(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/954 20130101AFI20240725BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20240725BHJP
【FI】
A61F2/954
A61F2/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500155
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2022112357
(87)【国際公開番号】W WO2023020410
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110940080.9
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519228359
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロポート エンドヴァスキュラー メドテック (グループ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ウェイイー
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,ヨンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ミンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ボーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,チン
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097CC03
4C097CC04
4C097EE02
4C097EE06
4C097EE09
4C267AA42
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB08
4C267CC08
4C267GG04
4C267GG05
4C267GG06
(57)【要約】
医療デバイス(100)は、開口(111)が画定されたステントグラフト(110)と、ステントグラフト(110)の内部に部分的に配置されるように構成されたカテーテル(120)と、ステントグラフト(110)を径方向に圧縮して圧縮形態にするまで、ステントグラフト(110)に径方向圧縮力を加えるように構成された拘束部材(130)とを含む。医療デバイス(100)は、ステントグラフト(110)が圧縮形態であるときに開口(111)がカテーテル(120)の遠位端と位置的に対応するように構成され、遠位端は医療デバイス(100)の使用時に患者の身体に最初に入る端を指す。医療デバイス(100)は、大動脈弓に関係する血管病変を治療するために使用することができ、血管枝へのアクセスを確立し、外科手術時間を短縮する助けとなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が画定されたステントグラフトと、
前記ステントグラフトの内部に部分的に配置されるように構成されたカテーテルと、
前記ステントグラフトを径方向に圧縮して圧縮形態にするまで、前記ステントグラフトに径方向圧縮力を加えるように構成された拘束部材とを含む、医療デバイスであって、
前記医療デバイスは、前記ステントグラフトが前記圧縮形態であるときに前記開口が前記カテーテルの遠位端と位置的に対応するように構成され、前記遠位端は前記医療デバイスの使用時に患者の身体に最初に入る端を指す、医療デバイス。
【請求項2】
前記ステントグラフトは、前記カテーテルが前記ステントグラフトに対して相対的に静止状態に維持されるように、前記カテーテルに圧力を加えるようにさらに構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記カテーテルの前記遠位端は、前記開口を通り、前記ステントグラフトから突出する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記カテーテルは、主要部と、前記主要部の遠位端に角度をなして接続された遠位部とを含み、前記主要部は前記ステントグラフトの内部に部分的に配置され、前記遠位部は、前記開口を通り、前記ステントグラフトから突出する、請求項3に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記主要部は前記ステントグラフトの軸に対して平行な軸を有する、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記主要部の軸と前記遠位部の