(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240725BHJP
A24F 40/48 20200101ALI20240725BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240725BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20240725BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240725BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240725BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/48
A24F40/10
A24F40/44
A24F40/46
A24F40/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577408
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2021113355
(87)【国際公開番号】W WO2023019486
(87)【国際公開日】2023-02-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521528698
【氏名又は名称】深▲ゼン▼市華誠達精密工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳平
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC17
4B162AC22
4B162AC27
(57)【要約】
加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置において、加熱霧化コアは、霧化コアケーシング(30)、導液体(33)、発熱部材(31)、固定部材(34)を含む。導液体(33)の内壁には発熱部材(31)が密着しており、霧化コアケーシング(30)の側壁には導液孔(301)が設けられている。導液布は、少なくとも1層の縦縞導液布(332)及び/又は少なくとも1層の横縞導液布(331)を含む。縦縞導液布(332)の縞は、全体的に縦向きに配列される微小な溝又は/及び微小な隆起を形成する。横縞導液布(331)の縞は、全体的に横向きに配列される微小な溝又は/及び微小な隆起を形成する。加熱霧化機構は、アトマイザーケーシング(20)、加熱霧化コア、上閉塞部材(21)、下閉塞部材(23)及び貯液室を含む。加熱アトマイザーは加熱霧化機構を含む。電子霧化装置は、加熱アトマイザー、給電装置(4)及び底部の制御装置(5)を含む。横縞導液布(331)が導液孔(301)に接触し、縦縞導液布(332)が発熱部材(31)に接触するよう設けることで、導液体(33)の給液をより均一とし、導液効率及び霧化効果を向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化コアケーシング(30)を含み、霧化コアケーシング(30)内には筒状の導液体(33)が設けられており、導液体(33)の内壁には発熱部材(31)が密着しており、発熱部材(31)には電極(32)が接続され、
前記霧化コアケーシング(30)の側壁には、導液体(33)に向かって導液するための導液孔(301)が設けられており、
前記導液体(33)は、複数層の導液布を重ねて巻いた筒状構造をなしており、導液布は、少なくとも1層の縦縞導液布(332)又は/及び少なくとも1層の横縞導液布(331)を含み、前記縦縞導液布(332)には、全体的に縦向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、前記横縞導液布(331)には、全体的に横向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、
前記導液体(33)の下方の霧化コアケーシング(30)内には、電極(32)を固定するための固定部材(34)が設けられており、前記固定部材(34)には気流供給孔(341)が開設されていることを特徴とする加熱霧化コア。
【請求項2】
前記縦縞導液布(332)は1~6層設けられており、且つ、各層の縦縞導液布(332)の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応しており、これにより、発熱部材(31)の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入することを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項3】
前記縦縞導液布(332)及び横縞導液布(331)に設けられている縞は、直線縞、曲線縞、又はそれらのうちの少なくとも1種類で形成される組み合わせ縞であることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項4】
前記縦縞導液布(332)に設けられる縞は少なくとも一部が天井部から底部まで貫通しており、前記横縞導液布(331)に設けられる縞は少なくとも一部が一端から他端まで貫通していることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項5】
前記縦縞導液布(332)に設けられる縞は、発熱部材(31)の形状に少なくとも部分的に適合し、一致していることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項6】
前記横縞導液布(331)は1~6層設けられており、且つ、各層の横縞導液布(331)の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応しており、或いは、隣り合う層の横縞導液布(331)の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が交錯するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項7】
前記横縞導液布(331)の縞は導液孔(301)を中心として両側に向かって放射状となっており、或いは、横縞導液布(331)の縞は導液孔(301)付近の密度がその他の位置の密度よりも大きく、或いは、横縞導液布(331)の縞は均一に横向きに配列されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項8】
前記霧化コアケーシング(30)は直筒構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項9】
前記霧化コアケーシング(30)の側壁には縦向き溝(302)が1つ設けられ、前記複数層の導液布における横方向の両端は、いずれも縦向き溝(302)内に係入して固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項10】
前記霧化コアケーシング(30)の側壁には少なくとも2つの縦向き溝(302)が設けられ、これらのうちの1つの縦向き溝(302)内に、前記複数層の導液布における横方向の両端の少なくとも一端が係入して固定され、或いは、前記複数層の導液布には複数の区画が設けられており、隣り合う2区画の複数層の導液布における端部がいずれも1つの縦向き溝(302)内に係入して固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項11】
前記霧化コアケーシング(30)は直筒構造となっており、前記複数層の導液布における横方向の両端が、層ごとに1つずつ突き合わされて、複数を重ね合わせた筒状構造を形成しており、或いは、複数層の導液布における横方向の両端全体を当接させて、一体的な筒状構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項12】
前記縦縞導液布(332)はリネンコットン繊維を編んでなり、前記横縞導液布(331)はスパンレース不織布繊維を編んでなることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項13】
前記電極(32)の下部は屈曲して霧化コアケーシング(30)の内壁に密着し、前記固定部材(34)の形状は霧化コアケーシング(30)に適合しており、固定部材(34)により電極(32)を押圧して固定し、或いは、前記固定部材(34)は弾性部材であり、前記電極(32)は、固定部材(34)によりしっかりと押圧されて霧化コアケーシング(30)に固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項14】
前記固定部材(34)の外側壁には凹溝が設けられており、前記電極(32)は前記凹溝内に係接されて固定部材(34)により霧化コアケーシング(30)内に固定され、或いは、前記固定部材(34)には貫通した固定孔が設けられており、前記電極(32)は固定孔内に挿着されて固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項15】
