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特表2024-528785炭素隔離システム及びプロセス並びに熱分解プロセス及び反応器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】炭素隔離システム及びプロセス並びに熱分解プロセス及び反応器
(51)【国際特許分類】
   D01F 9/127 20060101AFI20240725BHJP
   C10B 53/07 20060101ALI20240725BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20240725BHJP
   C01B 32/15 20170101ALI20240725BHJP
   B01J 23/745 20060101ALI20240725BHJP
   D01F 9/133 20060101ALI20240725BHJP
   C10B 47/24 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
D01F9/127
C10B53/07 ZAB
C08J11/12
C01B32/15
B01J23/745 M
D01F9/133
C10B47/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577631
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 CA2022050977
(87)【国際公開番号】W WO2022261784
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,760
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470555
【氏名又は名称】ソクプラ サイエンシズ エト ジーニー エス.イー.シー.
(71)【出願人】
【識別番号】523470566
【氏名又は名称】ケーダブリューイー クンストストッフワーク インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アバツォグルー、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ギッツホーファー、フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ラローシュ、イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ジャスミン
【テーマコード(参考)】
4F401
4G146
4G169
4H012
4L037
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401BA05
4F401CA22
4F401CA70
4F401CB01
4F401CB14
4F401DA01
4F401EA11
4F401EA12
4F401EA22
4F401EA76
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4G146AA01
4G146AB06
4G146AB07
4G146BA09
4G146BA12
4G146BA13
4G146BA48
4G146BA50
4G146BB06
4G146BC03
4G146BC25
4G146BC33A
4G146BC38A
4G146BC42
4G146BC44
4G146DA03
4G146DA13
4G146DA27
4G146DA45
4G169AA03
4G169BA01B
4G169BB02B
4G169BC66B
4G169CB81
4G169DA08
4G169EA01X
4G169FC07
4H012HB03
4L037CS03
4L037FA01
4L037FA02
4L037FA03
(57)【要約】
カーボンナノ繊維を連続的に生成するためのプロセス、及びカーボンナノ繊維を連続的に生成するための炭素隔離反応器が提供される。廃棄物プラスチックなどの炭素系原料からの燃料を含む熱分解生成物を生成するように構成される熱分解システムも提供される。熱分解生成物の少なくとも一部が熱分解システムの燃料として、及び/又は炭素隔離プロセス及び反応器の原料として、再循環される熱分解プロセスも提供される。炭素隔離プロセス及び反応器の生成物の少なくとも一部は、プラズマ反応器に供給され、水素並びにカーボンブラック及び/又はグラフェンを生成し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノ繊維を生成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
ガス入口を通して炭化水素化合物及び酸化炭素を含む連続ガス状流を、炭素隔離触媒粒子を含む反応チャンバに供給するステップと、
前記反応チャンバの内部で、前記ガス入口の上方に取り付けられ、前記ガス入口から垂直方向に間隔を置いた第1のガス導管に前記ガス状流を少なくとも部分的に導入するステップであって、前記第1のガス導管の両端部が、開口している、ステップと、
前記反応チャンバに収容された前記触媒粒子の床の上方に位置するガス出口を通して前記反応チャンバからガスを引き出すステップと
を含み、
それによって、動作中、前記触媒粒子が、前記ガス状流によって吸い上げられて流動化され、前記第1のガス導管と前記ガス入口との間に画定された空間を通って、かつ前記第1のガス導管の前記第1の端部を通って、前記第1のガス導管まで移動し、前記第1のガス導管の前記上部端部で出て、前記第1のガス導管の外側に落下して再循環される、プロセス。
【請求項2】
前記触媒粒子が前記ガス入口に流入することを防止するステップ、を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記酸化炭素が、二酸化炭素を含む、請求項1及び2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応チャンバに供給される前記連続ガス流中のC/COが、約0.5~2である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応チャンバに供給される前記連続ガス流中のC/COが、約0.8~1.2である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ガス状混合物が、漏斗形状のテーパ部分を通って前記反応チャンバに供給され、前記触媒粒子が、前記第1のガス導管の外側に、かつ前記反応チャンバの前記テーパ部分に向かって、落下して再循環される、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記反応チャンバに供給される前記ガス状流のガス状混合物が、400℃を超える温度を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記反応チャンバ内に含まれる前記ガス状流のガス状混合物が、約550℃~約700℃の温度を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記反応チャンバから引き出される前記ガスが、カーボンナノ繊維、炭化水素化合物、並びに一酸化炭素、二酸化炭素、水素、及び水蒸気のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ガスから前記カーボンナノ繊維を回収するために、前記反応チャンバから引き出された前記ガスを濾過するステップ、を更に含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記濾過されたガスを除湿するステップ、を更に含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ガスが、前記反応チャンバから連続的に引き出される、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記触媒粒子が、鉄系であり、少なくとも50%molの鉄を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記鉄系触媒粒子が、ニッケルを更に含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記触媒粒子が、前記触媒粒子内に少なくとも10wt%の鉄を含むFe/Alを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記触媒粒子が、約500μmより小さい、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記触媒粒子が、約150μm~約500μmの直径を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
炭化水素化合物を含む前記連続ガス状流を前記反応チャンバに供給するステップの前に、液体の前記炭化水素化合物をガス状態に加熱するステップ、を更に含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ガス状流が、前記反応チャンバ内で約1秒~約10秒の平均接触時間を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記触媒粒子の前記床にわたる圧力降下が、約0.5atm~約4atmの範囲である、請求項1から19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載のプロセスによって生成されるカーボンナノ繊維。
【請求項22】
カーボンナノ繊維を生成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
熱分解反応器に炭素系原料を連続的に供給するステップと、
熱分解生成物を生成するために、前記炭素系原料を熱分解するステップと、
前記熱分解反応器から前記熱分解生成物を引き出すステップと、
炭素隔離反応器に前記熱分解生成物の少なくとも一部を連続的に供給するステップであって、前記炭素隔離反応器が、カーボンナノ繊維を形成するための炭素隔離触媒を含む、ステップと、
前記炭素隔離反応器から前記カーボンナノ繊維を含む炭素隔離反応器生成物を引き出すステップと
を含む、プロセス。
【請求項23】
前記炭素隔離反応器から前記炭素隔離反応器生成物を引き出すステップが、前記炭素隔離反応器から前記炭素隔離反応器生成物を連続的に引き出すステップ、を含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記炭素隔離反応器から前記炭素隔離反応器生成物を連続的に引き出すステップが、前記カーボンナノ繊維を含む連続ガス流を同時に引き出すステップ、を含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記炭素隔離反応器から引き出された前記連続ガス流が、炭化水素化合物と、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、及び水蒸気のうちの少なくとも1つと、を含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記カーボンナノ繊維を回収するために、前記炭素隔離反応器から引き出された前記連続ガス流を濾過するステップ、を更に含む、請求項24及び25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記熱分解反応器の酸化チャンバに酸化剤及び燃料を連続的に供給し、前記熱分解反応器の熱分解反応チャンバに熱を供給するために、前記熱分解反応器の前記酸化チャンバ内の前記燃料を少なくとも部分的に酸化するステップ、を更に含む、請求項22から26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記熱分解生成物の少なくとも一部を前記酸化チャンバに供給される燃料として再循環するステップ、を更に含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記熱分解生成物をガス生成物と液体生成物とに分離するステップ、を更に含み、前記燃料が、前記熱分解生成物の前記分離から得られた前記ガス生成物の少なくとも一部を含む、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記熱分解反応チャンバから引き出された前記熱分解生成物の少なくとも一部を凝縮し、凝縮後に、かつ前記熱分解生成物の前記少なくとも一部を前記酸化チャンバに供給される前記燃料として再循環するステップの前に、前記熱分解生成物の一部の圧力を上昇させるステップ、を更に含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記酸化チャンバが、前記酸化剤及び前記燃料を連続的に供給され、前記熱分解反応チャンバが、前記炭素系原料を連続的に供給される、請求項27から30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記酸化剤が、空気及び酸素のうちの少なくとも1つを含む、請求項27から31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記燃料及び前記酸化剤が、約0.5~約1.1の範囲の比で、前記酸化チャンバに供給される、請求項27から32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記燃料及び前記酸化剤が、約0.9~約1.1の範囲の比で、前記酸化チャンバに供給される、請求項27から32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記炭素系原料の前記熱分解が、約550℃~約900℃の範囲の温度で実行される、請求項27から32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記炭素系原料の前記熱分解が、約600℃~約850℃の範囲の温度で実行される、請求項27から32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記炭素系原料が、前記熱分解反応器の熱分解反応チャンバ内で約5秒~約10秒の平均滞留時間を有する、請求項27から36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記熱分解生成物を引き出すステップが、連続的に実行される、請求項22から38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記炭素系原料が、プラスチック系原料である、請求項22から38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
前記プラスチック系原料が、実質的に塩素を含まない、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
前記プラスチック系原料が、約1.5cmより小さい直径を有するプラスチック粒子を含む、請求項39及び40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
