(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】スクロースシンターゼ及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 9/10 20060101AFI20240723BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20240723BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240723BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240723BHJP
C12P 19/44 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
C12N9/10 ZNA
C12N15/54
C12N15/63 Z
C12N1/21
C12P19/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504849
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 CN2022106920
(87)【国際公開番号】W WO2023005779
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110853028.X
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520385157
【氏名又は名称】エーバイオケム バイオテクノロジー(グループ)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン,ゼンファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,シャオフー
(72)【発明者】
【氏名】シン,リトン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AF41
4B064CA19
4B064CA21
4B064CB30
4B064CC24
4B064CD09
4B064CD30
4B064DA10
4B064DA20
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA29
4B065CA41
4B065CA60
(57)【要約】
スクロースシンターゼ及びその使用を開示する。ここで、前記スクロースシンターゼのアミノ酸配列は配列番号11と比較して、下記から選択される1つ又は複数の残基位置でのアミノ酸残基の違いを含む:第36位のアミノ酸がVであり;第43位のアミノ酸がEであり;第179位のアミノ酸がAであり;第395位のアミノ酸がRであり;第447位のアミノ酸がPであり:第455位のアミノ酸がLであり;第654位のアミノ酸がRである;且つ、配列番号11のアミノ酸配列に示されるスクロースシンターゼ以上の活性を有している。グルコシルトランスフェラーゼとスクロースシンターゼの組み合わせを使用して、レバウジオシドA、レバウジオシドD又はレバウジオシドMの合成を触媒して、カスケード反応を実現し、原材料の選択に複数の可能性を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列は配列番号11と比較して、下記から選択される1つ又は複数の残基位置でのアミノ酸残基の違いを含み:
第36位のアミノ酸がVであり;
第43位のアミノ酸がEであり;
第179位のアミノ酸がAであり;
第395位のアミノ酸がRであり;
第447位のアミノ酸がPであり:
第455位のアミノ酸がLであり;
第654位のアミノ酸がRであり;且つ、配列番号11のアミノ酸配列に示されるスクロースシンターゼ以上の活性を有していることを特徴とする、スクロースシンターゼ。
【請求項2】
前記スクロースシンターゼのアミノ酸配列を配列番号11と比べたアミノ酸残基の違いは下記の通りであり:
第36位のアミノ酸がVであるか;或いは、
第43位のアミノ酸がEであるか;或いは、
第179位のアミノ酸がAであるか;或いは、
第395位のアミノ酸がRであるか;或いは、
第447位のアミノ酸がPであるか;或いは、
第455位のアミノ酸がLであるか;或いは、
第654位のアミノ酸がRであることを特徴とする、請求項1に記載のスクロースシンターゼ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスクロースシンターゼをコードする、単離された核酸。
【請求項4】
請求項3に記載の単離された核酸を含む、組換え発現ベクター。
【請求項5】
請求項3に記載の核酸、又は請求項4に記載の組換え発現ベクターを含む宿主細胞であり、好ましくは、前記宿主細胞は、例えばE.coli BL21(DE3)などの大腸菌(Escherichia coli)である形質転換体。
【請求項6】
前記スクロースシンターゼの発現に適した条件下で請求項5に記載の形質転換体を培養することを含む、請求項1又は2に記載のスクロースシンターゼの製造方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のスクロースシンターゼの1つ又は複数を含み、好ましくは、配列番号9、10及び/又は配列番号11に示される配列を更に含む組成物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のスクロースシンターゼの存在下で、スクロースとヌクレオシド二リン酸とを反応させて前記グリコシル供与体を得;前記ヌクレオシド二リン酸はUDP、dTDP、TDP、CDP、IDP、GDP又はADPであり、
