(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】掘削孔内の変形を測定するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 3/00 20060101AFI20240725BHJP
G01N 3/10 20060101ALI20240725BHJP
G01B 5/30 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G01N3/00 D
G01N3/10
G01B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580645
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 FR2022051293
(87)【国際公開番号】W WO2023275489
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505045610
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ スィヤンティフィック(セーエヌエルエス)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE(CNRS)
(71)【出願人】
【識別番号】515011944
【氏名又は名称】ウニヴェルシテ・ドゥ・モンペリエ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シュリー
【テーマコード(参考)】
2F062
2G061
【Fターム(参考)】
2F062AA01
2F062BB09
2F062DD21
2F062EE01
2F062GG61
2F062GG71
2F062KK01
2G061AA02
2G061AB01
2G061AC10
2G061BA20
2G061CA06
2G061CB04
2G061DA01
2G061EA02
2G061EA05
2G061EB03
(57)【要約】
掘削孔(2)内に配置されるのに好適な、変形を測定するための測定デバイス(10)であって、挿入される当該掘削孔と適合する直径を有する中空弾性シェル(11)と、当該中空弾性シェルを加圧するための加圧システム(12)と、少なくとも6つの異なる方向における当該中空弾性シェルの伸びを測定するための一軸センサ(13)と、を備える、測定デバイス(10)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削孔(2)内に配設されるのに好適な、変形を測定するためのデバイス(10)であって、
前記掘削孔と適合する直径を有する中空弾性シェル(11)であって、前記掘削孔に挿入される、前記中空弾性シェルと、
前記中空弾性シェルを加圧するためのシステム(12)と、
少なくとも6つの異なる方向における前記中空弾性シェルの伸びを測定するために、前記中空弾性シェル内に配設された一軸センサ(13)と、
を備える、測定デバイス(10)。
【請求項2】
前記一軸センサには、前記中空弾性シェル(11)の中に固着された端部が設けられている、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項3】
前記中空弾性シェル(11)は、形状が球状である、請求項1又は2に記載の測定デバイス。
【請求項4】
前記中空弾性シェル(11)は、均一な弾性特性及び適度な熱膨張率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項5】
前記中空弾性シェルは、繊維強化コンクリート又はポリカーボネートで作製されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記中空弾性シェルは、単一材料で作製されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記加圧するためのシステム(12)は、前記掘削孔(2)の前記表面(4)から前記中空弾性シェル(11)の内部まで延在している管部(121)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項8】
可変形システム(c1、c2、c3、c4、c5、c6)は、変位増幅器であり、前記可変形システムの2つの対向する頂点は、平行四辺形の長軸上に位置し、前記中空弾性シェル(11)に取り付けられている、請求項7に記載の測定デバイス。
【請求項9】
前記一軸システムは、正四面体の縁部に平行である、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項10】
環境の屈折率を測定するように配設された非接触測定デバイス(14)を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項11】
前記非接触測定デバイスは、容量型又は光学式である、請求項10に記載の測定デバイス。
【請求項12】
