(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】近接感知自律ロボットシステムおよび装置
(51)【国際特許分類】
G01L 1/22 20060101AFI20240725BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20240725BHJP
A61B 34/32 20160101ALI20240725BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20240725BHJP
G01S 17/86 20200101ALI20240725BHJP
【FI】
G01L1/22 Z
B25J19/02
A61B34/32
A61M5/24
G01S17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571793
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 CA2022050778
(87)【国際公開番号】W WO2022241550
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523435897
【氏名又は名称】コビオニックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ザマニ,ニマ
(72)【発明者】
【氏名】ラスウェル,ティモシー
【テーマコード(参考)】
2F049
3C707
4C066
4C130
5J084
【Fターム(参考)】
2F049CA07
2F049DA04
3C707BS09
3C707HS27
3C707KS35
3C707KS36
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4C066AA09
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4C130CA08
4C130CA11
5J084AA05
5J084AB07
5J084AC07
5J084AD01
5J084BA20
5J084BA36
5J084CA03
5J084CA10
(57)【要約】
近接感知自律ロボットシステムおよび装置が提供される。ロボットは、奥行き知覚、物体検出、物体回避、および物体の温度検出のために環境を見るための1つまたは複数のビジョンモジュールを有する。近接感知スキンがロボットの1つまたは複数の部品の上に積層される。近接感知スキンは、衝突回避、速度制御、および検出される物体の近くのモーションの減速、ならびに、接触の認識のための、複数の近接センサーおよび機械応力センサーを有する。近接感知スキンは、電解腐食を抑制するためにコンポジット部品内の多様な材料に接触するための導電性パッドを有することができる。ロボットはエンドエフェクタを有し、多様なタスクを実施するために多様なツールがエンドエフェクタに取り付けられ得る。エンドエフェクタは、電力を供給するための、およびツールの液圧/空気圧制御のための、接続部を備える設置用インターフェースを有する。センサーおよびビジョンモジュールまでのすべての配線がロボットの内部を経由する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接感知スキンであって、
表面に対して積層するための可撓性導電性材料を備え、
前記導電性材料が、
前記導電性材料の上に配置構成された複数のセンサーを有し、
前記複数のセンサーが、
前記表面から最大~10センチメートルで物体の近接度を感知するための少なくとも1つの容量センサーと、
前記表面から~10センチメートルから最大~2メートルで物体の近接度を感知するためのシングルポイントの飛行時間型センサーと、
前記近接感知スキンが積層される前記表面にかかる機械的ひずみ/応力を測定するための銅トレースと、を備え、
前記飛行時間型センサーが、
フォトトランジスタと、
赤外線LEDと、を備え、
前記可撓性導電性材料が、前記複数のセンサーからの信号を、前記複数のセンサーからの前記信号に応答して前記表面を移動させるように構成されたサーボ制御装置まで、中継する、近接感知スキン。
【請求項2】
前記近接感知スキンが、モノリシック部品を形成するエポキシ樹脂を用いて前記表面に積層される、請求項1に記載の近接感知スキン。
【請求項3】
前記表面がコンポジット部品の上にあり、前記コンポジット部品が、金属と、炭素繊維または繊維ガラスのうちの一方とで構築される、請求項1に記載の近接感知スキン。
【請求項4】
前記コンポジット部品の炭素繊維セグメントに接触する第1の導電性パッドと、
前記コンポジット部品の金属セグメントに接触する第2の導電性パッドと、
をさらに備え、
前記コンポジット部品の電解腐食を抑制するために電流が前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間を通過する、
請求項3に記載の近接感知スキン。
【請求項5】
自律ロボット装置であって、
関節式ロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられた基部と、を備え、
前記関節式ロボットアームが、
中空ジョイントにより接続され、前記ロボットアームを3次元で移動させるために前記ジョイントを中心として回転可能である、複数のリムセグメントと、
ターミナルリムセグメントに取り外し可能に取り付けられたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが、
ツールを取り外し可能に取り付けるための設置用インターフェースを備え、
前記設置用インターフェースが、
前記ツールを前記設置用インターフェースに係止するためのラッチ機構と、
前記設置用インターフェースでの前記ツールの取り付けまたは取り外しを測定するための第1のビジョンモジュールと、を備え、
前記基部が、
前記ロボット装置に近接する物体を検出するための第2のビジョンモジュールと、
前記ロボット装置の周りの環境の360度ビューを捕捉するために前記第2のビジョンモジュールを方向付けるように構成された3軸ジンバルと、を備え
前記第2のビジョンモジュールが、
前記ロボット装置の周りの前記環境にある前記物体の立体奥行き知覚のための一対のRGBカメラと、
前記物体の温度を測定するための遠赤外線サーマルカメラと、
前記物体までの距離を測定するためのシングルポイントの飛行時間型(ToF)奥行きセンサーと、を備え、
前記ロボットが、前記第2のビジョンシステムによって検出された前記物体との衝突を回避しながら前記ツールを使用して1つまたは複数の訓練済みタスクを実施するために前記ロボットアームを自律的に関節運動させるように構成される、
自律ロボット装置。
【請求項6】
前記サーマルカメラによって見られる物体のための放射率較正が、前記ToFセンサーによって測定された前記物体の前記距離および前記RGBカメラによる前記物体の検出に基づいて、実時間で計算および調整される、請求項5に記載の自律ロボット装置。
【請求項7】
前記基部が弁アレイをさらに備え、前記弁アレイが、
少なくとも5つの入力ラインから前記エンドエフェクタに接続された一対の出力ラインまでの流体供給を調節するための、流体接続された複数の電磁弁であって、それにより、前記ツールの液圧/空気圧制御のために前記出力ラインのうちの1つの出力ラインを介して液圧/空気圧流体が前記エンドエフェクタに供給される、複数の電磁弁
を備える、請求項5に記載の自律ロボット装置。
【請求項8】
前記設置用インターフェースが、
前記ツールの液圧/空気圧制御のための少なくとも1つの液圧/空気圧コネクタをさらに備え、
前記液圧/空気圧コネクタが前記一対の出力ラインに流体接続される、請求項7に記載の自律ロボット装置。
【請求項9】
各リムセグメント内にあり、前記リムセグメントを関節運動させるための、少なくとも1つのサーボモータをさらに備え、
前記サーボモータが、前記リムセグメントを移動させるときに前記サーボモータの受ける機械抵抗を感知するための電流フィードバック機構を実装するように構成される、請求項5に記載の自律ロボット装置。
【請求項10】
前記ロボット装置の少なくとも1つの部品に積層された少なくとも1つの近接感知スキンをさらに備え、
前記近接感知スキンが、
複数のセンサーと、
前記複数のセンサーからの信号を中継するためのコネクタと、を備え、
前記複数のセンサーが、
前記表面から最大~10センチメートルで物体の近接度を感知するための少なくとも1つの容量センサーと、
前記表面から~10センチメートルから最大~2メートルで物体の近接度を感知するためのシングルポイントの飛行時間型センサーと、
前記表面にかかる機械的ひずみ/応力を測定するための銅トレースと、を備え
前記飛行時間型センサーが、
フォトトランジスタと、
赤外線LEDと、を備え、
前記コネクタが、前記部品を移動させるように構成されたサーボモータ制御装置に接続される、請求項9に記載の自律ロボット装置。
【請求項11】
前記近接感知スキンが、
前記近接感知スキンの上で、固有パターンで配置構成された複数の赤外線LEDをさらに備え、
前記固有パターンが、前記固有パターンを見るために前記ロボット装置に接続されたVR/ARヘッドセットの上にある赤外線カメラにとって可視であり、
前記VR/ARヘッドセットが、前記VR/ARヘッドセットに対する前記ロボット装置の位置を特定するために、使用者によって着用される、請求項10に記載の自律ロボット装置。
【請求項12】
前記飛行時間型センサーの前記赤外線LEDが、前記VR/ARヘッドセットに対する前記ロボット装置の位置を特定するために接続された前記VR/ARヘッドセットの上にある前記赤外線カメラにとって可視である、請求項11に記載の自律ロボット装置。
【請求項13】
前記基部が、
前記ロボット装置を1つまたは複数の周辺デバイスに接続するための複数のI/Oコネクタをさらに備え、
前記周辺デバイスが少なくとも前記VR/ARヘッドセットを有する、請求項11に記載の自律ロボット装置。
【請求項14】
実時間で前記第2のビジョンモジュールを方向付けるために、前記使用者によって方向付けされる、前記VR/ARヘッドセットの3Dの向きが、前記ジンバルに伝達される、請求項11に記載の自律ロボット装置。
【請求項15】
前記基部が、
中央中空部をさらに備え、
前記少なくとも5つの入力ラインと、前記一対の出力ラインと、前記第1のビジョンモジュールおよび前記第2のビジョンモジュールまでのすべての配線とが、前記中央中空部を経由する、請求項7に記載の自律ロボット装置。
【請求項16】
前記一対の出力ラインと、前記第1のビジョンモジュールまでの前記配線とが、前記中央中空部から前記複数のリムセグメントおよび中空ジョイントの内部を通って前記エンドエフェクタまで経由する、請求項15に記載の自律ロボット装置。
【請求項17】
注射液を投与するための、請求項5に記載の自律ロボット装置を使用する自律ロボットシステムであって、前記システムが、
前記自律ロボット装置の前記基部を設置するための支持構造を備え、
前記支持構造が、
患者の中に注射されることになる流体を充填した使い捨てカートリッジを保管するための第1のレセプタクルと、
廃棄物を保管するための少なくとも第2のレセプタクルと、
前記ロボット装置の前記エンドエフェクタに取り付けられた前記ツールの先端部の中に使い捨てカートリッジを装填するための再装填機構と、
を備え、
前記自律ロボット装置が、前記第2のビジョンシステムによって検出された前記物体との衝突を回避しながら、
前記先端部の装填が解除されるときに、前記ツールを前記再装填機構に隣接するように移動させること、および、