好ましくは、
前記スクロースシンターゼはスクロースシンターゼ菌、粗酵素液、純酵素、純酵素液、固定化酵素の形態で存在し;
前記スクロースシンターゼ菌とスクロースの質量比は1:(20~200)であり、好ましくは3:200であり;
前記スクロースとヌクレオシド二リン酸の質量比は100:0.5~300:0.1であり、好ましくは200:0.1であり;
前記スクロースの濃度は、好ましくは50~300g/Lであり、例えば200g/Lである;
条件の1つ又は複数を満たすことを特徴とする、グリコシル供与体の製造。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のスクロースシンターゼ、配列番号9、10及び配列番号11の中の1つ又は複数の存在下でレバウジオシドA、グリコシルトランスフェラーゼ、スクロース、及びヌクレオシド二リン酸を反応させて、レバウジオシドDを得るステップを含み;
好ましくは、
前記スクロースシンターゼはスクロースシンターゼ菌、粗酵素液、純酵素、純酵素液、又は固定化酵素の形態で存在し;
前記糖転移酵素は糖転移酵素菌、粗酵素液、純酵素、純酵素液、又は固定化酵素の形態で存在し;
前記レバウジオシドAの濃度は1~150g/Lであり、好ましくは50g/L、60g/Lであり;
前記スクロースの濃度は、好ましくは、50~300g/Lであり、例えば、200g/Lであり;
好ましくは、前記スクロースシンターゼ菌とスクロースの質量比は、1:(20~200)であり、好ましくは3:200であり;
より好ましくは、前記スクロースシンターゼ菌と前記レバウジオシドAの質量比は、(0.1~2):1であり、例えば、0.24:1、0.3:1であり;
前記反応の反応溶媒は水であり、pHは5~8であり、好ましくは、6であり、前記pHは緩衝液で制御し、好ましくは、リン酸緩衝液であり;前記反応時の回転速度は500~1000rpmであり、好ましくは600rpmであり;
前記反応の反応系の温度は20~90℃であり、好ましくは60℃である;
条件の1つ又は複数を満たすことを特徴とする、レバウジオシドD又はレバウジオシドMの製造方法。
【請求項10】
ステビオール配糖体の製造における請求項1又は2に記載のスクロースシンターゼ、配列番号9、10及び/又は配列番号11の中の1つ又は複数の使用であって、前記ステビオール配糖体は、好ましくは、レバウジオシドA、レバウジオシドD又はレバウジオシドMである使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願日が2021年7月27日である中国特許出願202110853028.Xの優先権を主張する。本出願は上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
(技術分野)
本発明はバイオテクノロジーの分野に関し、特にスクロースシンターゼ及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ステビオール配糖体(Steviol glycosides、ステビオールグリコサイドとも呼ばれる)は、キク科の草本植物であるステビアの葉から抽出された天然甘味料であり、複数の配糖体の混合物であり、異なるステビオール配糖体は、味と品質に大きな違いが存在する。ステビオール配糖体は純粋な天然物(純粋な天然植物ステビア由来)、高甘味度(スクロースの250~450倍)、低カロリー(白砂糖のわずか1/300)、低使用コスト(コストはスクロースのわずか1/3)、優れた安定性(耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、分解しにくい)、高い安全性(毒性の副作用がない)等のメリット、並びに抗高血糖、抗高血圧、抗炎症、抗腫瘍、下痢止めなどの潜在的な治療効果を有している。
【0004】
ステビオール配糖体(ステビオール配糖体系化合物)の構造式は下記の通りである。
【0005】
【0006】
【0007】
上記のステビオール配糖体は、共通のアグリコンであるステビオール(Steviol)を有し、違いは、C-13とC-19の位置に結合されている糖基の数と種類にあり、主にステビオシド(Stevioside)、レバウジオシドA(Rebaudioside A、Reb A、RAと略称する)、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD(Rebaudioside D、Reb D、RDと略称する)、レバウジオシドE、ダルコシド、ステビオールビオシドなどの8種の配糖体を含む。ステビアの葉は、最大10~20%(乾燥重量に基づく)のステビオール配糖体を蓄積することができる。ステビアの葉で発見された主な配糖体は、レバウジオシドA(2~10%)、ステビオシド(2~10%)、及びレバウジオシドC(1~2%)である。レバウジオシドB、D、E及びF、ステビオールビオシド、ルブソシドなどの他の配糖体は、はるかに低いレベル(約0~0.2%)で検出されている。
【0008】
ステビオール配糖体は高強度甘味料ではあるが、苦味と渋みがあるという欠点があり、食品や飲料などの味覚が要求される分野での使用が著しく制限されている。ステビオール配糖体の苦味と渋みの本質的な原因はその内部分子構造にあり、ステビオール配糖体のR1基とR2基に連結されている糖基が多いほど味が良くなる。一般に、ステビオシドはスクロースの110~270倍甘く、レバウジオシドAの150~320倍甘いことが知られているが、高度に精製された状態でも、ステビオール配糖体は依然として苦味、甘い後味、甘草の味などの望ましくない味の特性を持っている。
【0009】