測定値を前記非接触測定デバイスから前記掘削孔の前記表面に通信するように設けられた通信デバイス(15)を更に備える、請求項10又は11に記載の測定デバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の測定デバイス(10)を備える掘削リグ(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の掘削リグ(1)に実装される、掘削孔における変形を測定する方法(P)であって、
前記中空弾性シェルを加圧する初期ステップ(Ei)と、
較正ステップ(Ec)中に測定された基準伸びに対する、前記掘削リグの前記測定デバイス(10)の前記一軸センサ(13)の各々の前記伸びの変化量を測定するステップ(Emi)と、
を含む、変形を測定する方法(P)。
【請求項15】
前記一軸センサ(13)の各々について前記基準伸びを測定する較正ステップ(Ec)を含む、請求項14に記載の変形を測定する方法。
【請求項16】
前記中空弾性シェルを加圧するための前記システムによって前記測定デバイスの前記中空弾性シェルの内部の圧力を増加させた後に、前記一軸センサ(13)の各々の前記伸びの前記変化量を測定し、次いで、等方性と比較することによって、前記掘削孔内の機械的特性の変化を決定するステップを含む、請求項14又は15に記載の変形を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削孔内の変形を測定するためのデバイスに関する。本発明はまた、当該デバイスを備える掘削リグ、及び当該デバイスによって実装される測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削孔内の変形を測定するための全てのデバイスは、掘削中に垂直に設置され、ケーシング内にコンクリートで機械的に固定されている。
【0003】
これらのデバイスのうちのいくつかは、水平体積成分のみを測定する一方、他のデバイスは、水平面内の変形成分のみを測定し、そのうちの3つが存在する。
【0004】
また、6つある変形成分の全てを測定するデバイスは存在しない。
【0005】
最後に、既存のデバイスでは、掘削材料及び周囲の岩石の機械的特性を現場で測定することができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの目的は、特に、前述の欠点の全て又は一部を改善することである。
【0007】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、掘削孔内に配設されるのに好適な、変形を測定するためのデバイスが提案され、本デバイスは、挿入される当該掘削孔と適合する直径を有する中空の弾性シェルと、当該中空弾性シェルを加圧するためのシステムと、少なくとも6つの異なる方向における当該中空弾性シェルの伸びを測定するために、中空弾性シェル内部に配設された一軸センサと、を備える。
【0008】
一軸センサには、中空弾性シェル内に固着された端部を設けることができる。
【0009】
中空弾性シェルは、球状の形状であり得る。
【0010】
有利には、中空弾性シェルは、均一な弾性特性及び適度な熱膨張率を有し得る。
【0011】
例えば、中空弾性シェルは、繊維強化コンクリート又はポリカーボネートで作製され得る。好ましくは、中空弾性シェルは、単一材料で作製されている。
【0012】
一実施形態によれば、加圧システムは、掘削孔の表面から中空弾性シェルの内部まで延在する管部を備える。
【0013】
一軸センサは、可変形システムから形成することができ、その端部は、確実な結合を保証するために、中空弾性シェル上に取り付けられている(接着又は固着されている)。
【0014】
可変形システムは、変位増幅器であり得、可変形システムの2つの対向する頂点は、平行四辺形の長軸上に位置し、中空弾性シェルに取り付けられている。
【0015】
有利には、一軸システムの長軸は、正四面体の縁部に平行である。
【0016】
本発明の第1の態様によるデバイスは、環境の屈折率を測定するように配設された非接触測定デバイスを更に備え得る。
【0017】
非接触測定デバイスは、容量型又は光学式であり得る。
【0018】
本発明の第1の態様によるデバイスは、測定値を非接触測定デバイスから掘削孔の表面に送信するように設けられた通信デバイスを更に備え得る。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による測定デバイス、又はその改良のうちの1つ以上を備える掘削リグが提案される。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、掘削孔内の変形を測定するための方法が提案され、本方法は、本発明の第2の態様による掘削リグにおいて実装されており、弾性シェルを加圧する初期ステップと、較正ステップ中に測定された基準伸びに対する、当該掘削リグの測定デバイスの一軸センサの各々の伸びの変化量を測定するステップとを含む。
【0021】
本発明の第3の態様による方法は、較正ステップを含み得、較正ステップ中に、一軸センサの各々について基準伸びが測定され得る。
【0022】
本方法は、当該中空弾性シェルを加圧するためのシステムによって中空弾性シェル内部の圧力を増加させた後に、一軸センサの各々の伸びの変化量を測定し、次いで、等方性と比較することによって、掘削孔内の機械的特性の変化を決定するステップを更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の他の利点及び特殊性は、添付の図面を参照して、決して網羅的ではない実施態様及び実施形態の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【
