(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】エンジン制御を伴う動的アクティブ制御システム
(51)【国際特許分類】
B63H 25/42 20060101AFI20240723BHJP
B63H 25/02 20060101ALI20240723BHJP
B63H 20/08 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B63H25/42 B
B63H25/02 Z
B63H20/08 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504195
(86)(22)【出願日】2022-07-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022038102
(87)【国際公開番号】W WO2023004178
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523030968
【氏名又は名称】シーキーパー, インク.
【氏名又は名称原語表記】Seakeeper, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】センプレヴィヴォ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ジョン
(57)【要約】
(1)水係合装置(WED)(コントローラ)の高速対称展開とエンジントリム調節との組み合わせによる船舶全体のピッチ軸制御、(2)ロール運動を相殺するように各WEDを個別に展開し、同時に、WEDデルタ位置に関連付けられた操舵モーメントを相殺するようにエンジン操舵位置を調節することによる、ロール及び船首方位の全体の制御、並びに(3)ジャイロスコープ安定化システムによって発生するヨーモーメントを相殺する、エンジン操舵角の調節を行うように構成された動的アクティブ制御システム(DACS)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶用の動的アクティブ制御システムであって、
埋め込みエンジン制御モジュールを有するエンジンと、
前記エンジン制御モジュールと通信接続並びに作用的に接続されたソフトウェアモジュールと、
前記船舶のトランサムにマウントされ、前記ソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されるように適合された複数の水係合装置アクチュエータと、
を含み、
前記複数の水係合装置アクチュエータは、少なくとも1対の水係合装置アクチュエータを含み、
前記ソフトウェアモジュールは、前記船舶の動的運動を抑制するための水係合装置デルタ位置を命令する第1の信号出力を前記複数の水係合装置アクチュエータに与え、
前記ソフトウェアモジュールは、エンジン操舵角と前記水係合装置デルタ位置との間の関係性を測定し、前記測定の結果に対する応答として、第2の信号出力を前記複数の水係合装置アクチュエータに与え、
前記複数の水係合装置アクチュエータは、前記第2の信号出力を受信し、受信した前記第2の信号出力に対する応答として、操舵位置変化に起因するロール運動を相殺する、前記水係合装置デルタ位置の変化を自動的に発生させる、
システム。
【請求項2】
前記水係合装置デルタ位置から発生したドラグモーメントを相殺するように前記エンジン操舵角を自動的に調節するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ソフトウェアモジュールは、プログラム命令を実行するように構成された埋め込みマイクロプロセッサを含み、前記システムは更に、
前記ソフトウェアモジュールに埋め込まれた複数のセンサと、
前記エンジン制御モジュールに埋め込まれた調節可能な操舵位置制御装置と、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ソフトウェアモジュールの近くに位置する複数のセンサを更に含み、前記複数のセンサのそれぞれは前記ソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
水係合装置デルタ位置に起因する船首方位変化を相殺するように前記エンジン操舵角を自動的に調節することが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記操舵位置変化に起因する前記ロール運動を相殺するために、毎秒100mm以上の前記水係合装置デルタ位置変化を発生させるように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記操舵位置変化を、手動の運転者入力から、又は自動操縦システムを介して読み出すように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記運転者から所望のトリム角度入力を受け取ることと、
前記運転者の前記所望のトリム角度を達成するように、前記水係合装置の平均位置を前記エンジントリム角度とともに調節することと、
が可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記運転者から所望のトリム角度入力を受け取ることと、
前記システムの性能を最適化するように、エンジントリム角度と、前記複数の水係合装置の平均位置との間の関係性を調節することと、
が可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの入力装置に接続された複数のディスプレイコンソールを有する運転コンソールを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のセンサは、
前記船舶の運航中に複数のベクトル軸方向に発生するレート又は加速度を測定する少なくとも1つの多軸慣性センサと、
前記船舶の長手方向加速度、幅方向加速度、及び垂直方向加速度をそれぞれ測定する少なくとも1つの加速度計センサと、
を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のセンサは、前記船舶のロールレート、ピッチレート、及びヨーレートをそれぞれ測定する少なくとも1つのロールレートセンサ(RRS)、ピッチレートセンサ(PRS)、及びヨーレートセンサ(YRS)を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項13】
前記ソフトウェアモジュールは、少なくとも1つの姿勢センサから、且つ/又は、前記船舶内に位置する少なくとも1つの全地球測位システム(GPS)センサから受信された情報に基づいて特定の反復決定を行うようにプログラムされている、請求項3に記載のシステム。
【請求項14】
前記ソフトウェアモジュールは、前記命令されたロール角度と前記測定されたロール角度との差に関するデータを連続的に捕捉するために、比例・積分・微分(PID)制御ループを用いてプログラムされている、請求項3に記載のシステム。
【請求項15】
前記ソフトウェアモジュールは、前記船舶の左舷側にある少なくとも1つの水係合装置と、右舷側にある少なくとも1つの水係合装置との間に発生する前記デルタ位置に対して、応答性に優れた正確な修正を施すように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記船舶の前記トランサムの近くに位置する配電/配信モジュールを更に含み、前記配電/配信モジュールは更に、少なくとも1本の電力/通信ケーブルで少なくとも1つの水係合装置アクチュエータに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
