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  • 特表-作業機械 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
E04G21/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500301
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022068617
(87)【国際公開番号】W WO2023280873
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102021207089.2
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021207088.4
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510312961
【氏名又は名称】プッツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブクスハット、ニルス
(72)【発明者】
【氏名】フート、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ツィーメンス、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】デュール、ハンス-ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、マシアス
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA46
(57)【要約】
作業機械(100)であって、可動ブーム(1)と、UWBタグ(2)及び複数のUWBアンカー(3)を有する超広帯域(UWB)システムと、ユーザにより取扱い可能及びユーザにより操作可能なマーキング装置(4)であって、UWBタグ(2)が取り付けられるマーキング装置(4)と、マーキング装置(4)の操作の際に、操作の時点においてUWBシステムによって決定されたUWBタグ(2)の位置を記憶し、及び決定された位置に応じて移動式の作業機械(100)の動作を制御するように形成されている制御ユニット(5)と、を備えた作業機械。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械(100)であって、前記作業機械(100)が、
可動ブーム(1)と、
1つのUWBタグ(2)及び複数のUWBアンカー(3)を有する超広帯域(UWB)システムと、
ユーザにより取扱い可能及び前記ユーザにより操作可能なマーキング装置(4)であって、前記UWBタグ(2)が取り付けられるマーキング装置(4)と、
前記マーキング装置(4)の操作の際に、前記操作の時点において前記UWBシステムによって決定された前記UWBタグ(2)の位置を記憶し、決定された前記位置に基づいて移動式の前記作業機械(100)の動作を制御するように形成されている制御ユニット(5)と、
を備えた作業機械(100)。
【請求項2】
前記制御ユニット(5)は、記憶された前記位置に基づいて前記ブーム(1)の動きを制御するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の作業機械(100)。
【請求項3】
前記制御ユニット(5)は、前記ブーム(1)が記憶された前記位置に対応する位置をとらないよう、記憶された前記位置に基づいて前記ブーム(1)の動きを制御するように設計されていることを特徴とする、請求項2に記載の作業機械(100)。
【請求項4】
前記制御ユニット(5)は、記憶された前記位置に前記ブーム(1)が接近した場合に警告メッセージを生成するように設計されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の作業機械(100)。
【請求項5】
前記マーキング装置(4)が操作機器(6)を有し、前記操作機器によって前記マーキング装置(4)を操作可能であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の作業機械(100)。
【請求項6】
前記マーキング装置(4)がロッド(7)を有し、前記操作機器(6)が前記ロッド(7)の一方の端部に取り付けられ、前記UWBタグ(2)が前記ロッド(7)の反対側の端部に取り付けられていることを特徴とする、請求項5に記載の作業機械(100)。
【請求項7】
前記ロッド(7)が伸縮可能であることを特徴とする、請求項6に記載の作業機械(100)。
【請求項8】
前記作業機械(100)がトラック搭載型コンクリートポンプであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の作業機械(100)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
