(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】PTFEファイバーの製造方法、及びこれを用いたPTFEメンブレン触媒フィルター
(51)【国際特許分類】
C08J 3/20 20060101AFI20240725BHJP
B01J 35/58 20240101ALI20240725BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20240725BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20240725BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240725BHJP
D01F 6/12 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C08J3/20 Z CEW
B01J35/58 A ZAB
B01J37/04 102
B01D53/86 222
B01D39/16 C
D01F6/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577795
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 KR2022019260
(87)【国際公開番号】W WO2023101437
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0169279
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0068970
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523471183
【氏名又は名称】マイクロ-ワン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MICRO-ONE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】368, Yeongok-gil, Ipjang-myeon Seobuk-gu, Cheonan-si, Chungcheongnam-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シム ジハン
(72)【発明者】
【氏名】ムン ヨンシル
(72)【発明者】
【氏名】ソ ミョンゾ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒョクス
【テーマコード(参考)】
4D019
4D148
4F070
4G169
4L035
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA13
4D019BB08
4D019BC07
4D019CB06
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4F070AA24
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4G169AA03
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4G169CA13
4G169CA18
4G169DA06
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4G169FB06
4G169FB30
4G169FB66
4G169FB67
4G169FB70
4L035AA04
4L035BB31
4L035CC01
(57)【要約】
本発明は、PTFEメンブレン触媒フィルター用PTFEファイバーを製造する過程において、混合、熟成、圧縮、押出、圧延、焼結、製紐/延伸、スリッティング工程を経、前記混合工程において均質化作業が行われた触媒を投入し、前記投入される触媒の比率は0.5%以上0.6%以下であり、投入される潤滑剤の比率は28%以上30%以下であることを特徴とするPTFEメンブレン触媒フィルターのためのPTFEファイバーの製造方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTFEパウダーにDe-NOx触媒と潤滑剤を混合してPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法であって、
重力と遠心力を用いて落下を繰り返してパウダーを混合する混合機内に、PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーを入れて回転させる過程において、前記パウダーに潤滑剤を噴射して混合パウダーを生成させ、
前記潤滑剤は、混合機の壁面に噴射されずに、前記PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーにのみ噴射されるように調節し、前記De-NOx触媒パウダーは、全重量の0.5重量%以上0.7重量%未満であることを特徴とする、PTFEファイバー製造用パウダーの混合方法。
【請求項2】
前記潤滑剤は、
全重量の27重量%以上29重量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法。
【請求項3】
前記潤滑剤の噴射速度は、
150g/min以上250g/min未満であることを特徴とする、請求項2に記載のPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法。
【請求項4】
前記混合機の回転速度は10rpm以上14rpm以下であり、混合時間は40分以上70分以下であることを特徴とする、請求項3に記載のPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法。
【請求項5】
混合工程、熟成工程、圧縮工程、押出工程、圧延工程、焼結工程、製紐/延伸工程、及びスリッティング工程を経て製造されるPTFEメンブレン触媒フィルター製造用PTFEファイバーの製造方法であって、
前記混合工程は、
重力と遠心力を用いて落下を繰り返してパウダーを混合する混合機内に、PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーを入れて回転させる過程において、前記パウダーに潤滑剤を噴射して混合パウダーを生成させ、前記潤滑剤は、混合機の壁面に噴射されずに、前記PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーにのみ噴射されるように調節し、前記De-NOx触媒パウダーは、全重量の0.5重量%以上0.7重量%未満であることを特徴とする、PTFEファイバーの製造方法。
