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特表2024-528707in‐vitro診断のための参照材料としての血液マトリックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】in‐vitro診断のための参照材料としての血液マトリックス
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6804 20180101AFI20240723BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240723BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240723BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240723BHJP
   G01N 33/96 20060101ALI20240723BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C12Q1/6804 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/02
G01N33/96
G01N33/50 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024503924
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022070560
(87)【国際公開番号】W WO2023001991
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21187066.2
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522282689
【氏名又は名称】センスアイディー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァーク,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ルーキン,アンジェリカ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045BB31
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045CB21
2G045DA01
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA16
2G045DA20
2G045DA31
2G045DA36
2G045DA37
2G045DA38
2G045DA40
2G045DA42
2G045DA53
2G045DA63
2G045DA64
2G045DA69
2G045DA70
2G045DA78
2G045DA80
2G045DB04
2G045DB06
2G045DB07
2G045DB08
2G045DB09
2G045DB10
2G045DB11
2G045DB16
2G045FB02
4B063QA13
4B063QQ03
4B063QQ05
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS08
4B063QS10
4B063QS25
4B063QS36
(57)【要約】
【課題】診断、特にin‐vitro診断を実施するための改善された方法を提供する。血液または他の実施の形態のうちの1つが、この問題を解決するための参照材料として使用される。
【解決手段】診断特にin‐vitro診断、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または次世代シーケンシング(NGS)などの核酸のシーケンシング方法を使用する診断における使用のための、血液マトリックスに基づく新しい参照材料と、検証(特に、非侵襲的液体生検)を含む、その製造のための方法と、それらの両方を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血液を含む参照材料の使用であって、安定化剤が添加される、使用。
【請求項2】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用であって、安定化剤が添加される、使用。
【請求項3】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用であって、前記血漿または前記血清が、アルブミンおよび表1の5種の成分または最大30種の成分から構成される、使用。
【請求項4】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用であって、前記血漿または前記血清が、アルブミンおよび表1の最大76種の成分から構成される、使用。
【請求項5】
前記血漿または前記血清が、ヒトからも動物からも提供されない、請求項3または請求項4に記載の、核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の、核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における参照材料を調製するための方法であって、血漿または血清が血球に添加され、安定化剤が添加される、方法。
【請求項7】
前記血漿または前記血清が、規定値の成分および/または生物学的材料を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項8】
前記血漿または前記血清が、gDNA、フラグメント化DNA 腫瘍関連および非腫瘍関連のメチル化または非メチル化cfDNA、ヒストン結合DNA、環状DNA、ミトコンドリアDNA、一本鎖または二本鎖DNA、ctDNA、RNA、メチル化または非メチル化RNA、miRNA、tRNA、scRNA、rRNA、mRNA、腫瘍核酸、スパイク核酸、エクソソーム、タンパク質、ペプチド、細胞外小胞、エクソソームからなる群から選択される少なくとも1つの成分を、特に、以下の範囲、1~1500ngのDNA/ml、特に、妊娠中の女性では胎児cfDNAが2~15%であるcfDNAの割合、1~1000ngのRNA/mlで含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項9】
前記血漿または前記血清が、細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)からなる群から選択される少なくとも1つの生物学的材料を、特に、以下の範囲、1~100,000個のウイルス/ml、1~100,000個の細菌/ml、1~100,000個の真菌/ml、1~100,000個の真菌胞子/ml、1~100,000個の寄生虫/ml、1~1,000個の腫瘍細胞/ml、または1~1,000個の内皮細胞/mlで含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項10】
