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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】界面活性剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/42 20220101AFI20240725BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240725BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C09K23/42
C11D1/72
C11D1/722
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574259
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022039369
(87)【国際公開番号】W WO2023014851
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/229,913
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591066100
【氏名又は名称】ステパン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ノック, モナ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ダド, グレゴリー ピー.
【テーマコード(参考)】
4D077
4H003
【Fターム(参考)】
4D077AA03
4D077AA05
4D077AA07
4D077AA09
4D077AB05
4D077AB06
4D077AB09
4D077AB10
4D077AB11
4D077BA03
4D077BA07
4D077BA15
4D077DC12Z
4D077DD03Y
4D077DD32X
4D077DD33X
4H003AC08
4H003AC23
4H003DA01
4H003DA04
4H003DA05
4H003DA16
4H003DA19
4H003ED02
4H003FA04
(57)【要約】
非イオン性界面活性剤と、0.1~30重量%の低モルアルコキシレートと、を含む、組成物が開示される。いくつかの低モルアルコキシレートは、式R-O-(AO)Hを有し、式中、Rは、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、AOは、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pは、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の平均の数は、0.5~4の範囲内であり、EO基の平均の数は、0~3の範囲内である。非イオン性界面活性剤とわずかな割合の低モルアルコキシレートとを含む希水溶液は、非イオン性界面活性剤のみを含む溶液よりも効果的に疎水性表面を湿潤させ、発泡を制限し、優れた脱脂を行う。低モルアルコキシレートは、自動食器洗浄機用洗剤及び洗濯用洗剤など、低発泡性界面活性剤を必要とする用途での湿潤性能を向上させるのに役立つ。低モルアルコキシレートは、広範な市販の非イオン性界面活性剤、特に通常は疎水性表面を湿潤させることが困難なものの有用性を拡大する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(a)70~99.9重量%の非イオン性界面活性剤と、
(b)0.1~30重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと、を含み、
R-O-(AO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pが、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の前記平均の数が、0.5~4の範囲内であり、EO基の前記平均の数が、0~3の範囲内である、組成物。
【請求項2】
85~99重量%の前記非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
90~98重量%の前記非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化アルコール、脂肪アルコールエトキシレート、エトキシ化アルカノールアミド、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化スチリルフェノール、脂肪アミンエトキシレート、EO/POブロックコポリマー、エトキシル化ヒマシ油、メチルエステルエトキシレート、アルキルポリグルコシド、ポリソルベート、脂肪酸エトキシレート、及び1つ以上の末端ヒドロキシル基が、エーテル、エステル、又はハライドとしてキャップされるその修飾バージョンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化アルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルコキシル化アルコールが、以下の式を有し、
