていてもよい。
【0102】
乾燥プロセス
幾つかの例において、乾燥ステップ(e)は、スラリー中の(WWBで)約50重量%、60重量%、70重量%、80重量%又は90重量%~約80重量%、90重量%又は95重量%の水を除去してもよい。
【0103】
幾つかの例において、得られるエアロゾル生成材料は、湿重量基準で計算して約1重量%~約15重量%の水を含む。好適には、得られるエアロゾル生成材料は、湿重量基準(WWB)で計算して約5重量%~約15重量%の水を含む。好適には、エアロゾル生成材料の含水量は、(WWBで)約5重量%、7重量%、又は9重量%~約15重量%、13重量%、又は11重量%であってもよく、最も好適には約10重量%であってもよい。
【0104】
乾燥プロセスは、エアロゾル生成材料の最終含水量を制御するので、重要である。特に、エアロゾル生成材料の含水量が高すぎると、その使用時の性能が損なわれる。水の高い熱容量は、含水量が高すぎる場合、エアロゾルを生成するためにより多くのエネルギーが必要となり、動作効率を低下させることを意味する。更に、含水量が高すぎると、高温で湿ったパフ(当技術分野で「ホットパフ」として知られる感覚)の発生により、パフプロファイルが消費者にとってあまり満足のいくものでなくなる可能性がある。更に、含水量が高すぎる場合、微生物増殖が起こりうる。逆に、含水量が低すぎると、材料が脆くなり、取り扱いが困難になる可能性がある。エアロゾル形成材料の吸湿性は、含水量が低すぎる場合に、水分が大気から材料に引き込まれ、材料を不安定にすることを意味しうる。
【0105】
乾燥プロセスが急速に行われすぎると、エアロゾル生成材料に亀裂が入る。加熱により亀裂したエアロゾル生成材料から生成されたエアロゾルは、亀裂しなかった固体と比較して一貫性が低い。したがって乾燥プロセスは、エアロゾル生成及び使用者の満足度に影響を与えるので重要である。
【0106】
幾つかの例において、乾燥は、スラリー厚さの約5%~20%、好適には約10%である厚さを有するエアロゾル生成材料をもたらす。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、約0.015mm~約1.0mmの厚さを有してもよい。好適には、厚さは、約0.05mm、0.1mm、又は0.15mm~約0.5mm又は0.3mmの範囲であってもよい。約0.2mmの厚さを有する材料が特に適している。エアロゾル生成材料は、2つ以上の層を備えてもよく、本明細書に記載される厚さは、これらの層の合計厚さを指す。
【0107】
幾つかの例において、本方法は、約4mm厚未満のスラリーの層を形成することを含む。好適には、スラリー層の厚さは、約1mm~約3mm、好適には約1.5mm~約2.5mmの範囲である。幾つかの例において、スラリー層の厚さは、約2mmである。
【0108】
スラリー層が厚すぎる場合、乾燥によって、必要な含水量を有するエアロゾル生成材料を形成し、同時に乾燥時に固体の亀裂を最小限にすることは困難になりうる。
【0109】
エアロゾル生成材料が厚すぎる場合、加熱効率が損なわれる可能性がある。これは、使用時の消費電力に悪影響を及ぼす。逆に、エアロゾル生成材料が薄すぎる場合、製造及び取り扱いが困難である可能性がある。つまり、非常に薄い材料は、キャストすることがより困難であり、また、壊れやすく、使用中のエアロゾル形成を損なう可能性がある。
【0110】
本明細書で規定されるエアロゾル生成材料の厚さは、これらの競合する検討事項を考慮して材料特性を最適化することを見出した。
【0111】
本明細書に規定される任意の厚さは、平均厚さである。幾つかの例において、厚さは、25%、20%、15%、10%、5%、又は1%以下だけ変動してもよい。
【0112】
幾つかの例において、乾燥ステップ(e)は、空気をゲル上に流すことを含み、空気温度は約80℃~約140℃の範囲である。幾つかの例において、空気の流速は約30m/s未満であり、好適には10m/s~30m/sである。幾つかの例において、空気の流速は約20m/sである。
【0113】
幾つかの例において、乾燥ステップ(e)は、ゲルを約40分、30分又は20分未満で加熱することを含む。幾つかの例において、乾燥ステップ(d)は、ゲルを少なくとも約10分間加熱することを含む。
【0114】
幾つかの例において、乾燥ステップ(e)は、ゲルを約80℃、85℃又は90℃~約130℃、120℃又は110℃の範囲の温度に加熱することを含む。
【0115】
幾つかの例において、乾燥の際のゲルの表面温度は、約100℃を超えない。
【0116】
ステップ(e)の際に、スラリーを加熱して、少なくとも約60重量%、70重量%、80重量%、85重量%又は90重量%の溶媒を除去してもよい。
【0117】
固化剤
幾つかの例において、スラリーを乾燥ステップ(e)の前に固化させて、ゲルを形成する。
【0118】
ゲルを固化することは、スラリーに固化剤を添加する必要がありうる。例えば、スラリーは、ゲル化剤として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム又はアルギン酸アンモニウムを含み、カルシウム源(例えば、塩化カルシウム又は乳酸カルシウム)を含む固化剤をスラリーに添加して、アルギン酸カルシウムゲルを形成してもよい。幾つかの例において、固化剤をステップ(c)の後にスラリーを添加してもよい。幾つかの例において、固化剤をステップ(d)の後にスラリーに噴霧してもよい。
【0119】
例において、固化剤は、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム又はこれらの組合せを含む又はからなる。幾つかの例において、固化剤は、ギ酸カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを含む又はからなる。特定の例において、固化剤は、ギ酸カルシウムを含む又はからなる。典型的には、ギ酸カルシウムを固化剤として用いると、より大きな引張強度及びより大きな伸び抵抗を有するエアロゾル生成材料をもたらす。
【0120】
カルシウム源などの固化剤の総量は、0.5~5重量%(乾重量基準で計算して)であってもよい。好適には、総量は、約1重量%、2.5重量%又は4重量%~約4.8重量%又は4.5重量%であってもよい。固化剤の添加量が少なすぎると、エアロゾル生成材料成分を安定化させずに、これらの成分がエアロゾル生成材料から脱落することを招くようなエアロゾル生成材料が得られる可能性がある。逆に、固化剤の添加量が多すぎると、非常に粘着性で、結果として取り扱い性に乏しいエアロゾル生成材料が得られる可能性がある。
【0121】
エアロゾル生成材料がタバコを含有しない場合、より多い量の固化剤を付与する必要がありうる。幾つかの例において、したがって固化剤の総量は、乾重量基準で計算して約0.5~約12重量%、例えば、約5~約10重量%であってもよい。好適には、総量は、約5重量%、6重量%又は7重量%~約12重量%又は10重量%であってもよい。この例において、エアロゾル生成材料は、一般に全くタバコを含有しない。
【0122】
