(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】カテーテルのための軸方向の作動機構
(51)【国際特許分類】
A61M 25/08 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61M25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580525
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022072289
(87)【国際公開番号】W WO2023017005
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512238276
【氏名又は名称】バイオトロニック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリマン、マルシャル
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、セバスティアン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA28
4C267AA32
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB31
4C267BB40
4C267BB53
4C267CC09
4C267HH30
(57)【要約】
少なくとも1つの内側部材を受容することができる外側カテーテル内腔を画定する外側カテーテル・シャフトを有する外側カテーテルと、前記外側カテーテルの前記外側カテーテル内腔内に配置されている少なくとも1つの内側部材であって、制限のない移動状態で前記外側カテーテルに対して相対的に移動可能である少なくとも1つの内側部材と、作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素であって、前記制限のない移動状態での前記軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での前記少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限することができる軸方向移動制限要素とを備えるカテーテル・システムが記載されている。さらに、カテーテル・システムを操作するための方法が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1つの内側部材を受容することができる外側カテーテル内腔を画定する外側カテーテル・シャフトを有する外側カテーテルと、
- 前記外側カテーテルの前記外側カテーテル内腔内に配置されている少なくとも1つの内側部材であって、制限のない移動状態での前記外側カテーテルに対して相対的に移動可能である、少なくとも1つの内側部材と、
- 作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素であって、前記制限のない移動状態での前記軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での前記少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限することができ、前記作動機構が、回転-並進ギアを備えるか、若しくは、ボールねじ駆動作動機構を備えるか、又は、前記作動機構が回転-並進ギアを備えるか、又は、前記作動機構がスピンドル駆動作動機構である、軸方向移動制限要素と
を備えるか又はそれらから成る、カテーテル・システム。
【請求項2】
前記作動機構及び前記ロック機構が、互いに接続されているか、又は互いに結合されている、請求項1に記載のカテーテル・システム。
【請求項3】
前記軸方向移動制限要素が、前記軸方向移動制限要素を前記外側カテーテルと接続するためのコネクタを備える、請求項1又は請求項2に記載のカテーテル・システム。
【請求項4】
前記軸方向移動制限要素が、前記内側部材のための受容部を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項5】
前記外側カテーテルが、その近位端でハンドルに接続される、請求項1から4までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項6】
前記軸方向移動制限要素が、前記ハンドルに一体化されている、請求項5に記載のカテーテル・システム。
【請求項7】
前記外側カテーテルが、サポート・カテーテルである、請求項1から6までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの内側部材が、内側管状部材又は内側ワイヤ形状部材である、請求項1から7までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの内側部材が、拡張器及び/又はバルーン・カテーテル、好ましくは、経皮経管的血管形成カテーテル、又は、薬剤若しくは流体媒体を塗布するためのカテーテル、又は、放射線若しくは心臓病インターベンション用のカテーテルである、請求項1から8までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項10】
前記ロック機構が、前記少なくとも1つの内側部材の前記軸方向の移動を制限することができる、請求項1から9までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項11】
前記ロック機構が、少なくとも1つのクランプを備える前記少なくとも1つの内側部材をロックするためのクランプ機構である、請求項1から10までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのクランプが、いくつかの部品によって、好ましくは、1つのクランプとして協働する2つのハーフ・シェル・クランプによってできている、請求項11に記載のカテーテル・システム。
【請求項13】
前記作動機構が、手動の作動機構である、請求項1から12までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項14】
前記作動機構が、駆動ユニットを備える電気駆動作動機構である、請求項1から9までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項15】
前記作動機構が、振動するねじを備えるボールねじ駆動作動機構を備える、請求項1から14までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項16】
外側カテーテルの外側カテーテル内腔内に配置されている少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限するための軸方向移動制限要素であって、前記軸方向移動制限要素が、ロック機構と作動機構とを備えるか又はそれらから成り、前記ロック機構及び前記作動機構が、互いに接続されているか、又は互いに結合されており、前記軸方向移動制限要素が、内側部材を受容することができる管状外側カテーテル内腔を有する外側カテーテルと、前記軸方向移動制限要素を接続するためのコネクタを備え、前記軸方向移動制限要素が前記内側部材のための受容部を備え、前記作動機構が回転-並進ギアを備えるか、若しくは、ボールねじ駆動作動機構を備えるか、又は、前記作動機構が回転-並進ギアを備えるか、又は、前記作動機構がスピンドル駆動作動機構である、軸方向移動制限要素。