独国実用新案第202019107198号明細書は、超広帯域(UWB)技術に基づく昇降装置及び位置特定装置を備えた装置を開示する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、可能な限り安全な作業を可能にする作業機械を提供するという課題に基づいている。
【0003】
特に移動式作業機械は、従来のブームを有する。
【0004】
作業機械は、超広帯域(UWB)システムを更に有する。UWBシステムは、マーカと呼ばれることも多い少なくとも1つの従来のUWBタグを有する。少なくとも1つのUWBタグは、例えば、UWB技術が統合された従来の移動電話であってもよいし、移動電話に統合されてもよい。
【0005】
UWBシステムは、複数のUWBアンカーを更に有する。UWBアンカーの数は、例えば1~10であり得る。UWBタグは、別の機械に取り付け可能であるか、若しくは作業機械の動作中に取り付けられる。別の機械は作業機械に対して相対的に移動可能であり、すなわち作業機械の動作中、別の機械と作業機械との間の距離が変化し得る。
【0006】
UWB技術(Ultra Wideband Technology:超広帯域技術)は、屋内及び屋外での位置決定のためにデータを伝送する近距離用の無線ベースの通信技術である。この場合、1つ又は複数のUWBタグの位置決定は、UWBタグとUWBアンカーとの間の1.5GHzを超える周波数の超広帯域信号の伝搬時間を決定することによって行われる。超広帯域信号は、典型的には0.1GHz~10GHz、特に0.5GHz~5GHz、特に好ましくは0.8GHz~1.2GHzの帯域幅を有する。超広帯域信号の周波数は、典型的には1.5GHz~20GHz、特に2GHz~15GHz、特に好ましくは3GHz~10GHzである。超広帯域信号のエネルギーは、典型的には-100dBm/Hz~-1dBm/Hz、特に-90dBm/Hz~-10dBm/Hz、特に好ましくは-60dBm/Hz~-30dBm/Hzである。関連する専門文献も更に参照されたい。
【0007】
作業機械は、ユーザにより取扱い可能及びユーザにより操作可能なマーキング装置を有し、UWBタグはマーキング装置に取り付けられる、及び/又はマーキング装置の一部である。
【0008】
作業機械は、データ交換のためにUWBシステムと接続された、例えばマイクロプロセッサ制御器の形態の制御ユニットを有する。制御ユニットは、マーキング装置の操作の際に、操作の時点においてUWBシステムによって決定されたUWBタグの位置を記憶し、決定された位置に応じて移動式の作業機械の動作を制御するように設計されている。制御ユニットは、他の時点でのマーキング装置の操作の際に、他の操作の時点においてUWBシステムによって決定されたUWBタグのそれぞれの位置を記憶し、決定された位置に応じて移動式の作業機械の動作を制御するように設計されている。
【0009】
本明細書の文脈における位置若しくは場所は、特に空間内の位置若しくは場所と理解され、例えば3次元座標系で表すことができ、特にデカルト3次元座標系で表すことができる。
【0010】
一実施形態では、制御ユニットは、(1つ又は複数の)記憶された位置に基づいてブームの動きを制御するように設計されている。ブームは従来、互いに相対的に移動可能な、特に互いに相対的に回転運動可能な複数のブームセグメントを有することができ、制御ユニットは、従来のブームセグメントアクチュエータを適切に制御することによってブームセグメントを互いに相対的に移動させるように設計されている。ジョイントを用いて/介してブームセグメントを互いに接続でき、それによりブームを異なったブーム位置/ブーム姿勢に位置決め可能である。さまざまなブーム位置/ブーム姿勢は、垂直に延びる軸(垂直軸)に対する回転角度位置の点で異なり得る、及び/又はブームセグメント間の角度の点で異なり得る。
【0011】
一実施形態では、制御ユニットは、ブーム、特にその全体が、(1つ又は複数の)記憶された位置に対応する位置若しくは姿勢をとらないよう、(1つ又は複数の)記憶された位置に基づいてブームの動きを制御するように設計されている。複数の位置が記憶されている場合、制御ユニットは、記憶された位置に基づいて、例えばブーム全体が入り込まない容積の形態のジオメトリを計算するように設計されていてもよい。
【0012】
一実施形態では、制御ユニットは、ブームが(1つ又は複数の)記憶された位置に接近した場合に警告メッセージを生成するように形成されている。
【0013】
制御ユニットは、現在のブーム姿勢を表すセンサデータに基づいて、ブーム若しくはブーム先端の現在位置を決定するように設計されていてもよい。このために、作業機械は、例えばセンサデータを生成するためにセンサを有することができ、センサデータはブームセグメント間の角度を表す、及び/又はブームの回転角度位置を表す。代替的又は追加的に、ブームの位置を決定するために、他のUWBタグをブーム、特にブーム先端に取り付けることができ、この場合、制御ユニットは、UWBシステムによって決定された他のUWBタグの現在位置に応じてブーム若しくはブーム先端の現在位置を決定するように設計されている。
