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特表2024-528795異方性材料のシートを用いた腫瘍治療電場(TTFields)を印加するための電極アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】異方性材料のシートを用いた腫瘍治療電場(TTFields)を印加するための電極アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20240725BHJP
   A61N 1/40 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579827
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 IB2022057233
(87)【国際公開番号】W WO2023012707
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/230,438
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/275,841
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/275,843
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】スタス・オブチョフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ナタリヤ・クプレニク
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・シャピロ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB04
4C053BB05
4C053BB06
4C053BB07
4C053BB25
4C053BB34
4C053LL03
4C053LL13
(57)【要約】
交流電場(たとえば、TTFields)が、異方性材料のシートと、異方性材料のシートの前面に配設された少なくとも1つの導電性材料層と、異方性材料のシートの後に配設された電極素子とを含む1つまたは複数の電極アセンブリを使用して被験体の身体に印加され得る。電極素子は、異方性材料のシートの後面と電気的に接触するように配設された前面を有する。異方性材料のシートは、シートの前面に平行な方向に熱と電流の両方を拡散して、電極アセンブリ上のホットスポットをなくすか、または少なくとも最小にする。これは、延いては、温度安全閾値(たとえば、41℃)を超えることなく電流を増大させることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電場を被験体の身体に印加するための装置であって、
前面と後面とを有する異方性材料のシートであって、前記シートは、前記前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前記前面に平行な方向における前記シートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも2倍以上高い、シートと、
前記シートの前面に配設され、生体適合性の前面を有する少なくとも1つの導電性材料層と、
前記シートの後に位置決めされた第1の電極素子であって、前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第1の前面を有する第1の電極素子と、を備える装置。
【請求項2】
前記第1の電極素子は、前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、前記第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層と、を備え、
前記第1の誘電性材料層の前面は、前記第1の電極素子の第1の前面であり、
前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、前記第1の導電性材料後部層は、前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備え、前記第2の電極素子は前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有し、
前記第2の電極素子は、前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、前記第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層と、を備え、
前記第2の誘電性材料層の前面は、前記第2の電極素子の第2の前面であり、
前記第1の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間に位置決めされ、前記第1の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備え、前記第2の電極素子は前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有し、
前記第2の電極素子は、前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、前記第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層と、を備え、
前記第2の誘電性材料層の前面は、前記第2の電極素子の第2の前面であり、
前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第2の導電性材料後部層をさらに含み、前記第2の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の導電性材料後部層は、導電性ヒドロゲルを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の導電性材料後部層は、導電性接着剤を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記導電性接着剤は、
接着性ポリマーと、
カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブと、を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の電極素子は、前面を有する金属片を含み、
前記金属片の前面は、前記第1の電極素子の第1の前面である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、
前記第1の導電性材料後部層は、前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の電極素子の第1の前面は、前記シートの後面と直接接触して位置決めされる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記異方性材料のシートは、黒鉛のシートである、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記異方性材料のシートは、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記異方性材料のシートは、非金属である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記前面に平行な方向における前記シートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも10倍以上高い、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記シートは、前記前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前記前面に平行な方向における前記シートの抵抗は、前記第1の抵抗の半分未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの導電性材料層は、ヒドロゲルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの導電性材料層は、50から2000μmの間の厚さを有するヒドロゲルの層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの導電性材料層は、導電性接着剤を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記導電性接着剤は、
接着性ポリマーと、
カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブと、を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記シート、前記第1の電極素子、および前記少なくとも1つの導電性材料層を支持するように構成された可撓性自己粘着性バッキングをさらに備え、該可撓性自己粘着性バッキングによって前記少なくとも1つの導電性材料層の前面が被験体の皮膚に当たって位置決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記シートは重心を有し、前記第1の電極素子の第1の前面の重心は、前記シートの重心から3cm未満離れて位置決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の電極素子に電気的に接続されるリードをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記シートは、重心と、前記シートの後面に平行な方向の寸法とを有し、前記第1の電極素子の第1の前面の重心は、前記シートの重心から、前記寸法の30%未満離れて位置決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
交流電場を被験体の身体の標的領域に印加する方法であって、
前記被験体の身体上または体内の第1の位置に第1の電極アセンブリを位置決めするステップであって、前記第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含み、前記第1のシートは前記第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも2倍以上高く、前記第1の電極アセンブリは、前記第1のシートの前記第1の前面が前記標的領域に面するように位置決めされる、ステップと、
前記被験体の身体上または体内の第2の位置に第2の電極アセンブリを位置決めするステップであって、前記第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含み、前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有し、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも2倍以上高く、前記第2の電極アセンブリは、前記第2のシートの前記第2の前面が前記標的領域に面するように位置決めされる、ステップと、
前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加する印加ステップと、を含み、
前記印加ステップは、前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとを位置決めした後に実行される、方法。
【請求項27】
前記印加ステップは、前記第1の後面と電気的に接触して配設された第1の電極素子と、前記第2の後面と電気的に接触して配設された第2の電極素子との間に交流電圧を印加することによって実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の電極素子の第1の温度を測定するステップと、
前記第2の電極素子の第2の温度を測定するステップと、
前記第1の温度および前記第2の温度に基づき印加する前記ステップを制御するステップと、をさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の電極アセンブリは、前記第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含み、
前記第2の電極アセンブリは、前記第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、黒鉛のシートである、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、非金属である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも10倍以上高く、
前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも10倍以上高い、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のシートは、前記第1の前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの抵抗は、前記第1の抵抗の半分未満であり、
前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向において第2の抵抗を有し、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの抵抗は、前記第2の抵抗の半分未満である、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
交流電場を被験体の身体に印加するための装置であって、
前面と後面とを有する異方性材料のシートであって、前記シートは前記前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前記前面に平行な方向における前記シートの抵抗は、前記第1の抵抗の半分未満である、シートと、
前記シートの前面に配設され、生体適合性の前面を有する少なくとも1つの導電性材料層と、
前記シートの後に位置決めされた第1の電極素子であって、前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第1の前面を有する第1の電極素子と、を備える装置。
【請求項36】
前記第1の電極素子は、前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、前記第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備え、
前記第1の誘電性材料層の前面は、前記第1の電極素子の第1の前面であり、
前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、前記第1の導電性材料後部層は、前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備え、前記第2の電極素子は前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有し、
前記第2の電極素子は、前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、前記第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層とを備え、
前記第2の誘電性材料層の前面は、前記第2の電極素子の第2の前面であり、
前記第1の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間に位置決めされ、前記第1の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備え、前記第2の電極素子は前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有し、
前記第2の電極素子は、前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、前記第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層と、を備え、
前記第2の誘電性材料層の前面は、前記第2の電極素子の第2の前面であり、
前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第2の導電性材料後部層をさらに含み、前記第2の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記第1の導電性材料後部層は、導電性ヒドロゲルを含む、請求項36に記載の装置。
【請求項40】
前記第1の導電性材料後部層は、導電性接着剤を含む、請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記導電性接着剤は、
接着性ポリマーと、
カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブと、を含む、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記第1の電極素子は、前面を有する金属片を含み、
前記金属片の前面は、前記第1の電極素子の第1の前面である、請求項35に記載の装置。
【請求項44】
前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、
前記第1の導電性材料後部層は、前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記第1の電極素子の第1の前面は、前記シートの後面と直接接触して位置決めされる、請求項43に記載の装置。
【請求項46】
前記異方性材料のシートは、黒鉛のシートである、請求項35に記載の装置。
【請求項47】
前記異方性材料のシートは、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである、請求項35に記載の装置。
【請求項48】
前記異方性材料のシートは、非金属である、請求項35に記載の装置。
【請求項49】
前記前面に平行な方向における前記シートの抵抗は、前記第1の抵抗の10%未満である、請求項35に記載の装置。
【請求項50】
前記シートは、前記前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前記前面に平行な方向における前記シートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも2倍以上高い、請求項35に記載の装置。
【請求項51】
前記少なくとも1つの導電性材料層は、ヒドロゲルを含む、請求項35に記載の装置。
【請求項52】
前記少なくとも1つの導電性材料層は、50から2000μmの間の厚さを有するヒドロゲルの層を含む、請求項35に記載の装置。
【請求項53】
前記少なくとも1つの導電性材料層は、導電性接着剤を含む、請求項35に記載の装置。
【請求項54】
前記導電性接着剤は、
接着性ポリマーと、
カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブと、を含む、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
前記シート、前記第1の電極素子、および前記少なくとも1つの導電性材料層を支持するように構成された可撓性自己粘着性バッキングをさらに備え、該可撓性自己粘着性バッキングによって前記少なくとも1つの導電性材料層の前面が被験体の皮膚に当たって位置決めされる、請求項35に記載の装置。
【請求項57】
前記シートは重心を有し、前記第1の電極素子の第1の前面の重心は、前記シートの重心から3cm未満離れて位置決めされる、請求項35に記載の装置。
【請求項58】
前記第1の電極素子に電気的に接続されるリードをさらに備える請求項35に記載の装置。
【請求項59】
前記シートは、重心と、前記シートの後面に平行な方向の寸法とを有し、前記第1の電極素子の第1の前面の重心は、前記シートの重心から、前記寸法の30%未満離れて位置決めされる、請求項35に記載の装置。
【請求項60】
交流電場を被験体の身体の標的領域に印加する方法であって、
前記被験体の身体上または体内の第1の位置に第1の電極アセンブリを位置決めするステップであって、前記第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含み、前記第1のシートは前記第1の前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの抵抗は、前記第1の抵抗の半分未満であり、前記第1の電極アセンブリは、前記第1のシートの前記第1の前面が前記標的領域に面するように位置決めされる、ステップと、
前記被験体の身体上または体内の第2の位置に第2の電極アセンブリを位置決めするステップであって、前記第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含み、前記第2のシートは前記第2の前面に垂直な方向において第2の抵抗を有し、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの抵抗は、前記第2の抵抗の半分未満であり、前記第2の電極アセンブリは、前記第2のシートの前記第2の前面が前記標的領域に面するように位置決めされる、ステップと、
前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加する印加ステップと、を含み、
前記印加ステップは、前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとを位置決めした後に実行される、方法。
【請求項61】
前記印加ステップは、前記第1の後面と電気的に接触して配設された第1の電極素子と、前記第2の後面と電気的に接触して配設された第2の電極素子との間に交流電圧を印加することによって実施される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の電極素子の第1の温度を測定するステップと、
前記第2の電極素子の第2の温度を測定するステップと、
前記第1の温度および前記第2の温度に基づき前記印加ステップを制御するステップと、をさらに含む請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の電極アセンブリは、前記第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含み、
前記第2の電極アセンブリは、前記第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、黒鉛のシートである、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、非金属である、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの抵抗は、前記第1の抵抗の10%未満であり、
前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの抵抗は、前記第2の抵抗の10%未満である、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記第1のシートは、前記第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも2倍以上高く、
前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有し、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも2倍以上高い、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
被験体の病気を、交流電場を前記被験体の身体の標的領域に印加することによって治療する方法であって、
