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特表2024-528715手術器具及びそのためのステアリングギア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】手術器具及びそのためのステアリングギア
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240723BHJP
【FI】
A61B34/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504542
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022070776
(87)【国際公開番号】W WO2023006655
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021119522.5
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500023831
【氏名又は名称】カール シュトルツ エスエー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】ヤヌシュ シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ラングレ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン アクセル グルーナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ステファン
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA13
4C130AA17
4C130AA18
4C130AA19
4C130AB01
(57)【要約】
本発明は、手術器具(1)のためのステアリングギア(13)であって、長手方向軸(B)を画定し、且つ遠位端(5)に角度付け機構(9)を有するシャフト(2)の近位端(3)に配置され得、ステアリングギア(13)は、2つの電動駆動装置を有し、且つ2つの駆動装置の調整角度を介して揺動プレート(14)を空間的に調整するように設計される、ステアリングギア(13)に関する。2つの駆動装置は、モータ(17、17’)によって駆動される駆動輪(18、18’、19、19’)をそれぞれ有し、駆動輪(18、18’、19、19’)は、傘歯車リム(18.2、19.2)及び駆動リム(18.1、19.1)を有するダブルホイール(18、18’、19、19’)として設計される。揺動プレート(14)は、共通の回転軸(A)を有する2つの駆動輪(18、19、18’、19’)間に配置され、及び傘歯車リム(18.2、19.2)は、互いに面しており、両方のダブルホイール(18、19、18’、19’)の駆動リム(18.1、19.1)は、それぞれのピニオン(16a、16b)に動作可能に接続される。駆動リム(18.1、19.1)の1つにそれぞれ動作可能に接続されるピニオン(16a、16b)は、それぞれのモータ(17、17’)により、駆動軸(C、C’)を画定するそれぞれの駆動シャフト(15a、15b)を介して駆動され得、2つの駆動軸(C、C’)は、互いに平行に且つ2つの駆動輪(18、19、18’、19’)の共通の回転軸(A)に平行に延びる。本発明は、このタイプのステアリングギア(13)を含む手術器具(1)にも関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(B)を画定し、且つ遠位端(5)に偏向機構(9)を有するシャフト(2)の近位端(3)に配置可能である、手術器具(1)のためのステアリングギア(13)であって、
2つの電動駆動装置を含み、且つ揺動プレート(14)を前記2つの駆動装置の調整角度によって空間的に方向付けるように設計され、前記揺動プレート(14)は、前記手術器具(1)の前記遠位側偏向機構(9)を制御するように設計される、ステアリングギア(13)において、
第一の駆動装置は、第一のモータ(17)によって駆動され、且つ第一の傘歯車リム(18.2)及び第一の駆動リム(18.1)を有するダブルホイール(18、18’)として設計される第一の駆動輪(18、18’)を含み、及び
第二の駆動装置は、第二のモータ(17’)によって駆動され、且つ第二の傘歯車リム(19.2)及び第二の駆動リム(19.1)を有するダブルホイール(19、19’)として設計される第二の駆動輪(19、19’)を含み、
前記揺動プレート(14)は、共通の回転軸(A)を有する前記2つの駆動輪(18、19、18’、19’)間に配置され、及び前記傘歯車リム(18.2、19.2)は、互いに面して配置され、
両方のダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記駆動リム(18.1、19.1)は、それぞれのピニオン(16a、16b)に動作可能に接続され、
前記第一の駆動リム(18.1)に動作可能に接続される第一のピニオン(16a)は、第一のモータ(17)により、第一の駆動軸(C)を画定する第一の駆動シャフト(15a)を介して駆動可能であり、及び
前記第二の駆動リム(19.1)に動作可能に接続される第二のピニオン(16b)は、第二のモータ(17’)により、第二の駆動軸(C’)を画定する第二の駆動シャフト(15b)を介して駆動可能であり、
前記2つの駆動軸(C、C’)は、互いに平行に且つ前記2つの駆動輪(18、19、18’、19’)の前記共通の回転軸(A)に平行に延びることを特徴とするステアリングギア(13)。
【請求項2】
前記ステアリングギア(13)の前記2つのダブルホイール(18、19)は、前記揺動プレート(14)に対して、前記2つの駆動軸(C、C’)及び前記2つのダブルホイール(18、19)の前記共通の回転軸(A)が前記手術器具(1)の前記長手方向軸(B)に垂直に延びるように配置され、
前記モータ(17、17’)は、好ましくは、前記長手方向軸(B)に関して片側において互いに隣りに配置されることを特徴とする、請求項1に記載のステアリングギア(13)。
【請求項3】
前記第一の駆動輪(18、18’)は、中空ダブルホイール(18’)として設計され、及び
前記第二の駆動輪(19、19’)は、中空ダブルホイール(19’)として設計され、並びに
前記ステアリングギア(13)の前記2つの中空ダブルホイール(18’、19’)は、前記揺動プレート(14)に対して、前記2つの中空ダブルホイール(18’、19’)の前記共通の回転軸(A)が前記手術器具(1)の前記長手方向軸(B)と同一平面内にあり、及び前記2つの駆動軸(C、C’)が前記手術器具(1)の前記長手方向軸(B)に平行に延びるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のステアリングギア(13)。
【請求項4】
前記駆動リム(18.1、19.1)は、歯車リムであり、及び前記ピニオン(16a、16b)は、歯車リムとして具現化される前記駆動リム(18.1、19.1)と噛み合う歯車であることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のステアリングギア(13)。
【請求項5】
前記駆動リム(18.1、19.1)及び前記ピニオン(16a、16b)は、
駆動ベルト(44、45)のための全周プロファイルを有するプーリとして設計され、
第一の駆動ベルト(44)は、前記第一の駆動リム(18.1)と前記第一のピニオン(16a)との間の前記動作可能な接続を提供し、及び
第二の駆動ベルト(45)は、前記第二の駆動リム(19.1)と前記第二のピニオン(16b)との間の前記動作可能な接続を提供するか、又は
前記駆動リム(18.1、19.1)及び前記ピニオン(16a、16b)は、
駆動チェーンのためのスプロケットとして設計され、
第一の駆動チェーンは、前記第一の駆動リム(18.1)と前記第一のピニオン(16a)との間の前記動作可能な接続を提供し、及び
第二の駆動チェーンは、前記第二の駆動リム(19.1)と前記第二のピニオン(16b)との間の前記動作可能な接続を提供することを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のステアリングギア(13)。
【請求項6】
