(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】全二重植え込み型パルス発生器(IPG)システムおよび電気光学式経皮リード線
(51)【国際特許分類】
A61N 1/375 20060101AFI20240723BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240723BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20240723BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61N1/375
A61N1/36
A61N1/05
A61N5/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504764
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 US2022074215
(87)【国際公開番号】W WO2023010055
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】320004940
【氏名又は名称】ウェーブゲート コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ ザセカンド、エリック、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】オニール、デニス、パトリック
【テーマコード(参考)】
4C053
4C082
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ11
4C053JJ26
4C053JJ27
4C053JJ33
4C053KK07
4C082RA04
4C082RE17
4C082RE34
4C082RE35
4C082RJ06
4C082RL06
(57)【要約】
【要約】本発明は、低発熱とコンパクトなパッケージサイズの利点を提供する新規な光折りたたみアセンブリと光プロセッサアセンブリの両方を持つIPGとリード線の構成を提供する。提供される外科用リード線は、コンパクトなサイズでの光学部品と電気部品の一体形成など、先行技術に対するさらなる利点を提供する。本発明は、さらに、光学システムの経時劣化を測定し補正する処理上の利点を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植え込み型パルス発生器システムであって、
ケースと、
前記ケース内に長手方向に配置され、光軸を有する、リード線保持孔と、
放物面によって接続された第2のインターフェース表面部に垂直な第1のインターフェース面を有し、前記光軸に焦点を合わせた、放物面リダイレクタと、
前記放物面リダイレクタに隣接し、前記光軸に垂直で、前記第2のインターフェース表面部に平行な、ダイススタックと、
前記ダイススタックに固定され、前記第2のインターフェース表面部に垂直に向けられた、レーザーと、
前記レーザーの周囲に配置され、前記第2のインターフェース表面部に平行な、受光器と、
前記レーザーおよび前記受光器に動作可能に接続された、メモリを有する、プロセッサと
を有する、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項2】
請求項1記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記レーザーは、VCSELである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項3】
請求項1記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記放物面リダイレクタは、前記光軸を中心としたコリメートレンズを含むものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項4】
請求項1記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記レーザーは、光学窓によって前記ダイススタックに固定されている、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項5】
請求項4記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記レーザーは、前記光学窓に固定された金属トレースによってプロセッサに電気的に接続されている、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項6】
請求項1記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記ケースは、さらに、
ヘッダー仕切り部分を形成する金属製の第1の部分と、
前記ヘッダー仕切り部分に固定された、リード線保持孔を含む、ヘッダーと、
前記金属製の第1の部分に気密封止された、セラミック製の第2の部分と
を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項7】
請求項1記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、さらに、
前記リード線保持孔に固定され、前記光軸に軸合わせされた、一連のトロイダル電気接点を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項8】
請求項7記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、さらに、
前記リード線保持孔に固定された、可撓性リード線と、
前記可撓性リード線に一体的に形成され、前記光軸と同軸の、中央に配置された光ファイバーと、
前記可撓性リード線の外面に固定され、前記一連のトロイダル電気接点に電気的に接続された、一連の円筒形の接点と、
前記可撓性リード線の外面に固定され、前記一連の円筒形の接点に電気的に接続された、円筒形の電極と
を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項9】
請求項8記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記可撓性リード線は、さらに、
前記中央に配置された光ファイバーに隣接し平行に放射状に配置された、長手方向のスタイレット内腔を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項10】
請求項9記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記長手方向のスタイレット内腔は、遠位にスタイレットストップで終端している、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項11】
請求項9記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記可撓性リード線は、さらに、
前記中央に配置された光ファイバと一体的に形成された、透明な光伝送先端部を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項12】
請求項11記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記透明な光伝送先端部は、さらに、
中央に配置された放射線不透過性マーカーを有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項13】
請求項8記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、さらに、
前記メモリに常駐し、実行されると、前記植え込み型パルス発生器システムに以下の動作をさせる一連の命令であって、
前記レーザーから第1の波長で、第1の送信光線を発生させ、
前記第1の送信光線を前記放物面リダイレクタを通して前記中央に配置された光ファイバーに送り、
前記中央に配置された光ファイバーから、前記放物面リダイレクタを通して、前記受光器に入射する第1の受信光線を受信し、
前記第1の受信光線から変動変数を生成し、
前記変動変数に基づいて変調された刺激信号を生成し、
前記変調された刺激信号を前記一連の円筒形の電極に送る、