【請求項6】
前記潤滑剤は、
全重量の27重量%以上29重量%以下であることを特徴とする、請求項5に記載のPTFEファイバーの製造方法。
【請求項7】
前記潤滑剤の噴射速度は、
150g/min以上250g/min未満であることを特徴とする、請求項6に記載のPTFEファイバーの製造方法。
【請求項8】
前記混合機の回転速度は10rpm以上14rpm以下であり、混合時間は40分以上70分以下であることを特徴とする、請求項6に記載のPTFEファイバーの製造方法。
【請求項9】
混合工程、熟成工程、圧縮工程、押出工程、圧延工程、焼結工程、製紐/延伸工程、及びスリッティング工程を経て製造されるPTFEファイバーを用いたPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法であって、
前記混合工程は、
重力と遠心力を用いて落下を繰り返してパウダーを混合する混合機内に、PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーを入れて回転させる過程において、前記パウダーに潤滑剤を噴射して混合パウダーを生成させ、前記潤滑剤は、混合機の壁面に噴射されずに、前記PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーにのみ噴射されるように調節し、前記De-NOx触媒パウダーは、全重量の0.5重量%以上0.7重量%未満であることを特徴とする、PTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法。
【請求項10】
前記潤滑剤は、
全重量の27重量%以上29重量%以下であることを特徴とする、請求項9に記載のPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法。
【請求項11】
前記潤滑剤の噴射速度は、
150g/min以上250g/min未満であることを特徴とする、請求項10に記載のPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法。
【請求項12】
前記混合機の回転速度は10rpm以上14rpm以下であり、混合時間は40分以上70分以下であることを特徴とする、請求項10に記載のPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法。
【請求項13】
請求項5~8のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、PTFEファイバー。
【請求項14】
請求項9~12のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、PTFEメンブレン触媒フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTFEファイバーの製造方法、及びPTFEファイバーを用いて作られるPTFEメンブレン(membrane)触媒フィルターに関し、より詳細には、ファイバー(fiber)を作製する段階において最適化された混合工程を通じて、性能が向上したPTFEメンブレン触媒フィルター製造用PTFEファイバーを製造する方法、及びPTFE触媒フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスに含まれた粉塵とNOxを同時に低減する触媒フィルターの開発の背景として、排気ガス中の有害ガスの排出許容基準が次第に強化されており、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)などを同時に低減するための高性能素材の開発及び工程改善などに高い関心を示しているが、韓国の技術は不十分な実情であり、核心技術は海外の先進技術に依存している。
【0003】
特に、中小型焼却施設のように零細運営業者の経済的、空間的問題により、複数個の単位設備の組み合わせなどのような方法は、設置空間及び投資費用など現実的な問題が引き起こされている。
【0004】
このような状況に起因して、現在、韓国内では、窒素酸化物(NOx)の除去工程としてSCR、SNCRのような大型設備を活用して運営されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、既存の中小焼却施設で運営する集塵施設に適用して向上した排出許容基準を満たすことができるように、排気ガスに含まれた微細粉塵及びNOxを低減するためのPTFEメンブレン触媒フィルターを製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、PTFEメンブレン触媒フィルターを製造するための触媒ファイバーを製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、最適化された触媒ファイバー製造工程の条件を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような問題を解決するために、本発明は、PTFEパウダーにDe-NOx触媒と潤滑剤を混合してPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法であって、重力と遠心力を用いて落下を繰り返してパウダーを混合する混合機内に、PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーを入れて回転させる過程において、前記パウダーに潤滑剤を噴射して混合パウダーを生成させることを特徴とするPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法を開示する。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤は、混合機の壁面に噴射されずに、前記PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーにのみ噴射されるように調節することを特徴とするPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法を開示する。