【請求項17】
前記軸方向移動制限要素が、カテーテル、好ましくは、前記外側カテーテル又は前記内側部材に取り付けられても接続されてもいない、請求項16に記載の軸方向移動制限要素。
【請求項18】
狭窄若しくは慢性的な完全閉塞部を治療する方法において使用するための、又は、ガイドワイヤ・ネゴシエーション、病変の貫通若しくは病変の再疎通の方法において使用するための、又は、少なくとも1つの薬剤若しくは流体媒体を塗布する方法において使用するための、請求項1から15までのいずれか一項に記載のカテーテル・システム。
【請求項19】
- 少なくとも1つの内側部材を受容することができる外側カテーテル内腔を画定する外側カテーテル・シャフトを有する外側カテーテルと、
- 前記外側カテーテルの前記外側カテーテル内腔内に配置されている少なくとも1つの内側部材と、を含み、
- 制限のない移動状態と比べて、制限された移動状態で、軸方向移動制限要素を介して、前記少なくとも1つの内側部材の前記軸方向の移動を制限するステップであって、前記軸方向移動制限要素が、作動機構とロック機構とを備えるステップを含む、カテーテル・システム、特に、請求項1から15までの前記カテーテル・システムを操作するための方法。
【請求項20】
前記軸方向の移動が、並進運動、又は、回転及び並進の複合運動である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの内側管状部材が、好ましくは、1Hz~100kHz、より好ましくは5Hz~15kHz、最も好ましくは5Hz~500Hzの周波数で振動する、請求項19又は請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の(例えば冠状動脈の)又は非血管性の疾患若しくは病気の治療のための、例えば、狭窄、閉塞、病変の治療のため、治療目的のため、及び、薬剤又は流体媒体を塗布するためのカテーテル・システムに関する。カテーテル・システムは、例えば、狭窄の機械的プロービング又はチャネリング、及び、薬剤又は媒体の塗布のための、軸方向の作動機構を備える。本発明は、さらに、そのようなカテーテル・システムを操作するための方法に関する。本発明はまた、外側カテーテルの内腔内に配置されている少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限するための軸方向移動制限要素に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、狭窄の診断及び治療に関連する特定の臨床的なインターベンション処置は、患者の解剖学的構造又は血管の形態が複雑な場合、しばしば厳しいことがある。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の目的は、改善されたガイドワイヤ・ネゴシエーション(血管系を通して操作する)、病変の貫通、病変の再疎通、及び、媒体又は薬剤の塗布などの、いくつかの機能を容易にするカテーテル・システムを提供することである。
【0004】
この問題は、請求項1の特徴を有するカテーテル・システムによって解決される。
【0005】
好ましい実施例は、従属請求項に記載されており、以下に詳細に説明される。
【0006】
カテーテル・システムは、外側カテーテルと内側(管状)部材とを備える。
【0007】
外側カテーテルは、内側(管状)部材を受容することができる(管状)内腔を画定する外側カテーテル・シャフトを有する。外側カテーテルは、外側カテーテル近位端と外側カテーテル遠位端とを有する。外側カテーテル遠位端は、人間又は動物の体内に挿入される端部である。外側カテーテル近位端は、操作者、特にインターベンションに携わる医師、例えば、心臓専門医又は放射線科医によって操作される端部である。
【0008】
外側カテーテルは、サポート・カテーテルであってもよい。
【0009】
内側(管状)部材及び外側カテーテル(例えば、サポート・カテーテル)は、軸方向及び(非常に限定された方法で)半径方向に、制限のない移動状態で互いに相対的に移動可能である。したがって、制限のない移動状態で、内側部材の軸方向の移動が可能になる。
【0010】
カテーテル・システムは、軸方向移動制限要素を備える。軸方向移動制限要素により、制限のない移動状態での軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動の制限が可能になる。
【0011】
軸方向移動制限要素は、ロック機構と作動機構とを備える。ロック機構及び作動機構は、互いに接続されているか、又は互いに結合されている。したがって、ロック機構及び作動機構は、協働している。軸方向移動制限要素は、ロック機構を備えるロック機構要素と、作動機構を備える作動機構要素とを備えることができ、ロック機構要素及び作動機構要素は、互いに接続されているか、又は互いに結合されている。
【0012】
軸方向移動制限要素はまた、外側カテーテル(例えば、サポート・カテーテル)に対して制限のない移動状態で、内側部材の制限のない軸方向の移動を可能にする。それにもかかわらず、内側部材の制限のない軸方向の移動がカテーテルの設計によって制限されることは、当業者には理解されるべきである。
【0013】
ロック機構は、個別に用いられる場合、外側カテーテル(例えば、サポート・カテーテル)に対して制限された移動状態で内側部材を選択可能な位置にロックすることが可能になり、軸方向の作動機構は、個別に用いられる場合、制限された移動状態で(少なくとも1つの)内側部材及び外側カテーテルの互いに対する軸方向の移動を可能にする。したがって、ロック機構及び作動機構の全体(又は明確に言えば、移動制限要素)は、制限された移動状態で(少なくとも1つの)内側部材及び外側カテーテルの制限された軸方向の移動を可能にする。したがって、ロック機構と作動機構とを備える移動制限要素は、制限された移動状態で(少なくとも1つの)内側部材及び外側カテーテルの互いに対する制限された軸方向の移動を可能にする。軸方向の移動は、単純な変位(すなわち、並進運動)、又は回転と並進との複合運動、好ましくは、規則的若しくは不規則な振動運動であってもよい。
【0014】
カテーテル・システムは、
- (少なくとも)1つの内側部材を受容することができる外側カテーテル内腔を画定する外側カテーテル・シャフトを有する外側カテーテルと、
- 外側カテーテルの外側カテーテル内腔内に配置されている(少なくとも)1つの内側部材であって、制限のない移動状態で外側カテーテルに対して相対的に移動可能である(少なくとも1つの)内側部材と、
- 作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素であって、制限のない移動状態での軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での(少なくとも1つの)内側部材の軸方向の移動を制限することができる、軸方向移動制限要素と