軸と間に150°から180°までの範囲の鈍角が形成される、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記カテーテルの前記遠位端に接続された近位端と、前記拘束部材によって前記ステントグラフトの外面上に拘束された遠位端とを有する位置決め部材をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記位置決め部材と前記カテーテルとが別々に形成され、互いに接続されているか、又は、前記位置決め部材と前記カテーテルとが一体に形成されている、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記カテーテルの前記遠位端の外面に視覚化要素が設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記カテーテルに挿入されるように構成された内部ライナーをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
内管を含む送達デバイスをさらに含み、前記ステントグラフトは前記内管に外挿され、前記カテーテルは前記内管と前記ステントグラフトとの間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記カテーテルは前記内管に接続されている、請求項11に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器の技術分野に関し、より具体的には医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
大動脈弓に関わる動脈血管病変はきわめて複雑で、危険であり、医師は開胸術と低侵襲介入手法との間で選択を行う場合が多い。開胸術と比較して低侵襲介入手法は外傷がより少なく、術後回復がより迅速であるという利点があるが、特に血管枝の治療に関していくつか問題もあり、このことは常に様々な製品の設計の焦点となっていた。
【0003】
医師が低侵襲介入手法を行う場合、医師のほとんどは、分岐ステントと一体化したDIYストレート管ステントグラフト又は大動脈ステントグラフトシステムを使用する。しかし、どのステントシステムが使用されるかを問わず、血管枝内でのアクセスの確立がきわめて重要である。従来技術では、血管枝内のアクセスの確立時に、ガイドワイヤとカテーテルを用いて、例えば下肢動脈(例えば大腿動脈)から大動脈を通して動脈枝まで、又は、上肢動脈と頸動脈から血管枝を通って大動脈内まで、血管枝を導入する手術が一般に行われる。この特定の手術は一般に、開口をその上に有するメインステントグラフトを留置することと、血管枝の角度に適合するカテーテルを選択することと、血管枝の近傍までカテーテルを誘導することと、カテーテルの遠位端の角度を血管枝に位置合わせすることと、血管枝内でのアクセスの確立を完了するためにガイドワイヤをカテーテルから血管枝内に導入することと、その後に分岐ステントをガイドワイヤに沿って対応する血管枝内に留置することとを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように血管枝内でアクセスを確立する過程で、メインステントグラフトの開口が血管枝と位置合わせされる必要があり、そうしなければ血管枝の開口がステントグラフトの主要部によって覆われることになり、それによってカテーテルとガイドワイヤを血管枝内に導入することがより困難になり、手術時間が長くなる。
【0005】
本発明の目的は、大動脈弓に関わる病変の低侵襲介入治療に使用することができ、血管枝内にガイドワイヤを導入する際の困難を実質的に低減することができ、血管枝内でのアクセスの確立を容易にすることができ、手術時間を短縮することができる、医療デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、開口が画定されたステントグラフトと、ステントグラフトの内部に部分的に配置されるように構成されたカテーテルと、ステントグラフトを径方向に圧縮して圧縮形態にするまで、ステントグラフトに径方向圧縮力を加えるように構成された拘束部材とを含む、医療デバイスであって、ステントグラフトが圧縮形態であるときに開口がカテーテルの遠位端と位置的に対応するように構成され、遠位端が医療デバイスの使用時に患者の身体に最初に入る端を指す、医療デバイスを提供する。
【0007】
任意選択で、ステントグラフトは、カテーテルがステントグラフトに対して相対的に静止状態に維持されるように、カテーテルに圧力を加えるようにさらに構成される。
【0008】
任意選択で、カテーテルの遠位端は、開口を通り、ステントグラフトから突出する。
【0009】
任意選択で、カテーテルは、主要部と、前記主要部の遠位端に角度をなして接続された遠位部とを含み、主要部はステントグラフトの内部に部分的に配置され、遠位部は、開口を通り、ステントグラフトから突出する。
