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特表2024-528702ブタコラーゲン組成物及びそれを使用する方法
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  • 特表-ブタコラーゲン組成物及びそれを使用する方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ブタコラーゲン組成物及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/24 20060101AFI20240723BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20240723BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20240723BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 31/14 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240723BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20240723BHJP
   A61K 31/716 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61L27/24
A61L27/36 130
A61L27/50
A61K38/39
A61P17/02
A61K45/00
A61K31/14
A61K31/155
A61K47/44
A61P43/00 121
A61K41/00
A61K31/716
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503875
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022073957
(87)【国際公開番号】W WO2023004359
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/224,209
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】524027640
【氏名又は名称】オーガノジェネシス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビルボ、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ファリア、キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】モウリー、ボニー キャスリーン
(72)【発明者】
【氏名】ラウト、ヴィヴェック
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA71
4C076BB31
4C076CC18
4C076EE30
4C076EE51
4C076EE55
4C076FF70
4C076GG01
4C081AA12
4C081AA14
4C081AB19
4C081CD12
4C081CD35
4C081CE02
4C081DA02
4C081DA11
4C081DB03
4C081DC03
4C084AA02
4C084AA11
4C084AA19
4C084CA21
4C084DA40
4C084MA43
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA43
4C086MA56
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA41
4C206HA31
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA63
4C206MA76
4C206MA83
4C206MA90
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、創傷管理に関する組成物及び方法を提供する。組成物は、微粒子化された細胞外マトリックスと、場合によっては1つ以上の抗菌剤と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスは、ブタ精製コラーゲン創傷マトリックス(CWM)及びポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)で構成される。組成物は、粉末として製剤化され、粉末として創傷に適用され得るか、又は水和され、ペースト若しくはスラリーとして創傷に適用され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、
前記組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含む、組成物。
【請求項2】
前記CWMが、天然ブタI型コラーゲンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記CWMが、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、45℃以上の変性温度を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、0.7重量%(w/w)未満の脂質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、ガンマ線照射される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記CWMが、架橋される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒子が、薄片である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、抗菌剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗菌剤が、四級アンモニウム化合物、ビスビグアニド、及びポリマー性ビグアニドからなる群から選択されるカチオン性抗菌剤である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記カチオン性抗菌剤が、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニドビグアニド(ポリヘキサニド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレングアニド、ポリ(イミノイミドカルボニル-イミノイミドカルボニルイミノヘキサメチレン)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリアミノプロピルビグアニド)、及びそれらの塩又は組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記粒子が、ポリアミノプロピルビグアニドコーティングを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリアミノプロピルビグアニドコーティングが、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)が、0.05重量%(w/w)未満、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)、及び0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)からなる群から選択される濃度で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記粒子が、湿潤粒子であり、前記組成物が、滅菌溶液を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記滅菌溶液が、滅菌生理食塩水である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、100ミリグラム(mg)当たり25未満の内毒素単位(EU)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、ワセリン又は油系担体を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、
前記創傷の破片及び壊死組織を清浄化することと、
微粒子化されたコラーゲン組成物を前記創傷の全領域に適用することと、を含み、
前記組成物は、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含み、前記組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含む、方法。
【請求項22】
前記創傷の縁部が、生存可能な組織を含有することを確実にするように、前記創傷を壊死組織除去することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物を、滅菌生理食塩水、又は羊水、血液、骨髄穿刺液、若しくは血小板が豊富な血漿から選択される生体液で水和させて、ペーストを形成することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記創傷のタイプ及び段階に適切な1つ以上の二次ドレッシング材を前記創傷に適用することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記微粒子化されたコラーゲン組成物は、前記創傷が治癒するまで、毎週前記創傷に適用される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記創傷が、中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記手術による創傷が、ドナー部位創傷、移植片創傷、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、足部創傷、又は創傷離開である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記外傷性創傷が、擦過傷、裂傷、又は皮膚裂傷から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記CWMが、天然ブタI型コラーゲンを含み、前記天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びマイクロリットル当たり0.1ナノグラム(ng/μL)未満のDNAを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、ガンマ線照射される、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
創傷管理のための医薬品の製造における使用のための微粒子化されたコラーゲン組成物であって、
前記組成物は、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含み、
前記組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含み、
前記天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まず、前記創傷が、中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される、組成物。
【請求項33】
前記組成物が、ガンマ線照射される、請求項32に記載の使用のための組成物。
【請求項34】
直径が10~1200マイクロメートル(μm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、