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記De-NOx触媒パウダーは、全重量の0.5重量%以上0.7重量%未満であることを特徴とするPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法を開示する。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤は、全重量の27重量%以上29重量%以下であることを特徴とするPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法を開示する。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤の噴射速度は150g/min以上250g/min未満であることを特徴とするPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法を開示する。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記混合機の回転速度は10rpm以上14rpm以下であり、混合時間は40分以上70分以下であることを特徴とするPTFEファイバー製造用パウダーの混合方法を開示する。
【0014】
また、本発明は、混合工程、熟成工程、圧縮工程、押出工程、圧延工程、焼結工程、製紐/延伸工程、及びスリッティング工程を経て製造されるPTFEメンブレン触媒フィルター製造用PTFEファイバーの製造方法であって、前記混合工程は、重力と遠心力を用いて落下を繰り返してパウダーを混合する混合機内に、PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーを入れて回転させる過程において、前記パウダーに潤滑剤を噴射して混合パウダーを生成させることを特徴とするPTFEファイバーの製造方法を開示する。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤は、混合機の壁面に噴射されずに、前記PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーにのみ噴射されるように調節することを特徴とするPTFEファイバーの製造方法を開示する。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記De-NOx触媒パウダーは、全重量の0.5重量%以上0.7重量%未満であることを特徴とするPTFEファイバーの製造方法を開示する。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤は、全重量の27重量%以上29重量%以下であることを特徴とするPTFEファイバーの製造方法を開示する。
【0018】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤の噴射速度は150g/min以上250g/min未満であることを特徴とするPTFEファイバーの製造方法を開示する。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記混合機の回転速度は10rpm以上14rpm以下であり、混合時間は40分以上70分以下であることを特徴とするPTFEファイバーの製造方法を開示する。
【0020】
また、本発明は、混合工程、熟成工程、圧縮工程、押出工程、圧延工程、焼結工程、製紐/延伸工程、及びスリッティング工程を経て製造されるPTFEファイバーを用いたPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法であって、前記混合工程は、重力と遠心力を用いて落下を繰り返してパウダーを混合する混合機内に、PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーを入れて回転させる過程において、前記パウダーに潤滑剤を噴射して混合パウダーを生成させることを特徴とするPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法を開示する。
【0021】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤は、混合機の壁面に噴射されずに、前記PTFEパウダー及びDe-NOx触媒パウダーにのみ噴射されるように調節することを特徴とするPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法を開示する。
【0022】
本発明の一実施例によれば、前記De-NOx触媒パウダーは、全重量の0.5重量%以上0.7重量%未満であることを特徴とするPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法を開示する。
【0023】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤は、全重量の27重量%以上29重量%以下であることを特徴とするPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法を開示する。
【0024】
本発明の一実施例によれば、前記潤滑剤の噴射速度は150g/min以上250g/min未満であることを特徴とするPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法を開示する。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記混合機の回転速度は10rpm以上14rpm以下であり、混合時間は40分以上70分以下であることを特徴とするPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法を開示する。
【0026】
また、本発明は、前記で実施例として説明したPTFEファイバーの製造方法により製造されたPTFEファイバーを開示する。
【0027】
また、本発明は、前記で実施例として説明したPTFEメンブレン触媒フィルターの製造方法により製造されたPTFEメンブレン触媒フィルターを開示する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、PTFEメンブレンを適用して排ガス中のダスト(Dust)をフィルターの表面でろ過し、触媒が担持されたバグフィルター内でNOxが反応して窒素酸化物を除去する技術により、NOx及び粉塵を同時に除去できるようになる。
【0029】
