(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】微生物リパーゼを選択的に標的とするトリグリセリド模倣物の組成物及び使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/22 20060101AFI20240723BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240723BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240723BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240723BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240723BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240723BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20240723BHJP
A61K 41/17 20200101ALI20240723BHJP
【FI】
A61K31/22
A61P17/00
A61K8/37
A61Q19/00
A61K9/14
A61K45/00
A61Q19/08
A61K9/10
A61K9/107
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/02
A61K41/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503409
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 IL2022050777
(87)【国際公開番号】W WO2023002481
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522230059
【氏名又は名称】エクセラ・バイオサイエンティフィク・エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】EXCELLA BIOSCIENTIFIC LTD
【住所又は居所原語表記】23 Max Steinmatz Street, Nahariya, 2238202, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロスマン,サビナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA06
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4C206AA01
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4C206MA47
4C206MA48
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4C206MA54
4C206MA63
4C206MA72
4C206MA83
4C206NA15
4C206ZA89
(57)【要約】
トリアゼライングリセロールに由来する新しい製品、不飽和脂肪酸の天然発生源に由来する製品、組成物、製造方法、及びマイクロバイオームの変調に伴う種々の疾患状態における使用、及び他の抗炎症方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアゼライン及び任意選択的に担体を含む、組成物。
【請求項2】
組成物が、医薬組成物であり、担体が、薬学的に許容される担体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、薬用化粧品組成物であり、担体が、薬用化粧品として許容される担体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1種以上の活性剤を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
1種以上の活性剤が、生体分子、マイクロバイオームのサンプル、又はこれらの混合物である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
生体分子が、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、有機分子、無機分子、アミノ酸、ビタミン、ポリフェノール、ステロイド、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質錯体からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
マイクロバイオームのサンプルが、ドナー自己由来マイクロバイオーム、同種異系マイクロバイオーム、又はインビトロ培養マイクロバイオームである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
活性剤が、抗微生物剤、抗老化剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗細菌剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗生物質、駆虫剤、麻酔剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、かゆみ止め剤、免疫抑制剤、血管新生阻害剤、血管収縮剤及びプロバイオティクス剤からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
1種以上の活性剤が、非リパーゼプロバイオティクス微生物のサンプルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
経口投与、経皮投与、局所投与、経粘膜投与、経鼻投与、眼内投与、粘膜投与及び膣内投与に好適である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
固体組成物、半固体組成物又は液体組成物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
粉末、サスペンション、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、座薬、軟膏、スプレー、発泡体、石けん、シャンプー、ミル、コロイド及びオイルからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
局所用組成物である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の界面活性剤を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の保存剤を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の着色剤を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
5~8の範囲にあるpHを有することによって特徴付けられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
1%~100%の範囲にあるトリアゼライン含有量によって特徴付けられる、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
リパーゼ生成微生物に伴う状態の治療における使用のための、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
リパーゼ生成微生物に伴う状態が、皮膚の状態である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
リパーゼ生成微生物に伴う皮膚の状態が、ざ瘡又は酒さである、請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項22】
リパーゼ生成微生物が、シュードモナス属種、クティバクテリウム・アクネス、スタフィロコッカス及びコリネバクテリウムから選択される、請求項19又は21に記載の組成物。
【請求項23】
湿疹、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、組織壊死、皮膚の痛み、乾癬、蜂巣炎、真菌感染症、壊疽、及び毛嚢脂腺単位の障害からなる群から選択される皮膚の状態の治療における使用のための、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
薬剤としての使用のための、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
マイクロバイオームの不均衡に伴う疾患又は状態の治療における使用のための、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
皮膚の炎症状態の治療を必要とする対象におけるそのような状態を治療する方法であって、対象に、状態を治療するのに有効な量のトリアゼラインを局所投与することを含む、方法。
【請求項27】
対象における皮膚の炎症状態の進行を遅らせる方法であって、対象に、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項28】
対象における皮膚の炎症状態を治療する方法であって、対象に、状態を治療するのに有効な量で請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項29】
皮膚の炎症状態が、リパーゼ生成微生物に伴う、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
リパーゼ生成微生物が、シュードモナス属種、クティバクテリウム・アクネス、スタフィロコッカス、カンジダ、マラッゼロア及びコリネバクテリウムから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
皮膚の炎症状態が、ざ瘡である、請求項26又は30に記載の方法。
【請求項32】
皮膚の炎症状態が、湿疹、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、組織壊死、皮膚の痛み、乾癬、蜂巣炎、真菌感染症、壊疽、及び毛嚢脂腺単位の障害からなる群から選択される、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ヒトのマイクロバイオームの均衡をとる必要がある対象において、ヒトのマイクロバイオームの均衡をとる方法であって、対象に、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項34】
皮膚マイクロバイオームの不均衡に伴う状態の治療を必要とする対象において、皮膚マイクロバイオームの不均衡に伴う状態を治療する方法であって、対象に、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項35】
対象における皮膚マイクロバイオームの均衡を維持する方法であって、対象に、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項36】
対象における皮膚の老化を予防する方法であって、対象に、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項37】
式:
【化1】
(式中、Xは、アゼライン酸である)
を有するプロドラッグであって、ここで、細菌リパーゼへの暴露の際に、アゼライン酸が開裂されて、化合物から放出されるようになる、プロドラッグ。
【請求項38】
請求項37に記載のプロドラッグ及び任意選択的に担体を含む、組成物。
【請求項39】
組成物が、医薬組成物であり、担体が、薬学的に許容される担体である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
局所用組成物である、請求項38又は39に記載の組成物。
【請求項41】
薬剤としての使用のための、請求項38~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
リパーゼ生成微生物に伴う疾患又は状態の治療における使用のための、請求項38~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
活性な生体分子及び担体としてのトリアゼラインを含む、組成物。
【請求項44】
少なくとも1種の生体分子及び/又は化学的要素及び/又は生物学的サンプルの送達を必要とする対象に、これらを送達するように設計されている組成物であって、式1:
【化2】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、ジカルボン酸又はアゼライン酸から選択され、式中、n≦1である)
を有するある量の担体を含み、ここで、担体の量が、生体分子及び/又は化学的要素及び/又は生物学的サンプルを所与の標的に送達するのに有効である、組成物。
【請求項45】
トリアゼラインを含む組成物の調製のための方法であって、アシルグリセロール結合を加水分解することなく、植物油中のトリオレインを酸化することを含む、方法。
【請求項46】
植物油が、トウモロコシ油、綿実油、オリーブオイル、パーム核油、菜種油、ベニバナ種子油、月見草油、ダイズ油、ヒマワリ種子油、アボカド油、ゴマ種子油、ココナッツオイル、ラッカセイ油及びヒマシ油から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
植物油が、オリーブオイルである、請求項45又は46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゼライングリセロールに由来する新しい製品に関する。詳細には、本発明は、不飽和脂肪酸の天然発生源に由来する製品、組成物、製造方法、及びマイクロバイオームの変調に伴う種々の疾患状態における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
宿主片利共生の及び病原性のマイクロバイオームは、複数の微生物種、並びに真菌、酵母及び細菌の株から構成されている。これらのマイクロバイオームのバラエティーのうちのほとんどは無害であり、多くが有益であり、いくらかは必要でさえある。我々の体に宿る細菌叢は、代謝の病理、炎症、免疫感受性及びがんにさえ、宿主の素因に影響を及ぼす。ヒトのマイクロバイオーム種は、ヒトの体内と表面上との両方に存在し、特に皮膚及び粘膜上に存在する。
【0003】
リパーゼは、皮膚の日和見性病理、例えばクティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)及びスタフィロコッカス(Staphilococcus)種、加水分解皮脂トリグリセリド及びワックスエステルから、遊離脂肪酸及びグリセロール中に放出される毒性因子である。遊離脂肪酸は、小胞の上皮に炎症を起こし、小胞を裂傷させ、こうして炎症反応及び角化細胞の過度の増殖を開始する。
【0004】
アゼライン酸は、局所化粧用及び医療用の局所製剤において、抗炎症、抗ざ瘡、抗黒皮症、抗酒さ、皮膚明色化有効成分として使用されることが知られる、認可された薬物及び化粧用成分である。レチノール酸及びリポヒドロキシ酸と同様に、アゼライン酸は、副作用、例えば刺激を有している。抗生物質がまた、広く使用されている。しかしながら、局所適用されるとき、抗生物質は、延長された期間使用される場合、細菌により発現される抵抗性に起因して、それらの有効性を失うおそれがある。抗生物質の経口投与は、体全体を抗生物質組成物にさらすが、ざ瘡において、侵されているのは皮膚のみである。それ以上に、ほとんど全ての抗生物質が、経口摂取されるとき、望ましくない副作用を有している。
【0005】
TriAzaは、アゼライン酸のトリグリセリドエーテル(既知の活性剤)を表し、ここで、アゼライン酸は、トリグリセリド(トリアゼライド又はトリアゼライン)の、sn-1位、sn-2位及びsn-3位において導入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、リパーゼ生成病原体により媒介される障害のための有効で安全な治療手段は、長く、満たされていないニーズを残している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明の目的は、微生物によって分泌されるリパーゼの活性に伴う健康状態にとって有効で安全な治療剤及び送達系を提供することである。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、オリーブオイルの主なトリグリセリドであるトリオレインの、トリグリセリド様化合物の生成のための、脱飽和及び酸化に基づいたTriAza合成の新規な方法を提供することである。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、TriAza及びその塩を細菌関連リパーゼに暴露する際に、アゼライン酸は、分子から関係を絶ち、リパーゼ標的活性に特異性及び選択性を呈する。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、このようなトリアゼライン由来製品の調製の方法を提供し、このようなトリアゼライン由来製品の使用を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、リパーゼ生成病原体により媒介される皮膚障害のための有効で安全な治療手段を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、ヒトのマイクロバイオームの均衡をとるためのトリアゼラインを含む組成物を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、マイクロバイオームの不均衡に伴う疾患又は状態を治療するための組成物を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、皮膚障害の治療のために、皮膚マイクロバイオームの均衡をとる及び維持するために、望ましくない皮膚状態、例えば、限定なしで、老化、色素沈着、毛嚢脂腺単位の障害、及び本発明の組成物から有益性を得られうる他の状態の進行を遅らせるために有効である、局所用組成物を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、限定なしで、アゼライン酸の前駆体として、並びに生体分子及びマイクロバイオームサンプルのための送達ビヒクルとして、皮膚制御機能のために使用されうる局所用組成物用の多機能性担体を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、トリアゼライン及び任意選択的に担体を含む、局所用組成物を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、皮膚の炎症状態を治療する必要のある対象における該炎症状態を治療する方法を提供し、該方法は、対象に、前記状態を治療するのに有効な量のトリアゼラインを局所投与することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、式:
【0019】
【化1】
(式中、Xは、アゼライン酸である)を有するプロドラッグを提供し、ここで、細菌リパーゼへの暴露の際に、アゼライン酸は開裂されて、前記化合物から放出されるようになる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、活性治療剤及び担体としてのトリアゼラインを含む、皮膚障害の治療のための局所用組成物を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、トリアゼラインを含む、スキンケア用の局所用組成物を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの生体分子及び/又は化学的要素/及び/又は生物学的サンプルを、このような送達を必要とする対象に送達するように設計されている組成物を提供し、該組成物は、式:
【0023】
【化2】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、ジカルボン酸、アゼライン酸からなる群から選択され、式中、n=>1である)を有する、ある量の担体を含み、ここで、前記担体の量は、前記生体分子及び/又は化学的要素及び/又は生物学的サンプルを、所与の標的に送達するのに有効である。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、式:
【0025】
【化3】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、アゼライン酸又はその誘導体、レチノイン酸又はその誘導体、コハク酸、親油性鎖抗酸化剤、バルプロ酸、ヒドロキシブチル酸、ニコチンアミド、皮脂性の酸又はその誘導体、リノール酸、ガンマ-リノール酸又はその誘導体、アルファ-ヒドロキシ酸又はその誘導体、脂肪酸のcis異性体、乳酸及び亜鉛からなる群から選択され、式中、細菌リパーゼへの暴露の際に、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、開裂されて、前記化合物から放出されるようになる)の化合物を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの化学的要素を、前記少なくとも1つの化学的要素の送達を必要とする対象に送達するように設計されている、式:
【0027】
【化4】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、トリグリセリドリパーゼへの暴露の際に放出した活性な医薬的又は生物学的作用剤からなる群から選択され、式中、微生物のリパーゼへの暴露の際に、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、開裂されて、前記化合物から放出されるようになる)の化合物を提供する。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の化学的要素及び/又は生体分子を、消費用の食品中に、又は前記食品の調製のための原材料中に、送達する方法を提供し、該方法は、前記食品に、又は前記食品の調製のための原材料に、本発明の実施形態による有効量の組成物を添加することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、障害の治療を必要とする対象における障害を治療する方法を提供し、該方法は、対象に、本発明の実施形態による有効量の組成物を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】アゼライン酸グリセリルトリエステルの合成についての模式的経路を明示している。
【
図2】アゼライン酸グリセリルトリエステルの合成についての代替の模式的経路を明示している。
【
図3】レチノイン酸グリセリルトリエステルの合成についての模式的経路を明示している。
【
図4】1,2-レチノイン-3-アゼライン酸グリセリルトリエステルの合成についての模式的経路を明示している。
【
図5】代表的なインビトロのバッチ(L-PABS)からのアゼライン酸の放出により測定される、リパーゼ媒介用量依存性活性を明示している。
【
図6】培地中の細菌酵素への暴露なしの非加水分解L-PABSとの比較における、コリノバクテリウム・アクネス(Corynobacterium acnes)(P.acnes)の生体培養物でのインキュベーション下での、アゼライン酸形態の代表的なバッチ(L-PABS)の、時間依存性放出(培養物における第1日及び第5日)のP.アクネス(P.acnes)関連リパーゼ媒介活性を明示している。
【
図7A】トリグリセリドリパーゼ(リパーゼ)による加水分解へのリパーゼ媒介感受性、及びアゼライン酸の放出、(A)酸化的オゾン分解(Oz.)により及び化学的合成(C.S.)により得られたバッチ(L-PABS)の比較-リパーゼ-Lによる加水分解による選択性、並びにエステラーゼ-E治療への非感受性、(B)明示しているバッチ(L-PABS)からの、用量依存感受性、及びトリグリセリドリパーゼによるがホスホリパーゼによらないアゼライン酸放出の選択性を、明示している。
【
図7B】トリグリセリドリパーゼ(リパーゼ)による加水分解へのリパーゼ媒介感受性、及びアゼライン酸の放出、(A)酸化的オゾン分解(Oz.)により及び化学的合成(C.S.)により得られたバッチ(L-PABS)の比較-リパーゼ-Lによる加水分解による選択性、並びにエステラーゼ-E治療への非感受性、(B)明示しているバッチ(L-PABS)からの、用量依存感受性、及びトリグリセリドリパーゼによるがホスホリパーゼによらないアゼライン酸放出の選択性を、明示している。
【
図8】オリーブオイルの典型的なクロマトグラムを明示している。
【
図9】トリオレエートの典型的なクロマトグラムを明示している。
【
図10】HPLCによる、メタノール中のペラルゴン酸のクロマトグラムを明示している。
【
図11】GC法で得た、ペラルゴン酸標準品0.5mg/mLのクロマトグラムを明示している。
【
図12】反応の、得られた生成物を明示している。左-KMnO
4に過剰にあるH
2O
2、右-H
2O
2に過剰にあるKMnO
4。
【
図13】KMnO
4との反応前(左)及び反応後(右)のオリーブオイルを明示している。
【
図14】3時間の反応後のサンプルを明示している。
【
図15】多量の水の添加後のサンプルを明示している。
【
図16】選択した界面活性剤Brij(登録商標)35 1gの存在における、KMnO
4の、オリーブオイルとの反応後のサンプルを明示している。
【
図17A】以下を明示している:A-反応前、B-反応後、ヘキサンへの抽出。C-反応後、メタノールへの抽出。D-アセトニトリル:クロロホルム(90:10)中での調製。
【
図17B】以下を明示している:A-反応前、B-反応後、ヘキサンへの抽出。C-反応後、メタノールへの抽出。D-アセトニトリル:クロロホルム(90:10)中での調製。
【
図17C】以下を明示している:A-反応前、B-反応後、ヘキサンへの抽出。C-反応後、メタノールへの抽出。D-アセトニトリル:クロロホルム(90:10)中での調製。
【
図17D】以下を明示している:A-反応前、B-反応後、ヘキサンへの抽出。C-反応後、メタノールへの抽出。D-アセトニトリル:クロロホルム(90:10)中での調製。
【
図18】異なるバッチ中で試験した生成プロセスの酸化系変数を明示している。
【
図19】用いた酸化的オゾン分解によって得て液体合成と比較した、異なる供給する酸及び方法を明示している。
【
図20】NMR及びMSスペクトログラフィー(602と相互に関連があるピーク)における、トリアゼライン反応最終生成物の定性を明示している。
【
図21】MSにより確認したTLC結果を明示しており、ここで、TLCにおけるTriAza最終製品及び他の副生成物の保持時間を多様なバッチにおいて検出して、生成の最適なパラメータを選択している(バッチ:B1、OU3、B6、B13及びB14)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は今や、そこで本発明の実施形態が示される添付の実施例及び図面を参照して、本明細書で以降、より完全に記載される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具体化されてよく、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、そうではなくて、これらの実施形態は、本開示が、徹底的で完全であるものであり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの生体分子及び/又は化学的要素及び/又は生物学的サンプルを、このような送達を必要とする対象に送達するように設計された組成物を提供し、式:
【0033】
【化5】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、ジカルボン酸、アゼライン酸からなる群から選択される)を有するある量の担体を含み、ここで、前記担体の量は、前記生体分子及び/又は化学的要素及び/又は生物学的サンプルを、所与の標的に送達するのに有効である。本発明の文脈において、用語「標的」は、担体から有益性を得られうる、任意の組織、臓器、マトリックス、媒質、細胞、オルガネラ、又は任意の他の標的であると理解されると意味される。本発明の文脈において、用語「生体分子」は、上に定義した生物学的活性を有する任意の分子要素を指す。本明細書で使用されるとき、用語「化学的要素」は、限定なしで、分子要素、その部分及び化学物質を含む、化学における目的の物理的要素要素を指す。本明細書で使用されるとき、用語「生物学的サンプル」は、限定なしで、対象から集められた、血液、血漿、流体及び組織の各サンプルを含む任意の物質、及びそこに直接又は非直接に由来する任意の触れられる物質を指す。一実施形態において、担体は、保存剤の機能を満たす。
【0034】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、組成物は、限定なしで、消毒剤組成物、化学的組成物、医薬組成物、薬用化粧品組成物、食用組成物、及びマイクロバイオームを含む組成物であってよい。一実施形態において、組成物は、液体組成物である。一実施形態において、組成物は、固体組成物である。一実施形態において、組成物は、半固体組成物である。
【0035】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、本発明の組成物の非限定的列挙には、シロップ、粉末、サスペンション、分散体、エマルション、クリーム、軟膏、経皮パッチ、錠剤、カプセル、ペースト、ローション、石けん、界面活性剤含有洗浄剤、油、粉末ファンデーション、エマルションファンデーション、ワックスファンデーション、スプレー、及び化粧用ベースが挙げられる。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、式:
【0037】
【化6】
(式中、各R
1、R
2及びR
3は、独立して、アゼライン酸又はその誘導体、レチノイン酸又はその誘導体、コハク酸、親油性鎖抗酸化剤、脂肪分泌性酸又はその誘導体、リノール酸、ガンマ-リノール酸又はその誘導体、アルファ-ヒドロキシ酸又はその誘導体、脂肪酸のcis異性体、乳酸、バニリン及び亜鉛からなる群から選択され、式中、細菌リパーゼへの暴露の際に、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、開裂されて、前記化合物から放出されるようになる)の化合物を提供する。本明細書で使用されるとき、用語「親油性鎖抗酸化剤」は、限定なしで、本発明の親油性鎖抗酸化剤の非限定的列挙を指し、ベータ-カロテン、ビタミンE及びリポ酸、レチノイン酸、テルペン、光保護剤、中鎖又は短鎖脂肪酸、アルファヒドロキシ酸、リポキシ酸、ヒドロキシ酸、ポリオール、糖、オリゴ糖、グリコシド、リポヒドロキシ酸、サリチル酸、ナイアシンアミド、バイオペプチド、プロクトンオルアミン(proctone olamine)、ジオール、バクチオール、マンニトール、亜鉛グルコネート、ホルモン、ヌクレオシド(オリオヌクレオチド)、神経伝達物質、カンナビノイドなどが挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の化学的要素を、前記少なくとも1種の化学的要素の送達を必要とする対象に送達するように設計された、式:
【0039】
【化7】
(式中、各R
1、R
2及びR
3は、独立して、活性な、医薬的な又は生物学的な又は代謝の各作用剤から選択され、式中、微生物リパーゼへの暴露の際に、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、開裂されて、前記化合物から放出されるようになる)の化合物を提供する。本発明の文脈において、活性な医薬の又は生物学的な又は代謝の各作用剤の非限定的列挙には、光保護剤、保護的な天然の伝達物質又は代謝体、化粧用作用剤、抗老化剤、マイクロバイオーム調節剤が挙げられる。本明細書で使用されるとき、用語「微生物の」は、限定なしで、微生物に関連する又は特徴的な、特に疾患又は発酵を引き起こす細菌を指す。本発明の微生物の非限定的列挙には、細菌、真菌、単細胞寄生物が挙げられる。
【0040】
上記化合物のいくつかの実施形態によれば、R1、R2及びR3のそれぞれは、独立して、式:
【0041】
【化8】
(式中、Xは、アゼライン酸、又は細菌叢関連リパーゼの制御された放出を通じて送達される他の活性剤からなる群から選択される)を有する。一実施形態において、R
1、R
2及びR
3は互いに類似している。一実施形態において、化合物は構造:
【0042】
【化9】
(式中、Xは、アゼライン酸である)を有する。一実施形態において、化合物は、構造:
【0043】
【化10】
(式中、Xは、レチノイン酸である)を有する。一実施形態において、化合物は、構造:
【0044】
【化11】
(式中、X
1とX
2とは、両方ともレチノイン酸であり、X
3は、アゼライン酸である)を有する。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、上の実施形態のうちの1つ以上による化合物及び少なくとも1種の担体を含む組成物を提供する。
【0046】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、本発明の組成物の非限定的列挙には、消毒剤組成物、化学的組成物、医薬組成物、薬用化粧品組成物、食用組成物、及びマイクロバイオームを含む組成物が挙げられる。本発明の文脈において、用語「マイクロバイオーム」は、限定なしで、特定の環境(体、又は体の一部を含む)にある微生物を指す。マイクロバイオームはまた、特定の環境にある微生物の、組み合わされた遺伝物質を指す。マイクロバイオームは、共生の及び病原性の、脊椎動物の中に棲む及び全ての脊椎動物における、全ての微生物のゲノムを説明する用語であると考えられる。マイクロバイオームの非限定的な例には、ラクトバチルス(lactobacillus)、バチルス(Bacillus)、アンモニア酸化細菌、球菌(Coccus)及びビフィヅム(Bifidum)、並びにバイオフィルムを誘起する主な毒性因子としてのリパーゼを過剰発現しない宿主細菌叢又は/及び移植された投与されたプロバイオティクス組成物、並びに日和見性侵入汚染誘起病原体の、均衡が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物のいくつかの実施形態によれば、本発明の組成物の非限定的列挙には、経口投与、経皮投与、局所投与、経粘膜投与、経鼻投与、眼内投与、粘膜投与及び膣内投与に好適な組成物が挙げられる。
【0048】
本発明の組成物のいくつかの実施形態によれば、本発明の組成物の非限定的列挙には、シロップ、粉末、サスペンション、エマルション、クリーム、軟膏、経皮パッチ、座薬、ドロップ、スプレー、発泡体、石けん、シャンプー、オイル、ミル及びコロイドの各組成物が挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、状態の治療を必要とする対象における状態を治療する方法を提供し、該方法は、対象に、有効量の本発明の実施形態による組成物を投与することを含む。一実施形態において、状態は、皮膚疾患、リパーゼ生成微生物の過剰増殖、炎症、黒皮症、メラノーマ及び毛髪損失から選択される。一実施形態において、前記状態は、毛嚢脂腺単位の障害である。一実施形態において、状態は、免疫系の機能不全である。一実施形態において、状態は、皮膚の障害である。一実施形態において、状態は、胃腸管の障害である。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、トリアゼライン及び任意選択的に担体を含む局所用組成物を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、皮膚の炎症状態の治療を必要とする対象における該状態を治療する方法を提供し、該方法は、対象に、前記状態を治療するのに有効な量のトリアゼラインを局所投与することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、式:
【0053】
【化12】
(式中、Xは、アゼライン酸である)を有するプロドラッグを提供し、ここで、細菌リパーゼへの暴露の際、アゼライン酸は、開裂されて、前記化合物から放出されるようになる。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、活性治療剤及び担体としてのトリアゼラインを含む、皮膚障害の治療のための局所用組成物を提供する。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、トリアゼラインを含む局所用組成物を提供する。トリアゼラインは、アゼライン酸のグリセロールであり、本発明の文脈において、TriAzaとも呼ばれうる。本発明の文脈において、用語、トリアゼライン、TriAza、及びアゼライン酸のグリセロールは、互換性である。
【0056】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の担体を含む。本発明の文脈において、担体の非限定的列挙には、非有効成分、例えば、限定なしで、賦形剤、pH緩衝剤、フィラー、錠剤分解物質、滑沢剤、増粘剤、界面活性剤、アジュバント、又はこのような組成物中に従来利用されている任意の他の化粧用又は医薬の付加物が挙げられる。一実施形態において、組成物は医薬組成物であり、担体は薬学的に許容される担体である。一実施形態において、組成物は薬用化粧品組成物であり、担体は薬用化粧品として許容される担体である。
