(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】湯で茶葉製品を抽出することによって、熱い又は冷たい飲料を生成する装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/18 20060101AFI20240723BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20240723BHJP
A47J 31/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A47J31/18
A47J31/06 140
A47J31/00 302
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503635
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 FR2022051431
(87)【国際公開番号】W WO2023002116
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524023516
【氏名又は名称】スタム アルバン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタム アルバン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA09
4B104AA20
4B104BA16
4B104BA87
4B104EA20
4B104EA30
(57)【要約】
本発明は、湯で茶葉製品を抽出することによって、熱い又は冷たい飲料を生成するための装置に関し、少なくとも1つの水の供給源と、水を加熱する加熱手段と、所定の量の水を受けることが可能な抽出器とを備え、抽出器は、抽出されるべき茶葉製品を保持する保持手段と、抽出液を放出する放出手段と、加熱容積部である第1容積部、及び中に保持手段が広がる保持抽出容積部である第2容積部という、2つの別個の容積部とを少なくとも備え、抽出器は、モータ手段によって、駆動されて動かされ得て、抽出器は、第1容積部を規定する第1シェル、及び第2容積部を規定する第2シェルという、開口しており、かつ一方の開口が他方の開口に沿って延在する、2つのシェルで構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯で茶葉製品を抽出することによって、熱い又は冷たい飲料を生成する装置であって、
前記装置は、
少なくとも1つの水の供給源と、
前記水を加熱する加熱手段(6)と、
所定の量の水を受けることが可能な抽出器(19,20)とを備え、
前記抽出器(19,20)は、
抽出されるべき茶葉製品を保持する保持手段(24,25)と、
抽出液を放出する手段(22)と、
加熱容積部である第1容積部、及び中に前記保持手段(24,25)が広がる保持抽出容積部である第2容積部という、2つの別個の容積部とを少なくとも備え、
前記抽出器(19,20)は、モータ(9)手段によって、駆動されて動かされ得て、
前記抽出器(19,20)は、
前記第1容積部を規定する第1シェル(19)、及び前記第2容積部を規定する第2シェル(20)という、開口しており、かつ一方の開口が他方の開口に沿って延在する、2つのシェルで構成されている、
装置。
【請求項2】
前記第1容積部及び前記第2容積部を規定する前記シェル(19,20)の周縁は、接することなく、所定の間隔だけ離されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記所定の間隔は、5mm以下であり、好ましくは2mm以下である、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記放出する手段(22)は、前記2つのシェル(19,20)の間に配置される、
請求項1-3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記放出する手段(22)は、前記第2容積部を規定する前記第2シェル(20)の周縁に配置された空洞(22)で構成されている、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シェル(19,20)は、実質的に平行六面体の形状を有する、
請求項1-5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記加熱容積部である前記第1容積部を形成する前記シェル(19)は、カバーの形状である、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱手段(6)は、
上端が開口する少なくとも1つの本体(28)を備えるボイラ(6)と、
