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特表2024-528671マルチコアファイバを製造するための方法及び半製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】マルチコアファイバを製造するための方法及び半製品
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/012 20060101AFI20240723BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C03B37/012 A
G02B6/02 466
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503515
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2022068887
(87)【国際公開番号】W WO2023011840
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】21189393.8
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507332918
【氏名又は名称】ヘレーウス クヴァルツグラース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Heraeusstr.12-14, 63450 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ,マイケル
【テーマコード(参考)】
2H250
4G021
【Fターム(参考)】
2H250AA53
2H250AB04
2H250AB05
2H250AC67
2H250AC83
2H250AC93
4G021BA02
4G021BA03
(57)【要約】
【解決手段】 マルチコアファイバを製造するための既知の方法は、ガラスクラッド材料を含有し、少なくとも2つの貫通孔を有する細長い基体を用意するステップと、コアロッドを貫通孔に挿入して構成要素集合体を形成するステップと、構成要素集合体を延伸してマルチコアファイバを形成するか、又は構成要素集合体を更に加工して、マルチコアファイバが延伸されるプリフォームを形成するステップであって、構成要素集合体は、基体に接続されて溶接接触面を形成するガラス製のホルダによって上方から保持される、ステップと、を含む。これに基づいて、基体へのコアロッドの取り付けがホルダのレイアウトによって制限されず、特に、ホルダが溶接された後であっても、上方からの全てのコアロッドの設置を可能にする方法を特定するために、本発明によれば、細長い中空部を有するホルダであって、貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔域円周よりも大きい内側輪郭を有する中空チャネルを有し、基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有する、ホルダが使用される。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコアファイバを製造するための方法であって、
(a)ガラスクラッド材料を含有する細長い基体であって、第1の端部と、第2の端部と、基体長手方向軸と、基体側域と、半径方向基体断面と、基体外径と、前記基体長手方向軸に沿って前記基体を通って延在する少なくとも2つの貫通孔と、を有する、細長い基体を用意するステップと、
(b)ガラスコア材料を含有するコアロッドを前記少なくとも2つの貫通孔に挿入し、それによって構成要素集合体を形成するステップと、
(c)前記構成要素集合体を延伸して前記マルチコアファイバを形成するか、又は前記構成要素集合体を更に加工して、前記マルチコアファイバが延伸されるプリフォームを形成するステップであって、前記構成要素集合体は、前記第1の端部の領域において前記基体に接続されて溶接接触面を形成するガラス製のホルダによって保持される、ステップと、を含み、
細長い中空部を有するホルダであって、前記貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周よりも大きい内側輪郭を有する中空チャネルを有し、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有する、ホルダが使用されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記溶接接触面の少なくとも一部、好ましくは、前記溶接接触面全体は、前記コアロッドが挿入される前に作成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶接接触面の少なくとも一部は、前記基体側域に生成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶接接触面は、前記基体長手方向軸の方向の延在長さに沿って前記基体側域において延在し、前記延在長さは、5mm~100mmの範囲、好ましくは少なくとも10mm、特に好ましくは少なくとも20mmであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶接接触面は、前記延在長さにわたって少なくとも1つの円周段部及び/又は少なくとも1つの円周ベベルを含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接接触面は、前記基体側域と第1の基体上端面との両方に生成されることを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
上端部の領域において前記基体に接続され、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有するアダプタ部であって、中空円筒形中空部に溶接される、アダプタ部が使用されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
実質的にプレート様のアダプタ部は前記基体の前記上端面に接続され、前記プレート様のアダプタ部は前記孔領域の前記円周を少なくとも部分的に覆い、前記貫通孔の少なくともいくつかは前記アダプタ部を通って延在することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マルチコアファイバを製造するための半製品であって、
(i)ガラスクラッド材料を含有する基体であって、第1の端部と、第2の端部と、基体長手方向軸と、基体側域と、半径方向基体断面と、基体外径と、を有する基体と、
(ii)コアロッドを受け入れるための、前記基体断面にわたって分布している少なくとも2つの貫通孔であって、各々が孔直径を有し、前記基体長手方向軸に沿って前記基体を通って延在する、貫通孔と、
(iii)前記第1の端部の領域において前記基体に接続されて溶接接触面を形成するガラス製のホルダと、を備え、
前記ホルダは細長い中空部を備え、前記細長い中空部は、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有し、前記貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周よりも大きい内側寸法を有することを特徴とする、半製品。
【請求項10】
前記溶接接触面の少なくとも一部は、前記基体側域に形成されることを特徴とする、請求項9に記載の半製品。
【請求項11】
前記溶接接触面は、前記基体長手方向軸の方向の延在長さに沿って前記基体側域の周りに延在し、前記延在長さは、5mm~100mmの範囲、好ましくは少なくとも10mm、特に好ましくは少なくとも20mmであることを特徴とする、請求項9又は10に記載の半製品。
【請求項12】
前記溶接接触面は、前記延在長さにわたって少なくとも1つの円周段部及び/又は少なくとも1つの円周ベベルを含むことを特徴とする、請求項11に記載の半製品。