【0057】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、トリアゼラインは、担体である。本発明の文脈において、トリアゼラインは、少なくとも1種の生体分子及び/又は生物学的サンプルをその標的に送達するように設計された担体である。
【0058】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、TriAza担体は、細菌及び酵母の汚染を防止する保存剤の機能を満たす。
【0059】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、生体分子の非限定的列挙には、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、有機分子、無機分子、アミノ酸、ビタミン、ポリフェノール、ステロイド、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質錯体が挙げられる。
【0060】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、マイクロバイオームのサンプルは、ドナー自己由来マイクロバイオーム、同種異系マイクロバイオーム、又はインビトロ培養マイクロバイオームである。
【0061】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、活性剤の非限定的列挙には、抗微生物剤、抗老化剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗細菌剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗生物質、駆虫剤、麻酔剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、かゆみ止め剤、免疫抑制剤、血管新生阻害剤、血管収縮剤及びプロバイオティクス剤が挙げられる。
【0062】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、1種以上の活性剤は、非リパーゼプロバイオティクス微生物のサンプルである。本発明の実施形態によれば、非リパーゼプロバイオティクス微生物の列挙には、限定なしで、皮膚への生体保護であると知られる微生物の非リパーゼプロバイオティクス株、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)(Bif.アドレセンティス(Bif.Adolescentis)、Bif.アニマリス(Bif.Animalis)、Bif.ブレウェ(Bif.Breve)、Bif.インファンティス(Bif.Infantis)、Bif.ロングム(Bif.Longum)、Bif.テルモフィルム(Bif.Thermophilum)、ラクトバチルス(Lactobacillus)(Lact.ラムノサス(Lact.Rhamnosus)、Lact.サリバリウス(Lact.Salivarius)、Lact.アキドフィルス(Lact.Acidophilus)、Lact.ブレビス(Lact.Brevis)、Lact.カゼイ(Lact.Casei)、Lact.カルバタス(Lact.Curvatus)、Lact.ファーメンタム(Lact.Fermentum)、Lact.ガセリ(Lact.Gasseri)、Lact.ジョンソニイ(Lact.Johnsonii)、Lact.レウテリ(Lact.Reuteri))、ストレプトコッカス(Streptococcus)(Strep.テルモフィルス(Strep.Thermophilus))、エンテロコッカス(Enterococcus)(Ent.フェシウム(Ent.Faecium))、ラクトコッカス(Lactococccus)(L.ラクティス亜種クレモリス(L.lactis subsp.cremoris)、L.ラクティス亜種ラクティス(L.lactis subsp.lactis))が挙げられる。
【0063】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、組成物は、粉末、サスペンション、エマルション、クリーム、ペースト、ジェル、軟膏、スプレー、発泡体、石けん、シャンプー及びオイルの形態にあってよい。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物のpHは、5~8である。いくつかの実施形態によれば、組成物のpHは、5、5.5、6、6.5、7、7.5及び8である。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、上記組成物は、界面活性剤、保存剤、着色剤、又はこれらの任意の組合せを更に含む。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、上記組成物中のトリアゼライン含有量は、1%~100%である。いくつかの実施形態によれば、上記組成物中のトリアゼライン含有量は、5%~95%、10%~80%、15%~70%、20%~60%、及び30%~50%である。いくつかの実施形態によれば、上記組成物中のトリアゼライン含有量は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び100%である。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、リパーゼ生成微生物に伴う皮膚状態の治療における使用のための、上の実施形態による局所用組成物を提供する。リパーゼ生成微生物に伴う皮膚状態の非限定的列挙には、ざ瘡、酒さ、アトピー性皮膚炎、脂漏症、黒皮症を含む異常な色素沈着、老化、湿疹、又はリパーゼ生成微生物に伴う任意の他の疾患若しくは状態が挙げられる。リパーゼ生成微生物の非限定的列挙には、親油性細菌種、例えばシュードモナス属種(Pseudomonas spp)、クティバクテリウム・アクネス、スタフィロコッカス、含まれるのはS.アウレウス(S.Aureus)及びS.ホミニス(S.Hominis)、並びにコリネバクテリウム(Corynebacterium)、含まれるのはざ瘡病原体、また真菌種、例えばカンジダ(Candida)、含まれるのはC.アルビカンス(C.Albicans)、例えばアシネトバクター(Acinetobacter)、例えばA.ラディオレシステンス(A.Radioresistens)、酵母、例えばマラッセジア(Malassezia)が挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、湿疹、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、組織壊死、皮膚の痛み、乾癬、蜂巣炎、真菌感染症、壊疽、毛嚢脂腺単位の障害、髭剃り及び接触誘起皮膚刺激、傷などの状態の治療における使用のための、上の実施形態による局所用組成物を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、薬剤としての使用のための、上の実施形態のうちの1つ以上による組成物を提供する。いくつかの実施形態によれば、組成物は、局所用組成物である。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、式:
【0071】
【化13】
(式中、Xは、アゼライン酸である)を有するプロドラッグを含む局所用組成物を提供し、ここで、細菌リパーゼへの暴露の際に、アゼライン酸は、開裂されて、前記化合物から放出されるようになる。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、活性治療剤及び担体としてのトリアゼラインを含む、皮膚障害の治療用の局所用組成物を提供する。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、トリアゼラインを含む、スキンケアのための局所用組成物を提供する。一実施形態において、組成物は、少なくとも1種の生体分子を更に含む。一実施形態において、組成物は、マイクロバイオームのサンプルを更に含む。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、疾患又は状態の治療における使用のための、上の実施形態のうちの1つ以上による組成物を提供する。いくつかの実施形態によれば、組成物は、局所用組成物であり、疾患又は状態は、皮膚の炎症である。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、リパーゼ毒性因子過剰出現病原性マイクロバイオームの治療のための局所用組成物を提供し、このような組成物は、好ましくは、トリアゼレートグリセロールなどの有効成分アゼレートエステルを、単独で、又は他の有効成分との組合せにおいて利用する。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、皮膚の炎症状態の治療を必要とする対象における該状態を治療する方法を提供し、該方法は、対象に、前記状態を治療するのに有効な量のトリアゼラインを局所投与することを含む。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、対象における皮膚の炎症状態の進行を遅らせる及び/又は予防する方法を提供し、該方法は、対象に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「進行を遅らせる及び/又は予防する」という句は、限定なしで、疾患又は状態の臨床経過における治療の影響を指す。例えば、ざ瘡の場合、病気の重篤さは、軽症から重症までの範囲であり、軽症の疾患は、病変カウントの総計<30として分類され、中程度の疾患は、病変カウントの総計30~125として分類され、重症の疾患は、病変カウントの総計>125の症状を有する。本発明の文脈において、提案される治療は、軽症の病気から重症の病気への移行を遅らせる及び/又は防止することを目的とする。上記方法の実施形態による、状態の進行を「遅らせる及び/又は予防する」は、任意の適当なアンケート、方法、尺度、診断ツール、又は当技術分野において公知である又は関連する機能及び専門家によって許容される任意の他の手段を用いて測定されうる。用語「予防する」は、病気からの回復を意味しうるが、必ずしもそうではない。そのようなものとして、用語「予防する」は、患者が、特定の疾患状態についての適当な、かつ許容されるパラメータによって定義される、病気の重篤さの次の「ステージ」の症候及び/又は徴候及び/又は症状を呈していないときの状況に関する。用語「遅らせる」又は軽減することは、限定なしで、病気の重篤さの次の「ステージ」への移行の時間を延長させることができ、そのようにして広範囲なケア及び回復のための機会のより大きい窓を提供する。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、対象における皮膚の炎症状態の治療の方法を提供し、該方法は、対象に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。一実施形態において、皮膚の炎症状態は、限定なしで、シュードモナス(Pseudomonas)属種、クティバクテリウム・アクネス、スタフィロコッカス及びコリネバクテリウム(Corynebacterium)を含むリパーゼ生成微生物に伴う。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、皮膚の炎症状態、例えば、限定なしで、湿疹、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、組織壊死、皮膚の痛み、乾癬、蜂巣炎、真菌感染症、壊疽、及び毛嚢脂腺単位の障害を治療する方法を提供し、該方法は、対象に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、局在化した皮膚炎症を治療する方法を提供し、該方法は、炎症の部位に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。本発明の文脈において、用語「局在化した皮膚炎症」は、有害な刺激によって影響された皮膚の、一定の、きちんと定められた面積/部分/領域に限定されている、局在的炎症応答であると理解されると意味される。本発明の実施形態による局在化した皮膚炎症は、体のいくつかの部分において同時に出現しうる。局在化した皮膚炎症の非限定的列挙には、が挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、必要とする対象における皮膚のマイクロバイオームを均衡させる方法を提供し、該方法は、対象に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。本発明の文脈において、用語「マイクロバイオームを均衡させる」は、マイクロバイオームの所望の日和見性種又は/及び病原性種を選択的に標的とすることによって制御するマイクロバイオーム恒常性の可能性を維持すると理解されると意味され、これは、疾患又は障害を引き起こす毒性因子としてのトリグリセリドリパーゼの生成を引き起こし、このようにして、マイクロバイオームが均衡されるよう保持しながら、疾患又は障害の症候の低減における所望の効果に到達する。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、必要とする対象における皮膚マイクロバイオームの不均衡に伴う状態を治療する方法を提供し、該方法は、対象に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。皮膚マイクロバイオームの不均衡に伴う状態の非限定的列挙には、が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、必要とする対象における皮膚マイクロバイオームの均衡を維持する方法を提供し、該方法は、対象に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、必要とする対象における皮膚の老化を予防する方法を提供し、該方法は、対象に、上の実施形態による局所用組成物を投与することを含む。本発明の文脈において、用語「皮膚の老化」は、限定なしで、しわ形成、弾性の損失、弛緩、及び皮膚の粗いテクスチャの外観などの現象を指す。老化プロセスは、通常、皮膚細胞における表現型変化、並びにコラーゲン及びエラスチンなどの細胞外マトリックス成分における構造的変化及び機能的変化に伴われる。
【0086】
本発明は、不活性の又は不活性ではない担体化合物(「担体成分」と称される)及び活性化合物(「有効成分」と称される)の加水分解に際して放出されるリパーゼ加水分解性(リパーゼ媒介の)部位標的系を更に提供し、これは、からなる群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、リパーゼ加水分解性トリグリセリドエステルは、不活性の担体成分(グリセロール部分)及び有効成分(脂肪酸部分)を含む。例えば、アゼライン酸及び/又はレチノイン酸などの成分は、グリセロール主鎖に化学的に結合して、トリレチノール、トリアゼライン及び混合ジレチノール、モノアゼライン又はジアゼライン、モノレチノールエステル誘導体を形成する。
【0088】
本発明のトリグリセリドエステルは、エステル1モル当たり3つの活性脂肪酸の分子を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、リパーゼ加水分解性部分は、抗生物質成分(例えばエリスロマイシン、マクロライド又はリンコサミドの各部分)、及び抗ざ瘡活性担体(例えばリノール酸又はアゼライン酸の各部分)を含む。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、本発明のエステルは、エステル1モル当たり1つの抗ざ瘡活性脂肪酸の分子(担体成分としても働く)、及び抗生物質を提供する。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、不活性コレステロール又はコレステロール様担体の部分、及び抗生物質有効成分の部分(例えばマクロライド、好ましくは14員マクロライド、又はリンコサミド、好ましくはクリンダマイシン)を含む化合物を提供する。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、悪性病理学的マイクロバイオームの選択的喪失、及び病理学的種による汚染のリスクの温存及び制御による保護的マイクロバイオームの増強の方法を提供する。主な宿主保護性マイクロバイオームを損傷することのない、リパーゼ生成病原性/悪性マイクロバイオームの処理/制御に有用な選択的方法及び組成物が開示されている。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、ざ瘡関連障害、リパーゼ生成の悪性/病原性微生物(開示されている組成物にとって重要な標的)を治療するのに有用な方法及び組成物を提供する。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、開示されている組成物は、限定なしで、メチシリン-MRSA及びバンコマイシン抵抗性株VRSAによって生成されるものを含む、S.アウレウス感染症の治療に有用である。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、開示されている組成物は、これを治療するために、単独で使用されてもよく、又は従来の抗微生物剤及び抗生物質と組み合わせて使用されてもよく、かつ限定なしで、異物、カテーテル又は血管内感染症、院内感染症又は術後感染症、再発性皮膚感染症、又は免疫抑制状態にある宿主におけるS.アウレウス感染症の場合などの状況において使用されうる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、開示されている組成物は、汚染を防止し、かつ限定なしで、シュードモナス、カンジダ、スタフィロコッカスの防止などの、局所用製剤の無菌性を維持する保存剤として働くことができ、より詳細には、種は、米国薬局方(USP)及び欧州薬局方(European Pharmacopoeia)により、化粧用、局所用、皮膚科用、並びに他の製剤及び組成物の放出について規制されている。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、開示されている組成物の、「グリーンな」又は天然の界面活性剤との組合せにおける使用を提供する。本発明の文脈において、用語「グリーンな」界面活性剤は、天然の及び/又は持続可能な及び/又は再生可能な源、例えば、限定なしで、グルタメート、ラウリン酸、ビタミンE、コハク酸、乳酸、アルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド、ココ硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)から得られうる物質であると定義される。開示されている組成物のグリーンな非イオン性界面活性剤には、限定なしで、糖ベースの界面活性剤、ポリオールベースの界面活性剤、アルキルエーテル及び炭酸アルキルが挙げられる。糖ベースの界面活性剤には、限定なしで、ココナッツオイル中の脂肪アルコール、及びトウモロコシ中のポリグルコースから作製されるアルキルポリグリコシド(又はアルキルポリグルコシド)界面活性剤が挙げられる。その優れたエコロジカルなプロファイルに加えて、アルキルポリグリコシドは、生分解性であり、ヒトの皮膚を刺激しない。開示されている組成物中での使用に好適な追加のグリーンな非イオン性界面活性剤には、アルキルグルコースアミド、トリグリセリド、N-メチルココナッツ脂肪酸グルカミド(C12~14)、アミノ酸ベースの界面活性剤、糖エステル、ソルビトールエステル、ステロールエステル、糖脂質生体界面活性剤などが挙げられうるがこれらに限定されない。グリーンなアニオン性界面活性剤はまた、天然の及び再生可能な源から得られうる直前の前駆体からも調製されうる。これに応じて、グリーンなアニオン性界面活性剤には、1種以上の長鎖硫酸アルキルが挙げられうる。好適なグリーンなアニオン性界面活性剤には、限定なしで、ココ硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。ココ硫酸ナトリウムは、ココナッツオイルを硫酸化することから調製され得、これは、広範囲の脂肪酸(8つほど少ない炭素アルキル鎖から20ほど多くの炭素アルキル鎖の範囲であり、ココナッツオイル中の脂肪酸のうちの45~50%は、12個の炭素を含有する脂肪酸である)。
