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特表2024-528748フィルタを使用した空気除染及び自己再生浄化システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-31
(54)【発明の名称】フィルタを使用した空気除染及び自己再生浄化システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/16 20060101AFI20240724BHJP
   B01D 46/80 20220101ALI20240724BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240724BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20240724BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20240724BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A61L9/16 F
B01D46/80
A61L9/16 Z
A61L9/20
A61L9/18
A61L9/00 C
A61L9/014
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581015
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022035854
(87)【国際公開番号】W WO2023278793
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,897
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/271,326
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/304,384
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/709,069
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003105
【氏名又は名称】メタルマーク・イノベーションズ,ピービーシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シシ
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,ターニャ
【テーマコード(参考)】
4C180
4D058
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC02
4C180CC04
4C180DD01
4C180DD03
4C180DD04
4C180DD08
4C180EA06X
4C180EA14X
4C180EA22X
4C180EA23X
4C180EA24X
4C180EA26X
4C180EA27X
4C180EA28X
4C180EA30X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180EA35X
4C180EA36X
4C180EA37X
4C180EA38X
4C180EA39X
4C180EA40X
4C180EA44X
4C180EB29X
4C180EB30X
4C180EB34X
4C180EB46X
4C180EC01
4C180HH05
4C180HH15
4C180JJ03
4C180KK01
4C180KK03
4C180LL01
4C180LL11
4C180MM07
4D058JA12
4D058MA41
4D058MA60
4D058RA19
4D058TA01
4D058TA02
4D058TA03
4D058TA06
4D058TA07
4D058TA08
(57)【要約】
空気浄化システムは、それぞれが閉鎖環境と流体連通している入口と出口との間に延びる導管を含む。閉鎖環境からの周囲空気は、入口を介して導管に入り、処理された空気は導管から出て、出口を介して閉鎖環境に入る。システムはさらに、導管内に配置され、周囲空気を処理して処理された空気を生成するように構成された繊維フィルタと、導管内に配置され、繊維フィルタを再生するように構成された再生ユニットとを含む。
【選択図】図1I
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浄化システムであって:
それぞれが閉鎖環境と流体連通している入口と出口との間に延びる導管であって、閉鎖環境からの周囲空気が入口を介して導管に入り、処理された空気が導管から出て、出口を介して閉鎖環境に入る、導管と、
導管内に配置され、周囲空気を処理し、それによって処理された空気を生成するように構成された繊維フィルタと、
導管内に配置され、フィルタを再生するように構成された再生ユニットと
を含む、空気浄化システム。
【請求項2】
前記フィルタは、周囲空気内の汚染物質の酸化、還元、不活性化、分解、閉じ込め、又は濾過のうちの少なくとも1つによって周囲空気を処理する、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項3】
前記フィルタは、フィルタに結合された反応性媒体を含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項4】
前記反応性媒体は、有機材料、無機材料、収着材料、触媒材料、生物起源の材料、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の空気浄化システム。
【請求項5】
前記フィルタは、フィルタに結合された多孔質コーティングを含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項6】
前記多孔質コーティングは、有機材料、無機材料、収着材料、若しくは触媒材料、生物起源の材料、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の空気浄化システム。
【請求項7】
前記多孔質コーティングは反応性媒体を含む、請求項5に記載の空気浄化システム。
【請求項8】
前記再生ユニットは、フィルタを再生するようにフィルタにエネルギーを伝達するように構成されている、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項9】
前記伝達されたエネルギーは、熱、可視光、紫外(UV)光、赤外光、電磁放射、赤外線放射、磁場、又はそれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の浄化システム。
【請求項10】
前記導管は閉鎖環境内にある、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項11】
さらに:
前記導管内に配置された処理ユニットであって、フィルタから放出された汚染物質を処理するように構成された処理ユニット
を含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項12】
前記処理ユニットは、フィルタから放出された汚染物質を保持又は処理するように構成された触媒フィルタ、若しくは収着フィルタ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の空気浄化システム。
【請求項13】
さらに:
前記導管内に配置され、導管を通る空気の通過を容易にするように構成されたファン
を含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項14】
さらに:
パラメータを決定するように構成されたセンサと、
前記センサと通信し、決定されたパラメータを示す信号をセンサから受信するように構成され、受信された信号に基づいて空気浄化システムの動作状態を変更するようにさらに構成されたコントローラと
を含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項15】
空気浄化システムであって:
それぞれが閉鎖環境と流体連通している入口と出口との間に延びる一次導管であって、閉鎖環境からの周囲空気が入口を介して一次導管に入り、処理された空気が一次導管から出て出口を介して閉鎖環境に入る、一次導管と、
前記一次導管と流体連通している二次導管と、
前記一次導管又は二次導管内に配置され、周囲空気を処理し、それによって処理された空気を生成するように構成された繊維フィルタと、
前記一次導管又は二次導管内に配置され、フィルタを再生するように構成された再生ユニットと
を含む、空気浄化システム。
【請求項16】
前記フィルタは、周囲空気内の汚染物質の酸化、還元、不活性化、分解、閉じ込め、又は濾過のうちの少なくとも1つによって周囲空気を処理する、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項17】
前記フィルタは、フィルタに結合された反応性媒体を含む、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項18】
前記反応性媒体は、有機材料、無機材料、収着材料、触媒材料、生物起源の材料、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の空気浄化システム。
【請求項19】
前記フィルタは、フィルタに結合された多孔質コーティングを含む、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項20】
前記多孔質コーティングは、有機材料、無機材料、収着材料、触媒材料、生物起源の材料、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の空気浄化システム。
【請求項21】
前記多孔質コーティングは反応性媒体を含む、請求項19に記載の空気浄化システム。
【請求項22】
前記再生ユニットは、フィルタを再生するためにエネルギーを伝達するように構成されている、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項23】
前記伝達されたエネルギーは、熱、可視光、UV光、赤外光、電磁放射、赤外線放射、磁場、又はそれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の空気浄化システム。
【請求項24】
前記フィルタ及び再生ユニットは、一次導管内に配置され、空気浄化システムは、さらに:
二次導管内に配置された処理ユニットであって、フィルタから放出された汚染物質を処理するように構成された処理ユニット
を含む、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項25】
前記処理ユニットは、フィルタから放出された汚染物質を保持又は処理するように構成された触媒フィルタ、若しくは収着フィルタ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項24に記載の空気浄化システム。
【請求項26】
さらに:
一次導管又は二次導管内に配置され、導管を通る空気の通過を容易にするように構成されたファンを含む、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項27】
