(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-31
(54)【発明の名称】ガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセス用の溶融塩を再生するための方法
(51)【国際特許分類】
C03C 21/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
C03C21/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503878
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022070518
(87)【国際公開番号】W WO2023001974
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523076689
【氏名又は名称】ツヴァイエムハー グラス ゲーベムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】フォーラント、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘーニク、ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】グロス、マルティーン
(72)【発明者】
【氏名】ハイダン、ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC16
4G059HB03
4G059HB13
4G059HB14
4G059HB15
4G059HB23
(57)【要約】
【課題】複雑なガラス材料から成るガラス物体においても、高品質の溶融塩で、特に多数のガラス物体及び/又は特に大型のガラス物体を硬化及び/又は強化するための溶融塩の使用可能性を実現する方法を提示する。
【解決手段】本発明は、ガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセス用の溶融塩を再生するための方法に関する。本方法は、第1の再生材料から成る少なくとも1つの第1の再生材料体と、第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る少なくとも1つの第2の再生材料体とが、同時に又は順次に溶融塩と接触状態にもたらされることにより特徴付けられる。更に本発明は、溶融塩を有する塩浴を含む、ガラスを硬化及び/又は強化するための装置に関する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセス用の溶融塩(4)を再生するための方法であって、
第1の再生材料から成る少なくとも1つの第1の再生材料体(7)と、前記第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る少なくとも1つの第2の再生材料体(9)とが、同時に又は順次に前記溶融塩(4)と接触状態にもたらされること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の再生材料から成る複数の第1の再生材料体(7)と、前記第2の再生材料から成る複数の第2の再生材料体(9)とが、同時に又は順次に前記溶融塩(4)と接触状態にもたらされること、
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a.前記第1の再生材料体(7)は、互いに同じ又は少なくとも類似の形状及び/又は大きさを有すること、及び/又は、
b.前記第2の再生材料体(9)は、互いに同じ又は少なくとも類似の形状及び/又は大きさを有すること、
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の再生材料体(7)は、形状及び/又は大きさに関し、前記少なくとも1つの第2の再生材料体と異なること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の再生材料体(7)は、球体として、又はプレートとして、又は波形のプレートとして、又は不規則な表面を有する波形のプレートとして、又はフリットとして、又は繊維として構成されていること、及び/又は、
前記少なくとも1つの第2の再生材料体(9)は、球体として、又はプレートとして、又は波形のプレートとして、又はフリットとして構成されていること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記再生材料の少なくとも1つは、ガラスであるか、又はガラスを含むこと、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記再生材料の少なくとも1つは、特に多孔質の、分相傾向を有するガラス系から成るガラスであり、又は特に多孔質の、分相傾向を有するガラス系から成るガラスを含むこと、
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記再生材料の少なくとも1つは、二酸化ケイ素に富む、特に多孔質のガラスであり、又は二酸化ケイ素に富む、特に多孔質のガラスを含むこと、
を特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記再生材料の少なくとも1つは、VYCORガラスであるか、又はVYCORガラスを含むこと、
を特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記再生材料の少なくとも1つは、非晶質のケイ酸を含むこと、
を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記再生材料の1つは、カルシウムを前記溶融塩(4)から吸収するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記再生材料の1つは、カルシウムを含むが、カルシウムを前記溶融塩(4)中に放出しないように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記再生材料の少なくとも1つは、リチウムを前記溶融塩(4)から吸収するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記再生材料の1つは、リチウムを含むが、リチウムを前記溶融塩(4)中に放出しないように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記再生材料の1つは、カリウム含有のケイ酸塩ガラス、特にカリウム・アルミノ・ケイ酸塩ガラスであること、
を特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記再生材料の1つは、酸化カリウム以外で追加的に少なくとも1つの更なる酸化物、特に、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化硫黄、酸化カルシウムのグループからの少なくとも1つの更なる酸化物を含む原材料混合物から溶融されていること、
を特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
a.前記再生材料の1つは、酸化カリウム以外で追加的に複数の酸化物、特に、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化硫黄、酸化カルシウムのグループからの複数の酸化物を含む原材料混合物から溶融されていること、又は、
b.前記再生材料の1つは、酸化カリウム以外で追加的に複数の酸化物、特に、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化硫黄、酸化カルシウムのグループからの複数の酸化物を異なる割合で含む原材料混合物から溶融されていること、
