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特表2024-528718(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 319/14 20060101AFI20240723BHJP
   C07C 321/28 20060101ALI20240723BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
C07C319/14
C07C321/28
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504791
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022070624
(87)【国際公開番号】W WO2023006607
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21187944.0
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハステロイ
2.HASTELLOY
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アルト,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブローム,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ヒムラー,トーマス
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC63
4H006BA51
4H006BB15
4H006BB17
4H006BB20
4H006BB22
4H006BB24
4H006BB25
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC33
4H006BC34
4H006BE12
4H006TA04
4H039CA99
4H039CD10
4H039CD20
(57)【要約】
本発明は、式(I)の(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体〔式中、RおよびRは、本明細書中で引用される意味を有する〕の調製方法に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
〔式中、RおよびRは、それぞれ独立して、(C-C)アルキルまたはハロゲンである〕
の(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体の製造方法であって、
式(II):
【化2】
〔式中、RおよびRは、上記の定義を有する〕
の3-アミノベンゼンチオールを、1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンと、塩基の存在下、溶媒混合物中で反応させることを特徴とし、ここで、溶媒混合物が、
(i) N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ポリエチレングリコール類、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートから選択される第1の溶媒、および
(ii) テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、シクロペンチルメチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、3,3-ジメチルブタノン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、トルエン、キシレン類およびエチルベンゼンから選択される第2の溶媒
を含む、製造方法。
【請求項2】
前記溶媒混合物が、
(i) N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートから選択される第1の(極性非プロトン性)溶媒、および
(ii) テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、シクロペンチルメチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、3,3-ジメチルブタノン、トルエン、キシレン類およびエチルベンゼンから選択される第2の(より極性の低い非プロトン性)溶媒
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
およびRが、それぞれ独立して、フッ素、塩素またはメチルであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
およびRが、それぞれ独立して、フッ素またはメチルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
がメチルであり、Rがフッ素であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の溶媒が、N-メチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、および200~800g/molのモル質量のポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール200~800)から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記第2の溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルエーテル(DME)、1,4-ジオキサン、2-メチル-THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよび酢酸ペンチルから選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1の溶媒が、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール400から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記第2の溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルから選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
第1の溶媒対第2の溶媒の比が、20:1~1:20の範囲内にあることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニウムまたはアルキルアンモニウム水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、アンモニア、第一級、第二級または第三級アルキル、アリールまたはアラルキルアミン、アミジンおよびピリジンから選択されることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選択されることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記塩基が、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムであることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記塩基が、無水でまたは水溶液として使用されることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
塩基対式(II)のチオールのモル比が、0.9:1~5:1の範囲内にあることを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
