(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】自動診断システムにおけるトレーニング更新を提供する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20240725BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240725BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240725BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20240725BHJP
G06V 10/56 20220101ALI20240725BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20240725BHJP
G06T 7/90 20170101ALI20240725BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240725BHJP
G16H 30/40 20180101ALI20240725BHJP
G01N 21/17 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
G16H10/40
G01N35/02 C
G06T7/00 350C
G06V10/82
G06V10/56
G06T7/11
G06T7/90 C
G06N20/00
G16H30/40
G01N21/17 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500169
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022073474
(87)【国際公開番号】W WO2023283584
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテーシュ・ナラシマムルティ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴィック・シンフ
(72)【発明者】
【氏名】イャオ-ジェン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エス・ポラック
(72)【発明者】
【氏名】アンカー・カプール
(72)【発明者】
【氏名】ラヤル・ラジュ・プラサド・ナラム・ヴェンカット
【テーマコード(参考)】
2G058
2G059
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
2G058GB03
2G058GB10
2G058GC02
2G058GC05
2G058GD06
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB13
2G059CC16
2G059DD13
2G059EE02
2G059KK09
2G059MM10
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA14
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA15
5L096FA19
5L096GA51
5L096HA11
5L096JA11
5L096JA22
5L099AA04
5L099AA26
(57)【要約】
自動診断システムにおいて検体容器または検体を特性評価する方法は、撮像デバイスを使用して、検体を含む検体容器の画像を取り込むことを含む。方法は、第1のAIモデルを使用して画像を特性評価し、画像の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することを更に含む。第1のAIモデルは、第2のAIモデルに対し、予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて再トレーニングされ、再トレーニングは、以下のグループ:非画像データおよびテキストデータのうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含む。方法を実行するように構成された品質チェックモジュールおよびシステムも、他の態様と同様に記載される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動診断システムにおいて検体容器または検体を特性評価する方法であって:
撮像デバイスを使用して、検体を含む検体容器の画像を取り込むことと;
第1の人工知能(AI)モデルを使用して、画像を特性評価することと;
画像の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することと;
第2のAIモデルに対し、少なくとも、所定の選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のAIモデルを再トレーニングすることとを含み、ここで、再トレーニングは、以下のグループ:
非画像データ、および
テキストデータ、
のうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含む、前記方法。
【請求項2】
第2のAIモデルが、予め確立された閾値を上回る特性評価信頼性で特性評価を行っていることを妥当性確認することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
妥当性確認データセットに対し第2のAIモデルを妥当性確認することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を、予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する1つまたはそれ以上の他の画像を含むデータベースに記憶することと;
データベースに記憶された画像のうちの1つまたはそれ以上を用いて第1のAIモデルを再トレーニングすることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1のAIモデルを再トレーニングすることは、第1のAIモデルを第2のAIモデルと置き換えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の自動診断システムから得られた妥当性確認データセットに対し第1のAIモデルをトレーニングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ユーザ入力を受信することであって、第1のAIモデルは、ユーザ入力に応じて再トレーニングされることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
特性評価は、検体の血清または血漿部分において、溶血、黄疸または脂肪血症のうちの少なくとも1つの存在を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
特性評価は、検体の血清または血漿部分の、溶血の指標、黄疸の指標、または脂肪血症の指標のうちの少なくとも1つを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
特性評価は検体をセグメント化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
特性評価は、検体をセグメント化して、少なくとも、血清または血漿部分および沈降血液部分を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
血清もしくは血漿部分または沈降血液部分のうちの少なくとも1つの高さを決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
特性評価は、キャップが検体容器上に存在するかどうかを判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
特性評価は、検体容器上のキャップの色を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
特性評価は、検体容器上のキャップのタイプを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを識別することは、特性評価信頼値が、0.0~1.0の範囲において0.9未満であるかどうかを識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを識別することは、特性評価信頼値が、0.0~1.0の範囲において0.8未満であるかどうかを識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
検体または検体容器の画像をセグメント化することを含み、ここで、特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを識別することは、セグメントにおけるピクセル値の90パーセント未満が同じ分類にされたかどうかを判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
非画像データは温度データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
非画像データは湿度データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
非画像データは、振動データ、電流データおよび音響データのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
テキストデータは、検体が取得された人物に関係する情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
自動診断システムにおいて検体を特性評価する方法であって:
撮像デバイスを使用して検体の画像を取り込むことと;
第1の人工知能(AI)モデルを使用して画像を特性評価して、溶血、黄疸または脂肪血症のうちの少なくとも1つの存在を決定することと;
溶血、黄疸または脂肪血症のうちの少なくとも1つの存在の決定の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することと;
第2のAIモデルに対し、少なくとも、所定の選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のAIモデルを再トレーニングすることであって、ここで、再トレーニングは、以下のグループ:
非画像データ、および
テキストデータ、
のうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含むことと、
を含む、前記方法。
【請求項24】
非画像データは、温度データ、湿度データ、振動データ、電流データおよび音響データのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
テキストデータは、検体が取得された人物に関係する情報を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
自動診断システムであって:
検体を含む検体容器の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと;
コンピュータと、
を含み、該コンピュータは:
第1の人工知能(AI)モデルを使用して、画像を特性評価することと;
画像の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することと;