船舶用システムであって、
埋め込みマイクロプロセッサベースの制御システムを有するソフトウェアモジュールであって、複数のセンサと通信接続並びに作用的に接続されている前記ソフトウェアモジュール
を含み、
前記複数のセンサは、慣性センサ及び操舵位置センサを含み、
前記船舶のトランサムにマウントされ、前記ソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されるように適合された複数の水係合装置アクチュエータ
を含み、
前記複数の水係合装置アクチュエータは、少なくとも1対の水係合装置アクチュエータを含み、
前記船舶上に配置され、前記ソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されるように適合されたジャイロスコープ安定化装置
を含み、
前記制御システムは、前記船舶の運動を前記慣性センサで測定し、
前記制御システムは、前記操舵位置センサからの出力の測定される変化を相殺するために、(a)前記慣性センサで測定されたヨー軸運動に対する応答として、且つ、(b)前記ジャイロスコープ安定化装置によって発生したヨートルク、並びに前記制御システムによって命令された水係合装置デルタ位置のそれぞれの経験的推定に基づいて、操舵位置を自動的に調節するための信号出力を操舵アクチュエータに与える、
システム。
【請求項18】
前記複数のセンサは更に、多軸レートセンサ及び加速度センサを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記操舵位置変化に起因する前記ロール運動を相殺するために、毎秒100mm以上の前記水係合装置デルタ位置変化を発生させるように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記操舵位置変化を、手動の運転者入力から、又は自動操縦システムを介して測定することが可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記運転者から所望のトリム角度入力を受け取ることと、
前記運転者の前記所望のトリム角度を達成するように、前記水係合装置の平均位置を前記エンジントリム角度とともに調節することと、
が可能である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記運転者から所望のトリム角度を受け取ることと、
前記システムの性能を最適化するように、エンジントリムと、前記水係合装置の平均位置との間の関係性を調節することと、
が可能である、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも1つの入力装置に接続された複数のディスプレイコンソールを有する運転コンソールを更に含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記複数のセンサは、前記船舶のロールレート、ピッチレート、及びヨーレートをそれぞれ測定する少なくとも1つのロールレートセンサ(RRS)、ピッチレートセンサ(PRS)、及びヨーレートセンサ(YRS)を含む、請求項17に記載の動的アクティブ制御システム。
【請求項25】
前記ソフトウェアモジュールは、少なくとも1つの姿勢センサから、且つ/又は、前記船舶内に位置する少なくとも1つの全地球測位システム(GPS)センサから受信された情報に基づいて特定の反復決定を行うようにプログラムされている、請求項17に記載のシステム。
【請求項26】
前記ソフトウェアモジュールは、前記命令されたロール角度と前記測定されたロール角度との差に関するデータを連続的に捕捉するために、比例・積分・微分(PID)制御ループを用いてプログラムされている、請求項17に記載のシステム。
【請求項27】
前記ソフトウェアモジュールは、前記船舶の左舷側にある少なくとも1つの水係合装置と、右舷側にある少なくとも1つの水係合装置との間に発生する前記デルタ位置に対して、応答性に優れた正確な修正を施すように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項28】
前記ヨーレートを測定することと、
前記測定されたヨーレートを相殺するのに適切な水係合装置デルタ位置を決定することと、
前記測定されたヨーレートを相殺するように前記複数の水係合装置を展開することと、
によってヨーダンパとして動作するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項29】
前記ソフトウェアモジュールは更に、
前記ジャイロスコープ安定化装置に起因するピッチモーメントを相殺することと、
前記ジャイロスコープ安定化装置に起因するピッチモーメントを相殺することと、前記システムの性能を最適化するように、エンジントリムと、水係合装置の平均位置との間の関係性を調節することと、
を行うように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項30】
船舶の動的運動を自動的に制御する制御システムであって、
同時にエンジントリムアクチュエータを調節しながら、複数の水係合装置を少なくとも毎秒100mmの展開速度で対称展開することを含む全体ピッチ軸制御ストラテジと、
測定されたロール運動を相殺するように、前記複数の水係合装置を少なくとも毎秒100mmの展開速度で個別に展開することと、同時に、前記個別の展開に起因する測定されたヨー運動を相殺するように操舵アクチュエータを調節し、前記船舶内に設置されるように適合されたジャイロスコープ安定化装置によって発生する前記測定されたヨー運動を相殺するように前記操舵アクチュエータを調節することと、を含むロール及び船首方位の全体の制御ストラテジと、
を含むシステム。
【請求項31】
動的アクティブ制御システムであって、
埋め込みマイクロプロセッサベースの制御システム、多軸レートセンサ、及び操舵位置センサを含むソフトウェアモジュールと、
1対のコントローラであって、各コントローラは、アクチュエータと、前記アクチュエータに接続された水係合要素と、前記アクチュエータに作用的に接続された位置センサと、を含み、各コントローラは、前記ソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されている、前記1対のコントローラと、
を含み、
前記制御システムは、前記操舵位置センサからの出力の変化の結果として前記レートセンサによって測定された動的ロール軸運動に対する応答として非対称コントローラ展開を決定し、
前記制御システムは、前記操舵位置センサからの前記出力と前記非対称コントローラ展開との間の関係性を決定し、
前記制御システムは、前記操舵位置センサからの前記出力の前記変化に起因する前記動的ロール軸運動を相殺するように前記非対称コントローラ展開を変化させることを自動的に命令する、
システム。
【請求項32】