前記プラスチック系原料が、約0.1cm~1.3cmの直径を有するプラスチック粒子を含む、請求項39及び40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
前記炭素系原料の前記熱分解が、流動化粒子床を含む前記熱分解反応器の熱分解チャンバ内で実施される、請求項22から42のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項44】
前記流動化粒子床が、不活性無機粒子を含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記流動化粒子床が、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される熱触媒粒子を含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項46】
前記炭素隔離反応器に供給するステップが、前記反応チャンバのテーパ部分に位置するガス入口を通して前記炭素隔離反応器の反応チャンバに供給するステップ、を含む、請求項22から45のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項47】
前記炭素隔離反応器に供給される前記熱分解生成物の前記少なくとも一部が、約0.5~約2のC/CO比を有する炭化水素化合物及び酸化炭素を含む、請求項22から46のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項48】
前記炭素隔離反応器に供給される前記熱分解生成物の前記少なくとも一部が、400℃を超える温度を有する、請求項22から47のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項49】
前記炭素隔離触媒が、約500μmより小さい鉄系触媒粒子を含み、少なくとも50%molの鉄を含む、請求項22から48のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項50】
前記鉄系触媒粒子が、ニッケルを更に含む、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
前記炭素隔離反応器に供給するステップが、前記炭素隔離反応器にガス状態の前記熱分解生成物の前記少なくとも一部を供給するステップ、を含む、請求項22から50のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項52】
前記炭素隔離反応器に供給するステップの前に、前記熱分解生成物の前記少なくとも一部をガス状態に変換するステップ、を更に含む、請求項51に記載のプロセス。
【請求項53】
請求項22から52のいずれか一項に記載のプロセスによって生成されるカーボンナノ繊維。
【請求項54】
カーボンナノ繊維を生成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
熱分解反応器に炭素系原料を供給するステップと、
熱分解生成物を生成するために前記炭素系原料を熱分解するステップと、
前記熱分解反応器から前記熱分解生成物を引き出すステップと、
炭素隔離反応器に前記熱分解生成物の少なくとも一部を供給するステップであって、前記炭素隔離反応器が、カーボンナノ繊維及びガス状生成物を形成するために炭素隔離触媒を含む、ステップと、
前記炭素隔離反応器から前記カーボンナノ繊維を引き出すステップと、
水素と、カーボンブラック及びグラフェンのうちの少なくとも1つと、を含むガス状生成物を含むプラズマ反応器生成物を生成するために、プラズマ反応器に前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物の少なくとも一部を供給するステップと、
前記熱分解反応器に前記炭素隔離反応器からの前記ガス状生成物の少なくとも一部を供給するステップと
を含む、プロセス。
【請求項55】
前記熱分解反応器に、前記炭素系原料、及び前記プラズマ反応器からの前記ガス状生成物の少なくとも一部を供給するステップが、前記熱分解反応器に、前記炭素系原料、及び前記プラズマ反応器からの前記ガス状生成物の前記少なくとも一部を連続的に供給するステップと、前記熱分解反応器から前記熱分解生成物を引き出すステップが、前記熱分解生成物を前記熱分解反応器から連続的に引き出すステップとを含む、請求項54に記載のプロセス。
【請求項56】
前記炭素隔離反応器に前記熱分解生成物の少なくとも前記一部を供給するステップが、前記炭素隔離反応器に前記熱分解生成物の少なくとも前記一部を連続的に供給するステップ、を含み、前記炭素隔離反応器から前記カーボンナノ繊維を引き出すステップが、前記炭素隔離反応器から前記カーボンナノ繊維を連続的に引き出すステップ、を含む、請求項54及び55のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項57】
前記炭素隔離反応器から前記カーボンナノ繊維を連続的に引き出すステップが、連続ガス流と共に前記カーボンナノ繊維を同時に引き出すステップ、を含む、請求項56に記載のプロセス。
【請求項58】
前記プラズマ反応器に前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物の前記少なくとも一部を供給するステップが、前記プラズマ反応器に前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物の前記少なくとも一部を連続的に供給するステップ、を含む、請求項54から57のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項59】
前記炭素隔離反応器から引き出された前記連続ガス流が、炭化水素化合物と、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、及び水蒸気のうちの少なくとも1つと、を含む、請求項57に記載のプロセス。
【請求項60】
前記カーボンナノ繊維を回収するために、前記炭素隔離反応器から引き出された前記連続ガス流を濾過するステップ、を更に含む、請求項57に記載のプロセス。
【請求項61】
前記熱分解反応器の酸化チャンバ内の前記プラズマ反応器からの前記ガス状生成物の前記少なくとも一部を少なくとも部分的に酸化して、前記熱分解反応器の熱分解反応チャンバに熱を供給するために、前記熱分解反応器の前記酸化チャンバに酸化剤を連続的に供給するステップ、を更に含む、請求項55に記載のプロセス。
【請求項62】
前記熱分解生成物の少なくともガス状部分を前記熱分解反応器の前記酸化チャンバに再循環するステップ、を更に含む、請求項61に記載のプロセス。
【請求項63】
前記熱分解反応器に前記炭素系原料を供給するステップが、前記熱分解反応器の前記熱分解反応チャンバに前記炭素系原料を供給するステップ、を含む、請求項61及び62のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項64】
前記プラズマ反応器からの前記ガス状生成物の前記少なくとも一部、及び前記酸化剤が、約0.5~約1.1の範囲の比で前記酸化チャンバに供給される、請求項61から63のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項65】
前記燃料及び前記酸化剤が、約0.9~約1.1の範囲の比で、前記酸化チャンバに供給される、請求項61から63のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項66】
前記炭素系原料の前記熱分解が、約550℃~約900℃の範囲の温度で実行される、請求項54から65のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項67】
前記炭素系原料の前記熱分解が、約600℃~約850℃の範囲の温度で実行される、請求項54から65のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項68】
前記炭素系原料が、前記熱分解反応器の熱分解反応チャンバ内で約5秒~約10秒の平均滞留時間を有する、請求項54から67のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項69】
前記炭素系原料が、プラスチック系原料である、請求項54から68のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項70】
前記プラスチック系原料が、実質的に塩素を含まない、請求項69に記載のプロセス。
【請求項71】
前記プラスチック系原料が、約1.5cmより小さい直径を有するプラスチック粒子を含む、請求項69及び70のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項72】
前記プラスチック系原料が、約0.1cm~1.3cmの直径を有するプラスチック粒子を含む、請求項69及び70のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項73】
前記炭素系原料の前記熱分解が、流動化粒子床を含む前記熱分解反応器の熱分解チャンバ内で実施される、請求項69から72のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項74】
前記流動化粒子床が、不活性無機粒子を含む、請求項73に記載のプロセス。
【請求項75】
前記流動化粒子床が、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される熱触媒粒子を含む、請求項73に記載のプロセス。
【請求項76】
前記炭素隔離反応器に供給するステップが、前記反応チャンバのテーパ部分に位置するガス入口を通して前記炭素隔離反応器の反応チャンバに供給するステップ、を含む、請求項54から75のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項77】
前記炭素隔離反応器に供給される前記熱分解生成物の前記少なくとも一部が、約0.5~約2のC/CO比を有する炭化水素化合物及び酸化炭素を含む、請求項54から76のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項78】
前記炭素隔離反応器に供給される前記熱分解生成物の前記少なくとも一部が、400℃を超える温度を有する、請求項54から77のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項79】
前記炭素隔離触媒が、約500μmより小さい鉄系触媒粒子を含み、少なくとも50%molの鉄を含む、請求項54から78のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項80】
前記鉄系触媒粒子が、ニッケルを更に含む、請求項79に記載のプロセス。
【請求項81】
前記炭素隔離反応器に供給するステップが、前記炭素隔離反応器にガス状態の前記熱分解生成物の前記少なくとも一部を供給するステップ、を含む、請求項55から80のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項82】
前記炭素隔離反応器に前記熱分解生成物の前記少なくとも一部を供給するステップの前に、固体粒子を少なくとも部分的に除去するために前記熱分解生成物を濾過するステップ、を更に含む、請求項54から81のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項83】
前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物が、水、水素、及び一酸化炭素を含み、前記プロセスが、前記プラズマ反応器に前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物の前記少なくとも一部を供給するステップの前に、前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物から前記水、前記水素及び、前記一酸化炭素を少なくとも部分的に除去するステップ、を更に含む、請求項54から82のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項84】
前記熱分解反応器に、前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物から回収された前記一酸化炭素の少なくとも一部を供給するステップ、を更に含む、請求項83に記載のプロセス。
【請求項85】
前記熱分解反応器に、前記炭素隔離反応器の前記ガス状生成物から回収された前記水素の少なくとも一部を供給するステップ、を更に含む、請求項83及び84のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項86】
カーボンブラック及びグラフェンのうちの前記少なくとも1つと、前記プラズマ反応器生成物の前記ガス状生成物とを分離するステップ、を更に含む、請求項54から85のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項87】
カーボンブラック及びグラフェンのうちの前記少なくとも1つと、前記プラズマ反応器生成物の前記ガス状生成物とを分離するステップが、前記プラズマ反応器生成物を濾過するステップ、を含む、請求項86に記載のプロセス。
【請求項88】
前記炭素隔離反応器に供給するために、前記プラズマ反応器生成物の前記ガス状生成物の少なくとも一部を再循環するステップ、を更に含む、請求項86及び87のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項89】
前記プラズマ反応器生成物の前記ガス状生成物が、水素と、軽質炭化水素と、を含む、請求項88に記載のプロセス。
【請求項90】
請求項54から89のいずれか一項に記載のプロセスによって生成されるカーボンナノ繊維。
【請求項91】
請求項54から89のいずれか一項に記載のプロセスによって生成されるグラフェン及び/又はカーボンブラック。
【請求項92】
カーボンナノ繊維を生成するための炭素隔離反応器であって、
テーパ部分を有し、かつ触媒粒子を収容する反応チャンバを画定するハウジングであって、前記ハウジングが、内部に画定されたガス入口及びガス出口を有し、前記ガス入口が、前記反応チャンバの前記テーパ部分に開口し、前記ガス出口が、前記反応チャンバに収容された前記触媒粒子の床の上方に位置する、ハウジングと、
前記反応チャンバの内側に位置し、第1のガス導管を備える炭素隔離ユニットであって、前記第1のガス導管が、前記ガス入口の上方に取り付けられ、前記ガス入口から垂直方向に間隔を置いており、前記第1のガス導管の両端部が、開口している、炭素隔離ユニットと
を備える、炭素隔離反応器。
【請求項93】
前記第1のガス導管が、前記ガス入口と同軸である、請求項91に記載の炭素隔離反応器。
【請求項94】
前記第1のガス導管が、前記ガス入口と位置合わせされている、請求項93に記載の炭素隔離反応器。
【請求項95】
前記反応チャンバ内に延在する第2のガス導管であって、前記第2のガス導管が、前記ハウジングに取り付けられて前記ガス入口に外接する第1の端部と、前記第1のガス導管の第1の端部から間隔を置いた、前記第1の端部と同軸の第2の端部と、を有する、第2のガス導管を、更に備える、請求項91から94のいずれか一項に記載の炭素隔離反応器。