第2のAIモデルに対し、少なくとも、所定の選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のAIモデルを再トレーニングすることと、
を行うように構成され、ここで、再トレーニングは、以下のグループ:
非画像データ、および
テキストデータ、
のうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含む、前記自動診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月7日に出願された「METHODS AND APPARATUS PROVIDING TRAINING UPDATES IN AUTOMATED DIAGNOSTIC SYSTEMS」という名称の米国仮特許出願第63/219,343号の利益を主張し、その開示全体が、あらゆる目的で参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示の実施形態は、自動診断システムにおけるトレーニングを提供するように構成された方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動診断システムは、検体内の分析物または他の成分を識別するために、例えば、全血、血清、血漿、尿、間質液、脳脊髄液等の生物学的検体を分析(例えば、検査)することができる。検体は通常、自動トラックシステムを介してそのような自動診断システム内の様々な前処理モジュール、事前スクリーニングモジュール、および分析器(例えば、免疫測定および臨床化学を含む)に移送することができる検体容器(例えば検体収集管)内に含まれている。
【0004】
いくつかのシステムにおいて、前処理モジュールは、例えば、封止解除(de-sealing)、遠心分離、アリコート準備(aliquoting)等の、検体または検体容器に対する処理を、全て1つまたはそれ以上の分析器による分析前に行うことができる。いくつかのシステムにおいて、事前スクリーニングを用いて、検体容器および/または検体を特性評価することができる。特性評価は、人工知能(AI)モデルによって行うことができ、検体容器および/または検体の様々な領域を識別することができるセグメンテーション動作を含むことができる。AIモデルを使用した検体の特性評価は、分析される検体における溶血(H)、黄疸(I)および/または脂肪血症(L)等の干渉物質の存在を決定するか、または検体が正常(N)であり、このため更に処理することができると判断するHILNプロセスを含むことができる。
【0005】
前処理および/または事前スクリーニング後、検体は、自動診断システムの1つまたはそれ以上の分析器によって分析される。測定は、蛍光吸収および/または放出の分析等の測光分析により、検体に対し行うことができる。他の測定を用いることもできる。測定を分析して、検体内の分析物または他の成分の量を決定することができる。
【0006】
経時的に、システムの構成要素は変化する場合がある。例えば、撮像中に用いられる撮像デバイスおよび照明源が変化する場合がある。いくつかの実施形態では、検体容器も経時的に変化する場合がある。AIモデルは、経時的に変化した構成要素および検体容器を特性評価するように適切にトレーニングされていない場合がある。このため、AIモデルを使用した上記の分析は誤ったものとなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に基づいて、自動診断システムにおける使用のためにAIモデルをトレーニングする改善された方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、自動診断システムにおいて検体容器または検体を特性評価する方法が提供される。方法は、撮像デバイスを使用して、検体を含む検体容器の画像を取り込むことと;第1のAIモデルを使用して、画像を特性評価することと;画像の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することと;第2のAIモデルに対し、少なくとも、予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のAIモデルを再トレーニングすることであって、再トレーニングは、以下のグループ:非画像データおよびテキストデータのうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含むことと、を含む。
【0009】
別の態様によれば、自動診断システムにおいて検体を特性評価する方法が提供される。方法は、撮像デバイスを使用して検体の画像を取り込むことと;第1のAIモデルを使用して画像を特性評価して、溶血、黄疸または脂肪血症のうちの少なくとも1つの存在を決定することと;溶血、黄疸または脂肪血症のうちの少なくとも1つの存在の決定の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することと;第2のAIモデルに対し、少なくとも、予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のAIモデルを再トレーニングすることであって、再トレーニングは、以下のグループ:非画像データおよびテキストデータのうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含むことと、を含む。
【0010】
別の態様によれば、自動診断システムが提供される。自動診断システムは、検体を含む検体容器の画像を取り込むように構成された撮像デバイスと;コンピュータであって:第1のAIモデルを使用して、画像を特性評価することと;画像の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することと;第2のAIモデルに対し、少なくとも、予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のAIモデルを再トレーニングすることであって、再トレーニングは、以下のグループ:非画像データおよびテキストデータのうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含むことと、を行うように構成された、コンピュータとを含む。
【0011】
本開示の更に他の態様、構成、および利点は、本発明を実施するために企図される最良の形態を含む、いくつかの例示的実施形態および実装形態の以下の説明および図示から容易に明らかになり得る。本開示はまた、他の異なる実施形態も可能とすることができ、そのいくつかの詳細は、全て本発明の範囲から逸脱することなく様々な点で変更することができる。本開示は、特許請求の範囲の範囲に含まれる全ての修正形態、等価形態、および代替形態を網羅することが意図される。
【0012】
以下で説明する図面は、例示目的のものであり、必ずしも原寸に比例して描かれていない。したがって、図面および説明は、本質的に例示とみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。図面は、本発明の範囲を限定することを何ら意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】1つまたはそれ以上の実施形態による、検体容器および/または検体を分析するように構成された1つまたはそれ以上のモジュールおよび1つまたはそれ以上の機器を含む自動診断システムの上面概略図を示す。
【
図2A】1つまたはそれ以上の実施形態による、干渉物質を含む場合がある血清または血漿部分を有する分離された検体を含む検体容器の側面図を示す。
【
図2B】1つまたはそれ以上の実施形態による、
図1の自動診断システム内で移送することができるホルダ内に直立の向きで保持された
図2Aの検体容器の側面図を示す。
【
図3】1つまたはそれ以上の実施形態による、自動診断システムにおいて検体および/または検体容器を分析するように人工知能モデルをトレーニングする方法を記載するフローチャートである。
【
図4A】1つまたはそれ以上の実施形態による、複数の視点を含み、セグメンテーションおよび/またはHILNの事前スクリーニング等の特性評価を可能にするために複数の画像を取り込み、分析するように構成された品質チェックモジュール(上部が取り除かれている)の概略上面図である。
【
図4B】1つまたはそれ以上の実施形態による、
図4Aの断面線4B-4Bに沿って取得された
図4Aの品質チェックモジュール(エンクロージャ壁が取り除かれている)の概略側面図である。
【
図5】1つまたはそれ以上の実施形態による、特性評価性能に基づいてHILNネットワークに対するトレーニング更新を提供しながら、検体容器内の検体のセグメンテーションおよび干渉物質決定を行うように構成されたHILNネットワークの機能ブロック図を示す。
【
図6】1つまたはそれ以上の実施形態による、自動診断システムにおいて検体容器または検体を特性評価する方法を示すフローチャートを示す。
【
図7】1つまたはそれ以上の実施形態による、自動診断システムにおいて検体を特性評価する方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載の自動診断システムは、生物学的検体を分析(例えば検査)して、検体における分析物の存在および/または濃度を決定する。いくつかの実施形態では、システムは、検体に対し1つまたはそれ以上の事前スクリーニング分析を行うことができる。いくつかの実施形態では、システムは、検体容器に対し事前スクリーニング分析を行うことができる。分析は、本明細書に記載のように、人工知能(AI)モデルを使用して行うことができる。
【0015】
本明細書に記載のAIモデルは、機械学習、ニューラルネットワークおよび他のAIアルゴリズムとして実施することができる。AIモデルは、画像または取り込まれた画像の一部分を特性評価するようにトレーニングすることができる。画像の特性評価は、画像の1つまたはそれ以上の部分におけるアイテムを識別することを含む。例えば、第1のまたは初期AIモデルは、検体および検体容器等のシステムによって取り込まれることが予期される画像内のアイテムを特性評価するようにトレーニングすることができる。いくつかの実施形態では、特性評価されることになるアイテムの画像の大きなデータセットを、様々なビューおよび/または様々な照明条件等の様々な構成で取り込むことができ、これらを用いて第1のAIモデルをトレーニングすることができる。1つまたはそれ以上のアルゴリズムまたはプログラムを用いて、第1のAIモデルをトレーニングした特性評価信頼性をチェックすることができる。いくつかの実施形態では、特性評価信頼性は、値(例えば、1~100)またはパーセンテージの形態をとることができる。低い特性評価信頼性は、不適切な特性評価、すなわち、AIモデルが検体または検体容器を認識するために適切にトレーニングされていないことを示すことができる。
【0016】
経時的に、特性評価されるアイテムは変化する場合がある。いくつかの実施形態では、画像が取り込まれる条件も変化する場合がある。これらの変化したアイテムおよび条件は、ハードウェアの変更(例えば更新)、ソフトウェアの変更、検体容器の変更、検体容器上のラベルの変更、アッセイの変更、および他の変更に起因し得る。第1のAIモデルは、これらの変化したアイテムを特性評価することができない場合があるか、または変化した条件下でアイテムを特性評価することができない場合がある。例えば、第1のAIモデルをトレーニングするのに用いられる画像は、システムに受けられた検体容器および/または検体の全てのバリエーションを含まない場合がある。例えば、検体容器のサイズ、タイプおよび特性は経時的に変化し、結果として誤ったまたは低い特性評価信頼性が得られる場合がある。したがって、変化したアイテムおよび条件を適切に特性評価することを可能にするために、第1のAIモデルは、第2のAIモデルに対し更新されなくてはならない。
【0017】
