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特表2024-528752金属製の圧延材の熱間圧延のための方法および設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-31
(54)【発明の名称】金属製の圧延材の熱間圧延のための方法および設備
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/22 20060101AFI20240724BHJP
   B21B 29/00 20060101ALI20240724BHJP
   B21B 31/18 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B21B1/22 M
B21B29/00 A
B21B31/18
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024504880
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2022070917
(87)【国際公開番号】W WO2023006731
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021208149.5
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ディール・クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AD01
4E002BB13
4E002BB15
4E002BC05
4E002CA08
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、圧延ライン内において配置された多数の圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法に関し、この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、前記圧延材が、前記圧延ライン内において、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延される前記方法において、前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積への前記厚さ減少が、専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成される。本発明は、更に、この方法の実施のための熱間圧延設備に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法であって、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延される前記方法において、
前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積への前記厚さ減少が、
専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
圧延材として、インゴット鋳造法または連続鋳造法によって得られた、550mm以上の厚さを有するスラブの形態での半製品が準備されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積までの前記厚さ減少は、前記圧延材の唯一の熱さにおいて達成されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有する、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有するワークロール対を有する圧延装置の専らの使用によって行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも900mm、有利には、少なくとも1000mmの最大のロール上行過程を有する圧延装置の使用によって行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記圧延材の前記目標断面積の目標厚さに対する、前記圧延材の初期断面積の初期厚さの比率は、2と5との間、有利には、2と3との間であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を有する、少なくとも1つの圧延装置(1)の使用によって行われる方法であって、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)が調節される際に、前記第1の曲げ装置の前記曲げアーム(16)は、前記上側のワークロール(4)を連行することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
有利には請求項1から8のいずれか一つに記載の方法の実施のための熱間圧延設備であって、
唯一の圧延装置、または、1つの圧延ライン内において、有利には直接的に相前後して配置されている唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置が設けられており、
、前記圧延ラインが、唯一の圧延スタンドタイプの、専ら同種の圧延装置によって形成されることを特徴とする熱間圧延設備。
【請求項10】
前記圧延ライン内におけるこれら圧延装置の、少なくとも1つの圧延装置は、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有する、ワークロール対と共に、有していることを特徴とする請求項9に記載の熱間圧延設備。
【請求項11】
少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を有する、少なくとも1つの圧延装置(1)が設けられており、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能である、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の熱間圧延設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法に関し、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延される。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、平板状または板形状の金属厚板は、しばしば、熱間圧延によって、比較的に大きな初期厚さもしくは大きな初期断面積を有する連続鋳造スラブから製造される。金属厚板製造の際に、形状賦与のため、しかしながら同様に金属板の機械的-工業技術的な特性の達成のため、種々のプロセスステップが必要である。
圧延機内において、先ず第一に、原材料としてのスラブは加熱され、且つ、板金パネルへと圧延される。約200mmまでの最終圧延厚さのために、その際、典型的に300から500mmまでの厚さを有するスラブが使用される。
大抵の場合に、連続鋳造スラブが圧延され、これら連続鋳造スラブは、前配置された製鋼所から提供されるか、または、追加購入される。選択的に、スラブは、約1000mmまでの厚さを有する鋳造されたインゴットから圧延される。
【0003】
例えば厚い金属板の製造のための、高い初期厚さを有するインゴットまたはスラブを圧延することの必要条件に基づいて、これらインゴットまたはスラブは、先ず第一に、いわゆる粗圧延スタンド内において、最初の厚さ低減を被らせる。
粗圧延スタンドは、通常は、圧延材のより大きなイニシャルパス断面積を圧延可能とすることのために構成されている。これら粗圧延スタンドが、1つの圧延ライン内における粗圧延スタンド群内において配置されていることは可能であり、且つ、ワークロールの大きなロール上行過程が保証されているように用意されていることは可能である。
後続する製造ステップにおいて、スラブは、いわゆる仕上げ圧延スタンド内において、所望された目標厚さへと圧下圧延される。その際、圧延ロール間隙の厚さおよび輪郭の調節のための適当な処置によって、仕上げ製品のために要求される厚さ公差および所望された平坦度を保障することの課題が、仕上げ圧延スタンドに与えられる。
【0004】
そのような圧延ラインの構造は、異なる圧延スタンドタイプを有する、異なる少なくとも2つの圧延装置の準備を含む。そのように用意される製造ライン/圧延ラインのための投資コストは高い。メンテナンスおよび保守のために、相応して高い手間暇が必要である。
【0005】
変形工程のための所望された温度範囲を保持するために、互いの、粗圧延スタンドと仕上げ圧延スタンドとの数および間隔に応じて、圧延材をその間に加熱する必要がある。
このことから、高いエネルギー消費量が与えられる。
【0006】
圧延ラインの生産性を改善するために、基本的に、可能な限り大きなイニシャルパス断面積を有する半製品を加工することは望ましい。
この目的のために、例えば、特許文献1内において、1つの方法が提案され、この方法において、加熱された圧延材が、圧延ラインと反対の方に向けられた側における圧延ラインの延長部内において、プッシャー炉から、可逆パス内において、連続的または半連続的な圧延ラインのイニシャルパス断面積へと圧下圧延され、且つ、このプッシャー炉を通っての貫通案内のもとで、圧延ラインの第1の圧延スタンド内において、イニシャルパスさせられる。
【0007】
ワークロール-曲げシステム、および、移動システムを有する、ワークロールの高い上行過程を有する圧延スタンドは、従来技術において、例えば特許文献2から、基本的に公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第28 32 073 A号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/18710号 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底をなす課題は、金属板の製造のための経済的な圧延方法を提供することであり、調達の際の少ない投資コストと並んで、少ないエネルギー消費量によって、および、従って、減少されたCO放出によっても特徴付けられている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の根底をなす課題は、請求項1および9の特徴によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項から与えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の観点は、少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法に関し、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、圧延ライン内において、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延され、
その際、前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積への前記厚さ減少が、
専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成される。
【0012】
本発明は、本発明に従い大きな初期断面積と大きな初期厚さとを有する半製品が、ただ、唯一の圧延スタンド、または、専ら、同じタイプの圧延スタンド内において、イニシャルパス断面積もしくはイニシャルパス厚さから目標厚さへと仕上げ圧延され、その際、本発明に従い、粗圧延スタンドおよび仕上げ圧延スタンドへの、圧延ラインの分割が意図されていないことによって要約され得る。
このことによって、圧延設備のための投資コストは、明確に低減され得る。
【0013】
合目的に、圧延材として、インゴット鋳造法または連続鋳造法によって得られた、550mm以上の厚さを有するスラブの形態での半製品が準備される。
【0014】
本発明の範囲内において、前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積までの圧延材の前記厚さ減少が、前記圧延材の唯一の熱さにおいて達成される場合、即ち、全ての圧延パスが、圧延材の更なる加熱無しに、所望された温度範囲内において実施されることは、有利である。
【0015】
本発明に従う方法の有利な変形例は、特徴的に、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有する、
および、更に有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形の研磨を有する、少なくとも1つのワークロール対を有する圧延装置の専らの使用によって構成されている。
ワークロールの逆方向の移動によって、圧延ロール間隙の連続的に可変な輪郭の効果が得られる。
【0016】
このことによって、圧延ロール間隙輪郭の合目的な調整は、最初の圧延スタンドから最後の圧延スタンドまで、もしくは、最初の圧延装置から最後の圧延装置まで、1つの圧延ライン内において実施され得る。このことによって、より高いパス厚減少率もしくは厚さ減少が達成され、これによって、総じて、圧延ライン内において必要とされる圧延装置の数が減少される。
【0017】
合目的に、この方法は、少なくとも900mm、有利には、少なくとも1000mmの最大のロール上行過程を有する圧延装置の使用によって特徴付けられている。