【請求項96】
前記第1のガス導管の前記第1の端部、及び前記第2のガス導管の前記第2の端部が、位置合わせされている、請求項95に記載の炭素隔離反応器。
【請求項97】
炭素隔離触媒粒子が前記ガス入口を通って前記反応チャンバの外側に流れること防止するために、前記ガス入口を覆う格子を更に備える、請求項91から96のいずれか一項に記載の炭素隔離反応器。
【請求項98】
炭素隔離触媒粒子の床を更に備える、請求項91から97のいずれか一項に記載の炭素隔離反応器。
【請求項99】
前記触媒粒子が、鉄系であり、少なくとも50%molの鉄を含む、請求項98に記載の炭素隔離反応器。
【請求項100】
前記鉄系触媒粒子が、ニッケルを更に含む、請求項99に記載の炭素隔離反応器。
【請求項101】
前記触媒粒子が、前記触媒粒子内に少なくとも10wt%の鉄を含むFe/Alを含む、請求項98に記載の炭素隔離反応器。
【請求項102】
前記触媒粒子が、約500μmより小さい、請求項91から101のいずれか一項に記載の炭素隔離反応器。
【請求項103】
前記触媒粒子が、約150μm~約500μmの直径を有する、請求項91から102のいずれか一項に記載の炭素隔離反応器。
【請求項104】
前記ガス入口と流体連通する二酸化炭素供給源を更に備える、請求項91から103のいずれか一項に記載の炭素隔離反応器。
【請求項105】
熱分解反応チャンバを画定するハウジングと、仕切り格子により前記熱分解反応チャンバから分離され、前記熱分解反応チャンバの下に位置する酸化チャンバと、を含む、熱分解反応器
を備える、熱分解システムであって、
前記ハウジングが、前記熱分解反応チャンバに開口した炭素系原料入口と、前記熱分解反応チャンバに開口した熱分解生成物出口と、前記酸化チャンバとガス連通する燃料入口と、を有し、
前記熱分解生成物出口が、前記熱分解反応器の前記燃料入口と流体連通して、前記熱分解反応器の前記酸化チャンバに熱分解生成物を少なくとも部分的に導く、熱分解システム。
【請求項106】
前記熱分解生成物出口に接続され、前記熱分解生成物をガス状燃料と液体生成物とに分離する相分離ユニットを更に備え、前記熱分解生成物出口が、前記相分離ユニットを少なくとも介して前記熱分解反応器の前記燃料入口と流体連通して、前記ガス状燃料を前記熱分解反応器の前記酸化チャンバに少なくとも部分的に導く、請求項105に記載の熱分解システム。
【請求項107】
前記燃料入口が、ガス状燃料供給源及び酸化剤供給源とガス連通している、請求項105及び106のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項108】
前記酸化剤供給源が、空気供給源及び酸素供給源のうちの少なくとも1つを備える、請求項107に記載の熱分解システム。
【請求項109】
前記熱分解生成物出口及び前記燃料入口と流体連通する熱分解生成物再循環導管と、前記燃料入口の上流及び前記酸化剤供給源の下流で、前記熱分解生成物再循環導管とガス連通する、前記熱分解生成物再循環導管に取り付けられた混合器と、を更に備える、請求項107及び108のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項110】
前記仕切り格子が、約1500℃を超える温度に耐え得るセラミック材料で少なくとも部分的に製造される、請求項105から109のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項111】
前記仕切り格子が、約0.1cmより小さい直径を有する複数の開口部を備える、請求項105から109のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項112】
熱分解のため、前記熱分解反応チャンバにプラスチック粒子を供給するために前記炭素系原料入口に接続されるプラスチック粒子供給源を更に備える、請求項105から111のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項113】
前記熱分解反応チャンバの容積が、前記酸化チャンバ及び前記熱分解反応チャンバの総容積の約80%~95%である、請求項105から112のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項114】
前記熱分解生成物出口の下流に取り付けられ、前記熱分解生成物出口及び前記燃料入口とガス連通する、凝縮器及びブースタを更に備え、前記ブースタが、前記燃料入口に導かれる前にガス状燃料のガス圧を上昇させるように構成される、請求項105から113のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項115】
前記熱分解反応チャンバが、粒子床を含む、請求項105から114のいずれか一項に記載の熱分解システム。
【請求項116】
前記粒子床が、不活性無機粒子を含む、請求項115に記載の熱分解システム。
【請求項117】
前記粒子床が、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される熱触媒粒子を含む、請求項115に記載の熱分解システム。
【請求項118】
熱分解プロセスであって、
熱分解反応器の酸化チャンバに酸化剤及び燃料を供給するステップと、
前記熱分解反応器の熱分解反応チャンバに熱を供給するために、前記熱分解反応器の前記酸化チャンバ内の前記燃料を少なくとも部分的に酸化するステップと、
前記燃料の前記少なくとも部分的な酸化によって生成された熱を使用して炭素系原料を熱分解するために前記熱分解反応器の前記熱分解反応チャンバに前記炭素系原料を供給するステップと、
前記熱分解反応器の前記熱分解反応チャンバから熱分解生成物を引き出すステップと、
前記熱分解生成物の少なくとも一部を前記酸化チャンバに供給される燃料として再循環するステップと
を含む、熱分解プロセス。
【請求項119】
前記熱分解生成物をガス生成物及び液体生成物に分離するステップ、を更に含み、前記燃料が、前記熱分解生成物の前記分離から得られた前記ガス生成物の少なくとも一部を含む、請求項118に記載の熱分解プロセス。
【請求項120】
前記酸化チャンバが、前記酸化剤及び前記燃料を連続的に供給され、前記熱分解反応チャンバが、前記炭素系原料を連続的に供給される、請求項118から119のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項121】
前記熱分解生成物が、前記熱分解反応チャンバから連続的に引き出される、請求項120に記載の熱分解プロセス。
【請求項122】
前記酸化剤が、空気及び酸素のうちの少なくとも1つを含む、請求項118から121のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項123】
前記炭素系原料が、プラスチック系原料である、請求項118から122のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項124】
前記プラスチック系原料が、実質的に塩素を含まない、請求項123に記載の熱分解プロセス。
【請求項125】
前記プラスチック系原料が、約1.5cmより小さい直径を有するプラスチック粒子を含む、請求項123及び124のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項126】
前記プラスチック系原料が、約0.1cm~1.3cmの直径を有するプラスチック粒子を含む、請求項123及び124のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項127】
前記炭素系原料の前記熱分解が、約550℃~約900℃の範囲の温度で実行される、請求項118から126のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項128】
前記炭素系原料の前記熱分解が、約600℃~約850℃の範囲の温度で実行される、請求項118から126のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項129】
前記炭素系原料が、前記熱分解反応チャンバ内で約5秒~約10秒の平均滞留時間を有する、請求項118から128のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項130】
前記酸化チャンバに前記酸化剤及び前記燃料を供給し、前記熱分解反応チャンバに前記炭素系原料を供給するステップが、連続的に実行される、請求項118から129のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項131】
前記熱分解生成物を引き出すステップが、連続的に実行される、請求項118から130のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項132】
前記熱分解反応チャンバから引き出された前記熱分解生成物の少なくとも一部を凝縮し、凝縮後に、かつ前記熱分解生成物の前記少なくとも一部を前記酸化チャンバに供給される前記燃料として再循環するステップの前に、前記熱分解生成物の一部の圧力を上昇させるステップ、を更に含む、請求項118から131のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項133】
前記燃料及び前記酸化剤が、約0.5~約1.1の範囲の比で、前記酸化チャンバに供給される、請求項118から132のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項134】
前記燃料及び前記酸化剤が、約0.9~約1.1の範囲の比で、前記酸化チャンバに供給される、請求項118から132のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項135】
前記炭素系原料の前記熱分解が、流動化粒子床を含む前記熱分解チャンバ内で実施される、請求項118から134のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項136】
前記流動化粒子床が、不活性無機粒子を含む、請求項135に記載の熱分解プロセス。
【請求項137】
前記流動化粒子床が、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される熱触媒粒子を含む、請求項135に記載の熱分解プロセス。
【請求項138】
前記酸化チャンバに供給される前記燃料が、炭化水素、一酸化炭素、及び水素のうちの少なくとも1つを含む、請求項118から137のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【請求項139】
軽質炭化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水、及び水素のうちの少なくとも1つを前記熱分解反応チャンバから引き出された前記熱分解生成物、請求項118から138のいずれか一項に記載の熱分解プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、炭素系原料をエネルギー及び他の価値のある生成物に変換するために組み合わせられ得る、炭素隔離プロセス及び熱分解システムに関する。本発明はまた、炭素系原料を熱分解するためのプロセスと、カーボンナノ繊維を生成するためにプラスチック廃棄物熱分解に由来し得る炭化水素化合物から炭素を隔離するプロセスと、カーボンナノ繊維生成のための反応器と、に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック廃棄物の生産及び消費は、警報すべき速度で増加している。更に、毎年生成されるプラスチックの大部分は、包装の使い捨て品を、又は製造後1年以内に廃棄される他の短命製品を、製造するために使用される。したがって、廃棄された使用済みプラスチックが廃棄物として世界中のゴミ処分場及び自然生息地に蓄積することを低減するために、廃棄物プラスチックを管理することは課題である。
【0003】
熱分解は、プラスチック廃棄物を、固体、液体及びガス状燃料、並びに他の価値のある生成物の形態のエネルギーに変換するために使用される一般的な技術である。しかしながら、プラスチック熱分解は、吸熱性で、高エネルギー消費プロセスである。好適な生成物収率を達成するためには、少なくとも350~500℃が必要であり、700~900℃もの高温が必要である場合がある。
【0004】
熱分解が、廃棄物プラスチックを燃料に変換するための興味深い固体廃棄物管理技術であるので、そのエネルギー消費を最適化することによってそのエコロジカルフットプリントを低減する必要がある。上記を考慮して、上記の従来技術の懸念のいくつかを克服又は少なくとも最小化し得る熱分解システム及びプロセスが必要とされている。
【0005】
更に、プラスチック熱分解生成物は、カーボンフットプリントを低減するために隔離され得る比較的高い炭素含有量を有する。炭素は、炭素隔離反応器内でカーボンナノ繊維(CNF)を生成することによって隔離され得る。既存の炭素隔離反応器は、CNFを除去するために間隔を置いて停止しなければならない半回分反応器である。上記を考慮して、上記の従来技術の懸念のいくつかを克服又は少なくとも最小化し得る炭素隔離反応器が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記の問題に対処することである。
【0007】
一般的な態様によれば、カーボンナノ繊維を生成するためのプロセスが提供される。そのプロセスは、ガス入口を通して炭化水素化合物及び酸化炭素を含む連続ガス状流を、炭素隔離触媒粒子を含む反応チャンバに供給することと、反応チャンバの内部で、ガス入口の上方に取り付けられ、ガス入口から垂直方向に間隔を置いた第1のガス導管にガス状流を少なくとも部分的に導入することであって、第1のガス導管の両端部が開口している、導入することと、反応チャンバに収容された触媒粒子の床の上方に位置するガス出口を通して反応チャンバからガスを引き出すことと、を含み、それによって、動作中、触媒粒子は、ガス状流によって吸い上げられて流動化され、第1のガス導管とガス入口との間に画定された空間を通って、第1のガス導管の第1の端部を通って、第1のガス導管まで移動し、第1のガス導管の上部端部で出て、第1のガス導管の外側に落下して再循環される。
【0008】
一実施形態では、本プロセスは、触媒粒子がガス入口に流入することを防止すること、を更に含む。
【0009】
一実施形態では、酸化炭素は二酸化炭素を含む。反応チャンバに供給される連続ガス流中のC/COは、約0.5~2、別の実施形態では、約0.8~1.2であり得る。
【0010】
一実施形態では、ガス状混合物は、漏斗形状のテーパ部分を通って反応チャンバに供給され、触媒粒子は、第1のガス導管の外側に、反応チャンバのテーパ部分に向かって、落下して再循環される。
【0011】
一実施形態では、反応チャンバに供給されるガス状流のガス状混合物は、400℃を超える温度を有する。
【0012】
一実施形態では、反応チャンバ内に含まれるガス状流のガス状混合物は、約550℃~約700℃の温度を有する。
【0013】
一実施形態では、反応チャンバから引き出されるガスは、カーボンナノ繊維、炭化水素化合物、並びに一酸化炭素、二酸化炭素、水素、及び水蒸気のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、本プロセスは、ガスからカーボンナノ繊維を回収するために、反応チャンバから引き出されたガスを濾過すること、を更に含む。一実施形態では、プロセスは、濾過したガスを除湿すること、を更に含む。