アルギン酸塩はアルギン酸の誘導体であり、典型的には高分子量重合体(10~600kDa)である。アルギン酸は、(1,4)-グリコシド結合で一緒に連結されて多糖を形成するβ-D-マンヌロン酸(M)及びα-L-グルロン酸(G)ユニット(ブロック)の共重合体である。カルシウムカチオンが添加されると、アルギネートは架橋してゲルを形成する。高いG単量体含有量を有するアルギン酸塩は、カルシウム源の添加時に、より容易にゲルを形成する。したがって、幾つかの例において、スラリーは、アルギネート共重合体中の単量体ユニットの少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、又は70%がα-L-グルロン酸(G)ユニットであるアルギン酸塩を含んでもよい。
【0123】
幾つかの例において、スラリーは、46.5℃において約10~約20pa.s、例えば46.5℃において約14~約16Pa.sの粘度を有する。
【0124】
幾つかの例において、スラリー層は、スラリーをキャストすることにより形成される。
【0125】
溶媒
幾つかの実施形態において、スラリー溶媒は、水、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、アセトン、ヘキサン及びトルエンのうちの1つ以上を含むか、又はこれらのうちの1つ以上である。
【0126】
特定の実施形態において、スラリー溶媒は、水を含んでもよい。幾つかの例において、スラリー溶媒は、水から本質的になっても、又は水からなってもよい。
【0127】
幾つかの例において、スラリーは、約50重量%、60重量%、70重量%、80重量%又は90重量%の溶媒(WWB)を含むことができる。
【0128】
幾つかの例において、スラリーは、46.5℃において約1~約20Pa.s、例えば46.5℃において約10~約20Pa.s、例えば46.5℃において約14~約16Pasの粘度を有する。
【0129】
エアロゾル生成材料に関する本明細書の考察は、本発明の任意のスラリー態様との組合せにより明確に開示される。よって、スラリーに関する百分率又は百分率範囲の任意の考察もエアロゾル生成材料に適用され、その逆も同様であるが、但し百分率が乾重量基準であることが条件である。
【0130】
キャリア
幾つかの例において、キャリアが提供され、スラリーの層がキャリア上で形成される。よって、本発明の物品は、キャリア上にエアロゾル生成材料を含んでもよい。キャリアが使用されるとき、スラリー(及びエアロゾル生成材料)は、充填剤を含まなくてもよい。キャリアは、エアロゾル生成材料層がその上に形成される支持体として機能し、製造を容易にする。キャリアは、エアロゾル生成材料層に剛性をもたらして、取り扱いを容易にしてもよい。キャリアは、エアロゾル生成材料を支持するために使用することの可能な任意の適切な材料であってよい。幾つかの例において、キャリアは、金属箔、紙、カーボン紙、耐油紙、セラミック、炭素同素体(例えばグラファイト及びグラフェン)、プラスチック、厚紙、木材、又はこれらの組合せから選択される材料から形成されてもよい。幾つかの例において、キャリアは、タバコ材料(再構成タバコのシートなど)を含むか、又はタバコ材料からなってもよい。幾つかの例において、キャリアは、金属箔、紙、厚紙、木材、又はそれらの組合せから選択される材料から形成されてもよい。幾つかの例において、キャリアは紙を含む。幾つかの例において、キャリア自体は、前述のリストから選択される複数の材料の層を備える積層構造である。幾つかの例において、キャリアは、香味キャリアとしても機能しうる。例えば、キャリアに香味料又はタバコ抽出物を含浸させてもよい。
【0131】
好適には、キャリア層の厚さは、約10μm、15μm、17μm、20μm、23μm、25μm、50μm、75μm又は0.1mm~約2.5mm、2.0mm、1.5mm、1.0mm又は0.5mmの範囲であってもよい。キャリアは、2つ以上の層を備えてもよく、本明細書に記載の厚さは、これらの層の合計厚さを指す。
【0132】
幾つかの例において、キャリアは非磁性であってもよい。
【0133】
幾つかの例において、キャリアは磁性であってもよい。この機能は、使用時にキャリアをアセンブリに固定するために使用されてもよく、又は特定のエアロゾル生成材料形状を生成するために使用されてもよい。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、使用時に固体を誘導加熱器に固定するために使用することのできる1つ以上の磁石を備えてもよい。
【0134】
幾つかの例において、キャリアは、気体及び/又はエアロゾルに対して実質的に又は完全に不透過性であってもよい。これは、エアロゾル又は気体がキャリア層を通過することを防止し、それによって流れを制御し、エアロゾル又は気体が使用者に確実に送達されるようにする。これはまた、使用中に気体/エアロゾルが、例えば非燃焼型エアロゾル供給システムに設けられた加熱器の表面上で、凝縮又は他の堆積を生じることを防止するために利用することもできる。このようにして、幾つかの例において、消費効率及び衛生を改善することができる。
【0135】
幾つかの例において、エアロゾル生成材料に当接するキャリアの表面は、多孔質であってもよい。例えば、ある例では、キャリアは紙を備える。紙などの多孔質キャリアは本発明に特に適しており、多孔質(例えば、紙)層がエアロゾル生成材料層に当接し、強い結合を形成する。エアロゾル生成材料は、ゲルを乾燥させることによって形成され、そして、理論によって限定されるものではないが、ゲルを形成するスラリーは、多孔質キャリア(例えば、紙)に部分的に含浸し、その結果、ゲルが固化して架橋を形成するときにキャリアが部分的にゲルに結合されると考えられる。これは、ゲルとキャリアとの間(及び乾燥ゲルとキャリアとの間)に強い結合をもたらす。
【0136】
これに加えて、表面粗さが、エアロゾル生成材料及びキャリア間の結合の強度に寄与しうる。(キャリアに当接する表面の)紙の粗さは、好適には50~1000ベック(Bekk)秒の範囲であって、好適には50~150ベック秒、好適には100ベック秒(50.66~48.00kPaの空気圧区間にわたって測定)でありうる。(ベック平滑度試験機は、紙表面の平滑度を測定するために使用される機器である。この試験機では、平滑なガラス表面と紙試料との間に特定圧力の空気が侵入させられる。これらの表面の間に、ある固定体積の空気が浸透する時間(秒)が「ベック平滑度」である)。
【0137】
逆に、キャリアのうちエアロゾル生成材料に対向しない表面は、加熱器に接触させて配置されてもよく、また、より滑らかな表面は、より効率的な熱移動を提供しうる。したがって、幾つかの例において、キャリアは、エアロゾル生成材料に当接する、より粗い面と、エアロゾル生成材料に対向しない、より滑らかな面とを有するように配置される。
【0138】
1つの特定の例では、キャリアは、紙で裏打ちされた箔であってもよく、ここで、紙層はエアロゾル生成材料層に当接し、これまでの段落で論じた特性がこの当接によってもたらされる。箔裏打ちは実質的に不浸透性であり、エアロゾル流路の制御をもたらす。金属箔裏打ちは、エアロゾル生成材料に熱を伝える作用も果たしうる。
【0139】