前記組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含み、前記組成物が、ガンマ線照射される、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月21日出願の米国仮特許出願第63/224,209号に対する優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、創傷管理における使用のための微粒子化されたブタコラーゲン組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
創傷は、医師及び獣医師の両方に共通の臨床的課題を提示する。広義には、創傷は、急性傷害(例えば、外傷、熱傷、手術による創傷、放射線傷害)及び慢性的なプロセス(例えば、潰瘍、糖尿病性潰瘍、静脈鬱血性潰瘍、圧迫性潰瘍、膿瘍)、並びに不規則な形状の創傷及びトンネル状創傷で構成される。
【0004】
細胞外マトリックス(ECM)由来製品は、創傷管理を支援するために広く使用されており、創傷管理モダリティとして十分に耐容性があることが広く知られている。細胞外マトリックスは、動物又はヒトのいずれかに由来し得、細胞成分を含み得るか、又は脱細胞化され得る。現在、創傷修復及び治癒を支援するために、なかでも、胎盤に基づくマトリックス、ブタ腸コラーゲン創傷マトリックス(CWM)、ブタ膀胱マトリックスからなるECMが臨床的に利用されている。コラーゲンは、細胞外マトリックスの重要なタンパク質であり、構造的及び機能的に、結合組織の治癒においてある役割を果たすことが知られている。
【0005】
不規則な形状の創傷及びトンネル状創傷は、標準的な利用可能な(ほとんどの場合、シートで供給される)創傷管理モダリティを用いて管理することが困難である。ECMを微粒子化してECM粉末を形成することは、固有の臨床的利点をもたらし、粉末が適用されて、製品と創傷床との直接接触を確実にすることを可能にする。加えて、粉末は、水和させることができ、ペースト又はスラリーの形態で送達することができる。
【0006】
細菌コロニー形成及びバイオフィルムは、創傷の慢性化の主な要因であることが知られている。実施形態のうちの1つ以上では、創傷床内に存在する微生物、細菌負荷、又はバイオフィルムに対処するために、ECM粉末は、ECMの利益及び抗菌剤の両方を送達する抗菌成分を含むように設計されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含む、組成物を提供する。
【0008】
本開示は、創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、創傷の破片及び壊死組織を清浄化することと、微粒子化されたコラーゲン組成物を創傷の全領域に適用することと、を含み、組成物は、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含み、組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含む、方法を提供し、かつ含む。
【0009】
本開示は、創傷管理のための医薬品の製造における使用のための微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物は、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含み、組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含み、天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まず、創傷が、中間層創傷(partial thickness wound)、全層創傷(full-thickness wound)、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷(undermined wound)、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される、組成物を提供し、かつ含む。
【0010】
本開示は、直径が10~1200マイクロメートル(μm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含む、組成物を提供し、かつ含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】実施例6による一実施形態に従って調製された微粒子化されたコラーゲン組成物の粒径分布のプロットである。湿潤試料Aの粒径分布のプロットである。
図1B】実施例6による一実施形態に従って調製された微粒子化されたコラーゲン組成物の粒径分布のプロットである。乾燥試料Aの粒径分布のプロットである。
図1C】実施例6による一実施形態に従って調製された微粒子化されたコラーゲン組成物の粒径分布のプロットである。乾燥試料Bの粒径分布のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.組成物及び方法
【0013】
本開示は、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の微粒子化された粒子を含む、組成物を提供し、かつ含む。態様では、CWMは、ブタコラーゲンを含む。態様では、ブタコラーゲンは、細胞及び細胞残滓を含まない。更なる態様では、CWMは、ブタI型コラーゲンを含む。態様では、CWMは、天然ブタI型コラーゲンを含む。
【0014】
本開示によるCWMの微粒子化された粒子は、レーザー光散乱粒径分析(LLSPSA)を使用して決定して、直径10~1200μmのサイズを有する粒子を含む。本開示は、200~300μmの平均サイズを有するCWMの微粒子化された粒子を更に提供する。ある特定の態様では、微粒子化された粒子は、LLSPSAによって決定される、1000μm超の直径を有する粒子を0.5%未満含む。本開示の態様では、粒子は、薄片を含む。
【0015】
本開示の態様では、CWMの微粒子化された粒子は、腸コラーゲン層(ICL)から調製される。一態様では、粒子は、微粒子化の前に、ICLの1つ以上の層を含むCWMから調製される。一態様では、CWMは、2つの層を含むICLのシートから調製される。一態様では、CWMは、3つの層を含むICLのシートから調製される。一態様では、CWMは、4つの層を含むICLのシートから調製される。一態様では、CWMは、5つの層を含むICLのシートから調製される。一態様では、ICLの1つ以上の層は、微粒子化の前に架橋される。一態様では、CWMは、PURAPLY(登録商標)、PURAPLY AM(登録商標)、PURAPLY MZ(登録商標)、又はPURAPLY AM-XT(登録商標)を含む。
【0016】
本開示は、主に、天然ブタI型コラーゲンで構成される組成物を提供し、かつ含む。態様では、組成物は、90重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲンを含む。態様では、組成物は、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲンを含む。
【0017】
本開示は、低レベルの脂質を有する組成物を提供し、かつ含む。本開示の態様では、組成物は、1.0重量%(w/w)未満の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、0.9重量%(w/w)未満の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、0.重量%(w/w)未満の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、0.7重量%(w/w)未満の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、0.6重量%(w/w)未満の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、0.5重量%(w/w)未満の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、0.5重量%(w/w)~1.0重量%(w/w)の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、0.6重量%(w/w)~0.8重量%(w/w)の脂質を含む。本開示の態様では、組成物は、約0.7重量%(w/w)の脂質を含む。
【0018】
本開示は、低レベル又は検出不可能なレベルのグリコサミノグリカンを有する組成物を提供し、かつ含む。本開示の態様では、組成物は、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む。本開示の態様では、組成物は、0.8重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む。本開示の態様では、組成物は、0.6重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む。本開示の態様では、組成物は、0.4重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む。本開示の態様では、組成物は、0.2重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む。本開示の態様では、組成物は、約1.0重量%(w/w)のグリコサミノグリカンを含む。本開示の態様では、組成物中のグリコサミノグリカンのレベルは、検出不可能である。
【0019】
本開示は、低レベル又は検出不可能なレベルのDNAを有する組成物を提供し、かつ含む。本開示の態様では、組成物は、ミリリットル当たり0.5ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む。本開示の態様では、組成物は、ミリリットル当たり0.25ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む。本開示の態様では、組成物は、ミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む。本開示の態様では、組成物は、ミリリットル当たり約0.1ナノグラム(ng/ml)のDNAを含む。本開示の態様では、組成物中のDNAのレベルは、検出不可能である。
【0020】
本開示はまた、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニドビグアニド(ポリヘキサニド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレングアニド、ポリ(イミノイミドカルボニル-イミノイミドカルボニルイミノヘキサメチレン)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリアミノプロピルビグアニド)、及びそれらの塩又は組み合わせからなる群から選択される抗菌剤を更に含む、CWMの微粒子化された粒子を提供し、かつ含む。一態様では、抗菌剤は、四級アンモニウム化合物、ビスビグアニド、又はポリマー性ビグアニドである、カチオン性抗菌剤である。一態様では、抗菌剤は、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)コーティングである。態様では、PHMBの濃度は、0.05重量%(w/w)未満である。態様では、PHMBの濃度は、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)である。態様では、PHMBの濃度は、0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)である。
【0021】
本開示による態様では、抗菌剤は、ICLのシートの表面に適用される。態様では、ICLのシートは、抗菌剤を含むか又は含まない1つ以上の層を含む。本明細書に提供されるように、抗菌剤は、ICLの表面に適用され、微粒子化の前に乾燥される。
【0022】
本開示は、滅菌された(例えば、病原体が不活性化された)組成物を提供し、かつ含む。滅菌プロセスは、組成物内の微生物を不活性化する。態様では、組成物は、照射によって滅菌される。更なる態様では、組成物は、ガンマ線照射によって滅菌される。他の更なる態様では、組成物は、X線照射によって滅菌される。