-O-(AO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシエチレン、オキシプロピレン、又はそれらの組み合わせであり、qが、3~50の範囲内の平均の値を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルコキシル化アルコールにおけるAOが、オキシエチレンであり、qが、5~20の範囲内の平均の値を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
1~8重量%の前記低モルアルコキシレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記低モルアルコキシレートが、以下の式を有し、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
mが、0.8~1.5の範囲内の平均の値を有し、nが、0~0.5の範囲内の平均の値を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
Rが、分枝状のC10-C13アルキル基である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
等方性組成物の量に基づいて、請求項1に記載の組成物と、0.1~20重量%の水と、を含む、透明な等方性組成物。
【請求項13】
水と、0.005~50.0重量%の請求項1に記載の組成物と、を含む、水溶液。
【請求項14】
0.5~5.0重量%の請求項1に記載の組成物を含む、請求項13に記載の水溶液。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物を含む、硬質表面洗浄剤、床ケア製品若しくは洗剤、自動食器洗浄機用洗剤、すすぎ助剤、洗濯洗剤、洗濯前処理剤、殺菌性洗浄剤、抗菌拭き取り製剤、消泡剤、制泡剤、金属加工液、潤滑剤、シミ汚れ防止助剤、外部又は窓の洗浄剤、日常的なシャワー洗浄剤、接着剤除去剤、自動車及び車両の洗浄剤、又は脱脂製剤。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物を含む、農業用補助剤又は農薬含有組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物を含む、油田用途に使用するための逆流助剤。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物を含む、塗料、コーティング、又はインク製剤。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物を含む、クリーム、ローション、非経口製剤、又は他のパーソナルケア製剤。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物を含む、ガラス、プラスチック、又は紙のリサイクル製剤。
【請求項21】
組成物であって、
(a)92~98重量%のC-C16脂肪アルコールエトキシレート界面活性剤と、
(b)2~8重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと、を含み、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する、組成物。
【請求項22】
mが、0.8~1.2の範囲内の平均の値を有し、nが、0~0.5の範囲内の平均の値を有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
Rが、分枝状であり、mが、約1であり、nが、0~0.1の範囲内の平均の値を有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
非イオン性界面活性剤を、0.1~30重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと組み合わせることによって混合物を形成することを含み、
R-O-(AO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pが、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の前記平均の数が、0.5~4の範囲内であり、EO基の前記平均の数が、0~3の範囲内であり、
前記低モルアルコキシレートが、(a)前記混合物の疎水性表面を湿潤させる能力、(b)前記混合物の脱脂能力、(c)前記混合物の過剰な発泡に抵抗する能力、及び(d)前記非イオン性界面活性剤を可溶化して安定した製剤を得ることの容易さのうちの少なくとも1つを改善するのに有効な量で含まれる、方法。
【請求項25】
組成物であって、
(a)70~99.9重量%の非イオン性界面活性剤と、
(b)0.1~30重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと、を含み、
R-O-(AO)
式中、Rが、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pが、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の前記平均の数が、0.5~4の範囲内であり、EO基の前記平均の数が、0~3の範囲内である、組成物。
【請求項26】
85~99重量%の前記非イオン性界面活性剤を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