【0014】
一実施形態では、マーキング装置は、例えばボタン、キー等々の形態の操作機器を有し、操作機器によってマーキング装置を操作できる。
【0015】
一実施形態では、マーキング装置はロッドを有し、操作機器がロッドの一方の端部に取り付けられ、UWBタグがロッドの反対側の端部に取り付けられている。
【0016】
一実施形態では、ロッドは伸縮可能であるか、若しくは伸縮ロッドである。
【0017】
一実施形態では、作業機械はトラック搭載型コンクリートポンプである。
【0018】
建設現場での(トラック搭載型)コンクリートポンプの使用は、トラック搭載型コンクリートポンプのオペレータに高い要求を課す。ブームを動かす場合、例えば足場など、建設現場にある他の物体との衝突が発生する可能性がある。現地の周辺環境が作動空間の制限をもたらす。
【0019】
本発明によって、ブームの作動空間の幾何学的制限に従うことが可能である。
【0020】
本発明によれば、UWBタグは、例えば起動ボタンが設けられた伸縮ロッドに取り付けられる。UWBアンカーは、例えば作業機械又はブームなどに設けられている。
【0021】
ユーザによって、ロッド若しくはUWBタグを障害物として記録されるべき物体へ誘導できる。起動ボタンを操作することによって、UWBタグの現在位置が制御ユニットに送信され、それにより障害物のこの位置を記録することができる。
【0022】
続いて、それに対応して次の障害物のマーキングを続けることができる。
【0023】
このようにして、例えば、物体や足場等々によって作業機械の周辺環境で生じるブームの作動空間の幾何学的制限の3次元画像を作成することができる。衝突が差し迫っている場合、例えば作業機械のオペレータに聴覚的又は視覚的なフィードバックを発することができる。更に、例えばブームの走行速度を落とし、最終的には完全に停止させることにより衝突を回避することができる。
【0024】
本発明の他の態様を以下に説明する。
【0025】
脚位置特定
コンクリートポンプの動作には、そのアウトリガーをコンクリートポンプの所望の作動半径に応じて伸ばす必要がある。アウトリガーの最終位置は、コンクリートポンプのブーム若しくはアームの到達範囲、及び支えの所要スペースを決定するものであり、周囲環境によって異なる。とりわけ都市部では、アウトリガーを常に完全に伸ばすことはできない。アウトリガーを最適な位置に動かすためには、伸ばしたときのその位置を測定する必要がある。本発明によれば、このためにUWBタグがアウトリガーに取り付けられる。UWBアンカーは、コンクリートポンプ及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。その場合、UWBシステムによって、アウトリガーの位置を測定及び監視することができる。
【0026】
3D撮影用のカメラドローントラッキング
建設現場でコンクリートポンプの最適な位置決めと、それに続くコンクリートポンプのブーム若しくはアームの制御を保証するために、建設現場の現在状況の正確な幾何学的モデルを得ることが望ましい。これには、例えば建設現場にある物体や足場などが含まれる。これらは、ブーム若しくはアームを移動する際の潜在的な障害物である可能性がある。本発明によって、建設現場の有効な3次元仮想画像を生成することが可能である。このために、カメラを装備した遠隔操作されるドローンにUWBタグが取り付けられる。UWBアンカーは、コンクリートポンプ及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。その場合、ドローンは建設現場上空を飛行できる。UWBタグの位置はUWBシステムによって常時決定され、ドローンの現在の画像データに評価アルゴリズムによってその位置が割り当てられ、それにより建設現場の有効な3次元画像を生成することができる。その場合、これもまた、例えばコンクリートポンプの最適な設置位置を見つける、及び/又はブームの衝突のない軌道計画を可能にするために利用できる。
【0027】
アーム角度センサ及びUWBのセンサ融合
コンクリートポンプのブーム若しくはアームの移動は、ブーム若しくはアームの現在の構成と位置の正確な測定を必要とする。これを達成するために、現在、とりわけブームセグメントのジョイントに角度を測定するセンサが使用される。これらのセンサが故障すると、アーム位置の測定ができなくなる。本発明は、ブーム若しくはアームの位置を更に正確に測定するために用いられ、1つ又は複数の角度センサが故障した場合でもブーム若しくはアームの位置決定を可能にすることができる。このために、UWBタグがブーム若しくはそのセグメントに取り付けられる。UWBアンカーは、コンクリートポンプ及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。本発明によれば、UWBシステム及び既存の角度センサの位置信号が、ブームの数学的モデル及び推定アルゴリズムに基づくUWBタグのUWB位置決定及びセンサ融合によって組み合わせられる。これによって、ブームの位置決定が改善され、冗長測定によって、1つ又は複数の角度センサが故障した場合でも位置を決定することができる。