レバウジオシドDは、その中で最も有望なステビオール配糖体であり、他のステビオール配糖体と比較して、甘味が高く、スクロースの約300~350倍であり、甘味は純粋で、味もスクロースに近く、苦味や甘草の味がなく、安定性も良好であり、理想的な天然高甘味度製品である。ステビア葉に含まれているレバウジオシドDの含有量は非常に少なく(5%未満である)、抽出によるレバウジオシドDの製造には、多量のステビア原料が必要となることに加え、レバウジオシドDを濃縮する工程が煩雑であり、抽出後、複数回のカラムパス及び脱塩、脱色、再結晶化が必要であり、製造過程で大量の廃水が発生するため、製造コストが高く、産業的な大量生産には適していない。
【0010】
レバウジオシドM(Rebaudioside M、Reb M、RMと略称する)はより優れた味覚特性を持っているが、葉の乾燥重量中のその含有量は0.1%未満であるため、分離コストが高く、価格も高い。高濃度のレバウジオシドMを得る生体触媒法は学者の注目を集めている。現在、ステビア由来の組換え酵素がレバウジオシドDからレバウジオシドMへの生成を触媒できることが報告されているが、収率は低い。レバウジオシドDを基質として用い、微生物の酵素触媒作用によりレバウジオシドMを得ることができ、従来の抽出法と比較して、製造プロセスが改善されるだけではなく、環境汚染が軽減され、標的製品レバウジオシドMの収率を向上する。しかし、現在の生物学的酵素触媒法には主に次のような幾つかの問題がある。(1)生体酵素でレバウジオシドDを触媒してレバウジオシドMを製造するコストは高く、酵素触媒収率もさらに最適化する必要がある;(2)触媒に使用される糖転移酵素は生成物から分離してリサイクルすることが難しく、失活し易い;(3)天然植物中のレバウジオシドAの含有量は非常に多いのに対し、レバウジオシドDの含有量は非常に少なく、レバウジオシドAを低コストでレバウジオシドDに直接に転換することも緊急の課題である。
【0011】
グルコシルトランスフェラーゼは、酵素反応においてグルコシルのみを転移させる酵素であり、当該酵素の作用機序は、グリコシル供与体のグルコース残基の糖受容体分子への転移を触媒し、それによって受容体分子の活性を調節することである。
【0012】
「ヌクレオチド(nucleoside)」とは、核酸塩基(即ち、窒素含有塩基)及び五炭糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)を含むグリコシルアミン(glycosylamines)を指す。ヌクレオチドの非限定的な実施例は、シチジン(cytidine)、ウリジン(uridine)、アデノシン(adenosine)、グアノシン(guanosine)、チミジン(thymidine)、及びイノシン(inosine)を含む。
【0013】
「ヌクレオチド二リン酸(nucleoside diphosphate)」は、核酸塩基(即ち、窒素含有塩基)、五炭糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)、及び二リン酸(即ち、ピロリン酸)部分を含むグリコシルアミンを指す。「ヌクレオチド二リン酸」を「NDP」と略してもよい。ヌクレオチド二リン酸の非限定的な実施例は、シチジン二リン酸(CDP)、ウリジン二リン酸(UDP)、アデノシン二リン酸(ADP)、グアノシン二リン酸(GDP)、チミジン二リン酸(TDP)、及びイノシン二リン酸(IDP)を含む。
【0014】
UDP-グルコースはウリジン二リン酸グルコース(uridine diphosphate glucose)の略称であり、UDP-グルコース又はUDPGとも呼ばれ、ウリジン二リン酸とブドウ糖から構成されるビタミンであり、「活性ブドウ糖」とみなすことができ、植物、動物、及び微生物の細胞内に広く分布し、スクロース、デンプン、グリコーゲン、及びその他のオリゴ糖や多糖の合成における最も一般的なグリコシル供与体である。UDP-グルコースに加えて、ADP-グルコース、TDP-グルコース、dTDP-グルコース(デオキシチミジン二リン酸グルコース:deoxythymidine diphosphate glucose)、CDP-グルコース、IDP-グルコース又はGDP-グルコース等もグリコシル供与体化合物として一般的に使用される。これらのグリコシル供与体は高価であり、産業生産には適していない。
【0015】
スクロースシンターゼ(sucrose synthase、SUS、SuSy/SS等でも略称、EC2.4.1.13)は、NDP-グルコース+D-フルクトースからNDPとスクロースへの化学反応を可逆的に触媒し、糖転移酵素-4サブファミリーに属し、小麦(Triticum aestivum)胚芽で始めて同定された。各タンパク質は四量体として存在する。各サブユニットの分子量は約90kDaである。遺伝子のサイズは一般に5.9kbであり、cDNAのサイズは約2.7kbである。コードされたアミノ酸配列の全長は約800個のアミノ酸残基(Ross及びDavies 1992)である。スクロースシンターゼはNDPに対して異なる親和性を持っており、親和性の大きさは順次にUDP>ADP>dTDP>CDP>GDPである。
【0016】
レバウジオシドA、レバウジオシドD、又はレバウジオシドMを生体酵素法で合成する現在の方法は、高価な原料UDPグルコースまたはADPグルコースを加え、UDPグルコシルトランスフェラーゼ(UDPグルコシルトランスフェラーゼ、UGTと呼ばれる)の作用によりステビオシドを出発物質として使用してレバウジオシドA、レバウジオシドD、またはレバウジオシドMの生成を触媒するか、或いはレバウジオシドAを出発物質として使用してレバウジオシドDまたはレバウジオシドMの生成を触媒する必要がある。しかし、UDP-グルコースの販売価格が非常に高いため、レバウジオシドDの産業的調製の実現可能性はほぼ完全に制限されており、コストが高くなり、市場競争力が欠如している。