0℃~100℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
大気圧より0バール~20バール高い圧力で実施されることを特徴とする、請求項1~16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
相間移動触媒、特にテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、の存在下で実施されることを特徴とする、請求項1~17のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体は、農薬産業において、活性成分の合成のための中間体として非常に重要である。したがって、それらの合成のための簡略化された、技術的および経済的に実行可能な方法が、継続的に必要とされている。
【0003】
(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体は、チオフェノールを1,1,1-トリフルオロ-2-ヨードエタン(例えば、WO2014202505)または硫酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)でアルキル化することによって得ることができることが知られている(Chem.Sci.,2019,10,10331-10335)。1,1,1-トリフルオロ-2-ヨードエタンを2,2,2-トリフルオロエチルメタンスルホネートで置き換えることも可能である。
【0004】
さらに、1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンによるチオフェノールのアルキル化は、特許出願EP0645355に記載されている。1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンは非常に遅く反応することが知られており、脂肪族、芳香族および複素環チオレートと反応させられた。強塩基の水素化ナトリウムまたは水性水酸化ナトリウム溶液を塩基として使用し、チオール類からチオレート類を調製した。極性非プロトン性溶媒であるジメチルホルムアミドは、溶媒としてのみ使用された。
【0005】
ジメチルホルムアミドは、非常に極性の非プロトン性溶媒である。したがって、それは、求核置換反応のための溶媒として特に使用される。しかし、その毒性のため、催奇形性として分類され、その使用は絶対的に必要なレベルまで減らされるべきである。
【0006】
製造プロセスにおいて使用される溶媒の選択は、これらの毒物学的側面に加えて、多くの他の要因、例えば、反応物および生成物の溶解度、反応物の活性に対する影響、反応条件下での溶媒の安定性、形成される望ましくない二次成分に対する影響、ならびにコストおよび適切な製造場所の利用可能性に依存する。原則として、様々な好適な可能性があり得るが、好適な溶媒または適切好適な溶媒混合物の選択は、上記で引用した理由から、簡単な作業ではない。
【0007】
化学的および/または経済的な理由から、多段階合成シーケンスにおいて個々の化学工程のための溶媒を変更しないことも意味がある。この場合、2つの異なる反応において上述の要件を満たす溶媒または溶媒混合物を特定しなければならない。
【0008】
チオフェノールは、酸化に対して感受性であることがよく知られている。大気酸素の影響下で、酸化的二量化反応によってジスルフィドが形成される。これらのジスルフィドは、もはや求電子剤によるアルキル化に利用できず、したがって収率をかなり低下させる。加えて、これらのジスルフィドは、後に手間をかけて除去しなければならない不純物である。チオフェノールが電子に富むほど、酸化に対する感受性も高くなる。
【0009】
(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体(I)の調製に必要な置換3-アミノベンゼンチオール類は、電子リッチな3-アミノ官能基のために酸化に非常に感受性であり、したがって不活性ガス雰囲気下で取り扱わなければならない。したがって、これらの置換3-アミノベンゼンチオール類を、それらの調製後に単離する必要がない場合、非常に有利であろう。これは、これらの中間体の酸化の危険性を著しく減少させる。したがって、製造プロセスの障害率が低減される。
【0010】
(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体(I)の調製に必要な3-アミノベンゼンチオール類は、1,1’-ジスルファンジイルビス(3-ニトロベンゼン)誘導体から、遷移金属触媒を用いた水素による還元によって得ることができる。この還元は、溶媒THFまたは酢酸エチル中で有利に行われることが見出された(WO2014/090913)。しかしながら、(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリンを得るための1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを用いたアルキル化については、溶媒としてジメチルホルムアミドを使用した場合のみ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2014/202505号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0645355号明細書
【特許文献3】国際公開第2014/090913号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Chem.Sci.,2019,10,10331-10335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
結果として、概説された先行技術を考慮すると、置換3-アミノベンゼンチオール類、特に5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオール、のアルキル化のための簡略化された、技術的かつ経済的に実行可能な方法に対する継続的な必要性が存在した。想定される方法は、非極性溶媒中、特にTHFまたは酢酸エチル中、の置換3-アミノベンゼンチオール類の溶液から出発して所望の標的化合物を得ることを可能にし、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒の使用を回避するか、または少なくとも有意に減少させるべきである。この所望の方法によって得られる(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体はこの場合、好ましくは高収率かつ高化学純度で得られるべきである。
【0014】
驚くべきことに、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドなどの第1の極性溶媒と、酢酸エチルまたはテトラヒドロフランなどの第2の極性が著しくより低い溶媒との溶媒混合物中で(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体を与える3-アミノベンゼンチオール類の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンとのアルキル化は、良好な収率で進行することが見出された。これは、1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンの低い反応性のために、当業者は溶媒または溶媒混合物の極性を低下させるときに反応が停止すると予想されることを考慮すると、より驚くべきことである。溶媒の極性は、ここで報告するアルキル化反応のような求核置換反応に大きな影響を及ぼすことが知られている。加えて、極性溶媒が不足している状態で存在する混合物を使用することさえ可能であることは予見できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、式(I):
【化1】
〔式中、RおよびRは、それぞれ独立して、(C-C)-アルキルまたはハロゲンである〕