【0014】
一実施形態では、ガスは、反応チャンバから連続的に引き出される。
【0015】
一実施形態では、触媒粒子は、鉄系であり、少なくとも50%molの鉄を含む。鉄系触媒粒子は、ニッケルを更に含み得る。
【0016】
一実施形態では、触媒粒子は、触媒粒子内に少なくとも10wt%の鉄を含むFe/Alを含む。
【0017】
一実施形態では、触媒粒子は、約500μmより小さく、特定の実施形態では、触媒粒子は、約150μm~約500μmの直径を有する。
【0018】
一実施形態では、本プロセスは、炭化水素化合物を含む連続ガス状流を反応チャンバに供給する前に、液体の炭化水素化合物をガス状態に加熱すること、を更に含む。
【0019】
一実施形態では、ガス状流は、反応チャンバ内で約1秒~約10秒の平均接触時間を有する。
【0020】
一実施形態では、触媒粒子の床にわたる圧力降下は、約0.5atm~約4atmの範囲である。
【0021】
別の一般的な態様によれば、上記のプロセスによって生成されたカーボンナノ繊維が提供される。
【0022】
更に別の一般的な態様によれば、カーボンナノ繊維を生成するプロセスが提供される。本プロセスは、熱分解反応器に炭素系原料を連続的に供給することと、熱分解生成物を生成するために、炭素系原料を熱分解することと、熱分解反応器から熱分解生成物を引き出すことと、炭素隔離反応器に熱分解生成物の少なくとも一部を連続的に供給することであって、炭素隔離反応器が、カーボンナノ繊維を形成するための炭素隔離触媒を含む、供給することと、炭素隔離反応器からカーボンナノ繊維を含む炭素隔離反応器生成物を引き出すことと、を含む。
【0023】
一実施形態では、炭素隔離反応器から炭素隔離反応器生成物を引き出すことは、炭素隔離反応器から炭素隔離反応器生成物を連続的に引き出すこと、を含み、これは、カーボンナノ繊維を含む連続ガス流を引き出すことと同時に実行され得る。炭素隔離反応器から引き出された連続ガス流は、炭化水素化合物と、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、及び水蒸気のうちの少なくとも1つと、を含み得る。一実施形態では、本プロセスは、カーボンナノ繊維を回収するために、炭素隔離反応器から引き出された連続ガス流を濾過すること、を更に含む。
【0024】
一実施形態では、本プロセスは、熱分解反応器の酸化チャンバに酸化剤及び燃料を連続的に供給し、熱分解反応器の熱分解反応チャンバに熱を供給するために熱分解反応器の酸化チャンバ内の燃料を少なくとも部分的に酸化すること、を更に含む。一実施形態では、プロセスは、熱分解生成物の少なくとも一部を酸化チャンバに供給される燃料として再循環すること、を更に含む。一実施形態では、本プロセスは、熱分解生成物をガス生成物と液体生成物とに分離することを更に含み、燃料は、熱分解生成物の分離から得られたガス生成物の少なくとも一部を含む。一実施形態では、本プロセスは、熱分解反応チャンバから引き出された熱分解生成物の少なくとも一部を凝縮し、凝縮後に、かつ酸化チャンバに供給された燃料として熱分解生成物の少なくとも一部を再循環することの前に、熱分解生成物の一部の圧力を上昇させること、を更に含む。
【0025】
酸化チャンバは、酸化剤及び燃料を連続的に供給され、並びに/あるいは熱分解反応チャンバは、炭素系原料を連続的に供給され得る。酸化剤は、空気及び酸素のうちの少なくとも1つを含み得る。燃料及び酸化剤は、約0.5~約1.1の範囲の比で、特定の実施形態では、約0.9~約1.1の範囲の比で、酸化チャンバに供給されてもよい。炭素系原料の熱分解は、約550℃~約900℃の範囲の温度で、特定の実施形態では、約600℃~約850℃の範囲の温度で、実行されてもよい。炭素系原料は、熱分解反応器の熱分解反応チャンバ内で約5秒~約10秒の平均滞留時間を有し得る。
【0026】
一実施形態では、熱分解生成物の引き出しは連続的に実行される。
【0027】
一実施形態では、炭素系原料はプラスチック系原料であり、より具体的には、プラスチック系原料は実質的に塩素を含まなくてもよい。これは、約1.5cmよりも小さく、特定の実施形態では、約0.1cm~1.3cmの直径を有する、プラスチック粒子を含み得る。
【0028】
一実施形態では、炭素系原料の熱分解は、流動化粒子床を含む熱分解反応器の熱分解チャンバ内で実施される。流動化粒子床は、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される不活性無機粒子及び/又は熱触媒粒子を含み得る。
【0029】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給することは、反応チャンバのテーパ部分に位置するガス入口を通して炭素隔離反応器の反応チャンバに供給すること、を含む。
【0030】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給される熱分解生成物の少なくとも一部は、約0.5~約2のC/CO比を有する炭化水素化合物及び酸化炭素を含む。
【0031】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給される熱分解生成物の少なくとも一部は、400℃を超える温度を有する。
【0032】
一実施形態では、炭素隔離触媒は、約500μmより小さい鉄系触媒粒子を含み、少なくとも50%molの鉄を含む。鉄系触媒粒子は、ニッケルを更に含み得る。
【0033】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給することは、炭素隔離反応器にガス状態の熱分解生成物の少なくとも一部を供給すること、を含む。一実施形態では、本プロセスは、炭素隔離反応器に供給する前に、熱分解生成物の少なくとも一部をガス状態に変換すること、を更に含む。
【0034】
一般的な態様によれば、上記のプロセスによって生成されたカーボンナノ繊維が提供される。
【0035】
更なる一般的な態様によれば、カーボンナノ繊維を生成するためのプロセスが提供される。本プロセスは、熱分解反応器に炭素系原料を供給することと、熱分解生成物を生成するために炭素系原料を熱分解することと、熱分解反応器から熱分解生成物を引き出すことと、炭素隔離反応器に熱分解生成物の少なくとも一部を供給することであって、炭素隔離反応器が、カーボンナノ繊維及びガス状生成物を形成するために炭素隔離触媒を含む、供給することと、炭素隔離反応器からカーボンナノ繊維を引き出すことと、水素と、カーボンブラック及びグラフェンのうちの少なくとも1つと、を含むガス状生成物を含むプラズマ反応器生成物を生成するために、プラズマ反応器に炭素隔離反応器のガス状生成物の少なくとも一部を供給することと、熱分解反応器に炭素隔離反応器からのガス状生成物の少なくとも一部を供給することと、を含む。
【0036】
一実施形態では、熱分解反応器に炭素系原料、及びプラズマ反応器からのガス状生成物の少なくとも一部を供給することは、熱分解反応器に炭素系原料、及びプラズマ反応器からのガス状生成物の少なくとも一部を連続的に供給すること、を含み、熱分解反応器から熱分解生成物を引き出すことは、熱分解反応器から熱分解生成物を連続的に引き出すこと、を含む。
【0037】
一実施形態では、炭素隔離反応器に熱分解生成物の少なくとも一部を供給することは、炭素隔離反応器に熱分解生成物の少なくとも一部を連続的に供給すること、を含み、炭素隔離反応器からカーボンナノ繊維を引き出すことは、炭素隔離反応器からカーボンナノ繊維を連続的に引き出すことであって、これが、カーボンナノ繊維を含有する連続ガス流を引き出すことと同時に実行され得る、引き出すこと、を含む。
【0038】
一実施形態では、プラズマ反応器に炭素隔離反応器のガス状生成物の少なくとも一部を供給することは、プラズマ反応器に炭素隔離反応器のガス状生成物の少なくとも一部を連続的に供給すること、を含む。炭素隔離反応器から引き出された連続ガス流は、炭化水素化合物と、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、及び水蒸気のうちの少なくとも1つと、を含み得る。一実施形態では、本プロセスは、カーボンナノ繊維を回収するために、炭素隔離反応器から引き出された連続ガス流を濾過すること、を更に含む。
【0039】
一実施形態では、本プロセスは、熱分解反応器の酸化チャンバ内のプラズマ反応器からのガス状生成物の少なくとも一部を少なくとも部分的に酸化して、熱分解反応器の熱分解反応チャンバに熱を供給するために、熱分解反応器の酸化チャンバに酸化剤を連続的に供給すること、を更に含む。一実施形態では、本プロセスは、熱分解生成物の少なくともガス状部分を熱分解反応器の酸化チャンバに再循環すること、を更に含む。熱分解反応器に炭素系原料を供給することは、熱分解反応器の熱分解反応チャンバに炭素系原料を供給すること、を含み得る。プラズマ反応器からのガス状生成物の少なくとも一部、及び酸化剤は、約0.5~約1.1の範囲の比で、特定の実施形態では、約0.9~約1.1の範囲の比で、酸化チャンバに供給され得る。
【0040】
一実施形態では、炭素系原料の熱分解は、約550℃~約900℃の範囲の温度で、特定の実施形態では、約600℃~約850℃の範囲の温度で、実行される。
【0041】
一実施形態では、炭素系原料は、熱分解反応器の熱分解反応チャンバ内で約5秒~約10秒の平均滞留時間を有する。
【0042】
一実施形態では、炭素系原料はプラスチック系原料であり、より具体的には、プラスチック系原料は実質的に塩素を含まなくてもよい。これは、約1.5cmよりも小さく、特定の実施形態では、約0.1cm~1.3cmの直径を有する、プラスチック粒子を含み得る。
【0043】
一実施形態では、炭素系原料の熱分解は、流動化粒子床を含む熱分解反応器の熱分解チャンバ内で実施される。流動化粒子床は、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される不活性無機粒子及び/又は熱触媒粒子を含み得る。
【0044】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給することは、反応チャンバのテーパ部分に位置するガス入口を通して炭素隔離反応器の反応チャンバに供給すること、を含む。
【0045】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給される熱分解生成物の少なくとも一部は、約0.5~約2のC/CO比を有する炭化水素化合物及び酸化炭素を含む。
【0046】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給される熱分解生成物の少なくとも一部は、400℃を超える温度を有する。
【0047】
一実施形態では、炭素隔離触媒は、約500μmより小さい鉄系触媒粒子を含み、少なくとも50%molの鉄を含む。鉄系触媒粒子は、ニッケルを更に含み得る。
【0048】
一実施形態では、炭素隔離反応器に供給することは、炭素隔離反応器にガス状態の熱分解生成物の少なくとも一部を供給すること、を含む。
【0049】
一実施形態では、本プロセスは、炭素隔離反応器に熱分解生成物の少なくとも一部を供給する前に、固体粒子を少なくとも部分的に除去するために熱分解生成物を濾過すること、を更に含む。
【0050】
一実施形態では、炭素隔離反応器のガス状生成物は、水、水素及び一酸化炭素を含み、本プロセスは、プラズマ反応器に炭素隔離反応器のガス状生成物の少なくとも一部を供給する前に、炭素隔離反応器のガス状生成物から水、水素及び一酸化炭素を少なくとも部分的に除去すること、を更に含む。一実施形態では、本プロセスは、熱分解反応器に、炭素隔離反応器のガス状生成物から回収された一酸化炭素の少なくとも一部を供給すること、を更に含む。一実施形態では、本プロセスは、熱分解反応器に、炭素隔離反応器のガス状生成物から回収された水素の少なくとも一部を供給すること、を更に含む。
【0051】
一実施形態では、本プロセスは、カーボンブラック及びグラフェンのうちの少なくとも1つと、プラズマ反応器生成物のガス状生成物とを分離すること、を更に含み、これは、プラズマ反応器生成物の濾過によって実施され得る。一実施形態では、本プロセスは、炭素隔離反応器に供給するために、プラズマ反応器生成物のガス状生成物の少なくとも一部を再循環すること、を更に含む。プラズマ反応器生成物のガス状生成物は、水素と、軽質炭化水素と、を含み得る。
【0052】
一般的な態様によれば、上記のプロセスによって生成されたカーボンナノ繊維、グラフェン、及び/又はカーボンブラックが提供される。
【0053】
別の一般的な態様によれば、ハウジングと、炭素隔離ユニットと、を備える、カーボンナノ繊維を生成するための炭素隔離反応器が提供される。テーパ部分を有し、かつ触媒粒子を収容する反応チャンバを、ハウジングは画定する。ハウジングは、内部に画定されたガス入口及びガス出口を有し、ガス入口は、反応チャンバのテーパ部分に開口し、ガス出口は、反応チャンバに収容された触媒粒子の床の上方に位置する。炭素隔離ユニットは、反応チャンバの内側に位置し、第1のガス導管を備え、第1のガス導管は、ガス入口の上方に取り付けられてガス入口から垂直方向に間隔を置いており、第1のガス導管の両端部は開口している。
【0054】
一実施形態では、第1のガス導管は、ガス入口と同軸である。第1のガス導管は、ガス入口と位置合わせされ得る。
【0055】
一実施形態では、炭素隔離反応器は、反応チャンバ内に延在する第2のガス導管を更に備え、第2のガス導管は、ハウジングに取り付けられてガス入口に外接する第1の端部と、第1のガス導管の第1の端部から間隔を置いた、第1の端部と同軸の第2の端部と、を有する。第1のガス導管の第1の端部、及び第2のガス導管の第2の端部は、位置合わせされ得る。
【0056】
一実施形態では、炭素隔離反応器は、炭素隔離触媒粒子がガス入口を通って反応チャンバの外側に流れること防止するために、ガス入口を覆う格子を更に備える。
【0057】
一実施形態では、炭素隔離反応器は、炭素隔離触媒粒子の床を更に備え、これは、鉄系であり、少なくとも50%molの鉄を含み得る。一実施形態では、鉄系触媒粒子は、ニッケルを更に含んでもよい。一実施形態では、触媒粒子は、触媒粒子内に少なくとも10wt%の鉄を含むFe/Alを含む。
【0058】
一実施形態では、触媒粒子は、約500μmより小さく、特定の実施形態では、約150μm~約500μmの直径を有する。
【0059】
一実施形態では、炭素隔離反応器は、ガス入口と流体連通する二酸化炭素供給源を更に備える。
【0060】
別の一般的な態様によれば、熱分解反応器を備える熱分解システムが提供される。熱分解反応器は、熱分解反応チャンバを画定するハウジングと、仕切り格子により熱分解反応チャンバから分離され、熱分解反応チャンバの下に位置する酸化チャンバと、を含む。ハウジングは、熱分解反応チャンバに開口した炭素系原料入口と、熱分解反応チャンバに開口した熱分解生成物出口と、酸化チャンバとガス連通する燃料入口と、を有する。熱分解生成物出口は、熱分解反応器の燃料入口と流体連通して、熱分解生成物を熱分解反応器の酸化チャンバに、少なくとも部分的に導く。
【0061】
一実施形態では、熱分解生成物出口に接続され、熱分解生成物をガス状燃料と液体生成物とに分離する相分離ユニットを、熱分解システムは更に備え、熱分解生成物出口は、相分離ユニットを少なくとも介して熱分解反応器の燃料入口と流体連通して、ガス状燃料を熱分解反応器の酸化チャンバに、少なくとも部分的に導く。