を特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記再生材料の1つは、酸化ケイ素の割合を40質量パーセントから75質量パーセントまでの範囲、特に50質量パーセントから65質量パーセントまでの範囲、又は57.5質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されていること、
を特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記再生材料の1つは、酸化カリウムの割合を20質量パーセントから40質量パーセントまでの範囲、特に25質量パーセントから35質量パーセントまでの範囲、又は32.5質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されていること、
を特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記再生材料の1つは、酸化アルミニウムの割合を1質量パーセントから10質量パーセントまでの範囲、特に2質量パーセントから6質量パーセントまでの範囲、或いは2.5質量パーセント又は5質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されていること、
を特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記再生材料の1つは、酸化カルシウムの割合を0質量パーセントから15質量パーセントまでの範囲、特に6質量パーセントから10質量パーセントまでの範囲、又は8質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されていること、
を特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記再生材料の1つは、酸化ホウ素の割合を0質量パーセントから10質量パーセントまでの範囲で有する原材料混合物から溶融されていること、
を特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記再生材料の1つは、少なくとも1つのアルカリ土類金属を含むこと、
を特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の再生材料は、第1のイオン成分を前記溶融塩(4)から吸収するように構成されていること、及び前記第2の再生材料は、前記第1のイオン成分とは異なる第2のイオン成分を前記溶融塩(4)から吸収するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
a.前記少なくとも1つの第1の再生材料体(7)は、第1の容器(6)内、特にかご又はふるい内に配置されて前記溶融塩(4)と接触状態にもたらされ、前記容器は、前記少なくとも1つの第1の再生材料体(7)が前記第1の容器(6)から漏れ出すことなく、前記溶融塩(4)の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有すること、及び/又は、
b.前記少なくとも1つの第2の再生材料体(9)は、第2の容器(8)内、特にかご又はふるい内に配置されて前記溶融塩(4)と接触状態にもたらされ、前記第2の容器(8)は、前記少なくとも1つの第2の再生材料体(9)が前記第2の容器(8)から漏れ出すことなく、前記溶融塩(4)の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有すること、
を特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の容器(6)及び前記第2の容器(8)は、特殊鋼から製造されていること、
を特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとの1つの第1の再生材料体(7)及び/又は前記少なくとの1つの第2の再生材料体(9)は、特に連続的に又は時間的に離間したインターバルで前記溶融塩(4)内において動かされること、
を特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
溶融塩(4)の一部分は、連続的に又は時間的に離間したインターバルで、前記少なくとも1つの第1の再生材料体(7)及び/又は前記少なくとも1つの第2の再生材料体(9)が存在する流路(21)を通って導かれること、
を特徴とする、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記溶融塩(4)は、カリウム及び/又は硝酸カリウムを含むこと、
を特徴とする、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の再生材料及び前記第2の再生材料とは異なる他の再生材料から成る少なくとも1つの他の再生材料体が、同時に又は順次に接触状態にもたらされることにより前記溶融塩を再生するために使用されること、
を特徴とする、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ガラス物体が溶融塩(4)と接触状態にもたらされる、ガラス物体を硬化及び/又は強化するための方法であって、前記溶融塩(4)は、連続的に又は、特に規則的な、時間的な間隔を置いて、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法を用いて再生されること、
を特徴とする方法。
【請求項32】
a.前記少なくとも1つの第1の再生材料体(7)及び前記ガラス物体(2)は、これらが同時に又は少なくとも時間的に重複して前記溶融塩(4)と接触状態にあるように、前記溶融塩(4)と接触状態にもたらされること、及び/又は、
b.前記少なくとも1つの第2の再生材料体(9)及び前記ガラス物体(2)は、これらが同時に又は少なくとも時間的に重複して前記溶融塩(4)と接触状態にあるように、前記溶融塩(4)と接触状態にもたらされること、
を特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
溶融塩(4)を有する塩浴を含む、ガラスを硬化及び/又は強化するための装置(1)であって、
前記装置(1)は、第1の再生材料から成る少なくとも1つの第1の再生材料体(7)と、前記第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る少なくとも1つの第2の再生材料体(9)とを有し、これらは、連続的に前記溶融塩(4)と接触状態にあるか或いは同時に又は順次に前記溶融塩(4)と接触状態にもたらすことができること、
を特徴とする装置(1)。
【請求項34】
前記装置(1)は、前記少なくとも1つの第1の再生材料体(7)を含み且つ前記溶融塩(4)内に取り入れ可能な又は取り入れられた第1の容器(6)を有し、前記第1の容器(6)は、前記溶融塩(4)の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有すること、及び/又は、
前記装置(1)は、前記少なくとも1つの第2の再生材料体(9)を含み且つ前記溶融塩(4)内に取り入れ可能な又は取り入れられた第2の容器(8)を有し、前記第2の容器(8)は、前記溶融塩(4)の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有すること、
を特徴とする、請求項33に記載の装置(1)。
【請求項35】
前記第1の容器(6)は、ケージとして、かごとして、又はふるいとして構成されていること、及び/又は、
前記第2の容器(8)は、ケージとして、かごとして、又はふるいとして構成されていること、
を特徴とする、請求項34に記載の装置(1)。
【請求項36】
前記第1の容器(6)及び/又は前記第2の容器(8)は、特殊鋼から作られていること、
を特徴とする、請求項34又は35に記載の装置(1)。
【請求項37】
前記第1の容器(6)及び前記第2の容器(8)は、特に形状及び/又は大きさに関し、異なって構成されていること、
を特徴とする、請求項34~36のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項38】
前記第1の容器(6)及び/又は前記第2の容器(8)は、交換可能なカートリッジとして構成されていること、