【0010】
任意選択で、主要部はステントグラフトの軸に対して平行な軸を有する。
【0011】
任意選択で、主要部の軸と遠位部の軸と間に150°から180°までの範囲の鈍角が形成される。
【0012】
任意選択で、医療デバイスは、カテーテルの遠位端に接続された近位端と、拘束部材によってステントグラフトの外面上に拘束された遠位端とを有する位置決め部材をさらに含む。
【0013】
任意選択で、位置決め部材とカテーテルとが別々に形成され、互いに接続されているか、又は位置決め部材とカテーテルとが一体に形成される。
【0014】
任意選択で、カテーテルの遠位端の外面に視覚化要素が設けられる。
【0015】
任意選択で、医療デバイスは、カテーテルに挿入されるように構成された内部ライナーをさらに含む。
【0016】
任意選択で、医療デバイスは、内管を含む送達デバイスをさらに含み、ステントグラフトは内管に外挿され、カテーテルは内管とステントグラフトとの間に配置される。
【0017】
任意選択で、カテーテルは内管に接続される。
【0018】
従来技術と比較して、本発明の医療デバイスは、以下の利点を有する。すなわち、上記の医療デバイスは、ステントグラフトとカテーテルと拘束部材とを含み、ステントグラフトに開口が画定されており、カテーテルは部分的にステントグラフトの内部に配置されるように使用され、拘束部材は、ステントグラフトを径方向に圧縮して圧縮形態にするまでステントグラフトに径方向圧縮力を加えるために使用され、医療デバイスは、ステントグラフトが圧縮形態であるときに開口がカテーテルの遠位端と位置的に対応するように構成され、遠位端は医療デバイスの使用時に患者の身体に最初に入る端を指す。また、好ましくは、ステントグラフトは、カテーテルがステントグラフトに対して相対的に静止状態に維持されるように、カテーテルに圧力を加える。このようにして、ステントグラフトとカテーテルとを同期して大動脈内に送達可能であり、ユーザは、ステントグラフトが解放される前に、ガイドワイヤをカテーテルに沿って大動脈内に導入することができ、ガイドワイヤを血管枝内に導入するようにガイドワイヤをステントグラフト上の開口を通過させることができ、このことによって血管枝内へのカテーテルとガイドワイヤの導入のための操作を簡略化する。これは、ステントグラフトの解放と開口と血管枝との位置合わせ不良とによって生じる超選択の困難も回避し、このことは血管枝内でのアクセスの確立を助け、手術時間を短縮する。
【0019】
本発明は、本発明を限定することなく示される添付図面を参照すればよりよくわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る医療デバイスを示す概略構造図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る医療デバイスのカテーテルを示す概略構造図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る医療デバイスの適用シナリオを示す概略図である。
【
図4】ガイドワイヤが血管枝内に導入された、本発明の第1の実施形態に係る医療デバイスの適用シナリオを示す概略図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る医療デバイスを示す概略構造図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る医療デバイスの部分構造を示す概略図である。
【
図7】観点が
図6の観点とは異なる、本発明の第3の実施形態に係る医療デバイスの部分構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、特定の実施例により説明するが、当業者は、本明細書における開示から本発明の他の利点及び効果も容易に理解することができる。本発明は、他の異なる特定の実施形態によって実施又は適用することも可能であり、本明細書における様々な詳細は、本発明の思想から逸脱することなく異なる視点及び用途に基づいて修正又は変更することもできる。実施形態で示す図面は本発明の基本概念を概略的に示すに過ぎず、したがって、図面は、実際の実装における構成要素の数、形状及び寸法ではなく、本発明に関連する構成要素を示すに過ぎないことに留意されたい。各構成要素の種類、数量及び比率は随意に変更することができ、構成要素のレイアウトはより複雑であってもよい。
【0022】
さらに、以下の説明の各実施形態は一つ以上の技術的特徴を有するが、これは、本発明を使用する人が、いずれかの実施形態における技術的特徴のすべてを同時に実装する必要があること、又は異なる実施形態における一部又は全部の技術的特徴を別々にのみ実施可能であることを意味しない。言い換えると、可能な実装であるという前提の下に、本発明の開示により、及び、設計仕様又は実装要件に応じて、当業者はいずれかの実施形態における技術的特徴の一部又は全部を選択的に実装することができ、あるいは複数の実施形態における技術的特徴の一部又は全部の組合せが選択的に実装され、それによって本発明の実装の柔軟性が増す。