【0062】
一実施形態では、燃料入口は、ガス状燃料供給源及び酸化剤供給源とガス連通しており、それらは、空気供給源及び酸素供給源のうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0063】
一実施形態では、熱分解システムは、熱分解生成物出口及び燃料入口と流体連通する熱分解生成物再循環導管と、燃料入口の上流及び酸化剤供給源の下流で、熱分解生成物再循環導管とガス連通する熱分解生成物再循環導管に取り付けられた混合器と、を更に備える。
【0064】
一実施形態では、仕切り格子は、約1500℃を超える温度に耐え得るセラミック材料で少なくとも部分的に製造される。仕切り格子は、約0.1cmより小さい直径を有する複数の開口部を備え得る。
【0065】
一実施形態では、熱分解システムは、熱分解のため、熱分解反応チャンバにプラスチック粒子を供給するために炭素系原料入口に接続されたプラスチック粒子供給源を更に備える。
【0066】
一実施形態では、熱分解反応チャンバの容積は、酸化チャンバ及び熱分解反応チャンバの総容積の約80%~95%である。
【0067】
一実施形態では、熱分解生成物出口の下流に取り付けられ、熱分解生成物出口及び燃料入口とガス連通する、凝縮器及びブースタを、熱分解システムは更に備え、ブースタは、燃料入口に導かれる前にガス状燃料のガス圧を上昇させるように構成される。
【0068】
一実施形態では、熱分解反応チャンバは粒子床を含む。粒子床は、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される不活性無機粒子及び/又は熱触媒粒子を含み得る。
【0069】
更に別の一般的な態様によれば、熱分解プロセスが提供され、それは、熱分解反応器の酸化チャンバに酸化剤及び燃料を供給することと、熱分解反応器の熱分解反応チャンバに熱を供給するために、熱分解反応器の酸化チャンバ内の燃料を少なくとも部分的に酸化することと、燃料の少なくとも部分的な酸化によって生成された熱を使用して炭素系原料を熱分解するために熱分解反応器の熱分解反応チャンバに炭素系原料を供給することと、熱分解反応器の熱分解反応チャンバから熱分解生成物を引き出すことと、熱分解生成物の少なくとも一部を燃料として酸化チャンバに供給されるように再循環することと、を含む。
【0070】
一実施形態では、熱分解プロセスは、ガス生成物及び液体生成物への熱分解生成物を更に含み、燃料は、熱分解生成物の分離から得られたガス生成物の少なくとも一部を含む。
【0071】
一実施形態では、酸化チャンバは、酸化剤及び燃料を連続的に供給され、熱分解反応チャンバは、炭素系原料を連続的に供給される。熱分解生成物は、熱分解反応チャンバから連続的に引き出され得る。
【0072】
一実施形態では、酸化剤は、空気及び酸素のうちの少なくとも1つを含む。
【0073】
一実施形態では、炭素系原料はプラスチック系原料であり、より具体的には、プラスチック系原料は実質的に塩素を含まなくてもよい。これは、約1.5cmよりも小さく、特定の実施形態では、約0.1cm~1.3cmの直径を有する、プラスチック粒子を含み得る。
【0074】
一実施形態では、炭素系原料の熱分解は、約550℃~約900℃の範囲の温度で、特定の実施形態では、約600℃~約850℃の範囲の温度で、実行される。
【0075】
一実施形態では、炭素系原料は、熱分解反応器の熱分解反応チャンバ内で約5秒~約10秒の平均滞留時間を有する。
【0076】
一実施形態では、酸化チャンバに酸化剤及び燃料を供給し、熱分解反応チャンバに炭素系原料を供給することは、連続的に実行される。
【0077】
一実施形態では、熱分解生成物の引き出しは連続的に実行される。
【0078】
一実施形態では、熱分解プロセスは、熱分解反応チャンバから引き出された熱分解生成物の少なくとも一部を凝縮し、凝縮後に、かつ熱分解生成物の少なくとも一部を酸化チャンバに供給される燃料として再循環することの前に、熱分解生成物の一部の圧力を上昇させること、を更に含む。
【0079】
一実施形態では、燃料及び酸化剤は、約0.5~約1.1の範囲の比で、特定の実施形態では、約0.9~約1.1の範囲の比で酸化チャンバに供給される。
【0080】
一実施形態では、炭素系原料の熱分解は、流動化粒子床を含む熱分解反応器の熱分解チャンバ内で実施される。流動化粒子床は、ドロマイト又はNi-Al-スピネル含有粒子を備える群から選択される不活性無機粒子及び/又は熱触媒粒子を含み得る。
【0081】
一実施形態では、酸化チャンバに供給される燃料は、炭化水素、一酸化炭素、及び水素のうちの少なくとも1つを含む。
【0082】
一実施形態では、軽質炭化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水、及び水素のうちの少なくとも1つを熱分解反応チャンバから引き出された熱分解生成物。
【0083】
更なる一般的な態様によれば、カーボンナノ繊維を生成するためのプロセスが提供される。本プロセスは、熱分解反応器に炭素系原料を連続的に供給することと、熱分解生成物を生成するために炭素系原料を熱分解することと、熱分解反応器から熱分解生成物を引き出すことと、炭素隔離反応器に熱分解生成物の少なくとも一部を連続的に供給することであって、炭素隔離反応器が、カーボンナノ繊維を形成するための炭素隔離触媒を含む、供給することと、炭素隔離反応器からカーボンナノ繊維を引き出すことと、を含む。
【0084】
一実施形態では、カーボンナノ繊維は、炭素隔離反応器から連続的に引き出される。
【0085】
一実施形態では、炭素系原料は、プラスチック系原料である。
【0086】
一実施形態では、熱分解反応器から熱分解生成物を引き出すことは、熱分解反応器から熱分解生成物を連続的に引き出すこと、を含む。
【0087】
一実施形態では、熱分解反応器から熱分解生成物を引き出すことは、熱分解反応器から熱分解生成物の気相を連続的に引き出すこと、を含む。
【0088】
なお更なる一般的な態様によれば、カーボンナノ繊維を生成するための炭素隔離反応器が提供され、それは、テーパ部分を有する反応チャンバを画定して、触媒粒子を含有するハウジングであって、ハウジングが、内部に画定されたガス入口及びガス出口を有し、ガス入口が、反応チャンバのテーパ部分に開口し、ガス出口が、反応チャンバの出口部分に位置し、触媒粒子の床の上方に位置する、ハウジングと、反応チャンバの内側に位置する炭素隔離ユニットであって、炭素隔離ユニットが、第1のガス導管を備え、第1のガス導管が、ガス入口の上方に取り付けられ、ガス入口から垂直方向に間隔を置いており、第1のガス導管の両端部が開口している、炭素隔離ユニットと、を備える。
【0089】
一実施形態では、第1のガス導管は、ガス入口と同軸である。
【0090】
なお更なる一般的な態様によれば、カーボンナノ繊維を生成するためのプロセスが提供される。本プロセスは、炭素隔離触媒粒子を含む反応チャンバに、炭化水素化合物及び酸化炭素を含む連続ガス状流を、反応チャンバのテーパ部分に位置するガス入口を通して供給することと、反応チャンバ内で、ガス入口の上方に取り付けられ、ガス入口から垂直方向に間隔を置いた第1のガス導管にガス状流を少なくとも部分的に導入することであって、第1のガス導管の両端部が開口している、導入することと、反応チャンバの出口部分に位置し、触媒粒子の床の上にあるガス出口を通って反応チャンバからガスを引き出すことと、を含み、それによって、動作中、触媒粒子は、ガス状流によって吸い上げられて流動化され、第1のガス導管とガス入口との間に画定された空間を通って、第1のガス導管の第1の端部を通って第1のガス導管まで移動し、第1のガス導管の上部端部で出て、第1のガス導管の外側に、及び反応チャンバのテーパ部分に向かって、落下して再循環される。
【0091】
一実施形態では、本プロセスは、触媒粒子がガス入口に流入することを防止すること、を更に含む。
【0092】
一実施形態では、酸化炭素は二酸化炭素を含む。
【0093】
一実施形態では、ガス状混合物は、漏斗形状部分を通って反応チャンバに供給される。
【0094】
一実施形態では、反応チャンバに供給されるガス状流のガス状混合物は、400℃を超える温度を有する。
【0095】
一実施形態では、反応チャンバ内に含まれるガス状流のガス状混合物は、約400℃~約600℃の温度を有する。
【0096】
一実施形態では、本プロセスは、ガスからカーボンナノ繊維を回収するために反応チャンバから引き出されたガスを濾過すること、を更に含む。
【0097】
一般的な態様によれば、熱分解システムが提供され、それは、熱分解反応器を備え、熱分解反応器は、熱分解反応チャンバ及び酸化チャンバを画定するハウジングを含み、酸化チャンバは、仕切り格子により熱分解反応チャンバから分離され、熱分解反応チャンバの下に位置し、ハウジングは、熱分解反応チャンバ内に開口した炭素系原料入口と、熱分解反応チャンバ内に開口した熱分解生成物出口と、酸化チャンバとガス連通する燃料入口と、を有し、熱分解生成物出口は、熱分解生成物を熱分解反応器の酸化チャンバに少なくとも部分的に導くために、熱分解反応器の燃料入口と流体連通する。
【0098】
一実施形態では、熱分解生成物出口に接続され、熱分解生成物をガス状燃料と液体生成物とに分離する相分離ユニットを、熱分解システムは更に備え、熱分解生成物出口は、相分離ユニットを少なくとも介して熱分解反応器の燃料入口と流体連通して、ガス状燃料を熱分解反応器の酸化チャンバに、少なくとも部分的に導く。
【0099】
一実施形態では、燃料入口は、ガス状燃料供給源及び酸化剤供給源とガス連通する。酸化剤供給源は、空気供給源及び酸素供給源のうちの少なくとも1つを含み得る。熱分解システムは、熱分解生成物出口及び燃料入口と流体連通する熱分解生成物再循環導管と、燃料入口の上流及び酸化剤供給源の下流で、熱分解生成物再循環導管とガス連通する熱分解生成物再循環導管に取り付けられた混合器と、を更に備え得る。
【0100】
一実施形態では、熱分解反応器に再循環された熱分解生成物は、燃料入口を通して酸化チャンバに供給される。
【0101】
別の一般的な態様によれば、熱分解プロセスが提供され、それは、熱分解反応器の酸化チャンバに酸化剤及び燃料を供給することと、熱分解反応器の熱分解反応チャンバを加熱するために、熱分解反応器の酸化チャンバ内の燃料を少なくとも部分的に酸化することと、燃料を少なくとも部分的に酸化することによって生成された熱を使用して炭素系原料を熱分解するために、熱分解反応器の熱分解反応チャンバに炭素系原料を供給することと、熱分解反応器の熱分解反応チャンバから熱分解生成物を引き出すことであって、酸化チャンバに供給される燃料が、熱分解生成物の少なくとも一部を含む、引き出すことと、を含む。
【0102】
一実施形態では、熱分解システムは、熱分解生成物をガス生成物と液体生成物とに分離することを更に含み、熱分解生成物の少なくとも一部は、熱分解生成物の分離から得られたガス生成物の少なくとも一部を含む。
【0103】
一実施形態では、熱分解システムは、熱分解生成物をガス生成物と液体生成物とに分離することを更に含み、熱分解生成物の少なくとも一部は、熱分解生成物の分離から得られたガス生成物の少なくとも一部である。
【0104】
一実施形態では、酸化チャンバは、酸化剤及び燃料を連続的に供給され、熱分解反応チャンバは、炭素系原料を連続的に供給される。熱分解生成物は、熱分解反応チャンバから連続的に引き出され得る。
【0105】
一実施形態では、酸化剤は、空気及び酸素のうちの少なくとも1つを含む。
【0106】
一実施形態では、炭素系原料は、プラスチック系原料である。
【0107】
本明細書では、「炭化水素化合物」という用語は、炭化水素及び酸素炭化水素、すなわち炭素及び水素に加えて1つ又は複数の酸素分子を含む有機分子を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】一実施形態による、熱分解システムのフロー図である。
図2】一実施形態による、図1の熱分解システムに含まれる熱分解反応器の断面図である。
図3図2に示す熱分解反応器の斜視断面図である。
図4】別の実施形態による、熱分解システムのフロー図であり、システムは、熱分解プロセス中に生成されたガス状燃料のための再循環ループを含まない。
図5】一実施形態による、カーボンナノ繊維製造システムのフロー図である。
図6図1に示すカーボンナノ繊維製造システムの一実施形態による、炭素隔離反応器の概略断面図である。
図7図6に示すカーボンナノ繊維反応器の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
添付の図面を通して、同様の特徴は同様の参照番号によって識別されることに留意されたい。
【0110】
更に、流動床熱分解装置、熱分解システム、炭素隔離反応器及びシステム並びにそれらの対応する部分の実施形態を、本明細書で説明し、例示する特定の幾何学的構成を備えるが、これらの構成要素及び幾何学的形状のすべてが必須であるわけではなく、したがってそれらの限定的な意味で解釈されるべきではない。当業者には明らかなように、他の適切な構成要素及びそれらの間の協働、並びに他の適切な幾何学的構成が、本明細書で簡単に説明され、当業者によって本明細書から容易に推測され得るように、流動床熱分解装置、熱分解システム、炭素隔離反応器及びシステムに使用され得ることが理解されるべきである。更に、「上方(above)」、「下方(below)」、「左方(left)」、「右方(right)」などの位置の説明は、特に指示がない限り、図面の文脈で解釈されるべきであり、限定的であると見なされるべきではないことが理解されよう。
【0111】
以下の説明において、同じ参照符号は同様の要素を指す。更に、簡潔さ及び明確さのために、すなわち、いくつかの参照番号を有する図に過度に負担をかけないように、すべての図がすべての構成要素及び特徴への参照を含むわけではなく、いくつかの構成要素及び特徴への参照は1つの図にのみ見出すことができ、他の図に示している本開示の構成要素及び特徴はそこから容易に推測され得る。図面に示している実施形態、幾何学的構成、言及した材料及び/又は寸法は任意選択であり、例示のみを目的として与えられている。
【0112】
更に、「上方(above)」、「下方(below)」、「前方(forward)」、「後方(rearward)」、「左方(left)」、「右方(right)」などの位置の説明は、特に明記しない限り、図の文脈で解釈されるべきであり、動作中の流動床熱分解装置及び炭素隔離反応器の位置及び向きに対応することが理解されよう。位置の説明は限定的であると見なされるべきではない。
【0113】
以下の説明では、「約(about)」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定システムの制限に、部分的に依存する。10%精度の尺度が許容可能であり、「約(about)」という用語を包含することが一般に受け入れられている。
【0114】
一実施形態によれば、一実施形態ではバブリング流動床熱分解装置である流動床熱分解装置が提供され、それは、自己熱的に作動することができ(自己熱流動床熱分解装置(ATP)とも呼ばれる)、熱分解反応は、反応自体によって生成された熱エネルギーのみを使用して、合成ガス(synthesis gas)(又は合成ガス(syngas)、すなわち炭化水素から生成され、主な成分として水素(H)及び一酸化炭素(CO)を含み、残りの成分として二酸化炭素(CO)、メタン(CH)などを含む原料ガス)を生成する。流動床熱分解装置は、熱分解反応器とも呼ばれ、熱分解システムに含められ得る。流動床熱分解装置内では、燃料の部分酸化と、それに続く炭素系(又は炭素質)原料の熱分解(thermolysis)(又は熱分解(thermal decomposition))が実行される。以下に詳細に説明するように、ガス状料の部分酸化は、炭素質材料の熱分解のための熱エネルギーを生成する。
