(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】工具ホルダタレットのための補助スピンドル
(51)【国際特許分類】
B23B 3/30 20060101AFI20240723BHJP
B23Q 5/04 20060101ALI20240723BHJP
B23B 3/16 20060101ALI20240723BHJP
B23B 21/00 20060101ALI20240723BHJP
B23B 29/24 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B23B3/30
B23Q5/04 Z
B23Q5/04 520Z
B23B3/16 Z
B23B21/00 C
B23B29/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503535
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2022069515
(87)【国際公開番号】W WO2023001645
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522332799
【氏名又は名称】ギルデマイスター イタリアーナ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】GILDEMEISTER Italiana S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】パッセリニ ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】ミレシ ルカ
【テーマコード(参考)】
3C045
3C046
【Fターム(参考)】
3C045BA09
3C045BA24
3C045CA05
3C045GA10
3C046NN10
(57)【要約】
機械操作のために工具ホルダタレット200A~200D、特に旋盤の工具ホルダタレット200A~200D上に少なくとも1つのワークピースWをクランプするための補助スピンドルASが、工具ホルダタレット200A~200Dのタレットポート上へ補助スピンドルASを装着し、ワークピースWを受け取って工具ホルダタレット上の受け取られたワークピースWの機械加工操作を行うように構成された少なくともスピンドルユニット310を有する。加えて、スピンドルユニット310はさらに、ワークピースWを補助スピンドルAS上へクランプするように構成された少なくとも受け取りユニット311を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工操作のために複数の工具(T1~T4)を保持するための少なくとも1つの工具ホルダタレット(200A~200D)と、前記工具ホルダタレット(200A~200D)に装着された少なくとも1つの補助スピンドル(AS)とを備える機械加工システム、特に旋盤で、少なくとも1つのワークピース(W)を機械加工するための機械加工方法において、前記補助スピンドル(AS)が、機械加工操作のためにワークピース(W)を受け取るための受け取りユニット(311A、311B)を少なくとも含む、機械加工方法であって、
前記工具ホルダタレット(200A~200D)上で、前記補助スピンドル(AS)の前記受け取りユニット(311A、311B)によって前記ワークピース(W)をクランプするステップと、
前記クランプされたワークピース(W)を機械加工するために前記クランプされたワークピース(W)を補助スピンドル軸(ASA)に沿って回転させるステップと
を含む、前記機械加工方法。
【請求項2】
少なくとも1つの工具ホルダタレット(200A~200D)上に装着された工具(T1~T4)及び/又は機械加工システムに実装された主要スピンドル(MS)上に装着された工具(T1~T4)によって前記工具ホルダタレット(200A~200D)上のクランプされたワークピース(W)を機械加工するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の機械加工方法。
【請求項3】
補助スピンドル(AS)が装着されている工具ホルダタレット(200A~200D)をタレット軸(TAW)に沿って回転させることによって、クランプされたワークピース(W)を枢動させるステップと、
前記補助スピンドル(AS)が装着されている前記工具ホルダタレット(200A~200D)を3方向の少なくとも1つに並進移動させることによって、前記クランプされたワークピース(W)を移動させるステップと
をさらに含む、請求項1又は2に記載の機械加工方法。
【請求項4】
工具ホルダタレット(200A~200D)の工具タレットポートに補助スピンドル(AS)を機械的に接続することによって前記工具ホルダタレット(200A~200D)の駆動システムに前記補助スピンドル(AS)を接続するステップと、
少なくとも1つの工具ホルダタレット(200A~200D)の駆動によって生じたトルクによって、クランプされたワークピース(W)の回転を駆動するステップと
をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の機械加工方法。
【請求項5】
クランプされたワークピース(W)を第1の補助スピンドル(AS1)から機械加工システムの主要スピンドル(MS)に、及び/若しくはその逆に移送するステップと、
前記クランプされたワークピース(W)を、第1の補助スピンドル(AS1)から、前記第1の補助スピンドル(AS1)と同じ又は異なる工具ホルダタレット(200A~200D)に装着された第2の補助スピンドル(AS2)に移送するステップと、
をさらに含み、
並びに/又は、
前記工具ホルダタレット(200A~200D)上に装着された機械加工工具(T1~T4)を駆動する一方、同時に、前記機械加工システムの前記工具ホルダタレット(200A~200D)上に少なくとも1つのワークピース(W)をクランプさせるステップをさらに含み、
並びに/又は、
前記クランプされたワークピース(W)を、前記ワークピース(W)をクランプする補助スピンドル(AS)が装着されている同じ又は異なる工具ホルダタレット(200A~200D)の少なくとも1つの回転工具(T5、T6)と接続するステップと、
前記少なくとも1つの回転工具(T5、T6)によって生じたトルクによって外部から前記クランプされたワークピース(W)の回転を駆動するステップと、
をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の機械加工方法。
【請求項6】
請求項1に記載の機械加工システムに請求項1~5の少なくとも1つに記載のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
機械加工操作のために工具ホルダタレット(200A~200D)、特に旋盤(230)の工具ホルダタレット(200A~200D)上に少なくとも1つのワークピース(W)をクランプするための補助スピンドル(AS)であって、
前記工具ホルダタレット(200A~200D)の工具タレットポート上へ装着可能であり、ワークピース(W)を受け取って前記工具ホルダタレット上の前記受け取られたワークピース(W)の機械加工操作を行うように構成された少なくとも1つのスピンドルユニット(310)
を備え、
前記スピンドルユニット(310)が、前記ワークピース(W)を前記補助スピンドル(AS)上へクランプするように構成された少なくとも受け取りユニット(311A、311B)をさらに含む、
前記補助スピンドル(AS)。
【請求項8】
補助スピンドル(AS)が、工具ホルダタレット(200A~200D)上のクランプされたワークピース(W)を機械加工するために補助スピンドル軸(ASA)に沿って前記クランプされたワークピース(W)を回転させるように構成され、及び/又は
前記補助スピンドル(AS)が、スピンドルユニット(310)を少なくとも1つの工具ホルダタレット(200A~200D)に装着して前記補助スピンドル(AS)を前記工具ホルダタレット(200A~200D)の駆動システムに物理的に接続し、それにより前記タレット駆動システムによって前記補助スピンドル(AS)を制御することができるようになるように構成されている、請求項7に記載の補助スピンドル(AS)。
【請求項9】
スピンドルユニット(310)が、ワークピース(W)を少なくとも1つの接触位置でクランプし、機械加工操作のために前記クランプされたワークピース(W)の少なくとも2つの対向する端部(W1、W2)を露出させるように構成され、
及び/又は前記スピンドルユニット(310)が、前記ワークピース(W)をクランプするように制御することができるスリーブを含み、
前記スリーブが、前記固定されたワークピース(W)を補助スピンドル軸(ASA)と同軸に位置合わせするように構成されている、請求項7又は8に記載の補助スピンドル(AS)。
【請求項10】
スピンドルユニット(310)が、ワークピース(W)を固定的にクランプするように制御することができる少なくとも1つのチャックを含み、
前記少なくとも1つのチャックが、前記クランプされたワークピース(W)を補助スピンドル軸(ASA)と同軸に位置合わせするように構成され、かつ
前記少なくとも1つのチャックが、不規則な形状のワークピース(W)を強固に保持するように独立して移動するように構成されているジョーを含む、請求項7~9のいずれかに記載の補助スピンドル(AS)。
【請求項11】
少なくとも1つのワークピース(W)を機械加工するための機械加工システム、特に旋盤(230)であって、
機械加工操作、特にライブツーリングのために少なくとも1つの工具タレットポート上に複数の工具(T1~T4)を装着するための少なくとも1つの工具ホルダタレット(200A~200D)と、
前記少なくとも1つの工具ホルダタレット(200A~200D)又は前記機械加工システムに実装された別の工具ホルダタレット(200A~200D)に装着された請求項9~14に記載の少なくとも1つの補助スピンドル(AS)と
を備える、機械加工システム。
【請求項12】
補助スピンドル(AS)の受け取りユニット(311A、311B)によってクランプされたワークピース(W)を補助スピンドル軸(ASA)に沿って回転させることができ、
前記ワークピース(W)の回転が、工具ホルダタレット(200A~200D)の駆動によって生じる少なくともトルクによって駆動される、請求項11に記載の機械加工システム。
【請求項13】
機械加工システムが、補助スピンドル(AS)の受け取りユニット上へワークピース(W)をクランプすることによって、前記機械加工システムの主要スピンドル(MS)に装着された少なくとも1つの機械加工工具(T1~T4)、及び/若しくは前記機械加工システムの工具ホルダタレット(200A~200D)の1つに装着された少なくとも1つの機械加工工具(T1~T4)によって、前記工具ホルダタレット(200A~200D)上の前記ワークピース(W)を機械加工するように構成され、並びに/又は
前記補助スピンドル(AS)が装着されている工具ホルダタレット(200A~200D)が、少なくともタレット軸(TAW)に沿った回転移動及び/若しくは並進移動によって、前記補助スピンドル(AS)の前記受け取りユニットによってクランプされた前記ワークピース(W)の位置及び/若しくは補助スピンドル軸(ASA)の方向を調整するように構成されている、請求項11又は12に記載の機械加工システム。