【0017】
現在、天然甘味料ステビアの広範な使用、及び生体触媒技術の発展に伴い、グリコシルトランスフェラーゼは、ステビオール配糖体の生体触媒製造の分野でますます使用されている。ステビオール配糖体の生産効益を向上させるためには、原料UDPGの高価な問題を解決することが急務となっている。UDPGはスクロースとUDPを触媒するスクロースシンターゼによって再生可能であるため、UDPGの再生をより適切に実現するためにスクロースシンターゼを改変して、より高い酵素活性とより優れた安定性を備えた修飾酵素を得る必要があり、それによりステビオール配糖体の産業化生産を実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的課題は、既存のスクロースシンターゼが、ステビオール配糖体の生体触媒製造に使用される場合に酵素活性が低く、安定性が低いため、ステビオール配糖体の触媒として使用すると転換率が低い欠点であるり、従って、本発明は、スクロースシンターゼ及びステビオール配糖体の製造におけるその使用を提供する。本発明のスクロースシンターゼは、酵素活性が高く、安定性が良好であり;本発明は、ステビオシドを原料として使用し、グルコシルトランスフェラーゼ(GT)及びスクロースシンターゼ(SUS)を組み合わせてRD又はRMの合成を触媒して、カスケード反応を実現し;スクロースとUDPを使用してUDPGの再生を達成することも、スクロースとADPを使用してADPGの再生を達成することもでき、グリコシル供与体UDPG、ADPGのコストが高い問題を解決し、また、原材料の選択に複数の可能性を提供して、大規模な産業生産を実現するためにプロセス条件を最適化したより多くのオプションを提供し、産業生産に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第一態様はスクロースシンターゼを提供し、前記スクロースシンターゼのアミノ酸配列は配列番号11と比較して、下記から選択される1つ又は複数の残基位置でのアミノ酸残基の違いを含む。
第36位のアミノ酸がVであり;
第43位のアミノ酸がEであり;
第179位のアミノ酸がAであり;
第395位のアミノ酸がRであり;
第447位のアミノ酸がPであり:
第455位のアミノ酸がLであり;
第654位のアミノ酸がRであり;且つ、配列番号11のアミノ酸配列に示されるスクロースシンターゼ以上の活性を有している。
【0020】
最終結果がアミノ酸配列と配列番号11との間に上述の違いがあることを反映できる限り、前記違いは、配列番号11上で突然変異しても、他の配列上で突然変異してもよい。
【0021】
好ましくは、前記スクロースシンターゼのアミノ酸配列は配列番号11と比べて、その違いは下記の通りである:
第36位のアミノ酸がVであるか;或いは、
第43位のアミノ酸がEであるか;或いは、
第179位のアミノ酸がAであるか;或いは、
第395位のアミノ酸がRであるか;或いは、
第447位のアミノ酸がPであるか;或いは、
第455位のアミノ酸がLであるか;或いは、
第654位のアミノ酸がRである。
【0022】
本発明の第2態様は、本発明の第1態様に記載のスクロースシンターゼをコードする、単離された核酸を提供する。
【0023】
本発明の第3態様は、本発明の第2態様に記載の核酸を含む、組換え発現ベクターを提供する。
【0024】
本発明の第4態様は、本発明の第2態様に記載の核酸又は本発明の第3態様に記載の組換え発現ベクターを含む宿主細胞である、形質転換体を提供する。
【0025】
好ましくは、前記宿主細胞は、E.coli BL21(DE3)などの大腸菌(Escherichia coli)である。
【0026】
本発明の第5態様は、前記スクロースシンターゼの発現に適した条件下で本発明の第4態様に記載の形質転換体を培養することを含む、本発明の第1態様に記載のスクロースシンターゼの製造方法を提供する。
【0027】
本発明の第6態様は、本発明の第1態様に記載のスクロースシンターゼの1つ又は複数を含む、組成物を提供する。
【0028】
好ましくは、前記組成物は、配列番号9、10及び/又は11に示される配列の酵素を含む。
【0029】
本発明の第7態様は、下記のステップを含む、グリコシル供与体の製造方法を提供する。
【0030】
本発明の第1態様に記載のスクロースシンターゼの存在下で、スクロースとヌクレオシド二リン酸とを反応させて前記グリコシル供与体を得;前記ヌクレオシド二リン酸はUDP、dTDP、TDP、CDP、IDP、GDP又はADPであり、
好ましくは、前記グリコシル供与体の製造方法は下記の1つ又は複数の条件を満たす:
前記スクロースシンターゼはスクロースシンターゼ菌、粗酵素液、純酵素、純酵素液、又は固定化酵素の形態で存在し;
前記スクロースシンターゼ菌とスクロースの質量比は1:(20~200)であり、好ましくは3:200であり;
前記スクロースと前記ヌクレオシド二リン酸の質量比は100:0.5~300:0.1であり、好ましくは200:0.1であり;
前記スクロースの濃度は、好ましくは50~300g/Lであり、例えば200g/Lである。
【0031】