を備える。
【0015】
(少なくとも1つの)内側部材は、好ましくは、内側管状部材又はワイヤ形状内側部材(又はそれらの組合せ)である。外側カテーテル内腔は、好ましくは、管状外側カテーテル内腔である。
【0016】
ロック機構と作動機構との組み合わせにより、操作中に、内側(管状)部材の使用可能な長さを変えられるようになる。
【0017】
サポート・カテーテルは、内側(管状)部材を受容することができる(管状)内腔を画定するサポート・カテーテル・シャフトを有する。サポート・カテーテルは、サポート・カテーテル近位端とサポート・カテーテル遠位端とを有する。サポート・カテーテル遠位端は、人間又は動物の体内に挿入される端部である。サポート・カテーテル近位端は、操作者、特にインターベンションに携わる医師、例えば、心臓専門医又は放射線科医によって操作される端部である。サポート・カテーテル遠位端は、直線の縁部を有していてもよい。直線縁部付きサポート・カテーテル遠位端により、押込み性が向上し、拡径を避けることができる。
【0018】
外側カテーテル、例えば、サポート・カテーテルは、その近位端で、操作ハンドル、好ましくは、操作者によって押すことを可能にするハンドル(すなわち、押しハンドル)に接続することができる。ハンドルは、長さ調整可能性と操作者による操作性を向上させるために、視覚的、音響的、又は触覚的マーキングを含んでいてもよい。ハンドルは、把持面を有していてもよい。ハンドルは、サポート・カテーテル及び拡張器に同時に取り付けるように構成されてもよい。
【0019】
外側カテーテル、例えば、サポート・カテーテルは、例えば、ルアー・コネクタを介して操作ハンドルに接続できるマニホールド部材をさらに備えていてもよい。マニホールドは、シャーク・フィン形状を有していてもよい。
【0020】
サポート・カテーテルは、1つ又は複数のポート、例えば、フラッシング・ポート、膨張及び/又は収縮ポートをさらに備えることができる。
【0021】
カテーテル・システムは、内側管状部材として、又はさらに、拡張器、及び/又はバルーン・カテーテル、例えば、経皮経管的血管形成(PTA:percutaneous transluminal angioplasty)カテーテル、若しくは、経皮経管冠状動脈形成(PTCA:percutaneous transluminal coronary angioplasty)カテーテル、及び/又は、流体媒体、例えば、造影剤、若しくは薬剤を含む流体を塗布するためのカテーテル、及び/又は、冠状動脈カテーテル、若しくは末梢カテーテル(放射線インターベンション用のカテーテル)、及び/又は、その他のインターベンション用カテーテルを備えていてもよい。
【0022】
カテーテル・システムは、ワイヤ形状の内側部材として、又はさらに、針若しくはガイドワイヤを備えていてもよい。
【0023】
カテーテル・システムは、多機能カテーテル・システム又はインターベンション用カテーテル・システムであってもよい。多機能カテーテル・システムは、サポート・カテーテルが、拡張器及びバルーン・カテーテル(例えば、PTA又はPTCAカテーテル)のような様々な内部部材と同時に又は連続して収容することができることを意味する。
【0024】
好ましくは、カテーテル・システムは、
- 拡張器及び/又はバルーン・カテーテルを受容することができるサポート・カテーテル内腔を画定するサポート・カテーテル・シャフトを有するサポート・カテーテルと、
- サポート・カテーテルのサポート・カテーテル内腔内に配置されている拡張器及び/又はバルーン・カテーテルであって、制限のない移動状態でサポート・カテーテルに対して相対的に移動可能である、拡張器及び/又はバルーン・カテーテルと、
- 作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素であって、制限のない移動状態での軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での拡張器及び/又はバルーン・カテーテルの軸方向の移動を制限することができる、軸方向移動制限要素と
を備える。
【0025】
サポート・カテーテル、拡張器及びバルーン・カテーテル(例えば、PTA又はPTCAカテーテル)は、それぞれ寸法に関して互いに適合している。
【0026】
拡張器は、拡張器遠位端と、拡張器近位端と、拡張器遠位端及び拡張器近位端の間に延在する拡張器シャフトとを有する。拡張器遠位端は、好ましくは、ポリマー材料で作られた拡張器先端部を備える。先端部は、鋭利な先端部又は鈍端部であってもよい。拡張器近位端は、拡張器マニホールドを備えていてもよい。
【0027】
バルーン・カテーテルは、バルーン・カテーテル遠位端と、バルーン・カテーテル近位端と、バルーン・カテーテル遠位端及びバルーン・カテーテル近位端の間に延在するバルーン・カテーテル・シャフトとを有する。バルーン・カテーテル遠位端は、バルーン(膨張可能部材)を備える。バルーン・カテーテル近位端は、バルーン・カテーテル・マニホールドを備えていてもよい。バルーンは、放射線不透過性マーカを含んでいてもよい。
【0028】
カテーテル・システムは、ガイドワイヤを備えていてもよい。この種のカテーテル・システムは、ガイドワイヤを用いて関心位置まで案内すること又は押し込むことができる。
【0029】
作動機構及びロック機構を備える軸方向移動制限要素は、外側カテーテル近位端、例えば、サポート・カテーテル端部に又はその近くに配置することができる。作動機構及びロック機構を備える軸方向移動制限要素は、ハンドルに一体化されてもよい。このような場合、ハンドルは、カテーテル・システムの内側部材を制限するため又は制限を解除するために使用される、カテーテル・システムの他の機能のうちの1つである。
【0030】
作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素は、外側カテーテルと内側部材とを有する任意のカテーテル・システムと組み合わせることができる別個の要素であってもよい。したがって、作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素は、個別の実施例とともに本明細書に開示される。ロック機構及び作動機構の個々の特徴は、本出願の他の箇所で詳細に説明される。
【0031】
一実施例では、軸方向移動制限要素は、ロック機構を備えるロック機構要素と、作動機構を備える作動機構要素とを備え、ロック機構要素及び作動機構要素は、互いに接続されているか、又は互いに結合されている。軸方向移動制限要素は、ロック機構(要素)に挿入することができる少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限することができる。軸方向移動制限要素又は軸方向移動制限要素の作動機構要素は、内側(管状又はワイヤー形状)部材を受容することができる管状外側カテーテル内腔を有する外側カテーテル(例えば、サポート・カテーテル)に、軸方向移動制限要素を接続するためのコネクタ(例えば、ルアー・コネクタ)を備える。軸方向移動制限要素は、内側(管状又はワイヤー形状)部材、例えば、カテーテル若しくはガイドワイヤのための(管状)受容部を備えるか、又は、軸方向移動制限要素のロック機構要素及び作動機構要素は、内側(管状又はワイヤー形状)部材、例えば、カテーテル若しくはガイドワイヤのための受容部を備える。