注射後に前記使い捨てカートリッジを捨てるために、前記ツールを前記第2のレセプタクルの上方に移動させること、
を行うように構成される、自律ロボットシステム。
【請求項18】
前記ツールが、
前記使い捨てカートリッジの中の前記流体を前記患者の中に注射するための正圧ピストン注射器と、
前記流体を注射するために前記圧力ピストンを解除するための第1のばね式のラッチと、
前記第1のばね式のラッチと係合するために第1のプーリーシステムの上を経由する第1の形状記憶合金アクチュエータワイヤと、
前記先端部から前記使い捨てカートリッジを取り出すための第2のばね式のラッチと、
前記第2のばね式のラッチと係合するために第2のプーリーシステムの上を経由する第2の形状記憶合金アクチュエータワイヤと、
前記アクチュエータワイヤを二者択一的に加熱するための加熱要素と、
前記患者の上の注射すべき領域に殺菌液を噴射するためのノズルと、
をさらに備え、
加熱時、前記アクチュエータワイヤが収縮して前記ばね式のラッチを押し下げる、
請求項17に記載の自律ロボットシステム。
【請求項19】
前記エンドエフェクタが、前記自律ロボットシステムの自己消毒のための高強度UV光源をさらに備え、前記エンドエフェクタから前記ツールが取り外されると前記UV光源が起動される、請求項17に記載の自律ロボットシステム。
【請求項20】
前記支持構造が、
前記ロボット装置または前記ツールに対して自分自身を位置決めするために前記患者に対して命令を表示するための、前記ロボット装置に接続されたタッチスクリーンディスプレイをさらに備え、
前記命令が、前記第1のビジョンモジュールまたは前記第2のビジョンモジュールによって検出される、前記ツールに対する前記患者の近接度に基づいて、生成される、
請求項17に記載の自律ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書で開示される実施形態は、自律ロボット工学に関し、より詳細には、可変環境でタスクを実施するための近接感知自律ロボットシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 自律ロボットは、(外的影響なしで)高度の自律性により動作およびタスクを実施する1つの種類のロボットである。高度に制御された環境でタスクの同じシーケンスを実施して最終目標を完了する自動化されたロボットとは対照的に、自律ロボットは、より混沌とした環境において予測できない変化事象を克服するためにタスクのシーケンスおよび細目を修正して最終目標を完了することができる。
【0003】
[0003] 自律ロボットは、通常、専門化されており、特定のタスクを実施するように訓練されている。したがって、自律ロボットは、大幅な修正なしで他のタスクを実施するように容易には適合または修正され得ない。自律ロボットを実装する場合の別の難点は、自律ロボットが通常は「追加設定なし」で使用されるように製造されていないことである。むしろ、自律動作のためのセンサーおよびカメラがロボットの上に追加されるかまたは後付けされる。センサーおよびカメラを一体化することは難しいものとなり得るか、または実現困難なものとなり得る。さらに、センサーの一体化は、通常、ロボットの外側部分に沿ってワイヤまたはケーブル配線を経由させることを伴い、それにより、特に、ロボットが、配線に引っ掛かる可能性がある他のロボットまたは物体に極めて近接して動作している場合には、ロボットのインストール位置および動作が制限され得る。
【0004】
[0004] 現代のロボットは、しばしば、コンポジット部品を使用する。コンポジット部品は、軽量ではあるが、直接接触する、異なる電気伝導率を有する異なる導電性材料によって起こる電解腐食の被害を受け得る。この問題は湿気の多いじめじめした環境条件で悪化する。電解腐食を抑制するために防食噴霧液またはコーティングがコンポジット部品に塗布され得るが、このようなコーティングの有効性は時間とともに低下する。さらに、ロボットの分解を必要とする、コンポジット部品の内部をコーティングすることが可能ではない場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] したがって、容易なインストールおよび自律動作のために組み込み式の近接感知および腐食抑制を行う新しい自律ロボットシステムおよび装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本特許明細書で開示される自律ロボットは、特定の用途のために複数のデザインの実施形態を作り出すのを可能にするプロットフォーム技術を表すものであり、特定の用途のうちのいくつかの用途が本明細書でさらに考察される。自律ロボットプラットフォーム自体の複数のデザインの実施形態も開示される。
【0007】
[0007] 考察される各エンドユース用途のための自律ロボットの解決策は2つの構成要素から構成される。第1の構成要素は、ロボットの頭脳およびボディとして機能する自律ロボットプラットフォームである。第2の構成要素は、ロボットの手として機能するエンドエフェクタである。この2つの構成要素からなる手法は、自律ロボットプラットフォームを、多数の手続き的タスクにおいて訓練すること、および各用途に固有のエンドエフェクタを替えることのみにより新しい用途において容易に配備することを可能にする。一部のエンドエフェクタは特定のタスクに合うように手直しされることになるが、十分に器用なロボットハンドなどの他のエンドエフェクタはより広範的となり、それによりこれらの自律ロボットを動作させることができる環境の範囲がさらに拡大する。
【0008】
[0008] 一実施形態によると、近接感知スキン(proximity sensing skin)が存在する。近接感知スキンは、表面に対して積層するための可撓性導電性材料を備え、導電性材料は、その上に配置構成された複数のセンサーを有する。複数のセンサーは、表面から最大~10センチメートルで物体の近接度を感知するための少なくとも1つの容量センサーと、表面から~10センチメートルから最大~2メートルで物体の近接度を感知するためのシングルポイントの飛行時間型センサー(single point time of flight sensor)と、近接感知スキンが積層される表面にかかる機械的ひずみ/応力を測定するための銅トレースと、を有する。可撓性導電性材料は、複数のセンサーからの信号をサーボ制御装置まで中継し、サーボ制御装置は、複数のセンサーからの信号に応答して上記表面を移動させるように構成される。
【0009】
[0009] 別の実施形態によると、自律ロボット装置が存在する。自律ロボット装置は、中空ジョイントにより接続された複数のリムセグメントを有する関節式ロボットアームを有する。リムセグメントは、ロボットアームを3次元で移動させるために、ジョイントを中心として回転可能である。
【0010】
[0010] ロボット装置は、ターミナルリムセグメントに取り外し可能に取り付けられたエンドエフェクタを有する。エンドエフェクタは、ツールを取り外し可能に取り付けるための設置用インターフェースを備える。設置用インターフェースは、ツールを設置用インターフェースに係止するためのラッチ機構と、設置インターフェースでのツールの取り付けおよび取り外しを測定するための第1のビジョンモジュールと、を備える。
【0011】
[0011] ロボット装置は、ロボットアームに取り付けられた基部をさらに有する。基部は、ロボット装置に近接する物体を検出するための第2のビジョンモジュールを備える。第2のビジョンモジュールは、ロボット装置の周りの環境にある物体の立体奥行き知覚(stereoscopic depth perception)のための一対のRGBカメラと、物体の温度を測定するための遠赤外線サーマルカメラと、物体までの距離を測定するためのシングルポイントの飛行時間型(ToF:time of flight)奥行きセンサーと、を備える。基部は、3軸ジンバルをさらに有し、3軸ジンバルは、ロボット装置の周りの環境の360度ビューを捕捉するために、第2のビジョンモジュールを方向付けるように構成される。ロボット装置は、第2のビジョンシステムによって検出された物体との衝突を回避しながら、ツールを使用して1つまたは複数の訓練済みタスクを実施するために、ロボットアームを自律的に関節運動させるように構成される。
【0012】
[0012] 別の実施形態によると、注射液を投与するための自律ロボット装置を使用する自律ロボットシステムが存在する。システムは、自律ロボット装置の基部を設置するための支持構造を備える。
【0013】
[0013] 支持構造は、患者の中に注射されることになる流体を充填した使い捨てカートリッジを保管するための第1のレセプタクルと、廃棄物を保管するための少なくとも第2のレセプタクルと、ロボット装置のエンドエフェクタに取り付けられたツールの先端部の中に使い捨てカートリッジを装填するための再装填機構と、を備える。
【0014】
[0014] 自律ロボット装置は、第2のビジョンシステムによって検出された物体との衝突を回避しながら、先端部の装填が解除されるときに、ツールを再装填機構に隣接するように移動させるように構成され、注射後に使い捨てカートリッジを捨てるために、ツールを第2のレセプタクルの上方に移動させるように構成される。
【0015】
[0015] いくつかの例示の実施形態の以下の説明を読むことにより当業者には他の態様および特徴が明らかとなろう。
【0016】
[0016] 本明細書に含まれる図面は、本明細書の物品、方法、および装置の種々の実施例を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】[0017]一実施形態による自律ロボット装置の斜視図である。
【
図1B】一実施形態による自律ロボット装置の斜視図である。
【
図3A】[0021]一実施形態によるエンドエフェクタの正面斜視図である。
【
図3B】一実施形態によるエンドエフェクタの側面斜視図である。
【
図4A】[0022]一実施形態による近接感知スキンの斜視図である。
【
図4B】[0023]一実施形態による、ロボット表面に付着された
図4Aの近接感知スキンの斜視図である。
【
図4C】[0024]別の実施形態による、ロボット表面に付着された
図4Aの近接感知スキンの斜視図である。
【
図5A】[0025]ロボット表面に関連して示される、一実施形態による近接感知スキンの上面斜視図である。
【
図5B】ロボット表面に関連して示される、一実施形態による近接感知スキンの底面斜視図である。
【
図6A】[0026]一実施形態による、ロボットコンポジット部品に付着された防腐食近接感知スキンの分解図である。
【
図6B】一実施形態による、ロボットコンポジット部品に付着された防腐食近接感知スキンの斜視図である。
【
図7】[0028]一実施形態による自律ロボットシステムの斜視図である。
【
図8A】[0029]一実施形態によるニードルレス注射のためのツールの上面斜視図である。
【
図8B】一実施形態によるニードルレス注射のためのツールの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0030] 各々の特許請求される実施形態の一実施例を提供するために種々の装置または方法を以下で説明する。以下で説明される実施形態はいずれの特許請求される実施形態も制限せず、特許請求される実施形態はいずれも、以下で説明されるプロセスまたは装置とは異なるプロセスまたは装置を包含することができる。特許請求される実施形態は、以下で説明される任意の1つの装置またはプロセスのすべての特徴を有する装置またはプロセスに限定されず、また、以下で説明される複数のまたはすべての装置に共通する特徴に限定されない。