【0115】
熱分解反応器のための原料は、限定はしないが、プラスチック廃棄物、木材、バイオマス、製紙工場残渣などを含む炭素系材料を含んでもよい。また、いくつかの炭素系材料と他の汚染物質との混合物を含んでもよい。一実施形態では、原料は、任意の熱分解性有機物含有材料を含む。一実施形態では、熱分解反応器の炭素質原料は、実質的に塩素を含まない(不可避の汚染物質を除く)。一実施形態では、炭素質原料は、約1.5cm未満、別の実施形態では、約0.1cm~約1.3cmの粒子として供給される。
【0116】
熱分解反応生成物は、大部分がガス状態で熱分解反応器から引き出され、以下で詳細に説明するように、燃料として、合成ガス又は水素の原料として、及びカーボンナノ繊維及び/又はカーボンブラックを製造するための原料として、使用され得る、いくつかの成分を含む。
【0117】
一実施形態では、流動床熱分解装置及び関連する熱分解プロセスは、連続的又は半連続的(半回分)で動作するように構成される。したがって、炭素質原料及び燃料は、流れとして供給され、熱分解生成物は、熱分解反応器から引き出される。一実施形態では、燃料は、ガス状燃料である。別の実施形態では、熱分解生成物は、熱分解反応器から連続的に引き出される。一実施形態では、熱分解生成物の気相は、熱分解反応器から連続的に引き出され、固相及び/又は液相は、断続的に、すなわちバッチによって引き出される。
【0118】
カーボンナノ繊維(CNF)を生成するための炭素隔離反応器も提供される。炭素隔離反応器は、カーボンナノ繊維製造システムに含められ、ここで、注入物は少なくとも部分的であり、熱分解システムの生成物の一部であり、すなわち、カーボンナノ繊維製造システムは、熱分解システムの下流に取り付けられ、そのガス状生成物が供給される。一実施形態では、炭素隔離反応器及び関連する炭素隔離プロセスは、連続的に動作するように構成される。
【0119】
より詳細には、図1図3を参照すると、熱分解反応器22(自己熱分解装置とも呼ばれる)を含む熱分解システム20の実施形態を示している。熱分解反応器22は、2つのサブチャンバ、つまり、酸化チャンバ26aと、熱分解反応(又は熱分解)チャンバ26bと、に分割された内部チャンバ26を画定するハウジング(又は反応器容器)24を含む。ガス流に関して、酸化チャンバ26aは、熱分解反応チャンバ26bの下流に位置する。非限定的な実施形態では、熱分解反応チャンバの容積は、酸化チャンバ及び熱分解反応チャンバの総容積の約80%~約95%である。
【0120】
図1図3に示す実施形態では、酸化チャンバ26aと熱分解反応(又は熱分解)チャンバ26bとは流体連通しているが、ガスが流れることを可能にする仕切り(又は流動化)格子28(図1)によって分離されている。図示の実施形態では、酸化チャンバ26aは、熱分解反応チャンバ26bの下に位置する、すなわち、ハウジング24の下部に位置する。
【0121】
流動床は、熱分解反応チャンバ26b内に位置し、すなわち、酸化チャンバ26aは、流動床粒子を実質的に含まない。したがって、内部チャンバ26を酸化チャンバ26aと熱分解反応(又は熱分解)チャンバ26bとに分割する仕切り格子28は、ガスが流れることを可能にするが、流動床粒子が酸化チャンバ26aに流れることを防止するように設計される。
【0122】
非限定的な実施形態では、仕切り格子28は、1500℃以上の温度に耐え得るセラミック材料で製造され、酸化チャンバ26aに供給されるガス状燃料の実質的な酸化を可能にするように設計される構成である。非限定的な実施形態では、仕切り格子28は、貫通して延在する複数の開口部を有する。開口部は、ガスが流れることを可能にするが、プラスチック及び流動床粒子が酸化チャンバ26aに流れることを防止するために、約0.1cmより小さい直径を有する。
【0123】
図示の実施形態では、ハウジング24は、熱分解反応チャンバ26bに開口する炭素系材料入口30と、熱分解反応チャンバ26bに開口する熱分解生成物出口32と、酸化チャンバ26aに開口して流体連通する燃料入口34と、を有する。図示の実施形態では、酸化反応において酸化剤として作用する空気27及び/又は酸素29、並びに燃料は、熱分解反応器22に供給される前に、例えば、混合器内で混合される。したがって、いくつかの実施形態では、熱分解システム20は、燃料入口34の下流に位置する混合器を含む。しかしながら、代替的な実施形態(図示せず)では、ハウジング24は、空気27及び/又は酸素29の入口に加えて燃料入口を含むことができ、両方とも酸化チャンバ26a内で開口していることが理解される。
【0124】
一実施形態では、燃料は、酸化チャンバ26aに供給されるとガス状態にあり、そこで燃焼が点火される。燃料がガス状態で供給されるとき、燃料入口34の上流に位置する混合器は、ガス混合器とすることができる。
【0125】
ここで図1に示す非限定的な実施形態に戻ると、熱分解生成物出口32に接続され、熱分解生成物60をガス状燃料62と液体生成物64とに分離する相分離ユニット40を、熱分解システム20はまた、含むことを示している。より具体的には、熱分解生成物は、熱分解生成物出口32を通って熱分解反応器22から出るとき、ガス状態である。次いで、それらは相分離ユニット40に導かれ、そこでそれらは部分的に凝縮され、液体及びガス生成物は、互いに少なくとも部分的に分離され、すなわちガス状燃料62及び液体生成物64である。
【0126】
相分離ユニット40は、燃料導管38(又は熱分解生成物再循環導管)を介して、ガス状燃料62を熱分解反応器22の酸化チャンバ26aに少なくとも部分的に再循環するために、熱分解反応器22のガス状反応物入口34(又は燃料入口34)とガス連通する。したがって、熱分解反応器22を出る廃棄物可燃性ガスは、熱分解反応器22の下部セクション、すなわち酸化チャンバ26aに少なくとも部分的に再導入され、それらの発熱性酸化反応を介して、上部セクション、すなわち熱分解反応チャンバ26bで生じる炭素質原料の熱分解のための熱(又は熱エネルギー)を提供する。したがって、原料熱分解に必要なエネルギーは、熱分解生成物の一部の酸化によって、同じ単一の熱分解反応器22(又はそれと流体連通し、熱分解システム20の一部である任意の他の熱分解反応器)内で、少なくとも部分的に提供される。
【0127】
代替の実施形態では、熱分解システムは、相分離ユニットを含まなくてもよく、熱分解反応器22を出る熱分解生成物60は、熱分解反応器22の酸化チャンバ26aに少なくとも部分的に供給されてもよい。熱分解生成物60は、ガス状態であってもよく、又は液相を含んでもよい。熱分解生成物出口32は、熱分解生成物再循環導管38を介して熱分解反応器22の燃料入口34と流体連通して、熱分解生成物に含まれるガス状態の燃料を、熱分解反応器22の酸化チャンバ26aに少なくとも部分的に再循環し得る。
【0128】
一実施形態では、熱分解プロセスの非凝縮性生成物(すなわち、室温で非凝縮性成分)の少なくとも一部は、自己熱熱分解プロセスの酸化反応のための燃料として再循環される。非凝縮性生成物は、CH、C、及びCなどの軽質炭化水素を含んでもよい。
【0129】
これにより、酸化チャンバ26aでは、部分酸化が実施される。部分酸化は、熱エネルギーを生成する発熱反応であり、これは、上に要約したように、酸化チャンバ26aの上方に位置する熱分解反応チャンバ26bで熱分解(又は熱分解(thermal cracking))を実施するために使用され得る。
【0130】
部分酸化が原料熱分解に必要な熱エネルギーの少なくとも一部を供給する場合でも、熱分解システム20は、外部エネルギー供給源(図示せず)を含んでもよい。一実施形態では、供給された外部エネルギーは、十分な燃料が生成され、酸化チャンバ26aに再循環され、部分的に酸化されて炭素質原料熱分解のための熱を生成するまで、熱分解プロセスの開始時に使用される。例えば、限定的ではないが、外部エネルギー供給源は、反応器22内の温度が約700℃~約800℃に達するまで使用されてもよい。熱分解生成物から得られた再循環燃料と組み合わせて、又は再循環燃料の代わりに、熱分解反応器22がその運用体制に達した後に使用されてもよい。
【0131】
一実施形態では、熱分解反応器によって生成された燃料の一部のみが、炭素質材料の熱分解に十分な熱エネルギーを提供する。しかしながら、上述のように、熱分解反応器によって生成された燃料は、例えば、炭素系原料の組成の変動にもかかわらず実質的に一定の炭化剤組成を維持するために、外部の炭化剤供給源と組み合わせられてもよい。
【0132】
したがって、熱分解反応器22の熱分解反応チャンバ26bには、プラスチック廃棄物など、炭素質原料が供給される。熱分解は、熱分解反応チャンバ26bの内部で、約550℃~900℃、いくつかの実施形態では、約600℃~850℃の範囲の温度で生じる。熱分解反応チャンバ26bは、流動床を含み、流動床は、かんらん石若しくはアルミナ若しくはケイ砂など、限定的ではない、不活性無機粒状材料、又は約500μm未満、一実施形態では約100μm~約500μmの粒子を含む、ドロマイト若しくはNi-Al-スピネル担持床など、限定的ではない、熱触媒材料として寄与する成分、のいずれかであり得る。不活性無機粒状材料は、純粋又は混合物、例えば、採掘残渣又は冶金残渣であり得ることが理解される。
【0133】
一実施形態では、内部チャンバ26を画定するハウジング24の内壁は、セラミックベースのコーティングで裏打ちされている。
【0134】
更に図1を参照すると、熱分解システム20の非限定的な実施形態を更に詳細に説明する。熱分解システム20又はその変形は、炭素質原料の熱分解を実行するために使用され得る。
【0135】
炭素質原料は、原料リザーバ50内に収容され、エンドレススクリューコンベア52を介して熱分解反応器22に供給される。炭素質原料を熱分解反応器22に供給する供給システムは、図示の実施形態とは異なり得ることが理解される。炭素質原料は、原料(有機材料)入口30を介して内部チャンバ26、より具体的には熱分解反応チャンバ26bの内部に入る。
【0136】
図示の非限定的な実施形態では、エンドレススクリューコンベア52は、水(水入口53a、水出口53b)で冷却されたモータ/ギアボックスアセンブリ54によって作動される。
【0137】
熱分解反応器22は、ガス状燃料であり得る燃料と、その下部の酸化剤(空気27、酸素29、又はそれらの混合物)と、が供給される。より詳細には、燃料及び酸化剤は、燃料入口34を介して酸化チャンバ26aに入る。燃料及び酸化剤の各々は、熱分解反応器のハウジング内にそれ自体の入口を有し得ることが理解される。いくつかの実施形態では、酸化剤(空気27及び/又は酸素29)は、約0.5~約1.1の範囲の化学量論比、別の実施形態では、約0.9~約1.1の範囲の化学量論比で燃料が供給される。
【0138】
したがって、熱分解反応器22には、部分酸化反応を実行するために燃料と酸化剤(空気27及び/又は酸素29)との混合物が供給され、これは、熱分解反応器22の酸化チャンバ26a内での発熱であり、熱分解反応器22内で実行される別の反応、より具体的には、熱分解反応のための熱エネルギーを生成する。
【0139】
上述のように、一実施形態では、熱分解システム20は、燃料入口34の下流に位置するガス混合器など、限定的でない、混合器を含む。しかしながら、代替的な実施形態(図示せず)では、ハウジング24は、空気及び/又は酸素入口に加えて燃料入口を含み得ることが理解される。
【0140】
上記のように、熱分解反応器22は、有機系原料(又は炭素質原料若しくは炭素系原料)が供給される。熱分解反応器22の熱分解反応チャンバ26bで生じる熱分解反応は、部分酸化反応からの熱エネルギーを必要とする吸熱反応である。上述のように、熱分解は、熱分解反応チャンバ26bの内部で約600℃~900℃の範囲の温度で生じる。
【0141】
図示の実施形態では、熱分解反応器22は、バブリング流動床を含む。しかしながら、それは、循環流動床を含み得ることが理解される。
【0142】
非限定的な実施形態では、熱分解反応器22によって実行されるプロセスは、連続プロセスであり、熱分解反応器22は、ガス状燃料、空気及び/又は酸素)、及び炭素系原料が連続的に供給される。いくつかの実施形態では、熱分解反応チャンバ26b内の有機物/炭素質材料の平均滞留時間は、約5秒~約10秒の範囲である。
【0143】
炭素質原料の熱分解は、熱分解生成物を生成し、これは、熱分解反応器22から熱分解生成物出口32を通って引き出される。熱分解生成物出口32は、熱分解反応チャンバ26b内に位置するポートを有する。次いで、熱分解生成物は、相分離(凝縮)ユニット40に導かれ、気相及び液相を生成し、次いで、気相及び液相は、ガス生成物と液体生成物とに分離される。
【0144】
実施形態では、熱分解システム20は、ただ1つの熱分解反応器22を含む。しかしながら、これは、並列構成で構成され得る2つ以上の熱分解反応器22を含み得ることが理解される。
【0145】
図示の非限定的な実施形態では、相分離(凝縮)ユニット40は、冷却液として水43を使用する逆流スクラバー(又は噴霧タワー)である。水は液体生成物と共に回収され、他の液体成分から分離されて熱分解システム20に、より具体的には、導管39を介して相分離(凝縮)ユニット40の冷却液として再循環され得る。
【0146】
上述のように、代替の実施形態(図示せず)では、熱分解システム20は、相分離(凝縮)ユニット40を含まず、熱分解生成物の少なくとも一部は、熱分解反応器22の燃料入口34に、直接又は間接的に、導かれ得る。更に別の実施形態(図示せず)では、熱分解システム20は、相分離(凝縮)ユニット40を含んでもよく、熱分解生成物の一部は、相分離(凝縮)ユニット40に導かれ、熱分解生成物の別の部分は、熱分解反応器22の燃料入口34に導かれ得る。
【0147】
プロセスが連続プロセスである場合、熱分解生成物は、熱分解反応器22の熱分解反応チャンバ26bから引き出され、任意選択で連続的に引き出され、相分離(凝縮)ユニット40に導かれる。一実施形態では、炭素質原料は、熱分解反応器22に連続的に供給されてもよく、熱分解生成物は、バッチとして不連続的に引き出されてもよい。
【0148】
図示の実施形態では、ガス状燃料を含むガス状生成物(又は気相)は、凝縮器42及びブースタ44(又は圧縮機)に順次導かれ、上述のように、熱分解反応器22に少なくとも部分的に再循環される前に、ガス圧を上昇させる。
【0149】
一実施形態では、ガス状燃料であるガス状生成物は、熱分解反応器22に少なくとも部分的に戻され、酸化チャンバ26aに供給され、部分酸化を生じ、上述のように熱分解反応のための熱エネルギーを生成する。一実施形態では、酸化チャンバ26aに供給されるガス状燃料はまた、熱分解生成物の分離から得られたガス生成物の少なくとも一部と組み合わせられ得る別の燃料を含んでもよい。
【0150】
熱分解生成物の液相は、相分離(凝縮)ユニット40から回収され、1つ又は複数のセトリングタンク46a、46bに導かれる。図示の実施形態では、熱分解システム20は、並列構成で構成される2つのセトリングタンク46a、46bを含むが、セトリングタンクの数及び構成は、存在する場合、図示の実施形態とは異なり得ることが理解される。
【0151】
セトリングタンク46a、46bからのガス状生成物は、凝縮器42に導かれ、液相に含まれる水は、相分離(凝縮)ユニット40に再循環される。