また、本発明によれば、海外の技術力及び製品に依存している触媒フィルターを、コーティング方式ではなく、ファイバーを作製する段階から混合方法を通じて触媒の機能を付与することで、最終製品であるバグフィルターにNOx低減機能を有する触媒フィルターを製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、混合段階の写真である。
【
図2】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、熟成段階の写真である。
【
図3】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、圧縮段階の写真である。
【
図4】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、押出段階の写真である。
【
図5】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、圧延段階の写真である。
【
図6】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、焼結段階の写真である。
【
図7】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、製紐/延伸段階の写真である。
【
図8】本発明におけるファイバーを製造する工程のうち、スリッティング段階の写真である。
【
図9】スリッティング後に広げた網状の触媒ファイバーの写真である。
【
図10】ボビンに巻かれた触媒ファイバーの写真である。
【
図11A】サンプル1のビレットを示した写真である。
【
図11B】サンプル1の圧延シートを示した写真である。
【
図12A】サンプル2のビレットを示した写真である。
【
図12B】サンプル2の圧延シートを示した写真である。
【
図13A】サンプル3のビレットを示した写真である。
【
図13B】サンプル3の圧延シートを示した写真である。
【
図14A】サンプル4のビレットを示した写真である。
【
図14B】サンプル4の圧延シートを示した写真である。
【
図15】サンプル7のスリッティング工程中に触媒が脱離したことを示した写真である。
【
図16】サンプル8のスリッティング工程中に触媒が脱離したことを示した写真である。
【
図17A】サンプル9のビレットを示した写真である。
【
図17B】サンプル9の圧延シートを示した写真である。
【
図18】サンプル10のビレットを示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について図面を参照してより詳細に説明する。本明細書では、互いに異なる実施例であっても同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照番号を付与し、その説明は最初の説明で代替する。本明細書で使用される単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。
【0032】
また、添付の図面を参照して説明するにおいて、図面符号に関係なく、同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、これについての重複説明は省略する。本発明を説明するにおいて、関連する公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0033】
図1乃至
図8を参照すると、一般のPTFEファイバー(Fiber)の製造工程は、混合、熟成、圧縮、押出、圧延、焼結、製紐、延伸、スリッティング工程の順に行われる。
【0034】
本願発明に係るPTFEメンブレン(membrane)触媒フィルターを製造するための触媒ファイバーの製造工程では、混合工程において、PTFEパウダー(powder)と潤滑剤を一定の比率で混合機を通じて混合するようになるが、触媒ファイバーを製造するためには、De-NOx触媒を共に混合機に投入して混合しなければならない。
【0035】
このとき、触媒機能の付与のためのDe-NOx触媒により、触媒ファイバーの製造には原料の比率が変わるようになり、これにより、各工程での温度、速度、作業時間に応じて作業性(連続作業)、生産性(ロス(Loss)率)、De-NOx効果(窒素酸化物除去機能)に差が発生する。
【0036】
触媒フィルターの製造のためには、このように様々な条件が関連しているため、最上の品質の製品を最も効率的に生産するためには、このような条件に対する研究が必要である。
【0037】
また、下記の表1のように改正された規定によれば、粉塵/窒素酸化物の排出許容基準が厳しくなった。
【0038】
【0039】
本内容では、このような条件を満たすことができるように、PTFEメンブレンフィルターの製造に使用されるファイバー(Fiber)の製造工程のうちの混合工程での最適の作業条件について記述する。
【0040】
PTFEパウダーとDe-NOx触媒は、粉末の形態で混合機内において液状である潤滑剤と混合されるが、潤滑剤の比率が低いと、押出工程でビレット(billet)の形成時に問題が発生し、潤滑剤の比率が高いと、製紐が良好に行われないため、ロス率が高くなる。
【0041】
これらが適切な比率で混合されてこそ、後工程で作業性、生産性の問題の発生を減少させることができる。
【0042】
また、触媒機能の付与のために添加するDe-NOx触媒の比率が低いと、触媒ファイバーのDe-NOx効果が低いため、商用性に問題が発生することがあり、触媒の比率が高すぎると、延伸やスリッティング工程で切れが発生して、作業性、生産性が低下し、スリッティング時にニードルに引っかかる触媒の脱離量が多いため、最終的にDe-NOx効果を低下させる結果が発生する。
【0043】
そのため、触媒ファイバーの製造時にPTFEパウダーとDe-NOx触媒、潤滑剤の適切な混合比率も重要であるが、混合工程においても追加の細かい作業条件が必要である。
【0044】
また、混合機は、重力と遠心力を用いて交流落下が繰り返されながら混合されるが、あまりにも速い速度で混合する場合にはPTFEパウダーの凝集現象が起こり、De-NOx触媒が適切に混合されることができない。
【0045】
PTFEパウダーとDe-NOx触媒は、かなりの高温でも溶けず、物理的にも安定化しているので、化学的/物理的に互いに結合できない物性を有しているため、混合工程で潤滑剤の役割が非常に重要である。
【0046】
単純に潤滑剤を混合機に共に入れて混合することでは均一な混合が不可能であるため、混合工程で潤滑剤をどのように混合するかも非常に重要な要素である。
【0047】