従来の自動診断システムは、AIモデルに対し容易なおよび/または自動の更新を提供しない。むしろ、AIモデルを更新するプロセスは比較的厄介である場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、第1のAIモデルにおける欠陥は、システムが故障するまで識別されない場合がある。第1のAIモデルが適正でないことを判断するために、システム故障のトラブルシューティングが必要となる場合がある。第1のAIモデルが不適正であることが識別されると、上記で説明した変化に関するデータが収集され、エンジニアチームに送信される。次に、エンジニアチームによってこのデータを用いて第1のAIモデルを更新または再トレーニングする。従来の更新プロセスは非常に高価であり、時間がかかる。本明細書に開示される方法および装置は、第1のAIモデルの更新および/または第2のAIモデルとの置き換えの改善をもたらす。
【0018】
本明細書に記載のAIモデルは、品質チェックモジュールを含むシステムにおいて用いることができる。品質チェックモジュールは、品質チェックモジュールにおいて取り込まれた画像に基づいて、検体および/または検体容器の事前スクリーニングを行う。事前スクリーニングは、本明細書に記載のAIモデルを使用して、検体容器および/または検体の画像を特性評価することができる。事前スクリーニングの特性評価は、取り込まれた画像に対し、セグメンテーションおよび/または干渉物質(例えば、HILN-溶血、黄疸、脂肪血症、正常)識別を行うことを含むことができる。セグメンテーション決定は、血清または血漿部分、沈降血液部分、ゲル分離器(使用される場合)、空気領域、1つまたはそれ以上のラベル領域、検体容器のタイプ(例えば高さおよび幅または直径を示す)、ならびに/または検体容器キャップのタイプおよび/もしくは色等、検体容器および検体の画像内での様々な領域(エリア)を識別することができる。
【0019】
上記のように、AIモデルによって識別される干渉物質は、溶血(H)、黄疸(I)、または脂肪血症(L)を含むことができる。溶血の度合いは、AIモデルを使用して、溶血指標(例えば、いくつかの実施形態ではH0~H6、他の実施形態ではより多数または少数)を割り当てることによって定量化することができる。黄疸の度合いは、AIモデルを使用して、黄疸指標(例えば、いくつかの実施形態ではI0~I6、他の実施形態ではより多数または少数)を割り当てることによって定量化することができる。脂肪血症の度合いは、AIモデルを使用して、脂肪血症指標(例えば、いくつかの実施形態ではL0~L4、他の実施形態ではより多数または少数)を割り当てることによって定量化することができる。いくつかの実施形態では、事前スクリーニングプロセスは、遠心分離されていない検体の血清または血漿部分に関する非遠心分離(U)クラスの決定を含むことができる。
【0020】
AIモデルによって実施されるHILNネットワークは、検体容器に含まれる分画された検体の1つまたはそれ以上の取り込まれた画像を入力として受けるセグメンテーション畳み込むニューラルネットワーク(SCNN)とするかまたはこれを含むことができる。SCNNは、いくつかの実施形態では、例えば、BatchNorm、ReLU活性化、畳み込み(例えば2D)、ドロップアウト、および逆畳み込み(例えば2D)層を含む100を超える操作層を含み、血清または血漿部分およびラベルを含む画像領域の単純なエッジ、テクスチャ、および部分等の特徴部分を抽出することができる。完全畳み込み層等の最上層は、特徴間の相関を提供するために用いることができる。この層の出力はSoftMax層に送られ、SoftMax層は、各ピクセルまたはパッチがHILを含むかまたは正常であるかに関して、ピクセルごとに(またはn×nピクセルを含むスーパーピクセル(パッチ)ごとに)出力を生成する。
【0021】
いくつかの実施形態では、HILNの出力のみをSCNNによって提供することができる。他の実施形態では、SCNNの出力は、20を超えるクラスのHILN等、複数のクラスのHILNを含む場合があり、したがって、存在する干渉物質ごとに、干渉物質のレベル(指標)の推定値を得ることもできる。HILの各々の他の数のクラスがSCNNに含まれる場合もある。SCNNは、検体容器タイプおよび検体容器境界を決定するためにフロントエンド容器セグメンテーションネットワーク(CSN)を含む場合もある。他のタイプのHILNネットワークが品質チェックモジュールにおいて用いられる場合もある。
【0022】
いくつかの実施形態では、初期モデルまたは第1のAIモデルをトレーニングするのに用いられるトレーニング画像の初期セットは、新たにインストールされた自動診断分析システムを所与の期間(例えば1週間または2週間)動作させることによってコンパイルすることができる。新たにインストールされたシステムにおいて受信された、検体の取り込まれた画像データは、データベース/サーバ(ローカル、および/または新たにインストールされたシステムの一部であり得る、またはクラウドベースのサーバであり得る)に転送することができる。画像データをアノテーションして(例えば、手動でアノテーションする、および/または自動で生成されるアノテーション)、アノテーションされたトレーニング画像の初期セットを作成することができる。次に、アノテーションされたトレーニング画像のセットを用いて、自動診断分析システムの品質チェックモジュールのHILNネットワークにおける初期モデルまたは第1のAIモデルをトレーニングすることができる。
【0023】
自動診断分析システムの動作中、HILNネットワークによって生成された特性評価が不正確であるかまたは低い特性評価信頼性(例えば、低い信頼水準)を有すると判断された検体の画像は、自動診断分析システムの分析器に自動的に転送されず、更なる検討のために記憶することができる。例えば、不正確であるかまたは低い特性評価信頼性を有すると判断された特性評価を有する検体の画像は、データベース/サーバに記憶(およびいくつかの実施形態では暗号化)することができる。トレーニング更新(例えば第2のAIモデルのトレーニング)は、データベース/サーバに記憶される不正確なまたは低信頼性の特性評価に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、トレーニング更新は、不正確であるかまたは低信頼性を有すると判断された検体特性評価を有する検体の取り込まれた画像の手動のアノテーションおよび/または自動生成されたアノテーションに少なくとも部分的に基づくことができる。トレーニング更新は、HILNネットワークに転送され、再トレーニングされた第2のAIモデルを生成するための第1のAIモデルの再トレーニングによってそこに組み込まれる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上のトレーニング更新の利用可能性のレポートまたはプロンプトをユーザに提供して、トレーニング更新がHILNネットワークに組み込まれるときおよび場合をユーザが決定できるようにすることができる。他の実施形態では、トレーニング更新は自動とすることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、それぞれがソフトウェアベースであるトレーニング画像の初期セットおよび/またはトレーニング更新は、インターネットを介してまたは物理的媒体(例えばプログラミング命令およびデータを含むストレージデバイス)の使用によって、再トレーニングされたモデルとして自動診断分析システム(および特にHILNネットワーク)に提供することができる。
【0026】
本明細書に開示されるシステムのいくつかの実施形態は、例えば不正確なまたは低い特性評価信頼性の閾値数に一致するかまたは超えたとき等、頻繁にまたは定期的に、再トレーニングおよび/またはAIモデルの置き換えによりシステムに自動的に組み込むことができるAIモデルの連続トレーニング更新を提供することができる。他の判断基準を用いてトレーニング更新をシステムに自動的に組み込むこともできる。いくつかの実施形態では、トレーニング更新は、ユーザプロンプト等、ユーザの自由裁量によりユーザによってシステムに組み込むことができる。
【0027】
AIモデルの更新を含む特性評価装置および方法の更なる詳細は、本明細書において
図1~
図7を参照して更に説明される。
【0028】
ここで、検体容器102に収納された生物学的検体を処理および/または分析するように構成された自動診断システム100の例示的な実施形態を示す
図1を参照する。検体容器102は、検体を収容し、収容された検体の撮像を可能にする採血管、検査管、試料カップ、キュベット、または他の容器等、透明または半透明の容器を含む任意の適切な容器とすることができる。検体容器102は、様々なサイズを有することができ、異なるキャップの色および/またはキャップのタイプを有することができる。
【0029】
検体容器102は、装填エリア106に設けられた1つまたはそれ以上のラック104においてシステム100に受けることができる。検体容器102は、キャリア114によって、システム100全体にわたって、例えば、トラック112上のモジュール108および機器110との間で移送することができる。
【0030】
検体および/または検体容器102の処理は、本明細書において分析器と呼ぶことができる分析器モジュールとして構成されたモジュール108のうちの1つまたはそれ以上による分析前に、検体および/または検体容器102を前処理または事前スクリーニングすることを含むことができる。システム100は、1つまたはそれ以上の機器110を含むこともでき、各機器は、処理モジュールおよび/または分析器モジュール等の1つまたはそれ以上のモジュールを含むことができる。
図1の実施形態において、システム100は、各々が複数のモジュールを含む第1の機器110Aおよび第2の機器110Bを含む。第2の機器110Bと類似または同一とすることができる第1の機器110Aは、本明細書に記載のモジュール108と類似または同一の機能を実行することができる3つのモジュール116を含む。モジュール116は、個々に第1のモジュール116A、第2のモジュール116Bおよび第3のモジュール116Cと呼ばれる。機器110は、他の数のモジュールを含むこともできる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のモジュール116Aは、例えば、分析器モジュールによる分析の前に、内部に配置された検体容器102および/または検体を処理する前処理モジュールとすることができる。第2のモジュール116Bおよび第3のモジュール116Cは、本明細書に記載のように検体を分析する分析器モジュールとすることができる。機器110の他の実施形態は、システム100において他の目的で用いることもできる。
【0032】
図1の実施形態において、システム100は、第1のモジュール108A、第2のモジュール108Bおよび第3のモジュール108Cを含む複数のモジュールを含む。第1のモジュール108A、第2のモジュール108Bおよび第3のモジュール108Cと独立して、特定の処理および/またはプロセスを実行する他のモジュールが提供され、説明される。モジュール108のうちの少なくとも1つは、前処理機能を実行することができ、例えば、デキャッパおよび/または遠心分離機を含むことができる。いくつかの実施形態では、モジュール108のうちの1つまたはそれ以上は、臨床化学分析器および/もしくはアッセイ機器等、またはそれらの組合せとすることができる。より多くのまたはより少ないモジュール108および機器110をシステム100において用いることができる。
【0033】
モジュール108の分析器モジュールとして実装されるモジュール、および機器110は、任意の数の臨床化学分析器および/またはアッセイ機器等の任意の組合せとすることができる。「分析器」という用語は、本明細書において用いられるとき、化学に関しては検体の分析用に、または例えばDNAやRNA等の標的体(例えば分析物)の存在、量、または機能的活性に関してはアッセイ用に用いられるデバイスを含む。分析器モジュールにおいて一般に検査される分析物は、酵素、基質、電解質、特定のタンパク質、乱用薬物、および治療薬を含む。