【0032】
ロック機構(要素)及び作動機構(要素)の個々の特徴は、本出願の他の場所で詳細に説明される。
【0033】
ロック機構又はロック機構要素の様々な実施例が可能である。ロック機構は、ロック機構要素に配置することができ、ロック機構要素は、作動機構要素と接続されているか、又は作動機構要素に結合されている。
【0034】
ロック機構は、ロック状態で内側部材の軸方向の移動をロックするための少なくとも1つのクランプ要素を備えることができる。一実施例では、ロック機構要素は、ロック状態で内側部材の軸方向の移動をロックするための(適切な)少なくとも1つのクランプ要素を備えることができる。
【0035】
一実施例では、少なくとも1つのクランプ部材は、テーパ状クランプであってもよい。テーパ状クランプは、ねじを介して作動機構(要素)に接続されたねじ込み式キャップによって内側部材に押し付けられる。テーパ状クランプは、内側部材を一緒に固定する2つのハーフ・シェル・クランプとして設計することができ、好ましくは、内側部材上に押し付けられるときに流体が流れるためのチャネルを開けたままにしておく。
【0036】
別の実施例では、少なくとも1つのクランプ部材は、可撓性のクランプ・スリーブであり得る。可撓性のクランプ・スリーブは、外側キャップによって内側部材上に押し付けることができる。スリープの可撓性は、材料挙動によって、及び/又は、スロット付き設計によって生じる可能性がある。
【0037】
さらなる実施例では、少なくとも1つのクランプ部材は、クリップ式設計を有することができる。
【0038】
クリップ式設計は、内側部材を一緒に固定する2つの部品から成っていてもよい。
【0039】
一実施例では、ロック機構要素は、止血弁(hemostatic valve)(止血弁(hemostasis valve)とも呼ばれる)であってもよい。止血弁は、シールを有し、例えば、内側部材が導入又は抽出されるたびにロック又はロック解除することができる。止血弁は、例えばルアー接続を介して作動機構要素に接続することができる。
【0040】
軸方向作動機構の様々な実施例が可能である。作動機構は、作動機構要素内に配置することができ、作動機構要素は、ロック機構要素と接続されているか、又はロック機構要素に結合されている。
【0041】
一実施例では、ばね付勢式作動機構に基づいた軸方向作動機構は、好ましくは除外される。
【0042】
別の実施例では、軸方向作動機構は、ガス圧ばねに基づいていてもよい。
【0043】
別の実施例では、軸方向作動機構は、任意選択的に減衰要素と組み合わされる磁気作動機構に基づいていてもよい。
【0044】
別の実施例では、軸方向作動機構は、(横方向の)レバーを有するハンドル内に配置される。レバーを介して、内側部材の軸方向(前後)の動きが実現され得る。操作者の手又は指によって引き起こされるレバーの動き(例えば、前後の動き)は、内側部材の軸方向の動きに伝達され得る。
【0045】
別の実施例では、軸方向作動機構は、操作者の親指又は指の動き(例えば、前後の動き)を、例えばストローク制限要素を使用して内側部材に(直接的又は間接的に)加えるための、操作者の親指又は指用の(横方向の)アイレットを有するハンドル内に配置される。
【0046】
軸方向作動機構は、手動の作動機構であってもよい。手動の作動機構では、軸方向の動作は、ストロークを制限するために規定された端部停止部によってサポートされた操作者によって、手動で加えられる。外側カテーテルは、操作者の一方の手で空間的に所定の位置に保持され、内側部材は、操作者のもう片方の手によって軸方向に後方に(外側カテーテル近位端に向かって)、及び前方に(外側カテーテル遠位端に向かって)動かされる。
【0047】
或いは、軸方向作動機構は、電気駆動される作動機構であってもよく、好ましくは、操作者によって開始される。
【0048】
軸方向作動機構は、回転を軸方向の並進に、又は軸方向の並進と回転との複合運動に変える機構であってもよい。
【0049】
一実施例では、軸方向作動機構は、ねじ付きスピンドルを備えることができる。ねじ付きスピンドルは、要件(ねじの設計によって制限された軸方向の動き)に応じたピッチ及びストロークで、回転を軸方向の並進に変え、双方向回転又は一方向回転で前後の並進に変える。軸方向の移動は、操作者によって手動で加えられた回転によって生じる可能性がある。
【0050】
別の実施例では、軸方向作動機構は、ボールねじ駆動作動機構であってもよい。ボールねじ駆動作動機構は、糸状の溝と組み合わされた作動機構要素のハウジング内のアイレット又はスロットによって所定の位置に保持されるベアリング・ボールを備え、糸状の溝では、ベアリング・ボールが、溝を備える外側カテーテルを、意図した方法で軸方向に移動させる。
【0051】
内側部材は、その作動中に回転する場合も回転しない場合もある(カテーテル・システムの要件次第である)。
【0052】
前述の各ロック機構(要素)と前述の各軸方向作動機構(要素)との組み合わせが、本明細書に開示されている。
【0053】
さらに、カテーテルの少なくとも1つの内側部材、好ましくは、バルーン、又は、ガイドワイヤ若しくは拡張器のような、管状若しくはワイヤ形状である内側部材の軸方向の移動を制限するための軸方向移動制限要素が説明される。
【0054】
少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限するための軸方向移動制限要素は、カテーテル(のカテーテル内腔)内に配置され、軸方向移動制限要素は、ロック機構と作動機構とを備える。ロック機構及び作動機構は、互いに接続されているか、又は互いに結合されている。
【0055】
軸方向移動制限要素は、ロック機構を備えるロック機構要素と、作動機構を備える作動機構要素とを備えることができ、ロック機構要素及び作動機構要素は、互いに接続されているか、又は互いに結合されている。例えば、作動機構要素は、ロック機構要素の回転運動を並進運動に変換する軸方向作動機構を備えることができる。したがって、作動機構要素は、回転運動を並進運動に変換するための回転-並進ギアを備えることができる。
【0056】
軸方向移動制限要素は、さらに、内側部材(例えば、バルーン、又は、ガイドワイヤ若しくは拡張器のような、管状若しくはワイヤ形状の内側部材)のための受容部を備える。好ましくは、軸方向移動制限要素のロック機構要素及び作動機構要素は、内側部材(例えば、バルーン、又は、ガイドワイヤ若しくは拡張器のような、管状若しくはワイヤ形状の内側部材)のための受容部を備える。
【0057】
軸方向移動制限要素は、軸方向移動制限要素及び/又はロック機構要素内に挿入され得る少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限することができる。
【0058】