発熱抵抗体(30)と、
水供給パイプ(31)と、
放出パイプ(32)と、
下端が閉塞された前記ボイラ(6)の前記本体(28)の前記上端を閉じる、柔らかく弾性のある第1膜(34)と、で構成されている、
請求項1-7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱手段(6)は、前記第1膜(34)を覆う、柔らかく弾性のある第2膜(36)を備える、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記加熱手段(6)は、柔らかく弾性のある前記第1膜(34)と柔らかく弾性のある前記第2膜(36)との間に、前記第1膜(34)と前記第2膜(36)との間の接着を防ぐことを可能にし、かつ前記第1膜(34)と前記第2膜(36)との間の相対的な滑動を提供することを可能にする、いわゆる潤滑手段及び/又は隔離手段を備える、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1容積部を規定する前記シェル(19)は、前記第2容積部を規定する前記シェル(20)に向かって傾斜し、かつ下端に中央開口が設けられた、少なくとも1つの凸部又は壁(23)を含む、
請求項1-10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記第2容積部を規定する前記シェル(20)は、前記シェル(20)の矢状面及び前頭面の両側において二つ一組で延び、かつ抽出されるべき茶葉製品を保持する保持グリッド(25)が載る、4つの肩(24)を含む、
請求項1-11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記保持グリッド(25)を固定する手段を含む、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記固定する手段は、前記第1シェル(19)と前記第2シェル(20)とが組み立てられたときに、第1端が、前記第1容積部を規定する前記シェル(19)に固定され、又は前記シェル(19)に載り、かつ反対側の端が、前記保持グリッド(25)に載る、又は前記保持グリッド(25)に固定される、ブレード又は湾曲した可撓性ロープ(26)で構成されている、
請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯で茶葉製品を抽出することによって、熱い又は冷たい飲料を提供する装置に関する。本発明は、多数の応用例があり、特に紅茶を得る分野において多数の応用例があるであろう。
【背景技術】
【0002】
所定量の水を温め、湯の中に茶葉を浸すことによって、紅茶を生成することがよく知られている。この茶葉は、抽出した後に、湯と茶葉とをフィルタを通して注ぎ、フィルタが茶葉を保持することによって取り除かれる。
【0003】
水を温め、そしてカップ等に湯を注ぎ、その後に前記湯の中に、茶葉を含むディフューザバッグを浸すことによって、紅茶を生成することも知られている。そして、この茶葉は、それらの香り、カフェイン等を、それらの濃度が消費者の都合が良くなるまで放出し、そして、消費者は、このようにして得られた飲料を飲むために、湯からそのバッグを取り除く。
【0004】
紅茶を生成することをより実用的にするために、紅茶等を作るための機械がすでに知られている。これは、特に文献EP2937023、文献EP3415049、及び文献WO2014/006053に当てはまる。
【0005】
文献EP2937023には、完全に自動式の、紅茶を生成する機械が記載されており、これは、ベースアセンブリと、ベースアセンブリに配置される紅茶を生成するアセンブリであって、その中へ水を供給するための水ポンプ及びモータを含む、紅茶を生成するアセンブリとを備える。紅茶を生成するアセンブリは、開放された上部、閉じられた下部及び閉じられた周辺の壁を持つ紅茶を生成する空洞と、互いに協働する2つのクラッチを通して前記モータによって駆動される紅茶バスケットと、紅茶を生成する空洞の底に配置されて、紅茶を生成する空洞と連通する排水弁とを備える。
【0006】
文献EP3415049には、ブルーイングチャンバ内で、自動で紅茶を生成することに適した、自動式の紅茶を生成する機械が記載されており、前記機械は、このようにして生成された紅茶飲料から切り離して、タブレットが得られるまで所定量の茶葉を圧縮することに適した圧縮装置を備える。この文献は、紅茶の機械を動かすための方法も記載し、この方法において、紅茶飲料は、ブルーイングチャンバにおいて、所定量の茶葉と所定量の水とを用いて生成され、所定量の茶葉は、紅茶飲料が生成されると、タブレットを形成するために別個に圧縮される。
【0007】