別の例では、紙裏打ち箔の箔層がエアロゾル生成材料に当接する。箔は実質的に不浸透性であり、エアロゾル生成材料中に与えられる水分が紙に吸収される(これは、紙の構造的一体性を弱めかねない)ことを防止する。
【0140】
幾つかの例において、キャリアは、金属箔(アルミニウム箔など)から形成されるか、又は金属箔を備える。金属のキャリアは、エアロゾル生成材料への熱エネルギーのより良好な伝達を可能にしうる。加えて、又は代替として、金属箔は、誘導加熱システム内のサセプタとして機能してもよい。特定の実施形態では、キャリアは、金属箔層と、支持層(厚紙など)を備える。これらの実施形態では、金属箔層は、20μm未満、例えば約1μm~約10μm、好適には約5μmの厚さを有してもよい。
【0141】
幾つかの例において、キャリアは、約0.017mm~約2.0mm、好適には約0.02mm、0.05mm、又は0.1mmから約1.5mm、1.0mm、又は0.5mmまでの厚さを有してもよい。
【0142】
幾つかの例において、スラリーの層は、伝導性支持体材料上に形成されてもよい。キャリアが存在する場合、キャリアは伝導性支持体材料上に提供され、スラリーは、キャリア上で成形される。乾燥ステップ(e)は、伝導性支持体材料を加熱することを含んでもよい。
【0143】
幾つかの例において、乾燥ステップ(e)は、伝導性支持体材料を少なくとも約100℃に加熱すること、及び空気をゲル上に流すことを含んでもよく、ここで空気温度は約80℃~約140℃の範囲である。このようにゲルは両側から加熱され、所望の特性を有するエアロゾル生成材料をもたらすので、このことは特に有利な乾燥プロセスである。単に熱空気流により乾燥することと比較して、エアロゾル生成材料が形成される基体から、エアロゾル生成材料が離層する可能性を低減することも見出された。
【0144】
幾つかの例において、乾燥ステップ(e)は、(ei)伝導性支持体材料を少なくとも約100℃に加熱すること、(eii)空気をゲル上に流すこと(ここで、空気温度が約80℃~約140℃の範囲である)、及び(eiii)伝導性支持体材料を少なくとも約100℃に加熱することを含み、ここで、(ei)及び(eii)は同時又は順次に行われ、(eiii)は(ei)及び(eii)が完了した後に行われる。
【0145】
得られるエアロゾル生成材料は、任意の好適な面密度、例えば、30g/m~120g/m、好適には約30~70g/m又は約40~60g/mを有してもよい。幾つかの実施形態において、得られるエアロゾル生成材料は、約80~120g/m、又は約70~110g/m、又は特に約90~110g/mの面密度を有してもよい。このような面密度は、エアロゾル生成材料が物品/非燃焼型エアロゾル供給システムにシート形態で、又は細断シートとして含まれる場合(以下で更に説明する)に特に好適となりうる。
【0146】
上記のように、本発明の更なる態様は、
第1の態様の方法により得ることの可能な又は得られるエアロゾル生成材料、
非燃焼型エアロゾル供給システムに使用される物品であって、第1の態様の方法により得ることの可能な又は得られるエアロゾル生成材料を含む、物品、並びに
第3の態様による物品と、非燃焼型エアロゾル供給デバイスとを備える非燃焼型エアロゾル供給システムであって、非燃焼型エアロゾル供給デバイスが、物品が非燃焼型エアロゾル供給デバイスと共に使用されるときに、物品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスを備える、非燃焼型エアロゾル供給システム、を提供する。幾つかの例において、デバイスは、エアロゾル生成材料を燃焼させることなく加熱するように構成された加熱器を備えてもよい。
【0147】
幾つかの例において、加熱器は、使用時に、エアロゾル生成材料を燃焼させることなく120℃~350℃に加熱してもよい。幾つかの例において、加熱器は、使用時に、エアロゾル生成材料を燃焼させることなく140℃~250℃に加熱してもよい。幾つかの例において、使用時に、エアロゾル生成材料の実質的に全体が、加熱器から約4mm、3mm、2mm、又は1mm未満にある。幾つかの例において、この固体は、加熱器から約0.010mm~2.0mm、好適には約0.02mm~1.0mm、好適には0.1mm~0.5mmに配置される。これらの最小距離は、幾つかの例において、エアロゾル生成材料を支持するキャリアの厚さを反映してもよい。幾つかの例において、エアロゾル生成材料の表面は、加熱器に直接当接してもよい。
【0148】
加熱器は、エアロゾル生成材料を燃焼させることなく加熱するように構成される。加熱器は、幾つかの例において、電気抵抗加熱器、例えば薄膜電気抵抗加熱器であってもよい。他の例では、加熱器は、誘導加熱器やその他の加熱器を備えてもよい。加熱器は、可燃性熱源であってもよいし、使用時に発熱反応を起こして熱を生成する化学的熱源であってもよい。非燃焼型エアロゾル供給システムは、複数の加熱器を備えてもよい。これらの加熱器は、電池によって電力供給されてもよい。
【0149】
非燃焼型エアロゾル供給システムは、冷却要素及び/又はフィルターを更に備えてもよい。冷却要素が存在する場合、冷却要素は、気体成分又はエアロゾル成分を冷却するように作用又は機能してもよい。幾つかの例において、冷却要素は、気体成分が凝縮してエアロゾルを形成するように気体成分を冷却するよう作用してもよい。冷却要素はまた、装置の非常に熱い部分を使用者から離間させるように作用してもよい。フィルターが存在する場合、フィルターは、セルロースアセテートプラグなど、当技術分野で公知の任意の適切なフィルターを備えてもよい。
【0150】
幾つかの例において、非燃焼型エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式(heat-not-burn)デバイスであってもよい。すなわち、非燃焼型エアロゾル供給システムは、固体のタバコ含有材料を含んでもよい(液体のエアロゾル生成組成物は含まない)。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、タバコ材料を含んでもよい。非燃焼加熱式デバイスは、WO2015/062983A2に開示されており、その公報の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
幾つかの例において、非燃焼型エアロゾル供給システムは、ハイブリッドシステムであってもよい。すなわち、非燃焼型エアロゾル供給システムは、固体のエアロゾル生成組成物と液体のエアロゾル生成組成物を含んでもよい。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、ニコチンを含んでもよい。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、タバコ材料を含んでもよい。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、タバコ材料及び別個のニコチン源を含んでもよい。これら別個のエアロゾル生成材料は、別個の加熱器によって加熱されてもよいし、同じ加熱器によって加熱されてもよいし、ある例では、下流のエアロゾル生成組成物が、上流のエアロゾル生成組成物から生成される高温のエアロゾルによって加熱されてもよい。ハイブリッドデバイスは、WO2016/135331A1に開示されており、この公報の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