【0023】
本開示は、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの微粒子化された粒子を含み、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)の濃度でポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を更に含む、組成物を提供し、かつ含む。ある特定の態様では、PHMBの濃度は、0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)である。態様では、CWMは、ブタコラーゲンを含む。更なる態様では、CWMは、ブタI型コラーゲンを含む。態様では、CWMは、天然ブタI型コラーゲンを含む。
【0024】
本開示は、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒子を有するCWMの微粒子化された粒子を含む、組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む、組成物を提供し、かつ含む。更なる態様では、天然ブタI型コラーゲンは、細胞及び細胞残滓を含まない。
【0025】
本開示はまた、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒子を有するCWMの微粒子化された粒子を含む、ガンマ線照射された組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む、組成物を提供し、かつ含む。更なる態様では、天然ブタI型コラーゲンは、細胞及び細胞残滓を含まない。
【0026】
また、本開示に含まれかつ提供されるのは、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの微粒子化された粒子を含む、ペーストである。態様では、ペーストは、水性ペーストである。他の態様では、ペーストは、非水性ペーストである。
【0027】
態様では、本開示のペーストは、水系ペーストである。本明細書に提供されるように、水系ペーストは、等張性ペースト(例えば、約0.15Mの塩当量)である。一態様では、ペーストは、10mMのPO43-、137mMのNaCl、及び2.7mMのKClを含む、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を使用して調製される。本明細書に提供されるように、ペーストは、少なくとも平方メートル当たり1.5ニュートン秒(N・s/m)又はパスカル秒(P・s)の粘度を有する。態様では、粘度は、少なくとも10P・sである。他の態様では、ペーストは、10~1000P・sである。本明細書に提供されるように、ペーストは、使用時点にCWMの乾燥粉末から調製され得る。
【0028】
態様では、本開示のペーストは、血液に由来する。本明細書に提供されるように、ペーストを形成するために使用される血液は、全血、又は血小板が豊富な血漿であり得る。
【0029】
本開示は、等張生理食塩水溶液中に懸濁された、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの微粒子化された粒子を含む、止血ペーストを提供し、かつ含む。本明細書に提供されるように、本開示の止血ペーストは、使用時点にCWMの乾燥粉末から調製され得る。
【0030】
また、含まれ、かつ提供されるのは、医療機器のためのUSP細菌内毒素試験の方法を使用して決定して、細菌内毒素を含まない、調製物である。本明細書に提供されるように、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの微粒子化された粒子は、微粒子化された粒子100ミリグラム当たり25未満の内毒素単位(EU)を有する。また、含まれ、かつ提供されるのは、100ミリグラム当たり10未満の内毒素単位(EU)を有するCWMの微粒子化された粒子である。他の態様では、CWMの微粒子化された粒子は、100ミリグラム当たり5未満の内毒素単位(EU)を有する。更なる態様では、微粒子化された粒子は、100ミリグラム当たり検出不可能なレベルの内毒素を有する。
【0031】
本開示は、対象の創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、創傷の破片及び壊死組織を清浄化することと、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物を創傷の全領域に適用することと、を含む、方法を提供し、かつ含む。態様では、創傷を管理する方法は、創傷縁部が、生存可能な組織を含有することを確実にするように、創傷を壊死組織除去(debriding)することを更に含む。態様では、CWMは、ブタコラーゲンを含む。更なる態様では、CWMは、ブタI型コラーゲンを含む。態様では、CWMは、天然ブタI型コラーゲンを含む。態様では、CWM粒子は、薄片である。
【0032】
また、創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法において含まれ、かつ提供されるのは、当業者に既知の方法に従って、湿潤な創傷環境を維持するために、適切な非接着性の二次ドレッシング材を適用することである。最適な二次ドレッシング材は、創傷の位置、サイズ、深さ、及び使用者の好みによって、並びに医師及び他の熟練した開業医に既知である慣行に従って決定される。必要に応じて、湿潤な清潔な創傷領域を維持するために、二次ドレッシング材を交換する。二次ドレッシング材交換の頻度は、生成される滲出液の量及び使用されるドレッシング材のタイプに応じるであろう。
【0033】
本開示の態様では、治癒が生じると、CWMの粒子を含む微粒子化されたコラーゲン組成物の一部は、徐々に剥がれる場合があり、ドレッシング材交換中に除去されてもよいが、強制的に除去されない。態様では、微粒子化されたCWMは、ゲルを形成することができ、このゲルは、穏やかな灌流ですすぎ落とされ、本開示による追加の微粒子化されたCWMによって置き換えられて、治癒中の創傷の連続的かつ完全な被覆を確実にすることができる。本明細書に提供されるように、方法は、創傷を少なくとも毎週評価し、微粒子化されたCWMを再適用して、創傷の完全な被覆を確実にすることを更に含む。
【0034】
本明細書に提供されるように、それを必要とする対象は、創傷を有するヒト又は動物のいずれかである。態様では、必要とする対象は、ヒトである。
【0035】
態様では、創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法は、中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される創傷を有する対象を含む。
【0036】
態様では、創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法は、ドナー部位創傷、移植片創傷、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、又は足病的創傷、又は創傷離開からなる群から選択される手術による創傷を有する対象を含む。他の態様では、創傷は、擦過傷、裂傷、又は皮膚裂傷から選択される。
【0037】
態様では、創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法は、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、架橋された微粒子化されたコラーゲン組成物を創傷の全領域に適用することを含む。態様では、CWM粒子は、薄片である。
【0038】
態様では、創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法は、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物を創傷の全領域に適用することを含み、CWMの粒子が、抗菌剤を更に含む。一態様では、抗菌剤は、カチオン性抗菌剤である。別の態様では、抗菌剤は、四級アンモニウム化合物、ビスビグアニド、又はポリマー性ビグアニドである。他の態様では、抗菌剤は、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニドビグアニド(ポリヘキサニド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレングアニド、ポリ(イミノイミドカルボニル-イミノイミドカルボニルイミノヘキサメチレン)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリアミノプロピルビグアニド)、及びそれらの塩又は組み合わせからなる群から選択されるカチオン性抗菌剤である。ある特定の態様では、CWM粒子は、架橋されたCWMから調製される。
【0039】
態様では、創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法は、直径10~1200×10-6メートル(マイクロメートル、ミクロン、又はμm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物を創傷の全領域に適用することを含み、CWMの粒子が、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を更に含む。一態様では、PHMBは、乾燥された粒子の0.05重量%(w/w)未満の濃度で存在する。別の態様では、方法は、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)の濃度で存在するPHMBを提供する。更なる態様では、方法は、0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)の濃度で存在するPHMBを提供する。方法は、100ミリグラムの乾燥粉末当たり25未満の内毒素単位(EU)を有するコラーゲン創傷マトリックスの粒子を更に提供する。
【0040】
本開示は、中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される創傷の管理のための医薬品の製造における使用のための、直径10~1200μmの粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するCWMの粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物を含む、組成物の使用を提供し、かつ含む。態様では、手術による創傷は、ドナー部位創傷、移植片創傷、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、足部創傷、又は創傷離開である。ある特定の態様では、外傷性創傷は、擦過傷、裂傷、又は皮膚裂傷から選択される。
【0041】
B.定義
【0042】
「及び/又は」という用語は、2つ以上の項目の列挙で使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つが、それ自体で、又は列挙された項目のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて使用され得ることを意味する。例えば、「A及び/又はB」という表現は、A及びBのいずれか又は両方、すなわち、A単独、B単独、又はA及びBの組み合わせを意味することを意図している。「A、B、及び/又はC」という表現は、A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、又はA、B、及びCの組み合わせを意味することを意図している。
【0043】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数及び単数形の用語は、例えば、内容によって別段に明確に示されない限り、複数の参照を含む。