【0098】
加えて、PEG由来の「グリーンな」ビタミンE由来の界面活性剤はまた、Vitamin E TPGSの誘導体であることもでき、含まれるのはVitamin E TPGS 200、Vitamin E TPGS 300、Vitamin E TPGS 400、Vitamin E TPGS 1000、Vitamin E TPGS 1500、Vitamin E TPGS 2000及びVitamin E TPGS 4000である。天然由来のグリーンな界面活性剤は、ポリグリセリル界面活性剤の群に属することができ、限定なしで、ポリグリセリルモノエステル又はポリグリセリルマルチエステルから選択されうる。本明細書で熟慮されるポリグリセリルモノエステルの非限定的な例には、カプリン酸ポリグリセリル-4、カプリル酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-5、ミリスチン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-5、オレイン酸ポリグリセリル-5、ステアリン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-8、ステアリン酸ポリグリセリル-8、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、パルミチン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、リノール酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ベヘン酸/エイコサ二酸ポリグリセリル-10、ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/エイコサ二酸ポリグリセリル-10、及び/又はポリグリセリル-10-脂肪エステル(POLYALDO.RTM.10-2-P)が挙げられる。本明細書で開示されている組成物において熟慮されるポリグリセリルマルチエステルの非限定的な例には、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-5、ジオレイン酸ポリグリセリル-5、ポリグリセリル-5-トリオレエート、トリカプリル酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、オクタステアリン酸ポリグリセリル-6、デカエルカ酸/デカイソステアリン酸/デカリシノール酸ポリグリセリル-8、カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10、ジパルミチン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、及びヘプタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10が挙げられる。C8~20硫酸アルキルの水溶性塩、C8~20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシネート、タウレートなど。これらの及び他のクラスの例示的実施形態には、限定なしで、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルモノグリセリドスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)である。共界面活性剤には、天然由来のレシチン、例えばヒマワリレシチンが挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、開示されている組成物の、透過性を改善するための、活性化合物としてのアゼライン酸成分の(皮膚マイクロバイオームによる)放出を制御して純粋なアゼライン酸の刺激及び低い透過性を低減するための、送達ビヒクルとしての使用を提供する。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、プレバイオティクス、ポストバイオティクス及びプロバイオティクスの、TriAzaベースのマイクロバイオームの生体制御送達系の、特定の組成物及び添加剤を提供する。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、ポストバイオティクス及びマイクロバイオーム組成物の局所適用のための送達及びマイクロバイオーム安定化試薬としての、TriAzaの用途を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、皮膚への微生物のプロバイオティクス株の増強のための選択的組成物を提供し、例えば、限定なしで、ビフィドバクテリウム(Bif.アドレセンティス、Bif.アニマリス、Bif.ブレウェ、Bif.インファンティス、Bif.ロングム、Bif.テルモフィルム)、ラクトバチルス(Lact.ラムノサス、Lact.サリバリウス、Lact.アキドフィルス、Lact.ブレビス、Lact.カゼイ、Lact.カルバタス、Lact.ファーメンタム、Lact.ガセリ、Lact.ジョンソニイ、Lact.レウテリ)、ストレプトコッカス(Strep.テルモフィルス)、エンテロコッカス(Ent.フェシウム)、ラクトコッカス(L.ラクティス亜種クレモリス、L.ラクティス亜種ラクティス)である。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、皮膚への生体保護であると知られる微生物の非リパーゼプロバイオティクス株を送達するための選択的抗微生物送達ビヒクル又は保存剤としてのTriAzaの使用を提供し、例えば、限定なしで、ビフィドバクテリウム(Bif.アドレセンティス、Bif.アニマリス、Bif.ブレウェ、Bif.インファンティス、Bif.ロングム、Bif.テルモフィルム)、ラクトバチルス(Lact.ラムノスス、Lact.サリバリウス、Lact.アキドフィルス、Lact.ブレビス、Lact.カゼイ、Lact.カルバタス、Lact.ファーメンタム、Lact.ガセリ、Lact.ジョンソニイ、Lact.レウテリ)、ストレプトコッカス(Strep.テルモフィルス)、エンテロコッカス(Ent.フェシウム)、ラクトコッカス(L.ラクティス亜種クレモリス、L.ラクティス亜種ラクティス)である。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、ポストバイオティクス組成物と共に製剤化されるTriAzaを提供する。このようなポストバイオティクスの例は、限定なしで、二次胆汁塩及び/又は酸代謝体であり、一方でバクトロイデス種(Bacteroides)及びラクトバチルス種は、このような代謝体を代謝する。これに応じて、ポストバイオティクスは、ビフィドバクテリウム加工スフィンゴ脂質によって提示されうる。このようなポストバイオティクスは、TriAzaベースの製剤によって送達されるビフィドバクテリウム又は/及びラクトバチルスのコンボ、並びに関連する基質富化物(すなわち胆汁酸、スフィンゴ脂質など)として直接的に又は間接的に送達されうる。これに応じて、それは、代謝体、例えばジヒドロセラミド、及びコリン酸の、酸化された、ヒドロキシル化された、及び他の、誘導体/代謝体に帰着しうる。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、酒さを治療する活性剤及び方法を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、抗酒さ剤との組合せで使用され得、例えば、限定なしで、局所用アルファ-アドレナリン受容体アゴニスト、例えばブリモニジン及びオキシメタゾリン;非選択的ベータ-ブロッカー、ボツリヌス毒素、局所用ナトリウムスルファセタミド、局所用メトロニダゾール、局所用イベルメクチン、局所用レチノイド、局所用カルシネウリン阻害剤などである。いくつかの実施形態によれば、上の組合せは、抗酒さ治療における相乗作用を明示している。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaベースの組成物は、抗感染剤、抗脂漏剤、抗ざ瘡剤、抗カンジダ剤として、保存剤として、及びデオドラントとして使用される。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、毒性濃度を低減し、製品安定性における補完的な追加の効果を得るために、天然ベースの保存剤を、他の保存剤との組合せにおいて提供する。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、TriAzaベースの化粧用調製物を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、アゼライン酸の機能を増強する有効成分を含むTriAzaベースの組成物を提供する。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、有効成分として及び/又は希釈剤として使用されうるTriAzaベースの組成物を提供する。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、保存剤の活性を有する、化粧料として許容される希釈剤「ベース」として使用されうるTriAzaを提供する。
【0113】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaベースの組成物は、化粧料として許容されるベースとして、かつ/又は活性な静菌消毒剤及び抗生物質組成物として、保存剤、美白剤、認可されている医療用及び化粧用の適応症のためのアゼライン酸プロドラッグとして働くことができ、かつ他の機能性活性剤と混合され得、又は許容された製剤に添加されうる。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、化粧料として許容されるベースは、希釈剤、分散剤及び/又は組成物中に存在する他の材料のための担体として作用し、かつ組成物が皮膚に適用されるとき、それらの分配を任意選択的に促進することができる。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、アゼライン酸と共に使用されうる化粧用活性剤の非限定的列挙には、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンA、レゾルシノール誘導体、12-ヒドロキシステアリン酸、グルタチオン前駆体、ガラルディン、アダパレン、アロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アルブチン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、シトレートエステル、デオキシアルブチン、1,3-ジフェニルプロパン誘導体、2,5-ジヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、2-(4-アセトキシフェニル)-1,3-ジチアン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジチアン、エラグ酸、アスコルビン酸グルコピラノシル-1、グルコン酸、グリコール酸、緑茶抽出物、4-ヒドロキシ-5-メチル-3[2H]-フラノン、4-ヒドロキシアニソール及びその誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、アスコルビン酸イノシトール、乳酸、レモン抽出物、リノール酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、5-オクタノイルサリチル酸、サリチル酸、3,4,5-トリヒドロキシベンジル誘導体、オクタデセン二酸、アセチルルグルコサミン、Pitera(商標)抽出物、SymWhite(商標登録)、パントテン酸カルシウム(メラノ-ブロック)、SEPPIWHITE(商標登録)、ダイズ抽出物(Bowman-Birk阻害剤)、及びこれらの混合物、ビタミンB6、レゾルシノール誘導体、例えば2,4-置換レゾルシノール誘導体及び3,5-置換レゾルシノール誘導体、ヘキシルレゾルシノール及びフェニルエチルレゾルシノール、12-ヒドロキシステアリン酸、グルタチオン前駆体、ガラルディン、ベータ-アラニン誘導体、含まれるのはしわ改善剤としての1-ピペリジンプロピオン(1PP)酸、ステロイド抗炎症剤、非ステロイド抗炎症剤、局部麻酔剤、血管新生阻害剤、レチノイン酸の誘導体、天然化合物、及び日焼け止め剤として作用する化合物、皮膚保湿剤、抗酸化剤、例えば天然フェノール、フラボノイド、リコペン、テルペン、カンナビノイド、精油、フィトステロール及びテロメラーゼ活性剤植物ベースの抽出物(TA65など)、適応促進薬、抗老化化合物、植物及び薬効のあるキノコ抽出物、ステロール、アスコルビン酸及びそのエステル、重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、及びEDTAのようなキレート剤、コハク酸及びクエン酸が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、局所用、化粧用、及び皮膚科用の製剤調製物、及び非有効成分、賦形剤及び増強剤を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態によれば、薬学的に許容される賦形剤の非限定的列挙には、保護剤、吸着剤が挙げられ、薬学的に許容される担体は、スプレー、ミスト、エアロゾル、溶液、ローション、ジェル、クリーム、軟膏(ointment)、ペースト、軟膏(unguent)、エマルション及びサスペンションを含む群から選択される。任意選択的な賦形剤は、鎮痛剤、皮膚軟化剤、保存剤、抗酸化剤、保湿剤、緩衝剤、可溶化剤、皮膚浸透剤及び界面活性剤である。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、選択された追加の官能化剤は、約0.01~5重量%の範囲の量で存在してよく、ここで、前記TriAzaベースの局所用組成物は、約5~8の範囲の生理学的に許容されるpHを有する。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、浸透圧を維持するために添加される賦形剤は、250~650mOsmol/kgの範囲にある。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、化粧料として許容されるベースは、限定なしで、10~30個の炭素原子を有する脂肪酸及びそれらの塩、水、液体又は固体の皮膚軟化剤、溶媒、保湿剤、増粘剤、粉末が挙げられる成分から作製されてよい。これらの成分は、単独で使用されてもよく、かつ/又は化粧料として許容されるベースを形成するために互いに組み合わせて使用されてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態によれば、化粧料として許容されるベースは、皮膚浸透促進剤、例えば、限定なしで、ジメチルスルホキシドを含有してよい。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、化粧料として許容されるベース中で使用されうる皮膚軟化剤には、限定なしで、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジン-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココア脂、トウモロコシ油、綿実油、オリーブオイル、パーム核油、菜種油、ベニバナ種子油、月見草油、ダイズ油、ヒマワリ種子油、アボカド油、ゴマ種子油、ココナッツオイル、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、ワセリン、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態によれば、局所用TrAza製剤は、6.5~7.0の範囲にあるpH緩衝剤を有し、例えば、限定なしで、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤及び酢酸緩衝剤である。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、安定であり、25℃での貯蔵6か月の間の制御に匹敵する。
【0125】
いくつかの実施形態によれば、触媒オゾン分解及びそれに続く精製ステップによって生産されるTriAzaベースの石けんは、光の中で25℃にて2年にわたり(匂い、色、及びワックス様稠度の変化なしで)安定である。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、粗オリーブオイルの過酸化水素/過マンガネート酸化に基づいて調製された。種々の画分に添加された天然の添加剤の非限定的列挙には、プロバイオティクス混合物、抽出物、精油、ポストバイオティクス及びプレバイオティクスが挙げられる。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、TriAzaの組成物、及び機能的製剤としての使用を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態によれば、組成物には、限定なしで、活性化合物を皮膚に組み入れうる両親媒性生体材料及び抗微生物系を挙げられうる。