前記一連の命令、を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項14】
請求項13記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記一連の命令は、さらに、
前記メモリに常駐し、実行されると前記植え込み型パルス発生器システムに、
前記レーザーから、第2の波長の、第2の送信光線を発生させ、
前記第2の送信光線を、前記放物面リダイレクタを通して前記中央に配置された光ファイバーに送り、
前記中央に配置された光ファイバーから、前記放物面リダイレクタを通して前記受光器に入射する、第2の受信光線を受信し、
前記第2の受信光線から補償値を生成し、
前記補償値に基づいて前記変調された刺激信号を変更する、
命令、を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項15】
植え込み型パルス発生器システムであって、
ケースと、
前記ケース内に形成された、第1のヘッダーベイと、
前記ケース内に形成された、前記第1のヘッダーベイに対して径方向に配置された、第2のヘッダーベイと、
前記第1のヘッダーベイに固定され、第1のリード線保持チャンネルと第2のリード線保持チャンネルを有する、第1のヘッダーアセンブリと、
前記第2のヘッダーベイに固定され、第3のリード線保持チャンネルと第4のリード線保持チャンネルとを有する、第2のヘッダーアセンブリと、
第1の光軸を有し、前記第1のリード線保持チャンネル内に配置された、第1の電気光学リード線と、
第2の光軸を有し、前記第2のリード線保持チャンネル内に配置された、第2の電気光学リード線と、
第3の光軸を有し、前記第3のリード線保持チャンネルに配置された、第3の電気光学リード線と、
第4の光軸を有し、前記第4のリード線保持チャンネルに配置された、第4の電気光学リード線と、
前記第1の光軸を中心とし、前記第1の電気光学リード線に光学的に結合された、第1の放物面リダイレクタと、
前記第2の光軸を中心とし、前記第2の電気光学リード線に光学的に結合された、第2の放物面リダイレクタと、
前記第3の光軸を中心とし、前記第3の電気光学リード線に光学的に結合された、第3の放物面リダイレクタと、
前記第4の光軸を中心とし、前記第4の電気光学リード線に光学的に結合された、第4の放物面リダイレクタと、
第1の光ダイオードに囲まれ、前記第1の放物面リダイレクタに光学的に結合された、 第1の垂直配向レーザーを有する、第1のダイススタックと、
第2の光ダイオードに囲まれ、前記第2の放物面リダイレクタに光学的に結合された、第2の垂直配向レーザーを有する、前記第1のダイススタックと、
第3の光ダイオードに囲まれ、前記第3の放物面リダイレクタに光学的に結合された、第3の垂直配向レーザーを有する、第2のダイススタックと、
第4の光ダイオードに囲まれ、前記第4の放物面リダイレクタに光学的に結合された、第4の垂直配向レーザーを有する、前記第2のダイススタックと
を有する、植え込み型パルス発生器システム
【請求項16】
請求項15記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記第1の電気光学リード線は、さらに、
第1の光軸と同軸に配置された、光ファイバーと、
前記第1の電気光学リード線の近位面に固定された、一連の電気接点と、
前記第1の電気光学リード線の遠位面に固定され、前記一連の電気接点に電気的に接続された一連の電極と
を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項17】
請求項16記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記第1のヘッダーベイは、さらに、
一連の固定接点であって、前記第1のリード線保持チャネル内に堅固に配置され、電気光学信号発生器に動作可能に接続されている、前記一連の固定接点を有するものであり、
前記電気光学信号発生器が、
第1の波長の、第1の送信光線を、前記第1の垂直配向レーザーから前記第1の放物面リダイレクタと前記光ファイバーに送り、
第1の受信光線に基づいて、前記第1の光ダイオードから第1の戻り信号を受信し、前記第1の戻り信号に基づいて刺激信号を生成し、
前記一連の電極に送信するために、前記一連の固定接点に前記刺激信号を送信する、
ようにプログラムされている、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項18】
請求項17記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記電気光学信号発生器は、さらに、
第2の波長の、第2の送信光線を、前記第1の垂直配向レーザーから前記第1の放物面リダイレクタと前記第1の電気工学リード線に送り、
第2の受信光線を前記第1の光ダイオードで受信し、
前記第2の受信光線から補償値を生成し、
前記補償値に基づいて前記刺激信号を修正する、
ようにプログラムされているものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項19】
請求項17記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記第1のダイススタックは、さらに、
第2の光ダイオードを有するものであり、
前記電気光学信号発生器は、さらに、
前記第1の光ダイオードへの第1の供給電流と前記第2の光ダイオードへの第2の供給電流を正規化する、
ようにプログラムされているものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項20】
請求項19記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記正規化する工程は、さらに、
前記第1の供給電流が前記第2の供給電流より大きい場合、前記第1の供給電流を減少させる工程と、
前記第2の供給電流が前記第1の供給電流より大きい場合、前記第2の供給電流を減少させる工程と
を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項21】
請求項19記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記電気光学信号発生器は、さらに、
前記第1の供給電流の時間ベースの変動を補正する、ようにプログラムされているものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項22】
請求項21記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記補正する工程は、さらに、
前記第1の光ダイオードへの初期供給電流と前記第1の供給電流との間の差を導出する工程、を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項23】
請求項18記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記第1の波長は、約700ナノメートルから約800ナノメートルの間であり、第前記2の波長は、約400ナノメートルと約500ナノメートルの間である、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項24】
請求項18記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記第1の波長は、約700ナノメートルから約800ナノメートルの間であり、第前記2の波長は、約520ナノメートルと約532ナノメートルの間である、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項25】
請求項15記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記第1の放物面リダイレクタは、さらに、
前記第1の光軸を中心とするコリメートレンズと、
前記第1の電気光学リード線に向けて送信光線を反射し、前記第1の光ダイオードに向けて受信光線を反射するための放物面と
を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項26】
請求項25記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、前記放物面は、反射コーティングを含む、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項27】