【0034】
検体216が内部に配置された検体容器202の実施形態を示す
図2A~
図2を更に参照する。検体容器202は、検体容器102(
図1)を表すことができ、検体216は、検体容器102内に配置された検体を表すことができる。検体容器202は管218を含むことができ、キャップ220を被せることができる。異なる検体容器上のキャップは、異なるタイプおよび/または色(例えば、赤、ロイヤルブルー、水色、緑、灰色、黄褐色、黄色、または色の組合せ)とすることができる、これらは、検体容器202が使用される特定の検査、検体容器202に含まれる添加剤のタイプ、検体容器がゲル分離器を含むかどうか等の観点で意味を有することができる。いくつかの実施形態では、キャップタイプは、本明細書で述べる特性評価方法によって決定することができる。
【0035】
検体容器202には、バーコード、英字、数字、またはそれらの組合せ等の識別情報222I(すなわち印)を含むことができる少なくとも1つのラベル222を設けることができる。識別情報222Iは、LIS131におけるデータベース等、実験室情報システム(例えば、
図1のLIS131)によって提供される関連データを含むかまたはこの関連データとすることができる。データベースは、本明細書に記載のように、名前、生年月日、住所、および/または他の個人情報を含む患者情報等のテキストデータと呼ばれる情報を含むことができる。データベースは、検体216に対し実施すべき検査、検体216を取得した日時、医療施設情報、ならびに/または追跡およびルーティング情報等の他のテキストデータも含むことができる。他のテキストデータも含むことができる。LIS131におけるデータは、医療提供者から検査注文等を受ける病院情報システム133から受信することができる。
【0036】
識別情報222Iは、識別情報222Iを容易に撮像することができるように、ラベル素材(例えば白い紙)よりも暗い色(例えば黒)にすることができる。識別情報222Iは、患者の識別、ならびに検体216に対して実施すべき検査を示すことができ、またはそうでない場合、LISまたは他の検査注文システムによってそれらに相関させることができる。識別情報222Iはラベル222に提供することができ、ラベル222は、管218の外面に貼り付けるか、または他の方法で提供することができる。いくつかの実施形態では、ラベル222は、検体容器202の全周にわたって、または検体容器202の全長に沿って延びていない場合がある。
【0037】
検体216は、管218内に含まれる血清または血漿部分216SPおよび沈降血液部分216SBを含む場合がある。血清または血漿部分216SPと沈降血液部分216SBとの間にAゲル分離器216Gを配置することができる。血清または血漿部分216SPの上に空気224を提供することができる。血清または血漿部分216SPと空気224との間の境界線は、液体-空気界面(LA)として定義される。血清または血漿部分216SPとゲル分離器との間の境界線は、血清-ゲル界面(SG)として定義される。沈降血液部分216SBとゲル分離器216Gとの間の境界線は、血液-ゲル界面(BG)として定義される。空気224とキャップ220との界面は、管-キャップインターフェース(TC)として定義される。
【0038】
管の高さ(HT)は、管218の最下部材からキャップ220の底部までの高さとして定義され、管のサイズ(例えば、管の高さおよび/または管の体積)を決定するために用いることができる。血清または血漿部分216SPの高さはHSPであり、LAにおける血清または血漿部分216SPの上部からSGにおけるゲル分離器216Gの上部までの高さとして定義される。ゲル分離器216Gの高さはHGであり、SGとBGとの間の高さとして定義される。沈降血液部分216SBの高さはHSBであり、BGにおけるゲル分離器216Gの底部から、沈降血液部分216SBの底部までの高さとして定義される。HTOTは、検体216の全高であり、HSP、HGおよびHSBの和に等しい。管218の内部の円筒形部分の幅はWである。前処理モジュール108および/または機器110のうちの1つまたはそれ以上において行われる前処理により、上記の寸法のうちの少なくとも1つを測定または計算することができる。
【0039】
図2Bの実施形態は、キャリア214内に配置された検体容器202の側面図を示す。キャリア214が、キャリア114(
図1)を表すことができる。キャリア214は、所定の直立姿勢および向きで検体容器202を保持するように構成されたホルダ214Hを含むことができる。ホルダ214Hは、検体容器202をキャリア214に固定する複数のフィンガまたは板ばねを含むことができるが、検体容器202の異なるサイズ(幅)に対応するために可動または可撓性のものもある。いくつかの実施形態では、キャリア214は、1つまたはそれ以上のラック104から降ろされた後、装填エリア106(
図1)から出ることができる。
【0040】
図1を再び参照すると、システム100は、コンピュータ124を含むことができるか、または外部コンピュータと通信するように構成することができる。コンピュータ124は、適切なメモリ、ソフトウェア、ならびにシステム100の様々な構成要素、モジュール108および機器110を動作させるための調整電子機器およびドライバを有するマイクロプロセッサベースの中央処理ユニットCPUとすることができる。コンピュータ124はプロセッサ124Aおよびメモリ124Bを含むことができ、プロセッサ124Aは、メモリ124Bに記憶されたプログラム124Cを実行するように構成される。コンピュータ124は、システム100の一部として、またはシステム100と別個に収容することができる。プログラム124Cは、システム100の構成要素を動作させることができ、本明細書に記載のように特性評価を行うことができる。
【0041】
コンピュータ124は、プログラム124Cによって、キャリア114の、装填エリア106に対する動き、トラック112の周りでの動き、モジュール108および機器110に対する動き、ならびにシステム100の他のモジュールおよび構成要素に対する動き制御することができる。モジュール108または機器110のうちの1つまたはそれ以上は、有線および無線ネットワークを含む、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスエリアネットワーク(WAN)または他の適切な通信ネットワーク等のネットワークを通じてコンピュータ124と通信することができる。いくつかの実施形態では、上記のモジュール108および/または機器110のうちのいくつかまたは全ての動作は、コンピュータ124によって行うことができる。
【0042】
プログラム124Cのうちの1つまたはそれ以上は、本明細書に記載のように画像データおよび他のデータを処理および/または解析する人工知能(AI)モデルまたはアルゴリズムとすることができる。他のデータは、例えば、非画像データ(
図5の510)およびテキストデータ(
図5の512)を含むことができる。
図1の実施形態において、メモリ124Bは、第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130Bを記憶するものとして示されている。第1のAIモデル130Aは、本明細書に記載のように更新または置き換えされていないAIモデルを指す。例えば、システム100に最初に提供される第1のAIモデルを第1のAIモデル130Aとすることができる。第2のAIモデル130Bは、本明細書に記載のように、第1のAIモデル130Aが更新され、および/または第2のAIモデル130Bと置き換えられたものである。いくつかの実施形態では、第2のAIモデル130Bは、第1のAIモデル130Aが最初のAIモデルであったかどうかに関わらず、第1のAIモデル130Aの更新または置き換えとすることができる。
【0043】
第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130Bは、メモリ124Bに記憶され、プロセッサ124Aによって実行されるプログラム124Cまたはアルゴリズムのうちの1つまたはそれ以上として実施することができる。いくつかの実施形態では、第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130Bはシステム100の遠隔で実行することができる。第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130Bは、限定ではないが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、ディープラーニング、再生ネットワーク、ならびに他の機械学習および人工知能アルゴリズムを含むニューラルネットワークを含む、様々な形態の人工知能として実施することができる。したがって、第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130Bは、単純なルックアップテーブルでない場合がある。むしろ、第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130Bは、多岐にわたる異なる画像を認識(例えば、特性評価)するようにトレーニングされる。他方で、ルックアップテーブルは、特にルックアップテーブル内にある画像のみを識別することが可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、コンピュータ124は、コンピュータインターフェースモジュール(CIM)126に結合することができる。CIM126および/またはコンピュータ124は、ディスプレイ128に結合することができる。CIM126は、ディスプレイ128と連携して、ユーザが多岐にわたる制御およびステータス表示スクリーンにアクセスし、データをコンピュータ124に入力することを可能にする。これらの制御およびステータス表示スクリーンは、検体容器102および/または検体容器102内に配置された検体の準備、事前スクリーニングおよび分析に用いられるモジュール108および/または機器110のうちのいくつかまたは全ての態様の制御を表示し、可能にすることができる。このため、CIM126は、ユーザとシステム100との間の対話を容易にするように適用することができる。ディスプレイ128は、アイコン、スクロールバー、ボックス、およびボタンを含むメニューを表示するように構成することができ、このメニューを介して、オペレータはシステム100とインターフェースすることができる。メニューは、システム100の機能的態様を表示しおよび/または動作させるようにプログラムされたいくつかの機能的要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ128は、本明細書に記載のように、ユーザがコンピュータ124に第1のAIモデル130Aを更新するように命令することを可能にするグラフィカルユーザインターフェースを含むことができる。
【0045】
本明細書に記載のように、モジュール108および機器110は、検体容器102および/または検体容器102内に配置された検体(例えば、
図2~
図2Bの検体216)に対し分析を行うことができる。本明細書においてより詳細に説明されるいくつかの実施形態において、分析は、第1のAIモデル310Aまたは第2のAIモデル130Bを使用して光分析によって行うことができる。例えば、検体容器102および/または検体容器102内に配置された検体の画像は、撮像デバイス(例えば、