前記安定化剤が、架橋安定化剤、アルコール性安定化剤、および/または抗凝固剤、特に、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、およびアクロレインからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなる化学物質および/または少なくとも1つの生物学的材料、特に、i.)バイオマーカー、分析物、活性物質、抗体、抗原、もしくは医薬、またはii.)細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)、が添加される、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項12】
検証曲線または校正曲線が、前記参照材料を使用して作成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項13】
核酸の前記シーケンシング方法が、PCR、qPCR(リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応)、デジタル液滴PCR(ddPCR)、または「次世代シーケンシング」(NGS)によって実施されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項14】
前記参照材料が、特に、腫瘍診断、妊娠診断、遺伝性遺伝子診断、または感染症診断を実施するために患者の血液試料を模擬することを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用または方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断、特にin‐vitro診断、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または次世代シーケンシング(NGS)などの核酸のシーケンシング方法を使用する診断に使用するための、血液マトリックスに基づく新しい参照材料に関する。また検証(特に、非侵襲的液体生検)を含む、その製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年なされたすべての進歩にも関わらず、腫瘍を検出するための、体液試料および組織試料の臨床化学検査またはイメージング手順といった現在の方法は、悪性転化の検出が遅すぎることが多い。腫瘍患者における高い死亡率の主な原因は、原発腫瘍の発症ではなく、転移の発症である。転移の発症を防ぐためには、悪性転化を可能な限り早期に検出する必要がある。さらに、悪性細胞を正常細胞と正しく区別する方法が必要である。偽陽性所見および偽陰性所見は、いずれも、罹患した人間に致命的な結果をもたらす。腫瘍患者に、正確な予後判定を提供し、治療を個々の患者に合わせることを可能にする手順も必要である。
【0003】
これまで、いわゆる腫瘍マーカー(特に、がん遺伝子)は、血液、尿、喀痰、または組織試料などの体液において判定されてきた。これらは、増加または減少した量で産生される腫瘍細胞の成分であり、その変化は、血液、血漿、または血清などの体液において検出することができる。
【0004】
細胞内成分、特に、核酸(リボ核酸RNAおよびデオキシリボ核酸DNA)の単離、特徴付け、および分析は、現代の分子生物学にとって極めて重要である。遅くとも1983年のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の発明以来、多数の核酸診断法が開発されており、それらは、たとえば、疾患および病原体の検出に使用されている。
【0005】
従来技術では、そのような細胞材料は、診断のために、下記のステップ、たとえば、試料調製、抽出、濃縮、単離、精製、必要に応じて逆転写、増幅、および検出において調製される。
【0006】
がんの遺伝子変異を分析することは、現在、患者の管理および治療決定において非常に重要となっている。がんに関連する変異プロファイルの評価は、通常、遺伝子試験を使用して行われる。循環腫瘍DNA(ctDNA)もしくは無細胞DNA(cfDNA)、またはRNA、たとえば、エクソソームもしくは循環腫瘍細胞(CTC)におけるものの分析に基づく、血液由来の液体生検の使用は、疾患過程にわたって、侵襲性が最小限である腫瘍ゲノムの継続的モニタリングを可能にするため、近年、臨床現場で大幅に増加している。液体生検に特化したそのような試験の普及および日常的な診断におけるそれらの使用、ならびに規制要件の増加に伴い、同等の基準で実行される検証済みのアッセイの必要性も増加している。
【0007】
試験の臨床的妥当性の文書化には、分析的妥当性の評価も含まれ、これは、試験の正確性、感度、特異度、および頑健性のパラメータによって記述される。直接的な疾患との関連性はない因子であるが、体液またはこの体液中に存在するバイオマーカー(分析物)の完全性に影響を与えるか、または分析中の結果に影響を及ぼす、技術的、生物学的、または環境的な起源のものである可能性のある、分析前の変数(または処理)は、これらのパラメータに大きな影響を与える。液体生検試験の分野において、これらは、たとえば、使用される抽出方法および定量方法、保管条件、PCR阻害、ならびにフラグメントサイズの偏りである。これらの分析前の変数は、したがって、検査室間の偏差をもたらす可能性がある。
【0008】
核酸のシーケンシング方法、特に、PCR、「qPCR」(リアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応)、「デジタル液滴PCR」(ddPCR)、または「次世代シーケンシング」(NGS、もしくは「超並列シーケンシング」などの並列シーケンシング)を使用した腫瘍DNAの強力な増幅に起因して、いわゆる非侵襲的液体生検が、近年、腫瘍診断において確立されており、それによって、たとえば、試料中の循環遊離DNAが検査される。そのような循環遊離DNA(略してcfDNA)は、たとえば、がん/腫瘍細胞を起源とする可能性がある(いわゆるctDNA)。
【0009】
がん患者では、平均cfDNA量が健常対象よりも高く、特に、cfDNAの血漿レベルは、進行期のがん患者において、軽症期/初期のがん患者よりも高い。たとえば、ctDNAは、cfDNAの1%を占める(腫瘍の病期および位置に応じて、正常なcfDNAの0.01~90%)。
【0010】
しかしながら、相対的な診断ステートメントだけでなく絶対的な診断ステートメントを作成することができるような標準物の必要性は高い。そのような標準物の使用は、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0011】
現在、たとえば腫瘍診断のために検出する必要がある変異については、市販検査および検査室開発検査(LDT)の両方が利用可能である。プラスミドDNAまたは合成オリゴヌクレオチドなどの検査室内標準物は、検証および校正のための品質管理として使用されている。
【0012】
これらの検査室内標準物が、多くの場合、ヒトまたは動物から得られた試料に含まれるバイオマーカーまたは分析物を含め、試料の実際の特性を適切に反映していないという特定の欠点がある。そのような試料は、検査室で得られる試験材料、たとえば、血液、組織、髄液、粘膜スワブ、喀痰、尿、精液、唾液、または他の試料種に関するものである。