【0018】
特に150mmおよびそれ以上の最終圧延厚さを有する、厚い金属板の圧延のために、圧延材の高い初期厚さは必要である。何故ならば、この金属板の良好なコア性状のために、最終圧延厚さに対する初期厚さの所定の比率を下回るべきではないからである。
それ故に、本発明に従う方法が、前記圧延材の前記目標断面積の目標厚さに対する、前記圧延材の初期断面積の初期厚さの比率(変形度合い)は、2と3との間、有利には、2と5との間であることを意図する場合、有利である。
【0019】
本発明に従い、この方法は、
少なくとも1つの上側および下側のワークロール、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロールを有する、少なくとも1つの圧延装置の使用によって行われる方法を含み、
前記ワークロールと、前記バックアップロールとが、共通の圧延スタンド内において支承されており、
前記ワークロールが、予め設定された圧延ロール間隙の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロールが、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロールに割り当てられており、および、1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロールに割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダーを備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロールが、前記第1の曲げ装置を用いて、圧延パスの間の前記圧延ロール間隙の前記高さの垂直方向の調節のために、後調節可能または連行可能である。
本発明に従う圧延装置は、特に、前記第1の曲げ装置が曲げアームを備えており、これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダーと協働し、且つ、前記ワークロールが、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であることによって特徴付けられている。
【0020】
本発明の趣旨において、曲げアームのもとで、1つの結合要素が理解され得、この結合要素が、曲げシリンダーからワークロールチョックに対する曲げ力の作用箇所への空間的な分離を架橋する。第2の曲げ装置からの、第1の曲げ装置の構造的および空間的な分離によって、900mm、有利には1200mm、特に有利には1350mmの最大のロール上行過程は可能である。
【0021】
圧延ロール間隙の調節の際の、上側のワークロールの連行のために、第1の曲げ装置の昇降ストロークは、圧延ロール間隙の高さの、垂直方向の調節の移動道程に追従し、従って、圧延工程のために、上側のワークロールとワークロールとの間の輪郭が、保障されている。その際、第1の曲げ装置は、構造的に、ロール位置調節装置から分離されている。
【0022】
本発明に従う方法のために使用される圧延スタンドにおいて、基本的に、上側のバックアップロールのためのバランスシステムからの、上側のワークロールのための曲げ装置の分離は、意図されている。第1の曲げ装置の曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に、且つ、有利には、明確にワークロールチョックの上方で、配置されていることによって、圧延スタンド台架窓部内において、比較的に高いロール上行過程が、このワークロールチョックのガイドの際に保証されている。
この分離によって、メンテナンスの目的のための、両方の装置のアクセス可能性は容易化される。
【0023】
合目的に、前記圧延ロール間隙の前記高さが垂直方向に調節される際に、前記第1の曲げ装置の前記曲げアームが、前記上側のワークロールを連行することは意図されている。
【0024】
圧延ロール間隙の高さは、圧延開始(圧延パス)の以前に予調節される。この目的のために、上側に位置しているロール位置調節装置は、上側のバックアップロールを、その位置において上側のロール位置調節装置がバックアップロールバランスによって重力に抗して保持される、該位置へと移動する。
上側のワークロールは、この水平方向の移動に追従し、その際、この上側のワークロールが、曲げ装置のアームによって保持される。曲げシリンダー、および、これに伴って、同様に上側のワークロールも、これら圧延パスの間、先ず第一に、上側のバックアップロールの移動に追従する。
曲げシリンダーの付加的な昇降ストロークは、ワークロールの曲げ、および、これに伴って、このパスの間じゅうの圧延ロール間隙の輪郭の所望された調整を生じさせる。付加的に、圧延ロール間隙輪郭は、反らされたワークロールの軸線方向の移動によって調整され得る。
【0025】
本発明の更なる観点は、特に本発明に従う方法の実施のための熱間圧延設備に関している。
この熱間圧延設備は、唯一の圧延装置、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置のよって特徴付けられており、
前記圧延装置が、1つの圧延ライン内において、有利には直接的に相前後して配置されており、前記圧延ラインが、唯一の圧延スタンドタイプの、専ら同種の圧延装置によって形成される。
本発明の趣旨における「直接的に相前後して」は、個々の圧延スタンドの間に、炉またはその種の他の物のような、機構ユニットが配置されていないことを意味する。但し、これら圧延スタンドの間に、圧延材のためのサイドガイド装置が設けられていることは可能である。
【0026】
有利には、これら圧延装置の内の少なくとも1つの圧延装置は、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有して、および、
更に有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形の研磨を有する、少なくとも1つのワークロール対を有して形成されている。
【0027】
前記で説明された様式の熱間圧延設備は、有利には、
少なくとも1つの上側および下側のワークロール、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロールを有する、少なくとも1つの圧延装置が設けられており、
前記ワークロールと、前記バックアップロールとが、共通の圧延スタンド内において支承されており、
前記ワークロールが、予め設定された圧延ロール間隙の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロールが、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロールに割り当てられており、1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロールに割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダーを備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロールが、前記第1の曲げ装置を用いて、圧延パスの間の前記圧延ロール間隙の前記高さの垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能である。
本発明に従う圧延装置は、特に、前記第1の曲げ装置が曲げアームを備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダーと協働し、且つ、
前記ワークロールが、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であることによって、特徴付けられている。
【0028】
本発明を、以下で、図内において図示された実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に従う圧延設備の概略図である。
図2】ワークロール対とバックアップロール対とを有する圧延装置の第1の変形例の長手方向断面図であり、この圧延装置が本発明に従う圧延方法において使用される。
図3図1内における線B-Bに沿っての横断面図であり、この横断面図が、上側のワークロールのための軸線方向移動装置の第1の変形例を示している。
図4図3に相応する図であり、この図が、上側のワークロールのための軸線方向移動装置の第2の変形例を示している。
図5】第2の変形例に従う、圧延装置の長手方向断面図である。
図6図5内における圧延装置の上側の横方向ヘッドの横断面図であり、この図が、上側の曲げ装置の曲げシリンダーの固定の選択的な実施形態を図示している。
図7図6内における線B-Bに沿っての横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
先ず第一に、図1が引き合いに出される。唯一の圧延装置1を備える圧延設備100のレイアウトが図示されており、150mm以上の厚さを有する半製品が、圧延材として、供給ローラーテーブル101を介して供給される。圧延材は、複数のパスを有する可逆的に作動される圧延装置1内において、例えば5mmの最終厚さまでに低減される。
圧延材の幅は、この圧延装置1の後方の、圧延ライン内において配置されたエッジャー102を介して設定される。出側ローラーテーブル103を介して、完成した状態に圧延された製品は、先ず第一に、予矯正機械104内へと到達し、且つ、次いで、熱間矯正機械105内へと到達する。圧延装置1の手前での原材料のスケール除去のため、並びに、完成した状態に圧延された製品の冷却のための通常の機構ユニットは、この実施例内において、より詳細には表示されていない。
【0031】
図2は、本発明に従う方法における、および、圧延設備内での使用のための圧延装置1を示している。圧延装置1は、2つのワークロール3および4と、2つのバックアップロール5、6とを有する圧延スタンド2を備えている。
実施例内において記載される圧延スタンド2は、4重式圧延スタンドとして形成しており、この4重式圧延スタンドが、しかしながら、同様に他の構成を有することも可能である。ワークロール3とワークロール4との間に、圧延ロール間隙7が形成されており、この圧延ロール間隙7内に、圧延装置1の作動の際に、圧延材が引き込まれる。
同様にロール上行過程とも称される、圧延ロール間隙7の高さ8は、本発明に従う圧延装置1において、しかも、上側のロール位置調節装置28と、図示されていない下側のロール位置調節装置とを介して位置調節可能である。
更に、ワークロール3、4は、以下で更に説明されるように、同様に軸線方向にも位置調節可能であり、従って、ワークロール3、4の互いに相対的な軸線方向位置調節を介して、圧延ロール間隙7の輪郭の調整も可能である。
【0032】
ワークロール3、4とバックアップロール5、6とは、圧延スタンド2内において保持されており、この圧延スタンドが、2つの圧延スタンド台架31を、1つの圧延スタンド台架を操作側で、および、1つの圧延スタンド台架を駆動側で備えている。これら圧延スタンド台架31は、閉鎖されたフレームとして構成されており、これら圧延スタンド台架内において、全ての圧延力が、内部の力を介して平衡状態において保持される。
圧延スタンド2は、バックアップロールチョック9、10とワークロールチョック11、12とを収容しており、これらが、それぞれに、圧延スタンド台架によって形成された窓部32の内側で、移動可能に配置されている。バックアップロールチョック9、10は、下側のバックアップロール5と上側のバックアップロール6とを支承し、その際、図内において図示されたバックアップロールチョック10が上側のバックアップロール6を、および、バックアップロールチョック9が下側のバックアップロール5を支承している。
【0033】
バックアップロールチョック9とバックアップロールチョック10との間に、ワークロールチョック11と、ワークロールチョック12とが配置されており、これらワークロールチョックの内部にワークロール3、4が支承されている。上側のワークロールチョック12は、上側のワークロール4を支承し、他方、下側のワークロールチョック11が下側のワークロール3を支承している。
【0034】
下側のワークロール3を収容するワークロールチョック11は、位置固定式のブロック13内において、移動可能に配置されている。
下側のワークロール3を曲げ可能とするために、これらブロック13は、曲げシリンダー14を収容しいる。下側のワークロール3のための下側のワークロールチョック11に対して作用する、これら曲げシリンダー14は、下側の第2の曲げ装置の一部である。
これらブロック13に対して選択的に、圧延スタンド2は、同様に曲げシリンダー14の収容のための肉厚部を有していることも可能である(図示されていない)。
【0035】
上側のバックアップロール6のためのバックアップロールチョック10において、バランスアーム33が係合しており、これらバランスアームを介して、図示されていないバランスシリンダーを用いて、バックアップロール6の自重が補償可能である。バランスアーム33は、この目的のために、フック形状の肉厚部を備えており、これら肉厚部が、バックアップロールチョック10の相応する突出部を下側から係合している。
【0036】
上側のワークロール4の、ワークロール曲げ及び/またはワークロールバランスは、曲げシリンダー15を介して実現され、これら曲げシリンダーが、曲げアーム16を介して、上側のワークロール4と作用結合されている。曲げシリンダー15と曲げアーム16とは、上側の第1の曲げ装置の一部である。