【請求項13】
前記溶接接触面は、前記基体側域と第1の基体上端面との両方に形成されることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の半製品。
【請求項14】
アダプタ部は、基体上端部の領域において前記基体に接続され、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有し、前記アダプタ部は、中空円筒形中空部に溶接されることを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項に記載の半製品。
【請求項15】
実質的にプレート様のアダプタ部は前記基体の前記上端面に接続され、前記プレート様のアダプタ部は前記孔領域の前記円周を少なくとも部分的に覆い、前記貫通孔の少なくとも一部は前記アダプタ部を通って延在することを特徴とする、請求項14に記載の半製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコアファイバを製造するための方法であって、
(a)ガラスクラッド材料を含有する細長い基体であって、第1の端部と、第2の端部と、基体長手方向軸と、基体側域と、半径方向基体断面と、基体外径と、基体長手方向軸に沿って基体を通って延在する少なくとも2つの貫通孔と、を有する、細長い基体を用意するステップと、
(b)ガラスコア材料を含有するコアロッドを少なくとも2つの貫通孔に導入し、それによって、コアロッドが半径方向基体断面にわたって基体長手方向軸の周りの孔領域の円周の内側に分布している構成要素集合体を形成するステップと、
(c)構成要素集合体を延伸してマルチコアファイバを形成するか、又は構成要素集合体を更に加工して、マルチコアファイバが延伸されるプリフォームを形成するステップであって、構成要素集合体は、第1の端部の領域において基体に溶接されて溶接接触面を形成するガラス製のホルダによって保持される、ステップと、を含む、方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、マルチコアファイバを製造するための半製品であって、
(i)ガラスクラッド材料を含有する基体であって、第1の端部と、第2の端部と、基体長手方向軸と、基体側域と、半径方向基体断面と、基体外径と、を有する基体と、
(ii)コアロッドを受け入れるための、基体断面にわたって分布している少なくとも2つの貫通孔であって、各々が孔直径を有し、基体長手方向軸に沿って基体を通って延在する、貫通孔と、
(iii)第1の端部の領域において基体に接続されて溶接接触面を形成するガラス製のホルダと、を備える、半製品に関する。
【0003】
マルチコアファイバでは、光波を伝送する複数の光コア領域が同じファイバに統合される。光コア領域は、シース材料によって取り囲まれ、ファイバの長手方向軸に沿って延在する。このファイバ設計は、複数の信号を空間多重化方法によって結合し、コア領域の各々において同時に伝達するので、信号伝達のための大容量を約束する。
【背景技術】
【0004】
マルチコアファイバを作製するためには、例えば、いわゆる「スタックアンドドロー法」が使用される。異なる直径のコアロッド及び石英ガラス円筒は、それらが比較的高い充填密度及び一定の対称性を有するように一緒に束ねられる。円筒形構成要素は、シース管に挿入され、その中で空間的に固定される。この集合体は、マルチコアファイバに延伸されるか、又は予めプリフォームに伸長され、次いでプリフォームからマルチコアファイバが延伸される。
【0005】
「スタックアンドドロー法」は、多大な較正努力を必要とし、寸法精度の問題を容易にもたらす。半径方向の充填密度の違いにより、細長いプリフォームは、方位角方向に異なる半径値を有することが多く、これは円筒研削によって補償されなければならない。
【0006】
これらの欠点は、マルチコアファイバを製造するための特開2018-052775(A)号公報及び特開2014-201494(A)号公報に記載された方法によって回避される。基体は、シース材料から作られた円筒の形態で使用され、長手方向円筒軸の方向に延びる複数の貫通孔によって横断される。コア材料を含有する1つのコアロッドが、例えば基体の長手方向穿孔によって作製された貫通孔の各々に挿入される。コアロッドと基体の内壁との間には、作製プロセスに起因して、一定の環状ギャップが残る。
【0007】
基体とコアロッドとの集合体は、マルチコアファイバに延伸されるか、又は二次プリフォームに更に加工され、次いで二次プリフォームからマルチコアファイバが延伸される。この伸長又は延伸プロセスにおいて、環状ギャップは潰れ、集合体の構成要素は互いに融合される。ガスの巻き込みを回避するために、環状ギャップに負圧が印加され、ギャップ体積が排気される。ギャップ体積を排気するために、ガラス製の実質的に円筒形の吸引接続片が基体の上端面に溶接され、これは、伸長プロセス中に集合体を保持する役割を同時に果たすことができる。これは、以下では「ホルダ」とも呼ばれる。ホルダは、伸長装置の取付片のレセプタクルに、例えば延伸タワーのチャックに固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
作製コストを低減するために、できるだけ大きな体積の基体が加工され、この基体は多数の貫通孔によって横断されており、これらの貫通孔のうちのいくつかは、長手方向円筒軸から離れて延在することができ、円筒側域の近くに延びることができる。基体の体積が大きくなるにつれて、その重量は大きくなり、基体とホルダとの間の接続はより安定にならなければならない。
【0009】
例えば最大200kgの円筒重量に起因して、ホルダは、取り扱い中の破損を回避するために、基体に対して十分に大きい接続面を有しなければならない。基体の重量に起因する機械的応力に加えて、接続面は、円筒重量と組み合わせて1MPaをわずかに超えることがある熱誘起引張応力も受ける。
【0010】
この接続の安定性は、厚い壁のホルダを使用することによって基体とホルダとの間の接続面のサイズが増加する場合、それによって増加させることができる。他方では、ホルダの直径は、取付片の最大レセプタクル幅によって制限されることが多く、溶接されたホルダはまた、貫通孔を塞ぐほど壁が厚くなってはならない。その理由は、この場合、環状ギャップの効果的な排気がもはや可能でなくなるためである。
【0011】
特開2018-052775(A)号公報では、この問題は、基体とホルダとの間に溶接された中央開口部を有する環状中間片によって解決される。中間片は、チャネルを介して全ての貫通孔に流体接続される。
【0012】
特開2014-201494(A)号公報では、ホルダの長さにわたる複数の中空円筒形ダミー片であって、その内径及び外径が底部から頂部に向かって減少する、中空円筒形ダミー片から構成されるホルダを使用することが提案されている。
【0013】
公知の解決策では、ホルダの最小内径は、コアロッドと貫通孔の開口部とが存在する基体断面における円周よりも小さい。結果として、ホルダは、(基体断面への突出部において)貫通孔を完全に又は部分的に覆うので、中央ホルダ開口部を通した上方からの基体へのコアロッドの取り付けは不可能である。結果として、コアロッドの取り付けは、反対側の基体端部から行わなければならないか、又は中間片とホルダとの溶接の前に行わなければならない。
【0014】
どちらの方法の変形も欠点を有する。最初に述べた変形例は取り扱いをより困難にし、第2の変形例では、貫通孔に挿入されたコアロッドは、その後のホルダの溶接中の入熱によって損傷を受ける可能性がある。例えば、コアロッドは、特に、通常そうであるように、基体のガラスよりも低い粘度を有するガラスを含有する場合、変形され得る。又は、昇華生成物がコアロッド上に析出する可能性があり、これはマルチコアファイバの光伝送の劣化につながる可能性がある。
【0015】
コアロッドがまだ貫通孔に挿入されていない場合であっても、溶接プロセス中の高温は、変形、特に貫通孔の狭窄をもたらす可能性があり、これは、その後のコアロッドの取り付けをより困難にする。これは、特に、溶接シームの近傍にある貫通孔、又は溶接シームによって覆われている貫通孔に当てはまる。