【0044】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在値が、本開示に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界に従って、これらも本開示に包含される。記述された範囲が、上限及び下限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれた上限及び下限の一方又は両方を除外する範囲もまた、本開示に含まれる。「含む」という語句が使用されるときはいつでも、「から本質的になる」及び「からなる」などの変形も企図される。
【0045】
本明細書で別段に定義されない限り、用語は、関連技術分野の当業者による従来の使用に従って理解されるものである。用語が単数形で記載される場合、本発明者らはまた、その用語の複数形によって説明される本開示の態様も企図する。参照によって組み込まれる参考文献で使用される用語及び定義に矛盾がある場合、本出願で使用される用語は、本明細書で与えられる定義を有するものとする。使用される他の技術用語は、当技術分野特定の様々な辞書、例えば、"The American Heritage(登録商標)Science Dictionary"(Editors of the American Heritage Dictionaries,2011,Houghton Mifflin Harcourt,Boston and New York)、又は"McGraw-Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms"(6th edition,2002,McGraw-Hill,New York)によって例示されているような、それらが使用される技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「マトリックス」という用語は、真核生物の細胞の間の物質又は組織を指し、「細胞外マトリックス」又は「ECM」という用語は、細胞の間及び細胞周囲に構造的かつ生化学的支持を提供し、身体全体を通じる組織及び臓器の足場として機能する細胞外巨大分子及び鉱物の構造を指す。細胞外マトリックスの主な成分は、マトリックスを組織し強化するコラーゲン繊維、並びにマトリックスに弾性及び反発力を提供するエラスチン繊維である。細胞外マトリックスは、間質マトリックス(すなわち、細胞内空間に存在するマトリックス)及び基底膜(すなわち、様々な上皮細胞が存在するシート様堆積物)を含む。細胞外マトリックスは、物理的支持を提供し、組織タイプを隔離し、細胞間コミュニケーションを調節し、細胞の動的挙動を調節するなどの、広範な機能を果たす。細胞外マトリックスはまた、放出時に、細胞機能の急速かつ局所的な成長因子媒介性活性化を可能にする、細胞成長因子を隔離又は保管することが可能である。細胞外マトリックスの形成は、成長、創傷治癒、及び線維形成のようなプロセスに不可欠であり、細胞外マトリックスは、(1)免疫系が炎症及び瘢痕組織による傷害に応答することを防止すること、並びに(2)傷害部位における周囲の細胞による瘢痕組織形成ではなく、損傷を受けた組織の修復を促進することによって、傷害を受けた組織の再成長及び治癒を引き起こすことが見出されている。
【0047】
本明細書で使用される場合、「創傷マトリックス」という用語は、創傷又は傷害部位に適用される細胞外マトリックスを指す。本明細書で使用される場合、「コラーゲン創傷マトリックス」又は「CWM」という用語は、その主な成分としてコラーゲンを含む、創傷マトリックスを指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「創傷管理」は、創傷が治癒するための適切な環境を提供することによって、患者の治癒能力を受動的に支援することを指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「微粒子化」は、固体材料の粒子の平均サイズを非常に微細な粒子まで低減することを指す。微粒子化のためのプロセスとしては、粉砕、研削、叩きつけ、及び粉砕が挙げられる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、中性複合体を形成するための化合物と対イオンとの組み合わせを指す。本明細書における使用に適した好適な塩及び薬学的に許容される塩に関する考察については、それらの各々はそれらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Berge et al.,"Pharmaceutical salts,"J.Pharm.Sci.66(1):1-19(1997)、及び"Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,selection and use",P.H.Stahl,P.G.Vermuth,IUPAC,Wiley-VCH(2002)を参照されたい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「多孔性」という用語は、材料又は組成物内の空隙(「空の」)空間の量を指す。多孔性は、総体積に対する空隙体積の割合として、又はパーセンテージとして表すことができる。多孔性は、窒素吸着、サーモポロメトリー、走査型電子顕微鏡法(SEM)、原子間力顕微鏡法、共焦点レーザー走査型顕微鏡法、核磁気共鳴法(NMR)、X線コンピュータ断層撮影法(CT)、及びテラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)を含む、多様な技術によって測定することができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、物質の「密度」は、単位体積当たりのその質量である。密度は、d=M/Vによって計算され、式中、dが、密度であり、Mが、質量であり、Vが、体積である。
【0053】
本明細書で使用される場合、「止血ドレッシング材」は、止血を促進し、血液の凝固時間を短縮する、創傷に適用するための物質である。止血ドレッシング材のタイプとしては、包帯、乾燥粉末、及びペーストが挙げられる。
【0054】
本開示について一般的に記載してきたが、本開示は、以下の実施例の参照を通じてより容易に理解され、実施例は、図によって提供されており、別段に特定されない限り、本開示を限定することを意図しない。
【0055】
本明細書で引用される各定期刊行物、特許、及び他の文書、又は参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
C.実施形態
【0057】
実施形態1.直径が10~1200マイクロメートル(μm)の粒径範囲、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物。
【0058】
実施形態2.CWMが、ブタI型コラーゲンを含む、実施形態1に記載の組成物。
【0059】
実施形態3.CWMが、天然ブタI型コラーゲンを含む、実施形態2に記載の組成物。
【0060】
実施形態4.天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない、実施形態3に記載の組成物。
【0061】
実施形態5.天然ブタI型コラーゲンを含むCWMが、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、45℃以上の変性温度を有する、実施形態3又は実施形態4に記載の組成物。
【0062】
実施形態6.組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲンを含む、実施形態3~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0063】
実施形態7.CWMが、架橋される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0064】
実施形態8.粒子が、薄片である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0065】
実施形態9.組成物が、ガンマ線照射される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0066】
実施形態10.組成物が、0.7重量%(w/w)未満の脂質を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
【0067】
実施形態11.組成物が、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
【0068】
実施形態12.組成物が、マイクロリットル当たり0.1ナノグラム(ng/μL)未満のDNAを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0069】
実施形態13.組成物が、抗菌剤を更に含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0070】
実施形態14.抗菌剤が、四級アンモニウム化合物、ビスビグアニド、及びポリマー性ビグアニドからなる群から選択されるカチオン性抗菌剤である、実施形態13に記載の組成物。
【0071】
実施形態15.カチオン性抗菌剤が、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニドビグアニド(ポリヘキサニド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレングアニド、ポリ(イミノイミドカルボニル-イミノイミドカルボニルイミノヘキサメチレン)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリアミノプロピルビグアニド)、及びそれらの塩又は組み合わせからなる群から選択される、実施形態14に記載の組成物。
【0072】
実施形態16.粒子が、ポリアミノプロピルビグアニドコーティングを更に含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の組成物。
【0073】
実施形態17.ポリアミノプロピルビグアニドコーティングが、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含む、実施形態16に記載の組成物。
【0074】
実施形態18.PHMBが、微粒子化の前に添加される、実施形態17に記載の組成物。
【0075】
実施形態19.PHMBが、乾燥粒子の0.05重量%(w/w)未満の濃度で存在する、実施形態17又は実施形態18に記載の組成物。
【0076】
実施形態20.PHMBが、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態19に記載の組成物。
【0077】
実施形態21.PHMBが、0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態20に記載の組成物。
【0078】
実施形態22.粒子の0.5%未満は、直径が1000μm超である、実施形態1~21のいずれか1つに記載の組成物。
【0079】
実施形態23.粒子が、湿潤粒子であり、組成物が、滅菌溶液を更に含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の組成物。
【0080】
実施形態24.滅菌溶液が、滅菌生理食塩水である、実施形態23に記載の組成物。
【0081】
実施形態25.湿潤粒子が、止血ペーストとして調製される、実施形態23又は実施形態24に記載の組成物。
【0082】
実施形態26.組成物が、100ミリグラム(mg)当たり25未満の内毒素単位(EU)を含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の組成物。
【0083】
実施形態27.組成物が、ワセリン又は油系担体を更に含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0084】
実施形態28.直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物が、ブタコラーゲンを含む、組成物。
【0085】