アトマイザーケーシング(20)を含み、前記アトマイザーケーシング(20)内には請求項1~14のいずれか1項に記載の加熱霧化コアが設けられており、アトマイザーケーシング(20)の上下は、それぞれ、上閉塞部材(21)及び下閉塞部材(23)により密封されており、加熱霧化コアとアトマイザーケーシング(20)の間には貯液室が設けられており、貯液室内にはタバコ用リキッドを貯えるための貯液綿(22)が設けられていることを特徴とする加熱霧化機構。
【請求項16】
請求項15に記載の加熱霧化機構を含み、前記加熱霧化機構の中心には導気管(11)が設けられており、前記導気管(11)の一端は加熱霧化コアの発熱部材(31)と連通しており、他端はマウスピース(10)と連通しており、前記発熱部材(31)により霧化されたベイパーは、導気管(11)内からマウスピース(10)へと導出されることを特徴とする加熱アトマイザー。
【請求項17】
上部に設けられる請求項16に記載の加熱アトマイザーと、中央部に設けられる給電装置(4)と、底部に設けられる制御装置(5)を含み、前記給電装置(4)は、加熱アトマイザー及び制御装置(5)にそれぞれ電気的に接続されることを特徴とする電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の技術分野に関し、特に、加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、従来技術の加熱霧化コアは導液体と発熱部材を含み、貯液室のリキッドが導液体に進入して発熱部材に伝達される。発熱部材は発熱して熱を供給し、タバコ用リキッドを霧化させることで霧化蒸気を形成する。しかし、従来の導液体は給液と導液が均一でなく、導液速度が遅い。よって、発熱部材が継続的に動作しているときに、導液体は十分なタバコ用リキッドを発熱部材に供給できず、結果として、霧化効果に劣り、使用者の吸入体験に深刻な影響を及ぼしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、タバコ用リキッドの導液が均一でなく、導液速度が遅く、霧化効果に劣るとの点であり、従来技術の欠点に対し、霧化効果に優れ、タバコ用リキッドの導液速度が速い加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
加熱霧化コアは霧化コアケーシングを含む。霧化コアケーシング内には筒状の導液体が設けられており、導液体の内壁には発熱部材が密着している。また、発熱部材には電極が接続される。
【0006】
前記霧化コアケーシングの側壁には、導液体に向かって導液するための導液孔が設けられている。
【0007】
前記導液体は、複数層の導液布を重ねて巻いた筒状構造をなしている。導液布は、少なくとも1層の縦縞導液布又は/及び少なくとも1層の横縞導液布を含む。前記縦縞導液布には、全体的に縦向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、前記横縞導液布には、全体的に横向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられている。
【0008】
前記導液体の下方の霧化コアケーシング内には、電極を固定するための固定部材が設けられている。前記固定部材には気流供給孔が開設されている。
【0009】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布は1~6層設けられている。且つ、各層の縦縞導液布の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応している。これにより、発熱部材の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入する。
【0010】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布及び横縞導液布に設けられている縞は、直線縞、曲線縞、又はそれらのうちの少なくとも1種類で形成される組み合わせ縞である。
【0011】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布に設けられる縞は少なくとも一部が天井部から底部まで貫通しており、前記横縞導液布に設けられる縞は少なくとも一部が一端から他端まで貫通している。
【0012】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布に設けられる縞は、発熱部材の形状に少なくとも部分的に適合し、一致している。
【0013】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記横縞導液布は1~6層設けられている。且つ、各層の横縞導液布の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応している。或いは、隣り合う層の横縞導液布の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が交錯するように設けられる。
【0014】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記横縞導液布の縞は導液孔を中心として両側に向かって放射状となっている。或いは、横縞導液布の縞は導液孔付近の密度がその他の位置の密度よりも大きい。或いは、横縞導液布の縞は均一に横向きに配列される。
【0015】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングは直筒構造となっている。
【0016】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングの側壁には縦向き溝が1つ設けられ、前記複数層の導液布における横方向の両端は、いずれも縦向き溝内に係入して固定される。
【0017】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングの側壁には少なくとも2つの縦向き溝が設けられ、これらのうちの1つの縦向き溝内に、前記複数層の導液布における横方向の両端の少なくとも一端が係入して固定される。或いは、前記複数層の導液布には複数の区画が設けられており、隣り合う2区画の複数層の導液布における端部がいずれも1つの縦向き溝内に係入して固定される。
【0018】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングは直筒構造となっている。また、前記複数層の導液布における横方向の両端が、層ごとに1つずつ突き合わされて、複数を重ね合わせた筒状構造を形成している。或いは、複数層の導液布における横方向の両端全体を当接させて、一体的な筒状構造を形成している。
【0019】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布はリネンコットン繊維を編んでなり、前記横縞導液布はスパンレース不織布繊維を編んでなる。
【0020】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記電極の下部は屈曲して霧化コアケーシングの内壁に密着する。前記固定部材の形状は霧化コアケーシングに適合しており、固定部材により電極を押圧して固定する。或いは、前記固定部材は弾性部材であり、前記電極は、固定部材によりしっかりと押圧されて霧化コアケーシングに固定される。
【0021】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記固定部材の外側壁には凹溝が設けられている。前記電極は前記凹溝内に係接されて固定部材により霧化コアケーシング内に固定される。或いは、前記固定部材には貫通した固定孔が設けられており、前記電極は固定孔内に挿着されて固定される。
【0022】
加熱霧化機構は、アトマイザーケーシングを含む。前記アトマイザーケーシング内には前記加熱霧化コアが設けられている。アトマイザーケーシングの上下は、それぞれ、上閉塞部材及び下閉塞部材により密封されている。加熱霧化コアとアトマイザーケーシングの間には貯液室が設けられており、貯液室内にはタバコ用リキッドを貯えるための貯液綿が設けられている。
【0023】
加熱アトマイザーは前記加熱霧化機構を含む。前記加熱霧化機構の中心には導気管が設けられている。前記導気管の一端は加熱霧化コアの発熱部材と連通しており、他端はマウスピースと連通している。前記発熱部材により霧化されたベイパーは、導気管内からマウスピースへと導出される。
【0024】
電子霧化装置は、上部の前記加熱アトマイザーと、中央部の給電装置と、底部の制御装置を含む。前記給電装置は、加熱アトマイザー及び制御装置にそれぞれ電気的に接続される。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0026】
本発明で提供する加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置は、導液体のうち、発熱部材に接触する内側を縦縞導液布とし、導液孔に接触する外側を横縞導液布とする。縦縞導液布の縞は、全体的に縦向きに配列される微小な溝又は/及び微小な隆起を形成し、横縞導液布の縞は、全体的に横向きに配列される微小な溝又は/及び微小な隆起を形成する。縦向きの縞に形成される微小な溝又は/及び微小な隆起を発熱部材の回路構造に適合可能に設けることで、発熱部材を導液布内にわずかに嵌入させて、霧化面積をより大きくする。また、横向きの縞を採用するのは、横向きの縞が横向きの微小な溝又は/及び微小な隆起を有するからである。こうすることで、導液布の内部に毛細管隙間が形成される。微小な溝又は/及び微小な隆起の方向に沿うリキッドの伝達速度はその他の方向よりも高いため、給液孔のリキッドをより良好に四方へ案内することができる。これにより、導液体の導液が均一となり、導液効率及び霧化効果が向上するため、使用者の吸入体験が向上する。