【0023】
本明細書が他の解釈を明確に要求していない限り、本明細書で使用される単数形の「1つ」、「1個」及び「該」は複数形の指示対象も含み、複数形の「複数」は、二つ以上の指示対象を含む。本明細書が他の解釈を明確に要求していない限り、本明細書で使用される、「又は」という用語は一般に、「及び/又は」を含む意味で使用されており、「設置される」、「結合される」、「接続される」という用語は、広義に解釈されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能接続又は一体型接続であってもよい。それは機械的接続又は電気的接続とすることができる。それは直接接続又は仲介媒体を介した間接接続とすることができ、二つの要素間の内部連通又は二つの要素間の相互作用とすることができる。当業者には、特定の状況に応じて本発明における上記の用語の特定の意味が理解可能である。
【0024】
本明細書で使用されている「近位端」及び「遠位端」は、その医療機器を使用する医師の観点から互いに対して相対的な要素又は作用の相対的向き、相対的位置及び方向である。「近位端」及び「遠位端」は制限的ではなく、「近位端」は通常の手術時に医師に近い医療デバイスの端を一般に指し、一方、「遠位端」は患者に最初に入る端を一般に指す。ここで、患者とは人間又はその他の動物であり得る。
【0025】
本発明の中核概念は、ステントグラフトとカテーテルと拘束部材とを含む医療デバイスを提供することである。ステントグラフトに開口が画定されており、カテーテルはステントグラフトの内部に部分的に配置されるように構成されている。拘束部材は、ステントグラフトを径方向に圧縮して圧縮形態にするまで、ステントグラフトに径方向圧縮力を加えるように構成されている。開口は、医療デバイスが圧縮形態であるときにカテーテルの遠位端と位置的に対応する。医療デバイスは、大動脈弓に関わる病変の治療のために使用することができる。カテーテルは、ステントグラフトとともに大動脈弓に送達可能である。ステントグラフトが解放される前にステントグラフト上の開口が血管枝の近傍に配置されると、ユーザはガイドワイヤを、カテーテルを通して大動脈弓まで導入し、その後、ガイドワイヤは血管枝内に導入可能である。これは、ステントグラフトが解放された後でカテーテルとガイドワイヤとを血管枝内に導入するときに、ステントグラフトの開口と血管枝との位置合わせ不良に起因して血管枝の開口が部分的に覆われるという従来技術における問題を回避することができる。好ましくは、ステントグラフトは、カテーテルがステントグラフトに対して相対的に静止状態に維持されるように、カテーテルに圧力もかける。これにより、ステントグラフトとカテーテルとの間の位置ずれの結果として生じる可能性がある、カテーテルの遠位端と開口との位置合わせ不良が回避される。
【0026】
本発明の目的、利点及び特徴をより明確にするために、本発明について図面を参照しながら以下にさらに詳細に説明する。図面は必ずしも一律の縮尺で示されているとは限らない、きわめて簡略化された形態で示されており、本開示の実施形態を説明する際の便宜のためと、わかりやすくすることのみを意図していることに留意されたい。全図面を通して同様の参照番号は同一又は類似の構成要素又は要素を示す。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医療デバイスの概略構造図である。
図1を参照すると、医療デバイス100は、ステントグラフト110とカテーテル120と拘束部材130とを含む。ステントグラフト110には開口111が画定されている。カテーテル120は、ステントグラフト110内に部分的に配置されるように構成されている。拘束部材130は、ステントグラフト110を径方向に圧縮して圧縮形態にするまで、ステントグラフト110に径方向圧縮力を加えるために構成されている。医療デバイス100は、ステントグラフト110が圧縮形態であるときに開口111がカテーテル120の遠位端と位置的に対応するように構成されている。当業者は、カテーテル120が、その軸方向に沿ってカテーテルを通って延びる内部空洞を有し、カテーテル120の遠位端が内部空洞の遠位開口であることを知っているはずである。したがって、ここでのカテーテル120の遠位端が開口111と位置的に対応するとは、カテーテル120の遠位端がステントグラフト110の軸方向及び円周方向の両方において開口111と位置的に対応しており、その結果、ステントグラフト110がカテーテル120の内部空洞の遠位開口を覆わないことを意味する。カテーテル120の遠位端とは、患者の身体に最初に入る、カテーテル120の端を指す。ステントグラフト110は、自己展開式ステントであってもよく、カテーテル120の材料は、PA12又はPebax7233などのポリマー材料であってもよい。