の(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体の製造方法であって、
式(II):
【化2】
〔式中、RおよびRは、上記の定義を有する〕
の3-アミノベンゼンチオールを、1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンと、溶媒混合物中で塩基の存在下に反応させることを特徴とし、ここで、溶媒混合物が、
(i) N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ポリエチレングリコール、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートから選択される第1の(極性非プロトン性)溶媒、および
(ii) テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、シクロペンチルメチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、3,3-ジメチルブタノン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、トルエン、キシレン類およびエチルベンゼンから選択される第2の(より極性の低い非プロトン性)溶媒
を含む、製造方法に関する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態において、溶媒混合物は、
(i) N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートから選択される第1の(極性非プロトン性)溶媒、および
(ii) テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、シクロペンチルメチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、3,3-ジメチルブタノン、トルエン、キシレン類およびエチルベンゼンから選択される第2の(より極性の低い非プロトン性)溶媒
を含む。
【0017】
上記の式(I)および(II)において特定される基RおよびRの好ましい、特に好ましい、およびとりわけ好ましい定義は、以下に説明される。
【0018】
およびRは、好ましくは、それぞれ独立して、フッ素、塩素またはメチルである。
【0019】
およびRは、特に好ましくは、それぞれ独立して、フッ素またはメチルである。
【0020】
強調すると、Rはメチルであり、Rはフッ素である。
【0021】
驚くべきことに、式(I)の(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニルアニリン誘導体は、本発明の方法によって良好な収率で調製することができる。さらに、本発明による方法は、工業規模に好適な著しく極性のより低い溶媒と極性溶媒との溶媒混合物の使用を可能にする。
【0022】
本発明による方法は、以下のスキーム(1)によって説明することができる:
スキーム(1)
【化3】
【0023】
図式(1)において、RおよびRは、上で特定された定義を有する。
【0024】
式(II)の必要な置換3-アミノベンゼンチオール類は、例えば、WO2014/090913に記載されている方法と同様にして得ることができる。
【0025】
本方法は、アミノ基のプロトンの一方または両方が-CO(C-C)アルキル(アルカノイル)または-SO(C-C)アルキル(アルキルスルホニル)で置換されている3-アミノベンゼンチオール類の誘導体を用いて実施することもできる。
【0026】
一般的な定義
本発明に関連して、用語「ハロゲン」(Hal)は、他に定義されない限り、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される元素を包含し、フッ素、塩素および臭素を使用することが好ましく、フッ素および塩素を使用することが特に好ましい。
【0027】
置換されていてもよい基は、単置換または多置換されていてもよく;多置換されていてもよい場合、置換基は同一であっても異なっていてもよい。関連する位置で別段の記載がない限り、置換基は、ハロゲン、(C-C)アルキル、(C-C10)シクロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(C-C)アルコキシ、(C-C)ハロアルキルおよび(C-C)ハロアルコキシから、特に、フッ素、塩素、(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、シクロプロピル、シアノ、(C-C)アルコキシ、(C-C)ハロアルキルおよび(C-C)ハロアルコキシから選択される。
【0028】
1個以上のハロゲン原子(Hal)で置換されたアルキル基は、例えば、トリフルオロメチル(CF)、ジフルオロメチル(CHF)、CFCH、ClCHまたはCFCClから選択される。
【0029】
本発明に関連するアルキル基は、別段の定義がない限り、直鎖、分枝または環状飽和炭化水素基である。
【0030】
定義C-C-アルキルは、アルキル基について本明細書に定義される最も広い範囲を包含する。詳細には、この定義は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルを包含する。
【0031】
式(II)の置換3-アミノベンゼンチオール類を反応させて、溶媒混合物の存在下で式(I)の化合物を得る。この溶媒混合物は、第1および第2の溶媒を含む。さらなる構成では、この溶媒混合物が第1および第2の溶媒からなる。
【0032】
第1の溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり、第2の溶媒は、より極性の低い非プロトン性溶媒である。そのような溶媒は、以下に言及される。
【0033】
本出願に関連して、第1の極性非プロトン性溶媒は:N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ポリエチレングリコール類、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートである。
【0034】
本出願に関連して、第2の、したがってより極性の低い非プロトン性溶媒は:テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtertブチルエーテル(MTBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、2-メチル-THF、シクロペンチルメチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、アニソール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、3,3-ジメチルブタノン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、トルエン、キシレン類およびエチルベンゼンである。
【0035】
好ましい第1の、したがって極性非プロトン性溶媒は:N-メチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、および200~800g/molのモル質量のポリエチレングリコール類(ポリエチレングリコール200~800)である。
【0036】
同様に好ましい第1の、したがって極性非プロトン性溶媒は:N-メチルピロリドン、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、スルホランおよびジメチルスルホキシドである。
【0037】
好ましい第2の、したがってより極性の低い非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルエーテル(DME)、1,4-ジオキサン、2-メチル-THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよび酢酸ペンチルである。
【0038】