【0027】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1における霧化コアの第1実施形態の構造の概略分解図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における霧化コアの第2実施形態の構造の概略分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における霧化コアの第3実施形態の構造の概略分解図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1における霧化コアの第4実施形態の構造の概略分解図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1における霧化コアの平面断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1における霧化コアの立体構造の概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1における霧化コアの立体構造の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施例2における加熱霧化機構の概略分解図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施例3における加熱アトマイザーの断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例4における電子霧化装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0030】
部材が別の部材に「固定される」或いは「設けられる」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材上に位置し得る。また、1つの部材が別の部材に「接続される」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材に接続され得る。
【0031】
「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置は、図示する方向又は位置に基づいており、記載の便宜上のものにすぎず、本技術方案を制限するものと解釈すべきではない。また、「第1」、「第2」等の用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。また、「複数」とは、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、2つ又は2つ以上であることを意味する。
【0032】
実施例1において、
図1~
図7に示すように、加熱霧化コアは霧化コアケーシング30を含む。霧化コアケーシング30内には筒状の導液体33が設けられており、導液体33の内壁には発熱部材31が密着している。また、発熱部材31には電極32が接続される。霧化コアケーシング30の側壁には、導液体33に向かって導液するための導液孔301が設けられている。導液孔301は1つ又は複数設けられるが、具体的には数を限定しない。導液体33は、複数層の導液布を重ねて巻いた筒状構造をなしている。導液布は、少なくとも1層の縦縞導液布332又は/及び少なくとも1層の横縞導液布331を含む。横縞導液布331、縦縞導液布332の重ね合わせ位置については限定せず、内側に設けて発熱部材31に密着させてもよいし、中間に設けてもよいし、当然ながら、外側に設けて導液孔301に接触させてもよい。導液布は、各層が横縞導液布331であってもよいし、各層が縦縞導液布332であってもよいし、当然ながら、横縞導液布331と縦縞導液布332の双方を有してもよい。好ましくは、縦縞導液布331は、最も内側に設けられて発熱部材31に密着し、横縞導液布331は、最も外側に設けられて導液孔301に接触する。縦縞導液布332には、全体的に縦向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、横縞導液布331には、全体的に横向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられている。また、導液体33の下方の霧化コアケーシング30内には、電極32を固定するための固定部材34が設けられている。固定部材34には気流供給孔341が開設されている。動作時に、リキッドは、霧化コアケーシング30の側壁における導液孔301から導液体33に進入して、導液体33の外側の横縞導液布331へと流れる。リキッドは、横向きの微小な隆起や微小な溝に沿って周方向に流れ、内層の縦縞導液布332に浸透する。発熱部材31は、縦縞導液布332上の微小な溝内や微小な隆起の間に嵌め込まれている。よって、電極32が発熱部材31に電気を供給して発熱させることで、導液体33内のタバコ用リキッドが霧化されて霧化蒸気を形成する。このとき、気流供給孔341から進入したガスが霧化蒸気を気流経路に導入し、最終的には使用者によって吸入される。
【0033】
図15~
図18に示すように、縦縞導液布332は全体的に縦向きに配列されている。全体的に縦向きに配列されているとは、導液布の縞全体が上端から下端へ延伸していることを言う。ただし、各縞がいずれも上から下へ貫設されることを要求しているのではなく、縦向きの縞を基本として、分岐縞を外側に向かって延伸させてもよいし、縦向きの縞と横向きの縞を交錯するように設けてもよい。縦縞導液布332には、全体的に縦向きに配列された縞が設けられているため、形成される微小な溝や微小な隆起は縦向きの取り付け経路に変化可能である。発熱部材31の縦向きの発熱回路はこの経路内にわずかに嵌入可能なため、発熱部材31と導液体33との接触面積が増大する。また、
図8~
図14に示すように、横縞導液布331は全体的に横向きに配列されている。全体的に横向きに配列されているとは、導液布の縞全体が左側から右側へ延伸していることを言う。ただし、各縞がいずれも左から右へ貫設されることを要求しているのではなく、横向きの縞を基本として、分岐縞を外側に向かって延伸させてもよいし、縦向きの縞と横向きの縞を交錯するように設けてもよい。また、横縞導液布331における全体的に横向きに配列された縞は微小な溝や微小な隆起を形成可能であり、微小な溝や微小な隆起部が毛細管隙間を形成して横向きの導液経路に変化する。横向きの微小な隆起や微小な溝の方向に沿うリキッドの伝達速度はその他の方向よりも高いため、リキッドをより良好に四方へ案内することができる。これにより、導液体33の導液が均一となって、導液効率及び霧化効果が向上するため、使用者の吸入体験が向上する。
【0034】
発熱部材31は、金属製の発熱シートとし、発熱シートを柱状に巻いて熱伝導体の内壁に密着させてもよい。一般的には、ステンレス、ニッケルクロム、鉄クロムアルミニウム、ニッケル鉄等の電気抵抗率の高い合金で製造し、厚さは0.03~0.2mmの間とすればよいが、具体的な厚さは限定しない。また、切断或いは腐食技術によって加熱回路及び電極32を形成可能である。且つ、外部電極32との接触のために、電極32のリード線を溶接する。電極32のリード線のうち伸出する一端には絶縁被覆を用いることが好ましい。リード線の材質には、純ニッケルを用いてもよいし、銅線の表面に銀をメッキしてもよい。そのほか、固定部材34が更に設けられている。固定部材34は電極32のリード線を固定可能なため、伸出したリード線が力を受けることで内部の発熱部材31が動き、導液体33との接触不良を招来するとの事態が防止される。
【0035】
縦縞導液布332は1~6層設けられているが、具体的な層数は限定しない。複数層の縦縞導液布332の重ね合わせ方式として、各層の縦縞導液布332の縞の配列位置は径方向において少なくとも一部が対応している。ここで言う対応しているとは、縦縞導液布332の層と層の間における縦向きの縞の形状及び位置が一対一で対応しており、サイズや大きさが同じ又はほぼ同じであることを意味する。これにより、発熱部材31の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入する。また、ここで言う対応しているとは、部分的に対応していることでもよいし、当然ながら、全てが対応していることでもよい。こうすることで、発熱部材31と縦縞導液布332との接触面積を増大させることができる。即ち、霧化面の霧化面積を増大させられる。これにより、更に高いレベルで導液体33内のタバコ用リキッドを霧化させることができ、霧化効果が向上する。
【0036】
いくつかの実施例において、縦縞導液布332及び横縞導液布331の縞の配列には複数の実施形態が存在する。
図8~
図19に示すように、縦縞導液布332及び横縞導液布331に設けられている縞は、直線縞、曲線縞、又はそれらのうちの少なくとも1種類で形成される組み合わせ縞である。即ち、
図10や
図17に示すような単一の直線が規則的に整列し且つ均一に配列された縞であってもよいし、
図12に示すような直線と直線で構成されるそれほど規則的ではない分岐配列縞であってもよいし、
図9や
図16に示すような直線と直線で形成される折れ線型であってもよい。また、縞の経路は必ずしも直線型ではなく、
図11に示すような曲線と曲線で形成される波型であってもよいし、