【請求項14】
少なくとも1つの補助スピンドル(AS)が装着されている工具ホルダタレット(200A~200D)が、少なくとも1つの追加の機械加工工具(T1~T4)を装着するように構成され、及び/又は
前記少なくとも1つの補助スピンドル(AS)が装着されている前記工具ホルダタレット(200A~200D)が、前記補助スピンドル(AS)上にクランプされたワークピース(W)を配置して前記工具ホルダタレット(200A~200D)上の前記ワークピース(W)の少なくとも機械加工操作を行うとともに、ワークピース(W)を機械加工するために少なくとも1つの工具(T1~T4)を配置するように構成されている、請求項11~13のいずれかに記載の機械加工システム。
【請求項15】
機械加工システムが、少なくとも第1の補助スピンドル(AS1)及び第2の補助スピンドル(AS2)がそれぞれ装着されている少なくとも第1及び第2の工具ホルダタレット(200A~200D)を含み、
前記機械加工システムが、前記少なくとも2つの工具ホルダタレット(200A~200D)の移動によって、前記第1の工具ホルダタレット(200A~200D)の前記第1の補助スピンドル(AS1)の受け取りユニットによってクランプされたワークピース(W)を前記第2の工具ホルダタレット(200A~200D)の前記第2の補助スピンドル(AS2)の受け取りユニットに移送するように構成され、並びに/又は
前記機械加工システムの少なくとも1つの工具ホルダタレット(200A~200D)が、機械加工プロセスのためにワークピース(W)を個別にクランプすることができる少なくとも2つの補助スピンドル(AS1~AS6)を装着するように構成され、かつ
前記機械加工システムが、前記機械加工システムの主要スピンドル(MS)にクランプされた少なくとも1つの機械加工工具(T1~T4)、及び/若しくは前記機械加工システムの工具ホルダタレット(200A~200D)の1つに装着された少なくとも1つの機械加工工具(T1~T4)によって、前記クランプされたワークピース(W)のそれぞれを独立して機械加工するように構成されている、請求項11~14のいずれかに記載の機械加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、工具ホルダタレット、特に旋盤の工具ホルダタレット上にワークピースを配置するための補助スピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば旋盤又はタレット旋盤のような、一般的なタイプの工作機械は、通常、互いに向き合って平行又は同軸のスピンドル軸を有する少なくとも2つの回転可能に装着されたワークスピンドルを備えることができる機械フレームと、機械フレームに一体的に分散された複数の工具保持キャリアとを備える。したがって、それぞれのワークピースの機械加工は通常、前述のワークスピンドルの1つにワークピースを挿入し、一体型工具保持キャリアの1つに装着された指定の機械加工工具をこれに接近させることによって行われる。
【0003】
例えばEP2714307B1は、機械フレームと、機械フレームのスピンドルキャリア面上に配置されて第1のワークピースを受け取るように構成されている第1のワークスピンドルと、第2のワークピースを受け取るように構成されている第1のワークスピンドルに面する第2のワークスピンドルと、それぞれの工具担持工具キャリア、すなわちタレットを配置することができる2つの可動工具キャリアスライドとを含む工作機械、特に旋盤に関する。
【0004】
同様に、DE3609571A1において機械フレームの中央に配置された保持装置を有する旋盤が記載されており、前述の保持装置にワークピースを挿入することができる一方、保持装置の周囲に配置された独立駆動可能な機械加工ユニットが、固定されたワークピースを機械加工するように構成されている。
【0005】
一般に、このタイプの工作機械は、通常、ワークピースの最大限効率的な機械加工を可能にしながら、同時に、同時に使用可能な工具の最大可能数を達成するように機械加工工具が提供されることを必要とする。これは一般に、それぞれのワークピーススピンドルの周りで均一に分散され、及び/又は独立して移動可能である工具キャリアとして工具保持タレットを実装し、実装された工具の制御に関する高程度の柔軟性並びに工作機械の費用効果的かつ堅牢な設計の両方につなげることを検討することにつながる。しかしながら、対照的に、ワークピースのアクセス性を最大にするため、ワークスピンドルの周囲領域は通常、それぞれの工具保持タレットの作業軌道(又は類推的にはワークスピンドルの軌道)に全体的に割り当てられるため、このタイプの工作機械、特にこのような複数の工具保持タレットを使用するものは、独立して作業する工具保持タレットの衝突の可能性から生じる制約を回避するためにコンパクトさが減少する。加えて、ワークピースの機械加工がそれぞれのワークスピンドルの周りの特定の領域に制限される結果、実際にワークピースの機械加工が行われる領域が比較的小さくなる一方、工作機械の潜在的な作業スペースの大部分が未使用のままになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP2714307B1
【特許文献2】DE3609571A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上記の問題を解決するため、そして工作機械の機械加工プロセスを改善するため、独立請求項の特徴を有する、ワークピースを機械加工操作(machining operations)のために工具ホルダタレット上に追加で配置するように構成された補助スピンドルを有する機械加工システムが提案されている。本発明の好ましい実施形態が従属請求項に列挙されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、特許請求される発明の機械加工システムで使用される補助スピンドルは主に、補助スピンドルのための少なくとも1つのワークピースを受け取るように構成される一方、同時に、工作機械、特に旋盤に実装された工具ホルダタレットの、ツーリングステーションのような、それぞれの工具タレットポートに接続可能である少なくとも1つのスピンドルユニットを含むことができる。したがって、本発明のスピンドルユニットは、工具ホルダタレット及びワークピースの両方にそれぞれ接続点を提供することによって特定の工具ホルダタレットと工具ホルダタレット上に配置されるべきワークピースとの間の中心接合点を表すことができる。
【0009】
具体的には、工具ホルダタレットへの接続を可能にするため、クラウンタレット、ドラムタレット、垂直タレット又はヘッドタレットのような任意の既知の工具ホルダタレット形式に補助スピンドルを統合することができるように、スピンドルユニットは好ましくは、例えば調整可能な接続要素によって、特定のタイプの工具タレットポートに調整可能に装着可能であるように構成することができる。あるいは、スピンドルユニットは同様に、所与の補助スピンドルについて最大のアクセス性を可能にするように、それぞれの工具ホルダタレット上にすでに装着されている工具ホルダと接続可能とすることができる。スピンドルユニットを介して補助スピンドルをそれぞれの工具タレットポートに接続する方法はそれぞれの工具ホルダタレットに対するニーズに対して等しく適応可能とすることができ、キャップねじ込み、楔固定又はコレットクランピングを含むことができるが、当然、補助スピンドルを工具ホルダタレット上へ強固に配置する任意の他の方法も適用可能とすることができる。
【0010】
さらに、少なくとも1つのワークピースへの接続を可能にするため、スピンドルユニットは加えて、ワークピースを機械加工操作のために補助スピンドル上で少なくともクランプするように構成された少なくとも1つの受け取りユニットを含むことができ、同様に工具ホルダタレット上でのそれぞれのワークピースの良好に定義された堅牢な配置につながる。そのため、特許請求される補助スピンドルによって、特に旋盤の、所与の工具ホルダタレット上へ少なくとも1つのそれぞれのワークピースを配置する正確で普遍的に使用可能な方法が実現され、ワークスピンドル上で実行されるものに加えて工具ホルダタレット上での機械加工操作を可能にすることによって旋盤の作業スペースの効率及び使用の改善を行うことができる。
【0011】
これに基づいて、フライス加工、穴あけ加工、さらには切断又は研削処理のような、工具ホルダタレット上のクランプされたワークピースの任意のタイプの精密機械加工について最適な条件をさらに確保するため、補助スピンドルは加えて、補助スピンドルの内部スピンドル形状によって画定される補助スピンドル軸に沿ってクランプされたワークピースを少なくとも回転させるように構成することができる。ここで、それぞれのワークピースの回転移動の特性(回転速度、トルクなど)は、特定の機械加工プロセスについて与えられるそれぞれの要件に応じて、補助スピンドル自体によって、又は追加要素によって調整することができ、関連する旋盤に適用されたとき、補助スピンドルの最大限の汎用性が可能になる。
【0012】
加えて、好ましい一実施形態において、補助スピンドルは同様に、補助スピンドルが装着されている工具ホルダタレットの駆動システムと相互作用するように構成することができ、クランプされたワークピースのさらに正確な機械加工プロセスが可能になる。例えば、補助スピンドルは好ましくはそれぞれの工具ホルダタレットと接続することができ、補助スピンドルのスピンドルユニットをこの少なくとも1つの工具ホルダタレットに装着することによって、補助スピンドル、特にその自由度を前述の駆動システムによって制御することができるようになり、工具ホルダタレットの共通の工具と同じ電源によって補助スピンドルを駆動することが可能になる。ここで、例えば、スピンドルユニットをそれぞれの工具タレットポートに装着することによって、補助スピンドルは、実装されたモータのような、所与の工具ホルダタレットのドライブに機械的に接続するように構成することができ、したがって、所与の駆動システムによって設定された目標移動にしたがって応答し、その移動パターン、特にクランプされたワークピースの回転移動を変更することが可能になり得る。
【0013】
補助スピンドルはまた、例えば工具ホルダタレット上に装着された独立した工具ホルダのドライブによって、工具ホルダタレットの外部に配置されたドライブに接続可能とすることができ、内部ドライブが含まれていない場合でも、工具ホルダタレットによる補助スピンドルの実装及び制御が可能になるように、上記工具ホルダタレットの前述の駆動システムによって操縦されるのみであり得る。同じく、補助スピンドル自体が実装されたドライブを含むことができ、例えば補助スピンドルと工具ホルダタレットとの間で生じる無線信号伝送システムによって、工具ホルダタレットシステムによって送信されたプロセスコマンドを受信及び実現するように構成することができ、所与の工具ホルダタレットタイプについて補助スピンドルの高い適応性及び統合性につながる。したがって、補助スピンドルの所与の特徴で、補助スピンドルの最大限のカスタマイズ性並びにクランプされたワークピースの正確で信頼性の高い制御の両方を実現することができる。
