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特表2024-528746液体状色マスターバッチ及び着色ポリアミド繊維
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-31
(54)【発明の名称】液体状色マスターバッチ及び着色ポリアミド繊維
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/22 20060101AFI20240724BHJP
   D01F 6/90 20060101ALI20240724BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240724BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
C08J3/22 CFD
D01F6/90 301
C08L67/02
C08J5/00 CFG
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576358
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2022098534
(87)【国際公開番号】W WO2022262696
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110658132.3
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】徐 理華
(72)【発明者】
【氏名】范 志恒
(72)【発明者】
【氏名】倪 春健
(72)【発明者】
【氏名】重田真人
【テーマコード(参考)】
4F070
4F071
4J002
4L035
【Fターム(参考)】
4F070AA47
4F070AA54
4F070AC15
4F070AC88
4F070AE04
4F070FA03
4F070FA15
4F070FB03
4F070FB06
4F070FC05
4F071AA44
4F071AA51
4F071AA53
4F071AA55
4F071AA71
4F071AB03
4F071AB18
4F071AC12
4F071AC19
4F071AE04
4F071AE09
4F071AF53
4F071BA01
4F071BB06
4F071BC07
4J002CF031
4J002CF102
4J002CK022
4J002DA036
4J002DE136
4J002DG026
4J002EU006
4J002FD096
4J002FD202
4J002GH01
4J002GH02
4J002GK02
4J002HA01
4L035AA05
4L035BB31
4L035JJ05
(57)【要約】
【課題】
紡糸工程において安定的にポリマーに供給できる液体状色スターバッチを提供する。
【解決手段】
液体状色マスターバッチは着色剤とベースオイルを含有し、前記ベースオイルは常温常圧条件で液状であり、溶解度パラメータSP値は7.5~15.0である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤とベースオイルを含有し、前記ベースオイルが常温常圧状態で液体であり、溶解度パラメータSP値が7.5~15であることを特徴とする液体状色マスターバッチ。
【請求項2】
前記ベースオイルの溶解度パラメータSP値が8.0~13.0であることを特徴とする請求項1記載の体状色マスターバッチ。
【請求項3】
前記ベースオイルは炭素原子数2~12の脂肪族ジカルボン酸と炭素原子数2~6の脂肪族グリコールとを共重合してなる脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載した液体状色マスターバッチ。
【請求項4】
前記ベースオイルはアジピン酸系ポリエステルであることを特徴とする請求項3に記載した液体状色マスターバッチ。
【請求項5】
前記液体状色マスターバッチに着色剤の濃度は液体状色マスターバッチの重量に対して、20~50wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載した液体状色マスターバッチ。
【請求項6】
前記液体状色マスターバッチにポリウレタン系又はポリエーテルエステルアミン塩系分散剤を含有することを特徴とする請求項1に記載した液体状色マスターバッチ。
【請求項7】
前記液体状色マスターバッチに分散剤の含有量は液体状色マスターバッチの重量に対して15wt%以下であることを特徴とする請求項6に記載した液体状色マスターバッチ。
【請求項8】
前記液体状マスターバッチの粘度は5000poise以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載した液体状色マスターバッチ。
【請求項9】
請求項1に記載した液体状色マスターバッチを含有することを特徴とする着色ポリアミド繊維。
【請求項10】
前記繊維に着色剤の含有量は繊維の重量に対して0.10~5.00wt%であることを特徴とする請求項9に記載した着色ポリアミド繊維。
【請求項11】
前記繊維にベースオイルの含有量は繊維の重量に対して0.10~8.00wt%であることを特徴とする請求項9又は10に記載した着色ポリアミド繊維。
【請求項12】
前記繊維に分散剤の含有量は繊維の重量に対して1.000wt%以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載した着色ポリアミド繊維。
【請求項13】