図13に示すような直線と曲線の組み合わせ型であってもよい。また、縞の経路は必ずしも連続した線形の分布ではなく、
図8や
図18に示すような間隔を空けた長尺状の分布であってもよいし、
図14に示すような縦横に交錯する曲線型であってもよいし、当然ながら、縦横に交錯する直線型であってもよい。折れ線や曲線型といった縞の向きは、直線的な縞よりも多くの貯液空間を有するため、連続的に動作して吸入する際の十分なリキッド供給を保証できる。なお、使用時に縞の向きが設計原則を満たしていればよく、縞の形状や配列は具体的に限定しない。設計原則とは、発熱部材31に接触する導液布に用いられる縞が全体的に縦向きとなっており、外側が導液孔301に接触する導液布に用いられる縞が全体的に横向きとなっていることを言う。
【0037】
縦縞導液布332と横縞導液布331の縞の設置には複数の実施形態が存在する。縦縞導液布332に設けられる縞は少なくとも一部が天井部から底部まで貫通しており、横縞導液布331に設けられる縞は少なくとも一部が一端から他端まで貫通している。縦縞導液布332に縦向きの縞を設けるのは、発熱部材31の縦向きの発熱回路に密着する微小な隆起又は微小な溝を導液布上に形成可能とするためである。また、これらの接触面積を増大させるために、導液布の少なくとも一部の縞は天井部から底部まで貫通しているが、残りの縞は横向きや斜め方向となっていてもよいし、当然ながら、全ての縞が天井部から底部まで貫通していてもよい。
【0038】
いくつかの実施例において、縦縞導液布332に設けられる縞は、発熱部材31の形状に少なくとも部分的に適合し、一致している。即ち、発熱部材31の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入して、発熱部材31と縦縞導液布332の霧化面積を増大させる。
【0039】
いくつかの実施例において、横縞導液布331は1~6層設けられている。複数層の横縞導液布331の重ね合わせ方式として、各層の横縞導液布331の縞の配列位置は径方向において少なくとも一部が対応している。ここで言う対応しているとは、各層の導液布における横向きの縞の形状及び位置が一対一で対応しており、サイズや大きさが同じ又はほぼ同じであることを意味する。また、ここで言う対応しているとは、部分的に対応していることでもよいし、当然ながら、全てが対応していることでもよい。或いは、隣り合う層の横縞導液布331の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が交錯するように設けられる。ここで言う交錯するように設けられるとは、隣り合う横縞導液布331における横向きの縞で形成される微小な溝又は微小な隆起の位置がずれていることを意味する。即ち、横縞導液布331における横向きの縞の微小な隆起又は微小な溝の突出部分が、隣の層の導液布における横向きの縞の微小な隆起又は微小な溝の凹溝部分に係合することで、リキッドの導液速度を加速させる。また、ここで言う交錯するとは、部分的に交錯することであってもよいし、当然ながら、全てが交錯することであってもよい。
【0040】
いくつかの実施例において、横縞導液布331の横向きの縞及び縦縞導液布332の縦向きの縞とは、導液布の表面における微小な隆起又は微小な溝と解釈可能である。また、1つの層の導液布における凹凸の幅は0.5mm未満であり、深さは0.1mm未満である。微小な隆起又は微小な溝の高さ及び間隔を制御して貯液量の大きさを制御することで、導液体33はリキッドを一定のレベルまで吸着すると飽和する。これにより、導液体33が過飽和になる恐れがあるとの問題が回避されるため、導液体33からリキッドが溢れ出し、最終的に霧化効果に影響を及ぼすとの問題が解決される。
【0041】
いくつかの実施例において、横縞導液布331の縞は導液孔301を中心として両側に向かって放射状となっている。このように設けることで、導液孔301に進入したリキッドを導液布に進入させたあと、迅速に両側の周方向に導液可能となる。或いは、横縞導液布331の縞は、導液孔301付近の密度がその他の位置の密度よりも大きい。このように設けることで、導液孔301に進入したリキッドを、導液孔301を中心点として四方に導液可能となる。或いは、横縞導液布331の縞は均一に横向きに配列される。
【0042】
霧化コアケーシング30は直筒構造となっている。導液体33の形状は円柱状であるため、導液体33に適合するよう、霧化コアケーシング30を直筒ケーシングとして設計する。これにより、導液体33をより良好に固定することができ、複数層の導液布を巻いてなる導液体33をケーシングの内部に固定的に取り付け可能となる。また、いくつかの具体的実施例では、コストを節約するために、霧化コアケーシング30は金属管を切断することでなり、管状構造となっている。また、側方には、リキッドを進入させる導液孔301が開設されている。
【0043】
いくつかの実施例において、霧化コアケーシング30には、管状の金属の側面に溝を開設する方式を採用してもよい。これにより、導液部材33及び発熱部材31の装入が容易となる。好ましくは、
図2に示すように、霧化コアケーシング30の側壁に縦向き溝302を1つ設ける。また、発熱部材31の開口端は、重ねて巻いた複数層の導液布における横方向の両端の接続口部分に面し、複数層の導液布における横方向の両端の接続口部分は、縦向き溝302内にちょうど係入して固定される。こうすることで、発熱部材31の発熱回路が導液部材33にいっそう良好に密着可能となり、霧化効果が向上する。また、これにより、複数層の導液布における横方向の両端の接続口部分が発熱部材31に良好に密着し得ないとの問題が回避される。なお、当然ながら、
図1及び
図7に示すように、霧化コアケーシング30の側壁に溝を開設せず、重ねて巻いた複数層の導液布をアトマイザーの内部空間に固定してもよい。
【0044】
いくつかの実施例において、
図3、
図6に示すように、霧化コアケーシング30の側壁には少なくとも2つの縦向き溝302が設けられ、これらのうちの1つの縦向き溝302内に、重ねて巻いた複数層の導液布における横方向の両端が係入して固定される。或いは、
図4に示すように、複数層の導液布には複数の区画が設けられており、隣り合う2区画の複数層の導液布における端部がいずれも1つの縦向き溝302内に係入して固定される。
【0045】
いくつかの実施例において、霧化コアケーシング30は直筒である。また、複数層の導液布における横方向の両端が、層ごとに1つずつ突き合わされて、複数を重ね合わせた筒状構造を形成している。或いは、複数層の導液布における横方向の両端全体を当接させて、一体的な筒状構造を形成している。これにより、筒状の導液体33を直筒の霧化コアケーシング30の内部空間に固定する。
【0046】
いくつかの実施例において、縦縞導液布332はリネンコットン繊維を編んでなり、横縞導液布331はスパンレース不織布繊維を編んでなる。リネンコットン繊維は高温に耐え得るため、発熱部材31との接触部分が炭化しにくく、使用寿命がより長くなる。また、縦向きの縞を設けるのは、発熱部材31の発熱回路構造に適合させるためである。これにより、縦方向において発熱部材31をわずかに縦縞導液布332内に嵌入可能とすることで、接触面積を増大させる。また、不織布を採用するのは、不織布は導液性能に優れ、導液体33の外側に設ければ、タバコ用リキッドを内側の発熱部材31までいっそう迅速に案内可能となるためである。また、横向きの縞を採用するのは、横向きの縞が横向きの微小な溝又は微小な隆起を有するからである。こうすることで、横縞導液布331の微小な溝又は微小な隆起部分に大きな毛細管隙間が形成される。微小な溝の方向に沿うリキッドの伝達速度はその他の方向よりも高いため、給液孔のリキッドをより良好に周方向へ案内することができる。これにより、柱状の導液体33における給液が均一となる。
【0047】
いくつかの実施例において、電極32の下部は屈曲して霧化コアケーシング30の内壁に密着する。固定部材34の形状は霧化コアケーシング30に適合しており、固定部材34により電極32を押圧して固定する。或いは、固定部材34は弾性部材であり、電極32は、固定部材34によりしっかりと押圧されて霧化コアケーシング30に固定される。
【0048】
いくつかの実施例において、固定部材34の外壁には凹溝が設けられている。電極32は凹溝内にちょうど係接可能であり、固定部材34は霧化コアケーシング30内に固定される。或いは、固定部材34には貫通した固定孔が設けられており、電極32は固定孔内に挿着されて固定される。
【0049】
実施例2では、いくつかの実施例において、
図19に示すように、加熱霧化機構は、アトマイザーケーシング20内に実施例1で記載した加熱霧化コアが設けられている。アトマイザーケーシング20の上下は、それぞれ、上閉塞部材21及び下閉塞部材23により密封されている。加熱霧化コアとアトマイザーケーシング20の間には貯液室が設けられており、貯液室内にはタバコ用リキッドを貯えるための貯液綿22が設けられている。アトマイザーケーシング20に上閉塞部材21及び下閉塞部材23を設けて密封するのは、貯液室内のタバコ用リキッドの漏出を防止するためである。動作時に、貯液器内のタバコ用リキッドは、アトマイザーケーシング20の導液孔301へ流れ、加熱霧化コアまで案内されて加熱及び霧化されることで霧化蒸気を形成する。加熱霧化機構のその他の構造には従来技術を採用可能なため、ここではこれ以上詳述しない。
【0050】
実施例3において、