前記自動的非対称コントローラ展開の展開速度は毎秒100mm以上である、請求項31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月23日に出願された米国特許仮出願第63/225,291号の利益及び優先権を主張するものである、2022年7月22日に出願された米国特許非仮出願第17/871,861号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、全般的には、船舶、船、又はボート(簡潔さのために船舶と総称する)の動的アクティブ運動の最適な実施及び制御を実現するための、エンジン制御を伴う安定性制御システムに関する。特に、本開示は、複数のセンサから出力されたデータを受信し、船舶を所望のピッチ軸制御、ロール軸制御、及びヨー軸制御で動作させるように各アクチュエータの展開を制御するように構成された、改良された動的アクティブ制御システム(DACS)を対象とする。
【背景技術】
【0003】
船舶安定化の業界では、以下の用語及び関連付けられた定義が用いられている。「トリム制御」は、船舶の、幅方向軸(ピッチ軸)を中心とする(1秒以上にわたって平均される)平均角度の制御を意味する。「リスト制御」又は「ロール制御」は、船舶の、長手方向軸(ロール軸)を中心とする(1秒以上にわたって平均される)平均角度の制御を意味する。「ヨー制御」は、船舶の、ヨー軸を中心とする(1秒以上にわたって平均される)平均角度の制御を意味する。「水係合装置(WED)」は、船舶が特定方向(又は前方)に進んでいるときの船舶のトランサム面の下又は近くの水流との又は水流中への装置の選択的係合によって、又は船舶が前方に進んでいる間の水流に対する装置の迎角を変化させることによって、船舶において可変量のリフトを発生させるように構成された機械式又は電気機械式の装置を意味する。WEDは、本明細書に開示のシステムにおいてはコントローラと呼ばれることもあり、コントローラ及び/又はWEDへのいかなる参照も同じ装置を意味する。WEDデルタ位置は、左舷WEDの展開と右舷WEDの展開との差として定義される。「展開(deployment)」は、水流との又は水流内へのWEDの選択的係合、又はWED迎角の変化を意味する。船舶におけるロールモーメントは、船舶の長手方向軸(ロール軸)を中心として船舶を回転させる力が船舶に印加された結果である。船舶におけるピッチモーメントは、船舶の幅方向軸(ピッチ軸)を中心として船舶を回転させる力が船舶に印加された結果である。船舶におけるヨーモーメントは、船舶の垂直方向軸(ヨー軸)を中心として船舶を回転させる力が船舶に印加された結果である。例えば、(1)「ロールモーメント」は、船舶において左舷WEDと右舷WEDとが非対称に展開され、それが船舶をロールさせうる場合に発生しうる。(2)「ヨーモーメント」は、左舷WEDと右舷WEDとが非対称に展開され、それが船首方位の変化を引き起こしうる場合に発生しうる。(3)「ピッチモーメント」は、左舷WEDと右舷WEDとが対称に展開された場合、又は、船舶の中心を中心として単一WEDが展開され、それが船舶をピッチさせうる場合に発生しうる。
【0004】
船舶が前方に進んでいるときの従来の船舶安定化技法として、WEDを均等に展開することにより、船舶の(例えば、ロール軸、ピッチ軸、及びヨー軸の方向の)角度の調節を可能しながら、トリム制御のための連続的なリフトを船舶のトランサムに発生させる技法がある。市販のWEDの2~3の例として(これは全く網羅的と見なされるべきではない)、同様に水流と係合可能であって同様の機能性を実現するインタセプタ、トリムタブ、及びフィン、並びに他の同様の装置がある。
【0005】
別の、船舶が進んでいないときの船舶安定化技法として、ジャイロスコープ安定化システムがあり、これは、市販されているものの1つにおいては、歳差運動率及び角運動量に比例するトルクを発生させる。そのようなジャイロスコープ安定化システムでは、スピン軸の方位、及びスピン軸の歳差運動角度に応じたトルクが1つ以上の軸に印加される。ロール軸、ピッチ軸、及び/又はヨー軸に印加されるトルクの大きさは、制御モーメントジャイロスコープの角運動量、歳差運動率、歳差運動角度、及び歳差運動方位の関数として計算されてよい。本明細書に開示のシステムは、制御モーメントジャイロスコープ安定化システムからヨー軸を中心として印加されるトルクを相殺するであろうエンジン操舵角度変化(又は方向舵の位置変化)を計算することを可能にする。
【0006】
船舶安定化技術は、船舶がランダムな環境誘発外乱を伴わずに水上クルーズの楽しさを味わう上で重要である。そのような外乱(例えば、急な予期せぬロール)によって、乗船者が不快さ及び混乱を感じる可能性がある。既存の先行技術システムでは、WEDは、船舶をロール軸及びピッチ軸における平均角度に持っていくようにリスト及びトリムを制御するように設計及び構成されている。レジャー市場で使用される小さめの船舶は一般に、手動でアクチュエートされるWEDを有し、一方、商用区域で運航される大きめの船舶は、運動を安定化するために、自動でアクチュエートされるWEDを使用する。しかしながら、そのような先行技術システムでは、船舶の完全な安定化のためにDACSとエンジン制御とを組み合わせることをしていない。
【0007】
更に、WEDの高速展開とエンジントリム調節及びエンジン操舵角調節とを組み合わせている、先行技術のレジャー用又は商用の安定性制御システムとして、現時点で利用できるものはない。より具体的には、WEDの高速展開と船舶のエンジン操舵角の調節とを組み合わせて、ピッチ軸における動的制御のために、非対称展開、ジャイロスコープ安定化ヨーモーメント、及び/又はエンジントリムの調節に起因するドラグの変化を相殺することが先行技術システムには欠落している。
【0008】
船舶安定化の当該技術分野における先行技術システムの上述の不利点を踏まえて、改良された、船舶の安定性制御システム、即ち、船舶のロール軸、ピッチ軸、及びヨー軸における加速度、レート、及び角度、並びに、船舶のエンジントリム調節及びエンジン操舵角調節を同時に制御するように構成された動的アクティブ制御システム(DACS)に対する市場ニーズがあるのは明らかである。本明細書に開示のDACSは、以下で述べるように、先行技術システムの不利点を克服すると同時に、従来のシステムに対する顕著な技術的優位性を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、WEDの高速展開及びアクチュエーションにより、船舶の運動を、3つの軸、即ち、ピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸全てにおいて同時に制御するように構成されたDACSを対象とする。DACSは、3つの軸全てにおける船舶の様々な運動を学習、捕捉、特定、及び/又は予測し、船舶のピッチ運動、ロール運動、及びヨー運動を相殺するためのアクチュエータブレードの展開、並びに、WED(本明細書に開示のシステムではコントローラとも呼ばれる)の高速対称展開とエンジントリム調節との組み合わせによって促進される、船舶全体のピッチ軸制御を命令するために、独自の慣性センシングハードウェア及びソフトウェアにより構成される。
【0011】