これら曲げシリンダー15は、圧延スタンド台架31の上側の横方向ヘッド34において、位置固定式に支承されているか、もしくは、この圧延スタンド台架31の上側の横方向ヘッド34の上に支持されており、且つ、この圧延スタンド台架31の切欠き部35を貫通している。これら曲げシリンダー15は、基本的に、垂直方向に延在している。
これら曲げシリンダー15の延長部内において、この曲げシリンダーに、曲げアーム16が固定されており、これら曲げアームが、それぞれに、下側の端部において肉厚部17を有している。これら曲げアーム16の肉厚部17は、上側のワークロール4の上側のワークロールチョック12の側方の耳形の突出部を、下側から係合している。
曲げシリンダーは、有利には、大きな昇降ストロークのために構成されており、この昇降ストロークが、ロール上行過程を加えてのワークロール摩滅を超過する。
【0037】
曲げアーム16は、ガイド要素18を用いて、垂直方向に、圧延スタンド2の切欠き部36内において、もしくは、この圧延スタンド2の圧延スタンド台架31内において、ガイドされている。圧延ロール間隙7の高さ8が調節される場合、上側のワークロール4と上側のバックアップロール6とは、肉厚部17でもってワークロールチョック12を下側から係合している曲げアーム16を介して連行される。
【0038】
曲げシリンダー14、15は、ワークロール3、4の外側の縁部領域に対して作用し、且つ、これに伴って、圧延材によるワークロール3、4の互いに離間するような曲げを防止するために、これらワークロール3、4の中間の領域において作用的な、圧延材の力に相応して、これらワークロール3、4の縁部領域内において、垂直方向に、圧延ロール間隙7から外側へと整向された力を作用する。
【0039】
曲げシリンダー14、15は、図2内において図示された本発明の第1の実施例において、いわゆる正方向のワークロール曲げを達成することのために利用される。いわゆる負方向のワークロール曲げによる、プロフィル調整の増大のために、付加的なピストンシリンダーシステム19、20が設けられており、これらが、それぞれに垂直方向に作用する。
【0040】
図5は、本発明に従う圧延装置1の、第2の実施例を示している。同じ構造部材は、同じ参照符号を備えている。図2に従う実施例とは異なり、そこで、第1の曲げ装置の曲げシリンダー15は、部分的に、下方から、窓部32の上側の領域内において、圧延スタンド2の上側の横方向ヘッド34の矢筒形状の切欠き部35内に没入している。
【0041】
図5に従う実施例は、更に、曲げアーム16内において、窓状の切欠き部36が設けられており、これら切欠き部内へと、上側のワークロール4のための上側のワークロールチョック12の、相応して形成された枠縁(Leisten)37が係合するという趣旨で、図2に従う実施例と相違している。
これに伴って、上側のワークロール4のための上側のワークロールチョック12は、垂直方向に互いに離反する方向に固定されており、従って、この上側のワークロール4が、曲げシリンダー15を用いて、正方向および負方向に曲げられ得る。
【0042】
図6は、圧延スタンド2における曲げシリンダー15の位置固定式の固定の選択的な変形例を示している。ここで、複数の曲げシリンダー15は、外側で、圧延スタンド2の圧延スタンド台架31に配置されており、且つ、それぞれに、曲げアーム16の延長部30に対して作用する。
【0043】
本発明に従う圧延装置1は、同様に軸線方向移動装置21を備えており、これら軸線方向移動装置が、それぞれに、ワークロール3、4の外側の縁部領域において配置されている。
【0044】
ワークロール3、4の軸線方向移動のための軸線方向移動装置21は、操作側のワークロールチョック11、12に設けられており、且つ、液圧的に操作可能なピストンシリンダーユニットを備えている。その際、それぞれに、ピストンシリンダーユニットのピストンは、相応するチョック内においてガイドされた保持アーム24と結合されている。
操作側の圧延スタンド台架の両方の横ビームの外側において配置されている、ロック部材は、圧延作業の間じゅう、これら保持アーム24の水平方向の移動を防止し、且つ、これに伴って、ピストンシリンダーユニットのピストン22の軸線方向の移動を防止する。ピストンシリンダーユニットのピストン側またはロッド側での圧力負荷によって、ワークロールチョック11、12内において支承されたワークロール3、4に軸線方向の移動は実現される。
【0045】
図3は、図5内における線B-Bに沿っての、図5に従う圧延装置1の横断面図を示しており、この横断面図が、軸線方向移動装置21の構造、および、上側のワークロール4とのこれら軸線方向移動装置の協働作用を図示している。
軸線方向移動装置21は、反力支承部25を介して保持アーム24に配置されている、液圧的に作用する少なくとも1つのピストン22を備えている。保持アーム24は、ワークロールチョック11、12内において、水平方向にスライドする状態で配置されており、且つ、側方の保持装置29によって周囲から把持され、これら保持装置が、圧延スタンド2の外側で固定されており、且つ、ロール軸線23の方向における、保持アーム24の水平方向の移動を防止する。
これに伴って、同様に、軸線方向移動装置21のピストン22は、軸線方向において固定されている。これら保持アーム24は、側方の保持装置29内において、垂直方向に移動可能である。
【0046】
図3内において示された横断面図から、圧延スタンド台架31の、もしくは、この圧延スタンド台架31の横ビームの、相応して形成されたガイド凹部38との、曲げアームの輪郭付与された外側のガイド要素18の相互作用も認識され得る。
【0047】
図4は、軸線方向移動装置21の選択的な実施形態を示している。同じ構造部材は、図4内において、同じ参照符号を備えている。図4に従う軸線方向移動装置21は、保持装置29が曲げアーム16において固定されており、且つ、これに伴って、圧延ロール間隙7の高さ8の調節の際に連行されるという趣旨で、図3内において図示されている軸線方向移動装置と相違している。
【0048】
図7は、圧延スタンド2の内側での、曲げアーム16のガイドの、選択的な実施形態を示している。曲げアームの圧延スタンド台架31の横ビームに面した側において、曲げアーム16はガイド凹部38を備えており、これらガイド凹部が、圧延スタンド台架31の横ビームの相応するガイド輪郭部39を周囲から把持している。
【符号の説明】
【0049】
1 圧延装置
2 圧延スタンド
3 下側のワークロール
4 上側のワークロール
5 下側のバックアップロール
6 上側のバックアップロール
7 圧延ロール間隙
8 圧延ロール間隙の高さ
9 バックアップロールチョック
10 バックアップロールチョック
11 ワークロールチョック
12 ワークロールチョック
13 曲げブロック
14 下側のワークロールの曲げシリンダー
15 上側のワークロールの曲げシリンダー
16 曲げアーム
17 曲げアームの肉厚部
18 ガイド要素
19 ピストンシリンダーシステム
20 ピストンシリンダーシステム
21 軸線方向移動装置
22 ピストン
23 ワークロールの軸線
24 保持アーム
25 反力支承部
26 軸受
27 シリンダーハウジング
28 上側のロール位置調節装置
29 側方の保持装置
30 曲げアームの延長部
31 圧延スタンド台架
32 窓部
33 SW(バックアップロールチョック)のバランスアーム
34 横方向ヘッド
35 QH(横方向ヘッド)の切欠き部
36 WS(圧延スタンド台架)の切欠き部
37 枠縁
38 ガイド凹部
39 ガイド輪郭部
100 圧延設備
101 供給ローラーテーブル
102 エッジャー
103 出側ローラテーブル
104 予矯正機械
105 熱間矯正機械
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法に関し、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延される。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、平板状または板形状の金属厚板は、しばしば、熱間圧延によって、比較的に大きな初期厚さもしくは大きな初期断面積を有する連続鋳造スラブから製造される。金属厚板製造の際に、形状賦与のため、しかしながら同様に金属板の機械的-工業技術的な特性の達成のため、種々のプロセスステップが必要である。
圧延機内において、先ず第一に、原材料としてのスラブは加熱され、且つ、板金パネルへと圧延される。約200mmまでの最終圧延厚さのために、その際、典型的に300から500mmまでの厚さを有するスラブが使用される。
大抵の場合に、連続鋳造スラブが圧延され、これら連続鋳造スラブは、前配置された製鋼所から提供されるか、または、追加購入される。選択的に、スラブは、約1000mmまでの厚さを有する鋳造されたインゴットから圧延される。
【0003】
例えば厚い金属板の製造のための、高い初期厚さを有するインゴットまたはスラブを圧延することの必要条件に基づいて、これらインゴットまたはスラブは、先ず第一に、いわゆる粗圧延スタンド内において、最初の厚さ低減を被らせる。
粗圧延スタンドは、通常は、圧延材のより大きなイニシャルパス断面積を圧延可能とすることのために構成されている。これら粗圧延スタンドが、1つの圧延ライン内における粗圧延スタンド群内において配置されていることは可能であり、且つ、ワークロールの大きなロール上行過程が保証されているように用意されていることは可能である。
後続する製造ステップにおいて、スラブは、いわゆる仕上げ圧延スタンド内において、所望された目標厚さへと圧下圧延される。その際、圧延ロール間隙の厚さおよび輪郭の調節のための適当な処置によって、仕上げ製品のために要求される厚さ公差および所望された平坦度を保障することの課題が、仕上げ圧延スタンドに与えられる。
【0004】
そのような圧延ラインの構造は、異なる圧延スタンドタイプを有する、異なる少なくとも2つの圧延装置の準備を含む。そのように用意される製造ライン/圧延ラインのための投資コストは高い。メンテナンスおよび保守のために、相応して高い手間暇が必要である。
【0005】
変形工程のための所望された温度範囲を保持するために、互いの、粗圧延スタンドと仕上げ圧延スタンドとの数および間隔に応じて、圧延材をその間に加熱する必要がある。
このことから、高いエネルギー消費量が与えられる。
【0006】
圧延ラインの生産性を改善するために、基本的に、可能な限り大きなイニシャルパス断面積を有する半製品を加工することは望ましい。
この目的のために、例えば、特許文献1内において、1つの方法が提案され、この方法において、加熱された圧延材が、圧延ラインと反対の方に向けられた側における圧延ラインの延長部内において、プッシャー炉から、可逆パス内において、連続的または半連続的な圧延ラインのイニシャルパス断面積へと圧下圧延され、且つ、このプッシャー炉を通っての貫通案内のもとで、圧延ラインの第1の圧延スタンド内において、イニシャルパスさせられる。
【0007】
ワークロール-曲げシステム、および、移動システムを有する、ワークロールの高い上行過程を有する圧延スタンドは、従来技術において、例えば特許文献2から、基本的に公知である。
請求項1の上位概念に従う方法は、例えば特許文献3から公知である。更に別の従来技術は、特許文献4、5、6、7、8、9から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第28 32 073 A号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/18710号 A1
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 726 101 A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/158091号 A2
【特許文献5】欧州特許出願公開第0 368 048 A2号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第39 18 242 A1号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10 2008 409179 A1号明細書
【特許文献8】特開2012-147790 A号公報
【特許文献9】国際公開第2004/069440号 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底をなす課題は、金属板の製造のための経済的な圧延方法を提供することであり、調達の際の少ない投資コストと並んで、少ないエネルギー消費量によって、および、従って、減少されたCO放出によっても特徴付けられている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の根底をなす課題は、請求項1および8の特徴によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項から与えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の観点は、少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法に関し、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、圧延ライン内において、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延され、