前記繊維中の着色剤の分散CV%が0.3%以下であることを特徴とする請求項12に記載した着色ポリアミド繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状色マスターバッチ及び前記液体状色マスターバッチにより製造される着色ポリアミド繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維により製造される製品に様々な色を与えるために、通常、以下の方法を用いる。(1)着色剤を用いて高濃度マスターバッチを製造し、次いで、紡糸工程において、所定の割合で添加する。マスターバッチとベースポリマーは密度が異なるため、紡糸時に、色分散が不均一になるという問題が存在し、糸と生地に色斑を形成しやすく、製品の品質に影響する。かつ、色を頻繁に切り替える場合、大量のチップと時間を消耗し、原料とエネルギーの浪費となる。また、直連重紡工程に、着色剤を添加することは非常に困難である。(2)後加工時に、直接に製品を染色することにより、様々な希望の色に染色できるが、生じた大量の汚水は環境を破壊する。
前記2つの方法に存在する欠陥を克服するために、紡糸工程において液体状色マスターバッチを添加することにより繊維を快速的に染色する新規な方法が提出された。
特許文献1には、アクリルアミド類液体ポリマーを含有する担体(a)と、着色剤(b)と、界面活性剤(c)と、機能添加剤(d)とを含む液体色マスターバッチが開示された。しかしながら、2017年10月27日に、世界保健機関国際がん研究機関より公布されたリストによれば、アクリルアミドは発がん性物質「グループ2」に属し、アクリルアミド類液体は発がんの可能性を有する。
特許文献2には、液体分散媒体、着色剤及び分散剤などからなるポリエステル繊維着色用液体着色剤が開示された。前記液体分散媒体は、ミネラルオイルと脂肪族ポリエステルの2種類の物質の混合物である。しかしながら、この液体分散媒体は、極性問題のためナイロン紡糸に適用できず、応用範囲が狭い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許CN102702658A
【特許文献2】中国特許CN106978639A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、紡糸工程において安定して加えることができ、ポリマーを染色する液体状色マスターバッチ、及び液体状色マスターバッチの添加により得られた品質の良い着色ポリアミド繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的解決案は以下の通りである。
液体状色マスターバッチであって、着色剤とベースオイルを含有し、前記ベースオイルは常温常圧状態で液体であり、溶解度パラメータSP値が7.5~15.0であり、8.0~13.0がより好ましい。
前記ベースオイルは、炭素原子数2~12の脂肪族ジカルボン酸と炭素原子数2~6の脂肪族グリコールとを共重合してなる脂肪族ポリエステルであることが好ましく、アジピン酸系ポリエステルであることがより好ましい。
前記着色剤の濃度は液体状色マスターバッチの重量に対して、20~50wt%であることが好ましい。
前記液体状色マスターバッチにはポリウレタン系又はポリエーテルエステルアミン塩系分散剤を含有することが好ましい。
前記分散剤の含有量は液体状色マスターバッチの重量に対して15wt%以下であることが好ましい。
前記液体状色マスターバッチの粘度は5000poise以下であることが好ましい。
本発明は前記液体状色マスターバッチを含有する着色ポリアミド繊維をさらに開示する。繊維の重量に対して、着色剤の含有量は0.10~5.00wt%であり、ベースオイルの含有量は0.10~8.00wt%であり、分散剤の含有量は1.000wt%以下であることが好ましい。
前記繊維中の着色剤の分散CV%は0.3%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体状色マスターバッチはポリアミドとの相溶性が良好であり、ポリアミドの紡糸性に影響しない。本発明の液体状色マスターバッチを添加して得られた着色ポリアミド繊維は、色調が良く、強度・伸度が強く、堅牢度などの物性がレギュラーポリアミド繊維と比べて基本的に低下しない。且つ、紡糸工程では、様々な色の切り替えを迅速に実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の液体状色マスターバッチは着色剤とベースオイルを含有する。前記ベースオイルは、常温常圧状態で液体となり、且つ、その溶解度パラメータSP値が7.5~15.0である。ベースオイルのSP値が7.5未満又はSP値が15.0超過の場合、即ちベースオイルの極性が低すぎる又は高すぎると、ベースオイルとベースポリマーが相溶せず、ベースオイルをベースポリマーに分散できず、最終的には、糸にならなくなる。本発明において、前記ベースオイルの溶解度パラメータSP値は8.0~13.0であることが好ましい。
常温常圧状態で液体であり、且つ溶解度パラメータSP値が7.5~15.0の範囲内であれば、前記ベースオイルの構成は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルなどのポリマー油剤でよく、脂肪族カルボン酸、リン酸エステルなどの低分子有機物でもよい。
前記常温常圧とは、一般的には、温度20~30℃、圧力101Kpaを指す。ポリマーにとって、常温常圧で液体となるベースオイルの重量平均分子量は、一般的には、10000以下である。このため、前記ベースオイルが常温常圧状態で液体となるか否かを検出するとき、その重量平均分子量によって判断できる。
原料コストと使用安全性などを考慮すると、挙げられた前記ベースオイルとしては、脂肪族ポリエステルが好ましく、炭素原子数2~12の脂肪族ジカルボン酸と炭素原子数2~6の脂肪族グリコールとを共重合してなる脂肪族ポリエステルがより好ましい。