【0014】
さらに、補助スピンドル上のクランプされたワークピースの固定に関して、それぞれのスピンドルユニットは、受け取りユニットに統合されて、又はこれに加えて、補助スピンドル上にワークピースを保持するように特別に設計された少なくとも1つのクランピング構造を含むことができる。そのため、受入れユニットは、例えば、挿入されるときにワークピースを強固に保持するように上記の工具タレットシステム又は任意の他の制御要素によって制御することができる調整可能なスリーブを含むことができる。ここで、クランピングは、例えばアキシャルジョイントレンチによって、上記のスリーブを機械的に締め付けることによって、又はスリーブの内面が挿入されたワークピースに接触してその後続の機械加工操作について遊びがゼロになることを保証するようにその半径を電気、油圧、又は空気圧で調整することによって生じさせることができ、工具ホルダタレット内での正確な処理ステップが可能になる。加えて、ワークピースの機械加工の精度をさらに向上させるため、スリーブは、前述の補助スピンドル軸と同軸にクランプされたワークピースを自動的に位置合わせする方法で配向することもでき、したがってワークピースの回転中の不均衡とともに、それぞれの機械加工要素内での磨耗及び不正確さが防止される。
【0015】
また、上記のスリーブの代わりに、又はこれに加えて、受け取りユニットはさらに好ましくは、機械加工されるべきワークピースをクランプするための少なくとも1つのチャックを含むチャック機構を含むことができる。より具体的には、クランピングに使用されるべきチャックは自己中心チャック又はコレットであり、不規則な形状のワークピースでも強固に保持するように独立して制御可能な複数のジョーを含むことができ、したがって異なる機械加工プロセスについて補助スピンドルのアクセス性がさらに向上する。加えて、前述のスリーブによれば、本明細書に記載のチャック機構はまた、例えばそのジョーをそれぞれ調整することによって、補助スピンドル軸と同軸にワークピースを位置合わせするように構成することができ、後続の機械加工を同様に高性能条件下で実行することができる。
【0016】
また、上述のクランピング機構とは別に、ワークピースグリッパ機構、電磁フリーホイール固定又は単純な楔ピン止めプロセスを使用することを含む、スピンドルユニット上へワークピースを強固に固定する他の方法も当然適用可能であり得る。同様に、上記の機構のいずれも好ましくは、スピンドルユニットへのスタンドアロンのクランピング要素として、又は補助スピンドル内にそれぞれのワークピースを保持するための追加の、交換可能な補足工具として構築され、その結果、機械加工されるべき対応するワークピースについてそれぞれの補助スピンドルを可能な限り最良に適応させることができる。
【0017】
加えて、本発明の補助スピンドルはまた、クランプされたワークピースが使用されるべきそれぞれの旋盤について、工具ホルダタレット上での最も効率的な機械加工を達成することができるような方法で、クランプされたワークピースを編成するように構成することができる。例えば、補助スピンドルの受け取りユニットは好ましくは、補助スピンドルの補助スピンドル軸に位置合わせされ、クランプされるべきワークピースのそれぞれの形状にフィットする管状又は任意の他の種類の中空形状として構築することができ、その結果、ワークピース上の任意の所与の場所でのクランピングのための接触点を生じさせる可能性が生じる。結果的に、ワークスピンドルのような、従来のワークピースホルダ要素から知られている限定されたワークピース配向の可能性に加えて、本発明の受け取りユニットは、ワークピースを機械加工のために位置合わせする方法の範囲を改善することができる。
【0018】
好ましい一実施形態において、例えば、受け取りユニットは加えて、クランプされたワークピースの少なくとも2つの対向する端部が露出したままになるように、例えばワークピースの中心にある少なくとも1つの接触点でワークピースをクランプするように構成することができ、したがって少なくとも2つの側で同時に独立して機械加工することが可能になる。他方、上記の受け取りユニットの有利な構造のため、受け取りユニットはまた加えて、離間して配置された少なくとも2つの異なるクランピング側を含むことができ、各側は、例えば前述のクランピング機構によって、ワークピースをクランプするように構成することができ、少なくとも2つの分離されたワークピースを補助スピンドルにおいて同時に受け取り及び機械加工する可能性が生じる。したがって、通常のワークピースホルダから知られている一般的で限定的なクランピング方法とは別に、本発明の補助スピンドルは、機械加工のために受け取られたクランプされたワークピースをどのように位置合わせ及び処理するかの複数の能力を提供し、適用されるべき特定の機械加工プロセスについて補助スピンドルの適応性の向上に再びつながる。
【0019】
加えて、補助スピンドルのさらなる特徴を次のように説明することができる。上記の外部工具タレットドライブを使用する補助スピンドルの回転に加えて、補助スピンドルは同様に、対応する工具ホルダタレットの前述の駆動システムから独立して補助スピンドル軸に沿って少なくとも1つのクランプされたワークピースを回転させることができる少なくとも1つの回転要素、例えば、平面軸受、玉軸受、磁気軸受又は流体軸受のような軸受を含むことができる。ここで、回転要素の回転によって、クランプされたワークピースを同軸に回転させることができる一方、同時に、それぞれの工具ホルダタレットの駆動システムから切り離すように、回転要素は、例えば、クランプされたワークピースの周りに構築することができ、又は、ワークピースを補助スピンドルと接続する受け取りユニットに少なくとも接続することができる。したがって、所与の回転要素によって、接続された工具ホルダタレットの駆動システムから独立して、例えば外部ドライブによって、ワークピースを回転させることができることによって、ワークピースの回転を駆動する追加の可能性を提供することができ、したがって工具ホルダタレット自体による(潜在的に)可能なようなワークピースのより正確な及び/又は制御された移動が可能になる。
【0020】
したがって、このような緊急の駆動可能性間を交互に行き来するため、補助スピンドルは優先的に、補助スピンドル内でクランプされたワークピースを回転させるために使用される主要ドライブを変更及び定義するように少なくとも構成された追加の切り替えユニットもさらに含むことができる。一般に、そのため、上記切り替えユニットは例えば、任意の工具ホルダタレットの前述の駆動システムによるクランプされたワークピースの能動的回転を可能にする「能動状態」と上述の回転要素によってワークピースの自由な回転を可能にする(したがって工具ホルダタレットの駆動システムから独立している)「アイドル状態」との間でスピンドルユニットの状態を変更するように構成することができる。ここで、これらの状態間の切り替えは、例えば回転要素の回転移動を機械的に固定/解放すること、又はそれぞれの工具ホルダタレットの駆動システムに接続されたドライブから補助スピンドルを接続/切り離しすることによって実現することができる。同様に、好ましい一実施形態において、切り替えユニットは、両方の状態を同時に有効化及び/又は禁止するように構成することもでき、例えば切削プロセスでは、クランプされたワークピースの強固な、不動の配置を実現することができる(両状態が「オフ」)一方、同時に、追加の回転力が必要とされる場合には、工具ホルダタレットの駆動システムによって駆動される回転移動を回転要素によって外部ドライブによって補足することもできる(両状態が「オン」)ようになっている。
【0021】
そのため、特許請求される発明の機械加工システムに実装された補助スピンドルで、所与の旋盤の工具ホルダタレット上での機械加工プロセスのため、クランピングによって、上記工具ホルダタレットへの強固で機能的な接合並びに少なくとも1つのワークピースの正確に制御可能な配置の両方を可能にする、適応性の高い機械加工要素が提供される。さらに、補助スピンドルによって提供される前述のクランピング及び配向機構によってワークピースの機械加工をワークピースの処理に必要とされる具体的な要件に合わせて特にカスタマイズすることができる一方、同時に、実装された受け取りユニットにより複数の機械加工ステップが同時に可能になるため、補助スピンドルによって可能になる追加の機械加工の可能性により、任意の適切な旋盤の効率並びに作業スペースの利用率を劇的に向上させることができる。
【0022】
したがって、前述の要素の利点をさらにはっきり示すため、上述の補助スピンドルを含む本発明の機械システムの技術的特徴を以降に強調する。
【0023】
一般に、旋盤の工具ホルダタレット上で少なくとも1つのワークピースを機械加工するための特許請求される発明の特徴を伴う機械加工システムは優先的に、すでに上で参照した少なくとも1つの工具タレットポート上に複数の工具を装着することができる任意のタイプの少なくとも1つの工具ホルダタレット、並びに少なくとも1つの工具ホルダタレット又はそれぞれの機械加工システムに実装された任意の他の工具ホルダタレット上へ装着された前述の補助スピンドルの少なくとも1つを含むことができる。結果的に、ここで説明する機械加工システムは、穴あけ、切断又は任意の他の種類の機械加工戦略について一般に知られているような従来のタレット旋盤を意味することができるが、ボール盤、ホブ盤又はシェイパのような工具ホルダタレットを統合することができる他の工作機械にも同様に実装することができる。同様に、補助スピンドル内のワークピースの良好に定義された制御のため、特許請求される発明の機械加工システムは、固定並びにライブツーリングプロセス、特にCNC駆動ツーリングの両方に適用可能とすることができ、それぞれの機械加工要素を制御する、全自動ではないにしても少なくとも半自動制御システムを含むことができる。
【0024】
その中で、特許請求される機械加工システムの1つの特徴は、すでに上述したように、工作機械内に実装された少なくとも1つの工具ホルダタレット上で、かつ前述の補助スピンドルによって、ワークピースの確実かつ正確な機械加工を提供することに見ることができる。ここで、この文脈における「機械加工」とは、クランプされたワークピースの任意の既知の処理を同様に指すことがあり、したがって例えば、フライス加工、チャッキング、穴あけ又はそれぞれのワークピースを正確に処理する任意の他の方法を指すことがある。
【0025】
したがって、特許請求される機械加工システムの最小要件を定義するため、上記機械加工システムは少なくとも、補助スピンドルを介して対応する工具ホルダタレット上にワークピースを配置するように構成することができる。したがって、本実施形態の機械加工システムは、工具ホルダタレット上での機械加工(及びその関連する利点)を実現することができるように、受け取られた(すなわちクランプされた)ワークピースを所定の位置に少なくとも固定するように構成することができる。
【0026】