前記一次導管及び二次導管は、閉鎖環境内にある、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項28】
さらに:
パラメータを決定するように構成されたセンサと、
前記センサと通信し、決定されたパラメータを示す信号をセンサから受信するように構成され、受信された信号に基づいて空気浄化システムの動作状態を変更するようにさらに構成されたコントローラと
を含む、請求項15に記載の空気浄化システム。
【請求項29】
空気浄化システムの繊維フィルタを再生するための方法であって:
前記空気浄化システムの導管内に配置された繊維フィルタにエネルギーを適用することを含み、
前記導管は、周囲空気を閉鎖環境から受容するように構成された入口と、処理された空気を閉鎖環境内に放出するように構成された出口とを含み、
前記適用されたエネルギーは、繊維フィルタによって閉じ込められた汚染物質を放出又は破壊する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府主催の研究
本発明は、国立科学財団によって与えられた契約2026128の下で政府の支援を受けて為された。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願
本出願は、2021年6月30日に出願された出願第63/216,897号を有する「反応装置を使用した空気除染及び浄化システム」と題された仮出願に対する優先権を主張し、さらに、2021年10月25日に出願された出願第63/271,326号を有する「反応装置を使用した空気除染及び浄化システム」と題された仮出願に対する優先権を主張する。本出願はまた、2022年1月28日に出願された出願第63/304,384号を有する「空気除染及び浄化システム」と題された仮出願に対する優先権を主張する。本出願はまた、2022年3月30日に出願された出願第17/709,069号を有する「フィルタを使用した空気除染及び自己再生浄化システム」と題された非仮出願に対する優先権を主張する。これらの出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本開示は、屋内、例えば、建物内、客室内、又は屋外空気浄化システムに関し、特に、例えば、ウイルス及び他の病原性微生物の効率的な不活性化、並びにガス状又は微粒子状汚染物質の除去のために、空気を処理するためのそのようなシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
現在、多くの屋内空気浄化装置が市販されている。屋外空気品質改善のためのいくつかの新技術も導入されている。そのような技術は、1)フィルタ内に浮遊汚染物質を機械的に捕捉する機械的フィルタ(例えば、繊維状、金属、及びセラミックフィルタ)、2)浮遊分子を収着剤に物理的又は化学的に結合することによって空気から特定のガス状分子又は臭気を除去する収着フィルタ(例えば、活性炭を含むフィルタ)、3)浮遊汚染物質がフィルタに入るときにそれらを電気的に帯電させ、これらの汚染物質をフィルタ内に引き付けて捕捉させる静電フィルタ、及び4)一般にUV光と組み合わせて使用されて、浮遊汚染物質を分解する光触媒フィルタを含むことができる。実際には、これらのフィルタの全てには、様々な欠点がある。例えば、HEPAフィルタは、粒子フィルタとして高い効率を示すが、揮発性有機化合物(VOC)の処理には効果がない。さらに、多くの従来の空気浄化システムは、捕捉された汚染物質を放出する傾向があり、又は有害な副生成物を生成する傾向さえある。ほとんどの用途は、メンテナンスに時間がかかり、頻繁なフィルタ媒体交換を必要とする。
【0005】
従って、建物、航空機、車両、屋外などの様々な環境で効率的に使用することができる、改善された空気浄化装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一局面において、周囲空気の流れを受容する場合がある入口から、処理された空気が導管から出ることができる出口まで延びる導管を含む空気浄化システムが開示される。いくつかの態様では、導管を通る空気の流れを促進するために、空気循環を促進するための装置、例えば、ファンを使用することができる。導管内にフィルタが配置されて、流入空気を処理する。いくつかの態様では、フィルタは、一次多孔質濾過ユニットと、一次多孔質濾過ユニットの濾過機能性を調節することができる二次多孔質構造とを有する。処理され
た空気は、その出口を介して導管を出る。再生ユニット、例えば加熱要素も導管内に配置することができ、それにより再生ユニットは断続的に作動され得、例えば、再生ユニットは、所定のスケジュールに従って、例えば毎日、毎週、毎月、又は別様に作動されて、フィルタによって捕捉又は別様に処理された汚染物質を処理し、それによりフィルタを再生する。例えば、再生ユニットは、熱、光、磁場、赤外線放射、又はいずれかの他の適切なエネルギーモダリティを介してフィルタを再生することができる。いくつかの態様では、熱を使用してフィルタを再生する場合がある。これらの態様では、熱は、再生ユニットからフィルタに伝導的に又は対流的に伝達される場合がある。
【0007】
関連する局面では、空気浄化システムが開示され、該空気浄化システムは、周囲空気を受容するための入口を有する空気入口導管部分を有する導管と、フィルタ(例えば、繊維フィルタ)が配置された再生ループと、処理された空気がそこを通って導管から出る空気出口とを含む。
【0008】
いくつかの態様では、空気浄化システムは、入口から出口まで延び、フィルタが配置された一次導管と、一次導管に結合され、2つの流体接続部で一次導管に流体結合された二次導管とを含むことができ、流体接続部の一方(本明細書では、上流接続部とも呼ばれる)は、フィルタの上流に配置され、他方の流体接続部(本明細書では、下流接続部と呼ばれる)は、フィルタの下流に配置される。流体接続部は、液体又は気体(例えば、空気)が一次導管と二次導管との間を流れることを可能にする。いくつかのそのような態様では、1つの弁(本明細書では、上流弁と呼ばれる)は、上流流体接続部に結合され、別の弁(本明細書では、下流弁と呼ばれる)は、下流流体接続部に動作可能に結合され、フィルタは、2つの弁の間に配置される。いくつかの態様では、処理ユニットは、二次導管内に配置される。処理ユニットは、フィルタと同じ構造を有し、又は異なる構造を有する場合がある。例として、処理ユニットは、収着フィルタ、触媒フィルタ、又はこれらの組み合わせの場合がある。
【0009】
いくつかの態様では、フィルタは、一次多孔質構造を含むことができる。一次多孔質構造は、フィルタは、フィルタが汚染物質を含有する流入気流を処理することを可能にする濾過機能を提供する。いくつかの態様では、一次多孔質構造は、流入気流中のフィルタの最大透過粒子サイズ(MPPS)に基づいて測定して、汚染物質の少なくとも1%以上(例えば、汚染物質の少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%、又は少なくとも99.9%、又は少なくとも99.97%、又は少なくとも99.99%、又は少なくとも99.999%、又はそれを超える)を捕捉する。
【0010】
いくつかの態様では、フィルタは、複数の相互接続された通路を含む多孔質巨視的基材を含む。
【0011】
いくつかの態様では、一次多孔質構造又は多孔質巨視的基材は、約10nm~約3mmの範囲の細孔サイズを有する。
【0012】
いくつかの態様では、フィルタは、繊維媒体、例えば、不織布及び/又は織布繊維媒体から作製することができる。いくつかのそのような態様では、フィルタの繊維は、ウェブに層状化され、これは次いで、圧力、化学的、機械的、加熱若しくは溶媒処理によって、及び/又は繊維の絡み合いによって、一緒に結合される。繊維媒体の例は、ガラス繊維である。
【0013】
いくつかの態様では、フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタ又は超微粒子空気(ultra-low particulate air)(ULPA)フィルタを含むことができる。
【0014】
いくつかの態様では、フィルタは、ガラス繊維、ポリマー繊維、綿若しくは絹などの天然繊維、酢酸セルロース、硝酸セルロース(コロジオン)、ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、及びポリテトラフルオロエチレンなどの他の合成材料、ステンレス鋼、アルミニウム、亜鉛めっき鋼、ニッケル合金、インコネル、FeCrAl合金、二酸化ケイ素、他の金属酸化物、又はそれらの組み合わせから作製され、又はそれらを含み、又はそれらでコーティングされ得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、繊維フィルタは、いずれかの織布又は不織布、及び不織布と織布繊維系材料の組み合わせを含む。
【0016】
いくつかの態様では、フィルタは、例えば、病原体の不活性化、並びに有機及び無機ガス状汚染物質の分解のための、異なる機能を提供する反応性媒体を含むことができ、又はそれでコーティングすることができる。反応性媒体の表面は、前記少なくとも1つの汚染物質(例えば、微粒子、病原体)の閉じ込め又は不活性化を促進するように構成された組成及び/又は形態を示す場合がある。そのようなコーティングは、例えば、本明細書に開示されるものなどの非多孔質材料の連続的又は不連続的な薄いコーティングの形態であり得る。
【0017】
いくつかの態様では、反応性媒体は、有機材料(例えば、酵素)、又は無機材料(例えば、銀、酸化銅、酸化マンガンなどの金属、金属酸化物)を含むことができる。
【0018】
いくつかの態様では、反応性媒体は、収着材料(例えば、活性炭、ゼオライトなど)を含むことができる。他の態様では、反応性媒体は、金属(例えば、金、銀、銅など)を含むことができる。さらなる態様では、反応性媒体は、触媒材料を含むことができる。いくつかの態様では、触媒材料は、金属ナノ粒子、例えば金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バイメタル、金属合金、金属化合物、例えばプニクチド、水酸化物、ヘテロポリ酸を含む二元及び複合塩、並びにそれらの誘導体又はそれらの組み合わせを含む場合がある。
【0019】
いくつかの態様では、反応性媒体は連続フィルムを含む。他の態様では、反応性媒体は、複数の不連続表面セグメントを含む。さらに、他の態様では、反応性媒体は、フィルタの少なくともいくつかの部分内に分布した複数のナノ粒子を含むことができる。そのような機能性ナノ粒子は、約0.5nm~約500nmの範囲のサイズを有することができる。全体的なシステム設計は、病原性生物の不活性化及びガス状汚染物質又は微粒子の除去に対する効率の向上をもたらすことができる。
【0020】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、金属又は金属酸化物から構成されている。いくつかの態様では、ナノ粒子は、ポリスチレン、ポリアミン、タンパク質又は多糖系材料、絹フィブロイン、キチン、セラック、セルロース、キトサン、アルギネート、ゼラチンなどの合成又は天然起源のポリマー化合物又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、ナノ粒子は、触媒ナノ粒子を含むことができる。いくつかの態様では、反応性媒体は、例えば、アミン、チオール又は第四級アンモニウム塩などの化学官能基による修飾を介して、フィルタの表面化学を変化させることができる。いくつかの態様では、反応性媒体は、収着機能を付加することができる。いくつかの態様では、反応性媒体の機能は、その組