90~98重量%の前記非イオン性界面活性剤を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化アルコール、脂肪アルコールエトキシレート、エトキシ化アルカノールアミド、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化スチリルフェノール、脂肪アミンエトキシレート、EO/POブロックコポリマー、エトキシル化ヒマシ油、メチルエステルエトキシレート、アルキルポリグルコシド、ポリソルベート、脂肪酸エトキシレート、及び1つ以上の末端ヒドロキシル基が、エーテル、エステル、又はハライドとしてキャップされるその修飾バージョンからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
前記非イオン性界面活性剤が、アルコキシル化アルコールである、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
前記アルコキシル化アルコールが、以下の式を有し、
-O-(AO)
式中、Rが、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシエチレン、オキシプロピレン、又はそれらの組み合わせであり、qが、3~50の範囲内の平均の値を有する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記アルコキシル化アルコールにおけるAOが、オキシエチレンであり、qが、5~20の範囲内の平均の値を有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
1~8重量%の前記低モルアルコキシレートを含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項33】
前記低モルアルコキシレートが、以下の式を有し、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する、請求項25に記載の組成物。
【請求項34】
mが、0.8~1.5の範囲内の平均の値を有し、nが、0~0.5の範囲内の平均の値を有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
Rが、分枝状のC10-C13アルキル基又はアルカノールアミド基である、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
等方性組成物の量に基づいて、請求項25に記載の組成物と、0.1~20重量%の水と、を含む、透明な等方性組成物。
【請求項37】
水と、0.005~50.0重量%の請求項25に記載の組成物と、を含む、水溶液。
【請求項38】
0.5~5.0重量%の請求項1~25に記載の組成物を含む、請求項37に記載の水溶液。
【請求項39】
請求項25に記載の組成物を含む、硬質表面洗浄剤、床ケア製品若しくは洗剤、自動食器洗浄機用洗剤、すすぎ助剤、洗濯洗剤、洗濯前処理剤、殺菌性洗浄剤、抗菌拭き取り製剤、消泡剤、制泡剤、金属加工液、潤滑剤、シミ汚れ防止助剤、外部又は窓の洗浄剤、日常的なシャワー洗浄剤、接着剤除去剤、自動車及び車両の洗浄剤、又は脱脂製剤。
【請求項40】
請求項25に記載の組成物を含む、農業用補助剤又は農薬含有組成物。
【請求項41】
請求項25に記載の組成物を含む、油田用途に使用するための逆流助剤。
【請求項42】
請求項25に記載の組成物を含む、塗料、コーティング、又はインク製剤。
【請求項43】
請求項25に記載の組成物を含む、クリーム、ローション、非経口製剤、又は他のパーソナルケア製剤。
【請求項44】
請求項25に記載の組成物を含む、ガラス、プラスチック、又は紙のリサイクル製剤。
【請求項45】
組成物であって、
(a)92~98重量%のC-C16脂肪アルコールエトキシレート界面活性剤と、
(b)2~8重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと、を含み、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する、組成物。
【請求項46】
mが、0.8~1.2の範囲内の平均の値を有し、nが、0~0.5の範囲内の平均の値を有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
Rが、分枝状であり、mが、約1であり、nが、0~0.1の範囲内の平均の値を有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
非イオン性界面活性剤を、0.1~30重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと組み合わせることによって混合物を形成することを含み、
R-O-(AO)
式中、Rが、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pが、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の前記平均の数が、0.5~4の範囲内であり、EO基の前記平均の数が、0~3の範囲内であり、
前記低モルアルコキシレートが、(a)前記混合物の疎水性表面を湿潤させる能力、(b)前記混合物の脱脂能力、(c)前記混合物の過剰な発泡に抵抗する能力、及び(d)前記非イオン性界面活性剤を可溶化して安定した製剤を得ることの容易さのうちの少なくとも1つを改善するのに有効な量で含まれる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性表面の改善された湿潤性、製剤の容易さ、低発泡用途への適合性、及び増強された脱脂を有する非イオン性界面活性剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