各駆動ベルト(44、45)は、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、リブ付きVベルト又は歯付きベルトであり、及び前記駆動リム(18.1、19.1)及びピニオン(16a、16b)の前記全周プロファイルは、したがって、平坦なプロファイル、丸いプロファイル、V字型プロファイル、リブ付きのV字型プロファイル又は歯付きプロファイルであることを特徴とする、請求項5に記載のステアリングギア(13)。
【請求項7】
前記揺動プレート(14)は、前記2つのダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記2つの傘歯車リム(18.2、19.2)と噛み合う第三の歯車(25)であって、その回転軸(D)は、前記ダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記共通軸(A)に直角である、第三の歯車(25)に連結され、
好ましくは、前記揺動プレート(14)は、前記2つのダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記2つの傘歯車リム(18.2、19.2)に連結され、且つ前記第三の歯車(25)から離れて面する側に配置される第四の歯車(31)に連結されることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載のステアリングギア(13)。
【請求項8】
シャフト(2)と、前記シャフト(2)の近位端(3)に配置された操作ユニット(4)と、遠位側偏向機構(9)によって偏向され得、且つ2つの駆動装置によって空間的に方向付けられ得る揺動プレート(14)によって制御され得るツールチップ(6)を有する、前記シャフト(2)の遠位端(5)に配置された器具(7)とを含む手術器具(1)において、請求項1~7の何れか一項に記載のステアリングギア(13)を含み、前記ステアリングギア(13)は、前記2つの駆動装置を含み、且つ前記2つの駆動装置の調整角度を前記揺動プレート(14)の前記空間的位置合わせに伝達するように設計されることを特徴とする手術器具(1)。
【請求項9】
前記2つのダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記2つの傘歯車リム(18.2、19.2)と噛み合う第三の歯車(25)と連結する目的のために、前記揺動プレート(14)は、ベアリングリング(32)を介して、前記第三の歯車(25)と共同で回転するように連結されるステアリングリング(30)内において、前記シャフト(2)の前記長手方向軸(B)の周囲で回転可能であるように取り付けられ、前記揺動プレート(14)は、前記シャフト(2)の長手方向軸(B)と同軸に延びるメインシャフト(21)にジンバル連結されることを特徴とする、請求項8に記載の手術器具(1)。
【請求項10】
前記揺動プレート(14)は、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピン(27)によってユニバーサルジョイントプレート(28)に旋回可能に取り付けられ、前記ユニバーサルジョイントプレート(28)は、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピン(29)によって前記メインシャフト(21)に旋回可能に取り付けられ、前記揺動プレート(14)及びユニバーサルジョイントプレート(28)の前記ベアリングピン(27、29)は、互いに90°だけオフセットされて配置されるか、又は
前記ジンバル取り付けは、前記メインシャフト(21)内において反対方向に存在する、2つの長手方向に延在する案内溝と、前記揺動プレート上に配置された2つの反対方向に且つ半径方向内側に向くピンとによって提供され、各ピンは、前記案内溝の1つに係合し、それにより、前記メインシャフト(21)の回転角度は、前記揺動プレート(14)に伝達可能であることを特徴とする、請求項9に記載の手術器具(1)。
【請求項11】
前記ステアリングギア(13)の前記揺動プレート(14)に接続されたステアリングワイヤ(12)は、前記シャフトの前記長手方向(B)に延びることを特徴とする、請求項8~10の何れか一項に記載の手術器具(1)。
【請求項12】
前記第四の歯車(31)は、前記ステアリングリング(30)を有するベアリングリング(42)を介して前記揺動プレート(14)に連結され、前記第四の歯車(31)は、前記第三の歯車(25)に対して自由に回転可能であることを特徴とする、請求項11に記載の手術器具(1)。
【請求項13】
操作要素(8)は、前記シャフト(2)内に軸方向に変位可能に取り付けられ、且つ近位側で前記操作ユニット(4)に動作可能に接続されることと、偏向可能な前記ツールチップ(6)の前記遠位側偏向機構(9)は、前記シャフト(2)の前記遠位端(5)に配置され、且つ前記シャフト(2)の前記長手方向(B)に延びるステアリングワイヤ(12)によって前記ステアリングギア(13)に接続される旋回部材(11)からなることとを特徴とする、請求項11又は12に記載の手術器具(1)。
【請求項14】
前記揺動プレート(14)における前記シャフト(2)の前記長手方向軸(B)からの前記ステアリングワイヤ(12)の半径方向距離は、前記ステアリングワイヤ(12)が出る前記シャフト(2)の前記近位端(3)におけるよりも大きく、
前記ステアリングワイヤ(12)は、前記シャフト(2)の前記近位端(3)から前記揺動プレート(14)まで直接延在し得、前記ステアリングワイヤ(12)は、前記揺動プレート(14)に対して、90°から逸脱する角度で延びるか、又は
ファンプレート(22)は、前記メインシャフト(21)上で遠位方向に前記揺動プレート(14)の前に配置され、前記ファンプレートは、前記シャフト(2)の前記長手方向軸(B)からの前記ステアリングワイヤ(12)の前記半径方向距離を増大させ、それにより、前記ステアリングワイヤ(12)は、前記ファンプレート(22)と前記揺動プレート(14)との間で互いにほぼ平行に延び、且つ前記揺動プレート(14)のプレート表面に対して90°の角度を形成することを特徴とする、請求項11~13の何れか一項に記載の手術器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術器具及びそのためのステアリングギアに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、手動で又はロボットによって案内され得、互いに係合する複数の旋回部材によって旋回され得るツールチップを有するツールを有する手術器具が知られている。これらの旋回部材は、複数のステアリングワイヤ又はステアリングケーブルに接続されて、ツールチップの繊細な制御を実現する。全ての偏向方向におけるより均一な力の分散は、少ない数の太いステアリングワイヤと比較して、複数の細いステアリングワイヤによって得ることができる。
【0003】
例えば、米国特許第5,454,827号明細書から、一般的な手術器具であって、遠位側旋回部材は、4つのステアリングワイヤを介して、近位側に配置された空間的に調整可能な揺動プレートに連結され、それにより、空間的に調整可能な揺動プレートの移動は、遠位側旋回部材の対応する相対移動と、したがってツールチップの旋回とを引き起こし、空間的に調整可能な揺動プレートの移動は、それと直接連結されるある種のジョイスティックによって手動で行われる、一般的な手術器具が知られている。
【0004】
4つのステアリングワイヤの全てが取り付けられる空間的に調整可能な揺動プレートを有する、ステアリングワイヤのための駆動装置の設計は、これにより空間的にコンパクトな構造が可能となり、ステアリングワイヤの全てを扱うために1つのコンポーネントの移動のみが必要である点で有利である。
【0005】
この既知の構造の欠点には、少ない数のステアリングワイヤのみ、具体的には4つのみのステアリングワイヤを使用することと、またステアリングワイヤのための駆動装置として機能する空間的に調整可能なプレートの純粋な手動の操作とが含まれ、それにより遠位側旋回部材の敏感で再現可能な調整がほとんど不可能である。
【0006】
米国特許第7,699,855号明細書は、手術器具であって、器具をロボットアームに接続できるようにするインタフェースを有する手術器具を開示している。この場合、器具を制御する全ての駆動装置は、ロボットアーム内に配置される。駆動装置から器具までの回転角度の伝達は、共通の分離平面内の連結プレートによって行われ、したがって、駆動軸は、互いに平行であり、且つこの平面に垂直である。
【0007】
国際公開第2014/004242号パンフレットもこのようなインタフェースを記載しており、この場合、軸方向に平行な駆動装置もロボットアームに据え付けられる。
【0008】