を特徴とする、請求項34~37のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項39】
前記装置(1)は、前記再生材料体(7、9)を連続的に又は時間的に離間したインターバルで前記溶融塩(4)内において動かす及び/又は前記溶融塩(4)内に移動させる運動装置(18)を有すること、
を特徴とする、請求項33~38のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項40】
前記装置(1)は、流路(21)を有し、前記流路(21)内に、前記第1の再生材料体及び/又は第2の再生材料体(9)があり、前記流路(21)を通り、連続的に又は時間的に離間したインターバルで前記溶融塩(4)の一部分が流通可能であること、
を特徴とする、請求項33~39のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項41】
前記装置(1)は、前記流路(21)を通して前記溶融塩(4)をポンピングするためのポンプ(22)を有すること、
を特徴とする、請求項40に記載の装置(1)。
【請求項42】
前記装置は、前記第1の再生材料及び前記第2の再生材料とは異なる他の再生材料から成る少なくとも1つの他の再生材料体を有すること、
を特徴とする、請求項33~41のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセス(ガラス強固化プロセス)用の溶融塩を再生するための方法に関する。
【0002】
更に本発明は、溶融塩を有する塩浴を含む、ガラスを硬化及び/又は強化するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
溶融塩中でガラスに所定の処理を行うと、薄い表面層内のイオン交換により、ガラスの強度特性を大幅に改善する強い圧縮応力が達成可能であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶融塩内の処理では、第1の種類のイオンがガラス内に移行し、それに対し、ガラスは、同時に第2の種類のイオンを溶融塩中に放出する。不利なことに、溶融塩の作用は、特に溶融塩は第1の種類のイオンが乏しくなり且つ第2の種類のイオンが溶融塩内で富化するため、溶融塩の使用の頻度に依存して低下する。このことは、溶融塩を頻繁に交換しなくてはならないことをもたらす。
【0006】
特に、硝酸カリウム又は硝酸カリウムとの混合物から成る溶融塩において高温でプレストレスプロセスを実行することが知られており、この際、より小さいアルカリイオン(ナトリウム、リチウム)がより大きいアルカリイオンと交換される。しかし交換されたアルカリイオンは溶融塩中に留まり、このことは、溶融塩の有効性を低下させる。更にプレストレスプロセスの結果として、不利なことに、亜硝酸塩を介した酸化物/水酸化物への溶融物の分解が行われる。
【0007】
溶融塩の有効性の劣化の増加は、所定の再生材料の使用により、少なくとも先に遅らすことができる。
【0008】
例えば、上記特許文献1(DE 17 71 232 B2)から、ガラスの特性を変化させる目的で溶融塩とガラスの間でイオンを交換するための方法が公知であり、この方法では、溶融塩中に移行したイオンが、溶融塩中で分離された相内にある再生材料により吸収され、同時にイオン交換時に必要なイオンが溶融塩に対して放出される。再生材料として補助物質が添加されている溶融塩が使用され、その補助物質は、酸素イオンのためのアクセプタであり、ないし酸機能を有し、またその補助物質は、ガラスから又は再生材料から溶融塩中に移行したイオンを取り込んで、複合体形成をすることができ、溶融塩中の酸化還元反応を促進する。
【0009】
本発明の課題は、複雑なガラス材料から成るガラス物体においても、高品質の溶融塩で、特に多数のガラス物体及び/又は特に大型のガラス物体を硬化及び/又は強化するための溶融塩の使用可能性を実現する方法を提示することである。
【0010】
本発明の更なる一課題は、溶融塩を交換する必要なく、特に多数のガラス物体の硬化及び/又は強化を可能にする、冒頭に記載した形式の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
最初の前記課題は、第1の再生材料から成る少なくとも1つの第1の再生材料体と、第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る少なくとも1つの第2の再生材料体とが、同時に又は順次に溶融塩と接触状態にもたらされることにより特徴付けられた方法により解決される。
【0012】
更なる前記課題は、装置が、第1の再生材料から成る少なくとも1つの第1の再生材料体と、第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る少なくとも1つの第2の再生材料体とを有し、これらは、連続的に溶融塩と接触状態にあるか或いは同時に又は順次に溶融塩と接触状態にもたらすことができることにより特徴付けられた装置により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0014】
本発明では、一種類のより大きいアルカリイオン、例えばカリウムにおける溶融塩の欠乏化と、一種類のより小さいアルカリ金属イオン、例えばナトリウムによる富化とが、ガラス物体のガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセスに関し、溶融塩の品質の劣化の唯一の原因ではないことが認識された。むしろ、特に複雑に構成されたガラス材料から成るガラス物体を硬化及び/又は強化する場合には、複数の作用ファクタが溶融塩の品質に悪影響を及ぼすことが判明した。特に硬化過程及び/又は強化過程時のイオン交換の正常な機能を長期間にわたり保証するためには、複数の異なる化学物質が塩浴から取り除かれ、及び/又は、複数の異なる化学物質が塩浴内に取り入れられなくてはならないことが有利であると判明した。
【0015】
本発明では、例えば、溶融塩は、ナトリウム及びリチウムを含むガラス材料から成るガラス物体を硬化及び/又は強化する場合に、ナトリウムの富化により、そしてそれに加え、むしろより多くの程度で、リチウムの富化により溶融塩の品質の劣化をもたらすことが確認された。その上、多くの場合は、実行されたガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセスの回数に伴って益々増加する溶融塩の塩基度が発生し、このことは、同様にガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセスに関して溶融塩の品質に不利に作用する。
【0016】
本発明では、唯一の再生材料だけを使用するのではなく、異なる再生材料から成る少なくとも2つの再生材料体を使用することが考慮されており、この際、例えば、第1の再生材料は、ナトリウムを吸収し、かくて塩浴から取り除くように構成され、第2の再生材料は、リチウムを吸収し、かくて塩浴から取り除くように構成されている。更にまた、例えば有利には、再生材料のうちの1つは、溶融塩の塩基度を除去するか又は少なくとも減少するように構成されていることができ、このことは、例えば、塩浴からのOH-基に結合し、かくて塩浴から取り除くために、該当する再生材料が二酸化ケイ素を含むことにより実現可能である。
【0017】
本発明は、2つ(又は2つよりも多く)の異なる再生材料の使用により、目標を定め且つ効果的に、多くの場合は複数で発生する老化プロセスに対して反対に作用することができるという格別優れた利点を有する。特殊な一発明思想により、特に、異なる再生材料体を時間的に相前後して溶融塩と接触状態にもたらすことが可能である。このことは、異なる再生材料(複数)が少なくとも直接的に悪影響を及ぼすことはできないという優れた利点を有する。しかしまた適用事例に応じ、異なる再生材料(複数)が悪影響を及ぼすという危険がない場合、或いは直接的又は間接的な相互作用の度合いが僅かである場合には、異なる再生材料(複数)を同時に又は少なくとも時間的に重複(オーバラップ)して同じ溶融塩中で使用することも可能である。