軸方向移動制限要素及び/又は軸方向移動制限要素の作動機構要素は、軸方向移動制限要素及び/又は作動機構要素を、内側部材(例えば、バルーン、又は、ガイドワイヤ若しくは拡張器のような、管状若しくはワイヤ形状の内側部材)を受容することができる(管状の外側)カテーテル内腔を有する(外側)カテーテルに接続するためのコネクタを備えることができる。コネクタは、ルアー・コネクタであってもよい。
【0059】
さらに、上述のようなカテーテル・システムを操作するための方法が記載されている。
【0060】
カテーテル・システムを操作するための方法は、
- (少なくとも)1つの内側部材を受容することができる外側カテーテル内腔を画定する外側カテーテル・シャフトを有する外側カテーテルと、
- 外側カテーテルの外側カテーテル内腔内に配置されている(少なくとも)1つの内側部材と、を含み、
- 制限のない移動状態と比べて、制限された移動状態で、作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素を介して、少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限するステップを含む。
【0061】
(少なくとも1つの)内側部材の軸方向の移動を制限することによって、より優れた性能を実現することができる。
【0062】
この方法は、制限のない移動状態で軸方向移動制限要素を介して(少なくとも1つの)内側部材の軸方向の移動を制限せず、内側部材を任意選択的に外側カテーテルの外側カテーテル内腔内に移動するステップをさらに備えることができる。
【0063】
上述のようなカテーテル・システム、又はカテーテル・システムを操作する方法も記載されており、
- (少なくとも1つの)内側部材は、内側管状部材又は内側ワイヤ形状部材であってもよく、
- 外側カテーテルは、サポート・カテーテルであってもよく、及び/又は(少なくとも1つの)内側部材は、拡張器、バルーン・カテーテル、薬剤又は流体媒体を塗布するためのカテーテル、冠状動脈カテーテル、末梢カテーテル、及び/又は他のいかなるインターベンション用カテーテルであってもよく、
- 内側部材は、経皮経管的血管形成カテーテル、又は、経皮経管冠状動脈形成カテーテルであってもよく、
- ロック機構は、少なくとも1つのクランプを備える(少なくとも1つの)内側部材をロックするためのクランプ機構であってもよい。少なくとも1つのクランプは、いくつかの部品によって、好ましくは、1つのクランプとして協働する2つのハーフ・シェル・クランプによって作られてもよく、
- 作動機構は、手動の作動機構、又は駆動ユニットを備える電気駆動の作動機構であり、
- 作動機構は、スピンドル駆動の作動機構、又はバヨネット・マウント駆動の作動機構であってもよい。或いは、作動機構は、溝と、溝内で摺動可能なベアリング・ボールとを備え、
- 作動機構は、ばね付勢式作動機構に基づいておらず、
- 軸方向の移動は、並進運動、又は回転と並進との複合運動であり、
- 作動機構は、振動(例えば、1Hz~100kHz、好ましくは5Hz~15kHz、より好ましくは5Hz~500Hzの周波数を有する)を発生させるための手段と、内側部材に前記振動を伝達するための伝達手段とを備え、
- (少なくとも1つの)内側管状部材は、好ましくは1Hz~100kHz、より好ましくは5Hz~15kHz、最も好ましくは5Hz~500Hzの周波数で(軸方向に)振動する。
【0064】
5Hz以上(及び100kHz、15kHz又は500Hz未満)の周波数を有する振動を発生させるための手段を備える作動機構を使用することによって、操作者によって手動で移動される内側部材と比べて、狭窄又は慢性的な完全閉塞部に対処するときに、臨床的に望まれる機械的操作を容易にすることができる。
【0065】
本発明及び本発明の実施例の特徴及び利点は、以下の図において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図5】軸方向移動制限要素を備えるカテーテル・システムの概略図を示す。
【
図6】軸方向移動制限要素を備えるカテーテル・システムの別の実施例を側断面図で示す。
【
図8】ロック機構を備えるカテーテル・システムの一実施例を側断面図で示す。
【
図9】ロック機構のさらなる実施例を側面図で示す。
【
図10】軸方向移動制限要素を備えるカテーテル・システムの別の実施例を側断面図で示す。
【
図11】作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素の概略図を示す。
【
図12】軸方向移動制限要素の別の実施例を側断面図で示す。
【
図13】軸方向移動制限要素10を備えるカテーテル・システム1の別の実施例を側断面図で示す。
【
図14】
図13の軸方向移動制限要素10の一部を断面図で示す。
【
図15】
図13の軸方向移動制限要素10の一部を正面断面図で示す。
【
図16】
図13の軸方向移動制限要素10の一部を正面断面図で示す。
【
図17A】軸方向移動制限要素の別の実施例を示す。
【
図17B】軸方向移動制限要素の別の実施例を示す。
【
図17C】軸方向移動制限要素の別の実施例を示す。
【
図18】
図13に描かれる軸方向移動制限要素10を側断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、外側カテーテル(例えば、サポート・カテーテル)を備えるカテーテル・システム1を示す。外側カテーテル・シャフトは、1つの内側管状部材を受容することができる管状外側カテーテル内腔を画定する。カテーテル・システム1は、軸方向移動制限要素10を備える。ここで、図示されている内側管状部材は、バルーン・カテーテル4(例えば、PTAカテーテル)であり、外側カテーテルの管状外側カテーテル内腔内に配置されている。しかしながら、バルーン・カテーテルの代わりに、拡張器を使用することができる。内側管状部材は、制限のない移動状態で外側カテーテルに対して相対的に移動可能である。
【0068】
図2では、サポート・カテーテル2が示されている。サポート・カテーテル2は、サポート・カテーテル遠位端21と、サポート・カテーテル近位端24と、サポート・カテーテル遠位端21及びサポート・カテーテル近位端24の間に延在するサポート・カテーテル・シャフト23とを有する。サポート・カテーテル近位端24は、サポート・カテーテル・マニホールド25に接続されるサポート・カテーテル・ハンドル22を備えることができる。マニホールドは、ポートを備えることができる。
【0069】
図3は、拡張器遠位端31と、拡張器近位端34と、拡張器遠位端31及び拡張器近位端34の間に延在する拡張器シャフト33とを有する拡張器3を示す。拡張器遠位端31は、拡張器先端部32を備える。先端部は、鋭利な先端部であっても、鈍端部であってもよい。拡張器近位端34は、拡張器マニホールド25と接続されていてもよい。
【0070】
図4は、バルーン・カテーテル遠位端41と、バルーン・カテーテル近位端44と、バルーン・カテーテル遠位端41及びバルーン・カテーテル近位端44の間に延在するバルーン・カテーテル・シャフト43とを有するバルーン・カテーテル4を示す。バルーン・カテーテル遠位端41は、バルーン42(膨張可能な部材である)を備える。バルーン・カテーテル近位端44は、バルーン・カテーテル・マニホールド45を備えることができる。マニホールドは、膨張/収縮ポート46と、ガイドワイヤ・ポート47とを備えることができる。