その際、前記イニシャルパス断面積から、前記目標断面積への前記厚さ減少が、
専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成される。
【0012】
本発明は、本発明に従い大きな初期断面積と大きな初期厚さとを有する半製品が、ただ、唯一の圧延スタンド、または、専ら、同じタイプの圧延スタンド内において、イニシャルパス断面積もしくはイニシャルパス厚さから目標厚さへと仕上げ圧延され、その際、本発明に従い、粗圧延スタンドおよび仕上げ圧延スタンドへの、圧延ラインの分割が意図されていないことによって要約され得る。
このことによって、圧延設備のための投資コストは、明確に低減され得る。
このことは、特に高いロール上行過程を有する圧延スタンドの使用によって保証される。
【0013】
合目的に、圧延材として、インゴット鋳造法または連続鋳造法によって得られた、550mm以上の厚さを有するスラブの形態での半製品が準備される。
【0014】
本発明の範囲内において、前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積までの圧延材の前記厚さ減少が、前記圧延材の唯一の熱さにおいて達成される場合、即ち、全ての圧延パスが、圧延材の更なる加熱無しに、所望された温度範囲内において実施されることは、有利である。
【0015】
本発明に従う方法の有利な変形例は、特徴的に、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有する、
および、更に有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形の研磨を有する、少なくとも1つのワークロール対を有する圧延装置の専らの使用によって構成されている。
ワークロールの逆方向の移動によって、圧延ロール間隙の連続的に可変な輪郭の効果が得られる。
【0016】
このことによって、圧延ロール間隙輪郭の合目的な調整は、最初の圧延スタンドから最後の圧延スタンドまで、もしくは、最初の圧延装置から最後の圧延装置まで、1つの圧延ライン内において実施され得る。このことによって、より高いパス厚減少率もしくは厚さ減少が達成され、これによって、総じて、圧延ライン内において必要とされる圧延装置の数が減少される。
【0017】
合目的に、この方法は、少なくとも900mm、有利には、少なくとも1000mmの最大のロール上行過程を有する圧延装置の使用によって特徴付けられている。
【0018】
特に150mmおよびそれ以上の最終圧延厚さを有する、厚い金属板の圧延のために、圧延材の高い初期厚さは必要である。何故ならば、この金属板の良好なコア性状のために、最終圧延厚さに対する初期厚さの所定の比率を下回るべきではないからである。
それ故に、本発明に従う方法が、前記圧延材の前記目標断面積の目標厚さに対する、前記圧延材の初期断面積の初期厚さの比率(変形度合い)は、2と3との間、有利には、2と5との間であることを意図する場合、有利である。
【0019】
本発明に従い、この方法は、
少なくとも1つの上側および下側のワークロール、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロールを有する、少なくとも1つの圧延装置の使用によって行われる方法を含み、
前記ワークロールと、前記バックアップロールとが、共通の圧延スタンド内において支承されており、
前記ワークロールが、予め設定された圧延ロール間隙の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロールが、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロールに割り当てられており、および、1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロールに割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダーを備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロールが、前記第1の曲げ装置を用いて、圧延パスの間の前記圧延ロール間隙の前記高さの垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能である。
本発明に従う圧延装置は、特に、前記第1の曲げ装置が曲げアームを備えており、これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダーと協働し、且つ、前記ワークロールが、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であることによって特徴付けられている。
【0020】
本発明の趣旨において、曲げアームのもとで、1つの結合要素が理解され得、この結合要素が、曲げシリンダーからワークロールチョックに対する曲げ力の作用箇所への空間的な分離を架橋する。第2の曲げ装置からの、第1の曲げ装置の構造的および空間的な分離によって、900mm、有利には1200mm、特に有利には1350mmの最大のロール上行過程は可能である。
【0021】
圧延ロール間隙の調節の際の、上側のワークロールの連行のために、第1の曲げ装置の昇降ストロークは、圧延ロール間隙の高さの、垂直方向の調節の移動道程に追従し、従って、圧延工程のために、上側のワークロールとワークロールとの間の輪郭が、保障されている。その際、第1の曲げ装置は、構造的に、ロール位置調節装置から分離されている。
【0022】
本発明に従う方法のために使用される圧延スタンドにおいて、基本的に、上側のバックアップロールのためのバランスシステムからの、上側のワークロールのための曲げ装置の分離は、意図されている。第1の曲げ装置の曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に、且つ、有利には、明確にワークロールチョックの上方で、配置されていることによって、圧延スタンド台架窓部内において、比較的に高いロール上行過程が、このワークロールチョックのガイドの際に保証されている。
この分離によって、メンテナンスの目的のための、両方の装置のアクセス可能性は容易化される。
【0023】
合目的に、前記圧延ロール間隙の前記高さが垂直方向に調節される際に、前記第1の曲げ装置の前記曲げアームが、前記上側のワークロールを連行することは意図されている。
【0024】
圧延ロール間隙の高さは、圧延開始(圧延パス)の以前に予調節される。この目的のために、上側に位置しているロール位置調節装置は、上側のバックアップロールを、その位置において上側のロール位置調節装置がバックアップロールバランスによって重力に抗して保持される、該位置へと移動する。
上側のワークロールは、この水平方向の移動に追従し、その際、この上側のワークロールが、曲げ装置のアームによって保持される。曲げシリンダー、および、これに伴って、同様に上側のワークロールも、これら圧延パスの間、先ず第一に、上側のバックアップロールの移動に追従する。
曲げシリンダーの付加的な昇降ストロークは、ワークロールの曲げ、および、これに伴って、このパスの間じゅうの圧延ロール間隙の輪郭の所望された調整を生じさせる。付加的に、圧延ロール間隙輪郭は、反らされたワークロールの軸線方向の移動によって調整され得る。
【0025】
本発明の更なる観点は、本発明に従う方法の実施のための熱間圧延設備に関している。
この熱間圧延設備は、唯一の圧延装置、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置のよって特徴付けられており、
前記圧延装置が、1つの圧延ライン内において、有利には直接的に相前後して配置されており、前記圧延ラインが、唯一の圧延スタンドタイプの、専ら同種の圧延装置によって形成される。
本発明の趣旨における「直接的に相前後して」は、個々の圧延スタンドの間に、炉またはその種の他の物のような、機構ユニットが配置されていないことを意味する。但し、これら圧延スタンドの間に、圧延材のためのサイドガイド装置が設けられていることは可能である。
【0026】
有利には、これら圧延装置の内の少なくとも1つの圧延装置は、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有して、および、
更に有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形の研磨を有する、少なくとも1つのワークロール対を有して形成されている。
【0027】
前記で説明された様式の熱間圧延設備は
少なくとも1つの上側および下側のワークロール、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロールを有する、少なくとも1つの圧延装置が設けられており、
前記ワークロールと、前記バックアップロールとが、共通の圧延スタンド内において支承されており、
前記ワークロールが、予め設定された圧延ロール間隙の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロールが、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロールに割り当てられており、1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロールに割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダーを備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロールが、前記第1の曲げ装置を用いて、圧延パスの間の前記圧延ロール間隙の前記高さの垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能である。
本発明に従う圧延装置は、特に、前記第1の曲げ装置が曲げアームを備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダーと協働し、且つ、
前記ワークロールが、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であることによって、特徴付けられている。
【0028】
本発明を、以下で、図内において図示された実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に従う圧延設備の概略図である。
図2】ワークロール対とバックアップロール対とを有する圧延装置の第1の変形例の長手方向断面図であり、この圧延装置が本発明に従う圧延方法において使用される。
図3図1内における線B-Bに沿っての横断面図であり、この横断面図が、上側のワークロールのための軸線方向移動装置の第1の変形例を示している。
図4図3に相応する図であり、この図が、上側のワークロールのための軸線方向移動装置の第2の変形例を示している。
図5】第2の変形例に従う、圧延装置の長手方向断面図である。
図6図5内における圧延装置の上側の横方向ヘッドの横断面図であり、この図が、上側の曲げ装置の曲げシリンダーの固定の選択的な実施形態を図示している。
図7図6内における線B-Bに沿っての横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
先ず第一に、図1が引き合いに出される。唯一の圧延装置1を備える圧延設備100のレイアウトが図示されており、150mm以上の厚さを有する半製品が、圧延材として、供給ローラーテーブル101を介して供給される。圧延材は、複数のパスを有する可逆的に作動される圧延装置1内において、例えば5mmの最終厚さまでに低減される。
圧延材の幅は、この圧延装置1の後方の、圧延ライン内において配置されたエッジャー102を介して設定される。出側ローラーテーブル103を介して、完成した状態に圧延された製品は、先ず第一に、予矯正機械104内へと到達し、且つ、次いで、熱間矯正機械105内へと到達する。圧延装置1の手前での原材料のスケール除去のため、並びに、完成した状態に圧延された製品の冷却のための通常の機構ユニットは、この実施例内において、より詳細には表示されていない。
【0031】
図2は、本発明に従う方法における、および、圧延設備内での使用のための圧延装置1を示している。圧延装置1は、2つのワークロール3および4と、2つのバックアップロール5、6とを有する圧延スタンド2を備えている。
実施例内において記載される圧延スタンド2は、4重式圧延スタンドとして形成しており、この4重式圧延スタンドが、しかしながら、同様に他の構成を有することも可能である。ワークロール3とワークロール4との間に、圧延ロール間隙7が形成されており、この圧延ロール間隙7内に、圧延装置1の作動の際に、圧延材が引き込まれる。
同様にロール上行過程とも称される、圧延ロール間隙7の高さ8は、本発明に従う圧延装置1において、しかも、上側のロール位置調節装置28と、図示されていない下側のロール位置調節装置とを介して位置調節可能である。
更に、ワークロール3、4は、以下で更に説明されるように、同様に軸線方向にも位置調節可能であり、従って、ワークロール3、4の互いに相対的な軸線方向位置調節を介して、圧延ロール間隙7の輪郭の調整も可能である。
【0032】
ワークロール3、4とバックアップロール5、6とは、圧延スタンド2内において保持されており、この圧延スタンドが、2つの圧延スタンド台架31を、1つの圧延スタンド台架を操作側で、および、1つの圧延スタンド台架を駆動側で備えている。これら圧延スタンド台架31は、閉鎖されたフレームとして構成されており、これら圧延スタンド台架内において、全ての圧延力が、内部の力を介して平衡状態において保持される。