上述の補助スピンドルの特性に基づいて、機械加工システムは優先的に、フライス加工又は穴あけのような動的切削プロセスが、それぞれの機械加工工具について追加の回転ドライブを要求することなく適用可能となり得るように、補助スピンドルの受け取りユニット上でクランプされたワークピースを少なくとも1つの補助スピンドル軸に沿って追加で回転させるように構成することができる。ここで、前述したように、機械加工システムによるワークピースの回転は、スピンドルの(及びしたがってクランプされたワーキングピースの)回転を正確に調整することができるように、補助スピンドル、特にスピンドルユニットを工具ホルダタレットの駆動システムに接続することによって実現することができる。より具体的には、工具ホルダタレットの、モータのような内部ドライブに補助スピンドルを接続することによって、ワークピースの回転は例えば、前述のドライブによって生じるトルクによって引き起こされ、必要な場合(例えば機械加工プロセスを変更する又は別の工具を使用するとき)にワークピースの回転特性を即座に交替するようにそれぞれの補助スピンドルに伝達することができる。
【0027】
さらに、本発明内でクランプされたワークピースを機械加工するため、特許請求される機械加工システムにおいてクランプされたワークピースは少なくとも、機械加工システムに同様に存在する工作機械と相互作用することが可能になり得る。そのため、機械加工システムはさらに少なくとも、それぞれのワークピースの、特にライブツーリングの支援による処理を実現することができるように、機械加工システムの工具ホルダタレットの1つへ装着された少なくとも1つの機械加工工具及び/又は主要スピンドル上へ装着された少なくとも1つの機械加工工具によって、補助スピンドルの受け取りユニットにおいてクランプされたワークピースを機械加工するように構成することができる。こうする際、機械加工は、少なくとも1つの工具ホルダタレット又は機械加工システムの主要スピンドルによって提供される工具を連続的に使用して実行することができ、又は同じ若しくは異なるマウントに取り付けられた複数の機械加工工具によって同時に行うことができ、したがって工具ホルダタレット上のワークピースの最大限効率的な処理が可能になる。加えて、上述したように、補助スピンドルは、ワークピース(又はさらには複数のワークピース)の複数の機械加工領域を機械加工のために露出するように構成されているため、旋盤のような工作機械内の処理時間を大幅に改善することができる。
【0028】
したがって、工具ホルダタレット上にそれぞれのワークピースを追加で配置及び処理することができる所与の機械加工システムで、それぞれの工作機械の主要スピンドルで従来行われていた機械加工とは別に、又はこれと組み合わせて、1又は2以上のワークピースのより速く、より正確な、そしてとりわけ、適応性の高い処理につながり得る、大きく強化された機械加工プロセスを実現することができる。さらに、以降に説明するように、工作機械の、特に旋盤の、所与の工具ホルダタレットに通常含まれる大きな自由度によって、特許請求される機械加工システムは機械加工要素間のはるかに広範な相互作用も可能にすることができ、最終的に、同等の工作機械が実行することができるよりもはるかに複雑で協調的な機械加工ステップにつながる。
【0029】
そのため、特許請求される発明の機械加工システムは、基本として、例えば機械加工システムに同様に実装されたガイドレールを使用することによって、補助スピンドルが装着されている工具ホルダタレットを個々のタレット軸に沿って少なくとも移動させること、及び/又は任意の三次元軸に沿って並進移動を実行することによって、それぞれの補助スピンドルの受け取りユニットへクランプされたワークピースの位置及び/又はその対応する補助スピンドル軸の方向を調整するようにも構成することができる。したがって、従来の工作機械にすでに存在する(例えば工具位置を制御するために)案内システムを単に利用することによって、クランプされたワークピースの任意の所与の工作機械に対する正確な割り当てを実現することができ、したがって追加のドライブの実装が回避され、システムの潜在的なコストが削減される。さらに、クランプされたワークピースのこのように生じた自由度に基づいて、工作機械内の工具処理をさらに改善するように、実装された機械加工要素間のより高度で複雑な相互作用をさらに可能にすることができる様々な機械加工ステップを開発することができる。
【0030】
一方、例えば、クランプされたワークピースの位置を動的に制御する上記の可能性に基づいて、ワークピースがクランプされている補助スピンドルを装着する少なくとも工具保持タレットと機械加工システムの主要スピンドル、又は一般に任意のワークスピンドルとの間の移送プロセスを行うことができる。したがって、機械加工システムは、機械加工システムの少なくとも1つの主要スピンドルから工具ホルダタレットに、上記工具ホルダタレット上へ装着された少なくとも1つの補助スピンドルを介して、クランプされたワークピースを移送し、及び/又は工具ホルダタレットから少なくとも1つの主要スピンドルにそれぞれこれを戻すように構成することができ、事前に定義された機械加工領域にワークピースを連続的に通過させることによって工作機械の異なる位置での連続的な機械加工プロセスが可能になる。ここで、上記移送プロセスは例えば、最初に補助スピンドルによってワークピース(例えば主要スピンドルの固定要素によって固定された)に接近し、その受け取りユニットに実装されたクランピング機構を介してこれをクランプすることによって実現することができる。このとき、主要スピンドルは、次のステップにおいて、例えば送信機/受信機に構築されたこれら2つの要素の接続を介して補助スピンドルから対応するコマンドを受信することによって、又は例えばCNC旋盤に一般的に実装されるような自動機械加工プロトコルによって、そのグリップを緩めて、最終的に両スピンドル間の移送を達成するように構成することができる。さらに、それぞれの補助スピンドルによってクランプされたワークピースを手渡すように、同じメカニズムを逆に行うことができる。
【0031】
他方、ワークピースの移送は、補助スピンドルと主要スピンドル自体との間で限定される必要はない。逆に、特許請求される発明の機械加工システムは同様に、それぞれ、少なくとも1つの補助スピンドルが装着され、その間でワークピースを移送することができる、少なくとも2又は3以上の工具保持タレットを含むことができる。対応して、上記機械加工システムは、好ましい実施形態において、少なくとも第1及び第2の補助スピンドルがそれぞれ装着されている少なくとも第1及び第2の工具ホルダタレットを含むこともでき、機械加工システムは、主要スピンドルと補助スピンドルとの間の前述の相互作用と同じく、少なくとも2つの工具ホルダタレットの移動によって、工具ホルダタレットの一方から(例えば第1の補助スピンドルの受け取りユニットから)他方へ(例えば第2の補助スピンドルの受け取りユニットへ)ワークピースを移送するように構成することができる。結果的に、所与の機械加工システムによって、主要又は補助スピンドルが到達可能な任意の所与の作業領域にそれぞれのワークピースを通常移送することができ、したがって、工作機械全体にわたってワークピースを再分布して、主要スピンドルの限定されたアクセス性から独立した複数の、局所的に区別可能な機械加工領域を可能にすること、並びにそれぞれの工作機械内での迅速な生産ラインの生成が容易になるワークピースの動的で適応可能な機械加工循環の両方が可能になる。したがって、従来の工作機械と比較して、より速く、より効率的な、そしてとりわけ、省スペースの機械加工プロセスを実現することができる。
【0032】
また、本発明の機械加工システムにおける機械加工操作のためのワークピースの前述の再分布に由来する利点にもかかわらず、対応する発明がただ追加のワークピースホルダを旋盤のような工作機械に実装することを伴うものではなく、むしろ既存の工具ホルダタレットを利用して補助スピンドルによる機械加工のためのそれぞれのワークピースを配置及び割り当てする効果に基づいていることを再度強調しなければならない。したがって、機械加工操作のためにワークピースを強固に配置するいくつかの固定要素(例えば旋盤に実装されたいくつかのワークスピンドル)を含む一般的な工作機械とは対照的に、特許請求される発明のワークピースホルダは追加のスペースを占有せず、又は個別の駆動システムを要求しないが、ワークピースを機械加工するための工具を制御するために通常使用されるすでに存在する要素(すなわち少なくとも1つの工具ホルダタレット)上で動作する。結果的に、特許請求される発明の機械加工システムと一般的な工作機械の基本的な違いとして、特許請求される発明の機械加工システムの工具ホルダタレットはハイブリッド状態を得ることができ、したがって、ワークピースを配置及び制御するための少なくとも1つの補助スピンドル、並びにそれぞれのワークピースを機械加工することができる少なくとも1つの追加の機械加工工具の両方を装着するように構成することができる。
【0033】
そのため、このハイブリッド状態のため、少なくとも1つの補助スピンドルを装着する少なくとも上記工具ホルダタレットが、上記工具ホルダタレット上での機械加工操作のために補助スピンドルの受け取りユニット上でクランプされたワークピースを配置及び制御すること、並びにそれぞれのワークピース(又は機械加工システムで利用可能な任意の他のワークピース)を機械加工するための少なくとも1つの装着された機械加工工具も配置することの両方を行い、少なくとも1つの補助スピンドルを装着する任意の工具ホルダタレットについて二重の機能を発生させるように構成することができるということが同様に明らかである。
【0034】
ここで、この二重の機能は、本発明の機械加工システムによって活用可能ないくつかの利点につながり得る。補助スピンドルによってクランプされたワークピース、並びに互換性のある機械加工工具の両方を装着する能力のため、例えば、特許請求される発明の機械加工システム内の工具ホルダタレットは、ワークピースを(例えばワークスピンドルで)処理するために少なくとも1つの機械加工工具を同時に制御する一方、同時に、二次機械操作のために補助スピンドルの受け取りユニット上にクランプされた別のワークピースを操縦及び配置するように構成することができ、したがって再度、同時に複数の処理ステップが可能になる。ここで、本発明のそれぞれの工具ホルダタレット上に装着された少なくとも1つの機械加工工具は、そのそれぞれの工具ホルダタレットの外側に配置されたワークピースを処理するようにのみ構成することができ、又は任意の外部の機械加工要素(例えばワークスピンドル又は別の工具ホルダタレット)から完全に独立している機械加工プロセスさえ可能になるように、例えば内部案内レールのようなカスタマイズ可能な調整要素によって、同じ工具ホルダタレット上に装着されたワークピースを機械加工することが同様に可能であり得る。本発明の機械加工システムに実装される工具ホルダタレットは好ましくはまた、それぞれのワークピースのさらに速い処理を実現する機械加工操作のために独立して、又は少なくとも連続的に制御することができる複数の装着された機械加工工具を含むことができる。
【0035】