【0071】
図5は、少なくとも1つの内側部材12を受容することができる外側カテーテル内腔111を画定する外側カテーテル・シャフト112を有する外側カテーテル11と、外側カテーテル11の外側カテーテル内腔111内に配置されている少なくとも1つの内側部材12とを備えるカテーテル・システム1を示す。カテーテル・システム1は、作動機構14とロック機構13とを備える軸方向移動制限要素10をさらに備える。軸方向移動制限要素10は、制限のない移動状態での軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での少なくとも1つの内側部材12の軸方向の移動を制限することができる。作動機構14は、ロック機構13に接続される。
【0072】
図6は、カテーテル・システムの作動機構14とロック機構13とを備える軸方向移動制限要素10を備えるカテーテル・システム1の別の実施例を側断面図で示す。作動機構は、(糸状の)溝142と組み合わされた作動機構を取り囲むハウジング内で、ベアリング・ボール・レセプタクル(例えば、アイレット又はスロット)によって所定の位置に保持されるベアリング・ボール141を備え、溝142では、ベアリング・ボール141が、溝142を備える部品を、意図した方法で軸方向に移動させる。軸方向の移動は、臨床的な使用者によって手動で加えられる回転から生じる。溝は、振動する溝であってもよい。外側カテーテル11(部分的にのみ図示)は、接続要素15、例えば、ルアー・コネクタを介して、軸方向移動制限要素10の作動機構14に接続される。好ましくは、ベアリング・ボール・レセプタクルは、外側カテーテル11に接続される。外側カテーテル11(部分的にのみ図示)は、(使用者の第1の手によって)所定の位置に空間的に保持される一方、内側部材12は、使用者の第2の手によって回転されるハンドルによって駆動されて軸方向に伝搬駆動される。内側カテーテルは、製品の要件及び実装される実施例に応じて、その作動中に回転する場合も回転しない場合もある。作動機構14は、ロック機構13に接続される。ロック機構は、第1のねじ部191を有する剛性部材17と、第2のねじ部192を有するスリーブ18とを備える。スリーブ18は、柔らかい先端部16、例えば、エラストマー製の先端部を有する。
【0073】
図7は、ロック機構13の一実施例を長手方向の側断面図で示す。少なくとも1つのクランプ部材は、可撓性のクランプ・スリーブ18を備えることができる。可撓性のスリーブは、外側キャップ17によって内側部材12上に押し付けられる。
【0074】
図8は、ロック機構13を備えるカテーテル・システム1の一実施例を側断面図で示す。少なくとも1つのクランプ部材133は、テーパ状のクランプであってもよい。クランプ部材133は、エラストマー製であってもよい。テーパ状クランプは、ねじ131を介して外側カテーテル・シャフト11に接続されたねじ込み式キャップ132によって内側部材12上に押し付けられる。テーパ状クランプは、2つのハーフ・シェル・クランプ1333として設計されてもよい。1つのクランプとして協働する2つのハーフ・シェル・クランプ1333は、ねじ込み式キャップ132によって内側部材12上に押し付けられてもよい。2つのハーフ・シェル・クランプは、内側部材12上に押し付けられるとき、流体が流れるための開放チャネルを残す。ハーフ・シェル・クランプは、ねじ込み式キャップ132に直接接続することができ、ねじ込み式キャップ132と一体的に形成されてもよい。
【0075】
図9は、内側部材12上に押し付けられた2つのクリップ式ハーフ・シェル1334を備えたクリップ式機構であるロック機構13のさらなる実施例を側面図で示す。解放可能なクリップ式機構は、例えば、摩擦力又はスナップ・フック設計に基づく。クリップ式ハーフ・シェルは、内側部材12に対向するハーフ・シェルの側にエラストマーを含むことができる。
【0076】
図10は、作動機構14とロック機構13とを備える軸方向移動制限要素10を備えるカテーテル・システム1の別の実施例を側面図で示す。軸方向作動機構14及びロック機構13は互いに接続され、協働する。軸方向作動機構14は、ストロークを制限するための規定された端部停止部によってサポートされた臨床的な使用者によって、手動で適用される。外側カテーテル11は、(使用者の第1の手によって)所定の位置に空間的に保持される一方、内側部材12は、使用者の第2の手によって間接的に軸方向に前後に伝搬されている。ロック機構13は、くぼみ136を備える軸方向の双方向ストローク・リミッタの第1の部分134と、軸方向の双方向ストローク・リミッタの第1の部分134の溝136と協働する突出部137を備える(対応部分としての)軸方向の双方向ストローク・リミッタの第2の部分135とを備える2つの部分のストロークから成る。軸方向の双方向ストローク・リミッタの第2の部分135は、例えば、溝を介して軸方向のストロークを2方向に制限するために軸方向の双方向ストローク・リミッタの第1の部分134と係合する周方向内側レッジを有する。軸方向の双方向ストローク・リミッタの第1の部分134は、外側カテーテル11に接続されているか、又は外側カテーテル11の一体的な部分である。軸方向の双方向ストローク・リミッタの第2の部分135は、内側部材12に接続される。ロック機構13は、軸方向の双方向ストローク・リミッタの第2の部分135と一体的に形成される。ロック機構は、好ましくは臨床処置中に内側カテーテル12に解放可能にクランプ留め又はスナップ留めされる。
【0077】
図11は、作動機構14とロック機構13とを備える軸方向移動制限要素10の一実施例を示す。作動機構14は、ロック機構13に接続される。軸方向移動制限要素10は、ロック機構13を備えるロック機構要素と、作動機構14を備える作動機構要素とを備えることができ、ロック機構要素及び作動機構要素は、互いに接続、又は互いに結合される。軸方向移動制限要素10は、少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限することができ、ロック機構(要素)に挿入することができる。軸方向移動制限要素10、又は軸方向移動制限要素10の作動機構要素は、内側(管状又はワイヤ形状)部材を受容することができる外側カテーテル内腔を有する外側カテーテル(例えば、サポート・カテーテル)に軸方向移動制限要素10を接続するためのコネクタを備えることができる。軸方向移動制限要素10は、内側(管状又はワイヤ形状)部材、例えば、カテーテル又はガイドワイヤのための受容部を備える。好ましくは、軸方向移動制限要素10のロック機構要素及び作動機構要素は、内側(管状又はワイヤ形状)部材、例えば、カテーテル又はガイドワイヤのための受容部を備える。
【0078】