請求項15記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、さらに、
前記第1の垂直配向レーザーと前記第1のダイススタックの間にあり、前記第1の垂直配向レーザーを前記第1の放物面リダイレクタに隣接させる、透明なカバープレートを有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項28】
請求項27記載の植え込み型パルス発生器システムにおいて、さらに、
前記第1の垂直配向レーザーと前記第1の放物面リダイレクタの間にあり、前記ケースに密閉された、窓を有するものである、植え込み型パルス発生器システム。
【請求項29】
パルス発生器用リード線であって、
可撓性リード線本体と、
前記可撓性リード線本体に一体的に形成され、光軸と同軸に、中央に配置された光ファイバーと、
前記可撓性リード線本体の外面に固定され、一連のトロイダル電気接点に電気的に接続された、一連の円筒形接点と、
前記可撓性リード線本体の前記外面に固定され、前記前記可撓性リード線本体に一体的に形成された一連のワイヤにより、前記一連の円筒形接点に電気的に接続された、一連の円筒形電極と、
前記中央に配置された光ファイバーに隣接して平行に放射状に配置された、長手方向のスタイレット内腔と
を有する、パルス発生器用リード線。
【請求項30】
請求項29記載のパルス発生器用リード線において、前記長手方向のスタイレット内腔は、遠位にスタイレットストップ円柱で終端している、パルス発生器用リード線。
【請求項31】
請求項30記載のパルス発生器用リード線において、さらに、
前記中央に配置された光ファイバーと一体的に形成された、透明な光伝送先端部を有するものである、パルス発生器用リード線。
【請求項32】
請求項31記載のパルス発生器用リード線において、前記透明な光伝送先端部は、さらに、
中央に配置された放射線不透過性マーカーを有するものである、パルス発生器用リード線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊髄電気刺激「SCS」)における光反射率測定法を用いた改良型植え込み型パルス発生器(「IPG」)およびヘッダーの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性疼痛は、神経障害性疼痛のような神経損傷や、脊髄痛のような機械的侵害受容器の慢性的刺激など、様々な病態から生じる。機能的能力は疼痛によって深刻な影響を受け、薬理学的治療や外科的治療に難渋することが多い。このような場合、SCSは、末梢から脳への痛み信号の生理学的伝達を調節することにより、痛みに対する効果的な治療法となりうる。これは、脊柱管に隣接して埋め込まれた電極アレイを介して脊髄に電気インパルスを印加することによって達成される。
【0003】
図1、
図2および
図3を参照して、従来技術の典型的なIPGシステムについて説明する。脊柱1は、腰椎2、胸椎3、頸椎4、および仙椎5の4つの部分または類型に分類される多数の椎骨を有することが示されている。頸椎4には、第1頸椎(C1)から第7頸椎(C7)までが含まれる。前記第7頸椎のすぐ下には、第1胸椎(T1)から第12胸椎(T12)までの12個の胸椎3のうち最初のものがある。前記第12胸椎3のすぐ下には、第1腰椎(L1)から第5腰椎(L5)を含む5つの腰椎2があり、前記第5腰椎は仙椎5(S1からS5)に付着しており、仙椎5は成人では自然に癒合している。
【0004】
胸椎である代表的な椎骨10は、腰椎2および頸椎4と共通する多くの特筆すべき特徴を有することが示されている。椎骨10の前面を形成する厚い楕円形の骨の一部は、椎体12である。椎体12は、脊髄神経11が通る骨椎弓13に付着している。椎弓13は、椎骨10の後面を形成し、椎体12の側面から伸びる短い隆起突起である2つの茎14と、左右相称薄板15とで構成されている。茎14から突出する幅広の平板は三角形に結合し、中空のアーチ状の脊柱管16を形成する。棘突起17は左右相称薄板15の接合部から突出している。横突起18は、茎14と左右相称15の接合部から突出している。前記椎弓の構造は、脊柱管を通る脊髄20と脊髄神経11を保護している。
【0005】
脊髄20の周囲には、脳脊髄液(CSF)22を含む硬膜21がある。硬膜外腔24は、硬膜の外側に横たわる脊柱管内の空間である。
【0006】
1若しくはそれ以上の電極30が、硬膜21と脊柱管16の壁の間の硬膜外腔24に、左右相称薄板15と棘突起17に最も近い脊柱管の背側に向かって配置されている。電極30には電極リード線31があり、IPG32と制御装置33に接続されている。
【0007】
IPG32は、電流パルスの形で電気刺激を、リード線31を通して電極30に脊髄に与える。前記パルスは電界を発生させる。前記電界は脊髄の標的ニューロンに衝突し、痛みの知覚を妨害する。前記電界の振幅は脊髄刺激の成功に不可欠である。電界が不十分だと、前記標的ニューロンを脱分極できず、治療の効果がなくなる。過剰な電界は近隣の細胞集団を刺激し、結果として有害な刺激となる。
【0008】
一貫性のある治療的で無害なレベルの刺激を確立するには、前記脊髄の標的ニューロン内に理想的な電流密度を確立することが前提となる。基本的に、これは、周囲組織の局所的なバルク導電率を考慮して最適な電極電流を確立するという単純な問題であるべきである。しかし実際には、脊髄が脊柱管内の脳脊髄液中に浮遊しているため、脊髄の運動により、最適な電極電流は、患者の位置と活動の関数として変化する。硬膜外電極アレイとターゲットとする脊髄ニューロン間の距離の大幅な変化が起こることが示されている。その結果、最適な刺激には、前記電極アレイと脊髄間の距離の関数として電極刺激電流を動的に調整する必要がある。
【0009】
前記電極アレイと脊髄間の距離の関数として脊髄刺激電極電流を動的に調節することには、いくつかの利点がある。過剰な刺激電流を避けることができるため、有害な刺激の可能性が低くなり、装置の消費電力を低減できる可能性がある。不適切な刺激電流も回避できるため、治療効果が低下する期間をなくすことができる。
【0010】
前記脊髄と電極アレイ間の背側脳脊髄液(dCSF)カラムの厚さを決定する光反射率測定を用いることにより、電極電流の動的変調を制御することができる。前記電極と脊髄間のおおよその距離を計算するために、光信号が周囲の組織に送信され、センサーによって収集される。それに応じて刺激の大きさが変更され、疼痛緩和のための最適な電流が供給される。この技術の例は、Wolf2世に対する米国特許10,035,019号および第9,656,097号に示されており、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
IPGの移植と使用における一つの課題は、パッケージサイズである。生体内環境におい前記IPGが長期的に生存するためには、拒絶反応率を下げ、瘢痕形成時間を短縮するために、パッケージサイズをできるだけ小さくする必要がある。パッケージサイズが小さいと、パッケージやそこから出る手術用リード線が移動する可能性も低くなる。
【0012】
IPGシステムのもう一つの課題は、反射された光信号を適切に解釈することである。先行技術の半二重システムでは、複数の手術用リード線を標的ニューロンのそばに正確に配置する必要がある。手術中のこのような配置は困難である。この問題は、さらに、リード線の移動によって悪化し、ファイバーの位置がずれたり、前記刺激信号の変調を制御する光フィードバックが劣化したりする可能性がある。
【0013】
IPGシステムのもう一つの課題は、電力制約と発熱である。前記IPGパッケージの長期的なバッテリー寿命を保証するためには、前記IPGの電力使用量を最小限に抑える必要がある。さらに、拒絶反応を防ぐためには、生体内環境での発熱を最小限に抑えなければならない。従って、消費電力と発熱の両方を可能な限り低く抑える必要がある。
【0014】
光IPGシステムのもう一つの課題はフレネル反射である。フレネル反射は、前記リード線とファイバーを通してのすべての光学インターフェースで発生し、光学インターフェースあたり約4%の信号損失を占めると仮定できる。界面損失は時間と共に一定になる。曲げによるファイバーの劣化もフレネル損失を発生させる。しかし、ファイバーの劣化損失は一定ではなく、時間とともに変化する。光損失は、前記刺激信号を制御する光フィードバックの精度に影響する。
【0015】