成、形態、又は両方の組み合わせから生じ得る。
【0021】
いくつかの態様では、反応性媒体は、フィルタの濾過能力を調節する場合があり、フィルタを再生する能力を調節する場合がある。二次反応性媒体は、同様の流動条件下(例えば、0.1~10,000立方フィート/分(CFM)、又は0.5~1000CFM、又は1~500CFMの範囲、例えば200又は400CFM)で動作する二次多孔質コーティングなしの同様のフィルタと比較して、背圧、即ち、フィルタの入口及び出口を横切る圧力差を有意に増加させない(場合によっては、増加させない)(例えば、50x未満の増加、又は10x未満の増加、又は5x未満の増加、又は1x未満の増加、又は0.5x未満の増加、又はそれ未満、又は背圧の変化なし)場合がある。
【0022】
いくつかの態様では、フィルタは、一次多孔質構造と、一次多孔質構造に結合された二次多孔質構造(例えば、多孔質コーティング)とを含む場合がある。いくつかの態様では、二次多孔質構造の細孔は、前記少なくとも1つの汚染物質(例えば、微粒子、病原体)の閉じ込め又は不活性化を促進するように構成された幾何学的形状、表面形態及び/又はサイズを示す。いくつかの態様では、二次多孔質構造は、連続フィルムを含む。他の態様では、二次多孔質構造は、複数の不連続表面セグメントを含む。さらに、他の態様では、二次多孔質構造は、フィルタの少なくともいくつかの部分内に分布した複数の多孔質機能性粒子を含む。粒子のサイズは、約0.5μm~約30μmの範囲であり得る。
【0023】
いくつかの態様では、コーティングの細孔は、約1nm~約10ミクロンの範囲、例えば、約10nm~約10ミクロン、約80nm~約5ミクロン、約100nm~約5ミクロン、約200nm~約5ミクロン、約250~約5ミクロン、約300nm~約2ミクロン、約500nm~約2ミクロンの範囲、又は約1~約2ミクロンの範囲の断面寸法を示す。いくつかの態様では、二次コーティングの細孔は、前記少なくとも1つの汚染物質(例えば、微粒子)の閉じ込めを容易にするように構成された幾何学的形状、表面粗さ、及び/又はサイズを示す。
【0024】
いくつかの態様では、二次多孔質構造は、セラミック、金属、金属酸化物、混合金属酸化物、ポリマー材料、生体材料、又はそれらのいずれかの組み合わせ、及びその他から構成することができる。
【0025】
いくつかの態様では、二次多孔質構造は、フィルタの濾過能力を調節する場合があり、フィルタを再生する能力を調節する場合がある。二次多孔質構造は、同様の流動条件下(例えば、0.1~10,000立方フィート/分(CFM)、又は0.5~1000CFM、又は1~500CFMの範囲、例えば200又は400CFM)で動作する二次多孔質コーティングなしの同様のフィルタと比較して、背圧、即ち、フィルタの入口及び出口を横切る圧力差を有意に増加させない(場合によっては、増加させない)(例えば、50x未満の増加、又は10x未満の増加、又は5x未満の増加、又は1x未満の増加、又は0.5x未満の増加、又はそれ未満、又は背圧の変化なし)場合がある。
【0026】
いくつかの態様では、二次多孔質構造(例えば、多孔質コーティング)は、コーティングの表面上に、及び/又は細孔の少なくともいくつかの全体に分布した反応性媒体を含むことができる。いくつかの態様では、反応性媒体は、有機材料(例えば、酵素)、及び/又は無機材料(例えば、銀、酸化銅、酸化マンガンなどの金属、金属酸化物)を含むことができる。
【0027】
いくつかの態様では、反応性媒体は、収着材料(例えば、活性炭、ゼオライトなど)を含むことができる。他の態様では、反応性媒体は、金属(例えば、金、銀、銅など)を含むことができる。さらなる態様では、反応性媒体は、触媒材料を含むことができる。
【0028】
いくつかの態様では、反応性媒体は、二次多孔質構造の少なくともいくつかの部分内に分布した複数のナノ粒子を含むことができる。ナノ粒子は、約0.5nm~約500nmのサイズであり得る。いくつかの態様では、ナノ粒子は、金属又は金属酸化物から構成されている。いくつかの態様では、ナノ粒子は、有機化合物を含む。いくつかの態様では、反応性媒体は、二次多孔質コーティングの表面化学を変化させることができる。
【0029】
いくつかの態様では、反応性媒体は、収着機能を付加することができる。いくつかの態様では、反応性媒体は、二次構造の表面上に均一なコーティング又は離散粒子を形成することができる。いくつかの態様では、反応性媒体の機能は、その組成、形態、又は両方の組み合わせから生じ得る。
【0030】
さらに、いくつかの態様では、本教示は、様々な機構、例えば、脱落の防止、又は微小亀裂の形成につながり得る応力の放散の改善によって、フィルタの機械的完全性を維持するのを助けることができる。
【0031】
いくつかの態様では、フィルタ上への反応性媒体の適用又は二次多孔質構造によるフィルタのコーティングは、これらのコーティングがフィルタに追加の機能を提供し、病原性生物の不活性化及びガス状汚染物質又は粒子の除去に対する効率の向上をもたらし得る、機能化フィルタをもたらす。
【0032】
多くの態様では、通路又は細孔を塞ぐことなく、フィルタの1つ以上の内部表面上に反応性媒体を有する二次多孔質コーティングを含めることにより、コーティングを有さない同様のフィルタと比較して、背圧の比較的小さい増加で効果的に動作する機能化フィルタを提供することができる。換言すれば、機能化フィルタは、システムを通る空気の通過を著しく制限することなく、空気中の少なくともいくつかの汚染物質(例えば、ウイルスなどの病原体、微粒子物質、又はガス状汚染物質)を処理することができる。これに関して、所望の範囲の気流量に対する機能化フィルタの背圧は、許容範囲内、例えば、コーティングされていないフィルタの背圧の約50倍以内にとどまることができる。例として、増分背圧は、約50x、又は約40x、又は約30x、又は約20x、又は約10x、又は約5x、又は約1x、又は約0.5x、又はそれ未満、又は変化なしであり得る。
【0033】
空気浄化システムはさらに、特定の時間隔で、又は環境トリガに基づいて適用される、例えば、熱、光への曝露、磁場、電磁場、イオン化などを介して、フィルタによって捕捉された病原体粒子などの汚染物質を不活性化、少なくとも部分的に分解、又は少なくとも部分的に除去するように、フィルタを少なくとも断続的に処理するための再生ユニットを含むことができる。いくつかの態様では、再生ユニットは、フィルタを通過する気流中にオゾンガスを放出するように、及び/又はフィルタ上に放出若しくは捕捉された汚染物質を処理するためにフィルタ自体に直接放出するように構成されたオゾナイザ又はオゾン発生器を含むことができる。例として、フィルタ再生の開始のための環境トリガは、周囲空気中の汚染物質の濃度、フィルタを横切る背圧、又は部屋の占有における急激な増加又は閾値を超える増加の検出に基づくことができる。
【0034】
再生ユニットは、フィルタ(即ち、流入空気を処理(濾過)するために空気浄化装置の動作中に使用されるフィルタ)を通過する空気に熱及び/若しくは電磁放射(例えば、マイクロ波放射)、可視光、UV(紫外線)、赤外線、若しくは別のタイプのエネルギー(例えば、プラズマ)を適用するように、並びに/又はフィルタに閉じ込められた汚染物質の少なくとも一部を放出させるようにフィルタ自体に直接適用するように構成され得る。別の例として、いくつかの態様では、加圧空気のバーストをフィルタに適用して、フィルタによって捕捉された汚染物質の少なくとも一部を除去することができる。この例では、
加圧空気のバーストは、濾過される空気の流れの方向とは反対の方向にフィルタに適用される。
【0035】
様々なエネルギー源(例えば、熱、光源)を、本教示の実施において再生ユニット内で使用することができる。適切なエネルギー源のいくつかの例は、ボビンヒータ、加熱コイル、ヒートテープ、誘導コイル、火炎、又は例えば光(例えば、マイクロ波放射、赤外線放射若しくはUV放射)、若しくは磁場若しくはそれらの組み合わせの形態の電磁放射源のうちの少なくとも1つを含むが、それらに限定されない。
【0036】
いくつかの態様では、熱エネルギーは、再生ユニットからフィルタに伝導的に又は対流的に伝達することができる。例えば、再生ユニットは、それぞれ、フィルタと直接接触する熱源、又は熱源からフィルタにエネルギーを伝達する流体媒体(例えば空気)を含むことができる。
【0037】
いくつかの態様では、エネルギー源は、流入空気の温度を、約20℃~約750℃、例えば、約50℃~約400℃、又は約60℃~約300℃の範囲の値に上昇させるように構成され得る。いくつかの態様では、エネルギー源は、熱交換器又は他の熱回収装置を含むことができる。
【0038】
いくつかのそのような態様では、再生ユニットは一次導管又は二次導管内に配置することができ、再生ユニットは、例えば、所定のスケジュールに従って断続的に作動させて、フィルタを再生し、又は処理単位動作を開始、停止、若しくは調節することができる。
【0039】
いくつかの態様では、コントローラは、所定の基準に従って、例えば、ヒータの作動及び停止、並びに/又はヒータによって提供される加熱レベルの調整を介して、再生プロセスを制御することができる。例として、コントローラは、ヒータを作動させてフィルタを通って流れる空気を加熱するようにプログラムすることができる。コントローラと通信する温度センサを使用して、空気がヒータによって加熱されているときに加熱された空気の温度を監視する場合がある。温度センサからのシグナルに応じて、コントローラはヒータを調整して、空気の温度がフィルタの再生を達成するのに適した高温範囲内、例えば、約50℃~約100℃の範囲、又は約150℃、又は200℃、又は250℃、又は300℃のままであることを確実にすることができる。フィルタが高温に耐性であるいくつかの態様、例えば高温HEPAフィルタでは、温度は、約450℃~500℃の範囲に上昇させる場合がある。
【0040】
いくつかの態様では、システムは複数の部分に分割される場合があり、それにより各部分は異なる期間に再生される。例えば、システムは複数の再生ユニット、例えばフィルタのうちの1つ以上の異なる区画を再生するための複数のヒータ含む場合がある。コントローラは、異なる時間に異なる再生ユニットをオンにする場合があり、従って、異なる時間にフィルタの異なる区画を再生することができる。そのような再生時間の分割は、例えば、システム全体の完全な再生動作が、利用可能でない場合がある電力などの多くの資源を必要とするとき、又は完全な再生がシステムがその空気浄化動作を停止するのに許容可能な時間よりも長い時間を要する場合があるときに、採用される場合がある。後者の場合、複数の再生期間は、空気浄化動作の複数の期間の間でずらされる場合がある。
【0041】
場合によっては、上流弁及び下流弁は、それぞれ、第1の位置と第2の位置との間で移動させることができる。第1の位置では、弁は、空気が一次導管のみを通過することを可能にする。換言すれば、第1の位置では、弁は、空気が二次導管に流入するのを阻止する。第2の位置では、弁は、上流弁と下流弁との間に配置された一次導管の区画への、及びそこからの空気の流れを阻止し、さらに、弁の間に配置された一次導管の一部分と二次導