文献WO2014/006053には、前面と後面とを有するハウジングを備えた紅茶の機械が記載されている。抽出チャンバ及びカプセルホルダが、この装置の正面に位置する。抽出チャンバは、抽出チャンバの下面に開口を規定する下側縁を有する。この抽出チャンバには、抽出チャンバの上面に開口が設けられ得て、開口は取り外し可能なカバーによって覆われる。又は、抽出チャンバは、上面の開口のない容器として構成され得る。カプセルホルダは、1つのカプセルを受けるように設計される。カプセルホルダは、支持部材に位置し、好ましくはハンドルを有する。カプセルホルダは、上方から見たときに、好ましくは略円形である。抽出チャンバは、マニホールドによって、所定の位置に支持されて保持される。水タンク、水加熱手段及びポンプは、ハウジング内に位置する。ハウジングの前面の下端には、飲料が分配されるときにタンブラーが配置されるトレイがあり、注ぎ口がカプセルホルダの下方に配置される。
【0008】
これらの機械は、簡単にかつ早く紅茶を生成することを可能にするが、紅茶の十分に官能的な香りの特徴を提供しない。控えめに言っても、このようにして得られた紅茶の官能的な香りの特徴は、使用される茶葉の品質とは無関係に、略1000年経過する中国の伝統に沿って生成された紅茶の官能的な香りの特徴からかけ離れている。
【0009】
この欠点を改善するために、中国の伝統に沿って紅茶を生成するための機械がすでに設計されている。これは欧州特許EP2051611に当てはまる。
【0010】
前記欧州特許EP2051611には、湯で茶葉製品を抽出することによって熱い又は冷たい飲料を生成する装置であって、水の供給源と、水を加熱する加熱手段と、前記所定量の水が加熱されるべき温度を決定する手段及び前記加熱された所定量の水の中で茶葉製品を抽出する時間を決定する手段と協働するコントロールユニットとを含み、所定の量の水を受けることができる少なくとも1つの抽出器をさらに備え、前記抽出器が、抽出されるべき茶葉製品を保持する少なくとも1つの手段と、抽出液を放出する手段とを備える装置が記載されている。前記抽出器は、駆動されて動かされ、保持手段が広がる、加熱容積部である第1容積部と、保持抽出容積部である第2容積部との2つの別個の容積部を含んでおり、抽出器の動作は、少なくとも第1容積部から第2容積部へ、そして放出手段へ、所定の量の水を移動させることを可能にする。
【0011】
この種の装置は、中国の伝統に沿って、優れた官能的な香りの特徴を有する紅茶の生成を可能にするが、それにもかかわらず、この種の装置は、製造すること、特に抽出器を製造することのコストが高くなる欠点を有し、この抽出器は、好ましくは磁器で作られるべきである。加えて、この種の装置は、特に抽出容積部に茶葉を投入するために、抽出容積部を規定するシェルの種々の操作を必要とする、あまり人間工学的ではないという欠点も有する。
【0012】
ブランドTemial(登録商標)のもとで、Vorwerk(登録商標)社により販売された、紅茶の機械を記載する特許出願WO2017042246が知られている。
【0013】
この文書には、抽出された飲料の自動的な生成のために設計された、上方に向けて開口する沸騰チャンバと、沸騰チャンバに高いところを通して湯を導入するように設計された湯の配水パイプと、液体を沸騰チャンバから放出し得る、沸騰チャンバ内に存在する放出口とを有する茶の機械が記載されており、この放出口は、分配位置又は処分位置を任意に選択して使用されるように設計されている。液体は、沸騰チャンバから放出口を通して放出されて、分配位置では、抽出された飲料を分配する場所に送られ、処分位置では、排水の流れに送られる。
【0014】
この種の装置は、嵩張り、扱いにくく、その構造により綺麗にすることが困難であるという欠点を有する。さらに、この種の装置では、カプセル又は予め分包されたティーバッグを使用することは不可能であり、茶葉は湯の表面に浮かぶので、適切に抽出されない。
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の目的の1つは、紅茶に精通する人のノウハウを再現する優れた官能的な香りの特性を持つ、例えば紅茶のような熱い又は冷たい飲料を、抽出することによって生成するための、シンプルかつ安価な設計の、人間工学的な、かつ維持の容易な装置を提案することによって、これらの欠点を改善することである。
【0016】
この目的のために、本発明によれば、装置は、湯で茶葉製品を抽出することによって、熱い又は冷たい飲料を生成することのために提案されており、少なくとも1つの水の供給源と、前記水を加熱する加熱手段と、所定の量の水を受けることが可能な抽出器とを備え、前記抽出器は、抽出されるべき茶葉製品を保持する、少なくとも1つの保持手段と、抽出液を放出する手段と、加熱容積部である第1容積部、及び中に保持手段が延びる保持抽出容積部である第2容積部との、2つの別個の容積部を備え、前記抽出器は、モータによって、駆動されて動かされ得て、前記装置は、抽出器が、第1容積部を規定する第1シェルと、第2容積部を規定する第2シェルとの、2つのシェルであって、前記2つのシェルは、開口し、かつ一方の開口が他方の開口に沿って延在する2つのシェル、で構成されていることにおいて注目に値する。