また、特に好ましい一実施形態において、特許請求される機械加工システムの少なくとも1つの工具ホルダタレットは同様に、少なくとも1つの機械加工工具に加えて、機械加工プロセスのために少なくとも1つのワークピースを個別にクランプすることができる少なくとも2又は3以上の補助スピンドルも装着するように構成することができる。結果的に、工具ホルダタレットが複数の機械加工工具を含むことができる前述の場合と同様に、特許請求される発明の機械加工システムはまた、少なくとも1つのそれぞれの工具ホルダタレットによって、システム内に存在する補助スピンドル上へクランプされた複数のワークピースを独立して配置及び制御するように構成することができる。そのため、既存の主要スピンドルにクランプされた少なくとも1つの機械加工工具及び/又は機械加工システムの工具ホルダタレットの1つに装着された少なくとも1つの機械加工工具によって補助スピンドル内でクランプされたワークピースのそれぞれを独立して機械加工するように機械加工システムを構成することができるように、個別に及び/又は連続的にこれらのワークピースの機械加工を同様に実行することができる。さらに、クランプされたワークピースのそれぞれの機械加工は再度、同時に及び/又は時間的に区別して実行することができ、任意の所与の機械加工操作についてそれぞれの機械加工システムの最大限の適応性が可能になる。
【0036】
特許請求される発明の機械加工システムのさらなる利点がまた、上述の補助スピンドルの受入れユニット内に実装された回転要素によってクランプされたワークピースの回転移動を切り離す可能性から生じ得る。より具体的には、補助スピンドルの前述の回転要素によって、それぞれの工具ホルダタレットの内部ドライブから独立してワークピースの回転移動が可能となり得るため、特許請求される発明の機械加工システムは加えて、補助スピンドル軸に沿ったクランプされたワークピースの回転を外部から及び/又は補足的に駆動するように構成されているシステムの工具ホルダタレットの1つに装着された少なくとも1つの回転工具を含むことができる。ここで、これを達成するため、回転工具は、動的クランプ、チャック、又はそれぞれのワークピースを強固に保持することができる任意の他の物体のような締結要素を含むことができ、機械加工システムは、このような締結要素の支援によってそれぞれのクランプされたワークピースに上記回転工具を物理的に接続するように構成することができる。さらに、回転のみによって、又はそれぞれの工具ホルダタレットの内部駆動システムによって生じる駆動と合わせて、対応するワークピースの回転を制御することができるように、例えば、締結要素を介してクランプされたワークピースに伝達される追加のトルクを生じさせることによって、回転工具によって、クランプされたワークピースの補足的な回転を次いで発生させることができる。したがって、機械加工システムに実装された工具ホルダタレットの少なくとも1つに装着された回転工具によって、必要な場合に追加の回転力を補足すること、並びに締結要素によって生じる追加の接触領域によって回転中にワークピースをさらに安定させることの両方によって、ワークピースの制御の改善を実現することができる。
【0037】
結果として、旋盤のような工作機械で一般的に使用される機械加工操作と比較して、特許請求される発明の機械加工システムは多くの利点を含むことができるということが示される。より正確には、補助スピンドルによって、機械加工システムの工具ホルダタレットに少なくとも1つのワークピースを追加で装着して上記工具ホルダタレット上でワークピースを追加で処理する可能性によって、どのような従来の工作機械によっても不可能であった、より効率的、協調的でより速い機械加工戦略を実装することができる。加えて、上記の機械加工システムのため、従来の工作機械によって提供も実行もできない複数の機械加工方法を生み出すことができる。
【0038】
ここで、これらの機械加工方法は、上記の機械加工システムの工具ホルダタレット上で、補助スピンドルの受け取りユニットによって少なくとも1つのワークピースをクランプするステップ、並びにクランプされたワークピースを機械加工するためにクランプされたワークピースを補助スピンドル軸に沿って回転させるステップを少なくとも含むことができる。
【0039】
さらに、機械加工方法はまた、
少なくとも1つの工具ホルダタレット上へ装着された少なくとも1つの工具、及び/又は機械加工システムに実装された主要スピンドル上へ装着された工具によって、それぞれの工具ホルダタレット上でクランプされたワークピースを機械加工するステップと、
機械加工操作のためにワークピースを正確に割り当てるように、それぞれの補助スピンドルが装着されている工具ホルダタレットをタレット軸に沿って回転させること、及び/又は上記工具ホルダタレットを3方向の少なくとも1つに並進移動させることによってクランプされたワークピースを移動させることによって、クランプされたワークピースを枢動させるステップと、
工具ホルダタレットの工具タレットポートに補助スピンドルを少なくとも機械的に接続することによって工具ホルダタレットの駆動システムに補助スピンドルを接続するステップと、
このように接続された工具ホルダタレットのドライブによって生じるトルクによってこのようなクランプされたワークピースの回転を駆動するステップと、
クランプされたワークピースを第1の補助スピンドルから機械加工システムの主要スピンドルに、及び/又はその逆に移送するステップと、
クランプされたワークピースを第1の補助スピンドルから、第1の補助スピンドルと同じ又は異なる工具ホルダタレットに装着された第2の補助スピンドルに移送するステップと、
受け取りユニットの支援によってクランプされたワークピースの少なくとも2つの対向する側で工具ホルダタレット上へ装着された少なくとも1つの補助スピンドル上でクランプされたワークピースを機械加工するステップと、
クランプされたワークピースを複数の機械加工工具及び/又は追加の補助スピンドルに割り当てることによって少なくとも1つの工具ホルダタレット上でワークピースを連続的に機械加工するステップと、
工具ホルダタレット上に装着された少なくとも1つの機械加工工具を駆動しながら、同時に、機械加工システムの工具ホルダタレット上で少なくとも1つのワークピースをクランプさせるステップと、
ワークピースをクランプしている補助スピンドルが装着されている同じ又は異なる工具ホルダタレットの少なくとも1つの回転工具とクランプされたワークピースを接続し、及び/又は少なくとも1つの回転工具によって生じるトルクによって外部からクランプされたワークピースの回転を駆動するステップと、
を含むことができる。
【0040】
加えて、前述したように、機械加工システムは同様に、上述の特徴のいずれかを自動的又は少なくとも半自動的に実行するように構成することができるため、本発明はまた、前述の機械加工ステップの少なくともいずれかを機械加工システムに実行させる命令を含む、例えば特許請求される機械加工システムの駆動システムに接続された内部プロセッサユニットによって実現されるコンピュータプログラム製品に関し得る。
【0041】
さらに、今説明した態様の様々な適合、修正、及び/又は組合せを構成することができるということを当業者は理解するであろう。したがって、本明細書で具体的に説明したようなもの以外のさらなる態様を実践することができるということが理解されるべきである。本開示を考慮して、本明細書に記載の異なる態様を組み合わせて本開示の他の態様を形成することができるということも当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明を理解するために有用なワークスピンドルの周りに配置された複数の工具ホルダタレットを有するマルチスピンドル旋盤の概略的なフレームワークを例示的に示す。
【
図2a】1つの水平に位置合わせされた主要スピンドル及び工具ホルダタレットを備える旋盤の従来のセットアップを例示的に示す。
【
図2b】垂直に位置合わせされた主要スピンドル及び2つの工具ホルダタレットを備える旋盤の従来のセットアップを例示的に示す。
【
図3a】連続キャビティ構造を有する主要スピンドル及び2つの工具ホルダタレットを備える旋盤の従来のセットアップを例示的に示す。
【
図3b】工具ホルダタレット上へ装着された補助スピンドルと、工具ホルダタレット及びワークスピンドル上にそれぞれ装着された2つの機械加工工具と、からなる、本発明の機械加工システムの一実施形態を例示的に示す。
【
図4a】工具ホルダタレット上へ装着された第2の種類の補助スピンドルと、第2の工具ホルダタレットに装着された機械加工工具と、2つの主要スピンドルと、からなる、特許請求される機械加工システムの別の一実施形態を例示的に示す。
【
図4b】補助スピンドルのクランプされたワークピースを別の側から処理する機械加工工具を備えた
図4bの機械加工システムを例示的に示す。
【
図5a】工具ホルダタレット上へそれぞれ装着された2つの補助スピンドルと、機械加工工具を装着している2つの工具ホルダタレットと、からなる、特許請求される機械加工システムの一実施形態を例示的に示す。
【
図5b】工具ホルダタレット上へそれぞれ装着された2つの補助スピンドルと、2つのワークピースを同時に処理することができる機械加工工具と、からなる、特許請求される機械加工システムの一実施形態を例示的に示す。
【
図6a】工具ホルダタレット上へ装着された機械加工工具を使用する補助スピンドル上へクランプされたワークピースのあり得る機械加工操作を例示的に示す。
【
図6b】固定された物体上へ装着された機械加工工具を使用する補助スピンドル上へクランプされたワークピースのあり得る機械加工操作を例示的に示す。
【
図7a】補助スピンドルと、工具ホルダタレット上へそれぞれ装着された2つの回転工具と、からなる、特許請求される機械加工システムの一実施形態を例示的に示し、第1の回転工具が、補助スピンドルのクランプされたワークピースの回転を外部から駆動している。
【
図7b】第2の回転工具が、クランプされたワークピースの回転を外部から駆動している、
図7aの機械加工システムを例示的に示す。
【
図8a】2つの補助スピンドルを同時に装着する工具ホルダタレットからなる特許請求される機械加工システムの一実施形態を例示的に示す。
【
図8b】2つの補助スピンドルを装着する
図8aの工具ホルダタレットの断面斜視図を例示的に示す。
【
図8c】3つの補助スピンドルを装着する工具ホルダタレットの断面斜視図を例示的に示す。
【
図9a】第2の種類の2つの補助スピンドルを介して未加工のワークピース及び事前に機械加工されたワークピースを保持する工具ホルダタレットの断面斜視図を例示的に示す。
【
図9b】
図9a及び
図9cの工具ホルダタレットを利用する機械加工機構を例示的に示す。
【
図9c】第2の種類の2つの補助スピンドルを介して事前に機械加工されたワークピース及び完成したワークピースを保持する工具ホルダタレットの断面斜視図を例示的に示す。
【
図10】補助スピンドル上へワークピースを機械的にクランプするための受け取りユニットのクランピング機構の一実施形態の断面斜視図を例示的に示す。
【
図11】補助スピンドル上へワークピースを機械的にクランプするための受け取りユニットのクランピング機構の第2の実施形態の断面斜視図を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次において、添付の図を参照して好ましい態様及び実施形態をより詳細に説明する。異なる図面及び実施形態における同じ又は同様の特徴は同様の参照番号になるように参照する。様々な好ましい態様及び好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するとして意味されないことが理解されるべきである。
【0044】