【0013】
もう1つの欠点は、in‐vitro診断における機器または手順の検証または校正の目的で、これらの検査室内標準物を希釈する必要があり、これに利用可能な自動プロセスがないこと、すなわち、標準化には通常、誤差が発生しやすいことである。さらに、そのような希釈液の安定性は保証されておらず、供給源に応じて、たとえば、大腸菌由来のプラスミドDNAでは、この非ヒトまたは非動物種によるDNA/RNA汚染のリスクがあり、そのため、最小限の混入であっても致命的である。結果として、たとえばPCRまたはNGSを使用して判定されたコピー数は、十分な標準化の欠如に起因して、相対的にも絶対的にも不正確な場合がある。
【0014】
分析性能の判定、評価、および追跡、ならびに検査室の品質モニタリングに、参照材料の形態の内部対照および外部対照が必要であることは明らかである。参照材料は、使用される試料または出発材料と比較可能な物理的特性および生物学的特性を有する必要がある。これは、バイオマーカーの特性だけでなく、たとえば検出しようとするバイオマーカー/分析物を見出すことができる試料マトリックスにも焦点が当てられていることを意味する。液体生検試験の標的分子、たとえば、ct/cfDNA(環状腫瘍/無細胞)は、血液中に無細胞DNAとして見出され、採血、その後の血漿生成、およびDNA抽出後に血液から単離される。しかしながら、血液そのもの、すなわち全血には、通常、凝固および溶血に起因する不確定性が多すぎるため、これまでの参照材料または対照材料は、必要に応じて「目的のバイオマーカー/分析物」を補充した、DNAを含まない血漿またはDNAを含まない血漿様溶液を基礎として使用している。そのような不確定性は、試料の取り扱い(たとえば、熱への曝露、汚染、完全性など)によっても生じる可能性がある。しかしながら、結果として、試料の取り扱い(保管)および血漿生成またはその他の調製方法のプロセスを、検証または評価することはできない。したがって、もともとの血液試料にほぼ対応する参照材料としての、またはそのような参照材料を患者の血液(血漿、血清)試料と比較することができるようにそれを十分に模擬する参照材料としての血液試料を提供することが必要とされている。患者の血液試料は、何らかの方法で処理されていてもよい。
【0015】
患者の血液試料の場合、保管または輸送(温度、期間)により、凝固、溶血、および細胞溶解、ならびに結果として生じる望ましくない成分、特に、ゲノムDNA、RNAse、DNAse、およびプロテアーゼの放出に起因して、試料が正しいものではなくなる可能性がある。したがって、そのような試料が、特に、cfDNAまたは他の核酸の含有量または濃度に関して、偽陽性または偽陰性の分析結果をもたらす可能性があるというリスクが存在する。
【0016】
また、人員、設備などによっては患者の血液試料を抽出してcfDNAまたは他の核酸を得ることも問題となる。これは、低濃度のcfDNAまたは他の核酸をもたらす可能性がある。抽出効率が不足すると、cfDNAまたは他の核酸の濃度が低くなる可能性があり、その結果、液体生検を実行するために必要とされるcfDNAまたは他の核酸の濃度に達しないことになる。一方で、患者の血液試料の大部分を(すなわち血漿または血清に限定せずに)保存することが、分析上必要である。
【0017】
したがって、in‐vitro診断、特に、核酸シーケンシング方法を使用する診断における標準化を改善することが、重要かつ必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2018/094183(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
驚くべきことに、本発明者らは、安定化剤を有していてもよい血液試料を、診断特にin‐vitro診断において参照材料として使用することにより、診断品質が大幅に改善されることを立証することができた。(測定は、測定すべきものを実際に測定し、信頼できる結果が得られる場合に有効である)、所与の試験システムの
・信頼性(信頼性とは、繰り返し実行した場合に試験システムが信頼できる結果を提供するかどうかを指す)、および
・客観性(試験システムは、関与する人物による望ましくない影響がなければ、客観的である)。これは、測定の性能パラメータをチェックする特に有利な手段である。特に、ヒトまたは動物、特に、哺乳動物、特に、ウシ、ブタ、またはヒツジに由来する場合、比較可能な血液試料が利用可能である。
【0020】
この問題は、少なくとも1つの特許請求によって与えられる技術的教示によって解決される。
【0021】
したがって、本発明の目的は、診断特にin‐vitro診断を実施するための改善された方法を提供することであり、血液または以下の実施の形態のうちの1つが、この問題を解決するための参照材料として使用される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、核酸のシーケンシング方法を含む診断特にin‐vitro診断での試料における参照材料としてのi.)血液、またはii.)血球および血漿もしくは血清の使用であって、安定化剤が添加されてもよい、使用に関する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態では、安定化剤は、判定しようとするバイオマーカーまたは分析物に対して影響を及ぼさない様式で選択されるべきである。
【0024】
本発明は、核酸のシーケンシング方法を含むin‐vitro診断での試料における血液を含む参照材料の使用であって、血漿または血清が血球に添加される、使用に関する。
【0025】
加えて、本発明は、核酸のシーケンシング方法を含むin‐vitro診断での試料における参照材料としての血液の調製のための方法であって、血漿または血清が血球に添加され、好ましくは、1つまたは複数の安定化剤が添加される、方法に関する。
【0026】
本発明による好適なそのような安定化剤は、好ましくは、架橋安定化剤、アルコール安定化剤、および/または抗凝固剤などの群から選択される。特に、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、およびアクロレイン、またはそれらの混合物が好ましい。
【0027】