【0018】
格別優れた利点は、ガラス物体を硬化及び/又は強化するための方法であって、ガラス物体が溶融塩と接触状態にもたらされ、溶融塩が、連続的に又は、特に定期的な、時間的な間隔を置いて、第1の再生材料から成る少なくとも1つの第1の再生材料体と、第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る少なくとも1つの第2の再生材料体とを、同時に又は順次に接触状態にもたらすことにより、再生される方法である。また特に第1の再生材料及び第2の再生材料とは異なる第3の再生材料から成る第3の再生材料体(及び場合により更に他の再生材料体)も、同時に又は順次に接触状態にもたらされることにより溶融塩を再生するために使用されることが可能である。
【0019】
特に有利には、例えば、第1の再生材料から成る、球体、粒体(Granulat)、フリット、繊維、又は小板片の形態の複数の第1の再生材料体、及び/又は、第2の再生材料から成る、球体、粒体、フリット、繊維、又は小板片の形態の複数の第2の再生材料体は、同時に又は順次に溶融塩と接触状態にもたらされることができる。このようにして有利には、容積と比較して大きい表面、従って溶融塩に対する大きい接触面が達成され、それにより所与の再生材料使用において、大きい有効性を達成することができる。
【0020】
不規則な波形のプレート及び/又は不規則な表面を有するプレートの形態の第1の再生材料体及び/又は第2の再生材料体は、格別優れて有利であり、その理由は、これらが、再生材料体の有効な全表面を不利に減少させるであろう互いの面的な付着をさせないためである。それにより極めて全般的に有利には、第1の再生材料体は、類似の基本形状を有することができるが、しかしこの際、個々の再生材料体は、(例えば平坦なプレートのような)面的な互いの付着が回避されているのであれば、異なっている。同じことが、第2の再生材料体に関しても同様に当てはまる。
【0021】
第1の再生材料体は、有利には、互いに同じ又は少なくとも類似の形状及び/又は大きさを有することができる。それに代わり又はそれに加え、第2の再生材料体は、互いに同じ又は少なくとも類似の形状及び/又は大きさを有することができる。第1の再生材料体の形状及び/又は大きさは、第2の再生材料体の形状及び/又は大きさと同じとしてよい。しかし少なくとも1つの第1の再生材料体が、形状及び/又は大きさに関し、少なくとも1つの第2の再生材料体と異なると有利である。このことは、取り違えが回避され、また異なる再生材料体が同時に使用される場合には、これらが必要な場合にふるい分け過程により互いに分離され得るという優れた利点を有する。
【0022】
少なくとも1つの第1の再生材料体は、有利には、球体として、又はプレートとして、又は(好ましくは不規則な)波形のプレートとして、又はフリットとして、又は繊維として構成されていることが可能である。それに代わり又はそれに加え、少なくとも1つの第2の再生材料体も、球体として、又はプレートとして、又は(好ましくは不規則な)波形のプレートとして、又は不規則な表面を有するプレートして、又はフリットとして構成されていることが可能である。
【0023】
好ましくは、複数の第1の再生材料体及び/又は複数の第2の再生材料体が使用され、この際、これらは、有利には例えば、粒体(グラニュラート)の形態で溶融塩と接触状態にもたらされる。特に有利には、粒体は、0.1mmから10mmまでの範囲、特に0.1mmから3mmまでの範囲、又は0.1mmから0.8mmまでの範囲、又は0.3mmから0.8mmまでの範囲の粒子サイズを有することができる。そのような粒子サイズは、一方では、粒体が、比較的大きい開口部(複数)を有する容器内に保持可能であり、それに対し、粒体が同時に溶融塩に対して大きい接触表面を提供するという利点を提供する。
【0024】
それに代わり、複数の第1の再生材料体及び/又は複数の第2の再生材料体は、ガラスフリット又は焼結材料の形態で使用されることが可能である。そのような実施形態も、一方では、再生材料体が、比較的大きい開口部(複数)を有する(好ましくはそれぞれ固有の)容器内に保持可能であり、それに対し、同時に溶融塩に対する大きい接触表面が存在するという利点を提供する。ガラスフリットは、0.1mmから10mmまでの範囲、特に0.1mmから3mmまでの範囲、又は0.1mmから0.8mmまでの範囲、又は0.3mmから0.8mmまでの範囲の厚さ(寸法)を有することができる。
【0025】
それに代わり、そして同じ利点を有し、第1の再生材料体及び/又は第2の再生材料体は、(好ましくは不規則な波形の)プレートとして、又は(好ましくは不規則な及び/又は不規則に波形の)プレートの破片(断片ないし板片)として構成されており、これらのプレート又は破片が溶融塩と接触状態にもたらされることも可能である。プレート又はプレートの破片は、有利には、0.1mmから10mmまでの範囲、特に0.1mmから3mmまでの範囲、又は0.1mmから0.8mmまでの範囲、又は0.3mmから0.8mmまでの範囲の厚さを有することができる。プレート又はプレートの破片の製造は、例えば、再生材料の圧延(ロールアウト)を含むことができる。この際、ローラは、好ましくは、プレート又はプレートの破片に対し、面的な互いの付着を不能とする構造を与えるために、滑らか(in glatt)である。
【0026】
それに代わり、そして同じ利点を有し、第1の再生材料体及び/又は第2の再生材料体は、繊維、特にガラス繊維の形態、又は繊維、特にガラス繊維から製造された少なくとも1つのフリースの形態、又は繊維ウール、特にガラスウールの形態で、溶融塩と接触状態にもたらされることが可能である。これらの繊維は、有利には、0.1mmから3mmまでの範囲、特に0.1mmから0.8mmまでの範囲、又は0.3mmから0.8mmまでの範囲の厚さを有することができる。
【0027】
格別優れた有利な一実施形態において、再生材料の少なくとも1つは、ガラスであるか、又はガラスを含む。このことは、特に再生材料体が、固体として、例えば、球体又はガラス繊維の形態で、或いはフリース又はガラスフリット又は焼結材料として、簡単に溶融塩と接触状態にもたらされ得るという利点を有する。例えば塩浴内に再生材料体を取り入れること、及び塩浴から再び取り出すことは、簡単であり且つ複雑でなく可能である。それに代わり、これらの再生材料体は、溶融塩の一部分が連続的に又は時間的に離間したインターバルで導かれる流路内に簡単に配置されることが可能である。
【0028】
再生材料がガラスに関するものならば、有利には、更に完全なリサイクル可能性がある。特に再生材料体は、その使用後に、他の用途のための原材料として又はガラス物体を製造するための原材料として使用されることが可能である。
【0029】
特に有利には、再生材料の少なくとも1つは、特に多孔質の、分相傾向(相分離傾向 Entmischungstendenz)を有するガラス系から成るガラスとしてよく、又は特に多孔質の、分相傾向(相分離傾向)を有するガラス系から成るガラスを含むことができる。特に再生材料の少なくとも1つは、二酸化ケイ素に富む、特に多孔質のガラスとしてよく、又は二酸化ケイ素に富む、特に多孔質のガラスを含むことができる。
【0030】
特殊な一実施形態において、再生材料の少なくとも1つは、VYCOR(登録商標)ガラスであるか、又はVYCORガラスを含む。VYCORガラスは、比較的低温で所定のプロセスにおいて製造される。通常は、石英ガラスの製造には、2000℃の温度が必要であるが、VYCORプロセスは、1000℃から1300℃までの温度での製造を可能にする。VYCORプロセスには、プロセスステップについて、特にベースガラスの溶融(三成分系の組成、例えば:M2O-B2O3-SiO2)、ベースガラスの成形、熱処理(時間依存及び温度依存)、成形体の表面のエッチング(フッ化水素酸、苛性ソーダ溶液、機械的)、洗浄プロセス(アルコール、水、希ソーダ溶液)、抽出プロセス(酸、無機塩溶液、90℃から100℃まで)、洗浄プレセス、乾燥プロセス、及び/又は焼結プロセス(1000℃から1300℃まで)を含む。焼結プロセスにおいて、多孔質ガラスは、多くの場合、30%の体積収縮のもと、透明で且つほぼ純粋なシリカガラスを焼結する。また有利には、VYCORガラス溶融物に酸化アルミニウムを添加することも可能であり、このことは、相分離プロセス及び浸出プロセス(脱塩プロセス)の制御にとって有利である。