非イオン性界面活性剤は、洗浄剤、個人用洗浄剤、油田化学薬品、農業用製剤、工業用脱脂剤、塗料及びコーティング剤、洗濯用洗剤、及び他の多くの用途で使用されている。大部分の非イオン性界面活性剤は、界面活性剤として効果的に機能することを可能にする極性セグメントと非極性セグメントの組み合わせを有する。多くの一般的な非イオン性界面活性剤は、油性汚れに対する湿潤剤及び脱脂剤としてはあまり有効ではなく、一部の高モルアルコールエトキシレートなどは、疎水性表面を湿潤させるのが困難である。
【0003】
いわゆる「拡張型」非イオン性界面活性剤は、疎水性部分、通常はアルキル基が1つ以上のオキシプロピレン(PO)単位と直接結合し、その後に4つ以上のオキシエチレン(EO)単位のキャップが続くものが知られている。例えば、米国特許第9,303,240号又は米国公開第2019/0099720号を参照されたい。界面活性剤は、ノニルフェノールエトキシレートの環境に優しい代替物として提案されている。
【0004】
エトキシル化アルコール界面活性剤とわずかな割合の遊離脂肪アルコールとの組み合わせは、場合によっては、非イオン性界面活性剤の疎水性表面を湿潤させる能力を改善することができる。例えば、P.Phaodee et al.(J.Surfact.Deterg.22(2019)1175)は、直鎖(非アルコキシル化)C-Cアルコールを添加剤としてC10-C16アルコール7EOエトキシレートに含めることで、固体ココナッツ油の接触角が約48度から33~44度に減少することを示した(表2を参照されやい)。論文で示されている湿潤性の明らかな改善にもかかわらず、遊離脂肪アルコールの存在は望ましくない結果をもたらす可能性がある。これらの欠点には、以下のうちの1つ以上が含まれ得る:(1)水溶性が減少し、それによって製剤上の全体的な可溶化負荷がひずみ、湿潤される表面上の油性液滴の分離又は望ましくない堆積をもたらす可能性がある;(2)製剤の界面張力(IFT)又は曇点の測定可能な障害;(3)界面活性剤のミセル凝集の破壊;(4)遊離脂肪アルコールの鎖長に応じて大きく変化する接触角。
【0005】
業界は、増強された汎用性、特に非極性表面を湿潤させるための希水性界面活性剤溶液の改善された能力を有する非イオン性界面活性剤組成物から利益を得るであろう。改良された組成物は、過剰な発泡を避けながら、湿潤剤としてより効果的に機能するであろう。脂肪アルコールエトキシレート又は低発泡性アルコールアルコキシレートなどの市販の非イオン性界面活性剤に基づく組成物が好ましいであろう。望ましくは、これらの生成物は、遊離脂肪アルコールを含むことによる望ましくない副影響を回避しながら製剤化することができる。理想的には、生成物は、低発泡特性、曇点、ミセル凝集、又は溶解度に悪影響を与えることなく、接触角及び臨界ミセル濃度の大幅かつ一貫した低減などの物理的特性の利点をもたらすであろう。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本発明は、非イオン性界面活性剤と、低モルアルコキシレートと、を含む、組成物に関する。組成物は、70~99.9重量%の非イオン性界面活性剤と、0.1~30重量%の低モルアルコキシレートと、を含む。低モルアルコキシレートは、以下の式を有する、
R-O-(AO)
【0007】
式中、Rは、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、AOは、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pは、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の平均の数は、0.5~4の範囲内であり、EO基の平均の値は、0~3の範囲内である。
特定の態様では、本発明は、非イオン性界面活性剤としての92~98重量%のC-C16脂肪アルコールエトキシレートと、2~8重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと、を含み、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC--C16アルキル基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する、組成物に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、非イオン性界面活性剤と、低モルアルコキシレートと、を含む、組成物に関する。組成物は、70~99.9重量%の非イオン性界面活性剤と、0.1~30重量%の低モルアルコキシレートと、を含む。低モルアルコキシレートは、以下の式を有する、
R-O-(AO)
【0009】
式中、Rは、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、AOは、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pは、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の平均の数は、0.5~4の範囲内であり、EO基の平均の値は、0~3の範囲内である。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、
(a)92~98重量%のC-C16脂肪アルコールエトキシレート界面活性剤と、
(b)2~8重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと、を含み、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する、組成物に関する。
【0011】