【0016】
したがって、本発明の目的は、基体へのコアロッドの取り付けがホルダのレイアウトによって制限されず、特に、ホルダが溶接された後であっても、全てのコアロッドを上方から取り付けることを可能にする、マルチコアファイバを製造するための方法を特定することである。
【0017】
更に、本発明の目的は、この方法を実施するのに適した半製品を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
方法に関して、この目的は、細長い中空部を有するホルダであって、貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周よりも大きい内側輪郭を有する中空チャネルを有し、基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有する、ホルダが使用される、冒頭に述べた方法に由来する本発明によって達成される。
【0019】
以下では、基体の第1の端部を「上端部」とも呼び、反対側の第2の端部を「下端部」とも呼ぶ。位置副詞は、基体長手方向軸を垂直に配向した、ファイバ延伸プロセス中のそれぞれの端部の位置を示す。第1の基体上端面は、第1の上端部に関連付けられる。
【0020】
細長い基体は、実質的に円筒形であり、円形(circular)断面を有する。上端部及び/又は下端部において、それは、肥厚又はテーパを有することができる。基体外径は、両端部間の円筒形の長手方向部分において決定される。
【0021】
中空部は、基体に直接的に、又は中間片(アダプタ部)を介して間接的に接続される。中空部と基体との複合体は、溶接接触面を形成する溶接複合体として設計される。中空部及び基体の長手方向軸は同軸に延びている。溶接複合体の長手方向断面において、基体長手方向軸が垂直に配向されている場合、溶接接触面は、例えば、垂直に(基体長手方向軸に平行に)、水平に(基体長手方向軸に垂直に)、斜めに(基体長手方向軸に対して傾斜して)、湾曲して、又は異なる部分においてこれらのプロファイルの組み合わせで延びている。
【0022】
中空部の細長い中空チャネルは、例えば、多角形、丸形(round)、楕円形、(好ましくは)円形の断面を有する。長手方向断面において、中空チャネルは円筒形であるか、又はそれは円筒形ではなく、長手方向に狭窄部若しくは拡張部を有する。中空チャネル内部形状は、最小断面輪郭が、基体上端面への突出部において、貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周の外側に存在するように設計される。最も単純な場合、すなわち、円形断面及び円筒形長手方向断面を有する中空チャネルの場合、中空チャネル内径は、孔領域の円周よりも大きい。貫通孔直径が覆われるのが10%までであれば、直径が孔直径の90%以下である丸いコアロッドを、残りの開口部から挿入することができる。
【0023】
貫通孔は各々、対応するコアロッドが挿入可能となるように、十分な大きさの直径を有する。逆に、コアロッドの断面は、それに応じて、貫通孔の直径よりも小さい外側輪郭を有する。例えば、コアロッドは、貫通孔直径よりも小さい直径の外径を有する。コアロッド外側輪郭と貫通孔直径との間のサイズ差が大きくなるにつれて、コアロッドを貫通孔に挿入することが容易になる。既に溶接されたホルダによって断面が部分的に覆われている貫通孔にも、貫通孔の覆われていない断面が断面においてコアロッド外側輪郭を取り囲むという前提条件で、基体の第1の上端部からコアロッドを取り付けることができる。他方では、貫通孔直径とコアロッド外側輪郭との間のサイズ差が大きくなるにつれて、貫通孔内でのコアロッドの軸方向の機械的誘導の減少は、マルチコアファイバ内の光伝送の品質の低下を伴う。貫通孔が、溶接されたホルダによってその直径の最大10%にわたって覆われる場合であっても、基体の第1の上端部にコアロッドを取り付けることが依然として可能であり、コアロッドの断面寸法は、上述の欠点を回避するのに十分な大きさであることが示されている。しかしながら、溶接されたホルダによる貫通孔との重なり合いは、好ましくは10%未満であり、その結果、貫通孔の直径からより少ない程度に逸脱する断面外側輪郭を有するコアロッドを取り付けることが可能である。特に好ましくは、溶接されたホルダによる貫通孔との重なりはない。ホルダの溶接中に起こり得る貫通孔の変形を確実に防止するために、中空部は、好ましくは、孔領域の円周よりも大きい内径を有し、例えば、それは、孔領域の円周よりも少なくとも2mm大きく、特に好ましくは少なくとも5mm大きい。
【0024】
中空部の外側断面は、例えば、多角形、丸形、楕円形であり、最も単純で好ましい場合は、円形である。長手方向断面において、外側輪郭は、例えば円筒形であるか、又はそれは円筒形ではなく、任意選択で長手方向に狭窄部若しくは拡張部を有する。基体に面する中空部の端部は、直線の(straight)、傾いた、湾曲した、又は構造化された端面を有する。その最大「半径方向外側寸法」は、中空部長手方向軸の方向における基体上端面への突出部として見出される。中空部の最大半径方向外側寸法は、溶接接触面の外側寸法(横方向)を制限し、溶接接触面の半径方向外側寸法(横方向)は、中空部の最大半径方向外側寸法よりも大きくなるのではなく、小さくなり得る。
【0025】
中空部の端面の最大半径方向外側寸法が基体外径よりも大きいという事実により、基体外径と孔領域の円周とによって画定される環状面のみよりも大きい溶接接触面を形成することができる。
【0026】
マルチコアファイバを形成するための基体及びコアロッドの構成要素集合体の延伸、又はマルチコアファイバのためのプリフォームを形成するための更なる加工は、以下の熱間成形プロセスのうちの1つ以上を1回又は複数回実施することを含む:伸長、圧潰、圧潰及びそれと同時の伸長、追加のシース材料の圧潰、追加のシース材料の圧潰及びその後の伸長、追加のシース材料の圧潰及びそれと同時の伸長。
【0027】
構成要素集合体を延伸、伸長、又は圧潰装置内に保持するために、ホルダと基体との溶接複合体が予め作製される。この場合、ホルダは、比較的体積が大きく重い構成要素集合体及び/又は孔領域の円周が基体外径に近い構成要素集合体であっても安定した保持を可能にする。
【0028】
コアロッドが貫通孔に導入される前に、溶接接触面の少なくとも一部、好ましくは溶接接触面全体を作成することが有用であることが証明された。
【0029】
コアロッドは、ホルダと基体との溶接複合体の完全な又は少なくとも部分的な作製後に、貫通孔に導入される。このようにして、昇華物の堆積及び溶接プロセス中の高温によるコアロッドの損傷は、確実に防止又は低減される。
【0030】
好ましい方法の変形形態では、溶接接触面の少なくとも一部は、基体側域に生成される。この場合、中空部は、基体の側域と排他的に又は部分的に係合する。基体の上端部は、本質的に中空部の中空チャネルに挿入される。これは、いくつかの利点をもたらす。
・中空部と基体との間の溶接接続に対して、実質的に任意のサイズの接触面(すなわち、基体外殻の)が利用可能である。大きな接触面の結果として、特に重くて体積の大きい構成要素集合体も確実に保持することができる。
・更に、溶接接続が側域貫通孔の領域に作成されているので、貫通孔に挿入された任意のコアロッドは、溶接接続が基体上端面に作成された場合よりも熱的な影響を受けにくい。したがって、貫通孔又はその中に挿入されたコアロッドの変形、及び堆積の結果としての不純物が防止又は低減される。このことは、特に、基体の縁部の近くに配置された貫通孔及びコアロッドにも当てはまる。
・更に、基体上端面の領域における貫通孔は、基体側域の溶接接触面によって覆われることがない。それらは自由にアクセス可能であるので、コアロッドは、後に(溶接複合体が作製された後に)基体上端面から挿入することもできる。ファイバ延伸プロセスの間、又はプリフォームを形成するための更なる加工の間、環状ギャップの排気は妨げられることも低減することもない。
【0031】
溶接接触面は、基体長手方向軸の方向の延在長さに沿って基体側域において延在し、延在長さは、5mm~100mmの範囲、好ましくは少なくとも10mm、特に好ましくは少なくとも20mmであることが有利であることも証明された。