圧延スタンド2は、バックアップロールチョック9、10とワークロールチョック11、12とを収容しており、これらが、それぞれに、圧延スタンド台架によって形成された窓部32の内側で、移動可能に配置されている。バックアップロールチョック9、10は、下側のバックアップロール5と上側のバックアップロール6とを支承し、その際、図内において図示されたバックアップロールチョック10が上側のバックアップロール6を、および、バックアップロールチョック9が下側のバックアップロール5を支承している。
【0033】
バックアップロールチョック9とバックアップロールチョック10との間に、ワークロールチョック11と、ワークロールチョック12とが配置されており、これらワークロールチョックの内部にワークロール3、4が支承されている。上側のワークロールチョック12は、上側のワークロール4を支承し、他方、下側のワークロールチョック11が下側のワークロール3を支承している。
【0034】
下側のワークロール3を収容するワークロールチョック11は、位置固定式のブロック13内において、移動可能に配置されている。
下側のワークロール3を曲げ可能とするために、これらブロック13は、曲げシリンダー14を収容しいる。下側のワークロール3のための下側のワークロールチョック11に対して作用する、これら曲げシリンダー14は、下側の第2の曲げ装置の一部である。
これらブロック13に対して選択的に、圧延スタンド2は、同様に曲げシリンダー14の収容のための肉厚部を有していることも可能である(図示されていない)。
【0035】
上側のバックアップロール6のためのバックアップロールチョック10において、バランスアーム33が係合しており、これらバランスアームを介して、図示されていないバランスシリンダーを用いて、バックアップロール6の自重が補償可能である。バランスアーム33は、この目的のために、フック形状の肉厚部を備えており、これら肉厚部が、バックアップロールチョック10の相応する突出部を下側から係合している。
【0036】
上側のワークロール4の、ワークロール曲げ及び/またはワークロールバランスは、曲げシリンダー15を介して実現され、これら曲げシリンダーが、曲げアーム16を介して、上側のワークロール4と作用結合されている。曲げシリンダー15と曲げアーム16とは、上側の第1の曲げ装置の一部である。
これら曲げシリンダー15は、圧延スタンド台架31の上側の横方向ヘッド34において、位置固定式に支承されているか、もしくは、この圧延スタンド台架31の上側の横方向ヘッド34の上に支持されており、且つ、この圧延スタンド台架31の切欠き部35を貫通している。これら曲げシリンダー15は、基本的に、垂直方向に延在している。
これら曲げシリンダー15の延長部内において、この曲げシリンダーに、曲げアーム16が固定されており、これら曲げアームが、それぞれに、下側の端部において肉厚部17を有している。これら曲げアーム16の肉厚部17は、上側のワークロール4の上側のワークロールチョック12の側方の耳形の突出部を、下側から係合している。
曲げシリンダーは、有利には、大きな昇降ストロークのために構成されており、この昇降ストロークが、ロール上行過程を加えてのワークロール摩滅を超過する。
【0037】
曲げアーム16は、ガイド要素18を用いて、垂直方向に、圧延スタンド2の切欠き部36内において、もしくは、この圧延スタンド2の圧延スタンド台架31内において、ガイドされている。圧延ロール間隙7の高さ8が調節される場合、上側のワークロール4と上側のバックアップロール6とは、肉厚部17でもってワークロールチョック12を下側から係合している曲げアーム16を介して連行される。
【0038】
曲げシリンダー14、15は、ワークロール3、4の外側の縁部領域に対して作用し、且つ、これに伴って、圧延材によるワークロール3、4の互いに離間するような曲げを防止するために、これらワークロール3、4の中間の領域において作用的な、圧延材の力に相応して、これらワークロール3、4の縁部領域内において、垂直方向に、圧延ロール間隙7から外側へと整向された力を作用する。
【0039】
曲げシリンダー14、15は、図2内において図示された本発明の第1の実施例において、いわゆる正方向のワークロール曲げを達成することのために利用される。いわゆる負方向のワークロール曲げによる、プロフィル調整の増大のために、付加的なピストンシリンダーシステム19、20が設けられており、これらが、それぞれに垂直方向に作用する。
【0040】
図5は、本発明に従う圧延装置1の、第2の実施例を示している。同じ構造部材は、同じ参照符号を備えている。図2に従う実施例とは異なり、そこで、第1の曲げ装置の曲げシリンダー15は、部分的に、下方から、窓部32の上側の領域内において、圧延スタンド2の上側の横方向ヘッド34の矢筒形状の切欠き部35内に没入している。
【0041】
図5に従う実施例は、更に、曲げアーム16内において、窓状の切欠き部36が設けられており、これら切欠き部内へと、上側のワークロール4のための上側のワークロールチョック12の、相応して形成された枠縁(Leisten)37が係合するという趣旨で、図2に従う実施例と相違している。
これに伴って、上側のワークロール4のための上側のワークロールチョック12は、垂直方向に互いに離反する方向に固定されており、従って、この上側のワークロール4が、曲げシリンダー15を用いて、正方向および負方向に曲げられ得る。
【0042】
図6は、圧延スタンド2における曲げシリンダー15の位置固定式の固定の選択的な変形例を示している。ここで、複数の曲げシリンダー15は、外側で、圧延スタンド2の圧延スタンド台架31に配置されており、且つ、それぞれに、曲げアーム16の延長部30に対して作用する。
【0043】
本発明に従う圧延装置1は、同様に軸線方向移動装置21を備えており、これら軸線方向移動装置が、それぞれに、ワークロール3、4の外側の縁部領域において配置されている。
【0044】
ワークロール3、4の軸線方向移動のための軸線方向移動装置21は、操作側のワークロールチョック11、12に設けられており、且つ、液圧的に操作可能なピストンシリンダーユニットを備えている。その際、それぞれに、ピストンシリンダーユニットのピストンは、相応するチョック内においてガイドされた保持アーム24と結合されている。
操作側の圧延スタンド台架の両方の横ビームの外側において配置されている、ロック部材は、圧延作業の間じゅう、これら保持アーム24の水平方向の移動を防止し、且つ、これに伴って、ピストンシリンダーユニットのピストン22の軸線方向の移動を防止する。ピストンシリンダーユニットのピストン側またはロッド側での圧力負荷によって、ワークロールチョック11、12内において支承されたワークロール3、4に軸線方向の移動は実現される。
【0045】
図3は、図5内における線B-Bに沿っての、図5に従う圧延装置1の横断面図を示しており、この横断面図が、軸線方向移動装置21の構造、および、上側のワークロール4とのこれら軸線方向移動装置の協働作用を図示している。
軸線方向移動装置21は、反力支承部25を介して保持アーム24に配置されている、液圧的に作用する少なくとも1つのピストン22を備えている。保持アーム24は、ワークロールチョック11、12内において、水平方向にスライドする状態で配置されており、且つ、側方の保持装置29によって周囲から把持され、これら保持装置が、圧延スタンド2の外側で固定されており、且つ、ロール軸線23の方向における、保持アーム24の水平方向の移動を防止する。
これに伴って、同様に、軸線方向移動装置21のピストン22は、軸線方向において固定されている。これら保持アーム24は、側方の保持装置29内において、垂直方向に移動可能である。
【0046】
図3内において示された横断面図から、圧延スタンド台架31の、もしくは、この圧延スタンド台架31の横ビームの、相応して形成されたガイド凹部38との、曲げアームの輪郭付与された外側のガイド要素18の相互作用も認識され得る。
【0047】
図4は、軸線方向移動装置21の選択的な実施形態を示している。同じ構造部材は、図4内において、同じ参照符号を備えている。図4に従う軸線方向移動装置21は、保持装置29が曲げアーム16において固定されており、且つ、これに伴って、圧延ロール間隙7の高さ8の調節の際に連行されるという趣旨で、図3内において図示されている軸線方向移動装置と相違している。
【0048】
図7は、圧延スタンド2の内側での、曲げアーム16のガイドの、選択的な実施形態を示している。曲げアームの圧延スタンド台架31の横ビームに面した側において、曲げアーム16はガイド凹部38を備えており、これらガイド凹部が、圧延スタンド台架31の横ビームの相応するガイド輪郭部39を周囲から把持している。
【符号の説明】
【0049】
1 圧延装置
2 圧延スタンド
3 下側のワークロール
4 上側のワークロール
5 下側のバックアップロール
6 上側のバックアップロール
7 圧延ロール間隙
8 圧延ロール間隙の高さ
9 バックアップロールチョック
10 バックアップロールチョック
11 ワークロールチョック
12 ワークロールチョック
13 曲げブロック
14 下側のワークロールの曲げシリンダー
15 上側のワークロールの曲げシリンダー
16 曲げアーム
17 曲げアームの肉厚部
18 ガイド要素
19 ピストンシリンダーシステム
20 ピストンシリンダーシステム
21 軸線方向移動装置
22 ピストン
23 ワークロールの軸線
24 保持アーム
25 反力支承部
26 軸受
27 シリンダーハウジング
28 上側のロール位置調節装置
29 側方の保持装置
30 曲げアームの延長部
31 圧延スタンド台架
32 窓部
33 SW(バックアップロールチョック)のバランスアーム
34 横方向ヘッド
35 QH(横方向ヘッド)の切欠き部
36 WS(圧延スタンド台架)の切欠き部
37 枠縁
38 ガイド凹部
39 ガイド輪郭部
100 圧延設備
101 供給ローラーテーブル
102 エッジャー
103 出側ローラテーブル
104 予矯正機械
105 熱間矯正機械
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法であって、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延され、
前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積への前記厚さ減少が、
専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成され、
前記圧延装置(1)の内の少なくとも1つの圧延装置が、少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)を有する、前記方法において、
前記圧延装置(1)が、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を備え、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であり、
前記第1の曲げ装置のこれら曲げシリンダー(15)が、圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)において、位置固定式に支承されているか、または、前記圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)の上に支持されており、且つ、この圧延スタンド台架(31)の切欠き部(35)を貫通している、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
圧延材として、インゴット鋳造法または連続鋳造法によって得られた、550mm以上の厚さを有するスラブの形態での半製品が準備されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積までの前記厚さ減少は、前記圧延材の唯一の熱さにおいて達成されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有する、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有するワークロール対を有する圧延装置の専らの使用によって行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも900mm、有利には、少なくとも1000mmの最大のロール上行過程を有する圧延装置の使用によって行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記圧延材の前記目標断面積の目標厚さに対する、前記圧延材の初期断面積の初期厚さの比率は、2と5との間、有利には、2と3との間であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)が調節される際に、前記第1の曲げ装置の前記曲げアーム(16)は、前記上側のワークロール(4)を連行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の方法の実施のための熱間圧延設備であって、
唯一の圧延装置、または、1つの圧延ライン内において、有利には直接的に相前後して配置されている唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置が設けられており、