本発明の一つの好ましい実施形態において、上記スクロースシンターゼ菌の製造方法は下記の通りである:(1)点突然変異を含むスクロースシンターゼの遺伝子組換え菌をOD600が0.5~1.0、例えば約0.8に達するまで培養した場合、最終濃度が0.1~0.3mM、例えば0.1mMになるまでIPTGを加え、20~28℃、例えば25℃で、16~26時間、例えば20時間培養する。(2)培養終了後、培地を3000~5000rpm、例えば4000rpmで10~30分間、例えば20分間遠心分離し、上清を捨て、菌を収集する。さらに、収集した菌体をPBS(20~100mM、例えば50mM、pH5~7、例えば6.0)で1:5~20、例えば1:10(M/V、g/mL)で懸濁させた後、高圧ホモジナイザー(例えば、550Mbar、1.5分間のする)を使用し、ホモジナイズした酵素液を例えば12000rpmで2分間遠心分離し、上清を収集して前記スクロースシンターゼ菌を得る。
【0032】
本発明の第8態様は、本発明の第1態様に記載のスクロースシンターゼ、配列番号9、10及び配列番号11の中の1つ又は複数の存在下でレバウジオシドA、グリコシルトランスフェラーゼ、スクロース、及びヌクレオシド二リン酸を反応させてレバウジオシドDを得るステップを含むレバウジオシドDの製造方法を提供する。
【0033】
好ましくは:前記レバウジオシドDの製造方法は下記1つ又は複数の条件を満たす。
前記スクロースシンターゼはスクロースシンターゼ菌、粗酵素液、純酵素、純酵素液、固定化酵素の形態で存在し;
【0034】
前記糖転移酵素は糖転移酵素菌、粗酵素液、純酵素、純酵素液、固定化酵素の形態で存在し;
前記レバウジオシドAの濃度は1~150g/Lであり、好ましくは50g/L、60g/Lであり;
前記スクロースの濃度は、好ましくは、50~300g/Lであり、例えば、200g/Lであり;
前記スクロースシンターゼ菌とスクロースの質量比は、1:(20~200)であり、好ましくは3:200であり;
より好ましくは、前記スクロースシンターゼ菌と前記レバウジオシドAの質量比は、(0.1~2):1であり、例えば、0.24:1、0.3:1であり;
前記反応の反応溶媒は水であり、pHは5~8であり、好ましくは、6であり、前記pHは緩衝液で制御し、好ましくは、リン酸緩衝液であり;
前記反応時の回転速度は500~1000rpmであり、好ましくは600rpmであり;
前記反応の反応系の温度は20~90℃であり、好ましくは60℃である。
【0035】
好ましくは、前記グリコシル供与体とレバウジオシドAのモル比は1:1~5:1であり;
前記グリコシル供与体は本発明の第7態様に記載の製造方法で得られる。
【0036】
本発明の第9態様は、本発明の第8態様に記載の製造方法でレバウジオシドDを製造する工程を含むレバウジオシドMの製造方法を提供する。
【0037】
本発明の第10態様は、ステビオール配糖体の製造における、本発明の第1態様に記載のスクロースシンターゼ、配列番号9、10及び/又は配列番号11の1つ又は複数の使用を提供する。
【0038】
好ましくは、前記ステビオール配糖体は、レバウジオシドA、レバウジオシドD、又はレバウジオシドMである。
【0039】
本発明の積極的な進歩効果は次の通りである。
【0040】
本発明のスクロースシンターゼは、酵素活性が高く、安定性が良好であり;ステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドD又はレバウジオシドM)の製造に使用すると、親スクロースシンターゼと比較して触媒活性が大幅に向上し、転換率が大幅に向上し;本発明はステビオシドを原料として使用し、グルコシルトランスフェラーゼ(GT)とスクロースシンターゼ(SUS)を組み合わせてRD又はRMの合成を触媒し、カスケード反応を実現し;本発明のスクロースシンターゼはADP及びUDPを基質とすることができる、基質としてADPを用いた場合に最も活性が高く、即ち、本発明は、スクロースとUDPを用いてUDPGの再生を実現することができ、また、スクロースとADPを用いてADPGの再生を実現することもでき、グリコシル供与体UDPG、ADPGの価格が高い問題を解決し、原材料の選択に複数の可能性も提供し、大規模な産業生産を実現するためにプロセス条件を最適化したより多くのオプションを提供し、産業生産に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の1つの実施形態におけるステビオシドからレバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドMを製造する経路の模式図である。
【
図2】基質レバウジオシドA対照品のスペクトルであり、保持時間は14.186分である。
【
図3】生成物レバウジオシドD対照品のスペクトルであり、保持時間は11.821分である。
【
図4】生成物レバウジオシドM対照品のスペクトルであり、保持時間は12.316分である。
【
図5】表7の第二ラウンドのスクリーニングにおけるRD(基質:ADP、反応時間:30分)の合成を触媒する親酵素Enz.8の活性のHPLCチャートである。
【
図6】表7の第二ラウンドのスクリーニングにおけるRD(基質:ADP、反応時間:30分)の合成を触媒する親酵素Enz.11の活性のHPLCチャートである。
【
図7】表8のRMの合成(反応時間:7H)を触媒する親酵素Enz.8の活性のHPLCチャートである。
【
図8】表8のRMの合成(反応時間:7H)を触媒するEnz.11の活性のHPLCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明に不利な制限を意味するものではない。下記の実施例において具体的な条件を示していない実験方法は、一般的方法及び条件、又は商品の説明書に従って選択されるべきである。
【0043】
本発明における実験方法は、特に説明されていない限り、いずれも一般的な方法であり、具体的な遺伝子クローニング操作については、J.Sambrookら編「分子クローニング実験ガイド」を参照されたい。
【0044】