図20に示すように、加熱アトマイザーは実施例2で記載した加熱霧化機構を含む。加熱霧化機構の中心には導気管11が設けられている。導気管11の一端は加熱霧化コアの発熱部材31と連通しており、他端はマウスピース10と連通している。発熱部材31により霧化されたベイパーは、導気管11内からマウスピース10へと導出される。加熱アトマイザーの動作時に、タバコ用リキッドは、発熱部材31により加熱されて霧化蒸気を形成し、導気管11を経由してマウスピース10へと流れ、最終的には使用者によって吸入される。加熱アトマイザーのその他の構造には従来技術を採用可能なため、ここではこれ以上詳述しない。
【0051】
実施例4において、
図21に示すように、電子霧化装置は、実施例3で記載した上部の加熱アトマイザーと、中央部の給電装置4と、底部の制御装置5を含む。給電装置4は、加熱アトマイザー及び制御装置5にそれぞれ電気的に接続される。電子霧化装置の動作時には、制御装置5が給電装置4の起動を制御するよう動作することで、給電装置4が加熱アトマイザーに電気エネルギーを供給する。加熱アトマイザーは、タバコ用リキッドを霧化させて霧化蒸気を形成し、最終的にこれが使用者によって吸入される。電子霧化装置のその他の構造には従来技術を採用可能なため、ここではこれ以上詳述しない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の技術分野に関し、特に、加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、従来技術の加熱霧化コアは導液体と発熱部材を含み、貯液室のリキッドが導液体に進入して発熱部材に伝達される。発熱部材は発熱して熱を供給し、タバコ用リキッドを霧化させることで霧化蒸気を形成する。しかし、従来の導液体は給液と導液が均一でなく、導液速度が遅い。よって、発熱部材が継続的に動作しているときに、導液体は十分なタバコ用リキッドを発熱部材に供給できず、結果として、霧化効果に劣り、使用者の吸入体験に深刻な影響を及ぼしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、タバコ用リキッドの導液が均一でなく、導液速度が遅く、霧化効果に劣るとの点であり、従来技術の欠点に対し、霧化効果に優れ、タバコ用リキッドの導液速度が速い加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
加熱霧化コアは霧化コアケーシングを含む。霧化コアケーシング内には筒状の導液体が設けられており、導液体の内壁には発熱部材が密着している。また、発熱部材には電極が接続される。
【0006】
前記霧化コアケーシングの側壁には、導液体に向かって導液するための導液孔が設けられている。
【0007】
前記導液体は、複数層の導液布を重ねて巻いた筒状構造をなしている。導液布は、少なくとも1層の縦縞導液布又は/及び少なくとも1層の横縞導液布を含む。前記縦縞導液布には、全体的に縦向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、前記横縞導液布には、全体的に横向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられている。
【0008】
前記導液体の下方の霧化コアケーシング内には、電極を固定するための固定部材が設けられている。前記固定部材には気流供給孔が開設されている。
【0009】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布は1~6層設けられている。且つ、各層の縦縞導液布の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応している。これにより、発熱部材の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入する。
【0010】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布及び横縞導液布に設けられている縞は、直線縞、曲線縞、又はそれらのうちの少なくとも1種類で形成される組み合わせ縞である。
【0011】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布に設けられる縞は少なくとも一部が天井部から底部まで貫通しており、前記横縞導液布に設けられる縞は少なくとも一部が一端から他端まで貫通している。
【0012】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布に設けられる縞は、発熱部材の形状に少なくとも部分的に適合し、一致している。
【0013】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記横縞導液布は1~6層設けられている。且つ、各層の横縞導液布の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応している。或いは、隣り合う層の横縞導液布の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が交錯するように設けられる。
【0014】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記横縞導液布の縞は導液孔を中心として両側に向かって放射状となっている。或いは、横縞導液布の縞は導液孔付近の密度がその他の位置の密度よりも大きい。或いは、横縞導液布の縞は均一に横向きに配列される。
【0015】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングは直筒構造となっている。
【0016】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングの側壁には縦向き溝が1つ設けられ、前記複数層の導液布における横方向の両端は、いずれも縦向き溝内に係入して固定される。
【0017】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングの側壁には少なくとも2つの縦向き溝が設けられ、これらのうちの1つの縦向き溝内に、前記複数層の導液布における横方向の両端の少なくとも一端が係入して固定される。或いは、前記複数層の導液布には複数の区画が設けられており、隣り合う2区画の複数層の導液布における端部がいずれも1つの縦向き溝内に係入して固定される。
【0018】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記霧化コアケーシングは直筒構造となっている。また、前記複数層の導液布における横方向の両端が、層ごとに1つずつ突き合わされて、複数を重ね合わせた筒状構造を形成している。或いは、複数層の導液布における横方向の両端全体を当接させて、一体的な筒状構造を形成している。
【0019】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記縦縞導液布はリネンコットン繊維を編んでなり、前記横縞導液布はスパンレース不織布繊維を編んでなる。
【0020】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記電極の下部は屈曲して霧化コアケーシングの内壁に密着する。前記固定部材の形状は霧化コアケーシングに適合しており、固定部材により電極を押圧して固定する。或いは、前記固定部材は弾性部材であり、前記電極は、固定部材によりしっかりと押圧されて霧化コアケーシングに固定される。
【0021】
更に、前記加熱霧化コアにおいて、好ましくは、前記固定部材の外側壁には凹溝が設けられている。前記電極は前記凹溝内に係接されて固定部材により霧化コアケーシング内に固定される。或いは、前記固定部材には貫通した固定孔が設けられており、前記電極は固定孔内に挿着されて固定される。
【0022】
加熱霧化機構は、アトマイザーケーシングを含む。前記アトマイザーケーシング内には前記加熱霧化コアが設けられている。アトマイザーケーシングの上下は、それぞれ、上閉塞部材及び下閉塞部材により密封されている。加熱霧化コアとアトマイザーケーシングの間には貯液室が設けられており、貯液室内にはタバコ用リキッドを貯えるための貯液綿が設けられている。
【0023】
加熱アトマイザーは前記加熱霧化機構を含む。前記加熱霧化機構の中心には導気管が設けられている。前記導気管の一端は加熱霧化コアの発熱部材と連通しており、他端はマウスピースと連通している。前記発熱部材により霧化されたベイパーは、導気管内からマウスピースへと導出される。
【0024】
電子霧化装置は、上部の前記加熱アトマイザーと、中央部の給電装置と、底部の制御装置を含む。前記給電装置は、加熱アトマイザー及び制御装置にそれぞれ電気的に接続される。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0026】
本発明で提供する加熱霧化コア、加熱霧化機構、加熱アトマイザー及びその電子霧化装置は、導液体のうち、発熱部材に接触する内側を縦縞導液布とし、導液孔に接触する外側を横縞導液布とする。縦縞導液布の縞は、全体的に縦向きに配列される微小な溝又は/及び微小な隆起を形成し、横縞導液布の縞は、全体的に横向きに配列される微小な溝又は/及び微小な隆起を形成する。縦向きの縞に形成される微小な溝又は/及び微小な隆起を発熱部材の回路構造に適合可能に設けることで、発熱部材を導液布内にわずかに嵌入させて、霧化面積をより大きくする。また、横向きの縞を採用するのは、横向きの縞が横向きの微小な溝又は/及び微小な隆起を有するからである。こうすることで、導液布の内部に毛細管隙間が形成される。微小な溝又は/及び微小な隆起の方向に沿うリキッドの伝達速度はその他の方向よりも高いため、給液孔のリキッドをより良好に四方へ案内することができる。これにより、導液体の導液が均一となり、導液効率及び霧化効果が向上するため、使用者の吸入体験が向上する。