前記炭素原子数2~12の脂肪族ジカルボン酸は、直鎖化合物でも、分枝があってもよく、飽和脂肪族ジカルボン酸でも、不飽和脂肪族ジカルボン酸でもよい。前記脂肪族ジカルボン酸の炭素原子数が多すぎると、形成されたポリマーは粘度が大きすぎる又は液体状とならないという問題が存在する。具体的には、前記脂肪族ジカルボン酸として、1、3-マロン酸、1、4-コハク酸、1、6-アジピン酸、2-メチルコハク酸、2、2-ジメチルコハク酸、3-エチルアジピン酸などが挙げられるが、1、6-アジピン酸が好ましい。
前記炭素原子数2~6の脂肪族グリコールとして、グリコール、1-メチルグリコール、1、3-プロパンジオール、1、4-ブタンジオールなどが挙げられるが、グリコールが好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなる脂肪族ポリエステルにおいて、本発明のベースオイルとして、アジピン酸系ポリエステルが好ましく、ポリエチレンアジペートがより好ましい。
本発明に記載の着色剤は、顔料、染料、艶消し剤でよい。前記顔料、染料は、カーボンブラック、チタン白顔料、カドミウムレッド、ウルトラマリンブルー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、ジンクイエロー、ハンザイエロー、TERATOP BLUE NFB GR、TERATOP RED NFR、TERATOP YELLOW NFG、TERASIL BLACK WW-KSNなどでよい。前記艶消し剤は、金属石鹸(ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどでよい。
好ましくは、着色剤の濃度は液体状色マスターバッチの重量に対して20~50wt%である。繊維の中に同じ重量の着色剤を添加する場合に、着色剤濃度が高い液体状色マスターバッチと比べて、着色剤濃度が低い液体状色マスターバッを用いた場合添加量が多くなるため、添加するベースオイルも多くなり、大量のベースオイルを用いた場合、コストが高くなり、紡糸性が劣り、繊維靱性が低下する。着色剤の濃度が高すぎると、着色剤の分散が不均一になったり、液体状色マスターバッチの粘度が大き過ぎることにより流動性を損失する。
本発明における着色剤はナノ粒子である。粒子が小さく、比表面積と表面エネルギーが大きいので、粒子は不安定な状態で、凝集しやすい。また、粒子の表面に累積した大量の正電荷と負電荷が粒子の不規則な形状により集中するので、粒子は不安定な状態で、凝集しやすく、凝集体を生成する。紡糸工程のプロセス条件の調整を通して着色剤粒子の凝集を分散できないため、紡糸工程において、液体状色マスターバッチの粘度が高くなり、流動性が低下し、紡糸フィルターの閉塞でパック圧力が上昇し、紡糸パックの寿命が大きく短縮し、糸流れ・糸切れの発生で紡糸操業性が低下し、繊維色調が不均一になり、製品の品質が低下するなどの問題が発生する。
前記は表面エネルギーを低減するためのナノ粒子自発凝集である。一方、ナノ粒子は、例えば二酸化チタン粒子の表面に層状分布電荷があり、負電荷層と正電荷層が交互配列し、最外層が負電荷層である。液体状色マスターバッチの貯蔵使用過程において、粒子は水に電離したH+イオンのような正電荷と接触することが避けられない。前記正電荷がナノ粒子の正負電荷層を破壊するので、ナノ粒子が互いに吸引し、凝集しやすく、凝集体を生成する。
したがって、前記着色剤の凝集を避けるために、本発明の液体状色マスターバッチには、ポリイソシアネート系又はポリエーテルエステルアミン塩系分散剤を含有することが好ましい。前記分散剤は、正電荷と負電荷を生成でき、分散剤が生成した正電荷は着色剤表面の相反電荷と互いに結合し、着色剤粒子の表面に保護膜層を形成し、固/液界面の張力を低減し、着色剤表面の湿潤作用を達成し、更に、着色剤凝集の抑制作用を達成する。また、分散剤におけるエステル基又はアミド基グループは、ベースオイルにおけるエステル基、アミド基又はアミノ基などと水素結合を形成できる。前記水素結合の作用で、分散剤がベースオイルに均一的に分散することを実現でき、液体状色マスターバッチの粘度低減効果を実現できる。また、分散剤の作用下で、ベースオイル分子が着色剤粒子の間に入るので、着色剤粒子の立体障害を更に増大し、凝集を低減し、着色剤を均一に分散する。
前記ポリイソシアネート系分散剤は、末端基が1-ブタノール基、1-ペンタノール基、1-ヘキサノール基、1-ヘプタノール基又は1-オクタノール基であるポリイソシアネート系分散剤でよい。前記ポリエーテルエステルアミン塩系分散剤は、N,N,N-トリメチル-p-ホルミルベンジルアミン、モノエステル四級アンモニウム塩、ジエステル四級アンモニウム塩、トリエステル四級アンモニウム塩などのモノマーにより形成するホモポリマーでよい。
前記分散剤は液体状色マスターバッチの重量に対して含有量が15wt%以下であることが好ましい。分散剤の含有量が高すぎると、分散効果が飽和に達した後は、コストが上昇することになる。
また、液体状色マスターバッチには、例えば、UV吸収剤、酸化防止剤、消臭剤、帯電防止剤、親水化剤、疎水化剤、抗シワ剤、補強剤、難燃剤などの様々な機能添加剤を含有してもよい。
着色繊維を製造するとき、紡糸機スクリュー前方のチップダクト、又は紡糸機スクリュー後方の溶融体ダクト、又は直連重紡工程に、液体添加ポンプにより、前記液体状色マスターバッチをベースポリマーポリアミドに対し安定的に添加し、着色ポリアミド繊維を製造する。繊維の色に対するニーズ及び液体状色マスターバッチ中の着色剤の含有量により、適当な液体状色マスターバッチの添加量を選択する。
例えば、フルダル繊維を製造するとき、二酸化チタンを着色剤とした液体状色マスターバッチを用いて、繊維中の二酸化チタンの含有量を1.50~2.60wt%に制御することで、フルダルの効果を発揮する。黒色繊維を製造するとき、カーボンブラックを着色剤とした液体状色マスターバッチを用いて、繊維の物性を確保する上で、液体状色マスターバッチをできるだけ多く添加することができる。他の色の繊維を製造するとき、色の濃淡に対するニーズと、液体状色マスターバッチ中の着色剤の含有量に応じて、適切な液体状色マスターバッチの添加量を選択する。