図1】本発明による掘削リグの実施形態の概略断面図を示す。
【
図2】
図1に示される掘削リグを装備する本発明による測定デバイスの実施形態の概略断面図を示す。
【
図3】
図1に示される掘削リグを装備する本発明による測定デバイスの第2の実施形態の斜視図を示す。
【
図4】
図1に示される掘削リグを装備する本発明による測定デバイスの第3の実施形態の概略断面図を示す。
【
図5】
図2に示されるデバイス内に実装される可変形システムの概略図を示す。
【
図6】
図1に示される掘削リグに実装される、掘削孔における変形を測定するための方法の実施形態を示す。
【
図7】分解された四面体の構成を決定するための方法を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に説明する実施形態は決して限定するものではないため、特に、説明した特徴の選択のみを含み、その後説明した他の特徴から分離された本発明の変形を検討することが可能であるが、ただし、この特徴の選択が技術的利点を与えるか、又は本発明を先行技術から区別するのに十分であることを条件とする。この選択は、少なくとも1つの特徴を含み、好ましくは機能的であり、構造的詳細を含まず、又は構造的詳細の一部のみが、技術的利点を与えるか、又は本発明を従来技術から区別するのに十分である場合、構造的詳細の一部のみを含む。
【0025】
図において、いくつかの図に現れる要素には同じ参照番号が付けられている。
【0026】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による掘削リグ1の概略断面図が示されている。断面は、水平軸X及び垂直軸Zに沿って作られている。
【0027】
掘削リグ1は、特に、ケーシング3内に作製され、表面4から垂直軸Zに沿って延在している掘削孔2を備える。掘削孔2は、剛性でわずかに圧縮可能な本物体で充填されなければならない。それは、例えば、コンクリートであってもよく、又は直径がミリメートルのガラス又はシリカビーズで充填されていてもよい。
【0028】
掘削リグ1は、本発明による測定デバイス10を装備している。
【0029】
測定デバイス10は、好ましくは、球体タイプの中空弾性シェル11を備え、中空弾性シェル11は、挿入される掘削孔2と適合する直径を有する。代替的に、中空弾性シェルは、楕円タイプ、円筒タイプのものであってもよい。
【0030】
中空弾性シェルの外径は、15cm~30cmの範囲の値を有する。
【0031】
中空弾性シェルは、弾性内壁を有し得る。壁の厚さは、ケーシング3によって及ぼされる力に応答して測定可能な変形を可能にするように決定される。内壁は、1~2cm程度の厚さであり得る。
【0032】
中空弾性シェルは、等方性又は実質的に等方性の機械的特性を有し得る。
【0033】
より正確には、弾性内壁は、中空弾性シェルの内容積を直接包囲するポリスチレンから形成されている。
【0034】
金属、好ましくは、低収縮繊維強化コンクリート、又はポリカーボネートで作製され得る第2の弾性環状厚さは、弾性内壁を囲むことによって中空弾性シェルの別の部分を形成する。より一般的には、第2の弾性環状厚さは、均一な弾性特性及び適度な熱膨張率を有する任意の抵抗材料(例えば、コンクリート)で作製することができる。そのため、中空弾性シェルは、単一材料で作製され得る。
【0035】
熱膨張率は、10-5C°-1未満であり得る。
【0036】
測定デバイス10は、中空弾性シェル11を加圧するためのシステム12を更に備える。
【0037】
加圧デバイス12は、いくつかの機能を有する。実験室では、過渡的加圧により、6つの一軸センサを較正し、球体の変形等方性を検証し、その弾性特性を計算することが可能になる。掘削では、過渡的加圧及び6つのセンサの応答は、周囲の媒体の弾性特性を評価することを可能にする。深いところでは、連続的な加圧により、土の重量を補償し、弾性変形に関して中空球状シェルを保持することが可能になる。
【0038】
加圧システム12は、例えば、表面4から中空球状シェル11内に延在する金属管部121を備えてもよい。表面側4において、金属管部は、例えば、圧力計及び制御弁(不図示)を装備した加圧シリンダに接続することができる。
【0039】
測定デバイス10は、6つの異なる方向における当該球体の伸びを測定するための一軸センサ13を更に備える。より正確には、変形測定は、ファブリーペロー(Fabry-Perot)ナノメートル分解能光ファイバ端部干渉計によって行うことができる。
【0040】
図2に示すように、一軸センサ13は、端部が球体11に取り付けられた可撓性ジョイントc1、c2、c3、c4、c5、c6を有する可変形システムから形成することができる。図示の実施例では、可撓性ジョイントc1、c2、c3、c4、c5、c6を有する可変形システムは、それぞれ伸びd1、d2、d3、d4、d5、d6を測定する。光学測定又は容量測定のための剛性システムはまた、変形の変化量を測定するために使用することができる。これらの可変形システムは、科学文献において撓みヒンジと呼ばれており、可撓性ジョイントを有する構造をもたらし得る。
【0041】