上述の設計は、駆動装置が手術器具内に直接配置されないため、複雑な構造及び遊びの問題を伴う間接的制御につながる。揺動プレートへの駆動装置の移動の結果的な非線形伝達挙動は、ソフトウェア制御において質の低いマッピングのみが可能である。
【0009】
米国特許第10,105,128B2号明細書もこのようなツールチップの制御を開示しており、その場合、これは、駆動装置の移動を揺動プレートに伝達するための歯付きのロックワッシャセグメント及びジョイントロッドを含むメカニズムによって実装される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この先行技術から進んで、本発明の目的は、線形伝達挙動を有する空間的に調整可能な揺動プレートの駆動装置を有する、手術器具のための改良されたステアリングギアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有するステアリングギアによって達成される。
【0012】
その空間的に調整可能な揺動プレートが、構造的に単純であり、且つ省スペースのステアリングギアによって駆動される手術器具を提供するというさらなる目的は、独立請求項8の特徴を有する手術器具によって達成される。
【0013】
ステアリングギア及び手術器具の発展形態及び好ましい実施形態は、従属請求項で定義される。
【0014】
手術器具のための本発明によるステアリングギアの第一の実施形態によれば、ステアリングギアは、器具の長手方向軸Bを画定し、且つ遠位端に手術器具の偏向機構を含む中空シャフトの近位端に配置可能であり、それは、2つの電動駆動装置を含み、且つ揺動プレートを2つの駆動装置の調整角度によって空間的に位置合わせするように設計される。したがって、揺動プレートは、手術器具の遠位側偏向機構を制御するように設計される。
【0015】
本発明によれば、第一の駆動装置は、第一の駆動輪を含み、これは、第一のモータによって駆動され、且つ第一の傘歯車リム及び第一の駆動リムを有するダブルホイールとして設計される。第二の駆動装置も第二の駆動輪を含み、これは、第二のモータによって駆動され、且つ第二の傘歯車リム及び第二の駆動リムを有するダブルホイールとして設計される。揺動プレートは、共通の回転軸を有する2つの駆動輪間に配置され、傘歯車リムは、互いに面して配置される。両方のダブルホイールの駆動リムは、それぞれのピニオンに動作可能に接続され、第一の駆動リムに動作可能に接続される第一のピニオンは、第一のモータにより、第一の駆動軸Cを画定する第一の駆動シャフトを介して駆動可能である。第二の駆動リムに動作可能に接続される第二のピニオンは、第二のモータにより、第二の駆動軸C’を画定する第二の駆動シャフトを介して駆動可能である。この場合、2つの駆動軸C、C’は、互いに平行に且つ2つの駆動輪の共通の回転軸Aに平行に延び、したがって、駆動軸は、器具の長手方向軸Bの近くに位置付けられ得、プロセスにおいて据付スペースが節約される。
【0016】
従動ダブルホイールでの線形伝達挙動を有するステアリングギアによる、空間的に調整可能なプレートの電動駆動の結果として、遠位側ツールチップを精密に、ごく小さい増分で繊細に、また再現可能に作動させることが可能である。この場合、ダブルホイールは、任意選択により一体に形成され得るが、各ダブルホイールを傘歯車及び駆動輪で構成し、それらを互いに接続することも可能である。駆動輪リムと傘歯車リムとの組合せにより、駆動装置によって開始された移動の揺動プレートへの直接的な伝達がもたらされる。
【0017】
本発明によるステアリングギアのある実施形態において、2つのダブルホイールは、揺動プレートに対して、2つの駆動軸C、C’及び2つのダブルホイールの共通の回転軸Aが手術器具の長手方向軸Bに垂直に、すなわち直角に延びるように配置され得る。省スペースの方式において、両方のモータを長手方向軸Bに関して片側において、それに垂直に互いに隣りに配置することができ、その結果、据付高さを縮小することができる。しかしながら、利用可能な据付スペースに応じて、2つのモータを長手方向軸Bに関して互いに反対方向にオフセットさせて配置することも想定可能である。
【0018】
本発明によるステアリングギアの代替的な実施形態において、2つの駆動輪は、中空ダブルホイールとして設計され、且つ揺動プレートに対して、2つの中空ダブルホイールの共通の回転軸Aが手術器具の長手方向軸Bと同一平面に、すなわちそれと一致するように配置され得、及び2つの駆動軸C、C’は、手術器具の長手方向軸Bに平行に延びる。これにより、モータを長手方向軸の近くに、正確にはそれと平行に、据付スペースを節約するように配置することも可能となる。
【0019】
ステアリングギアの両方の配置の変形形態において、ダブルホイール又は中空ダブルホイールの駆動ギアを歯車リムとし、相応に、ピニオンを、歯車リムとして設計される駆動リムと直接係合するか又は噛み合う歯車とすることが可能である。
【0020】
歯車リムと歯車との動作可能な接続の代替形態として、さらなる実施形態は、ダブルホイール又は中空ダブルホイールの駆動リム及びピニオンが、駆動ベルトのための全周プロファイルを有するプーリとしてそれぞれ設計されるようにし、第一の駆動ベルトは、第一の駆動リムと第一のピニオンとの間の動作可能な接続を提供し、及び第二の駆動ベルトは、第二の駆動リムと第二のピニオンとの間の動作可能な接続を提供する。
【0021】
平ベルト、丸ベルト、Vベルト、リブ付きVベルト又は歯付きベルトが駆動ベルトとして選択され得、駆動リム及びピニオンの全周プロファイルは、したがって、平坦なプロファイル、丸いプロファイル、V字型プロファイル、リブ付きのV字型プロファイル又は歯付きプロファイルである。歯付きベルトが好ましいものであり得、これは、歯付きベルトとプーリの歯のプロファイルとのインターロックにより、より大きい力をより低い予張力で伝達できるだけでなく、特に滑りも防止することができ、したがって正確な制御を確実にするためである。
【0022】
ベルト駆動装置の代替形態としてのチェーン駆動装置の場合、ダブルホイール又は中空ダブルホイールの駆動リム及びピニオンとは、したがって、駆動チェーンのためのスプロケットとして設計され、第一の駆動チェーンは、第一の駆動リムと第一のピニオンとの間の動作可能な接続を提供し、及び第二の駆動チェーンは、第二の駆動リムと第二のピニオンとの間の動作可能な接続を提供する。ベルト駆動装置は、より低コスト及びよりスムーズな動作から、チェーン駆動装置より好ましい場合がある。
【0023】
加えて、揺動プレートを制御するために、ステアリングギアの本発明によるさらなる実施形態は、揺動プレートが、2つのダブルホイール又は中空ダブルホイールの2つの傘歯車リムと噛み合う第三の歯車に連結されるようにし得、その回転軸Dは、ダブルホイールの共通軸Aに直角である。このようにして、駆動装置の調整移動は、(中空)ダブルホイールを介して第三の歯車に、且つ第三の歯車から揺動プレートに伝達され得、それにより揺動プレートが2つの回転軸A及びDの周囲で傾斜又は旋回され得る。好ましくは、揺動プレートは、第四の歯車にも連結され得、これは、2つのダブルホイール又は中空ダブルホイールの2つの傘歯車リムに連結され、且つ第三の歯車から離れて面する側でその回転軸D上に配置される。
【0024】
本発明は、手術器具にも関する。手術器具の第一の実施形態によれば、手術器具は、シャフトと、シャフトの近位端に配置された操作ユニットと、シャフトの遠位端に配置されたツールとを含む。ツールは、遠位側偏向機構によって偏向され得るツールチップを含む。偏向機構は、2つの駆動装置によって空間的に位置合わせ可能な揺動プレートによって制御又は位置合わせされ得、その目的のために、手術器具は、本発明によるステアリングギアを含み、2つの駆動装置は、本発明によるステアリングギアの一部であり、これは、2つの駆動装置の調整角度を揺動プレートの空間的位置合わせに伝達して、したがって偏向機構を制御するように設計される。
【0025】
本発明によるステアリングギアの結果として、手術器具は、構造的に単純であり、且つ省スペースの方式で構築され得、その結果、ロボットアームへの簡単な接続が可能となり、その場合、駆動装置の移動は、ツールチップに直接伝達され得る。その結果、手術器具が精密に制御可能に使用される。
【0026】