本発明におけるアミノ酸の略号は、特に説明されていない限りいずれも本技術分野における一般的なものであり、具体的に略号に対応するアミノ酸は表1に示された通りである。
【0045】
【0046】
前記アミノ酸の対応するコドンも本技術分野における一般的なものであり、具体的なアミノ酸とコドンとの対応関係は表2に示された通りである。
【0047】
【0048】
KOD Mix酵素はTOYOBO CO.,LTD.,から購入し、DpnI酵素はInvitrogen(上海)から購入し;E.coli Trans10コンピテントセルとE.coli BL21(DE3)コンピテントセルはGenviewから購入した。pGro7プラスミドは、Shanghai North Connaught bio technology CO,LTDから購入した。スクロースはSangon Biotech(上海)から購入した。RebA対照品はMcLeanから購入した。RebD及びRebM対照品はQingDao Siyuan Stevia International Trade Co., Ltdから購入した。
【0049】
転換率のHPLC検出法:クロマトグラフィーカラム:ZORBAXEclipse plus C18(4.6mm×150mm、3.5um)。移動相:0.1%のTFA水溶液を移動相Aとし、0.1%のTFAアセトニトリル溶液を移動相Bとし、下記の表3に従って勾配溶出を実行した。検出波長:210nm、流速:1ml/分、注入量:20μl、カラム温度:35℃。
図2に示されるように、RebAのピーク時間:14.186分であり、
図3に示されるように、RebDのピーク時間:11.821分である。
図4に示されるように、RebMのピーク時間:12.316分である。
【0050】
【実施例】
【0051】
実施例1:第一ラウンドのスクロースシンターゼの製造
表4の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8に示される、番号がEnz.1、Enz.2、Enz.3、Enz.4、Enz.5、Enz.6、Enz.7、Enz.8のスクロースシンターゼ酵素遺伝子の完全な遺伝子を合成し、pET28aプラスミドベクター(酵素切断部位:NdeI、HindIII)をそれぞれ挿入して、組換えプラスミドpET28a-Enz.1、pET28a-Enz.2、pET28a-Enz.3、pET28a-Enz.4、pET28a-Enz.5、pET28a-Enz.6、pET28a-Enz.7、pET28a-Enz.8を得、配列決定により、遺伝子が対応するベクターに正常にライゲーションされたことが確認された。遺伝子合成会社はSangon Biotech(上海)(No.698, Xiangmin Road,Songjiang District,Shanghai,China)であった。
【0052】
それぞれの組換えプラスミドpET28a-Enz.1、pET28a-Enz.2、pET28a-Enz.3、pET28a-Enz.4、pET28a-Enz.5、pET28a-Enz.6、pET28a-Enz.7、pET28a-Enz.8とpGro7プラスミド(当該プラスミドは、シャペロンタンパク質を発現し、標的タンパク質の溶解度を高めることができる)とを宿主E.coli BL21(DE3)コンピテントセルに同時形質転換させて、各スクロースシンターゼ遺伝子を含む改変株を得た。スクロースシンターゼ遺伝子を含む改変株をそれぞれプレート上に画線して活性化させた後、シングルコロニーを選択して50μg/mlのカナマイシンと25μg/mlのクロラムフェニコールを含む5mlのLB液体培地に植菌し、37℃で4時間振とうしながら培養した。同じように50μg/mlのカナマイシンと25μg/mlのクロラムフェニコールを含む新鮮なTB液体培地50mlに2%(v/v)の接種量で移し、OD600が約0.8に達するまで振とうしながら37℃で培養し、IPTGを最終濃度が0.1mMになるまで加え、25℃で20時間誘導培養した。培養終了後、培地を4000rpmで20分間遠心分離し、上清を捨て、菌を収集した。後で使用するために-20℃で保管した。
【0053】
収集した菌をPBS(50mM、pH6.0)に1:10(M/V、g/mL)で懸濁させ、高圧ホモジナイザーを用いてホモジナイズさせ(550Mbarで1.5分間)、ホモジナイズさせた酵素溶液を12000rpmで2分間遠心分離し、上清を採取してスクロースシンターゼ反応酵素溶液を得た。
【0054】
【0055】
実施例2:β-1,2-グリコシルトランスフェラーゼの製造
ヌクレオチド配列番号12に示されるβ-1,2-グリコシルトランスフェラーゼ(酵素番号:Enz.9、当業者であれば配列番号12に示されるヌクレオチド配列に基づいて当該酵素のアミノ酸配列を得ることができる)遺伝子に従って、完全なβ-1,2-グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子セットを合成し、当該遺伝子をpET28aプラスミドベクターとライゲーションさせて、組換えプラスミドpET28a-1,2GTを得た。遺伝子合成会社:Sangon Biotech(上海)。
【0056】
プラスミドpET28a-1,2GTを宿主E.coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、β-1,2-グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む改変株を得た。
【0057】