【0028】
医療デバイス100は、大動脈弓に関わる病変の治療のために使用することができる。実際の手術時、ステントグラフト110は、拘束部材130の作用下で圧縮形態となっており、カテーテル120とともに送達デバイス(図示せず)内に装填される。送達デバイスは、開口111が血管枝の近傍に配置されるように、ステントグラフト110をカテーテル120とともに患者の大動脈弓まで送達するように構成されている。
図3及び
図4に示すように、カテーテル120の遠位端が開口111と位置的に対応して配置されるため、ユーザは、ステントグラフト110が解放される前に、ガイドワイヤ200をカテーテル120の内部空洞を通して大動脈弓内に導入し、ガイドワイヤ200を血管枝に入るようにカテーテル120の遠位端から突出させることができる。これは、ステントグラフト110とカテーテル120が一度で身体内に送達され、それによって第2の送達を回避し、解放後にステントグラフト110の血管枝との位置合わせ不良による血管枝内へのカテーテル120の導入が困難になることを回避し、それによって血管枝内へのガイドワイヤ200の導入の困難の問題をさらに回避し、このことが血管枝内でのアクセスを確立し、手術時間を短縮するのに有益であるという点で、有利である。好ましくは、ステントグラフト110は、カテーテル120がステントグラフト110に対して相対的に静止状態に維持されるように、カテーテル120に圧力を加える。これにより、カテーテル120に対するステントグラフト110の相対的な位置の変化を回避し、さらにカテーテル120の遠位端と開口111との位置合わせ不良を回避できる。
【0029】
任意選択で、医療デバイス100は、内管と外管とを含む送達デバイスをさらに含む。ステントグラフト110は、内管に外挿され、外管は内管に外挿され、さらにステントグラフト110を覆うように構成される。
【0030】
好ましくは、
図2と併せて
図1に戻って参照すると、カテーテル120の遠位端の外面に、ユーザがカテーテル120の遠位端と開口111の位置を判定するのを好都合にする視覚化要素140を備える。
【0031】
好ましくは、
図1及び
図2を続けて参照すると、カテーテル120の遠位端は開口111を通ってステントグラフト110から突出する。具体的には、カテーテル120は、主要部121と遠位部122とを含む。好ましくは、遠位部122は主要部121の遠位端に角度をなして接続される。主要部121はステントグラフト110内に部分的に配置され、遠位部122は開口111を通り、ステントグラフト110から突出する。すなわち、主要部121から離れた遠位部122の端が、カテーテル120の遠位端である。このようにして、ガイドワイヤ200が血管枝内に導入されるのがより好都合になる。この実施形態では、主要部121の軸と遠位部122の軸との間に鈍角θが形成され、鈍角θは好ましくは150°~180°であり、主要部121の軸はステントグラフト110の軸に対して平行であってもよい。
【0032】
次に、以下のようなステップを含む医療デバイスを操作する方法について説明する。まず、ステントグラフト110が送達デバイスの内管に外挿され、カテーテル120がステントグラフト110内に部分的に挿入される。具体的には、カテーテル120の主要部121の近位端がステントグラフト110の外部に配置され、送達デバイスの近位端まで延び、主要部121の遠位端がステントグラフト110と内管との間に配置され、カテーテル120の遠位部122が開口111からステントグラフト110の外に突出する。次に、拘束部材130を使用してステントグラフト110を拘束する。この実施形態では、拘束部材130は、ステントグラフト110を径方向に圧縮して内管に固定することができる限り、従来技術における任意の種類のバインディングコイルから選択することができる。すなわち、拘束部材130は、ステントグラフト110を圧縮して内管に固定するように、ステントグラフト110の外部からステントグラフト110に径方向圧縮力を加えることができる。任意選択で、ステントグラフト110は、拘束部材130の作用下でカテーテル120にも圧力を加えることができ、該圧力の作用下でステントグラフト110とカテーテル120とが互いに静止状態に維持される。あるいは、実際には、カテーテル120は、カテーテル120がステントグラフト110と内管との間に固定され、さらにカテーテル120がステントグラフト110に対して相対的に静止状態に維持されるように、例えばバインディング又は接着等の他の方式によって内管に接続される。最後に、外管がステントグラフト110の上に被覆される。
【0033】
次に、ステントグラフト110とカテーテル120とが従来の方式で患者の大動脈弓まで送達され、ステントグラフト110を露出させるように外管が引き抜かれる。