両方のダブルホイールの2つの傘歯車リムと噛み合う第三の歯車と共同で回転するように連結されていても、空間的に調整可能な揺動プレートを3次元で調整するために、すなわち傾斜又は旋回移動を長手方向軸Bの周囲での揺動プレートの回転と重ねることができるようにするために、手術器具の好ましい実施形態は、揺動プレートが、ベアリングリングを介して、第三の歯車と共同で回転するように連結されるステアリングリング内において、シャフトの長手方向軸Bの周囲で回転可能であるように取り付けられるようにし得る。揺動プレートを、シャフトの長手方向軸Bと同軸に延びるメインシャフトと回転可能に連結するために、揺動プレートは、メインシャフトにジンバル連結され得る。したがって、ツールチップは、2つの駆動装置及びメインシャフトによる、シャフトの長手方向軸に対する旋回又は傾斜に加えて、揺動プレートによってシャフトの長手方向軸の周囲で回転され得る。
【0027】
空間的に調整可能な揺動プレートのジンバル取り付けを形成するために、本発明による手術器具のある実施形態は、揺動プレートが、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピンによってユニバーサルジョイントプレートに旋回可能に取り付けられるようにし得、ユニバーサルジョイントプレートは、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピンによってメインシャフトに旋回可能に取り付けられ、揺動プレート及びユニバーサルジョイントプレートのベアリングピンは、互いに90°だけオフセットされて配置される。ジンバルサスペンションにより、3つの空間軸の全てにおける移動案内が可能であり、それにより、ツールチップは、標的を定めて制御され得る。メインシャフト上での揺動プレートのジンバル取り付けのための直角に交差する2つのピンの対を有するユニバーサルジョイントプレートの代替形態として、有利な実施形態は、ジンバル取り付けの目的のために、メインシャフトがその外面に2つの案内溝を含むようにし得、前記案内溝は、反対方向に且つメインシャフトに沿って延在し、外面と内面とを有する環状の実施形態を有する揺動プレートは、揺動プレート上に配置される、2つの反対方向に且つ半径方向内側に向くピンを含む。揺動プレート上又はその中に確実に組み付けられた2つのピンの各々は、両側でメインシャフトに導入された案内溝の1つに係合し、その結果、シャフトの回転角度は、揺動プレートに伝達可能である。有利には、これにより、メインシャフトと揺動プレートとの間の回転剛性接続がもたらされ、それにより大きい角度のオフセット(±40°以上)及び軸方向オフセットがあっても回転角度を伝達でき、プロセスにおいて非常にコンパクトな設計を有し、且つ製造及び組立が容易である。しかしながら、メインシャフト上への揺動プレートのジンバル取り付けのために、基本的に、比較的小さい角度オフセットでも曲線歯連結を、又は複雑な製造及び複雑な組立でも等速ジョイントを、又は遊びに影響される回転角伝達につながることが多い一体接合連結を利用することもできる。
【0028】
本発明による手術器具のさらなる実施形態において、ステアリングギアの揺動プレートに接続されるステアリングワイヤは、シャフトの長手方向に延びる。好ましくは、ステアリングワイヤは、例えば、クランプ接続によって揺動プレートに取り外し可能に固定され得、それにより、損傷した場合にステアリングワイヤを容易に交換することができる。揺動プレートは、メインシャフトに回転可能に連結され、且つベアリングリングの結果としてステアリングリングに回転可能に取り付けられ、前記ステアリングリングは、第三の歯車と共同で回転するように連結され、さらに、有利には、ツールチップを長手方向軸に対して旋回させるとき及びシャフトの長手方向軸の周囲で回転を行うとき、ステアリングワイヤのねじれを防止する。
【0029】
また、本発明による手術器具のなおもさらなる実施形態は、第四の歯車が、ステアリングリングを有するベアリングリングを介して揺動プレートに連結されるようにし、第四の歯車は、第三の歯車に対して自由に回転可能である。この第四の歯車は、全周歯付きチェーンを閉じ、したがって均一に全周にわたる遊びのない力の分散を確実にする。
【0030】
本発明による手術器具のさらなる実施形態において、操作要素は、シャフト(及びメインシャフト)内に軸方向に変位可能に取り付けられ、且つ操作ユニットの近位側で動作可能に接続される。偏向可能なツールチップの遠位側偏向機構は、旋回部材からなり、これらは、シャフトの遠位端に配置され、且つシャフトの長手方向に延びるステアリングワイヤを介して揺動プレートに接続される。
【0031】
本発明による手術器具のさらなる実施形態では、シャフトの長手方向軸からのステアリングワイヤの半径方向距離は、揺動プレートにおいて、ステアリングワイヤが出るシャフトの近位端におけるよりも大きい。この場合、ステアリングワイヤは、シャフトの近位端から揺動プレートに直接延在し得、ステアリングワイヤは、揺動プレートに対して、90°から逸脱する角度で延びる。代替的に、ファンプレートは、メインシャフト上で遠位方向に揺動プレートの前に配置され得、前記ファンプレートは、近位側シャフト端から出るステアリングワイヤの、シャフトの長手方向軸からの半径方向距離を増大させ、それにより、ステアリングワイヤは、ファンプレートと揺動プレートとの間で互いにほぼ平行に延び、且つ揺動プレートのプレート表面に対して約90°の角度を形成する。ファンプレートを有しない変形形態は、必要な据付スペースがより小さいために好ましいものであり得る。シャフトの長手方向軸からのステアリングワイヤの半径距離を例えば直径4mmから直径18mmに増大させる結果として、空間的に調整可能なプレートを備えるステアリングワイヤの駆動装置の組立及び製造が単純化されるだけでなく、空間的に調整可能なプレートの調整角度又はてこの増大の結果として、偏向に必要な力を削減することもでき、これは、半径増大の範囲に対応するツールチップの旋回角度を得るために行われる。
【0032】
ステアリングワイヤ及び操作要素のためのカットアウトが第三の歯車及び第四の歯車の歯車リムに形成されて、第三及び第四の歯車がシャフトの長手方向軸に関して旋回されるとき、歯車とステアリングワイヤ及び任意選択により操作要素との衝突を避けることができる。
【0033】
本発明による手術器具は、旋回可能なツールチップを制御するために多くの細いステアリングワイヤが使用され得、及びステアリングワイヤが近位側に取り付けられる空間的に調整可能なプレートのための電動駆動装置により、この制御が高感度、精密及び再現可能である点で有利である。
【0034】
さらなる実施形態並びにこれら及びさらなる実施形態に関連付けられる利点の幾つかは、添付の図を参照する以下の詳細な説明によって明らかとなり、よりよく理解可能となる。実質的に同じ又は同様の物体又はその部品は、同じ参照符号が付されている場合がある。図は、本発明の実施形態の概略的な図にすぎない。本発明のある例示的な実施形態が図面に描かれている。図面、説明及び請求項は、多くの特徴を組み合わせて含む。当業者は、有利には、これらの特徴を個別に考慮し、それらを組み合わせて、さらなる有利な組合せを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明による医療機器の概略斜視側面図を示す。
図2】第一の実施形態における、図1による駆動装置の斜視図を示す。
図3図2による駆動装置の背面図を示す。
図4図2による駆動装置の平面図を示す。
図5図2による駆動装置の変形形態の平面図を示す。
図6図2による駆動装置のさらなる変形形態の平面図を示す。
図7】第二の実施形態における、図1による駆動装置の斜視図を示す。
図8図7による駆動装置の平面図を示す。
図9】第三の実施形態における、図1による駆動装置の斜視図を示す。
図10】揺動プレートギアの一部切欠き詳細斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、手術器具1を示し、これは、中空シャフト2を備え、これは、シャフト2の近位端3に配置された概略的にのみ示される操作ユニット4と、シャフト2の遠位端5に配置されたツールチップ6とを含む。ツールチップ6は、器具7に接続され、これは、シャフト2内に軸方向に変位可能に取り付けられた操作要素8によって操作され、近位側で操作ユニット4に動作可能に接続される。操作ユニット4は、手動操作ハンドルであり得るか、又はロボットを使用するように設計されたアセンブリ、すなわち手動の支援なしに操作されるアセンブリでもあり得る。
【0037】
例えば、ツールチップ6の器具7は、図1に示されるようにジョーを備えるツール若しくは内視鏡、アプリケータ又はその他であり得る。
【0038】
ツールチップ6は、シャフト2の長手方向軸10に関してヒンジ機構9によって旋回可能であり、このヒンジ機構9は、旋回部材11からなり、これは、シャフトの遠位端5に配置され、シャフト2の長手方向軸Bに延びるステアリングワイヤ12を介して、シャフト2の近位端3に配置される駆動装置又はステアリングギア13に接続され、それにより、近位側ステアリングギア13の移動は、遠位側旋回部材11の対応する相対移動と、したがってツールチップ6の旋回とを引き起こす。