前記被験体の身体上または体内の第1の位置に第1の電極アセンブリを位置決めするステップであって、前記第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する導電性異方性材料の第1のシートを含み、前記第1のシートは前記第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも2倍以上高く、前記第1の電極アセンブリは、前記第1のシートの第1の前面が前記標的領域に面するように位置決めされる、ステップと、
前記被験体の身体上または体内の第2の位置に第2の電極アセンブリを位置決めするステップであって、前記第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する導電性異方性材料の第2のシートを含み、前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有し、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも2倍以上高く、前記第2の電極アセンブリは、前記第2のシートの前記第2の前面が前記標的領域に面するように位置決めされる、ステップと、
前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加する印加ステップと、を含み、
前記印加ステップは、前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとを位置決めした後に実行される、含む方法。
【請求項70】
印加する前記ステップは、前記第1の後面と電気的に接触して配設された第1の電極素子と、前記第2の後面と電気的に接触して配設された第2の電極素子との間に交流電圧を印加することによって実施される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記標的領域は、前記被験体の胴体、脳、および腹部のうちの1つから選択される領域内にある、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記病気は、癌である、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記癌は、多形性膠芽細胞腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝細胞癌、ブドウ膜癌および肝臓癌のうちから選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
1つまたは複数の抗癌剤を投与するステップをさらに含む請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記抗癌剤の1つまたは複数は、テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブ-パクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、デパツキシズマブマフォドチンおよびABT-751のうちから選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
免疫チェックポイント阻害剤を投与するステップをさらに含む請求項72に記載の方法。
【請求項77】
前記免疫チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記癌は多形性膠芽腫であり、テモゾロミドを投与するステップをさらに含む請求項72に記載の方法。
【請求項79】
放射線療法を投与するステップをさらに含む請求項72に記載の方法。
【請求項80】
E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、およびPARP阻害剤のうちの1つまたは複数を投与するステップさらに含む請求項79に記載の方法。
【請求項81】
E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、およびPARP阻害剤のうちの1つまたは複数を投与するステップをさらに含む請求項69に記載の方法。
【請求項82】
前記病気は、神経変性疾患である、請求項69に記載の方法。
【請求項83】
前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、神経線維腫症、多発性硬化症、または認知症のうちから選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記病気は、自己免疫疾患である、請求項69に記載の方法。
【請求項85】
前記自己免疫疾患は、ラスムッセン脳炎(RE)、ループス腎炎、1型糖尿病、関節リウマチ、および多発性筋炎のうちから選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の電極素子の第1の温度を測定するステップと、
前記第2の電極素子の第2の温度を測定するステップと、
前記第1の温度および前記第2の温度に基づき前記印加ステップを制御するステップと、をさらに含む請求項70に記載の方法。
【請求項87】
前記第1の電極アセンブリは、前記第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含み、
前記第2の電極アセンブリは、前記第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項88】
前記導電性異方性材料の第1のシートおよび前記導電性異方性材料の第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシートである、請求項69に記載の方法。
【請求項89】
前記導電性異方性材料の第1のシートおよび前記導電性異方性材料の第2のシートの各々は、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである、請求項69に記載の方法。
【請求項90】
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも10倍以上高く、
前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも10倍以上高い、請求項69に記載の方法。
【請求項91】
前記第1のシートは、前記第1の前面に垂直な方向における前記第1のシートの抵抗の1/2未満である前記第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、
前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向における前記第2のシートの抵抗の1/2未満である前記第2の前面に平行な方向における抵抗を有する、請求項69に記載の方法。
【請求項92】
前記第1のシートは、前記第1の前面に垂直な方向における前記第1のシートの抵抗の10%未満である前記第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、
前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向における前記第2のシートの抵抗の10%未満である前記第2の前面に平行な方向における抵抗を有する、請求項69に記載の方法。
【請求項93】
テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、デパツキシズマブマフォドチン、およびABT-751の1つまたは複数から選択され、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療用の化学療法薬であって、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される化学療法薬。
【請求項94】
前記交流電場の前記印加は、異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項95】
前記化学療法薬は、免疫チェックポイント阻害剤の投与とさらに組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項96】
前記化学療法薬は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択された免疫チェックポイント阻害剤の投与とさらに組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項97】
前記癌は多形性膠芽腫であり、前記化学療法薬はテモゾロミドを含む、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項98】
前記癌は多形性膠芽腫であり、前記化学療法薬は、テモゾロミドを含み、免疫チェックポイント阻害剤の投与とさらに組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項99】
前記癌は多形性膠芽腫であり、前記化学療法薬はテモゾロミドを含み、ペムブロリズマブとさらに組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項100】
前記化学療法薬は、放射線療法の投与とさらに組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項101】
前記化学療法薬は、E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、およびPARP阻害剤のうちの1つまたは複数とさらに組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項102】
前記化学療法薬は、黒鉛のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項103】
前記化学療法薬は、熱分解黒鉛、または高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔シート、または黒鉛化ポリマーフィルムを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項104】
前記交流電場の印加は、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施され、
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも2倍以上高く、
前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも2倍以上高い、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項105】
前記交流電場の印加は、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施され、
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも10倍以上高く、
前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも10倍以上高い、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項106】
前記交流電場の印加は、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施され、
前記第1のシートは、前記第1の前面に垂直な方向における前記第1のシートの抵抗の1/2未満である前記第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、
前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向における前記第2のシートの抵抗の1/2未満である前記第2の前面に平行な方向における抵抗を有する請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項107】
前記交流電場の印加は、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施され、
前記第1のシートは、前記第1の前面に垂直な方向における前記第1のシートの抵抗の10%未満である前記第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、
前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向における前記第2のシートの抵抗の10%未満である前記第2の前面に平行な方向における抵抗を有する、請求項93に記載の化学療法薬。
【請求項108】
ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択され、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療用の免疫チェックポイント阻害剤であって、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤。
【請求項109】
HLM006474、MRT00033659、YKL-5-124-TFA、YKL-5-124、アベマシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、イブランス、レロシクリブ、アルボシディブ、ロニシクリブ、リビシクリブ、ミルシクリブ、RGB-286638、NSN3106729、PHA-793887、R547、インジルビン、NU610 2、ボヘミン、CDK9-IN-7、CGP60474、プルバラノールA、PF-06873600、ニンボリド、FN-1501、AG-024322、ON123300、G1T28、G1T38、AMG925、SHR-6390、BPI-1178、BPI-16350、FCN437、ビロシクリブ、BEBT-209、Ty-302、TQB-3616、HS-10342、PF-06842874、CS-2002、MM-D37K、CDK4/6-IN-2、SU9516、AT7519、ニラパリブ、オラパリブ、およびルカパリブの1つまたは複数のうちから選択され、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療用のE2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤であって、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与されるE2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤。
【請求項110】
テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、デパツキシズマブマフォドチン、およびABT-から選択され、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療用の薬剤の製造に使用される、化学療法薬の使用であって、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される化学療法薬の使用。
【請求項111】
ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択され、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療用の薬剤の製造に使用される、免疫チェックポイント阻害剤の使用であって、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤の使用。
【請求項112】
HLM006474、MRT00033659、YKL-5-124-TFA、YKL-5-124、アベマシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、イブランス、レロシクリブ、アルボシディブ、ロニシクリブ、リビシクリブ、ミルシクリブ、RGB-286638、NSN3106729、PHA-793887、R547、インジルビン、NU610 2、ボヘミン、CDK9-IN-7、CGP60474、プルバラノールA、PF-06873600、ニンボリド、FN-1501、AG-024322、ON123300、G1T28、G1T38、AMG925、SHR-6390、BPI-1178、BPI-16350、FCN437、ビロシクリブ、BEBT-209、Ty-302、TQB-3616、HS-10342、PF-06842874、CS-2002、MM-D37K、CDK4/6-IN-2、SU9516、AT7519、ニラパリブ、オラパリブ、およびルカパリブの1つまたは複数のうちから選択されたE2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤の、医薬品の製造の際の使用であって、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療に使用され、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与されるE2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤の使用。
【請求項113】
前記E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤は、放射線療法と組み合わせてさらに投与される請求項112に記載の使用。
【請求項114】
交流電場を被験体の身体の標的領域に印加するための装置であって、
第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリであって、前記第1のシートは前記第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも2倍以上高い、第1の電極アセンブリと、
第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリであって、前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有し、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも2倍以上高い、第2の電極アセンブリと、
前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加するように構成される交流電圧発生器と、を備える装置。
【請求項115】
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも10倍以上高く、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の熱伝導率よりも10倍以上高い、請求項114に記載の装置。
【請求項116】
前記第1の電極アセンブリは、前記第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含み、
前記第2の電極アセンブリは、前記第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む、請求項114に記載の装置。
【請求項117】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、黒鉛のシートである、請求項114に記載の装置。
【請求項118】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである請求項114に記載の装置。
【請求項119】
交流電場を被験体の身体の標的領域に印加するための装置であって、
第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリであって、前記第1のシートは前記第1の前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの抵抗は、前記第1の抵抗の半分未満である、第1の電極アセンブリと、
第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリであって、前記第2のシートは前記第2の前面に垂直な方向において第2の抵抗を有し、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの抵抗は、前記第2の抵抗の半分未満である、第2の電極アセンブリと、
前記第1の電極アセンブリと前記第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加するように構成される交流電圧発生器と、を備える装置。
【請求項120】
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの抵抗は、前記第1の抵抗の10%未満であり、前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの抵抗は、前記第2の抵抗の10%未満である、請求項119に記載の装置。
【請求項121】
前記第1の電極アセンブリは、前記第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含み、
前記第2の電極アセンブリは、前記第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む、請求項119に記載の装置。
【請求項122】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、黒鉛のシートである、請求項119に記載の装置。
【請求項123】
前記異方性材料の第1のシートおよび前記異方性材料の第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである、請求項119に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、米国仮出願第63/230438号(2021年8月6日出願)、米国仮出願第63/275841号(2021年11月4日出願)、および米国仮出願第63/275843号(2021年11月4日出願)の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場(TTField)療法は、たとえば、100~500kHzなど、50kHzから1MHzの間の周波数の交流電場を使用して腫瘍を治療するための実績のあるアプローチである。交流電場は、被験体の身体の反対側に留置された電極アセンブリ(たとえば、トランスデューサアレイとも呼ばれる、容量結合電極のアレイ)によって誘導される。対向する電極アセンブリの間にAC電圧が印加されたときに、AC電流が電極アセンブリを通って被験体の身体に結合される。そして、より高い電流は、より高い治療効果と強く相関している。
【0003】
図1Aは、X1~X9とラベル付けされている、9つの従来技術の電極素子を含む従来技術の電極アセンブリ40の概略図である。図1Bは、図1Aの破線に沿って取られた、電極アセンブリ40の電極素子X7~X9の断面概略図である。
【0004】
図1Bに示されているように、電極素子X7(例として取られている)は、金属層(斜めのハッチングで示されている)とセラミック(誘電性材料)層とを含む。導電性ヒドロゲルのそれぞれの層が、各セラミック層と被験体の皮膚との間には設けられ、電極素子の身体との良好な電気的接触を確保する。AC電圧発生器(図示せず)からのAC電圧が、対向する電極アセンブリの電極素子の金属層に印加され、被験体の身体にTTFieldを発生させる。
【0005】
使用中、ヒドロゲルおよび電極素子の下の皮膚はだんだん熱くなるので、安全性を考慮して、皮膚温度が安全閾値(たとえば、41℃)未満に保たれることを必要とする。熱の大部分は(図1Cに示されているように)電極素子X1~X9の真下に現れるので、従来技術の電極アセンブリは、電極素子の真下にホットスポットを有し、電極素子の間に位置する低温領域が位置決めされる。そして、それらのホットスポットは、従来技術の電極アセンブリを通して供給され得る電流の量を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、交流電場を被験体の身体に印加するための第1の装置に向けられている。第1の装置は、異方性材料のシートと、少なくとも1つの導電性材料層と、第1の電極素子とを備える。異方性材料のシートは、前面と後面を有する。シートは、前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前面に平行な方向におけるシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。少なくとも1つの導電性材料層は、シートの前面に配設され、生体適合性の前面を有する。第1の電極素子は、シートの後に位置決めされ、第1の電極素子は、シートの後面と電気的に接触するように配設された第1の前面を有する。