一実施形態では、DACSは、ロール運動を相殺するように各WEDを個別に展開し、同時に、個別に展開されたWEDに関連付けられた操舵モーメントを相殺するようにエンジン操舵位置(又は舵の位置)を調節することにより、船舶のロール軸及び船首方位の全体の制御を行うように構成されている。代替実施形態では、WEDは本明細書ではコントローラと呼ばれてよく、且つ/又は、本明細書に開示のDACSにおいてはコントローラはWEDと呼ばれてよい。本明細書に開示の新規なDACSは、(1)WEDの高速対称展開とエンジントリム調節との組み合わせによる、3軸全てにおける運動の同時制御(船舶全体のピッチ軸制御)、(2)ロール運動を相殺するように各WEDを個別に展開し、同時に、WEDデルタ位置に関連付けられた操舵モーメントを相殺するようにエンジン操舵位置を調節することによる、ロール及び船首方位の全体の制御、並びに(3)ジャイロスコープ安定化システムによって発生するヨーモーメントを相殺する、エンジン操舵角の調節を行うことが可能である。本明細書に開示のように、全体ピッチ軸制御ストラテジは、同時にエンジントリムアクチュエータを調節しながら、複数の水係合装置を毎秒100mm以上の展開速度で対称展開することを含む。同様に、ロール及び船首方位の全体の制御ストラテジは、測定されたロール運動を相殺するように、複数の水係合装置を毎秒100mm以上の展開速度で個別に展開することと、同時に、個別の展開に起因する測定されたヨー運動を相殺するように操舵アクチュエータを調節し、船舶内に設置されるように適合されたジャイロスコープ安定化装置によって発生する測定されたヨー運動を相殺するように操舵アクチュエータを調節することと、を含む。
【0012】
別の実施形態では、DACSは、水係合装置デルタ位置から発生したドラグモーメントを相殺するようにエンジン操舵角を自動的に調節することを可能にする。DACSは、運転コンソール内に配置された、埋め込みマイクロプロセッサベースのソフトウェアモジュールを含み、ソフトウェアモジュールは、船舶のエンジンと(エンジン制御モジュールを介して)通信接続並びに作用的に接続されている。ソフトウェアモジュールは、サードパーティシステム(例えば、ナビゲーションシステム)と接続されて、データ及び情報の接続及び交換を行うように構成されてよい。少なくとも1つの水係合装置アクチュエータがソフトウェアモジュールにデジタル接続されており、この水係合装置は、ソフトウェアモジュールから入力された信号を読み取り、操舵位置変化に起因するロール運動を相殺する水係合装置デルタ位置変化を自動的に発生させるように構成されている。
【0013】
後で詳細に説明するように、DACSは、埋め込みエンジン制御モジュールを有するエンジンを含み、このエンジン制御モジュールはソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されている。複数の水係合装置アクチュエータが、船舶のトランサムにマウントされ、ソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されるように適合されている。ソフトウェアモジュールは更に、船舶の運航中に、所望の水係合装置デルタ位置を命令して船舶の動的運動を抑制するための信号を送信するように構成されている。加えて、ソフトウェアモジュールは更に、エンジン操舵角と水係合装置デルタ位置との間の関係性を測定し、信号出力を水係合装置アクチュエータに与えるように構成されている。具体的には、ソフトウェアモジュールは、船舶の動的運動を抑制するための水係合装置デルタ位置を命令する第1の信号出力を複数の水係合装置アクチュエータに与える。更に、ソフトウェアモジュールは、エンジン操舵角と水係合装置デルタ位置との間の関係性を測定し、測定の結果に対する応答として、第2の信号出力を複数の水係合装置アクチュエータに与える。複数の水係合装置アクチュエータは、第2の信号を受信すると、それに対する応答として、操舵位置変化に起因するロール運動を相殺する、水係合装置デルタ位置の変化を自動的に発生させる。
【0014】
ソフトウェアモジュールには、マイクロプロセッサベースの制御システムが埋め込まれており、ソフトウェアモジュールは更に、複数のセンサと通信接続並びに作用的に接続されている。別の実施形態では、それら複数のセンサは、ソフトウェアモジュールに組み込まれて(埋め込まれて)よい。船舶上に配置され、ソフトウェアモジュールと通信接続並びに作用的に接続されるように適合されたジャイロスコープ安定化装置が、システム内に更に設けられている。制御システムは、船舶の運航中に、船舶の運動を慣性センサで測定し、操舵位置センサからの出力の測定される変化を相殺するために、(a)慣性センサで測定されたヨー軸運動に対する応答として、且つ、(b)ジャイロスコープ安定化装置によって発生したヨートルク、並びに制御システムによって命令された水係合装置デルタ位置のそれぞれの経験的推定に基づいて、操舵位置を自動的に調節するための信号出力を操舵アクチュエータに与える。
【0015】
ソフトウェアモジュールは更に、配電/配信モジュールに接続されており、配電/配信モジュールは、DACSの様々な構成要素のために配線を設置し、接続点及び配電/配信点を設けるパススルーモジュール/装置として構成されている。ソフトウェアモジュールは更に、(1)複数のセンサ(例えば、船舶内に配置された運動センサ)、(2)WEDを展開及び格納するためにトランサムの近くにマウントされたアクチュエータのペア、(3)調節可能なトリム、高さ、及び/又は操舵位置/方向を制御するための埋め込みエンジン制御ユニット(ECU)を有するエンジン(又は推進ユニット)、及び/又は(4)ジャイロスコープ安定化装置と通信結合されている。複数のセンサは、船舶の運航中に複数のベクトル軸方向に発生するレート又は加速度を測定する多軸慣性センサ、船舶の長手方向加速度、幅方向加速度、及び垂直方向加速度をそれぞれ測定する加速度計センサ、船舶のロールレート、ピッチレート、及びヨーレートをそれぞれ測定するロールレートセンサ(RRS)、ピッチレートセンサ(PRS)、及びヨーレートセンサ(YRS)のうちの少なくとも1つを含む。更に、複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサが、WED/コントローラの格納及び展開に関するデータの測定、並びに、船舶の運航中のエンジンの操舵角、トリム位置、高さに関するデータの測定及び報告を行うように構成されている。
【0016】
ソフトウェアモジュールは更に、船舶の動作特性を自動的に最適化すること、並びに、船舶の運転者又は乗客が不快さ、混乱、及び乗り心地の悪さを感じる、船舶の望ましくない動きを、運転者がそれらを感じる前に除去するために、運動を予測して瞬時に応答することを行うように、独自の機械学習/人工知能アルゴリズムにより構成されてよい。この人工知能ベースのシステムは、安定的な制御された運航が知覚されるように、船舶のピッチ、ロール、及び/又はヨーを相殺するために、船舶が3軸全てにおいてどのように挙動しているかを学習して、WEDの展開、及び/又は、エンジントリム、高さ、及び/又は操舵の調節を自動的に命令するように構成されている。更に、本明細書に開示のAIベースのシステムは、船舶の船首方位を制御するために必要な、エンジン操舵位置の調節を行うことが可能である。
【0017】
ソフトウェアモジュールは、船舶の運航中に、(WEDデルタ位置に関する)信号を受信し、どのようなアクションが必要かを決定して、そのアクション(例えば、ロール運動を相殺するアクション)を起こす信号をアクチュエータに送信し、同時に、WEDデルタ位置に関連付けられた操舵モーメントを相殺するようにエンジン操舵位置を自動的に調節してよい。本明細書に開示のように、本システムは、船舶全体にわたって配置された(ソフトウェアモジュールに組み込まれた、又は通信接続並びに作用的に接続された)複数のセンサにより、デジタル通信バスを通してエンジンから操舵位置を受信し、特定の時系列にわたる操舵位置の変化を計算し、その操舵位置/舵位置の変化をロール角度の変化に関連付け、このロール角度変化の予測の結果としてWEDデルタ位置を自動的に調節することが可能である。
【0018】