【0039】
上記及び下記においてステアリングワイヤ12という用語のみが使用されているが、機能的観点からステアリングケーブルも利用することができ、したがって、使用されているステアリングワイヤ12という用語は、ステアリングケーブルと同義語としても読まれ、理解されるべきである。
【0040】
軸方向に変位可能な操作要素8は、シャフト2に取り付けられ、例えば2つのジョー部分からなる器具7を操作する役割を果たし、図の実施形態ではプッシュ/プルロッドの形態である。
【0041】
図面に示され、以下で説明される医療機器1において、ステアリングワイヤ12のためのステアリングギア13は、電動駆動装置13の形態である。
【0042】
本発明による手術器具のまたさらなる実施形態において、揺動プレートは、シャフトの長手方向軸Bの周囲で回転可能であるようにステアリングリングに取り付けられる。このために、第三の歯車と共同で回転するように連結されたベアリングリングがステアリングリング内に提供される。これは、ツールチップが、シャフトの長手方向軸に関する旋回に加えて、シャフトの長手方向軸の周囲で回転できるようにする役割も果たし、その際、ステアリングワイヤは、ねじれない。
【0043】
駆動装置13のコアは、空間的に調整可能なプレート又は揺動プレート14(図3、9、10)であり、その上において、ステアリングワイヤ12は、揺動プレート14の変位が、揺動プレート14に取り付けられたステアリングワイヤ12によるツールチップ6の旋回を生じさせるように取り付けられる。揺動プレート14は、電動駆動装置又はステアリングギア13によって変位させることができる。
【0044】
揺動プレート14のために電動ドライバ13を使用することにより、遠位側旋回部材11又はツールチップ6を精密に、高感度で、ごく小さい増分で、また再現可能な方法で旋回させるようにステアリングワイヤ12を制御することが可能となる。さらに、電動駆動装置13のために使用されるステアリングワイヤ12の数は、非常に自由に選択され得る。
【0045】
図2~9に示されるように、ステアリングギア13は、平行な駆動軸C、C’を有するモータ17、17’(図9では図示せず)を備える2つの駆動装置を含み、駆動軸は、2つの駆動輪18、19の共通の回転軸Aにも平行に延び、それらの間に空間的に調整可能な揺動プレート14が配置される。
【0046】
図2及び3は、手術器具1のための本発明によるステアリングギア13の第一の実施形態の例を示し、これは、図1に示されるように、長手方向又は主軸Bを画定し、且つ遠位端5に偏向機構9を含むシャフト2の近位端3に配置される。ステアリングギア13の駆動装置は、第一のモータ17によって駆動される第一の駆動輪18と、第二のモータ17’によって駆動される第二の駆動輪19とを含み、それらの間に揺動プレート14が配置される。2つの駆動輪18、19は、共通の回転軸A上に配置され、何れもダブルホイール18、19として設計され、そのため、これらは、それぞれ傘歯車リム18.2、19.2及び駆動リム18.1、19.1を含む。ダブルホイール18、19は、好ましくは、一体に製造することができる。しかしながら、各ダブルホイールのそれぞれが、傘歯車及びそれに接続された駆動リムを有するホイールから構成されるようにすることも同様に可能である。
【0047】
ダブルホイール18、19の傘歯車リム18.2、19.2は、互いに面し、第三の歯車25と噛み合い、その反対側に第四の歯車31が配置され、前記歯車は、揺動プレート14に連結され、ダブルホイール18、19の共通軸Aに対して直角の回転軸D上に配置される。
【0048】
モータ17、17’の調整移動を駆動輪に伝達するために、ステアリングギア13は、第一のピニオン16aを含み、これは、第一の駆動シャフト15aを介して第一のモータ17によって駆動され、第一のダブルホイール18の駆動リム18.1と噛み合う。したがって、第二のダブルホイール19の駆動リム19.1と噛み合う第二のピニオン16bは、第二の駆動シャフト15bを介して第二のモータ17’によって駆動される。駆動シャフト15a及び15bは、第一及び第二の駆動軸C及びC’を画定し、これらは、互いに平行にのみならず、2つの駆動輪18、19の共通の回転軸Aにも平行に延びる。
【0049】
この配置により、ステアリングギア13の2つの駆動ダブルホイール18、19は、揺動プレート14に対して、2つの駆動軸C、C’及び2つのダブルホイール18、19の共通の回転軸Aが手術器具1の長手方向軸Bに垂直に、すなわち直角に延びるように配置可能である。このようにして、駆動軸C、C’は、長手方向軸Bの比較的近くに位置付けることができる。ステアリングギア13により、2つの駆動輪18、19を移動させるためにモータ17、17’を互いに反対側に取り付ける必要がなくなるため、2つのモータ17、17’を長手方向軸Bに関して片側において互いに隣りに平行に配置することにより、器具の据付高さを削減することができる。
【0050】
この場合、駆動輪18、19の周囲の円形軌道UC上への駆動軸C、C’の位置付けは、そこの据付スペースが、例えば、メインシャフト21、ステアリングワイヤ12、ファンプレート22又は操作要素8等の他の器具のコンポーネントによって占有されないことを条件として、図4~6に示されるように、事実上無制限に選択可能である。図4~6に示される変形形態は、ピニオン16a、16b、駆動シャフト15a、15b及びモータ17、17’で作られる駆動ユニットの、長手方向軸Bにできるだけ近く、好ましくはそれらが据付スペースを節約するような配置を示す。しかしながら、ピニオン16a、16bが駆動リム18.1、19.1と噛み合う限り、円形軌道UC上の何れの所望の位置における駆動ユニットの配置も想定可能である。円形軌道UCの直径は、駆動輪18、19の直径及びピニオン16a、16b又は歯部の直径に依存する。したがって、駆動軸C、C’の考え得る位置を指定する変更後の円形軌道の直径は、ギア比を変えることによって得られ得る。
【0051】
図7及び8は、ステアリングギア13の代替的な実施形態の例を示し、この場合、モータ17、17’、駆動シャフト15a、15b及びピニオン16a、16bで作られる駆動ユニットによって画定される2つの駆動軸C、C’は、手術器具1の長手方向軸Bに平行に延びる。これは、駆動ユニットによって駆動されるダブルホイールが中空ダブルホイール18’、19’として設計され、したがって、揺動プレート14に対して、2つの中空ダブルホイール18’、19’の共通の回転軸Aが手術器具1の長手方向軸Bと同一平面内であるようにステアリングギア13に配置できることによって可能となる。ダブルホイール18’、19’を中空にすることにより、揺動プレート14に続く器具のコンポーネント、例えばメインシャフト21及びステアリングワイヤ12をダブルホイール18’、19’に導入することができる。これにより、長手方向軸の付近に駆動ユニットを、据付スペースを節約するように位置決めすることも可能となり、ダブルホイール18’、19’の周囲の円形軌道(図4のUCに対応する)上の駆動軸C、C’の位置決めは、この場合にも原則として必要に応じて選択され得る。
【0052】
図2~8に示される例では、ダブルホイール18、19又は中空ダブルホイール18’、19’の駆動リム18.1、19.1は、歯車リムとして設計され、ピニオン16a、16bは、したがって、歯車リムとして設計された駆動リム18.1、19.1と係合するか又は噛み合う歯車として設計される。それに対して、図9は、モータ17、17’の調整移動をそれぞれの駆動輪18、19に伝達するためのベルト伝動装置を備えるステアリングギア13のまたさらなる実施形態の例を示す。
【0053】
図9では、概観がよりよくわかるようにモータが描かれていないが、プーリとして設計される図のピニオン16a、16bが、それぞれの駆動シャフトがそれぞれの駆動軸C、C’上にあるそれぞれのモータによって駆動されることは、自明である。ダブルホイール18、19の駆動リム18.1、19.1もプーリとして設計され、その結果、調整移動は、第一のピニオン16aから第一の駆動輪18に第一の駆動ベルト44を介して伝達することができ、したがって、調整移動は、第二のピニオン16bから第二の駆動輪19に第二の駆動ベルト45を介して伝達することができる。
【0054】
図9において明らかであるように、歯部を有する駆動リム18.1から、ベルト44は、この例では、歯付きベルトとして具現化される。その結果、プーリとして設計されるピニオン16aも歯部を有する。同様の記述は、図から明らかでなくとも、第二の駆動ユニット、すなわちピニオン16b、ベルト45及び駆動リム19.1にも当てはまる。