図4Aの撮像デバイス440)によって取り込むことができる。取り込まれた画像は、コンピュータ124上で実行されるプログラム124Cによって処理することができる画像データの形態をとる。例えば、第1のAIモデル130Aまたは第2のAIモデル130Bは、本明細書に記載のように画像データを処理することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、検体および/または検体容器102は、モジュール108および/または機器110のうちの1つまたはそれ以上において前面照明される。検体容器102および/または検体からの反射光の画像が1つまたはそれ以上の撮像デバイスによって取り込まれ、画像データに変換され、この画像データが本明細書に記載のように処理される。いくつかの実施形態では、検体および/または検体容器102を透過した光の画像は、取り込まれ、画像データに変換され、この画像データが本明細書に記載のように処理される。いくつかの実施形態では、特定の条件下で検体が蛍光を発し、発光するように、化学物質が検体に添加される。発光の画像を取り込み、画像データに変換することができ、この画像データが本明細書に記載のように処理される。
【0047】
第1のAIモデル130Aは、第1の妥当性確認データセットによってトレーニングすることができる。第1の妥当性確認データセットは、第1のAIモデル130Aをトレーニングおよび/または検証するために収集および使用されるデータである。いくつかの実施形態では、第1の妥当性確認データセットは、様々な検査および分析機構によって検証されるデータを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の妥当性確認データセットは、システム100および/または類似のシステムの規制当局による承認のために用いられたデータを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の妥当性確認データセットは、システム100と同一であるかまたは類似することができる複数のシステムにわたって収集することができるデータを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の妥当性確認データセットは、圧縮および/または暗号化することができる。いくつかの実施形態では、第1の妥当性確認データならびに/または第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130Bは、クラウド等において遠隔で記憶および/または実行することができる。第1の妥当性確認データセットのためのグランドトゥルースは、至適基準デバイスおよび/または至適基準デバイスに基づくデータ等の二次リソースから得ることができる。他の実施形態において、グランドトゥルースは、既存のトレーニングされたシステムを使用して、または自己監督により、自動的に生成することができる。
【0048】
経時的に、例えばモジュール108および/または機器110によって生成されるデータを含む、システム100によって処理されるデータの変更が生じる場合がある。これらの変更は、ハードウェアの変更(例えば、更新)、ソフトウェアの変更、検体容器102の変更、ラベル(例えば、ラベル222)の変更、および/または検体容器102、アッセイプロトコルに付着されたラベル(例えば、ラベル222)および/またはバーコード(例えば、情報220I)の変更、ならびに他の変更を含む。これらの変更は、第1のAIモデル130Aによって特性評価(例えば識別)することが可能でない場合があるため、システム100は、新たなAIモデル(例えば、第2のAIモデル130B)に更新されなくてはならない場合がある。システム100を第2のAIモデル130Bに更新する方法が本明細書に記載される。
【0049】
第1のAIモデル130Aから第2のAIモデル130Bへのシステム100の更新を含む方法300を示すフローチャートを示す
図3を更に参照する。方法300は、人工知能モデル(例えば、第1のAIモデル130Aおよび第2のAIモデル130B)を使用して1つまたはそれ以上の実施形態による自動診断システム(例えばシステム100)において検体(例えば検体216)および/または検体容器(例えば検体容器202)を分析することも示す。
【0050】
方法300は、302において、画像を取り込むことを含む。画像は、モジュール108または機器110のうちの1つまたはそれ以上に配置される撮像デバイス(例えば、
図4Aの撮像デバイス440のうちの1つまたはそれ以上)を使用して取り込むことができる。取り込まれた画像は、取り込まれた画像をプログラム124Cによって処理することができるように、画像データに変換することができる。例えば、画像データは、第1のAIモデル130Aおよび/または第2のAIモデル130Bが本明細書に記載のように画像データを解析(例えば特性評価)することを可能にする形態をとることができる。
【0051】
方法300は、304において、第1のAIモデル130Aを使用して画像を特性評価することを含む。様々な特性評価についてより詳細に説明する。いくつかの実施形態では、特性評価は、検体容器202(
図2A~
図2B)または検体容器202内に配置された検体216(
図2A~
図2B)等の、取り込まれた画像内の1つまたはそれ以上のアイテムを識別することを含むことができる。特性評価は、例として、キャップ220のタイプおよび色を含むキャップ220、管218の高さ、ならびに
図2Aに記載の検体216の一部分の高さ、および本明細書においてより詳細に説明されるような検体216の特性を識別することができる。
【0052】
方法300は、306において、304において行われる特性評価の信頼性(特性評価信頼性)を決定することを含む。特性評価信頼性は、第1のAIモデル130Aが、取り込まれた画像におけるアイテムを特性評価したかまたは正しく識別したスコアまたは確率とすることができる。様々な既知の技法を用いて、本明細書に記載のように特性評価信頼性を決定することができる。いくつかの実施形態では、特性評価信頼性は、特性評価が取り込まれた画像内の1つまたはそれ以上のアイテムを特性評価または識別することができなかった場合、ゼロとすることができる。
【0053】
方法300は、308において、特性評価信頼性が予め確立された閾値を上回っているかどうかを判断することを含む。信頼性が予め確立された閾値を上回っている場合、処理は308に進み、308において、第1のAIモデル130Aを使用して、取り込まれた画像および未来に取り込まれる画像を特性評価する。いくつかの実施形態では、予め確立された閾値は、0~1.0のスケールで0.7とすることができる。この予め確立された閾値は、特性評価が正しい尤度を提供する。他の実施形態において、予め確立された閾値は、0~1.0のスケールで0.9とすることができる。この予め確立された閾値は、特性評価が正しいことの、より高い信頼性を提供する。
【0054】
308において、信頼性が予め選択された閾値を上回っていないという判断が行われる場合、システムまたは他のデバイスは、本明細書に記載のように第2のAIモデル130B(
図1)を生成する。いくつかの実施形態では、第2のAIモデル130Bを生成することは、第1のAIモデル130Aを第2のAIモデル130Bの構成に更新することを含むことができる。他の実施形態において、第2のAIモデル130Bは第1のAIモデル130Aと置き換わることができる。
【0055】
308からの処理は312に進み、312において、少なくとも1つ以上の非画像センサおよび/またはテキストデータが受信される。いくつかの実施形態では、データは、第2のAIモデル130Bを生成することができるプログラム124Cのうちの1つにおいて受けられる。他の実施形態において、データは、第2のAIモデル130Bをトレーニングする1つまたはそれ以上の他のデバイスにおいて受けられる。このデータを用いて、第2のAIモデル130Bをトレーニングするか、または第1のAIモデル130Aを更新して第2のAIモデル130Bにする。いくつかの実施形態では、第2のAIモデル130Bは、第1のAIモデル130Aと同じとすることができるが、本明細書に記載のデータを用いてトレーニングすることができる。したがって、第2のAIモデル130Bは、第1のAIモデルAが特性評価するようにトレーニングされたアイテムと異なるアイテムを特性評価するようにトレーニングされる。いくつかの実施形態では、第2のAIモデル130Bをトレーニングするのに用いられるデータは、第1のAIモデル130Aをトレーニングするのに用いられるデータのうちの少なくともいくつかを含み、このため、第2のAIモデル130Bは、第1のAIモデル130Aが特性評価するようにトレーニングされたアイテムのうちの少なくともいくつかを特性評価することができる。いくつかの実施形態では、システム100のユーザに、第2のAIモデル130Bをトレーニングするようにプロンプトすることができる。次に、ユーザは、CIM126(
図1)等によってトレーニングを開始することができる。他の実施形態において、ユーザは、プロンプトされることなく、本明細書に記載の第2のAIモデル130Bのトレーニングを開始することができる。
【0056】
非画像センサは、例えば、温度センサ、音響センサ、湿度センサ、液量センサ、振動センサ、電流センサ、およびシステム100の動作に関連する他のセンサを含むことができる。テキストデータは、行われている検査(例えばアッセイタイプ)、患者情報(例えば年齢、症状等)、検査日時、検査時間、システムログ(例えばシステムステータス)、検体容器102からのラベル情報(例えば
図2A~
図2Bのラベル222からのデータ)、およびシステム100によって行われる検査に関連する他のデータを含むことができる。
【0057】
方法300は314に進むことができ、314において、第2のAIモデル130B(
図1)は、取り込まれた画像と、非画像センサのうちの少なくとも1つによって生成されたデータ、またはテキストデータのうちの少なくともいくつかとを用いてトレーニングされる。上記で説明したように、いくつかの実施形態では、第2のAIモデル130Bは、第1のAIモデル130Aをトレーニングするのに用いられるデータのうちの少なくともいくつかを用いてトレーニングされるため、第2のAIモデル130Bは、第1のAIモデル130Aがトレーニングされる画像を特性評価することが可能である。いくつかの実施形態では、予め確立された閾値を下回る特性評価信頼性を有する複数の画像が記憶され、第2のAIモデル130Bをトレーニングするのに用いられる。例えば、予め確立された信頼性を下回る特性評価信頼性を有する画像を、メモリ124B、クラウドおよび/または固定記憶装置に記憶し、314において第2のAIモデル130Bをトレーニングするために集合的に用いることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1のAIモデル130Aを更新することは、モデル容量を更新すること(例えば残余層を追加すること)またはモデルの重みを更新することを含むことができる。モデルの重みは、いずれのデータ試料がAIモデルによる後方伝搬のために用いられるかを決定する。いくつかの実施形態では、AIモデルは、提供されるデータがトレーニング集合体の外にあるかまたは元のトレーニング集合体内にあるかを判断するようにトレーニングすることができる、変分オートエンコーダ等のディープネットワークを含むことができる。第2のAIモデル130Bが第1のAIモデル130と置き換わる実施形態において、第2のAIモデル130Bを上記で説明したようにトレーニングすることができる。
【0059】