別の態様では、本発明は、非イオン性界面活性剤を、0.1~30重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと組み合わせることによって混合物を形成することを含み、
R-O-(AO)
式中、Rが、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基又はアルカノールアミド基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pが、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の平均の数が、0.5~4の範囲内であり、EO基の平均の数が、0~3の範囲内であり、
低モルアルコキシレートが、(a)混合物の疎水性表面を湿潤させる能力、(b)混合物の脱脂能力、(c)混合物の過剰な発泡に抵抗する能力、及び(d)非イオン性界面活性剤を可溶化して安定した製剤を得ることの容易さのうちの少なくとも1つを改善するのに有効な量で含まれる、方法に関する。
【0012】
特定の態様では、本発明は、非イオン性界面活性剤としての92~98重量%のC-C16脂肪アルコールエトキシレートと、2~8重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと、を含み、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する、組成物に関する。
【0013】
他の態様では、本発明は、方法に関する。方法は、非イオン性界面活性剤を、0.1~30重量%の以下の式の低モルアルコキシレートと組み合わせることによって混合物を形成することを含み、
R-O-(AO)
式中、Rは、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、AOは、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pは、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の平均の数は、0.5~4の範囲内であり、EO基の平均の値は、0~3の範囲内である。本方法では、低モルアルコキシレートが、(a)混合物の疎水性表面を湿潤させる能力、(b)混合物の脱脂能力、(c)混合物の過剰な発泡に抵抗する能力、及び(d)非イオン性界面活性剤を可溶化して安定した製剤を得ることの容易さのうちの少なくとも1つを改善するのに有効な量で含まれる。
【0014】
非イオン性界面活性剤とわずかな割合(例えば、5重量%)の低モルアルコキシレートとを含む希水溶液は、非イオン性界面活性剤のみを含む溶液よりも効果的に疎水性表面を湿潤させ、優れた脱脂を行うことを見出した。低モルアルコキシレートは、自動食器洗浄機用洗剤及び洗濯用洗剤など、低発泡性界面活性剤を必要とする用途での湿潤性能を向上させるのに役立てることができる低発泡性又は無発泡性界面活性剤である。低モルアルコキシレートは、広範な市販の非イオン性界面活性剤、特に通常は疎水性表面を湿潤させることが困難なものの有用性を拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】他の添加剤と比較して、0.1重量%のDA-1PO-1EOを低発泡性界面活性剤(DA-12EO-17PO)と組み合わせることの利点を示す発泡性プロファイルである。
図2】0.094%DA-12EO-17POと、0.006%EXXAL10(左の画像)又は0.006%DA-1PO-1EO(右の画像)との2つの異なる溶液からの写真を示す。左の画像は、溶液に浸した湿潤したPVCプラスチックカバースリップ(Fisher Sci.Unbreakable Cover Slips 12-547)の表面に堆積したExxal10の油性液滴である。右の画像は、0.0094%DA-12EO-17POと0.006%DA-1PO-1EOとの溶液の写真を示す。この溶液は、プラスチックカバースリップを完全に湿潤させ、シートの挙動を示し、相分離はない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
組成物
いくつかの態様では、本発明は、非イオン性界面活性剤と、低モルアルコキシレートと、を含む、組成物に関する。
【0017】
1.非イオン性界面活性剤
組成物は、70~99.9重量%の非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの態様では、組成物は、85~99重量%、又は90~98重量%の非イオン性界面活性剤を含む。重量パーセントは、非イオン性界面活性剤、低モルアルコキシレート、及び他の任意の成分を含む組成物の量に基づいている。
【0018】
好適な非イオン性界面活性剤は周知である。いくつかの態様では、非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルコール、脂肪アルコールエトキシレート、エトキシ化アルカノールアミド、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化スチリルフェノール、脂肪アミンエトキシレート、EO/POブロックコポリマー、エトキシル化ヒマシ油、メチルエステルエトキシレート、アルキルポリグルコシド、ポリソルベート、及び脂肪酸エトキシレートから選択される。これらのクラスの非イオン性界面活性剤の改変バージョンも使用することができる。したがって、非イオン性界面活性剤の1つ以上の末端ヒドロキシル基は、周知の方法に従ってハライド、エーテル、エステル、若しくは他の好適な官能基として変換又はキャップすることができる。
【0019】