実施形態29.組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含む、実施形態28に記載の組成物。
【0086】
実施形態30.CWMが、ブタI型コラーゲンを含む、実施形態28又は実施形態29に記載の組成物。
【0087】
実施形態31.CWMが、天然ブタI型コラーゲンを含む、実施形態30に記載の組成物。
【0088】
実施形態32.天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない、実施形態31に記載の組成物。
【0089】
実施形態33.天然ブタI型コラーゲンを含むCWMが、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、45℃以上の変性温度を有する、実施形態31又は実施形態32に記載の組成物。
【0090】
実施形態34.組成物が、0.7重量%(w/w)未満の脂質を含む、実施形態28~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0091】
実施形態35.組成物が、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む、実施形態28~34のいずれか1つに記載の組成物。
【0092】
実施形態36.組成物が、ミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む、実施形態28~35のいずれか1つに記載の組成物。
【0093】
実施形態37.組成物が、ガンマ線照射される、実施形態28~36のいずれか1つに記載の組成物。
【0094】
実施形態38.CWMが、架橋される、実施形態28~37のいずれか1つに記載の組成物。
【0095】
実施形態39.粒子が、薄片である、実施形態28~38のいずれか1つに記載の組成物。
【0096】
実施形態40.組成物が、抗菌剤を更に含む、実施形態28~39のいずれか1つに記載の組成物。
【0097】
実施形態41.抗菌剤が、四級アンモニウム化合物、ビスビグアニド、及びポリマー性ビグアニドからなる群から選択されるカチオン性抗菌剤である、実施形態40に記載の組成物。
【0098】
実施形態42.カチオン性抗菌剤が、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニドビグアニド(ポリヘキサニド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレングアニド、ポリ(イミノイミドカルボニル-イミノイミドカルボニルイミノヘキサメチレン)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリアミノプロピルビグアニド)、及びそれらの塩又は組み合わせからなる群から選択される、実施形態41に記載の組成物。
【0099】
実施形態43.粒子が、ポリアミノプロピルビグアニドコーティングを更に含む、実施形態28~42のいずれか1つに記載の組成物。
【0100】
実施形態44.ポリアミノプロピルビグアニドコーティングが、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含む、実施形態43に記載の組成物。
【0101】
実施形態45.PHMBが、微粒子化の前に添加される、実施形態44に記載の組成物。
【0102】
実施形態46.PHMBが、乾燥粒子の0.05重量%(w/w)未満の濃度で存在する、実施形態44又は実施形態45に記載の組成物。
【0103】
実施形態47.PHMBが、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態46に記載の組成物。
【0104】
実施形態48.PHMBが、0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態47に記載の組成物。
【0105】
実施形態49.粒子が、湿潤粒子であり、組成物が、滅菌溶液を更に含む、実施形態28~48のいずれか1つに記載の組成物。
【0106】
実施形態50.滅菌溶液が、滅菌生理食塩水である、実施形態49に記載の組成物。
【0107】
実施形態51.湿潤粒子が、止血ペーストとして調製される、実施形態49又は実施形態50に記載の組成物。
【0108】
実施形態52.組成物が、100ミリグラム(mg)当たり25未満の内毒素単位(EU)を含む、実施形態28~51のいずれか1つに記載の組成物。
【0109】
実施形態53.組成物が、ワセリン又は油系担体を更に含む、実施形態28~52のいずれか1つに記載の組成物。
【0110】
実施形態54.対象の創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、創傷の破片及び壊死組織を清浄化することと、直径が10~1200マイクロメートル(μm)の粒径範囲、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物を創傷の全領域に適用することと、を含む、方法。
【0111】
実施形態55.創傷の縁部が、生存可能な組織を含有することを確実にするように、創傷を壊死組織除去することを更に含む、実施形態54に記載の方法。
【0112】
実施形態56.組成物を、滅菌生理食塩水、又は羊水、血液、骨髄穿刺液、若しくは血小板が豊富な血漿から選択される生体液で水和させて、ペーストを形成することを更に含む、実施形態54又は実施形態55に記載の方法。
【0113】
実施形態57.創傷のタイプ及び段階に適切な1つ以上の二次ドレッシング材を創傷に適用することを更に含む、実施形態54~56のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態58.微粒子化されたコラーゲン組成物は、創傷が治癒するまで、毎週創傷に適用される、実施形態54~57のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態59.創傷が、中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される、実施形態54~58のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態60.手術による創傷が、ドナー部位創傷、移植片創傷、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、足部創傷、又は創傷離開である、実施形態59に記載の方法。
【0117】
実施形態61.外傷性創傷が、擦過傷、裂傷、又は皮膚裂傷から選択される、実施形態59に記載の方法。
【0118】
実施形態63.CWMが、ブタI型コラーゲンを含む、実施形態54~61のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態64.CWMが、天然ブタI型コラーゲンを含む、実施形態63に記載の方法。
【0120】
実施形態65.天然ブタI型コラーゲンを含むCWMが、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、45℃以上の変性温度を有する、実施形態64に記載の方法。
【0121】
実施形態66.組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲンを含む、実施形態63~65のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態67.CWMが、架橋される、実施形態54~66のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
実施形態68.CWM粒子が、薄片である、実施形態54~67のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
実施形態69.組成物が、ガンマ線照射を受けている、実施形態54~68のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態70.組成物が、0.7重量%(w/w)未満の脂質を含む、実施形態54~69のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態71.組成物が、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む、実施形態54~70のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
実施形態72.組成物が、マイクロリットル当たり0.1ナノグラム(ng/μL)未満のDNAを含む、実施形態54~71のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態73.組成物が、抗菌剤を更に含む、実施形態54~72のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施形態74.抗菌剤が、四級アンモニウム化合物、ビスビグアニド、又はポリマー性ビグアニドからなる群から選択されるカチオン性抗菌剤である、実施形態73に記載の方法。
【0130】
実施形態75.カチオン性抗菌剤が、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニドビグアニド(ポリヘキサニド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレングアニド、ポリ(イミノイミドカルボニル-イミノイミドカルボニルイミノヘキサメチレン)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリアミノプロピルビグアニド)、及びそれらの塩又は組み合わせからなる群から選択される、実施形態74に記載の方法。
【0131】
実施形態76.粒子が、ポリアミノプロピルビグアニドコーティングを更に含む、実施形態54~75のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態77.ポリアミノプロピルビグアニドコーティングが、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含む、実施形態76に記載の方法。
【0133】
実施形態78.PHMBが、乾燥粒子の0.05重量%(w/w)未満の濃度で存在する、実施形態76又は実施形態77に記載の方法。
【0134】
実施形態79.PHMBが、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態78に記載の方法。
【0135】
実施形態80.PHMBが、0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態79に記載の方法。
【0136】
実施形態81.粒子の0.5%未満は、直径が1000μm超である、実施形態54~80のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態82.組成物が、100ミリグラム(mg)当たり25未満の内毒素単位(EU)を含む、実施形態54~81のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態83.創傷の管理を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、創傷の破片及び壊死組織を清浄化することと、微粒子化されたコラーゲン組成物を創傷の全領域に適用することと、を含み、組成物は、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含み、組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲンを含む、方法。
【0139】
実施形態84.創傷の縁部が、生存可能な組織を含有することを確実にするように、創傷を壊死組織除去することを更に含む、実施形態83に記載の方法。
【0140】
実施形態85.組成物を、滅菌生理食塩水、又は羊水、血液、骨髄穿刺液、若しくは血小板が豊富な血漿から選択される生体液で水和させて、ペーストを形成することを更に含む、実施形態83又は実施形態84に記載の方法。