潤滑剤を、回転する混合機の投入口を通じて2つのパウダー混合物(PTFE、De-NOx触媒)に均一に噴射して混合するが、このとき、潤滑剤の噴射速度を調節して、あまりにも多くの潤滑剤が噴射されないようにしなければならない。噴射量が多いと、潤滑剤が一部分に凝集して均一な混合が行われないことがある。
【0048】
潤滑剤は、2つのパウダー混合物にのみ噴射されるようにしなければならず、混合機の壁面に噴射されないように調節すべきである。混合機の壁面に噴射時に、2つのパウダー混合物が混合機の壁面にくっついて取れないため、ロスが発生し、均一な混合が行われないことがある。
【0049】
De-NOx触媒の含量が増加するほどDe-NOx効果が増加するが、混合工程においてDe-NOx触媒の量が増加するほど潤滑剤の量も増加しなければならず、混合時間も増加してこそ触媒の分散性、作業性及び生産性が向上することができる。
【0050】
このような条件を反映して、下記のように実験を行った。
【0051】
前記実験に適用された条件は、次の通りである。
【0052】
本願発明において、焼結は、300℃~500℃の温度範囲内で行われ、具体的には400℃前後で焼結が行われることが好ましい。但し、本発明では、焼結温度の条件よりは、混合工程で使用される触媒の比率、潤滑剤の比率、潤滑剤の噴射速度、混合速度、混合時間に重点を置く。
【0053】
均質化作業が良好に行われたか否かは、潤滑剤、PTFE、触媒の配合の程度に基づいて判断する。本発明の一実施例によれば、前記配合の程度に対する具体的な判断は、混合パウダー(powder)の配合率又は色などを確認して行われる。
【0054】
本発明では、配合率分析評価と作業者評価とに二分化して均質化等級を区分する。より具体的には、サンプルの配合率の分析結果に点数を付与し、作業者の評価点数と平均して‘優秀’、‘良好’、‘不十分’に等級を区分する。
【0055】
これは、配合率の分析のためにサンプルを採取する過程で振動によって配合率が変わることを補完するためである。
【0056】
サンプルの配合率の分析は、次のように行われる。
【0057】
サンプルの配合率の分析時に、配合率が80%以上である場合に、均質化等級が‘優秀’であると評価する。配合率が50%以上80%未満である場合に、均質化等級が‘良好’であると評価する。配合率が50%未満である場合に、均質化等級が‘不十分’であると評価する。
【0058】
均質化等級が‘優秀’である場合に3点を付与する。均質化等級が‘良好’である場合に2点を付与する。均質化等級が‘不十分’である場合に1点を付与する。
【0059】
サンプルの作業者評価は、次のように行われる。
【0060】
まず、作業者評価のために、製品の生産に関与する20人の作業者を選定する。
【0061】
その後、前記選定された作業者にサンプル採取前の混合パウダーを見せる。
【0062】
各作業者は、混合パウダーの配合が優秀であると判断されると3点、配合が良好であると判断されると2点、配合が不十分であると判断されると1点を付与する。各作業者が付与した点数を平均して、当該混合パウダーの均質化等級を区分する。
【0063】
一貫した評価のために、作業者には、次のような基準を提示した。
【0064】
まず、作業者に配合率が90%、60%、30%であるサンプルを見せる。
【0065】
そして、作業者の判断で配合率が80%以上であると判断され、パウダーの色を見たとき、凝集している部位が見られない場合に3点を付与するようにする。配合率が50%以上80%未満であると判断され、パウダーの色を見たとき、凝集している部位が1~2箇所見られる場合に2点を付与するようにする。配合率が50%未満であると判断され、パウダーの色を見たとき、凝集している部位が3箇所以上見られる場合に1点を付与するようにする。
【0066】
作業者評価時に、3点は‘優秀’、2点は‘良好’、1点は‘不十分’を意味する。
【0067】
配合率の分析を通じて算出された点数と、作業者評価を通じて算出された作業者の平均点数とを平均して最終評価点数を計算する。
【0068】
最終評価点数を四捨五入して、3点は均質化等級が‘優秀’、2点は均質化等級が‘良好’、1点は均質化等級が‘不十分’であると決定する。
【0069】
均質化等級に最も大きな影響を及ぼす要素は、混合速度(rpm)及び混合時間(min)であると判断される。
【0070】
そのため、混合速度及び混合時間の条件をどのように調節するのが良いかを確認するために、下記の表2のように混合時間及び混合速度を異ならせて均質化等級を判断した。
【0071】
表2は、本発明における均質化等級の評価基準を示した表である。
【0072】
【0073】
表2によれば、混合速度を20rpmとしたときは、混合時間に関係なく、均質化等級が‘不十分’であることを確認することができる。
【0074】
混合速度を18rpmに下げ、混合時間を60minとしたときは、均質化等級が‘良好’と確認された。
【0075】
混合速度を16rpmに下げ、混合時間を60minとしたときは、均質化等級が‘優秀’と確認された。
【0076】
混合速度を14rpmに下げた場合、混合時間が60min~50minであるときは、均質化等級が‘優秀’と確認された。
【0077】
混合速度が14rpmである場合、混合時間が40minであるときは、均質化等級が‘良好’と確認された。
【0078】
しかし、混合速度が14rpmである場合、混合時間を30minに短縮したときは、均質化等級が‘不十分’であることを確認した。
【0079】
すなわち、混合速度が低くなるほど、均質化等級が高くなる傾向があるが、混合時間が30min以下に低くなる場合には、混合速度が低くなっても均質化等級が低くなることを確認することができる。
【0080】
パウダーの均質化等級が高い場合、触媒ファイバーの性能が向上するはずなので、触媒ファイバー(又はこれを用いたPTFEメンブレンフィルター)の実験では、混合速度を20rpm以下に設定し、混合時間は60minに設定する。
【0081】
PTFEメンブレン触媒フィルターの実験は、触媒の脱離率、作業性、生産性、De-NOx効率、触媒の分散性を基準として行った。
【0082】
触媒の脱離率は20%~50%の範囲で測定した。結果値の測定時に触媒の脱離率が50%を超える場合、脱離率が過度であるため、製品化が難しく、そのため、正確な数値を測定することに意味がない。したがって、触媒の脱離率が50%を超える場合に50%と表示する。同様に、触媒の脱離率が20%以下である場合、製品化するのに十分であるため、正確な数値を測定する意味がない。したがって、触媒の脱離率が20%未満である場合に20%と表示した。
【0083】
生産性は、‘優秀’、‘良好’、‘不十分’に区分した。