【0017】
好ましくは、第1容積部及び第2容積部を規定するシェルの周縁は、接することなく、所定の間隔だけ離されている。
【0018】
前記所定の間隔は、5mm以下であり、好ましくは2mm以下である。
【0019】
ある変形例によれば、この装置は、第1容積部を規定するシェルの周縁に固定された第1クラウンを備え、前記クラウンは、モータと協働する回転軸を含む。
【0020】
さらに、この装置は、第2容積部を規定するシェルの周縁に固定され、かつ2つのシェルの組み立てを確実にするための、第1クラウンとの協働が可能な第2クラウンを備える。
【0021】
前記第2クラウンは、グリップタブを備える。
【0022】
加えて、この装置は、第1クラウン又は第2クラウンに固定され、2つのシェルの間を密封することを確実にするシーリング材を備える。
【0023】
さらに、放出手段は、2つのシェルの間に配置される。
【0024】
前記放出手段は、第2容積部を規定するシェルの周縁に配置された空洞で構成されている。
【0025】
ある変形例によれば、前記シェルは、実質的に半球体形状又は半卵形状を有する。
【0026】
別の変形例によれば、前記シェルは、実質的に平行六面体の形状を有する。
【0027】
別の変形例によれば、加熱容積部である第1容積部を形成するシェルは、カバーの形状である。
【0028】
さらに、第1容積部を規定するシェルは、モータと協働する回転軸を含み、前記回転軸は、前記第1容積部の中へ露出し、かつ加熱手段に流体接続された、いわゆる供給パイプを含む。
【0029】
加えて、加熱手段は、発熱抵抗体と、水供給パイプと、放出パイプと、ピストンが開放位置から閉鎖位置へ移動され得る大気圧パイプとを備えるボイラで構成されている。
【0030】
ある変形例によれば、加熱手段は、その上端が開口する少なくとも1つの本体を備えるボイラと、発熱抵抗体と、水供給パイプと、放出パイプと、下端が閉塞されたボイラの本体の上端を閉じる、柔らかく弾性のある膜とで構成されている。
【0031】
有利なことに、加熱手段は、柔らかく弾性のある第1膜と結合する、柔らかく弾性のある第2膜を備える。
【0032】
なお、加熱手段は、柔らかく弾性のある第1膜と柔らかく弾性のある第2膜との間に、2つの膜の間の接着を防ぐことを可能にし、前記膜の間の相対的な滑動を可能にする、いわゆる潤滑手段及び/又は隔離手段を備える。
【0033】
さらに、第1容積部を規定するシェルは、前記シェルの周縁の平面に対して平行に延びる、少なくとも1つの凸部を含む。
【0034】
好ましくは、前記第1容積部を規定するシェルは、シェルの矢状面の両側に延びる、2つの凸部を有する。
【0035】
さらに、第2容積部を規定するシェルは、シェルの矢状面及び前頭面の両側において二つ一組で延び、かつ抽出されるべき茶葉製品を保持する保持グリッドが載る、4つの肩を有する。
【0036】
加えて、この装置は、保持グリッドを固定する手段を含む。
【0037】
前記固定する手段は、シェルが組み立てられたときに、第1端が、第1容積部を規定するシェルのクラウンに固定され、又はシェルの回転軸に固定され、かつ反対側の端が、保持グリッドに載るブレード又は湾曲した可撓性ロープで構成されている。
【0038】
ある変形例によれば、前記固定する手段は、シェルが組み立てられたときに、第1端が、第1容積部を規定するシェルに載り、又は第1容積部を規定するシェルに固定され、反対側の端が、保持グリッドに固定される、又は保持グリッドに載る、ブレード又は湾曲した可撓性ロープで構成されている。
【0039】
有利なことに、この装置は、前記所定量の水の温められるべき温度を決定する手段、及び前記加熱された所定量の水の中で茶葉製品を抽出する時間を決定する手段と協働するコントロールユニットを備える。
【図面の簡単な説明】
【0040】
他の有利な点及び特徴は、添付された図面を参照し、本発明に係る湯で茶葉製品を抽出することによって熱い又は冷たい飲料を生成するための装置の、非限定的な例として与えられる、以下のいくつかの変形例の記述からより良く明らかになる。
【
図2】
図2は、
図1に示される本発明に係る装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される本発明に係る装置の分解矢状断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される本発明に係る装置の矢状面断面図である。
【
図5】
図5は、
図1-
図4に示される本発明に係る装置の抽出器の矢状断面図である。