さらに、そのような安定化剤、たとえば、共有結合による化学結合をタンパク質間に生成する架橋安定化剤、たとえば網羅的ではないが、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリン、グルタルアルデヒド、四酸化オスミウム、イミドエステル架橋剤、たとえば、ジメチルスベリミデート(DMS)、アクロレイン、グリオキサール、カルボジイミドからなる群から選択されるもの、またはアルコール性安定化剤、たとえば決定的ではないが、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸、2‐フェノキシエタノール、ジエチルエーテルの群から選択されるもの、または抗凝固剤/キレート剤、たとえば網羅的ではないが、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ヘパリンおよびヘパリノイド、クエン酸塩、ジメルカプトコハク酸、ジメルカプトプロパンスルホン酸、酸性クエン酸デキストロース、アセチルアセトン、エチレンジアミン、2‐(2‐アミノエチルアミノ)エタノール、ジエチレントリアミン、イミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン、トリアミノトリエチルアミン、ニトリロトリアセテート、ビス(サリチリデン)エチレンジアミン、エチレンジアミノトリアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、トリエチレンテトラミンヘキサアセテート、1,4,7,10‐テトラアザシクロドデカン‐1,4,7,10‐テトラアセテート、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ジメチルグリオキシム、8‐ヒドロキシキノリン、2,2’‐ビピリジン、1,10‐フェナントロリン、1,2‐ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ヒルジンおよびヒルジン類似体、アピキサバン、エドキサバン、リバーロキサバン、クマリン、フェンプロクモン、ワルファリン、ジクマロール、五糖、抗血小板剤、アセチルサリチル酸(ASA)、クロピドグレル、チカグレロル、プラスグレル、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、チロフィバン、エプチフィバチド、ビバリルジン、リバーロキサバン、ダビガトランエテキシレート、アピキサバン、PPSB(プロトロンビン複合体)、アンチトロンビン(AT III)、プロテインC、デスモプレシン、DDAVP、塩化プロタミン、ビタミンK、アルガトロバン、ダナパロイド、ダナパリン、ロモパランからなる群から選択されるもの、または酸化剤、水銀系安定化剤、B‐5(水溶液中の塩化第二水銀および酢酸ナトリウム)、ゼンカー固定剤(塩化第二水銀、二クロム酸カリウム、硫酸ナトリウム、酢酸、水)、ピクリン酸ベースの安定化剤、たとえばブアン溶液:ピクリン酸、酢酸、ホルムアルデヒドの水溶液、硫酸アンモニウム水溶液、CARNOY固定溶液(必要に応じてクロロホルム、塩化鉄(III)またはホルムアルデヒド‐アルコール‐酢酸を含む)、クロム酸、クロム酢酸、亜鉛塩溶液の群から選択されるもの、を使用することができる。
【0028】
本発明によるこのような安定化剤は、主として、血液凝固および/または溶血および/または血球の細胞溶解を防止する。
【0029】
さらに好ましい実施の形態では、本発明は、ヒトまたは動物から提供されるものではないが、血液成分の組成にほぼ対応する、そのような血漿または血清に関し、個々の血液成分が、それぞれの事例で添加されている。
【0030】
したがって、本発明による参照材料は、表1に示されるように、血清または血漿について以下の組成を有する可能性があり、血清または血漿タンパク質(特にアルブミン)に加えて、1つまたは複数の血液成分、特に、表1から最大5種の成分、または10種の成分、または20種の成分、または30種の成分が添加される。特に、アルブミンに加えて、表1から最大76種の成分が添加される可能性がある。選択された成分の濃度は、それぞれの事例において変動する可能性があるか、またはそれぞれの事例において表1から選択される可能性がある。
【0031】
【表1-1】
【0032】
【表1-2】
【0033】
【表1-3】
【0034】
すべて水溶液中。言及されたすべてのタンパク質は、血清タンパク質または血漿タンパク質とも称される。
【0035】
好ましい実施の形態では、組成は、抗体を含まず、特に、免疫グロブリンを含まない、および/またはDNA、RNA、もしくは細胞外小胞を含まない。
【0036】
提供されるそのような血液試料は、以降、本発明による参照材料と称される。
【0037】
さらに好ましい実施の形態では、添加される血漿または血清は、gDNA、フラグメント化DNA、腫瘍関連および非腫瘍関連のメチル化または非メチル化cfDNA、ヒストン結合型DNA、環状DNA、ミトコンドリアDNA、一本鎖または二本鎖DNA、ctDNA、RNA、メチル化または非メチル化RNA、miRNA、tRNA、scRNA、rRNA、mRNA、腫瘍核酸、スパイク核酸、エクソソーム、タンパク質、ペプチド、細胞外小胞、エクソソームからなる群から選択される、規定のレベルの少なくとも1つの成分を、特に、以下の範囲、1~1500ngのDNA/ml、特に、妊娠中の女性では胎児cfDNAが2~15%であるcfDNAの割合、1~1000ngのRNA/mlで有する。
【0038】
さらに、添加される血漿または血清は、細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)からなる群から選択される、規定の値の少なくとも1つの生物学的材料を、特に、以下の範囲、1~100,000個のウイルス/ml、1~100,000個の細菌/ml、1~100,000個の真菌/ml、1~100,000個の真菌胞子/ml、1~100,000個の寄生虫/ml、1~1,000個の腫瘍細胞/ml、または1~1,000個の内皮細胞/mlで有する。
【0039】
本発明による参照材料の前述の実施の形態は、有利なことに、たとえば体調不良の患者および他の状態から得られた血液試料の模擬を可能にする。
【0040】
さらに、様々なサイズで存在する可能性のあるフラグメント化(無細胞)DNA(cfDNA)が、好ましくは、140~180塩基対(bp)、310~350bp、480~520bpのサイズ範囲で使用されることが好ましい。本発明者らは、参照材料中のそのようなcfDNAのサイズおよびサイズ分布が、特に核酸シーケンシング方法にとって重要であることを立証することができた。
【0041】
本発明のさらなる実施の形態では、40~300bpのミトコンドリアDNAが使用される一方で、好ましくは2,000~15,000bpの範囲の大きなcfDNAフラグメントを使用することができる。染色体外環状DNAは、30~20,000bpのサイズである。
【0042】
さらに、異なるサイズで存在する可能性のあるRNA(特に、miRNA)が、好ましくは、10~250bp、特に10~500bpのサイズ範囲で使用されることが好ましい。本発明者らは、参照材料中のそのようなRNA(特に、miRNA)のサイズおよびサイズ分布が、特に核酸シーケンシング方法にとって重要であることを立証することができた。
【0043】
本発明の意味における「血液」は、血球および血清を含む全血である可能性がある。特に、血液は、ヒトまたは動物から採取することができる。
【0044】
本発明の意味における「血球」は、血清の分離後、たとえば、遠心分離後の残渣に残るものであり、赤血球、白血球、血小板などを含む。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態では、血球の割合は、本発明による参照材料の15~70重量%、好ましくは、37~54重量%である。
【0046】
本発明による参照材料のさらに好ましい特性は、99重量%が赤血球であることである(4.5~5.9×10^6個の細胞/血液μl、最低値は女性に適用され、最高値は男性に適用される)。
【0047】