【0007】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層(リア層)をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。任意選択で、これらの実施形態において、第1の導電性材料後部層は、導電性ヒドロゲルを含み得る。
【0008】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。これらの実施形態は、また、シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備える。第2の電極素子は、シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有する。第2の電極素子は、(i)前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、(ii)第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層とを備える。第2の誘電性材料層の前面は、第2の電極素子の第2の前面である。第1の導電性材料後部層は、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間に位置決めされ、第1の導電性材料後部層は、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。
【0009】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。これらの実施形態は、また、シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備える。第2の電極素子は、シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有する。第2の電極素子は、(i)前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、(ii)第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層とを備える。第2の誘電性材料層の前面は、第2の電極素子の第2の前面である。これらの実施形態は、また、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間に位置決めされた第2の導電性材料後部層をさらに含む。第2の導電性材料後部層は、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。
【0010】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。これらの実施形態において、第1の導電性材料後部層は、導電性接着剤である。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、接着性ポリマーと、カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブとを含み得る。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する。
【0011】
第1の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、前面を有する金属片を含み、金属片の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。任意選択で、これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含むものとしてよく、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。任意選択で、これらの実施形態において、第1の電極素子の第1の前面は、シートの後面と直接接触して位置決めされ得る。
【0012】
第1の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料のシートは、黒鉛のシートである。第1の装置のいくつかの実施形態では、異方性材料のシートは、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛(compressed high purity exfoliated mineral graphite)製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである。第1の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料のシートは、非金属である。
【0013】
第1の装置のいくつかの実施形態において、前面に平行な方向におけるシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも10倍以上高い。第1の装置のいくつかの実施形態において、シートは、前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前面に平行な方向におけるシートの抵抗は、第1の抵抗の半分未満である。
【0014】
第1の装置のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層は、ヒドロゲルを含む。第1の装置のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層は、50から2000μmの間の厚さを有するヒドロゲルの層を含む。
【0015】
第1の装置のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層は、導電性接着剤を含む。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、接着性ポリマーと、カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブとを含み得る。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する。
【0016】
第1の装置のいくつかの実施形態は、シート、第1の電極素子、および少なくとも1つの導電性材料層を支持するように構成された可撓性自己粘着性バッキングをさらに備え、それにより少なくとも1つの導電性材料層の前面が被験体の皮膚に当たって位置決めされ得る。
【0017】
第1の装置のいくつかの実施形態において、シートは重心を有し、第1の電極素子の第1の前面の重心は、シートの重心から3cm未満離れて位置決めされる。第1の装置のいくつかの実施形態において、シートは、重心と、シートの後面に平行な方向の寸法とを有し、第1の電極素子の第1の前面の重心は、シートの重心から、この寸法の30%未満離れて位置決めされる。
【0018】
第1の装置のいくつかの実施形態は、第1の電極素子に電気的に接続されるリードをさらに備える。
【0019】
本発明の別の態様は、交流電場を被験体の体内の標的領域に印加する第1の方法に向けられている。第1の方法は、被験体の身体上または体内の第1の位置に第1の電極アセンブリを位置決めすることを含む。第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む。第1のシートは、第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有する。第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。第1の電極アセンブリは、第1のシートの第1の前面が標的領域に面するように位置決めされる。第1の方法は、被験体の身体上または体内の第2の位置に第2の電極アセンブリを位置決めすることも含む。第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む。第2のシートは、第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有する。第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも2倍以上高い。第2の電極アセンブリは、第2のシートの第2の前面が標的領域に面するように位置決めされる。第1の方法は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することも含む。この印加は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとを位置決めした後に実行される。
【0020】
第1の方法のいくつかの事例において、印加することは、(i)第1の後面と電気的に接触して配設された第1の電極素子と、(ii)第2の後面と電気的に接触して配設された第2の電極素子との間に交流電圧を印加することによって実施される。
【0021】
第1の方法のいくつかの事例は、第1の電極素子の第1の温度を測定することと、第2の電極素子の第2の温度を測定することと、第1の温度および第2の温度に基づき印加することを制御することとをさらに含む。
【0022】
第1の方法のいくつかの事例において、第1の電極アセンブリは、第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含む。これらの事例において、第2の電極アセンブリは、第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む。
【0023】
第1の方法のいくつかの事例において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、黒鉛のシートである。第1の方法のいくつかの事例では、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである。第1の方法のいくつかの事例において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、非金属である。
【0024】
第1の方法のいくつかの事例において、第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも10倍以上高く、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも10倍以上高い。
【0025】
第1の方法のいくつかの事例において、第1のシートは、第1の前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、第1の前面に平行な方向における第1のシートの抵抗は、第1の抵抗の半分未満である。第2のシートは、第2の前面に垂直な方向において第2の抵抗を有し、第2の前面に平行な方向における第2のシートの抵抗は、第2の抵抗の半分未満である。
【0026】
本発明の別の態様は、交流電場を被験体の身体に印加するための第2の装置に向けられている。第2の装置は、異方性材料のシートと、少なくとも1つの導電性材料層と、第1の電極素子とを備える。異方性材料のシートは、前面および後面を有する。シートは、前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前面に平行な方向におけるシートの抵抗は、第1の抵抗の半分未満である。少なくとも1つの導電性材料層は、シートの前面に配設され、生体適合性の前面を有する。第1の電極素子は、シートの後に位置決めされ、第1の電極素子は、シートの後面と電気的に接触するように配設された第1の前面を有する。
【0027】
第2の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。任意選択で、これらの実施形態において、第1の導電性材料後部層は、導電性ヒドロゲルを含み得る。
【0028】
第2の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。これらの実施形態は、また、シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備える。第2の電極素子は、シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有する。第2の電極素子は、(i)前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、(ii)第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層とを備える。第2の誘電性材料層の前面は、第2の電極素子の第2の前面である。第1の導電性材料後部層は、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間に位置決めされ、第1の導電性材料後部層は、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。
【0029】
第2の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。これらの実施形態は、また、シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備える。第2の電極素子は、シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有する。第2の電極素子は、(i)前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、(ii)第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層とを備える。第2の誘電性材料層の前面は、第2の電極素子の第2の前面である。装置は、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間に位置決めされた第2の導電性材料後部層をさらに含み、第2の導電性材料後部層は、第2の電極素子の第2の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。
【0030】
第2の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、(i)前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、(ii)第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備える。第1の誘電性材料層の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。これらの実施形態において、第1の導電性材料後部層は、導電性接着剤を含む。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、接着性ポリマーと、カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブとを含み得る。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する。
【0031】
第2の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極素子は、前面を有する金属片を含み、金属片の前面は、第1の電極素子の第1の前面である。任意選択で、これらの実施形態は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含むものとしてよく、第1の導電性材料後部層は、第1の電極素子の第1の前面とシートの後面との間の電気的接触を促進する。任意選択で、これらの実施形態において、第1の電極素子の第1の前面は、シートの後面と直接接触して位置決めされ得る。
【0032】
第2の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料のシートは、黒鉛のシートである。第2の装置のいくつかの実施形態では、異方性材料のシートは、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである。第2の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料のシートは、非金属である。
【0033】
第2の装置のいくつかの実施形態において、前面に平行な方向におけるシートの抵抗は、第1の抵抗の10%未満である。
【0034】
第2の装置のいくつかの実施形態において、シートは、前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前面に平行な方向におけるシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。
【0035】
第2の装置のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層は、ヒドロゲルを含む。第2の装置のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層は、50から2000μmの間の厚さを有するヒドロゲルの層を含む。
【0036】
第2の装置のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層は、導電性接着剤を含む。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、接着性ポリマーと、カーボンの粉末、粒子、繊維、薄片、またはナノチューブとを含む。任意選択で、これらの実施形態において、導電性接着剤は、10から2000μmの間の厚さを有する。
【0037】
第2の装置のいくつかの実施形態は、シート、第1の電極素子、および少なくとも1つの導電性材料層を支持するように構成された可撓性自己粘着性バッキングをさらに備え、それにより少なくとも1つの導電性材料層の前面が被験体の皮膚に当たって位置決めされ得る。
【0038】
第2の装置のいくつかの実施形態において、シートは重心を有し、第1の電極素子の第1の前面の重心は、シートの重心から3cm未満離れて位置決めされる。第2の装置のいくつかの実施形態において、シートは、重心と、シートの後面に平行な方向の寸法とを有し、第1の電極素子の第1の前面の重心は、シートの重心から、この寸法の10%未満離れて位置決めされる。
【0039】
第2の装置のいくつかの実施形態は、第1の電極素子に電気的に接続されるリードをさらに備える。
【0040】
本発明の別の態様は、交流電場を被験体の体内の標的領域に印加する第2の方法に向けられている。第2の方法は、被験体の身体上または体内の第1の位置に第1の電極アセンブリを位置決めすることを含む。第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む。第1のシートは、第1の前面に垂直な方向において第1の抵抗を有する。第1の前面に平行な方向における第1のシートの抵抗は、第1の抵抗の半分未満である。第1の電極アセンブリは、第1のシートの第1の前面が標的領域に面するように位置決めされる。第2の方法は、被験体の身体上または体内の第2の位置に第2の電極アセンブリを位置決めすることも含む。第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む。第2のシートは、第2の前面に垂直な方向において第2の抵抗を有する。第2の前面に平行な方向における第2のシートの抵抗は、第2の抵抗の半分未満である。第2の電極アセンブリは、第2のシートの第2の前面が標的領域に面するように位置決めされる。第2の方法は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することも含む。この印加は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとを位置決めした後に実行される。
【0041】
第2の方法のいくつかの事例において、印加することは、(i)第1の後面と電気的に接触して配設された第1の電極素子と、(ii)第2の後面と電気的に接触して配設された第2の電極素子との間に交流電圧を印加することによって実施される。
【0042】
第2の方法のいくつかの事例は、第1の電極素子の第1の温度を測定することと、第2の電極素子の第2の温度を測定することと、第1の温度および第2の温度に基づき印加することを制御することとをさらに含む。
【0043】
第2の方法のいくつかの事例において、第1の電極アセンブリは、第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含む。第2の電極アセンブリは、第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む。
【0044】
第2の方法のいくつかの事例において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、黒鉛のシートである。第2の方法のいくつかの事例では、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである。第2の方法のいくつかの事例において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、非金属である。
【0045】
第2の方法のいくつかの事例において、第1の前面に平行な方向における第1のシートの抵抗は、第1の抵抗の10%未満である。そして、第2の前面に平行な方向における第2のシートの抵抗は、第2の抵抗の10%未満である。
【0046】
第2の方法のいくつかの事例において、第1のシートは、第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。そして、第2のシートは、第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有し、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも2倍以上高い。
【0047】
本発明の別の態様は、交流電場を被験体の体内の標的領域に印加することによって被験体の病気を治療する第3の方法に向けられている。第3の方法は、被験体の身体上または体内の第1の位置に第1の電極アセンブリを位置決めすることを含む。第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する導電性異方性材料の第1のシートを含む。第1のシートは、第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。第1の電極アセンブリは、第1のシートの第1の前面が標的領域に面するように位置決めされる。第3の方法は、被験体の身体上または体内の第2の位置に第2の電極アセンブリを位置決めすることも含む。第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する導電性異方性材料の第2のシートを含む。第2のシートは、第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有し、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも2倍以上高い。第2の電極アセンブリは、第2のシートの第2の前面が標的領域に面するように位置決めされる。そして、第3の方法は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することも含む。この印加は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとを位置決めした後に実行される。
【0048】
第3の方法のいくつかの事例において、印加することは、(i)第1の後面と電気的に接触して配設された第1の電極素子と、(ii)第2の後面と電気的に接触して配設された第2の電極素子との間に交流電圧を印加することによって実施される。第3の方法のいくつかの事例において、標的領域は、被験体の胴体、脳、および腹部のうちの1つから選択される領域内にある。