【
図6】
図6は、
図1-
図4に示される本発明に係る装置の抽出器の正面断面図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る装置のボイラの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る装置のボイラの矢状断面図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る装置のある変形例の斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示される本発明に係る装置の第2変形例の矢状断面図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る装置の接続された管理の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明に係る、湯で茶葉製品を抽出することによって、熱い又は冷たい飲料を生成する装置の本明細書の以下の部分において、同一の参照番号は、同一の要素を表す。それぞれの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。本発明に係る装置は、特に、紅茶を生成することが意図される。しかし、この装置は、本発明の範囲から逸脱することなく、湯で任意の茶葉製品を抽出することによって、熱い又は冷たい飲料を生成するために使用され得る。
【0042】
本発明に係る装置は、
図1-
図8を参照すると、スタンドを形成し、図には表されていないグリッドが配置される窪んだサポート2によって延びる、ベース1で構成されており、サポート2は、コップ又は任意の他の類似の容器のための支持体を形成する。前記ベース1は、2つの部品3a及び3bで構成されている、実質的に平行六面体の形状の直立ケース3も支えている。
【0043】
この装置は、ケース3の背面に沿って鉛直に延びる、実質的に平行六面体の水タンク4も含む。前記水タンク4の下端は、図には表されていないが、可撓性のパイプによって、ロータリポンプ又は他の類似のもののようなポンプ5に接続される弁を含み、前記ポンプ5は、図には表されていないが、柔らかいパイプによって、ケース3の上端及び内側に延びるボイラ6に供給をし、ボイラ6の上端は、ケース3の上端を閉鎖している。ボイラ6は、その下端に、ケース3の2つの部品3a及び3bの内壁にそれらの上端付近において形成されたスライド8内において摺動することができる側面タブ7を備える。
【0044】
さらに、この装置は、歯車11と協働するウォームネジ10を駆動する電気モータ9を含み、電気モータ9は、支持プレート12に固定される。前記歯車11は、2つのベアリング15及び16に設けられた円筒軸14と協働する結合片13に固定され、ベアリング15及び16のそれぞれは、ボールベアリングで構成されている。
【0045】
さらに、前記円筒軸14は、2つの実質的に半円筒形の部品17a,17bで構成されているスリーブを連動するように受け、部品17a,17bのそれぞれは、加熱容積部である第1容積部を規定する平行六面体形状の第1シェル19と、また平行六面体形状の、保持抽出容積部を規定する第2シェル20とにそれぞれ固定されるプラテン18a,18bにそれぞれ固定され、第2シェル20は、第1シェル19の下を第1シェルの右にまで延びている。前記シェル19,20は、好ましくは、特に紅茶のタンニンを保持するために、磁器又はテラコッタによって得られる。しかし、言うまでもなく、シェル19,20は、本発明の範囲から逸脱することなく、例えばガラスのような、食品規格に適合する、他のいかなる材料によっても得られ得る。シェル19,20が、本発明の範囲から逸脱することなく、2つの異なる材料から、それぞれ得られ得ることに留意されたい。よって、シェル19,20は開口し、一方のシェルが他方のシェルに沿って延在しており、前記シェル19,20の寸法は、実質的に等しい。この特に例示的な実施形態において、第1容積部及び第2容積部をそれぞれ規定するシェル19,20の周縁は、接触することなく、5mm以下、好ましくは2mm以下の間隔だけ離されている。さらに、構成によって、前記シェル19及びシェル20は、円筒軸14に対して取り外し可能である。
【0046】
言うまでもなく、本発明の範囲から逸脱することなく、シェル19,20の周縁は、接していてもよく、2mmよりも大きい間隔で離されることによって、接していなくてもよい。
【0047】
第2シェル20をつかむことを容易にするために、シェル20は、グリップタブ21を含む。
【0048】
加えて、2つのシェル19,20によって形成された抽出器は、抽出された飲料を放出する手段を備える。前記放出手段は、2つのシェル19,20の間に配置されており、かつ前記シェル20の前頭面において、第2容積部を規定するシェル20の周縁などのように、シェル20に配置された、実質的にV字形状又は類似の形状の空洞22のような開口で構成されている。