管との組み合わせが気流ループ(本明細書では、「再生ループ」とも呼ばれる)を形成するように、上流及び下流流体接続部を開放する。再生ループが確立される前又は後に、再生ユニットは、フィルタを再生して、フィルタによって吸着され、捕捉され、又は別様に保持された汚染物質を低減し、好ましくは排除するように作動され得る。続いて、上流弁及び下流弁は、フィルタによって処理されるように入口を介して一次導管内への周囲空気の進入を可能にし、さらに、その出口を介して導管から処理された空気が退出することを可能にする状態(第1の位置)に戻すことができる。いくつかの態様では、弁は、第1の位置と第2の位置との間のいずれかの数の位置に移動される場合がある。これらの位置は、一次導管及び/又は二次導管内の気流を調節する。他の態様では、上流弁が第1の位置にある間に、下流弁のうちの1つを第2の位置に移動させる場合があり、それによって、再生サイクル中に周囲空気が導管に入ることを可能にする。
【0042】
フィルタの下流又は上流に配置された別のフィルタ又は処理ユニットは、気流を出口を通して外部環境に放出する前に、再生期間中にフィルタから放出された汚染物質の少なくとも一部を処理(例えば、非活性化、分解、又は別様に排除)することができる。
【0043】
いくつかの態様では、空気浄化システムは、システムを通る気流を容易にするために、空気入口の上流又は下流に配置されたファンをさらに含むことができる。いくつかの態様では、フィルタが配置された導管は、実質的に線形の構成を有することができる。そのような導管、又は空気浄化装置のいずれかの他の導管は、円形、正方形、矩形などの様々な異なる断面プロファイルを有することができる。
【0044】
システムは、気流の経路に沿って配置されて、流れる空気との熱接触を増加させ、熱放散及び/又は吸収効率を改善するように構成された1つ以上の熱伝達要素をさらに含むことができる。
【0045】
さらに、いくつかの態様では、システムは、例えば、直列若しくは並列に、又は直列と並列接続の組み合わせで接続された複数のフィルタを含むことができる。
【0046】
装置は、空気浄化のために、又はディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、ガス濾過膜、及び液体濾過膜などの濾過を含む他の用途で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1A-J】様々な例示的な態様による様々な二重導管空気浄化システムの概略図である。
【0048】
図2A-K】様々な例示的な態様による様々な単一導管空気浄化システムの概略図である。
【0049】
図3A-B】例示的な態様によるフィルタの機能的/修飾された多孔質基材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本教示の様々な局面のさらなる理解は、以下に簡潔に記載される関連する図面と併せて以下の説明において見出すことができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「フィルタ」は、汚染物質を保持及び/又は排除することによって空気から汚染物質を除去する装置を指す。フィルタは、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタ、超低透過空気(ULPA)フィルタ、機械フィルタ、収着フィルタ、イオン化及び静電フィルタ、並びに光触媒フィルタを含むが、これらに限定されない。
フィルタは、病原体の不活性化及び/又は微粒子の分解のための反応性媒体を含む場合がある。いくつかの態様では、本明細書に記載のフィルタはまた、一次多孔質構造に結合された二次多孔質構造が存在しなくても濾過を提供することができる一次多孔質構造を有する巨視的多孔質基材を含む場合がある。さらなる態様では、フィルタは、フィルタの処理能力を調整する一次多孔質構造及び二次多孔質構造を含む場合がある。
【0052】
用語「繊維フィルタ」及び「繊維フィルタ媒体」は、本明細書では互換的に使用され、不織布及び/又は織布繊維媒体(例えば、ガラス繊維)を含むフィルタ/フィルタ媒体を指す。繊維フィルタの繊維は、ウェブに層状にされ得、これは次いで、化学的、圧力、機械的、熱若しくは溶媒処理によって、及び/又は繊維の絡み合いによって一緒に結合される。
【0053】
いくつかの態様では、フィルタは、繊維が互いに重なり合う織布繊維媒体から作製することができる。
【0054】
「収着フィルタ」は、収着材料(例えば、活性炭、木炭、ゼオライト、金属酸化物など)を含む。
【0055】
本教示の様々な局面は、空気の濾過に関連して本明細書で説明されるが、本明細書で開示されるフィルタは、様々な液体などの流体の濾過にも使用され得ることを理解するべきである。
【0056】
本明細書で使用される場合、「機能化フィルタ」は、フィルタに追加の機能(例えば、改善された濾過、促進された再生機能、収着、抗菌機能の導入、又はガス状汚染物を分解するための触媒機能など)を提供する、反応性媒体でコーティングされた、又は二次多孔質構造(例えば、多孔質コーティング)で機能化された一次多孔質構造を有するフィルタを指す。二次多孔質構造は、連続フィルム、複数の不連続表面セグメント、及び/又はフィルタの少なくともいくつかの部分内に分布した複数の多孔質機能性粒子を含むことができる。二次多孔質構造は、1nm~10ミクロンの範囲の細孔サイズを有することができ、多孔質機能性粒子のサイズは、0.5μm~30μmの範囲であることができる。いくつかの態様では、反応性媒体は、フィルタの細孔の少なくともいくつかの内部全体に分布するか、又は二次多孔質コーティングに適用され得る。反応性媒体は、生体触媒(例えば、酵素)、白金族金属(例えば、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム)、金、銀、銅、金属酸化物(例えば、酸化銅、酸化銀、酸化マグネシウム)、収着材料(例えば、活性炭、ゼオライトなど)、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。反応性媒体は、連続フィルム、複数の不連続表面セグメント、及び/又はフィルタ若しくは二次多孔質構造の少なくともいくつかの部分内に分布した複数のナノ粒子を含むことができる。ナノ粒子は、少なくとも1つの次元、場合によっては全ての次元において、約0.5nm~約500nmの範囲のサイズを有することができる。
【0057】
本開示は、流体の濾過に使用することができるフィルタに関する。いくつかの態様では、そのようなフィルタは、巨視的多孔質構造と、巨視的多孔質構造に結合された反応性媒体とを含むことができる。いくつかの態様では、反応性媒体は非多孔質であるが、他の態様では、反応性媒体は多孔質であってもよい。いくつかの態様では、二次多孔質構造は、巨視的多孔質構造に結合される。いくつかのそのような態様では、反応性媒体は、二次多孔質構造に結合され得る。反応性媒体及び二次多孔質構造は、巨視的多孔質構造の濾過特性(例えば、濾過効率)を調節することができ、並びに/又は、例えば、流体への及び/若しくはフィルタへの直接的な熱及び/又は電磁放射の適用を介して、フィルタを再生する能力を調節することができる。
【0058】
反応性媒体は、フィルタを通って流れる空気内の有機汚染物質及びガス状汚染物質を不活性化及び分解する場合がある。いくつかの態様では、反応性媒体は、有機材料(例えば、酵素)又は無機材料(例えば、銀、酸化銅、酸化マンガンなどの金属、金属酸化物)を含むことができる。他の態様では、反応性媒体は、収着材料(例えば、活性炭、ゼオライトなど)、又は触媒粒子を含むことができる。
【0059】
「汚染物質」及び「汚染物」という用語は、本明細書では、様々な微生物(例えば、細菌及び/又はウイルス)、煙、又は他のタイプの微粒子などの天然に存在する又は人工材料構造を含む、様々な無機、有機、及び混合無機及び有機材料構造を指すために互換的に使用される。汚染物質は、有機、無機及び混合起源の微粒子、バイオエアロゾルを含むエアロゾル、並びに揮発性有機化合物(VOC)などのガス状汚染物質を包含することができる。一般に、汚染物質は、フィルタの使用中にフィルタ内に蓄積し、フィルタの性能を劣化させる場合がある、異なるタイプの微粒子、化学物質、又は生物を含む場合がある。劣化は、フィルタが空気を処理することができる速度の低下、フィルタが時間単位で捕捉することができる汚染物質の量若しくはタイプ、又は全体的なシステムを意図された使用に非効率にし若しくは動作不能にするフィルタの背圧の増加を含む場合がある。
【0060】
例として、微粒子は、約10ミクロン以下(例えば、「PM10」)、又は約2.5ミクロン以下(例えば、「PM2.5」)、又は約1ミクロン以下(例えば、「PM1」)、又は約300nm以下のサイズを有することができる。「超微粒子」という用語は、典型的には、約0.1ミクロン(「PM0.1」)以下のサイズを有する粒子を指す。
【0061】
バイオエアロゾルは、細菌、ウイルス、真菌、藻類、イエダニ、又はその他を含むことができる。さらに、花粉、エンドトキシン、タンパク質、及び動物排泄物などの生物学的物質は、エアロゾルを形成する。浮遊病原体は、ほとんどの場合、様々なレベル及びタイプの有機及び無機材料とともに液滴中に埋め込まれる。この不均一性は、重要な課題であり、空気除染技術の開発及び評価において考慮される必要がある。
【0062】
用語「再生する」及び「再建する」及びそれらの派生語は、本明細書において互換的に使用される。特に、フィルタの再生は、ある期間の間使用されることによって機能性が劣化した後に、フィルタの機能性を改善するプロセスを意味する場合がある。機能性の劣化は、例えば、フィルタ内の汚染物質の蓄積に起因する場合がある。フィルタの再生は、例えば、蓄積された汚染物質の一部又は全部をフィルタから除去することを含む場合がある。フィルタの再生は、フィルタの状態を、フィルタがその意図された機能を実行することができる状態に実質的に戻すことを含む場合がある。本明細書に開示される空気浄化システムは、繊維フィルタを再生又は再建する場合がある。さらに詳細に説明するように、フィルタの再生は、フィルタを閾値温度まで加熱することを含む場合がある。本出願人は、驚くべきことに、再建システムを使用して繊維フィルタを再建/再生する空気浄化システムに繊維フィルタを組み込んでもよいことを見出した。従って、本明細書に開示された空気浄化システムは、開示された空気浄化システムが繊維フィルタ及び非繊維フィルタを再生することができるので、既存の空気浄化システムを上回る改良を提供する。いくつかの態様では、再生プロセスはまた、フィルタによって捕捉された病原体(例えば、ウイルス、細菌、真菌など)の効果的な不活性化を助ける。
【0063】
「処理する」及び「処理」という用語は、本明細書では、例えば汚染流の形態の流動媒体を含む媒体(例えば、気体又は液体媒体)からの汚染物質(例えば、気体、蒸気、微粒子状物質、エアロゾル、バイオエアロゾル、又は病原体)の酸化、還元、不活性化、分解、濾過、閉じ込め、又は収着(例えば、除去、分解、又はそれらの組み合わせ)を指すために使用される。
【0064】
本明細書で使用される「閉じ込め」という用語は、本教示による構造又は化学物質による汚染物質の永続的又は一時的な捕捉(例えば、濾過、収着など)を指す。
【0065】
「細孔」、「通路(passage)」、「通路(passageway)」、及び「チャネル」という用語は、本明細書では、媒体の流れ(例えば、気流)を受容するための少なくとも1つの開口部を有する材料構造を指すために互換的に使用される。細孔は、球形又は非球形、例えば、線形、曲線、曲がりくねった、分岐した、又は分枝状のキャビティであってもよく、これは、エンクロージャ又は流れに曝される表面を提供することができる。いくつかの態様では、細孔という用語は、一次多孔質構造の複数の交互配置繊維(例えば、一組の織布又は不織布繊維)の間の空間に関する。