【0141】
実施形態86.創傷のタイプ及び段階に適切な1つ以上の二次ドレッシング材を創傷に適用することを更に含む、実施形態83~85のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態87.微粒子化されたコラーゲン組成物は、創傷が治癒するまで、毎週創傷に適用される、実施形態83~86のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態88.創傷が、中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される、実施形態83~87のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態89.手術による創傷が、ドナー部位創傷、移植片創傷、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、足部創傷、又は創傷離開である、実施形態88に記載の方法。
【0145】
実施形態90.外傷性創傷が、擦過傷、裂傷、又は皮膚裂傷から選択される、実施形態88に記載の方法。
【0146】
実施形態91.CWMが、ブタI型コラーゲンを含む、実施形態83~89のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態92.CWMが、天然ブタI型コラーゲンを含む、実施形態91に記載の方法。
【0148】
実施形態93.天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない、実施形態92に記載の方法。
【0149】
実施形態94.天然ブタI型コラーゲンを含むCWMが、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、45℃以上の変性温度を有する、実施形態92又は実施形態93に記載の方法。
【0150】
実施形態95.組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲンを含む、実施形態92~94のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
実施形態96.CWMが、架橋される、実施形態83~95のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
実施形態97.CWM粒子が、薄片である、実施形態83~96のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
実施形態98.組成物が、ガンマ線照射を受けている、実施形態83~97のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態99.組成物が、0.7重量%(w/w)未満の脂質を含む、実施形態83~98のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
実施形態100.組成物が、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカンを含む、実施形態83~99のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
実施形態101.組成物が、マイクロリットル当たり0.1ナノグラム(ng/μL)未満のDNAを含む、実施形態83~100のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態102.組成物が、抗菌剤を更に含む、実施形態93~101のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
実施形態103.抗菌剤が、四級アンモニウム化合物、ビスビグアニド、又はポリマー性ビグアニドからなる群から選択されるカチオン性抗菌剤である、実施形態102に記載の方法。
【0159】
実施形態104.カチオン性抗菌剤が、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニドビグアニド(ポリヘキサニド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレングアニド、ポリ(イミノイミドカルボニル-イミノイミドカルボニルイミノヘキサメチレン)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリアミノプロピルビグアニド)、及びそれらの塩又は組み合わせからなる群から選択される、実施形態103に記載の方法。
【0160】
実施形態105.粒子が、ポリアミノプロピルビグアニドコーティングを更に含む、実施形態83~104のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
実施形態106.ポリアミノプロピルビグアニドコーティングが、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含む、実施形態105に記載の方法。
【0162】
実施形態107.PHMBが、乾燥粒子の0.05重量%(w/w)未満の濃度で存在する、実施形態106に記載の方法。
【0163】
実施形態108.PHMBが、0.001重量%(w/w)~0.045重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態107に記載の方法。
【0164】
実施形態109.PHMBが、0.01重量%(w/w)~0.02重量%(w/w)の濃度で存在する、実施形態108に記載の方法。
【0165】
実施形態110.組成物が、100ミリグラム(mg)当たり25未満の内毒素単位(EU)を含む、実施形態83~109のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
実施形態111.中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される創傷の管理のための医薬品の製造における使用のための、直径が10~1200マイクロメートル(μm)の粒径、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物。
【0167】
実施形態112.手術による創傷が、ドナー部位創傷、移植片創傷、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、足部創傷、又は創傷離開である、実施形態111に記載の使用のための組成物。
【0168】
実施形態113.外傷性創傷が、擦過傷、裂傷、又は皮膚裂傷から選択される、実施形態111に記載の使用のための組成物。
【0169】
実施形態114.中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される創傷の管理のための医薬品の製造における使用のための、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む、組成物。
【0170】
実施形態115.天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない、実施形態114に記載の使用のための組成物。
【0171】
実施形態116.手術による創傷が、ドナー部位創傷、移植片創傷、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、足部創傷、又は創傷離開である、実施形態114又は実施形態115に記載の使用のための組成物。
【0172】
実施形態117.外傷性創傷が、擦過傷、裂傷、又は皮膚裂傷から選択される、実施形態114又は実施形態115に記載の使用のための組成物。
【0173】
実施形態118.コラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む微粒子化されたコラーゲン組成物を生成する方法であって、ブタの小腸から腸コラーゲン層(ICL)を生成することと、ICLを化学的に清浄化して、化学的に清浄化されたICLを生成することと、化学的に清浄化されたICLを乾燥させて、乾燥させた化学的に清浄化されたICLを生成することと、乾燥させた化学的に清浄化されたICLを粉砕して、直径が10~1200ミクロン(μm)の粒径範囲、55~95%の多孔性、及び0.4~1.4グラム/ミリリットル(g/ml)の密度を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む微粒子化されたコラーゲン組成物を生成することと、を含む、方法。
【0174】
実施形態119.組成物をガンマ線で照射することを更に含む、実施形態118に記載の方法。
【0175】
実施形態120.ICLを生成することが、小腸を腸シートへと整えることと、腸シートから内側粘膜層及び外側粘膜層を機械的に除去して、腸コラーゲン層(ICL)を形成することと、を含む、実施形態118又は実施形態119に記載の方法。
【0176】
実施形態121.化学的に清浄化することが、腸コラーゲン層(ICL)を11~12のpHでインキュベートし、続いて、0~1のpHでインキュベートし、続いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中7~7.4のpHでインキュベートすることを含む、実施形態118~120のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態122.組成物を1つ以上の単回使用パッケージへと包装することを更に含む、実施形態118~121のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
実施形態123.1つ以上の単回使用パッケージの各々が、100ミリグラム(mg)、500mg、又は1000mgの組成物を収容する、実施形態122に記載の方法。
【0179】
実施形態124.使用前最大8ヶ月の間、1つ以上の単回使用パッケージを保管することを更に含む、実施形態122又は実施形態123に記載の方法。
【0180】
実施形態125.コラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む微粒子化されたコラーゲン組成物を生成する方法であって、ブタの小腸から腸コラーゲン層(ICL)を生成することと、ICLを化学的に清浄化して、化学的に清浄化されたICLを生成することと、化学的に清浄化されたICLを乾燥させて、乾燥させた化学的に清浄化されたICLを生成することと、乾燥させた化学的に清浄化されたICLを粉砕して、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む微粒子化されたコラーゲン組成物を生成することと、を含み、組成物が、95重量%(w/w)超のブタコラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含む、方法。
【0181】
実施形態126.ブタコラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない天然ブタI型コラーゲンである、実施形態125に記載の方法。
【0182】
実施形態127.組成物をガンマ線で照射することを更に含む、実施形態125又は実施形態126に記載の方法。
【0183】
実施形態128.ICLを生成することが、小腸を腸シートへと整えることと、腸シートから内側粘膜層及び外側粘膜層を機械的に除去して、腸コラーゲン層(ICL)を形成することと、を含む、実施形態125~127のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
実施形態129.化学的に清浄化することが、腸コラーゲン層(ICL)を11~12のpHでインキュベートし、続いて、0~1のpHでインキュベートし、続いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中7~7.4のpHでインキュベートすることを含む、実施形態125~128のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