本発明による参照材料の別の好ましい特性は、白血球が1%未満であり(成人については約4,000~10,000個の細胞/血液μl、小児については最大17,000個の細胞/血液μl、乳児については最大30,000個の細胞/血液μl)、血小板が1%未満であることである(約150,000~400,000個の細胞/血液μl)。
【0048】
本発明の意味における「血漿」は、血液を遠心分離し、上清を分離することによって得ることができ、これにより、血液は、抗凝固剤、たとえばクエン酸ナトリウムまたはEDTAと事前に混合されている。血漿は、通常、活性形態のすべての凝固因子および線維素溶解因子、ならびにcfDNAを含み、これは、特に、液体生検試験を使用する場合にさらに分析される。
【0049】
本発明の意味における「血清」は、血液を遠心分離し、上清を分離することによって得られる。血漿とは対照的に、これは、いずれの抗凝固剤も含まない。
【0050】
本発明の目的で、血清または血漿、特に、以下の構成要素を本質的に含むものも使用される可能性がある:
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
さらなる実施の形態では、したがって、1つまたは複数の化学物質が、本発明による参照材料に添加される可能性がある。そのような化学物質は、すべてを網羅するものではなく、特に、炭素(C)および水素(H)に加えて、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、またはリン(P)などのヘテロ原子を含む可能性がある少なくとも1つの有機分子である可能性がある。化学物質は、ヘテロ原子を含む直鎖状および/または環状の炭素鎖を有する可能性がある。1,000g/mol未満の有機分子が好ましい。そのような化学物質は、バイオマーカー、分析物、活性成分、抗体、抗原、または薬物である可能性がある。特に、gDNA、フラグメント化DNA、腫瘍関連および非腫瘍関連のメチル化または非メチル化cfDNA、ヒストン結合DNA、環状DNA、ミトコンドリアDNAからなる群から選択される成分を、添加することができ、一本鎖または二本鎖DNA、ctDNA、RNA、メチル化または非メチル化RNA、miRNA、tRNA、scRNA、rRNA、mRNA、腫瘍核酸、スパイク核酸、エクソソーム、タンパク質、ペプチド、細胞外小胞、エクソソーム。
【0056】
さらなる実施の形態では、1つまたは複数の生物学的材料、たとえば、生存能力があるかまたは機能性である可能性のある、細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)を、本発明による参照材料に添加してもよい。
【0057】
本発明の目的で、「腫瘍核酸」は、任意の公知のヒト野生型配列を意味する。そのような腫瘍核酸は、COSMIC:https://cancer.sanger.ac.uk/cosmic、Targeted Cancer Care:http://targetedcancercare.massgeneral.org/My‐Trial‐Guide/Diseases/Lung‐Cancer/KRAS/G12C‐(c‐34G‐T).aspx、またはOncoKB:https://oncokb.org/、My Cancer Genome:https://www.mycancergenome.org/、National Centre for Biotechnology Information(NCBI)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/などのデータベースに保管されていてもよい。
【0058】
好ましい実施の形態では、腫瘍核酸の含有量は、好ましくは、血清または血漿中で5~1000ng、特に400ngのDNAであり、たとえば、血清または血漿中で400ng/5mlのDNAは、80ng/mlのDNAに相当し、0.08ng/μlのDNAに相当する。
【0059】
さらに、腫瘍核酸は、30bp~500bpのサイズを有することが好ましい。
【0060】
本発明の目的で、「スパイク核酸」は、核酸のヒト野生型配列と比較して、1つまたは複数の変異を有する配列を意味する。公知の変異配列が使用されてもよく、または人工的な変異をヒト野生型配列に対して導入してもよい。さらに、スパイク核酸が、少なくとも1つの腫瘍マーカー、たとえば、公知の変異を有するがん遺伝子、特に、ABI1、ABL1、ABL2、ACKR3、ACSL3、ACVR1、ACVR2A、AFDN、AFF1、AFF3、AFF4、AKT1、AKT2、ALK、AMER1、APC、APOBEC3B、AR、ARHGAP26、ARHGEF12、ARID1A、ARID1B、ARID2、ARNT、ASPSCR1、ASXL1、ATF1、ATIC、ATM、ATP1A1、ATP2B3、ATR、ATRX、AXIN1、AXIN2、B2M、BAP1、BARD1、BAX、BCL10、BCL11A、BCL11B、BCL2、BCL3、BCL6、BCL7A、BCL9、BCL9L、BCOR、BCORL1、BCR、BIRC3、BLM、BMPR1A、BRAF、BRCA1、BRCA2、BRD3、BRD4、BRIP1、BTG1、BTK、BUB1B、CACNA1D、CALR、CAMTA1、CANT1、CARD11、CARS、CASP8、CBFA2T3、CBFB、CBL、CBLB、CBLC、CCDC6、CCNB1IP1、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CD274、CD74、CD79A、CD79B、CDC73、CDH1、CDH11、CDK12、CDK4、CDK6、CDKN1B、CDKN2A、CDKN2C、CDX2、CEBPA、CHCHD7、CHD4、CHEK2、CIC、CIITA、CLIP1、CLTC、CLTCL1、CNBP、CNOT3、CNTRL、COL1A1、COL2A1、CREB1、CREB3L1、CREB3L2、CREBBP、CRLF2、CRTC1、CRTC3、CSF3R、CTCF、CTNNB1、CUX1、CXCR4、CYLD、DAXX、DCTN1、DDB2、DDIT3、DDR2、DDX10、DDX3X、DDX5、DDX6、DEK、DICER1、DNAJB1、DNM2、DNMT3A、DROSHA、EBF1、EGFR、EIF3E、EIF4A2、ELF4、ELK4、ELL、EML4、EP300、EPAS1、EPS15、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、ERG、ESR1、ETNK1、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、EXT1、EXT2、EZH2、EZR、FANCA、FANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FAS、FAT1、FAT4、FBXO11、FBXW7、FCGR2B、FCRL4、FES、FEV、FGFR1、FGFR1OP、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FH、FHIT、FIP1L1、FLCN、FLI1、FLT3、FLT4、FOXA1、FOXL2、FOXO1、FOXO3、FOXO4、FOXP1、FSTL3、FUBP1、FUS、GAS7、GATA1、GATA2、GATA3、GNA11、GNAQ、GNAS、GOLGA5、GOPC、GPC3、GPHN、GRIN2A、H3F3A、H3F3B、HERPUD1、HEY1、HIF1A、HIP1、HIST1H3B、HIST1H4I、HLA‐A、HLF、HMGA1、HMGA2、HNF1A、HNRNPA2B1、HOOK3、HOXA11、HOXA13、HOXA9、HOXC11、HOXC13、HOXD11、HOXD13、HRAS、HSP90AA1、HSP90AB1、IDH1、IDH2、IGH、IGK、IGL、IKBKB、IKZF1、IL2、IL21R、IL6ST、IL7R、IRF4、IRS4、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JUN、KAT6A、KAT6B、KCNJ5、KDM5A、KDM5C、KDM6A、KDR、KDSR、KEAP1、KIF5B、KIT、KLF4、KLF6、KLK2、KMT2A、KMT2C、KMT2D、KNL1、KRAS、KTN1、LASP1、LATS1、LATS2、LCK、LEF1、LIFR、LMNA、LMO1、LMO2、LPP、LRIG3、LRP1B、LYL1、LZTR1、MAF、MAFB、MALT1、MAML2、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K4、MAP3K1、MAP3K13、MAPK1、MAX、MDM2、MDM4、MECOM、MED12、MEN1、MET、MITF、MLF1、MLH1、MLLT1、MLLT10、MLLT11、MLLT3、MLLT6、MN1、MPL、MRTFA、MSH2、MSH6、MSI2、MSN、MTCP1、MTOR、MUC1、MUTYH、MYB、MYC、MYCL、MYCN、MYD88、MYH11、MYH9、MYO5A、MYOD1、NAB2、NBN、NCOA1、NCOA2、NCOA4、NCOR1、NCOR2、NDRG1、NF1、NF2、NFATC2、NFE2L2、NFIB、NFKB2、NFKBIE、NIN、NKX2‐1、NONO、NOTCH1、NOTCH2、NPM1、NR4A3、NRAS、NRG1、NSD1、NSD2、NSD3、NT5C2、NTRK1、NTRK3、NUMA1、NUP214、NUP98、NUTM1、NUTM2B、NUTM2D、OLIG2、P2RY8、PAFAH1B2、PALB2、PATZ1、PAX3、PAX5、PAX7、PAX8、PBRM1、PBX1、PCM1、PDCD1LG2、PDE4DIP、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PER1、PHF6、PHOX2B、PICALM、PIK3CA、PIK3CB、PIK3R1、PIM1、PLAG1、PLCG1、PML、PMS2、POLD1、POLE、POLQ、POT1、POU2AF1、POU5F1、PPARG、PPFIBP1、PPM1D、PPP2R1A、PPP6C、PRCC、PRDM1、PRDM16、PREX2、PRF1、PRKACA、PRKAR1A、PRRX1、PSIP1、PTCH1、PTEN、PTK6、PTPN11、PTPN13、PTPRB、PTPRC、PTPRK、PTPRT、QKI、RABEP1、RAC1、RAD21、RAD51B、RAF1、RANBP2、RAP1GDS1、RARA、RB1、RBM10、RBM15、RECQL4、REL、RET、RHOA、RHOH、RMI2、RNF213、RNF43、ROS1、RPL10、RPL22、RPL5、RPN1、RSPO2、RSPO3、RUNX1、RUNX1T1、SALL4、SBDS、SDC4、SDHA、SDHAF2、SDHB、SDHC、SDHD、SET、SETBP1、SETD2、SF3B1、SFPQ、SFRP4、SH2B3、SH3GL1、SIX1、SLC34A2、SLC45A3、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMARCA4、SMARCB1、SMARCD1、SMARCE1、SMO、SND1、SOCS1、SOX2、SPEN、SPOP、SRC、SRSF2、SRSF3、SS18、SS18L1、SSX1、SSX2、SSX4、STAG2、STAT3、STAT5B、STAT6、STIL、STK11、STRN、SUFU、SUZ12、SYK、TAF15、TAL1、TAL2、TBL1XR1、TBX3、TCEA1、TCF12、TCF3、TCF7L2、TCL1A、TENT5C、TERT、TET1、TET2、TFE3、TFEB、TFG、TGFBR2、TLX1、TLX3、TMEM127、TMPRSS2、TNFAIP3、TNFRSF14、TNFRSF17、TOP1、TP53、TP63、TPM3、TPM4、TPR、TRA、TRAF7、TRB、TRD、TRIM24、TRIM27、TRIM33、TRIP11、TRRAP、TSC1、TSC2、TSHR、U2AF1、UBR5、USP6、USP8、VHL、WAS、WDCP、WIF1、WRN、WT1、WWTR1、XPA、XPC、XPO1、YWHAE、ZBTB16、ZFHX3、ZMYM2、ZNF331、ZNF384、ZNF521、ZRSR2、A1CF、ACSL6、AKAP9、AKT3、ALDH2、ANK1、ARAF、ARHGAP5、ARHGEF10、ARHGEF10L、ASXL2、BAZ1A、BCL2L12、BCLAF1、BIRC6、BMP5、C15orf65、CASP3、CASP9、CCNC、CCR4、CCR7、CD209、CD28、CDH10、CDH17、CDKN1A、CEP89、CHD2、CHIC2、CHST11、CLP1、CNBD1、CNTNAP2、COL3A1、COX6C、CPEB3、CRNKL1、CSF1R、CSMD3、CTNNA2、CTNND1、CTNND2、CUL3、CYP2C8、CYSLTR2、DCAF12L2、DCC、DGCR8、DUX4L1、ECT2L、EED、EIF1AX、ELF3、ELN、EPHA3、EPHA7、FAM131B、FAM135B、FAM47C、FAT3、FBLN2、FEN1、FKBP9、FLNA、FNBP1、FOXR1、GLI1、GMPS、GPC5、GRM3、HMGN2P46、ID3、IGF2BP2、ISX、ITGAV、JAZF1、KAT7、KIAA1549、KNSTRN、LARP4B、LCP1、LEPROTL1、LHFPL6、LSM14A、MACC1、MALAT1、MB21D2、MDS2、MGMT、MNX1、MUC16、MUC4、N4BP2、NACA、NBEA、NCKIPSD、NTHL1、OMD、PABPC1、PCBP1、PMS1、POLG、PRDM2、PRKCB、PRPF40B、PTPN6、PTPRD、PWWP2A、RAD17、RALGDS、RFWD3、RGPD3、RGS7、ROBO2、S100A7、SEPT5、SEPT6、SEPT9、SETD1B、SETDB1、SGK1、SHTN1、SIRPA、SIX2、SKI、SMC1A、SNX29、SOX21、SPECC1、SRGAP3、STAG1、TEC、TFPT、TFRC、THRAP3、TNC、USP44、VAV1、VTI1A、WNK2、ZCCHC8、ZEB1、ZMYM3、ZNF429、ZNF479、ZNRF3の群から選択されるがん遺伝子を有することが好ましい。