【0032】
中空部はこれにより基体の上端部を包囲し、溶接接触面は、好ましくは、基体側域の周りに延びるように閉じられる。5mm以上の基体長手方向軸に沿った延在長さの場合、溶接接触面は、構成要素集合体の重量偏向に寄与するだけでなく、中空部が把持されているため、構成要素集合体のための一定の誘導もあり、これは、基体及び中空部の長手方向軸の同軸整列を容易にし、したがって溶接プロセスも容易にする。延在長さが少なくとも10mm、特に少なくとも20mmである場合は、更なる改善がある。延在長さが100mmを超える場合には、ホルダ及び基体における材料の損失が、溶接接触面の増加並びに構成要素の誘導及び整列の改善による利点を消し始める。
【0033】
特に、溶接接続の強度を更に増加させ、組み立て及び整列を簡略化するために、溶接接触面が、延在長さにわたって少なくとも1つの円周段部及び/又は少なくとも1つの円周ベベルを含むことが有利であることが証明された。
【0034】
長手方向断面で見て、溶接接触面は、任意選択で、基体長手方向軸に平行に延びる部分を有する非線形プロファイル、及び基体長手方向軸に垂直に延びる部分を有する少なくとも1つの段部、並びに/又は基体長手方向軸に対して傾斜して延びる部分を有する少なくとも1つのベベルを有する。長手方向断面におけるこの非線形プロファイルは、溶接接触面の増加をもたらす。ホルダの内側輪郭及び基体の外側輪郭は、鍵と鍵穴の方式で溶接接触面の非線形プロファイルに適合される。
【0035】
一実施形態では、溶接接触面は、もっぱら基体側域において延在する。しかしながら、好ましい方法の変形形態では、溶接接触面は、基体側域と第1の基体上端面との両方に生成される。
【0036】
結果として、更に大きな溶接接触面が利用可能となるため、重い構成要素集合体又はプリフォームを保持することが可能である。溶接接触面の、基体長手方向軸に延びる部分はまた、中空部及び基体の長手方向軸の同軸整列を容易にする。基体側域の領域における溶接接続は、構成要素集合体(又は、コアロッドを固定することによって、若しくは伸長によって構成要素集合体から作製されたプリフォーム)の重量の一部を除去するので、基体上端面の利用可能な接触面を完全に利用する必要はない。したがって、貫通孔又はその中に挿入されたコアロッドからのある程度の安全マージンを容易に維持することができる。
【0037】
特に好ましい方法の変形形態では、上端部の領域において基体に接続され、基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有するアダプタ部であって、中空円筒形中空部に溶接される、アダプタ部が使用される。
【0038】
アダプタ部は、例えば溶接によって、基体の側域及び/又は上端面に接続される。それは、例えば、環状プロファイルの形態又はプレートの形態であり、基体長手方向軸と同軸に延びる長手方向軸又は中心軸を有する。
【0039】
それは、基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有するので、中空部との溶接接続に利用可能な接触面を増加させる。この点において、基体に接続されたアダプタ部は、より大きな溶接接触面を可能にするように、基体の第1の上端部を変更する。
【0040】
中空部とアダプタ部との間の直接接触は、溶接接触面全体を形成することができる。しかしながら、溶接接触面の一部が中空部とアダプタ部との間の直接接触によって形成され、溶接接触面の更なる部分が中空部と基体との間の直接接触によって形成される方法の変形形態が特に好ましい。この場合、中空部と基体との間の接続は、中空部と基体との間の直接接触によって作られる部分と(中間要素としてのアダプタ部を介した)間接接触によって作られる部分とから構成される溶接接触面によって形成される。
【0041】
中空部の最大半径方向外側寸法は、必ずしもアダプタ部の最大径方向外形寸法より大きくなくてもよい。好ましい場合では、アダプタ部と同軸に溶接された中空部は、アダプタ部と半径方向に同一平面で終端する、すなわち、中空部はアダプタ部を越えて突き出ることもアダプタ部の内側に突き出ることもしない。
【0042】
アダプタ部と基体との間の接続においては、上述した、中空部と基体との直接接続(基体側域及び/又は基体上端面との溶接による)の例が適しており、好ましい。
【0043】
好ましい方法の変形形態では、基体の側域の周りに延びる環状プロファイルとして設計されるアダプタ部が基体に接続される。一方における環状プロファイルの内側側域の形状及びサイズと、他方における上端面の領域における基体の側域の形状及びサイズとは、鍵と鍵穴の原理に従って互いに対応する。最も単純な場合では、プロファイルリングの内径は、この領域における基体の外径に対応する。
【0044】
断面において、環状プロファイルは、好ましくは、多角形形状、例えば長方形、台形、三角形又は円錐台形状を有し、ここで、環状プロファイルは、中空部に面する平坦な上側を有し、この上側は中空部に溶接される。
【0045】
更に好ましい方法の変形形態では、実質的にプレート状のアダプタ部が基体の上端面に接続され、ここで、プレート状のアダプタ部は孔領域の円周を少なくとも部分的に覆い、貫通孔の少なくとも一部はアダプタ部を通って延在する。
【0046】
アダプタ部の下側は、例えば溶接によって、基体の上端面に接続される。中空部は、アダプタ部の上側に溶接される。上側及び下側の形状及び寸法は、同一(円筒形ディスク)であってもよく、又は互いに異なっていてもよい。アダプタ部は、上側の半径方向寸法が下側の半径方向寸法よりも大きい円錐ディスクの形状を有することが好ましい。それは、中実プレート又は有孔プレートとして設計することができ、有孔プレートは、例えば、少なくとも1つの中央開口部を有する。
【0047】
アダプタ部は、中空部と同様に、基体外径よりも大きい最大半径方向外側寸法を有するので、中空部との溶接接続に利用可能な接触面を増加させる。この手順では、溶接接触面は、一般に、中空部とアダプタ部との間の直接接続によってのみ作成され、任意選択で、(中間要素としてのアダプタ部を介した)もっぱら間接的な接続が中空部と基体との間に生成される。
【0048】
実質的にプレート状のアダプタ部には、基体の全ての貫通孔又は少なくとも1つの貫通孔と同軸に延びる貫通孔が設けられる。好ましくは、アダプタ部及び基体の同軸貫通孔は、単一の作業ステップでドリル穿孔することによって作製される。任意選択で、アダプタ部は、ドリル穿孔プロセスの前に、例えば溶接によって、基体上端面に接続される。
【0049】
半製品に関して、上述の技術的目的は、ホルダが細長い中空部を備え、細長い中空部が、基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有し、貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周よりも大きい内側寸法を有する、冒頭で述べたタイプの半製品からの本発明によって達成される。
【0050】
半製品は、ホルダと基体との溶接複合体として存在する。コアロッドを基体に挿入した後、そこからマルチコアファイバを延伸することができるか、又はマルチコアファイバ用のプリフォームに更に加工することができる。
【0051】
本明細書では、基体の第1の端部を「上端部」とも呼び、反対側の第2の端部を「下端部」とも呼ぶ。第1の基体上端面は、第1の上端部に関連付けられる。細長い基体は、実質的に円筒形であり、円形断面を有する。上端部及び/又は下端部において、それは、肥厚又はテーパを有することができる。基体外径は、両端部間の円筒形の長手方向部分において決定される。
【0052】
中空部は、基体に直接的に、又は中間片(アダプタ部)を介して間接的に接続される。中空部と基体との複合体は、溶接接触面を形成する溶接複合体として設計される。中空部及び基体の長手方向軸は同軸に延びている。溶接複合体の長手方向断面において、基体長手方向軸が垂直に配向されている場合、溶接接触面は、例えば、垂直に(基体長手方向軸に平行に)、水平に(基体長手方向軸に垂直に)、斜めに(基体長手方向軸に対して傾斜して)、湾曲して、又は異なる部分においてこれらのプロファイルの組み合わせで延びている。