【0031】
それに代わり又はそれに加え、有利には、再生材料の少なくとも1つは、非晶質のケイ酸を含むことができる。そのような再生材料から成る再生材料体は、これらが溶融塩の塩基度に対して反対に作用するという格別優れた利点を有する。この際、多孔質ガラスは、溶融塩に対する大きい接触面の格別優れた利点を有し、それにより大きい有効性を提供する。
【0032】
特に有利な一実施形態において、再生材料の1つは、カルシウムを溶融塩から吸収するように構成されている。ガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセスにおける化学的及び物理的な過程は、しばしばカルシウムにより妨げられることが分かった。この際、カルシウムは、多くの場合は、硬化すべき及び/又は強化すべきガラス物体に由来する。この理由から、カルシウムを溶融塩から取り除くか、又はカルシウムの含有量を減少させることは、有利である。特に有利には、再生材料の少なくとも1つは、例えば酸化カルシウムの形態でカルシウムを含むが、当該再生材料は、カルシウムを溶融塩中に放出しないように構成されていることができる。
【0033】
特に有利な一実施形態において、再生材料の1つは、リチウムを溶融塩から吸収するように構成されている。ガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセスにおける化学的及び物理的な過程は、しばしばリチウムにより妨げられ得ることが分かった。この際、リチウムは、多くの場合は、硬化すべき及び/又は強化すべきガラス物体に由来する。この理由から、リチウムを溶融塩から取り除くか、又はリチウムの含有量を減少させることは、有利である。特に有利には、再生材料の少なくとも1つは、リチウムを含むが、当該再生材料は、リチウムを溶融塩中に放出しないように構成されていることができる。
【0034】
格別優れた有利な一実施形態において、第1の再生材料は、カルシウムを溶融塩から吸収するように構成され、それに対し、第2の再生材料は、リチウムを溶融塩から吸収するように構成されている。この際、再生材料が直接的に互いに作用しないために、溶融塩を少なくとも1つの第1の再生材料体及び少なくとも1つの第2の再生材料体と順次に接触状態にもたらすことは、特に有利であることが分かった。しかし少なくとも1つの第1の再生材料体及び少なくとも1つの第2の再生材料体の同時の使用も、基本的に排除されていない。
【0035】
格別優れた有利な一実施形態において、再生材料の1つは、カリウム含有のケイ酸塩ガラス(シリケートガラス)、特にカリウム・アルミノ・ケイ酸塩ガラスである。この再生材料は、溶融塩の3つの極めて本質的な老化現象が回避されるか又は少なくとも大幅に先に遅らされ得るという格別優れた利点を有する。特に外来アルカリイオンの濃度の上昇が回避されるか又は少なくとも大幅に先に遅らされる。更に塩分解による溶融塩のpH値上昇が回避されるか又は少なくとも大幅に先に遅らされる。更にまた粒子状の汚染物が回避される。このことは特に、溶融塩の粒子状の汚染物が、溶融塩中でこの再生材料と接触状態になると直ちに結合されることによる。更にこの再生材料は、ガラス物体を硬化及び/又は強化するための装置に悪影響を及ぼすことはない。そのような再生材料は、特に硬化すべき及び/又は強化すべきガラス物体又は溶融塩と腐食反応を引き起こすことはない。特にこの再生材料はガラスに関するものなので、有利には、完全なリサイクル可能性がある。特にこの再生材料は、本発明によるその使用後に、特に簡単に、他の用途のための原材料として又はガラス物体を製造するための原材料として使用されることが可能である。例えばこの再生材料は、本発明によるその使用後に、まだ付着している塩が洗浄され、珪質の大量ガラスの製造のための原材料として使用されることが可能である。
【0036】
有利な一実施形態において、再生材料の少なくとも1つは、酸化カリウム以外で追加的に少なくとも1つの更なる酸化物、特に、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化硫黄、酸化カルシウムのグループからの少なくとも1つの更なる酸化物を含む原材料混合物から溶融されている。特に有利には、再生材料の少なくとも1つは、酸化カリウム以外で追加的に複数の酸化物、特に、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化硫黄、酸化カルシウムのグループからの複数の酸化物を同じ又は異なる割合で含む原材料混合物から溶融されていることができる。
【0037】
特に有利であり且つ効果的なのは、酸化ケイ素の割合を40質量パーセントから75質量パーセントまでの範囲、特に50質量パーセントから65質量パーセントまでの範囲、又は57.5質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されている、上記の種類の再生材料である。
【0038】
それに代わり又はそれに加え、有利には、再生材料の少なくとも1つは、酸化カリウムの割合を20質量パーセントから40質量パーセントまでの範囲、特に25質量パーセントから35質量パーセントまでの範囲、又は32.5質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されていることができる。
【0039】
それに代わり又はそれに加え、有利には、再生材料の少なくとも1つは、酸化アルミニウムの割合を1質量パーセントから10質量パーセントまでの範囲、特に2質量パーセントから6質量パーセントまでの範囲、或いは2.5質量パーセント又は5質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されていることができる。
【0040】
更にまたそれに代わり又はそれに加え、有利には、再生材料の少なくとも1つは、酸化カルシウムの割合を0質量パーセントから15質量パーセントまでの範囲、特に6質量パーセントから10質量パーセントまでの範囲、又は8質量パーセントで有する原材料混合物から溶融されていることができる。
【0041】
更にそれに代わり又はそれに加え、有利には、再生材料の少なくとも1つは、酸化ホウ素の割合を0質量パーセントから10質量パーセントまでの範囲で有する原材料混合物から溶融されていることができる。
【0042】
再生材料の少なくとも1つが少なくとも1つのアルカリ土類金属を含む一実施形態は、特に有利である。
【0043】
例えば、再生材料の少なくとも1つは、2.5質量パーセントの酸化アルミニウム、32質量パーセントの酸化カリウム、8質量パーセントの酸化カルシウム、並びに57.5質量パーセントの酸化ケイ素を含む原材料混合物から溶融されていることが可能である。汚染された溶融塩浴内に5パーセントの質量割合で導入されるそのような再生材料を用い、24時間以内に60%以上の初期ナトリウム含有量の低下が達成され得ることが分かった。
【0044】
例えば、再生材料の少なくとも1つは、5質量パーセントの酸化アルミニウム、32.5質量パーセントの酸化カリウム、8質量パーセントの酸化カルシウム、並びに54.5質量パーセントの酸化ケイ素を含む原材料混合物から溶融されていることが可能である。そのような再生材料は、特に良好にフリースの形態で、再生すべき溶融塩が連続的に又は時間的に離間したインターバル(断続的)で通流する別個の流路内で使用され得ることが分かった。
【0045】
特に有利には、極めて全般的に、第1の再生材料は、第1のイオン成分、例えばナトリウムイオンを溶融塩から吸収するように構成され、第2の再生材料は、第1のイオン成分とは異なる第2のイオン成分、例えばリチウムイオンを溶融塩から吸収するように構成されていることができる。
【0046】
少なくとも1つの第1の再生材料体及び/又は少なくとも1つの第2の再生材料体は、例えば、溶融塩を含む塩浴内に直接的に導入されるか、又は溶融塩が連続的に又は時間的に離間したインターバルで通流する流路内に配置されることが可能である。接触状態にもたらすことの手法に関して基本的な制限はない。