【0152】
一実施形態では、水を除く液相が回収され、その価値のある含有物を処理し得る。例えば、限定的ではないが、以下で詳細に説明するように、炭素隔離プロセスが、カーボンナノ繊維(CNF)を生成するために液相に対して実施されてもよい。
【0153】
代替的な実施形態(図示せず)では、熱分解システムは、相分離(凝縮)ユニット40を含まなくてもよく、熱分解生成物は、炭素隔離プロセスに少なくとも部分的に導かれてもよい。例えば、限定的ではないが、炭素隔離プロセスは、以下で詳細に説明するように、灰を含むガス/固体粒子に続いて、熱分解生成物に対して直接実施されてもよい。ガス状COを含む炭素隔離プロセスの生成物の一部は、酸化チャンバ26aのための供給物として熱分解反応器22に戻され得る。
【0154】
ここで図4を参照すると、熱分解システム20の代替実施形態を示しており、特徴は、前の実施形態の参照番号に対応する100系列の参照番号で番号付けしていることである。
【0155】
熱分解システム120では、熱分解反応器122から出る生成物の少なくとも一部の代わりに燃料として、熱分解反応器122にプロパン(C)131が供給されることを除いて、構成要素は実質的に同様である。液相の熱分解生成物は、エチレングリコールを含み、これは、凝縮器142の下流の炭化水素リザーバ160に貯蔵される。
【0156】
他の適切な炭化水素が、プロパンの代わりに燃料として使用されてもよく、そのような炭化水素は、図1のシステムの外部エネルギー供給源として使用されてもよいことが理解される。
【0157】
凝縮ユニット40、140又はセトリングタンク46a、46b、146a、146bから出る液体熱分解生成物の少なくとも一部、主に液体炭化水素及び酸素炭化水素は、更に処理され得る。本明細書で使用される場合、「炭化水素化合物」という用語は、炭化水素及び酸素炭化水素を含む。炭素隔離反応器270に供給される炭化水素化合物は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、酸素炭化水素、及びそれらの混合物を含み得る。
【0158】
図1図3を参照して上で詳述した特徴は、図4に示す実施形態にも適用されることが理解される。したがって、図1図3に示す実施形態の特徴は、図4に示す実施形態の特徴と組み合わせてもよく、その逆も可能である。
【0159】
図5には、図1又は図4の熱分解システムの下流に取り付けられ得るカーボンナノ繊維製造システム及びプロセス、又はその代替実施形態の非限定的な実施形態を示している。
【0160】
図5の実施形態では、炭化水素化合物タンク264に貯蔵され得る、熱分解システム20、120の液体生成物は、カーボンナノ繊維製造システムに移送され、より具体的には、蠕動ポンプなど、限定的でないポンプ(図示せず)によって炭素隔離反応器270に供給される。より具体的には、一実施形態では、熱分解反応器22、122は、プラスチック系原料が供給され、プラスチック系原料は、熱分解生成物を生成するために熱分解され、熱分解生成物は、熱分解反応器22、122の熱分解反応チャンバ26b、126bから引き出され、任意選択で連続的に引き出される。炭化水素化合物を含む熱分解生成物の少なくとも一部は、炭素隔離反応器270に供給され、任意選択で、二酸化炭素(CO)と連続的に組み合わせられ、これは、COリザーバ268(又は任意の他の適切なCO供給源)から収容され、供給され得る。
【0161】
炭素隔離反応器270は、カーボンナノ繊維(図示せず)を形成するための炭素隔離触媒(図示せず)を含み、これは、炭素隔離反応器270から引き出され得る。一実施形態では、炭素隔離触媒は、鉄系であり、ニッケルを含み得る。例えば、それは、通常約50%molより高い重要な濃度の鉄又は酸化鉄(Fe)を含んでもよい。使用される触媒粒子の量は、触媒の特性(粒径及びその密度を含む)、及び反応器の形状の関数である。この量は、ハイブリッド動作(すなわち、流動床及び移動床)を適切に行い得るように選択される。一実施形態では、炭素隔離触媒は、約500μmより小さい粒子を含み、別の実施形態では、触媒粒子は、約150μm~約500μmの範囲の直径を有する。
【0162】
上述のように、一実施形態では、炭素隔離反応器270に供給される炭化水素化合物は、上述のように、自己熱分解装置22、122の生成物であってもよい。それらは、スクラビングされ、冷却されて液相と固相とを分離することなく、熱分解装置22、122から炭素隔離反応器270に実質的に直接炭素隔離反応器270に供給され得る。したがって、加熱された炭素隔離反応器270には、既に高温でガス状態である、熱分解反応器22、122の出力生成物が供給される。
【0163】
代替的な実施形態では、炭素隔離反応器270は、熱分解反応器22、122の下流に取り付けられた凝縮/スクラビングユニット40、140によって生成された、液相の少なくとも一部のみが供給される。炭素隔離反応器270に供給される前に、液体の炭化水素化合物は、ガス状態の炭化水素化合物に変換するために、予熱ユニット272内で加熱される。
【0164】
別の実施形態では、炭素隔離反応器270は、二酸化炭素と組み合わせて、代替の炭化水素化合物供給源(すなわち、熱分解反応器の生成物ではない炭化水素化合物)が供給されてもよい。なお更なる実施形態では、炭素隔離反応器270は、いくつかの炭化水素化合物供給源のために生成される炭化水素化合混合物が供給されてもよい。
【0165】
炭素隔離反応器270内で、炭化水素化合物は乾式改質され、以下で詳細に説明するように、カーボンナノファイバーとも呼ばれるカーボンナノ繊維(CNF)を生成する。
【0166】
図5の実施形態では、カーボンナノ繊維製造システム280は、反応部分282(炭素隔離反応器270を含む)に分割され、続いて、濾過部分284、CNF回収部分285、バッグ充填部分286、及びガス生成物除湿部分288によって順次分割され得る。
【0167】
反応部分282では、炭化水素化合物及び二酸化炭素(又は酸化炭素)を含むガス状混合物は、予熱ユニット272内の炭素隔離反応器270に供給される前に加熱され得る。一実施形態では、炭化水素化合物は、液体状態で予熱ユニット272に供給され、その中でガス状態に変換される。更に、ガス混合物の温度を周囲温度から約400℃~約600℃の範囲の温度まで上昇させる。一実施形態では、炭素隔離反応器270は、約400℃~約600℃の範囲の温度で動作する。
【0168】
炭化水素化合物が所望の温度範囲で、ガス状態で供給される場合、予熱ユニット272を省略し得ることが理解される。
【0169】
次いで、加熱されたガス混合物は、炭素隔離反応器270に移送される。非限定的な実施形態では、図6及び図7を参照すると、炭素隔離反応器270は、炭素隔離触媒粒子(図示せず)を含む反応チャンバ275を画定するハウジング274を備える。ハウジング274は、反応チャンバ275のテーパ部分を画定し、その中にガス入口276が画定され、ガス出口277は、反応チャンバ275の出口(上部)部分で、触媒粒子の床の上に位置する。
【0170】
触媒粒子の床は、移動床と流動床との組合せである。移動床では、粒子、ここでは触媒粒子は、曝気されることなく絶えず移動し、流動床内では、触媒粒子は、高温ガスの流れによって流動状態に保たれる。炭素隔離反応器270は、環状部内で触媒床をゆっくり下方に移動する中央部の流動化触媒粒子床の動作と利点とを組み合わせている。したがって、運転中、触媒床は均質化され、その表面は、CNFとして連続的に更新され、CNFは、表面的に形成され、最終的に分離し、反応器の中央流動化部分で触媒粒子表面から除去される。図示の実施形態では、移動床を含む従来の反応器とは異なり、炭素隔離反応器270は、内部又は外部の可動機械部品がない。
【0171】
炭素隔離ユニット278が、反応チャンバ275の内部に位置付けられ、収容される。炭素隔離ユニット278は、ガス入口276の上方に取り付けられた第1の内部ガス導管281を含む。図示の非限定的な実施形態では、第1の内部ガス導管281は、管状部材の形状であるが、その形状は、図示の実施形態から変化し得ることが理解される。図示の実施形態では、第1の内部ガス導管281は、ガス入口276のガス導管279と実質的に同軸であり、ガス入口276から垂直方向に間隔を置いており、すなわち、第1の内部ガス導管281の入口ポートは、反応チャンバ275に開口したガス入口276のガス導管279のポート289から間隔を置いている。内部ガス導管281は、反応チャンバ275に入る反応ガス流を、内部ガス導管281の内部チャネルに流入する第1のガス流部分と、内部ガス導管281の外側に流れる第2のガス流部分と、すなわち、内部ガス導管281の外面と、反応チャンバ275を画定するハウジング274の内面との間に分ける。したがって、内部ガス導管281は、反応チャンバ275内のガス流分流器として作用する。
【0172】
代替的な実施形態では、炭素隔離ユニット278は、第2のガス導管(図示せず)を含んでもよく、これは、触媒粒子がガス入口276に接触又は侵入することを防止するために、反応チャンバ275内でテーパ部分の最下点から上方に(又はガス入口276のガス導管279のポート289から上方に)、ガス入口276のガス導管279と連続して、延在する。第1の内部ガス導管281として、第2のガス導管も管状部材であってもよい。
【0173】
図示の実施形態では、ガス入口276のガス導管279への接触又は侵入からの触媒粒子のために、反応チャンバ275のテーパ部分内に延在し、反応チャンバ275内に開口したガス入口276のガス導管279のポート289を覆う、格子を、炭素隔離反応器270は含んでもよい。
【0174】
炭素隔離反応器270の動作中、CO、CO又はそれらの混合物などの高温酸化炭素は、ガス入口276を介して反応チャンバ275に入り、第1の内部ガス導管281まで流れる。反応チャンバ275に含まれる触媒粒子は、二酸化炭素によって吸い上げられて流動化され、それによって反応チャンバ275内に流動床を形成する。流動化された触媒粒子は、空間283を通って第1の内部ガス導管281まで移動する。空間283は、第1の内部ガス導管279と、反応チャンバ275内に開口したガス入口276のガス導管279のポート289との間に(又は反応チャンバ275内で上方に延在し、ガス導管279に接続された第2のガス導管の出口ポートから)画定される。空間283の長さは、触媒の特性(粒径及びその密度を含む)、及び反応器の形状の関数として選択される。空間283の長さは、ハイブリッド動作(すなわち、流動床及び移動床)を適切に行い得るように選択される。
【0175】
触媒粒子は、第1の内部ガス導管281の上部端部で出て、第1の内部ガス導管281の外側に、ハウジング274のテーパ部分に向かって落下し、最終的に再循環され、それによって、反応チャンバ275内に触媒粒子の一定の再循環を作り出す。ガス出口277から出るガスは、第1の内部ガス導管281の周りを上昇及び下降する触媒粒子と接触している。第1の内部ガス導管281によって画定される細長いチャネルのサイズ(長さ及び直径)は、ガスと触媒粒子との間の適切な接触時間を確実にするように選択される。非限定的な実施形態では、接触時間は、通常約1~約10秒であり、別の実施形態では、接触時間は、約1~約5秒である。
【0176】
いくつかの触媒粒子は、反応チャンバ275の底部に留まり、炭素隔離反応に直接関与するのではなく、流動床を形成する触媒粒子のための支持材料として貢献する。
【0177】
図示の非限定的な実施形態では、ハウジング274は、2つのガス出口277を含むが、ガス出口277の数は、図示の実施形態とは異なり得ることが理解される。ハウジング274は、1つ又は複数のガス出口を含んでもよい。炭素隔離反応器270の底部からの高さを含むガス出口277の位置は、様々なパラメータの関数である。これらのパラメータは、第1の内部ガス導管281及び第2のガス導管の全高、存在する場合、空間283の垂直位置、触媒粒子の床の性質及び全高を含む。
【0178】
炭素隔離反応器270の内部で、CNFは、触媒粒子上に表面的に形成され、ガス排出口によって除去され、ガス出口277を通って、ガス排出口を用いて炭素隔離反応器270から出る。
【0179】
図示の非限定的な実施形態では、テーパ部分のハウジング274の内壁は、反応チャンバ275とガス連通するガス導管279のポート289に向かって傾斜して、実質的に直線状であるように示している。しかしながら、代替的な実施形態(図示せず)では、それらは湾曲してもよく、又は任意の他の適切な形状であってもよいことが理解される。更に、反応器ハウジング274(又は結果として生じる反応チャンバ275)のテーパ部分の角度は、反応チャンバ275に含まれる触媒粒子の性質及び特性、プロセス試薬の性質などを含むが、限定的でない、いくつかのプロセス変数に従って変化し得ることが理解される。
【0180】
再び図5を参照すると、炭素隔離反応器270の生成物が引き出され、カーボンナノ繊維製造システム280の濾過部分284に移送されることを示している。より具体的には、固体とガスの混合物を含む反応器生成物は、濾過ユニット290に移送される。図示の非限定的な実施形態では、濾過ユニットは、市販の金属製キャンドル濾過システムである。一実施形態では、金属製キャンドルは、その壁を通るCNFエントレインメントを回避するために極めて小さな孔を有するが、濾過の大部分は、これらの壁に形成された固形物によって実施される。固形物の厚さが増すにつれて、圧力降下は増加する。圧力降下が決定的に禁止されると、不活性ガスパルス技術が、固形物を除去するために使用され、次いで、キャンドル濾過ハウジングの底部出口に位置する受け入れ容器で生成物を回収する。
【0181】
非限定的な実施形態では、反応器生成物は、CNFに加えて、C、CH、及びCなどの炭化水素、二酸化炭素及び一酸化炭素、水素、並びに水蒸気を含んでもよい。
【0182】
カーボンナノ繊維は、濾過ユニット290の下部で回収され、カーボンナノ繊維製造システム280のCNF回収部分285に移送される。濾過ユニット290から、CNFを一時貯蔵タンク292に移送することができ、固体CNFをCNF回収タンク294に移送する前に、過剰なガス(C、CH、及びCなどの炭化水素、二酸化炭素及び一酸化炭素、水素、並びに水蒸気を含み得る)が除去され、更なる使用の準備がなされる。カーボンナノ繊維製造システム280の濾過部分284の上述の実施形態は非限定的な実施形態であり、他の実施形態も想定され得ることが理解される。
【0183】
、CH、及びCなどの炭化水素、二酸化炭素及び一酸化物、水素、並びに水蒸気を含み得る、濾過ユニット290のガス状生成物は、次に、カーボンナノ繊維製造システム280のガス生成物除湿288に移送され得る。ガス生成物除湿288は、凝縮器296と、それに続く液体貯蔵リザーバ298(グリコール貯蔵リザーバなど)と、を順次含み得る。したがって、ガス生成物除湿段階288では、ガス生成物を、液体-ガス接触器(又は凝縮器296)で除湿することができ、液相はグリコールであってもよく、除湿ガス生成物は、熱分解反応器に送られて燃焼され、吸熱熱分解反応に必要な熱の少なくとも一部を提供し得る。
【0184】
上述のカーボンナノ繊維製造システム280は、炭素隔離プロセスを実施するために使用され、この生成物は、熱分解反応器のエネルギー供給として少なくとも部分的に使用され得る。
【0185】