運転コンソールは、ソフトウェアモジュールに加えて、任意選択の多機能ディスプレイユニット及び/又は運転入力装置(例えば、キーパッド)を含み、これらの構成要素は、デジタル通信バスを介して互いに通信接続並びに作用的に接続されている。別の実施形態では、運転コンソールは、船舶の運転者用の制御ステーションとして機能し、船舶を操縦するための操舵輪、制御レバー、又は他の同様の装置又は操舵機構(他のタイプのホイール、ジョイスティック)をサポートすることが可能である。WED(コントローラ)と通信結合されたソフトウェアモジュールは更に、ECU、並びにWEDを高速展開するアクチュエータに電力、通信、及び/又はデータを供給するように構成されている。
【0019】
別の実施形態では、DACSは、少なくとも1つのWED/コントローラを有するアクチュエータを含み、アクチュエータは、船舶のトランサムにマウントされてソフトウェアモジュールにデジタル接続されている。本システムは、船舶の動的運動を抑制するために必要なWEDデルタ位置を決定することが可能であり、これは、エンジン操舵角とWEDデルタ位置との間の関係性を測定し、WEDデルタ位置に関する全てのデータを監視し、船舶のヨーレート、船首方位、及びロール角度の今にも起こりそうな変化として読み取ることにより可能である。具体的には、本システムは、(A)船舶の船首方位を制御し、WEDデルタ位置に起因する船首方位変化を相殺するために必要なエンジン操舵角の調節を行うこと、並びに(B)操舵位置の変化を測定し、結果として操舵位置変化から発生するロール運動を予測し、最終的に操舵位置変化が原因となるロール運動を相殺するためのWED/コントローラデルタ位置を自動的に生成することが可能である。
【0020】
本明細書の詳細な開示で更に述べるように、測定されるヨーレートを監視し、各WEDを個別に展開し、同時に、測定されるヨーレートに対する応答として、測定されるヨーレートを減らすようにそのような展開を調節することにより、ヨー軸における船舶の動的運動を抑制するように船舶全体のヨー軸制御を行うように構成されてよい。本明細書に記載のシステムは、運転者の命令(所望のトリム角度)を受信し、(A)運転者の所望のトリム角度を達成するように、WEDの平均位置並びにエンジントリム角度を調節すること、並びに(B)DACSシステムの性能、又は船舶のエンジンの燃料効率のいずれかを最適化するように、エンジントリムとWED平均位置との間の関係性を調節することが可能である。
【0021】
DACSは、WEDの個別展開に関する全てのデータを監視し、船舶のヨーレート、船首方位、及びロールレートの今にも起こりそうな変化として読み取るように構成されてよい。本システムは、受信されたデータに基づいて、ロール軸及び船首方位の全体の制御を行うことが可能であり、これは、ロール軸モーメントを相殺するように各WEDを個別に展開し、同時に、コントローラの個別展開に関連付けられた操舵モーメントを相殺するようにエンジン操舵位置を調節することにより可能である。DACSは又、ジャイロスコープ安定化システムによって発生するヨーモーメントを相殺するようにエンジン操舵角を調節するように構成されてよい。
【0022】
特定の実施形態を図面に示す。しかしながら、当然のこととして、本開示は、添付図面に示された構成及び手段に限定されない。
【0023】
本明細書に組み込まれ、その一部を成す添付図面は、本開示の幾つかの態様を示しており、詳細説明とともに、実施形態の原理を説明する役割を果たす。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一態様による、エンジン制御を伴う動的アクティブ制御システムの一実施形態を示しており、これは、少なくとも1対の水係合装置と、ソフトウェアモジュールと、エンジン制御モジュールを有するエンジンと、ジャイロスコープ安定化システムとを含み、これらは互いに接続されており、他の様々なモジュール及び構成要素とも接続されている。
【
図3】本開示の一態様による、完全に展開された水係合装置、及び完全に格納された水係合装置を示す。
【
図5】本開示の一態様による、少なくとも1対の水係合装置の対称展開及び個別の展開を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に開示の原理の推進及び理解のために、ここからは、図面に示された好ましい実施形態を参照し、その実施形態を具体的な言葉で説明していく。
【0026】
図1に示すように、船舶2000はDACS1000を含み、DACS1000は、運転コンソール200内に配置されたソフトウェアモジュール202を有し、船舶2000の操舵装置の近くにマウントされている。ソフトウェアモジュール202は、エンジン及び配電/配信モジュール400と通信結合されており、エンジンは埋め込みエンジン制御モジュール302を有しており、配電/配信モジュール400は、船舶2000のトランサム近くに配置されていて、DACS1000の様々な構成要素に電力及び通信信号を供給することに主に使用される。運転コンソール200は、船舶の運転者用の制御ステーションとして機能し、船舶2000を操舵及び/又は操縦するための操舵輪、制御レバー、又は他の同様の装置をサポートすることが可能である。ソフトウェアモジュール202は、エンジン制御モジュール302と通信接続されていて、船舶2000の動的アクティブ制御のための様々な運転アルゴリズムを動作させるように構成されていて、エンジンの調節可能なトリム、高さ、及び/又は操舵位置/方向の制御を可能にしている。
図1に更に示すように、運転コンソール200は、ソフトウェアモジュール202に加えて、任意選択の多機能ディスプレイユニット202及び/又は運転入力装置204(例えば、キーパッド)を含んでよく、これらの構成要素は、デジタル通信バスを介して互いに通信接続並びに作用的に接続されている。
【0027】
図1を再度参照すると、ソフトウェアモジュール202は、メモリ及び埋め込みプログラマブルプロセッサを含み、船舶2000の動的アクティブ制御のための様々な運転アルゴリズムを動作させるために、船舶の性能特定に関するデータをメモリから読み出して、プロセッサにデータを提供するように構成されている。例えば、ソフトウェアモジュール202のメモリには、船舶の運転性能に関するあらゆるデータ(例えば、船舶のシステム又は構成要素の致命的故障に関するデータ)が格納されてよい。ソフトウェアモジュール202には複数のセンサが通信接続並びに作用的に接続されている。図示のように、ソフトウェアモジュール202は、(1)複数のセンサ(例えば、船舶内に配置された動きセンサ)、(2)WED(コントローラ)602、606を展開及び格納するために船舶2000のトランサムの近くにマウントされた少なくとも1対のアクチュエータ、及び/又は(3)ジャイロスコープ安定化器500と通信結合並びに作用的に結合されている。別の実施形態では、WEDが追加されており、例えば、船舶2000のトランサムの近くにマウントされていてWEDを展開及び格納するように構成されたアクチュエータを有する2対のWED(これらはWED602、604、606、608とも呼ばれてよい)、WED602、604、606、608は、構造がほぼ同じであり、ほぼ同様に機能する。別の実施形態では、複数のセンサがソフトウェアモジュール202に組み込まれてよく、又は埋め込まれてよい。更に、複数のセンサのうちの少なくとも1つのセンサが、WED/コントローラ(602、606)のそれぞれの格納及び展開に関するデータの測定、並びに、船舶の運航中のエンジンの操舵角、トリム位置、高さに関するデータの測定及び報告を行うように構成されている。
【0028】
