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特表2024-528745運転挙動を検出するための方法および自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法ならびに装置
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  • 特表-運転挙動を検出するための方法および自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法ならびに装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-31
(54)【発明の名称】運転挙動を検出するための方法および自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法ならびに装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/06 20060101AFI20240724BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240724BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20240724BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B60W50/06
B60W60/00
B60W40/09
G08G1/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575508
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2022060372
(87)【国際公開番号】W WO2022258249
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021002909.7
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペトロヴィッチ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ペラウアー セドリック
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241BA51
3D241DD05Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
本発明は、車両(2)の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法に関する。本発明によれば、車両(2)の手動運転中に運転者からの操作コマンド(SB)および車両(2)の手動運転軌道(r)が記録される。第1の演算パス(R1)において、仮に自動運転システムが作動していたとすれば、手動運転軌道(r)上において車両(2)のそれぞれの現在の実際位置で、自動運転システムがどの自動操作コマンドを生成したかが検出される。第2の演算パス(R2)では、自動運転システムが作動している場合に車両(2)が走行したであろう軌道(β、β’、β~β)がシミュレートされる。記録された運転者からの操作コマンド(SB)、自動操作コマンド、手動運転軌道(r)、および/またはシミュレートされた軌道(β、β’、β~β)に応じて、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間の不一致の尺度として、少なくとも一つの採点値(SW1~SW4)が検出される。さらに、本発明は、車両群の車両(2)の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法および装置(12)にも関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法において、
前記車両(2)の手動運転中に、
-前記運転者からの操作コマンド(SB)および前記車両(2)の手動運転軌道(r)が記録され、
-第1の演算パス(R1)において、仮に前記自動運転システムが作動していたとすれば、前記手動運転軌道(r)上において前記車両(2)のそれぞれの現在の実際位置で、前記自動運転システムがどの自動操作コマンドを生成したかが検出され、
-第2の演算パス(R2)では、前記自動運転システムが作動している場合に前記車両(2)が走行したであろう軌道(β、β’、β~β)がシミュレートされ、
-前記記録された前記運転者からの操作コマンド(SB)、前記自動操作コマンド、前記手動運転軌道(r)、および/または前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)に応じて、前記運転者の前記運転挙動と前記自動運転システムの前記運転挙動との間の不一致の尺度として、少なくとも一つの採点値(SW1~SW4)が検出される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記記録された前記運転者からの操作コマンド(SB)と前記自動操作コマンドとの間の偏差に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記手動運転軌道(r)と前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)との間の偏差に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記手動運転軌道(r)と前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)との間の前記偏差が所定の閾値(ζ)に達するまでに、前記車両(2)が走行できる時間間隔または距離に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記手動運転軌道(r)と前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)との間の前記偏差は、少なくとも1つの目的関数(Ψ)に基づいて検出される