【0019】
[0031] 本明細書で説明される1つまたは複数のシステムは、プログラム可能なコンピュータ上で実行するコンピュータプログラムで実装され得、プログラム可能なコンピュータが、各々、少なくとも1つのプロセッサと、データ記憶システム(揮発性の、および不揮発性のメモリおよび/または記憶要素を含む)と、少なくとも1つの入力デバイスと、少なくとも1つの出力デバイスと、を備える。例えば、限定しないが、プログラム可能なコンピュータは、プログラマブル論理ユニット、メインフレームコンピュータ、サーバ、パーソナルコンピュータ、クラウドベースのプログラムまたはシステム、ラップトップ、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、またはタブレットデバイスであり得る。
【0020】
[0032] 各プログラムが、好適には、コンピュータシステムと通信するために、高レベル手続き型プログラミングまたはオブジェクト指向プログラミングで、ならびに/あるいはスクリプト言語で、実装される。しかし、プログラムは、所望される場合、アセンブリまたは機械語で実装され得る。いずれの場合も、言語はコンパイラ型言語またはインタープリタ型言語であり得る。各々のこのようなコンピュータプログラムは、好適には、記憶媒体またはデバイスに保存され、かかる記憶媒体またはデバイスは、本明細書で説明される手法を実施するためにコンピュータにより記憶媒体またはデバイスが読み込まれるときにコンピュータを構成して動作させるための汎用または専用のプログラム可能なコンピュータによって可読である。
【0021】
[0033] 互いと通信する複数の構成要素を有する一実施形態の説明は、これらのすべての構成要素が必要であることを暗に意味するわけではない。反対に、本発明の多種多様な可能性のある実施形態を例示するために多様な任意選択の構成要素が説明される。
【0022】
[0034] さらに、順次、プロセス工程、方法工程、またはアルゴリズムなどが説明され得るが(本開示および/または特許請求の範囲において)、このようなプロセス、方法、およびアルゴリズムは交互的な順序で機能するように構成され得る。言い換えると、説明され得る工程の任意のシーケンスまたは順序は、工程をその順序で実施する要求を必ずしも示していない。本明細書で説明されるプロセスの工程は、現実的な任意の順序で実施され得る。さらに、一部の工程が同時に実施され得る。
【0023】
[0035] 単一のデバイスまたは物品が本明細書で説明される場合、2つ以上のデバイス/物品(それらが協働する場合でも協働しない場合でも)が単一のデバイス/物品の代わりに使用されてもよいことが容易に明らかとなろう。同様に、2つ以上のデバイスまたは物品が本明細書で説明される場合(それらが協働する場合でも協働しない場合でも)、2つ以上のデバイスまたは物品の代わりに単一のデバイス/物品が使用されてもよいことが容易に明らかとなろう。
【0024】
[0036] 本明細書で説明されるロボットシステムおよび装置は、自律的活動を実施するために局所環境を評価するための複数の固定センサーまたは可動センサーを有する。センサーはロボットシステムおよび装置に全体として組み込まれ、その結果、センサーは、専用の人工知能(AI:artificial intelligence)およびソフトウェアと併せた結合内蔵ユニットとして追加設定なしで使用されることを意図される。用途固有の要求のための追加のセンサーが組み込まれてもよい。AIおよびソフトウェアは、ロボット装置を最初にインストールするときの初期セットアップから離れた構成を必要とすることなく、プラグアンドプレイの実装のためのロボットシステムおよび装置に完全に一体化されてより大きいシステムとなる。
【0025】
[0037] 本明細書で波形符号(~)が使用される場合、これは示される値の±10%の範囲を意味する。例えば、~1.0は0.9から1.1を意味する。
【0026】
[0038]
図1Aおよび
図1Bを参照すると、一実施形態による自律ロボット装置100の斜視図が示されている。ロボット100は、関節式アーム102を有する。アーム102は、ジョイント106a、106b、106cで接続されたリムセグメント104a、104b、104c、104dを有する。リムセグメント104b、104c、104dはジョイント106a、106b、106cを中心として回転可能である。リムセグメント104aは基部120を中心として回転可能である。ジョイント106a、106b、106cを介してのリムセグメント104a、104b、104c、104dの接続性が、ロボット100がアーム102を3次元で関節運動させるのを実現する。
【0027】
[0039] 各リムセグメント104a、104b、104c、104dは、好適には、比較的軽量および弾性を有するように主として炭素繊維コンポジット材料を使用して製作される。他の実施形態によると、リムセグメント104a、104b、104c、104dが、繊維ガラスなどの他のコンポジット材料で構築され得る。
【0028】
[0040] 各リムセグメント104a、104b、104c、104dが、リムセグメントを作動させるための1つまたは複数のサーボモータを収容する。サーボモータが、リムセグメントまたはジョイントを移動させるときにサーボの受ける機械抵抗を感知するための電流フィードバック機構を実装するように構成される。電流フィードバック機構により各ジョイント/サーボにかかる力/トルクを測定することにより、機械抵抗が測定され得る。
【0029】
[0041] サーボモータに対するすべての配線がリムセグメント104a、104b、104c、104dの内部および中空ジョイント106a、106b、106cを経由し、ロボット100の外側部分に配線またはケーブルは存在しない。ロボット100の外側部分の配線またはケーブルがあると、ロボット100のインストールおよび動作中の移動を制限し得る。
【0030】
[0042] ロボット100は、設置用インターフェース110にツール(図示せず)を取り外し可能に取り付けるためのエンドエフェクタ108を有する。エンドエフェクタ108は
図3を参照してより詳細に説明される。
【0031】
[0043] ロボット100は基部120を有する。基部120は、アーム102を支持するための支持構造(図示せず)に固定される。一般に、基部120はロボット100の制御のための構成要素を有する。基部120は
図2A~
図2Eを参照してより詳細に説明される。
【0032】
[0044] ロボット100は、自律用途のための、計算能力およびセンサーを有する。センサーは、LIDAR、飛行時間型(TOF)、および立体奥行きセンサーなどの、ビジョンシステムを有する外部センサーを含む。センサーのうちの一部のセンサーは、ロボット100がその中で動作している環境を感知してこの環境に関する情報を生成するために、ロボット100の基部120で静止している。一実施形態によると、基部120は、回転ライダーシステム、または、特定の離散的な角度に位置する複数の静止奥行きセンサーを有する。オペレーション固有のタスクのための他のセンサーがロボット100のアーム102およびエンドエフェクタ108に設置される。これらのセンサーは、以下で説明されるような、近接感知スキンおよびビジョン/奥行きセンサーを含む。
【0033】
[0045] センサーはロボット100に全体として組み込まれ、専用のソフトウェアと併せた結合ユニットとして追加設定なしで使用されることを意図される。用途固有の要求のための追加のセンサーがツール112に組み込まれ得る。ロボット100には、完全に一体化されて使用の準備の整っているAIおよび自律ソフトウェアも付属する。全体のソフトウェアワークフローは以下で詳細に説明される。
【0034】
[0046]
図2A~
図2Dを参照すると、
図1Aおよび
図1Bに示される基部120の種々の図が示されている。基部120は、基部120を支持構造に固着するための底部122を有する。底部122は開口部124を有し、基部120を支持構造に固着するために固定具が開口部124を通過する。底部122は、電力供給ユニットを冷却するために底部122を通して空気を循環させるのを可能にするための複数の通気孔132を有する。
【0035】
[0047] 基部120は頂部126を有する。頂部126は、ロボットを制御するための、およびロボット上の近接センサーから受信した信号を処理するための電気構成要素を有するディスク形状の印刷回路基板(PCB:printed circuit board)を収容する。PCBは、少なくとも1つのプロセッサと、ソフトウェアおよびAIのアルゴリズム/モデルを含めたプロセッサ実行可能命令を保存するためのメモリとを有する。命令は、プロセッサによって実行されると、複数の訓練済みタスクまたは動きを自律的に実施すること、ならびに/あるいは、可変環境において訓練済みタスクの実施中にロボットを自律的に制御するためにセンサーからの信号を処理すること、を行わせるようにロボットを構成する。
【0036】
[0048] 協働ロボット工学または自律ロボット工学に関して言えば、また特には実社会の設定において取り扱う場合、ランダムネスおよび混沌を管理することが非常に重要となる。このランダムネスは、sim-to-realシミュレーションフィードバックループワークフローをロボットの動作命令に組み込むことによって低減される。このワークフローでは、シミュレーションが、ドメインランダマイゼーションのプロセスを通して世界のすべての変化およびランダムネスを予測する。シミュレーションはタスク固有またはドメイン固有であり得る。次いで、シミュレーションによって生成された合成データが、現実世界の設定において予測および推測を行うのを可能にするために一連の人工知能モデルを訓練するのに使用される。加えて、AIモデルは、転移学習などの方法を使用して、現実世界で使用されながら継続的に改善され得る。
【0037】
[0049] ロボットはEdge上でAIを動作させるIoTデバイスである。ロボットのソフトウェアは、フィールドで使用されながらいかなる中断もなくWi-Fiまたは5Gネットワークを介して無線で更新され得る。頂部126は、Wi-Fiまたは5Gネットワークに接続するための無線通信構成要素を収容する。
【0038】
[0050] 頂部126はさらに、ロボットの動作状態を使用者に伝えるためのスピーカおよびインジケータLEDを収容する。例えば、緑色LEDは、ロボットが通常に動作していることを示し、赤色LEDまたは可聴アラームはエラーを示す。
【0039】
[0051] 頂部126はさらに、ロボットの動作を制御するために使用者からのコマンドを受信するためのマイクロフォンを収容する。ロボットのこの実施形態の主要な態様のうちの1つの態様は、ボーカルプログラミング言語(VPL:Vocal Programming Language)の使用である。このプログラミング言語の意図は、手動でプラグラムを行うことを一切必要とすることなくロボットのためのAI活用(AI-powered)の手続き型タスクを画定するために自動音声認識(ASR:automatic speech recognition)および自然言語処理(NLP:natural language processing)の技法を使用することである。これにより、使用するいかなる顧客に対してもロボットの有用性がより大幅に向上し、日常生活においてロボットがかなり多く採用されることになる。
【0040】
[0052] 頂部126は、その中の構成要素を冷却するために頂部126を通って空気が循環するのを可能にするための複数の通気孔128を有する。通気孔128はさらに、スピーカからの音声およびマイクロフィンまでの音を通過させるのを可能にする。インジケータLEDからの光も通気孔128を通して可視である。