【0047】
それに代わり、そして特に有利には、少なくとも1つの第1の再生材料体は、容器内、特にかご又はふるい内に配置されて溶融塩と接触状態にもたらされることが可能であり、この際、容器は、第1の再生材料体が容器から漏れ出すことなく、溶融塩の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有する。それに代わり又はそれに加え、同様に有利には、少なくとも1つの第2の再生材料体は、容器内、特にかご又はふるい内に配置されて溶融塩と接触状態にもたらされることが可能であり、この際、容器は、第2の再生材料体が容器から漏れ出すことなく、溶融塩の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有する。そのような実施形態は、溶融塩と接触状態にもたらす場合の取り扱いを容易にし、また例えば粒体の形態又は多数の小さいスモールプレートの形態で、多数の小さい再生材料体の使用も可能とし、それにより結果として溶融塩に対する接触面として大きい表面が提供される。
【0048】
少なくとも1つの第1の再生材料体及び少なくとも1つの第2の再生材料体は、同時に溶融塩と接触状態にもたらされるべき場合には、共通の容器内に配置されていることが可能である。しかし好ましくは、少なくとも1つの第1の再生材料体及び少なくとも1つの第2の再生材料体は、それぞれ固有の容器内に配置されており、これらの容器は、別々に取り扱われ、特にまた順次に又は時間的にずらして溶融塩と接触状態にもたらされる。
【0049】
容器は、有利には例えば、ケージとして、かごとして、又はふるいとして構成されていることが可能である。好ましくは、容器は、特殊鋼(ステンレス鋼)から製造されている。このようにして、溶融塩、又は再生材料、或いは硬化すべき及び/又は強化すべきガラス物体との化学反応が回避される。
【0050】
常に溶融塩の別の部分を再生材料体と接触状態にもたらすために、再生材料体が特に連続的に又は時間的に離間したインターバルで溶融塩内において動かされると、特に有利である。それに代わり又はそれに加え、連続的に又は時間的に離間したインターバルで、それぞれ溶融塩の一部分が、ガラス硬化プロセス及び/又はガラス強化プロセスが行われる塩浴から取り出され、再生材料体の少なくとも1つと接触状態にもたらされ、特に流れ接触状態にもたらされることも可能であり、この際、それぞれ取り出された溶融塩の部分は、引き続き再び塩浴内に導入される。
【0051】
有利な一実施形態において、溶融塩の一部分は、連続的に又は時間的に離間したインターバルで、少なくとも1つの第1の再生材料体及び/又は少なくとも1つの第2の再生材料体が存在する流路(Kanal)を通って導かれる。
【0052】
溶融塩は、特にカリウム及び/又は硝酸カリウムを含むことができるか、或いは(不純物ないし汚染物は除いて)硝酸カリウム又は硝酸カリウムとの混合物から成ることができる。
【0053】
既述したように、ガラス物体を硬化及び/又は強化するための方法であって、ガラス物体が溶融塩と接触状態にもたらされ、この際、溶融塩が連続的に又は、特に規則的な、時間的な間隔を置いて本発明による方法を用いて再生される方法は、特に有利である。このようにして有利には、溶融塩の品質が多数のガラス硬化過程及び/又はガラス強化過程のために維持され続け、変動がなく又は僅かな変動しか受けないことを達成することができる。
【0054】
この際、有利には特に、少なくとも1つの第1の再生材料体及びガラス物体は、これらが同時に又は少なくとも時間的に重複して溶融塩と接触状態にあるように、溶融塩と接触状態にもたらされることが考慮されている。それに代わり又はそれに加え、少なくとも1つの第2の再生材料体及びガラス物体は、これらが同時に又は少なくとも時間的に重複して溶融塩と接触状態にあるように、溶融塩と接触状態にもたらされることが考慮されている。このようにして溶融塩の品質の変動は、回避されるか又は少なくとも低いレベルに保たれる。
【0055】
ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置は、少なくとも1つの第1の再生材料体を含み且つ溶融塩内に取り入れ可能な又は取り入れられた第1の容器を有し、この際、第1の容器は、溶融塩の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有する。それに代わり又はそれに加え、本装置は、少なくとも1つの第2の再生材料体を含み且つ溶融塩内に取り入れ可能な又は取り入れられた第2の容器を有し、この際、第2の容器は、溶融塩の融解した塩が通流できる少なくとも1つの開口部を有する。
【0056】
容器内に配置された再生材料体が十分な再生能力をもはやもたらさない場合には、容器を、少なくとも1つのフレッシュな再生材料体を有する他の(好ましくは同じ)容器と交換することは、有意義である。この場合には(少なくとも互いに)同じに構成されている複数の第1の容器が設けられていること、及び/又は(少なくとも互いに)同じに構成されている複数の第2の容器が設けられていることは、有利である。特に第1の容器及び/又は第2の容器は、交換可能なカートリッジとして構成されていることが可能である。
【0057】
本装置は、特に少なくとも1つの第1の再生材料体を有する第1の容器を受容するための第1の受容部を有することができる。それに代わり又はそれに加え、本装置は、少なくとも1つの第2の再生材料体を有する第2の容器を受容するための第2の受容部を有することができる。第1の受容部及び/又は第2の受容部は、溶融塩が通流する流路の一部分としてよい。
【0058】
第1の容器及び第2の容器は、有利には、特に形状及び/又は大きさに関し、異なって構成されていることが可能である。そのような構成は、容器を交換する際の誤った取り違えが回避されるという格別優れた利点を有する。このことは、特に(例えばその形状及び/又は大きさに基づき)受容部が、第1の容器は第2の受容部に挿入不能であり及び/又は第2の容器は第1の受容部に挿入不要であるように構成されていることにより支援され得る。
【0059】
極めて全般的に有利には、再生材料体は、連続的に又は時間的に離間したインターバルで溶融塩と接触状態にもたらされることが考慮されている。このことは、例えば、再生すべき溶融塩が設けられた槽体(浴槽)内に再生材料体が取り入れられることにより行うことができる。もしも、常に溶融塩の別の部分が再生材料体と接触状態となるために、再生材料体及び溶融塩が相対的に互いに動かされると、再生材料体は、特に効果的である。本発明による装置は、この点に関して有利には、再生材料体の少なくとも1つを連続的に又は時間的に離間したインターバルで溶融塩内において動かす及び/又は溶融塩内に移動させる運動装置を有することができる。
【0060】
それに代わり、既述したように、再生材料体の少なくとも1つは、再生すべき溶融塩が連続的に又は時間的に離間したインターバルで通流する別個の流路内に配置されることも考慮されている。本発明による装置は、有利には、該流路を通して溶融塩をポンピングするためのポンプを有することができる。好ましくは、該流路は、該流路内の溶融塩の温度低下、従って該流路内の溶融塩の凝固を回避するために、能動的に加熱されている。
【0061】