【0129】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、典型的に傷に感染する日和見性病原性微生物、及びバイオフィルムの形成、及び院内感染症における、有効な低減を達成するのに要する抗微生物剤の濃度を低下させて、このようにして抵抗性のリスクを減らすことに有用でありうる。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、従来の抗生物質及び抗真菌活性剤、及び/又はニコチンアミド天然抗プランクトン様の及び/又は抗カンジダ活性剤と組み合わされたTriAzaは、有効成分のMICの著しい低減をもたらす。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、従来の抗生物質及び抗真菌活性剤、及び/又はニコチンアミド天然抗プランクトン様の及び/又は抗カンジダ活性剤と組み合わされたTriAzaは、必要とされる用量の低減へと至らせ、製剤を単純化し、投与の遵守を改善し、抵抗性のリスク及び副作用を低減する。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaベースの石けんは、プセウドフォリクリティエス・バルバエ(Pseudofolliculities Barbae)(PFB)の皮膚科の髭剃り後障害にも関連するP.アクネス、S.アウレウス及びC.アルビカンスによって誘起される感染症を伴う状態に対する、有効な治療選択肢である。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaの、並びにS.アウレウス及びP.アエルギノサ(P.aeruginosa)における他の組合せの、最小阻止濃度(MIC)及び最小殺細菌濃度(MBC)は、任意の標準的方法、例えば、限定なしで、そこにS.アウレウス及びP.アエルギノサの一晩の培養物がTSB中で増殖され、0.1の最適密度(O.D.)に調整され、次いで各培養物が、試験されるTriAza又は組合せの2倍の一連の希釈剤でインキュベートされる、プロトコルを用いて決定される。
【0134】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaベースの組成物は、抵抗株によりバイオフィルムの形成を阻止することが示されている他のマイクロバイオーム制御剤を伴う添加剤及び相乗的抗微生物特性について試験されうる。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、Tri-Azaの、抗生物質抵抗性のリスクにおける複数の適応症において適用されうる両方の細菌中のL-Glu酢酸アミノ酸との組合せが開示されている。
【0136】
いくつかの実施形態によれば、追加の天然の抗生物質は、添加の、付加の、又は予防の方法としてリスクのある患者において使用されてよく、例えば、限定なしで、植物抽出物、ティーツリー油、他の精油、銅、Zn、EDTAである。病原体産生トリグリセリドリパーゼへの特定の及び選択的な標的は、「スイサイド」の「バイオフィードバック」ベースの病原体活性化機序を、必須の宿主-病原体の相互作用を利用することによって提供し、したがって、耐性及び抵抗性の発現は起こりにくい。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、TriAzaベースのマイクロバイオームで富化した局所用製剤を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、乾癬において、TriAzaは、悪性のStaph.アウレス(SA)の根絶を介して保護的マイクロバイオームの均衡をとり、SA誘起の炎症を低減する。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、抗老化TriAzaベースの治療は、皮膚の外見、皮膚バリア及びしわの各改善によって実証されつつ、ニトロソモナス・エウトロファ(Nitrosomonas eutropha)と相乗的である。
【0140】
いくつかの実施形態によれば、光老化において、植物抽出物で発酵されたラクトバチルス・ブクネリ(Lactobacillus buchneri)と組み合わされたTriAzaは、UV-B誘起サイトカイン及びROS放出を低減し、このようにしてメラニンを安定化する。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaベースの製剤は、限定なしで、マイクロバイオーム活性剤(プロバイオティクス、ポストバイオティクス、プレバイオティクス)、抗感染剤、局所的に/皮膚科的に活性な作用剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、適応促進薬、増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、核酸、ビタミン、ミネラル、麻酔剤、抗炎症剤、保湿剤、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、植物からの幹細胞、卵及び卵殻からの抽出物、ハチミツ(好ましくはデーツハニー)、ヒアルロン酸、植物の及び薬効のあるキノコ抽出物(すなわち多糖、ステロール、フェノール、有機酸、ポリフェノール、スチルベン、フラボノイド、ステロール、ワックス、スクアレン及び他の脂質及び油、トリテルペン及びグリコシド/サポニン、アルカロイド、グルカン、長鎖、アリシン、媒質及び短鎖脂肪酸、プリン及びその誘導体、ポリアミン(例えばスペルミン及びスペルミジン)並びに抗増殖剤、アリシン、ジカルボン酸、並びに皮膚浸透増強剤を含む1種以上の活性物質を更に含む。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、活性剤は、総ての組成物の約0.1重量%~約40重量%の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、活性剤は、約0.5重量%~約40重量%、2重量%~約40重量%、5重量%~約40重量%、10重量%~約40重量%、15重量%~約40重量%、20重量%~約40重量%、30重量%~約40重量%、0.5重量%~約35重量%、0.5重量%~約30重量%、0.5重量%~約25重量%、0.5重量%~約20重量%、0.5重量%~約15重量%、及び0.5重量%~約10重量%の範囲にある。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、開示されているのは、レチノイド(例えばビタミンA、アシトレチン、イソトレチニオン、トレチニオン及びタザロテン);過酸化物(例えば過酸化ベンゾイル);抗生物質(例えばテトラシクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、ドキシシクリン、オキシテトラシクリン、ミノシクリン及びトリメトプリム);ホルモン(例えばコ-シプリンジオール);アダパレン;ニコチンアミド;サリチル酸;塩酸フェニルフリン、プラモキシンHCL、コルチコステロイド、ビタミンD及びその誘導体;アントラリン、及びカルシネウリン阻害剤、エラスチン、ヒアルロン酸、コラーゲン又はキトサン、ステロイド又はホルモン又はフェロモン(例えばコ-シプリンジオール、エストラジオール、テストステロン又はそれの誘導体);麻酔剤、止血剤、抗炎症剤、アサベースの抽出物(カンナビノイド)、トリプトファン/インドール/メラニン誘導体、セロトニン、ドーパミン誘導体、デオドラント、散痛剤、UV保護剤、及びこれらの組合せ、アロエヴェラ、及びこれらの組合せを更に含むTriAzaベースの製剤である。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、局所的に活性な作用剤は、限定なしで、抗生物質、抗細菌剤、抗ウイルス剤、駆虫剤、抗真菌剤、麻酔剤、鎮痛薬、鎮痛剤、抗アレルギー剤、抗ざ瘡剤、抗有糸分裂薬、鎮痒薬、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、角質溶解薬、抗血管形成剤、抗炎症薬、ホスフォジエステラーゼ4阻害剤、抗がん薬、抗悪性腫瘍薬、アントラセン誘導体、ソラレン、抗増殖薬、ビタミンD類似体、抗脱毛(プロスタグランジン類似体)、抗ヘレティック剤、光増感剤、脱色素沈着剤、ホルモン、血管収縮剤、及びそれらのうちの2種以上の混合物から選択されてよい。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、開示されているのは、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、アシトレチン、アシクロビル、アダパレン、アルクロメファゾン、アルファ-トコフェロール、アムシノニド、アモロルフィン、アンホテリシンB、テトラシクリン、過酸化ベンゾイル、ベータメタゾン、ブリモニジン、カルシポトリオール、カルシトリオール、シクロピロクス、クリンダマイシン、クリサボロール、クロベタゾール、クロタミトン、シプロヘプタジン、ダプゾン、デソニド、ジクロフェナク、ジフルコロトロン、ジフルプレドナフェ、ジオキシアントラノール、エコナゾール、エフィナコナゾール、エリスロマイシン、エストラジオール、エトレチネート、フルオシノロンアセトニド、フルチカゾン、フシジン酸、モメファゾン、グリコール酸、グリチルレフィン酸、ハロベファゾール、ヒドロコルチゾン、ヒドロキノン、イブプロフェン、イミキモド、イソトレチノイン、イベルメクチン、ケフォコナゾール、コウジ酸、乳酸、リドカイン、リンゴ酸、メキノール、メフォキシサレン、メトロニダゾール、ミコナゾール、ミノキシジル、オクフォピロクス、オキシメファゾリン、ピロカイン、ピリドキシン、プロゲステロン、レチノール、ピメクロリムス、レシキモド、ルシノール、タクロリムス、タザロフェン、テルビナフィン、テトラカイン、テナルジン、フラボポスト、トレチノイン、トリメプラジン、トリファロフェン、亜鉛ピリチオン、及びそれらの有効成分の塩又は誘導体、及びこれらの2種以上の混合物を更に含むTriAzaベースの組成物である。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、抗感染剤は、限定なしで、抗生物質(例えばテトラシクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、ドキシシクリン、オキシテトラシクリン、ミノシクリン及びトリメソプリム);又は抗細菌剤:アルコール、塩素、過酸化物、アルデヒド、トリクロサン、トリクロカルバン、ベンザルコニウムクロリド、リネゾリド、キヌプリスチン-ダルフォプリスチン、ダプトマイシン、オリタバンシン及びダルババンシン、キノロン、及びモキシフロキサシン、精油若しくはテルペン;又は抗真菌剤であってよく:抗真菌組成物は、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、モフォテリシン、ニスタチン、スポラノクス、ジフルカン、テラゾール、イントラコナゾール、ミコスタチン、ホウ酸、トリコナゾール、ウンデシレニル酸、トルナフテート、イミダゾール、ルリコナゾール、タバボロール、アリルアミン、アモロルフィン、オキシコナゾール、グルコナゾール、シクロチロクス、ナフチフィン、アンホテリシンB、スルコナゾール、ブテナフィン、セルタコナゾール、エフィナカナゾール、その誘導体又はプロドラッグ、及びそれらの組合せ;キトサン、スルファジアジン、銀スルファジアジン、硝酸銀、銀ナノ粒子、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0147】
いくつかの実施形態によれば、上記組成物は、抗老化化粧用成分、例えば、限定なしで、アルギネートオリゴ糖、水素化アルギン、グルトラペプチド、インドール、メラニン模倣物、アルテミシア(Artemisia)抽出物、Pinolumin(商標)、バニロイド-1受容体アゴニスト、神経伝達物質アゴニスト、生体有効成分(例えばD-チロシン、ヒアルロン酸誘導体;ペルレカン及びアルギン誘導体);天然の植物抽出物(例えばポリフェノールスチルベン);グリフォリン誘導体;チオレドキシン及び他の生体活性タンパク質、天然由来の又は合成の認可されているペプチド及びその類似体(例えば、コラーゲントリペプチド、Lipotec SNAP-8TM Peptide;leucylproline、Lipotec ARGIRELINE(登録商標)Peptide;Lipotec Inyline Peptide;Bachem Cosmetic Peptides、SPACE-peptide担体、Prospector BONT-L Peptide Solution(PF)、argireline(登録商標)、アセチルヘキサペプチド-3、BODYFENSINE(登録商標)Peptide、BASF skin asensyl(登録商標)LS 9749、dipeptides(例えばkyotorphinの誘導体及び類似体;脂質ジペプチド、テトラペプチド);ブランドの化粧用の実証されている有効成分、すなわちBASF LS Skinasensyl;SensAmone P5;Neurobiox(商標)The Skin Biosurfacer、CRODA Calmosensine(商標);RAHN DEFENSIL(登録商標)-SOFT、Sederma Prospector Calmosensine(商標)SP、Infinitec X50(登録商標)Myocept Evercool(登録商標)Skin;Codif STOECHIOを更に含む。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、開示されているのは、皮膚軟化剤及び/又は皮膚バリア保護剤としてのTriAzaである。
【0149】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、両親媒性の、皮膚に適用したときに心地よい香り及び心地よい平滑なテクスチャによって特徴付けられる皮脂模倣機能性皮膚軟化剤である。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、皮膚の表面上に薄い疎水性フィルムを形成することによって皮膚を保護して、経表皮水分損失を遅らせる。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、皮膚軟化剤として、TriAzaは、AD皮膚のための閉塞性バリアを提供し、水分を保ち、刺激から保護する。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、皮膚軟化剤として、TriAza皮膚軟化剤の機能性は、付加的であり、その抗微生物の、かゆみ止めの及び抗炎症の各作用に対して任意選択的に相乗作用的である。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、追加の皮膚軟化剤成分が機能性皮脂模倣物として及び/又は皮膚バリア保護剤として設計される場合、TriAza製剤に添加されうる。非限定的な例には、ラノリン、鉱油、オリーブオイル、石油セラミド、パラフィン及びシリコーン、コラーゲン、エラスチン、ステアリン酸グリセリル及びシア脂が挙げられる。
【0154】
いくつかの実施形態によれば、保湿剤が、皮膚を保湿化するよう水蒸気を引き込むために添加されてよく、例えばグリセリン、アルファヒドロキシル酸及びソルビトールである。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、浸透保護剤が添加されてよく、含まれるのは、限定なしで、グリコシド、光保護剤、トレハロース及びエクトイン、並びに有機浸透調節物質である。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、調達及び生産の環境的に安全な方法に起因して、TriAzaは安全であり、アトピー性皮膚炎及び湿疹並びにKPの各患者のための適当な皮膚軟化剤であり、皮膚軟化剤治療のための受容性及び付着性を改善する。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、酸化のオリーブオイルプロセスを強固にする。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaベースの製剤は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)、例えばフェニルブチレート、バルプロ酸(VPA)又はボリノスタット(SAHA)を更に含み、これらは、いくつかの免疫賦活特性を発揮し、少なくとも部分的にそれらの抗がん効果に寄与する。
【0159】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaベースの製剤は、アルファヒドロキシ酸(AHA)、ポリ-AHA、錯体ポリ-AHA、レチノイド、魚多糖、抗酵素剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、ピクノゲノール、ウルソル酸、植物イソフラボン、ビタミンE、コエンザイムQ10、リポ酸、レスベラトロール、l-カルノシン及びタウリンを含む)並びにアガリシン酸、並びに多種の植物抽出物を更に含む。
【0160】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の生体分子及び/又は化学的要素及び/又は生物学的サンプルを、このような送達を必要とする対象に送達するように設計された組成物を提供し、該組成物は、式:
【0161】
【化14】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、ジカルボン酸、アゼライン酸からなる群から選択され、式中、n=1(1以上)である)を有するある量の担体を含み、ここで、前記担体の量は、前記生体分子及び/又は生物学的サンプルを所与の標的に送達するのに有効である。
【0162】
上記組成物のいくつかの実施形態によれば、組成物は、限定なしで、消毒剤組成物、化学的組成物、医薬組成物、薬用化粧品組成物、食用組成物、及びマイクロバイオームを含む組成物であってよい。本発明の文脈において、用語「マイクロバイオーム」は、限定なしで、特定の環境(体、又は体の一部を含む)中の微生物を指す。マイクロバイオームはまた、特定の環境中の微生物の組み合わされた遺伝物質も指す。マイクロバイオームは、共生の及び病原性の、全ての脊椎骨中に又は脊椎骨上に棲む全ての微生物のゲノムを説明する用語であると考えられる。マイクロバイオームの非限定的な例には、ラクトバチルス、バチルス及びビフィヅム、及び主な毒性因子としてのリパーゼを過剰発現しない宿主細菌叢の均衡又は/及びバイオフィルム及び日和見性の及び侵入性の汚染誘起病原体を誘起する移植され投与されたプロバイオティクス組成物が挙げられる。