【0028】
トラック搭載型コンクリートポンプの設置場所
トラック搭載型コンクリートポンプが広い面積のコンクリート打ちのために使用される場合、ブームの最大到達範囲によって作業領域が制限される。設置位置の選択により、トラック搭載型コンクリートポンプの周囲の到達可能な面積(Flaeche)が決まる。可能な限り位置を移さずに、コンクリートが打ち込まれる領域全体に到達することが目標である。本発明によって、トラック搭載型コンクリートポンプの可能な限り最適な位置を見つけることができる。このために、コンクリートが打ち込まれる面積の建設現場領域にUWBアンカーが装備される。アンカーによって、建設現場領域の広い面積がUWBシステムによって監視され、UWBタグが位置特定される。UWBアンカーが既知の固定位置に配置されるのに対して、UWBタグは、空間内でフレキシブルに移動可能であり、それによりUWBタグの現在位置を決定することができる。機械オペレータは、UWBタグを手に持って、例えばコンクリート打ちされる面積の最も外側の端を巡回することができる。面積のこの境界が位置特定及び記録される。続いて、機械のオペレータがトラック搭載型コンクリートポンプの予定設置場所を示し、アームの到達範囲がこの設置場所からコンクリート打ちされる面積全体を有効範囲に含むのに十分であるかどうかが計算される。この条件が満たされる場合、トラック搭載型コンクリートポンプの組み上げを開始できる。この条件が満たされない場合、機械オペレータはソフトウェアによって別の設置場所を調べさせることができる。或いは、面積全体をブームの有効範囲に含むことを可能にする設置場所が提案されることも可能である。
【0029】
マシンコックピットAR/VR表示
コンクリートポンプは通常、建設現場で、したがって複雑な周辺環境において使用される。したがって、従業員、特にコンクリートポンプのオペレータにとって、操作される機械をどの時点でも良好に見渡せることが重要である。更に、場合によって利用可能な無線リモコンは柔軟性の向上を可能にするが、オペレータの視線がしばしば機械から無線リモコンのディスプレイへそれることにつながる。この間、機械は監視されない状態であり、これは重大な安全性の危険をはらむ。本発明は、建設現場のどこにいるのかに関係なく、機械及び同時に機械データを漏れなく監視することを可能にする。このために、監視対象のすべての機械要素にUWBタグが取り付けられる。UWBアンカーは、コンクリートポンプ及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。このようにして、装備された機械要素の位置をいつでも決定できる。これらの情報は、機械に取り付けられるか、又はAR/VR(拡張現実/仮想現実)グラスに設けられる表示要素に3次元で表示されるように処理される。特に、拡張現実グラスの表示は、運転者が機械の目に見える要素と目に見えない要素を同時に見ることを可能にする。
【0030】
ブーム高速移動
エンドホースの速度を半径に応じて、若しくは許容速度まで制御若しくは調整するために、センサによりブームの姿勢が検出される必要がある。本発明によって、ブームを一定の高速で移動できるようにするため、現在使用されているセンサのより費用効果の高い代替品を提供することが可能である。本発明によれば、UWBタグがブームに取り付けられる。UWBアンカーは、コンクリートポンプ及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。したがって、位置決定によっていつでもブーム姿勢を決定でき、これに基づいてブーム姿勢を制御/調整して、高速作動が可能になる。この場合、UWBタグは、現在使用されている傾斜センサのコスト効率の高い代替手段である。
【0031】
無線範囲を離れた際の警告
コンクリートポンプの操作は、通常、無線リモコンによって行われる。無線リモコンの通信範囲を超えると、通信の問題や、無線リモコンとコンクリートポンプとの間に通信の失敗が発生する可能性がある。更に、運転者がエンドホースの目視範囲(Sichtweite)外にいることは許されない。本発明によって、無線リモコンとの通信の失敗を回避することができ、及び/又は運転者がエンドホースの目視範囲内にいるかどうかを監視することができる。このために、UWBタグがコンクリートポンプの支柱を制御することができる無線リモコンに取り付けられるか、若しくはこれに組み込まれる。UWBアンカーは、コンクリートポンプに、及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。UWB位置決定によって、無線リモコンが位置特定され、それにより無線リモコンの到達範囲を超える前に、例えば視覚的又は聴覚的に差し迫った通信の失敗をオペレータに知らせることができる。これにより、故障を回避すること、及び/又は到達範囲を超えた場合、安全上の理由から場合によっては機械をスイッチオフすることができる。更に、運転者がエンドホースの目視範囲内にいることを確保することができる。