【0041】
[0053] 基部120は、頂部126および底部122に対して窪んでいる中間部130を有する。中間部130がビジョンモジュール140を収容する(説明の容易さのために
図2Cおよび
図2Dではビジョンモジュール140が省かれている)。
【0042】
[0054] ここで
図2A~
図2Bを参照すると、ビジョンモジュール140は自律ロボットの重要な部分である。ビジョンモジュール140は、奥行き知覚、物体検出、物体回避、および物体の温度検出を含めた多様なタスクを達成するための複数のカメラセンサー141a、141b、142、143から構成される。ビジョンモジュール140は、全体照明を利用する2つのRGBカメラ141a、141bと、ToF(飛行時間型)奥行きセンサー142と、FIR(far-infrared)(遠赤外線)サーマルカメラ143と、を有する。ジョイントの中空シャフトを通してロボットの基部まで信号を伝達することを目的として、ビジョンモジュール140からのすべての信号が単一のUSBケーブルによって伝えられる。カメラセンサー141a、141b、142、143からの信号が最初に、専用の集積回路を使用してMIPIまたはI2CインターフェースからUSBに変換される。次いで、変換された信号が、USBハブタイプの集積回路により単一のUSBケーブルに結合される。
【0043】
[0055] 2つのRGBカメラ141a、141bを有することの目的は、VR/AR用途のための、およびサーマルカメラ143の較正のための立体奥行き知覚を実現することである。サーマルカメラ143の放射率較正は、ToFセンサー142を介するAIベースの物体検出、および、RGBカメラ141a、141bに基づいて、実時間で計算および調整され得る。検出された物体の対応する放射率を利用することにより、その温度がより高い精度で推定され得る。
【0044】
[0056] 種々の実施形態によると、ビジョンモジュール140は、エンドエフェクタ(すなわち、
図1A~
図1Bのエンドエフェクタ108)、および/またはロボットの基部120の両方において使用され得る。示される実施形態では、ビジョンモジュール140がロボットの基部120の上の3軸ジンバル150の上に設置され、それによりロボットの周りの環境の360度ビューが与えられる。
【0045】
[0057] ジンバル150の向きは、ビジョンモジュール140を適切な方向に向けるために3つのサーボモータ152、154、156によって制御される。サーボモータ152、154、156は線形アクチュエータまたは回転アクチュエータであり得る。第1のサーボ152は、ビジョンモジュール140を大まかな方向に向けるために基部122の中間部130の円周の周りでジンバル150の360度の位置変更(translocation)を制御する。第1のサーボ152は、底部122に隣接する中間部セクション130の円周の周りで延びているトラック158に沿ってジンバル150を移動させる。第2のサーボ154はジンバル150の鉛直傾斜の細かい制御のために使用される。第3のサーボ154はジンバル150の水平傾斜の細かい制御のために使用される。
【0046】
[0058] 加えて、ジンバル150は、テレロボティクスのVR/AR用途のための実時間の方向決めのために使用され得る。例えば、ロボットの操作者がVR/ARヘッドセットを使用して有線または無線でロボットに接続し得、ヘッドセットの3Dの向きが、ジンバル150に伝達され、実時間でビジョンモジュール140を方向付ける。次いで、VR/ARヘッドセットが、カメラセンサー141a、141b、142、143のビューまたは測定値を実時間で使用者に対して表示することができる。
【0047】
[0059] 他の実施形態では、複数のビジョンモジュール140が基部120の上で静的に配置および方向付けされる。この360度の環境知覚は、ソフトウェアを使用して、異なるビジョンモジュール140からのイメージをつなぎ合わせることにより構築される。
【0048】
[0060] ここで
図2C~
図2Dを参照すると、基部120は、基部120の頂部126、中間部130、および底部122を通過する中央中空部134を有する。有利には、中央中空部134は、基部120の構成要素の電気配線ならびにエンドエフェクタまでの液圧/空気圧ラインが、ロボットのインストールおよび動作中の移動を制限し得るロボットの外側部分を経由するのではく、中央中空部134を経由するのを可能にする。これにより、ロボットの比較的容易なプラグアンドプレイのインストールが可能となる。その理由は、ロボットに対する電力供給、エンドエフェクタに対する液圧/空気圧流体供給、などのために必要であるすべてのケーブル配線が中央中空部134を経由するからである。
【0049】
[0061]
図2Eを参照すると、基部120の底面図が示されている。基部120の底部122は、ロボットに電力を提供するための電源に接続されるための電力供給ユニット160を収容する。底部122はさらに、その中の構成要素を冷却するために基部120の底部122を通して空気を循環させるためのファン162を収容する。底部112は、動作のためにロボットを構成およびセットアップするためのデバイスを接続するためのI/Oコネクタ164をさらに有する。例えば、使用者が、ビジョンモジュール140によって捕捉された視界を観察してセンサーの視野角および視程を較正するために、VR/ARヘッドマウントディスプレイがIOコネクタ164を介してロボットに接続され得る。I/Oコネクタ164は、ディスプレイ、外部センサー、またはロボットに一体化するための他のデバイスなどの、周辺機器に対してロボットを接続するのにも使用される。I/Oコネクタ164は、少なくとも、USBポートを含む。
【0050】
[0062] 基部120の底部112が弁アレイ170をさらに収容する。説明の容易さのために、弁アレイ170は部分的に底部122から取り除かれて示される。弁アレイ170は、ロボットのエンドエフェクタに到達する2つのラインに対する流体供給を調節するための、流体接続された複数の電磁弁172、174、176、178を含む。弁アレイ170は、エンドエフェクタに到達する2つの出力ラインに対して5つまたは6つの入力流体(液体またはガスのいずれか)を流体接続するように構成される。入力流体は、エンドエフェクタに取り付けられたツールの液圧/空気圧制御のための液圧/空気圧流体を含む。入力流体が、例えば、蒸留水/脱イオン水、IPA、ソープ、または他の化学物質などの消毒液、濾過されたクリーンな空気、圧縮空気、および、純粋な圧縮ガス(窒素、酸素、アルゴンなど)などの、種々のタスクを実施するためにツールによって使用されるための流体を含む。
【0051】
[0063] エンドエフェクタ108に到達する2つの出力ラインは弁アレイ170を介して任意の時間に切り替え可能である。これにより、IPAまたはソープを用いてラインのうちの1つのラインを洗浄し、次いで水を用いて洗い流し、次いで空気を用いて乾燥させ、この間、他のラインが作動流体をエンドエフェクタ108に供給する。
【0052】
[0064]
図3A~
図3Bを参照すると、一実施形態によるエンドエフェクタ300が示されている。エンドエフェクタ300は
図1A~
図1Bのエンドエフェクタ108であり得る。エンドエフェクタ300は特定のツールをロボットに設置するように具体的に適合され得る。エンドエフェクタ300は、多様なタスクのための多様なツールを受け入れるためにロボットから取り外し可能である。エンドエフェクタ300はツールを取り付けるための設置用インターフェース302を有する。設置用インターフェース302は、機械ラッチベースの、または磁石ベースの設置機構を含む。ラッチベースの機構は以下で説明されるような回転型機構または並進型機構を含む。
【0053】
[0065] 示される実施形態では、設置用インターフェース302は、DSLRカメラの着脱可能なレンズと同様の回転型の機械ラッチベースの機構を含む。設置用インターフェース302は、ツールの上にある螺旋溝と係合するための螺旋カラー304を有する。エンドエフェクタ300がツールと回転可能に対合し、それにより静止しているツールに対してエンドエフェクタ300の回転により螺旋カラー304がツール内の螺旋溝の中にねじ込まれて係合される。人間の使用者により回転モーションが実現されるDSLRカメラとは異なり、この実施形態ではエンドエフェクタ300内にある最後の自由度(DOF:Degree of Freedom)サーボにより回転モーションが実現される。これにより、複雑さと、ツールを取り付けるための追加の作動および動作ユニットの必要性とが大幅に低減されることになる。
【0054】
[0066] ロボットアーム(すわなち、
図1A~
図1Bのロボットアーム102)は、静止するように保持されているツールに隣接してエンドエフェクタ300を配置し、設置用インターフェース302でエンドエフェクタ304の上にツールをねじ込むようにするための回転モーションを始動させる。回転が螺旋カラー304の端部に達してツールがエンドエフェクタ300の硬い停止部306に当たるときに、このモーションが終了する。この時点で、エンドエフェクタ300内にある最後のDOFサーボの回転トルクが大幅に増大することになり、それにより、エンドエフェクタ300に対してツールが完全に設置されたこと、およびツールを定位置で係止するための機械的手段または電気的手段によりラッチが係止されたことをロボットが認識するようになる。
【0055】
[0067] 他の実施形態によると、設置用インターフェース302は、並進型の機械ラッチベースの設置機構を含む。並進型の機械ラッチベースの機構は、硬い停止部に到達するまでロボットアームによりエンドエフェクタ300を、静止するように保持されているツールの上まで線形モーションで移動させて、設置用インターフェース302でツールをエンドエフェクタ300に係止するプロセスにおいてラッチを起動するかたちで、動作する。線形モーションはロボットのすべてのDOFサーボに対する機械抵抗が増大することで終了する。
【0056】
[0068] 加えて、上で言及した設置機構(回転型または並進型)のいずれでも、センサーは、エンドエフェクタ300上のツールの存在および/または取り付け/取り外しプロセスの完了の両方を検出するのに使用され得る。エンドエフェクタ300はビジョンモジュール308を有する。ビジョンモジュール308は上で説明したビジョンモジュール104と実質的に同様であり、ツールと、エンドエフェクタ300に対するツールの取り付け/取り外しと、を検出するためのカメラおよび近接センサーを有する。
【0057】
[0069] 取り付けの機構(回転型または並進型)に関係なく、ツールは受動的なものとなり得るかまたは能動的なものとなり得る。能動的なツールはロボットにより直接、および自動的に制御されたり電力供給されたりする。設置用インターフェース304は、空気圧/液圧接続部310、312と、必要であれば、ツールの液圧/空気圧制御のための2つの流体供給ラインに接続された自動放出弁と、を有する。設置用インターフェース304の上にある空気圧/液圧接続部301、312は、エンドエフェクタ300に対してツールが取り付けられている場合、ツールの上にある対応する接続部に位置合わせされて接続される。空気圧/液圧接続部310、312および弁は、エンドエフェクタ300内の開口部316を通って内部を経由する液圧/空気圧流体供給ラインに接続される。
【0058】