本発明において、好ましくは、着色繊維の重量に対して、着色剤の含有量は0.10~5.00wt%であり、ベースオイルの含有量は0.10~8.00%であり、分散剤の含有量は1.000%以下である。着色剤の含有量が少なすぎると、繊維の色が浅く、色調の要求に達することができない。一方、着色剤の含有量が多すぎると、色の飽和によりコストが上昇して無駄になり、かつ、着色剤が異物になり、繊維の靱性に影響する。
着色ポリアミド繊維に含有するベースオイルは、添加工程のみに着色剤の担体として着色剤をベースポリマーに均一に分散させる。得られた繊維中、ベースオイルが異物になり繊維の紡糸性と靱性に影響する。このため、繊維における着色剤の分散効果に影響しないことを前提に、ベースオイルの含有量はできるだけ少なくする。ベースオイルの含有量が多すぎると、紡糸性能に影響し、繊維靱性を低下させ、かつ、原料コストが上昇する。
前記分散剤の目的は、着色剤の凝集を抑制し、ベースオイルにおける着色剤の分散性を向上させ、液体状色マスターバッチの粘度を低下させることにある。しかしながら、繊維にとって、分散剤が紡糸性と物性に影響する異物になることがあり、このため、液体状色マスターバッチにおける着色剤の分散効果に影響しないことを前提に、繊維における分散剤の含有量をできるだけ少なくする。含有量が多すぎると、紡糸性能に影響し、繊維の靱性を低減させ、かつ、必要でない原料コストを上げる。
繊維における着色剤の含有量の変異係数CV%は着色剤の分散均一性を表現し、CV%値が小さいほど、着色剤の分散が均一になる。普通の顔料、染料にとって、着色剤の含有量分布測定は煩雑であるため、本発明では、繊維色調L*値の変異係数CV%を用いて繊維における着色剤の分散性を表す。分散剤を含有する液体状色マスターバッチにより得られた繊維では、着色剤の分散CV%は0.3%以下に達することができる。
本発明の液体状色マスターバッチはポリマーとの相溶性が良好であり、ポリマーの紡糸性に影響しない。本発明の液体状色マスターバッチを添加して得られた着色繊維は、色調がよく、強度・伸度、堅牢度などの物性がレギュラー繊維と比べて基本的に低下しない。かつ、液体状色マスターバッチが繊維の中に均一に分散し、糸と生地には色斑を形成しにくく、色の均一度が良好である。
【実施例
【0008】
本発明に係る試験方法を以下の通り説明する。
(1)液体状色マスターバッチの粘度
Brookfieldの回転式粘度計(モデルDVNX)を用い、回転式粘度計の回転子を液体状色マスターバッチに入れ、装置を起動し、液体状色マスターバッチの粘度に対して定量試験を行うことができる。
(2)液体状色マスタにおける着色剤、分散剤とベースオイルの含有量
特定重量の液体状色マスターバッチに重量比30~50wt%の溶剤を添加し、混合液体を得て、混合液体を超音波環境に置き、1時間超音波処理を行い、超音波処理後の混合液体に対して遠心分離(回転速度18000rpm、時間10分間)を行い、上層液体と下層固体を得る。
固体部分の重量を測り、液体状色マスターバッチに含有される着色剤と分散剤のパーセンテージを算出する。
核磁気共鳴分析(NMR)、赤外線試験分析(IR)、元素分析、質量スペクトル分析補助分析を用い、固体成分における着色剤と分散剤の構造と含有量を分析し、そして、液体状色マスターバッチにおける着色剤と分散剤のそれぞれの濃度を算出する。
取得した上層液体を、70℃の真空環境で、24時間減圧蒸留し、液体状色マスターバッチに添加された溶剤を分離する。残りはベースオイルである。残り分のベースオイルを量り、液体状色マスタにおけるベースオイルの重量割合を算出する。
前記有機溶剤は、シクロヘキサン、アセトン、クロロホルムなどの常用有機溶剤から選ばれる。
(3)ベースオイル分子構造の確定
▲ファン▼▲トン▼核磁公司のHT-PNMR12-9核磁気共鳴分光計(H,Cシステム)を用い、核磁気共鳴水素スペクトルと核磁気共鳴炭素スペクトル走査を行い、水素スペクトルと炭素スペクトルの結果により、赤外線試験分析(IR)、元素分析、質量スペクトル分析補助分析を合わせ、ベースオイルの分子構造を確定する。
(4)ベースオイル分子量の測定
一般的に知られる高分子材料分子量の測定方法であるゲル濾過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)を用い、ベースオイルの分子量測定を行う。
(5)溶解度パラメータSP(solubility parameter)
SPは、物質構造特徴を示すパラメータで、分子間の相互作用力を示す。溶解度パラメータ(SP)の定義は材料凝集エネルギー密度の開ニ乗である。本発明では、グループ寄与法により溶解度パラメータを計算する。物質の構造で溶解度パラメータを算出する方法であり、モルグループ引力定数法と称する。具体的に、物質の化学構造を適当に原子或いはグループに分割し、各グループの凝集エネルギーとモル体積の積をモル引力定数(F)と称し、かつ、モル引力定数は加算性を有する。本発明の計算方法はグループ寄与法中のHoy法である。
δ=ΣFi/ΣVi
ここで、δはSP値である。Fiはグループのモル引力定数を示し、単位がJ1/2・cm3/2・mol-1である。Viはグループのモル体積を示し、単位がcm3・mol-1である。Hoy法中の各グループのFi とVi値は資料の検索で容易に取得できる。
(6)繊維中のベースオイルの含有量
2g/Lの精錬剤水溶液を用い、80℃、20分間で繊維を洗濯し、表面の紡糸油剤を除去する。洗浄した繊維サンプルを特定量で取り、1mm左右に切断する。ソックスレー抽出法を用い、切断したサンプルと、例えばアセトンのような溶剤とをソックスレー抽出器に入れ、繊維に含有するベースオイルを抽出する。