ソフトウェアモジュール202は、船舶2000のエンジンのエンジン制御モジュール302と通信結合されており、更に、WED602、606の高速展開のためにアクチュエータに電力、通信、及び/又はデータを供給するように構成されている。更に、
図1に示すように、ソフトウェアモジュール202は、デジタル通信バスを介して他の周辺装置、即ち、追加センサ(例えば、GPSセンサ、電圧センサ、エンコーダ、電流センサ、温度センサ、及び/又は他のセンサ)に接続されていてよく、ソフトウェアモジュール202は第一に、それらに関して、測定すること、エンジン制御モジュール302、及び/又はWED602、606に接続されているアクチュエータにデータをフィードすること、並びに船舶2000の動的アクティブ制御のために様々な性能特性を測定及び計算することを担当する。
【0029】
図示のように、本明細書に開示のDACS1000では、配電/配信モジュール400は、船舶2000のトランサムの近くにマウント及び配置されており、(ソフトウェアモジュール202を含む)運転コンソール200は、船舶2000のトランサムの近くではなく操舵装置の近くにマウントされている。様々なモジュール(具体的には、エンジン制御モジュール302、ソフトウェアモジュール202、及びWED(602、606)用アクチュエータ)が、業界標準の電力/通信ケーブルで互いに通信結合されており、WEDアクチュエータは船舶のトランサムにマウントされており、WEDアクチュエータは、WEDを毎秒100mm以上(好ましくは、毎秒250mm超)で高速展開するように構成されている。システム1000は更に、船舶2000の運航時に、システムの様々な構成要素(即ち、エンジン制御モジュール302、及び運転コンソール200の他の構成要素(ディスプレイ、入力装置等)、並びにWED/コントローラ602、606を高速展開するアクチュエータ)に対してソフトウェアモジュール202が「電源オン」(ウェイクアップ)ステータスを伝達するための信号(例えば、ウェイク信号)を発生させるように設計されている。
【0030】
図1を再度参照すると、ソフトウェアモジュール202は更に、特定の情報(例えば、路線図、海図プロット等)を記憶及び表示して、信頼できる船舶ナビゲーション及び案内を船舶2000の運転者に提供するように構成されている。そのようなナビゲーション及び案内として、ネットワークインタフェース識別及びロケーションアドレッシングのための特定OEM固有のインターネットプロトコル(IP)への接続を提供すること、並びに、使いやすいユーザインタフェース(UI)を船舶運転者に提供することが挙げられる。例えば、ソフトウェアモジュール202は、船舶が現在のコースからそれないようにするための、ヨー及びトリムを修正する情報/コマンドをエンジン及び操舵システムに与えてよい。ソフトウェアモジュール202は、主として、特定タイプのLinux(登録商標)又は他の、同等の機能性を提供するオペレーティングシステムを実行する埋め込みコンピューティング装置である。上述のように、システム1000は又、追加で幾つかのユーザ入力装置(例えば、キーパッド、操舵輪、及び1つ以上のスロットルレバー/ソフトレバー)を含む。ソフトウェアモジュール202と通信接続されている各装置は、プロセッサにコマンド(入力信号)を与えるように構成されており、そのプロセッサは、
図1に示すように、各WED/コントローラ(602、606)と関連付けられたアクチュエータと、アクチュエータ用電源/通信ケーブルを介して通信しており、WED/コントローラ602、606を高速展開する命令をアクチュエータに与える。
【0031】
ソフトウェアモジュール202は更に、船舶2000の運航中に複数のベクトル軸方向に発生するレート又は加速度を測定する複数の多軸慣性センサを含む。ソフトウェアモジュール202は、その複数の多軸慣性センサと通信接続並びに作用的に接続されるように構成されており、そのようなセンサとして、例えば、x軸方向の加速度(長手方向加速度)、y軸方向の加速度(幅方向加速度)、及びz軸方向の加速度(垂直方向加速度)を測定する加速度計センサ、ロールレート、ピッチレート、及びヨーレートを測定するセンサ(それぞれ、ロールレートセンサ(RRS)、ピッチレートセンサ(PRS)、及びヨーレートセンサ(YRS))が挙げられる。当業者であれば明らかになるであろう実施形態は、船舶の動的アクティブ制御中に発生する様々な測定(例えば、レート、加速度、力、トルク等)のために6軸センサ、9軸センサ、又は磁気計センサ、或いは他の同様のセンサを含む。WED602、606と通信接続されているソフトウェアモジュール202は、姿勢センサ(例えば、ピッチ及びロール)から、並びに、船舶2000上のあらかじめ選択された固定位置に配置された全地球測位システム(GPS)センサから受信された情報に基づいて動作する(特定の反復決定を行う)ようにプログラムされてよい。
【0032】
図1を再度参照すると、DACS1000は、船舶2000のトランサムにマウントされてWED602、606を高速展開するように構成された少なくとも1対のWEDアクチュエータを含み、システム1000は、エンジントリム調節と組み合わせてWED602、606を高速対称展開することによって船舶全体のピッチ軸制御を行う。図示のように、WED602、606は、船舶2000のトランサムにマウントされていて、毎秒100mm以上(好ましくは、毎秒250mm超)で水中に高速展開するように構成されている。
図2及び3は、本開示の一態様による、完全に展開された水係合装置、及び完全に格納された水係合装置を示す。
【0033】
図4に示すように、DACS1000は又、エンジントリム調節と組み合わせてWED602、606を対称展開して、船舶の最適安定性制御を実現することによって船舶全体のピッチ制御を行うように構成されている。例えば、WED602を半分(50パーセント)だけ下ろす場合には、センサがソフトウェアモジュール202に信号を送信し、ソフトウェアモジュール202が、WED602に取り付けられたアクチュエータに対し、WED602の上下位置を調節するように命令することが可能である。DACS100は更に、船舶に対して最良の動的アクティブ制御が行われるように、WED付勢とエンジントリムとの間の関係性を最適化してよい。
図5に更に示すように、システム1000は更に、WED602、606を個別に展開して、(1)ロール運動を相殺し、同時に、WEDデルタ位置に関連付けられた操舵モーメントを相殺するようにエンジン操舵位置を調節すること、並びに、(2)ジャイロスコープ安定化システムによって発生したヨーモーメントを相殺するようにエンジン操舵角を調節することを行うことにより、ロール及び船首方位の全体を制御するように構成されている。ソフトウェアモジュール202は、比例・積分・微分(PID)制御ループを実行する様々なアルゴリズムを含み、これは、命令されたロール角度と測定されたロール角度との差(デルタ角度)に関するデータを連続的に捕捉し、(
図4及び5に示したように)それぞれ船舶2000の左舷側及び右舷側にあるWED602とWED606との間のデルタ位置に対して、応答性に優れた正確な修正を施すためのものである。
【0034】
本開示の別の態様では、システム1000は、船舶2000の運航中に、センサからのデータ/フィードバックを連続的に監視及び測定し、WED602、606の高速展開をアクチュエータシステムに指示する命令信号を送信して、船舶の特定の動的アクティブ運動(例えば、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸にまたがる、0~3Hzの周波数スペクトルの運動)を相殺して、必要とされる、船舶の動的アクティブ制御を実現する。
【0035】