【0049】
図3-
図6を参照すると、抽出器における水の最適な循環を可能にするために、第1容積部を規定するシェル19は、前記シェル19の周縁の平面に対して実質的に平行に延びる、少なくとも1つの凸部23を含む。この特定の例示的な実施形態において、前記凸部23は、第2容積部を規定するシェル20に向かって傾斜した壁で構成され、凸部23の下端には、中央開口が設けられている。
【0050】
言うまでもなく、第1容積部を規定するシェル19は、本発明の範囲から逸脱することなく、シェル19の矢状面の両側において延びる、2つ以上の凸部23又は傾斜した壁を含み得て、矢状面は、抽出器の回転軸を含む鉛直面で構成されている。
【0051】
加えて、第2容積部を規定するシェル20は、前記シェル20の矢状面及び前頭面の両側において二つ一組で延び、かつ抽出されるべき茶葉製品の保持グリッド25が載る、少なくとも2つの肩、理想的には4つの肩24を含む。前記グリッド25は、金属から得られ、実質的に正方形又は長方形の形状を有し、前記保持グリッド25の下に配置される、抽出されるべき茶葉製品の寸法よりも小さい寸法の孔及び/又はスロットを含む。所定の位置に前記保持グリッド25を維持するために、装置は、保持グリッド25を固定する手段も含む。この手段は、シェル19,20が組み立てられたときに、第1端が、第1容積部を規定するシェル19又は軸14に載り、反対側の端が、保持グリッド25に固定される、可撓性の湾曲ブレード26で構成されている。
【0052】
本発明の範囲から逸脱することなく、可撓性ブレード26が、例えば金属ロープのような可撓性ロープに置き換えられ得ること、及び可撓性ブレード26の第1端が、シェル19に載る代わりに、軸14及び/又はシェル19に固定され得て、かつ可撓性ブレード26の反対側の端が保持グリッド25に載り得ることは明らかである。
【0053】
さらに、
図2-
図4を参照すると、本発明に係る装置は、以下に詳述されるように、タンクの水位のセンサと、ボイラ6の温度のセンサとに接続されるコントロールユニット27を含む。前記コントロールユニット27は、以下に詳述されるように、さらに、ポンプ5、ソレノイドバルブ40、水を加熱するための発熱抵抗体30、及びシェル19,20を駆動するためのモータ9に、それらを制御するために接続される。このコントロールユニット27は、一方では、保持グリッド25の下で第2シェル20内に配置された茶葉に関する情報が記録されるメモリユニットを備え、他方では、メモリユニットに接続されたマイクロプロセッサ、つまりマイクロコントローラのようなマイクロプログラムシステムを備え、メモリユニットには、所定量の水が温められるべき温度を決定する手段と、加熱された水で茶葉製品を抽出する時間を決定する手段とを構成するアルゴリズムが記録される。
【0054】
コントロールユニット27のメモリユニットが、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば、スマートフォン及び/又は「クラウド」に具体化され得ることは非常に明白である。
【0055】
なお、この装置は、特に、茶葉、作られるべき抽出液の数、作られるべき抽出液の種類等に関連する情報を表示する及び/又は選択するための表示画面及びボタンも含み得る。
【0056】
さらに、
図2-
図4、
図7及び
図8を参照すると、加熱手段は、その下端が閉鎖され、かつその上端が開放している、少なくとも1つの平行六面体の本体28を備えるボイラ6で構成され、前記本体28の上端は、外側へ延びる外周肩29と、前記本体28の内側に延び、かつコントロールユニット27に接続される発熱抵抗体30と、水供給パイプ31と、放出パイプ32と、コントロールユニット27に接続される温度センサ33と、外周肩29にネジ止めされたフレーム35によって、ボイラ6の本体28の上端を閉鎖する柔らかく弾性のある第1膜34と、肩29、第1膜34及びフレーム35を覆う、柔らかく弾性のある第2膜36とを備える。さらに、平行六面体の本体28は、装置のその他の要素から本体28を離すことを可能にする、同様に平行六面体のジャケット37内に配置され、側面脚7は、平行六面体の本体の下部において、前記平行六面体の本体に固定される。なお、本体28は、ボイラ内が超過圧力の場合において、安全弁39を受ける孔38を備える。よって、ポンプによって、水がボイラ6の本体28の中へ導入されたとき、ソレノイドバルブ40は閉鎖位置にあり、第1膜34は、変形し、かつ大気圧よりも大きい圧力でボイラ中の水を保持し、第2膜36も、第1膜34の機械的な動きの下で変形する。よって、水は、より急速に加熱され、膜34は、水が加熱されるときに、膜34の最大の変形に達するまで変形し続ける。そして、水が加熱され、かつ最大圧力下にあるので、抽出器の2つのシェル19,20の間から現れ、歯車11の軸及び円筒軸14を通る硬質パイプ41に排出口が流体接続されたソレノイドバルブ40に流体接続された排出パイプ32を通して、水はボイラ6から急速に放出され、前記ソレノイドバルブ40は、コントロールユニット27に接続されている。硬質パイプ41の自由端に配置される放出孔は、抽出器19,20の位置に応じて、シェル19又はシェル20の内部に向けて、下方に向けられる。なお、シェル20の位置がシェル19の下である間、硬質パイプ41が、円筒軸14内のスリーブの部品17bの案内をすることには留意されたい。