特に好ましい第1の、したがって極性非プロトン性溶媒は:N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール400である。
【0039】
同様に特に好ましい第1の、したがって極性非プロトン性溶媒は:N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)である。
【0040】
特に好ましい第2の、したがってより極性の低い非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルである。
【0041】
とりわけ好ましい第1の、したがって極性溶媒は:ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシドおよびポリエチレングリコール400である。
【0042】
同様にとりわけ好ましい第1の、したがって極性非プロトン性溶媒は:ジメチルホルムアミドおよびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)である。
【0043】
とりわけ好ましい第2の、したがってより極性の低い非プロトン性溶媒は:テトラヒドロフラン(THF)および酢酸エチルである。
【0044】
第1の(極性非プロトン性)溶媒対第2の(より極性の低い非プロトン性)溶媒の比は、20:1~1:20の範囲、好ましくは2:1~1:10の範囲、特に好ましくは1:2~1:5の範囲、とりわけ好ましくは1:2~1:4の範囲、理想的には1:2~1:3の範囲内にある。
【0045】
代替的な構成では、第1の(極性非プロトン性)溶媒対第2の(より極性の低い非プロトン性)溶媒の比が、1:1~1:10の範囲、または1:1~1:5の範囲、または1:1~1:3の範囲、または1:1~1:2の範囲、または2:1~1:5の範囲、または2:1~1:3の範囲、または2:1~1:2の範囲、または1:2~1:10の範囲、または1:2~1:20の範囲内にある。
【0046】
この反応のために使用され得る塩基は、いかなる特定の制限も受けない。チオレート類を調製するための塩基として好適なものは、一塩基性または二塩基性の有機塩基または無機塩基であり、好ましくは等モル量の、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニウムまたはアルキルアンモニウム水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属アルコキシド、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、アンモニア、第一級、第二級または第三級アルキル、アリールまたはアラルキルアミン類、アミジン類またはピリジンである。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムならびに炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0047】
特に好ましいのは、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0048】
炭酸カリウムが、強調して好ましい。
【0049】
塩基は、この場合、無水で、また水溶液としても使用することができる。
【0050】
塩基対式(II)のチオールのモル比は、0.9:1~5:1、好ましくは1.1:1~2:1の範囲内である。
【0051】
反応は一般に、0℃~100℃、好ましくは20℃~100℃、非常に特に好ましくは40℃~80℃の温度で実施される。
【0052】
反応は、典型的には標準圧力から中程度の陽圧までで実施されるが、より高い陽圧で実施されてもよい。好ましい圧力範囲は、大気圧より0bar~20bar高い、特に大気圧より0bar~18bar高い、好ましくは大気圧より0bar~15bar高い、とりわけ好ましくは大気圧より0bar~10bar高い。陽圧は、使用される1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンの自己圧力によって、またはアルゴンもしくは窒素などの追加の不活性ガスの圧力によって引き起こされ得る。反応は、例えば、加圧オートクレーブ中で行うことができるが、必ずしも加圧オートクレーブ中で行う必要はない。この点に関して、様々な代替的な方法が当業者に知られている。
【0053】
反応は、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミドなどの相間移動触媒の存在下で実施することができる。
【0054】
式(I)の所望の化合物は、例えば、その後の抽出および蒸留によって単離することができる。
【0055】
本発明は、以下の実施例によって詳細に説明されるが、実施例は、本発明を限定するように解釈されるべきではない。
【実施例
【0056】
調製実施例:
報告された収率は、得られた生成物の量を秤量し、面積%でHPLCにより決定される純度によりこの重量を補正することにより計算した。HPLC面積%における所望の生成物の割合を、210nmの波長で評価した。
【0057】
いくつかの実施例では、生成物の量は、生成物の溶液を秤量し、この重量をHPLCによって重量%で決定された純度で補正することによって決定した。この場合の生成物溶液中の標的生成物の割合を、外部標準に対して決定した。既知の純度の2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの試料を外部標準として用いた。
【0058】
実施例1:ジメチルホルムアミドと酢酸エチルの溶媒混合物(比1:2)中での2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化4】
【0059】
ハステロイ合金(Hastelloy alloy)製の300mLオートクレーブ中に、最初に、50mLの酢酸エチルおよび25mLのジメチルホルムアミドの混合物中の溶液として、8.50g(純度92.5%、50.0mmol)の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールを入れた。806mg(2.50mmol)のテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミドおよび9.67g(70.0mmol)の炭酸カリウムを添加した。次いでオートクレーブをドライアイスで冷却し、7.7g(65mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを導入した。オートクレーブを密封し、アルゴンを導入することによって内圧を10barに上昇させた。混合物を60℃に加熱し、この温度で16時間撹拌した(撹拌速度:600rpm)。オートクレーブを減圧し、内容物を撹拌しながら氷水200mLに注いだ。混合物を30分間撹拌し、次いで相を分離した。水相を合計で3回抽出し、いずれの場合も150mLのメチルtert-ブチルエーテルを用いた。合わせた有機相を毎回30mLの水で2回洗浄し、次いで30mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を乾燥剤(硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウム)で乾燥した。乾燥剤を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。12.3gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを、80.4面積%のHPLCによる純度および83%の収率で褐色油状物として得た。
【0060】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6): δ = 6.97 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 5.06 (s, 2H), 3.70 (q, J = 10.4 Hz, 2H), 2.24 (s, 3H) ppm.