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記自動運転システムが、前記手動運転軌道(r)に少なくともほぼ一致する軌道(β、β’、β~β)を、より早い時点(t,t,t)で目標軌道として特定していたであろう確率に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
車両群の車両(2)の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法において、
-前記車両群の複数の車両(2)の採点値(SW1~SW4)が収集され、前記採点値(SW1~SW4)は前記車両(2)によって検出され、各々の前記採点値は前記車両(2)のそれぞれの位置において前記車両(2)の運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間の不一致の尺度を示すものであり、
-前記収集された採点値(SW1~SW4)は統計的に評価され、前記統計的評価では、前記運転者の前記運転挙動と前記自動運転システムの前記運転挙動との間で統計的に関連のある不一致が頻繁に発生している位置が検出され、
-検出された、統計的に関連のある不一致の頻度に基づいて、前記自動運転システムの前記制御アルゴリズムのパラメータ(P)が前記不一致を軽減するために適合され、
-前記適合されたパラメータ(P)が前記車両群の前記車両(2)に提供される
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
それぞれの採点値(SW1~SW4)は、請求項1~6のいずれか一項に記載の、車両(2)の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法において検出される
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法を実行するために構成されている装置(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、車両群の車両の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法にも関する。
【0003】
さらに、本発明は、車両群の車両の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための装置にも関する。
【背景技術】
【0004】
独国特許出願公開第102015218361号明細書から、車両を前後方向と左右方向とに自律的に操縦することを目的とした車両機能を検証するための方法が公知である。この方法は、
-車両の周囲に関するデータに基づいて、車両のアクチュエータに対する車両機能の試験制御指示を検出する工程と、
-車両の運転者が、試験制御指示とは異なる実際の制御指示を行い、その制御指示がアクチュエータによって実際に実行されていることを検出する工程と、
-仮に、実際の制御指示の代わりに、周囲に関するデータに基づいて試験制御指示が実行された場合、想定される架空の交通状況をシミュレートする工程と、
-架空の交通状況が、車両の周囲にいる道路利用者にとって、または車両にとって、関連のある事象となるかどうかを特定する工程と、
-架空の交通状況が、車両の周囲にいる道路利用者にとって、または車両にとって、関連のある事象になることが特定された場合、架空の交通状況に関する試験データを準備する工程と
を含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車両の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための新しい方法を提供するという目的に基づいている。さらに、本発明は、車両群の車両の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための新しい方法を提供するという目的にも基づいている。さらに、本発明は、車両群の車両の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための新しい装置を提供するという目的にも基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する、運転挙動を検出するための方法によって、請求項7に記載の特徴を有する、自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法によって、また請求項9に記載の特徴を有する、自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための装置によって、解決される。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明による、車両の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法では、車両の手動運転中に、運転者からの操作コマンドおよび車両の手動運転軌道が記録される。第1の演算パスにおいて、仮に自動運転システムが作動していたとすれば、手動運転軌道上において車両のそれぞれの現在の実際位置で、自動運転システムがどの自動操作コマンドを生成したかが検出される。第2の演算パスでは、自動運転システムが作動している場合に車両が走行したであろう軌道がシミュレートされる。記録された運転者からの操作コマンド、自動操作コマンド、手動運転軌道、および/またはシミュレートされた軌道に応じて、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間の不一致の尺度として、採点値が検出される。