【0061】
さらに、そのような腫瘍マーカー配列またはがん遺伝子は、他の人工的な変異を有してもよい。
【0062】
本発明の目的で、「検証」とは、本発明による参照材料を、特に、機器パラメータを考慮して校正を実行するためのまたは校正曲線を作成するための参照試料として使用して、意図された診断特にin‐vitro診断を実施することを意味する。
【0063】
本発明の好ましい実施の形態では、in‐vitro診断は、液体生検であり、好ましくは、血液試料からのPCRは、本発明による血液試料に対して測定されるか、または本発明による血液試料が校正、検証、診断、もしくはin‐vitro診断のために使用される。
【0064】
驚くべきことに、(たとえば血液試料に由来する)少量の試料核酸であっても、本発明による参照材料に対して十分な特異度および感度で、定性的および定量的に検出することができる。液体生検の事例では、これにより、腫瘍活動性(特に、転移の可能性)に関して、特に有利な早期のステートメントの作製が可能となる。好ましい試料核酸は、患者または試験者に由来するcfDNAまたはctDNAである。
【0065】
したがって、本発明は、対立遺伝子頻度および/もしくは変異率を判定するための、ならびに/または核酸用のシーケンシング方法を用いた少なくとも1つの試料核酸のコピー数判定による絶対的定量のための方法における、参照材料の有利な使用にも関する。試料核酸の定量的判定は、校正または検証に基づいて特に有利に実施することができる。
【0066】
さらに、本発明は、分析前評価(輸送、血液試料の処理、保存/反復使用、たとえば凍結/解凍サイクル、抽出手順)、分析評価(正確度/精度、反復可能性/再現性、分析の特異度/感度、検出限界、定量限界、ブランク限界、直線性、干渉、頑健性)のための方法における参照材料の有利な使用に関する。
【0067】
本発明による参照材料の提供は、試料核酸の検出限界を検証するために特に有利である。特に有利な用途は、したがって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、特に次世代シーケンシング(NGS)を実施するための機器の検証に関する。
【0068】
このようにして、予め正確に定められた量のDNA物質または濃度を本発明による参照材料に導入することが特に有利であり、それによってこの参照材料は、患者の血液試料を模擬し、特に、腫瘍診断、妊娠診断、遺伝性遺伝子診断、または感染症診断の実施において高度に好適である。
【0069】
本発明の意味における「in vitro診断」とは、好適なアッセイおよび機器を用いた、ヒトまたは動物の体外(ex vivo)での任意の診断を意味する。患者の疾患または状態に関するステートメントが好ましい。
【0070】
本発明の文脈において、「患者」は、任意の試験対象者を意味すると理解される。
【実施例
【0071】
本発明を、実施例および図を用いて以下に説明する。しかしながら、本発明は、実施例および図に限定されるものではなく、原則として普遍的に適用可能である。
【0072】
実施例1:
表1の個々の成分を血球と混合して、好適な参照材料を得ることができる。
【0073】
実施例2:
参照材料に添加されるDNAは、人間の生物学的状況を可能な限り忠実に再現することを可能にするために、以下のようにフラグメント化できる(図1および図2を参照されたい)。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図1は、例として、使用することができるフラグメント化DNAのサイズ分布を示す(M=マーカー)。
図2図2は、例として、使用することができるフラグメント化DNAのサイズ分布を示す(M=マーカー)。
図3図3は、患者の血液試料と比較した参照材料の使用の例を示す。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血液を含む参照材料の使用であって、安定化剤が添加され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、使用。
【請求項2】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用であって、安定化剤が添加され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、使用。
【請求項3】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用であって、前記血漿または前記血清が、アルブミンおよび表1の5種の成分または最大30種の成分から構成され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、使用。
【請求項4】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用であって、前記血漿または前記血清が、アルブミンおよび表1の最大76種の成分から構成され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、使用。
【請求項5】
前記血漿または前記血清が、ヒトからも動物からも提供されない、請求項3または請求項4に記載の、核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の、核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における参照材料を調製するための方法であって、血漿または血清が血球に添加され、安定化剤が添加される、方法。
【請求項7】
前記血漿または前記血清が、規定値の成分および/または生物学的材料を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項8】
前記血漿または前記血清が、gDNA、フラグメント化DNA 腫瘍関連および非腫瘍関連のメチル化または非メチル化cfDNA、ヒストン結合DNA、環状DNA、ミトコンドリアDNA、一本鎖または二本鎖DNA、ctDNA、RNA、メチル化または非メチル化RNA、miRNA、tRNA、scRNA、rRNA、mRNA、腫瘍核酸、スパイク核酸、エクソソーム、タンパク質、ペプチド、細胞外小胞、エクソソームからなる群から選択される少なくとも1つの成分を、特に、以下の範囲、1~1500ngのDNA/ml、特に、妊娠中の女性では胎児cfDNAが2~15%であるcfDNAの割合、1~1000ngのRNA/mlで含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項9】
前記血漿または前記血清が、細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)からなる群から選択される少なくとも1つの生物学的材料を、特に、以下の範囲、1~100,000個のウイルス/ml、1~100,000個の細菌/ml、1~100,000個の真菌/ml、1~100,000個の真菌胞子/ml、1~100,000個の寄生虫/ml、1~1,000個の腫瘍細胞/ml、または1~1,000個の内皮細胞/mlで含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項10】