【0084】
本発明において、生産性等級の区分は、誤りの発生頻度を基準とする。
【0085】
生産工程上で発生する誤りは、下記の3つの現象が発生するか否かを基準として判断する。
1)‘ビレット(billet)の割れの発生’
2)‘シート上の穴の発生’
3)‘ロッド(rod)の亀裂の発生’
【0086】
必要に応じて、‘シート(sheet)の厚さの均一化の不安定’、‘シート(sheet)の強度’なども誤り判断の基準に含めることができる。
【0087】
前記の基準によって評価するとき、生産工程で誤りが発生しない場合に、生産性が‘優秀’であると評価する。生産工程で誤りが0回超2回未満で発生する場合に、生産性が‘良好’であると評価する。生産工程で誤りが2回以上発生する場合に、生産性が‘不十分’であると評価する。
【0088】
生産性は、製品の生産での瑕疵の発生回数を基準とするならば、作業性は、生産工程の中断回数を基準とする。
【0089】
具体的に、作業性は、スリッティング工程で切れが発生して生産工程が止まる回数を基準として、‘優秀’、‘良好’、‘不十分’に区分する。
【0090】
作業性の評価では、合計10kgのPTFE混合パウダーを用いて作業するとき、切れが何回発生するかを確認する。切れが1回発生する度に作業性が5%ずつ減少するものと計算する。
【0091】
表3は、本発明の作業性の評価基準をまとめた表である。
【0092】
【0093】
表3を参照すると、作業性が90%以上であるとき(切れが2回以下で発生する場合)、作業性が‘優秀’であると評価する。作業性が90%未満75%以上であるとき(切れが2回超5回以下で発生する場合)、作業性が‘良好’であると評価する。
【0094】
作業性が75%未満であるとき(切れが5回超で発生する場合)、作業性が‘不十分’であると評価する。
【0095】
作業性が‘不十分’であると評価される場合、工程をこれ以上行うことが不可能であるため、条件を変更することが必要である。
【0096】
触媒の分散性は、本発明によって製造されたPTFEファイバーを用いて不織布を生産したとき、不織布の表面に触媒が均一に分布しているか否かを示す。
【0097】
分散性の評価は、光学顕微鏡で不織布サンプルの任意のスポット(spot)5箇所を観察して行われる。
【0098】
前記任意のスポット5箇所を観察した結果、触媒の凝集が3回未満で観察される場合に、分散性が‘優秀’であると評価する。
【0099】
前記任意のスポット5箇所を観察した結果、触媒の凝集が3回以上6回未満で観察される場合に、分散性が‘良好’であると評価する。
【0100】
前記任意のスポット5箇所を観察した結果、触媒の凝集が6回以上観察される場合に、分散性が‘不十分’であると評価する。
【0101】
De-NOxろ過効率は、Modified BS EN 1822-3試験法を基準として測定された。
【0102】
フィルターファイバーは、32LPMで0.3μmの粒子に対して99.9%以上のろ過効率を有し、このとき、圧力損失は100mmAq以下である。このような触媒ファイバーで不織布を作製して、PTFEメンブレンを複合化して最終作製された触媒フィルターは、3cm3/cm2.s以上の空気透過度を有する。
【0103】
De-NOx効率が7%以上である場合に‘優秀’と評価する。
De-NOx効率が3%以上5%未満である場合に‘普通’と評価する。
De-NOx効率が3%未満である場合に‘悪い’と評価する。
【0104】
上述した基準によって実験結果を示すと、下記の表4の通りである。
【0105】
【0106】
上の表4を見ると、混合工程において触媒の比率、均質化作業の程度(混合速度及び混合時間)、潤滑剤の比率、潤滑剤の噴射速度を調節して、PTFE触媒ファイバーの特性がどのように変わるかを確認することができる。
【0107】
上の表において、ファイバーの生産が不可能であるため、測定が不可能な場合に‘-’と表示した。
【0108】
サンプル1~サンプル3では、混合工程での触媒の比率を0.3%、潤滑剤の比率を25%、潤滑剤の噴射速度を250g/minに固定させ、配合の程度(均質化等級)を変化させた。
【0109】
表2及び表4を参照すると、サンプル1の場合、混合速度は20rpmであり、混合時間は30minである。このような条件では、均質化等級が‘不十分’と確認される。
【0110】
サンプル1の場合、触媒の脱離率は50%、作業性は‘不十分’、生産性は‘下’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘下’と確認された。これによれば、触媒の分散性が低下し、触媒の活性度(De-NOx効率)が非常に低いため、製品化するには問題があることが確認された。
【0111】
図11Aは、サンプル1のビレットを示した写真であり、
図11Bは、サンプル1の圧延シートを示した写真である。
【0112】
図11A及び
図11Bを参照すると、サンプル1の場合、触媒の凝集により、ビレットで薄い縞が生じることを確認できる。これは、触媒が均一に分散していないため、凝集したものと見られる。また、シートで太い斑点状に触媒が凝集しており、ファイバーの生産時に触媒の脱離率が高く、切れ現象が発生する。
【0113】
サンプル2の場合、混合速度は20rpmであり、混合時間は60minである。このような条件では、均質化等級が‘不十分’と確認される。
【0114】
サンプル2の場合、触媒の脱離率は45%、作業性は‘不十分’、生産性は‘下’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル2は、サンプル1に比べて触媒の脱離率及び触媒の分散性は良くなったが、依然として触媒の活性度が低いため、製品化するには問題があることが確認された。
【0115】
図12Aは、サンプル2のビレットを示した写真であり、
図12Bは、サンプル2の圧延シートを示した写真である。
【0116】
図12A及び
図12Bを参照すると、潤滑剤の混合時間を増加させて実験を行った結果、触媒の凝集現象及び切れ現象が一部改善されることを確認したが、触媒の活性度が低いため、製品化し難い。
【0117】
サンプル3の場合、混合速度は18rpmであり、混合時間は60minである。このような条件では、均質化等級が‘良好’と確認される。
【0118】
サンプル3の場合、触媒の脱離率は40%、作業性は‘良好’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル3は、サンプル2に比べて触媒の脱離率、作業性、生産性が良くなったが、依然として触媒の活性度が低いため、製品化するには問題があることが確認された。
【0119】