【0066】
「背圧」という用語は、本明細書では、材料構造を横切る、例えばフィルタの入口と出口との間の媒体の流れにおける圧力降下又は損失を指すために使用される。
【0067】
本明細書で使用される「サイズ」という用語は、例えば、高アスペクト比の細孔の場合(細孔の長い及び短い寸法の間の比が1.5より大きいとき)、例えば、細孔又はチャネルの長手方向寸法(例えば、長さ)に垂直な最大寸法などの断面寸法(細孔又はチャネルの直径など)を指す。従って、以下に説明する態様では、細孔又はチャネルは、その断面寸法及びその長さのうちの1つ以上によって特徴付けることができる。
【0068】
「ナノ粒子」という用語は、1ミクロン未満、例えば、約0。5nm~約10nmの範囲、約5nm~約30nmの範囲、約30nm~約100nmの範囲、又は約100nm~約500nmの範囲のx、y、及びz寸法のそれぞれにおけるサイズを有する材料構造を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「弁」は、導管を通る流体(例えば、空気、液体など)の通路を制御するための装置を指す。弁は、二方弁、三方弁などを含むが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それが使用されている数の数値の±10%を意味する。従って、約100μmは、90μm~110μmを意味する。
【0071】
図1A図1Jは、例示的な態様による、再生/再生ループを有する空気浄化システム100を概略的に示す。空気浄化システム100は、屋外又は屋内(例えば、建物、車室、航空機客室、又は他の閉鎖環境)で使用される場合がある。
【0072】
空気浄化システム100は、一次導管102と、一次導管102内に配置されたフィルタ104とを含む。一次導管102は、入口106と出口108との間に延びる。いくつかの態様では、フィルタ104は、汚染物質流を処理するように構成されて、フィルタを通って流れる空気から、例えば、微粒子、病原体、及びガス状汚染物質、例えば揮発性有機化合物(VOC)などの汚染物質を、収着、又は触媒プロセス、例えば酸化若しくは還元を介して不活性化、低減、及び好ましくは除去する。いくつかの態様では、フィルタ104は、機能化フィルタの場合がある。
【0073】
空気浄化システム100の動作中、入口106を介して空気浄化システム100に入る周囲空気は、フィルタ104によって処理され、それによって「処理された空気」を生成し、処理された空気は、出口108を介して空気浄化システム100を出る。
【0074】
空気浄化システム100は、一次導管102に結合され、且つそれと流体連通している二次導管110をさらに含む。二次導管110は、第1の接続部(接合部)112及び第
2の接続部(接合部)114で一次導管102に結合されている。図1A図1Iに示すように、第1の接続部112は、フィルタ104の上流に位置し、第2の接続部(接合部)114は、フィルタ104の下流に位置する。
【0075】
空気浄化システム100は、第1及び第2の接合部112及び114にそれぞれ動作可能に結合された第1の弁116及び第2の弁118をさらに含む。いくつかの態様では、弁116及び118のそれぞれは、一方向弁又は二方向弁として実装され得る。いくつかの態様では、弁116及び118は、電気機械アクチュエータを装備することができ、それによって、弁116及び118の自動動作を可能にする。
【0076】
第1の弁116は、第1の接合部112において一次導管102及び二次導管110に結合され、第2の弁は、第2の接合部114において一次導管102及び二次導管110に結合されている。従って、第1の弁116及び第2の弁118は、一次導管102及び二次導管110を通る空気の流れを調節する。第1の弁116及び第2の弁118は、それぞれ、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。弁116及び118が第1の位置にあるとき、空気は一次導管のみを通って流れる。換言すれば、第1の位置では、弁116及び118は、空気が二次導管110に流入するのを阻止する。第2の位置では、弁116は、入口106とシステム100の残りの部分との間の流体連通を遮断する。さらに、第2の位置にあるとき、弁118は、システムの残りの部分と出口108との間の流体連通を遮断する。この位置では、弁116及び118は、弁116と118との間の一次導管102の部分と、二次導管110との間の流体連通を可能にし、従って、閉鎖空気循環ループ(本明細書では、「再生ループ」とも呼ばれる)を画定する。再生プロセス中、弁116及び118は第2の位置に配置され、空気は、再生ループ内を流れる場合がある。続いて、弁116及び118は第1の位置に戻されることができ、これにより、入口106を介した一次導管102への周囲空気の進入がフィルタ104によって処理され、さらに、出口108を介した一次導管102からの処理された空気の退出が可能になる。
【0077】
汚染物質がフィルタ104上で時間とともに拘束されるにつれて、フィルタ104の有効性は徐々に減少する場合があり、フィルタ104を横切る圧力差は、安全なシステム限界を超えるレベルまで増加する場合があり(例えば、細孔詰まり、材料飽和のため)、捕捉された汚染物質は、出て行く気流に再放出される場合があり、従って、処理された空気を通して環境中に有害な副生成物を放出し得る。さらに、フィルタ104が目詰まりするにつれて、フィルタを横切る背圧が増加し、これは、空気浄化システム100を動作させるモータに応力を与え、その過熱を引き起こす場合がある。このモータに加わる付加的な応力によりモータが過熱し、モータが損傷する場合がある。従って、フィルタ104から捕捉された汚染物質を排除及び/又は除去するために、フィルタ104の断続的な再生が必要な場合がある。
【0078】
空気浄化システム100は、再生ユニット120及び第2の導管110内に配置された処理ユニット122を含む。処理ユニット120は、フィルタ104と同じ構造又は異なる構造を有する場合がある。例として、処理ユニットは、収着フィルタ、触媒フィルタ、又はこれらの組み合わせの場合がある。「再生プロセス」の間、第1の弁116及び第2の弁118は、空気が本明細書で前述したように再生ループを通って流れるように、第2の位置に配置される。再生ユニット120は、再生ユニット120がエネルギーを放出するように作動(例えば、オン)され得る。放出されたエネルギーは、再生プロセス中にフィルタ104から捕捉された汚染物質を排除及び/又は放出する。処理ユニット122は、再生プロセス中にフィルタ104から放出された汚染物質を処理する。処理ユニット122は、汚染物質を閉じ込め、酸化、還元、不活性化、分解、又は濾過することによって、フィルタ104から放出された汚染物質を処理する。いくつかの態様では、処理ユニッ
ト122は、例えば、再生プロセス中に、気流中の気相汚染物質及び/又はフィルタ104から気化した汚染物質を、処理する、例えば、閉じ込める、酸化する、還元する、又は吸着するように構成されている。再生プロセスが完了した後(例えば、ある期間が経過した後)、再生ユニット120を停止(例えば、オフ)することができ、弁116及び118を第1の位置に戻すことができ、本明細書で前述したように空気浄化システム100によって空気を処理することができる。
【0079】
再生プロセスは、エネルギー(例えば、熱)をフィルタ104に直接供給すること、空気を加熱し、加熱された空気をフィルタ104を通して再循環させること、及び/又は再生ユニット120によって供給されるエネルギーで捕捉された汚染物質を不活性化すること(例えば、触媒酸化/還元、病原体の熱不活性化)を含む場合がある。フィルタ再生は、フィルタ機能を再生し、濾過効率を高め、フィルタを消毒し、圧力降下を低減することができる。フィルタの再生は、有利には、フィルタ交換の間の時間隔を延長することができる。
【0080】
いくつかの態様では、再生ユニット120は、再生プロセス中にフィルタの温度を、例えば約25℃~約750℃の範囲の高温に上昇させるために使用することができる熱源を含む。例えば、再生プロセスのための温度範囲は、約50℃~約400℃、又は約60℃~約300℃であり得る。熱源は、抵抗ヒータ(例えば、ボビンヒータ、加熱コイル、ヒートテープ、誘導コイル、火炎、又は例えば、光(例えば、赤外線放射)若しくは磁場の形態の電磁放射源、放射ヒータ、誘導ヒータなど)を含む場合があるが、これらに限定されない。熱源は、熱交換器又は別のタイプの熱回収装置を含む場合がある。
【0081】
いくつかの態様では、再生ユニット120は、UV光を放射する。他の態様では、再生ユニット120は、フィルタ104によって捕捉された汚染物質を解放する加圧空気のバーストを放出する場合がある。この態様では、加圧空気のバーストは、濾過される空気の流れの方向とは反対の方向にフィルタに加えられる。
【0082】
いくつかの態様では、再生ユニット120は、フィルタ104を通過する空気流中にオゾンガスを放出し、及び/又はフィルタ104自体に直接放出して、フィルタ104上に放出又は捕捉された汚染物質を処理するように構成されたオゾナイザ又はオゾン発生器を含むことができる。
【0083】
図1Aは、一次導管102内に配置された再生ユニット120を示すが、他の態様(図1B)では、再生ユニット120は空気浄化システム100内の他の場所に位置する(例えば、二次導管110内に配置される)場合がある。再生ユニット120がフィルタ104にエネルギーを直接供給する態様では、再生ユニット120は、フィルタ104に物理的に結合されル場合がある。例えば、いくつかのそのような態様では、フィルタ及び再生ユニットは、一体化されたユニットを提供するために、単一のハウジング内に配置される場合がある。一態様では、再生ユニット120は、フィルタ104の上流に配置され(図1C)、別の態様では、再生ユニット120は、フィルタ104の下流に配置される(図1D)。
【0084】
図1Eを参照すると、いくつかの態様では、フィルタ104は、フィルタ要素104a(例えば、微粒子フィルタ、収着フィルタなど)、熱伝達要素104b、及び触媒要素104c(例えば、熱触媒、生体触媒、光触媒など)のうちの1つ以上を含む場合がある。いくつかの態様では、触媒は、フィルタ104の基材上にコーティングされる。熱伝達要素104bは、気流の経路に沿って配置されている。熱伝達要素104bは、流れる空気との熱接触を増加させ、熱放散及び/又は吸収効率を改善するように構成されている。
【0085】
図1A図1Jに示すように、空気浄化システム100は、一次導管102及び二次導管110内に配置されたファン126を含む場合がある。ファン126は、空気浄化システム100を通る空気の通過を容易にする。図1A図1Jは、空気浄化システム100を2つのファン126を含むものとして示しているが、空気浄化システム100は、より多い又は少ないファン126(例えば、1、2、5など)を含む場合がある。さらに、図1A図1Jは、第1の弁116の上流に位置する一次導管102内のファン126と、処理ユニット122の上流に位置する二次導管110内のファン126とを示すが、他の態様では、ファン126は、他の位置(例えば、フィルタ104の下流の一次導管102内、又は処理ユニット122の下流の二次導管110内)に配置される場合がある。再生プロセス中、第2の導管110内に位置するファン126は、加熱された空気がフィルタ104を通って再循環されてフィルタ104の再生を容易にする場合があるようにオンにされる場合がある。