好ましい態様では、非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルコールである。アルコキシル化アルコールは、好ましくは、C-C16アルキル鎖、及び1つ以上のオキシエチレン(EO)基、オキシプロピレン(PO)基、又はこれらの組み合わせを有する。オキシアルキレン単位は、ブロック、マルチブロック、又はランダム構成で配置することができる。
【0020】
いくつかの態様では、アルコキシル化アルコールは、以下の式を有する、
-O-(AO)
【0021】
式中、Rは、直鎖又は分枝鎖のC-C16アルキル基であり、AOは、オキシエチレン、オキシプロピレン、又はそれらの組み合わせであり、qは、3~50の範囲内の平均の値を有する。いくつかの好ましい態様では、AOは、オキシエチレンであり、qは、5~20の範囲内の平均の値を有する。他の好ましい態様では、AOは、オキシエチレンであり、Rは、直鎖又は分枝状のC-C13アルキル基であり、qは、5~20の範囲内の平均の値を有する。使用に適しているのは、当業者に周知のように、非イオン性界面活性剤の製造において使用される触媒の選択及び/若しくは反応物の割合から生じる広い又は狭い範囲の生成物分布を含む非イオン性界面活性剤である。
【0022】
適切な非イオン性界面活性剤は、Stepan Company及び他の供給業者から市販されている。好適なStepan非イオン性界面活性剤としては、例えば、MAKON(登録商標)、BIO-SOFT(登録商標)、NINOL(登録商標)、STEPANTEX(登録商標)、PETROSTEP(登録商標)、POLYSTEP(登録商標)、STEP-FLOW(登録商標)、NINEX(登録商標)、TOXIMUL(登録商標)、及びIGEPAL(登録商標)マークの下で販売されているもの、特に、BIO-SOFT(登録商標)及びMAKON(登録商標)マークの下で販売されるエトキシル化アルコール及び他の製品が挙げられる。例としては、BIO-SOFT(登録商標)N1-5、BIO-SOFT(登録商標)N91-6、BIO-SOFT(登録商標)N91-8、BIO-SOFT(登録商標)N25-7、MAKON(登録商標)DA-9、MAKON(登録商標)TD-9、MAKON(登録商標)TD-12、MAKON(登録商標)TD-18、MAKON(登録商標)NF-180、STEPASOL(登録商標)DG、MAKON(登録商標)UD-8などが挙げられる。
【0023】
2.低モルアルコキシレート
本発明の組成物は、低モルアルコキシレートを含む。低モルアルコキシレートは、組成が非イオン性界面活性剤とは異なり、非イオン性界面活性剤の量と比較した場合、添加的な割合で存在する。
【0024】
低モルアルコキシレートは、以下の式を有し、
R-O-(AO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pが、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の平均の数が、0.5~4の範囲内であり、EO基の平均の数が、0~3の範囲内である。
【0025】
いくつかの態様では、好ましくは、Rは分枝状である。いくつかの態様では、低モルアルコキシレートは、1分子当たり0.6~2、又は0.8~1.2、又は約1のPO単位の平均、及び1分子当たり0~1、又は0~0.5、又は0~0.1のEO単位の平均を有する。いくつかの態様では、Rは、直鎖若しくは分枝状のC-C14アルキル基、又は直鎖若しくは分枝状のC10-C13アルキル基である。
【0026】
組成物は、組成物の量に基づいて、0.1~30重量%の低モルアルコキシレートを含む。いくつかの態様では、組成物は、0.5~15重量%又は1~8重量%の低モルアルコキシレートを含む。
【0027】
いくつかの態様では、低モルアルコキシレートは、以下の式を有し、
R-O-(PO)(EO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、POが、オキシプロピレンであり、EOが、オキシエチレンであり、mが、0.5~4の範囲内の平均の値を有し、nが、0~1の範囲内の平均の値を有する。他の態様では、mは、0.6~2、0.8~1.2、又は約1の範囲内の平均の値を有し、nは、0~0.5の範囲内の、又は0~0.1の範囲内の平均の値を有する。
【0028】
いくつかの態様では、低モルアルコキシレートは、以下の式を有し、
R-O-(EO)(PO)
式中、Rは、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、EOは、オキシエチレンであり、POは、オキシプロピレンであり、nは、0~1の範囲内の平均の値を有し、mは、0.5~4の範囲内の平均の値を有する。他の態様では、nは、0~0.5の範囲内、又は0~0.1の範囲内の平均の値を有し、mは、0.6~2、0.8~1.2、又は約1の範囲内の平均の値を有する。いくつかの態様では、低モルアルコキシレートは、オキシプロピレン単位のみを有する(オキシエチレンを含まない)。したがって、いくつかの態様では、低モルアルコキシレートは、以下の式を有し、
R-O-(PO)
式中、Rは、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、POは、オキシプロピレンであり、mは、0.5~4、0.6~2、0.8~1.5、又は0.9~1.2の範囲の平均の値を有する。他の態様では、mは、約1であることが好ましい。好ましい態様では、Rは、分枝状のC10-C13アルキル基である。
【0029】
好ましい態様では、低モルアルコキシレートは、1分子当たり約1のPO単位の平均、及び1分子当たり0~1、0~0.5、又は0~0.1のEO単位の平均を有する。