光学式IPGシステムのもう一つの課題は、出力の変動や部品の経年変化によりレーザー出力が変化し、光学システムの特性が経年変化することである。前記光学システムの変化は前記刺激信号制御の有効性を低下させるため、前記刺激信号の有効性も低下する。
【0016】
従来技術は、多くの方法でこれらの課題に対処しようとしてきたが、いずれも不十分であった。
【0017】
例えば、Wolf2世に対する米国特許第9,656,097号には、送信光線と受信光線の両方が同じファイバーを進むことができる全二重IPGリード線が記載されている。しかし、Wolfは、2つの光線を分離するためにサーキュレーターを使用することを開示している。サーキュレーターは、前記サーキュレーターのパッケージサイズと発生する光損失のために実用的ではない。
【0018】
別の例として、Malinowskiらに対する米国特許第7,7342,817号には、電気リード線用のコネクタと生体適合性のためのエポキシ皮膜を備えたIPGが記載されている。しかし、Malinowskiは適切な刺激信号強度を達成するための光フィードバックの使用を開示していない。
【0019】
別の例として、Wolf2世に対する米国公開第2021/0001114号は、光検出器と垂直に位置合わせされたルビー・パススルー・ウィンドウ(ruby passthrough window)に隣接するIPGヘッダーに光学リード線を結合することを開示している。しかし、Wolfは、光学システムの経時劣化を認識または補正する方法を開示していない。
【0020】
Chabrolに対する米国公開第2018/0154152号は、刺激電極を有するプローブと発光光ファイバを使用する脳深部刺激のためのシステムを開示している。しかしながら、Chabrolは、脊髄への刺激信号を制御するために光信号を使用することに対処していない。また、光信号の経時的劣化や、その結果生じる損失を検査する方法についても言及していない。
【0021】
先行技術には、電力使用の制約、発熱、および経時的な正確な光フィードバックの維持に関する欠陥が存在する。したがって、フレネル反射による光信号の劣化を追跡し、消費電力と発熱を低減しながら、安定した光信号を提供するヘッダ方向、コネクタ、リード線、電極を含む改良されたIPGに対する必要性が当技術分野において存在する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下に示す好ましい実施形態の詳細な説明において、添付の図面を参照する。
【
図1】
図1は、脊髄刺激用の経皮リード線およびIPGのおおよその位置を示すヒト脊柱の側面図である。
【
図2】
図2は、脊髄と経皮リード線対の位置を示す胸椎の軸方向図である。
【
図3】
図3は、経皮リード線のおおよその位置を示すヒト脊柱の矢状断面図である。
【
図4】
図4は、好ましい実施形態のIPGシステムの概略図である。
【
図5】
図5は、好ましいIPG装置の等角図である。
【
図6】
図6は、好ましいIPG装置の分解等角図である。
【
図7】
図7は、好ましいIPGケースの分解等角図である。
【
図8】
図8は、好ましいIPGヘッダーの分解等角図である。
【
図9】
図9は、好ましいダイススタックの分解等角図である。
【
図10】
図10は、好ましいヘッダーアセンブリの部分断面図である。
【
図11】
図11は、好ましい実施形態のリード線アセンブリの等角図である。
【
図12】
図12は、好ましい実施形態のリード線アセンブリの断面図である。
【
図13】
図13は、前記IPGの動作のための好ましい制御プログラムのフローチャートである。
【
図14】
図14は、フレネル補償の好ましい方法のフローチャートである。
【
図15】
図15は、ソース放射を正規化する好ましい方法のフローチャートである。
【
図16】
図16は、ソース電力変動を補正する好ましい方法のフローチャートである。
【0023】
以下の説明において、本明細書および図中、同様の部分には同一の数字を付している。 図は必ずしも縮尺通りには描かれておらず、明瞭かつ簡潔にするために誇張または一般化した形で示されている場合がある。特に断りのない限り、すべての公差および用語「約」の使用はプラスマイナス5%を示す。
【0024】
次に
図4を参照して、刺激システム400の好ましい実施形態をさらに説明する。刺激システム400は、さらに、制御装置450と動作可能に通信するIPG401を有する。
【0025】
IPG401は、さらに説明するように、密閉された複合ケース402に収容されている。複合ケース402は、前記IPGの作動構成要素を収容し、さらに説明されるように、リード線422A、422B、424Aおよび424Bを固定する役割を果たす。
【0026】
前記システムの前記作動構成要素は、リード線422Aおよび422Bと光学的に位置合わせされた光学折りたたみアセンブリ406を有する。同様に、前記作動構成要素には、リード線422Aおよび422Bと光学的に位置合わせされた光学折り返しアセンブリ404が含まれる。光学折り返しアセンブリ406は、光学信号プロセッサ405によって解釈されるように、リード線422Aおよび422Bから光学信号を送受信する。同様に、光学折り返しアセンブリ404は、光信号プロセッサ403によって解釈されるように、リード線422Aおよび422Bから光信号を送受信する。光信号プロセッサ405および光信号プロセッサ403は、さらに説明するように、前記IPGの機能を制御するメインプロセッサ407に動作可能に接続されている。メインプロセッサ407は、信号発生器409に動作可能に接続されており、この信号発生器は、さらに説明されるように、リード線422A、422B、424Aおよび424Bを介して脊髄に伝達される電気刺激信号を、標的神経集団に発生させる。通信回路411もメインプロセッサ407に動作可能に接続されている。メインプロセッサ407は、さらに説明するように、前記通信回路からプログラミング命令と制御信号を受信する。
【0027】
IPG401はバッテリー415を含む。バッテリ415は、前記システムのすべての電気部品に動作可能に接続されている。バッテリ415は、さらに説明するように、誘導コイル413から再充電電流を受ける。
【0028】
IPG401は真皮430の下に外科的に移植される。
【0029】
制御装置450は真皮430の外側に存在する。制御装置450は、前記制御装置の機能を制御するメインプロセッサ454を含む。メインプロセッサ454は、外部ケーシングに固定されたI/Oキーボードおよび表示ユニット458に接続されている。メインプロセッサ454は、通信回路456に動作可能に接続されている。通信回路456は通信回路411に無線接続されている。メインプロセッサ454は、IPG401の動作を制御するために、I/Oキーボードおよび表示ユニット458から命令を受け取り、通信回路456および通信回路411を介してメインプロセッサ407に転送するのに十分なメモリを含む。メインプロセッサ454は、さらに、誘導コイル452に動作可能に接続されている。誘導コイル452は、誘導コイル413に誘導的に結合され、前記バッテリーの充電のための電力を伝達する。
【0030】
次に
図5を参照して、IPG401をさらに説明する。
【0031】
複合ケース402は、ヘッダアセンブリ502およびヘッダアセンブリ504を機械的に支持し、これらのヘッダアセンブリ502およびヘッダアセンブリ504は共に、単一の横軸550に平行に、前記IPGの反対側に配置される。前記ヘッダーアセンブリを前記ケースの反対側に配置することは、さらに説明するように、レーザーによって発生する熱の分散を改善するために重要である。各ヘッダーアセンブリは、好ましくは透明なエポキシ樹脂から製造され、光学部品と電気部品を所定の位置に固定する役割を果たす。
【0032】
ヘッダーアセンブリ502は、光学折り返しアセンブリ404を含む。光学折り返しアセンブリ404は、リード線保持孔523Aおよび523Bと光学的に位置合わせされている。リード線422Aおよび422Bは、リード線保持孔523Aおよび523B内に配置され、リード線保持孔523Aおよび523Bによって光学的に位置合わせされている。リードド線422Aおよび422Bは、それぞれ止めねじ506Aおよび506Bによって前記ヘッダー内に取り外し可能に固定されている。前記リード線は、さらに説明されるように、光学折り返しアセンブリ404に接している。
【0033】
ヘッダーアセンブリ502は、さらに、手術中に前記IPGを筋膜に固定するために使用する固定ポータル512を有する。
【0034】