実施形態130.組成物を1つ以上の単回使用パッケージへと包装することを更に含む、実施形態125~129のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態131.1つ以上の単回使用パッケージの各々が、100ミリグラム(mg)、500mg、又は1000mgの組成物を収容する、実施形態130に記載の方法。
【0187】
実施形態132.使用前最大8ヶ月の間、1つ以上の単回使用パッケージを保管することを更に含む、実施形態130又は実施形態131に記載の方法。
【0188】
実施形態133.直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含み、天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まない、組成物。
【0189】
実施形態134.組成物が、ガンマ線照射される、実施形態133に記載の組成物。
【0190】
実施形態135.直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含み、天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まず、粒子が、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含むポリアミノプロピルビグアニドコーティングを更に含む、組成物。
【0191】
実施形態136.組成物が、ガンマ線照射される、実施形態135に記載の組成物。
【0192】
実施形態137.中間層創傷、全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状創傷、ポケット状創傷、手術による創傷、創傷離開、外傷性創傷、II度熱傷、及び排液性創傷からなる群から選択される創傷の管理のための医薬品の製造における使用のための、直径が1000マイクロメートル(μm)以下の平均粒径を有するコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粒子を含む、微粒子化されたコラーゲン組成物であって、組成物が、95重量%(w/w)超の天然ブタI型コラーゲン、0.7重量%(w/w)未満の脂質、1.0重量%(w/w)未満のグリコサミノグリカン、及びミリリットル当たり0.1ナノグラム(ng/ml)未満のDNAを含み、天然ブタI型コラーゲンが、細胞及び細胞残滓を含まず、粒子が、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含むポリアミノプロピルビグアニドコーティングを更に含む、組成物。
【0193】
実施形態138.組成物が、ガンマ線照射される、実施形態137の使用のための組成物。
【実施例
【0194】
実施例1:腸コラーゲン層(ICL)の調製
【0195】
ブタ腸コラーゲンは、本質的には、米国特許第5,993,844号に記載されるように調製する。簡単に述べると、ブタの小腸を収穫し、対向するローラ間で原料を機械的に絞り、水を使用して洗浄することによって、被膜粘膜下層(tunica submucosa)を薄層化し分離するように、シートへと整え、機械的に剥ぎ取り、清浄化する。小腸の被膜粘膜下層は、周囲の組織よりも比較的硬く、固く、ローラによって、より柔らかい成分を粘膜下層から絞る。腸を下向きに縦方向に内腔まで切断し、次いで15cmの切片へと切断する。材料を秤量し、腸管材料に対して約100:1v/vの溶液の比で容器に置く。
【0196】
次いで、最大1.5mの腸/1Lの比の1リットルのフィルタ滅菌した100mMのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(EDTA)/10mMの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で、生じた腸材料を処理し、約200rpmで約18時間の間、振盪器テーブル上に置く。振盪後、EDTA/NaOH溶液を各容器から除去する。およそ1リットルのフィルタ滅菌した1Mの塩酸(HCl)/1Mの塩化ナトリウム(NaCl)溶液を各容器に添加し、次いで、約200rpmで約6~8時間の間、振盪器テーブル上に置く。振盪後、HCl/NaCl溶液を各容器から除去し、およそ1リットルの0.22mmフィルタ滅菌した1Mの塩化ナトリウム(NaCl)/10mMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の溶液で置き換える。容器を、200rpmでおよそ18時間の間、振盪器テーブル上に置く。振盪後、NaCl/PBS溶液を各容器から除去し、およそ1リットルのフィルタ滅菌した10mMのPBSで置き換える。次いで、容器を、200rpmで約2時間の間、振盪器テーブル上に置く。振盪後、リン酸緩衝食塩水を各容器から除去し、およそ1リットルの0.22mmフィルタ滅菌した水で置き換える。容器を、200rpmで約1時間の間、振盪器テーブル上に置く。振盪後、次いで水を各容器から除去し、生じた腸コラーゲン層(ICL)を乾燥させる。処理した試料は、細胞及び細胞破片を含まない。ICLは、新鮮なまま使用しても、又は後で使用するために冷凍してもよい。
【0197】
実施例2:腸コラーゲン層(ICL)の化学的清浄化
【0198】
米国特許第6,893,653号に記載されるように、生じたコラーゲンマトリックスが、その構造的組織、完全性、及び生体再構築特性を保持するように、膨張及び崩壊の量を制御しながら、アルカリ剤、キレート剤、酸、及び塩による処理によって、実施例1に記載されるように調製されたICLを化学的に清浄化して、組織マトリックスから非コラーゲン成分を除去する。簡単に述べると、ICLは、新鮮なまま使用するか、又は55℃未満の温度で解凍し、縦方向に切断して使用し、精製水USP中に置く。全ての溶液は、使用前にフィルタ滅菌する(0.2μmフィルタ)。
【0199】
切断したICLを、清浄化溶液(100mMのEDTA/10mMのNaOH)中に16~20時間の間置く。清浄化したICLを、第2の清浄化溶液(1MのHCl/1MのNaCl)に移し、6~8時間の間撹拌し、次いで、1MのNaCl/1×PBSですすぎ、16~20時間の間撹拌する。1×PBS中での2回目のすすぎを、撹拌しながら2~8時間の間実施し、続いて撹拌しながら2~8時間の間、精製水で最後のすすぎを実施する。洗浄及び処理した試料は、0.016μg/mg以下のDNAを含む。機械的及び化学的に清浄化したICLは、新鮮なまま使用しても、又は後で使用するために冷凍してもよい。
【0200】
実施例3:粉砕に対する湿度の影響
【0201】
ブタコラーゲン創傷マトリックス(CWM)の粉砕に対する保管湿度の影響は、粉砕前に少なくとも2時間の間、表1に示されるように実験群ごとの湿度条件下で粉砕していないCWM中間体を保管することによって決定する。乾燥させた試料を、新鮮な乾燥剤と共に乾燥チャンバ内に置き、密封する。高湿度試料を、所望の湿度パーセント及び室温に設定したインキュベータ内に置く。試料を25Hzで5分間粉砕し、15mLの円錐形チューブへと1000μm未満でふるい落とす。外観の変化について、試料を観察する。
【0202】
【表1】
【0203】
結果は、65%超の湿度が、CWMの粉砕性を低減し、色に影響を与え、ふるい分け中に材料の凝集及び損失をもたらすことを示している。
【0204】
実施例4:ICLの乾燥及び粉砕に対するICL形状の影響
【0205】
粒径、静電気、及び再現性に対する、腸コラーゲン層(ICL)を乾燥させることの影響を調査する。実施例1に記載されるように、層化したICLを調製する。3つの異なる形態のICLを評価し、PHMB(例えば、PuraPly(登録商標)AM)を含有する層化された架橋されたICLと以下のように比較する:1.対照層化、切断、ICL;2.層化ICL、折り畳んだが切断せず;3.細長いICL(非層化、ヌードル形状)、及び4.成形したICL(粉砕カップ内で形成、ナゲット)。細長いICLは、ICLを乾燥トレイ上に伸ばすが、広げないことによって調製する。粉砕カップの形状のICL(ナゲット)は、ICLを粉砕カップ内に置き、形状を変化させずに乾燥トレイに移すことによって作製する。成形後、空気流を用いる乾燥キャビネット内で、ICLを24時間の間乾燥させる。乾燥させたICLを取り出し、粉砕前に保管する。
【0206】
室温の25Hzで5分間の間Reich Ball Mill MM400を使用して、乾燥させたICLを粉砕する。対照ICLを、粉砕カップ程度の大きさの細片へと切断し、粉砕カップの約3分の1又は約1グラムの材料を充填する。折り畳んだICLは、切断せずに、粉砕カップに収まるように折り畳む。1つのICLは、単一の粉砕カップに収まる。ハサミでおよそ2cmの長さの細片へとヌードルを切断し、カップ当たり約0.5~2本のヌードルを粉砕カップに置く。個々のナゲットを、単一の粉砕カップに置く。全ての試料は、1000μm未満の孔径を有するステンレス鋼ふるいに通して、より大きい粒子を除去し、粉砕後に1000μm未満の粒子を収集する。次いで、試料をバイアルに充填する。
【0207】
対照ICLは、予想通りに粉末を生じ、1329.68mgの粉末が得られるが、しかしながら、生じた粉末は、高い静電荷を受けるので、作業が困難になる。
【0208】
折り畳んだICLは、正しく粉砕されず、顕著な量のふるいを通過することが可能ではない材料が残る。ヌードルは、良好に粉砕され、ふるいを通過するオフホワイトの粉末を生じる。粉末は、対照粉末よりもふわふわしているように思われる。1つの粉砕カップ内で粉砕した2つのヌードルは、1262.45mgの粉末を生じ、1つのカップ内で粉砕した1つのヌードルは、737.57mgの粉末を生じる。4つのナゲットのうちの1つは、適切に粉砕されず、灰色の粉末を生じ、顕著な量のふるいを通過しない材料が残る。残りの3つのナゲットは、良好に粉砕され、オフホワイトの粉末を生じる。
【0209】
乾燥させたICLヌードルは、満足のいく粉末を生じ、手間を低減し、微粒子化プロセスの効率を増加させる。乾燥させたICLナゲットは、許容可能な粉末を一貫して生じず、微粒子化されたICLを生成するには、乾燥させたICLヌードルに比べてあまり理想的ではない。
【0210】
実施例5:試料充填の影響
【0211】
キャニスターへのCWMの充填は、微粒子化された粉末の収率に影響を及ぼす。キャニスター充填の影響を、表2に示される3つの条件下で評価する。
【0212】
【表2】
【0213】
乾燥させたICLストリップを、およそ2cmのサイズまで切断し、秤量し、実験群に従ってキャニスター内に充填する。試料を25Hzで5分間の間粉砕し、次いで、1000μm未満のカットオフで秤量ボートへとふるい落とす。微粒子化された粉末の重量を記録する。ふるいを通過しなかった粒子もまた、秤量ボートに置き、秤量した。
【0214】
【表3】
【0215】
適度に充填された状態は、最も高いパーセンテージの製品へと微粒子化された試料を生じるが、大量に充填された状態は、最も多い量のふるいに残った粉末を生じる。
【0216】
実施例6:微粒子化された調製物の粒径特徴評価
【0217】
微粒子化された乾燥させたICLを上記のように調製し、次いで、Microtrac S3500トリ-レーザーシステムを使用して、レーザー光散乱粒径分析によって粒径を評価する。試験間での遅延を伴わない3回の実験の平均の結果を、以下に提供する。流量は、55%であり、湿潤試料を試験する前に3回の脱気サイクルを実施する。乾燥試料を、turbotrac feederシステムを使用して分析する。
【0218】
粒度特徴及び多孔性について、1グラムの各試料から始め、バルク粉末を評価する。試料Aでは、微粒子化された試料を直接試験する。試料Bでは、バルク粉末を700~800μmのふるいに通した。各試料について、以下の値を収集する:MV=平均体積平均直径、MN=平均数平均直径、MA=平均面積平均直径、CS=想定される球形幾何学に基づいて計算した表面積、SD=標準偏差、Mz=グラフ平均粒径、σι=包括的なグラフによる標準偏差(Inclusive Graphic Standard Deviation)、Ski=包括的なグラフによる歪度、及びKg=分布の尖度(ピーク度)。
【0219】