非燃焼型エアロゾル供給システムに使用される物品(本明細書では、エアロゾル生成物品、カートリッジ、又は消耗品と称されることもある)は、THP、ハイブリッドデバイス、又は別のエアロゾル生成デバイスにおける使用に適合されうる。幾つかの例において、この物品は、フィルター及び/又は冷却要素(これらについては上述した)を更に備えてもよい。幾つかの例において、物品は、紙などの包装材料によって取り囲まれていてもよい。
【0153】
物品は、通気孔を更に備えてもよい。これらは、物品の側壁に設けられてもよい。幾つかの例において、通気孔は、フィルター及び/又は冷却要素に設けられてもよい。これらの孔は、使用中に冷たい空気が物品内に引き込まれることを可能にし、この冷たい空気は、加熱された揮発成分と混合し、それによってエアロゾルを冷却することができる。
【0154】
通気は、物品が使用時に加熱されるときに、物品から可視の加熱揮発成分が生成されることを促進する。加熱揮発成分は、加熱揮発成分の過飽和が生じるように加熱揮発成分を冷却する工程によって可視化される。加熱揮発成分は、この後、液滴形成(核形成としても知られる)を受け、最終的に、加熱揮発成分のエアロゾル粒子のサイズは、加熱揮発成分の更なる凝縮によって、及び加熱揮発成分から新たに形成された液滴の凝集によって、増大する。
【0155】
幾つかの例において、加熱揮発成分と冷たい空気との合計に対する冷たい空気の比率(通気比として知られる)は、少なくとも15%である。15%という通気比は、加熱揮発成分を上述の方法によって可視化することを可能にする。加熱揮発成分の可視性は、使用者が、揮発成分が生成されたことを識別できるようにし、喫煙体験の知覚体験を高める。
【0156】
別の例では、加熱揮発成分を更に冷却するために、通気比が50%~85%である。幾つかの例において、通気比は、少なくとも60%又は65%であってもよい。
【0157】
幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、シート形態で物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、平坦なシートとして含まれてもよい。幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、平坦なシートとして、ひだ若しくはギャザーをつけたシートとして、波形のシートとして、又は巻かれたシートとして(すなわち、管の形態で)含まれてもよい。そのような例の幾つかにおいて、エアロゾル生成材料は、シートとして、例えばエアロゾル生成組成物(タバコなど)のロッドを取り囲むシートとして、物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれてもよい。他の幾つかの例では、エアロゾル生成材料は、シートとして形成され、次いで細断され、物品に組み込まれてもよい。幾つかの例において、細断されたシートは、刻みラグタバコと混合され、物品に組み込まれてもよい。
【0158】
幾つかの例において、シート形態のエアロゾル生成材料は、約200N/m~約900N/mの引張強度を有してもよい。エアロゾル生成材料が充填剤を含まない例など、幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、200N/m~400N/m、又は200N/m~300N/m、又は約250N/mの引張強度を有してもよい。このような引張強度は、エアロゾル生成材料がシートとして形成され、次いで細断され、物品に組み込まれる実施形態に特に好適となりうる。エアロゾル生成材料が充填剤を含む例など、幾つかの例において、エアロゾル生成材料は、600N/m~900N/m、又は700N/m~900N/m、又は約800N/mの引張強度を有してもよい。このような引張強度は、エアロゾル生成材料が、巻かれたシートとして、好適には管の形態で、物品/非燃焼型エアロゾル供給システムに含まれる実施形態に特に好適となりうる。
【0159】
シートはラッパー(wrapper)の形態であってもよく、ギャザーをつけてギャザーシートを形成してもよく、又は細断して、細断シートを形成してもよい。細断シートは、エアロゾル生成材料の1つ以上のストランド又は細片を備えてもよい。
【0160】
1つの例において、本発明の物品は、エアロゾル生成材料の完全な被覆を有する平坦な支持体を備え、これはエアロゾル生成フィルムの形態であってもよい。エアロゾル生成フィルムは、約0.015mm~約1mmの厚さを有してもよい。例えば、厚さは、約0.05mm、0.1mm又は0.15mmから約0.5mm又は0.3mmmまでの範囲でありうる。図8は、そのような物品の略図を提供し、これは、支持層4及びエアロゾル生成材料層2を含む。
【0161】
あるいは、エアロゾル生成材料は、非連続シート又はフィルムの形態であってもよい。例えば、物品は、エアロゾル生成材料の1つ以上の別個の部分又は領域を備えてもよく、例えば、ドット、ストライプ又はラインであり、これらは支持体上に支持されていてもよい。そのような実施形態において、支持体は平坦であっても、非平坦であってもよい。上述のように、エアロゾル生成材料が支持体上に存在する場合、エアロゾル生成材料は概ねあらゆる充填剤を含まない。
【0162】
幾つかの例において、エアロゾル生成材料の別個の部分は、実質的に丸形、円筒形又は半球形である。幾つかの例において、実質的に丸形、円筒形又は半球形のエアロゾル生成材料のグリッド形状分布が存在する。
【0163】
幾つかの例において、本発明の物品は、エアロゾル生成材料の複数の別個の部分が堆積した平坦な支持体を備える。
【0164】
図9は、物品(401)の一例を提供し、エアロゾル生成材料の別個の部分(403)が物品上に提供されている。
【0165】
非燃焼型エアロゾル供給システムは、一体化された物品と加熱器を備えてもよく、あるいは使用時に物品が挿入される加熱デバイスを備えてもよい。
【0166】
非燃焼型エアロゾル供給システムは、一体化された物品と加熱器を備えてもよく、又は使用時に物品が挿入される加熱デバイスを備えてもよい。
【0167】
図1及び2を参照すると、物品101の一例の部分破断断面図及び斜視図が示されている。物品101は、電源及び加熱器を有するデバイスと共に使用されるように適合されている。この実施形態の物品101は、以下に説明する図5図7に示すデバイス1と共に使用するのに特に適している。使用時には、物品101は、図5に示すデバイス1の挿入箇所20においてデバイスに取り外し可能に挿入することができる。
【0168】
一例の物品101は、エアロゾル生成組成物体103と、ロッドの形態のフィルターアセンブリ105とを含む略円筒状ロッドの形態をしている。エアロゾル生成組成物は、本明細書に記載のエアロゾル生成材料を含む。幾つかの実施形態において、それはシート形態で含まれてもよい。幾つかの実施形態において、それは細断シートの形態で含まれてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるエアロゾル生成組成物は、シート形態と細断形態とで組み込まれてもよい。