【0049】
第3の方法のいくつかの事例において、病気は癌である。任意選択で、これらの事例において、癌は、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝細胞癌、ブドウ膜癌および肝臓癌のうちから選択される。
【0050】
第3の方法のいくつかの事例において、病気は癌であり、この方法は、1つまたは複数の抗癌剤を投与することをさらに含む。任意選択で、これらの事例において、抗癌剤の1つまたは複数は、テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、デパツキシズマブマフォドチンおよびABT-751のうちから選択される。
【0051】
第3の方法のいくつかの事例において、病気は癌であり、この方法は、免疫チェックポイント阻害剤の投与をさらに含む。任意選択で、これらの実施態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択される。
【0052】
第3の方法のいくつかの事例において、病気は癌であり、癌は多形性膠芽腫であり、この方法は、テモゾロミドの投与をさらに含む。
【0053】
第3の方法のいくつかの事例において、病気は癌であり、この方法は、放射線療法の投与をさらに含む。任意選択で、これらの事例は、E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、およびPARP阻害剤のうちの1つまたは複数の投与をさらに含み得る。
【0054】
第3の方法のいくつかの事例は、E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、およびPARP阻害剤のうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。
【0055】
第3の方法のいくつかの事例において、病気は神経変性疾患である。任意選択で、これらの事例において、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、神経線維腫症、多発性硬化症、または認知症のうちから選択される。
【0056】
第3の方法のいくつかの事例において、病気は自己免疫疾患である。任意選択で、これらの事例において、自己免疫疾患は、ラスムッセン脳炎(RE)、ループス腎炎、1型糖尿病、関節リウマチ、および多発性筋炎のうちから選択される。
【0057】
第3の方法のいくつかの事例は、第1の電極素子の第1の温度を測定することと、第2の電極素子の第2の温度を測定することと、第1の温度および第2の温度に基づき印加することを制御することとをさらに含む。
【0058】
第3の方法のいくつかの事例において、第1の電極アセンブリは、第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含む。第2の電極アセンブリは、第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む。
【0059】
第3の方法のいくつかの事例において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシートである。第3の方法のいくつかの事例では、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである。
【0060】
第3の方法のいくつかの事例において、第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも10倍以上高く、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも10倍以上高い。
【0061】
第3の方法のいくつかの事例において、第1のシートは、第1の前面に垂直な方向における第1のシートの抵抗の1/2未満である第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、第2のシートは、第2の前面に垂直な方向における第2のシートの抵抗の1/2未満である第2の前面に平行な方向における抵抗を有する。
【0062】
第3の方法のいくつかの事例において、第1のシートは、第1の前面に垂直な方向における第1のシートの抵抗の10%未満である第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、第2のシートは、第2の前面に垂直な方向における第2のシートの抵抗の10%未満である第2の前面に平行な方向における抵抗を有する。
【0063】
本発明の別の態様は、テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、デパツキシズマブマフォドチン、およびABT-751の1つまたは複数から選択される化学療法薬に向けられており、これらは多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療に使用される。化学療法薬は、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して、50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。
【0064】
任意選択で、交流電場の印加は、(i)異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと(ii)異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施される。
【0065】
任意選択で、化学療法薬は、免疫チェックポイント阻害剤の投与とさらに組み合わせて投与される。任意選択で、化学療法薬は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択された免疫チェックポイント阻害剤の投与とさらに組み合わせて投与される。
【0066】
任意選択で、癌は多形性膠芽腫であり、化学療法薬はテモゾロミドを含む。任意選択で、癌は多形性膠芽腫であり、化学療法薬は、テモゾロミドを含み、免疫チェックポイント阻害剤の投与とさらに組み合わせて投与される。任意選択で、癌は多形性膠芽腫であり、化学療法薬は、テモゾロミドを含み、ペムブロリズマブとさらに組み合わせて投与される。
【0067】
任意選択で、化学療法薬は、放射線療法とさらに組み合わせて投与される。
【0068】
任意選択で、化学療法薬は、E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、およびPARP阻害剤のうちの1つまたは複数とさらに組み合わせて投与される。
【0069】
任意選択で、化学療法薬は、黒鉛のシートを含む電極アセンブリを使用して、50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。
【0070】
任意選択で、化学療法薬は、熱分解黒鉛、または高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔シート、または黒鉛化ポリマーフィルムを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。
【0071】
任意選択で、交流電場の印加は、(i)第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと(ii)第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施される。第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも2倍以上高く、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも2倍以上高い。
【0072】
任意選択で、交流電場の印加は、(i)第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと(ii)第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施される。第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも10倍以上高く、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも10倍以上高い。
【0073】
任意選択で、交流電場の印加は、(i)第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと(ii)第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施される。第1のシートは、第1の前面に垂直な方向における第1のシートの抵抗の1/2未満である第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、第2のシートは、第2の前面に垂直な方向における第2のシートの抵抗の1/2未満である第2の前面に平行な方向における抵抗を有する。
【0074】
任意選択で、交流電場の印加は、(i)第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと(ii)第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施される。第1のシートは、第1の前面に垂直な方向における第1のシートの抵抗の10%未満である第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、第2のシートは、第2の前面に垂直な方向における第2のシートの抵抗の10%未満である第2の前面に平行な方向における抵抗を有する。
【0075】
本発明の別の態様は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択された免疫チェックポイント阻害剤に向けられており、これらは多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療に使用される。免疫チェックポイント阻害剤は、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して、50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。
【0076】
本発明の別の態様は、HLM006474、MRT00033659、YKL-5-124-TFA、YKL-5-124、アベマシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、イブランス、レロシクリブ、アルボシディブ、ロニシクリブ、リビシクリブ、ミルシクリブ、RGB-286638、NSN3106729、PHA-793887、R547、インジルビン、NU610 2、ボヘミン、CDK9-IN-7、CGP60474、プルバラノールA、PF-06873600、ニンボリド、FN-1501、AG-024322、ON123300、G1T28、G1T38、AMG925、SHR-6390、BPI-1178、BPI-16350、FCN437、ビロシクリブ、BEBT-209、Ty-302、TQB-3616、HS-10342、PF-06842874、CS-2002、MM-D37K、CDK4/6-IN-2、SU9516、AT7519、ニラパリブ、オラパリブ、およびルカパリブの1つまたは複数のうちから選択されるE2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤に向けられており、これらは多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療に使用される。E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤は、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して、50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。
【0077】
本発明の別の態様は、テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、デパツキシズマブマフォドチン、およびABT-751のうちから選択される化学療法薬の使用に向けられており、これらは多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療のための薬剤の製造に使用される。化学療法薬は、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して、50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。
【0078】
本発明の別の態様は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択された免疫チェックポイント阻害剤の使用に向けられており、これらは多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療のための薬剤の製造に使用される。免疫チェックポイント阻害剤は、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して、50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。
【0079】
本発明の別の態様は、HLM006474、MRT00033659、YKL-5-124-TFA、YKL-5-124、アベマシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、イブランス、レロシクリブ、アルボシディブ、ロニシクリブ、リビシクリブ、ミルシクリブ、RGB-286638、NSN3106729、PHA-793887、R547、インジルビン、NU610 2、ボヘミン、CDK9-IN-7、CGP60474、プルバラノールA、PF-06873600、ニンボリド、FN-1501、AG-024322、ON123300、G1T28、G1T38、AMG925、SHR-6390、BPI-1178、BPI-16350、FCN437、ビロシクリブ、BEBT-209、Ty-302、TQB-3616、HS-10342、PF-06842874、CS-2002、MM-D37K、CDK4/6-IN-2、SU9516、AT7519、ニラパリブ、オラパリブ、およびルカパリブの1つまたは複数のうちから選択されるE2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤を、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療で使用するための薬剤の製造に使用することに向けられている。E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤は、異方性材料のシートを含む電極アセンブリを使用して、50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される。任意選択で、E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤は、放射線療法と組み合わせてさらに投与される。
【0080】
本発明の別の態様は、交流電場を被験体の体内の標的領域に印加するための第3の装置に向けられている。第3の装置は、第1の電極アセンブリ、第2の電極アセンブリ、および交流電圧発生器を備える。第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む。第1のシートは、第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む。第2のシートは、第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有し、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも2倍以上高い。交流電圧発生器は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加するように構成される。
【0081】
第3の装置のいくつかの実施形態において、第1の前面に平行な方向における第1のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも10倍以上高く、第2の前面に平行な方向における第2のシートの熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも10倍以上高い。
【0082】
第3の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極アセンブリは、第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含み、第2の電極アセンブリは、第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む。
【0083】
第3の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、黒鉛のシートである。第3の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである。
【0084】
本発明の別の態様は、交流電場を被験体の体内の標的領域に印加するための第4の装置に向けられている。第4の装置は、第1の電極アセンブリ、第2の電極アセンブリ、および交流電圧発生器を備える。第1の電極アセンブリは、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む。第1のシートは、第1の前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、第1の前面に平行な方向における第1のシートの抵抗は、第1の抵抗の半分未満である。第2の電極アセンブリは、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む。第2のシートは、第2の前面に垂直な方向において第2の抵抗を有し、第2の前面に平行な方向における第2のシートの抵抗は、第2の抵抗の半分未満である。交流電圧発生器は、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加するように構成される。
【0085】
第4の装置のいくつかの実施形態において、第1の前面に平行な方向における第1のシートの抵抗は、第1の抵抗の10%未満であり、第2の前面に平行な方向における第2のシートの抵抗は、第2の抵抗の10%未満である。
【0086】
第4の装置のいくつかの実施形態において、第1の電極アセンブリは、第1の前面上に配設された第1の導電性材料層をさらに含み、第2の電極アセンブリは、第2の前面上に配設された第2の導電性材料層をさらに含む。
【0087】
第4の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、黒鉛のシートである。第4の装置のいくつかの実施形態において、異方性材料の第1および第2のシートの各々は、熱分解黒鉛のシート、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔、または黒鉛化ポリマーフィルムである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1A】従来技術の電極アセンブリの概略図である。
図1B図1Aの破線に沿って取られた、従来技術の電極アセンブリの電極素子の断面図である。
図1C】従来技術の電極素子の発熱特性を示す断面図である。
図1D図1Bの電極素子に仮説的な修正を加えた素子の発熱特性を示す断面図である。
図2】TTFieldsを被験体の身体に印加するために使用される電極素子を備える電極アセンブリの平面概略図である。
図3A図2の破線に沿って取られた、電極素子E1、E2を含む第1の実施形態の断面図である。
図3B図3Aの実施形態の発熱特性を示す断面図である。
図4A】従来技術の電極アセンブリの熱画像である。
図4B図3Aの実施形態に対応する電極アセンブリの熱画像である。
図4C図3Aの実施形態を伴う従来技術の電極アセンブリの熱特性を比較するグラフである。
図4D】金属(アルミニウム)シートを使用して構築されるシミュレートされた電極アレイのサーマルカメラ画像を示す図である。
図4E】異方性材料(熱分解黒鉛)のシートを使用して構築されるシミュレートされた電極アレイのサーマルカメラ画像を示す図である。
図4F】黒鉛のシートありおよびなしの電極アレイがTTFieldsをラットの胴体に印加するために使用されたときの実験結果を示す図である。
図5図2の破線に沿って取られた、電極素子E1、E2を含む第2の実施形態の断面図である。
図6】単一の電極素子E1を含む第3の実施形態の断面図である。
図7】単一の電極素子E1を含む第4の実施形態の断面図である。
図8】単一の電極素子E1を含む第5の実施形態の断面図である。
図9】TTFieldsを被験体の身体に印加するために使用される2つの電極アセンブリを組み込んだシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下では添付図面を参照しつつ様々な実施形態が詳細に説明されており、類似の参照番号は、類似の要素を表す。
【0090】
本出願は、たとえば、被験体の身体にTTFieldsを送達し、被験体の体内に配置されている1つまたは複数の癌または腫瘍を治療するために使用され得る例示的な電極アセンブリを説明する。
【0091】
TTFieldsが被験体の身体に印加されたときに、被験体の身体の温度は、誘導電場に比例して上昇し得る。レギュレーションが、トランスデューサアレイを通して駆動できる電流の量を被験体の身体上の配置における測定された温度を温度閾値より低く保つ量に制限する。当技術分野で実施されているように、被験体の身体上のトランスデューサアレイの配置における温度は、トランスデューサアレイによって駆動される動作電流を減少させ、結果として得られるTTFieldsの強度を弱めることによって温度閾値より低くなるように制御される。このことは、次いで、腫瘍を治療するために使用され得るTTFieldsの強度に対する決定的制限となる。したがって、被験体の皮膚における温度閾値を超えることなくより高いTTField強度に安全にアクセスできることが当技術分野において必要とされている。
【0092】
複数の電極素子を備えるトランスデューサアレイでは、電極素子の真下に位置決めされるトランスデューサアレイの部分は、電極素子の間に位置決めされるトランスデューサアレイの部分よりも高温になる。さらに、複数の電極素子を備えるトランスデューサアレイでは、アレイの中央部に配置される電極素子に比べて、より大きな電流がアレイのエッジに沿って配置される電極素子に流れる。なおもさらに、アレイのエッジの角または同様の鋭い曲がり部分に配置される電極素子は、アレイのエッジに沿っておよび中心付近において他の電極素子よりも大きな電流を有する。アレイのエッジに沿って、特に角に、配置される電極素子により高い電流を流すトランスデューサアレイの傾向は、本明細書では「エッジ効果」と称される。
【0093】
電極素子の分布またはエッジ効果のいずれかに起因するトランスデューサアレイを通る電流の不均一な分布は、たとえば、トランスデューサアレイの角またはエッジにおいて、より高い温度ゾーン(または「ホットスポット」)を生じさせ得る。これらのホットスポットは、最初に閾値温度に達する配置であり、したがって電流を下げる要件を制御する。そのようなものとして、ホットスポットの発生は、トランスデューサアレイによって駆動され得る最大動作電流、および結果として生じるTTFieldsの強度を制限する。
【0094】
本発明者らは、電流の不均一な分布を低減するかまたは最小限度に抑え、それによってより大きい動作電流の印加を可能にするトランスデューサアレイに対する必要性が存在することを現在認識している。大電流で動作するトランスデューサアレイは、被験体の体内でより強いTTFieldsを誘導することができ、最終的によりよい患者転帰をもたらし得る。本明細書において開示される電極アセンブリは、電流および熱がアレイの上に均一に拡散されることを可能にし、それによってホットスポットを最小にするかまたは排除する。