【0027】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1における霧化コアの第1実施形態の構造の概略分解図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における霧化コアの第2実施形態の構造の概略分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における霧化コアの第3実施形態の構造の概略分解図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1における霧化コアの第4実施形態の構造の概略分解図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1における霧化コアの平面断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1における霧化コアの立体構造の概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1における霧化コアの立体構造の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施例における横縞導液布の概略展開図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例における縦縞導液布の概略展開図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施例2における加熱霧化機構の概略分解図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施例3における加熱アトマイザーの断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例4における電子霧化装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0030】
部材が別の部材に「固定される」或いは「設けられる」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材上に位置し得る。また、1つの部材が別の部材に「接続される」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材に接続され得る。
【0031】
「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置は、図示する方向又は位置に基づいており、記載の便宜上のものにすぎず、本技術方案を制限するものと解釈すべきではない。また、「第1」、「第2」等の用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。また、「複数」とは、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、2つ又は2つ以上であることを意味する。
【0032】
実施例1において、
図1~
図7に示すように、加熱霧化コアは霧化コアケーシング30を含む。霧化コアケーシング30内には筒状の導液体33が設けられており、導液体33の内壁には発熱部材31が密着している。また、発熱部材31には電極32が接続される。霧化コアケーシング30の側壁には、導液体33に向かって導液するための導液孔301が設けられている。導液孔301は1つ又は複数設けられるが、具体的には数を限定しない。導液体33は、複数層の導液布を重ねて巻いた筒状構造をなしている。導液布は、
少なくとも2層の縦縞導液布332、又は少なくとも2層の横縞導液布331、又は少なくとも1層の縦縞導液布
332及び少なくとも1層の横縞導液布331を含む。横縞導液布331
及び/または縦縞導液布332の重ね合わせ位置については限定せず、内側に設けて発熱部材31に密着させてもよいし、中間に設けてもよいし、当然ながら、外側に設けて導液孔301に接触させてもよい。導液布は、各層が横縞導液布331であってもよいし、各層が縦縞導液布332であってもよいし、当然ながら、横縞導液布331と縦縞導液布332の双方を有してもよい。好ましくは、縦縞導液布
332は、最も内側に設けられて発熱部材31に密着し、横縞導液布331は、最も外側に設けられて導液孔301に接触する。縦縞導液布332には、全体的に縦向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、横縞導液布331には、全体的に横向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられている。また、導液体33の下方の霧化コアケーシング30内には、電極32を固定するための固定部材34が設けられている。固定部材34には気流供給孔341が開設されている。動作時に、リキッドは、霧化コアケーシング30の側壁における導液孔301から導液体33に進入して、導液体33の外側の横縞導液布331へと流れる。リキッドは、横向きの微小な隆起や微小な溝に沿って周方向に流れ、内層の縦縞導液布332に浸透する。発熱部材31は、縦縞導液布332上の微小な溝内や微小な隆起の間に嵌め込まれている。よって、電極32が発熱部材31に電気を供給して発熱させることで、導液体33内のタバコ用リキッドが霧化されて霧化蒸気を形成する。このとき、気流供給孔341から進入したガスが霧化蒸気を気流経路に導入し、最終的には使用者によって吸入される。
【0033】
図15~
図18に示すように、縦縞導液布332
の縞は全体的に縦向きに配列されている。全体的に縦向きに配列されているとは、
縦縞導液布332の縞全体が上端から下端へ延伸していることを言う。ただし、各縞がいずれも上から下へ貫設されることを要求しているのではなく、縦向きの縞を基本として、分岐縞を外側に向かって延伸させてもよいし、縦向きの縞と横向きの縞を交錯するように設けてもよい。縦縞導液布332には、全体的に縦向きに配列された縞が設けられているため、形成される微小な溝や微小な隆起は縦向きの取り付け経路に変化可能である。発熱部材31の縦向きの発熱回路はこの経路内にわずかに嵌入可能なため、発熱部材31と導液体33との接触面積が増大する。また、
図8~
図14に示すように、横縞導液布331
の縞は全体的に横向きに配列されている。全体的に横向きに配列されているとは、
横縞導液布331の縞全体が左側から右側へ延伸していることを言う。ただし、各縞がいずれも左から右へ貫設されることを要求しているのではなく、横向きの縞を基本として、分岐縞を外側に向かって延伸させてもよいし、縦向きの縞と横向きの縞を交錯するように設けてもよい。また、横縞導液布331における全体的に横向きに配列された縞は微小な溝や微小な隆起を形成可能であり、
当該微小な溝や微小な隆起部が毛細管隙間を形成して横向きの導液経路に変化する。横向きの微小な隆起や微小な溝の方向に沿うリキッドの伝達速度はその他の方向よりも高いため、リキッドをより良好に四方へ案内することができる。これにより、導液体33の導液が均一となって、導液効率及び霧化効果が向上するため、使用者の吸入体験が向上する。
【0034】
発熱部材31は、金属製の発熱シートとし、発熱シートを柱状に巻いて熱伝導体の内壁に密着させてもよい。一般的には、ステンレス、ニッケルクロム、鉄クロムアルミニウム、ニッケル鉄等の電気抵抗率の高い合金で製造し、厚さは0.03~0.2mmの間とすればよいが、具体的な厚さは限定しない。また、切断或いは腐食技術によって加熱回路及び電極32を形成可能である。且つ、外部電極32との接触のために、電極32のリード線を溶接する。電極32のリード線のうち伸出する一端には絶縁被覆を用いることが好ましい。リード線の材質には、純ニッケルを用いてもよいし、銅線の表面に銀をメッキしてもよい。そのほか、固定部材34が更に設けられている。固定部材34は電極32のリード線を固定可能なため、伸出したリード線が力を受けることで内部の発熱部材31が動き、導液体33との接触不良を招来するとの事態が防止される。
【0035】
縦縞導液布332は1~6層設けられているが、具体的な層数は限定しない。複数層の縦縞導液布332の重ね合わせ方式として、各層の縦縞導液布332の縞の配列位置は径方向において少なくとも一部が対応している。ここで言う対応しているとは、縦縞導液布332の層と層の間における縦向きの縞の形状及び位置が一対一で対応しており、サイズや大きさが同じ又はほぼ同じであることを意味する。これにより、発熱部材31の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入する。また、ここで言う対応しているとは、部分的に対応していることでもよいし、当然ながら、全てが対応していることでもよい。こうすることで、発熱部材31と縦縞導液布332との接触面積を増大させることができる。即ち、霧化面の霧化面積を増大させられる。これにより、更に高いレベルで導液体33内のタバコ用リキッドを霧化させることができ、霧化効果が向上する。
【0036】
いくつかの実施例において、縦縞導液布332及び横縞導液布331の縞の配列には複数の実施形態が存在する。