【0169】
フィルターアセンブリ105は、冷却セグメント107、フィルターセグメント109、及び口側端セグメント111という3つのセグメントを含む。物品101は、口側端又は近位端としても知られる第1の端部113と、遠位端としても知られる第2の端部115を有する。エアロゾル生成組成物体103は、物品101のうち遠位端115側に配置されている。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107がエアロゾル生成組成物103及びフィルターセグメント109と当接関係にあるように、エアロゾル生成組成物体103とフィルターセグメント109との間において、エアロゾル生成組成物体103に隣接して配置される。他の例では、エアロゾル生成組成物体103と冷却セグメント107との間、及びエアロゾル生成組成物体103とフィルターセグメント109との間に分離部があってもよい。フィルターセグメント109は、冷却セグメント107と口側端セグメント111との間に配置されている。口側端セグメント111は、物品101の近位端113側に配置され、フィルターセグメント109に隣接している。一例では、フィルターセグメント109は、口側端セグメント111と当接関係にある。一実施形態では、フィルターアセンブリ105の全長は37mm~45mmであり、より好ましくは、フィルターアセンブリ105の全長は41mmである。
【0170】
一例では、エアロゾル生成組成物103のロッドは、34mm~50mmの長さを有し、好適には38mm~46mmの長さを有し、好適には42mmの長さを有する。
【0171】
一例では、物品101の全長は、71mm~95mmであり、好適には79mm~87mmであり、好適には83mmである。
【0172】
エアロゾル生成組成物体103の軸方向の一端は、物品101の遠位端115で目視可能である。しかし、他の実施形態では、物品101の遠位端115は、エアロゾル生成組成物体103の軸方向の一端を覆う端部材(図示せず)を備えてもよい。
【0173】
エアロゾル生成組成物体103は、環状チッピングペーパー(図示せず)によってフィルターアセンブリ105に接合され、環状チッピングペーパーは、フィルターアセンブリ105を取り囲むように実質的にフィルターアセンブリ105の周囲に配置され、エアロゾル生成組成物体103の長さに沿って部分的に延在する。一例では、チッピングペーパーは、58GSM標準チッピングベースペーパーから作製される。一例では、チッピングペーパーは、42mm~50mm、好適には46mmの長さを有する。
【0174】
一例において、冷却セグメント107は、環状の管であり、冷却セグメント内の空隙の周囲に配置されて、その空隙を画定する。この空隙は、エアロゾル生成組成物体103から生成された加熱揮発成分が流れるチャンバを提供する。冷却セグメント107は、エアロゾル蓄積のためのチャンバを提供するように中空であるが、製造中及び物品101がデバイス1への挿入中に使用される間に生じうる軸方向圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有する。一例では、冷却セグメント107の壁の厚さは約0.29mmである。
【0175】
冷却セグメント107は、エアロゾル生成組成物103とフィルターセグメント109との間に物理的変位を提供する。冷却セグメント107によって提供される物理的変位は、冷却セグメント107の長さ方向の両端間に熱勾配をもたらす。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1の端部に入る加熱揮発成分と冷却セグメント107の第2の端部から出る加熱揮発成分との間に少なくとも摂氏40度の温度差をもたらすように構成される。一例では、冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1の端部に入る加熱揮発成分と冷却セグメント107の第2の端部から出る加熱揮発成分との間に少なくとも60℃の温度差をもたらすように構成される。冷却要素107の長さ方向の両端間におけるこの温度差は、エアロゾル生成組成物103がデバイス1によって加熱されたときに、感温性のフィルターセグメント109をエアロゾル生成材料103の高温から保護する。フィルターセグメント109と、エアロゾル生成組成物体103及びデバイス1の加熱要素との間に物理的変位が設けられないとすれば、感温性のフィルターセグメント109は、使用中に損傷を受けて、その必要な機能を効果的に発揮しなくなる可能性がある。
【0176】
一例では、冷却セグメント107の長さは少なくとも15mmである。一例では、冷却セグメント107の長さは、20mm~30mm、より具体的には23mm~27mm、より具体的には25mm~27mm、好適には25mmである。
【0177】
冷却セグメント107は紙製であり、これは、冷却セグメント107が、使用時においてデバイス1の加熱器に隣接するときに、懸念のある化合物(例えば毒性化合物)を生成しない材料から構成されることを意味する。一例では、冷却セグメント107は、中空の内部チャンバを提供するが機械的剛性を維持する螺旋巻き紙管から製造される。螺旋巻き紙管は、管の長さ、外径、真円度及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0178】
別の例では、冷却セグメント107は、堅いプラグラップ又はチッピングペーパーから作られた凹部である。堅いプラグラップ又はチッピングペーパーは、製造中及び物品101がデバイス1への挿入中に使用されている間に生じうる軸方向圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有するように製造される。
【0179】
フィルターセグメント109は、エアロゾル生成材料からの加熱揮発成分から1つ以上の揮発化合物を除去するのに十分な任意のフィルター材料から形成されてもよい。一例では、フィルターセグメント109は、セルロースアセテートなどのモノアセテート材料から作製される。フィルターセグメント109は、加熱揮発成分の量を使用者にとって不満足なレベルまで枯渇させることなく、加熱揮発成分の冷却と刺激低減をもたらす。
【0180】
幾つかの実施形態において、フィルターセグメント109内にカプセル(図示せず)を設けてもよい。このカプセルは、フィルターセグメント109の径方向及び長さ方向の双方において、フィルターセグメント109の実質的に中心に配置されてもよい。他の例では、カプセルを1つ以上の次元において中心からずらしてもよい。幾つかの例において、カプセルが存在する場合、そのカプセルは、香味料やエアロゾル形成材料などの揮発性成分を含有してもよい。
【0181】