ヘッダーアセンブリ504は、光学折り返しアセンブリ406を含む。光学折り返しアセンブリ406は、リード線保持孔525Aおよび525Bと光学的に位置合わせされている。リード線424Aおよび424Bは、リード線保持孔525Aおよび525B内に配置され、リード線保持孔525Aおよび525Bによって光学的に整列される。リード線424Aおよび424Bは、それぞれ止めねじ508Aおよび508Bによってヘッダー内に取り外し可能に固定されている。リード線は、さらに説明されるように、光学折り返しアセンブリ406に接している。
【0035】
ヘッダーアセンブリ504は、さらに、手術中に前記IPGを筋膜に固定するために使用する固定ポータル510を有する。
【0036】
次に
図6を参照して、IPG401についてさらに説明する。
【0037】
複合ケース402は、さらに、ヘッダー仕切り部分604およびヘッダー仕切り部分606を有得する。各ヘッダー仕切り部分は前記複合ケースの角状のくぼみである。前記ヘッダー仕切り部分は一般的に平行で、直径方向に対向している。ヘッダー仕切り部分604はヘッダーアセンブリ502を収納する。同様に、ヘッダー仕切り部分606はヘッダーアセンブリー504を収納する。
【0038】
ヘッダー仕切り部分604は、矩形の受入窓618と電気通過穴614を含む。前記受入窓と電気通過穴は、ヘッダーアセンブリー502と前記IPGの前記内部構成要素との接続を可能にする。
【0039】
同様に、ヘッダー仕切り部分606は、ヘッダーアセンブリ504の構成要素と前記IPGの前記内部構成要素とを接続するための矩形の受入窓620と電気通過穴616とを含む。
【0040】
ヘッダーアセンブリ502は、一体的に形成された位置決めブロック610を含む。位置決めブロック610は受入窓618内に収まり、前記ヘッダー仕切り部分を前記ケース内の前記光学部品と光学的に位置合わせする。ヘッダーアセンブリ504は、一体成形された位置決めブロック612を含む。位置決めブロック612は、受入窓620内に収まり、前記ヘッダー仕切り部分を前記ケース内の前記光学部品と光学的に位置合わせする。
【0041】
両ヘッダーを含む複合ケース402は、参照により本明細書に組み込まれるWolfに対する米国公開公報第2021/0001114号に記載されているように、楕円形の回転面を形成する。
【0042】
図7を参照して、さらに、複合ケース402について説明する。
【0043】
複合ケース402は、底部704に接合された上部702を含む。上部702は、好ましくは、チタン合金から製造された中空シェルである。前記チタン合金は比較的容易に機械加工でき、さらに説明するように、ヘッダーと光学部品の適切な位置合わせを可能にするのに十分な公差を保持することができる。底部704は、好ましくは、セラミック材料で構成された中空シェルである。前記セラミック材料は、通信回路間の無線通信および誘導コイル間の誘導結合を容易にする。また、前記IPGから発生する熱は前記ケースの金属部に向かうため、セラミック材料とケースの金属材料との組み合わせも重要である。前記ケースの前記金属部分は、手術中に真皮に向かって配置される可能性があり、そのため、使用中に前記IPGを優れた熱拡散のために配置することができる。
【0044】
光学窓710は上部702に隣接し、受入窓618の下の中央に配置されている。同様に、光学窓712は上部702に隣接し、受入窓620の下の中央に配置されている。両方の光学窓は、好ましくは前記上部の下側に溶接され、密閉される。
【0045】
ダイススタック718は、さらに説明されるように、光学窓710の下に機能的に配置され、光信号プロセッサ405に隣接する。ダイススタック720は、さらに説明されるように、光学窓712の下に機能的に配置され、光信号プロセッサ403に隣接する。
【0046】
コネクタカード714は、上部702に隣接し、電気通過穴614の真下に配置されている。コネクタカード716は、上部702に隣接し、電気通過穴616の真下に配置される。コネクタカード714およびコネクタカード716は、前記ヘッダーおよびメインプロセッサー407の接点に電気的に接続され、さらに説明されるように、リード線への刺激電流の伝達を可能にする。
【0047】
複合ケース402はプロセッサカード722を収容する。プロセッサカード722は、メインプロセッサ407を光信号プロセッサ405および403、信号発生器409および通信回路411に構造的および電気的に接続する。好ましい実施形態では、メインプロセッサ407は、米国テキサス州ダラスのTexas Instruments社から入手可能な部品番号MSP430である。信号発生器409は、カクタス・セミコンダクター社から入手可能な商品名Saturnである。通信回路411は、米国カリフォルニア州Aliso ViejoのMicrosemi社から入手可能な部品番号ZL70103が好ましい。光信号プロセッサ403および405は、いずれも好ましくは、米国マサチューセッツ州ウィルミントンのAnalog Devices社から入手可能な部品番号ADPD4100である。
【0048】
複合ケース402は、さらに、プロセッサカード722に電気的に接続されたバッテリー415を収容する。前記IPGの作動構成要素は、好ましくは上面702に隣接して配置され、エポキシ封止によって所定の位置に保持される。封止後、底部704は溶接部706によって上部702に気密封止される。
【0049】
次に
図8を参照して、ヘッダーアセンブリ504をさらに説明する。ヘッダーアセンブリ502は、前記構成要素の位置が逆であることを除いて、ヘッダーアセンブリ504と構造的にも機能的にも同一であることを理解されたい。ここでは、例としてヘッダーアセンブリ504のみを詳細に説明する。
【0050】
ヘッダーアセンブリ504は、ヘッダー本体800を含む。ヘッダー本体800は、好ましくは、透明なエポキシ樹脂、またはアクリルプラスチックから製造され、公差に合わせて鋳造され、機械加工される。ヘッダー本体800は、ヘッダーベイ606内に継ぎ目なく収まり、上部702と底部704とによって形成される回転面と合致するのに十分な半楕円体形状に形成される。
【0051】
ヘッダー本体800は、リード線保持孔525Aおよび525Bを含む。リード線保持孔525Aは中心光軸804を含み、リード線保持孔525Bは中心光軸802を含む。光軸802と光軸804は、好ましくは、概ね平行である。
【0052】
リード線保持孔525Aは、金属トロイダル接点814を含む。好ましい実施形態では、8個のトロイダル接点が含まれ、それぞれが前記メインプロセッサによって個別にアドレス指定可能である。トロイダル接点814はそれぞれリード線818に接続されている。リード線818は、電気通過穴616と交差するように配置され、さらに前記メインプロセッサに接続する前記コネクタカードに接続される。リード線保持孔525Aは、さらに説明するように、位置決めブロック612に隣接するキャビティ808で終端している。
【0053】
リード線保持孔525Bは、金属トロイダル接点812を含む。好ましい実施形態では、8個のトロイダル接点が含まれ、それぞれが前記メインプロセッサによって個別にアドレス指定可能である。トロイダル接点812はそれぞれリード線816に接続されている。リード線816は、電気通過穴616と交差するように配置され、さらに前記メインプロセッサに接続する前記コネクタカードに接続される。リード線保持孔525Bは、さらに説明するように、位置決めブロック612に隣接するキャビティ806で終端している。
【0054】
リード線保持孔525Aはねじ付き垂直孔840を含む。リード線424Aがリード線保持孔525Aに配置されると、止めねじ508Aがアンカーリング832に直接隣接するねじ付き垂直孔840内に配置され、リード線424Aをリード線保持孔525A内に固定する。
【0055】
同様に、リード線保持孔525Bはねじ付き垂直穴838を含む。止めねじ508Bは、リード線アンカーリング830に直接隣接するねじ付き垂直孔838内に配置される。止めねじ508Bは前進してリード線アンカーリング830に接触し、リード線424Bをリード線保持孔525Bに保持する。
【0056】
光学折り返しアセンブリ406は、さらに、放物面リダイレクタ820と放物面リダイレクタ822を有する。放物面リダイレクタ820は一体型レンズ824を含む。放物面リダイレクタ822は、一体型レンズ826を含む。放物面リダイレクタ820と放物面リダイレクタ822は、さらに説明されるように、光学窓712に接触し、光学窓712に隣接して、それぞれキャビティ806とキャビティ808に硬く固定されている。好ましい実施形態では、放物面リダイレクタは前記ヘッダの所定の位置に鋳造される。一体型レンズ824は光軸802と光学的に整合している。