中空弾性シェル11の変形は、6×6線形システムの反転に対応する数式からの横方向の伸びd1、d2、d3、d4、d5、d6の測定値から決定される。このシステムは、データとして、一軸センサの配向ベクトル及び検出器の長手方向の伸びを含み、未知数として、6成分歪みテンソルを含む。一軸センサを追加することによって冗長性を追加することが可能である。横方向の伸びの測定値により、最初に長手方向の伸びを計算し、次いで、中空弾性シェルの歪みテンソルの6つの成分を計算することが可能になる。
【0042】
図示の例では、可変形システムc1、c2、c3、c4、c5、c6は、変形増幅器であり、可変形システムの2つの対向する頂点は、長軸上に位置し、点P1、P2、P3及びP4において球体に取り付けられており、点P1、P2、P3及びP4は、所与の実施例では、球体11の正四面体を形成しており、その面部P1、P2及びP3は、平面X-Yに内接しており、底辺X、Y、Zは、直接直交である。可変形システムは、端部において印加された長手方向の変位を横方向に増幅することを可能にし、これは測定値の分解能を増加させる。
【0043】
球面形状は、一軸センサの最適な配向を可能にする。例えば、正四面体の縁部の方向は、最適な方法で小さな体積の三次元変形をサンプリングすることを可能にする。
【0044】
増幅器に使用される材料の選択は重要であるが、これは、球体のいかなる変形も、熱的又は機械的な起源にかかわらず、光学システムによって測定される前に10~30倍に増幅されるからである。
【0045】
したがって、測定が機械的起源の変形のみを考慮に入れるように、可能な限り膨張しない材料を有することが非常に有益である。
【0046】
増幅器を工作するために使用することができる材料の膨張率は次の通りである。
アルミニウム:26×10-6K-1
鋼:11×10-6K-1
インバー:1.0×10-6K-1
ホウケイ酸ガラス:3.3×10-6K-1
シリカガラス:0.6×10-6K-1
「Zerodur」ガラス-セラミック:0.02×10-6K-1
【0047】
第1の実験室増幅器は、アルミニウムで機械加工された。ガラス及びセラミックは、それらの脆弱性のために機械加工するのが難しいので、したがって、熱平面上の超安定材料であるZerodur(アルミニウムよりも1300倍膨張性が低い)を使用することが特に有益であると思われる。
【0048】
図示の実施例では、センサの長軸は、対になってアークコサイン角(1/3)、すなわち、70.529度を形成する。球体によって課される長手方向変形と測定された横方向変形との間の増幅率は、使用されるデバイスに応じて10~30の間で変化し得る。
【0049】
再び
図2を参照すると、可変形システムc1、c2及びc6の平行四辺形の各々は、点P1に取り付けられた頂点を有し、可変形システムc2、c3及びc4の平行四辺形の各々は、点P2に取り付けられた頂点を有し、可変形システムc4、c5及びc6の平行四辺形の各々は、点P3に取り付けられた頂点を有する。点P1、P2、P3に対向する可変形システムc1、c3、c5の平行四辺形の頂点は、点P4に取り付けられている。
【0050】
図2に見られるように、点P1、P2、P3には、中空弾性シェル11内に固着された端部が設けられている。
【0051】
図3は、中空弾性シェル11内の可変形システムの別の配置を示しており、可変形システムc1、c2、c3、c4、c5及びc6は、分解された四面体上に異なって配置されており、これは、4つの固着点の代わりに、12個の固着点、それぞれP1及びP1’、P2及びP2’、P3及びP3’、P4及びP4’、P5及びP5’、P6及びP6’を必要とする。ここでも、縁部c1及びc4、c2及びc5、c3及びc6、は対で直交している。
図7を参照して、分解された四面体の形状を決定する方法について記載する。
【0052】
図4は、更に別の実施形態を示しており、可変形システム、例えば、システムc1は、光ファイバfoが多数回巻かれた圧力変形可能なバーbを備えている。球体11の変形は、固着点P1、P1’間の長さの変化量を生じさせ、それは、干渉法によって測定可能なファイバの引張り/圧縮を引き起こす。球体に関連付けられた変形のテンソルを計算するために、このタイプの少なくとも6つのシステムが、正四面体の縁部の方向に平行な方向に設置されなければならない。
【0053】
測定デバイス10は、伸びがない場合の光路の変化量を測定するように配設された非接触測定デバイス14を更に備える。この光学測定デバイスは、屈折率の変化量の横方向距離d1、d2、d3、d4、d5、d6の変化量の測定値を補正することを可能にする。
【0054】
図5に示すように、システムc1に関連付けられた非接触測定デバイス14は、変位の増幅のために5本の剛性バーbh、b1、b1’、b1s、b1’sを有する対称構造に基づくトポロジを有し、増幅器のために可撓性機構が実装されている。文献では、このタイプの機械増幅器は、コンプライアント機械的増幅器又はCMAと呼ばれる。非接触測定デバイス14は、他のトポロジと比較して、大きな増幅比及び高い固有周波数に達し得る。
【0055】
円は可撓性ジョイントを表し、バーは剛性部品を表す。固着点P1、P1’における軸方向の圧縮/伸長入力の印加(デバイスの外側の水平方向の矢印)は、入力変形に比例するが増幅された出力における横方向の変形(垂直方向の矢印)を生成する。
【0056】