【0055】
当然のことながら、歯付きベルト伝動装置以外のベルト伝動装置、例えば平ベルト、丸ベルト、Vベルト又はリブ付きVベルトが使用可能であり、プーリは、駆動ベルトに対応する円周プロファイルを有するように形成される。図9に示されるベルト伝動装置の例と同様に、チェーン伝動装置を有する実施形態も想定可能であり(図示せず)、その場合、図9に示されるベルト44、45と異なり、チェーンが使用され、ピニオン16a、16b及び駆動リム18.1、19.1は、したがって、スプロケットとして設計される。
【0056】
駆動ベルト又は対応する駆動チェーンを有する実施形態において明らかになるのは、ピニオン16a、16b又は駆動軸C、C’の位置決めを、互いに独立して且つ駆動輪18、19の周囲の円形軌道上に必要に応じてのみならず、駆動ベルト又はチェーンの長さを変化させることによって駆動輪18、19からのあらゆる所望の距離にも選択できることである。しかしながら、据付スペースの削減が望ましいため、駆動軸C、C’を駆動輪18、19の付近に、好ましくは長手方向軸Bの付近にも位置決めすることが望ましい。
【0057】
空間的に調整可能なプレート14の構造及び後述のようなその取り付けは、電動駆動装置又はステアリングギア13の全ての実施形態で同じである。駆動ユニットによって操作されるステアリングギア13及び特に揺動プレート14の構造及び動作を図3、8、9、特に図10に基づいて後述し、これらの図では、概観がよりよくわかるように、ダブル歯車18、19の傘歯車リム18.2、19.2を有す傘歯車のみが示されている。
【0058】
図から明らかであるように、シャフト2の長手方向軸Bと同軸に延在し、シャフト2の長手方向軸Bの周囲で回転可能であり、シャフト2の近位端3を越えてステアリングギア13の領域まで延在する中空メインシャフト21は、器具1のシャフト2に配置される。器具7を操作する操作要素8は、この中空メインシャフト21内に軸方向に変位可能に取り付けられる。
【0059】
その目的のために、ステアリングワイヤ12のための通過スロットがその中に提供されるシャフトエンドピース3をシャフト近位端に提供できる、シャフト2の近位端3においてシャフト2から発するステアリングワイヤ12は、図の例では、シャフトエンドピース3上でメインシャフト21と共同で回転するように配置されたファンプレート22によって扇状に開き、それによりステアリングワイヤ12の、シャフト2の長手方向軸Bからの半径方向距離が増大する。シャフト2の長手方向軸Bを同軸的に取り囲むステアリングワイヤ12のバンドルの直径は、シャフト2内又は偏向機構9の領域の遠位端5において例えば約4mmであり、ステアリングワイヤ12によって形成されるバンドルの前記直径は、ファンプレート22の背後で例えば18mmである。ステアリングワイヤ12の、シャフト2の長手方向軸Bからの半径方向距離の、ファンプレート22を用いて得られる増大により、揺動プレート14を備えるギア13の組立及び製造が容易になるだけでなく、ツールチップ6の望ましい程度に大きい旋回角度を得るのに必要な揺動プレート14の調整角度が比例して減少する。ステアリングワイヤバンドルの直径の、シャフト2内の4mmからファンプレート22の背後の18mmへのこの例示的な増大の場合、揺動プレート14の調整角度は、したがって、遠位端において得られるツールチップ6の旋回角の4.5分の1に減少する。したがって、前記ツールチップを90°偏向させるために、揺動プレート14をわずか20°旋回させればよい。
【0060】
ファンプレート22の背後の近位側では、シャフト2の長手方向軸Bに平行に延びるステアリングワイヤ12は、揺動プレート14に案内される。揺動プレート14上にステアリングワイヤ12を固定するために、揺動プレート14の上に各ステアリングワイヤ12のための穿孔貫通穴23が形成され、図の例のステアリングワイヤ12は、穿孔貫通穴23内で揺動プレート14に摩擦接続され、固定ねじ24によって固定される。例えば、ステアリングワイヤの揺動プレートへの固定の代替形態は、溶接若しくはクリンピング又は他のクランプ装置も含む。
【0061】
駆動輪18、19は、第三の歯車25に連結され、これは、好ましくは、傘歯車の形態であり、ダブルホイール18及び19の2つの傘歯車リム18.2、19.2と噛み合い、その結果、第三の歯車25の回転軸Dは、駆動輪18及び19の共通の回転軸及びシャフト2の長手方向軸Bと交差する。3つの噛み合う歯車18、19及び25により、2つの駆動輪18及び19の各移動は、第三の歯車25に連結された揺動プレート14に直接伝達され、それによりステアリングワイヤ12の直接操作がもたらされる。
【0062】
メインシャフト21上の揺動プレート14のジンバル取り付けを形成するために、揺動プレート14は、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピン27によってユニバーサルジョイントプレート28に旋回可能に取り付けられ、前記ユニバーサルジョイントプレート自体は、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピン29によってメインシャフト21に旋回可能に取り付けられる。図10では、部分断面図であることから、1つのベアリングピン27及び1つのベアリングピン29のみがそれぞれ見える。
【0063】
この場合、揺動プレート14のベアリングピン27及びユニバーサルジョイントプレート28のベアリングピン29は、互いに90°だけオフセットされて配置される。この取り付けにより、揺動プレート14は、シャフト2の長手方向軸Bに関して、互いに直角の2つの軸の周囲で旋回することがき、長手方向軸Bの周囲のメインシャフト21の回転を揺動プレート14に伝達することができ、それにより、ステアリングワイヤ12により、ツールチップ6は、遠位側でシャフト2の長手方向軸Bに関して全ての空間方向に旋回可能である。
【0064】
メインシャフト21への揺動プレート14の、ここでは図示されていない代替的なジンバル取り付けは、メインシャフト21が、揺動プレート14を取り付けるために提供された領域に2つの案内溝を含むようにし、これらは、メインシャフト21に沿って延在し、メインシャフト21内に両側又は反対側で導入され、そこに、揺動プレート14上に配置された2つの反対方向に且つ半径方向内側に向くピンが係合する。この係合の結果、揺動プレート14は、回転軸Dと回転軸Aとの両方の周囲で、揺動プレート14が回転軸Aによって画定され、長手方向軸Bに垂直、すなわちそれに直角な平面内に配置される中立位置から旋回することができる。両方の回転軸A、Dの周囲での旋回の結果として移動を重ねることも同様に可能である。さらに、案内溝20aへのピン29の係合により、メインシャフト21の回転角度を揺動プレート14に伝えることができ、その結果、揺動プレート14は、シャフト2の長手方向軸Bに関して3次元に変位することができる。回転軸A及びDの周囲での最大傾斜若しくはねじり又は最大傾斜及び回転角度は、案内溝20aの長さ及び深さと、揺動プレート14の内径及び厚さ並びにピン29の長さとによって決まる。図の例において、メインシャフト21は、揺動プレート14を取り付けるために設けられた領域内に球形部分20bを含み、案内溝20aが前記球形部分内にあり、それが揺動プレート14を軸方向に固定する。この場合、揺動プレート14は、球形部分20bと合致する輪郭を有する収容凹部を有する。
【0065】
図3、8、9及び10から、空間的に調整可能なプレート14は、第三の歯車25と共同で回転するように連結されたステアリングリング30に取り付けられることも明らかである。
【0066】
駆動輪18、19及び歯車25によって形成されるギアチェーンを閉じて、均一な全周にわたる力分散を確実にする閉鎖型伝動装置を形成するために、同様に好ましくは傘歯車として設計され、2つのダブル歯車18及び19の傘歯車リム18.2、19.2と噛み合う第四の歯車31は、第三の歯車25の回転軸D上において第三の歯車25と反対に配置される。
【0067】
ベアリングリング32により、揺動プレート14は、第三の歯車25と共同で回転するように連結されたステアリングリング30内に取り付けられて、揺動プレート14がシャフト2の長手方向軸Bの周囲で回転できるようにされる。第三の歯車25と共同で回転するように連結されたステアリングリング30は、ベアリングリング42によって取り付けられたことによる第四の歯車31に関して自由に回転でき、その結果、第四の歯車31がその回転軸Dの周囲で回転しても、ステアリングリング30と揺動プレート14とは、ねじれない。
【0068】