【0009】
一般に、自動運転車、特に高度自動運転車、または自律運転車の開発では、いわゆる模倣プロセスによって自動運転システムを最適化するアプローチが知られている。この場合、運転者の運転スタイルが理想的なものとして仮定され、運転者の挙動を記録することによって、挙動アルゴリズムが学習される。その目的は運転者の運転挙動を模倣することである。次世代の自動運転システムにおいては、運転システムの性能が、安全な平均的運転者の能力を上回るであろう。本方法を用いることにより、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間で上記のようにして生じる不一致を、確実かつ正確に特定することができる。
【0010】
このとき、自動運転システムの異なる機能範囲、例えばエントリーレベルのバリエーションとすべての機能範囲を持つバリエーションとを区別することができる。従って、さまざまな機能範囲を持つ自動運転システムの運転挙動と運転者の運転挙動との間に高い相関関係が形成され得る。運転挙動をメトリクスで計算する本方法により、運転者の運転挙動に関する分類を作成することが可能になる。この場合、自動運転システムの性能と運転者の能力とを区別する記録を作成することができ、この記録により、特に運転状況ごとに、不一致の計算が可能になる。この計算された不一致は、運転者についての概要を生成するために使用することができる。
【0011】
運転者と自動運転システムとのそれぞれの運転挙動間の不一致の正確な計算および特定は、以下の用途に必要である。例えば、運転者が自動運転システムの縮小された基本バージョンもしくはエントリーレベルのバリエーションしか使用していない場合、どの運転状況において、運転者が完全な運転システム、すなわちより広い機能範囲の備わった運転システムを利用できたかを計算することができる。同様に、どの交通状況において、またはどの走行区間において、運転システムがより安全に、または同等に運転できたかを示し、それによって自動運転システムへの信頼性を高めることも可能である。さらに、運転者の能力に関する情報は、いわゆる安全支援システムをそれぞれの運転者に合わせて最適化するために使用することができる。運転者とシステムとの能力に関する完全な情報は蓄積され、採点システムに利用することができる。
【0012】
本方法の考えられる形態では、採点値が、記録された運転者からの操作コマンドと自動操作コマンドとの間の偏差に応じて検出される。このことにより、採点値の簡単かつ確実な検出が可能になる。
【0013】
本方法のさらに考えられる形態では、採点値が手動運転軌道とシミュレートされた軌道との間の偏差に応じて検出される。このことによっても、採点値の簡単かつ確実な検出が可能になる。
【0014】
本方法のさらに考えられる実施形態において、採点値は、手動運転軌道とシミュレートされた軌道との間の偏差が所定の閾値に達するまで、車両が走行できる時間間隔または距離に応じて検出される。このことによっても、採点値の簡単かつ確実な検出が可能になり、手動運転軌道とシミュレートされた軌道との間の偏差の時点および/または位置が検出されることで、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間で統計的に関連のある不一致が頻繁に発生している位置を検出することができる。
【0015】
本方法のさらに考えられる形態では、手動運転軌道とシミュレートされた軌道との間の偏差が、少なくとも1つの目的関数に基づいて検出される。この場合、さまざまな目的関数を個別に、または組み合わせて使用することができ、それらの目的関数は、例えば、2乗誤差、絶対誤差、速度加重絶対誤差、累積速度加重絶対誤差、量子化分類誤差および/または閾値処理相対誤差を考慮する。少なくとも1つの目的関数によって、偏差およびその結果としての採点値を、簡単かつ確実に検出することができ、その際、それぞれの目的関数は、拡張によって簡単にタスクの複雑性に適合することが可能である。
【0016】
本方法のさらに考えられる形態において、採点値は、自動運転システムが、手動運転軌道に少なくともほぼ一致する軌道を、より早い時点で目標軌道として特定していたであろう確率に応じて検出される。このことによっても、採点値の簡単かつ確実な検出が可能になる。
【0017】
本方法のさらに考えられる形態では、採点値が、前述した形態の一つによりそれぞれ検出された複数の採点値の合計、例えば加重合計に基づいて合計された採点値として検出される。この合計された採点値は、特に、運転者の運転スタイルが自動運転システムの運転スタイルからどれだけ逸脱しているかを示すものである。この情報は、運転者の現在の運転能力を検出するため、特に、運転者が集中していない、および/または危険な運転をしていないかどうかを検出するために用いることができる。このことにより、必要に応じて運転者の運転能力の低下に車両のアクティブセーフティシステムを適合させることが可能になる。自動運転システムが運転者自身よりも現在の運転タスクをより上手くこなせるという理由で、自動運転システムの作動を運転者に提案することもできる。
【0018】