図13Aは、サンプル3のビレットを示した写真であり、
図13Bは、サンプル3の圧延シートを示した写真である。
【0120】
これを参照すると、触媒の均質化等級を上げる場合、サンプル1及びサンプル2に比べて触媒が凝集する現象が改善されることを確認することができる。これを通じて、触媒の均質化が生産性に影響を与えるということが分かる。
【0121】
サンプル4の場合、混合速度は16rpmであり、混合時間は60minである。このような条件では、均質化等級が‘優秀’と確認される。
【0122】
サンプル4の場合、触媒の脱離率は40%、作業性は‘良好’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル4の結果は、サンプル3の結果とあまり差がないことが確認された。すなわち、サンプル4も、依然として触媒の活性度が低いため、製品化するには問題があることが確認された。
【0123】
図14Aは、サンプル4のビレットを示した写真であり、
図14Bは、サンプル4の圧延シートを示した写真である。これを参照すると、混合速度を下げて触媒の均質化等級を上げる場合、ビレット及びシートの触媒凝集現象がさらに改善されることを確認することができる。
【0124】
サンプル5では、他の条件をサンプル4と同一にし、混合工程での触媒の比率を0.3%から0.4%に約33%向上させた。
【0125】
サンプル5の場合、触媒の脱離率は40%、作業性は‘良好’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル5の結果は、サンプル4の結果とあまり差がないことが確認された。すなわち、サンプル5も、依然として触媒の活性度が低いため、製品化するには問題があることが確認された。
【0126】
サンプル6では、他の条件をサンプル5と同一にし、混合速度を14rpmに下げた。
【0127】
サンプル6の場合、触媒の脱離率は40%、作業性は‘良好’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘上’と確認された。サンプル6では、触媒の分散性が良くなったが、他の結果値はサンプル5とあまり差がないことが確認された。サンプル6も、依然として触媒の活性度が低いため、製品化するには問題があることが確認された。
【0128】
サンプル7では、サンプル6での触媒の比率及び潤滑剤の比率を異ならせた。触媒の比率は0.4%から0.5%に増加させ、潤滑剤の比率は25%から26%に増加させた。
【0129】
結果を確認してみると、サンプル7の場合、触媒の脱離率は30%、作業性は‘良好’、生産性は‘上’、De-NOx効率は‘普通’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル7の結果によれば、触媒の活性度が普通程度に良くなったが、まだ製品化するには活性度が不十分であり、触媒の分散性が低くなったことを確認することができる。また、シートに穴が発生することが確認されるなどの問題が確認された。
【0130】
また、
図15を参照すると、サンプル7では、スリッティング工程中に触媒が多量脱離されることを確認することができる。
【0131】
サンプル8では、触媒の比率0.5%、潤滑剤の比率28%、潤滑剤の噴射速度200g/min、混合速度12rpm、混合時間30minの条件で実験を行った。
【0132】
結果を確認してみると、サンプル8の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘良好’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘普通’、触媒の分散性は‘下’と確認された。サンプル8の場合、触媒が不均一に分布し、活性度が低いため、製品化し難いと判断される。
【0133】
図16を参照すると、サンプル8では、サンプル7に比べて触媒の脱離が大幅に減少したことを確認することができる。
【0134】
サンプル9では、サンプル8よりも混合時間を増やして実験を行った。すなわち、サンプル9では、触媒の比率0.5%、潤滑剤の比率28%、潤滑剤の噴射速度250g/min、混合速度12rpm、混合時間60minとして行った。
【0135】
結果を確認してみると、サンプル9の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘不十分’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘普通’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル9の場合、作業性が低下して、製品の生産が難しいことが確認された。具体的には、ビレット(billet)及びロッド(rod)に問題が発生して、製品を量産するのに問題があることが確認された。
【0136】
図17Aは、サンプル9のビレットを示した写真であり、
図17Bは、サンプル9の圧延シートを示した写真である。
【0137】
図17A及び
図17Bを参照すると、ビレットが割れる現象が発生し、シートが焼結/延伸される過程で微細な穴が生じることも確認された。
【0138】
サンプル10では、触媒の比率0.5%、潤滑剤の比率28%、潤滑剤の噴射速度200g/min、混合速度12rpm、混合時間60minとして行った。
【0139】
結果を確認してみると、サンプル10の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘優秀’、生産性は‘上’、De-NOx効率は‘優秀’、触媒の分散性は‘上’と確認された。実験の結果、測定しようとする特徴が全体的に優れるものと確認され、製品の量産に問題がないことが確認された。
【0140】
図18は、サンプル10のビレットを示した写真である。
【0141】
図18を参照すると、潤滑剤の噴射速度を低下させて実験を行った結果、ビレットにおいて割れ現象が改善され、生産性が向上することを確認した。
【0142】
サンプル11では、触媒の比率0.5%、潤滑剤の比率28%、潤滑剤の噴射速度220g/min、混合速度13rpm、混合時間60minとして行った。
【0143】
結果を確認してみると、サンプル11の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘良好’、生産性は‘上’、De-NOx効率は‘優秀’、触媒の分散性は‘上’と確認された。サンプル10での潤滑剤の噴射速度及び混合速度を若干変化させて実験を行った結果、サンプル11は、サンプル10に比べて作業性が多少低くなったが、‘良好’等級と判断され、製品の量産に問題がないことが確認された。