繊維中のベースオイルは、抽出工程に、溶剤に溶け入り、1時間抽出後、溶剤と油剤の混合物を取り出す。再び新たな溶剤を加入して抽出を行い、3回繰り返す。亜栄RE-52CS/5299回転蒸発器を通して、3回抽出で取得した溶剤と油剤の混合物からアセトン溶剤を除去し、繊維に含有するベースオイルを取得する。初期繊維重量に対して、抽出したベースオイルの重量の割合は繊維中のベースオイルの含有量である。
(7)繊維中の着色剤の含有量
核磁気共鳴分析(NMR)、赤外線試験分析(IR)、元素分析、質量スペクトル分析補助分析により、繊維中の着色剤の構造分析と定量分析を行う。
(8)繊維中の分散剤の含有量
核磁気共鳴分析(NMR)、赤外線試験分析(IR)、元素分析、質量スペクトル分析補助分析により、繊維中の分散剤の構造分析と定量分析を行う。
(9)濾圧差
孔径15ミクロンの生産用フィルターを用い、吐出量が16g/minで、12時間後の使用状況を評価する。12時間内濾圧の上昇状況により使用性を評価する。12時間内濾圧が完全に上昇しない場合、◎(良い)と評価し、上昇が0.2MPa未満の場合、〇(使用可)と評価し、上昇が0.2~0.5MPaの場合、△(かろうじて使用可)と評価し、上昇が0.5MPa超過の場合、×(使用不可)と評価する。
(10)紡糸性能
紡糸工程における紡糸口金のノズルの汚染状況、ノズルから紡出した糸の共鳴現象があるか否か、残留物があるか否か、単繊維があるか否か、糸切れがあるか否か、及び繊維強伸度と物性の変化により、総合評価を行う。紡糸工程で異常がない場合、◎と評価し、紡糸工程で単繊維がなく、糸切れがほとんどない(糸切れ2回以下/トン)場合、〇と評価し、紡糸工程で単繊維がなく、糸切れがたまにある(糸切れ3~5回/トン)場合、△と評価し、紡糸工程で糸切れが多発又は糸にならないで持続的に生産できない(糸切れ頻度が5回/トンを超える)場合、×と評価する。
(11)繊維※値のCV%
日本産SM-T45モデルの色差計を用いて、ポリアミド繊維サンプルのL*値を測定する。L*値はサンプル外観明度の指標であり、値の範囲は一般的に0~100にある。L*値が大きいほど明るくなる。同一サンプルに対し、異なる位置で、複数のL*値を測定し、各L*値の間の標準偏差(STD)を算出し、STDと全L*値の算術平均値(AVG)との比のパーセント値をCV%とする。CV%が低いほど、ポリアミド繊維の色調が良くなり、繊維の中に着色剤の分散が均一になる。
CV%=(STD/AVG)×100%
(12)TiO2含有量のCV%
RIGUKU社のZSX PRIMUSIII+モデルの蛍光X線分析装置を用いて、繊維中のTiO2の含有量を測定する。同一サンプルに対し、異なる位置で、複数のTiO2含有量値を測定し、各含有量の標準偏差(STD)を算出し、STDと全含有量の算術平均値(AVG) との比のパーセント値をCV%とする。CV%が低いほど、繊維の中に二酸化チタンの分散が均一になる。
CV%=(STD/AVG)×100%。
以下、実施例により本発明の内容を説明するが、本発明は実施例に記載の内容に限られない。
実施例1
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が500)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.08MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。液体粘度が比較的大きいことで、紡糸工程に影響しないが、流動性が比較的弱かった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.52%であった。
実施例2
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が47wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が3wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で異常がなかった。最終的に、ポリアミド繊維における TiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.69wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.108wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.28%であった。
実施例3
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が47wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が3wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して0.20wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で異常がなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.10wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.09wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.006wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.25%であった。
実施例4