本発明による、車両群の車両の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法では、車両群の複数の車両の採点値が収集される。採点値は、車両によって検出され、車両のそれぞれの位置において車両の運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間の不一致の尺度をそれぞれ示すものである。収集された採点値は統計的に評価され、この統計的評価では、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間で統計的に関連のある不一致が頻繁に発生している位置が検出される。検出された、統計的に関連のある不一致の頻度に基づいて、自動運転システムの制御アルゴリズムのパラメータが不一致を軽減するために適合され、適合されたパラメータが車両群の車両に提供される。このことにより、自動運転システムの制御アルゴリズムの簡単かつ確実な適合が可能になり、それによって、自動運転システムの性能および信頼性を向上させることができる。
【0019】
自動運転システムの制御アルゴリズムを適合するための本方法の考えられる形態では、それぞれの採点値が、車両の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための上述の方法において、または本方法の考えられる形態において検出される結果、採点値の検出が特に簡単かつ確実なものとなる。
【0020】
以下では、本発明の例示的な実施形態を、図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】車両の自動運転のための装置の例示的な実施形態の概略的ブロック図である。
図2】車両の自動運転のための装置のさらなる実施形態の概略的ブロック図である。
図3】車両の自動運転のための装置のさらなる実施形態の概略的ブロック図である。
図4】車両の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための装置の概略的ブロック図である。
図5】交通状況を上から見た概略図である。
図6】手動運転中の車両の実際の軌道と、この運転中にシミュレートされた軌道とを概略的に示した図である。
図7】手動運転中の車両の実際の軌道と、この運転中にシミュレートされた複数の軌道とを概略的に示した図である。
図8】手動運転中の車両の実際の軌道と、この運転中にシミュレートされた複数の軌道とを概略的に示した図である。
図9】車両の実際の軌道に対する確率の再シミュレーションを概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いずれの図においても、相互に対応する部分には、同一の参照符号を付している。
【0023】
図1には、図5に示されている車両2の自動運転、特に高度自動運転または自律運転のための装置1の考えられる例示的な実施形態のブロック図が示されている。
【0024】
ここで、車両2は、自動運転のための完全なハードウェアを備えており、このハードウェアの性能は、ソフトウェア側で、さまざまな拡張レベルに制限されていてよい。それは、少なくとも2つの拡張レベル、例えば基本拡張レベルと高度拡張レベルとに制限され得る。ここで、これらの拡張レベルには、異なる性能があらかじめ定義されており、この性能はさまざまな使用事例、いわゆるユースケースの制御力によって区別される。
【0025】
装置1は、周囲を記録するために構成された複数のセンサ3.1~3.xと、いわゆる制御装置レベルで構成された少なくとも2つの演算器4、5とを備え、各演算器4、5はそれぞれもう一方の演算器4、5に対して冗長性を形成する。さらに、装置1は、コンパレータ6およびアクチュエータ7.1~7.zを備えている。
【0026】
センサ3.1~3.xは、車両周囲を検知するために設けられている。
【0027】
演算器4、5は、複数の考えられる軌道β、β’(図5に示す)を持つ軌道ツリーを検出かつ生成するために互いに独立して構成されており、最適化アルゴリズムを用いて目標軌道を軌道ツリーから選択する。さらに、演算器4、5は、選択された目標軌道に沿ってセンサ3.1~3.xにより記録されたセンサデータに基づき、自動運転で車両2を制御するための運転コマンドを検出かつ生成するために互いに独立して構成されており、冗長性の形成によって、車両2、特に高度な自動化レベルを持つ車両2の自動運転のために規定された安全要件の実現を可能にする。ここで、演算器4、5はそれぞれ演算パスR1、R2内にある。
【0028】
アクチュエータ7.1~7.zは、演算器4、5によって生成された運転コマンドを実行するために構成されている。
【0029】
ここで、演算器4、5は、すべてのセンサ3.1~3.xに連結されており、コンパレータ6は両方の演算器4、5に連結されている。従って、センサデータから両方の演算器4、5によって計算された運転コマンドをコンパレータ6に提供して、演算器4、5で重複して実行された計算を比較することができる。この場合、コンパレータ6は、一般に知られている安全アルゴリズムを使用して、入力データから安全な運転コマンドまたは安全な制御信号を特定し、それらをアクチュエータ7.1~7.zに送信する。ここで、コンパレータ6は、ハードウェアとは無関係に、例えばASIL-D(ASIL=Automotive Safety Integrity Level、自動車安全水準)の規格ISO26262に従って構成されている。
【0030】
図2は、車両2の自動運転のための装置1のさらに考えられる例示的な実施形態のブロック図を示している。
【0031】
図1に示した例示的な実施形態とは異なり、演算器4、5およびコンパレータ6は、共通の制御装置8の中に構成されており、チップレベルで互いに独立した少なくとも2つが重複して作動する演算コア、例えば別個の半導体、プロセッサ、システムオンチップ等から形成されている。
【0032】