β-1,2-グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む改変株をプレート上に画線により活性化させた後、シングルコロニーを選択して50μg/mlのカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に植菌し、37℃で12時間振とうしながら培養した。同じように50μg/mlのカナマイシンを含む新鮮なLB液体培地50mlに2%(v/v)の接種量で移し、OD600が0.6~0.8に達するまで振とうしながら37℃で培養し、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度が0.1mMになるまで加え、24℃で22時間誘導培養した。培養終了後、培地を10000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、菌を収集し、使用するまで-20℃の超低温冷蔵庫で保管した。
【0058】
50mM、pH6.0リン酸緩衝液(PBS)を製造し、収集した菌を1:10(M/V、g/mL)で懸濁させ、次に、高圧ホモジナイズさせ(550~600Mbar、1分間)、12000rpmで2分間遠心分離し、上清を採取してβ-1,2-グリコシルトランスフェラーゼの粗酵素液を得た。
【0059】
実施例3:第一ラウンドのスクロースシンターゼのスクリーニング
Reb A(含有量:96%)を基質(Bidepharmから購入)として使用し、β-1,2-グリコシルトランスフェラーゼの反応酵素液150μLを1mL反応系に加え、Reb Aの最終濃度は50g/Lであり、ADP又はUDPの最終濃度は0.1g/Lであり、スクロースの最終濃度は200g/Lであり、スクロースシンターゼ反応酵素溶液は30μLであり、最後に最終の体積が1mLになるまで50mMのpH6.0リン酸緩衝液を加えた。製造した反応系を金属バスに入れ、60℃、600rpmで1時間反応させ、次に、反応液10μLを取って、pH2.0の塩酸190μLを加えてボルテックスした後、更に800μLの脱イオン水を加えて混合し、13000rpmで10分間遠心分離し、上清を採取し、HPLCでReb Dの濃度を分析した(詳細については、表5のRD%を参照できる)。
【0060】
【0061】
表5の結果は下記のことを示している:ADPをスクロースシンターゼの触媒基質として使用した場合、Enz.8の酵素活性が最も高く、次はEnz.5、Enz.3であり;UDPをスクロースシンターゼの触媒基質として使用した場合、Enz.3の酵素活性が最も高く、次はEnz.5、Enz.8であり、且つ、ADPを使用したEnz.3、Enz.5、Enz.8の活性はいずれもUDPを使用したものより高く、ADPを使用した場合のEnz.8が最も効果的であった。従って、次のラウンドでは、ADPをスクロースシンターゼの基質として使用し、Enz.8に基づいて突然変異とスクリーニングを実行した。
【0062】
実施例4:第二ラウンドのスクロースシンターゼ突然変異体の製造
組換えプラスミドpET28a-Enz.8を鋳型として使用し、表6に示されるプライマー配列を使用し、Enz.X-F/Km-R及びKm-F/Enz.X-Rをそれぞれプライマー(ここで、Enz.Xは:Enz.10、Enz.11、Enz.12、Enz.13、Enz.14、Enz.15、Enz.16である)として使用し、KOD酵素を使用してPCRを実行し、標的DNAフラグメントとベクターフラグメントを増幅させた。
【0063】
【0064】
PCR増幅反応系は下記の通りである:
KOD Mix:25μL
ddH2O:20μL
プライマー:2μL×2
鋳型:1μL。
PCRプログラム:
(1)98℃で3分
(2)98℃で10s
(3)55℃で5s
(4)68℃で5s/kbp
(5)68℃で5分
(6)12℃で保温
(2)~(4)を34回繰り返した。
【0065】
PCR産物をDpnIで消化させ、ゲル電気泳動とゲル回収を実行して標的DNAフラグメントを得た。ヴァザイムから購入した2つのフラグメント相同リコンビナーゼ(Exnase II)を介して組み換えライゲーションを実行し、ライゲーション後、E.coli Trans10コンピテントセルに形質転換させ、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地に散布し、37℃で一晩培養し;シングルコロニーをLB試験管(Km耐性)に採取し、8~10時間培養し、プラスミドを抽出して配列決定及び同定を実行して、突然変異遺伝子を含む組換えプラスミドを得た。
【0066】
配列決定が正確な組換えプラスミドを宿主E.coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、点突然変異を含むスクロースシンターゼ遺伝子改変株を得た。スクロースシンターゼ遺伝子改変株をプレート上に画線活性化させた後、シングルコロニーを採取し、50μg/mlのカナマイシンを含むLB液体培地5mlに植菌し、37℃で4時間振とうしながら培養した。同じように50μg/mlのカナマイシンを含む新鮮なTB液体培地50mlに2%(v/v)の接種量で移し、OD600が約0.8に達するまで振とうしながら37℃で培養し、IPTGを最終濃度が0.1mMになるまで加え、25℃で20時間誘導培養した。培養終了後、培地を4000rpmで20分間遠心分離し、上清を捨て、菌を収集した。使用するまで-20℃で保管した。
【0067】
収集した菌をPBS(50mM、pH6.0)を使用して1:10(M/V、g/mL)で懸濁させた後、高圧ホモジナイザーを用いて高圧ホモジナイズさせ(550Mbar、1.5分間)、ホモジナイズさせた酵素液を12000rpmで2分間遠心分離し、上清を採取して反応酵素液を得た。
【0068】
実施例5:第二ラウンドのスクロースシンターゼ突然変異体のスクリーニング