[0070] ロボットによるツールの制御は電気接続部314を介する。電気接続部は、ばね式のポゴピンと、設置用インターフェース302の上にあるトレース314とによって形成され、ツールがエンドエフェクタ300に取り付けられている場合にトレース314が、ツールの上にある相補的なポゴピンおよびトレースに接触する。電気接続部314は、電力ライン、デジタルIOおよび通信ライン(I2C、SPI、CAN、およびUSBなど)、ならびに高精度アナログ信号ラインを含む。ツールはホットスワップ可能であり、それにより、ロボット(および/または、ツール)が電力供給されたり機能したりしているときにツールを替えるための能力が提供される。ポゴピン314の位置は設置用インターフェース302の前面の上にあってよい(示されるように)か、または設置用インターフェース302の側面の上にあってよい。電気接続部314が設置用インターフェース302の側面に位置する実施形態によると、電気接続部314に到達するようにツールから延在するリードが存在する。
【0059】
[0071]
図4Aを参照すると、一実施形態による近接感知スキン200が示されている。近接感知スキン200は、通常、少なくとも1つの容量センサーおよび1つのToFセンサーを有する。種々の実施形態によると、近接感知スキン200は、容量圧力センサーおよび抵抗圧力センサー、赤外線ToFおよびレーザーベースの近接センサーなどの光ベースのセンサー、ならびに、ひずみゲージまたはひずみゲージのような応力センサーを含めた複数の種類のセンサーを有することができる。近接感知スキン200は、可撓性PCB、または、可撓性および伸縮性を有する導電性材料/ファブリックから製作される。言及したように複数の種類のセンサーが近接感知スキン200に組み込まれ得、次いで、センサーフュージョンデータ処理手法を利用することによって、他のセンサーによって得られたデータを使用する。
【0060】
[0072] 示される実施形態では、近接感知スキン200は、可撓性PCB206の上に配置構成された複数の銅容量センサー(copper capacitive sensor)202およびToF(飛行時間型)センサー204を備える。PCB206は容量性フィルムから構築され得る。容量センサー202は2×2グリッドを有する4つの容量センサー202のセットとして配置構成され、ToFセンサー204が各2×2グリッドの中心にある。示されるように、近接感知スキン200は4つの2×2グリッドを有し、合計で16固の容量センサー202および4つの飛行時間型センサー204を備える。他の実施形態によると、PCB206上での容量センサー202およびToFセンサー206の配置構成は特定の用途ごとに変化し得る。
【0061】
[0073] 容量センサー202は、センサー202から最大~10センチメートル離れた比較的近い物体の近接度を検出するように構成される。ToFセンサー204は、フォトトランジスタおよびIR LEDを備えるシングルポイントの飛行時間型センサーである。ToFセンサー204は、センサー204から最大~1メートルの、より長い距離にある物体の近接度を検出するように構成されるが、比較的短い距離にある物体を検出することができない。ToFセンサー204との組合せで容量センサー202を使用することにより、非常に近い近接度(10cmの範囲内)にある物体および最大1メートルの長い距離にある物体に対する、より広い組み合わされた感知範囲を提供することができる。
【0062】
[0074] 近接感知スキン200は、近接感知スキン200にかかる機械的ひずみ、および/または近接感知スキン200を付着したロボット表面にかかるひずみを測定するための銅トレース208を有する。
図4Aに示される銅トレース208は線形に見えるが、センサー202とセンサー204との間の実質的な線形経路において実際にはPCB206の中間部に跨ってジグザグである。感知スキン200または感知スキン200を付着したロボットの部品が応力を受けると、銅トレース208が伸びて銅トレース208内の抵抗を変化させる。銅トレース208の抵抗の変化は、感知スキン200を付着したロボットの部品にかかる応力の指標として測定され得る。
【0063】
[0075] 近接感知スキン200は、センサー202、204、208に電力を供給するための回路と、コネクタ210を介してセンサー202、204、208からロボットの上にある制御装置まで信号を中継するための回路と、を有する。
【0064】
[0076]
図4Bを参照すると、一実施形態による、ロボット表面212に付着された近接感知スキン200が示されている。近接感知スキン200は、安全な動作を促進するために、および、ロボットと、近接する他のロボット、人間、または物体との間の協働を促進するために、ロボット表面212に付着される。ロボット表面212は、基部またはロボットアームを含めた、ロボットの上の任意の場所に存在し得、近接感知スキン200は取り外し可能なツールにも付着され得る。示される実施形態では、ロボット表面212がロボットの外側部分にある。他の実施形態によると、近接感知スキン200を付着したロボット表面212はロボットの内部表面である。
【0065】
[0077]
図4Cを参照すると、別の実施形態による、ロボット表面216に付着された近接感知スキン200が示されている。この実施形態では、近接感知スキン200を付着したロボット表面216がロボットの内部にある。ロボット表面216を含むロボットの部品218は、この部品218を通して銅容量センサー202が物体の近接度を感知するのを可能にするのに十分な薄さを有すべきであり、非金属であるべきである。
【0066】
[0078] この部品218は、表面212と表面216と間にあるアパーチャ214を有する。近接感知スキン200が表面216に付着される場合、ToFセンサー204がアパーチャ214に位置合わせされる。ToFセンサー204によって放射されるIR光および物体からのIR光の反射光がアパーチャ214を通過してToFセンサー204によって記録される。
【0067】
[0079]
図4B~
図4Cを参照すると、近接感知スキン200がロボットのボディ自体のモノリシック部品218に組み込まれ得る。近接感知スキン200は、モノリシック部品218を形成するためにエポキシ樹脂を使用してこの部品218の外部表面(
図4B)または内部表面(
図4C)に積層され得る。PCB206は任意の形状をとることができ、炭素繊維コンポジット部品218の曲率/輪郭に適合し得る。PCB206は、エポキシ樹脂の流れを促進するために有孔のジオメトリを有する。ToFセンサー204の閉塞を防止するために、IR光に対して透過性がある適切なエポキシ樹脂が使用される。見た目の良さのために、この部品218は、内部に組み込まれた任意のセンサー202、204、208の存在を隠すために、塗料を塗布され得/スプレーコーティングされ得/研磨され得る。ToFセンサー204の閉塞を防止するために、IR光に対して透過性がある適切な塗料またはコーティングが使用される。
【0068】
[0080] コネクタ210が、センサー202、204、208からの信号をサーボドライバ/制御装置PCBまで中継する。一般に、コネクタ210は、ロボットの上にある、隣接するかまたは最も近くにあるサーボアクチュエータのドライバ/制御装置PCBに取り付けられ、ロボットは、近接感知スキン200が積層される部品または表面を移動させるように構成される。コネクタ210はロボットの内部を経由してサーボ制御装置PCBに到達する。
【0069】
[0081] センサー202、204、208による測定値はロボットの動作の多様なモードを切り替えるのに使用されるか、または、ロボットの動きを調整するためにフィードバック制御アルゴリズムに対する入力となるように使用される。これらの測定値は、衝突回避、速度制御、検出される物体の近くのモーションの減速、または接触の認識のために使用される。衝突回避のためには、近接センサー202、204が、近接感知スキン200を付着した部品218と周りの物体との間で最小閾値距離を維持するのに使用される。近接センサー202、204により表面の最小閾値距離の範囲内である物体(すなわち、人間、別のロボット、または他の物体)が検出されると、ロボットが、その物体との衝突を防止するために力/トルク補償モードへの切り替えを行うことになる。
【0070】
[0082] 近接センサー202、204は、センサー202、204自体がその上にあるロボットのセルフセンシングを回避するかまたは無視する。ロボットアームの位置およびロボットの多様な部品の上にある多様な近接感知スキン200の配置に応じて、特定の近接感知スキン200の上の容量センサー202およびToFセンサー204が自動で起動されたり停止されたりし、または、セルフセンシングを防止するためにそれらの感知結果が無視される。
【0071】
[0083]
図5A~
図5Bを参照すると、一実施形態による近接感知スキン220が示されており、これがロボット表面230との関連で示されている。近接感知スキン220は
図4Aの近接感知スキン200と実質的に同様である。近接感知スキン220は、銅トレース208と、各2×2グリッドの中央にToFセンサー204を備える、可撓性PCB222の上に2×2グリッドで配置構成された複数の容量センサー202と、を有する。PCB222は各2×2グリッドの中央にあるカットアウトタブ224を有し、カットアウトタブ224の上にToFセンサー204が配設される。カットアウトタブ224はPCB222の頂面226に対して下げられており、その結果、ToFセンサー204の頂部がPCB222の頂面226と実質的に面一となる。
【0072】
[0084] 近接感知スキン220が、アパーチャ232を有するロボット表面230に付着される。近接感知スキン220がロボット表面230に付着されている場合、タブ224およびタブ224の上に配設されたToFセンサー204がアパーチャ232の中に収められる。この配置構成は、ロボット表面230が、滑らかな仕上がりを有すること、およびさらにはToFセンサー204の領域内でロボット表面230が別の物体に接触する場合にToFセンサー204を損傷から保護することを可能にする。近接感知スキン220は、上で説明したようにモノリシック部品を形成するためにエポキシ樹脂を用いてロボット表面230に積層され得る。
【0073】
[0085] いくつかの実施形態では、赤外線(IR)LEDが、VR/ARデバイスによって追跡されるように可撓性PCB222に組み込まれる。PCB222の上のLEDのパターンは、例えば基部またはエンドエフェクタなどの、近接センサースキン222を付着したロボットの部品234に対するPCB222の位置を特定するために、各PCB222に対して固有である。IRカメラを装備するVR/ARヘッドセットを着用している使用者が、VR/ARヘッドセットに対するロボットの位置を特定するためにIR LED光を見ることができる。これは、使用者が近接スキンをロボットの上のどこに装着するかを決定することを可能にするように、およびロボットにより物体の近接度を感知することができる方向を決定するのも可能にするように、行われ得る。
【0074】
[0086] IR LEDが、部品234の表面230の上でのいかなる突出部分およびテクスチャをも回避するようにPCB222のタブ224の上に設置される。近接センサースキン222が付着された後で任意の塗料塗布/スプレーコーティング/研磨の仕上がりが部品234に適用される場合、仕上がりはIR光に対して透過性があるため、IR LEDによって放射された光が通過することができる。別の実施形態では、IR LEDは、以前に説明したシングルポイントのToFセンサー204に含まれる。AR/VRの位置特定の目的と物体の近接度検出のためのIR LEDの輝度が、LEDデューティサイクルでのパルス幅変調を利用して調整され得る。
【0075】
[0087]