【0144】
サンプル12では、触媒の比率0.6%、潤滑剤の比率29%、潤滑剤の噴射速度180g/min、混合速度13rpm、混合時間60minとして行った。
【0145】
結果を確認してみると、サンプル12の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘良好’、生産性は‘上’、De-NOx効率は‘優秀’、触媒の分散性は‘上’と確認された。サンプル12は、サンプル10に比べて作業性が多少低くなったが、‘良好’等級と判断され、製品の量産に問題がないことが確認された。
【0146】
すなわち、サンプル10~12がいずれも製品の量産に適した条件であるが、サンプル10の条件が、サンプル11やサンプル12よりも良いことを確認することができる。
【0147】
サンプル13では、サンプル10において、他の条件は固定させ、触媒の比率を増加させた。すなわち、サンプル13の条件は、触媒の比率0.7%、潤滑剤の比率28%、潤滑剤の噴射速度200g/min、混合速度12rpm、混合時間60minである。
【0148】
結果を確認してみると、サンプル13の場合、触媒の脱離率は30%、作業性は‘不十分’、生産性は‘下’、De-NOx効率は‘普通’、触媒の分散性は‘下’と確認された。サンプル13の実験結果、触媒の比率が0.7%以上に高くなる場合、触媒の脱離率が増加し、ファイバーの生産過程で切れが複数回発生し、製品の生産に問題があることを確認することができる。
【0149】
サンプル13の結果から、作業性及び生産性が非常に低くなることを確認したが、これは、潤滑剤の比率を固定させ、触媒の比率のみを増加させたためであり得る。また、パウダーが均質に混合されなかったためであるかも知れないので、サンプル14とサンプル15では、潤滑剤の比率及び混合速度を変更させた。
【0150】
サンプル14の条件は、触媒の比率0.7%、潤滑剤の比率29%、潤滑剤の噴射速度200g/min、混合速度16rpm、混合時間60minである。
【0151】
結果を確認してみると、サンプル14の場合、触媒の脱離率は25%、作業性は‘不十分’、生産性は‘下’、De-NOx効率は‘優秀’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル14の場合、脱硝性能は優れているが、切れの頻度が高いことが確認された。
【0152】
サンプル15では、潤滑剤の比率をさらに高め、混合速度を下げた。
【0153】
具体的には、サンプル15の条件は、触媒の比率0.7%、潤滑剤の比率30%、潤滑剤の噴射速度200g/min、混合速度8rpm、混合時間60minである。
【0154】
結果を確認してみると、サンプル15の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘良好’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘優秀’、触媒の分散性は‘中’と確認された。サンプル15の場合、脱硝性能は優れているが、生産性が低いことが確認された。
【0155】
サンプル16~19では、好ましい実施例であるサンプル10の条件を基準として潤滑剤の噴射速度(サンプル16、サンプル17)の範囲、及び潤滑剤の比率(サンプル18、サンプル19)の範囲を確認した。
【0156】
サンプル16では、他の条件はサンプル10と同一にし、潤滑剤の噴射速度を270g/minに増加させた。
【0157】
結果を確認してみると、サンプル16の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘不十分’、生産性は‘下’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘下’と確認された。潤滑剤の噴射速度が270g/minを超える場合、分散性が低下し、作業性及び生産性も低くなり、製品の量産が難しいことを確認することができる。
【0158】
サンプル17では、他の条件はサンプル10と同一にし、潤滑剤の噴射速度を130g/minに減少させた。
【0159】
結果を確認してみると、サンプル17の場合、触媒の脱離率は20%、作業性は‘良好’、生産性は‘中’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘下’と確認された。潤滑剤の噴射速度が130g/min未満である場合、触媒の凝集現象が発生し、凝集した触媒により、シートに穴が生じたり、シートが破れたりする問題が発生した。
【0160】
サンプル18では、他の条件はサンプル10と同一にし、潤滑剤の比率を25%に減少させた。
【0161】
結果を確認してみると、サンプル18の場合、触媒の脱離率は25%、作業性は‘不十分’、生産性は‘下’、De-NOx効率は‘悪い’、触媒の分散性は‘下’と確認された。潤滑剤の比率が25%未満である場合、シートが硬く、厚さの調節が難しくなることが確認できた。
【0162】
サンプル19では、他の条件はサンプル10と同一にし、潤滑剤の比率を35%に増加させた。
【0163】
この場合、生産が不可能であり、火災発生の可能性が高くなることを確認した。潤滑剤を35%以上に増加させる場合、安全に問題が生じることがある。
【0164】
前記で説明した少なくとも一つの実施例によれば、本願発明では、PTFEメンブレンを適用して排ガス中のダストをフィルターの表面でろ過し、触媒が担持されたバグフィルター内でNOxが反応して窒素酸化物を除去する技術により、NOx及び粉塵を同時に除去できるようになる。また、海外の技術力及び製品に依存しているコーティング方式の触媒フィルターではなく、触媒ファイバー利用方式の触媒フィルターを製造することが可能になる。
【0165】
本明細書で説明される実施例及び添付の図面は、本発明に含まれる技術的思想の一部を例示的に説明するものに過ぎない。したがって、本明細書に開示された実施例は、本発明の技術的思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであるので、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではないことは自明である。本発明の明細書及び図面に含まれた技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推できる変形例及び具体的な実施例はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【国際調査報告】