非接触測定デバイス14はまた、従来、光ファイバに接続され、かつ出力における距離の変化量を測定するように配向されたコリメータを備え、出力は、出力空間の一方の端部においてバーbhの中心に配置され、かつコリメータの光路上に配設された角度ミラーと、コリメータの光路上の出力空間の他方の端部に配設された平面ミラーとの間に配設されている。
【0057】
測定デバイス10は、非接触測定デバイスの測定値を掘削孔の表面に通信するために設けられた通信デバイス15を更に備える。通信デバイス15は、例えば、表面4から球体11内に延在する封止データ取得ケーブル151を備え、球体11において測定デバイス10に接続されている。
【0058】
図6は、本発明による掘削リグ1において実装される、掘削孔内の変形を測定するための方法Pの実施形態を示している。
【0059】
測定方法Pは、以下のステップを含む。
【0060】
測定デバイスの球体を加圧する初期ステップEi。
【0061】
掘削リグ1の測定デバイス10の一軸センサの各々の伸びを測定する較正ステップEcであって、その間に、一軸センサの各々について基準伸びが測定される、較正ステップEc。
【0062】
較正ステップ中に測定された基準伸びに対する、一軸センサの各々の伸びの変化量を測定する1つ以上のステップEmi。
【0063】
本発明による測定デバイスは、10^-9(1ナノメートル/メートル)程度の精度で掘削孔内の歪みテンソルを測定することを可能にし、これは、地質学的貯留層、火山、断層の分野、及び土木工学の分野における地球物理学的用途に有用である。
【0064】
本発明は更に、球体と、コンクリートで充填された掘削孔と、ケーシングによって形成された組立体の特性を現場で決定するための能動的方法を提案する。実際に、掘削孔歪みセンサは、測定装置が位置する掘削孔の変形などの外乱がない場合に地球の地殻が受ける「理想的な」変形を測定することを可能にしなければならない。これは直接可能ではない。
【0065】
この情報にアクセスするために、補正項を測定値から減算しなければならず、これは下層土の不均一性を表す変形モデルである。
【0066】
通常、これは、地上潮汐に関連付けられた理想的な地球物理学的モデルを使用することによって行われる。地形、海洋潮汐、及び圧力変動によって影響される、地球物理学的モデルの不正確さに関連する多数の問題を引き起こす測定値と、数日間にわたるこの理想的なモデルを比較することによって、補正項を決定することが可能である。
【0067】
本発明は、当該球体の加圧システムによる測定デバイスの球体内部の圧力を増加された後に、一軸センサ(13)の各々の伸びの変化量を測定し、次いで、等方性と比較することによって、掘削孔における機械的特性の変化をその場で決定するための直接的かつ正確な測定方法を提案する。実際、球体、掘削孔のコンクリート充填物、及びケーシングロックが均質な媒体を形成した場合、過圧に応答して6つの一軸センサによって測定される膨張は、等方性であるはずである。等方性からの偏差は、掘削孔の充填物とケーシングとの間の弾性特性のコントラストに関連する。6つの伸び測定値を使用して、有限要素機械モデルによってコントラストを正確に推定することができる。このモデルは、掘削孔及び球体の正確な幾何学的形状を考慮して、掘削孔の充填物とケーシングとの間の弾性特性の比を決定することを可能にする。特性のコントラストが決定されると、実際の測定値から均質な媒体における変形の理想的な測定値に戻ることが可能である。
【0068】
更に、圧力を増加された後の測定は、掘削孔のコンクリート充填物の特性のゆっくりとした変動を推定することを可能にし、これは、長期間、数ヶ月又は数年にわたる地殻の変形を正確に推定するために不可欠である。
【0069】
図7は、分解された四面体の構成を決定するための方法を説明している。ステップS1は、6本のバーの可変長Lについての情報を含む。ステップS2では、バー間距離変数Dibを0に初期化する:Dib=0
【0070】
次いで、変数i、i=1~i=N、例えば、N=1000000、のループは、このループで始まる。
【0071】
ステップS3iは、接触円(0~2pi)上の6つの位置のランダム選択を行い、接触円は、球体と固定された配向のセグメントとの間の接触の場所として画定される。接触点は、例えば、6つのセグメントの各々について接触円上でランダムな角度(0~2pi)を選択することによって画定される。
【0072】
ステップS4iは、バー間の15個の距離の最小値の計算を行い、この最小値は変数Dminに記憶される
【0073】
ステップS5iにおいて、変数Dminが変数Dibより大きい場合、変数Divは変数Dminの値を記憶する:Dmin>Dibの場合、Dib=Dmin
【0074】
ループの終わり
ステップS6は、最適な構成、すなわち、バー間の最大距離に対応する構成を書き込むことを提案する。2つのバー間の距離は、2本のバーの2点間の距離の最小値として画定される。
【0075】
もちろん、本発明は、今説明した例に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例に多くの変更を加えることができる。更に、本発明の異なる特徴、形態、変形及び実施形態は、互いに非互換性又は排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに関連付けることができる。
【国際調査報告】