上述のような揺動プレート14のメインシャフト21へのジンバル取り付けにより、揺動プレート14は、シャフト2の長手方向軸Bに関して3次元に変位することができる。図10に示される、揺動プレート14がシャフト2の長手方向軸Bに垂直に整列される中立の初期位置から進んで、駆動輪18及び19がモータ17、17’(図2~8を参照されたい)によって駆動輪18及び19が同じ方向に回転するように駆動されると、駆動輪18及び19のこのねじれにより、第三の歯車25及び第四の歯車31と噛み合って係合することから、第三の歯車25、第三の歯車25に連結される揺動プレート14及び第四の歯車31によって形成されるアセンブリは、駆動輪18及び19の共通の回転軸Aの周囲でねじれる。機能的な説明を簡潔にするために、回転軸A及びDに関するジンバル取り付けのベアリングピン27、29の整列について以下に述べる。実際、ベアリングピン27、29は、メインシャフト21が回転する、したがって揺動プレート14が回転する場合、図のように軸A及びDと同一平面ではなくなり、その結果、ベアリングピン27、29によって提供される揺動プレート14の旋回軸は、ステアリングギア13の回転軸A、Dからずれ得る。
【0069】
揺動プレート14のメインシャフト21に関するこのような傾きは、ベアリングピン27によって可能となり、これは、駆動輪18及び19の回転軸Aと同一平面であり、それにより揺動プレート14がユニバーサルジョイントプレート28に旋回可能に取り付けられる。揺動プレート14がシャフト2の長手方向軸Bに関して回転軸Aの周囲でこのように傾くと、遠位側において、ステアリングワイヤ12により、ツールチップ6は、シャフト2の長手方向軸Bに関して相応に旋回する。
【0070】
図10に示される、揺動プレート14がシャフト2の長手方向軸に垂直に整列する中立の初期位置から進んで、駆動輪18及び19がモータ17、17’により、駆動輪18及び19が反対方向に回転するように駆動されると、駆動輪18及び19のこのようなねじれは、第三の歯車25と噛み合って係合することにより、第三の歯車25及び第三の歯車25に連結された揺動プレート14によって形成されるアセンブリの、第三の歯車25の回転軸Dの周囲でのねじれをもたらす。
【0071】
ユニバーサルジョイントプレート28のメインシャフト21に関するこのねじれは、ベアリングピン29によって可能となり、これは、第三の歯車25の回転軸Dと同一平面であり、それにより、ユニバーサルジョイントプレート28は、メインシャフト21に旋回可能に取り付けられ、それと共に、揺動プレート14は、ベアリングリング32によって第四の歯車31に関して自由に回転可能である。揺動プレート14が回転軸Dの周囲でシャフト2の長手方向軸Bに関してこのように回転すると、遠位側において、ステアリングワイヤ12により、ツールチップ6は、シャフト2の長手方向軸Bに関して相応に旋回する。
【0072】
さらに、当然のことながら、前述の移動を重複させることも可能であり、その結果、例えば、揺動プレート14は、駆動輪18、19の共通の回転軸Aの周囲で傾き、同時に追加的に第三の歯車25の回転軸Dの周囲でねじれる。ギア13の個別に制御可能なモータ17、17’及びメインシャフト21との連結による運動の2つのシーケンスを組み合わせることにより、シャフト2の長手方向軸Bに関して揺動プレート14を3次元で調整することが可能となり、そこから、ステアリングワイヤ12を介した連結のため、ツールチップ6の対応する空間変位が生じる。
【0073】
前述のように具現化される手術器具1は、旋回可能なツールチップ6を制御するために多数の細いステアリングワイヤ12が使用され得、及びステアリングワイヤ12が取り付けられる揺動プレート14のための電動駆動装置13により、この制御が高感度、正確、再現可能であり得る点で区別される。
【0074】
本発明の例示的な実施形態が図面に示されている。図面、説明及び特許請求の範囲は、多くの特徴を組み合わせて含む。当業者は、有利には、これらの特徴を個別に考慮し、これらを組み合わせて、さらなる有利な組合せも形成するであろう。本発明は、長手方向軸Bを画定し、且つ遠位端5に偏向機構9を有するシャフト2の近位端3に配置可能である、手術器具1のためのステアリングギア13を提供し、ステアリングギア13は、2つの電動駆動装置を有し、且つ2つの駆動装置の調整角度によって揺動プレート14を空間的に方向付けるように設計される。2つの駆動装置の各々は、モータ17、17’によって駆動される駆動輪18、18’、19、19’を含み、且つ傘歯車リム18.2、19.2及び駆動リム18.1、19.1を有するダブルホイール18、18’、19、19’として設計される。ここで、揺動プレート14は、共通の回転軸Aを有する2つの駆動輪18、19、18’、19’間に配置され、及び傘歯車リム18.2、19.2は、互いに面して配置され、両方のダブルホイール18、19、18’、19’の駆動リム18.1、19.1は、それぞれのピニオン16a、16bに動作可能に接続される。ここで、ピニオン16a、16bは、それぞれのモータ17、17’により、駆動軸Cを画定するそれぞれの駆動シャフト15a、15bを介して、駆動可能な駆動リム18.1、19.1の1つにそれぞれ動作可能に接続され、2つの駆動軸C、C’は、互いに平行に且つ2つの駆動輪18、19、18’、19’の共通の回転軸Aに平行に延びる。さらに、このようなステアリングギア13を含む手術器具1が開示される。
【符号の説明】
【0075】
1 手術器具
2 シャフト
3 近位端(シャフト)/エンドピース
4 操作ユニット
5 遠位端(シャフト)
6 器具チップ
7 器具
8 操作要素
9 ヒンジ機構
11 旋回部材
12 ステアリングワイヤ
13 ステアリングギア
14 プレート(空間的に調整可能)
15a、b 駆動シャフト
16a、b ピニオン
17、17’ モータ
18、18’ 駆動輪、中空駆動輪
18.1、18.2 駆動リム、傘歯車リム
19、19’ 駆動輪、中空駆動輪
19.1、19.2 駆動リム、傘歯車リム
21 メインシャフト
22 ファンプレート
23 穿孔貫通穴
24 固定ねじ
25 第三の歯車
27 ベアリングピン
28 ユニバーサルジョイントプレート
29 ベアリングピン
30 ステアリングリング
31 第四の歯車
32 ベアリングリング
42 ベアリングリング
44、45 駆動ベルト
A 駆動輪の共通の回転軸
B 長手方向軸
C、C’ 駆動軸
D 第三の歯車の回転軸
C 円形軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(B)を画定し、且つ遠位端(5)に偏向機構(9)を有するシャフト(2)の近位端(3)に配置可能である、手術器具(1)のためのステアリングギア(13)であって、
2つの電動駆動装置を含み、且つ揺動プレート(14)を前記2つの駆動装置の調整角度によって空間的に方向付けるように設計され、前記揺動プレート(14)は、前記手術器具(1)の前記遠位側偏向機構(9)を制御するように設計される、ステアリングギア(13)において、
第一の駆動装置は、第一のモータ(17)によって駆動され、且つ第一の傘歯車リム(18.2)及び第一の駆動リム(18.1)を有するダブルホイール(18、18’)として設計される第一の駆動輪(18、18’)を含み、及び
第二の駆動装置は、第二のモータ(17’)によって駆動され、且つ第二の傘歯車リム(19.2)及び第二の駆動リム(19.1)を有するダブルホイール(19、19’)として設計される第二の駆動輪(19、19’)を含み、
前記揺動プレート(14)は、共通の回転軸(A)を有する前記2つの駆動輪(18、19、18’、19’)間に配置され、及び前記傘歯車リム(18.2、19.2)は、互いに面して配置され、
両方のダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記駆動リム(18.1、19.1)は、それぞれのピニオン(16a、16b)に動作可能に接続され、
前記第一の駆動リム(18.1)に動作可能に接続される第一のピニオン(16a)は、第一のモータ(17)により、第一の駆動軸(C)を画定する第一の駆動シャフト(15a)を介して駆動可能であり、及び
前記第二の駆動リム(19.1)に動作可能に接続される第二のピニオン(16b)は、第二のモータ(17’)により、第二の駆動軸(C’)を画定する第二の駆動シャフト(15b)を介して駆動可能であり、
前記2つの駆動軸(C、C’)は、互いに平行に且つ前記2つの駆動輪(18、19、18’、19’)の前記共通の回転軸(A)に平行に延びることを特徴とするステアリングギア(13)。
【請求項2】