【0095】
本明細書において説明されている実施形態は、以下で説明されているように、異方性熱特性および/または異方性電気特性を有する材料のシートを電極アセンブリに組み込む。材料のシートが異方性熱特性を有する場合、シートは、より広い表面積にわたって熱をより均一に拡散する。材料のシートが異方性電気特性を有する場合、シートは、より広い表面積にわたって電流をより均一に拡散する。各場合において、これは、電極アセンブリに所与の交流電圧が印加されたときに(上で説明されている従来技術の構成と比較して)ホットスポットの温度を下げ、より冷たい領域の温度を上昇させる。したがって、電流は、被験体の皮膚のどの点においても安全温度閾値を超えることなく増大させられ得る(それによって治療効果を高める)。
【0096】
いくつかの実施形態において、異方性材料は、電気伝導率特性に関して異方性である。いくつかの実施形態において、異方性材料は、熱伝導率特性に関して異方性である。いくつかの好ましい実施形態において、異方性材料は、電気伝導率特性および熱伝導率特性の両方に関して異方性である。
【0097】
異方性熱特性は、方向性熱特性を含む。特に、異方性材料のシートは、その前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有する。そして、前面に平行な方向におけるシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。いくつかの好ましい実施形態では、平行方向における熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも10倍以上高い。たとえば、前面に平行な方向におけるシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも1.5倍以上、2倍以上、3倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、100倍以上、200倍以上、またはさらには1,000倍以上高いものとしてよい。いくつかの実施形態において、前面に平行な方向における異方性材料のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも5倍から30倍高い。いくつかの実施形態において、前面に平行な方向における異方性材料のシートの熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも1.5倍から10倍高い。たとえば、x-y平面内にある方向における熱分解黒鉛のシートの熱伝導率は、垂直なz方向における熱伝導率よりも10倍から20倍高い。
【0098】
異方性電気特性は、方向性電気特性を含む。特に、シートは、前面に垂直な方向において第1の抵抗を有する。そして、前面に平行な方向におけるシートの抵抗は、第1の抵抗より小さい。いくつかの好ましい実施形態において、平行方向の抵抗は、第1の抵抗の半分未満または第1の抵抗の10%未満である。たとえば、前面に平行な方向におけるシート70の抵抗は、第1の抵抗の75%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%未満、またはさらには0.05%未満であり得る。いくつかの実施形態において、前面に平行な方向における異方性材料のシートの抵抗は、第1の抵抗の10%から75%の間である。いくつかの実施形態において、前面に平行な方向における異方性材料のシートの抵抗は、第1の抵抗の0.05%から10%の間である。たとえば、x-y平面内にある方向における熱分解黒鉛のシートの電気抵抗率は、垂直なz方向における電気抵抗率よりも約3桁(1,000倍)低い。
【0099】
いくつかの実施形態において(たとえば、異方性材料のシートが熱分解黒鉛のシートであるときに)、異方性材料のシートは、異方性電気特性および異方性熱特性の両方を有する。
【0100】
いくつかの実施形態において(たとえば、異方性材料のシートが熱分解黒鉛のシートであるときに)、異方性材料のシートは非金属である。これらの実施形態は、被験体の体内へのイオンの移動を防止することが望ましい状況において特に有利である。より具体的には、金属シートを使用すると、結果として、被験体の体内に金属イオンが移動する可能性がある。これが望ましくない状況では、異方性材料の非金属シートを使用する実施形態が好ましい。
【0101】
本発明は、次の詳細な説明、例、図面、および請求項、ならびにそれらの前後の説明を参照することによってより容易に理解され得る。しかしながら、本発明は、別段の指定のない限り、開示された特定の装置、デバイス、システム、および/または方法に限定されず、そのようなものとして、当然、変化し得ることは理解されるべきである。
【0102】
見出しは、便宜上用意されており、いかなる形でも本発明を制限するものと解釈されるべきでない。本開示の任意の見出しまたは任意の部分において例示される実施形態は、本開示の同じ見出しもしくは他の見出しまたは他の部分の下で例示される実施形態と組み合わされ得る。
【0103】
要素のすべての可能な変形における本明細書において説明されている要素の任意の組合せは、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0104】
本明細書および付属の請求項で使用されているように、「1つの」および「その」(英語原文の冠詞「a」、「an」、および「the」に対応する)で示される単数形は、文脈上明らかにそうでないことを示していない限り、複数形を含む。
【0105】
図2は、TTFieldsを被験体の身体に印加するために使用される電極素子を備える一実施形態の電極アセンブリ50の概略図である。図2では、E1およびE2とラベル付けされた2つの電極素子のみが示されているが、追加の電極素子が、電極アセンブリ50に含まれてもよい。代替的実施形態において、電極アセンブリ50は、単一の電極素子のみを含む。特に、図2は、電極アセンブリ50を一般的に描いており、それらの電極アセンブリE1およびE2は、(たとえば、図3A図8に関連して以下で説明されるように)異なる構成を有することができる。
【0106】
図3Aは、図2の破線に沿って取られた、電極素子E1、E2を含む電極アセンブリ50aの第1の実施形態の断面図である。
【0107】
図3Aの実施形態では、電極アセンブリ50aは、前面(図3Aでは被験体の皮膚の方を向いている)と後面とを有する異方性材料のシート70を含む。このシート70は、前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有する。前面に平行な方向におけるシート70の熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。いくつかの好ましい実施形態において、前面に平行な方向におけるシート70の熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも10倍以上高い。図3Aの実施形態のシート70は、別の点で異方性でもある。より具体的には、シート70は、前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前面に平行な方向におけるシートの抵抗は、第1の抵抗の半分未満である。いくつかの実施形態において、前面に平行な方向におけるシートの抵抗は、第1の抵抗の10%未満である。
【0108】
電極アセンブリ50aは、前面(図3Aでは被験体の皮膚の方を向いている)と後面とを有する導電性異方性材料のシート70を含む。導電性異方性材料のシート70は、黒鉛のシートであり得る。黒鉛の好適な形態の例は、熱分解黒鉛(限定はしないが、大阪府門真市所在のパナソニック・インダストリー社から入手可能な熱分解黒鉛シート(PGS)を含む)などの合成黒鉛、限定はしないが、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔(限定はしないが、米国アリゾナ州ツーソン所在のMineral Seal Corp.から入手可能なMinGraph(登録商標)2010A Flexible Graphiteによって供給されるものを含む)を含む、合成黒鉛の他の形態、または黒鉛化ポリマーフィルム、たとえば黒鉛化ポリイミドフィルム(限定はしないが、栃木県真岡市所在の栃木カネカ株式会社によって供給されるものを含む)などの合成黒鉛を含む。代替的実施形態において、黒鉛の代わりに、黒鉛以外の導電性異方性材料が使用されてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、異方性材料のシート70は、熱分解黒鉛のシートである。それらのシートの前面に平行な方向(すなわち、x-y平面内)における熱分解黒鉛シートの熱伝導率は、典型的には、前面に垂直な方向(すなわち、z方向)におけるそれらのシートの熱伝導率よりも50倍以上高い。そしてそれらのシートの前面に平行な方向(すなわち、x-y平面内)における熱分解黒鉛シートの電気抵抗率は、典型的には、前面に垂直な方向(すなわち、z方向)におけるそれらのシートの電気抵抗率の2%未満である。
【0110】
他の実施形態では、異方性材料のシート70は、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔である。他の実施形態では、異方性材料は、熱分解炭素、または黒鉛化ポリマーフィルムであってもよい。他の実施形態では、異方性材料は窒化ホウ素であってもよい。他の実施形態では、異方性を有する他の導電性材料のシートを利用してもよい。いくつかの実施形態において(たとえば、異方性材料のシートが、熱分解黒鉛または高純度圧縮剥離鉱物黒鉛または黒鉛化ポリマーフィルムなどの合成黒鉛のシートであるときに)、異方性材料のシート70は非金属である。
【0111】
電極アセンブリ50aは、シート70の前面に配設された少なくとも1つの導電性材料層60をさらに含み、少なくとも1つの導電性材料層60は、生体適合性の前面を有する。図3に示されている実施形態では、導電性材料の単一の層60のみがあり、その単一の層は生体適合性であることに留意されたい。しかし、代替的実施形態(図示せず)では、複数の層があり得、その場合、前層のみが生体適合性でなければならない。材料の少なくとも1つの層60は、デバイスと身体との間の良好な電気的接触を確実にするように構成される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの電性材料層60は、異方性材料のシート70の前面全体を覆うべきである。少なくとも1つの電性材料層60は、異方性材料のシート70と同じサイズまたはそれより大きくてもよい。いくつかの実施形態において(そして図3Aに示されているように)、少なくとも1つの導電性材料層60は、ヒドロゲルの単一の層を含む。これらの実施形態において、ヒドロゲルは、100から1000μm、またはさらには300から500μmなど、50から2000μmまでの間の厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層60は、非ヒドロゲル生体適合性導電性接着剤の単一の層である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層60は、米国マサチューセッツ州スペンサー所在のFLEXcon社からの開発製品FLX068983 - FLEXcon(登録商標)OMNI-WAVE(商標) TT 200 BLACK H-502 150 POLY H-9 44PP-8、もしくはFLEXcon社からの他のそのようなOMNI-WAVE製品、またはAdhesives Research, Inc.(米国ペンシルバニア州グレンロック所在)によって製造され販売されているARcare(登録商標)8006導電性接着剤組成物などの非ヒドロゲル生体適合性導電性接着剤の単一の層である。非ヒドロゲル導電性接着剤は、接着特性を有する無水ポリマー、およびカーボンの粒子、粉末、繊維、薄片、またはナノチューブを含み得る。接着性ポリマーは、たとえば、アクリルポリマー、シリコーンポリマー、またはそれらの組合せであってよく、これはアクリル系またはシリコーン系の炭素充填接着テープとして入手可能であり得る。接着材は、それに加えて、1つまたは複数の導電性ポリマー(たとえば、ポリアニリン(PANI)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、または当技術分野で知られている他のものなど)を含んでもよい。少なくとも1つの導電性材料層60中の導電性充填剤は、非金属であるべきである。これらの実施形態では、生体適合性導電性接着剤は、20から1000μm、またはさらには30から400μmなど、10から2000μmまでの間の厚さを有し得る。
【0112】
電極アセンブリ50aは、シート70の後に位置決めされた第1の電極素子E1をさらに含む。第1の電極素子E1は、シート70の後面と電気的に接触するように配設された第1の前面を有する。図3Aの実施形態において、第1の電極素子E1は、前面および後面を有する誘電性(たとえば、セラミック)材料の第1の誘電性材料層310と、第1の誘電性材料層310の後面に配設された第1の金属層320とを備える。第1の誘電性材料層310の前面は、第1の電極素子E1の第1の前面である。図(たとえば、図3A)は誘電性材料310を「セラミック」として描いているが、セラミック材料の代わりに他の様々な好適な誘電性材料も使用され得ることに留意されたい。例は、少なくとも10の誘電定数を有するポリマー層、または少なくとも10の誘電定数を有する別の材料を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、誘電性材料の層310は、10から50,000の範囲の誘電定数を有することができる。いくつかの実施形態において、誘電性材料の層310は、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン)および/またはポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-1-クロロフルオロエチレン)などの高誘電性ポリマー材料を含む。それら2つのポリマーは、本明細書において、それぞれ「ポリ(VDF-TrFE-CTFE)」および「ポリ(VDF-TrFE-CFE)」と略称される。これらの実施形態は、これらの材料の誘電定数が40のオーダーであるので、特に有利である。いくつかの実施形態において、ポリマー層は、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン)または「ポリ(VDF-TrFE-CTFE-CFE)」であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、誘電性材料の層310は、VDF、TrFE、CFEおよび/またはCTFEなどのモノマーの重合単位を任意の好適なモル比で含むターポリマーを含む。好適なターポリマーは、たとえば、30から80モル%のVDF、5から60モル%のTrFEを有し、CFEおよび/またはCTFEがターポリマーの残りのモル%を構成するものを含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、シート70は重心を有し、第1の電極素子E1の第1の前面の重心は、シート70の重心から3cm未満離れて位置決めされる。いくつかの実施形態において、シート70は、重心と、シート70の後面に平行な寸法(たとえば、長さまたは幅)とを有し、第1の電極素子E1の第1の前面の重心は、シート70の重心から、この寸法の30%未満、または10%未満だけ離れて位置決めされる。
【0116】
電極アセンブリ50aは、第1の電極素子E1の第1の前面(すなわち、第1の誘電性材料層310の前面)とシート70の後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層80をさらに含む。第1の導電性材料後部層80は、第1の電極素子E1の第1の前面とシート70の後面との間の電気的接触を促進する。例示されている実施形態において、導電性材料の後部層80は、ヒドロゲルの層である。しかし、代替的実施形態では、異なる導電性材料(たとえば、導電性グリース、導電性接着剤、導電性テープ、導電性複合材料など)が使用されることもあり得る。いくつかの実施形態において、導電性材料80は、上で説明されているような非ヒドロゲル導電性接着剤であり得る。
【0117】
電極アセンブリ50aは、任意選択で、1つまたは複数の追加の電極素子を含み得る。例示されている実施形態において、電極アセンブリ50aは、シート70の後に位置決めされた第2の電極素子E2を含む。第2の電極素子E2は、シート70の後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有する。図3Aの2つの電極素子E1、E2は同一の構造を有する。したがって、第2の電極素子E2は、前面および後面を有する誘電性(たとえば、セラミック)材料の第2の誘電性材料層310と、第2の誘電性材料層310の後面に配設された第2の金属層320とを備える。第2の誘電性材料層310の前面は、第2の電極素子E2の第2の前面である。いくつかの実施形態において、すべての電極素子の集合面積は、シート70の面積未満、シート70の面積の半分未満、シート70の面積の1/4未満、またはシート70の面積の1/10未満である。
【0118】
第1の導電性材料後部層80は、第2の電極素子E2の第2の前面(すなわち、第2の誘電性材料層310の前面)とシート70の後面との間に位置決めされる。第1の導電性材料後部層80は、第2の電極素子E2の第2の前面とシート70の後面との間の電気的接触を促進する。E1について説明されているように、また図3Aに示されているように、導電性材料80は、ヒドロゲルの層であり得るが、代替的実施形態では、異なる導電性材料も使用され得る(たとえば、導電性グリース、上で説明されている非ヒドロゲル導電性接着剤を含む導電性接着剤、導電性テープ、導電性複合材料など)。
【0119】
電極素子のすべて(すなわち、例示されている実施形態におけるE1およびE2)の金属層320は、リード90に(たとえば、電線、フレックス回路上のトレースなどを使用して)一緒に配線され得る。リード90は、電極アセンブリ50aが治療のために被験体の身体に貼り付けられたときにTTFieldsを生成するためにAC電圧発生器(図示せず)から電極素子にAC電圧を供給する。
【0120】
任意選択で、電極アセンブリ50aは、シート70、第1の電極素子E1(および電極アセンブリ内に存在する他の電極素子)、および少なくとも1つの導電性材料層60を支持し、少なくとも1つの導電性材料層60の前面が被験体の皮膚に対して位置決めされ得るように構成された可撓性自己粘着性バッキング55を含む。
【0121】
上述のように、図2は、電極素子E1、E2を含む電極アセンブリ50の平面概略図である。図2のこの図(縮尺なし)は、また、シート70の面積が、電極素子E1、E2の組み合わされた面積よりも広い(たとえば、少なくとも2倍広い、少なくとも4倍広い、または少なくとも10倍広い)ことを示している。AC電圧が電極素子E1、E2に印加されたときに、熱がシート70全体に拡散し、ホットスポットを最小にするかまたは排除する。熱の拡散および方向性の変更(特定の場所で熱を最小にすること)に加えて、拡散は熱を放散することに付加的な効果を有するが、それは、大部分はx-y平面内でシートのエッジに向けられ、これはz方向にかなり暖かい体温まで進むのではなく、室温の(より冷たい)ヒートシンクで終わるからである。この領域は、したがって、かなり速く冷える。
【0122】
ホットスポットのこのような減少は(従来技術と比較して)、図1C図3Bとを比較するとより明らかになる。より具体的には、図1Cは、従来技術の電極素子に対する電流分布および発熱を示し、その各々は電極素子とほぼ同じ面積(x-y平面内)を覆う導電性ヒドロゲル層上に位置決めされている。図1Cに示されているように、すべての電流が電極素子の真下にあるヒドロゲル層を通過し、その結果電極素子の真下にホットスポットが生じる。
【0123】
この問題は、ヒドロゲルの面積を大きくして、電極素子の間のすべての領域を覆うことによって(すなわち、電極素子の面積に比べてx-y平面内で著しく広い面積を覆うことによって)解決され得ると最初は考えることもあり得る。しかし、これはそうではない。より具体的には、図1Dは、この仮説的電極アセンブリに対する電流分布および発熱を示している。図1Dに示されているように、すべての電流がそのまま電極素子の真下にあるヒドロゲル層を通過し、その結果電極素子の真下にホットスポットが生じる。
【0124】
対照的に、図3Bは、図3Aの実施形態に対する電流分布を示している。図3Bに示されているように、電流は依然として電極素子の下の領域においてのみ後導電性材料層(たとえば、図3Bの80)内に分布している。しかしながら、異方性材料のシート70は、水平方向(すなわち、シートの面に平行な方向)の熱伝導率が垂直方向の熱伝導率よりもはるかに高いので、その領域全体に熱を拡散する。熱を拡散することに加えて、水平方向におけるシート70の低い電気抵抗は、電流をシート70全体にわたって外向きに拡散し、この拡散した電流分布は、導電性材料の層60(図3Aおよび図3Bの両方におけるヒドロゲル)内で続き、そこから被験体の皮膚に至る。この実施形態では電流および熱の両方が導電性材料層60のより広い面積に拡散するので、ホットスポットがなくなる(または少なくとも最小にされる)。これは、所与の印加AC電圧に対して、図3A/Bの実施形態の電極アセンブリの下の最も熱い点は、図1の従来技術の例の電極アセンブリの下の最も熱い点よりも低い温度を有することを意味する。したがって、電流は、図3Aの実施形態の電極アセンブリの下の任意の点における安全温度閾値を超えることなく(従来技術の電流に関して)増大され得る。そして、電流のこの増大は、有利には、TTFields治療の有効性を高める。類似の結果は、ヒドロゲルが導電性接着複合材料で置き換えられるときにも達成され得る。
【0125】
図3Aの実施形態の優れた性能は、図4A図4B、および図4Cにおいて実証されている。図4Aは、2つの電極素子と、電極素子の前面に配設されたヒドロゲルの層とを含む従来技術の電極アセンブリの熱画像である(たとえば、図1B参照)。電極素子の前面とヒドロゲルの層の後面との間には異方性材料のシートがない。使用時、ヒドロゲルの層の前面は、被験体の皮膚上に位置決めされる。図4Aは、電極素子に対応する領域内に発生したホットスポットを示している。
【0126】
図4Bは、異方性材料として熱分解黒鉛が使用された図3Aの実施形態に対応する電極アセンブリの熱画像である。図4Bは、従来技術の電極アセンブリで発生したようなホットスポットが最小にされていること、および最高温度が低下していることを示している。図4Cは、同じ印加電流(500mA)について図3Aの実施形態(異方性材料として熱分解黒鉛を利用する)と従来技術(異方性材料なし)との熱性能の比較を示すグラフである。特に、従来技術の電極アセンブリの最も熱い部分は41℃であった。しかし、同じ500mAの電流が図3Aの実施形態において印加されたときに、電極アセンブリの最も熱い部分は32℃にすぎなかった。類似の実験が、異方性材料として高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔を利用して実行されたが、類似の結果が得られた。
【0127】
関係する実験において、最適化された従来のアレイ(異方性材料なし)は、2Aの印加電流を伴ったときに、最高40℃の平均温度まで上昇したが、これはそれによって制限された。熱分解黒鉛シートが追加された同じタイプのアレイ(図3Aの実施形態の方式において)は、増大した電力レベル(3Aの印加電流)で稼動することができ、温度閾値限界より2~3℃低い38℃の平均温度で稼動した。この結果は、本明細書において説明されている本発明の装置および方法が、より高い印加電流で動作することによってより有益な治療結果を達成できるであろうことを示唆している。
【0128】