図8~
図19に示すように、縦縞導液布332及び横縞導液布331に設けられている縞は、直線縞、曲線縞、又はそれらのうちの少なくとも1種類で形成される組み合わせ縞である。即ち、
図10や
図17に示すような単一の直線が規則的に整列し且つ均一に配列された縞であってもよいし、
図12に示すような直線と直線で構成されるそれほど規則的ではない分岐配列縞であってもよいし、
図9や
図16に示すような直線と直線で形成される折れ線型であってもよい。また、縞の経路は必ずしも直線型ではなく、
図11に示すような曲線と曲線で形成される波型であってもよいし、
図13に示すような直線と曲線の組み合わせ型であってもよい。また、縞の経路は必ずしも連続した線形の分布ではなく、
図8や
図18に示すような間隔を空けた長尺状の分布であってもよいし、
図14に示すような縦横に交錯する曲線型であってもよいし、当然ながら、縦横に交錯する直線型であってもよい。折れ線や曲線型といった縞の向きは、直線的な縞よりも多くの貯液空間を有するため、連続的に動作して吸入する際の十分なリキッド供給を保証できる。なお、使用時に縞の向きが設計原則を満たしていればよく、縞の形状や配列は具体的に限定しない。設計原則とは、発熱部材31に接触する導液布に用いられる縞が全体的に縦向きとなっており、外側が導液孔301に接触する導液布に用いられる縞が全体的に横向きとなっていることを言う。
【0037】
縦縞導液布332と横縞導液布331の縞の設置には複数の実施形態が存在する。縦縞導液布332に設けられる縞は少なくとも一部が天井部から底部まで貫通しており、横縞導液布331に設けられる縞は少なくとも一部が一端から他端まで貫通している。縦縞導液布332に縦向きの縞を設けるのは、発熱部材31の縦向きの発熱回路に密着する微小な隆起又は微小な溝を導液布上に形成可能とするためである。また、これらの接触面積を増大させるために、導液布の少なくとも一部の縞は天井部から底部まで貫通しているが、残りの縞は横向きや斜め方向となっていてもよいし、当然ながら、全ての縞が天井部から底部まで貫通していてもよい。
【0038】
いくつかの実施例において、縦縞導液布332に設けられる縞は、発熱部材31の形状に少なくとも部分的に適合し、一致している。即ち、発熱部材31の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入して、発熱部材31と縦縞導液布332の霧化面積を増大させる。
【0039】
いくつかの実施例において、横縞導液布331は1~6層設けられている。複数層の横縞導液布331の重ね合わせ方式として、各層の横縞導液布331の縞の配列位置は径方向において少なくとも一部が対応している。ここで言う対応しているとは、各層の導液布における横向きの縞の形状及び位置が一対一で対応しており、サイズや大きさが同じ又はほぼ同じであることを意味する。また、ここで言う対応しているとは、部分的に対応していることでもよいし、当然ながら、全てが対応していることでもよい。或いは、隣り合う層の横縞導液布331の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が交錯するように設けられる。ここで言う交錯するように設けられるとは、隣り合う横縞導液布331における横向きの縞で形成される微小な溝又は微小な隆起の位置がずれていることを意味する。即ち、横縞導液布331における横向きの縞の微小な隆起又は微小な溝の突出部分が、隣の層の導液布における横向きの縞の微小な隆起又は微小な溝の凹溝部分に係合することで、リキッドの導液速度を加速させる。また、ここで言う交錯するとは、部分的に交錯することであってもよいし、当然ながら、全てが交錯することであってもよい。
【0040】
いくつかの実施例において、横縞導液布331の横向きの縞及び縦縞導液布332の縦向きの縞とは、導液布の表面における微小な隆起又は微小な溝と解釈可能である。また、1つの層の導液布における凹凸の幅は0.5mm未満であり、深さは0.1mm未満である。微小な隆起又は微小な溝の高さ及び間隔を制御して貯液量の大きさを制御することで、導液体33はリキッドを一定のレベルまで吸着すると飽和する。これにより、導液体33が過飽和になる恐れがあるとの問題が回避されるため、導液体33からリキッドが溢れ出し、最終的に霧化効果に影響を及ぼすとの問題が解決される。
【0041】
いくつかの実施例において、横縞導液布331の縞は導液孔301を中心として両側に向かって放射状となっている。このように設けることで、導液孔301に進入したリキッドを導液布に進入させたあと、迅速に両側の周方向に導液可能となる。或いは、横縞導液布331の縞は、導液孔301付近の密度がその他の位置の密度よりも大きい。このように設けることで、導液孔301に進入したリキッドを、導液孔301を中心点として四方に導液可能となる。或いは、横縞導液布331の縞は均一に横向きに配列される。
【0042】
霧化コアケーシング30は直筒構造となっている。導液体33の形状は円柱状であるため、導液体33に適合するよう、霧化コアケーシング30を直筒ケーシングとして設計する。これにより、導液体33をより良好に固定することができ、複数層の導液布を巻いてなる導液体33を霧化コアケーシング30の内部に固定的に取り付け可能となる。また、いくつかの具体的実施例では、コストを節約するために、霧化コアケーシング30は金属管を切断することでなり、管状構造となっている。また、側方には、リキッドを進入させる導液孔301が開設されている。
【0043】
いくつかの実施例において、霧化コアケーシング30には、管状の金属の側面に溝を開設する方式を採用してもよい。これにより、導液部材33及び発熱部材31の装入が容易となる。好ましくは、
図2に示すように、霧化コアケーシング30の側壁に縦向き溝302を1つ設ける。また、発熱部材31の開口端は、重ねて巻いた複数層の導液布における横方向の両端の接続口部分に面し、複数層の導液布における横方向の両端の接続口部分は、縦向き溝302内にちょうど係入して固定される。こうすることで、発熱部材31の発熱回路が導液部材33にいっそう良好に密着可能となり、霧化効果が向上する。また、これにより、複数層の導液布における横方向の両端の接続口部分が発熱部材31に良好に密着し得ないとの問題が回避される。なお、当然ながら、
図1及び
図7に示すように、霧化コアケーシング30の側壁に溝を開設せず、重ねて巻いた複数層の導液布をアトマイザーの内部空間に固定してもよい。
【0044】
いくつかの実施例において、
図3、
図6に示すように、霧化コアケーシング30の側壁には少なくとも2つの縦向き溝302が設けられ、これらのうちの1つの縦向き溝302内に、重ねて巻いた複数層の導液布における横方向の両端が係入して固定される。或いは、
図4に示すように、複数層の導液布には複数の区画が設けられており、隣り合う2区画の複数層の導液布における
同一方向の端部がいずれも1つの縦向き溝302内に係入して固定される。
【0045】
いくつかの実施例において、霧化コアケーシング30は直筒である。また、複数層の導液布における横方向の両端が、層ごとに1つずつ突き合わされて、複数を重ね合わせた筒状構造を形成している。或いは、複数層の導液布における横方向の両端全体を当接させて、一体的な筒状構造を形成している。これにより、筒状の導液体33を直筒の霧化コアケーシング30の内部空間に固定する。
【0046】
いくつかの実施例において、縦縞導液布332はリネンコットン繊維を編んでなり、横縞導液布331はスパンレース不織布繊維を編んでなる。リネンコットン繊維は高温に耐え得るため、発熱部材31との接触部分が炭化しにくく、使用寿命がより長くなる。また、縦向きの縞を設けるのは、発熱部材31の発熱回路構造に適合させるためである。これにより、縦方向において発熱部材31をわずかに縦縞導液布332内に嵌入可能とすることで、接触面積を増大させる。また、不織布を採用するのは、不織布は導液性能に優れ、導液体33の外側に設ければ、タバコ用リキッドを内側の発熱部材31までいっそう迅速に案内可能となるためである。また、横向きの縞を採用するのは、横向きの縞が横向きの微小な溝又は微小な隆起を有するからである。こうすることで、横縞導液布331の微小な溝又は微小な隆起部分に大きな毛細管隙間が形成される。微小な溝の方向に沿うリキッドの伝達速度はその他の方向よりも高いため、導液孔301のリキッドをより良好に周方向へ案内することができる。これにより、柱状の導液体33における給液が均一となる。
【0047】
いくつかの実施例において、電極32の下部は屈曲して霧化コアケーシング30の内壁に密着する。固定部材34の形状は霧化コアケーシング30に適合しており、固定部材34により電極32を押圧して固定する。或いは、固定部材34は弾性部材であり、電極32は、固定部材34によりしっかりと押圧されて霧化コアケーシング30に固定される。
【0048】
いくつかの実施例において、固定部材34の外壁には凹溝が設けられている。電極32は凹溝内にちょうど係接可能であり、固定部材34は霧化コアケーシング30内に固定される。或いは、固定部材34には貫通した固定孔が設けられており、電極32は固定孔内に挿着されて固定される。
【0049】
実施例2では、いくつかの実施例において、