前記ステアリングギア(13)の前記2つのダブルホイール(18、19)は、前記揺動プレート(14)に対して、前記2つの駆動軸(C、C’)及び前記2つのダブルホイール(18、19)の前記共通の回転軸(A)が前記手術器具(1)の前記長手方向軸(B)に垂直に延びるように配置され、
前記モータ(17、17’)は、好ましくは、前記長手方向軸(B)に関して片側において互いに隣りに配置されることを特徴とする、請求項1に記載のステアリングギア(13)。
【請求項3】
前記第一の駆動輪(18、18’)は、中空ダブルホイール(18’)として設計され、及び
前記第二の駆動輪(19、19’)は、中空ダブルホイール(19’)として設計され、並びに
前記ステアリングギア(13)の前記2つの中空ダブルホイール(18’、19’)は、前記揺動プレート(14)に対して、前記2つの中空ダブルホイール(18’、19’)の前記共通の回転軸(A)が前記手術器具(1)の前記長手方向軸(B)と同一平面内にあり、及び前記2つの駆動軸(C、C’)が前記手術器具(1)の前記長手方向軸(B)に平行に延びるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のステアリングギア(13)。
【請求項4】
前記駆動リム(18.1、19.1)は、歯車リムであり、及び前記ピニオン(16a、16b)は、歯車リムとして具現化される前記駆動リム(18.1、19.1)と噛み合う歯車であることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のステアリングギア(13)。
【請求項5】
前記駆動リム(18.1、19.1)及び前記ピニオン(16a、16b)は、
駆動ベルト(44、45)のための全周プロファイルを有するプーリとして設計され、
第一の駆動ベルト(44)は、前記第一の駆動リム(18.1)と前記第一のピニオン(16a)との間の前記動作可能な接続を提供し、及び
第二の駆動ベルト(45)は、前記第二の駆動リム(19.1)と前記第二のピニオン(16b)との間の前記動作可能な接続を提供するか、又は
前記駆動リム(18.1、19.1)及び前記ピニオン(16a、16b)は、
駆動チェーンのためのスプロケットとして設計され、
第一の駆動チェーンは、前記第一の駆動リム(18.1)と前記第一のピニオン(16a)との間の前記動作可能な接続を提供し、及び
第二の駆動チェーンは、前記第二の駆動リム(19.1)と前記第二のピニオン(16b)との間の前記動作可能な接続を提供することを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のステアリングギア(13)。
【請求項6】
各駆動ベルト(44、45)は、平ベルト、丸ベルト、Vベルト、リブ付きVベルト又は歯付きベルトであり、及び前記駆動リム(18.1、19.1)及びピニオン(16a、16b)の前記全周プロファイルは、したがって、平坦なプロファイル、丸いプロファイル、V字型プロファイル、リブ付きのV字型プロファイル又は歯付きプロファイルであることを特徴とする、請求項5に記載のステアリングギア(13)。
【請求項7】
前記揺動プレート(14)は、前記2つのダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記2つの傘歯車リム(18.2、19.2)と噛み合う第三の歯車(25)であって、その回転軸(D)は、前記ダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記共通軸(A)に直角である、第三の歯車(25)に連結され、
好ましくは、前記揺動プレート(14)は、前記2つのダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記2つの傘歯車リム(18.2、19.2)に連結され、且つ前記第三の歯車(25)から離れて面する側に配置される第四の歯車(31)に連結されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載のステアリングギア(13)。
【請求項8】
シャフト(2)と、前記シャフト(2)の近位端(3)に配置された操作ユニット(4)と、遠位側偏向機構(9)によって偏向され得、且つ2つの駆動装置によって空間的に方向付けられ得る揺動プレート(14)によって制御され得るツールチップ(6)を有する、前記シャフト(2)の遠位端(5)に配置された器具(7)とを含む手術器具(1)において、請求項1~の何れか一項に記載のステアリングギア(13)を含み、前記ステアリングギア(13)は、前記2つの駆動装置を含み、且つ前記2つの駆動装置の調整角度を前記揺動プレート(14)の前記空間的位置合わせに伝達するように設計されることを特徴とする手術器具(1)。
【請求項9】
前記2つのダブルホイール(18、19、18’、19’)の前記2つの傘歯車リム(18.2、19.2)と噛み合う第三の歯車(25)と連結する目的のために、前記揺動プレート(14)は、ベアリングリング(32)を介して、前記第三の歯車(25)と共同で回転するように連結されるステアリングリング(30)内において、前記シャフト(2)の前記長手方向軸(B)の周囲で回転可能であるように取り付けられ、前記揺動プレート(14)は、前記シャフト(2)の長手方向軸(B)と同軸に延びるメインシャフト(21)にジンバル連結されることを特徴とする、請求項8に記載の手術器具(1)。
【請求項10】
前記揺動プレート(14)は、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピン(27)によってユニバーサルジョイントプレート(28)に旋回可能に取り付けられ、前記ユニバーサルジョイントプレート(28)は、互いに180°だけオフセットされて配置された2つのベアリングピン(29)によって前記メインシャフト(21)に旋回可能に取り付けられ、前記揺動プレート(14)及びユニバーサルジョイントプレート(28)の前記ベアリングピン(27、29)は、互いに90°だけオフセットされて配置されるか、又は
前記ジンバル取り付けは、前記メインシャフト(21)内において反対方向に存在する、2つの長手方向に延在する案内溝と、前記揺動プレート上に配置された2つの反対方向に且つ半径方向内側に向くピンとによって提供され、各ピンは、前記案内溝の1つに係合し、それにより、前記メインシャフト(21)の回転角度は、前記揺動プレート(14)に伝達可能であることを特徴とする、請求項9に記載の手術器具(1)。
【請求項11】
前記ステアリングギア(13)の前記揺動プレート(14)に接続されたステアリングワイヤ(12)は、前記シャフトの前記長手方向(B)に延びることを特徴とする、請求項8に記載の手術器具(1)。
【請求項12】
前記第四の歯車(31)は、前記ステアリングリング(30)を有するベアリングリング(42)を介して前記揺動プレート(14)に連結され、前記第四の歯車(31)は、前記第三の歯車(25)に対して自由に回転可能であることを特徴とする、請求項11に記載の手術器具(1)。
【請求項13】
操作要素(8)は、前記シャフト(2)内に軸方向に変位可能に取り付けられ、且つ近位側で前記操作ユニット(4)に動作可能に接続されることと、偏向可能な前記ツールチップ(6)の前記遠位側偏向機構(9)は、前記シャフト(2)の前記遠位端(5)に配置され、且つ前記シャフト(2)の前記長手方向(B)に延びるステアリングワイヤ(12)によって前記ステアリングギア(13)に接続される旋回部材(11)からなることとを特徴とする、請求項11に記載の手術器具(1)。
【請求項14】
前記揺動プレート(14)における前記シャフト(2)の前記長手方向軸(B)からの前記ステアリングワイヤ(12)の半径方向距離は、前記ステアリングワイヤ(12)が出る前記シャフト(2)の前記近位端(3)におけるよりも大きく、
前記ステアリングワイヤ(12)は、前記シャフト(2)の前記近位端(3)から前記揺動プレート(14)まで直接延在し得、前記ステアリングワイヤ(12)は、前記揺動プレート(14)に対して、90°から逸脱する角度で延びるか、又は
ファンプレート(22)は、前記メインシャフト(21)上で遠位方向に前記揺動プレート(14)の前に配置され、前記ファンプレートは、前記シャフト(2)の前記長手方向軸(B)からの前記ステアリングワイヤ(12)の前記半径方向距離を増大させ、それにより、前記ステアリングワイヤ(12)は、前記ファンプレート(22)と前記揺動プレート(14)との間で互いにほぼ平行に延び、且つ前記揺動プレート(14)のプレート表面に対して90°の角度を形成することを特徴とする、請求項11に記載の手術器具(1)。
【国際調査報告】