【0086】
図1A図1Jは、ファン126を再生ループ内に時計回りの流れ方向を生成するものとして示しているが、他の態様では、再生ループ内に配置されたファン126のうちの1つ以上は、再生中に再生ループ内に反時計回りの方向に空気流を確立するように構成される場合がある。いくつかの態様では、反時計回り方向に移動する空気流は、フィルタ104上に蓄えられた汚染物質を放出し、それによってフィルタ104を再生する場合がある。
【0087】
他の態様では、空気浄化システム100を通る空気流は、空気浄化システムが結合され得る別のシステム(例えば、HVACシステム)に関連する外部要素、例えば、ポンプ又は送風機を介して達成され得る。
【0088】
特に図1F及び図1Gを参照すると、いくつかの態様では、空気浄化システム100は、別のフィルタ130を含む。いくつかの態様では、フィルタ130は、本明細書で記載されるフィルタの組み合わせを含む、本明細書で記載されるいずれかのタイプのフィルタである場合がある。一方、いくつかの態様では、それらは異なるタイプである場合がある。特定の態様では、フィルタ130は、収着フィルタである場合がある。図1Fに示すように、一態様では、フィルタ130は、フィルタ104の上流の一次導管102内に配置される場合があり、図1Gに示すように、別の態様では、フィルタ130は、フィルタ104の下流の一次導管102内に配置される場合がある。図1F及び図1Gは、一次導管102内に配置されたフィルタ130を示すが、他の態様では、フィルタ130は、二次導管110内に配置される場合がある。
【0089】
空気浄化システム100はまた、センサ128を含む場合がある。センサ128は、温度、湿度、圧力、微粒子、VOC、CO、又は他のセンサを含む場合があるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、センサ128は、光又は音検出器を含む場合がある。これらの態様では、センサ128は、閉鎖環境(例えば、図1H及び図1Iに示される閉鎖環境131)内に配置される場合がある。図1A図1Jは、1つのセンサ128を含むように空気浄化システム100を示すが、いくつかの態様では、空気浄化システム100は、複数のセンサ128を含む。これらの態様では、複数のセンサ128のそれぞれは、同じ又は異なる場合がある。
【0090】
いくつかの態様では、センサ128は、1つ以上の環境要因を監視して、再生動作の環境トリガを可能にするか、又は空気浄化動作のためにシステムを開始若しくは修正するために使用される場合がある。例えば、センサ128は、温度、空気中の汚染物質の濃度、ノイズレベル、背圧などを監視する場合がある。
【0091】
図1H及び図1Iに示すように、空気浄化システム100は、閉鎖環境131(例えば
、車室、航空機客室、部屋、建物など)内にある場合があり、又はそれと流体連通していてもよく、その結果、閉鎖環境131内からの空気は、空気浄化システム100によって処理され、閉鎖環境131内に再循環される。これらの態様では、入口106及び出口108は、閉鎖環境131と流体連通している。閉鎖環境131からの周囲空気は、入口106を介して導管102に入り、フィルタ104を通過し、処理空気として出口108を介して導管102を出て、閉鎖環境131に再び入る。いくつかのそのような態様では、空気浄化システムは、再生期間中にフィルタから放出される汚染物質又はそれらの残骸を処理、例えば分解、不活性化、又は排除することができる処理ユニットを含む場合があり、それによりフィルタの再生が環境への汚染物の侵入を引き起こさないことを確実にする。
【0092】
一態様(図1H)では、空気浄化システム100全体(導管102及び110を含む)が閉鎖環境131内に配置される。別の態様(図1I)では、導管102及び110が閉鎖環境131の外部にあるが、閉鎖環境と流体連通している。
【0093】
図1Jを参照すると、空気浄化システム100は、有線又は無線接続を介して弁116及び118、再生ユニット120及びファン126、並びにセンサ128と通信するコントローラ132をさらに含む場合がある。
【0094】
コントローラは、弁116及び118を第1の位置と第2の位置との間で動かし、再生ユニット120及びファン126を作動(例えば、オン)及び非作動(例えば、オフ)にするように構成されている。換言すれば、コントローラ132は、再生プロセスを開始するように構成されている。一態様では、コントローラ132は、所定のスケジュールに基づいて、例えば、毎日、毎週、又は毎月、再生プロセスを開始するように構成されている。別の態様では、コントローラ132は、ユーザ入力に基づいてリアルタイムで再生プロセスを開始するように構成されている。いくつかの他の態様では、コントローラ132は、フィルタ内の汚染物質の蓄積が閾値に達したことをセンサデータから検出した後に、再生プロセスを開始する場合がある。検出は、フィルタを横切る予想される圧力降下よりも大きい圧力降下、フィルタから放出される汚染物質の検出、フィルタによる光スペクトルの可視又は不可視部分の吸収など、様々な要因に基づく場合がある。
【0095】
コントローラ132は、導管102及び110を通る空気流を促進するために、再生プロセスとは無関係にファン126を動作させる場合がある。
【0096】
さらに、コントローラ132は、センサ128によって測定されたパラメータ(例えば、温度、圧力など)を示す1つ以上の信号をセンサ128から受信する。コントローラ132は、受信した信号に基づいて、空気浄化システム100の動作を修正する(例えば、再生の開始又は停止、ファン速度の増加又は減少、弁位置の修正など)場合がある。例えば、コントローラ132は、センサ128によって測定された背圧が閾値を超えたとき、再生プロセスを開始する場合がある。別の例では、コントローラ132は、フィルタ104内の汚染物質の蓄積が閾値を超えたとき、再生プロセスを開始する場合がある。コントローラは、圧力降下(センサ128によって測定される)がフィルタを横切る予想される圧力降下を超えたこと、フィルタ104から放出される汚染物質の検出、フィルタによる光スペクトルの可視又は不可視部分の吸収などに基づいて、閾値を超えたと判定する場合がある。
【0097】
ここで図2A図2Kを参照すると、例示的な態様による空気浄化システム200が示されている。空気浄化システム100とは異なり、空気浄化システム200は、実質的に線形の構成を有し、二次導管を含まない。空気浄化システム200は、屋外又は屋内(例えば、建物、車室、航空機客室、又は他の閉鎖環境内)で使用する場合がある。
【0098】
空気浄化システム200は、導管202と、導管202内に配置されたフィルタ204とを含む。導管202は、入口206と出口208との間に延びる。いくつかの態様では、フィルタ204は、触媒プロセス、例えば酸化又は還元を介して通過空気から汚染物質を処理し、ウイルス及びガス状汚染物質、例えばVOCなどの汚染物質を不活性化し、低減し、好ましくは除去するように構成されている。いくつかの態様では、フィルタ204は、機能化フィルタの場合がある。
【0099】
空気浄化システム200の動作中、周囲空気は、入口206を介して空気浄化システム200に入り、フィルタ204によって処理され、それによって「処理された空気」を生成し、処理された空気は、出口208を介して空気浄化システム200を出る。
【0100】
空気浄化システム200は、再生ユニット210を含む。活性化される(例えば、オンにされる)と、再生ユニット210は、再生プロセス中にフィルタ204から捕捉された汚染物質を排除及び/又は放出するエネルギーを放出する。再生ユニット210は、再生ユニット120と同様である場合がある。いくつかの態様(図2B及び2C)では、再生ユニット210は、フィルタ204に直接結合される。いくつかの態様では、再生ユニット210は、フィルタ204の上流に配置される場合があり(図2B)、いくつかの態様では、再生ユニット210は、フィルタ204の下流に配置される場合がある(図2C)。
【0101】
図2Dを参照すると、いくつかの態様では、フィルタ204は、フィルタ要素204a(例えば、微粒子フィルタ、収着フィルタなど)、熱伝達要素204b、及び触媒要素204c(例えば、熱触媒、生体触媒、光触媒など)のうちの1つ以上を含む場合がある。いくつかの態様では、触媒は、フィルタ204の基材上にコーティングされる。熱伝達要素204bは、空気流の経路に沿って配置される。熱伝達要素204bは、流れる空気との熱接触を増加させ、熱放散及び/又は吸収効率を改善するように構成されている。
【0102】
空気浄化システム200は、導管202を通して空気を駆動するためのファン212をさらに含む場合がある。他の態様では、空気浄化システム200を通って導かれる空気流は、空気浄化システム200に関して本明細書で前述したような外部要素を介して達成することができる。
【0103】
ここで図2E図2Hを参照すると、空気浄化システム200は、導管202内に配置された処理ユニット214をさらに含む場合がある。処理ユニット214は、再生ユニット110と同様である場合がある。一態様では、処理ユニット214は、フィルタ204の上流に配置され(図2E)、別の態様では、処理ユニット214は、フィルタ204の下流に配置されている(図2F)。いくつかの態様では、(図2G)、空気浄化システム200は、2つの処理ユニット214を含む場合がある。さらに別の態様(図2H)では、フィルタ204及び処理ユニット214は、同じ濾過ユニット216に含まれる場合がある。処理ユニット214は、収着フィルタ、触媒フィルタ、又はこれらの組み合わせの場合がある。フィルタ204は、処理ユニット214と構造的に同じである場合があり、空気浄化システム200が複数の処理ユニット214を含む態様では、各処理ユニット214は、構造的に同じ又は構造的に異なる場合がある。
【0104】
再生プロセス中の気流の方向が空気濾過中の気流の方向と反対であるいくつかの態様では、処理ユニット214は、フィルタ204の上流に位置し、再生プロセス中にフィルタから放出される汚染物質を捕捉することができる。再生プロセス中の気流が空気濾過中の気流の方向と同じ方向であるいくつかの態様では、処理ユニット214は、フィルタ204の下流に配置され、再生プロセス中にフィルタ204から放出される汚染物質(又はそ
れらの残骸)を処理することができる。いくつかの態様では、処理ユニット214は、空気流中の気相汚染物質及び/又はフィルタ204によって気化された汚染物質を吸着するように構成されている。
【0105】
いくつかの態様では、空気浄化システム200は、処理ユニット214を含まない場合があり(図2A)、又は処理ユニット214は、フィルタ204の下流に位置しない場合がある(図2E)。いくつかのそのような態様では、再生ユニット210及びフィルタ204は、フィルタ204が再生プロセス中に有害な汚染物質を放出しないように構成される場合がある。例えば、空気浄化システムは、フィルタ204の下流に弁を含む場合がある。弁は、空気が導管202から出ることができる第1の位置と、空気が導管202から出ることができない第2の位置との間を移動する場合がある。再生中、弁は、再生プロセス中に空気及びフィルタ204から放出されたいずれの汚染物質も導管202から出ることができないように、閉鎖位置に配置される場合がある。さらに、これらの態様では、導管202を通る気流は、気流がほとんど又は全くないように、(例えば、空気浄化システム200に関連するファンを停止させることによって)低減される場合がある。