炭素隔離プロセスの開始時に、炭素隔離反応器270は、ガス状態のCO及び炭化水素化合物が供給される前に、約400℃~約700℃の範囲の温度に予熱される。非限定的な実施形態では、反応器270は、加熱ガスを介して、又は熱交換器を介して電気的に予熱されてもよい。この予熱段階の間、反応器270は、触媒粒子を収容する。一実施形態では、水素、窒素、又はそれらの混合物など、限定的でない、加熱ガスが、反応器272の内部を流れる。
【0186】
予熱段階に続いて、炭素隔離プロセスが開始する。上述のように、炭素隔離反応器270は、ガス状態の炭化水素化合物とCOとの混合物が、任意選択で、連続的に供給される。これらのガスが、加圧されたリザーバに貯蔵され、室温(約25℃)でこれらのリザーバから出る場合、これらのガスは、乾式改質される炭素隔離反応器270に供給される前の温度に予熱される。
【0187】
代替的な実施形態では、炭素隔離反応器270は、その間で液相と固相とを分離するためにスクラビングされ、冷却されることなく、熱分解装置22、122からの生成物が供給される。したがって、加熱された炭素隔離反応器270には、既に高温でガス状態である、熱分解反応器22、122の出力生成物の少なくとも一部が供給される。
【0188】
更に別の実施形態では、液相の熱分解装置22、122からの生成物のみが、カーボンナノ繊維製造システム280に移送される。液相中のこの原料は、乾式改質される炭素隔離反応器270に供給される前に、加熱され、ガス状態に変換される。
【0189】
一実施形態では、ガス状態の炭化水素化合物とCOとの混合物は、約400~約750℃、別の実施形態では、550~約700℃の範囲の温度で炭素隔離反応器270に入る。
【0190】
非限定的な実施形態では、炭化水素化合物及び二酸化炭素を含む混合物は、約0.5~約2の範囲のC/COモル比、別の実施形態では、約0.8~約1.2の範囲のC/COモル比で炭素隔離反応器270に供給される。
【0191】
非限定的な実施形態では、触媒粒子の流動床にわたる圧力降下は、約0.5~約4atm、別の実施形態では、1~約2atmである。
【0192】
CNFを含むガスは、約500~約650℃の範囲の温度で炭素隔離反応器270の外側に流れる。次いで、それらは、カーボンナノ繊維製造システム280の濾過部分284の濾過ユニット290に導かれる。非限定的な実施形態では、反応器生成物は、CNFに加えて、C、CH、及びCなどの炭化水素、二酸化炭素及び一酸化炭素、水素、並びに水蒸気を含んでもよい。
【0193】
濾過ユニット290はまた、窒素などの不活性ガスが供給され得る。
【0194】
濾過ユニットの生成物は、カーボンナノ繊維と、ガスと、を含む。CNFは、回収され、カーボンナノ繊維製造システム280のCNF回収部分285の一時貯蔵タンク292に移送され、固体CNFをCNF回収タンク294に移送する前に、過剰なガス(C、CH、及びCなどの炭化水素、二酸化炭素及び一酸化炭素、水素、並びに水蒸気を含み得る)が、除去される。
【0195】
次に、濾過ユニット290のガス状生成物は、カーボンナノ繊維製造システム280のガス生成物除湿288に移送され、順次部分的に凝縮されてグリコールを生成し、これを液体貯蔵リザーバ298に貯蔵し得る。ガス生成物除湿段階288に続く残りの気相は、熱分解反応器に戻されて燃焼され、吸熱熱分解反応に必要な熱の少なくとも一部を提供し得る。
【0196】
炭素隔離プロセスの例
上記の炭素隔離反応器270を使用して、触媒Fe/Al(触媒内の10wt%の鉄)と共に原料としてCとCOの混合物を使用してCNFを製造した。2つの試験を実施した。プロセスパラメータ及び試験結果を以下の表に詳述する。両方の試験について、反応物を反応器270に導入する前に活性化工程を実行した。
【0197】
炭素隔離プロセスの間、触媒粒子が、反応器270の内部シリンダをオーバーフローし、環状領域の床の上部に沈降するまで、触媒粒子は、流動化された。その後、触媒粒子は、再び内部シリンダの下部に入り込んで流動化した。触媒粒子の流動床に戻る流動は、連続性を確保した。
【表1】

【表2】
【0198】
ここで図8を参照すると、廃棄物プラスチックなどの炭素系原料を、カーボンナノ繊維及び水素を含むいくつかの価値のある生成物に変換するプロセスを実行するために使用され得る廃棄物プラスチック変換システムを示している。システム300は、3つのサブシステムを含み、各サブシステムは、それ自体の反応器、すなわち、自己熱熱分解反応器322を含む熱分解システム320と、炭素隔離反応器370を含む炭素隔離システム380と、任意選択で、プラズマ反応器312を含むグラフェン及び/又はカーボンブラック合成システム310と、を含む。プラズマ反応器は、参照により本明細書に組み込まれるLynumの米国特許第5997837号明細書に開示されているものなど、限定的でない、任意の適切な反応器であり得る。
【0199】
図8に示す熱分解システム320は、図1及び図4に示すもの20、120のシステムとはいくつかの違いがある。しかしながら、熱分解システム320の特徴は、図1及び図4の熱分解システムの特徴(又はその代替例)に置換され得ることが理解される。同様に、図8の熱分解システム320は、炭素隔離システム380、並びに/あるいはグラフェン及び/又はカーボンブラック合成システム310なしで、あるいはその一部のみで動作し得る。更に、熱分解反応器322は、図2及び図3に示すものであってもよく、又はそれと同様の特徴を有してもよい。
【0200】
図8に示す炭素隔離システム380は、図5に示すシステム280とはいくつかの違いがある。しかしながら、炭素隔離システム380の特徴は、図5の炭素隔離システム(又はその代替物)の特徴に置換され得ることが理解される。同様に、図8の炭素隔離システム380は、熱分解システム320並びに/あるいはグラフェン及び/又はカーボンブラック合成システム310なしで、あるいはその一部のみで動作し得る。更に、炭素隔離反応器370は、図6及び図7に示すものであってもよく、又はそれと同様の特徴を有してもよい。
【0201】
グラフェン及び/又はカーボンブラックに加えて、プラズマ反応器312の生成物は、メタン(CH)を含むガス状原料から温室効果ガス(GHG)排出なしに実質的に生成されるHを含む。
【0202】
システム300全体及び関連するプロセスの主な生成物は、H、CNF、並びにグラフェン及び/又はカーボンブラックを含む。
【0203】
とりわけ、このシステムは、メタン(CH)を含むガス状原料からの温室効果ガス(GHG)排出を実質的に伴わずにHを合成するために使用され得る。
【0204】
上記で説明したように、埋立て予定の使用済みプラスチック351は、熱分解システム320の自己熱分解装置322(又は自己熱分解反応器)で処理される。自己熱分解装置322の原料はまた、廃棄物プラスチック351に加えて、酸素353、一酸化炭素(CO)355、及び水素357(すべてガス状態)を含む。図8に示すように、自己熱分解装置322に供給する一酸化炭素(CO)355及び水素357は、炭素隔離システム380の炭素隔離反応器370によって生成される。自己熱分解装置322の生成物359は、固体画分(主に灰)と、軽質炭化水素、二酸化炭素(CO)、水素、及び水蒸気を含むガス状画分と、を含む。非限定的な実施形態では、自己熱分解装置322の生成物359の固体画分361は、サイクロン分離器など、限定的でない、固体ガス分離ユニット365内でガス状画分363から分離されてもよい。
【0205】
プラズマ反応器312を出る、軽質炭化水素及び水素を含む、グラフェン及び/又はカーボンブラック合成システム310によって生成されたガス状画分367は、CNF合成のために炭素隔離反応器370に供給され得る。CNF(すなわち、固体画分)369に加えて、炭素隔離反応器370の生成物371は、水素、CO、CH、及び水蒸気を含むガス状画分373を含む。
【0206】
炭素隔離反応器370の生成物371は、濾過ユニットなど、固気分離ユニット375内でガス状画分367と固体画分369とに分離される。
【0207】
次いで、ガス状画分373は、CO及び水素377が残留CH379及び水蒸気381から分離される第1の分離段階375に移送される。第2の分離段階383では、CO355が水素387から分離される。CO355及び水素387の少なくとも一部387aは、自己熱分解装置322に戻されてもよく、COは、エネルギー供給として作用する。次に、メタン(CH)379は、原料として使用されるために、プラズマ反応器312に移送される。
【0208】
メタン系原料(炭素隔離反応器370に由来するメタン379、及び存在する場合は補充メタン389を含む)から、グラフェン/カーボンブラック合成システム310は、ガス状画分367として水素及び炭化水素を、固体画分391としてカーボンブラック又はグラフェンを生成する。より具体的には、プラズマ反応器312の生成物393は、濾過ユニットなど、限定的でない、固体ガス分離ユニット395で分離される。
【0209】
上述のように、ガス状画分367は、原料の一部として、炭素隔離反応器370に導かれ得る。グラフェン及び/又はカーボンブラックを含む固体画分391は、更なる使用のために回収される。
【0210】
図8に示す実施形態では、熱分解生成物は、炭素隔離反応器370に導かれる。しかしながら、代替の実施形態(図示せず)では、そのガス状部分は、熱分解反応器322に、より具体的には、熱分解反応器322の酸化チャンバ用の燃料として再循環され得る。非限定的な実施形態では、熱分解反応器322の約20wt%未満が、燃料として再循環されてもよく、残りの部分は、炭素隔離反応器370に導かれ得る。上述のように、必要に応じて、熱分解反応器322の酸化チャンバに追加の燃料供給を導入して燃料組成を調整してもよい。
【0211】
図1及び図4を参照して上述した代替の実施形態を、図8に示す実施形態に適用することができ、その逆も可能であることが理解される。
【0212】
上記のシステムは、石油産業が直面する問題の一部について少なくとも部分的な解決策をもたらす。最初に、石油酸及びアンモニア製造中に必要とされる水素を生成する。第2に、カーボンブラックを生成する。第3に、廃棄物プラスチックは、汚染されたプラスチック又は熱硬化性プラスチックであっても、処理されて価値のある生成物が得られる。グラフェン及び/又はカーボンブラック及びCNFは、特殊な用途において、又は石油を使用して通常製造される従来のカーボンブラックの価値の高い代替材料として使用され得る。
【0213】
以下の表3は、1t/hの再循環不可能なポリマーの注入に基づくプラズマ反応器内でメタン(CH)の添加のない例示的なマスバランスを示す。このプロセスは、水素生成を最大化しないが、炭素フィラメントの形成を促進する。水素生成を増加させるために、メタンを0.5t/hの速度で添加することができ、以下の表4に示すように、カーボンブラック又はグラフェンの生成を大幅に増加させ、依然として実質的な温室効果ガス放出を伴わずに生成される約2倍の水素を引き出すことができる。
【表3】

【表4】
【0214】
熱分解と炭素隔離プロセスを組み合わせた例
上記の説明において、実施形態は、本発明の例又は実装形態である。「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、又は「いくつかの実施形態(some embodiments)」の様々な出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。本明細書における「いくつかの実施形態」、「実施形態」、「一実施形態」又は「他の実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしもすべての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。更に、本発明の様々な特徴を単一の実施形態の文脈で説明することができるが、特徴は別個に又は任意の適切な組合せで提供し得る。逆に、本発明は、明確にするために別個の実施形態の文脈で本明細書に記載され得るが、本発明はまた、単一の実施形態で実施されてもよい。
【0215】
本明細書に記載の詳細は、本発明の用途に対する限定と解釈されないことを理解されたい。更に、本発明は、様々な方法で実行又は実施することができ、本発明は、上記の説明で概説したもの以外の実施形態で実施し得ることを理解されたい。
【0216】
本明細書で使用する表現及び用語は、限定として解釈されるべきではなく、説明目的のためだけであることを理解されたい。
【0217】
本発明の教示の原理及び使用は、添付の説明、図面及び実施例を参照して好適に理解され得る。
【0218】
「含む(including)」、「備える(comprising)」、「からなる(consisting)」という用語及びそれらの文法上の変形は、1つ又は複数の構成要素、特徴、ステップ、若しくは整数又はそれらのグループの追加を排除するものではなく、これらの用語は、構成要素、特徴、ステップ、又は整数を指定するものとして解釈されるべきであることを理解されたい。
【0219】
明細書又は特許請求の範囲が「追加の」要素に言及する場合、それは追加の要素が2つ以上存在することを排除しない。特許請求の範囲又は明細書が「1つの(a)」又は「1つの(an)」要素に言及する場合、そのような言及は、その要素が1つしかないと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0220】
本明細書が、構成要素、特徴、構造、又は特性を「含み得る」、「含んでもよい」、「含むことができる」、又は「含む場合がある」と述べている場合、その特定の構成要素、特徴、構造、又は特性を含める必要はないことを理解されたい。
【0221】
適用可能な場合、状態図、フロー図、又はその両方を使用して実施形態を説明することができるが、本発明はそれらの図又は対応する説明に限定されない。例えば、フローは、図示した各ボックス又は状態を通って、又は図示及び説明されたのと全く同じ順序で移動する必要はない。
【0222】
本発明の方法は、選択されたステップ又はタスクを手動で、自動的に、又はそれらの組合せで実施又は完了することによって実施され得る。
【0223】
特許請求の範囲及び明細書に提示した説明、例、方法及び材料は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。本発明は、本明細書に記載したものと同等又は同様の方法及び材料を用いた試験又は実験において実施され得る。
【0224】
本明細書で使用する技術用語及び科学用語の意味は、特に定義しない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるべきものである。
【0225】
いくつかの代替的な実施形態及び実施例を本明細書で説明及び例示した。上述の本発明の実施形態は、例示のみを意図している。当業者は、個々の実施形態の特徴、並びに構成要素の可能な組合せ及び変形を理解するであろう。当業者は、実施形態のいずれかが、本明細書に開示した他の実施形態との任意の組合せで提供され得ることを更に理解するであろう。本発明は、その中心的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得ることが理解される。したがって、本実施例及び実施形態は、あらゆる点で例示的であって限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、本明細書で与えた詳細に限定されるべきではない。したがって、特定の実施形態を図示及び説明してきたが、多くの変更が考えられる。したがって、本発明の範囲を、添付の特許請求の範囲によってのみ限定することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】