図3には、車両2の自動運転のための装置1のさらに考えられる実施形態のブロック図が示されている。
【0033】
図2に示されている例示的な実施形態とは異なり、共通の制御装置8内の演算器4、5は、冗長マルチコアアーキテクチャとしての共通の演算コア9上に、センサデータを受信して演算器4、5に出力する共通の入出力10と、インターファブリックとも呼ばれる通信ユニット11と共に、システムオンチップとして構成されている。
【0034】
ここで、各演算器4、5は、特にCPU4.1、5.1、GPU4.2、5.2、NPU4.3、5.3およびメモリ4.4、5.4をそれぞれ1つ備えている。
【0035】
車両2の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法を実行するために、装置1に設けられている冗長性が使用され、これは以下のステップに従って変更される。ここで、これらのステップは、装置1の前述の実施形態およびその他の適合する例示的な実施形態のすべてに対して有効である。
【0036】
ここで、本方法の目的は、車両2の自動運転のための装置1を使って、運転タスクに関連する運転者の能力を検出し、定量化することである。
【0037】
図4は、車両2の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための装置12のブロック図を示しており、この装置12は、図1~3による車両2の自動運転のための装置1を備えている。
【0038】
ここで、装置12は、運転者によって車両2の手動運転が実行されている間も、装置1によって実行される支援システム(基本拡張レベル)または高度自動化システム(高度拡張レベル)が、アクチュエータ7.1~7.zの制御とは完全に別にバックグラウンドで実行されるように構成されている。すなわち、すべてのセンサ3.1~3.x、およびその他のハードウェア、ならびにソフトウェアアルゴリズムは、あたかもそれらが自動運転で車両2を制御しているかのように実行される。但し、制御そのものは実行されない。正確に言えば、駆動装置およびアクチュエータ7.1~7.zは、装置1によってではなく、運転者によって制御される。従って、そのようなバックグラウンドモードまたはパッシブモードでは、車両2が運転者によって制御されており、運転者は、操舵システム、ペダル、および必要に応じてその他の入力手段を介して、操作コマンドをアクチュエータ7.1~7.z及び駆動装置に伝達する。多くのシナリオにおいて、運転者の運転スタイルは装置1の運転スタイルとは異なっているであろう。
【0039】
ここで、装置1は、パッシブモードにおいて、第1の演算パスR1内の第1の演算器4を使って、信号形成S1において操作および操舵コマンド、ならびに図5に詳しく図示されている軌道β、β’をリアルタイムで計算する。そのための入力信号は、センサ3.1~3.x、例えばレーダセンサ、ライダセンサ、カメラ、慣性測定ユニット、測位システム等が提供する。ここで、装置1は、リアルタイムで自身の位置を決定し、車両2の操舵、制動および駆動のための操作コマンド、ならびに計画された軌道β、β’を計算する。
【0040】
すなわち、第1の演算パスR1において、仮に自動運転システムが作動していたとすれば、図5に詳しく図示されている手動運転軌道r上において車両2のそれぞれの現在の実際位置で、自動運転システムがどの自動操作コマンドを生成したかが検出される。
【0041】
信号形成S1の結果は、コンパレータ6に転送される。これは、恒久的初期化に従って、最初からすべての時間ステップにおいて行われる。
【0042】
パッシブモードの結果、システムが計画された軌道β、β’を走行できないことから、運転者が実際に運転した位置と、システムが予測した位置との間に差が生じる。この誤差は時間の経過とともに積み重なり、システムの誤動作につながるおそれがある。この理由から、システムは、すべての時間ステップで、第1の演算パスR1においてリアルタイム情報を修正し、新たに生成した操作コマンドを実際に走行した状況に従って適合する。
【0043】
パッシブモードで冗長性は不要であるという理由から、第2の演算器5は、第2の演算パスR2において、車両2が出発点から開始して、運転者の軌道ではなく、第1の演算パスR1で検出された軌道β、β’をあたかも走行したかのように、車両2の軌道β、β’をシミュレーションモードS2でシミュレートするために使用される。シミュレーション結果は、同様にコンパレータ6に転送される。
【0044】
つまり、第2の演算パスR2では、自動運転システムが作動している場合に車両2が進んだであろう軌道β、β’がシミュレートされる。
【0045】
実際に走行した軌道rと第1の演算パスR1で検出された軌道β、β’との間の偏差から得られる累積誤差は、シミュレートされた入力によって閾値まで補正され、続いて運転者の能力と比較される。
【0046】
コンパレータ6内では、アルゴリズムが運転者の採点値SW1~SW4を計算し、その結果を両方の演算器4、5に戻す。採点値SW1~SW4の計算S3は、記録された運転者からの操作コマンドSBおよびナビゲーションデータNDと、自動操作コマンドと、手動運転された軌道rと、シミュレートされた軌道β、β’とに応じて行われ、このとき、採点値SW1~SW4は、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間の不一致の尺度を示す。つまり、特に、実施された手動操作コマンドと実施されていない自動操作コマンド、ならびに走行した軌道rとシミュレートされた軌道β、β’とが評価され、これにより、同じ環境において自動運転した場合に生じるであろう運転挙動から、運転者の運転挙動がどの程度逸脱しているかを検出する。
【0047】