【0057】
ダイススタック720は、光学窓712真下に配置され、光学窓712と接触している。ダイススタック720は、さらに説明されるように、垂直キャビティ面発光レーザー(「VCSEL」)850およびVCSEL852を含む。それぞれの場合において、前記VCSELは、固有の波長範囲の光を放出することができるが、好ましくは、約400~810ナノメートルの範囲、または青色(約400ナノメートル~約500ナノメートル)から緑色(約520ナノメートル~約532ナノメートル)から近赤外(約700ナノメートル~約810ナノメートル)の範囲である。好ましい実施形態では、各VCSELは、米国ミネソタ州プリマスのVixar社から入手可能な部品番号V00146である。各レーザーは、近赤外域で約10ミリワット、青色域で約5ミリワットを発生する。約400~580ナノメートル(青、水色、緑、黄色)の波長範囲や他の可視範囲では、他のレーザーを利用することもできる。VCSEL850は、放物面リダイレクタ820の中央垂直光軸に向かって垂直に光を放出するように配置されている。同様に、VCSEL852は、放物面リダイレクタ822の中央垂直光軸に向かって垂直に光を放射するように配置されている。
【0058】
トロイダル接点812は、さらに説明されるように、リード線424Bのリング860と係合し、電気的に接触するように設計されている。トロイダル接点814は、さらに説明されるように、リード線424Aのリング862と係合し、電気的に接触するように設計されている。
【0059】
リード線424Bは、リード線保持孔525Bによって光軸802と整列するように位置決めされる。リード栓424Aは、リード線保持孔525Aによって光軸804と整列するように位置決めされている。
【0060】
リード線424Bは、さらに説明されるように、コレット880で終端する。リード線424Aは、さらに説明されるように、コレット882で終端する。組み立てられた場合、リード線424Bとコレット880は止めねじ508Bによって一体型レンズ824に隣接して保持される。リード線424Aとコレット882は止めねじ508Aによって一体型レンズ826に隣接して保持される。前記レンズと前記リード線の間のフレネル反射を最小にするために、指数整合ゲルが提供される。
【0061】
図9を参照して、ダイススタック720についてさらに説明する。ダイススタック718とダイススタック720は機能的にも構造的にも同一であることを理解されたい。ダイススタック720のみを詳細に説明する。
【0062】
ダイススタック720は、光ダイオードパッケージ914を含む。好ましい実施形態では、光ダイオードパッケージ914は、静岡県の浜松ホトニクス株式会社から入手可能な部品番号S5980-09(ESI)である。
【0063】
好ましい光ダイオードパッケージは4つの光ダイオードを有する。一実施形態では、4つの光ダイオードすべてが受光器として使用される。別の実施形態では、2つの光ダイオード906Aおよび906Bが受光器として使用され、各リード線に1つずつ使用され、2つの光ダイオード906Cおよび906Dがモニタ光ダイオードとして使用され、各レーザに1つずつ使用される。前記2つのモニター光ダイオードは、さらに説明されるように、前記レーザー発光を正規化し、経時的な動力源の変動を補正する出力モニターとして機能する。
【0064】
光ダイオード906A、906B、906C、906Dは筐体916に凹んで固定されている。筐体916は好ましくはセラミック複合材である。筐体916は、エポキシ封止によってケース内の所定の位置に保持され、光ダイオードの位置を堅固に固定する。各光ダイオードは通常、約0.72A/Wの感度を提供する。光ダイオード906A、906B、906Cおよび906Dは、電気接点908および910によって囲まれている。これらの接点は、可撓ケーブル(図示せず)によって適切な光信号プロセッサに動作可能に接続されている。カバープレート912は、4つの光ダイオードに隣接して配置され、4つの光ダイオードに接触している。好ましい実施形態では、カバープレート912は、光学的に平行な対向面を有するように研磨されたクリスタルガラスで形成される。カバープレート912は、金トレース902および金トレース904を含む。前記金トレースは、好ましくは、フォトリソグラフィまたは蒸着を使用して、前記光ダイオードに対向するガラス表面上に堆積される。VCSEL850は、金トレース902に隣接し、金トレース902と電気的に接触するようにカバープレート912に堅固に固定されている。VCSEL852は、金トレース904に隣接し、金トレース904と電気的に接触する光学窓712に堅固に固定されている。前記金トレースは、前記VCSELに電力を供給し、さらに説明されるように、前記メインプロセッサがどの波長レーザーを起動するかを選択することを可能にする。金トレース902、金トレース904、および接点908および910は、可撓ケーブル(図示せず)によって適切な光信号プロセッサおよびメインプロセッサ407に電気的に接続される。
【0065】
次に
図10を参照して、使用中のIPG401の部分断面図をさらに説明する。各放物面リダイレクタ、ダイススタック、および前記ヘッダとリード線の嵌合部品は、構造的にも機能的にも同一であることを理解されたい。
【0066】
放物面リダイレクタ822は、さらに、放物面本体1001と一体型レンズ826を有する。放物面体1001と一体型レンズ826は、好ましくは、シリコーン樹脂と同様の約1.46から1.68の屈折率を有するクリスタルガラスから一体的に形成される。
【0067】
放物面本体1001は放物面1022を含む。放物面1022は、好ましくは、前VCSELにおける1つの焦点と、前記ファイバの光軸に整列された面における別の焦点とを生成するように設計された曲率を有する放物面である。
【0068】
放物面1022は、外面反射コーティング、好ましくは蒸着銀を含む。他の実施形態では、放物面1022は二酸化チタン化合物で被覆されている。好ましくは、放物面1022はまた研磨される。
【0069】
放物面体1001は、光学窓712に隣接するインターフェース表面部1020をさらに含む。インターフェース表面部1020は、許容可能な光学公差の範囲内で平坦である。好ましくは、エポキシなどのインデックス整合材料が表面と光学窓に隣接して常駐し、低反射損失と部品の安定性を提供する。別の好ましい実施形態では、インターフェース表面部1020は、インデックス整合ゲルを用いて光学窓712に隣接して配置され、適切なエポキシ接着剤で固定されてもよい。
【0070】
放物面リダイレクタ822は、さらに、一体型レンズ826で構成されている一体型レンズ826は視準レンズであり、放物面1022の内側に向けられた凸レンズ面1014を含む。好ましい一実施形態では、凸レンズ面1014は、適切な指数整合エポキシによって放物面本体10011に固定されている。別の好ましい実施形態では、放物面本体と一体型レンズは一体的に形成されている。この場合、凸レンズ面は、一体型レンズ826と放物面本体1001との間の適切な密度変化によって形成される。一体型レンズ826は、ファイバー1002に隣接するインターフェース表面部1024を含む。インターフェース表面部1024は、好ましくは、適切な光学公差内で平坦に研磨される。
【0071】
ヘッダー本体800は、リード線保持孔525Aの近位端に錐状の受光面1050を含む。インターフェース表面部1024は、光学インターフェース1012において、リード線424Aのファイバー1002と平行に配置され、コレット882とリード線保持孔525Aの錐面状受光面1050との間の干渉によって所定の位置に保持される。
【0072】
位置決めブロック612は、前記ヘッダー本体の延長部を形成し、前記放物面リダイレクタを位置決めする役割を果たす。前記位置決めブロックは上部702の受光窓620内に配置される。受光窓620と位置決めブロック612との間の前記インターフェースは、前記放物面リダイレクタの垂直光軸をVCSEL852の上方に固定し、放物面1022からの光をリード線424Aのファイバー1002の光軸804に反射する位置に固定する。
【0073】