図面には、本発明の対象が例示で概要的に図示されており、以下、それらの図面に基づき本発明の対象を説明するが、この際、同様の又は同様に作用する要素には、異なる実施例においても、大部分は同じ参照符号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第1実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図2】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第1実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図3】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第1実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図4】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第1実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図5】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第2実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図6】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第2実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図7】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第2実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図8】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第2実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図9】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第2実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図10】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第2実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の一状況において示す図である。
【
図11】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第3実施例を示す図である。
【
図12】ガラス物体を硬化及び/又は強化するための本発明による装置の第4実施例を示す図である。
【実施例】
【0063】
図1~
図4は、ガラス物体2(ここでは単に一例のワイングラスとして図示されている)を硬化及び/又は強化(強固化)するための本発明による装置1の第1実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の様々な状況において示している。
【0064】
装置1は、溶融塩4を有する槽体3を有し、溶融塩4内へ、硬化及び/又は強化すべき少なくとも1つのガラス物体2を有する支持体5が、下降運動を用いて浸漬可能であり、その後、支持体5は、溶融塩4から上昇運動を用いて再び取り出し可能である。
【0065】
装置1は、複数の第1の再生材料体7が配置されている第1の容器6を有する。第1の容器6は、複数の開口部を有し、溶融塩4は、これらの開口部を通って流れることができるが、第1の再生材料体7がこれらの開口部を通って漏れ出すことはない。第1の容器6は、特に閉鎖可能な蓋を備えたかごとして、又は閉鎖可能な蓋を備えた閉じたふるいとして構成されていることが可能である。
【0066】
更に装置1は、複数の第2の再生材料体9が配置されている第2の容器8を有する。第2の容器8は、複数の開口部を有し、溶融塩4は、これらの開口部を通って流れることができるが、第2の再生材料体9がこれらの開口部を通って漏れ出すことはない。第2の容器8は、特に閉鎖可能な蓋を備えたかごとして、又は閉鎖可能な蓋を備えた閉じたふるいとして構成されていることが可能である。
【0067】
第1の再生材料体7は、第1の再生材料から成り、それに対し、第2の再生材料体9は、第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る。
【0068】
槽体3内には、複数の案内レール11を有する案内装置10が配設されている。案内装置10は、支持体5並びに第1の容器6及び第2の容器8を、下降運動ないし上昇運動の間、案内する。
【0069】
図1は、支持体5の下降運動の実行前の状況を示している。この状況において第1の容器6及び第2の容器8は、第1の機能ポジション12にある。第1の容器6及び第2の容器8は、水平方向において案内装置10により、垂直方向においてばね装置13を用いて第1の機能ポジション12に保持される。ばね装置13は、一方では、槽体3の底部において抗支され、他方では、第1の容器6の底部及び第2の容器8の底部において抗支される。
【0070】
図2は、下降運動中の状況を示している。支持体5は、例えば(非図示の)ロボット又は(非図示の)搬送装置を用い、案内装置10上へ、それから垂直方向において下方に動かされ、それにより支持体5は、案内装置10と有効接触状態となり、更なる垂直運動の間、案内レール11により案内される。支持体5は、その下降運動により第1の容器6及び第2の容器8を、第1の容器6及び第2の容器8が第2の機能ポジション14に達するまで、ばね装置13の力に抗して第1の機能ポジション12から下方に押し下げる。
図3にはこのことが図示されている。
【0071】
支持体5が硬化すべき及び/又は強化すべきガラス物体2とともに再び溶融塩4から取り出される(非図示の)上昇運動では、第1の容器6及び第2の容器8は、これらが再び第1のポジション12に達するまで、ばね装置13により第2のポジション14から再び上方に押し上げられる。
図4にはこのことが図示されている。そして支持体5は、新たに(ガラス物体2が)装備(装填)されて再び下降されるか、又は新たに装備された次の支持体5が下降されることが可能である。各下降運動時及び各上昇運動時には、その都度、溶融塩4の一部分が第1の容器6の開口部及び第2の容器8の開口部を通って流れ、それにより第1の再生材料体7及び第2の再生材料体9と接触状態になる。またそれにより溶融塩4は攪拌されるので、槽体3内の全ての内容物質の均質な分布が達成される。
【0072】
図5~
図10は、ガラス物体2を硬化及び/又は強化するための本発明による装置1の第2実施例を、本発明による方法の一実施例の実行時の様々な状況において示している。
【0073】
装置1は、溶融塩4を有する槽体3を有し、溶融塩4内へ、硬化及び/又は強化すべき少なくとも1つのガラス物体2を有する支持体5が、下降運動を用いて浸漬可能であり、その後、支持体5は、溶融塩4から上昇運動を用いて再び取り出し可能である。
【0074】
装置1は、複数の第1の再生材料体7が配置されている第1の容器6を有する。第1の容器6は、複数の開口部を有し、溶融塩4は、これらの開口部を通って流れることができるが、第1の再生材料体7がこれらの開口部を通って漏れ出すことはない。第1の容器6は、特に閉鎖可能な蓋を備えたかごとして、又は閉鎖可能な蓋を備えた閉じたふるいとして構成されていることが可能である。
【0075】
更に装置1は、複数の第2の再生材料体9が配置されている第2の容器8を有する。第2の容器8は、複数の開口部を有し、溶融塩4は、これらの開口部を通って流れることができるが、第2の再生材料体9がこれらの開口部を通って漏れ出すことはない。第2の容器8は、特に閉鎖可能な蓋を備えたかごとして、又は閉鎖可能な蓋を備えた閉じたふるいとして構成されていることが可能である。
【0076】
第1の再生材料体7は、第1の再生材料から成り、それに対し、第2の再生材料体9は、第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る。
【0077】
槽体3内には、複数の案内レール11を有する案内装置10が配設されている。案内装置10は、支持体5並びに第1の容器6及び第2の容器8を、下降運動ないし上昇運動の間、案内する。この実施例において案内装置10は、第1の容器6及び第2の容器8が支持体5を用いて能動的に上方に引き上げられないのであれば、又は能動的に下方に押し下げられないのであれば、第1の容器6及び第2の容器8がそれらのその都度の現在の垂直ポジションに位置固定されたままであるように構成されている。
【0078】