さらに、コンパレータ6を使って検出された採点値SW1~SW4はバックエンド13に転送される。このバックエンド13において、車両群の多数の車両2の採点値SW1~SW5が収集され、このとき、採点値SW1~SW4は、特に前述の説明に従って、車両2によって検出される。さらに、収集された採点値SW1~SW4は統計的に評価され、この統計的評価では、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間で統計的に関連のある不一致が頻繁に発生している位置が検出される。次に、検出された、統計的に関連のある不一致の頻度に基づいて、自動運転システムの制御アルゴリズムのパラメータPが不一致を軽減するために適合され、その適合されたパラメータPが車両群の車両2に提供される。
【0048】
図5には、車両2が障害物14に接近している交通状況を上から見た様子が図示されている。
【0049】
このとき、車両2は、図3の説明に従って、運転者によって手動運転で制御され、軌道rに沿って実際に走行している。
【0050】
同時に、装置12により、図3による説明と同様に、基本拡張レベルにおける軌道β’と、高度に自動化されたシステムとしての高度拡張レベルにおける軌道βとが計算され、ここで、高度に自動化されたシステムは、基本拡張レベルのシステムよりも複雑な操縦を実行することができる。
【0051】
図6は、車両2が同車両の手動運転中に実際に走行した軌道rと、その運転中に異なる時点t~tでシミュレートされた軌道βとを示している。
【0052】
第1の採点値SW1を特定するために、第1の演算パスR1内で第1の演算器4は、第1の時点tにおいて、この時点tにおける現在の実際の車両位置から出発する軌道βを目標軌道として検出する。軌道rは、未来にあり、情報として使用できない。さらに、演算器4は、車両2が軌道βに沿って移動するとした場合に、現在の地齋の車両位置でアクチュエータ7.1~7.zのために生成する必要のある操作コマンドを検出する。
【0053】
次に、車両の実際位置で運転者によって生成された手動操作コマンドSBと、第1の演算器4によって同じ位置で生成された自動操作コマンドとの間の偏差が検出される。これにより、運転者が実際の車両位置で行うことと、第1の演算器4が実際の車両位置で行うであろうこととの間の偏差が検出される。
【0054】
この偏差は、もっとも単純なケースでは、引き算で検出することができる。偏差の値が複数ある場合、平均化によって平均偏差を検出することができる。例えば、車両2の前後方向の動きのための操作コマンド間の偏差、および車両2の左右方向の動きのための操作コマンド間の偏差を、平均化の際に異なって重み付けすること、特に速度に応じて重み付けすることが可能である。このとき、平均化は、算術平均または二次平均の形成を含むことができる。
【0055】
検出された偏差に対して、第1の採点値SW1が、例えば所定のルックアップテーブルを用いて検出される。この第1の採点値SW1は、検出された偏差が大きいほど大きくなる。
【0056】
従って、第1の採点値SW1は、仮に自動運転システムが作動している場合に、このシステムが実行したであろう自動操作コマンドと、手動操作コマンドSBとの偏差の尺度である。
【0057】
第1の採点値SW1を検出するための上述の手順は、周期的に繰り返される。
【0058】
図7には、車両2が同車両の手動運転中に実際に走行した軌道rと、その運転中に異なる時点t~tでシミュレートされた軌道β、β、βが示されている。
【0059】
第1の時点tでの実際の車両位置は、第2の演算器5で実行されたシミュレーションのための開始位置である。このとき、第1の時点tで、目標軌道として形成された軌道βが検出され、車両2はこの軌道に沿って移動するものとされる。
【0060】
シミュレーションにより、1つの時間ステップ後、すなわち時点tで車両2がいるであろうシミュレート位置が検出される。時点tでは、この時点tでの実際の車両位置と、この時点tに対して検出されたシミュレート位置との間の偏差が検出される。
【0061】
次に、時点tにおいて、目標軌道として形成された新たな軌道βが計算され、この軌道は、理論的には事前に検出された軌道βと一致し得る。この計算は、この時点tで検知された新しいセンサデータと、車両2が時点tで実際にシミュレート位置にあるという仮定とに基づいている。
【0062】
これらの計算ステップは、検出された偏差が所定の閾値ζを上回るまで、次の時間ステップのあいだ繰り返される。これは、例えば時点tに当てはまる。1つの時間ステップ後、すなわち時点tx+1において、新しい開始位置としてのその時点での現在の実際の車両位置から、シミュレーションが再開される。閾値ζ以降になると、シミュレート位置と実際のセンサデータとの間のドリフトが、もはや補正できない視差を生じるため、これが必要である。
【0063】
時点t~tに対して検出された偏差は、以下の表に従う目的関数Ψを使って、例えば平均二乗誤差関数を使って評価される。
【表1】
【0064】
このとき得られる結果に対して、第2の採点値SW2が、例えばルックアップテーブルを使って検出される。
【0065】
従って、第2の採点値SW2は、実際に走行した軌道rと、第2の演算器5でシミュレートされた軌道β、β、βとの間の偏差の尺度である。
【0066】
第2の採点値SW2は、例えば、すべてのtにおけるすべての軌道β~r、およびそれに依存する目的関数Ψをエントリとした行列に記録される。以下の数式に従って、すべての行列の合計が第2の採点値SW2となる。
【数1】
【0067】
この合計は、総合性能特定に用いられ、バックエンド13に転送される。軌道βが実際に走行した軌道rから乖離すればするほど、すなわち目的関数Ψが上昇すればするほど、運転者にとっての第2の採点値SW2が悪くなる。
【0068】
図8には、車両2が同車両の手動運転中に実際に走行した軌道rと、その運転中に異なる時点t~tでシミュレートされた軌道β、β、βが示されている。