図1は、本発明を理解するために有用な工作機械100、特に垂直に配向された(作業床に対して)旋盤の例示的な構成を示す。具体的には、この図に示す工作機械100はフレームワーク110を含み、これは、工作機械の左側の主要スピンドル120、右側の対向スピンドル140、並びに機械加工操作のためにそれぞれのクランピング要素180~182内へワークピースWをクランプ及び配置するように構成されたフレームワーク110の中央の中間スピンドル要素130を少なくとも保持する。さらに、上記スピンドル装置120、130及び140の上方及び下方でフレームワーク110は加えて複数のタレットキャリア側150を含み、これに、個別に、回転可能なタレットヘッドと、工具タレットヘッド上へ機械加工工具Tを装着するための複数の工具タレットポート170とを含む工具ホルダタレット160が装着されている。
【0045】
したがって、図示の工作機械100におけるワークピースWの機械加工は、前述のスピンドル要素120、130又は140の1つにワークピースWを実装し、それぞれの工具ホルダタレット160に実装された1又は2以上の機械加工工具Tをこれに接近させることによって処理される。こうするため、スピンドル要素120、130及び140並びに工具ホルダタレット160の両方が、水平に位置合わせされた案内レール190の支援によって少なくとも水平に(作業床に対して)移動するように構成され、各工具ホルダタレット160に実装された垂直に位置合わせされた(作業床に対して)案内システム191に沿って、機械加工工具が装着されている工具タレットヘッドを追加で駆動することによって、それぞれの機械加工工具TとクランプされたワークピースWとの間の距離を削減することができる。加えて、クランプされた機械加工工具Tの方向は、対応する工具タレットヘッドの回転によって生じる水平タレットヘッド軸に沿って工具Tを枢動させることによって調整することができる。
【0046】
結果的に、先行技術の工作機械100によって、スピンドル要素120、130又は140の1つに配置されたワークピースの十分な機械加工プロセスを行うことができる。しかしながら、同じく、
図1に示すこのタイプの工作機械100では、上記ワークピースWを機械加工するための実際の作業空間がかなり限定されたままであり、スピンドル要素120、130又は140の前のアクセス可能領域が小さいため、通常制限されていることも明らかになっている。さらに、工作機械のスペースの大部分が従来、工具ホルダタレット150上へ装着された機械加工工具Tの調整のために占められているため、同時に処理することができるワークピースWの数も制限されることになり、作業スペースの利用という点でかなり非効率な機械加工プロセスにつながる。
【0047】
図2a、
図2b及び
図3aは、追加のセットアップ設計であり、上記の問題をさらに強調している。
図2aは、受け取られたワークピースWをクランプしてスピンドル軸SAに沿ってクランピング要素220によって回転させることができる水平に位置合わせされた中間スピンドル要素130、並びに少なくとも1つの機械加工工具T1を装着し、上記工具T1を3方向に並進移動させること、並びにクランプされたワークピースWを機械加工するために水平タレット軸HTA1に沿って工具を枢動させることの両方ができる工具ホルダタレット200Aを少なくとも含む、一般的な立形旋盤(作業床に対して)の最も単純化されたバージョンのレイアウトを示す。
【0048】
対して、
図2bにおいてより高度な旋盤230が示されており、垂直に位置合わせされ、装着された機械加工工具T1及びT2の回転移動のための垂直タレット軸VTA1(作業床に対する)及び水平タレット軸HTA2(作業床に対する)をそれぞれ少なくとも含む2つのホルダタレット200Aと200Cとの間の中央に配置された、中間スピンドル要素130を備えた立形旋盤230を提示している。したがって、このシステムにおいて、工具ホルダタレット200A及び200Cによって提供される2つの機械加工工具Tによって、主要スピンドルMSのクランプされたワークピースWを2つの側から同時に処理することができるため、より速い機械加工プロセスを達成することができる。
【0049】
最後に、
図3aは、
図2a及び
図2bに示すものと同様の旋盤250を構成する第3の可能性を示しており、前述のシステムとは異なり、ワークピースWの両側W1及びW2を同時に機械加工することができるように、中間スピンドル要素130は、ワークピースWの挿入を可能にする連続通路として設計されている。そのため、このタイプの中間スピンドル要素130を使用する従来の旋盤は通常、この種類のスピンドル要素130によって解放される追加の機械加工領域上で利用するように、いくつかの工具ホルダタレット及び/又は工具スピンドルからなる。したがって、この実施形態においても、それぞれの旋盤は、複数の工具ホルダ、特に垂直工具軸VToA1の周りで機械加工工具T4を回転させることができる工具スピンドル、並びに少なくとも2つの追加の機械加工工具T1及びT3を装着し、上記工具T1及びT3を水平タレット軸HTA1に沿って枢動させる一方、同時に、例えば穴あけ加工のために、垂直工具軸VToA2の周りでの機械加工工具T3の回転を少なくとも可能にする、工具ホルダタレット200Aを含む。
【0050】
したがって、前述の機械加工システムに示すすべてのこれらの工作機械の主な原理を抽出すると、上で示した旋盤のそれぞれで使用されるフレームワーク及び要素から独立して、複数の工具保持要素の中に配置されたスピンドル要素によってワークピースWを中心に置くことが、論理的に可能な限り多くの機械加工工具Tについて上記ワークピースWのアクセス性を最大化するように、多くの工作機械によって共有される中心的な特徴であるように思われる。しかしながら、逆に、特定のワークピースホルダの周りに工作機械を構築することによって得られるこの特定の利点と引き換えに、ワークピースWを潜在的に処理するための実際の領域が旋盤の比較的小さな部分にまで損なわれるという欠点も同様に明らかになる。換言すれば、一般的な工作機械は通常、個別のワークスピンドルで使用可能な工具の数を改善するように、工具ホルダタレットのような、実装された工具要素に最大の移動スペースを提供するように構成されているため、上記工作機械内の潜在的な作業スペースは通常、ワークピースWを機械加工するためではなく、むしろそれぞれの工具の効率的な割り当てを可能にするように使用され、その結果、作業スペースの利用に関して工作機械が非効率になる。加えて、この理由のため、同時に処理することができるワークピースWの数も同様に限定される。
【0051】
このため、本発明は、工作機械の工具ホルダタレット200A~200Dを、前述の補助スピンドルASによってワークピースWを機械加工するための追加作業スペースとして使用することによって上述の問題を解決することを目的とする。
【0052】
ここで、
図3bは、上記補助スピンドルASを使用する機械加工システムの第1の実施形態を示し、
図3aに示す先行技術の工作機械に直接関係し得るものであり、特許請求される発明に伴う利点をさらに強調することができる。したがって、
図3bは、
図3aに示す主要スピンドルMSにもかかわらず、又はこれに加えて、工作機械に同様に配置された工具ホルダタレット200B上に装着された前述の補助スピンドルASを利用する工作機械、特に旋盤を示す。ここで、それぞれの実施形態に示す補助スピンドルASは、補助スピンドルASの一部、スピンドルユニット310を、工具ホルダタレット200Bに工具ホルダを固定するために通常使用される工具ホルダタレット200Bのタレットポートに強固に(例えば機械的、電気的又は油圧的に)装着することによって工具ホルダタレット200Bに接続されることになっている。さらに、この実施形態において、補助スピンドルASは、ワークピースWの2つの対向する端部W1及びW2が機械加工のために露出されるとともに、補助スピンドルASの内部構造によって画定される水平に位置合わせされた補助スピンドル軸ASAに少なくとも沿ってワークピースWを回転させることができるように、補助スピンドルASに統合された受け取りユニットを介してワークピースWをクランプするように示されている。そのため、
図3bに示す補助スピンドルASについて説明した前述のセットアップによって、例えば
図3aに示す中間スピンドル要素130で実行されるものと同等又はさらに効率的な工具ホルダタレット200B上での機械加工操作を行うことができる。
【0053】
ここで、補助スピンドルASによって工具ホルダタレット200B上でワークピースWを機械加工する主な利点は、例えば、ワークピースWを工具ホルダタレット200B上でクランプするときに伴う追加の自由度に起因し得る。例えば主要スピンドルMSのような、中央に配置されたワークピースホルダのみからなる一般的な工作機械と比較して、特許請求される補助スピンドルASを介して工具ホルダタレット200B上にクランプされたワークピースWは、工具ホルダタレット200Bによって通常暗示される強化された移動可能性によって自由に搬送及び/又は調整することができ、したがってかなり大きな作業スペース領域が提供される。
【0054】
そのため、
図3bに示す機械加工システムにおいても、装着された工具ホルダタレット200Bの内部駆動機構を使用して、追加の、水平に位置合わせされた工具スピンドル並びに第2の工具ホルダタレット200Aにおいてそれぞれ統合された機械加工工具T1、T3及びT4に上記ワークピースWを正確に割り当てることによって、ワークピースWの両側W1及びW2の精密加工を達成することができる。より具体的には、このシステム内で、クランプされたワークピースWの位置及び/又はその補助スピンドル軸ASAの位置合わせは、従来の工作機械とは対照的に、工具ホルダタレット200Bが到達可能な任意の場所で、潜在的に、ワークピースWを配置することができるように、装着された工具ホルダタレット200Bを三次元で並進移動させること、及び/又はワークピースWをタレット軸TAWに沿って枢動させることによって少なくとも交互に変えることができる。
【0055】
これに基づいて、
図4a及び
図4bは、工具ホルダタレット200B上に装着された補助スピンドルASの第2のバージョンを描写する特許請求される発明の機械加工システムの別の一実施形態を示しており、受け取りユニットは、ワークピースWの片側のみを露出し、装着された工具ホルダタレット200Bの水平タレット軸TAWに垂直な補助スピンドル軸ASAに沿って上記ワークピースWを回転可能に位置合わせするような方法で構成されている。このように、単に工具ホルダタレット200Bをタレット軸TAWに沿って回転させることによって補助スピンドル軸ASA(及びしたがってワークピースWの傾斜角度)を調整することができることによってワークピースWの機械加工を改善することができ、T1で描写されるような機械加工工具によるより簡素化された正確な処理が可能になる。
【0056】
また、機械加工システムのこの実施形態に見られるように、
図4a及び
図4bに示すように例えば個々の主要スピンドル軸MSA及び対向スピンドル軸CSAを含む主要スピンドルMS及び対向スピンドルCS並びに2つの工具ホルダタレット200A及び200Bからなる通常の工作機械構造の工具ホルダタレット200Bに補助スピンドルASによって追加のワークピースホルダを追加することにより、工作機械の製造レートを顕著に増加させることができる。例示的に、この場合、主要及び対向スピンドルMS及びCS上での処理にダウンタイムが発生したときでも、追加の機械加工操作を行うことができる。さらに、主要及び対向スピンドルMS及びCS上のワークピースWが取り除かれたスペースのため、より正確な機械加工を提供することができ(例えばワークピースWの両側、左(