図6Aを参照すると、一実施形態による、ロボットコンポジット部品260a、260bに付着された防腐食近接感知スキン250の分解図が示されている。コンポジット部品260a、260bは、
図6Bに示されるコンポジット部品260を形成するように接着された炭素繊維部品260aおよび金属ブラケット260bを有する。コンポジット部品の1つの問題は電解腐食である。通常、異なる電気伝導性材料で構築された部品260a、260bが直接接触してそれによりそれらの電気伝導度に応じて部品260a、260bのうちの一方の部品で優先的な腐食を引き起こす場合に、電解腐食が起こる。
【0076】
[0088] 部品260a、260bの電解腐食は、防腐食近接感知スキン250をコンポジット部品260に一体化することにより、軽減され得る。防腐食近接感知スキン250は
図5A~
図5Bの近接感知スキン220と実質的に同様であり、複数の近接センサー256を有する。防腐食近接感知スキン250は、センサー256と電気接点258との間に折り畳みセグメント254を有する可撓性PCB252を有する。近接感知スキン250は部品260a、206bの接着中にコンポジット部品260a、260bに付着され、それにより折り畳み領域254が、
図6Bに示されるように、接着されたコンポジット部品260の部品260a、206bの間に挿置される。
【0077】
[0089]
図6Cを参照すると、防腐食近接感知スキン250の底面図が示されている。折り畳みセグメント254は、金属ブラケット260bおよび炭素繊維部品260aの両方に触れる一対の導電性パッド255、257を有する。第1の導電性パッド255が炭素繊維部品260aに接触し、第2の導電性パッド257が金属ブラケット260bに接触する。電気接点258を介して供給される微小電流がパッド255とパッド257との間を流れ、それにより部品260a、260bの電解腐食を防止するためのカソード防食が実現される。
【0078】
[0090]
図7を参照すると、一実施形態による自律ロボットシステム400が示されている。ロボットシステム400が、自律医療手法および注射を実施するように訓練される。これらには、以下に限定しないが、皮下注射、筋肉注射、関節内注射、硬膜外注射、硬膜内注射、生検サンプリング、流体吸引、静脈内アクセス(セントラルライン、末梢ライン、および/または、末梢挿入のセントラルライン)、動脈内アクセス(動脈ライン)、内皮カテーテル法、上皮カテーテル法、およびキルシュナーワイヤ(K-ワイヤ)挿入が含まれる。これらの用途のうちの1つまたは複数の用途では、ニードルベースの機構またはニードルレスベースの機構が薬物投与などの必要なタスクを完了するのに使用され得る。
【0079】
[0091] 自律システム400は、エンドエフェクタ108に取り付けられたツール402を備える、
図1A~
図1Bに示される自律ロボット装置100を有する。上で説明したように、エンドエフェクタ108は、ツール402に電力供給するための、およびツール402を制御するための、ツール402との電気接続および液圧/空気圧接続を取り付け時に形成する。ツール402は、ニードルベースの採血および注射またはニードルレスの注射のために構成された交換可能な先端部406を有する。先端部406は、採血のためのシリンジ、あるいは、注射可能な流体を充填されたバイアルまたはカートリッジを有することができる。ツール402が、以下で説明するように、注射および採血を支援するためのセンサーをさらに有する。
【0080】
[0092] ツール402は、垂直方向高さの収縮時に径方向に拡大する剛体リンク機構または可撓性リンク機構を備える変形可能な延伸機構(図示せず)をさらに有することができる。延伸機構は、注射のための最適な状態にするように患者の皮膚を伸ばすために注射プロセス中に外側に配備される。これは、患者がしわまたは病斑などの理想的ではない皮膚状態を有する場合に、適切となり得る。延伸機構は、ロボット100のエンドエフェクタ108により患者の腕(または、他の体の部位)の方への押し込みを行うときに皮膚を徐々に伸ばす。荷重計/ひずみゲージをその機構に一体化することにより、延伸機構にかかる径方向および軸方向の荷重が測定され得る。延伸機構に作用する荷重/力が先端部406(注射機構)に作用する荷重/力と同じではないことに留意することが重要である。
【0081】
[0093] 延伸機構が患者の身体に接触することから、衛生的な理由で、カバー/先端部が交換可能である。別の実施形態では、延伸機構は使い捨てまたは非使い捨ての両方であり得る。非使い捨てのデザインは、金属(アルミニウム、ステンレス鋼)などのより永久的な材料、またはより高い耐久性を有するプラスチックから作られ得る。この実施形態では、延伸機構は使用の間で消毒される必要がある。
【0082】
[0094] 延伸機構は、軟質プラスチックおよび/または硬質プラスチック、ファブリック、ならびにスマート材料(すなわち、電気活性ポリマー、形状記憶合金、またはポリマー)から製作され得る。延伸機構は、単一の部品となるように使い捨てバイアルと一体化され得る。
【0083】
[0095] ロボット100の基部120が支持構造404に取り付けられる。支持構造404は、使用者500に対して命令を提示するための、および、ロボット100の使用者500との相互作用を支援するために使用者500から入力を受信するための、タッチスクリーンディスプレイ408を有する。例えば、ディスプレイ408は、ロボット100、エンドエフェクタ108、またはツール402に対する使用者の近接度を検出するビジョンモジュールからのセンサー測定値に基づいて、ロボット100の方に腕を向けてロボット100の近くに立つようにとの指示を使用者500のために提示することができる。ディスプレイ404は基部120内にあるI/Oコネクタを介してロボット100に接続され得、それにより、ロボット100がディスプレイ408の上で提示するためのイメージを出力する。
【0084】
[0096] 支持構造404は、複数のレセプタクル(または、トレー)410、412を有する。第1のレセプタクル410が、注射可能な流体を収容する空のシリンジまたはカートリッジを保管するのに使用される。少なくとも第2のレセプタクル412が、使用済みのカートリッジおよびニードルなどの、廃棄物を保管するのに使用される。レセプタクル410、412は、中身を空にするために、または中身を補充するために支持構造404から取り外し可能である。他の実施形態によると、支持構造404が、レセプタクル410の代わりに、バイアルのスプールまたはパッケージを保管することができる。
【0085】
[0097] ロボット100が、注射または採血を自律的に実施するように、およびその後で先端部406を補充するか、または交換するように構成される。1つの補充プロセスが、予め充填された1回投与のバイアルまたは複数回投与のバイアルの使用を含む。1回投与のバイアルおよび複数回投与のバイアルは再装填機構416によりレセプタクル410から取り出され得る。支持構造404は、再装填機構416に隣接する開口部414を有する。先端部406を交換するために、ロボット100が、アーム102を関節運動させて、古い先端部416を廃棄物レセプタクル412の中に落下させ、次いで、開口部414を通してツール402を挿入する。次いで、再装填機構416がツール402と係合し、先端部406を新しいバイアルに交換する。この補充方法は、多数回投与した後で新しいバイアルをレセプタクル410に追加することにより、簡易かつ低い頻度でロボットに補充を行う手法を提供する。
【0086】
[0098] 別の補充プロセスは、ワクチン/薬物の大きい容器(図示せず)に接続された液圧ポンプを使用することを含む。先端部406に補充を行うための流体は、基部120内にある弁アレイおよびロボット100の内部を経由する管材を介してエンドエフェクタ108まで移送される。この流体は、ニードルレスの方法およびニードルを用いる方法の両方を利用して患者/顧客に直接投与され得る。加えて、流体は空のバイアルに充填を行うのに使用され得、このバイアルがニードルレスの方法またはニードルを用いる方法の両方を利用して使用され得る。
【0087】
[0099] 使用者500または支持構造404などの近接する物体に接触することなく注射および再装填のためにアーム102を関節運動させるために、ロボット100は上で説明したように基部120およびエンドエフェクタ108の中にあるビジョンモジュールにより環境を観察する。ロボット100はAI物体検出を実装し、特定の用途のための、バイアル、シリンジ、ニードルなどの物体、および、使用者500または支持構造404の上にある再装填機構416などと相互作用するための物体を識別するように訓練される。ロボット100は、アーム102、エンドエフェクタ108、またはツール402などの、ロボット100の部品に積層された少なくとも1つの近接感知スキンをさらに有することができる。
【0088】
[0100] 上で言及したように、注射の位置を決定するのに使用される情報の大部分は、基部120内にあるビジョンモジュールからのライブビジョンデータ(RGBカメラ、深度ビジョン、IR、超音波、LIDARなど)を使用して得られる。しかし、見通し線の問題、または高速に移動する標的のために、接触の最後の瞬間において、精密な位置がこれらのセンサーからはアクセス可能とならない可能性がある。したがって、制御システムの微調整および迅速な修正のために、エンドエフェクタ108のビジョンモジュールの中で、低解像度であるがより高速である(実時間である)センサーが利用される可能性がある。ツール402または周辺デバイスの中にある追加のセンサーが、特定の用途のために必要である追加の感知能力を提供するために、ロボット100に接続され得る。これらのセンサー/周辺装置、および、それらの使用の説明は以下の通りである。
【0089】
[0101] 超音波ベースのまたはソナーベースのセンサー/周辺装置は、肉、骨、および静脈/動脈などの身体の内部特徴を安価に検出するための理想的な選択肢である。医学的合併症および患者の損傷を回避するために、患者の身体上で挿入の位置を、ならびに奥行きおよび角度を決定するためには、これらの特徴を感知することが非常に重要である。2Dおよび3Dの超音波データは、通常、ロボット100に送信されてコンピュータビジョンアルゴリズムによって処理される。コンピュータビジョンアルゴリズムは、エッジ検出、AIベースのセマンティックセグメンテーションなどの、ML/AIを含む可能性がある。
【0090】
[0102] 赤外線ビジョンセンサー/周辺装置も皮膚の近くの解剖学的特徴を検出するための別の選択肢であり、それにより筋肉注射および静脈注射ならびに採血の用途のために有用となり得る。ソナーおよび超音波データと同様に、赤外線データは、通常、コンピュータビジョンアルゴリズムによって処理される。コンピュータビジョンアルゴリズムは、エッジ検出、AIベースのセマンティックセグメンテーションなどの、ML/AIを含む可能性がある。
【0091】
[0103] 荷重計およびひずみゲージのセンサー/周辺装置が、物体との相互作用時にロボット100またはツール402によって加えられた力を測定するのに使用される。ニードルを用いる場合、またはニードルレスの場合のいずれでも、注射/採血を実施するときの重要な測定は、患者およびツール402自体に加えられる力/荷重の測定である。力が不適切に加えられることにより、オペレーションが失敗する可能性があり、患者が損傷する可能性があり、痛みおよび不快感を発生させる可能性があり、ならびに/あるいは、ツール402を損傷させる可能性がある。
【0092】