第2のAIモデル130Bをトレーニングするのに用いられるデータは、サンプリングデータと呼ぶことができる。第2のAIモデル130Bに組み込まれたサンプリングデータは、第2のAIモデル130Bのダイバージェンスを回避するように選択することができる。ダイバージェンス時、第2のAIモデル130Bは、至適基準またはグランドトゥルースとすることができる第1の妥当性確認データセットに対しトレーニングされた第1のAIモデル130Aよりも性能が不良となる。ダイバージェンスは、過少適合または「破滅的忘却」のいずれかを示すことができる。過少適合は、第2のAIモデル130Bが新たなデータにおけるアイテムを識別も特性評価もすることができないことによって識別することができる。破滅的忘却は、第2のAIモデル130Bが新たなデータに過剰適合されていることとして識別することができ、第2のAIモデル130Bは、第1の妥当性確認データセットにおけるアイテムを特性評価することができない。過少適合も破滅的忘却も受容可能とすることができない。なぜなら、過少適合は可能な改善範囲を制約し、破滅的忘却(例えば、過剰適合)は、第1の妥当性確認データセットに基づいて得られた規制除外の要件をもはや満たさない場合があるためである。
【0060】
上記に基づいて、いくつかの実施形態では、第1のAIモデル130Aは、更新がシステム100に役立つ可能性が高いときにのみ更新することができる。いくつかの実施形態では、上記で説明したような過少適合または破滅的忘却等によって第2のAIモデルを退化させる場合がある外れ値が試料データ内に存在する場合がある。問題は、第2のAIモデル130Bの性能を評価することができる妥当性確認データセットへのアクセスを有することによって回避することができ、ダイバージェンスが生じた場合、第2のAIモデル130Bは、第1のAIモデル130A等の古いAIモデルにロールバックすることができる。いくつかの実施形態では、第1のAIモデル130Aは連続して更新することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第2のAIモデル130Bをトレーニングすることは、上記で説明したように、妥当性確認データセットを用いて第2のAIモデル130Bを妥当性確認することを含むことができる。妥当性確認データセットは、取り込まれた画像を特定の特性評価に相関付けるデータとすることができる。他の実施形態において、妥当性確認データセットは、第2のAIモデル130Bを妥当性確認するために特に生成された他のシステムまたはデータセット等の他のソースから受信したデータに基づくことができる。
【0062】
316において、第2のAIモデル130Bを妥当性確認することができる。例えば、取り込まれた画像、および/または取り込まれた画像と類似の特性を有する他の画像を、第2のAIモデル130Bを使用して特性評価することができる。第2のAIモデル130Bを使用して行われた特性評価の信頼性を決定することができる。特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っている場合、第2のAIモデル130Bは正しくトレーニングされていない場合がある。そのような状況において、第2のAIモデル130Bは、更にトレーニングするか、または第1のAIモデル130Aと置き換えることができる。特性評価信頼性が予め選択された閾値よりも大きい場合、方法300は318に進むことができ、318において、本明細書に記載のように第2のAIモデル130Bを使用して画像を特性評価する。
【0063】
ここで、システム100(
図1)のモジュール108および/または機器110において実施される方法300について説明する。いくつかの実施形態では、モジュール108のうちの1つまたはそれ以上は、トラック112に隣接して配置することができる品質チェックモジュール132として実施することができる。品質チェックモジュール132は、検体容器102および/または内部に配置された検体(例えば、
図2A~
図2Bの検体216)の1つまたはそれ以上の画像を取り込むように構成することができ、1つまたはそれ以上の画像は画像データを含む。コンピュータ124または他のデバイスは、第1のAIモデル130Aまたは第2のAIモデル130Bを使用して画像データを解析し、検体がモジュール108および/または機器110による分析のために適切な条件にあるかどうかを判断することができる。分析は、検体容器102が構成される検査または分析のタイプを更に決定することができる。
【0064】
本明細書に記載の特性評価のうちの少なくとも1つを実行するように構成された品質チェックモジュール132の実施形態を示す
図4Aおよび
図4Bを更に参照する。
図4Aは、上部が除去された品質チェックモジュール132の概略上面図を示し、
図4Bは、
図4Aの品質チェックモジュール132の概略側面図を示す。
【0065】
品質チェックモジュール132は、外部の照明の影響を最小限にするためにトラック112を少なくとも部分的に取り囲むかまたは覆うことができるハウジング(図示せず)を含むことができる。検体容器202は、画像取り込みシーケンス中に撮像位置442においてハウジング内部に配置することができる。ハウジングは、キャリア214が品質チェックモジュール132に出入りすることを可能にするための1つまたはそれ以上の扉(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジングの天井(図示せず)は、検体容器202がロボット(図示せず)によってキャリア214内に装填されることを可能にする開口部を含むことができる。
【0066】
品質チェックモジュール132は、1つまたはそれ以上の撮像デバイス440を含むことができる。撮像デバイス440は、個々に、第1の撮像デバイス440A、第2の撮像デバイス440B、および第3の撮像デバイス440Cと呼ばれる。撮像デバイス440は、撮像位置442において、複数の観点(例えば、1、2および3をラベル付けされた観点)から検体容器202および検体216の画像を取り込むように構成することができる。3つの撮像デバイス440が
図4Aに示されているが、場合により、2つまたは4つ以上の撮像デバイスを使用することができる。観点1~3は、図示されるように、互いから径方向に約120°等、互いから概ね等間隔になるように配置することができる。画像は、ラウンドロビン形式で取り込むことができ、例えば、観点1からの1つまたはそれ以上の画像を取り込み、その後順番に、観点2および3から画像を取り込むことができる。画像を取り込む他の順序を用いることもできる。撮像デバイス440の他の配置を用いることもできる。
【0067】
検体216および/または検体容器202の画像は、検体容器202が撮像位置442においてキャリア214内に存在している間に取り込むことができる。撮像デバイス440によって得られる複数の画像の視野は、周方向の延びにおいて僅かに重複する場合がある。このため、いくつかの実施形態では、画像の部分は、分析のために血清または血漿部分216SP(
図2A)の完全な画像に到達するようにデジタルで付加することができる。撮像デバイス440の各々は、コンピュータ124によって生成された通信線443A、443B、443Cにおいて提供される信号をトリガすることによってトリガすることができる。取り込まれた画像の各々は、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の実施形態に従ってコンピュータ124によって処理することができる。
【0068】
撮像デバイス440は、デジタル画像を取り込むように構成された任意の適切なデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、撮像デバイス440の各々は、ピクセル化された画像を取り込むことができる従来のデジタルカメラ、電荷結合素子(CCD)、光検出器のアレイ、1つまたはそれ以上のCMOSセンサ等とすることができる。取り込まれた画像のサイズは、例えば約2560×694ピクセルであり得る。他の実施形態において、撮像デバイス440は、例えば約1280×387ピクセルのサイズの画像を取り込むことができる。取り込まれた画像は他のサイズを有することもできる。
【0069】
品質チェックモジュール132は、画像取り込み中に検体容器202および/または検体216を照明するように構成された1つまたはそれ以上の光源444を含むことができる。
図4Aの実施形態において、品質チェックモジュール132は、個々に第1の光源444A、第2の光源444Bおよび第3の光源444Cと呼ばれる3つの光源444を含む。いくつかの実施形態では、品質チェックモジュール132は、撮像位置442の前面照明を提供することができる。
【0070】
撮像デバイス440に加えて、品質チェックモジュール132は、1つまたはそれ以上の非画像センサを含むことができる。非画像センサは、モジュールの動作に関連して、画像以外のデータを生成するために品質チェックモジュール132等のモジュールによって用いることができるセンサである。画像データは、取り込まれた画像を表すデータであり、複数のピクセル値を含むことができる。機器は非画像センサを含むこともできる。
図4A~
図4Bに示す品質チェックモジュール132の実施形態は5つの非画像センサを含む。非画像センサは、電流センサ450、振動センサ452、湿度センサ454、温度センサ456および音響センサ458を含む。モジュール108および機器110の他の実施形態は、より多くのまたはより少ない非画像センサを含む。
【0071】
電流センサ450は、品質チェックモジュール132等のモジュールの1つまたはそれ以上の構成要素から引き込まれた電流を測定し、電流データを生成することができる。
図4A~
図4Bの実施形態において、電流センサ450は、モータ460によって引き込まれた電流を測定するように構成される。モータ460は、品質チェックモジュール132における1つまたはそれ以上のアイテムを動かすことができる。
図4A~
図4Bに示す実施形態において、トラック112は、モータ460によって可動であり得る。したがって、電流センサ450は、モータ460によって引き込まれた電流を測定することができる。電流センサ450によって生成された電流データ(例えば測定電流)は、コンピュータ124に送信することができる。いくつかの実施形態では、電流データを用いて第2のAIモデル130B(
図1)をトレーニングすることができる。電流データは、電流を引き込む他のデバイスによって生成することもできる。
【0072】
振動センサ452は、品質チェックモジュール132等のモジュール、および/またはモジュールにおける1つもしくはそれ以上の構成要素の振動を測定し、振動データを生成することができる。
図4A~
図4Bの実施形態において、振動センサ452は、検体容器202内の検体216に影響を及ぼす場合があるトラック112の振動を測定するように構成される。振動センサ452によって生成された振動データ(例えば測定振動)は、コンピュータ124に送信することができる。いくつかの実施形態では、振動データを用いて第2のAIモデル130B(
図1)をトレーニングすることができる。振動データは他のソースによって生成することもできる。
【0073】
湿度センサ454は、品質チェックモジュール132等のモジュールにおける湿度を測定し、湿度データを生成することができる。いくつかの実施形態では、湿度センサ454は、任意の特定のモジュールではなくシステム100(
図1)の位置における湿度を測定することができる。湿度データをコンピュータ124に送信することができ、コンピュータ124において、湿度データを用いて第2のAIモデル130B(
図1)をトレーニングすることができる。
【0074】
温度センサ456は、品質チェックモジュール132等のモジュールにおける温度を測定し、温度データを生成することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ456は、モジュール内またはシステム100(
図1)内の構成要素の温度を測定することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ456は、モジュール内またはシステム100に近接した周囲空気温度を測定することができる。温度データをコンピュータ124に送信することができ、コンピュータ124において、温度データを用いて第2のAIモデル130B(
図1)をトレーニングすることができる。
【0075】