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が47wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が3wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して5.00wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で異常がなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して2.50wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して2.35wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.150wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.22%であった。
実施例5
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が47wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が3wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して0.10wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で異常がなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.05wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.05wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.003wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.21%であった。少量添加の場合実施に問題がないが、添加量が低すぎることは意味がない。
実施例6
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が47wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が3wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して10.00wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程でたまに糸切れが発生した。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して5.00wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して4.70wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.300wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.24%であった。
実施例7
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が42wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が8wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で異常がなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.51wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.288wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.23%であった。
実施例8
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が40wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が10wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で異常がなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.44wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.360wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.15%であった。
実施例9
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が35wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が15wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.16MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.26wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.540wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.13%であった。
実施例10
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が32wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が18wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.3MPaで、紡糸工程で糸切れがたまに発生した。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.15wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.648wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.14%であった。
実施例11
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が30wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が70wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して6.00wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.11MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して4.20wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.32%であった。
実施例12
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が2000)含有量が47wt%、ポリエーテルエステルアミン塩系分散剤アンモニウム高級アルコールエトキシサルフェート(ALES)含有量が3wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で異常がなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.69wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.108wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.29%であった。
実施例13
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリ(1,4-ブタンヘキシル)(PBAG、SPが7.5、重量平均分子量が3000)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.1MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.46%であった。
実施例14
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(PMA、SPが8.0、重量平均分子量が250)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.07MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなく、口金の所の繊維が少し曲がっている。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.51%であった。
実施例15
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、リン酸エステルCR-733S(RDP、SPが10.5、重量平均分子量が3000)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.12MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.49%であった。
実施例16
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、液体ポリアミドオリゴマー(PA、SPが13.0、重量平均分子量が500)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.11MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.52%であった。
実施例17
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ポリエチレングリコール(PEG、SPが15.0、重量平均分子量が800)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.1MPaで、紡糸工程で糸切れがたまに発生した。最終的に、ポリアミド繊維におけるTiO2の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.80wt%であった。TiO2含有量のCV%は0.44%であった。
実施例18
ポリアミドをベースポリマーとし、カーボンブラック含有量が20wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が3000)含有量が80wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ナイロンと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して10.00wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.12MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維におけるカーボンブラックの含有量がポリアミド繊維の重量に対して2.00wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して8.00wt%であった。色調L※のCV%は0.67%であった。
実施例19