【0061】
他の点では同一の反応条件下で、ジメチルホルムアミドをジメチルアセトアミドで置き換えると、12.60gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの収量が、84.0面積%のHPLCによる純度および89%の収率で得られた。
【0062】
実施例2:ジメチルホルムアミドとテトラヒドロフランとの溶媒混合物(比1:2)中での2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化5】
【0063】
ハステロイ合金製の300mLオートクレーブ中に、最初に、50mLのテトラヒドロフランおよび25mLのジメチルホルムアミドの混合物中の溶液として、8.70g(純度90.4%、50.0mmol)の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールを入れた。9.67g(70.0mmol)の炭酸カリウムを添加した。次いでオートクレーブをドライアイスで冷却し、7.7g(65mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを導入した。オートクレーブを密封し、窒素を導入することによって内圧を10barに上昇させた。混合物を40℃に加熱し、この温度で16時間撹拌した(撹拌速度:600rpm)。オートクレーブを減圧し、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣に、水およびメチルtert-ブチルエーテルの混合物を加えた。相を分離し、水相をメチルtert-ブチルエーテルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥剤(硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウム)で乾燥した。乾燥剤を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。12.5gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを、89.8面積%のHPLCによる純度および94%の収率で橙色油状物として得た。
【0064】
実施例3:ジメチルホルムアミドと酢酸エチルの溶媒混合物(比1:2)中での、自己圧力下での2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化6】
【0065】
ハステロイ合金製の500mLオートクレーブに、最初に、23.58g(150.0mmol)の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオール、29.0g(210mmol)の炭酸カリウム、2.42g(7.51mmol)のテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、150mlの酢酸エチルおよび75mLのジメチルホルムアミドを入れた。オートクレーブを密封し、窒素で数回フラッシュし、-10℃に冷却し、この温度で23.30g(196.6mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを導入した。次いで、オートクレーブを60℃に加熱し、この温度で15時間撹拌した(撹拌速度:300rpm)。この場合、内圧は、0.7barに上昇した。次いで、混合物を20℃に冷却し、オートクレーブを減圧した。200mLの水を反応混合物に添加し、これをさらに50分間撹拌し、分離漏斗に移し、相を分離した。174.8gの上相および305.6gの下相を得た。上相における2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの割合を、定量的HPLC(外部標準に対する)により19.3%と決定した。これは、5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールから出発して94%の収率に相当する。
【0066】
実施例4:ポリエチレングリコール400と酢酸エチルの溶媒混合物(比1:2)中での、2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化7】
【0067】
ハステロイ合金製の500mLオートクレーブに、最初に、23.58g(150.0mmol)の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオール、29.0g(210mmol)の炭酸カリウム、2.42g(7.51mmol)のテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、150mlの酢酸エチルおよび75mLのポリエチレングリコール400を入れた。オートクレーブを密封し、窒素で数回フラッシュし、-10℃に冷却し、この温度で24.70g(208.5mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを導入した。次に、窒素を導入して内圧を4barに上げ、オートクレーブを60℃に加熱し、この温度で63時間撹拌した(撹拌速度:300rpm)。この場合、内圧は5.6barに上昇した。次いで、混合物を18℃に冷却し、オートクレーブを減圧した。100mLの水を反応混合物に添加し、これをさらに2時間撹拌し、分離漏斗に移し、相を分離した。163.7gの上相、171.9gの中相、47.6gの下相を得た。上相における2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの割合を、定量的HPLC(外部標準に対する)により15.6%と決定した。これは、5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールから出発して71%の収率に相当する。
【0068】
実施例5:ジメチルスルホキシドと酢酸エチルの溶媒混合物(比1:2)中での、2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化8】
【0069】