湿潤分析のために、およそ0.625mlの十分に混合された試料を、0.25mlの2%のTriton X100界面活性剤で湿潤させる。60mlの脱イオン水を添加し、試料採取するために1mlのアリコートを除去しながら、オーバーヘッド撹拌バーによって溶液を撹拌する。
【0220】
走査電子顕微鏡(SEM)を使用して、粒子を更に特徴評価すると、プロセス全体を通じて、天然コラーゲン(collagen)構造を保持する個々のコラーゲン繊維を有する平らな薄片を含むことが観察される。
【0221】
【表4】
【0222】
【表5】
【0223】
【表6】
【0224】
【表7】
【0225】
実施例7:微粒子化された調製物の多孔性特徴評価
【0226】
水銀圧入/押出を使用して、上記の試料Aの微粒子の多孔性を調べる。水銀圧入/押出は、水銀(非湿潤性液体)を厳密に制御された圧力下で多孔質構造に強制的に入れることに基づいており、900μm~3nmの細孔を測定することができる。この方法では、ほとんどの物質に対して非湿潤性である水銀を、外部圧力を加えることによって、試料中の空隙に強制的に入れる。空隙を充填するために必要な圧力は、細孔のサイズに反比例する。水銀圧入/押出によって、総細孔体積、総細孔面積、中央細孔直径、かさ密度、骨格密度、及び多孔性パーセントの計算が可能になる。結果を表8に提示する。
【0227】
【表8】
【0228】
実施例8:コラーゲンペーストの調製
【0229】
米国特許第4,891,359号に記載されるように、実施例4に記載の微粒子化されたブタコラーゲン創傷マトリックス(CWM)を使用するコラーゲンペーストを調製する。コラーゲンペーストは、不規則な形状又はトンネル状創傷を管理するのに有用であり、並びに止血剤として有用である。
【0230】
2つのペーストの一貫性:薄いペーストの場合には高い液体のパーセンテージ、生地のようなペーストの場合には低い液体のパーセンテージで、調製する。加えて、2つの異なるメッシュサイズの微粒子化されたブタコラーゲン創傷マトリックス(CWM)を使用して、表9に提供されるようにリン酸緩衝生理食塩水を使用して、ペーストを作製する。
【0231】
【表9】
【0232】
1グラムの粉砕された微粒子化されたCWMを、実施例6に提供されているように調製し、表10に提供されているようにPBSを添加する。試料を、1分未満で均質な一貫性まで混合する。
【0233】
【表10】
【0234】
条件1は、粉末よりも多く液体を有し、皮膚に粘着しない、非常に薄いペーストを生じる。条件2は、成形することができ、皮膚に粘着しない、濃く生地のようなペーストを生じる。条件3のペーストは、条件1のペーストよりも濃いが、依然として薄く、皮膚に粘着しない。条件4は、簡単に成形することができる、非常に濃い生地のようなペーストを生じる。条件4のペーストは、皮膚に粘着する。
【0235】
実施例10:微粒子化されたブタコラーゲン創傷マトリックス粉末デバイス
【0236】
実施例4に記載の微粒子化されたブタコラーゲン創傷マトリックス(CWM)は、創傷の管理を目的とした滅菌単回使用粉末デバイスとして提供する。それは、乾燥した、吸収性の、白色からオフホワイト/淡黄色の粉末であり、1000μm以下の粒径分布を有する。微粒子化された粉末デバイスは、0.7%未満の脂質、及び検出不可能なレベルのグリコサミノグリカン(1.0%)、及びDNA(0.1ng/μl)と共に、主に、その天然形態の精製されたブタI型コラーゲン(>95%)からなり、ブタ腸コラーゲンは、細胞及び細胞残滓を含まない。微粒子化された粉末デバイスは、以下のサイズ:100mg、500mg、及び1000mgで提供する。
【0237】
微粒子化された粉末デバイスは、識別された創傷のための湿潤な創傷環境を作成及び維持するのに役立つ。デバイスは、乾燥粉末として適用され、次いで、滲出液を吸収することによって水和される。代替的に、微粒子化された粉末デバイスは、滅菌生理食塩水などの適切な滅菌溶液を適用する前に、水和させてもよい。デバイスの微粒子化された形態は、コラーゲンマトリックスが流体を吸収及び保持し、吸収される流体の量に応じてペースト又はゲルを形成しながら、トンネル状創傷を含む不均一又は不規則な形状の創傷に適合することを可能にする。デバイスと滲出液との間、又はデバイスと滅菌溶液との間の混合比は、管理される創傷のタイプに適切な創傷管理環境を提供するように調整することができる。デバイスは、(混合物のpHの観点から測定して)水和される流体の酸性/アルカリ性のレベルに影響を与えない。これらの特色は、湿潤な創傷環境を維持することを目的とする効果を達成することを容易にする。
【0238】
微粒子化された粉末デバイスの重要なパラメータを、表11に提供する。
【0239】
【表11】
【0240】
実施例11:微粒子化されたブタコラーゲン創傷マトリックス粉末デバイスの調製
【0241】
実施例10の微粒子化されたブタCWM粉末デバイスは、以下のように調製する。健康とみなされているおよそ450lb以上の大型ブタの小腸からのブタ腸組織を、組織を収集することができる動物の健康状態及び年齢を指定する定義された手順に従って取得する。小腸から手動で腸間膜脂肪及び膜を除去する。次いで、小腸を熱水(40~49℃[105~120°F])中ですすぎ、一連のローラに通して機械的に処理して、内側粘膜層及び外側筋肉層を除去し、コラーゲン性粘膜下層を残す。機械的に清浄化した粘膜下層を、その後の処理まで冷凍する。
【0242】
機械的に清浄化した粘膜下層を、45~55℃(113~131°F)の温度で15~45分間の間解凍する。次いで、粘膜下層の管をリンパタグの間で長手方向に切り開いて、シートを生じる。次いで、2つの別々の化学的清浄化ステップを使用して、組織を更に精製する。化学的清浄化プロセスは、またウイルスを不活性化しながら、細胞、細胞残滓、脂質、DNA、グリコサミノグリカン、及び上皮基底膜成分を除去する。プロセスは、精製されたコラーゲンシートを生じる。
【0243】
化学的清浄化プロセスは、以下からなる:(1)最大1.5m/1Lの比で11~12のpHの撹拌した10mMの水酸化ナトリウム(NaOH)中100mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)中で16~20時間の間インキュベートすること、(2)最大1.5m/1Lの比でpH0~1の撹拌した1Mの塩酸ナトリウム(NaCl)中1Mの塩酸塩(HCl)中で6~8時間の間インキュベートすること、(3)pH7~7.4の10mMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中1MのNaCl中で16~20時間の間インキュベートすること、(4)pH7~7.4の10mMのPBS単独中で2~8時間インキュベートすることと、(5)注射用水のUSP基準を満たすか、又はそれを超える滅菌水中で各々2~8時間の間2回連続してすすぎを実施すること。化学的に清浄化した腸コラーゲン材料を、密封したバッグ内でその後の処理まで-20℃で冷凍する。
【0244】
更なる処理を、制御されたクリーンルーム環境で実施する。化学的に清浄化した腸コラーゲンを、45~55℃(113~131°F)の温度で10~20分間解凍する。コラーゲンシートを平らにし、余分な材料について検査し、周囲湿度で乾燥させる。乾燥させたコラーゲンは、微粒子化されたブタCWM粉末デバイスの基礎生体材料として機能する。微粒子化されたブタCWM粉末デバイスを生成するために、乾燥させたコラーゲンを粉砕し、包装し、ガンマ線照射で滅菌する。
【0245】
実施例12:微粒子化されたブタコラーゲン創傷マトリックス粉末デバイスのウイルス不活性化検証
【0246】
上の実施例11に記載の化学的清浄化ステップのうちの2つ、(1)NaOH/EDTAアルカリキレート溶液(pH11~12)インキュベーションステップ、及び(2)HCl/NaCl酸性塩溶液(pH0~1)インキュベーションステップを、4つの関連するモデルウイルスに対するウイルス不活性化について試験する。4つのモデルウイルスは、原料ブタ材料に基づいて選択し、幅広い物理化学的特性、DNAに基づくエンベロープウイルス及び非エンベロープウイルス、並びにRNAに基づくエンベロープウイルス及び非エンベロープウイルスを表す。試験したウイルスは、仮性狂犬病ウイルス(PRV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、レオウイルス-3(Reo-3)、及びブタパルボウイルス(PPV)である。
【0247】
表12に示されるように、2つの化学的清浄化ステップの累積ウイルス不活性化は、4つ全てのモデルウイルスについて10超のクリアランスを提供する。このデータは、化学的清浄化手順が、多種多様なウイルス剤の不活性化の潜在性を維持する、堅牢かつ効果的なプロセスであることを示している。
【0248】
【表12】
【0249】
実施例13:微粒子化されたブタコラーゲン創傷マトリックス粉末デバイスを使用した創傷の管理
【0250】
実施例10の微粒子化されたブタCWM粉末デバイスは、創傷の管理のための単回使用デバイスとして使用される。微粒子化されたブタCWM粉末デバイスを、発生から創傷の期間中毎週適用し、以下の5つのステップに従って、無菌技術を使用して取り扱う。
【0251】
第1に、標準的な方法を使用して、創傷が破片及び壊死組織を含まないことを確実にするように創傷領域を準備する。必要に応じて、創傷縁部が生存可能な組織を含有することを確実にするように、創傷を外科的に壊死組織除去する。
【0252】
第2に、所望の創傷領域の上にデバイスをそっと適用し、単一デバイスが被覆することができるよりも創傷が大きい場合、複数のデバイスを適用する。代替的に、乾燥粉末を適用することが創傷の位置及び/又は形状によって困難である場合、微粒子化されたブタCWM粉末を滅菌溶液で水和させて、デバイスの適用に役立つようにペーストを形成する。製品を適切なサイズの滅菌容器に移し、所望の一貫性が得られるまで滅菌溶液をゆっくりと添加することによって、水和を実施する。次いで、水和されたデバイスを創傷床に直接適用する。
【0253】
第3に、創傷管理を受ける創傷に、非接着性ドレッシング材を適用する。
【0254】
第4に、創傷のタイプ及び段階に適した二次ドレッシング材を、非接着性ドレッシング材の上に適用する。非接着性二次ドレッシング材は、湿潤な創傷環境を維持し、創傷の位置、サイズ、深さ、及び患者の好みに基づいて選択する。必要に応じて、湿潤な清潔な創傷領域を維持するために、二次ドレッシング材を交換する。二次ドレッシング材交換の頻度は、生成される滲出液の体積及び使用される二次ドレッシング材のタイプに応じる。
【0255】
第5に、創傷治癒を評価するために、創傷を毎週再評価する。必要に応じて、追加の微粒子化されたブタCWM粉末デバイスを毎週創傷に適用する。また、適用されるデバイスが、治癒プロセス中の任意の時点で創傷をもはや被覆していない場合、その時点で、少なくとも1つの追加の微粒子化されたブタCWM粉末デバイスを創傷に適用する。創傷治癒が進行するにつれて、適用されるデバイスの一部が、徐々に剥がれる場合があり、必要な場合、ドレッシング材交換中に薄片を穏やかに除去する。代替的に、創傷治癒が進行するにつれて、適用されたデバイスは、キャラメル色のゲルへと変化し得、必要な場合、ゲルを、穏やかな灌流によってすすぎ落とす。
【0256】
上記の5段階の手順に従って、微粒子化されたブタCWM粉末デバイスを毎週適用することによって、全創傷の95%超について、完全又はほぼ完全な創傷治癒を達成することを試験する。創傷は、以下のタイプ:中間層及び全層創傷、圧迫性潰瘍、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、慢性血管性潰瘍、トンネル状/ポケット状創傷、手術による創傷(例えば、ドナー部位/移植片、Mohs手術後創傷、レーザー手術後創傷、足病創傷、及び創傷離開)、外傷性創傷(例えば、擦過傷、裂傷、及び皮膚裂傷)、中間層熱傷、及び排液性創傷のものである。創傷管理を受ける創傷の視覚的な皮膚検査によって、創傷治癒を評価し、必要な場合、微粒子化されたブタCWM粉末デバイスを再適用する前に、毎週実施する。創傷治癒は、(a)止血、(b)炎症、(c)増殖、及び(d)再構築の4つの段階に分けられ、管理される創傷は、再構築段階が完了したことを視覚的評価が示すと、完全に治癒されたと決定する。
図1A
図1B
図1C
【国際調査報告】