【0163】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、加水分解の際に放出するリパーゼ加水分解性(リパーゼ媒介の)部位標的系不活性の又は不活性ではない担体化合物(「担体成分」と称される)、及び活性化合物(「有効成分」と称される)を更に提供し、これらは、からなる群から選択される。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、リパーゼ加水分解性トリグリセリドエステルは、不活性担体成分(グリセロール部分)及び有効成分(脂肪酸部分)を含む。例えば、アゼライン酸及び/又はレチノイン酸などの成分は、グリセロール主鎖に化学的に結合されて、トリ-レチノール、トリアゼライン及び混合ジ-レチノール、モノ-アゼライン、又はジ-アゼライン、モノ-レチノールエステル誘導体を形成する。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、本発明のトリグリセリドエステルは、エステル1モル当たり3つの活性脂肪酸の分子を提供する。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、リパーゼ加水分解性部分は、抗生物質成分(例えばエリスロマイシン、マクロライド又はリンコサミド部分)、及び抗ざ瘡活性担体(例えばリノール酸又はアゼライン酸部分)を含む。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、本発明のエステルは、エステル1モル当たり1つの抗ざ瘡活性脂肪酸(担体成分としても働く)の分子、及び抗生物質を提供する。
【0168】
いくつかの実施形態によれば、化合物は、不活性のコレステロール又はコレステロール様担体の部分、及び抗生物質有効成分の部分(例えばマクロライド、好ましくは14員マクロライド、又はリンコサミド、好ましくはクリンダマイシン)を含む。
【0169】
用量は、症候の重篤度に依存し、活性薬物への対象の反応性に依存する。用量は、年齢、性別、体重及び疾患の状態を考慮して、担当医師によって決定される。いくつかの実施形態によれば、本発明は、オレインオイルなどのトリグリセリド出発物質を含有する不飽和脂肪酸からの、アゼライン酸(「トリアゼライン酸グリセロール、トリアゼライン)で富化された混合物(「TriAza」、又は3Az、又はTriAza、又は3Az)の、アシルグリセロールの生成の方法を提供する。
【0170】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、アルキン条件下での、オゾン分解又は酸化プロセスを用いて生成される。該プロセス中、1モルのトリオレインのオゾン分解は、トリオレインの不飽和のオゾン化物を産生し、これは更に酸化され、不飽和結合の切断に続いて1モルのトリアゼライン及び3モルのペラルゴン酸が得られる。一実施形態において、純粋なTriAzaは、化学的液体合成生成によって生成されうる。
【0171】
いくつかの実施形態によれば、TriAzaは、実施例1~5、10及び11において記載されている方法に従って生成される。
【0172】
いくつかの実施形態によれば、得られた生成物TriAzaは、鹸化、重合、乳化、サスペンション、ゲル化によって更に修飾され、次いで多種の化粧用の天然ベースの医薬の、栄養補助食品の及び他の実用的な各組成物における、石けん、ポリマー、エマルション、サスペンションゲルとして使用される。
【0173】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、細菌リパーゼにより加水分解されうる新しい化学的抱合体を提供し、これは、前記リパーゼによる加水分解の際に、毛嚢脂腺単位に伴う疾患、好ましくはざ瘡病原体を治療することにおいて有効である有効成分を放出する。加水分解に際して、本発明の化合物はまた、不活性の又は不活性ではない担体成分も放出する。
【0174】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、(1)グリセロール、モノ-又はジカルボン酸及びコレステロール又はコレステロール様化合物からなる群から選択される不活性の又は不活性ではない担体成分、並びに(2)抗ざ瘡活性を呈する抗生物質又は脂肪酸化合物からなる群に由来する毛嚢脂腺単位の疾患の治療において活性な成分の、加水分解の際に提供する細菌リパーゼ加水分解性エステルを提供する。同じ抗ざ瘡脂肪酸が、脂肪族の、環状の、芳香族の、飽和の、不飽和の、モノ、ジ及びポリカルボン酸、及びこれらの混合物であってよい。
【0175】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、P.アクネのリパーゼ、又は毛嚢脂腺単位に特異的なリパーゼ生成微生物により生成される任意の他のリパーゼによって加水分解性であるプロドラッグ抱合体を提供する。リパーゼ加水分解性抱合体の非限定的列挙には、以下:抗ざ瘡活性脂肪酸の3つの分子を放出するトリグリセリドエステル;抗ざ瘡活性脂肪酸の1つの分子、及び抗生物質を放出するエステル;及び抗生物質を放出するコレステロールエステルが挙げられる。前記抱合体のそれぞれは、毛嚢脂腺単位に特異的なリパーゼへの暴露の際に、限定なしで、ざ瘡、脱毛症、脂漏症及び多毛症を含む毛嚢脂腺単位疾患の治療において有効な成分を放出する。一実施形態において、アゼライン酸を放出するトリグリセリド抱合体は、ホルモン依存ざ瘡の治療において有用である。一実施形態において、非グリセロール抱合体は、感染性ざ瘡の治療において有用である。
【0176】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、改善した生体保護特性を有する特別なアシルグリセロール、好ましくはトリアゼラインをベースとする化粧用調製物を提供する。該組成物の生体保護特性は、限定なしで、作用の二重機序、すなわち、無菌性アゼライン酸の放出と、天然のトリグリセリド基質を有するトリアゼラインの基質競合とに基づく。
【0177】
いくつかの実施形態によれば、得られたトリアゼラインは、エマルション中に更に組み入れられて、本発明による調製物に、トリグリセリドリパーゼ産生微生物に対する改善した殺細菌特性及び細菌安定特性を提供することができる。
【0178】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、毛嚢脂腺単位の障害の局所治療用の新規の組成物及びそれらの合成を提供する。
【0179】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本発明の構造化されたトリグリセリドを含む栄養素又は局所用エマルションを提供する。本発明によるエマルション組成物は、天然の、生物学的に適合性のある乳化剤、例えば、限定なしで、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、又はこれらの混合物を含むことができる。一実施形態において、エマルションは、ビタミンE、好ましくはアルファトコフェロールを更に含む。一実施形態において、エマルションは、薬学的に許容される非天然界面活性剤を更に含む。好適な界面活性剤の非限定的列挙には、TYLOXAPOL;POLOXAMER;POLYOXYL 40 Stearate;POLYSORBATE、TWEEN、PLURONIC F-68、ポリオキシエチル化油及びポリオキサミンが挙げられる。一実施形態において、油性混合物は、構造化されたトリグリセリド、及びまた抗酸化剤を含む。典型的には、本発明のエマルションは、膜フィルターを通してろ過され、又は不活性気体雰囲気下、例えば窒素下、加熱することによって無菌化される。
【0180】
いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、化粧料として又は皮膚科用として許容され、すなわち非毒性であり、限定なしで、まぶたの内側又は唇を含むヒトの皮膚に適用され得る。
【0181】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の乳化剤を更に含む。乳化剤の添加は、トリアゼラインの、最終組成物中への組み入れを改善する。一実施形態において、乳化剤は、トリアゼラインからのアゼライン酸のリパーゼ媒介放出を改善する。
【0182】
いくつかの実施形態によれば、活性剤は、ヒトの皮膚に適用されうる、又はコリネバクテリアル(corynebacterial)、スタフィロコッカス、プロインニウムバクテリア(proioniumbacteria)、カンジダを含む皮膚マイクロフローラの根絶のために、体の刺激、炎症、感染症、悪臭、痒み、擦過又は水分の低減又は除去のために、布帛上に若しくは使い捨てシート表面上にコーティングされうる、製剤/送達系において使用されうる。アゼライン酸のアシルグリセロール、及び/又は本明細書でTriAzaと名付けられている他の抗微生物の「トリグリセリド模倣物質」からなる本明細書で開示されている抗微生物局所用製剤の適用によって、デオドラント及び抗刺激活性は到達され得、それにより、対象における、匂い、又は局所若しくは皮膚の刺激を和らげるために使用されうる。
【0183】
いくつかの実施形態によれば、TriAza含有製剤は、使い捨て吸収剤、例えば、限定なしで、おむつ、布帛、医療用装置及び他の関連する表面用のコーティングとして使用されうる。
【0184】
いくつかの実施形態によれば、本発明の活性剤は、マイクロフローラを非活性化するのに有効な量で使用されうる。これらのマイクロフローラのみが、特定のトリグリセリドリパーゼによって、トリグリセリド、特にトリオレインを異化することができる。いくつかの実施形態によれば、活性剤は、組成物の0.01~20重量%の範囲の量で存在しうる。いくつかの実施形態によれば、活性剤は、0.1~90%の範囲の量で存在しうる。
【0185】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、トリアゼラインを含む組成物の調製の方法を提供し、該方法は、アシルグリセロール結合を加水分解することなしに、植物油中のトリオレインを酸化することを含む。
【0186】
上の方法のいくつかの実施形態によれば、植物油の非限定的列挙には、トウモロコシ油、綿実油、オリーブオイル、パーム核油、菜種油、ベニバナ種子油、月見草油、ダイズ油、ヒマワリ種子油、アボカド油、ゴマ種子油、ココナッツオイル、ラッカセイ油、及びヒマシ油が挙げられる。
【実施例】
【0187】
実施例1:アゼライン酸グリセリルトリエステルの合成
エチルクロロホルメート(約10mmol)を-5~0℃にてアゼライン酸(約10mmol)及びトリエチルアミン(TEA、約10mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(THF、約40ml)中溶液に添加した。混合物を遠心分離によって分離し、上清を、乾燥グリセロール(約2.5mM)の溶液に添加した。得られた混合物を25℃にて1時間及び50℃にて1時間撹拌した。次いで、水(約30ml)を、冷却した反応混合物に添加し、続いて減圧下で蒸発させた。生成物をクロロホルムで抽出した(2×約30ml)。得られた有機溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、続いて蒸留し、これが微細な白色の結晶物質をもたらした。収率は10%であった。
図1は、アゼライン酸グリセリルトリエステルの合成についての模式的経路を示す。
【0188】
実施例2:アゼライン酸グリセリルトリエステルの合成
アゼライン酸グリセリルトリエステルの合成の代替的方法
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)2.06g(10mmol)の、乾燥MeCl
2 15ml中溶液を、乾燥グリセロール0.23g(2.5mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン0.03g(0.25mmol)及びアゼライン酸1.65g(8.8mmol)の、乾燥CH
2Cl
2(30ml)及び乾燥テトラヒドロフラン(THF)5ml中溶液に非常にゆっくりと(滴下)添加した。得られたサスペンションを25℃にて一晩撹拌した。ジシクロヘキシル尿素(DCU)を真空においてろ過し、溶媒を、加熱なしに減圧下で蒸発させた。残留物をTHFに再溶解させ、非溶解物質(DCU)を分離した。油性の残量物がフラスコ中に残るまで、THFを蒸発乾固させた。この油性の残留物は、乾燥凍結後に固化した。得られた物質を、展開溶媒としてクロロホルム/メタノール/水(65:25:4、v/v/v)を使用して、分取薄層クロマトグラフィーにおいて精製した。収率:およそ25~30%。得られた化合物のNMR分析は、関連するピークを明示した。
図2は、アゼライン酸グリセリルトリエステルのこの合成についての模式的経路を示す。
【0189】
実施例3:レチノイン酸グリセリルトリエステルの合成
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、約20mmol)の乾燥ジクロロメタン(約30ml)中溶液を、乾燥グリセロール(約5mmol)とN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP、約0.5mmol)とレチノイン酸(約17.5mmol)との混合物に滴下添加した。得られたサスペンションを25℃にて一晩撹拌した。得られた溶液をろ過し、塩化メチレンを加熱なしに減圧下で蒸発させた。生成物を再結晶させた。
図3は、レチノイン酸グリセリルトリエステルのこの合成についての模式的経路を示す。
【0190】
実施例4:1-アゼライン酸2,3-レチノイン酸グリセリルトリエステルの合成
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、約7mmol)の乾燥ジクロロメタン(約20ml)中溶液を、2,3-イソプロピリデン-sn-グリセロール(約5mmol)とN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP、約1mmol)とアゼライン酸(約6mmol)とのジクロロメタン(約30ml)中混合物に滴下添加した。サスペンションを25℃にて約12時間撹拌した。得られた沈殿物をろ過し、水で洗浄し、凍結乾燥させた。乾燥生成物を、乾燥ジクロロメタン(約30ml)に溶解し、混合物にゆっくりと添加した。サスペンションを25℃にて一晩撹拌した。沈殿物のろ過後、ジクロロメタンを減圧下で蒸発させ、粗生成物を凍結乾燥させ、それに続いて再結晶させた。
図4は、1-アゼライン酸、2-3-レチノイン酸グリセリルトリエステルのこの合成についての模式的経路を示す。
【0191】
実施例5:リノール酸2’-O-リノレイオイルエリスロマイシンの2’-O-エリスロマイシンエステルの合成
エリスロマイシンのメチルエステル1.0mmolの、CHCl
3 50ml中の氷冷溶液へ、Et
3N 1.1mmolをアルゴン雰囲気において滴下添加した。3分後、リノール酸1.1mmolのCHCl
3 35ml中溶液を0℃にて添加し、次いでジシクロヘキシルカボジイミド1.1mmol、及びヒドロキシベンズトリアゾール1.1mmolを固体として添加した。最後に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)35mlを添加し、混合物を0℃にて2時間撹拌し、室温にて更に40時間撹拌した。酢酸エチル(50ml)を添加し、混合物をろ過し、真空中で濃縮し、再びろ過した。エーテル(30ml)を添加し、混合物を、水、1%のKOH溶液及び水で抽出した。有機相をMgSO
4によって脱水し、蒸留し、残留物をシリカカラム(h=30cm、d=3.2cm)上でクロマトグラフした。
図5は、リノール酸の2’-O-エリスロマイシンエステルについての模式的経路を示す。
【0192】
実施例6:リパーゼ媒介活性
細菌リパーゼの、本発明の実施形態による有効成分への親和性を決定するために、基質としてTriAzaを利用するリパーゼの能力を試験した。この目的のために、P.セパシアン(P.cepacian)からの市販のリパーゼを使用した。増加量の酵素を、固定濃度の基質と混合し、37℃にて数時間インキュベートした。アゼライン酸の生成を登録することにより、酵素活性をTLCによって監視した。増加濃度の酵素を、TriAzaを犠牲にして、アゼライン酸の漸進的堆積にカップリングさせる(
図5)。結果は、TriAzaが、細菌リパーゼ活性のための基質として利用できたことを示唆している。
【0193】
実施例7:リパーゼ-媒介特異性
設計した分子の純粋なプロドラッグ活性は、標的の酵素に向けたそれらの高い特異性を示唆している。TriAzaは、哺乳動物エステラーゼ又は他のトリグリセリド利用リパーゼによって認められうる特異な脂肪酸のグリセロールエステルを表す。細菌リパーゼのTriAzaへの特異性を確立するために、P.セパシアからのリパーゼ活性を、哺乳動物エステラーゼ及びホスホリパーゼA2のリパーゼ活性と比較した。酵素を、等しい活性量において、固定濃度のTriAzaに暴露した。酵素活性の程度を、アゼライン酸の産生のレベルに応じて登録した。リパーゼと対照的に、エステラーゼもホスホリパーゼA2もアゼライン酸を生成できなかったことを見出した(
図6~7)。これらの結果は、細菌リパーゼによるTriAzaの消費がきわめて特異的であることを示している。
【0194】
実施例8:抗細菌活性
TriAzaを、細菌の病原性増殖に伴う皮膚障害の治療のための、既知の抗細菌剤である、アゼライン酸のプロドラッグとして設計した。例えば、尋常性ざ瘡の発現は、疾患の環境である皮脂腺中のP.アクネスの広範な堆積に、強固に伴う。P.アクネスに対するTriAzaの抗細菌活性を決定するために、TriAzaの最小殺細菌濃度(MBC)を決定した。TriAzaの効果を、ざ瘡の治療において使用する2種の主な競合物、アゼライン酸及び過酸化ベンゾイル(BPO)のMBCと比較した。TriAza、及び参照とする分子が、0.5mg/ml~5mg/mlの範囲のP.アクネスに対する抗細菌活性を示したことを見出した(表1)。全ての分子が同様にふるまったものの、TriAzaの活性が、アゼライン酸の活性よりも2倍強力であると見出し、これは、尋常性ざ瘡の治療におけるTriAzaの使用を支持している。
【0195】
【0196】
TriAzaの種々のバッチの抗微生物活性を比較するために、原則的ではない修正で調製したバッチの数のMICを決定した。選択したバッチを、TriAza-3、TriAza-6、TriAza-7及びTriAza-19と標識し、P.アクネスの増殖培地に供給した。バッチの最小阻害濃度を監視し、相互に比較した。全てのサンプルが、小さい偏差を有する類似の抗細菌活性を所有していたことを見出した(表2)。更なる分析のために、バッチTriAza-19を、最少量のペラルゴン酸を含有するバッチとして選んだ。
【0197】
TriAzaが石けんとして市販するために設計されていることから、その石けんの抗細菌活性を規定することを決定した。この目的のために、TriAzaの最も活性なバッチのナトリウム塩(石けん)(TriAza-19-Na)を調製し、材料のMBCを決定した。TriAza-19-Naが、抗細菌活性と殺細菌活性との両方を呈することを見出したが、TriAza-19それ自体のそれよりも重要ではない(表1)。この知見は、TriAzaの石けんが、抗細菌活性が低いにもかかわらず、抗P.アクネス治療において使用できることを示している。TriAza石けんの低下した活性にもかかわらず、それがアゼライン酸の活性よりも依然として高いことが強調されるべきである(表1及び表2)。