ポリアミドをベースポリマーとし、赤い顔料(PigmentRED254)含有量が30wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が10000)含有量が70wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.30wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.15MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維における顔料の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.00wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して2.31wt%であった。色調L*のCV%は0.62%であった。
実施例20
ポリアミドをベースポリマーとし、赤い顔料(PigmentRED254)含有量が30wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が5000)含有量が55wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が15wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して6.67wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維における顔料の含有量がポリアミド繊維の重量に対して2.00wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して3.67wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.000wt%であった。色調L*のCV%は0.22%であった。
実施例21
ポリアミドをベースポリマーとし、赤い顔料(PigmentRED254)含有量が15wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が8000)含有量が82wt%、ポリイソシアネート系分散剤ポリエチレンイミン(PEI)含有量が3wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して6.67wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇がなく、紡糸工程で糸切れがたまに発生した。最終的に、ポリアミド繊維における顔料の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.00wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して5.47wt%で、分散剤の含有量がポリアミド繊維の重量に対して0.200wt%であった。色調L*のCV%は0.28%であった。
実施例22
ポリアミドをベースポリマーとし、青い顔料(ReactiveBlue2)含有量が35wt%、ポリエチレンアジペート(PEGA、SPが9.1、重量平均分子量が1000)含有量が65wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して2.90wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.15MPaで、紡糸工程で糸切れがほとんど発生しなかった。最終的に、ポリアミド繊維における顔料の含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.00wt%で、ベースオイルの含有量がポリアミド繊維の重量に対して1.88wt%であった。色調L*のCV%は0.55%であった。
比較例1
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、エチレングリコール(EG、SPが16.3、重量平均分子量が62)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
最終的に、紡糸12時間後の濾圧上昇が0.14MPaであるが、紡糸工程に、大量の糸流れ・糸切れが発生し、紡糸が失敗になった。
比較例2
ポリアミドをベースポリマーとし、TiO2含有量が50wt%、ジイソプロピルエーテル(DE、SPが6.9、重量平均分子量が102)含有量が50wt%の液体状色マスターバッチを、紡糸機スクリュー上方の液体添加装置を通して、紡糸機に持続・安定的に投入し、ポリアミドと均一に混合・溶融し、紡糸用口金で紡糸し、次いで後加工を行い、ポリアミド繊維を得た。前記液体状色マスターバッチの添加量は、ポリアミド繊維に対して3.60wt%であった。
紡糸12時間後の濾圧上昇が0.12MPaであるが、紡糸工程に大量の糸流れ・糸切れが発生し、紡糸が失敗になった。
比較例3
ポリアミドをベースポリマーとし、カーボンブラック含有量20%のポリアミドマスターバッチチップを色マスターバッチとした。紡糸機の第1バンカーにポリアミドチップを加入し、第2バンカーにカーボンブラックマスターバッチを加入した。第1バンカーと第2バンカーの各チップ計器を通して定量を行い、次いで混合機に入り、混合機を通して混合した後、紡糸スクリューに入り、スクリューを経て溶融・切断・輸送し、紡糸口金で紡糸し、ブラックポリアミド繊維を得た。前記ブラックマスターバッチの添加量はポリアミド繊維に対して10.0wt%であった。
最終的に、紡糸12時間後の濾圧上昇が0.5MPaであるが、紡糸工程で糸切れがたまに発生した。繊維における顔料の含有量がポリアミド繊維の重量に対して2.00wt%であった。色調L*のCV%は1.3%であった。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【国際調査報告】