体内の標的配置を治療するための電極の実験シミュレーションでは、熱分解黒鉛シートを使用して得られた熱分布と金属シートを使用して得られた熱分布とを比較した。実験の半分では、ファントムゲルが、金属(アルミニウム)の2枚のシートの間に挟装して留置され、電圧が、2枚の金属シートの間に印加された(シートの中心に直接)。実験のもう半分では、ファントムゲルが熱分解黒鉛の2枚のシートの間に挟装されて留置され、電圧が、2枚の熱分解黒鉛シートの間に印加された(シートの中心に直接)。金属は、一般的に優れた導体である(熱伝導および電気伝導の両方)。熱分解黒鉛シートも、また、良好な電気伝導率を有する(そして、x-y平面における電気伝導率は、垂直なz方向における電気伝導率よりも高い)。しかしながら、熱分解黒鉛のx-y平面における電気伝導率は、従来の金属よりも2桁小さい。電圧が金属シート(アルミニウム)の対の間に印加されたときに、アルミニウムシートの高い導電率および等電位特性の結果、シートのエッジで電流密度が高くなり、その結果異なる領域の加熱が不均等になる。対照的に、2枚の黒鉛シートの間に電圧を印加した結果、有利には、シートの中心部およびエッジにおける電流密度がかなり均一になり(金属に比べてx-y平面内の抵抗が高いことに起因して)、シートの温度プロファイルがより均一になる。
【0129】
図4Dおよび図4Eは、それぞれ、金属(アルミニウム)シートを使用したシミュレート済み電極アレイ、および異方性材料(熱分解黒鉛)のシートを使用したシミュレート済み電極アレイのサーマルカメラ画像を示している。アルミニウムシートは結果として、不均一な熱分布図をもたらし、これにより外側エッジが最初に閾値温度に達し、したがって電流を下げるように要件を制御する。対照的に、熱分解黒鉛のシートは、シート全体にわたって非常に均一な熱分布をもたらす。
【0130】
図4Fは、黒鉛のシートありおよびなしの電極アレイがTTFieldsをラットの胴体に印加するために使用されたときの実験結果を示す図である(小動物アレイを使用する)。2つの下側のトレースは、図1A/1Bに描かれた従来技術の電極アレイが使用されたときの2匹のラットに対する測定電流を示しており、2つの上側のトレースは、図3Aに描かれた電極素子(異方性材料の層として黒鉛のシートを使用する)が使用されたときの2匹のラットに対する測定電流を示している。温度設定点は、すべての実施について同一であった。特に、黒鉛のシートが含まれたときに、黒鉛に帰すべき熱および電流分布の改善の結果、同じ温度設定点で抵抗は20%低く、電流は50%高くなった。そして、より高い電流は改善された結果と関連しているので、これらの実験は、電極アレイに異方性材料の層を組み込むことが改善された結果につながり得ることを示している。
【0131】
図5は、図2の破線に沿って取られた、電極素子E1、E2を含む電極アセンブリ50bの第2の実施形態の断面図である。図5の実施形態は、以下の点を除くすべての点(図のラベル付けを含む)において図3Aの実施形態に類似している。図3Aの実施形態は、シート70と第1および第2の電極素子E1およびE2の両方の前面との間に位置決めされた導電性材料(たとえば、ヒドロゲル)の広い後部層80を含む。対照的に、図5の実施形態は、各個別の電極素子に対する導電性材料の別個の領域380を含む。したがって、図5の実施形態は、第1の電極素子E1の第1の前面とシート70の後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層380を含み、また第2の電極素子E2の第2の前面とシート70の後面との間に位置決めされた第2の導電性材料後部層380を含む。導電性材料の第1および第2の後部層380は、それぞれの電極の前面とシート70の後面との間の電気的接触を促進する。例示されている実施形態において、導電性材料の後部層380は、ヒドロゲルの層である。しかし、代替的実施形態では、異なる導電性材料(たとえば、導電性グリース、上で説明されている非ヒドロゲル導電性接着剤を含む導電性接着剤、導電性テープ、導電性複合材料など)が使用されることもあり得る。いくつかの実施形態において、すべての電極素子の集合面積は、シート70の面積未満、シート70の面積の半分未満、シート70の面積の1/4未満、またはシート70の面積の1/10未満である。
【0132】
図3Aの実施形態と同様に、図5の実施形態における電流は、依然として、電極素子の下の領域においてのみ、導電性材料の後部層380に集中する。異方性材料のシート70は、図3Aの実施形態に関連して上で説明されているように、熱および電流を拡散し、これはホットスポットをなくすか、または少なくとも最小にする。これは、所与の印加AC電圧に対して、図5の実施形態の電極アセンブリの下の最も熱い点は、図1の従来技術の例の電極アセンブリの下の最も熱い点よりも低い温度にあることを意味する。したがって、電流は、図5の実施形態の電極アセンブリの下の任意の点における安全温度閾値を超えることなく(従来技術の電流に関して)増大され得る。そして、電流のこの増大は、有利には、TTFields治療の有効性を高める。
【0133】
図6は、単一の電極素子E1を含む電極アセンブリ50cの第3の実施形態の断面図である。図6の実施形態は、図6の実施形態が誘電性材料の層を含まないことを除いて図3Aの実施形態と同様である。図6の実施形態では、電極アセンブリ50cは、前面(図6では被験体の皮膚の方を向いている)と後面とを有する異方性材料のシート70を含む。このシート70は、図3Aに関連して上で説明されているシート70に類似している。いくつかの実施形態において、異方性材料のシート70は、合成黒鉛のシートである。いくつかの実施形態において、異方性材料のシート70は、熱分解黒鉛のシートである。他の実施形態では、異方性材料のシート70は、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛(たとえば、MinGraph(登録商標)2010A Flexible Graphite)製の黒鉛箔である。他の実施形態では、異方性材料のシート70は、黒鉛化ポリマーフィルムのシートである。他の実施形態では、異方性材料のシート70は、熱分解カーボンのシートである。他の実施形態では、異方性材料は窒化ホウ素であってもよい。他の実施形態では、異方性材料のシート70は、別の導電性異方性材料のシートである。いくつかの実施形態において(たとえば、異方性材料のシートが、熱分解黒鉛または高純度圧縮剥離鉱物黒鉛または黒鉛化ポリマーフィルムなどの合成黒鉛のシートであるときに)、異方性材料のシート70は非金属である。
【0134】
電極アセンブリ50cは、シート70の前面に配設された生体適合性少なくとも1つの導電性材料層60をさらに含み、少なくとも1つの導電性材料層60は、生体適合性の前面を有する。図6に示されている実施形態では、導電性材料の単一の層60のみがあり、その単一の層は生体適合性であることに留意されたい。しかし、代替的実施形態(図示せず)では、複数の層があり得、その場合、前層のみが生体適合性でなければならない。少なくとも1つの導電性材料層60は、デバイスと身体との間の良好な電気的接触を確実にするように構成される。好ましい一実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層60は、異方性材料のシート70の前面全体を覆うべきである。少なくとも1つの導電性材料層60は、異方性材料のシート70と同じサイズであるか、またはそれより大きくてもよい(すなわち、同じまたはそれ以上の面積を覆う)。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層60は、ヒドロゲルの単一の層を含む。これらの実施形態において、ヒドロゲルは、100から1000μm、またはさらには300から500μmなど、50から2000μmまでの間の厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層60は、上で説明されているような非ヒドロゲル生体適合性導電性接着剤の単一の層である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの導電性材料層60は、上で説明されているような、FLEXcon社のOMNI-WAVE製品、またはAdhesives Research, Inc.社のARcare(登録商標)製品などの非ヒドロゲル生体適合性導電性接着剤の単一の層である。非ヒドロゲル導電性接着剤は、接着特性を有する無水ポリマー(たとえば、アクリルポリマー、もしくはシリコーンポリマー、またはそれらの組合せ)および導電性充填剤を含み得る。少なくとも1つの導電性材料層60中の導電性充填剤は、非金属であるべきである。これらの実施形態では、生体適合性導電性接着剤は、20から1000μm、またはさらには30から400μmなど、10から2000μmまでの間の厚さを有し得る。
【0135】
電極アセンブリ50cは、シート70の後に位置決めされた第1の電極素子E1をさらに含む。第1の電極素子E1は、シート70の後面と電気的に接触するように配設された前面を有する金属片500を含む。図6の実施形態では、金属片500の前面は、第1の電極素子E1の第1の前面である。したがって、図6の実施形態は、誘電性材料の層を欠いている点で、図3Aまたは図5の実施形態と異なる。この図6の実施形態における第1の電極素子E1とシート70との間の位置関係は、図3Aに関連して上で説明されているようなものとしてよい。
【0136】
電極アセンブリ50cは、第1の電極素子E1の第1の前面(すなわち、金属片500の前面)とシート70の後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層80をさらに含む。第1の導電性材料後部層80は、第1の電極素子E1の第1の前面とシート70の後面との間の電気的接触を促進する。例示されている実施形態において、導電性材料の後部層80は、ヒドロゲルの層である。しかし、代替的実施形態では、異なる導電性材料(たとえば、導電性グリース、上で説明されている非ヒドロゲル導電性接着剤を含む導電性接着剤、導電性テープ、導電性複合材料など)が使用されることもあり得る。
【0137】
電極素子E1の金属片500は、リード90に配線され(たとえば、電線、フレックス回路上のトレースなどを使用して)、これは、電極アセンブリ50cが治療のために被験体の身体に貼り付けられたときにTTFieldsを発生するためにAC電圧発生器(図示せず)から電極素子にAC電圧を供給する。
【0138】
電極アセンブリ50cは、任意選択で、電極素子E1と同一の構造を有し、同一の機能を有するように位置決めされた1つまたは複数の追加の電極素子(図示せず)を備え得る。そのような場合、すべての電極素子の金属片500は、リード90に(たとえば、電線、フレックス回路上のトレースなどを使用して)一緒に配線され得る。
【0139】
単一の電極素子E1のみを含むいくつかの実施形態において、シート70の面積は、電極素子E1の面積よりも広い(たとえば、少なくとも2倍広い、少なくとも4倍広い、または少なくとも10倍広い)。複数の電極素子(図示せず)を含むいくつかの実施形態において、シート70の面積は、電極素子のすべての集合面積よりも広い(たとえば、少なくとも2、4、または10倍広い)。AC電圧が電極素子に印加されたときに、熱がシート70全体に拡散し、ホットスポットを最小にするかまたは排除する。
【0140】
図3Aの実施形態と同様に、図6の実施形態における異方性材料のシート70は、図3Aの実施形態に関連して上で説明されているように、熱および電流を拡散し、これはホットスポットをなくすか、または少なくとも最小にする。これは、所与の印加AC電圧に対して、図6の実施形態の電極アセンブリの下の最も熱い点は、図1の従来技術の例の電極アセンブリの下の最も熱い点よりも低い温度を有することを意味する。したがって、電流は、図6の実施形態の電極アセンブリの下の任意の点における安全温度閾値を超えることなく(従来技術の電流に関して)増大され得る。そして、電流のこの増大は、有利には、TTFields治療の有効性を高める。
【0141】
図7は、単一の電極素子E1を含む電極アセンブリ50dの第4の実施形態の断面図である。図7の実施形態は、第1の電極素子E1の第1の前面(すなわち、金属片600の前面)が(導電性材料の介在層を介して電気的に接続される代わりに)シート70の後面と直接接触して位置決めされることを除き図6の実施形態に類似している。
【0142】
図6の実施形態と同様に、図7の実施形態における異方性材料のシート70は、図3Aの実施形態に関連して上で説明されているように、熱および電流を拡散し、これはホットスポットをなくすか、または少なくとも最小にする。これは、所与の印加AC電圧に対して、図7の実施形態の電極アセンブリの下の最も熱い点は、図1の従来技術の例の電極アセンブリの下の最も熱い点よりも低い温度を有することを意味する。したがって、電流は、図7の実施形態の電極アセンブリの下の任意の点における安全温度閾値を超えることなく(従来技術の電流に関して)増大され得る。そして、電流のこの増大は、有利には、TTFields治療の有効性を高める。
【0143】
図8は、単一の電極素子E1を含む電極アセンブリ50eの第5の実施形態の断面図である。図8の実施形態は、図7の実施形態に類似しているが、金属片600と直列に、その後で接続されたコンデンサ700を追加している。金属片600と直列に、金属片600の後で接続されたコンデンサ700の同様の追加も、図6の実施形態について企図されることも可能であろう。
【0144】
図9は、図3Aの電極アセンブリ50aの対が、被験体の体内の標的領域に交流電場を印加するためにどのように使用されるかを示している。被験体は、ヒト、または限定はしないがラットおよびマウスを含む他の哺乳類であり得る。(ここで示されている図3Aの電極アセンブリ50aの代わりに、図5図8に関連して上で説明されている電極アセンブリのいずれも使用され得ることに留意されたい)。
【0145】
この方法は、被験体の身体上または体内の第1の位置に第1の電極アセンブリ50aを位置決めすることを含む。(図9に描かれた例では、第1の電極アセンブリ50aは、標的領域、たとえば腫瘍に面した被験体の頭部の右側で被験体の皮膚上に位置決めされる)。第1の電極アセンブリ50aは、本明細書で前述したように構成され得る。図9の実施形態において、第1の電極アセンブリ50aは、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシート70を含む。第1のシート70は、第1の前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有する。シート70の第1の前面に平行な方向における第1のシート70の熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも2倍以上高い。第1のシート70は、前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前面に平行な方向における第1のシートの抵抗は、第1の抵抗の半分未満である。使用時に、第1の電極アセンブリ50aは、第1のシート70の第1の前面が標的領域に面するように位置決めされる。
【0146】
この方法は、被験体の体内または身体上の第2の位置に第2の電極アセンブリ50aを位置決めすることも含む。(図9に描かれた例では、第2の電極アセンブリ50aは、標的領域に面した被験体の頭部の左側で被験体の皮膚上に位置決めされる)。第2の電極アセンブリ50aは、本明細書で前述したように構成され得る。図9の実施形態において、第2の電極アセンブリ50aは、第2の前面および第2の後面を有する異方性材料の第2のシート70を含む。第2のシート70は、第2の前面に垂直な方向において第2の熱伝導率を有する。シート70の第2の前面に平行な方向における第2のシート70の熱伝導率は、第2の熱伝導率よりも2倍以上高い。第2のシート70は、前面に垂直な方向において第2の抵抗を有し、前面に平行な方向における第2のシートの抵抗は、第2の抵抗の半分未満である。使用時に、第2の電極アセンブリ50aは、第2のシート70の第2の前面が標的領域に面するように位置決めされる。
【0147】
この方法は、第1の電極アセンブリ50aと第2の電極アセンブリ50aとの間に交流電圧を印加することをさらに含む。この印加は、第1の電極アセンブリ50aと第2の電極アセンブリ50aとを位置決めした後に実行される。印加することは、(i)第1のシート70の第1の後面と電気的に接触して配設された第1の電極素子と、(ii)第2のシート70の第2の後面と電気的に接触して配設された第2の電極素子との間に交流電圧を印加することによって実施され得る。
【0148】
いくつかの実施形態において、第1の電極アセンブリ50aは、第1のシート70の第1の前面上に配設された生体適合性導電性材料60の第1の層をさらに含む。それに対応して、第2の電極アセンブリは、第2のシート70の第2の前面上に配設された生体適合性導電性材料60の第2の層をさらに含む。上で説明されているように、生体適合性導電性材料60はヒドロゲルであり得るか、または導電性グリース、上で説明されている非ヒドロゲル導電性接着剤を含む導電性接着剤、導電性テープ、導電性複合材料などであり得る。
【0149】
いくつかの実施形態において、第1の電極アセンブリ50aは、第1の電極アセンブリ50aの第1の電極素子の第1の前面と第1のシート70の第1の後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層80(上で説明されているような)をさらに含む。それに対応して、第2の電極アセンブリは、第2の電極アセンブリの第2の電極素子の第2の前面と第2のシート70の第2の後面との間に位置決めされた第2の導電性材料後部層80(上で説明されているような)とをさらに含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、異方性材料70の第1および第2のシートの各々は、合成黒鉛のシートである。いくつかの実施形態において、異方性材料のシート70は、熱分解黒鉛のシートである。他の実施形態では、異方性材料の第1および第2のシート70の各々は、高純度圧縮剥離鉱物黒鉛(たとえば、アリゾナ州ツーソン所在のMineral Seal Corp.から入手可能なMinGraph(登録商標)2010A Flexible Graphite)製の黒鉛箔である。他の実施形態では、異方性材料のシート70は、黒鉛化ポリマーフィルムのシートである。他の実施形態では、異方性材料は熱分解炭素であってもよい。他の実施形態では、異方性材料は窒化ホウ素であってもよい。他の実施形態では、異方性を有する他の導電性材料のシートを利用してもよい。いくつかの実施形態において(たとえば、異方性材料のシートが、熱分解黒鉛または高純度圧縮剥離鉱物黒鉛または黒鉛化ポリマーフィルムなどの合成黒鉛のシートであるときに)、異方性材料のシート70は非金属である。
【0151】
第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間の交流電圧は、交流電圧発生器820によって印加され得る。いくつかの実施形態では、交流電圧の周波数は、50kHzから1MHzまでの間、または100kHzから500kHzまでの間である。例示されている例では、AC電圧発生器は、コントローラ822によって制御される。コントローラ822は、温度を安全閾値(たとえば、41℃)未満に維持するために温度測定値を使用して、第1および第2の電極アセンブリ50aを介して供給される電流の振幅を制御し得る。これは、たとえば、以下で説明されるように、第1の電極素子の第1の温度を測定し、第2の電極素子の第2の温度を測定し、第1の温度および第2の温度に基づき交流電圧の印加を制御することによって達成され得る。
【0152】
図9は、この目的に適したハードウェアの一例を示している。より具体的には、温度センサー800(たとえば、サーミスタ)は、電極アセンブリ50aの各々の中のそれぞれの電極素子(たとえば、誘電性材料310/金属の層320)と熱的に接触するように位置決めされる。温度センサー800は、それぞれの第1および第2の温度(たとえば、それぞれ第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリ内の第1および第2の電極素子において)を測定し、コントローラ822は、これらの温度に基づきAC電圧発生器820の出力を制御する。
【0153】
第1の電極アセンブリ50aおよび第2の電極アセンブリ50aのいずれか一方または両方の代わりに、電極アセンブリ50a~eのいずれか、またはそれらの組合せを利用する類似の実施形態および方法が企図される。
【0154】
本明細書において説明されている電極アセンブリは、被験体の身体の標的領域に交流電場を印加して被験体に存在する病気を治療するために使用され得る。そのような方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることであって、第1および第2の電極アセンブリは、本明細書において記載されているとおりである、位置決めすることと、第1および第2の電極アセンブリの間に交流電場を印加して被験体の病気を治療することとを含む。標的領域は、病気によって損なわれている、または病状を呈する被験体の身体の任意の領域であり得る。好適な標的領域は、限定はしないが、被験体の脳、胴体、腹部、肺、乳房、卵巣、前立腺、膵臓、胃、腸、結腸、直腸、肝臓、または腎臓を含む。いくつかの実施形態において、標的領域は、腫瘍または癌(1つまたは複数の癌細胞)を含み得る。
【0155】
「治療する」とは、腫瘍(癌)の影響の悪化を予防するかもしくは遅延させるために、または腫瘍(癌)の影響を部分的にもしくは完全に逆転させるために、腫瘍(癌)を有するか、または癌を発症する感受性が増大しているヒトまたは他の哺乳類(たとえば、動物モデル)などの被験体に、交流電場などの治療手段を投与するかまたは適用することを意味する。
【0156】
本明細書において記載の方法および/または実施形態で使用される交流電場は、50kHzから2MHz、50kHzから1MHz、100kHzから1MHz、100kHzから500kHz、100kHzから300kHz、または150kHzから400kHzまでの間の周波数を有し得る。いくつかの実施形態において、交流電場は、約100kHz、約150kHz、約175kHz、約200kHz、約225kHz、約250kHz、約275kHz、約300kHz、約325kHz、約350kHz、約375kHz、約400kHz、約425kHz、約450kHz、約475kHz、約500kHz、約550kHz、約600kHz、約650kHz、約700kHz、約750kHz、約800kHz、約850kHz、約900kHz、約950kHz、または約1MHzの周波数を有する。上記の周波数および周波数範囲は、本明細書において説明されている方法のいずれにおいても有用であり得る。
【0157】
いくつかの方法および/または実施形態において、交流電場は、0.1V/cmから20V/cm、0.1V/cmから10V/cm、または1V/cmから4V/cmまでの間の電場強度を有する。上記の電場強度範囲は、本明細書において説明されている方法および/または実施形態のいずれにおいても有用であり得る。
【0158】
いくつかの方法および/または実施形態は、被験体の身体の標的部位の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることであって、第1および第2の電極アセンブリは、本明細書において記載されているとおりである、位置決めすることと、第1および第2の電極アセンブリの間に交流電場を印加して被験体の腫瘍または癌(癌細胞を含む領域)を治療することとを含む。
【0159】
本明細書において説明されている方法および実施形態は、被験体の腫瘍または癌を治療するために使用され得る。そのような腫瘍(癌)は、限定はしないが、多形性膠芽腫などの脳癌、肺癌(たとえば、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌)、脳転移(たとえば、非小細胞肺癌または黒色腫から)、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌(たとえば、胃食道接合部腺癌、胃腺癌)、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌(眼癌)を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、抗癌剤などの、1つまたは複数の治療剤を投与することをさらに含む。好適な抗癌剤は、限定はしないが、テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、ABT-751、ABT-414(デパツキシズマブマフォドチン)、およびベビシズマブを含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む。好適なチェックポイント阻害剤は、限定はしないが、PD-1阻害剤、PDL-1阻害剤、およびCTLA-4阻害剤を含む。たとえば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピルマブのうちの1つまたは複数が投与され得る。