【0032】
操作要素間の運動プロファイルのデータログ
コンクリートポンプの操作は、通常、コンクリートポンプ全体に分散された、機械のさまざまなアクチュエータを制御する複数の操作要素を介して行われる。セットアップ中、オペレータは、それぞれ必要なアクチュエータを動かすために、対応する操作パネルへ移動する必要がある。したがって、頻繁な再調整は、オペレータが頻繁に位置変更を繰り返すことにつながる可能性がある。それに応じて、その際に生じるオペレータの運動プロファイルが広範囲にわたる可能性があり、操作要素の最適ではない配置を示唆する。本発明によって、オペレータの運動プロファイルが最適化されるように操作要素を配置することができ、したがって機械のセットアップ時間を短縮することができる。本発明によれば、オペレータの運動プロファイル若しくは位置推移は、UWB位置決定によって記録される。その場合、記録された運動プロファイルに基づいて、最適化された運動プロファイルが得られるように操作要素が配置される。
【0033】
コンクリート圧送管におけるピッグ位置特定
コンクリートポンプを清掃する場合、通常、いわゆる「ピッグ」が使用され、これはコンクリート圧送管に挿入され、圧力をかけて管内を通過し、このようにして清掃する。多くの場合、管内のピッグの現在位置を検出することが望ましい。本発明によれば、ピッグにUWBタグが取り付けられる。UWBアンカーは、コンクリートポンプ及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。その場合、UWB位置特定によって、3次元空間におけるピッグの正確な位置を決定することができる。ブーム姿勢に基づいて、管路内のピッグの位置をそのように決定することができる。
【0034】
ブームの到達範囲予想
コンクリートポンプの設置は、通常、コンクリートポンプに取り付けられたアウトリガーが伸ばされる。ブームをどれくらい伸ばす必要があるかは、動作中にコンクリートポンプのブームをどれくらい伸ばす必要があるのかによって決まる。一般に、アウトリガーをどれくらい伸ばす必要があるのかを事前に推定するためには、多くの経験的知識が必要である。後の修正は、コンクリートポンプの組み上げに不都合な遅れを生じる可能性がある。本発明によって、現在のアウトリガー構成が、確実な組み上げを保証するために十分であるのか、若しくはコンクリートポンプのアウトリガーをどれくらい伸ばす必要があるのかについて有効な推定を行うことが可能である。このために、複数のUWBタグがコンクリート打ちされる面積の境界に配置される。代替的又は追加的に、UWBタグを無線リモコン又はロッドに取り付けることができ、それぞれの境界位置をボタン入力によってマーキングすることができる。UWBアンカーは、コンクリートポンプ及び/又はコンクリートポンプの周辺環境の既知の位置に適切に配置される。UWBシステムによってUWBアンカー(機械/機械の周辺環境)に対するUWBタグ(流し込み場所)の場所を決定できるため、マーキングされたエンドポジションに対応するブームの位置を自動的に計算できる。これにより、必要なブームのたわみに関連した現在の支えに関する質的な情報を提供することができる。或いは、必要なブームのたわみに対する機械の重量配分を決定し、アウトリガーをどの程度伸ばすべきかについて自動的に推定することもできる。
【0035】
型枠内のコンクリートの割り当て
以下の状況が事前に決定されている場合がある。型枠に異なる種類のコンクリートを充填する必要がある。その場合、型枠内には、残りの部分とは異なるコンクリートが提供される領域がある。静力学的又は視覚的な理由から、異なる種類のコンクリートを共通の型枠に流し込むことが部分的に必要である。その場合、本発明によって、コンクリートの種類を型枠内の位置に正確に割り当てることが可能である。このために、型枠の周囲の作業領域に基準ステーション、すなわちUWBアンカーが設けられる。UWBアンカーが既知の固定位置に配置されるのに対して、UWBタグは空間内で柔軟に移動可能であり、現在位置を決定できる。型枠の外縁とコンクリートポンプのエンドホースにはそれぞれUWBタグが取り付けられる。これにより、それらの位置を常時確認することが可能である。これに基づいて、相互の位置、すなわちエンドホースと型枠の位置を計算し、例えば画面に表示することができる。その場合、コンクリートポンプのオペレータは、今現在流出しているコンクリートの種類のエンドホースを型枠の正しい箇所に保持しているのかどうかを簡単に確認することができる。
【0036】