【0053】
中空部の細長い中空チャネルは、例えば、多角形、丸形、楕円形、(好ましくは)円形の断面を有する。長手方向断面において、中空チャネルは円筒形であるか、又はそれは円筒形ではなく、長手方向に狭窄部若しくは拡張部を有する。中空チャネル内部形状は、最小断面輪郭が、基体上端面への突出部において、好ましくは貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周の外側に存在するように設計される。孔直径は、貫通孔に受け入れられるコアロッドの直径よりも大きく、例えば10%大きく、その結果、貫通孔のわずかな被覆は、貫通孔へのコアロッドの充填を妨げない。円形断面及び円筒形長手方向断面を有する中空チャネルを有する好ましい場合では、中空チャネル内径は、孔領域の円周よりも大きい。好ましくは、溶接されたホルダによる貫通孔との重なりはない。任意選択で、コアロッドの外側輪郭は、貫通孔の直径により正確に適合させることができ、これは、とりわけ、対応する貫通孔内でのコアロッドのより正確な軸方向誘導のために好ましい。ホルダの溶接中に起こり得る貫通孔の変形を確実に防止するために、中空部は、好ましくは、孔領域の円周よりも大きい内径を有し、例えば、それは、孔領域の円周よりも少なくとも2mm大きく、特に好ましくは少なくとも5mm大きい。
【0054】
基体上端面への中空チャネル内側輪郭の突出部が孔領域の円周の完全に外側又は実質的に外側に存在するという事実により、中空部は、基体端面への突出部において貫通孔を覆わないか、又は多くても非常に少量を覆う(孔直径の90%超は覆われない)ので、貫通孔は、ホルダの溶接後にもアクセス可能であり、その結果、基体の第1の上端部からの貫通孔へのコアロッドの取り付けが可能である。
【0055】
中空部の外側断面は、例えば、多角形、丸形、楕円形であり、最も単純で好ましい場合は、円形である。長手方向断面において、外側輪郭は、例えば円筒形であるか、又はそれは円筒形ではなく、任意選択で長手方向に狭窄部若しくは拡張部を有する。基体に面する中空部の端部は、直線の、傾いた、湾曲した、又は構造化された端面を有する。その最大「半径方向外側寸法」は、中空部長手方向軸の方向における基体上端面への突出部として見出される。中空部の最大半径方向外側寸法は、溶接接触面の外側寸法(横方向)を制限し、溶接接触面の半径方向外側寸法(横方向)は、中空部の最大半径方向外側寸法よりも大きくなるのではなく、小さくなり得る。
【0056】
中空部の端面の半径方向外側寸法が基体外径よりも大きいという事実により、溶接接触面はまた、基体外径と孔領域の円周とによって画定される環状面よりも大きくすることができる。
【0057】
コアロッドは、ホルダと基体とからなる溶接複合体の完全な又は少なくとも部分的な作製後に、半製品の貫通孔に導入される。このようにして、昇華物の堆積及び溶接プロセス中の高温によるコアロッドの損傷は、確実に防止又は低減される。ホルダはまた、比較的体積が大きく重い構成要素集合体及びプリフォームの安定した保有を可能にする。
【0058】
特に好ましい実施形態では、溶接接触面の少なくとも一部は、基体側域において延びる。この場合、中空部は、基体の側域と排他的に又は部分的に係合する。基体の上端部は、本質的に中空部の中空チャネルに挿入される。これは、いくつかの利点をもたらす。
・中空部と基体との間の溶接接続に対して、実質的に任意のサイズの接触面(すなわち、基体外殻の)が利用可能である。大きな接触面の結果として、特に重くて体積の大きい構成要素集合体及びプリフォームも確実に保持することができる。
・更に、溶接接続が側域貫通孔の領域に作成されているので、貫通孔に挿入された任意のコアロッドは、溶接接続が基体上端面に作成された場合よりも熱的な影響を受けにくい。したがって、貫通孔又はその中に挿入されたコアロッドの変形、及び堆積の結果としての不純物が防止又は低減される。このことは、特に、基体の縁部の近くに配置された貫通孔及びコアロッドにも当てはまる。
・更に、基体上端面の領域における貫通孔は、基体側域の溶接接触面によって覆われることがない。それらは自由にアクセス可能であるので、コアロッドは、後に(溶接複合体が作製された後に)基体上端面から挿入することもできる。ファイバ延伸プロセスの間、又はプリフォームを形成するための更なる加工の間、環状ギャップの排気は妨げられることも低減することもない。
【0059】
本発明による半製品の有利な実施形態は、従属請求項に見出すことができる。従属請求項に規定された半製品の実施形態が、本発明による方法の従属請求項に記載された方法において再現される限りにおいて、補足的な説明のために、対応する方法請求項に関する上記の説明が参照される。
【0060】
定義及び測定方法
上記の説明の個々の用語は、以下で更に定義される。定義は、本発明の説明の一部である。本明細書で具体的に定義されていない用語及び測定方法については、国際電気通信連合(International Telecommunication Union)(ITU)による解釈が該当する。以下の定義の1つと説明の残りの部分との間に不一致がある場合、説明でなされた記述が優先される。
【0061】
基体
基体はガラスからなり、コアロッドを受け入れるための貫通ボアを含む。貫通ボアに隣接するガラスは、最も高い屈折率を有するコアロッドのガラスの屈折率よりも低い屈折率を有する。それは、例えば、ドープされていない石英ガラスからなるか、又はガラスの屈折率を減少させる少なくとも1つのドーパントを含有する。フッ素及びホウ素は、石英ガラスの屈折率を低下させることができるドーパントである。基体は細長く、公称外径を有する実質的に円筒形の形状を有する。端面端部の領域では、円筒形形状及び公称外径からの逸脱が存在してもよい。
【0062】
コアロッド
コアロッドはガラスからなり、半径方向に均一又は不均一な屈折率プロファイルを有する。最も高い屈折率を有するガラスは、一般に、コアロッドの中心軸に位置する。それは、例えば、屈折率を増加させるために少なくとも1つのドーパントが添加された石英ガラスからなる。
【0063】
ホルダ
ホルダは、延伸又は伸長のための装置において構成要素集合体又はプリフォームを保持する役割を果たす。それは一体品であるか、又は複数の部品から構成される。
【0064】
ホルダの第1の上端部は装置内に固定され、他方の反対側の下端部は、構成要素集合体又はプリフォームの基体に直接的に、又は例えばアダプタ部などの中間要素を介して間接的に溶接される。基体に面するホルダの端部は、中央中空チャネルを有する中空部を備える。溶接された状態では、中空チャネル及び基体の長手方向軸は同軸に延びている。
【0065】
基体に溶接されたホルダの少なくとも端部は、ガラス、好ましくは基体と同じガラス、例えば石英ガラスからなる。
【0066】
構成要素集合体/(一次)プリフォーム/二次プリフォーム/半製品
「構成要素集合体」は、貫通孔に挿入されたコアロッドを有する基体を含む。コアロッドを貫通孔内に固定することによって、例えば基体端部を狭めることによって、本明細書では「一次プリフォーム」とも呼ばれる「プリフォーム」が得られる。構成要素集合体又は(一次)プリフォームは、伸長されて、「二次プリフォーム」を形成するか、又はマルチコアファイバを直接形成する。ホルダと基体との溶接複合体は、「半製品」と呼ばれる。
【0067】
石英ガラス
石英ガラスは、例えば、天然に存在するSiO原料からの溶融生成物であるか(天然石英ガラス)、又は合成的に製造されるか(合成石英ガラス)、又はこれらの石英ガラスタイプの混合物からなる。合成透明石英ガラスは、例えば、合成的に製造されたケイ素化合物の火炎加水分解若しくは酸化によって、いわゆるゾル-ゲル法による有機ケイ素化合物の重縮合によって、又は液体中での無機ケイ素化合物の加水分解及び沈殿によって得られる。
【0068】
溶接
ガラス製の構成要素に言及する場合、溶接とは、構成要素が接触面で互いに融合することを意味すると理解される。融合は、オーブン、バーナ又はレーザなどの熱源を用いて、少なくとも接触面の領域において、溶接される構成要素を加熱することによって行われる。
【0069】