音響センサ458は、品質チェックモジュール132等のモジュールにおけるノイズを測定し、音響データを生成することができる。いくつかの実施形態では、音響センサ458は、システム100(
図1)に近接した周囲ノイズを測定することができる。ノイズは、振動している構成要素によって生成される場合があり、検体216に影響を及ぼす場合がある。音響データをコンピュータ124に送信することができ、コンピュータ124において、音響データを用いて第2のAIモデル130B(
図1)をトレーニングすることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、品質チェックモジュール132においてセンサによって生成されたデータに関連付けられた特性評価は、検体216に含まれる溶血(H)、黄疸(I)、および/または脂肪血症(L)の存在および/または程度もしくは度合いを含むことができる。いくつかの実施形態では、特性評価は、検体216が正常(N)であるかどうかを判断することができる。検体216が正常(N)とみなされるには低量のH、Iおよび/またはLを含むことが判明した場合、検体216はトラック112を継続することができ、トラック112において、モジュール108および/または機器110のうちの1つまたはそれ以上によって検体216を分析(例えば検査)することができる。検体216および/または検体容器202に対し他の前処理動作を行うこともできる。
【0077】
いくつかの実施形態では、HILNの検出に加えて、特性評価は、検体容器202および/または検体216のセグメンテーションを含むことができる。セグメンテーションデータから、検体216の定量化のために後処理を用いることができる(すなわち、HSP、HSB、HTOT、HG、Wの決定、ならびに/または場合によってはTC、LA、SG、および/もしくはBGの位置の決定)。いくつかの実施形態では、品質チェックモジュール132において検体容器202の物理的属性(例えば、サイズ(高さおよび/または幅))の特性評価を行うことができる。これらの特性評価から、検体容器202のサイズを計算することができる。更に、いくつかの実施形態では、品質チェックモジュール132は、キャップ220(
図2A~
図2B)のタイプを決定することができ、これは、安全性チェックとして用いることができ、検査または注文された検査について誤った管タイプが用いられたかどうかを把握することができる。
【0078】
本明細書に記載の特性評価のうちの1つまたはそれ以上を行うように構成されたHILNネットワークアーキテクチャ500を示す
図5を更に参照する。HILNネットワークアーキテクチャ500は、品質チェックモジュール132(
図4A~
図4B)によって生成されたデータ、ならびに本明細書に記載の他のデータソース、モジュールおよび機器を操作および/または処理するように実装することができる。HILNネットワークアーキテクチャ500は、コンピュータ124(
図1)において実施することができるかまたはコンピュータ124によってアクセス可能とすることができるHILNネットワーク502およびデータベース504を含む。HILNネットワーク502は、第1のAIモデル130Aまたは第2のAIモデル130BとすることができるAIモデルによって少なくとも部分的に実施することができる。いくつかの実施形態では、第1のAIモデル130Aは、本明細書に記載のように第2のAIモデル130Bに対し連続的に更新または再トレーニングすることができる。第2のAIモデル130Bは、特性評価のために用いられるAIモデルの直近のバージョンを指すことができる。このため、第2のAIモデル130Bは、特性評価のために用いられるAIモデルの最新バージョンを指すことができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、データベース504は、コンピュータ124のメモリ124B(
図1)内に存在することができる。他の実施形態において、データベース504はクラウドベースのデータベースとすることができ、例えばインターネットを介して、またはコンピュータ124と別個のリモートサーバ/コンピュータ(図示せず)を介してアクセス可能とすることができる。HILNネットワークアーキテクチャ500は、データベース504に記憶された情報によって、連続的であり得るトレーニング更新508等のトレーニング更新のフィードバックをHILNネットワーク502に提供することができる。
【0080】
トレーニング更新508に用いられるデータは、データベース504に記憶することができる。いくつかの実施形態では、データは、集合的にデータベース504と呼ばれる様々なデータベースに記憶することができる。データベースは、非画像センサからの非画像データ510、およびテキストデータ512を含むことができる。いくつかの実施形態では、非画像データ510は、画像データが生成されるのと同時に生成することができる。同様に、テキストデータ512は画像データに相関付けることができる。例えば、テキストデータ512は、画像データを生成するために取り込まれた検体および/または検体容器に関係付けることができる。トレーニング更新508のために用いられるデータは、第1のAIモデル130Aをトレーニングするために用いられるオリジナルデータも含むことができる。したがって、更新されたAIモデル(第2のAIモデル130B)は、第1のAIモデル130Aが特性評価するようにトレーニングされた画像を特性評価するように構成することもできる。
【0081】
いくつかの実施形態では、データベース504は、低い特性評価信頼性を有する画像の画像データ514を含むことができる。例えば、
図3を参照すると、308において、画像の特性評価信頼性が予め選択された特性評価信頼性を上回っていない場合、316に記載のように、低信頼性の特性評価画像の画像データを用いて第2のAIモデル130Bをトレーニングすることができる。この画像データは、HILNネットワーク502からデータベース504に渡すことができる。上記で説明したように、これらの画像に対応する非画像データ510および/またはテキストデータ512を用いて、本明細書に記載のように第2のAIモデル130Bをトレーニングすることもできる。
【0082】
トレーニング更新508は、低い特性評価信頼性の検出時に、またはユーザのアクションによって、データベース504にアクセスしてデータを取得し、定期的にAIモデルをトレーニングすることができる。いくつかの実施形態では、トレーニング更新508は、第2のAIモデル130Bに迅速に適用することができる。そのような実施形態において、トレーニング更新508は、データがデータベース504内に受けられる際に行うことができる。いくつかの実施形態では、品質チェックモジュール132等のシステム100(
図1)のユーザは、例えば、トレーニング更新508を開始させる入力データをCIM126(
図1)に入力することができる。例えば、第1のAIモデル130Aは、ユーザによる入力に応答して再トレーニングすることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、トレーニング更新508は、ユーザによる始動なしで自動的に始動することができる。例えば、HILNネットワーク502または他の構成要素が特性評価信頼性を決定することができる。特性評価信頼性が、
図3の308における予め確立された閾値等の予め確立された閾値を下回っている場合、コンピュータ124(
図1)または別のデバイスは、本明細書に記載のトレーニング更新508を始動することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、トレーニング更新508は、コンピュータ124(
図1)等においてローカルで行うことができ、またはトレーニング更新508は、リモートで行い、次にHILNネットワーク502にダウンロードすることができる。第2のAIモデル130Bは、低い特性評価信頼性を有する画像データを検証/妥当性確認することができる新たに収集されたデータに加えて、検証/妥当性確認データ(例えば、規制当局の承認のために用いられたデータ)に対し検査(妥当性確認)することができる。トレーニング更新508は、システム100(
図1)における既存のワークフローを中断することなく行うことができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、HILNネットワーク502、またはHILNネットワーク502からデータを受信するプログラムは、第2のAIモデル130Bに関する性能レポートを生成することができる。いくつかの実施形態では、性能レポートは、規制プロセスに準拠することができ、更新されたHILNネットワーク502の規制当局による承認を促進することができる。いくつかの実施形態では、性能レポートは、第1のAIモデル130Aを上回る第2のAIモデル130Bの改善を強調することができる。
【0086】
HILNネットワークアーキテクチャ500は、品質チェックモジュール132に実装し、プログラム124C等、コンピュータ124(
図1)によって制御することができる。機能ブロック520で表されるように、HILNネットワークアーキテクチャ500を実装する品質チェックモジュール132の動作中、検体容器202(
図2A~
図2B)は、品質チェックモジュール132の撮像位置442(
図4Aおよび4B)に提供することができる。検体容器202を撮像位置442に提供することは、撮像位置442で検体容器202を含むキャリア214(
図2B)を停止させることによって達成することができる。ロボット(図示せず)による配置等、撮像位置442に検体容器202を配置する他の方法を用いることもできる。
【0087】
機能ブロック522に表されるように、1つまたはそれ以上の画像(例えば多視点画像)を、複数の撮像デバイス440のうちの少なくとも1つによって取り込むことができる。機能ブロック524に表されるように、取り込まれた画像の各々の未加工画像データを、「Methods And Apparatus For Imaging A Specimen Container and/or Specimen Using Multiple Exposures」という名称のWissmann他の米国特許出願公開第2019/0041318号で論じられているように前処理および統合して、未加工画像データを処理することができる。いくつかの実施形態では、機能ブロック524において、未加工画像データは、複数の最適に露出されて正規化された画像データセット(以下「画像データセット」)を含むことができる。機能ブロック524における処理により、画像データ514(すなわち、ピクセルデータ)を生成することができる。1つまたはそれ以上の実施形態によれば、検体216(および検体容器202)の取り込まれた画像データセットの画像データは、HILNネットワークアーキテクチャ500においてHILNネットワーク502への入力として提供することができる。いくつかの実施形態では、画像データ514は未加工画像データとすることができる。
【0088】
HILNネットワーク502は、第1のAIモデル130Aおよび/または第2のAIモデル130Bを使用して、画像データ514に対し、セグメンテーションおよび/またはHILN決定等の特性評価を実行するように構成することができる。第1のAIモデル130Aは、第1のAIモデル130Aが、第2のAIモデル130Bに対する更新も、第2のAIモデル130Bによる置き換えもされていない状況において用いられる。いくつかの実施形態では、セグメンテーションおよびHILN分類は、セグメンテーション畳み込みニューラルネットワーク(SCNN)によって達成することができる。他のタイプのHILNネットワークを採用してセグメンテーションおよび/またはHILN決定を提供することもできる。
【0089】