【0106】
図2A図2Kに示すように、空気浄化システム200は、センサ218をさらに含む場合がある。センサ218は、温度、湿度、圧力、微粒子、VOC、CO、又は他のセンサを含む場合があるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、センサ218は、光又は音検出器を含む場合がある。これらの態様では、センサ218は、閉鎖環境(例えば、図2I及び図2Jに示される閉鎖環境222)内に配置される場合がある。図2A図2Kは、1つのセンサ218を含むように空気浄化システム200を示すが、いくつかの態様では、空気浄化システム200は、複数のセンサ218を含む。これらの態様では、複数のセンサ218のそれぞれは、同じで又は異なる場合がある。
【0107】
図2I及び図2Jに示すように、空気浄化システム200は、閉鎖環境222の内部に位置する場合があり、又は閉鎖環境の外部に配置され、閉鎖環境222と流体連通する場合がある。閉鎖環境222は、車室、航空機客室、部屋、建物などの場合がある。そのような構成では、システム200は閉鎖環境222内からの空気を処理し、処理された空気を閉鎖環境222内に再循環させる場合がある。これらの態様では、入口206及び出口208は、閉鎖環境222と流体連通している。閉鎖環境222からの周囲空気は、入口206を介して導管202に入り、フィルタ204を通過し、処理空気として出口208を介して導管202を出て、閉鎖環境222に再び入る。
【0108】
図2Kを参照すると、空気浄化システム200は、コントローラ224をさらに含む場合がある。コントローラ224は、有線又は無線接続を介して再生ユニット210、ファン212、及びセンサ218と通信する。コントローラは、再生ユニット210及びファン212を作動(例えば、オン)及び停止(例えば、オフ)するように構成されている。換言すれば、コントローラ224は、再生プロセスを開始するように構成されている。一態様では、コントローラ224は、所定のスケジュールに基づいて、例えば、毎日、毎週、又は毎月、再生プロセスを開始するように構成されている。いくつかの他の態様では、コントローラ224は、ユーザ入力に基づいてリアルタイムで再生プロセスを開始するように構成される場合がある。
【0109】
さらに、コントローラ224は、センサ218によって測定されたパラメータ(例えば、温度、圧力など)を示す1つ以上の信号をセンサ218から受信する。コントローラ224は、受信した信号に基づいて、空気浄化システム200の動作を修正する(例えば、再生の開始又は停止、ファン速度の増加又は減少、弁位置の修正など)場合がある。例えば、コントローラ224は、センサ218によって測定された背圧が閾値を下回ると、再生プロセスを終了する場合がある。別の例では、コントローラ224は、フィルタ204
内の汚染物質の蓄積が閾値を超えると、再生プロセスを開始する場合がある。コントローラは、フィルタ204から放出される汚染物質の検出に基づいて、又はフィルタによる可視光若しくは不可視光の吸収などに基づいて、フィルタを横切る予想圧力降下よりも大きい圧力降下(センサ218によって測定される)に基づいて、閾値を超えたと判定する場合がある。
【0110】
コントローラ224は、導管202を通る気流を促進するために、再生プロセスとは無関係にファン212を動作させる場合がある。
【0111】
図1A図1J及び図2A図2Kは、空気浄化システム100及び200が水平配向を有するように示されるが、他の態様では、空気浄化システム100及び200は、熱伝達若しくは流れを促進するか、又は熱伝達若しくは流れに自然である配向を有することができる。例えば、一態様では、空気浄化システム100及び200は、出口108及び208が入口106及び206の垂直上方にあるような垂直配向を有する場合がある。この態様では、再生ユニット120及び210は、熱を放出する場合があり、フィルタ104及び204の垂直下方に配置される場合がある。放出された熱が上昇すると、加熱された空気がフィルタ104又は204を通過し、それによってフィルタ104及び204が再生される。さらに、図1A図1J及び図2A図2Kは、1つの再生ユニット120又は210を含むように空気浄化システム100及び200を示すが、いくつかの態様では、空気浄化システム100及び200は、複数の再生ユニット120又は210を本明細書に記載される場所に含む場合がある。
【0112】
本教示による空気浄化システムでは、様々なフィルタを使用することができる。上述のように、多くの態様では、フィルタは、濾過を提供することができる一次多孔質構造と、一次多孔質構造に結合された二次多孔質構造、例えば、一次多孔質構造に関連する細孔内に配置されたコーティング又は充填材とを有することができ、一次多孔質構造の濾過能力を調節することができる。
【0113】
ここで図3A~Bを参照すると、例示的な態様による、様々なタイプの表面コーティングを有する巨視的多孔質基材(例えば、繊維フィルタ)を含む機能化フィルタ300の構造が示されている。図3Aは、反応性媒体でコーティングされた繊維フィルタ媒体(例えば、繊維)301を含む機能化フィルタ300を示す。いくつかの態様では、反応性媒体は、連続フィルム302を含む。他の態様では、反応性媒体は、複数の不連続表面セグメント303を含むか、又はフィルタの少なくともいくつかの部分内に分布した複数のナノ粒子304を含むことができる。ナノ粒子は、0.5nm~500nmであり得る。
【0114】
いくつかの態様では、巨視的基材300の1つ以上のチャネルの平均断面寸法(例えば、気流の一般方向に垂直な平面内)は、約10nm~約3mmの範囲であり得る。例として、チャネルの平均断面寸法は、約100nm~約5ミクロンの範囲、又は約10ミクロン~約100ミクロンの範囲であり得る。いくつかの態様では、1つ以上のチャネルは、約1mm~約1mの範囲、例えば、約100mm~約50cmの範囲、又は約200mm~約100cmの範囲の長さを有することができる。
【0115】
いくつかの態様では、反応性媒体は、生物起源の材料を含むことができる。生物学的材料は、例えば、フィルタの表面部分に化学的又は物理的に結合されたタンパク質を含むことができる。例として、タンパク質は、酵素であり得る。
【0116】
いくつかの態様では、反応性媒体は、収着材料(例えば、活性炭、ゼオライトなど)を含むことができる。さらなる態様では、反応性媒体は、触媒材料を含むことができる。
【0117】
例として、触媒材料は、白金族金属(例えば、Pd、Pt)を含む金属ナノ粒子を含むことができ、この金属ナノ粒子は、加熱時に触媒活性になり、入ってくる気流内の病原体の表面に酸化的損傷を誘発し、その不活性化をもたらす。
【0118】
いくつかの態様では、反応性媒体は、金属、例えば金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ビメタル、金属合金、金属化合物、例えばプニクチド、水酸化物、二元及び錯塩、例えばヘテロポリ酸及びそれらの誘導体又はそれらの組み合わせを含む場合がある。
【0119】
いくつかの態様では、反応性媒体は、金属酸化物、混合金属酸化物、及び/又は金属硫化物を含むことができ、いくつかの特定の例は、バナジア、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ハフニア、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化スズ、酸化マンガン、酸化マグネシウム、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、トリウム、酸化ウラン、他の希土類酸化物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0120】
いくつかの態様では、反応性媒体は、純粋な、又はIII族若しくはV族元素の元素若しくは化合物、又はそれらの組み合わせでドープされた、シリコン又はゲルマニウムなどの半導体材料を含む。
【0121】
いくつかの態様では、反応性媒体は、アルカリ、アルカリ土類、及び(III)族金属との錯塩、並びに/又はニッケル、銅、コバルト、マンガン、マグネシウム、クロム、鉄、白金、タングステン、亜鉛、若しくは他の金属の塩などの遷移金属塩を含むことができる。いくつかの態様では、反応性媒体は、金属カチオン、金属酸化物、有機金属錯体、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0122】
特定の態様では、反応性媒体は、1つ以上の有機金属錯体(例えば、金属有機骨格)、天然材料、タンパク質又は多糖系材料、絹フィブロイン、キチン、セラック、セルロース、キトサン、アルギネート、ゼラチン、又はそれらの混合物、及びそれらの混合物を含むことができる。
【0123】
いくつかの態様では、反応性媒体は、生物学的材料、有機材料、無機材料、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0124】
いくつかの態様では、反応性媒体は、バイオエアロゾル及び汚染物質の物理吸着、並びにそれらの破壊を促進する金属酸化物を使用することができる。
【0125】
いくつかの態様では、反応性媒体は、ナノ粒子を含むことができる。
【0126】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、金属、金属酸化物、有機化合物、及び触媒ナノ粒子を含む、上述した反応性媒体と同じ組成を有する。
【0127】
いくつかの態様では、反応性媒体は、触媒、光触媒、電極触媒、光子、抗菌、光吸収及び/又は発光、刺激応答性、吸着及び脱着特性を提供するようにさらに設計することができる。反応性媒体は、例えば、物理蒸着、原子層堆積、蒸着、スパッタリング、湿式化学修飾、イオン含浸、及びこれらの組み合わせによって導入することができる。
【0128】
図3Bは、例示的態様による、二次多孔質構造(例えば、多孔質コーティング)305で修飾された巨視的多孔質基材(例えば、繊維フィルタ)を含む機能化フィルタ300を示す。
【0129】
いくつかの態様では、二次多孔質コーティングの1つ以上の細孔の平均断面寸法(例えば、気流の一般方向に垂直な平面における)は、約1nm~約10ミクロンの範囲であり得る。例として、細孔の平均断面寸法は、約10nm~約150nmの範囲、又は約200nm~800nmの範囲、又は約1ミクロン~約5ミクロンの範囲であり得る。
【0130】
二次多孔質コーティング305は、繊維301の表面上に堆積させることができる。いくつかの態様では、多孔質コーティング305の細孔は、少なくとも1つの標的汚染物質(例えば、微粒子)の平均サイズの約1~約200倍である平均断面寸法を有することができる。例として、細孔の平均断面寸法は、少なくとも1つの標的汚染物質の平均サイズの約1~約200倍の範囲、又は約1~約100倍の範囲、又は約1.5~約100倍の範囲、又は約2~約100倍の範囲であり得る。いくつかの態様では、細孔は、約1nm~約10ミクロンの範囲、又は約50nm~約1ミクロンの範囲、又は約100nm~約10ミクロンの範囲、又は約200nm~約10ミクロンの範囲、又は約250nm~約5ミクロンの範囲、又は約50nm~約300nmの範囲、又は約300nm~約5ミクロンの範囲、又は約1ミクロン~約2ミクロンの範囲の平均断面寸法を有することができる。
【0131】