【0162】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、放射線療法を投与することをさらに含む。放射線療法は、限定はしないが、光子放射線(たとえば、x線療法、ガンマ線療法)および粒子放射線(たとえば、電子線療法、陽子線療法、中性子線療法、炭素イオン療法、アルファ粒子療法、ベータ粒子療法)を含むことができる。放射線療法は、たとえば、外部的にまたは内部的に(たとえば、近接照射療法)投与され得る。
【0163】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、DNA修復機構を阻害するか、または阻止する1つまたは複数の薬剤を投与することをさらに含む。たとえば、DNA修復機構を阻害するかまたは阻止する薬剤は、E2F阻害剤、CDK阻害剤、およびPARP阻害剤を含む。好適なE2F阻害剤は、限定はしないが、HLM006474、MRT00033659、YKL-5-124-TFA、およびYKL-5-124を含む。好適なCDK阻害剤は、限定はしないが、アベマシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、イブランス、レロシクリブ、アルボシディブ、ロニシクリブ、リビシクリブ、ミルシクリブ、RGB-286638、NSN3106729、PHA-793887、R547、インジルビン、NU6102、ボヘミン、CDK9-IN-7、CGP60474、プルバラノールA、PF-06873600、ニンボリド、FN-1501、AG-024322、ON123300、G1T28、G1T38、AMG925、SHR-6390、BPI-1178、BPI-16350、FCN437、ビロシクリブ、BEBT-209、Ty-302、TQB-3616、HS-10342、PF-06842874、CS-2002、MM-D37K、CDK4/6-IN-2、SU9516、およびAT7519を含む。好適なPARP阻害剤は、限定はしないが、ニラパリブ、オラパリブ、およびルカパリブを含む。いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、E2F阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、CDK4/6阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、PARP阻害剤を投与することをさらに含む。
【0164】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、本明細書において説明されているように、放射線治療を投与すること、およびDNA修復機構を阻害するか、または阻止する1つまたは複数の薬剤を投与することをさらに含む。
【0165】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、オーロラキナーゼ阻害剤を投与することをさらに含む。好適なオーロラキナーゼ阻害剤は、限定はしないが、AZD1152、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735、およびAMG900を含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、交流電場による治療に対する腫瘍または癌(または腫瘍が含まれる癌細胞、または腫瘍に関連しない癌細胞または癌細胞クラスター)の感受性を増大させる薬剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、交流電場に対する腫瘍または癌細胞の感受性は、サイクリンD1経路を変化させることによって高められ得る。いくつかの実施形態において、サイクリンD1経路は、ラパマイシン(mTOR)阻害剤の哺乳類標的、Akt阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、Src阻害剤、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤、またはグリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK3β)阻害剤のうちの1つまたは複数の投与によって変化させることができる。
【0167】
したがって、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、mTOR阻害剤を投与することをさらに含む。好適なmTOR阻害剤は、限定はしないが、トルキニブ、エベロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、CC-223、MKK-1、AZD8055、AZD02114、INK-128、051-027、ダクトリシブ、BGT226、SF1126、PKI-587、NVPBE235、サパニセルチブ、AZD2014、BEZ235、XL765、GDC0980、SF1126、PF-04691502、PF-05212384(ゲダトリシブ、PKI-587)、LY3023414、XL795(voxtasilib)、ビミラリシブ(PQR309)、パキサリシブ(GDC-0084)、DS-7423、PKI-179、GSK458V、P7170、SB2343、PI-103、NU7441、KU-0063794、リダフォロリムス(デフォロリムス、MK-8669)、トリン1、トリン2、OSI-027、GSK1059615、WYE-354、Vistusertib(AZD2014)、WYE-125132、パロミド529(P529)、WYE-687、XL388、MHY1485、LY3023414(サモトリシブ)、GNE-447、CC-115、ゾタロリムス(ABT-578)、PQR620、SF2523、mTor阻害剤-1,2,3または8、PQR626、WAY-600、PF-04979064、3BDO、ジヒドロミリセチン、ETP-46464、PKI-402、シクロビルブキシンD、CZ415、VS-5584、(+)-ウスニン酸、RMC-5552、PQR530、JR-AB2-011、アルニコリドDまたはTML-6を含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、Akt阻害剤を投与することをさらに含む。好適なAkt阻害剤は、限定はしないが、Aktを阻害する、Aktのリン酸化を阻害する、リン酸化Aktを阻害する、またはサイクリンD1の分解を阻害する、任意の組成物または化合物を含む。いくつかの方法および/または実施形態において、Akt阻害剤は、限定はしないが、ラパチニブ、H8、H-89、NL-71-101、GSK690693、7-アザインドール、6-フェニルプリン誘導体、ピロロ[2,3-d]ピリミジン誘導体、CCT128930、3-アミノピロリジン、アニリノトリアゾール誘導体、スピロインドリン誘導体、AZD5363、イパタセルチブ(GDC-0068、RG7440)、A-674563、A-443654、AT7867、AT13148、アフレセルチブ(GSK2110183)、2-ピリミジル-5-アミドチオフェン誘導体(DC120)、ウプロセルチブ(GSK2141795)、2,3-ジフェニルキノキサリン誘導体、トリアゾロ[3,4-f][1,6]ナフチリジン-3(2H)-オン誘導体(MK 2206)、エデルフォシン(1-O-オクタデシル-2-O-メチル-rac-グリセロール-3-ホスホコリン、ET-18-OCH3)イルモフォシン(BM 41.440)、ミルテホシン(ヘキサデシルホスホコリン、HePC)、ペリホシン(D21266)、エルシルホスホコリン(ErPC)、エルホシン(ErPC3、エルシルホスホモコリン)、インドール-3-カルビノール、3-クロロアセチルインドール、ジインドリルメタン、ジエチル-6-メトキシ-5,7-ジヒドロインドロ-[2,3 b]カルバゾール-2,10-ジカルボキシレート(SR13668)、OSU-A9、PH-316、PHT-427、PIT-1、PIT-2、M-PIT-1、[(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)カルボニル]-N’-(3-ブロモフェニル)-チオ尿素、トリシリビン(TCN、NSC-154020)、トリシリビンモノリン酸活性アナログ(TCN-P)、4-アミノ-ピリド[2,3-d]ピリミジン誘導体、API-1、3-フェニル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン誘導体、ARQ-092、BAY-1125976、3-メチル-キサンチン、キノロン-4-カルボキサミドおよび2-[4-(シクロヘキサ1,3-ジエン-1-イル)-1H-ピラゾール-3-イル]フェノール、3-オキソ-サンゴ酸、3α-および3β-アセトキシ-チルカリン酸、アセトキシチルカリン酸、ラクトキノマイシン、フレノリシンB、カラファンギン、メデルマイシン、Boc-Phe-ビニルケトン、4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)、1,6-ナフチリジノン誘導体、イミダゾ-1,2-ピリジン誘導体)、リゴセルチブ(ON-01910)、トリシリビン、ホノキオール、ミランセルチブ(ARQ-092)、ボルスセルチブ、SC66、A-674563、TIC10アナログ、ウロリチンB、ABTL-0821、ロウレイリンA、ホモサレート、デグエリン、レシブフォゲニン、テラメプロコル、オロキシンB、LM22B-10、アマロゲンチン、オリドニン、プラエルプトリンA、またはスクテラリンを含む。
【0169】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、PI3K阻害剤を投与することをさらに含む。好適なPI3K阻害剤は、限定はしないが、GDC-0941、TG100-115、CH5132799、PX-866、XL147、ZSTK474、BKM-120、BAY80-6946、AZD8835、WX-037、AZD8186、KA2237、CAL-120、ME401、AMG319、GSK2636771、INCB050465、INK-1117、TGR-1202、RP6530、GDC-0032、BYL719、BGT226、IPI-145、CAL-101、AMG511、ADZ6482、MLN1117、3-ヒドロキシアントラニル酸、ヒスピズリン、ペクトリナリン、またはシノブファギンを含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、Src阻害剤を投与することをさらに含む。好適なSrc阻害剤は、限定はしないが、ダサチニブ(BMS-354825)、ポナチニブ(AP24534)、サラカチニブ(AZD0530)、ボスチニブ(SKI-606)、デヒドロアビエチン酸(DAA、DHAA)、PP2、ギンコール酸C17:1(GAC17:1)、DGY-06-116、ドラマピモド(BIRB 796)、アパチニブ、ペリチニブ(EKB-569)、レスベラトロール、KX2-391(チラバニブリン)、NVP-BHG712、ENMD-2076、PRT062607(P505-15、BIIB057、PRT-2607)、PP1、MNS(3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン)、ドラマピモド(BIRB 796)、WH-4-023、RK24466、KX1-004、7-ヒドロキシクロモン、AD-80、レポトレクチニブ(TPX-0005)、ケルセチン(NSC 9221、ソフォレチン、C.I.75720)、SU 6656、Src阻害剤1(CAS 179248-59-0)、CCT196969、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、eCF506、1-ナフチルPP1(1-NA-PP 1)、AMG-47a、ON123300、UM-164、MLR-1023、PD173955、AZD0424、PD180970またはHG-7-85-01を含む。
【0171】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤を投与することをさらに含む。好適なFAK阻害剤は、限定はしないが、デフェクタニブ(VS-6063)、ソラネソール(ノナイソプレノール)、PF-00562271ベシル酸(PF-562271)、PF-562271(PF-00562271)、PRT062607(P505-15、BIIB057、PRT-2607)、PF-573228 TAE226(NVP-TAE226)、PF-562271 HCl、BI-4464、Y15、GSK2256098、PND-1186(VS-4718)、PF-431396、FAK阻害剤14(cas 4506-66-5)またはレバスチニブを含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK3β)阻害剤を投与することをさらに含む。好適なGSK3β阻害剤は、限定はしないが、リチウム、亜鉛、タングステン酸塩、ナプロキセン、クロモリン、ファモチジン、オランザピン、ピリミジン誘導体、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、インジルビン、6-BIO、ヒメルニアジシン、ジブロモカンタレリン、メリジアニン、アリールインドールマレイミド、SB-216763、SB-41528、チアゾール、AR-A014418、AZD-1080、Paullones、ケンパウロン、アルスターパウロン、カズパウロン、アロシン、マンザミン、マンザミンA、フラノセスキテルペン、パリヌリン、トリカンチン、L803-mts、チアジアゾリジンジオン、TDZD-8、NP00111、NP031115、NP031112(チデグルシブ)、ハロメチルケトン(HMK-32)、L803-mts、CH1R99021、CT99021、TWS119、アロイシン、9-ING-41、1-アザケンパウロン、IM-12、CHIR-98014、またはLY2090314を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、塩化物細胞内チャネル(たとえば、CLIC1および/またはCLIC4)阻害剤を投与することをさらに含む。好適なCLIC阻害剤は、限定はしないが、インダニルオキシ酢酸-94(IAA94)、ニフルミン酸、ジフェニルアミン-2-カルボン酸(DPC)、4,4’-ジイソチオシアノ-2,2’-スチルベンジスルホン酸、ジナトリウム塩(DIDS)、アントラセン誘導体、スチルベン、および重金属イオン、ブロックベンズイミダゾール、クロフィブリン酸、ベンゾフラン、プロピオン酸(CPP)、4-アセトアミド-4-イソチオシアナトスチルベン-2,2-ジスルホン酸(SITS)、5-ニトロ-2-(3-フェニルプロピルアミノ)安息香酸(NPPB)、クロロトキシン、ミベフラジル、カリックス[4]アレーン、クロミフェン、Cd2+、Gd3+、グリベンクライミド、フルフェナム酸、イノシトール-テトラビスホスフェート、メフロキナンドまたはフルオキセチンを含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、線維芽細胞増殖因子(FGF)阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの方法および/または実施形態において、FGF阻害剤は、FGF発現を特異的に阻害するかまたは減少させる。いくつかの方法および/または実施形態において、FGF阻害剤は、FGFをエンコードする核酸に特異的に結合する。いくつかの方法および/または実施形態において、FGFは、FGF-21、FGF-19、FGF-7、FGF-basicである。いくつかの方法および/または実施形態において、FGF阻害剤は、小分子、ペプチド、タンパク質、抗体、または核酸(たとえばsiRNA)であり得る。FGF阻害剤の例は、限定はしないが、可溶性FGFR3などの、可溶性線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、およびFGF-2に結合する可溶性おとり受容体融合タンパク質であるFGF-Trapなどの、可溶性おとり受容体を含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤を投与することをさらに含む。FGFR阻害剤の好適な例は、限定はしないが、BAY1179470、FPA144、PRO-001、RG7444、SSR128129E、AZD4547、BAY1163877、BGJ398、CH5183284、エルダフィチニブ、LY2874455、ルシタニブ/E3810、ニンテダニブ、パゾパニブ、ロブリチニブ、PD-161570、CP-547632、インフィグラチニブ(BGJ398)、PD173074、SSR128129E、PD-166866、ASP5878、H3B-6527、NSC12、BO-264、スルファチニブ、フィソガチニブ(BLU-554)、FIIN-2、フチバチニブ(TAS-120)、BLU9931、ペミガチニブ(INCB054828)、ゾリグラチニブ(Debio-1347)、アロファニブ(RPT835)、PRN1371、フェルラ酸、ODM-203、およびデラザンチニブ(ARQ-087)を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、被験体の腫瘍または癌を治療する方法は、被験体の身体の標的領域の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することとを含み、レンバチニブおよびベバシズマブのうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、非小細胞肺癌を治療する方法は、被験体の胴体の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することとを含む。いくつかの実施形態において、非小細胞肺癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体に交流電場を印加することとを含み、ドセタキセルを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、非小細胞肺癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、チェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む。好適なチェックポイント阻害剤は、限定はしないが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピルマブを含む。いくつかの実施形態において、非小細胞肺癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、ドセタキセルおよびペムブロリズマブを投与することをさらに含む。
【0178】
いくつかの実施形態において、悪性胸膜中皮腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体(たとえば、肺)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含む。いくつかの実施形態において、悪性胸膜中皮腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体(たとえば、肺)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、化学療法薬を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、悪性胸膜中皮腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体(たとえば、肺)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、ペメトレキセド、シスプラチン、およびカルボプラチンのうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、卵巣癌を治療する方法は、被験体の腹部の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することとを含む。いくつかの実施形態において、卵巣癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の腹部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、パクリタキセルを投与することをさらに含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫(GBM)を治療する方法は、被験体の頭部の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することとを含む。いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の脳の標的領域に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、テモゾロミドおよびチェックポイント阻害剤のうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。好適なチェックポイント阻害剤は、限定はしないが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピルマブを含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、テモゾロミドを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、ペムブロリズマブを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、テモゾロミドを投与することとペムブロリズマブを投与することとをさらに含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、放射線療法(たとえば、60Gyは2Gy画分で30回与えられる)を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、放射線療法(たとえば、60Gyは2Gy画分で30回与えられる)を投与することと、テモゾロミドを投与することとをさらに含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、ベバシズマブを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、多形性膠芽腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約200kHzなどの、約100~400kHzの周波数を有する、印加することを含み、ニラパリブを投与することをさらに含む。
【0184】
いくつかの実施形態において、胃癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の腹部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含む。いくつかの実施形態において、胃癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の腹部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、トラスツズマブを投与することをさらに含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、胃癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の腹部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、1つまたは複数の化学療法剤、たとえばオキサリプラチンおよびカペシタビンを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、胃癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の腹部に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、オキサリプラチン、カペシタビン、およびトラスツズマブのうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。