いくつかの実施形態では、HILNネットワーク500は、ピクセルレベルの分類を実施することができ、取り込まれた画像のうちの1つまたはそれ以上の詳細な特性評価を提供することができる。この詳細な特性評価は、背景からの検体容器202の分離、ならびに検体216の血清または血漿部分216SPの位置および含有量の決定を含むことができる。いくつかの実施形態では、HILNネットワーク502は、各ピクセルの局所的な外観に基づいて画像の各ピクセルに分類指標(例えば、HILまたはN)を割り当てるように動作可能である。ピクセル指標情報をHILNネットワーク502によって更に処理して、各ピクセルの最終的なHILN分類指標を決定することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、分類指標は、非遠心分離クラス、正常クラス、および複数のクラス/サブクラスを含む複数の血清クラスを含むことができる。いくつかの実施形態では、分類は、以下でより詳細に述べるように、非遠心分離クラス、正常クラス、および19のHILクラス/サブクラスを含む21の血清クラスを含むことができる。
【0091】
品質チェックモジュール132で事前スクリーニングを受ける検体216に適切なHILN分類指標を決定する際の1つの問題は、H、I、およびLクラスの各サブクラスの外観の相違が小さいことに起因する場合がある。すなわち、隣接するサブクラスのピクセルデータ値が非常に類似している可能性がある。これらの問題を克服するために、HILNネットワーク502のAIモデルによって実装することができるSCNNは、いくつかの実施形態では100を超える操作層を含むベリーディープセマンティックセグメンテーションネットワーク(DSSN)を含むことができる。
【0092】
検体容器のタイプ(例えば、容器に使用されるガラスまたはプラスチック材料のサイズ、形状、および/またはタイプ)の違いによって引き起こされる場合がある外観の相違を克服するために、HILNネットワーク502は、DSSNのフロントエンドに、第1のAIモデル130Aまたは第2のAIモデル130Bによって実装される容器セグメンテーションネットワーク(CSN)を含むこともできる。CSNは、出力容器タイプを決定するように構成することができ、出力容器タイプは、例えば、検体容器202のタイプ、例えば、高さHTおよび幅W(または直径)を示す、ならびに/またはキャップ220のタイプおよび/もしくは色を含むことができる。いくつかの実施形態では、CSNは、DSSNと同様のネットワーク構造を有することがあるが、より浅い(すなわち、はるかに少ない層を有する)。DSSNは、出力境界セグメンテーション情報520を決定するように構成することができ、出力境界セグメンテーション情報520は、血清または血漿部分216SP、沈降血液部分216SB、ゲル分離器216G、空気224、およびラベル222の位置およびピクセル情報を含むことができる。
【0093】
HILNネットワーク502によって特性評価される検体のHILN決定は、いくつかの実施形態では、非遠心分離クラス522U、正常クラス522N、溶血クラス522H、黄疸クラス522I、および脂肪血症クラス522Lを含むことができる分類指標528とすることができる。いくつかの実施形態では、溶血クラス220Hは、サブクラスH0、H1、H2、H3、H4、H5、およびH6を含むことができる。黄疸クラス522Iは、サブクラスI0、I1、I2、I3、I4、I5、およびI6を含むことができる。脂肪血症クラス522Lは、サブクラスL0、L1、L2、L3、およびL4を含むことができる。溶血クラス522H、黄疸クラス522I、および/または脂肪血症クラス522Lの各々は、いくつかの実施形態では、他の数のより詳細なサブクラスを有する場合がある。
【0094】
取り込まれた画像、非画像データ510、および不正確なまたは低信頼性の特性評価を有する撮像のテキストデータ512は、データベース504に転送(およびいくつかの実施形態では暗号化)することができる。様々なアルゴリズムおよび/または技法を用いて、不正確な特性評価を識別する、および/または特性評価の信頼性(すなわち、特性評価決定の正確度の予測)を決定することができる。いくつかの実施形態では、不正確なまたは低信頼性の決定は、HILN決定が不正確である、または正確である確率が低いという決定である。本明細書において用いられるとき、不正確な特性評価とは、対応する特性評価の信頼性が低いことに起因してHILN決定が不適切であることを意味する。HILNクラスまたはクラス指標の低い特性評価信頼性の決定がある実施形態では、低い特性評価信頼性は、例えば0.9未満の特性評価信頼水準の使用に基づく場合がある。この特性評価信頼水準の制限は、ユーザが事前に設定することも、規制要件に基づいて決定することもできる。
【0095】
いくつかの実施形態では、不正確なまたは低い特性評価信頼性の決定は、セグメンテーション決定が不正確であるまたは低信頼性を有するという決定である。特に、セグメンテーションの不正確な決定は、低い特性評価信頼性を有する、または1つもしくはそれ以上の他の領域に対し特定の順序にない、血清もしくは血漿部分216SP、ゲル分離器216G、または沈降血液部分216SB等の領域の識別を含むことができる。例えば、キャップ220は、血清または血漿部分216SPの上にあることを期待することができ、ゲル分離器216Gは血清または血漿部分216SPの下にあることができる。この相対的位置決めが満たされていない場合、セグメンテーション中にエラーが発生した場合がある。
【0096】
セグメンテーションまたは他のプロセスの低い特性評価信頼性の決定は、セグメント化されたピクセル(またはスーパーピクセル内のピクセルの集合、例えば、11ピクセル等のピクセルの集合)ごとの確率スコアを検討することを含むことができる。ピクセルの領域の特定の分類(例えば血清または血漿部分216SP)を示す確率スコアの不一致が大きすぎる場合、そのセグメント化されたピクセルは低い特性評価信頼性に関する候補となる可能性が高い。セグメント化されている領域(例えば血清または血漿部分216SPで分類された領域)のピクセル(またはスーパーピクセル)の確率スコアを集計して、領域が大きすぎる不一致を含むかどうかを判断することができる。この場合、特性評価信頼水準が予め選択された値(例えば0.9)未満である場合、その領域は低い特性評価信頼性の試料の候補となる可能性が高い。領域に関する他の適切な集計された特性評価信頼水準を用いることもできる。
【0097】
不正確なまたは低い特性評価信頼性に基づいて、コンピュータ124(
図1)は、トレーニング更新508(例えば追加のトレーニング画像)を自動的におよび/またはユーザ入力と連動して開始することができる。いくつかの実施形態では、トレーニング更新508は、低い特性評価信頼性を有する画像を手動でアノテーションすることができる。画像の手動でのアノテーションは、それぞれのトレーニング画像内の少なくとも血清または血漿部分216SP、および/または沈降血液部分216SB、空気224、キャップ220、ラベル222、およびゲル分離器214Gを図で示すことを含むことができる。トレーニング画像の手動でのアノテーションは、HILN分類を割り当てることを含むことができ、血清または血漿部分216SPに指標値を割り当てることも含むことができる。他の実施形態では、トレーニング更新508は、不正確であるかまたは低い特性評価信頼性を有すると判断された検体特性評価の画像の自動生成されたアノテーションを備えることができる。自動アノテーションは、例えば、半教師あり学習手法、ブートストラップ、または事前にトレーニングされたセグメンテーション/分類アルゴリズムの使用によって提供することができる。
【0098】
トレーニング更新508は、(例えばインターネットまたは物理的媒体を介して)HILNネットワーク502に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、トレーニング更新508は、第1のAIモデル130Aに適用される更新とすることができ、他の実施形態では、トレーニング更新508は、本明細書に記載の新たなAIモデル(例えば、第2のAIモデル)を生成することができる。HILNネットワーク502へのトレーニング更新508の組込みは、コンピュータ124(
図1)の制御下で、または(
図1の)CIM126を介したプロンプトにより、自動的に行うことができる。第2のAIモデル130Bは、新たに収集された画像データ514、非画像データ510、および/またはテキストデータ512に加えて、規制当局の承認のために用いられた検証/妥当性確認データに対し検査(例えば、妥当性確認)される。次いで、コンピュータ124は、例えば規制プロセスからの性能基準に準拠した性能レポートを生成することができ、第1のAIモデル130Aに対する改良を強調することができる。この性能基準に基づいて、ユーザは更新を承認することができる。これらの更新は、既存のワークフローを中断することなく行うことができる。いくつかの実施形態では、更新はサービス技術者によって実施することができ、またはインターネットを介して遠隔で行うことができる。
【0099】
自動診断システム(例えば、自動診断システム100)における検体容器(例えば、検体容器202)または検体(例えば検体216)を特性評価する方法600を示すフローチャートを示す
図6を更に参照する。方法600は、602において、撮像デバイス(例えば、撮像デバイス440のうちの1つまたはそれ以上)を使用して検体を含む検体容器の画像を取り込むことを含む。方法600は、604において、第1のAIモデル(例えば第1のAIモデル130A)を使用して画像を特性評価することを含む。方法600は、606において、画像の特性評価信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することを含む。方法600は、608において、第2のAIモデル(例えば、第2のAIモデル130B)に対し、少なくとも、予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のモデルを再トレーニングすることを含み、再トレーニングは、以下のグループ:非画像データ(例えば非画像データ510)およびテキストデータ(例えばテキストデータ512)のうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含む。
【0100】
自動診断システム(例えば自動診断システム100)における検体(例えば検体216)を特性評価する方法700を示すフローチャートを示す
図7を更に参照する。方法700は、702において、撮像デバイス(例えば、撮像デバイス440のうちの1つまたはそれ以上)を使用して検体(例えば、検体216)の画像を取り込むことを含む。方法700は、704において、第1のAIモデルを使用して画像を特性評価して、溶血、黄疸または脂肪血症のうちの少なくとも1つの存在を決定することを含む。方法700は、706において、溶血、黄疸または脂肪血症のうちの少なくとも1つの存在の決定特性評価の信頼性が予め選択された閾値を下回っているかどうかを判断することを含む。方法700は、708において、第2のAIモデル(例えば、第2のAIモデル130B)に対し、少なくとも、予め選択された閾値を下回る特性評価信頼性を有する画像を用いて第1のモデルを再トレーニングすることを含み、再トレーニングは、以下のグループ:非画像データ(例えば非画像データ510)およびテキストデータ(例えばテキストデータ512)のうちの1つまたはそれ以上から選択されたデータを含む。
【0101】
本開示は、様々な変形および代替の形態を受け入れる余地があるが、特定の方法および装置の実施形態は、図面に例として示されており、本明細書において詳細に説明される。しかし、本明細書に開示される特定の方法および装置は、本開示を限定することを意図するものではなく、逆に、特許請求の範囲内にある全ての修正形態、均等形態、および代替形態を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】