【0030】
3.透明な等方性流体
いくつかの態様では、本発明の組成物は、物理的安定性を付与し、透明な等方性混合物を形成するのに十分な水と組み合わされる。したがって、いくつかの態様では、本発明の組成物は、本発明の組成物の量に基づいて、0.1~20重量%、又は1~15重量%の水を含む。
【0031】
方法
本発明の方法は、非イオン性界面活性剤を、0.1~30重量%、0.5~15重量%、又は1~8重量%の低モルアルコキシレートと組み合わせることによって混合物を形成することを含む。低モルアルコキシレートは、以下の式を有し、
R-O-(AO)
式中、Rが、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基であり、AOが、ランダム構成若しくはブロック構成のオキシプロピレン(PO)、オキシエチレン(EO)、又はそれらの組み合わせであり、pが、0.5~7の範囲内の平均の値を有し、PO基の平均の数が、0.5~4の範囲内であり、EO基の平均の数が、0~3の範囲内である。低モルアルコキシレートが、(a)混合物の疎水性表面を湿潤させる能力、(b)混合物の脱脂能力、(c)混合物の過剰な発泡に抵抗する能力、及び(d)非イオン性界面活性剤を可溶化して安定した製剤を得ることの容易さのうちの少なくとも1つを改善するのに有効な量で含まれる。
【0032】
他の本発明の方法では、低モルアルコキシレートは、前述の組成物のうちのいずれかを有し、前段落の性能特性(a)~(d)のうちの少なくとも1つを有する。
【0033】
水溶液
いくつかの態様では、本発明は、水と、0.005~50.0重量%、0.05~5.0重量%、又は0.1~5.0重量%の上記組成物と、を含む、水溶液を含む。
【0034】
他の成分
いくつかの態様では、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤及び低モルアルコキシレートに加えて、他の成分を含む。これらの成分の性質及び割合は、特定の最終用途に依存するであろう。組成物は、例えば、他の界面活性剤、溶媒、pH調整剤、消泡剤、ポリマー、酵素、増進剤、分散剤、色素、香料、油、活性成分など、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0035】
用途
本発明の組成物及びそれらを含む水溶液は、多くの最終用途で有用である。いくつかの事例では、本発明の組成物及び水溶液は、界面への速度を改善し得る。最終用途としては、例えば、硬質表面洗浄剤、殺菌性洗浄剤、抗菌活性増強剤又は送達剤、不織布加工助剤、不織布拭き取り洗浄剤及び消毒剤、インク、シミ汚れ防止助剤、金属加工液、脱脂製剤、潤滑剤、自動食器洗浄機用洗剤、すすぎ助剤、洗濯用洗剤及び前処理剤、消泡剤、制泡剤、接着剤除去剤、並びにガラス、プラスチック、及び紙リサイクル剤が挙げられる。更に、本発明は、不織布拭き取り洗浄剤及び消毒剤、床ケア及び床ケア洗浄剤、日常的なシャワー洗浄剤、自動車及び車両の洗浄剤、建物、デッキ、パティオ、及び窓の外部洗浄剤などの非すすぎ用途を支援する。本発明の組成物及び水溶液はまた、農業用補助剤(例えば、活性剤及びタンク混合補助剤)、1つ以上の農薬を含む農業用組成物、油田用途で使用するための逆流助剤、鉱物及び顔料の脱水、プレコーティング金属防錆剤、様々な塗料剤、インク剤、又はコーティング剤、並びにクリーム、ローション、又は他のパーソナルケア、又は非経口製剤を製剤化するためにも貴重である。本発明の組成物は、ブレンド中で成分を直接組み合わせることによって、又は個々の成分が他の組成物の一部である場合、成分を別々に添加することによってのいずれかで、上記の用途に存在することができる。
【0036】
以下の実施例は、単に本発明の主題を図示するに過ぎない。特許請求の範囲内の多くの同様の変形例は、当業者には直ちに明らかとなるであろう。
【0037】
低モルアルコキシレートとBIO-SOFT(登録商標)N91-8とをブレンドすることによる接触角への影響
BIO-SOFT(登録商標)N91-8(C-C11アルコール8EOエトキシレート、0.1重量%)の水溶液を調製した。表1に列挙される添加剤を、0.005重量%(すなわち、使用される界面活性剤の量に基づいて5重量%)で導入した。希水溶液のポリエチレンフィルム(PARAFILM(登録商標)M、Bemisの製品)上の接触角を、Kruss DSA100液滴形状分析装置を使用して、5μL液滴の堆積後約10~30秒後に準平衡状態で測定した。10液的の測定からの平均の値を表1に記録した。また、臨界ミセル濃度(CMC)を、Kruss K100テンシオメータでWilhelmy Plate法を用いた超純水による0.1重量%界面活性剤溶液の指数関数的希釈によって決定し、値を表に報告した。
【表1】
【0038】
表1に示すように、BIO-SOFT(登録商標)N91-8に、1~5のPO単位及び0又は1のEO単位を有するイソデシルアルコキシレートの5重量%の低モルアルコキシレート(実施例1~8)を添加することは、BIO-SOFT(登録商標)N91-8単独で観察される値と比較して、接触角及び臨界ミセル濃度(CMC)を低減する。1モルのPO及び1モルのEOを有する低モルアルコキシレートは、それらのPOのみの類似体と比較して、接触角の低減において幾分有効ではない。この結果はまた、複数のPOユニットが接触角の低減において単一のPO単位よりも効果が低いことを示している(実施例1と実施例2~4を比較、又は実施例5と実施例6~8を比較)。
【0039】