【0186】
いくつかの実施形態において、膵臓癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の腹部(たとえば、膵臓)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含む。いくつかの実施形態において、膵臓癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の腹部(たとえば、膵臓)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、ゲムシタビンおよびナブ-パクリタキセルのうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、肝細胞癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体(たとえば、肝臓)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含む。いくつかの実施形態において、肝細胞癌を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の胴体(たとえば、肝臓)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約150kHzなどの、約50~350kHzの周波数を有する、印加することを含み、ソラフェニブを投与することをさらに含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、転移性ブドウ膜悪性黒色腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部(たとえば、眼球)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約100kHzから約500kHzまでの周波数(たとえば、約150kHz、約200kHz、または約250kHz)を有する、印加することを含む。いくつかの実施形態において、転移性ブドウ膜悪性黒色腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部(たとえば、眼球)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約100kHzから約500kHzまでの周波数(たとえば、約150kHz、約200kHz、または約250kHz)を有する、印加することを含み、チェックポイント阻害剤を投与することをさらに含む。好適なチェックポイント阻害剤は、限定はしないが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピルマブを含む。いくつかの実施形態において、転移性ブドウ膜悪性黒色腫を治療する方法は、本明細書において説明されているように2つまたはそれ以上の電極アセンブリを用いて被験体の頭部(たとえば、眼球)に交流電場を印加することであって、交流電場は、約100kHzから約500kHzまでの周波数(たとえば、約150kHz、約200kHz、または約250kHz)を有する、印加することを含み、ニボルマブおよびイピリムマブのうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。
【0189】
いくつかの方法および/または実施形態は、上皮細胞間の細胞間タイトジャンクションの透過性を高めるために被験体の身体の標的領域に交流電場を印加することを含む。たとえば、いくつかの方法は、被験体の頭部の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1および第2の電極アセンブリの間に交流電場を印加して脳毛細血管内皮細胞間の細胞間タイトジャンクション(TJ)(すなわち、血液脳関門)の透過性を増大させることとを含む。他の実施形態において、これらの方法は、被験体の腹部の反対側に第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加して腸管上皮の透過性を増大させることとを含む。上皮細胞間の細胞間タイトジャンクションのこのような透過性の増大は、医薬品などの物質の吸収を高めるのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、そのような方法は、被験体に治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、細胞間タイトジャンクションの透過性を高めるのに役立つ交流電場は、約50kHzから約500kHz、約100kHzから約300kHz、または約100kHzから約190kHzの間の周波数を有する。いくつかの実施形態において、周波数は、約150kHz、約160kHz、約170kHz、約180kHz、または約190kHzである。
【0190】
いくつかの方法および/または実施形態は、被験体の身体の標的領域の対向する側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加して細胞膜、特に癌細胞膜の透過性を増大させることとを含む。そのような癌細胞膜は、任意の癌細胞、たとえば、多形性膠芽腫などの脳癌細胞、肺癌細胞(たとえば、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌)、脳転移細胞(たとえば、非小細胞肺癌または黒色腫から)、乳癌、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、膵臓癌細胞、胃癌細胞(たとえば、胃食道接合部腺癌、胃腺癌)、腸癌細胞、結腸癌細胞、直腸癌細胞、肝臓癌、肝細胞癌細胞、およびブドウ膜癌細胞の膜であるものとしてよい。いくつかの実施形態において、そのような方法は、被験体に、または癌細胞の付近に治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、細胞膜の透過性を増大させるのに役立つ交流電場は、約50kHzから約1MHzまでの間、約50kHzから約500kHzまでの間、または約100kHzから約300kHzまでの間の周波数を有する。
【0191】
いくつかの方法および/または実施形態は、被験体の頭部の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加して神経変性疾患の症状を治療するかまたは軽減することとを含む。たとえば、そのような神経変性疾患は、限定はしないが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、神経線維腫症、または認知症のうちの1つまたは複数であり得る。いくつかの実施形態において、神経変性疾患を治療する方法は、被験体の脳に交流電場を印加してGSK3βを阻害することを含む。
【0192】
いくつかの方法および/または実施形態は、被験体の身体の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加して神経変性疾患の症状を治療するかまたは軽減することとを含み、神経変性疾患の治療のための治療剤を投与することをさらに含む。神経変性疾患の治療のための治療薬は、限定はしないが、GSK3β阻害剤、コリンエステラーゼ阻害剤、抗アミロイドモノクローナル抗体(たとえば、アデュカヌマブ)、ドーパミンアゴニスト、モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害剤、カテコールO-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、または抗コリン作用薬を含む。いくつかの実施形態において、治療剤は、9-ING-41、HY-130795、TWS119、チデグルシブ、SAR502250、AR-A014418、TDZD8、ケンパウロン、クロモイブナトリウム、SB415286、IM-12、CP21R7、GNF4877、1-アザケンパウロン、またはインジルビン-3’-モノオキシム、タクリン、ガランタミン、リキリチゲニン、メマンチン、リバスチグミン、ドネペジル、シプロフロキサシン、セレコキシブ、タウロウルソデオキシコール酸、フェニル酪酸ナトリウム、レボドパ、カルビドパ、プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、アポモルヒネ、セレギリン ラサギリン、サフィナミド、エンタカポン、オピカポン、トルカポン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、アマンタジン、リルゾール、エダラボン、およびl-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンのうちの1つまたは複数である。
【0193】
いくつかの方法および/または実施形態は、標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加して自己免疫疾患の症状を治療するかまたは軽減することとを含み、標的領域は、自己免疫疾患によって攻撃されている組織を含む。たとえば、ラスムッセン脳炎(RE)では、免疫系が人の脳の片半球を攻撃するので、REを治療するための方法では、標的領域は被験体の頭部または脳であり得る。ループス腎炎では、免疫系は人の腎臓を攻撃する。ループス腎炎の標的部位は、被験体の身体上の、腎臓および/または関連する流入領域リンパ節の前および後の位置に1対の電極を留置し、任意選択で、被験体の身体の側部の、腎臓および/または関連する流入領域リンパ節に対応する高さのところに電極の第2の対を留置する。1型糖尿病を治療する方法は、被験体の膵臓の標的領域を含み得る。関節リウマチを治療する方法は、関連する関節および/または関連する流入領域リンパ節の標的領域を含み得る。多発性筋炎を治療する方法は、被験体の関連する筋肉および/または関連する流入領域リンパ節の標的領域を含み得る。
【0194】
いくつかの方法および/または実施形態は、被験体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加して受容体との静電相互作用に依存するウイルスに感染した被験体を治療することとを含み、標的領域は、ウイルスに感染した1つまたは複数の細胞を含む。たとえば、ウイルスはコロナウイルスまたはレンチウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、交流電場は、50kHzから1MHzまでの間、または100kHzから500kHzまでの間の周波数を有する。いくつかの実施形態において、交流電場は約150kHzの周波数を有する。
【0195】
いくつかの方法および/または実施形態は、被験体の標的領域の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加してレンチウイルスまたはコロナウイルスに感染した被験体を治療することとを含み、被験体に抗ウイルス治療薬を投与することをさらに含む。抗ウイルス治療薬の好適な例は、限定はしないが、レムデシビル(ベクリュリー)、アビガン(ファビラビル)、オルミアントおよびバリシニックス(バリシチニブ)、ヒドロキシクロロキン/クロロキン、カシリビマブおよびイムデビマブ(旧REGN-COV2)、PTC299、レロンリマブ(PRO140)、バムラニビマブ(LY-CoV555)、レンジルマブ、イベルメクチン、RLF-100(アビプタジル)、メトホルミン(グルコファージ、グルメッツア、リオメット)、AT-527、アクテムラ(トシリズマブ)、ニクロシド(ニクロサミド)、回復期血漿、ペプシド(ファモチジン)、カレトラ(ロピナビル-リトナビル)、レミケード(インフリキシマブ)、AZD7442、AZD7442、CT-P59、ヘパリン(UFおよびLMW)、VIR-7831(GSK4182136)、JS016、ケブザラ(サリルマブ)、SACCOVID(CD24Fc)、ヒュミラ(アダリムマブ)、COVI-GUARD(STI-1499)、デキサメタゾン(デキステンザ、オズルデックス、その他)、PB1046、ガリデシビル、ブシラミン、PF-00835321(PF-07304814)、エリキス(アピクサバン)、タクザイロ(ラナデルマブ)、ヒドロコルチゾン、イラリス(カナキヌマブ)、コルヒチン(ミティガレ、コルクリス)、BLD-2660、アビガン(ファビラビル/アビファビル)、Rhu-pGSN(ゲルソリン)、MK-4482、TXA127、LAM-002A(アピリモドジメシル酸)、DNL758(SAR443122)、INOpulse、ABX464、AdMSCs、ロスマピモド、マブリリムマブ、およびカルケンス(アカラブルチニブ)を含む。
【0196】
いくつかの方法および/または実施形態は、被験体の胴体(たとえば、肺)の反対側に本明細書において説明されているような第1の電極アセンブリおよび第2の電極アセンブリを位置決めすることと、第1の電極アセンブリと第2の電極アセンブリとの間に交流電場を印加して急性呼吸窮迫の症状を治療するかまたは軽減することとを含む。いくつかの実施形態において、急性呼吸窮迫症候群は、コロナウイルス感染などのウイルス感染によって引き起こされていることもあり得る。
【0197】
本発明は、いくつかの実施形態を参照しつつ開示されているが、付属の請求項において定義されているように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、説明されている実施形態に対する多数の修正、改変、および変更が可能である。したがって、本発明は、説明されている実施形態に限定されるべきでなく、次の請求項の文言およびその等価物によって定義される全範囲を有することが意図されている。
【符号の説明】
【0198】
50 電極アセンブリ
50a 電極アセンブリ
50b 電極アセンブリ
50c 電極アセンブリ
50d 電極アセンブリ
50e 電極アセンブリ
60 層
70 シート
80 第1の導電性材料後部層
310 第1の誘電性材料層
320 第1の金属層
380 導電性材料の別個の領域
500 金属片
600 金属片
700 コンデンサ
800 温度センサー
820 交流電圧発生器
822 コントローラ
図1A-1B】
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電場を被験体の身体に印加するための装置であって、
前面と後面とを有する異方性材料のシートであって、前記シートは、前記前面に垂直な方向において第1の熱伝導率を有し、前記前面に平行な方向における前記シートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも2倍以上高い、シートと、
前記シートの前面に配設され、生体適合性の前面を有する少なくとも1つの導電性材料層と、
前記シートの後に位置決めされた第1の電極素子であって、前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第1の前面を有する第1の電極素子と、を備える装置。
【請求項2】
前記第1の電極素子は、前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、前記第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層と、を備え、
前記第1の誘電性材料層の前面は、前記第1の電極素子の第1の前面であり、
前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、前記第1の導電性材料後部層は、前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備え、前記第2の電極素子は前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有し、
前記第2の電極素子は、前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、前記第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層と、を備え、
前記第2の誘電性材料層の前面は、前記第2の電極素子の第2の前面であり、
前記第1の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間に位置決めされ、前記第1の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シートの後に位置決めされた第2の電極素子をさらに備え、前記第2の電極素子は前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第2の前面を有し、
前記第2の電極素子は、前面および後面を有する第2の誘電性材料層と、前記第2の誘電性材料層の後面に配設された第2の金属層と、を備え、
前記第2の誘電性材料層の前面は、前記第2の電極素子の第2の前面であり、
前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第2の導電性材料後部層をさらに含み、前記第2の導電性材料後部層は、前記第2の電極素子の第2の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の電極素子は、前面を有する金属片を含み、
前記金属片の前面は、前記第1の電極素子の第1の前面である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記前面に平行な方向における前記シートの熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも10倍以上高い、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの導電性材料層は、導電性接着剤を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
交流電場を被験体の身体に印加するための装置であって、
前面と後面とを有する異方性材料のシートであって、前記シートは前記前面に垂直な方向において第1の抵抗を有し、前記前面に平行な方向における前記シートの抵抗は、前記第1の抵抗の半分未満である、シートと、
前記シートの前面に配設され、生体適合性の前面を有する少なくとも1つの導電性材料層と、
前記シートの後に位置決めされた第1の電極素子であって、前記シートの後面と電気的に接触するように配設された第1の前面を有する第1の電極素子と、を備える装置。
【請求項9】
前記第1の電極素子は、前面および後面を有する第1の誘電性材料層と、前記第1の誘電性材料層の後面に配設された第1の金属層とを備え、
前記第1の誘電性材料層の前面は、前記第1の電極素子の第1の前面であり、
前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間に位置決めされた第1の導電性材料後部層をさらに含み、前記第1の導電性材料後部層は、前記第1の電極素子の第1の前面と前記シートの後面との間の電気的接触を促進する、請求項に記載の装置。
【請求項10】
テモゾロミド、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ、アテゾリズマブ、ゲムシタビン、メベンダゾール、ソラフェニブ、オキサリプラチン、カペシタビン、フルオロウラシル、ロイコボリン、デパツキシズマブマフォドチン、およびABT-751の1つまたは複数から選択され、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療用の化学療法薬であって、請求項1に記載の装置を使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される化学療法薬。
【請求項11】
前記交流電場の前記印加は、異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施される、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項12】
前記化学療法薬は、免疫チェックポイント阻害剤の投与とさらに組み合わせて投与される、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項13】
前記癌は多形性膠芽腫であり、前記化学療法薬はテモゾロミドを含み、ペムブロリズマブとさらに組み合わせて投与される、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項14】
前記化学療法薬は、放射線療法の投与とさらに組み合わせて投与される、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項15】
前記化学療法薬は、黒鉛のシートを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項16】
前記化学療法薬は、熱分解黒鉛、または高純度圧縮剥離鉱物黒鉛製の黒鉛箔シート、または黒鉛化ポリマーフィルムを含む電極アセンブリを使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項17】
前記交流電場の印加は、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施され、
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも2倍以上高く、
前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも2倍以上高い、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項18】
前記交流電場の印加は、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施され、
前記第1の前面に平行な方向における前記第1のシートの熱伝導率は、前記第1の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも10倍以上高く、
前記第2の前面に平行な方向における前記第2のシートの熱伝導率は、前記第2の前面に垂直な方向における熱伝導率よりも10倍以上高い、請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項19】
前記交流電場の印加は、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第1のシートを含む第1の電極アセンブリと、第1の前面および第1の後面を有する異方性材料の第2のシートを含む第2の電極アセンブリとの間に交流電圧を印加することによって実施され、
前記第1のシートは、前記第1の前面に垂直な方向における前記第1のシートの抵抗の1/2未満である前記第1の前面に平行な方向における抵抗を有し、
前記第2のシートは、前記第2の前面に垂直な方向における前記第2のシートの抵抗の1/2未満である前記第2の前面に平行な方向における抵抗を有する請求項10に記載の化学療法薬。
【請求項20】
ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミピリマブ、アテゾリムマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびイピリムマブの1つまたは複数のうちから選択され、多形性膠芽腫、肺癌、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、脳転移、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胃食道接合部腺癌、胃腺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、およびブドウ膜癌のうちから選択される癌の治療用の免疫チェックポイント阻害剤であって、請求項1に記載の装置を使用して50kHzから1MHzの周波数を有する交流電場の印加と組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤。
【国際調査報告】