【0057】
有利なことに、この加熱手段は、柔らかく弾性のある第1膜34と、柔らかく弾性のある第2膜36との間に、2つの膜34と膜36との間の接着を防ぐことを可能にし、前記膜34と膜36との間の相対的な摺動を可能にするための、いわゆる潤滑手段及び/又は隔離手段を備え得る。これらの潤滑手段及び/又は隔離手段は、図には表されていないが、テフロン(登録商標)フィルム、タルク又はグリースのフィルム、又は当業者によく知られた任意のその他の類似の手段で構成され得る。
【0058】
ある変形例によれば、図には表されていないが、2つのシェル19,シェル20で構成されている抽出器は、第1容積部を規定するシェル19の周縁に固定された第1クラウンであって、前記クラウンはモータと協働する回転軸を含む、第1クラウンと、前記第2容積部を規定するシェル20の周縁に固定され、かつ2つのシェル19,20の組み立てを確実にするために、第1クラウンとの協働が可能である第2クラウンとを備え得る。さらに、第2クラウンは、グリップタブを備える。なお、抽出器は、2つのシェル19,20の間を密封することを確実にするために、第1クラウン又は第2クラウンに固定されたシーリング材を備え得る。
【0059】
以下で、装置の動作を説明する。
【0060】
予め、水が水タンク4の中へ導入され、かつ茶葉がグリッド25の下で第2シェル20内に配置されて、シェル20は、可撓性ブレード26がグリッド25を固定するように、軸14上に連動するように配置され、そして、ユーザは、インターフェースで、投入される茶葉の種類(緑茶、紅茶、ホワイトティー等)、カップの数(デフォルトでは1カップ、1/2ティーポット=2カップ、及び1ティーポット=4カップ)を選択する。次に、コントロールユニット27は、少なくとも温度と抽出する時間とを決定する。
【0061】
ユーザが、インターフェースのボタンを押すことによって、個人の好みに応じて、抽出する温度及び抽出する時間をユーザ自身が選択し得ることにも留意されたい。
【0062】
次に、コントロールユニット27は、ボイラ6の中に150ml-200mlの水を入れるために、ポンプ5を駆動するだけではなく、閉鎖位置に動くようにソレノイドバルブ40を駆動し、前記コントロールユニット27によって決定された設定温度まで水を加熱するために、発熱抵抗体30を制御する。
【0063】
抽出器は、茶葉を含む第2シェル20が第1シェル19の上方に達するように、その軸14のまわりに回転駆動されて、コントロールユニット27によって決定された設定温度までボイラ6内で予め加熱された水が、開放位置にソレノイドバルブ40を動かすことによって、軸14を通るパイプ41を通して急速に第1シェル19内に導入される。そしてこの湯は、茶葉と接しない。
【0064】
次に、抽出器19,20は、その軸14のまわりに回転駆動され、180°の回転の後、湯が、凸部23によってガイドされて茶葉を収容する第2シェル20の中に注がれる。抽出器19,20の回転と、湯を注ぐこととにより、その湯を空気にさらすこと、及びその湯の中での茶葉の均一な混合に有利な撹拌することがもたらされることに留意されたい。加えて、抽出器は、抽出する時間の間、小さい振幅の交互の回転、好ましくは抽出器に振り子運動を与える交互の回転を受け得て、このようにして、完全に均一な混合物の生成を促進する。
【0065】
抽出する時間が終了したとき、抽出器は、再度、その軸14のまわりに回転駆動され、-90°の回転の後、抽出器19,20の最下点に位置し、かつサポート2のグリッドに配置されたカップ又は他の任意の容器の右側に位置する放出孔22を通して抽出液を放出する。茶葉は、シェル20の中に残り、4つの肩24に載る保持グリッド25によって保持される。
【0066】
言うまでもなく、水タンクは、例えば水道水ネットワークによる、継続的な水の供給源に置き換えられ得て、その場合水位センサは、例えば流量計に置き換えられる。
【0067】
さらに、茶葉がバッグに詰められ得て、前記バッグが保持グリッド25の下に配置されることには留意されたい。
【0068】