【0198】
【0199】
実施例8:抗細菌特異性:活性の範囲
TriAzaが抗細菌活性を所有することから、P.アクネスへのその特異性の程度を決定した。この目的のために、いくつかの主な皮膚病原体を選択して、TriAzaの感受性について試験した。スタフィロコッカス・アウレウス及びカンジダ・アルビカンスを選び、これらはそれぞれ細菌属及び真菌属を表している。両方の有機体が、リパーゼを発現する。細菌及び真菌を、多様な濃度のTriAza及びそのナトリウム塩に暴露し、該作用剤のMICとMBCとの両方を統計的に決定した。両方の有機体が該物質に感受性があったことを見出し、S.アウレウスがより高い感受性を呈している。TriAza活性のレベルは、P.アクネスに対して明示された活性と類似していた。試験した有機体に対するTriAzaのMICにおけるわずかな差は、それらのリパーゼ活性における差に起因しうる。我々の知見は、TriAzaが、S.アウレウス及びC.アルビカンス感染症に伴う多様な感染性疾患の治療において使用され得たことを明らかにした。
【0200】
【0201】
実施例9:トリオレエートのトリアゼレートへの転換を実施するのに最適な条件の決定
オリーブオイル中のトリオレエートを、HPLC-CAD法を用いて、以下のクロマトグラフィー条件下で分析した:
検出器:CAD
カラム:C18、150×4.6mm、5ミクロン
オーブン温度:40℃
流量:1.5mL/分
実行時間:26分
溶離液A:アセトニトリル
溶離液B:クロロホルム
傾斜プロファイルを表4に表す:
【0202】
【表4】
希釈剤:アセトニトリル:クロロホルム(90:10)
【0203】
オリーブオイルの典型的なクロマトグラムを
図1に示す。最大のピークはトリオレエートである。
【0204】
図8は、オリーブオイルの典型的なクロマトグラムを示し、一方で
図9は、トリオレエートの典型的なクロマトグラムを明示する。
【0205】
分析では、オリーブオイル中にトリオレエート28%が産生された。
【0206】
ペラルゴン酸の分析
ペラルゴン酸を、2つの異なる方法、RP-HPLC及びGC-FIDによって分析した。HPLC法は、重大な限界を有する:油性相は直接分析できず、一方でペラルゴン酸は水の可溶性が低い。
HPLC条件:
検出器:UV、210nm
カラム:XBridge C18、150×4.6mm、5ミクロン
移動相:アセトニトリル:水:H3PO4(50:50:0.1)
流量:1.0mL/分
実行時間:15分
カラム温度:35℃
【0207】
図10は、HPLCによる、メタノール中ペラルゴン酸のクロマトグラムを明示している。
【0208】
ペラルゴン酸は、水よりも、油及び有機溶媒にはるかに高い可溶性を有し、したがって、HPLCにおける分析のためにそれを抽出することはきわめて難しい。
GC条件:
検出器:FID
カラム:Supelco、Nukol、15m×0.5mm、0.53mm
インレット温度:210℃
検出器温度:220℃
オーブンプログラム:110℃(1分)→20℃/分→220℃(10分)
実行時間:22.5分
一定流量:3mL/秒
分割比:1:20
注入容積:1mL
【0209】
GC法で得たペラルゴン酸標準品0.5mg/mLのクロマトグラムを、
図11に明示している。
【0210】
反応の最適なパラメータの決定
トリオレエート転換の最適な条件の決定のために、オリーブオイル20gとKMnO4 2.8gとを混合した。
【0211】
オリーブオイルをフラスコ中に置き、KMnO
4を固体として少量の水と共に添加する。混合物を60~80℃に加熱した。約15分後、35%のH
2O
2を添加し、フラスコを冷蔵庫に入れた。H
2O
2の添加後、反応混合物の容積は少なくとも2倍増大し、集中的な泡立ちを観察した。少したって、反応混合物は明るくなり、2つの液体層を観察した。反応の生成物は水溶性である。KMnO
4が依然としてH
2O
2に対して過剰である場合、水相中でKMnO
4はピンク色であり、
図12に明示しているように、フラスコの底に未反応のKMnO
4を観察する。
【0212】
H2O2をKMnO4と一緒に添加したとき、HPLC分析は、トリオレエートの量が同じく残ったことを示し、ペラルゴン酸は観察しなかった。
【0213】
H2O2を添加しなかったとき、トリオレエート及びペラルゴン酸に関するHPLC結果は、およそ同一のままであった。しかしながら、この場合、2つの相の間の分離は、未反応の過マンガン酸カリウムの高い含有量及び形成されたMnO2に起因して、達成が困難であった。明らかな分離を、固体相をろ過して除いて達成した。トリオレエートの分析は、反応後の顕著でない低減を示すのみであった。オリーブオイル中のトリオレエートのアッセイは、28%から20%に落ちた。ペラルゴン酸のアッセイは更に低く、それはトリオレエート転換の8%に相当しなかった。
【0214】
比は、1:1、1:2、1:4の比の値であり、トリオレエートのモルと、3をかけたKMnO4のモルとの間の等しい比で足りることを見出した。20~80℃の範囲内の反応温度と、暴露時間(15~45分)との間に有意差はない。オリーブオイル中のトリオレインの含有量が低減したが、ペラルゴン酸のうちの約0.15%のみが形成した。このことは、トリオレエートの、過マンガン酸カリウムとの反応が、開裂ではなく二重結合のヒドロキシル化へと主に至らせ、例えばトリオレインのわずか少量のみが反応してトリアゼレート及びペラルゴン酸を生成したことを示している。
【0215】
したがって、トリオレエートの低い転換率にもかかわらず、反応は実施しやすく、生成物は液体でありよく分離する。過酸化水素の添加後にオリーブオイルの色の、深い黄緑色から黄色がかった色への顕著な変化があること、及び
図13に表されているように、反応前と反応後とのオリーブオイルのクロマトグラムのわずかな差が明度であることが留意されるべきである。
【0216】
トリオレインのトリアゼレートへの転換率を上げるために、オリーブオイルは、RTにて3時間、KMnO4過剰を継続させた。
【0217】
反応を以下のように実施した:
飽和のKMnO4溶液40gをオリーブオイル20gと混合し、3時間混合した。3時間後、H2SO4濃縮物1mLを添加して、更に1時間混合した。
【0218】
このプロセスの結果は、
図14に示すように、湿地様の黒色-茶色の粘性の液体であった。
【0219】
大量の水を添加した際、
図15に示すように、MnO
2が暗色の油相にあることが明らかであった。
【0220】
ろ過は、高量の粘性のMnO2に起因して困難であった。加えて、油相と水相とは遠心分離を介して分離され得る。油相は、きわめて少量の約1gにおいて残った。
【0221】
H2O2の添加は、数秒間の泡立ちをもたらし、これは、過マンガネートの部分が依然として消費されなかったことを示している。
【0222】
オリーブオイルの過マンガネートへの暴露を増大させるために、反応をBrij(登録商標)35の存在において実施して、油相と水相とを合わせ、このようにしてオリーブオイルをKMnO4に暴露させた。
【0223】
目視によると、結果は類似していたが、しかしながら、Brij(登録商標)35を有するサンプルは、より液体であり、容易にろ過されたように見えた。Brij(登録商標)35を有するサンプルにおいて、MnO2は、フラスコの全容積中に分配された。
【0224】
ろ過の後、
図16に示すように、単一の相を観察した。液体の完全なクリアランスを遠心分離で達成した。
【0225】
反応において形成した液体は、ヘキサンと混和性でなく、又はメタノール中で混和性でなかったが、これは水と混和性であった。
【0226】
図17に示すように、トリオレエートは反応のために消失した。
【0227】
メタノール抽出におけるクロマトグラムにおいて、より多くの親水性生成物が形成され、新しいピークが出現したことが見られる。
【0228】
ペラルゴン酸を全てのサンプルにおいて検出したが、ペラルゴン酸の量は、トリオレエートが落ちたことと相関しなかった。
【0229】
結論
・H2O2は、トリオレエートのトリアゼレートへの転換に関与しない。
・KMnO4のみが反応に必要である。
・トリオレエート転換率は、反応時間に依存する。
・トリオレエートは、延長した暴露で完全に転換した。
・反応培地中に界面活性剤が存在すると、油相が完全に消失するまで反応を促進させる。
トリアゼレートについての試験
多量のオリーブオイルを使用して、トリアゼレートの調製を繰り返した。
【0230】
オリーブオイルを、3つの方法を用いて調製した:
・H2O2の添加に続く、短期間のKMnO4
・長期間のKMnO4
・界面活性剤Brij(登録商標)35の存在におけるKMnO4
・5種のサンプルを調製した:
【0231】
【0232】
トリアゼレートの標準品が入手不能なことから、トリアゼレートの存在について結論付ける唯一の方法は、MSである。
【0233】
全てのサンプルを、GC-MSにおいて、同じ条件下で実行した。
【0234】
長い処理の後、アゼライン酸を水相中でのみ観察した(サンプル4)。ペラルゴン酸はこのサンプル中で観察しなかった。しかしながら、ペラルゴン酸は、油相中で顕著な程度において存在する。
【0235】
Brij(登録商標)35を有するサンプルは、高濃度のペラルゴン酸を有し、クロマトグラムは、ポリエチレングリコールに帰する多くのピークを示している。
【0236】
分子量602を有するピークを示したサンプルはなかった。したがって、トリアゼレートが形成されているのか、又は検出され得ないだけなのかは、不明瞭である。表6は、GC-MSクロマトグラムにおける顕著なピークをまとめている。
【0237】
【0238】
最後に、該方法によるトリオレイン、及びトリオレインのピークは、見出さなかった。更に、同じサンプルを、HPLC-MSで、HPLCカラムなしで、サンプル中の分子量をスキャンするだけで実行した。
【0239】
希釈剤のアセトニトリル/クロロホルム中、トリオレイン及びトリアゼレートのピークは観察しなかった。
【0240】
希釈剤中のギ酸アンモニウムの添加後、強力なトリオレエートのシグナルが出現し、質量+903は、アンモニウムイオンの+18を示している。トリアゼレートが質量+603を有するピークとして出現したことは、アンモニウムイオンが必要ではないことを示している。
【0241】
水相及び油相中の全てのサンプルにおいて、トリアゼレートが観察された。
【0242】
モノアゼレート及びジアゼレートに帰するピークは観察しなかった。
・トリオレエートは、KMnO4との延長した反応下で、より親水性である生成物へと完全に転換した。
・反応生成物中にトリアゼレート及びペラルゴン酸が存在することは、HPLC-MS法で証明した。
【0243】
実施例10:オゾン分解及び合成の実施例
合成は、わずか3つのステップからなり、これは、合成を単純にし、エコロジカルに安全でありコスト効率的であるものとして最適化している:
(1)オリーブオイル→(2)酸化/オゾン分解→(3)石けん様製剤(3Aの10%~20%)
この合成を、天然材料であるトリオレインを基質として利用するエコフレンドリーな方法であるオゾン分解によって実施した。オゾン分解は、COOH基の生成へと続くトリオレイン含有二重結合のオゾン媒介切断に依存する(スキーム1)。この方法は、2つのステップ、1.トリオレインの、オゾンと酸素との(溶媒中)混合物への暴露、及び2.酸素による、酸性環境における第1の反応生成物の酸化、を含む。
【0244】
【化15】
スキーム1:オゾン分解によるTriazaの合成
【0245】
エステル交換は、本発明の追加の方法であり、TriAza-トリブチリン、トリオレイン、又は他の天然ベースの選択されたトリグリセリドを調製するための、TriAzaの調製の構造的脂質修飾方法であり、該方法は、構成要素の脂肪酸として少なくとも1種の不飽和の又は中鎖の脂肪酸がエステル交換に供されうることを含み、このような反応においてリパーゼ触媒方法が用いられてよく、又はエステル交換において使用されることになる化学的触媒に基づく触媒方法が、化学的触媒であってよい。化学的触媒を使用するエステル交換において、構成要素の脂肪酸は、ランダムな位置で結合される。適応可能な化学的触媒は、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、又はアルカリ金属アルコキシド、例えばリチウムメトキシド及びナトリウムメトキシドによって例示しうる。化学的触媒を使用する場合、触媒のうちの約0.1~2重量%が、最初に、トリグリセリドからなる混合された油(天然トリグリセリドとアゼライン酸、又はR記載から選択される任意のR)に添加されてよく、得られた混合物は、雰囲気又は減圧における撹拌下、50~270℃にて3~120分、反応に供される。水で洗浄する、乾燥させる、脱色する及びデオドライズするなどの通常の精製ステップを実施することによって、最終製品が得られうる。
【0246】
リパーゼ媒介活性のための基質(Triaza)を合成した。この合成は、天然の材料であるトリオレインを基質として利用するエコフレンドリーな方法であるオゾン分解によって実施した。オゾン分解は、COOH基の生成に続く、二重結合を含有するトリオレインのオゾン媒介切断に依存する(スキーム1)。この方法は2つのステップを含む:1.トリオレインの、オゾンと酸素との(溶媒中)混合物への暴露、及び2.酸性環境における、酸素による第1の反応生成物の酸化。
【0247】
可変的に用いたパラメータは、溶媒(ジクロロメタン、ペラルゴン酸、ギ酸、水、酢酸n-プロピル)、供給する酸(ペラルゴン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸)、及び反応時間である。結果として、17のバッチを生成し、これを薄層クロマトグラフィー(TLC)、核磁気共鳴(NMR)及び質量分析(MS)によって分析した。トリオレインのオゾン分解によってもたらされた結果を確認するために、OsO
4を使用するトリオレインの酸化、又はグリセロールをアゼライン酸(4つのバッチ)と反応させる、のいずれかによって、Triazaを合成し、これは
図18~21である。これらの方法によって合成した物質を、オゾン分解の生成物と共にTLCにより分析した。オゾン分解によって合成したTriazaを、MS、TLC及びNMRの各分析に供した。分子質量の分析は、全ての合成したバッチが、Triazaファミリーのモノ-、ジ-及びトリグリセリドを含有していることを明らかにした。加えて、トリオレイン、Triaza含有アルデヒド、ジグリセリドを、OHとCOOHの両方の末端、アゼライン酸のダイマーを有するトリグリセリド、及びペラルゴン酸で画定した。バッチ中のオゾニドの存在を更に確認するために、3H-NMRを実施した。分析は、バッチのいずれもがオゾニドを含有しておらず、全てのバッチが、二重結合を所有する分子をほとんど含んでいなかったことを明らかにした。トリオレインが、分子を含有する唯一の二重結合であることから、基質が、反応において完全に利用されていないと結論付けた。それ以上に、サンプル中のオゾニドの不在が、それらの破壊に対して明らかであり、中鎖トリグリセリドの修飾された形態をもたらす。Triazaの詳細な分析のために、オゾン分解によって生成したバッチをTLCにより分析し、液体合成により合成したバッチと比較した。全てのサンプルを通常の相クロマトグラフィーにより分離し、一般の染料(プリムリン)又はCOOH特異性染色(BromCresol Green)のいずれかによって可視化させた。オゾン分解のほとんどのバッチが4~7つのクリアなスポットを含有していることを見出した(得られた生成物のRfを画定し、既知の標準品と比較した)。それらの中から、3つの主なスポットをBromCresol Greenで視覚化し、これは、カルボキシル末端の存在を示唆している。それらの中で、1つのスポットはペラルゴン酸を表し、それゆえ、2つの追加のスポットはTriaza分子に相当した筈である。オゾン分解及び液体合成によって得られた物質のRfの比較は、COOH含有スポットの中で、それらのうちの2つが通常のものであり、すなわちそれらがTriazaを表しうることを明らかにした。総じて、トリオレインのオゾン分解を使用することで、Triazaの生成に成功したと結論付けた。
【0248】
【化16】
スキーム2.トリアゼライルグリセロールへの合成経路
【0249】
【化17】
スキーム3.トリアゼライルグリセロールへの合成経路
【0250】
【化18】
スキーム4.トリアゼライルグリセロールへの合成経路
【0251】
実施例11:グリーンな界面活性剤と共にTriAzaを生成するための方法条件の選択
原材料オリーブオイルは、最大で50%のオレイン酸を含む。オレイン酸は、遊離オレイン酸、モノオレエート、ジ-オレエート及びトリオレエートとして存在する。オリーブオイルに添加されたKMnO4は、オレイン酸の二重結合を開裂して、以下の生成物の形成に至らせる:ペラルゴン酸及びアゼライン酸(オレイン酸の開裂に続く)、モノアゼレート(モノオレエートの開裂に続く)、ジアゼレート(ジオレエートの開裂に続く)及びトリアゼレート(トリオレエートの開裂に続く)。この反応の追加の生成物は、MnO2であり、黒色粉末の沈殿物である。オリーブオイルと過マンガン酸カリウムとの間の反応を多様な条件下で実施した。結果を表7にまとめる:
【0252】
【0253】
検討
本発明がリパーゼ毒性因子過剰発現病原性マイクロバイオームの治療のための局所用組成物を利用することにおいて、このような組成物は、好ましくは、単独で、又は他の有効成分との組合せにおいて、有効成分アゼレートエステル、例えばトリアゼレートグリセロールとして利用する。TG模倣物は、オレイン脂肪酸ではなく、アゼライン酸から構成される。トリオレイン含有基質の酸化によって、AzAのプロドラッグ前駆体としてのトリアゼラインを得、GI系中のトリグリセリドリパーゼによって、又はマイクロバイオーム放出TGリパーゼによって、細胞外に宿主中へ放出され得、そのようにしてTriAzAからのアゼライン酸放出を誘起しうることを見出した。TriAzAの抗微生物活性は、等モルのAzAと比較して予想外に高く、驚くべきことに、非悪性マイクロバイオームに影響を有していなかった。トリオレインの、又はトリオレインを含有するオリーブオイルの、二重結合の酸化開裂の開示されている方法は、アゼライン酸のグリセロールの生成の工業的に馴染みのある方法をもたらし、すなわちTriAza又はトリアゼラインと名付けており、これは、微生物リパーゼのための代謝性基質として働くことができる。このように、病原性微生物において過剰発現された主な毒性因子であるリパーゼにわたる制御が達成されうる。悪性リパーゼ生成マイクロバイオームに対する、観察した選択性及び特異性は、宿主マイクロバイオームに損傷を引き起こすことなく、病原性及び日和見性の感染症及び病理の制御を維持することを可能にする。開示している発明は、このように、(病原体vs宿主マイクロバイオームの)生体制御の点で優れた特性を有している。加えて、開示している組成物は、ドナー又は培養されたマイクロバイオームを送達し得、かつ優れた保存性を授ける。加えて、アゼライン酸と比較して優れているMIC、及びMBCの能力を、抵抗性プランクトン様病原体を含むいくつかのリパーゼ生成種において観察した。Triazaのマイクロバイオーム調節作用は、人体における種々の症状のための健康スパン増強に、多機能の有益性を提供する。