使用時、VCSEL852は、放物面1022に向かって垂直上方に進むレーザー光パルス1004を生成する。前記放物面は、前記光を垂直上方から水平方向へ約90度反射し、前記一体型レンズを通して光軸804に沿ってファイバー1002内へ整列させ、前記ファイバーの遠位端から脊髄に向かう。どのような場合でも、前記VCSELからの前記パルスは、前記脊髄から鏡面反射され、その高いマルチスペクトルアルベドが与えられる。しかし、青、水色、緑、黄色のパルスは、周囲の組織やヘモグロビンが存在する場合はそれらによって優先的に吸収され、赤外光の場合は、これらの組織から優先的に反射される。前記脊髄から反射すると、受信光線1006は収集され、ファイバー1002を通して放物面リダイレクタに再送信される。受光光線1006は前記ファイバーに沿ってうまく整列されないので、様々な角度で積分レンズ826に衝突する。受信光線1006は、凸レンズ面1014によって拡大され、放物面1002に入射し、そこで収集され、光学窓712に向かって、水平から垂直下方に約90度向けられる。受光光線1006は光学窓712を通り、カバープレート912に入射し、そこで光ダイオード906Bおよび906Dに向けられる。
【0074】
VCSEL852が動作している場合、光パルス1004のごく一部が光学窓712から逆反射される。これらの後方反射パルス1075は直ちにカバープレート912に入射し、そこで光ダイオード906Dに伝送される。前記後方反射パルスは、前記光ダイオードによって信号に変換され、さらに説明されるように、前記VCSELのパワー出力を正規化し、動力源の変動を補正するために前記メインプロセッサによって使用される。
【0075】
光ダイオード906Bおよび906Dは、受信光線1006を電気信号に変換し、この電気信号は、さらに説明されるように、さらなる処理のために光信号プロセッサ405に伝達される。
【0076】
次に
図11および
図12を参照して、リード線424Aについてさらに説明する。リード線424A、リード線424B、リード線422Aおよびリード線422Bは、構造および機能において同一である。ここでは例として1つのみを説明する。
【0077】
リード線424Aは、さらに、リード線本体1101を含んでいる。リード線本体1101は、一般的に、可撓性のある円筒形の押し出し体で、遠位側には伝達先端1109によって終端され、近位側にはコレット882によって終端されている。好ましい実施形態では、前記リード線本体は、ペレタン55Dまたは同様の生体適合性材料などの可撓性ポリマーで構成される。前記リード線本体は、好ましくは、さらに説明されるように、埋め込まれ一体的に形成された構成要素を有するマルチルーメン押出成形体である。
【0078】
トランスミッション先端部1109は、前記リード線本体の前記遠位端に融着された光学的に透明な円柱である。好ましい実施形態では、前記トランスミッション先端部は熱可塑性ポリウレタンのような適切な光学的に透明な材料である。トランスミッション先端1109は半球状キャップ1111で終端されている。好ましい実施形態では、半球状キャップ1111とトランスミッション先端部1109は一体的に形成されている。トランスミッション先端部1109は、さらに、埋め込まれた放射線不透過性マーカー1152を含む。放射線不透過性マーカー1152は、好ましくは、半球状キャップ1111に隣接して軸方向に埋め込まれたチタン円柱である。
【0079】
ファイバー1002はリード線424Aの前記中心光軸に沿って配置され、コレット9882から凹型レキシコン1150まで延びている。伝送先端部はファイバー1002に融着されている。ファイバー1002はその遠位端に凹面レキシコン1150を含む。好ましい実施形態では、凹型レキシコン1150は、二酸化チタンのような内部反射コーティングを含む。トランスミッション先端部1109は、さらに、スタイレットチャネル終端部1151を含む。好ましい実施形態において、スタイレットチャネル終端部1151は円筒形の開口である。スタイレットストップ1154は、スタイレットチャネル1151の前記終端部1の遠位端に配置される。スタイレットストップ1154は好ましくはチタン製の円柱である。
【0080】
スタイレットチャネル1105は、コレット882内のスタイレットチャネル終端部1151からスタイレットチャネル開口1153まで同軸に延びている。前記スタイレットチャネルは、前記光ファイバーと平行に走る円筒形のキャビティであり、手術中に前記リード線を配置する際に使用するガイドスタイレットを収容する目的を果たす。好ましい実施形態では、スタイレットチャネル1105はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ライニング1107で裏打ちされ、このライニングは、前記リード線本体の長さまで延びている。前記ライニングにより表面摩擦が小さくなるため、手術中の前記スタイレットの挿入が容易になる。
【0081】
リード線本体1101は、さらに、その近位端に配置された金属製アンカー1110を支持する。前記金属製アンカーは、一般的に円筒形であり、前記リード線本体の外側に永久的に固定されている。
【0082】
金属アンカー1110に隣接して、8つの円筒形の近位金属接点1108A、1108B、1108C、1108D、1108E、1108F、1108G、1108Hが、軸方向に等間隔で前記リード線本体の外側に固定され、前記ヘッダーアセンブリの前記トロイダル接点に電気的に接触するように配置されている。
【0083】
同様に、8つの円筒形の金属電極1106A、1106B、1106C、1106D、1106E、1106F、1106G、1106Hが前記リード線本体の遠位端に固定されている。前記金属電極はそれぞれ、前記リード線本体の外面に、軸方向に等間隔で固定されている。
【0084】
前記リード線本体は、さらに、8つの放射状に配向した内腔1131A、1131B、1131C、1131D、1131E、1131F、1131G、1131Hを有する。導体1120A、1120B、1120C、1120D、1120E、1120F、1120G、および1120Hは、前記内腔に一体的に形成され、それぞれの近位接触部からそれぞれの遠位電極まで延びる。好ましい実施形態では、前記導体はMP35N、または同様に耐腐食性の他の導電性材料で構成される。前記導体のそれぞれは、正確に1つの近位接点と正確に1つの対をなす金属電極とを接続する。
【0085】
好ましい実施形態では、ファイバー1002と前記導体は製造時に前記リード線本体に一体的に形成される。
【0086】
好ましい実施形態において、コレット882は適切なセラミックまたはクリスタルサファイア材料から形成される。コレット882は、その近位端に円錐台状表面1170を含む。前記円錐台状表面は、ヘッダー本体800の同一の円錐台状受光面1050と嵌合し、光学インターフェース1012に対してファイバー1002を位置決めするのを助け、また、前記放物面リダイレクタとの光学的整合を助けるために前記ファイバーを半径方向に圧縮するのを助ける。
【0087】
図13を参照して、IPG動作1300の方法をさらに説明する。好ましい実施形態では、この方法は、メインプロセッサ407のオンボードメモリに常駐するプログラミング命令によって実行される。
【0088】
工程1302で、本法法が開始される。
【0089】
工程1304において、前記メインプロセッサは、動作のための初期チャネルを設定する。好ましい実施形態では、初期チャネルは、4つのリード線422A、422B、422Aおよび422Bのグループのうちの1つを含む。他の好ましい実施形態では、前記初期チャネルは、前記リード線のうちの2若しくは3つのみのグループのうちの1つを含む。
【0090】
工程1306で、メインプロセッサ407は、指定されたチャネルの前記VCSELを活性化する。好ましくは、前記VCSELは前記赤外線波長範囲の光パルスを生成する。前記光パルスのごく一部は前記光学窓で直ちに反射される。前記光パルスの大部分は前記放物面リダイレクタの基部に送られ、放物面を通過する。放物面は前記光を垂直から水平に約90度回転させ、前記選択されたリード線用の光ファイバーの光軸に沿って集光する。前記透過した光線は、脊髄、ヘモグロビン、その他の周辺組織に入射し、そこで反射して凹面レキシコンで前記ファイバーに受光される。前記受光された光線は、前記ファイバーを伝って前記放物面リダイレクタに戻り、そこで水平から垂直下方に約90度回転され、前記ダイススタックに焦点を結ぶ。
【0091】
工程1307で、メインプロセッサ407は、さらに説明されるように、後方反射パルスを使用してソース放出を正規化する。
【0092】
工程1308において、前記メインプロセッサは、前記後方反射パルスを使用して、経時的な電力変動を補正する。
【0093】
工程1309において、前記メインプロセッサは、前記光ダイオードをポーリングしてフィードバック信号を得る。
【0094】