図19に示すように、加熱霧化機構は、アトマイザーケーシング20内に実施例1で記載した加熱霧化コアが設けられている。アトマイザーケーシング20の上下は、それぞれ、上閉塞部材21及び下閉塞部材23により密封されている。加熱霧化コアとアトマイザーケーシング20の間には貯液室が設けられており、貯液室内にはタバコ用リキッドを貯えるための貯液綿22が設けられている。アトマイザーケーシング20に上閉塞部材21及び下閉塞部材23を設けて密封するのは、貯液室内のタバコ用リキッドの漏出を防止するためである。動作時に、貯液器内のタバコ用リキッドは、アトマイザーケーシング20の導液孔301へ流れ、加熱霧化コアまで案内されて加熱及び霧化されることで霧化蒸気を形成する。加熱霧化機構のその他の構造には従来技術を採用可能なため、ここではこれ以上詳述しない。
【0050】
実施例3において、
図20に示すように、加熱アトマイザーは実施例2で記載した加熱霧化機構を含む。加熱霧化機構の中心には導気管11が設けられている。導気管11の一端は加熱霧化コアの発熱部材31と連通しており、他端はマウスピース10と連通している。発熱部材31により霧化されたベイパーは、導気管11内からマウスピース10へと導出される。加熱アトマイザーの動作時に、タバコ用リキッドは、発熱部材31により加熱されて霧化蒸気を形成し、導気管11を経由してマウスピース10へと流れ、最終的には使用者によって吸入される。加熱アトマイザーのその他の構造には従来技術を採用可能なため、ここではこれ以上詳述しない。
【0051】
実施例4において、
図21に示すように、電子霧化装置は、実施例3で記載した上部の加熱アトマイザーと、中央部の給電装置4と、底部の制御装置5を含む。給電装置4は、加熱アトマイザー及び制御装置5にそれぞれ電気的に接続される。電子霧化装置の動作時には、制御装置5が給電装置4の起動を制御するよう動作することで、給電装置4が加熱アトマイザーに電気エネルギーを供給する。加熱アトマイザーは、タバコ用リキッドを霧化させて霧化蒸気を形成し、最終的にこれが使用者によって吸入される。電子霧化装置のその他の構造には従来技術を採用可能なため、ここではこれ以上詳述しない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化コアケーシング(30)を含み、霧化コアケーシング(30)内には筒状の導液体(33)が設けられており、導液体(33)の内壁には発熱部材(31)が密着しており、発熱部材(31)には電極(32)が接続され、
前記霧化コアケーシング(30)の側壁には、導液体(33)に向かって導液するための導液孔(301)が設けられており、
前記導液体(33)は、複数層の導液布を重ねて巻いた筒状構造をなしており、
前記複数層の導液布は、
少なくとも2層の縦縞導液布(332)、又は少なくとも2層の横縞導液布(331)、又は少なくとも1層の縦縞導液布
(332)及び少なくとも1層の横縞導液布(331)を含み、
前記縦縞導液布(332)を含む場合、前記縦縞導液布(332)には、全体的に縦向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、
前記横縞導液布(331)を含む場合、前記横縞導液布(331)には、全体的に横向きに配列された縞で形成される微小な溝又は/及び微小な隆起が設けられており、
前記導液体(33)の下方の霧化コアケーシング(30)内には、電極(32)を固定するための固定部材(34)が設けられており、前記固定部材(34)には気流供給孔(341)が開設されていることを特徴とする加熱霧化コア。
【請求項2】
前記縦縞導液布(332)は1~6層設けられており、且つ、各層の縦縞導液布(332)の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応しており、これにより、発熱部材(31)の発熱回路は、少なくとも一部が縞の微小な溝内か隣り合う微小な隆起の間に嵌入することを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項3】
前記縦縞導液布(332)を含む場合、前記縦縞導液布(332)の縞は、直線縞、曲線縞、又はそれらのうちの少なくとも1種類で形成される組み合わせ縞であ
り、前記横縞導液布(331)を含む場合、前記横縞導液布(331)の縞は、直線縞、曲線縞、又はそれらのうちの少なくとも1種類で形成される組み合わせ縞であることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項4】
前記縦縞導液布(332)を含む場合、前記縦縞導液布(332)に設けられる縞は少なくとも一部が天井部から底部まで貫通しており、
及び、前記横縞導液布(331)を含む場合、前記横縞導液布(331)に設けられる縞は少なくとも一部が一端から他端まで貫通していることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項5】
前記縦縞導液布(332)に設けられる縞は、発熱部材(31)の形状に少なくとも部分的に適合し、一致していることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項6】
前記横縞導液布(331)は1~6層設けられており、且つ、各層の横縞導液布(331)の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が対応しており、或いは、隣り合う層の横縞導液布(331)の縞の配列位置は、径方向において少なくとも一部が交錯するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項7】
前記横縞導液布(331)の縞は導液孔(301)を中心として両側に向かって放射状となっており、或いは、横縞導液布(331)の縞は導液孔(301)付近の密度がその他の位置の密度よりも大きく、或いは、横縞導液布(331)の縞は均一に横向きに配列されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項8】
前記霧化コアケーシング(30)は直筒構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項9】
前記霧化コアケーシング(30)の側壁には縦向き溝(302)が1つ設けられ、前記複数層の導液布における横方向の両端は、いずれも縦向き溝(302)内に係入して固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項10】
前記霧化コアケーシング(30)の側壁には少なくとも2つの縦向き溝(302)が設けられ、これらのうちの1つの縦向き溝(302)内に、前記複数層の導液布における横方向の両端の少なくとも一端が係入して固定され、或いは、前記複数層の導液布には複数の区画が設けられており、隣り合う2区画の複数層の導液布における
同一方向の端部がいずれも1つの縦向き溝(302)内に係入して固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項11】
前記霧化コアケーシング(30)は直筒構造となっており、前記複数層の導液布における横方向の両端が、層ごとに1つずつ突き合わされて、複数を重ね合わせた筒状構造を形成しており、或いは、複数層の導液布における横方向の両端全体を当接させて、一体的な筒状構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項12】
前記縦縞導液布(332)はリネンコットン繊維を編んでなり、前記横縞導液布(331)はスパンレース不織布繊維を編んでなることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項13】
前記電極(32)の下部は屈曲して霧化コアケーシング(30)の内壁に密着し、前記固定部材(34)の形状は霧化コアケーシング(30)に適合しており、固定部材(34)により電極(32)を押圧して固定し、或いは、前記固定部材(34)は弾性部材であり、前記電極(32)は、固定部材(34)によりしっかりと押圧されて霧化コアケーシング(30)に固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項14】
前記固定部材(34)の外側壁には凹溝が設けられており、前記電極(32)は前記凹溝内に係接されて固定部材(34)により霧化コアケーシング(30)内に固定され、或いは、前記固定部材(34)には貫通した固定孔が設けられており、前記電極(32)は固定孔内に挿着されて固定されることを特徴とする請求項1に記載の加熱霧化コア。
【請求項15】
アトマイザーケーシング(20)を含み、前記アトマイザーケーシング(20)内には請求項1~14のいずれか1項に記載の加熱霧化コアが設けられており、アトマイザーケーシング(20)の上下は、それぞれ、上閉塞部材(21)及び下閉塞部材(23)により密封されており、加熱霧化コアとアトマイザーケーシング(20)の間には貯液室が設けられており、貯液室内にはタバコ用リキッドを貯えるための貯液綿(22)が設けられていることを特徴とする加熱霧化機構。
【請求項16】
請求項15に記載の加熱霧化機構を含み、前記加熱霧化機構の中心には導気管(11)が設けられており、前記導気管(11)の一端は加熱霧化コアの発熱部材(31)と連通しており、他端はマウスピース(10)と連通しており、前記発熱部材(31)により霧化されたベイパーは、導気管(11)内からマウスピース(10)へと導出されることを特徴とする加熱アトマイザー。
【請求項17】
上部に設けられる請求項16に記載の加熱アトマイザーと、中央部に設けられる給電装置(4)と、底部に設けられる制御装置(5)を含み、前記給電装置(4)は、加熱アトマイザー及び制御装置(5)にそれぞれ電気的に接続されることを特徴とする電子霧化装置。
【国際調査報告】