フィルターセグメント109のセルロースアセテートトウ材料の密度は、フィルターセグメント109の両端間における圧力降下を制御し、ひいては物品101の吸引抵抗を制御する。したがって、フィルターセグメント109の材料の選択は、物品101の吸引抵抗を制御するうえで重要である。更に、フィルターセグメントは、物品101において濾過機能を果たす。
【0182】
1つの例では、フィルターセグメント109は、8Y15グレードのフィルタートウ材料で作製される。このフィルタートウ材料は、加熱揮発材料に対する濾過効果をもたらす一方で、加熱揮発材料から生じる凝縮エアロゾル液滴のサイズを低減する。
【0183】
フィルターセグメント109の存在は、冷却セグメント107を出る加熱揮発成分を更に冷却することによって断熱効果をもたらす。この更なる冷却効果は、フィルターセグメント109の表面に対する使用者の唇の接触温度を低下させる。
【0184】
一例では、フィルターセグメント109は、長さが6mm~10mm、好適には8mmである。
【0185】
口側端セグメント111は、環状管であり、口側端セグメント111内の空隙の周囲に配置されて、その空隙を画定する。この空隙は、フィルターセグメント109から流れる加熱揮発成分のためのチャンバを提供する。口側端セグメント111は、エアロゾル蓄積のためのチャンバを提供するために中空であるが、製造中及びデバイス1への挿入中に物品が使用されている間に生じうる軸方向圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有する。一例では、口側端セグメント111の壁の厚さは、約0.29mmである。一例では、口側端セグメント111の長さは、6mm~10mmであり、好適には8mmである。
【0186】
口側端セグメント111は、中空の内部チャンバを提供するが重要な機械的剛性を維持する螺旋巻き紙管から製造してもよい。螺旋巻き紙管は、管の長さ、外径、真円度及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0187】
口側端セグメント111は、フィルターセグメント109の出口に蓄積する液体凝縮物が使用者と直接接触することを防止する機能をもたらす。
【0188】
一例では、口側端セグメント111及び冷却セグメント107が単一の管から形成され、フィルターセグメント109がその管内に配置されて、口側端セグメント111と冷却セグメント107を分離してもよいことを理解されたい。
【0189】
図3及び図4を参照すると、物品301の一例の部分破断断面図及び斜視図が示されている。図3及び図4に示される参照符号は、図1及び図2に示される参照符号と対応するが、その数字が200だけ増えている。
【0190】
図3及び図4に示す物品301の例では、通気領域317が物品301に設けられ、空気が物品301の外部から物品301の内部に流入することを可能にする。一例では、通気領域317は、物品301の外層を貫いて形成された1つ以上の通気孔317の形態をとる。この通気孔は、物品301の冷却を助けるために、冷却セグメント307に配置されてもよい。一例では、通気領域317は、孔の列を1つ以上備え、好ましくは、孔の各列は、物品301の長手方向軸に実質的に垂直な断面において、物品301の外周に沿って配置される。
【0191】
一例では、物品301に通気をもたらすために、1~4列の通気孔がある。通気孔の各列は、12~36個の通気孔317を有してもよい。通気孔317の直径は、例えば、100~500μmとすることができる。一例では、通気孔317の列間の軸方向間隔は、0.25mm~0.75mm、好適には0.5mmである。
【0192】
一例では、通気孔317は均一なサイズを有する。別の例では、通気孔317は様々なサイズを有する。通気孔は、任意の適切な技術、例えば、レーザ技術、冷却セグメント307の機械的穿孔、又は物品301に形成される前の冷却セグメント307の事前穿孔のうちの1つ以上を使用して作製することができる。通気孔317は、物品301を効果的に冷却するように位置決めされる。
【0193】
一例では、通気孔317の列は、物品の近位端313から少なくとも11mm、好適には物品301の近位端313から17mm~20mmに位置する。通気孔317の位置は、物品301の使用時に使用者が通気孔317を塞がないように決められる。
【0194】
物品301の近位端313から17mm~20mmに通気孔の列を設けることにより、図6及び7に見られるように、物品301がデバイス1に完全に挿入されたときに通気孔317をデバイス1の外側に配置することができる。通気孔をデバイスの外側に配置することによって、加熱されていない空気が、デバイス1の外側から通気孔を通って物品301に入り、物品301の冷却を助けることができる。
【0195】
冷却セグメント307の長さは、物品301がデバイス1に完全に挿入されたときに、冷却セグメント307がデバイス1に部分的に挿入されるような長さである。この冷却セグメント307の長さは、デバイス1の加熱装置と感熱性のフィルター装置309との間に物理的な間隙を提供する第1の機能と、物品301がデバイス1に完全に挿入されたときに、通気孔317が冷却セグメント内に配置される一方で、デバイス1の外側にも配置されることを可能にする第2の機能をもたらす。図6及び図7から分かるように、冷却要素307の大部分は、デバイス1内に配置されている。しかしながら、冷却要素307には、デバイス1の外に延びる部分がある。冷却要素307のうちデバイス1の外に延びるこの部分に、通気孔317が配置されている。
【0196】
ここで図5図7をより詳細に参照すると、エアロゾル生成組成物を加熱してエアロゾル生成組成物の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には吸入可能なエアロゾルを形成するように構成されたデバイス1の例が示されている。デバイス1は、エアロゾル生成組成物を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出する加熱デバイスである。
【0197】
第1の端部3は、本明細書では、デバイス1の口側端又は近位端3と呼ばれることがあり、第2の端部5は、本明細書では、デバイス1の遠位端5と呼ばれることがある。デバイス1は、オン/オフボタン7を有し、デバイス1全体を使用者が望むように起動/停止することができる。
【0198】
デバイス1は、デバイス1の様々な内部部品を配置及び保護するためのハウジング9を備える。図示の例では、ハウジング9は、デバイス1の外縁を取り巻く単一体スリーブ11を備えており、このスリーブ11は、デバイス1の「上部」を概ね形成するトップパネル17と、デバイス1の「底部」を概ね形成するボトムパネル19とで蓋をされている。別の例では、ハウジングは、トップパネル17及びボトムパネル19に加えて、フロントパネル、リアパネル、及び一対の対向するサイドパネルを備える。
【0199】
トップパネル17及び/又はボトムパネル19は、デバイス1の内部への容易なアクセスを可能にするために、単一体スリーブ11に取り外し可能に固定されてもよく、又は、例えば使用者がデバイス1の内部にアクセスすることを阻止するために、単一体スリーブ11に「永久的に」固定されてもよい。一例では、パネル17及び19は、プラスチック材料(射出成形によって形成されたガラス充填ナイロンなどを含む)で作られ、単一体スリーブ11はアルミニウムで作られるが、他の材料及び他の製造プロセスを使用してもよい。