Reb A(含有量:96%)を基質として使用し、β-1,2-グリコシルトランスフェラーゼの反応酵素液150μLを1mLの反応系に加え、Reb Aの最終濃度は50g/Lであり、ADPの最終濃度は0.1g/Lであり、スクロースの最終濃度は200g/Lであり、スクロースシンターゼ反応酵素溶液は30μLであり、最後に最終の体積が1mLになるまで50mMのpH6.0リン酸緩衝液を加えた。製造した反応系を金属バスに入れ、60℃、600rpmで30分間反応させた後、それぞれ反応液10μLを取って、pH2.0の塩酸190μLに加えてボルテックスし、更に800μLの脱イオン水を加え、均一に混合し、13000rpmで10分間遠心分離し、上清を採取し、HPLCでRebDの濃度(RD%)を分析した;分析結果は表7に示された通りである。
【0069】
【0070】
結果は下記のことを示している:反応の最初の30分以内では、Enz.11の反応性が最も高く、それは親酵素Enz.8より10%高く、次はEnz.16、Enz.14、Enz.13であり、それらの反応活性は親酵素Enz.8より5%~10%増加した。
【0071】
図5のAは、表7の第二ラウンドのスクリーニングにおけるRD(基質:ADP、30分)の合成を触媒する親酵素Enz.8の活性のHPLCチャートを示し、
図5のBはAのピークイメージの情報である。
【0072】
図6のAは、表7の第二ラウンドのスクリーニングにおけるRD(基質:ADP、30分)の合成を触媒する親酵素Enz.11の活性のHPLCチャートを示し、
図6のBはAのピークイメージの情報である。
【0073】
実施例6:β-1,3-グリコシルトランスフェラーゼEnz.17の製造
ヌクレオチド配列番号29に示されるβ-1,3-グリコシルトランスフェラーゼ(酵素番号:Enz.17、当業者であれば配列番号29に示されるヌクレオチド配列に基づいて当該酵素のアミノ酸配列を得ることができる)の遺伝子に従って、完全なβ-1,3-グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子セットを合成し、当該遺伝子をpET28aプラスミドベクターとライゲーションさせて、組換えプラスミドpET28a-Enz.17を得た。遺伝子合成会社:Sangon Biotech(上海)
【0074】
プラスミドpET28a-Enz.17を宿主E.coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、1,3-グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む改変株を得た。
【0075】
1,3-グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む改変株をプレート上に画線により活性化させた後、シングルコロニーを選択して50μg/mlのカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に植菌し、37℃で12時間振とうしながら培養した。同じように50μg/mlのカナマイシンを含む新鮮なLB液体培地50mlに2v/v%の接種量で移し、OD600が0.6~0.8に達するまで振とうしながら37℃で培養し、IPTGを最終濃度が0.1mMになるまで加え、24℃で22時間誘導培養した。培養終了後、培地を10000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、菌を収集し、使用するまで-20℃の超低温冷蔵庫で保管した。
【0076】
50mM、pH6.0リン酸緩衝液(PBS)を製造し、収集した菌を1:10(M/V、g/mL)で懸濁させた後、高圧ホモジナイズさせ(550Mbar、1分間)、12000rpmで2分間遠心分離し、上清を採取して1,3-グリコシルトランスフェラーゼの反応酵素液を得た。
【0077】
実施例7:RM合成反応
Reb A60(Reb A含有量:96%、ステビオシド含有量:約30%、Chenguang Biotech、製品仕様:TSG90/RA60)を基質として使用し、β-1,2-グリコシルトランスフェラーゼの反応酵素液120μL、スクロースシンターゼ反応酵素液30μL、1,3-グリコシルトランスフェラーゼ150μLを1mL反応系に加え、RA60の最終濃度は100g/Lであり、ADPの最終濃度は0.1g/Lであり、スクロースの最終濃度は200g/Lであり、最後に最終の体積が1mLになるまで50mMのpH6.0リン酸緩衝液を加えた。製造した反応系を金属バスに入れ、60℃、600rpmで反応させた後、それぞれ4h、7h、一晩後反応液10μLを取って、pH2.0の塩酸190μLを加えてボルテックスし、更に800μLの脱イオン水を加え、均一に混合し、13000rpmで10分間遠心分離し、上清を採取し、HPLCでReb A、中間生成物Reb D及びReb Mの濃度(RA%、RD%、RM%)を分析し、分析結果は表8に示された通りであり(ここで、RA%、RD%、RM%はそれぞれ反応後の反応液における基質、中間体及び生成物の濃度を表す)、当該実施例の反応ルートは
図1に示された通りである。
【0078】
【0079】
結果:4時間、7時間、及び一晩反応して:Enz.14の反応効果(RM%)が最も優れ、次はEnz.11であり、すべてEnz.8より優れていることが分かった。
【0080】
図7のAは、表8におけるRM(7H反応)の合成を触媒する親酵素Enz.8の活性のHPLCチャートを示し、
図7のBはAのピークイメージの情報である。
【0081】
図8のAは、表8におけるRM(7H反応)の合成を触媒する親酵素Enz.11の活性のHPLCチャートを示し、
図8のBはAのピークイメージの情報である。
【配列表】
【国際調査報告】