実装形態では、多孔質基材300及び多孔質コーティング305の細孔サイズは、より広いサイズ範囲の汚染物質を処理するように調整及び構成することができる。巨視的多孔質基材の場合、多孔度は、予め決定される場合がある。これは、典型的にはセル密度(断面積当たりのチャネル数)として定義される様々なチャネルサイズを有する直線チャネルを有するセラミックモノリスを含む場合がある。ガラス繊維基材の場合、材料の密度及びその多孔性は、所望の仕様に基づく場合がある。コーティングの多孔性は、様々な技術、例えば、鋳型形成、及び/又は材料選択によって設計及び選択される場合がある。
【0132】
いくつかの態様では、多孔質コーティング305は、連続フィルムを含む。他の態様では、多孔質コーティングは、複数の不連続表面セグメント306を含み、且つ/又はフィルタの少なくともいくつかの部分内に分散した複数の機能性多孔質粒子307を含むことができる。機能性多孔質粒子は、0.5ミクロン~30ミクロンのサイズであり得る。
【0133】
他の態様では、二次多孔質コーティングは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、ハフニア、バナジア、ベリリア、貴金属酸化物、白金族金属酸化物、チタニア、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化クロム、酸化スカンジウム、イットリア、酸化ランタン、酸化トリウム、酸化ウラン、他の希土類酸化物、及びそれらの組み合わせのうちの1つを含むことができる。いくつかの態様では、コーティングは、約0.5~約200マイクロメートルの範囲、例えば、約10マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲、又は約50マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲の厚さを示すことができる。
【0134】
いくつかの態様では、二次多孔質コーティングは、珪藻土、花粉、生物起源のシリカ系粒子を含む生物起源材料を含むことができる。
【0135】
特定の態様では、コーティングは、1つ以上の有機金属錯体(例えば、金属有機骨格)、無機ポリマー(例えば、シリコーン)、有機金属錯体、又はそれらの組み合わせ、共有結合性、非共有結合性及び超分子性ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリウレタン、ヒドロゲル、及びオルガノゲル)、天然材料、タンパク質若しくは多糖系材料、絹フィブロ
イン、キチン、セラック、セルロース、キトサン、アルギネート、ゼラチン、又はそれらの混合物、及びそれらの混合物を含むことができる。
【0136】
二次多孔質コーティングは、例えば、触媒活性、刺激応答性、化学的に強固、分解性であるように、及び/又は特定の光学的、熱的、機械的、収着、濾過、放出、及び/又は音響特性を示すように設計することができる。例として、そのようなコーティングは、チタニア、酸化銅、セリア、ジルコニア、酸化マンガン、及び酸化ニッケルなどの触媒活性金属酸化物を含むことができる。特定の態様では、コーティングは、汚染物処理に対して活性になるように光と相互作用することができる(例えば、光触媒作用、光熱触媒作用、又は光電触媒作用)。いくつかの態様では、コーティングの組成は、アルミナ、酸化タングステン、及び金属合金などの機械的に堅牢な材料を使用することによって、機械的特性及び堅牢性を向上させるように改変することができる。さらに他の態様では、特定の光学特性は、コーティング中の多孔性及び細孔秩序の設計を介して導入することができる(例えば、逆オパールなどのフォトニック構造)。
【0137】
いくつかの態様では、触媒/機能性部位の活性化は、熱及び/又は光活性化によって達成することができる。例えば、プラズモンナノ粒子は、電磁放射の特定の波長に応答し得る(例えば、金ナノ粒子は、約530nmで強く吸収する)。
【0138】
いくつかの態様では、二次多孔質コーティングは、バイオエアロゾル、微粒子、ガス状汚染物質、及び他の汚染物の吸着を促進/増強する1つ以上の材料を含むことができる。いくつかの態様では、このような増強された吸着特性は、コーティングの表面上の化学官能基(例えば、アミン又はチオール)及びコーティング組成物(例えば、金属酸化物、シリカ、ゼオライト、活性炭)などの反応性媒体の存在に起因し得る。
【0139】
いくつかの態様では、二次多孔質コーティングは、気体(例えば、VOC、CO2、CO、アンモニア及びその誘導体)、汚染物質及び微生物(例えば、細菌、ウイルスなどの病原体)の収着を含む収着(吸着及び吸収の両方)特性を示すことができる。
【0140】
いくつかの態様では、コーティングは、収着及び触媒活性の両方を示すことができる。例えば、コーティングは、特定の汚染物に対して増加した親和性を有するように設計された表面特性(ホルムアルデヒド、アルコール、若しくは親水性粒子、又はそれらの組み合わせなどの極性分子の吸着を改善するためのヒドロキシル化表面又はアミン官能基を有する表面)を有する1つ以上の金属酸化物、及び汚染物の処理に対する触媒活性を有する元素組成物(例えば、酸化ニッケル、酸化パラジウム、混合金属酸化物)を含むことができる。
【0141】
いくつかの態様では、コーティングの機能性は、少なくとも部分的に、その粗さなどのコーティング表面の形態学的特徴に由来し得る。例えば、コーティング表面は、約1nm~約50nmの範囲の代表的なサイズ(例えば、高さ、長さ、直径など)のスパイク、バンプ、及び/又はキャビティを含むことができる。いくつかの態様では、コーティングの機能性は、少なくとも部分的に、表面結晶化度、結晶粒径、及び表面相などのコーティング表面の構造的特徴に由来し得る。いくつかの態様では、コーティングの機能性は、少なくとも部分的に、表面構造と組成物の組み合わせに由来し得る。いくつかのそのような態様では、表面構造及び表面組成物は、相乗的に協働して、閉じ込め及び濾過の結果を向上させることができる。
【0142】
いくつかの態様では、二次多孔質コーティングは、バイオエアロゾル及び汚染物質の物理吸着、並びにそれらの破壊を促進する金属酸化物を使用することができる。
【0143】
いくつかの態様では、二次多孔質構造(例えば、多孔質コーティング)は、コーティングの表面上に、又は細孔の少なくともいくつかの全体に分布した反応性媒体を含むことができる。
【0144】
いくつかの態様では、反応性媒体は、上述の組成を有する。
【0145】
いくつかの態様では、反応性媒体は、例えば、コーティング形成中に、又はコーティングの後修飾を通して導入することができる。
【0146】
いくつかの態様では、後修飾は、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、及びこれらの組み合わせを介した、ナノ粒子、化合物、複合体を含む反応性媒体の、これらの活性成分の結合を介した多孔質コーティングの表面の化学修飾を含むことができる。
【0147】
巨視的基材300、多孔質コーティング305、及び反応性媒体302の寸法及び特性は、本明細書に記載される機能化フィルタ(例えば、フィルタ104、122、204、214など)が捕捉及び/又は処理するように設計される標的汚染物質に応じて決定される場合がある。
【0148】
多くの態様では、本明細書に開示される組成物及び材料は、病原体及び他の粒子、例えば超微粒子、PM1、PM2.5、PM10又はそれらの混合物の処理のための多面的機構を提供する。いくつかの態様では、この目標は、巨視的多孔質基材の細孔の少なくともいくつかの内部表面上に堆積される多孔質コーティングを有する多孔質巨視的基材を含む構造の設計によって達成することができる。多孔質基材及び多孔質コーティングの両方は、ナノ及び/又はマイクロ構造を含むことができる。いくつかのそのような態様では、この構造は、例えば、1ミクロンより大きく3mm未満の細孔サイズを有する、主に微細構造化された細孔を有する基材を有する階層的多細孔性を含むことができる。
【0149】
本教示によれば、全ての態様のコーティングは、様々な材料又は材料の混合物から作製することができる。例として、いくつかの態様では、材料は、1つ以上の金属酸化物、ゼオライト、金属(金、パラジウム、白金、銀、銅、ロジウム、ルテニウム、レニウム、チタン、オスミウム、イリジウム、鉄、コバルト、若しくはニッケル、又はそれらの組み合わせなど)、半導体(シリコン、ゲルマニウム、スズ、III族若しくはV族元素でドープされたシリコン、III族若しくはV族元素でドープされたゲルマニウム、III族若しくはV族元素でドープされたスズ、又はそれらの組み合わせなど)、金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属プニクチド、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0150】
本教示のいくつかの態様では、フィルタは、1つ以上の汚染物質を含有する媒体(例えば、周囲空気)の流れを可能にするための1つ以上のチャネルを含む多孔質基材を含むことができる。いくつかの態様では、1つ以上のチャネルは、相互接続された細孔として実装することができ、汚染物質の閉じ込めを容易にするための表面積及び細孔構造を提供する。いくつかの態様では、フィルタは、主に物理的又は機械的な閉じ込めを介して汚染物質を捕捉することができる。いくつかの態様では、フィルタは、汚染物質を少なくとも部分的に不活性化、分解、及び/又は閉じ込めるように構成(例えば、機能化)される場合がある。いくつかの態様では、二次多孔質材料によるフィルタの修飾/機能化は、細孔サイズを調整することによって、より広いサイズ範囲の汚染物質のより効果的な閉じ込めを提供することができる。いくつかの態様では、フィルタ構造の修飾は、以下の工程を用いて達成することができる:
【0151】
1. 二次多孔質構造成分(例えば、金属酸化物、金属水酸化物又は機能性多孔質粒子
の集合体)の混合物(例えば、スラリー)を、未修飾多孔質フィルタ足場上に適用する工程、及び
【0152】
2. 予備形成された二次多孔質構造を処理(例えば、乾燥)する工程。
【0153】
いくつかの態様では、本教示の様々な態様で使用するための機能性多孔質粒子は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、又はミリング法を用いて作製することができる。
【0154】
いくつかの態様では、使用時、フィルタは、約15℃~約500℃の範囲の高温に維持することができる。いくつかの態様では、構造は、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約125℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、約250℃、約275℃、約300℃、約325℃、約350℃、約375℃、約400℃、約425℃、約450℃、又は約475℃の温度に維持することができる。そのような高温は、活性部位の活性化並びに/又は巨視的構造及びコーティングの内面との熱接触に起因する1つ以上の汚染物の処理(例えば、不活性化)を容易にすることができる。
【0155】
システム及び/又は装置の態様を参照していくつかの局面を説明してきたが、本教示はそのような態様に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく上記の態様に様々な変更を加えることができることを当業者は理解するであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
【国際調査報告】