低モルアルコキシレートがEXXAL(登録商標)9(イソノニルアルコール)及び2PO単位の付加物である場合にも、対照と比較した接触角の低減が観察された。興味深いことに、アルコキシレートが2EO単位及びEXXAL(登録商標)9の付加物である場合(比較例10)、接触角又はCMCの低減はほとんど又は全く観察されない。BIO-SOFT(登録商標)N91-8を5重量%のエチレングリコールモノヘキシルエーテル(比較例11)とブレンドしても、ポリエチレンフィルムの湿潤が改善されない。
【0040】
低モルアルコキシレート:分枝状アルコールエトキシレートの接触角への影響
一連の分枝状アルコールエトキシレートの接触角を、同じ分枝状アルコールエトキシレートと3又は6重量%の低モルアルコキシレート(DA-1PO又はDA-1PO-1EO)とのブレンドの接触角と比較した。結果を表2に表す。
【0041】
直鎖アルコールエトキシレートと比較して、分枝状アルコールエトキシレートは、疎水性表面の湿潤性に優れている傾向があり、したがって、表2に示す接触角の減少は比較的微妙である。しかしながら、低モルアルコキシレートとより高度にエトキシル化された製品(例えば、MAKON(登録商標)TD-12及びMAKON(登録商標)TD-18)との組み合わせを含む希水溶液について測定した接触角は、3重量%の添加剤であっても、大幅な低減を示す。概して、DA-1POは、接触角の低減においてDA-1PO-1EOよりも有効である。
【表2】
【0042】
添加剤及びすすぎ助剤界面活性剤のブレンド上での前進接触角/後退接触角
前進接触角及び後退接触角を、Wihelmy法及びKruss K100テンシオメータを使用して決定した。接触角は、ポリプロピレンフィルム(Goodfellow Cambridge Ltd.)を溶液中にゆっくり浸漬させ、それをその溶液から引き上げるという3回の適合実験の平均である。結果を表3に表す。
【表3】
【0043】
表3に示すように、後退接触角の結果は差を拡大し(前進接触角測定値と比較して)、分枝状のC10アルコール(比較例5)と比較した場合、低モルアルコキシレートの湿潤能力が向上していることを示している。実施例は、すすぎ助剤界面活性剤の湿潤能力を増強するために、5重量%の低モルアルコキシレート、特に単一のPO単位を有するアルコキシレート(実施例4)を含む値を示す。後退接触角で観察される低減は、すすぎ助剤などのシート化挙動が望ましい用途に特に関連する。更に、実施例6~8は、DAに特有の、アルコキシレート中のEO含有量の増加が湿潤強化に及ぼす一般的な負の影響を示す。更に、実施例11~16は、2PHに特有の、湿潤強化に対するEOの効果における逆の傾向を示す。まとめると、これらの実施例は、低モルアルコキシレートによって可能になる湿潤強化が、PO及びEOの量、並びに疎水性物質の両方に依存することを示す。
【0044】
脱脂実験
0.2重量%の非イオン性界面活性剤(表4を参照されたい)及び0.01重量%のDA-1PO-1EO添加剤を含む界面活性剤溶液を調製した。
【0045】
CRISCO(登録商標)ショートニング(0.1000g~0.1100g)を、予め秤量したステンレス鋼クーポン(0.1mg近く)の一面の2/3~3/4に薄く均一な層として適用した。所望の量のショートニングが適用されると、コーティングされたクーポンの質量が決定される(0.1mg近くまで記録される)。
【0046】
界面活性剤溶液を、各々が磁気撹拌棒を装備した5つのビーカーに添加し、溶液を、デジタル撹拌板を使用して、室温で1400rpmで撹拌した。コーティングされたクーポンは、コーティングされた側を液体の流れの方向に向けて溶液に浸漬させた。30分間浸漬させた後、クーポンを取り出し、脱イオン水でゆっくりと洗い流し、フード内で乾燥させた。乾燥後、クーポンを再計量して、除去された汚れの量を決定した。各試料に対して10回の反復を行い、結果を平均した。結果を表4に表す。
【表4】
【0047】
表4に示すように、様々なアルコールエトキシレート界面活性剤を含む希水溶液の脱脂能力は、界面活性剤を5重量%の低モルアルコキシレート(1PO単位及び1EO単位を有するEXXAL(登録商標)10付加物)と組み合わせると改善することができる。汚れ除去性能の変化は、どの非イオン性界面活性剤が使用されるかに応じて、穏やか(実施例E及びF)又は大幅(実施例A~D及びG)である。
【0048】
消泡実験
低発泡界面活性剤DA-12EO-17POの発泡性は、25℃で25秒間スパージングすることによって試験した。0.1重量%の総活性成分(0.094重量%DA-12EO-17PO+0.006重量%添加剤)の50mL溶液を、Kruss DFA100装置内で0.5L/mの空気でスパージした。活性スパージング中に得られた一過性泡生成のプロファイルを記録し、分析した。時間の関数としての発泡プロファイルを図1に示す。最大の発泡体の高さ(mm)を表5で比較した。
【表5】
【0049】
表5及び図1に示すように、添加剤として低モルエトキシレート(MAKON(登録商標)TD-3、比較例7)は、スパージング条件下では、はるかに多くの発泡体の蓄積が発生し、スパージングが中止されても、発泡体はすぐには崩壊しない。対照的に、POが低モルアルコキシレート(DA-1PO-1EO、実施例2)に含まれる場合、最大の発泡体の高さが最小化され、活性スパージングを除去するとすぐに発泡体が崩壊する。更に、図2の左の画像は、添加剤としてのEXXAL10脂肪アルコール(PO及びEOなし)の使用が表面及び界面上に望ましくない油性堆積物をもたらすことを示すが、右の画像は、そのような堆積物がDA-1PO-1EOで観察されないことを示し、残留物がないことを示す。
【0050】
先行する実施例は、例示としてのみ意味され、以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を画定する。
図1
図2
【国際調査報告】