前記圧延装置が、更に、
前記圧延装置(1)の内の少なくとも1つの圧延装置が、少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を有しており、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であり、
前記第1の曲げ装置のこれら曲げシリンダー(15)が、圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)において、位置固定式に支承されているか、または、前記圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)の上に支持されており、且つ、この圧延スタンド台架(31)の切欠き部(35)を貫通している、
ことを特徴とする熱間圧延設備。
【請求項9】
前記圧延ライン内におけるこれら圧延装置の、少なくとも1つの圧延装置は、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有する、ワークロール対と共に、有していることを特徴とする請求項8に記載の熱間圧延設備。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法に関し、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延される。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、平板状または板形状の金属厚板は、しばしば、熱間圧延によって、比較的に大きな初期厚さもしくは大きな初期断面積を有する連続鋳造スラブから製造される。金属厚板製造の際に、形状賦与のため、しかしながら同様に金属板の機械的-工業技術的な特性の達成のため、種々のプロセスステップが必要である。
圧延機内において、先ず第一に、原材料としてのスラブは加熱され、且つ、板金パネルへと圧延される。約200mmまでの最終圧延厚さのために、その際、典型的に300から500mmまでの厚さを有するスラブが使用される。
大抵の場合に、連続鋳造スラブが圧延され、これら連続鋳造スラブは、前配置された製鋼所から提供されるか、または、追加購入される。選択的に、スラブは、約1000mmまでの厚さを有する鋳造されたインゴットから圧延される。
【0003】
例えば厚い金属板の製造のための、高い初期厚さを有するインゴットまたはスラブを圧延することの必要条件に基づいて、これらインゴットまたはスラブは、先ず第一に、いわゆる粗圧延スタンド内において、最初の厚さ低減を被らせる。
粗圧延スタンドは、通常は、圧延材のより大きなイニシャルパス断面積を圧延可能とすることのために構成されている。これら粗圧延スタンドが、1つの圧延ライン内における粗圧延スタンド群内において配置されていることは可能であり、且つ、ワークロールの大きなロール上行過程が保証されているように用意されていることは可能である。
後続する製造ステップにおいて、スラブは、いわゆる仕上げ圧延スタンド内において、所望された目標厚さへと圧下圧延される。その際、圧延ロール間隙の厚さおよび輪郭の調節のための適当な処置によって、仕上げ製品のために要求される厚さ公差および所望された平坦度を保障することの課題が、仕上げ圧延スタンドに与えられる。
【0004】
そのような圧延ラインの構造は、異なる圧延スタンドタイプを有する、異なる少なくとも2つの圧延装置の準備を含む。そのように用意される製造ライン/圧延ラインのための投資コストは高い。メンテナンスおよび保守のために、相応して高い手間暇が必要である。
【0005】
変形工程のための所望された温度範囲を保持するために、互いの、粗圧延スタンドと仕上げ圧延スタンドとの数および間隔に応じて、圧延材をその間に加熱する必要がある。
このことから、高いエネルギー消費量が与えられる。
【0006】
圧延ラインの生産性を改善するために、基本的に、可能な限り大きなイニシャルパス断面積を有する半製品を加工することは望ましい。
この目的のために、例えば、特許文献1内において、1つの方法が提案され、この方法において、加熱された圧延材が、圧延ラインと反対の方に向けられた側における圧延ラインの延長部内において、プッシャー炉から、可逆パス内において、連続的または半連続的な圧延ラインのイニシャルパス断面積へと圧下圧延され、且つ、このプッシャー炉を通っての貫通案内のもとで、圧延ラインの第1の圧延スタンド内において、イニシャルパスさせられる。
【0007】
ワークロール-曲げシステム、および、移動システムを有する、ワークロールの高い上行過程を有する圧延スタンドは、従来技術において、例えば特許文献2から、基本的に公知である。
請求項1の上位概念に従う方法は、例えば特許文献3から公知である。更に別の従来技術は、特許文献4、5、6、7、8、9から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第28 32 073 A号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/18710号 A1
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 726 101 A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/158091号 A2
【特許文献5】欧州特許出願公開第0 368 048 A2号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第39 18 242 A1号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10 2008 409179 A1号明細書
【特許文献8】特開2012-147790 A号公報
【特許文献9】国際公開第2004/069440号 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底をなす課題は、金属板の製造のための経済的な圧延方法を提供することであり、調達の際の少ない投資コストと並んで、少ないエネルギー消費量によって、および、従って、減少されたCO放出によっても特徴付けられている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の根底をなす課題は、請求項1および8の特徴によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項から与えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の観点は、少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法に関し、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、圧延ライン内において、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延され、
その際、前記イニシャルパス断面積から、前記目標断面積への前記厚さ減少が、
専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成される。
【0012】
本発明は、本発明に従い大きな初期断面積と大きな初期厚さとを有する半製品が、ただ、唯一の圧延スタンド、または、専ら、同じタイプの圧延スタンド内において、イニシャルパス断面積もしくはイニシャルパス厚さから目標厚さへと仕上げ圧延され、その際、本発明に従い、粗圧延スタンドおよび仕上げ圧延スタンドへの、圧延ラインの分割が意図されていないことによって要約され得る。
このことによって、圧延設備のための投資コストは、明確に低減され得る。
このことは、特に高いロール上行過程を有する圧延スタンドの使用によって保証される。
【0013】
合目的に、圧延材として、インゴット鋳造法または連続鋳造法によって得られた、550mm以上の厚さを有するスラブの形態での半製品が準備される。
【0014】
本発明の範囲内において、前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積までの圧延材の前記厚さ減少が、前記圧延材の唯一の熱さにおいて達成される場合、即ち、全ての圧延パスが、圧延材の更なる加熱無しに、所望された温度範囲内において実施されることは、有利である。
【0015】
本発明に従う方法の有利な変形例は、特徴的に、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有する、
および、更に有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形の研磨を有する、少なくとも1つのワークロール対を有する圧延装置の専らの使用によって構成されている。
ワークロールの逆方向の移動によって、圧延ロール間隙の連続的に可変な輪郭の効果が得られる。
【0016】
このことによって、圧延ロール間隙輪郭の合目的な調整は、最初の圧延スタンドから最後の圧延スタンドまで、もしくは、最初の圧延装置から最後の圧延装置まで、1つの圧延ライン内において実施され得る。このことによって、より高いパス厚減少率もしくは厚さ減少が達成され、これによって、総じて、圧延ライン内において必要とされる圧延装置の数が減少される。
【0017】
合目的に、この方法は、少なくとも900mm、有利には、少なくとも1000mmの最大のロール上行過程を有する圧延装置の使用によって特徴付けられている。
【0018】
特に150mmおよびそれ以上の最終圧延厚さを有する、厚い金属板の圧延のために、圧延材の高い初期厚さは必要である。何故ならば、この金属板の良好なコア性状のために、最終圧延厚さに対する初期厚さの所定の比率を下回るべきではないからである。
それ故に、本発明に従う方法が、前記圧延材の前記目標断面積の目標厚さに対する、前記圧延材の初期断面積の初期厚さの比率(変形度合い)は、2と3との間、有利には、2と5との間であることを意図する場合、有利である。
【0019】
本発明に従い、この方法は、
少なくとも1つの上側および下側のワークロール、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロールを有する、少なくとも1つの圧延装置の使用によって行われる方法を含み、
前記ワークロールと、前記バックアップロールとが、共通の圧延スタンド内において支承されており、
前記ワークロールが、予め設定された圧延ロール間隙の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロールが、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロールに割り当てられており、および、1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロールに割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダーを備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロールが、前記第1の曲げ装置を用いて、圧延パスの間の前記圧延ロール間隙の前記高さの垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能である。
本発明に従う圧延装置は、特に、前記第1の曲げ装置が曲げアームを備えており、これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダーと協働し、且つ、前記ワークロールが、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であることによって特徴付けられている。
【0020】
本発明の趣旨において、曲げアームのもとで、1つの結合要素が理解され得、この結合要素が、曲げシリンダーからワークロールチョックに対する曲げ力の作用箇所への空間的な分離を架橋する。第2の曲げ装置からの、第1の曲げ装置の構造的および空間的な分離によって、900mm、有利には1200mm、特に有利には1350mmの最大のロール上行過程は可能である。
【0021】
圧延ロール間隙の調節の際の、上側のワークロールの連行のために、第1の曲げ装置の昇降ストロークは、圧延ロール間隙の高さの、垂直方向の調節の移動道程に追従し、従って、圧延工程のために、上側のワークロールとワークロールとの間の輪郭が、保障されている。その際、第1の曲げ装置は、構造的に、ロール位置調節装置から分離されている。
【0022】
本発明に従う方法のために使用される圧延スタンドにおいて、基本的に、上側のバックアップロールのためのバランスシステムからの、上側のワークロールのための曲げ装置の分離は、意図されている。第1の曲げ装置の曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に、且つ、有利には、明確にワークロールチョックの上方で、配置されていることによって、圧延スタンド台架窓部内において、比較的に高いロール上行過程が、このワークロールチョックのガイドの際に保証されている。
この分離によって、メンテナンスの目的のための、両方の装置のアクセス可能性は容易化される。
【0023】
合目的に、前記圧延ロール間隙の前記高さが垂直方向に調節される際に、前記第1の曲げ装置の前記曲げアームが、前記上側のワークロールを連行することは意図されている。