[0104] 上で言及したように、一部の医療手法は、術前の解剖学的特徴のより正確な位置特定に依存する。位置特定は、外部マーカ、および、周辺デバイスによって実施される、MRI、X線写真術、CTスキャン、またはPETスキャンによって得られる画像を使用して達成され得る。外部マーカは、カメラまたは奥行きセンサーなどの、基部120またはエンドエフェクタ108の上にあるビジョンセンサーによって見ることができ、外部マーカが識別されると、医療画像データが実際の物理世界に対してマッピングされ得る。加えて、同様に医療画像データをマッピングするために、独立してまたは識別されたマーカと併せて、奥行きセンサーからの3Dデータが使用され得る。医療画像データが物理世界に対してマッピングされると、患者および患者の臓器に対するロボットの位置が決定される。
【0093】
[0105] 多様な実施形態によると、自律ロボットシステム400は、人間、あるいは、他のロボットまたは周辺機器との他の用途、相互作用、および/または協働のために、構成可能である。ロボットシステム400は、以下で説明するように、特定の用途のために、単純にツール402を別のツールに交換するか、またはロボットを周辺機器に接続することにより、容易に適合され得る。
【0094】
[0106] 種々の実施形態によると、自律ロボットシステム400が、ニードルベースの用途のために実装される。一つの実施形態では、ニードルベースの用途が、ワクチンなどの筋肉(IM:intramuscular)注射または皮下注射である。現在、ワクチンは医療従事者により患者に投与され、したがって非常に労働集約的なプロセスとなる。自律ロボットシステム400を使用することにより、医療サービス提供者からの直接の介入なしで、ワクチンなどのIM注射を自律的に実施することが可能となる。
【0095】
[0107] 店員によるセルフレジブースの区画の監視が行われる食料品店でのセルフレジ通路に対して、比較類推を行うことができる。IM注射では、同様に、医療サービス提供者が、ワクチン(または、他のIM注射または皮下注射)を患者に投与する自律ロボットブースの区画の監視を行う可能性がある。この実施形態では、患者がワークフローの問題に出くわした場合、または患者がロボット100による警告を受けた場合にのみ医療従事者が介入する必要がある。この用途は、以下に限定しないが、立体ビジョン、ライダー、超音波、および衝突回避を含めた、本明細書で開示される技術システムのうちの複数の技術システムに依存する。
【0096】
[0108] 別の実施形態では、自律ロボットシステム400が、医療従事者からの直接の介入なしで採血を実施するためのロボットフレボトミスト(robotic phlebotomist)として使用される。この実施形態は、表在血管を可視化するために赤外線のような追加のイメージガイダンスを使用する可能性がある。血管、筋肉、骨、脂肪などのより深い構造を可視化するために超音波も利用される可能性がある。この特定の用途では、赤外線センサーまたは超音波センサーが、ツール402に、および/またはエンドエフェクタ108内にあるビジョンモジュールに一体化され得る。
【0097】
[0109] 別の実施形態では、自律ロボットシステム400が、ニードルベースの生体検査のために使用される。腫瘍生検を実施する場合、ロボット100が、医療サービス提供者からの直接の介入なしで、MRIイメージに従って生体検査のための部位を見つけるために、および腫瘍の生検標本を得るために、MRIなどの術前撮像デバイス(preoperative imaging device)に登録され得る。
【0098】
[0110] 別の実施形態では、自律ロボットシステム400が、硬膜外または硬膜下などの脊髄ブロックまたは注射のために使用される。例えば、ロボット100は、麻酔専門医からの直接の介入なしで、術前ワークフローの一部として脊髄ブロックを通して患者にまひ薬(paralytics)を投与し得る。この実施例では、超音波が、精度を向上させるためにイメージガイダンス用に使用される。神経根などの軟組織構造の可視化をさらに改善するために、MRIなどの術前撮像も統合され得る。
【0099】
[0111] 別の実施形態では、自律ロボットシステム400が、関節内注射のために使用される。例えば、ロボットは、医療サービス提供者からの直接の介入なしで、関節腔(臀部など)を可視化するために超音波またはエックス線などの画像診断技術を利用することができる。次いで、ロボット100は、変形性関節症からの治療的緩和(therapeutic relief)を実現するために、関節内注射液(ヒアルロン酸)を関節腔の中に投与することができる。他の関節内注射液は、以下に限定しないが、多血小板血漿およびコルチゾンを含むことができる。
【0100】
[0112] 別の実施形態では、自律ロボットシステム400が、植毛手法のために使用される。この実施形態では、AIが、ロボット工学側で使用されるだけでなく、どこから毛髪を取るべきか、またはどこに毛髪を移植すべきかを技術者が評価するのを支援するためのプロシージャルプランニングでも使用され得る。次いで、ロボットが、このプロシージャルプランに基づいて、医療従事者からの直接の介入なしで、毛髪を採取して植え直すことができる。
【0101】
[0113] 別の実施形態では、自律ロボットシステム400が、スワブ試験のために使用される。これは、以下に限定しないが、鼻咽頭スワブ、口腔咽頭スワブ、頸部スワブ、尿道スワブなどを含む。covidスワブの実施例では、ロボットが、医療サービス提供者からの直接の介入なしで、スワブを投与することができ、それにより医療サービス提供者をウイルスの拡散から安全な状態にする。この実施形態は、ロボットを通してスワブを配置するのを支援するために、ライダー、立体視、術前MRIまたはCTなどの、ビジョン技術を使用することができる。
【0102】
[0114] 別の実施形態では、自律ロボットシステム400が、ニードルレスの注射のために使用される。ニードルレスの注射方法では、その名前によって示されるようにニードルを使用することなく、薬物/物質が注射される。この注射機構は、患者の組織の内部で噴射させるように薬物を押し出す手段として単純に空気圧を利用する。空気圧は、従来の継続的に動作するコンプレッサによって、またはツール402内にある局所的な正圧ピストン(positive-pressure piston)によって生成される。正圧ピストンは、ばね式のラッチ機構を使用して個別の圧力を作り出す。
【0103】
[0115] 従来のコンプレッサベースの空気圧システムが使用される場合、ロボット100の基部120内の弁アレイにある、アクティブ制御の圧力調整弁および流量制御弁/ソレノイドを使用して、ツール402に対する圧力が制御されて加えられる。圧力調整弁の目標圧力は、主ロボット制御システムにより電子的に制御され得る。手法を正確に制御することは非常に重要である。その理由は、(その分子構造に応じて)一部の薬物/ワクチンはこの加えられる圧力に対して敏感であるからであり、したがって、適切ではない圧力が加えられた場合に薬物/ワクチンが悪影響を受けることになるからである。
【0104】
[0116] ばね式のラッチのような機構が使用される場合、ツール402内で形状記憶合金または電磁アクチュエータを使用して、ラッチの装填およびラッチの解除の自動化が達成され得る。エンドエフェクタ108の上にある力センサーおよび近接センサーが、上述したようなプロセスの多様な段階中に(つまり、充填、注射、廃棄など)、機構の状態(つまり、ラッチされた、充填された、解除されたなど)、および/または、機構に作用する多方向の力を判断するのに使用され得る。
【0105】
[0117]
図8A~
図8Bを参照すると、一実施形態による、ニードルレス注射のためのツール600が示されている。ツール600は
図7に示されるツール402であり得る。
【0106】
[0118] ツール600は、交換可能なバイアル604の中身を患者の中に注射するための個別の圧力を作り出す正圧ピストン注射器602を有する。ピストン注射器602は、バイアル604の中身を注射するための第1のばね式のラッチ606と、使用後にツール600からバイアル604を取り出すための第2のばね式のラッチ608と、を有する。ピストン注射器602は、手動の手持ち式のオペレーションのための既製品の構成要素(例えば、Pharma Jet注射器)であり得る。
【0107】
[0119] ピストン注射器602が、ロボットによる自律的な注射のためにツール600の中に組み込まれる。ツール600は、ピストン注射器602を保持するためのハウジング610を有する。ハウジング610は、ばね式のラッチ606、608と係合するためにプーリーの上を経由する、両端部で固定された2つの形状記憶合金アクチュエータワイヤ610、612を有する。第1のアクチュエータワイヤ610が第1のプーリーシステム614の上を経由して第1のばね式のラッチ606と係合し、第2のアクチュエータワイヤ612が第2のプーリーシステム616の上を経由して第2のばね式のラッチ608と係合する。
【0108】
[0120] 形状記憶合金ワイヤ610、612が加熱時に縮んで短くなる。ツール600は、アクチュエータワイヤ610、612を二者択一的に加熱するための加熱要素(図示せず)を有し、加熱することで、ワイヤを締め付けて、それにより、バイアル604の中身を注射するか、または使用後にバイアル604を取り出すために、ばね式のラッチ606、608を押し下げる。
【0109】
[0121] 自律ロボットシステム400のための、上で説明した用途では、何らかの理由で非使い捨てのデバイスおよび機構が使用される場合、非使い捨てのデバイスおよび機構が使用の間で徹底的に消毒されることが非常に重要である。別の実施形態では、自律ロボットシステム400が自己消毒のために、および/または周囲環境の消毒のために使用される。消毒ツールがエンドエフェクタ108に取り付けられ得るか、またはロボット100が、消毒ツールを有する隣り合うロボットによって消毒され得る。消毒ツールは、以下に限定しないが、IR加熱またはジュール加熱、アルコール、ソープ、クリーナ、バイオサイドを使用する化学消毒、または、加圧空気、加圧水、または研磨流体を使用する空気圧/機械的消毒である、消毒方法を採用するように構成される。
【0110】
[0122] 一実施形態によると、エンドエフェクタ108は、それ自体、周囲環境、および/または隣り合うロボットを自己消毒するためにロボット100によって使用される高強度UVランプまたはLEDを有する。加えて、ロボット100自体に抗菌性のIR透過塗料が塗布され得、それにより、上で言及した他の方法と併せて保護性および消毒性を向上させる。
【0111】
[0123] 上記の説明は1つまたは複数の装置、方法、またはシステムの実施例を提供するが、当業者には読み取られ得るように、他の装置、方法、またはシステムも、特許請求の範囲内に存在し得ることが認識されよう。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接感知スキンであって、
表面に対して積層するための可撓性導電性材料を備え、
前記導電性材料が、
前記導電性材料の上に配置構成された複数のセンサーを有し、
前記複数のセンサーが、
前記表面から最大~10センチメートルで物体の近接度を感知するための少なくとも1つの容量センサーと、
前記表面から~10センチメートルから最大~2メートルで物体の近接度を感知するためのシングルポイントの飛行時間型センサーと、
前記近接感知スキンが積層される前記表面にかかる機械的ひずみ/応力を測定するための銅トレースと、を備え、
前記飛行時間型センサーが、
フォトトランジスタと、
赤外線LEDと、を備え、