本開示の別の態様では、本明細書に開示のDACS1000は、船舶2000の船首方位を制御し、WEDデルタ位置に起因する船首方位の結果的変化を相殺するために必要となる、エンジン操舵角の調節を行うように構成されている。DACS1000は、操舵位置の変化を測定して、その操舵位置変化によって生じる結果的ロール運動を予測することが可能であり、同時に、この操舵位置変化に最終的に起因するロール運動を相殺するWEDデルタ位置を自動的に生成することが可能である。
【0036】
本開示の別の態様では、DACS1000は、エンジントリム調節と組み合わせてWED602、606を(
図4に示されたように)対称展開することによって、船舶2000のトリム角度を調節するように構成されている。エンジントリム調節を制御することにより、運転者及び/又はシステムは、船舶2000の燃料効率又は安定化性能を最適化する機会が得られる。WED602、606が平均的な非ゼロ位置(即ち「付勢」)を維持することをDACSが保証し、その付勢を可能にするようにDACSがエンジントリムを調節することにより、船舶2000の性能は更に最適化される。更に、DACS1000は、命令されたトリムを送達することにより、そのアクションによってDACS性能が最適を下回るとしても、燃料効率目的ではエンジントリムを最適化するように構成されている。
【0037】
本開示の更に別の態様では、本明細書に開示のDACSは、DACSがWED平均位置によって並びにエンジントリムによって制御されることを可能にすることによって、少なくとも2つの最適化ストラテジを可能にする。DACSは、運転者の所望のトリム角度を達成するために、運転者から所望のトリム角度を受信して、WEDの平均位置並びにエンジントリム角度を調節するように構成されている。本明細書に開示のように、DACSは、エンジントリムとWED平均位置との間の関係性を調節し、DACSシステムの性能、又はエンジンの燃料効率のいずれかを最適化するように構成されている。
【0038】
本開示の別の態様では、船舶2000が水上を移動する運航中、システム1000は、(変化するドラグ力を測定して)WED602、606のデルタ展開に関連付けられたヨーモーメントを相殺するようにエンジン操舵位置を調節するように構成されている。ソフトウェアモジュール202は、エンジンの操舵位置を調節する信号をエンジンのエンジン制御モジュール302に送信してよい。
【0039】
図1~5を再度参照すると、DACS1000は、エンジンの操舵位置と所望のWEDデルタ位置との間の関係性、即ち、右舷WED及び左舷WEDの位置とそれらの平均位置との差を測定するように構成されている。例えば、WEDデルタ位置が増やされると、ソフトウェアモジュール202は、船舶2000のエンジンの操舵位置を調節する信号をエンジン制御モジュール302に送信する。システム1000が(変化するドラグ力を測定して)WEDのデルタ展開に関連付けられた操舵モーメントを相殺することが可能であることは、本明細書に開示のように、ロール及び船首方位の全体の制御を最適化することに役立つ。
【0040】
本開示の別の態様では、ソフトウェアモジュール202は、船舶2000のエンジンの操舵位置に関するデータを受信して処理することが可能である。具体的には、プロセッサは、エンジンの操舵位置とWED602、606のデルタ位置との間の関係性を測定するようにプログラムされている。その測定データに基づいて、ソフトウェアモジュール202は、
図5に示すように、WED602、606を個別に展開してロール運動を相殺するようにWED602、606を調節し、同時に、WEDデルタ位置に関連付けられた操舵モーメントを相殺するようにエンジン操舵位置を調節するための予測信号を生成してアクチュエータに送信してよい。
図4及び5に更に示すように、ソフトウェアモジュール202は、WEDのうちの1つ以上の展開を調節するように、即ち、WED602、606(又は追加のWED)を一緒に動かすように、又は、WED602又は606のうちの1つだけを動かすように、或いは、それらを様々なパターンの組み合わせで動かすように、アクチュエータ機構に指示してよい。1つ以上のWEDが動く場合、それらは、必要に応じて同時に、互いに平行に又は反対方向に動いて、互いに同規模に展開してよく、又は異なる規模で展開してよく、それによって、エンジントリム調節と組み合わせてWEDを高速対称展開して、不要なロール運動及びピッチ運動を相殺し、船舶全体のピッチ軸制御を最適化することが可能である。
【0041】
本開示の別の態様では、DACS1000は、船舶2000の命令されたロール角度を(必要に応じて)制御及び変更する選択肢を運転者に提供する。運転者は、船舶2000の運航中に波が船舶の右舷側に当たった場合に、命令されたロール角度を動的に変更すること、及び/又は、左舷側が下がるように船舶を傾斜させるべきかどうかをユーザインタフェースを通して指示されることを選択できる。
【0042】
この、データの処理及び計算、具体的には、命令されたロール角度と実際の(測定された)ロール角度との差に基づいてWED/コントローラ602、606の展開角度を変更するように、ソフトウェアモジュール202で信号を処理することは、改良されたDACSの重要な革新的特徴の1つである。運転者は、命令されたロール角度を(例えば、-5~+5度の範囲で)変更してよく、それによって、制御システム内の決定ループがトリガされて、WED602、606の高速の(毎秒100mm以上の)デルタ展開をアクチュエータシステムに指示する出力信号が生成される。
【0043】
当然のことながら、上記は本開示の幾つかの例及び実施形態の詳細な説明に過ぎず、本開示の趣旨又は範囲から逸脱しない限り、本明細書でなされた開示に従って、開示の実施形態に対する様々な変更が行われてよい。従って、上記の説明は、本開示の範囲を限定することを意図しておらず、当業者であれば過度の負担を伴わずに本開示を実施できる程度の開示を提供することを意図している。更に当然のこととして、本開示の範囲は、当業者であれば明らかになるであろう他の実施形態を完全に包含する。
【0044】
「個別の(differential)」及び「個別に(differentially)」は、本文書中では、角度、速度、レート、方向、運動方向、出力、力、モーメント、慣性、質量、バランス、比較可能な物の適用等において、等しくないこと、中心から外れていること、及び/又は差を含むこととして定義されている。「動的」及び/又は「動的アクティブ制御」という用語は、必要とされた瞬間、直ちにアクションが行われることを意味しうる。この応用分野で「直ちに」という用語が使用された場合、これは、制御アクションがない場合には制御されない状態で船舶の運動及び姿勢が発生するであろう直前に、船舶の運動及び姿勢を阻止又は緩和する程度の応答性で制御アクションが行われることを意味する。当業者であれば、制御目的は達成されるものの、最大全体遅延の観点での、検知された運動パラメータと必要な応答との間の関係性が存在しうることを理解されよう。「動的」及び/又は「動的アクティブ制御」は、異なる力を含む、インタラクティブなハードウェアシステム及びソフトウェアシステムの説明において使用されてよく、連続的な変化及び/又はアクティビティで特徴付けられてよい。「動的」は、船舶と環境との間のインタラクションを説明する際にも使用されてよい。上述のように、船舶は、その推進システムから、並びに船舶が運航する環境から発生する様々な動的な力にさらされうる。船舶の姿勢についての言及は、3つの回転軸に対して相対的なものとして定義されてよく、それらは、Y軸(幅方向軸、スウェイ軸)を中心とするピッチ姿勢又はピッチ回転、X軸(長手方向軸、サージ軸)を中心とするロール姿勢又はロール回転、及びZ軸(垂直方向軸、ヒーブ軸)を中心とするヨー姿勢又はヨー回転を含む。