図12は、作動機構14とロック機構13とを備える軸方向移動制限要素の別の実施例を側断面図で示す。作動機構14は、糸状の溝142と組み合わされた作動機構ハウジング内に配置されたベアリング・ボール・レセプタクル143によって所定の位置に保持されるベアリング・ボール141を備え、糸状の溝142では、ベアリング・ボール141が、溝142を備える部品を、意図した方法で軸方向に移動させる。軸方向の移動は、操作者によって加えられる回転から生じる。溝は、振動する溝であってもよい。軸方向移動制限要素10の作動機構14は、接続要素15、例えばルアー・コネクタを介して、外側カテーテル(図示せず)に接続可能であってもよい。好ましくは、ベアリング・ボール・レセプタクル143は、外側カテーテルに接続可能である。作動機構14は、ロック機構13に接続される。ロック機構は、第1のねじ部191を有する剛性部材17と、第2のねじ部192を有するスリーブ18とを備える。スリーブは、柔らかい先端部16、例えばエラストマー製の先端部を有する。
【0079】
図13は、軸方向移動制限要素10を備えるカテーテル・システム1の別の実施例を側断面図で示す。軸方向移動制限要素10は、ロック機構を備えるロック機構要素130と、作動機構を備える作動機構要素140とを備え、ロック機構要素130及び作動機構要素140は、互いに接続されているか、又は互いに結合されており、互いに相互作用している。したがって、作動機構は、ロック機構に結合されている。作動機構要素140は、軸方向作動機構を備える。
図13に示される軸方向作動機構では、回転運動は、ロック機構要素130の並進運動に変換される。作動機構要素140は、回転運動を並進運動に変換するための回転-並進ギアを備えていてもよい。しかしながら、作動機構要素140は、軸方向作動機構も備えることができ、並進運動は、直接的又は間接的に並進運動に変換される。
【0080】
カテーテル・システム1は、(管状の)内側部材12(例えば、拡張器)を受容することができる管状外側カテーテル内腔111を画定する外側カテーテル・シャフト112を有する外側カテーテル11(例えば、ガイディング・カテーテル)を備える。軸方向移動制限要素10、特に作動機構要素140は、接続要素15(例えばルアー・コネクタ)を介して、外側カテーテル11と接続される。
【0081】
詳細には、ロック機構要素130は、スリーブ180を備えることができる。スリーブ180は、その近位スリーブ部に可撓性先端部160を備えることができる。スリーブ180は、その遠位スリーブ部にシール65を備えることができる。シール65により、軸方向の持ち上げ運動が可能になる。シール65、例えば、シール・リング、シール膜又はシール・リップは、流体用のシール機能を有し、同時にガイディング要素としても機能することができる。スリーブ180は、近位スリーブ部と遠位スリーブ部との間に位置するその中間スリーブ部にノッチ64をさらに備えることができるか、又は、ノッチは、中間スリーブ部に直接取り付けられたノッチ要素69(例えば、ディスク)に配置することができる。ノッチ64は、軸方向の持ち上げ運動を調整するための螺旋状トラックを有していてもよい。ロック機構要素130及び作動機構要素140は、シール65を介して互いに結合される。
【0082】
作動機構要素140は、第1の回転要素60と、駆動シャフト62(ギア伝動装置の有無を問わず)と、第2の回転要素61と、ハウジング66とを備えていてもよい。ハウジング66は、メイン・ハウジング本体68とハウジング・キャップ67とを備える2つの部品のハウジングであってもよい。メイン・ハウジング本体68及びハウジング・キャップ67は、組み立てることができ、例えば、一緒にクリップ留めすることができる。ハウジング・キャップ67は、スリーブ18用の案内支持体として機能することができる。
【0083】
第1の回転要素60は、好ましくは、(1本の指又は親指で操作可能な)回転ホイール又はクランクである。第2の回転要素61は、好ましくは、第1の回転要素60よりも小さい。第2の回転要素61は、ピン63を備えていてもよい。第1の回転要素60は、ハウジング66の内部又は外部に(部分的に)配置することができる。
【0084】
第1の回転要素60の動きは、ギア伝動装置の有無を問わず、駆動シャフト62を介して、第2の回転要素61に伝達される。第2の回転要素61のピン63は、ノッチ64と相互作用し、したがって、スリーブ18の並進運動を引き起こす。したがって、この軸方向移動制限要素10の軸方向の動作は、作動機構要素140の第1の回転要素60、例えば、回転ホイール又はクランクの回転運動を、スリーブ18の並進運動に変換することによってトリガされる。スリーブ18の可撓性先端部は、内側部材12上に押し付けられ、したがって、内側部材はロックされる。
【0085】
第1の回転要素60、駆動シャフト62、及び、ノッチ64と相互作用するピン63を備える第2の回転要素61の代わりに、作動機構要素140は、回転又は並進運動をスリーブ18の並進運動に変換する任意の作動機構(ばねベースの機構を除く)を備えることができる。これは、例えば、操作者がボタンを押すか、レバーを操作する必要がある機構であってもよい。
【0086】
図14は、
図13の軸方向移動制限要素10の一部を断面図で示す。この部分は、ノッチ64を備えるノッチ要素69(例えばディスク)に接続されているか又は結合されているスリーブ180を示す。
【0087】
図15は、
図13の軸方向移動制限要素10の一部を正面断面図で示す。この部分は、ノッチ64を備えるノッチ要素69(例えばディスク)に接続されているか又は結合されているスリーブ180を示す。ノッチ64は、第2の回転要素61上に取り付けられたピン63と相互作用する。
【0088】
図16は、
図13の軸方向移動制限要素10の一部を正面断面図で示す。この部分は、ハウジング66内に取り付けられたスリーブ180を示す。ここで、駆動シャフト62の一部及び第1の回転要素60は、ハウジングの外部に配置される。或いは、駆動シャフト62は、ハウジング66内に配置することができる。或いは、第1の回転要素60の一部又は全体は、ハウジング66の内部に配置することができ、操作者の指又は親指用の開口部は、ハウジング66内で必要とされ、開口部を通って第1の回転要素60が制御され得る。
【0089】
図17A、
図17B及び
図17Cは、スリーブ18に周方向に力を加えるように構成される加力要素50を備える軸方向移動制限要素10の別の実施例を示す。スリーブ18に周方向の力を加えることによって、軸方向移動制限要素10は、制限のない移動状態での軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限することができる。加力要素50は、リング形状又は管状の加力要素50であってもよい。加力要素50は、例えばリング形状又は管状のカラーを備えるクイック・リリース・クランプであってもよい。クイック・リリース・クランプによって使用される機構の種類は、レバー、トリガ、又はばねを含んでいてもよい。クイック・リリース・クランプは、片手で使用するように構成される。
図17Aは、軸方向移動制限要素10の側面図を示し、加力要素50は、制限のない移動状態では、例えば、クイック・リリース・クランプのリング形状のカラーに向かって押し付けることによって固定されるレバーである。
図17Bは、軸方向移動制限要素10の側面図を示し、加力要素50は、制限された移動状態では、例えば、クイック・リリース・クランプのリング形状のカラーからレバーを引き離すことによって緩められるレバーである。
図17は、スリーブ18と加力要素50とを備える軸方向移動制限要素10の側断面図を示す。
【0090】
図18は、