【0200】
デバイス1のトップパネル17は、デバイス1の口側端3に開口部20を有しており、使用時に、使用者が、エアロゾル生成組成物を含む物品101、301を、この開口部20を通して、デバイス1に挿入し、また、デバイス1から取り外すことができる。
【0201】
ハウジング9は、その中に加熱装置23、制御回路25、及び電源27を配置又は固定している。この例では、加熱装置23、制御回路25、及び電源27は横方向に近接(すなわち、一端から見たときに近接)し、制御回路25は、概ね加熱装置23と電源27との間に位置するが、他の配置も可能である。
【0202】
制御回路25は、以下で更に論じるように、物品101、301内のエアロゾル生成組成物の加熱を制御するように構成及び配置された、マイクロプロセッサ装置などのコントローラを含んでいてもよい。
【0203】
電源27は、例えば、電池であってもよく、この電池は、充電式電池でも非充電式電池でもよい。好適な電池の例としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル電池(例えば、ニッケルカドミウム電池)、アルカリ電池などが挙げられる。電池27は、加熱装置23に電気的に結合され、必要なときに制御回路25の制御下で電力を供給して、物品内のエアロゾル生成組成物を加熱する(前述のように、エアロゾル生成組成物を燃焼させることなくエアロゾル生成組成物を揮発させる)。
【0204】
電源27を加熱装置23に横方向に近接させて配置する利点は、デバイス1全体を過度に長くすることなく、物理的に大きな電源25を使用できることである。当然のことながら、一般に、物理的に大きい電源25は、より高い容量(すなわち、供給可能な総電気エネルギー、しばしばアンペア時などで測定される)を有し、したがって、デバイス1の電池寿命をより長くすることができる。
【0205】
一例では、加熱装置23は、中空内部加熱チャンバ29を有する中空円筒管の形態を概ねしており、この中空内部加熱チャンバ29には、エアロゾル生成組成物を含む物品101、301が、使用時に加熱のために挿入される。加熱装置23については様々な構成が可能である。例えば、加熱装置23は、単一の加熱要素を備えてもよいし、加熱装置23の長手方向軸に沿って整列された複数の加熱要素から形成されてもよい。加熱要素又は各加熱要素は、環状又は管状であってもよく、又は、その外周に沿って少なくとも部分的に環状又は少なくとも部分的に管状であってもよい。一例では、加熱要素又は各加熱要素は、薄膜ヒータであってもよい。別の例では、加熱素子又は各加熱素子は、セラミック材料から作製されてもよい。適切なセラミック材料の例としては、アルミナセラミック及び窒化アルミニウムセラミック、並びに窒化ケイ素セラミックが挙げられ、これらは積層して焼結してもよい。他の加熱構成も可能であり、これには、例えば、誘導加熱、赤外線加熱素子(これは赤外線を放射することによって加熱する)、抵抗電気巻線などによって形成される抵抗加熱素子が含まれる。
【0206】
1つの特定の例では、加熱装置23は、ステンレス鋼の支持管によって支持され、ポリイミド加熱要素を備える。加熱装置23は、物品101、301がデバイス1に挿入されたときに、物品101、301のうちエアロゾル生成組成物103、303からなる本体の実質的に全体が加熱装置23に挿入されるような寸法を与えられている。
【0207】
加熱要素又は各加熱要素は、エアロゾル生成材料の選択された複数のゾーン(区域)を、例えば希望に応じて順次に(上述のように経時的に)又は一緒に(同時に)、独立して加熱できるように配置してもよい。
【0208】
この例における加熱装置23は、その長さの少なくとも一部に沿って断熱体31によって囲まれている。断熱体31は、加熱装置23からデバイス1の外部へ通過する熱を低減するのに役立つ。これは、一般に熱損失を低減するので、加熱装置23の電力要件を低く抑えるのに役立つ。断熱体31はまた、加熱装置23の動作中にデバイス1の外部を冷たく保つのに役立つ。一例では、断熱体31は、スリーブの2つの壁の間に低圧領域を設ける二重壁スリーブであってもよい。すなわち、断熱体31は、例えば、「真空」管、すなわち、伝導及び/又は対流による伝熱を最小限に抑えるように少なくとも部分的に真空排気された管であってもよい。断熱体31については他の構成も可能であり、これには、二重壁スリーブに加えて、又は二重壁スリーブに代えて、断熱材(例えば、適切な発泡タイプの材料を含む)を使用することが含まれる。
【0209】
ハウジング9は、加熱装置23と同様に、全ての内部部品を支持するための様々な内部支持構造37を更に備えてもよい。
【0210】
デバイス1は、開口部20の周囲に延在し、開口部20からハウジング9の内部に突出するカラー33と、カラー33と真空スリーブ31の一端との間に配置された略管状のチャンバ35とを更に備える。チャンバ35は、冷却構造35fを更に備えており、この冷却構造35fは、この例では、チャンバ35の外面に沿って離間した複数の冷却フィン35fを備え、各冷却フィンは、チャンバ35の外面を取り巻くように配置される。中空チャンバ35の長さの少なくとも一部にわたって物品101、301がデバイス1に挿入されるとき、中空チャンバ35と物品101、301との間には空隙36が存在する。空隙36は、冷却セグメント307の少なくとも一部にわたって物品101、301の外周全体を取り巻く。
【0211】
カラー33は、開口部20の外周を取り巻くように配置された複数の隆起部60を備えており、これらの隆起部は、開口部20内に突出する。隆起部60は、隆起部60の位置における開口部20の開放距離が、隆起部60のない位置における開口部20の開放距離よりも小さくなるように、開口部20内の空間を占める。隆起部60は、デバイス内に挿入された物品101、301と係合して、それをデバイス1内に固定するのを助けるように構成される。隆起部60の隣り合う対と物品101、301とによって画定される開放空間(図示せず)は、物品101、301の外面の周りに通気経路を形成する。これらの通気経路は、物品101、301から逃げた高温蒸気がデバイス1から出ることを可能にすると共に、空隙36内において物品101、301の周りでデバイス1に冷却空気が流れ込むことを可能にする。
【0212】
動作中、物品101、301は、図5~7に示されるように、デバイス1の挿入箇所20に取り外し可能に挿入される。特に図6を参照すると、一例において、エアロゾル生成組成物体103、303(これは、物品101、301の遠位端115、315側に配置されている)は、デバイス1の加熱装置23内に完全に収容される。物品101、301の近位端113、313は、デバイス1から延び出て、使用者のためのマウスピースアセンブリとして機能する。
【0213】
動作中、加熱装置23は、物品101、301を加熱して、エアロゾル生成組成物体103、303からエアロゾル生成組成物の少なくとも1つの成分を揮発させる。
【0214】