【0069】
軌道βの目的関数Ψが閾値ζを上回ると、第2の演算パスR2における現在のシミュレーションサイクルは終了する。完了した時間ステップの継続時間は、第3の採点値SW3に取り入れられる。軌道βが閾値ζを下回っている時間が長ければ長いほど、運転者の採点値SW3は良くなる。
【0070】
つまり、第1の時点tから、実際の車両位置と第2の演算器5によってシミュレートされた位置との間の偏差が所定の閾値ζを上回るまでに、車両2がどれだけ長い時間または距離を走行できるかが検出される。すなわち、時点tとtとの間に経過した時間間隔、またはこの時間間隔に車両2が走行した距離が検出される。この検出された時間間隔又は距離に対して、第3の採点値SW3が、例えばルックアップテーブルを用いて検出される。
【0071】
従って、第3の採点値SW3は、手動運転された軌道rとシミュレートされた軌道βとの間の偏差が所定の閾値ζに到達するまでに、車両2が走行できる時間間隔または距離の尺度である。
【0072】
第2の演算パスR2においてシミュレーションを再開する前に、シミュレートされた軌道βに対する所定の閾値ζを上回った時点tで、図9による再シミュレーションが行われる。ここでは、時点t、この場合は時点tでの実際の車両位置と実際の車両状態とが使用され、システムが仮に時点tにおける実際の状態から同じ時点tにおける自動運転の状態になるために、どのような条件を満たす必要があったかを推定する。
【0073】
時点tでの決定空間では、潜在的に考えられるすべての軌道βに確率重み付けが加えられる。システムにより、最も良い確率を持つ軌道βが選択され、これが軌道βとして出力される。
【0074】
すべての潜在的に走行可能な軌道βは、システムの決定空間に広がる。統計的にありそうにない軌道βは破棄される。
【0075】
第4の採点値SW4を計算するために、実際に走行した軌道rの確率重み付けが、決定空間において遡及的に計算される。つまり、運転者の軌道rについて、その軌道を走行する前に、システムは本来どのような確率を計算したかということである。実際の軌道rの重み付けが悪くなればなるほど、運転者にとっての採点値SW4は悪くなる。
【0076】
つまり、時点tにおいて所定の閾値ζを上回ると、第1の演算器4がそれ以前の時点t、t、tにおいて、実際に走行した軌道rとほぼ一致する軌道βを目標軌道として軌道ツリーから選択したであろう確率が過去に遡って検出される。検出された確率に対して、第4の採点値SW4が、例えばルックアップテーブルを用いて特定される。
【0077】
次に、検出された4つの採点値SW1~SW4が合計される。加重合計も同様に考えられる。この合計された採点値は、運転者の運転スタイルが自動運転システムの運転スタイルからどれだけ異なっているかを示すものである。この情報は、運転者の現在の運転能力を検出するため、特に、運転者が集中しておらず危険な運転をしているか否かを検出するため、また必要に応じて運転者の運転能力の低下にアクティブセーフティシステムを適合させるため、または現在は運転者よりも自動運転システムの方がより安全な運転をするので、自動運転システムの作動を運転者に提案するために使用することができる。
【0078】
合計された採点値は、それが検出された位置と共に、バックエンド13に送信することもできる。次に、バックエンド13では、統計的評価により、特定の位置で多くの運転者の運転スタイルと自動運転システムの運転スタイルとの間に不一致の頻発があるどうかを検出して、必要に応じて自動運転システムのアルゴリズムを改善することができる。
【0079】
例えば、環状交差点において、運転者の運転挙動が、しばしば自動運転システムの運転挙動と大きく異なっていることが確認されると、この環状交差点を運転するには、運転システムのアルゴリズムの最適化が重要であることを示す証拠として、この情報を使用することができる。
【0080】
運転者が有能である場合、採点値SW1~SW4に基づいて、自動運転システムが有能な運転者と同じように運転しているか、または有能な運転者よりも悪い運転をしているか判定するために使用することができる。また、採点値SW1~SW4は、自動運転システムの運転挙動が有能な運転者の運転挙動と一致するように、自動運転システムのアルゴリズムを最適化するために使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015218361号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法において、
前記車両(2)の手動運転中に、
-前記運転者からの操作コマンド(SB)および前記車両(2)の手動運転軌道(r)が記録され、
-第1の演算パス(R1)において、仮に前記自動運転システムが作動していたとすれば、前記手動運転軌道(r)上において前記車両(2)のそれぞれの現在の実際位置で、前記自動運転システムがどの自動操作コマンドを生成したかが検出され、
-第2の演算パス(R2)では、前記自動運転システムが作動している場合に前記車両(2)が走行したであろう軌道(β、β’、β~β)がシミュレートされ、
-前記記録された前記運転者からの操作コマンド(SB)、前記自動操作コマンド、前記手動運転軌道(r)、および/または前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)に応じて、前記運転者の前記運転挙動と前記自動運転システムの前記運転挙動との間の不一致の尺度として、少なくとも一つの採点値(SW1~SW4)が検出され