図13に記載された軸方向移動要素10を側断面図で示す。軸方向移動制限要素10は、ロック機構を備えるロック機構要素130と、作動機構を備える作動機構要素140とを備え、ロック機構要素130及び作動機構要素140は、互いに接続されているか、又は互いに結合されている。したがって、作動機構は、ロック機構に結合される。作動機構要素140は、ロック機構要素130の回転運動を並進運動に変換する軸方向作動機構を備える。好ましくは、作動機構要素140は、回転-並進ギアを備える。
【符号の説明】
【0091】
1 カテーテル・システム
10 軸方向移動制限要素
11 外側カテーテル
111 外側カテーテル内腔
112 外側カテーテル・シャフト
12 内側部材
13 ロック機構
130 ロック機構
131 ねじ
132 ねじ込み式キャップ
133 クランプ部材
1333 ハーフ・シェル・クランプ
1334 クリップ式ハーフ・シェル
134 軸方向の双方向ストローク・リミッタの第1の部分
135 双方向ストローク・リミッタの第2の部分
136 くぼみ
137 突出部
14 作動機構
140 作動機構
141 ベアリング・ボール
143 ベアリング・ボール・レセプタクル
142 溝
15、150 接続要素
16、160 先端部
17 剛性部材
171 キャップ
18、180 スリーブ
191 第1のねじ部
192 第2のねじ部
2 サポート・カテーテル
21 サポート・カテーテル遠位端
22 サポート・カテーテル・ハンドル
23 サポート・カテーテル・シャフト
24 サポート・カテーテル近位端
25 サポート・カテーテル・マニホールド
3 拡張器
31 拡張器遠位端
32 拡張器先端部
33 拡張器シャフト
34 カテーテル近位端
35 拡張器マニホールド
4 バルーン・カテーテル
41 バルーン・カテーテル遠位端
42 バルーン
43 バルーン・カテーテル・シャフト
44 バルーン・カテーテル近位端
45 バルーン・カテーテル・マニホールド
46 膨張/収縮ポート
47 ガイドワイヤ・ポート
50 加力要素
60 第1の回転要素
61 第2の回転要素
62 駆動シャフト
63 ピン
64 ノッチ
65 シール
66 ハウジング
67 ハウジング・キャップ
68 メイン・ハウジング本体
69 ノッチ要素
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1つの内側部材を受容することができる外側カテーテル内腔を画定する外側カテーテル・シャフトを有する外側カテーテルと、
- 前記外側カテーテルの前記外側カテーテル内腔内に配置されている少なくとも1つの内側部材であって、制限のない移動状態での前記外側カテーテルに対して相対的に移動可能である、少なくとも1つの内側部材と、
- 作動機構とロック機構とを備える軸方向移動制限要素であって、前記制限のない移動状態での前記軸方向の移動と比べて、制限された移動状態での前記少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限することができ、前記作動機構が、回転-並進ギアを備えるか、若しくは、ボールねじ駆動作動機構を備えるか
、又は、前記作動機構がスピンドル駆動作動機構である、軸方向移動制限要素と
を備えるか又はそれらから成る、カテーテル・システム。
【請求項2】
前記作動機構及び前記ロック機構が、互いに接続されているか、又は互いに結合されている、請求項1に記載のカテーテル・システム。
【請求項3】
前記軸方向移動制限要素が、前記軸方向移動制限要素を前記外側カテーテルと接続するためのコネクタを備える、請求項1又は請求項2に記載のカテーテル・システム。
【請求項4】
前記軸方向移動制限要素が、前記内側部材のための受容部を備える、請求項
1に記載のカテーテル・システム。
【請求項5】
前記外側カテーテルが、その近位端でハンドルに接続される、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【請求項6】
前記軸方向移動制限要素が、前記ハンドルに一体化されている、請求項5に記載のカテーテル・システム。
【請求項7】
前記外側カテーテルが、サポート・カテーテルである、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの内側部材が、内側管状部材又は内側ワイヤ形状部材である、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの内側部材が、拡張器及び/又はバルーン・カテーテル、好ましくは、経皮経管的血管形成カテーテル、又は、薬剤若しくは流体媒体を塗布するためのカテーテル、又は、放射線若しくは心臓病インターベンション用のカテーテルである、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【請求項10】
前記ロック機構が、前記少なくとも1つの内側部材の前記軸方向の移動を制限することができる、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【請求項11】
前記ロック機構が、少なくとも1つのクランプを備える前記少なくとも1つの内側部材をロックするためのクランプ機構であ
り、
前記少なくとも1つのクランプが、いくつかの部品によって、好ましくは、1つのクランプとして協働する2つのハーフ・シェル・クランプによってできている、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【請求項12】
前記作動機構が、手動の作動機構である
か、
又は、前記作動機構が、駆動ユニットを備える電気駆動作動機構であるか、
又は、前記作動機構が、振動するねじを備えるボールねじ駆動作動機構を備える、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【請求項13】
外側カテーテルの外側カテーテル内腔内に配置されている少なくとも1つの内側部材の軸方向の移動を制限するための軸方向移動制限要素であって、前記軸方向移動制限要素が、ロック機構と作動機構とを備えるか又はそれらから成り、前記ロック機構及び前記作動機構が、互いに接続されているか、又は互いに結合されており、前記軸方向移動制限要素が、内側部材を受容することができる管状外側カテーテル内腔を有する外側カテーテルと、前記軸方向移動制限要素を接続するためのコネクタを備え、前記軸方向移動制限要素が前記内側部材のための受容部を備え、前記作動機構が回転-並進ギアを備えるか、若しくは、ボールねじ駆動作動機構を備えるか
、又は、前記作動機構がスピンドル駆動作動機構である、軸方向移動制限要素。
【請求項14】
前記軸方向移動制限要素が、カテーテル、好ましくは、前記外側カテーテル又は前記内側部材に取り付けられても接続されてもいない、請求項1
3に記載の軸方向移動制限要素。
【請求項15】
狭窄若しくは慢性的な完全閉塞部を治療する方法において使用するための、又は、ガイドワイヤ・ネゴシエーション、病変の貫通若しくは病変の再疎通の方法において使用するための、又は、少なくとも1つの薬剤若しくは流体媒体を塗布する方法において使用するための、請求項1
に記載のカテーテル・システム。
【国際調査報告】