図4a)及び右(
図4b)側に機械加工工具T1が接近することができ)、工作機械のより時間効率的並びに高度な処理メカニズムにつながる。そのため、補助スピンドルASを既存の工作機械にも統合することを推奨可能とすることができ、既存の機械加工操作の潜在的なアップグレードが可能になる。
【0057】
図5a及び
図5bは、本発明の補助スピンドルASを使用する機械加工システムのさらなる実施形態を示す。ここで、
図5aは、工作機械内に均等に分散された4つの工具ホルダタレット200A~200Dを含む機械加工システムを描写しており、工具ホルダタレット200A及び200Cの上方に配置された工具ホルダタレット200B及び200Dは補助スピンドルAS1及びAS2を装着しており、3方向に並進移動すること及び/又はタレット軸TAW1及びTAW2に沿って回転することによって上記補助スピンドルAS1及びAS2の位置をそれぞれ調整することができる。ここで、前述の補助スピンドルAS1及びAS2は、
図3bにすでに示した同じタイプの補助スピンドルASに属することができ、これに対応して、ワークピースの2つの端部W1及びW2並びにW3及びW4がそれぞれ機械加工操作のために露わになるような方法で、それぞれの受け取りユニットによって2つのワークピースを再度クランプしている。あるいは、補助スピンドルAS1及びAS2の両方を、機械加工プロセスをさらに改善するように、それぞれの受け取りユニットの出口側から1つずつ、2つのワークピースを個別にクランプするように構成することもできる。加えて、下方に配置された2つの工具ホルダタレット200A及び200Cは、水平タレット軸HTA1及びHTA2によって枢動可能な少なくとも1つの機械加工工具T1及びT2を装着している。
【0058】
したがって、この図に示す実施形態内で、それぞれの機械加工システムの工具ホルダタレット200B及び200D上でさらに高度な機械加工操作を実行することができる。具体的には、所与の数の工具ホルダタレット200A~200Dとともに複数の独立して移動可能な機械加工要素がシステム内に設けられているため、同様に連続的又は並行して実行される、すなわち工具ホルダタレット200Bのみで生産される自動生産ラインを生じさせることができる、処理ステップも実現することができる。そのため、
図5aに示す機械加工システムは、例えば、まずクランプされたワークピースのそれぞれが機械加工工具T1及びT2の1つによって別々に機械加工されるように、2つの工具ホルダタレット200B及び200Dを駆動するように構成することができる一方、後続の機械加工ステップにおいて両機械加工工具T1及びT2が、例えば、工具ホルダタレット200B上へ装着されたワークピースの両側W1及びW2上で1つの作業空間を処理するように構成されている。同様に、任意の所与の数のタレット、ワークピース又は機械加工工具の移動を伴うさらに複雑な機械加工操作も、所与の又は任意の他のここで提示される機械加工システムによって操作することができる。
【0059】
さらに、
図5b、
図6a及び
図6bは、特許請求される発明の機械加工システムで使用される潜在的な処理ステップのさらなる可能性を示している。
【0060】
図5bは、
図5aですでに示したワークピースを装着する2つの工具ホルダタレット200B及び200Dに加えて、ワークピースWの2つの領域又はそれぞれ2つの異なるワークピースWを同時に機械加工するために使用される2つの別個の機械加工部品からなる以前の工具ホルダタレット200A上に装着された修正された機械加工工具T9を含む機械加工システムを示す。したがって、この実施形態内で、2つの異なる工具ホルダタレット200B及び200D上へ装着された少なくとも2つの補助スピンドルAS並びに前述の機械加工工具T9を利用する機械加工システムは同様に、ワークピースの少なくとも2つの異なる側(例えばW1及びW2)を、及び/又は第3の工具ホルダタレット200A上に装着された1つの機械加工工具T9のみを使用して2つの異なるワークピースWを同期して機械加工することもできる。当然、代替の機械システムにおいて上記機械加工工具T6は同様に、補助スピンドルASを同様に装着する工具ホルダタレット(例えば200B)上に固定することができ、又は同じ若しくは他の工具ホルダタレット200A~200D上に配置された補助スピンドルASを機械加工することができる。同様に、機械加工工具T6に実装される機械加工部品の数は限定される必要がなく、任意の数で構成することもできる。したがって上記機械加工工具T9は同様に、任意の数のワークピースの側W1~W4又はワークピースWを同時に機械加工することができる。
【0061】
図6aは、本発明の機械加工システムに実装可能なさらなる例示的な機械加工機構を示す。具体的には、
図6a(1)から
図6a(2)まで、補助スピンドルASの受け取りユニット310を介してワークピースWを装着する工具ホルダタレット200B並びに2つの加工工具T1及びT2を異なるタレットポート上に保持する工具ホルダタレット200Aの両方の同期移動が示されている。こうする際、ワークピースWの再調整時(例えばそれぞれの機械加工ステップの終了後に工具ホルダタレット200Bを動かすとき)、例えば、工具ホルダタレット200Aを少なくとも水平タレット軸HTA1の周りで回転させること又は工具タレット200Aを並進移動させることによって、機械加工工具T1又はT3を切り替えることによって、工具ホルダタレット200B上の機械加工操作の改善を実現することができ、したがってより時間効率的でエラーのない機械加工操作が可能になる。そのため、それぞれのワークピースWの位置並びに補助スピンドル軸ASAに沿った回転のためのその駆動を、例えば対応する工具ホルダタレット200Bに実装される前述の駆動システムによって本質的に調整することができるため、上記のステップは、いかなる特定のタイプの機械加工工具Tにも限定されず、むしろワークピース処理に要求される任意の適用可能な機械加工ステップについて実装することができる。したがって、特許請求される発明による工具ホルダタレット200A~200D上での機械加工は一般に任意のタイプの機械加工プロセス又はその手順に適用可能である。
【0062】
さらに、特許請求される発明の機械加工システムは同様に、工具ホルダタレット200A~200D上にのみ設けられた(すなわち装着された)機械加工工具Tを利用することのみによって限定されないことが留意されるべきである。逆に、その対応する工具ホルダタレット200A~200Dの駆動システムによって供給されるクランプされたワークピースWの可動性が向上するため、任意の他のタイプの工具ホルダでも、適切な機械加工メカニズムを生じさせるのに十分となり得る。
【0063】
そのため、
図6bは、補助スピンドルASにクランプされたワークピースの任意の側W1及びW2を機械加工するための機械加工工具T7及びT8が、工具ホルダタレット200A~200D上へ装着されず、堅いフレームワーク又は足場のような静止要素710及び720上に固定されているのみである、特許請求される発明による機械加工システムを示す。したがって、このような状況においても、ワーキングピースWの補助スピンドルASが装着されている工具ホルダタレット220Bを駆動することによって、それぞれのワーキングピースWを固定機械加工工具T7及びT8のそれぞれに割り当てることによって、機械加工操作を行うことができ、したがってアクセス性が低い機械加工工具T7及びT8の場合でも効率的な機械加工操作が提供される。
【0064】
図7a及び
図7bは、本発明の機械加工システムの別の一実施形態及びプロセス強化のために使用可能な特定の機械加工ステップを示す。ここで、補助スピンドルASの受け取りユニット310を介してワークピースWを再度提供する工具ホルダタレット200Bの他に、本実施形態の機械加工システムはまた、工具ホルダタレット200A及び200C上に装着されてワークピースWを補助スピンドル軸ASAに沿って追加で回転させることができる2つの回転工具T5及びT6を含む。より具体的には、これを行うため、上記回転工具T5及びT6は、処理されるべきクランプされたワークピースWの少なくとも一端W1又はW2と回転工具T5又はT6を強固に相互接続し、ワークピースWの補助スピンドル軸ASAに沿って位置合わせされたトルクを生成することによって(例えばその本体を回転させることによって)接続されたワークピースWを単独で(又は補助スピンドルの内部ドライブを補足して)推進するチャックとして機能することができる締結要素510を含む。結果的に、上記の回転工具T5及びT6によって、機械加工システムの補助スピンドルASに追加の回転力を誘導することができ、これを要求する機械加工操作のための補助スピンドルASのアクセス性が向上する。また、回転工具T5又はT6の動作中、締結要素510がワークピースWの少なくとも1つの側W1又はW2と持続的に接続されているため、ワークピースWの回転アンバランスを低減することができ、最終的には回転機械加工操作中のクランプされたワークピースWのより安定した制御につながる。
【0065】
したがって、前述の利点を利用して、例えば第1の工具ホルダタレットによって装着された回転工具によるワークピースWの安定化中、少なくとも他の(第2の)タレットがワークピース処理を改善するためにその機械加工工具を割り当てることができるように、回転工具T5及びT6を保持する
図7a及び
図7bの工具ホルダタレット200A及び200Cは同様に少なくとも1つの追加の機械加工工具T1及びT2を含む。加えて、上記第1の工具ホルダタレットに配置された異なる機械加工工具が次の機械加工ステップで使用される場合、各工具ホルダタレット200A及び200Cについて設けられた回転タレット軸HTA3及びHTA4を介して第2の工具ホルダタレットのそれぞれの回転工具をワークピースWに単に割り当てることによって、ワークピースWの回転を他の(第2の)工具ホルダタレットの回転工具に伝達することができる。
【0066】
さらに、
図8aにおいて、少なくとも2つの補助スピンドルAS1及びAS2を装着する少なくとも1つの工具ホルダタレット800Aを含む、本発明の機械加工システムの追加の一実施形態が示されている。そこで、上記工具ホルダタレット800Aは、補助スピンドルAS1及びAS2の受け取りユニット810A及び810B内にそれぞれクランプされた異なるワークピースRWP及びFWPをシステム内に個別に配置することができるように少なくともタレット軸TAWに沿って回転することによって補助スピンドル810A及び810Bのそれぞれを移動させるように構成されている。したがって、図示のタレット構成で効率的で省スペースの機械加工メカニズムを生むことができる。
【0067】
一例として、