溶接接触面
構成要素集合体の重量又はプリフォームの重量は、ホルダによって溶接接触面を介して支持される。溶接接触面のサイズは、ホルダと基体とからなるか又はホルダとプリフォームとからなる溶接複合体の強度にとって決定的である。
【0070】
溶接接触面とは、一方におけるホルダと、他方における基体又はプリフォーム及び/又は基体に接続された中間要素との間の溶接接続の表面域である。ホルダの部分における利用可能な接触面は、溶接接触面のサイズを決定し、制限する。
【0071】
溶接接触面は、ホルダと基体との間に直接的及び/又は間接的に形成される。直接的な実施形態では、溶接接触面は、ホルダと基体とを互いに直接接続する。間接的な実施形態では、ホルダ及び基体は、互いに間接的に、すなわち、基体に接続された仲介中間要素によって接触するに過ぎず、溶接接触面は、ホルダを中間要素に接続する。
【0072】
アダプタ部/中間要素
アダプタ部は、単一部品であるか、又は互いに接続された複数の部品から構成される。それは、基体に(例えば溶接によって)接続され、それによって、基体の上端面に、及び/又はその側域に側方に配置される。基体への接続の結果として、アダプタ部は、ホルダとの利用可能な接触面、したがって溶接接触面を拡大するのに適している。これにより、溶接接触面の少なくとも一部はホルダとアダプタ部との間に形成される。ホルダは、溶接接触面のこの部分を介して基体に間接的に接続される。この点において、アダプタ部は、基体とホルダとの間の中間要素としても機能する。
【0073】
位置表示:頂部/底部
これらの表示は、伸長プロセス中及び/又はファイバ延伸プロセス中の位置に関する。「底部」は、延伸プロセスの方向における位置を示し、「頂部」は、延伸プロセスの方向と反対の位置を示す。
【0074】
断面
長手方向/長手方向軸に垂直に取られた断面。
【0075】
長手方向断面
長手方向/長手方向軸に平行に取られた断面。
【図面の簡単な説明】
【0076】
例示的な実施形態
以下で、例示的な実施形態及び図面を参照して本発明をより詳細に説明する。詳細には、概略図において、
図1図1は、第1の実施形態における溶接されたホルダの平面図におけるマルチコアファイバ用の(一次)プリフォームの断面図である。
図2図2は、長手方向断面図における図1のプリフォームである。
図3図3は、マルチコアファイバ用のプリフォームの形態の半製品の第2の実施形態の長手方向断面図である。
図4図4は、マルチコアファイバ用のプリフォームの形態の半製品の第3の実施形態の長手方向断面図である。
図5図5は、マルチコアファイバ用のプリフォームの形態の半製品の第4の実施形態の長手方向断面図である。
図6図6は、マルチコアファイバ用のプリフォームの形態の半製品の第5の実施形態の長手方向断面図である。
図7図7は、マルチコアファイバ用のプリフォームの形態の半製品の第6の実施形態の長手方向断面図である。
図8図8は、マルチコアファイバ用のプリフォームの形態の半製品の第7の実施形態の長手方向断面図である。
図9図9は、更なる実施形態における溶接されたホルダの平面図におけるマルチコアファイバ用のプリフォームの断面図である。
【0077】
図1は、本発明の製造方法を用いて作製することができるマルチコアファイバ用プリフォーム1の断面を概略的に示す。図2は、長手方向断面図におけるプリフォーム1を示す。
【0078】
プリフォーム1は、上端面端部2a及び下端面端部2bと、円筒側域2cとを有する、合成的に製造されたノンドープ石英ガラスから作られたシース材料円筒2を備える。シース材料円筒2は、典型的には、500~1500mmの範囲の長さと、80~230mmの範囲の公称外径とを有する。この実施形態及び以下の全ての例示的な実施形態では、長さは1000mmであり、公称外径は200mmである。
【0079】
複数の貫通ボア4a及び4bは、円筒長手方向軸3の方向にシース材料円筒2を通って延在する。貫通ボア4a及び4bは各々、実質的に円形の断面を有するコアロッド55を受け入れる役割を果たす。全ての実施形態では、コアロッド55は、従来の方法でゲルマニウムがドープされた、合成的に製造された石英ガラスからなる。貫通ボア4a及び4bは対称パターンで配置されており、貫通ボア4aは、垂直に配向されたシース材料円筒長手方向軸3から最も離れており、長手方向軸3に対して同軸に延びる孔領域の円周4cに隣接し、残りの貫通ボア4bは、孔領域の円周4cから更に離れている。
【0080】
シース材料円筒2の上端面2aには、天然に存在する水晶溶融ノンドープ石英ガラスの中空円筒6が溶接されている。中空円筒6は、シース材料円筒長手方向軸3と同軸に延びる重心軸及び中心軸6aを有する。
【0081】
図2は、シース材料円筒2の上端面端部2aに面する中空円筒6の溶接端部7が、垂直に配向された長手方向部分7bにわたって内径拡張部を有することを示す。拡張された内径は、シース材料円筒2の外径に対応する。垂直に配向された長手方向部分7bは長さL2を有し、シース材料円筒2の側域に当接し、そこに溶接される。
【0082】
内側円周段部面7aは水平に配向され、段部深さL1を有する。それはシース材料円筒2の上端面2a上に載置され、それに溶接される。溶接接続の強度を決定する溶接接触面のサイズは、溶接された長手方向部分L1及びL2と、対応する半径方向寸法とから構成される。これらの寸法は、以下の実施形態1及び以下の実施形態2~7に関する表1にまとめられている。溶接接触面は、図2図9に示される長手方向断面において太い黒線Sによって強調されている。
【0083】
内側円周段部面7aは、内径180mmで終端する。この直径は、孔領域の円周4cの直径(170mm)よりも大きい。これは、内側円周段部面7aがコアロッド55のいずれも覆わないことを意味する。また、それは、貫通ボア4a及び4bのいずれも覆わない。貫通ボアの直径は、典型的には5mm~50mmの範囲であり、この実施形態及び以下に記載する全ての例示的な実施形態では30mmである。
【0084】
図1及び図2によるプリフォーム1の作製を以下でより詳細に説明する。
1000mmの長さを有する、合成的に製造されたノンドープ石英ガラスの円筒を作製し、円筒研削によって200mmの公称外径に設定する。30mmの直径を有する貫通ボア4a、4bが、長手方向軸3の方向に機械的ドリル穿孔によって生成される。長手方向軸3から離れている貫通ボア4aは、直径170mmの円4c内に存在する。
【0085】
その後、合成的に製造されたノンドープ石英ガラスの中空円筒6の内側に段付けされた溶接端部7が、シース材料円筒2の上端面及び側域に接触され、溶接される。溶接は、バーナ炎によって溶接端部7を加熱することによって行われる。これにより、幅L2を有する、円筒側域2の周りに延びる垂直に配向された溶接面と、幅L1を有する、端面に延びる環状溶接面とが作成される。
【0086】
約1000mmの長さ及び約28mmの外径を有する、Geドープ石英ガラス製のコアロッド55が作製される。例えばVAD法(Vapor Phase Axial Deposition)、OVD法(Outside Vapor Deposition)又はMCVD法(Modified Chemical Vapor Deposition)のような公知の技術がこの目的に適している。
【0087】
コアロッド5は、貫通ボア4a及び4bに挿入される。貫通ボア4a及び4bへの挿入は、溶接された中空円筒6が貫通ボア4a及び4bを覆っておらず、貫通ボア4a及び4bが、中空円筒6を溶接することによって変形されていないので、下方からも上方からも行うことができる。コアロッド55は、好ましくは、上方から貫通ボア4a及び4bに挿入される。
【0088】
次いで、コアロッド5が取り付けられたシース材料円筒2の下端部を加熱して、コアロッド5の周囲の環状ギャップを潰す。シース材料円筒2とこのようにして固定されたコアロッド5との構成要素集合体は、一次プリフォーム1を形成し、これは次いで伸長されて二次プリフォームを形成する。この場合、プリフォーム1は、長手方向軸3の垂直配向を有する中空円筒6によって伸長装置内に保持され、同時に、負圧が中空円筒6に印加される。このようにして作製された二次プリフォームは、最終的に、二次プリフォームを同様に中空円筒6によって保持する延伸装置において、従来の方法でマルチコアファイバに延伸される。