図5は、支持体5の下降運動の実行前の状況を示している。この状況において第1の容器6及び第2の容器8は、第1の機能ポジション12にある。第1の容器6及び第2の容器8は、水平方向及び垂直方向において案内装置10により第1の機能ポジション12に保持される。
【0079】
第1の容器6及び第2の容器8は、連結要素15を有し、支持体5は、対向連結要素16を有し、これらを用い、第1の容器6及び第2の容器8は、再び取り外し可能に支持体5に固定可能である。特に有利には、支持体5が第1の容器6及び第2の容器8上に載置されるときに、連結要素15及び対向連結要素16を用いたロック接続が、特に自動的に又は外部から制御されて、確立されることが考慮されている。更にそれに代わり又はそれに加え、有利には、第1の容器6及び第2の容器8が上昇運動後に第1の機能ポジション12又はメンテナンスポジション17に達したときに、ロック接続が自動的に又は外部から制御されて解除されることが考慮されており、このことは、後続段落で詳細に説明される。
【0080】
支持体5は、例えば(非図示の)ロボット又は(非図示の)搬送装置を用い、案内装置10上へ、それから垂直方向において下方に動かされ、それにより支持体5は、案内装置10と有効接触状態となり、更なる垂直運動の間、案内レール11により案内される。支持体5は、その下降運動により第1の容器6及び第2の容器8を、第1の容器6及び第2の容器8が第2の機能ポジション14に達するまで、第1の機能ポジション12から下方に押し下げる。
図6にはこのことが図示されており、
図6は、下降運動の実行後の状況を示している。
【0081】
図7は、上昇運動中の状況を示しており、上昇運動時に支持体5は、硬化すべき及び/又は強化すべきガラス物体2とともに再び溶融塩4から取り出される。この際、支持体5は、第1の容器6及び第2の容器8が第1の機能ポジション12に達するまで、連結要素15及び対向連結要素16を用いて連結された第1の容器6及び第2の容器8を同時に上方に引き上げる。
【0082】
引き続き、連結要素15及び対向連結要素16の有効接続が解除され、支持体5を取り外すことができる。そして支持体5は、新たに(ガラス物体2が)装備されて再び下降されるか、又は新たに装備された次の支持体5が下降されることが可能である。各下降運動時及び各浮上運動時には、その都度、溶融塩4の一部分が第1の容器6の開口部及び第2の容器8の開口部を通って流れ、それにより第1の再生材料体7及び第2の再生材料体9と接触状態になる。またそれにより溶融塩4は攪拌されるので、槽体3内の全ての内容物質の均質な分布が達成される。
【0083】
再生材料9は、例えば、予設定された又は予設定可能な所定数の硬化過程及び/又は強化過程後に交換されなくてはならない。交換を行うことができるために、第1の容器6及び第2の容器8は、溶融塩4の外側のメンテナンスポジション17に移行される。この目的のために、支持体5に対する第1の容器6及び第2の容器8の連結は、上昇運動後も解除されず、それにより支持体5は、第1の容器6及び第2の容器8を、第1の機能ポジション12を越えて溶融塩4からメンテナンスポジション17に引き上げることができる。
図9にはこのことが図示されている。引き続き、連結要素15及び対向連結要素16の有効接続が解除され、支持体5を取り外すことができる。
【0084】
使用済みの第1の再生材料体7及び/又は使用済みの第2の再生材料体9は、メンテナンスポジション17にある第1の容器6及び第2の容器8から取り出されることが可能であり、新しい第1の再生材料体7及び/又は新しい第2の再生材料体9を充填することができる。或いはまた第1の容器6を、既にフレッシュな第1の再生材料体7で満たされた第1の容器6と交換すること、及び/又は第2の容器8を、既にフレッシュな第2の再生材料体9で満たされた第2の容器8と交換することも可能である。そのために有利には、それぞれの容器6、8がメンテナンスポジション17から取り外され、新しい再生材料体7、9で満たされた容器6、8がメンテナンスポジション17にもたらされることが考慮されている。
【0085】
引き続き、第1の容器6及び第2の容器8は、再び支持体5に連結され、溶融塩4内に移行されることが可能である。
【0086】
図11は、(
図11では非図示の)ガラス物体2を硬化及び/又は強化するための本発明による装置1の第3実施例を示し、装置1は、溶融塩4を有する槽体3を有する。溶融塩4は、例えば硝酸カリウムを含むか、又は例えば硝酸カリウムから成る。
【0087】
装置1は、運動装置18を有する。運動装置18は、複数の第1の再生材料体7が配置されている第1の容器6を支持する第1のロボットアーム19を有する。更に運動装置18は、複数の第2の再生材料体9が配置されている第2の容器8を支持する第2のロボットアーム20を有する。或いはまた、唯一のロボットアームが同時に又は相前後して第1の容器6及び第2の容器8を取り扱うことも可能である。
【0088】
第1の容器6及び第2の容器8は、複数の開口部を有し、溶融塩4は、これらの開口部を通って流れることができる。第1の再生材料体7は、第1の再生材料から成り、それに対し、第2の再生材料体9は、第1の再生材料とは異なる第2の再生材料から成る。
【0089】
第1の容器6の開口部は、第1の再生材料体7がこれらの開口部を通過することができないように寸法決定されている。第2の容器8の開口部は、第2の再生材料体9がこれらの開口部を通過することができないように寸法決定されている。
【0090】
運動装置18を用い、第1の容器6は、溶融塩4内に下降(浸漬)される。更に運動装置18は、第1の容器6を溶融塩4内において動かすことができ、このことは、第1の再生材料体7の作用を高める。また運動装置18を用い、第2の容器8も、溶融塩4内に下降(浸漬)される。また運動装置18は、第2の容器8を溶融塩4内において動かすことができ、このことは、第2の再生材料体9の作用を高める。運動装置18は、第1の容器6及び第2の容器8が時間的に離間して溶融塩4と接触状態にもたらされるように制御されていることが可能である。しかしまた、第1の容器6及び第2の容器8が同時に又は時間的に重複(オーバラップ)して溶融塩4と接触状態にもたらされることも可能である。
【0091】
図12は、(
図12では非図示の)ガラス物体2を硬化及び/又は強化するための本発明による装置1の第4実施例を示し、装置1は、溶融塩4を有する槽体3を有する。溶融塩4は、例えば硝酸カリウムを含むか、又は(汚染物は除いて)硝酸カリウムから成る。
【0092】
槽体3は、2つの箇所で流路21に接続されており、流路21内には、ポンプ22が設けられている。ポンプ22を用い、その都度、溶融塩4の一部分が槽体3から取り込まれ、流路21の通過後に再び槽体3に供給される。流路21は、流路21内の溶融塩4の温度低下、従って流路21内の溶融塩4の凝固を回避するために、加熱線(加熱ワイヤ)23を用いて能動的に加熱される。
【0093】
流路21内には、少なくとも1つの第1の再生材料体7を有する第1の容器6を受容するための第1の受容部24が設けられている。更に流路21内には、少なくとも1つの第2の再生材料本体9を有する第2の容器8を受容するための第2の受容部25が設けられている。
【0094】
更に装置1は、第1の再生材料体7を有する複数の更なる第1の容器6、並びに第2の再生材料体9を有する複数の更なる第2の容器8を有し、これらは、それぞれ第1の受容部24ないし第2の受容部25内にある第1の再生材料体7ないし第2の再生材料体9が使用済である場合に、それぞれの受容部24、25内に取り入れられることが可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 装置
2 ガラス物体
3 槽体
4 溶融塩
5 支持体
6 第1の容器
7 第1の再生材料体
8 第2の容器
9 第2の再生材料体
10 案内装置
11 案内レール
12 第1の機能ポジション
13 ばね装置
14 第2の機能ポジション
15 連結要素
16 対向連結要素
17 メンテナンスポジション
18 運動装置
19 第1のロボットアーム
20 第2のロボットアーム
21 流路
22 ポンプ
23 加熱線
24 第1の受容部
25 第2の受容部
【国際調査報告】