加えて、装置は、第2シェル20に配置された茶葉の量及び/又は性質を識別するコードを読み取る手段を備え得て、前記読み取り手段は、コントロールユニット27に接続される。この識別コードは、例えば、バーコード、エレクトロニックチップ、磁気又は光学コード、レリーフ、又は凹みプリントのような当業者によく知られた任意の識別コードで構成し得て、読み取り手段は、光学式の、磁気式の、電子式の、機械式の、又は類似の読み取り機で構成され得る。
【0069】
本発明に係る装置のある変形例によれば、
図9及び
図10を参照すると、本発明に係る装置は、スタンドを形成し、かつ任意のコップ又は他の類似の容器のための支持体を形成するグリッドが配置される、窪んだサポート2によって延びるベース1と上述のように同様に構成される。前記ベース1は、実質的に平行六面体の形状の直立ケース3も支えている。
【0070】
この装置は、図には表されていないが、ケース3の背面に沿って鉛直に延びる、実質的に平行六面体の水タンクも含む。前記水タンクの下端は、図には表されていない可撓性パイプによってロータリポンプ5に接続される弁を含み、前記ポンプ5は、図には表されていない柔らかいパイプによって、ケース3の上端及び内側に延びるボイラ6に供給をする。前記ボイラ6は、前記ケース3に固定され、通常の方法で、例えば測温抵抗体のような温度センサ33及び加熱手段30を含む。前記ボイラ6は、前述の変形例に記載されたものと同一であり、水は、抽出器の2つのシェル19,20の間から現れる、歯車の軸と円筒軸とを通る硬質パイプに排出口が流体接続されたソレノイドバルブに流体接続された排出パイプを通して、ボイラ6から急速に放出され、この放出パイプ、ソレノイドバルブ、及び硬質パイプは、
図9及び
図10には表されていない。
【0071】
さらに、この装置は、歯車11と協働するウォームネジ10を駆動する電気モータ9を含み、電気モータ9は、支持プレート12に固定される。歯車11は、図には表されていないが、2つのベアリングに設けられた円筒軸14に固定されており、それぞれのベアリングはボールベアリングで構成されている。
【0072】
さらに、前記円筒軸14は、2つの実質的に半円筒形の部品17a,17bで構成されているスリーブを連動するように受け、それぞれの部品17a,17bは、平行六面体形状の第1シェル19と、同様に平行六面体形状の、保持抽出容積部を規定する第2シェル20とにそれぞれ固定されるプラテン18a,18bにそれぞれ固定され、第2シェル20は、第1シェル19の下を第1シェル19の右にまで延びている。よって、第1シェル19,20は開口し、一方のシェルが他方のシェルに沿って延在しており、前記シェル19,20の開口の寸法は、実質的に等しい。この特定の例示的な実施形態において、第1容積部及び第2容積部をそれぞれ規定する前記シェル19,20の周縁は、接触することなく、5mm以下、好ましくは2mm以下の間隔だけ離されている。
【0073】
第2シェルをつかむことを容易にするために、シェル20は、グリップタブ21を含む。
【0074】
加えて、2つのシェル19,20によって形成される抽出器は、上述と同様の方法で、抽出された飲料を放出する手段を備える。前記放出手段は、2つのシェル19,20の間に配置されており、前記シェル20の前頭面において、第2容積部を規定するシェル20の周縁に配置される空洞22で構成されている。
【0075】
前記抽出器19,20は、加熱容積部である第1容積部を規定する平行六面体形状の第1シェル19が、平滑にされており、平行六面体のカバーの形状であるという事実によって、前述したものとは異なる。加えて、この第1容積部を規定する平行六面体のシェル19は、モータ9と協働する回転軸に固定され、前記回転軸は、加熱手段に流体接続され、かつシェル20によって形成された第2容積部の中へ露出する、いわゆる供給パイプを含む。
【0076】
なお、
図11を参照すると、この装置は、有利なことに、例えばWi-Fi又はブルートゥース接続によってコントロールユニット27との通信が可能なスマートフォン200によって制御され得て、前記スマートフォン200は、専用のアプリケーションを含む。前記アプリケーションは、有利なことに、ユーザの消費に応じて、ウェブサーバ400上で運営される1つ以上のウェブサイト(商業サイト)上でインターネット接続300を通して、紅茶「カプセル」、又はルースティの注文をすることを可能にし得る。
【0077】
さらに、言うまでもなく、抽出器を形成する前記シェル19,20は、本発明の範囲から逸脱することなく、実質的に、半球体形状、半卵形状、又は任意の他の形状を有し得る。
【0078】
加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、ボイラ6がコーヒーマシン等のために使用され得ることは明白である。
【0079】
最後に、上述の実施例は、本発明の応用の分野について全く制限しない、特定の実例に過ぎないことは非常に明白である。
【国際調査報告】