【0034】
次に、(
図3に示すように)開口111が血管枝の近傍にあり、カテーテル120の遠位端が血管枝と位置合わせされるように、ステントグラフト110の位置が調整される。
【0035】
次に、ガイドワイヤ200がカテーテル120の内部空洞に沿って患者の身体内に送達され、(
図4に示すように)ガイドワイヤ200が内部空洞の遠位端から突出し、血管枝内に直接導入される。
【0036】
次に、ステントグラフト110が拘束部材130から解放され、ステントグラフト110が留置される。ここまでで、血管枝内のアクセスが確立され、ユーザは継続して分岐ステントを血管枝内に導入することができる。
【0037】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る医療デバイスの概略構造図である。
図5を参照すると、この実施形態と第1の実施形態との相違は、医療デバイス100がさらに位置決め部材150を含むことである。位置決め部材150の近位端がカテーテル120の遠位端に接続され、位置決め部材150の遠位端が拘束部材130によってステントグラフト110の外面上に拘束される。これによって、確実にカテーテル120とステントグラフト110が互いに対して静止状態に留まるようにし、送達過程中にカテーテル120が位置ずれしてカテーテル120の遠位端を開口111から逸れさせるのを防ぐ。ガイドワイヤ200を妨害するのを避け、血管枝内へのガイドワイヤ200の導入を容易にするように、位置決め部材150の近位端は、カテーテル120の、ステントグラフト110の中心軸から離れた側に接続されてはならないことがわかる。好ましくは、位置決め部材150の近位端は、カテーテル120の、ステントグラフト110の中心軸に近い側に接続される。
【0038】
この実施形態では、位置決め部材150はカテーテル120とは別に形成され、その後、互いに接続されてもよく、位置決め部材150は金属ワイヤ又はポリマーワイヤであってもよい。
【0039】
図6及び
図7は、本発明の第3の実施形態に係る医療デバイスの部分構造を示す概略図である。
図6及び
図7に示すように、この実施形態と第2の実施形態との相違は、位置決め部材150とカテーテル120が一体に形成されていることである。具体的には、位置決め部材150とカテーテル120は、軸方向に接続された第1の部分と第2の部分とを含む単一の管からなる。第1の部分におけるステントグラフト110の中心軸から離れた部分が切り取られ、ステントグラフト110の中心軸に近い第1の部分の残りの部分が、管の外周の1/4~1/2を覆うことができる位置決め部材150を形成する。第2の部分はカテーテル120を構成する。
【0040】
また、カテーテル120の遠位端が、円滑な移行によって位置決め部材150に接続された傾斜面123を備えて形成されるように、第2の部分の一部も切り取られる。したがって、カテーテル120と位置決め部材150との接続部における応力が低減され、カテーテル120の内部空洞の遠位開口を拡大することができ、これによってガイドワイヤ200の方向の調整がしやすくなる。
【0041】
本発明の第4の実施形態で提供される医療デバイスと第1の実施形態との相違は、医療デバイス100がさらに内部ライナー(図示せず)を含み、内部ライナーがカテーテル120の内部空洞内に挿入されるように構成されている点である。内部ライナーは、医療デバイス100の組み立てと、ステントグラフト110の患者の身体への送達の過程で使用される。ステントグラフト110が位置決めされると、内部ライナーは引き抜かれる。内部ライナーは、カテーテル120の内部空洞がステントグラフト110によって圧縮されて閉鎖されることと、カテーテル120がステントグラフト110内でねじられるときに屈曲し、変形することとを防止するように構成される。
【0042】
内部ライナーの材料はPebax7233、PTFE、PA12などのポリマーとすることができる。内部ライナーの外径は、カテーテル120の内径以下である。
【0043】
上記で本発明を開示しているが、これには限定されない。当業者が、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく本発明に様々な修正及び変形を加えることができることは明らかである。したがって、本発明は、そのような修正及び変形が添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲に含まれる場合、そのようなすべての修正及び変形を包含することが意図されている。
【符号の説明】
【0044】
100 医療デバイス
110 ステントグラフト
111 開口
120 カテーテル
121 主要部
122 遠位部
123 傾斜面
130 拘束部材
140 視覚化要素
150 位置決め部材
200 ガイドワイヤ
【国際調査報告】