前記採点値(SW1~SW4)は、前記手動運転軌道(r)と前記シミュレートされた軌道(β、β’、β ~β )との間の偏差に応じて検出されるものであって、前記偏差が所定の閾値(ζ)に達するまでに、前記車両(2)が走行できる時間間隔または距離に応じて検出される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
車両(2)の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法において、
前記車両(2)の手動運転中に、
-前記運転者からの操作コマンド(SB)および前記車両(2)の手動運転軌道(r)が記録され、
-第1の演算パス(R1)において、仮に前記自動運転システムが作動していたとすれば、前記手動運転軌道(r)上において前記車両(2)のそれぞれの現在の実際位置で、前記自動運転システムがどの自動操作コマンドを生成したかが検出され、
-第2の演算パス(R2)では、前記自動運転システムが作動している場合に前記車両(2)が走行したであろう軌道(β、β’、β~β)がシミュレートされ、
-前記記録された前記運転者からの操作コマンド(SB)、前記自動操作コマンド、前記手動運転軌道(r)、および/または前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)に応じて、前記運転者の前記運転挙動と前記自動運転システムの前記運転挙動との間の不一致の尺度として、少なくとも一つの採点値(SW1~SW4)が検出され
前記採点値(SW1~SW4)は、前記自動運転システムが、前記手動運転軌道(r)に少なくともほぼ一致する軌道(β、β’、β ~β )を、より早い時点(t ,t ,t )で目標軌道として特定していたであろう確率に応じて検出される
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記記録された前記運転者からの操作コマンド(SB)と前記自動操作コマンドとの間の偏差に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記手動運転軌道(r)と前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)との間の偏差に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記手動運転軌道(r)と前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)との間の前記偏差が所定の閾値(ζ)に達するまでに、前記車両(2)が走行できる時間間隔または距離に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記手動運転軌道(r)と前記シミュレートされた軌道(β、β’、β~β)との間の前記偏差は、少なくとも1つの目的関数(Ψ)に基づいて検出される
ことを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項7】
前記採点値(SW1~SW4)は、前記自動運転システムが、前記手動運転軌道(r)に少なくともほぼ一致する軌道(β、β’、β~β)を、より早い時点(t,t,t)で目標軌道として特定していたであろう確率に応じて検出される
ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
車両群の車両(2)の自動運転システムの制御アルゴリズムを適合させるための方法において、
-前記車両群の複数の車両(2)の採点値(SW1~SW4)が収集され、前記採点値(SW1~SW4)は前記車両(2)によって検出され、各々の前記採点値は前記車両(2)のそれぞれの位置において前記車両(2)の運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間の不一致の尺度を示すものであり、
-前記収集された採点値(SW1~SW4)は統計的に評価され、前記統計的評価では、前記運転者の前記運転挙動と前記自動運転システムの前記運転挙動との間で統計的に関連のある不一致が頻繁に発生している位置が検出され、
-検出された、統計的に関連のある不一致の頻度に基づいて、前記自動運転システムの前記制御アルゴリズムのパラメータ(P)が前記不一致を軽減するために適合され、
-前記適合されたパラメータ(P)が前記車両群の前記車両(2)に提供され
それぞれの採点値(SW1~SW4)は、請求項1または2に記載の、車両(2)の自動運転システムの運転挙動に関連して、運転者の運転挙動を検出するための方法において検出される
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法を実行するために構成されている装置(12)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
さらに、コンパレータ6を使って検出された採点値SW1~SW4はバックエンド13に転送される。このバックエンド13において、車両群の多数の車両2の採点値SW1~SWが収集され、このとき、採点値SW1~SW4は、特に前述の説明に従って、車両2によって検出される。さらに、収集された採点値SW1~SW4は統計的に評価され、この統計的評価では、運転者の運転挙動と自動運転システムの運転挙動との間で統計的に関連のある不一致が頻繁に発生している位置が検出される。次に、検出された、統計的に関連のある不一致の頻度に基づいて、自動運転システムの制御アルゴリズムのパラメータPが不一致を軽減するために適合され、その適合されたパラメータPが車両群の車両2に提供される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
時点t~tに対して検出された偏差は、以下の表に従う目的関数Ψを使って、例えば平均二乗誤差関数を使って評価される。
【表1】
【国際調査報告】