【0089】
上述の好ましい手法では、コアロッド5は、シース材料円筒2を中空円筒6に溶接した後に挿入される。別のあまり好ましくない手法では、コアロッド5は貫通ボア4a及び4bに挿入され、その後にのみ、シース材料円筒2と中空円筒6とが互いに溶接される。
【0090】
図1及び図2と同じ参照番号が図3図8で使用される場合、同一又は同等の構成要素及び構成要素は、このように、プリフォーム1及びその製造の第1の実施形態の記載を参照して上で説明したものとして指定される。プリフォームの全ての実施形態において、中空円筒の外径はシース材料円筒2の外径よりも大きく、その内径は孔領域の円周4cよりも大きい。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
説明:
MM円筒:シース材料円筒
ID:内径
AD:外径
「円筒形」形状:連続的に円筒形
「主に円筒形」形状:第1の端部の領域において、円筒形形状からの逸脱がある
孔領域の円周:貫通ボアがそれらの直径の100%又は少なくとも90%において存在する円の直径
長さL1:(中空部壁を通る長手方向断面の一方の側における)長手方向軸に垂直に延びる溶接接触面の(水平な)長手方向部分の全長
長さL2:(中空部壁を通る長手方向断面の一方の側における)長手方向軸に水平に延びる溶接接触面の(垂直な)長手方向部分の全長
長さL3:(中空部壁を通る長手方向断面の一方の側における)溶接接触面の非水平かつ非垂直に延在する長手方向部分の全長
割合:溶接接触面の全面積に対する関連する長手方向部分の表面積割合
L1+L2+L3:(中空部壁を通る長手方向断面の一方の側における)溶接接触面の全長
Δ参考(%):参考溶接接触面(公称シース材料円筒外径と孔領域の円周との間の環状面)の表面積に対する全表面積の差
表1の最後の行において、溶接接触面の全表面積の差は、シース材料円筒の外径と孔領域の円周との間の環状面(貫通ボアと重ならない)として定義される参考溶接接触面の表面積に基づいて、パーセントで示される。このことから、全ての実施形態において、溶接接触面は、対応する参考例の溶接接触面よりも大きいことになる。
【0093】
図3は、図2とは対照的に、段部において切断されたシース材料円筒2の上端面2aを有するプリフォーム31の実施形態を示す。このようにして作製された段付きプロファイルの矩形段部2dは、深さL1aを有する。
【0094】
中空円筒6の溶接端部7は、垂直に配向された長手方向部分7bにわたる内径拡張部を有する。拡張された内径は、矩形段部2dの領域におけるシース材料円筒2の外径に対応する。垂直に配向された長手方向部分7bは、長さL2を有し、矩形段部2dの領域においてシース材料円筒2の側域に当接し、そこに溶接される。
【0095】
中空円筒6の溶接端部7は、長さL1aにわたって矩形段部2dに溶接され、中空円筒2の内径拡張部に対応する長さL1bにわたってシース材料円筒の上端面に溶接される。このようにして、特に安定した溶接接続が可能となり、中空円筒6の付加的な誘導が得られる。長さL1aと長さL1bとの和は、溶接接触面Sの水平配向の合計割合L1となる。
【0096】
図3とは対照的に、図4のプリフォーム41の実施形態では、シース材料円筒2の上端面端部2aは、2つの段部で切断されている。切断部は、長さL2の、頂部から底部まで垂直に延びる円筒面2eを含み、円筒面2eは、シェルライン長さL3の、下方に広がる円錐台(円錐セクション2fとして断面で示される)に開口する。円錐部分2fは、長手方向軸3aと30度の円錐角を形成し、円筒側域2cまで延在する。したがって、シース材料円筒2と中空円筒6とは、傾斜したシェルライン長さL3にわたって、及び垂直配向の長さL2にわたって互いに溶接される。長さL2と長さL3の和は溶接接触面Sを示す。
【0097】
図5のプリフォーム51の実施形態では、中空円筒6に加えてアダプタ部が設けられる。後者は、断面が長方形であり、その内径がシース材料円筒2の外径に対応する円周石英ガラスリング8からなる。アダプタ部(石英ガラスリング8)は、シース材料円筒6の外径のフランジ様拡張部として機能する。それは最初に、石英ガラスリングの中心軸とシース材料円筒2の長手方向軸6とが同軸に延びるように、その内側側域8cがシース材料円筒2の円筒側域2cに溶接される。
【0098】
中空円筒6は、石英ガラスリング8の外径に対応する外径と、石英ガラスリング8よりも長さL1bだけ小さい内径とを有する。それは、長手方向軸3及び6aが互いに同軸に延びるように、接合材料(シース材料円筒2及び石英ガラスリング8)上に設置され、石英ガラスリング8及びシース材料円筒2の上端面に溶接される。結果として生じる溶接接触面Sは、幅L1aを有する外側リングと、幅L1bを有する内側リングとから構成される。ここで、L1aは、中空円筒6と石英ガラスリング8との間の溶接接続のリング幅を示し、L1bは、中空円筒6とシース材料円筒2との間の溶接接続のリング幅を示す。長さL1aとL1bとを合計することにより、合計100%の溶接接触面Sの水平配向の合計割合L1が得られ、ここで、溶接接触面Sは、中空円筒6の壁幅全体にわたって延在する。
【0099】
この実施形態は、中空円筒6に対してもシース材料円筒2に対しても、段部、ベベルなどを製造するための機械的加工ステップが不要であるという利点を有する。
【0100】
代替的かつ同様に好ましくは、石英ガラスリング8はまた、最初に中空円筒6の下端面に溶接した後、次いでこれらの接合された材料を円筒側域2c及びシース材料円筒6の上端面に溶接してもよい。
【0101】
図5とは対照的に、円周石英ガラスリング9は、図6のプリフォーム61の実施形態では、直角二等辺三角形に実質的に対応する断面を有する。それは最初に、石英ガラスリング9の中心軸とシース材料円筒2の長手方向軸6とが同軸に延びるように、その内側側域9cがシース材料円筒2の円筒側域2cに溶接される。
【0102】
中空円筒6は、石英ガラスリング9の外径に対応する外径と、石英ガラスリング9よりも長さL1bだけ小さい内径とを有する。それは、対応する長手方向軸3及び6aが互いに同軸に延びるように、シース材料円筒2及び石英ガラスリング9から作られた、接合された材料上に設置され、石英ガラスリング9及びシース材料円筒2の上端面に溶接される。結果として生じる溶接接触面Sは、幅L1aを有する外側リングと、幅L1bを有する内側リングとから構成される。ここで、L1aは、中空円筒6と石英ガラスリング9との間の溶接接続のリング幅を示し、L1bは、中空円筒6とシース材料円筒2との間の溶接接続のリング幅を示す。長さL1aと長さL1bとの和は、100%である溶接接触面Sの水平配向の合計割合L1となる。ここでも、溶接接触面Sは、中空円筒6の壁幅全体にわたって延在する。
【0103】
この実施形態もまた、中空円筒6に対してもシース材料円筒2に対しても、段部、ベベルなどを製造するための機械的加工ステップが不要であるという利点を有する。
【0104】
図7に示すプリフォーム71の実施形態では、シース材料円筒2は、円錐状に上方に広がる上端部10を有する。その他の点では、それは円筒形である。広がった上端部10は、例えば、公称外径を調整するための円筒側域2の円筒研削中に、そこでガラス材料を除去しないか、又は少量除去することによって作製される。中空円筒6は、対応する長手方向軸3及び6aが同軸に延びるように、シース材料円筒の上部の厚くなった端部に溶接される。ここでも、溶接接触面Sは、もっぱら水平に、中空円筒6の壁幅全体にわたって延在する。
【0105】
図8に示す本発明によるプリフォーム81の実施形態では、アダプタ部は、シース材料円筒2の上端部2aを拡張する役割を果たす。アダプタ部は、15mmの厚さを有するドープされていない石英ガラスから作られた円錐ディスク11の形態(より正確には円錐台の形態)である。その最小直径はシース材料円筒2の外径に対応し、その最大直径は中空円筒6の外径に対応する。円錐ディスク11は、シース材料円筒2の上端面に全面にわたって溶接される。したがって、それは孔領域の全周4cを覆う。したがって、コアロッド5を受け入れるための貫通ボア4a及び4bは、その後にのみ、すなわち、シース材料円筒2と円錐ディスク11との溶接後にのみ作製され、円錐ディスク11は、シース材料円筒2と共に、ドリル穿孔された通路を備える。