【0254】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの化学的要素及び/又は生体分子を、消費用の食品中に又は前記食品の調製のための原材料中に送達する方法を提供し、該方法は、前記食品に、又は前記食品の調製のための原材料に、有効量の本発明の実施形態による組成物を添加することを含む。一実施形態において、前記食品は、ヒトの消費用の製品である。一実施形態において、前記食品は、動物の飼料である。
【0255】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び/又は科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載されているものと類似の又は等価の方法及び材料が本発明の実施形態の実践又は試験において使用されうるものの、例示的方法及び/又は材料が以下に記載される。対立する場合、定義を含む特許明細書を優先する。加えて、材料、方法及び実施例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図していない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明らかに別のことを示していない限り、複数形も含むと意図される。
【0256】
用語「含む(comprise)」又は「含む(comprising)」は、本明細書中で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分及び/若しくは基、又はそれらの組合せの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分及び/若しくは基、又はそれらの組合せの存在又は付加を除外することはないことが更に理解される。本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「挙げられる(include)」、「挙げられる(including)」、「有する(having)」及びそれらの抱合体は、「挙げられるがこれらに限定されない」を意味する。用語「からなる」は、「挙げられ、限定される」を意味する。
【0257】
本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は、任意の及び全ての可能な組合せ、又は関連する列挙された項目のうちの1つ以上、並びに代替(「又は」)において解釈されるときの組合せの欠如を含む。
【0258】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。通常使用される辞書において定義されているものなどの用語が、本明細書及び特許請求の範囲の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書でそのように明白に定義されていない限り、理想化された又は過度に正式な意味において解釈されるべきではないことが、更に理解される。周知の機能又は構造は、簡潔さ及び/又は明解さのために、詳細に記載されないことがある。
【0259】
用語、第1の、第2の、などが、本明細書では、多様な要素、成分、領域、層及び/又はセクションを記載するのに使用されうるものの、これらの要素、成分、領域、層及び/又はセクションが、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解される。そうではなくて、これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層及び/又はセクションを、別の要素、成分、領域、層及び/又はセクションと区別するためにのみ使用される。
【0260】
当業者に認められるように、本明細書で開示されている様々な式の化合物は、キラル中心、例えば非対称の炭素原子を含有してよい。そのため、本開示は、(i)活性化合物のラセミ混合物と、(ii)活性化合物のエナンチオマー形態と、の両方の合成に関連する。ラセミ化合物のエナンチオマー形態への分解、及び任選択的に活性なエナンチオマー形態のラセミ化は、当技術分野で公知の手順に従って行われうる。二重結合などの幾何異性体がまた、本明細書で開示されている化合物中に存在してよく、別段の指定がない限り、全てのこのような安定な異性体が本開示内に含まれる。本開示の化合物中にまた含まれるのは、互換異性体(例えばトリアゾール及び/又はイミダゾールの互換異性体)、並びに回転異性体である。本明細書中の式によって定義されている、3個以上の炭素を含む全ての鎖は、別段の指定がない限り、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0261】
本発明の方法において使用される化合物における置換基及び置換パターンが、当業者によって選択されて、化学的に安定であり、かつ即座に入手可能な出発材料から当技術分野で公知の技術によって即座に合成されうる化合物を提供することが理解される。1つの置換基が1つ超の基でそれ自体置換されている場合、安定な構造がもたらされる限り、これらの複数の基が同一の炭素上にあってもよく又は異なる炭素上にあってもよいことが理解される。
【0262】
「任意選択的に置換されている」基は、そこでその中に含有されている水素原子への1つ以上の結合が、非水素原子又は非炭素原子への結合に置き換えられる官能基を指し、但し、通常の価数が維持されること、及び置換が安定な化合物をもたらすことを条件とする。置換された基はまた、そこで炭素又は水素への1つ以上の結合が1つ以上の結合によって置き換えられている基を含み、ヘテロ原子への二重結合又は三重結合を含む。複数の置換基部分が開示されている又は特許請求されているところでは、置換されている化合物は、開示されている又は特許請求されている置換基部分のうちの1つ以上によって、独立して、単数でも又は複数でも置換されうる。独立して置換されていることは、(2つ以上の)置換基が同一であっても異なっていてもよいことが意味される。本発明の化合物を選ぶことにおいて、当業者であれば、様々な置換基が、化学構造接続性の周知の原則との一致において選ばれることになることを認める。
【0263】
本明細書で使用されるとき、「H」は、水素原子を指す。「C」は、炭素原子を指す。「N」は、窒素原子を指す。「O」は、酸素原子を指す。「ハロ」は、F、Cl、Br又はIを指す。用語「ヒドロキシ」は、本明細書で使用されるとき、-OH部分を指す。「Br」は、臭素原子を指す。「Cl」は、塩素原子を指す。「I」は、硫黄原子を指す。「F」は、フッ素原子を指す。「アシル基」は、-C(O)-R基(式中、Rは、好適な置換基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、ベンゾイル基又はアルキルベンゾイル基である)を意味すると意図される。「アルキル」は、本明細書で使用されるとき、1又は2~10又は20以上の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素を指す(例えば、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15など)。いくつかの実施形態において、アルキルは、低級アルキルとすることができる。「低級アルキル」は、1~3個、又は1~5個、又は1~8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルを指す。アルキルの代表的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルなどが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書で使用されるとき、炭素数範囲の画定、例えばC1~C12アルキルは、こうした範囲内の成分の炭素数部分のそれぞれを含むと意図され、そのため、それぞれの介在する炭素数、及びその記述された範囲内の任意の他の記述された又は介在する炭素数値が包含され、そのようにして、特定の炭素数範囲内の炭素数のサブ範囲が独立して特定されうる。例えば、C1~C12アルキルは、上に記載した直鎖及び分枝状の基を含む、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルを含むことが意図され、かつ炭素数範囲C1~C12アルキルはまた、C1~C4アルキル、C2~C8アルキル、C2~C4アルキル、C3~C5アルキル、又はより広い炭素数範囲内の任意の他のサブ範囲などのサブ範囲としても、より厳密に特定されうる。加えて、特定の範囲の炭素数限度のいずれか又は両方を除くサブ範囲である、炭素数を特に除外している炭素数の範囲が熟慮される。当業者によって一般に理解されるように、「飽和」は、そこで原子(例えば炭素)の全ての利用可能な価数の結合が他の原子に結合している状態を指す。同様に、「不飽和」は、そこで全ての利用可能な価数の結合が他の原子に結合されているわけではない状態を指し、このような化合物において、余分な結合は、通常、(通常、炭素との)二重結合又は三重結合の形態を取る。例えば、鎖に沿って又は鎖に直接連結する二重結合又は三重結合が存在しないとき(例えばカルボニル)、炭素鎖は「飽和」であり、鎖に沿って又は鎖に直接連結する少なくとも1つの二重結合又は三重結合が存在するとき、炭素鎖は「不飽和」である(例えばカルボニル)。更に、鎖の飽和に依存する置換基の存在又は不在は、そこに置換基が結合する原子(例えば炭素)の価数の要請に依存することが、当業者によって理解される。「アルケニル」は、本明細書で使用されるとき、1個又は2個~10個又は20個以上の炭素を含有し、かつ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する、例えば2個の水素の置き換えによって構造的に形成された直鎖又は分枝鎖の炭化水素を指す。「アルケニル」の代表例には、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、3-デセニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「アルキニル」は、本明細書で使用されるとき、1個又は2個~10個又は20個以上の炭素原子を含有し、かつ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。アルキニルの代表例には、アセチレニル、1-プロピニル、2-プロピニル、3-ブチニル、2-ペンチニル、1-ブチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用されるとき、3~8個以上の炭素を含有する飽和の環状炭化水素基を指す。
【0264】
本明細書で提供される、化合物、組成物及び方法が、本明細書に記載されている種々のより広い仕様及び例証との関連において、適用可能なものとしての、特定の置換基、基、部分、構造、成分、ステップ又は条件を除外する条件又は限定によって、いくつかの実施形態において更に特定されうることが理解される。
【0265】
明解さのために別々の実施形態の文脈において記載されている本発明の一定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴はまた、別々に、又は任意の好適なサブ組合せにおいて、又は本発明の任意の他の記載されている実施形態において好適なものとして、提供されてもよい。
【0266】
様々な実施形態の文脈において記載されている一定の特徴は、実施形態がこれらの要素なしで操作不能でない限り、これらの実施形態の必須の特徴であるとは考えられない。
【0267】
本出願の全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲の体裁内において提示されうる。範囲の体裁における記載が、単に好都合及び簡潔さだけのためであり、本発明の範囲における非柔軟な限界であると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。これに応じて、範囲の記載は、具体的に開示されている全ての可能なサブ範囲、並びにその範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、並びにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5及び6などの具体的に開示されているサブ範囲を有すると考えられるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず当てはまる。
【0268】
数値範囲が本明細書中で示されるときはいつでも、示されている範囲内の任意の引用された数(分数又は整数)を含むと意味される。第1の示している数から第2の示している数「の間の範囲」という句、及び第1の示している数「から」第2の示している数「への範囲」は、互換性のあるものとして本明細書で使用され、第1の示されている数及び第2の示されている数、並びにそれらの間の全ての分数及び整数を含むと意味される。
【0269】
用語「約」が使用されるときはいつでも、それは、測定可能な値、例えば量、時期の期間などを指すと意味され、かつ特定の値から±20%、±10%、±5%、±1%又は±0.1%のバリエーションを包含すると意味され、このようなバリエーションは、開示されている方法を実施するのに適当である。
【0270】
本明細書で使用されるとき、用語「方法」は、化学的な、薬理学的な、生物学的な、生化学的な及び医学的な技術の実践者によって、公知であるか、又は公知の方法、手段、技法及び手順から即座に展開されるか、のいずれかであるこれらの方法、手段、技法及び手順が挙げられるが、これらに限定されない所与の仕事を成し遂げるための方法、手段、技法及び手順を指す。
【0271】
本明細書で使用されるとき、用語「患者」又は「対象」は、任意の哺乳動物を含むと意味される。「哺乳動物」は、本明細書で使用されるとき、ヒト;サル、ラット、マウス及びモルモットを含む実験動物;家畜及び農場の動物、並びに動物園、スポーツ、又はペットの各動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどが挙げられるが、これらに限定されない哺乳動物として分類されている任意の動物を指す。
【0272】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される」担体又は賦形剤は、適切でない悪い副作用(例えば毒性、刺激及びアレルギー反応)なしに、合理的な有益性/リスクの比と釣り合った、ヒト及び/又は動物での使用に好適であるものである。
【0273】
本明細書で使用される疾患を「治療する」又は疾患の「治療」は、以下:疾患を予防する、すなわち、疾患に暴露されうる若しくはかかりやすくされうるが疾患の症候をまだ経験していない若しくは提示していない哺乳動物において疾患の臨床的症候が発現しないことを引き起こすこと、疾患を抑制する、すなわち疾患若しくはその臨床的症候の発現を阻む若しくは低減すること、又は疾患を緩和する、すなわち疾患若しくはその臨床的症候の退行を引き起こすこと、を含む。
【0274】
「治療有効量」又は「有効量」は、疾患を治療するために対象に投与されるとき、疾患のためのこのような治療に有効であるのに十分な、化合物の量又は剤形を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重症度、並びに治療されることになる対象の年齢、体重などに応じて多様となる。
【0275】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される塩」は、生物学的に又はそれ以外でも望ましくない化合物の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。薬学的に許容される塩は、化合物の薬学的に許容される塩を指し、この塩は、当技術分野で周知の多様な有機及び無機の対イオンに由来する。
【0276】
医薬剤形は、経口投与されることになる薬剤として調製されうる。経口投与のための好適な剤形には、限定なしで、溶液、シロップ及びサスペンション、例えばすぐ使えるシロップ及びサスペンション、又は固体剤形から、例えば、限定なしで、乾燥粉末から、復元されるものが挙げられる。剤形は、好適な結合剤、滑沢剤、着色剤、芳香剤、流動誘導剤、安定化剤、可溶化剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤及びフィラーを含有してよく、全てが集合的に又は個々に、用語「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」の定義下に落とし込まれる。剤形における経口投与について、活性な薬物成分は、経口の、非毒性の、薬学的に許容される、不活性のフィラー、例えばゼラチン、寒天、デンプン、メチルセルロース、マンニトール、ソルビトールなどと組み合わされうる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然の糖、例えばトウモロコシデンプン、天然及び合成のガム、例えばアカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウム、ポビドン;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどであるがこれらに限定されないセルロースベースの可溶性ポリマーが挙げられる。これらの剤形において使用される流動促進剤には、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。安定化剤(抗微生物剤)には、安息香酸及びその塩、パラヒドロキシベンゾエート及びその塩、ソルビン酸及びその塩などが挙げられる。(物理的な)安定化剤には、粘度増強ポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0277】
当業者によって、本発明が、本明細書で上に特に示して説明したものに限定されないことが認められる。そうではなくて、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定され、かつ本明細書で上に記載した様々な特徴の組合せ及びサブ組合せと、前述する発明を実施するための形態を読んだ際に当業者に起こりうるそのバリエーション及び修正との両方を含む。本明細書において、本発明の一定の特徴が例示され説明されてきたが、多くの修正、置換、変更及び等価物が、当業者に起こりうる。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨内に落とし込まれる全てのこのような修正及び変更をカバーすることが意図されると理解されることになる。様々な実施形態が、提示されてきた。これらの実施形態のそれぞれは、当然ながら、提示されている他の実施形態からの特徴を含んでよく、具体的に記載されていない実施形態は、本明細書に記載されている様々な特徴を含みうる。
【国際調査報告】