図8aに示す機械加工システムによって、例えば補助者が未加工のワークピースRWPをそれぞれの機械加工システムに導入するためのアクセス性を高めるため、第1の補助スピンドルAS1の受け取りユニット810AにワークピースRWPを挿入することができる。あるいは、例えばシステム内に同様に配置された保管所又はスピンドルからワークピースRWPを移送することによって、その導入を同様に自動的に行うことができる。その後、補助スピンドルAS1の受け取りユニット810A内での対応する未加工のワークピースRWPのクランピングに続いて、工具ホルダタレット800Aは、機械加工操作のために未加工のワークピースRWPを機械加工工具T1上へ割り当てるようにその対応するタレットヘッドを少なくともタレット軸TAWに沿って回転させることによってクランプされたワークピースRWPを枢動させるように構成されている。最後に、機械加工工具T1(又は任意の追加の機械加工要素)によって機械加工プロセスを完了した後、完成したワークピースFWPは、これを抽出する又はこれを後続の機械加工位置へと渡すために、工具ホルダタレット800Aによって再び枢動させることができ、スペース効率及び機械加工精度の両方の点で高効率な機械加工ラインが可能になる。
【0068】
さらに、
図8bは、
図8aに描写された工具ホルダタレット800Aの断面画像を示す。したがって、
図8bに追加された破線に見られるように、工具ホルダタレット800Aをタレット軸TAWに沿って180度回転させることによって、未加工のワークピースRWPと完成したワークピースFWPの位置を容易に交換することができるように、2つの補助スピンドル810A及び810Bは工具ホルダタレット800Aの垂直中心線VTAT1に対して同軸に(又はそれぞれ、水平中心線HTAT1に対して垂直に)配置されている。ここで、当然、特許請求される機械加工システムの対応する工具ホルダタレットは、2つの補助スピンドルAS1及びAS2を装着することのみによって限定されず、むしろその固有のタレットポートによって可能な任意の数の補助スピンドルを保持することができる。
【0069】
結果的に、
図8cは、追加の補助スピンドルAS3を三角形の配置で装着する
図8a及び
図8bに示す工具ホルダタレット800Aの代替の一実施形態800Bとして使用することができる。この配置によって、例えば、追加の機械加工ステップを前述の処理ラインに統合して、補助スピンドルAS3の受け取りユニット810Cにクランプされた事前機械加工されたワークピースMWPを生成することができる。したがって、所与の実施形態によって、さらに高度な機械加工処理を達成することができる。
【0070】
さらに、前述の実施形態に基づいて、
図9a~
図9cは、特許請求される発明の機械加工システムによって実行可能な別の機械加工機構を示す。ここで、
図5aに示す実施形態と同じく、対応する機械加工システムは4つの工具ホルダタレット900A~900Dを含み、2つの工具ホルダタレット900A及び900Bは、
図4a及び
図4bにすでに示したタイプの2つの補助スピンドルAS4~AS7を個別に装着するように構成される一方、工具ホルダタレット900C及び900Dはそれぞれ機械加工工具T1及びT2を装着する。加えて、
図9a及び
図9cは再度、垂直中心線VTAT3又はVTAT4に対して同様に同軸に(又は水平中心線HTAT3又はHTAT4にそれぞれ垂直に)位置合わせされた補助スピンドルAS4~AS7を備えたそれぞれの工具ホルダタレット900A及び900Bの断面画像を示す。水平及び垂直という表現は作業床に対する配置に関連する。
【0071】
したがって、記載の機械加工システム内で、補助スピンドルAS4~AS7間でワークピースWの移送プロセスを追加的に使用する生産ラインが示されている。より具体的には、この所与の実施形態において、生産ラインを開始することができるように、動作手順により、機械加工機構はまず第1の工具ホルダタレット900Aの第1の補助スピンドルAS4に未加工のワークピースRWPを挿入してクランプする。続いて、第2のステップとして、タレット軸TAW1に沿った工具ホルダタレット900Aの回転を介して補助スピンドルを枢動させることによって、未加工のワークピースRWPを第1の機械加工工具T1に割り当てることができ、最終的にクランプされた未加工のワークピースRWPの事前機械加工及びしたがって事前機械加工されたワークピースMWPの生産が可能になる。さらに、処理メカニズムを継続するため、上記事前機械加工ワークピースMVPは続いて、第2の機械加工工具T2を介する機械加工が可能になるように、前述の補助スピンドルAS4から第2の工具ホルダタレット900B上へ装着された補助スピンドルAS6に移送され、生産ラインは、タレット軸TAW2に沿った工具ホルダタレット900Bの回転を介して最終化されたワークピースFWPをもう一度枢動させることによって終了し、ワークピースの抽出及び/又は外部機械加工要素によるさらなる処理が可能になる。
【0072】
ここで、事前機械加工されたワークピースMWPを移送する動作は、ワークピースMWPを受け取り補助スピンドルAS6に接近させることによって、具体的には上記補助スピンドルAS6に向けて工具ホルダタレット900Aを正確に動かし、これがワークピースの利用可能な部位を追加でクランプすることを可能にしながら、同時にこれをその前の固定から解放することによって、例示的に行うことができる。あるいは、ワークピースの確実な伝達を達成することができるように、ワークピースグラバのような外部移送要素も使用することができる。
【0073】
最後に、
図10及び
図11で、補助スピンドルASの受け取りユニット311A及び311BへそれぞれのワークピースWを機械的にクランプするためのクランピング機構の2つの好ましい実施形態が示されている。ここで、それぞれの機構は、例えば補助スピンドルASが装着されている工具ホルダタレットの内部駆動システムによって、手動又は(半)自動で駆動することができる。
【0074】
図10は、前述の補助スピンドル軸ASAに沿った受け取りユニット311Aの断面図を描くことによって第1の機構を示す。特に、この実施形態において受け取りユニット311Aは、それぞれのワークピースWを受け取りユニット311Aに挿入するために使用されるキャビティ1050、並びに上述のキャビティ1050の周りに構築された機械的に調整可能な本体1005からなる。ここで、受け取りユニット310A内にそれぞれのワークピースWをクランプするため、本体1005は、ねじ要素1030を介して接続された底部1010及び頂部コンポーネント1040、並びに、底部コンポーネント1010に面する側で直線的であり、頂部コンポーネント1040に面する側では直径が増加する、一端の楔形部分1020A、並びにその他端に直線状部分1020Bを含む、間に配置された楔形要素1020をさらに有する。加えて、本体1005の底部1010と頂部コンポーネント1040との間に楔要素1020を摺動可能に嵌合させるため、頂部1040と底部コンポーネント1010との間の楔形部分1020Aに関連する隙間も同様に楔形に構築される一方、他端では、直線状部分1020Bに関連する頂部1040と底部コンポーネント1010との間の距離は一定のままである。
【0075】
したがって、挿入されたワークピースWを受け取りユニット311A上へ機械的にクランプすることによって固定するため、本体1005は、楔形部分1020Aを頂部1040と底部コンポーネント1010との間に構築されたその対応する隙間に押し込むことによって、楔形部分1020Aが、同様に楔形の隙間の大きさのため、それ以上移動することができない点に最終的に到達し、したがって楔形部分1020Aとそれぞれ本体1005の底部1010及び頂部コンポーネント1040との間の接触領域に対して垂直な圧力を生成する方法で構築されている。結果として、所与の実施形態内で楔形部分1020Aと底部コンポーネント1010との間の接触領域が、本体1005の内面に対して平行になるように構成されているため、楔形部分1020Aの上記押圧によって生じる圧力は、底部コンポーネント1010の半径方向の押圧運動という結果になり、したがって本体1005の内面を挿入されたワークピースWに強固に押し付けることができ、したがってクランピングによる機械的固定が可能になる。
【0076】
図11は、対照的に、
図10に示す楔要素1020と比較して、前述の圧力を挿入されたワークピースW上へ伝達するためにばね機構1150を利用する、受け取りユニット310BにワークピースWを固定するための第2の機構を示す。
【0077】
より具体的には、この場合、受け取りユニット311Bの本体1005は同様に底部コンポーネント1110並びに頂部コンポーネント1140を有し、頂部コンポーネント1140は、底部コンポーネント1110の上面に摺動可能に取り付けられている力伝達部1130、並びに力伝達部1130の上方に配置され、これにばね1150を介して水平に接続されている反力部1120にさらに分割することができる。加えて、頂部コンポーネント1140の力伝達部1130はねじ1030を介して押圧ブロック1160にさらに接続することができ、ねじ1030を伝達部1130に導入することによって、押圧ブロック1160の一部が反力部1120を押すことができるようになっており、その結果、コイルばね1150の長さ軸と同軸に反力部1120の変位が生じる。
【0078】
したがって、この実施形態において前述の圧力を生じさせるため、最初にねじ1030を力伝達部1130にさらに導入することができ、押圧ブロックを反力部1120に向かって動かすことにつながり、接触した場合、押圧力Fpがこれに伝達される。続いて、上記の押圧力Fpの結果として、反力部1120を変位させることができ、その結果、反力部1120と力伝達部1130との間に配置されたばね1150が圧縮され、これにより、ひいては、受け取りユニット310Bの底部コンポーネント1110上へ力伝達部1130が押されるとともに、再度受け取りユニット310Bの内面上へ調整可能な安定した圧力が生成される。
【0079】
したがって、前述の実施形態によって、異なる種類の機械加工システムに実装された補助スピンドルの使用によって、少なくとも1つの工具ホルダタレット上での高度に適応可能で効率的な機械加工操作を実行することができるということを示すことができる。さらに、上記機械加工操作は、独立して、及び/又は、例えばワークスピンドル上の対応する工作機械の従来の作業に加えて行うことができるため、特許請求される発明が、システムのスペース効率、動作時間及び一般的な適応性の点で、工作機械について大幅な改善につながる可能性があることは明らかである。
【0080】
最後に、いくつかの例示的な実施形態及び/又は態様を説明するとともに添付の図面に示してきたが、このような実施形態及び態様は広範な発明の単なる例示であり、これに対する限定ではないこと、そして、以上のセクションに記載されたものに加えて、様々な他の変更、組合せ、省略、修正及び置換が可能であるため、本発明の実施形態は、図示及び説明した具体的な構造及び配置に限定されないことが理解されるべきであることも再度留意されなければならない。
【0081】
また、本発明の開示の範囲から逸脱することなく、今般、説明した実施形態の様々な適合、修正、及び/又は組合せを構成することができるということを当業者は理解するであろう。本開示を考慮して、本明細書に記載の本発明の異なる実施形態を組み合わせて本発明の他の実施形態を形成することができるということも当業者は理解するであろう。したがって、本明細書に具体的に説明した以外のように本発明を実践することができるということが理解されるべきである。
【国際調査報告】