ハステロイ合金製の500mLオートクレーブに、最初に、23.58g(150.0mmol)の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオール、29.0g(210mmol)の炭酸カリウム、2.42g(7.51mmol)のテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、150mlの酢酸エチルおよび73mLのジメチルスルホキシドを入れた。オートクレーブを密封し、窒素で数回フラッシュし、-10℃に冷却し、この温度で24.0g(203mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを導入した。次いで、オートクレーブを60℃に加熱し、この温度で15時間撹拌した(撹拌速度:300rpm)。この場合、内圧は0.7barに上昇した。次いで、混合物を18℃に冷却し、オートクレーブを減圧した。100mLの水を反応混合物に添加し、さらに30分間撹拌した。反応混合物を排出し、反応器を50mLの水で2回洗浄し、これらの洗浄溶液を反応混合物と合わせた。反応混合物を分離漏斗に移し、相を分離した。168.0gの上相および316.9gの下相を得た。上相における2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの割合を、定量的HPLC(外部標準に対する)により14.4%と決定した。これは、5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールから出発して68%の収率に相当する。
【0070】
比較例1:純粋なジメチルホルムアミド中での、2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化9】
【0071】
ハステロイ合金製の300mLオートクレーブ中に、最初に、75mLのジメチルホルムアミド中の溶液として8.12g(純度90.4%、46.7mmol)の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールを入れた。9.04g(65.4mmol)の炭酸カリウムを添加した。次いでオートクレーブをドライアイスで冷却し、7.2g(61mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを導入した。オートクレーブを密封し、窒素を導入することによって内圧を10barに上昇させた。混合物を40℃に加熱し、この温度で16時間撹拌した(撹拌速度:400rpm)。オートクレーブを減圧した。溶媒を減圧下で除去し、50mLのメチルtert-ブチルエーテルおよび100mLの水を残渣に添加した。相を分離し、水相をメチルtert-ブチルエーテルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、続いて乾燥剤(硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウム)で乾燥した。乾燥剤を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。10.35gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを、91.5面積%のHPLCによる純度および85%の収率で褐色油状物として得た。
【0072】
比較例2:純粋な酢酸エチル中での、2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化10】
【0073】
ハステロイ合金製の300mLオートクレーブ中に、最初に、75mLの酢酸エチル中の溶液として8.70g(純度90.4%、50.0mmol)の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールを入れた。806mg(2.50mmol)のテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミドおよび9.67g(70.0mmol)の炭酸カリウムを添加した。次いでオートクレーブをドライアイスで冷却し、7.7g(65mmol)の1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタンを導入した。オートクレーブを密封し、アルゴンを導入することによって内圧を10barに上昇させた。混合物を60℃に加熱し、この温度で16時間撹拌した(撹拌速度:600rpm)。オートクレーブを減圧し、内容物を撹拌しながら氷水200mLに注いだ。混合物を30分間撹拌し、次いで相を分離した。水相を合計で3回抽出し、いずれの場合も150mLのメチルtert-ブチルエーテルを用いた。合わせた有機相を毎回30mLの水で2回洗浄し、次いで30mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。次いで、有機相を乾燥剤(硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウム)で乾燥した。乾燥剤を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。10.2gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを、46.8面積%のHPLCによる純度および40%の収率で褐色油状物として得た。
【0074】
2,2,2-トリフルオロエチルメタンスルホネートとのアルキル化による2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンの合成
【化11】
【0075】
酢酸エチル中の5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルベンゼンチオールの19%溶液(121mmol)100gに、窒素雰囲気下、1.95g(6mmol)のテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミドおよび23.41g(169mmol)の炭酸カリウムを加えた。次いで、1時間かけて、22.6g(127mmol)の2,2,2-トリフルオロエチルメタンスルホネートを滴下した。添加終了後、熱媒体温度を60℃に上げた。混合物を60℃で2時間撹拌し、次いで25gの酢酸エチルを添加した。さらに20分後、さらに20gの酢酸エチルを加え、撹拌速度を400rpmから700rpmに上げた。60℃で合計9時間20分間撹拌した後、反応溶液を室温に冷却した。次いで、さらに50gの酢酸エチルを加え、100gの水を加えた。相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過により除去し、次いで溶媒を減圧下で除去した。29.3gの2-フルオロ-4-メチル-5-[(2,2,2-トリフルオロエチル)スルファニル]アニリンを収率89%で得た。
【国際調査報告】