【0106】
次いで、中空円筒は、長手方向軸3及び6aが同軸に延びるように、円錐ディスク11の平面状の上側に溶接される。円錐ディスク11及び中空円筒6は、シース材料円筒2の外径よりも大きい最大直径を有するので、中空円筒6との溶接接続に利用可能な接触面を増加させる。溶接接触面Sは、中空円筒6と円錐ディスク11との間の直接接続によってのみ、すなわち、中空円筒6とシース材料円筒2との直接接触を伴わずに生成される。それは、もっぱら水平に、中空円筒6の壁幅全体にわたって延在する。
【0107】
図1及び図2に示される実施形態とは対照的に、図9におけるプリフォーム12の実施形態では、中空円筒6の最小内径は164mmであり(180mmではない)、したがって、170mmの直径を有する孔領域の円周4cよりも小さい。したがって、中空円筒6は、基体断面への突出部において、長手方向軸6aから離れた貫通ボア4aを部分的に覆う。それにもかかわらず、コアロッド5が中空円筒2によって覆われていない領域の断面よりも小さい外径を有するので、コアロッド5を、予め溶接された中空円筒2の内孔を通して上からシース材料円筒2に嵌め込むことが可能である。本実施形態では、コアロッド径は28mmであり、部分的に覆われた貫通孔の直径は33mmである。このうち、3mmが中空円筒2によって覆われているので、覆われていない露出断面は30mmの最小寸法を有する。
【0108】
図1図9は、コアロッド(又はシース材料円筒とコアロッドとからなる構成要素集合体)が取り付けられたプリフォームを概略的に示す。図はまた、コアロッド5が貫通孔4a及び4bに挿入される前の、対応するプリフォームを製造するために使用される半製品(シェル材料円筒及びホルダ)を概略的に示す。表データを含む、(一次)プリフォーム及びそれらのホルダへの接続に関する例示的な実施形態に関する上記の説明は、構成要素集合体又は一次プリフォームを製造するための対応する半製品にも適用される。構成要素集合体及び/又はプリフォームは各々、半製品から、コアロッド5を好ましくは上方から貫通ボア4a及び4bに挿入することによって得られ、そこから二次プリフォーム又は直接マルチコアファイバを伸長することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコアファイバを製造するための方法であって、
(a)ガラスクラッド材料を含有する細長い基体であって、第1の端部と、第2の端部と、基体長手方向軸と、基体側域と、半径方向基体断面と、基体外径と、前記基体長手方向軸に沿って前記基体を通って延在する少なくとも2つの貫通孔と、を有する、細長い基体を用意するステップと、
(b)ガラスコア材料を含有するコアロッドを前記少なくとも2つの貫通孔に挿入し、それによって構成要素集合体を形成するステップと、
(c)前記構成要素集合体を延伸して前記マルチコアファイバを形成するか、又は前記構成要素集合体を更に加工して、前記マルチコアファイバが延伸されるプリフォームを形成するステップであって、前記構成要素集合体は、前記第1の端部の領域において前記基体に接続されて溶接接触面を形成するガラス製のホルダによって保持される、ステップと、を含み、
細長い中空部を有するホルダであって、前記貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周よりも大きい内側輪郭を有する中空チャネルを有し、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有する、ホルダが使用されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記溶接接触面の少なくとも一部、好ましくは、前記溶接接触面全体は、前記コアロッドが挿入される前に作成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶接接触面の少なくとも一部は、前記基体側域に生成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶接接触面は、前記基体長手方向軸の方向の延在長さに沿って前記基体側域において延在し、前記延在長さは、5mm~100mmの範囲、好ましくは少なくとも10mm、特に好ましくは少なくとも20mmであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶接接触面は、前記延在長さにわたって少なくとも1つの円周段部及び/又は少なくとも1つの円周ベベルを含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接接触面は、前記基体側域と第1の基体上端面との両方に生成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
上端部の領域において前記基体に接続され、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有するアダプタ部であって、中空円筒形中空部に溶接される、アダプタ部が使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
実質的にプレート様のアダプタ部は前記基体の前記上端面に接続され、前記プレート様のアダプタ部は前記孔領域の前記円周を少なくとも部分的に覆い、前記貫通孔の少なくともいくつかは前記アダプタ部を通って延在することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マルチコアファイバを製造するための半製品であって、
(i)ガラスクラッド材料を含有する基体であって、第1の端部と、第2の端部と、基体長手方向軸と、基体側域と、半径方向基体断面と、基体外径と、を有する基体と、
(ii)コアロッドを受け入れるための、前記基体断面にわたって分布している少なくとも2つの貫通孔であって、各々が孔直径を有し、前記基体長手方向軸に沿って前記基体を通って延在する、貫通孔と、
(iii)前記第1の端部の領域において前記基体に接続されて溶接接触面を形成するガラス製のホルダと、を備え、
前記ホルダは細長い中空部を備え、前記細長い中空部は、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有し、前記貫通孔が完全に存在するか又はそれらの孔直径の少なくとも90%が存在する孔領域の円周よりも大きい内側寸法を有することを特徴とする、半製品。
【請求項10】
前記溶接接触面の少なくとも一部は、前記基体側域に形成されることを特徴とする、請求項9に記載の半製品。
【請求項11】
前記溶接接触面は、前記基体長手方向軸の方向の延在長さに沿って前記基体側域の周りに延在し、前記延在長さは、5mm~100mmの範囲、好ましくは少なくとも10mm、特に好ましくは少なくとも20mmであることを特徴とする、請求項9又は10に記載の半製品。
【請求項12】
前記溶接接触面は、前記延在長さにわたって少なくとも1つの円周段部及び/又は少なくとも1つの円周ベベルを含むことを特徴とする、請求項11に記載の半製品。
【請求項13】
前記溶接接触面は、前記基体側域と第1の基体上端面との両方に形成されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の半製品。
【請求項14】
アダプタ部は、基体上端部の領域において前記基体に接続され、前記基体外径よりも大きい半径方向外側寸法を有し、前記アダプタ部は、中空円筒形中空部に溶接されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の半製品。
【請求項15】
実質的にプレート様のアダプタ部は前記基体の前記上端面に接続され、前記プレート様のアダプタ部は前記孔領域の前記円周を少なくとも部分的に覆い、前記貫通孔の少なくとも一部は前記アダプタ部を通って延在することを特徴とする、請求項14に記載の半製品。

【国際調査報告】