前記可撓性導電性材料が、前記複数のセンサーからの信号を、前記複数のセンサーからの前記信号に応答して前記表面を移動させるように構成されたサーボ制御装置まで、中継する、近接感知スキン。
【請求項2】
前記近接感知スキンが、モノリシック部品を形成するエポキシ樹脂を用いて前記表面に積層される、請求項1に記載の近接感知スキン。
【請求項3】
前記表面がコンポジット部品の上にあり、前記コンポジット部品が、金属と、炭素繊維または繊維ガラスのうちの一方とで構築される、請求項1に記載の近接感知スキン。
【請求項4】
前記コンポジット部品の炭素繊維セグメントに接触する第1の導電性パッドと、
前記コンポジット部品の金属セグメントに接触する第2の導電性パッドと、
をさらに備え、
前記コンポジット部品の電解腐食を抑制するために電流が前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間を通過する、
請求項3に記載の近接感知スキン。
【請求項5】
自律ロボット装置であって、
関節式ロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられた基部と、を備え、
前記関節式ロボットアームが、
中空ジョイントにより接続され、前記ロボットアームを3次元で移動させるために前記ジョイントを中心として回転可能である、複数のリムセグメントと、
ターミナルリムセグメントに取り外し可能に取り付けられたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが、
ツールを取り外し可能に取り付けるための設置用インターフェース
であって、前記ツールを前記設置用インターフェースに係止するためのラッチ機構を有する設置用インターフェースと、
前記設置用インターフェースでの前記ツールの取り付けまたは取り外しを測定するための第1のビジョンモジュールと、を備え、
前記基部が、
前記ロボット装置に近接する物体を検出するための第2のビジョンモジュールと、
前記ロボット装置の周りの環境の360度ビューを捕捉するために前記第2のビジョンモジュールを方向付けるように構成された3軸ジンバルと、を備え
前記第2のビジョンモジュールが、
前記ロボット装置の周りの前記環境にある前記物体の立体奥行き知覚のための一対のRGBカメラと、
前記物体の温度を測定するための遠赤外線サーマルカメラと、
前記物体までの距離を測定するためのシングルポイントの飛行時間型(ToF)奥行きセンサーと、を備え、
前記ロボットが、前記第2のビジョンシステムによって検出された前記物体との衝突を回避しながら前記ツールを使用して1つまたは複数の訓練済みタスクを実施するために前記ロボットアームを自律的に関節運動させるように構成される、
自律ロボット装置。
【請求項6】
前記サーマルカメラによって見られる物体のための放射率較正が、前記ToFセンサーによって測定された前記物体の前記距離および前記RGBカメラによる前記物体の検出に基づいて、実時間で計算および調整される、請求項5に記載の自律ロボット装置。
【請求項7】
前記基部が弁アレイをさらに備え、前記弁アレイが、
少なくとも5つの入力ラインから前記エンドエフェクタに接続された一対の出力ラインまでの流体供給を調節するための、流体接続された複数の電磁弁であって、それにより、前記ツールの液圧/空気圧制御のために前記出力ラインのうちの1つの出力ラインを介して液圧/空気圧流体が前記エンドエフェクタに供給される、複数の電磁弁
を備える、請求項5に記載の自律ロボット装置。
【請求項8】
前記設置用インターフェースが、
前記ツールの液圧/空気圧制御のための少なくとも1つの液圧/空気圧コネクタをさらに備え、
前記液圧/空気圧コネクタが前記一対の出力ラインに流体接続される、請求項7に記載の自律ロボット装置。
【請求項9】
各リムセグメント内にあり、前記リムセグメントを関節運動させるための、少なくとも1つのサーボモータをさらに備え、
前記サーボモータが、前記リムセグメントを移動させるときに前記サーボモータの受ける機械抵抗を感知するための電流フィードバック機構を実装するように構成される、請求項5に記載の自律ロボット装置。
【請求項10】
前記ロボット装置の少なくとも1つの部品に積層された少なくとも1つの近接感知スキンをさらに備え、
前記近接感知スキンが、
複数のセンサーと、
前記複数のセンサーからの信号を中継するためのコネクタと、を備え、
前記複数のセンサーが、
前記表面から最大~10センチメートルで物体の近接度を感知するための少なくとも1つの容量センサーと、
前記表面から~10センチメートルから最大~2メートルで物体の近接度を感知するためのシングルポイントの飛行時間型センサーと、
前記表面にかかる機械的ひずみ/応力を測定するための銅トレースと、を備え
前記飛行時間型センサーが、
フォトトランジスタと、
赤外線LEDと、を備え、
前記コネクタが、前記部品を移動させるように構成されたサーボモータ制御装置に接続される、請求項9に記載の自律ロボット装置。
【請求項11】
前記近接感知スキンが、
前記近接感知スキンの上で、固有パターンで配置構成された複数の赤外線LEDをさらに備え、
前記固有パターンが、前記固有パターンを見るために前記ロボット装置に接続されたVR/ARヘッドセットの上にある赤外線カメラにとって可視であり、
前記VR/ARヘッドセットが、前記VR/ARヘッドセットに対する前記ロボット装置の位置を特定するために、使用者によって着用される、請求項10に記載の自律ロボット装置。
【請求項12】
前記飛行時間型センサーの前記赤外線LEDが、前記VR/ARヘッドセットに対する前記ロボット装置の位置を特定するために接続された前記VR/ARヘッドセットの上にある前記赤外線カメラにとって可視である、請求項11に記載の自律ロボット装置。
【請求項13】
実時間で前記第2のビジョンモジュールを方向付けるために、前記使用者によって方向付けされる、前記VR/ARヘッドセットの3Dの向きが、前記ジンバルに伝達される、請求項11に記載の自律ロボット装置。
【請求項14】
前記基部が、
中央中空部をさらに備え、
前記少なくとも5つの入力ラインと、前記一対の出力ラインと、前記第1のビジョンモジュールおよび前記第2のビジョンモジュールまでのすべての配線とが、前記中央中空部を経由する、請求項7に記載の自律ロボット装置。
【請求項15】
前記一対の出力ラインと、前記第1のビジョンモジュールまでの前記配線とが、前記中央中空部から前記複数のリムセグメントおよび中空ジョイントの内部を通って前記エンドエフェクタまで経由する、
請求項14に記載の自律ロボット装置。
【請求項16】
注射液を投与するための、請求項5に記載の自律ロボット装置を使用する自律ロボットシステムであって、前記システムが、
前記自律ロボット装置の前記基部を設置するための支持構造を備え、
前記支持構造が、
患者の中に注射されることになる流体を充填した使い捨てカートリッジを保管するための第1のレセプタクルと、
廃棄物を保管するための少なくとも第2のレセプタクルと、
前記ロボット装置の前記エンドエフェクタに取り付けられた前記ツールの先端部の中に使い捨てカートリッジを装填するための再装填機構と、
を備え、
前記自律ロボット装置が、前記第2のビジョンシステムによって検出された前記物体との衝突を回避しながら、
前記先端部の装填が解除されるときに、前記ツールを前記再装填機構に隣接するように移動させること、および、
注射後に前記使い捨てカートリッジを捨てるために、前記ツールを前記第2のレセプタクルの上方に移動させること、
を行うように構成される、自律ロボットシステム。
【請求項17】
前記ツールが、
前記使い捨てカートリッジの中の前記流体を前記患者の中に注射するための正圧ピストン注射器と、
前記流体を注射するために前記圧力ピストンを解除するための第1のばね式のラッチと、
前記第1のばね式のラッチと係合するために第1のプーリーシステムの上を経由する第1の形状記憶合金アクチュエータワイヤと、
前記先端部から前記使い捨てカートリッジを取り出すための第2のばね式のラッチと、
前記第2のばね式のラッチと係合するために第2のプーリーシステムの上を経由する第2の形状記憶合金アクチュエータワイヤと、
前記アクチュエータワイヤを二者択一的に加熱するための加熱要素と、
前記患者の上の注射すべき領域に殺菌液を噴射するためのノズルと、
をさらに備え、
加熱時、前記アクチュエータワイヤが収縮して前記ばね式のラッチを押し下げる、
請求項16に記載の自律ロボットシステム。
【請求項18】
前記エンドエフェクタが、前記自律ロボットシステムの自己消毒のための高強度UV光源をさらに備え、前記エンドエフェクタから前記ツールが取り外されると前記UV光源が起動される、
請求項16に記載の自律ロボットシステム。
【請求項19】
前記支持構造が、
前記ロボット装置または前記ツールに対して自分自身を位置決めするために前記患者に対して命令を表示するための、前記ロボット装置に接続されたタッチスクリーンディスプレイをさらに備え、
前記命令が、前記第1のビジョンモジュールまたは前記第2のビジョンモジュールによって検出される、前記ツールに対する前記患者の近接度に基づいて、生成される、
請求項16に記載の自律ロボットシステム。
【請求項20】
自律ロボット装置であって、
関節式ロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられた基部と、を備え、
前記関節式ロボットアームが、
中空ジョイントにより接続され、前記ロボットアームを3次元で移動させるために前記ジョイントを中心として回転可能である、複数のリムセグメントと、
ターミナルリムセグメントに取り外し可能に取り付けられたエンドエフェクタと、を備え、
前記エンドエフェクタが、
ツールを取り外し可能に取り付けるための設置用インターフェースであって、前記ツールを前記設置用インターフェースに係止するためのラッチ機構を有する設置用インターフェースと、
前記設置用インターフェースでの前記ツールの取り付けまたは取り外しを測定するための第1のビジョンモジュールと、を備え、
前記基部が、
前記ロボット装置に近接する物体を検出するための第2のビジョンモジュールと、
前記ロボット装置の周りの環境の360度ビューを捕捉するために前記第2のビジョンモジュールを方向付けるように構成された3軸ジンバルと、
弁アレイと、
印刷回路基板と、
電力供給ユニットと、
ファンと、を備え、
前記第2のビジョンモジュールが、
前記ロボット装置の周りの前記環境にある前記物体の立体奥行き知覚のための一対のRGBカメラと、
前記物体の温度を測定するための遠赤外線サーマルカメラと、
前記物体までの距離を測定するためのシングルポイントの飛行時間型(ToF)奥行きセンサーと、を備え、
前記弁アレイが、
少なくとも5つの入力ラインから前記エンドエフェクタに接続された一対の出力ラインまでの流体供給を調節するための、流体接続された複数の電磁弁であって、それにより、前記ツールの液圧/空気圧制御のために前記出力ラインのうちの1つの出力ラインを介して液圧/空気圧流体が前記エンドエフェクタに供給される、複数の電磁弁を備え、
前記印刷回路基板が、
複数のセンサー、前記第1のビジョンモジュール、および前記第2のビジョンモジュールから受信した信号を処理するためのプロセッサを含む、前記ロボット装置を制御するための電気構成要素を備え、
前記ファンが、
前記電力供給ユニットと、前記印刷回路基板上の前記電気構成要素とを冷却するために前記基部を通して空気を循環させるためのものであり、
前記ロボットが、前記第2のビジョンシステムによって検出された前記物体との衝突を回避しながら前記ツールを使用して1つまたは複数の訓練済みタスクを実施するために前記ロボットアームを自律的に関節運動させるように構成される、
自律ロボット装置。
【国際調査報告】