前記安定化剤が、架橋安定化剤、アルコール性安定化剤、および/または抗凝固剤、特に、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、およびアクロレインからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなる化学物質および/または少なくとも1つの生物学的材料、特に、i.)バイオマーカー、分析物、活性物質、抗体、抗原、もしくは医薬、またはii.)細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)、が添加される、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項12】
検証曲線または校正曲線が、前記参照材料を使用して作成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項13】
核酸の前記シーケンシング方法が、PCR、qPCR(リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応)、デジタル液滴PCR(ddPCR)、または「次世代シーケンシング」(NGS)によって実施されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用または方法。
【請求項14】
前記参照材料が、特に、腫瘍診断、妊娠診断、遺伝性遺伝子診断、または感染症診断を実施するために患者の血液試料を模擬することを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用または方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血液を含む参照材料の使用方法であって、安定化剤が添加され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、参照材料の使用方法
【請求項2】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用方法であって、安定化剤が添加され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、参照材料の使用方法
【請求項3】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用方法であって、前記血漿または前記血清が、アルブミンおよび表1の5種の成分または最大30種の成分から構成され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、参照材料の使用方法
【請求項4】
核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用方法であって、前記血漿または前記血清が、アルブミンおよび表1の最大76種の成分から構成され、前記参照材料が患者の血液試料を模擬する、参照材料の使用方法
【請求項5】
前記血漿または前記血清が、ヒトからも動物からも提供されない、請求項3または請求項4に記載の、核酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における血球および血漿または血清を含む参照材料の使用方法
【請求項6】
酸のシーケンシング方法を含むin vitro診断での試料における参照材料を調製するための方法であって、血漿または血清が血球に添加され、安定化剤が添加される、参照材料の調整方法。
【請求項7】
前記血漿または前記血清が、規定値の成分および/または生物学的材料を有する、請求項2請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記血漿または前記血清が、gDNA、フラグメント化DNA 腫瘍関連および非腫瘍関連のメチル化または非メチル化cfDNA、ヒストン結合DNA、環状DNA、ミトコンドリアDNA、一本鎖または二本鎖DNA、ctDNA、RNA、メチル化または非メチル化RNA、miRNA、tRNA、scRNA、rRNA、mRNA、腫瘍核酸、スパイク核酸、エクソソーム、タンパク質、ペプチド、細胞外小胞、エクソソームからなる群から選択される少なくとも1つの成分を、特に、以下の範囲、1~1500ngのDNA/ml、特に、妊娠中の女性では胎児cfDNAが2~15%であるcfDNAの割合、1~1000ngのRNA/mlで含む、請求項2請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記血漿または前記血清が、細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)からなる群から選択される少なくとも1つの生物学的材料を、特に、以下の範囲、1~100,000個のウイルス/ml、1~100,000個の細菌/ml、1~100,000個の真菌/ml、1~100,000個の真菌胞子/ml、1~100,000個の寄生虫/ml、1~1,000個の腫瘍細胞/ml、または1~1,000個の内皮細胞/mlで含む、請求項2~請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記安定化剤が、架橋安定化剤、アルコール性安定化剤、および/または抗凝固剤、特に、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、およびアクロレインからなる群から選択される、請求項1請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなる化学物質および/または少なくとも1つの生物学的材料、特に、i.)バイオマーカー、分析物、活性物質、抗体、抗原、もしくは医薬、またはii.)細胞、真核細胞、ウイルス、真菌、真菌胞子、プリオン、細菌、寄生虫、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、循環内皮細胞(CTEC)、が添加される、請求項1~請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【請求項12】
検証曲線または校正曲線が、前記参照材料を使用して作成されることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【請求項13】
核酸の前記シーケンシング方法が、PCR、qPCR(リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応)、デジタル液滴PCR(ddPCR)、または「次世代シーケンシング」(NGS)によって実施されることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記参照材料が、特に、腫瘍診断、妊娠診断、遺伝性遺伝子診断、または感染症診断を実施するために患者の血液試料を模擬することを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項または請求項6に記載の方法。
【国際調査報告】