エアロゾル生成組成物体103、303からの加熱揮発成分のための一次流路は、軸方向に沿って物品101、301を通り、冷却セグメント107、307の内側のチャンバを通り、フィルターセグメント109、309を通り、口側端セグメント111、313を通って使用者に至る。一例では、エアロゾル生成組成物体から生成される加熱揮発成分の温度は、60℃~250℃であり、これは、使用者にとって許容可能な吸入温度を上回る可能性がある。加熱揮発成分は、冷却セグメント107、307を通って移動するにつれて冷却され、一部の揮発成分が冷却セグメント107、307の内面上に凝縮する。
【0215】
図3及び図4に示される物品301の例では、冷たい空気が、冷却セグメント307に形成された通気孔317を介して冷却セグメント307に入ることができる。この冷たい空気は、加熱揮発成分と混合して、加熱揮発成分を更に冷却する。
【0216】
本明細書に記載される全ての重量百分率(重量%と示される)は、特に明記しない限り、乾重量基準で計算される。全ての重量比も乾重量基準で計算される。乾重量基準で示される重量は、水以外の抽出物、スラリー又は材料の全体を指しており、室温及び室圧のもとでそれ自体で液体である成分、例えばグリセロールを含んでもよい。逆に、湿重量基準で示される重量百分率は、水を含む全ての成分を指す。
【0217】
誤解を避けるために述べると、本明細書において用語「含む」が本発明又は本発明の特徴を定義する際に使用される場合、「含む」の代わりに「から本質的になる」又は「からなる」という用語を使用して発明や特徴を定義することができる実施形態も開示されている。特定の特徴を「含む」材料への言及は、それらの特徴がその材料に含まれる、材料に含有される、又は材料内に保持されることを意味する。
【0218】
上記の実施形態は、本発明の例示として理解されるべきである。任意の1つの実施形態に関連して説明される任意の特徴は、単独で、又は説明される他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施形態、又は任意の他の実施形態の任意の組合せの1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。更に、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物及び変更形態も使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビスの成分、誘導体又は抽出物、酸化防止剤、エアロゾル形成材料及びゲル化剤を含むエアロゾル生成材料を形成する方法であって、
(a)前記ゲル化剤、溶媒、及び前記エアロゾル生成材料の任意のいずれかの更なる成分を混合するステップと、
(b)別途、前記カンナビスの成分、誘導体又は抽出物と前記エアロゾル形成材料及び酸化防止剤とを一緒に混合するステップと、
(c)部分(a)及び部分(b)の混合物を組み合わせて、スラリーを形成するステップと、
(d)前記スラリーの層を形成するステップと、
(e)前記スラリーを乾燥させて、前記エアロゾル生成材料を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
乾燥ステップ(e)の前に、前記スラリーを固化させてゲルを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(d)で形成された前記層の厚さが4mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エアロゾル生成材料が、1~60重量%のゲル化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エアロゾル生成材料が、5~80重量%のエアロゾル形成材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エアロゾル生成材料が、1~50重量%のカンナビスの成分、誘導体又は抽出物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エアロゾル生成材料が、約0.01~約0.25重量%の酸化防止剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エアロゾル生成材料が、固化剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ゲル化剤が、多糖ゲル化剤、例えば、アルギネート、ペクチン、デンプン又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、プルラン、カラギーナン、寒天及びアガロース;ゼラチン;ガム、例えば、キサンタンガム、グアーガム及びアカシアガム;シリカ又はシリコーン化合物、例えば、PDMS及びケイ酸ナトリウム;クレイ、例えば、カオリン;並びにポリビニルアルコールから選択される1つ以上の化合物を含むか、又はこれらから選択される1つ以上の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カンナビスの成分、誘導体又は抽出物がカンナビノイドである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記カンナビノイドが、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化防止剤がエネジオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、レチノール、コレカルシフェロール及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記スラリーの層がキャリア上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記エアロゾル生成材料が充填剤を含有しない、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法により得ることの可能な又は得られる、エアロゾル生成材料。
【請求項17】
前記層の厚さが、約0.01mm~約1mm、好適には約0.05mm~約0.3mmの範囲である、請求項1に記載の方法により得ることの可能な又は得られる、エアロゾル生成フィルム。
【請求項18】
請求項16に記載のエアロゾル生成材料又は請求項17に記載のエアロゾル生成フィルムを含む、エアロゾル生成組成物。
【請求項19】
非燃焼型エアロゾル供給システム内で使用される物品であって、請求項18に記載のエアロゾル生成組成物を含む、物品。
【請求項20】
請求項19に記載の物品と、非燃焼型エアロゾル供給デバイスとを備える非燃焼型エアロゾル供給システムであって、前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスが、前記物品が前記非燃焼型エアロゾル供給デバイスと共に使用されるときに前記物品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスを備える、非燃焼型エアロゾル供給システム。
【国際調査報告】