【0024】
圧延ロール間隙の高さは、圧延開始(圧延パス)の以前に予調節される。この目的のために、上側に位置しているロール位置調節装置は、上側のバックアップロールを、その位置において上側のロール位置調節装置がバックアップロールバランスによって重力に抗して保持される、該位置へと移動する。
上側のワークロールは、この水平方向の移動に追従し、その際、この上側のワークロールが、曲げ装置のアームによって保持される。曲げシリンダー、および、これに伴って、同様に上側のワークロールも、これら圧延パスの間、先ず第一に、上側のバックアップロールの移動に追従する。
曲げシリンダーの付加的な昇降ストロークは、ワークロールの曲げ、および、これに伴って、このパスの間じゅうの圧延ロール間隙の輪郭の所望された調整を生じさせる。付加的に、圧延ロール間隙輪郭は、反らされたワークロールの軸線方向の移動によって調整され得る。
【0025】
本発明の更なる観点は、本発明に従う方法の実施のための熱間圧延設備に関している。
この熱間圧延設備は、唯一の圧延装置、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置のよって特徴付けられており、
前記圧延装置が、1つの圧延ライン内において、有利には直接的に相前後して配置されており、前記圧延ラインが、唯一の圧延スタンドタイプの、専ら同種の圧延装置によって形成される。
本発明の趣旨における「直接的に相前後して」は、個々の圧延スタンドの間に、炉またはその種の他の物のような、機構ユニットが配置されていないことを意味する。但し、これら圧延スタンドの間に、圧延材のためのサイドガイド装置が設けられていることは可能である。
【0026】
有利には、これら圧延装置の内の少なくとも1つの圧延装置は、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有して、および、
更に有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形の研磨を有する、少なくとも1つのワークロール対を有して形成されている。
【0027】
前記で説明された様式の熱間圧延設備は
少なくとも1つの上側および下側のワークロール、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロールを有する、少なくとも1つの圧延装置が設けられており、
前記ワークロールと、前記バックアップロールとが、共通の圧延スタンド内において支承されており、
前記ワークロールが、予め設定された圧延ロール間隙の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロールが、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロールに割り当てられており、1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロールに割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダーを備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロールが、前記第1の曲げ装置を用いて、圧延パスの間の前記圧延ロール間隙の前記高さの垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能である。
本発明に従う圧延装置は、特に、前記第1の曲げ装置が曲げアームを備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダーと協働し、且つ、
前記ワークロールが、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であることによって、特徴付けられている。
【0028】
本発明を、以下で、図内において図示された実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に従う圧延設備の概略図である。
図2】ワークロール対とバックアップロール対とを有する圧延装置の第1の変形例の長手方向断面図であり、この圧延装置が本発明に従う圧延方法において使用される。
図3図1内における線B-Bに沿っての横断面図であり、この横断面図が、上側のワークロールのための軸線方向移動装置の第1の変形例を示している。
図4図3に相応する図であり、この図が、上側のワークロールのための軸線方向移動装置の第2の変形例を示している。
図5】第2の変形例に従う、圧延装置の長手方向断面図である。
図6図5内における圧延装置の上側の横方向ヘッドの横断面図であり、この図が、上側の曲げ装置の曲げシリンダーの固定の選択的な実施形態を図示している。
図7図6内における線B-Bに沿っての横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
先ず第一に、図1が引き合いに出される。唯一の圧延装置1を備える圧延設備100のレイアウトが図示されており、150mm以上の厚さを有する半製品が、圧延材として、供給ローラーテーブル101を介して供給される。圧延材は、複数のパスを有する可逆的に作動される圧延装置1内において、例えば5mmの最終厚さまでに低減される。
圧延材の幅は、この圧延装置1の後方の、圧延ライン内において配置されたエッジャー102を介して設定される。出側ローラーテーブル103を介して、完成した状態に圧延された製品は、先ず第一に、予矯正機械104内へと到達し、且つ、次いで、熱間矯正機械105内へと到達する。圧延装置1の手前での原材料のスケール除去のため、並びに、完成した状態に圧延された製品の冷却のための通常の機構ユニットは、この実施例内において、より詳細には表示されていない。
【0031】
図2は、本発明に従う方法における、および、圧延設備内での使用のための圧延装置1を示している。圧延装置1は、2つのワークロール3および4と、2つのバックアップロール5、6とを有する圧延スタンド2を備えている。
実施例内において記載される圧延スタンド2は、4重式圧延スタンドとして形成しており、この4重式圧延スタンドが、しかしながら、同様に他の構成を有することも可能である。ワークロール3とワークロール4との間に、圧延ロール間隙7が形成されており、この圧延ロール間隙7内に、圧延装置1の作動の際に、圧延材が引き込まれる。
同様にロール上行過程とも称される、圧延ロール間隙7の高さ8は、本発明に従う圧延装置1において、しかも、上側のロール位置調節装置28と、図示されていない下側のロール位置調節装置とを介して位置調節可能である。
更に、ワークロール3、4は、以下で更に説明されるように、同様に軸線方向にも位置調節可能であり、従って、ワークロール3、4の互いに相対的な軸線方向位置調節を介して、圧延ロール間隙7の輪郭の調整も可能である。
【0032】
ワークロール3、4とバックアップロール5、6とは、圧延スタンド2内において保持されており、この圧延スタンドが、2つの圧延スタンド台架31を、1つの圧延スタンド台架を操作側で、および、1つの圧延スタンド台架を駆動側で備えている。これら圧延スタンド台架31は、閉鎖されたフレームとして構成されており、これら圧延スタンド台架内において、全ての圧延力が、内部の力を介して平衡状態において保持される。
圧延スタンド2は、バックアップロールチョック9、10とワークロールチョック11、12とを収容しており、これらが、それぞれに、圧延スタンド台架によって形成された窓部32の内側で、移動可能に配置されている。バックアップロールチョック9、10は、下側のバックアップロール5と上側のバックアップロール6とを支承し、その際、図内において図示されたバックアップロールチョック10が上側のバックアップロール6を、および、バックアップロールチョック9が下側のバックアップロール5を支承している。
【0033】
バックアップロールチョック9とバックアップロールチョック10との間に、ワークロールチョック11と、ワークロールチョック12とが配置されており、これらワークロールチョックの内部にワークロール3、4が支承されている。上側のワークロールチョック12は、上側のワークロール4を支承し、他方、下側のワークロールチョック11が下側のワークロール3を支承している。
【0034】
下側のワークロール3を収容するワークロールチョック11は、位置固定式のブロック13内において、移動可能に配置されている。
下側のワークロール3を曲げ可能とするために、これらブロック13は、曲げシリンダー14を収容しいる。下側のワークロール3のための下側のワークロールチョック11に対して作用する、これら曲げシリンダー14は、下側の第2の曲げ装置の一部である。
これらブロック13に対して選択的に、圧延スタンド2は、同様に曲げシリンダー14の収容のための肉厚部を有していることも可能である(図示されていない)。
【0035】
上側のバックアップロール6のためのバックアップロールチョック10において、バランスアーム33が係合しており、これらバランスアームを介して、図示されていないバランスシリンダーを用いて、バックアップロール6の自重が補償可能である。バランスアーム33は、この目的のために、フック形状の肉厚部を備えており、これら肉厚部が、バックアップロールチョック10の相応する突出部を下側から係合している。
【0036】
上側のワークロール4の、ワークロール曲げ及び/またはワークロールバランスは、曲げシリンダー15を介して実現され、これら曲げシリンダーが、曲げアーム16を介して、上側のワークロール4と作用結合されている。曲げシリンダー15と曲げアーム16とは、上側の第1の曲げ装置の一部である。
これら曲げシリンダー15は、圧延スタンド台架31の上側の横方向ヘッド34において、位置固定式に支承されているか、もしくは、この圧延スタンド台架31の上側の横方向ヘッド34の上に支持されており、且つ、この圧延スタンド台架31の切欠き部35を貫通している。これら曲げシリンダー15は、基本的に、垂直方向に延在している。
これら曲げシリンダー15の延長部内において、この曲げシリンダーに、曲げアーム16が固定されており、これら曲げアームが、それぞれに、下側の端部において肉厚部17を有している。これら曲げアーム16の肉厚部17は、上側のワークロール4の上側のワークロールチョック12の側方の耳形の突出部を、下側から係合している。
曲げシリンダーは、有利には、大きな昇降ストロークのために構成されており、この昇降ストロークが、ロール上行過程を加えてのワークロール摩滅を超過する。
【0037】
曲げアーム16は、ガイド要素18を用いて、垂直方向に、圧延スタンド2の切欠き部36内において、もしくは、この圧延スタンド2の圧延スタンド台架31内において、ガイドされている。圧延ロール間隙7の高さ8が調節される場合、上側のワークロール4と上側のバックアップロール6とは、肉厚部17でもってワークロールチョック12を下側から係合している曲げアーム16を介して連行される。
【0038】
曲げシリンダー14、15は、ワークロール3、4の外側の縁部領域に対して作用し、且つ、これに伴って、圧延材によるワークロール3、4の互いに離間するような曲げを防止するために、これらワークロール3、4の中間の領域において作用的な、圧延材の力に相応して、これらワークロール3、4の縁部領域内において、垂直方向に、圧延ロール間隙7から外側へと整向された力を作用する。
【0039】
曲げシリンダー14、15は、図2内において図示された本発明の第1の実施例において、いわゆる正方向のワークロール曲げを達成することのために利用される。いわゆる負方向のワークロール曲げによる、プロフィル調整の増大のために、付加的なピストンシリンダーシステム19、20が設けられており、これらが、それぞれに垂直方向に作用する。
【0040】
図5は、本発明に従う圧延装置1の、第2の実施例を示している。同じ構造部材は、同じ参照符号を備えている。図2に従う実施例とは異なり、そこで、第1の曲げ装置の曲げシリンダー15は、部分的に、下方から、窓部32の上側の領域内において、圧延スタンド2の上側の横方向ヘッド34の矢筒形状の切欠き部35内に没入している。
【0041】
図5に従う実施例は、更に、曲げアーム16内において、窓状の切欠き部36が設けられており、これら切欠き部内へと、上側のワークロール4のための上側のワークロールチョック12の、相応して形成された枠縁(Leisten)37が係合するという趣旨で、図2に従う実施例と相違している。
これに伴って、上側のワークロール4のための上側のワークロールチョック12は、垂直方向に互いに離反する方向に固定されており、従って、この上側のワークロール4が、曲げシリンダー15を用いて、正方向および負方向に曲げられ得る。
【0042】
図6は、圧延スタンド2における曲げシリンダー15の位置固定式の固定の選択的な変形例を示している。ここで、複数の曲げシリンダー15は、外側で、圧延スタンド2の圧延スタンド台架31に配置されており、且つ、それぞれに、曲げアーム16の延長部30に対して作用する。
【0043】
本発明に従う圧延装置1は、同様に軸線方向移動装置21を備えており、これら軸線方向移動装置が、それぞれに、ワークロール3、4の外側の縁部領域において配置されている。
【0044】
ワークロール3、4の軸線方向移動のための軸線方向移動装置21は、操作側のワークロールチョック11、12に設けられており、且つ、液圧的に操作可能なピストンシリンダーユニットを備えている。その際、それぞれに、ピストンシリンダーユニットのピストンは、相応するチョック内においてガイドされた保持アーム24と結合されている。