【0045】
本明細書に記載の例示的実施形態の様々な特徴は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実施されてよく、1つ以上のコンピュータシステム又は他の処理システムにおいて実施されてよい。しかしながら、これらの実施形態において行われるマニピュレーションは、一般的には人間の操作者が行う知的操作に関連付けられる「決定する(determining)」等の用語で言及される場合が多かった。人間の操作者のそのような能力は、本明細書に記載のいずれの操作においても不要である。つまり、操作は、機械動作によって完全に実施されうる。本明細書に記載の例示的実施形態の操作を行うことに有用な機械として、汎用デジタルコンピュータ又は同様の装置がある。ハードウェアに関しては、CPUは、典型的には、プログラム実行に必要な算術演算及び/又は論理演算を実施する1つ以上のマイクロプロセッサ、プログラム及びデータを格納する記憶媒体(例えば、1つ以上のディスクドライブ又はメモリカード(例えば、フラッシュメモリ))、一時データ及びプログラム命令を格納するランダムアクセスメモリ等の1つ以上の構成要素を含む。ソフトウェアに関しては、CPUは、典型的には、記憶媒体(例えば、ディスクドライブ又はメモリカード)にあるソフトウェアであって、実行されると送信及び受信の各動作をCPUに行わせるソフトウェアを含む。
【0046】
CPUソフトウェアは、記憶媒体に格納されているオペレーティングシステム(例えば、UNIX(登録商標)又はWindows(例えば、NT、XP、Vista)、Linux等)で動作可能であり、様々なプロトコル(例えば、Ethernet、ATM、TCP/IP、CAN、LINの各プロトコル、及び/又は他のコネクションプロトコル又はコネクションレスプロトコル)に従うことが可能である。当該技術分野において知られているように、CPUは、様々なオペレーティングシステムを実行することが可能であり、様々なタイプのソフトウェアを含むことが可能であり、その各タイプは、特定ソースからのデータ/情報を処理及び管理すること、或いは、データ/情報を1つのフォーマットから別のフォーマットに変換することのように、それぞれ異なる機能に専念する。従って、当然のことながら、本明細書に記載の実施形態は、いずれかの特定タイプのサーバコンピュータでの使用に限定されるものとして解釈されるべきではなく、それどころか、情報の交換及び格納を促進することに適する他の任意のタイプの装置で使用されてよい。
【0047】
CPUは、単一CPUであってよく、或いは、複数の個別CPUを含んでもよく、そのそれぞれは、別々の用途(例えば、データ用途、音声用途、及び映像用途等)に専念する。本明細書に記載の例示的実施形態のソフトウェア実施形態は、コンピュータプログラム製品(即ち、ソフトウェア)として提供されてよく、これは、機械アクセス可能な又は非一時的なコンピュータ可読媒体(即ち、「機械可読媒体」とも呼ばれる媒体)上の製造物(命令を含む)を含んでよい。機械アクセス可能又は機械可読な媒体に関する各命令は、コンピュータシステム又は他の電子装置をプログラムする際に使用されてよい。機械可読媒体としては、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、USBメモリ、及びSDカード、又は他のタイプの、電子的命令の格納又は送信に適する媒体/機械可読媒体があってよく、これらに限定されない。本明細書に記載の技術は、いかなる特定のソフトウェア構成にも限定されない。本明細書に記載の技術は、任意のコンピューティング環境又は処理環境に応用性を見出しうる。「機械アクセス可能媒体」、「機械可読媒体」、及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、本明細書では、機械(例えば、CPU又は他のタイプの処理装置)が実行する命令のシーケンスであって、本明細書に記載のいずれかの方法を機械に実施させる命令のシーケンスを格納、エンコード、又は送信することが可能な任意の非一時的媒体を包含するものとする。なお、ソフトウェアのことを、1つの形態又は別の形態(例えば、プログラム、プロシージャ、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニーク、ロジック等)で、アクションを起こすこと、又は結果を引き起こすことだと言うのは、(当業者であれば想定しうるように)当該技術分野では一般的である。そのような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行によって、アクションを実施して結果を引き起こすことをプロセッサに行わせることを簡略的に述べているに過ぎない。
【0048】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」、「an」、及び「the」の各語句、並びに同様の指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方を包含するものとして解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「包含する(containing)」の各語句は、特に断らない限り、オープンエンドターム(即ち、「~を含むが、これに限定されない」という意味)として解釈されるべきである。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に参照するための略記法としての役割を果たすことのみを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、本明細書に組み込まれている。本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書中で特に指摘されたり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、任意の好適な順序で実施されてよい。
【0049】
本明細書中で与えられるあらゆる例、又は例示的言い回し(例えば、「等の(such as)」)は、特に主張されない限り、単に本発明をより明らかにすることだけを意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。当然のことながら、上記は本開示の幾つかの例及び実施形態の詳細な説明に過ぎず、本開示の趣旨又は範囲から逸脱しない限り、本明細書でなされた開示に従って、開示の実施形態に対する様々な変更が行われてよい。従って、上記の説明は、本開示の範囲を限定することを意図しておらず、当業者であれば過度の負担を伴わずに本開示を実施できる程度の開示を提供することを意図している。
【0050】
更に当然のこととして、本開示の範囲は、当業者であれば明らかになるであろう他の実施形態を完全に包含する。ある実施形態の一部として図示又は記述された特徴が、別の実施形態に用いられて更に別の実施形態が得られることがあってよい。従って、本開示は、そのような修正形態及び変形形態を、添付の特許請求項及びそれらの均等物の範囲に収まるものとして包含するものとする。当業者であれば理解されるように、本説明は、例示的実施形態の説明に過ぎず、本開示のより広い態様を限定することを意図しておらず、そのより広い態様は例示的構成に埋め込まれている。
【国際調査報告】