工程1310で、前記メインプロセッサは、前記光ダイオードからの信号に基づいて刺激信号を計算する。前記刺激信号は、好ましくは、参照により本明細書に組み込まれるWolf2世Iに対する米国特許第9,550,063号に正確に開示された表に従って生成される。もちろん、他の刺激ルーチンを使用してもよい。
【0095】
工程1312で、前記メインプロセッサは、さらに説明するように、反射補償値に従って、減少した光フィードバックを補償するように前記刺激信号を修正する。
【0096】
工程1313で、前記メインプロセッサは、前記信号発生器を作動させ、前記選択されたチャネルの前記リード線用前記トロイダル接点に前記補償刺激信号を送信する。前記補償された刺激信号は前記電極に送信され、脊髄の標的ニューロンに隣接する電界を形成する。
【0097】
工程1314で、前記メインプロセッサは、前記通信回路にシャットダウン信号をポーリングする。
【0098】
工程1316において、前記メインプロセッサは、シャットダウン信号が存在するか否かを判定する。存在しない場合、前記メインプロセッサは、工程1320に移行する。存在する場合、前記メインプロセッサは、工程1318に移行する。
【0099】
工程1320で、前記メインプロセッサは、前記リード線グループ内の次のリード線チャネルに進み、工程1306に戻る。
【0100】
工程13188で、前記メインプロセッサは、前記ルーチンをシャットダウンし、保持状態に戻る。
【0101】
次に
図14を参照して、工程1312の補償刺激電流値を導出する好ましい方法をさらに説明する。
【0102】
工程1402で、本法法が開始される。
【0103】
工程1404で、前記メインプロセッサは前記VCSELを作動させて第2の光パルスを発生させる。好ましくは、前記VCSELは、青色波長範囲の光パルスを生成する。しかし、第1のパルスと異なる波長である限り、他の波長を使用してもよい。前記青色レーザー信号は、前記放物面リダイレクタを通って前記ファイバーに入射し、前記伝送先端部の前記凹型レキシコンに伝送される。しかし、前記青色光は周囲の組織やヘモグロビンに優先的に吸収される。前記青信号の大部分またはすべては、これらの組織によって吸収される。その結果、反射される前記青色信号は、主に前記光学システム内のフレネル反射によるものである。したがって、前記反射された青色信号は、前記VCSELで前記青色信号が発生してから前記受光器で前記青色信号が受信されるまでの間の光学システムの信号損失を表している。前記青信号の反射を定期的に監視することで、前記光学システムの信号損失と経時的なシステムノイズの増加を認識することができる。
【0104】
前記光学信号のシステム損失とノイズは波長に関係なく同様である。したがって、前記赤外線信号パルスの前記光学信号のシステム損失は、前記青色信号パルスの前記光学信号のシステム損失と同じになる。好ましい電気光学制御装置は、一般的に、脊髄が前記電極から遠く離れているという仮定に基づいて、前記光学信号の強度が低下すると刺激電流を増加させる。そのため、前記システムの前記光学損失が増加するにつれて、前記制御装置は前記刺激電流を徐々に増加させる。前記光学損失が増加するのと同じ割合で前記刺激電流を減少させることで、前記システム内の光学劣化とフレネル損失を補正することができ、それによって正しい刺激信号を提供することができる。
【0105】
工程1406で、戻り青色レーザー信号は、前記メインプロセッサに電流値を返す前記光ダイオードによって測定される。
【0106】
工程1408において、前記メインプロセッサは、好ましくは、以下の式に従って、前記反射補償値として知られる、前記青色光学信号における前記信号損失の割合を計算する。
【0107】
【0108】
ここで、
RCV=光信号損失率
It=前記VCSELへの送信光学信号電流
Ir=前記光ダイオードからの受信光信号電流
【0109】
工程1410で、前記刺激電流値「Istim」が検索される。Istimは、前述したように、前記戻り光学信号と前記刺激電流との相関表に従ってプロセッサによって計算された電流値である。
【0110】
工程1412において、刺激電流補正値「Inew」は、好ましくは以下の式に従って計算される。
【0111】
【0112】
ここで、
Istim=計算された刺激電流
RCV=光学信号損失率
Inew=補正刺激電流値
【0113】
工程1414で、前記メインプロセッサは前記Inew値を返す。
【0114】
工程1416で、前記方法は終了する。
【0115】
次に
図15を参照すると、工程1307のソース放出を正規化する好ましい方法がさらに説明される。この方法は、各ダイススタックについて同じである。
【0116】
工程1502で、本方法が開始される。
【0117】
工程1504で、メインプロセッサ407は、モニタ光ダイオード1の出力をメモリから検索する。この例では、光ダイオード1は、VCSEL850に隣接する光ダイオード906Cである。
【0118】
工程1506で、前記メインプロセッサはモニタ光ダイオード2の出力値を読み取る。この例では、光ダイオード2は、VCSEL852に隣接する光ダイオード906Dである。
【0119】
工程1508で、前記メインプロセッサは、モニタ光ダイオード1の前記出力とモニタ光ダイオード2の前記出力を比較する。前記光ダイオード1の出力が前記光ダイオード2の出力より大きい場合、前記方法は工程1512に移行する。そうでない場合、前記方法は工程1514に移行する。
【0120】
工程1512で、前記光ダイオード1の出力から前記光ダイオード2の出力を引くことにより、前記光ダイオード1の出力と前記光ダイオード2の出力との差が計算される。
【0121】
工程1513で、光ダイオード1への前記駆動電流がその差によって減少される。
【0122】
工程1514で、前記光ダイオード2の出力が前記光ダイオード1の出力と比較される。前記光ダイオード2の出力が、前記光ダイオード1の出力より大きい場合、前記方法は工程1515に移行する。そうでない場合、前記方法は工程1518に移行する。
【0123】
工程1515で、前記光ダイオード2の出力と前記光ダイオード1の出力との差が、前記光ダイオード2の出力から前記光ダイオード1の出力を引くことによって計算される。
【0124】
工程1516で、光ダイオード2への前記駆動電流がその差によって減少される。
【0125】
工程1518で、前記方法は、光ダイオード1と光ダイオード2の正規化された電力レベルを返す。
【0126】
工程1520で、前記方法は終了する。
【0127】
好ましい実施形態では、前記差は、前記発光源を正規化するために前記光ダイオード電流に直接適用することができる割合として計算される。
【0128】
好ましい一実施形態では、方法1307は、VCSEL850およびVCSEL852のような1つの光ダイオードスタック内の2つのVCSEL間に適用される。しかしながら、他の実施形態では、正規化は、各々が同じレベルの発光源を生成するように、前記システム内の4つのVCSELすべてにわたって行われてもよい。
【0129】
次に
図16を参照して、工程1308の電力源変動を補正する好ましい方法をさらに説明する。
【0130】
工程1602で、前記方法が開始される。理想的には、この方法は、システム電力使用を節約するように、週に一度など、定期的にのみ行われる。
【0131】
工程1604で、前記メインプロセッサは、前記VCSELの初期出力レベルをメモリから検索する。好ましくは、前記初期出力レベルは、システム起動中に前記VCSELが最初に活性化された場合に、前記VCSELに隣接する前記モニタ光ダイオードからの前記電流を測定することによって測定される。
【0132】
工程1606で、前記メインプロセッサは選択されたVCSELを起動する。
【0133】
工程1612で、前記メイン・プロセッサは、前記モニタ光ダイオード電力レベルと前記初期モニタ光ダイオード電力レベルの差を導出する。以下の式による:
【0134】
【0135】
ここで、
Δ=差
PLI=初期電力レベル
PLm=測定された電力レベル
【0136】
工程1614で、前記差は以下の式に従って割合として保存される:
【0137】
【0138】
ここで、
PLDIFF=割合の電力レベル差
PLI=初期電力レベル
PLm=測定された電力レベル
【0139】
工程1616で、補正された電力レベルが以下の式に従って計算される:
【0140】
【0141】
ここで、
I1=初期電流レベル
PLDIFF=割合の差
I2=新しい電力レベル
【0142】
工程1618で、前記メインプロセッサは、新しい電力レベルを返す。
【0143】
工程1620において、前記方法は終了する。
【国際調査報告】