操作側の圧延スタンド台架の両方の横ビームの外側において配置されている、ロック部材は、圧延作業の間じゅう、これら保持アーム24の水平方向の移動を防止し、且つ、これに伴って、ピストンシリンダーユニットのピストン22の軸線方向の移動を防止する。ピストンシリンダーユニットのピストン側またはロッド側での圧力負荷によって、ワークロールチョック11、12内において支承されたワークロール3、4に軸線方向の移動は実現される。
【0045】
図3は、図5内における線B-Bに沿っての、図5に従う圧延装置1の横断面図を示しており、この横断面図が、軸線方向移動装置21の構造、および、上側のワークロール4とのこれら軸線方向移動装置の協働作用を図示している。
軸線方向移動装置21は、反力支承部25を介して保持アーム24に配置されている、液圧的に作用する少なくとも1つのピストン22を備えている。保持アーム24は、ワークロールチョック11、12内において、水平方向にスライドする状態で配置されており、且つ、側方の保持装置29によって周囲から把持され、これら保持装置が、圧延スタンド2の外側で固定されており、且つ、ロール軸線23の方向における、保持アーム24の水平方向の移動を防止する。
これに伴って、同様に、軸線方向移動装置21のピストン22は、軸線方向において固定されている。これら保持アーム24は、側方の保持装置29内において、垂直方向に移動可能である。
【0046】
図3内において示された横断面図から、圧延スタンド台架31の、もしくは、この圧延スタンド台架31の横ビームの、相応して形成されたガイド凹部38との、曲げアームの輪郭付与された外側のガイド要素18の相互作用も認識され得る。
【0047】
図4は、軸線方向移動装置21の選択的な実施形態を示している。同じ構造部材は、図4内において、同じ参照符号を備えている。図4に従う軸線方向移動装置21は、保持装置29が曲げアーム16において固定されており、且つ、これに伴って、圧延ロール間隙7の高さ8の調節の際に連行されるという趣旨で、図3内において図示されている軸線方向移動装置と相違している。
【0048】
図7は、圧延スタンド2の内側での、曲げアーム16のガイドの、選択的な実施形態を示している。曲げアームの圧延スタンド台架31の横ビームに面した側において、曲げアーム16はガイド凹部38を備えており、これらガイド凹部が、圧延スタンド台架31の横ビームの相応するガイド輪郭部39を周囲から把持している。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. 少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法であって、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延される前記方法において、
前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積への前記厚さ減少が、
専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成されることを特徴とする方法。
2. 圧延材として、インゴット鋳造法または連続鋳造法によって得られた、550mm以上の厚さを有するスラブの形態での半製品が準備されることを特徴とする上記1に記載の方法。
3. 前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積までの前記厚さ減少は、前記圧延材の唯一の熱さにおいて達成されることを特徴とする上記1または2に記載の方法。
4. ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有する、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有するワークロール対を有する圧延装置の専らの使用によって行われることを特徴とする上記1から3のいずれか一つに記載の方法。
5. 少なくとも900mm、有利には、少なくとも1000mmの最大のロール上行過程を有する圧延装置の使用によって行われることを特徴とする上記1から4のいずれか一つに記載の方法。
6. 前記圧延材の前記目標断面積の目標厚さに対する、前記圧延材の初期断面積の初期厚さの比率は、2と5との間、有利には、2と3との間であることを特徴とする上記1から5のいずれか一つに記載の方法。
7. 少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を有する、少なくとも1つの圧延装置(1)の使用によって行われる方法であって、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能である、
ことを特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載の方法。
8. 前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)が調節される際に、前記第1の曲げ装置の前記曲げアーム(16)は、前記上側のワークロール(4)を連行することを特徴とする上記7に記載の方法。
9. 有利には上記1から8のいずれか一つに記載の方法の実施のための熱間圧延設備であって、
唯一の圧延装置、または、1つの圧延ライン内において、有利には直接的に相前後して配置されている唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置が設けられており、
、前記圧延ラインが、唯一の圧延スタンドタイプの、専ら同種の圧延装置によって形成されることを特徴とする熱間圧延設備。
10. 前記圧延ライン内におけるこれら圧延装置の、少なくとも1つの圧延装置は、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有する、ワークロール対と共に、有していることを特徴とする上記9に記載の熱間圧延設備。
11. 少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を有する、少なくとも1つの圧延装置(1)が設けられており、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能である、
ことを特徴とする上記9または10に記載の熱間圧延設備。
【符号の説明】
【0049】
1 圧延装置
2 圧延スタンド
3 下側のワークロール
4 上側のワークロール
5 下側のバックアップロール
6 上側のバックアップロール
7 圧延ロール間隙
8 圧延ロール間隙の高さ
9 バックアップロールチョック
10 バックアップロールチョック
11 ワークロールチョック
12 ワークロールチョック
13 曲げブロック
14 下側のワークロールの曲げシリンダー
15 上側のワークロールの曲げシリンダー
16 曲げアーム
17 曲げアームの肉厚部
18 ガイド要素
19 ピストンシリンダーシステム
20 ピストンシリンダーシステム
21 軸線方向移動装置
22 ピストン
23 ワークロールの軸線
24 保持アーム
25 反力支承部
26 軸受
27 シリンダーハウジング
28 上側のロール位置調節装置
29 側方の保持装置
30 曲げアームの延長部
31 圧延スタンド台架
32 窓部
33 SW(バックアップロールチョック)のバランスアーム
34 横方向ヘッド
35 QH(横方向ヘッド)の切欠き部
36 WS(圧延スタンド台架)の切欠き部
37 枠縁
38 ガイド凹部
39 ガイド輪郭部
100 圧延設備
101 供給ローラーテーブル
102 エッジャー
103 出側ローラテーブル
104 予矯正機械
105 熱間矯正機械
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの圧延装置の使用のもとでの、金属製の圧延材の熱間圧延のための方法であって、
この方法が、圧延材として150mm以上の厚さを有する半製品の準備を含み、
前記圧延材が、最初の大きなイニシャルパス断面積から、歩進的な厚さ減少のもとで、比較的により小さな目標断面積へと圧延され、
前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積への前記厚さ減少が、
専ら、唯一の圧延装置によって、または、唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置によって達成され、
前記圧延装置(1)の内の少なくとも1つの圧延装置が、少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)を有する、前記方法において、
前記圧延装置(1)が、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を備え、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であり、
前記第1の曲げ装置のこれら曲げシリンダー(15)が、圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)において、位置固定式に支承されているか、または、前記圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)の上に支持されており、且つ、この圧延スタンド台架(31)の切欠き部(35)を貫通している、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
圧延材として、インゴット鋳造法または連続鋳造法によって得られた、550mm以上の厚さを有するスラブの形態での半製品が準備されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イニシャルパス断面積から前記目標断面積までの前記厚さ減少は、前記圧延材の唯一の熱さにおいて達成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を有する、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有するワークロール対を有する圧延装置の専らの使用によって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも900mm、有利には、少なくとも1000mmの最大のロール上行過程を有する圧延装置の使用によって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記圧延材の前記目標断面積の目標厚さに対する、前記圧延材の初期断面積の初期厚さの比率は、2と5との間、有利には、2と3との間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)が調節される際に、前記第1の曲げ装置の前記曲げアーム(16)は、前記上側のワークロール(4)を連行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の方法の実施のための熱間圧延設備であって、
唯一の圧延装置、または、1つの圧延ライン内において、有利には直接的に相前後して配置されている唯一の圧延スタンドタイプの多数の同種の圧延装置が設けられており、
前記圧延装置が、更に、
前記圧延装置(1)の内の少なくとも1つの圧延装置が、少なくとも1つの上側および下側のワークロール(3、4)、並びに、少なくとも1つの上側および下側のバックアップロール(5、6)を有しており、
前記ワークロール(3、4)と、前記バックアップロール(5、6)とが、共通の圧延スタンド(2)内において支承されており、
前記ワークロール(3、4)が、予め設定された圧延ロール間隙(7)の調節のために、互いに相対的に位置調節可能であり、
前記ワークロール(3、4)が、それぞれに、少なくとも1つの曲げ装置と作用結合されており、
少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上側の前記ワークロール(4)に割り当てられており、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下側の前記ワークロール(3)に割り当てられており、
前記第2の曲げ装置が、曲げシリンダー(14)を備えており、
これら曲げシリンダーが、垂直方向に、位置固定式に配置されており、且つ、
上側の前記ワークロール(4)が、前記第1の曲げ装置を用いて、前記圧延ロール間隙(7)の前記高さ(8)の垂直方向の調節のために後調節可能または連行可能であり、
前記第1の曲げ装置が曲げアーム(16)を備えており、
これら曲げアームが、固定式に配置された曲げシリンダー(15)と協働し、且つ、
前記ワークロール(3、4)が、有利には、軸線方向および垂直方向に位置調節可能であり、
前記第1の曲げ装置のこれら曲げシリンダー(15)が、圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)において、位置固定式に支承されているか、または、前記圧延スタンド台架(31)の上側の横方向ヘッド(34)の上に支持されており、且つ、この圧延スタンド台架(31)の切欠き部(35)を貫通している、
ことを特徴とする熱間圧延設備。
【請求項9】
前記圧延ライン内におけるこれら圧延装置の、少なくとも1つの圧延装置は、
ワークロール用軸線方向移動及び曲げ装置を、
有利には、ロール反りを有する、特に有利にはS字形に研磨されたロール形状を有する、ワークロール対と共に、有していることを特徴とする請求項8に記載の熱間圧延設備。
【国際調査報告】