BIMと組み合わせた建設進捗状況
建設現場は、いわゆるBIM「ビルディング・インフォメーション・モデリング」を用いて計画、実行、管理できる。その場合、建設計画の仮想モデルが生成される。本発明によって、建設の進捗状況を監視し、それを仮想モデルにマッピングすることが可能である。このために、UWBアンカーが建設現場の固定場所に配置される。UWBタグは、骨組みの最高点など、建設の進捗状況を最もよく表す特徴的な位置に配置される。その後、UWB位置決定によって、建設現場の仮想モデルを現実に適応させることができる。
【0037】
建設現場の決められた領域の監視
建設現場では、とりわけ規模が大きくなるにつれて、多くの建設車両、工具、及びすでに納品された建築資材が次に使用されるまで一時的に保管されている。更に、建設現場には、通常、例えば掘削部や壁などの障害物、及び/又は立ち入り禁止領域がある。これらの障害物や危険領域は、常に同じ位置にあるわけではない。例えば、パワーショベルの作業領域或いはコンクリートポンプ又はクレーンのブームの下にとどまることは許されない。建設作業員や建設現場の人員に対してこれらの障害物について警告するか、若しくは危険な領域への立ち入りを阻止しなければならない。これは本発明によって可能である。このために、建設現場領域にUWBアンカーが設けられる。UWBアンカーによって、建設現場領域を広い面積にわたって監視し、UWBタグを位置特定できる。UWBアンカーが既知の固定位置に配置されるのに対して、UWBタグは、空間内で柔軟に移動可能であり、UWBシステムによって現在位置が決定され得る。すべての障害物と立ち入り禁止領域が位置特定システムに保存される。位置特定システムに保存された機械はその周囲に遮断領域を有し、この領域が位置特定システムで評価される。建設現場のすべての人員がUWBタグを、例えば一種の腕時計として携行するか、又はヘルメットに組み込んだ場合、これらのすべての人員を位置特定することができる。位置特定システムが危険領域にいる人を検知すると、この人に、例えば対応するタグ又は障害物/機械の騒音又はLEDライトによって障害物又は領域について警告することができる。建設現場の建設車両と人の位置若しくは場所がわかる場合、位置特定システムは両者の移動経路を事前に計算することが可能である。衝突の可能性を検知した場合、両方の関係者にタグを介して適時に警告することができ、これらの両者は衝突を回避するために反応することができる。
【0038】
型枠内の軌道最適化
コンクリートポンプによる型枠へのコンクリート流し込みは、流し込まれるコンクリートに応じて特定の手順を必要とする。特に、その際にコンクリートポンプのエンドホースがたどる軌道はコンポーネントの品質に影響を及ぼす可能性がある。本発明によって、型枠内で移動される軌道を最適化することができる。このために、UWBアンカーが充填される型枠の周辺の近くに配置される。更に、UWBタグがマーキングのために型枠境界に配置される。その場合、型枠内又はタグに沿う軌道を計算することができ、それに応じて目的の軌道をたどるようにエンドホースを制御することができる。
【0039】
アームの軌道計画
コンクリートポンプの利点の1つは、エンドホースが取り付けられたブーム又はアームによってコンクリートを目的の場所に正確に流し込むことができるということである。ブームの制御は、従来、コンクリートポンプの運転者によって手動で行われ、ホースの端を目的の場所に可能な限り近づけるように調整する必要がある。ブームの移動は、複雑な、通常、時間のかかるプロセスである。本発明によって、ブームの移動を簡素化及び迅速化することができる。このために、コンクリートを打ち込む型枠の始点、終点、及び特徴的な位置(例えば屈曲やカーブなど)にUWBタグが配置される。更に、UWBアンカーは周囲のターゲット領域又はブーム自体に取り付けられる。軌跡計画法(Bahnplanungsverfahren)によって、時間的に最適及び/又はエネルギー的に最適な軌道が自動的に計算される。アームは計算された軌道に沿って自動的に動かされる。
【0040】
型枠若しくは目標位置の絶対測定
プレキャストコンクリート工場では、型枠モジュールが事前に計画された場所でレール上を自動的に移動される。型枠はモジュールから柔軟に組み立てられる。続いて、分配ブームを有する定置式コンクリートポンプによりコンクリート打ちが行われる。本発明によって、コンクリートを均一に分散させるように、エンドホースを型枠に沿って自動的に動かすことができる。このタスクは、以下に説明する本発明によって自動化される。このために、型枠の周囲の作業領域にUWBアンカーが設けられる。UWBタグは、空間内で柔軟に移動可能であり、UWB技術によってUWBタグの現在位置を決定することができる。本発明によれば、UWBタグは、型枠のすべての関連する点、例えば窓やドアの、コーナー部及び/又はエッジ及び/又は切り抜き部に配置される。更にエンドホースにUWBタグが配置される。これにより、幾何学的構造若しくは型枠の形状輪郭を再現し、制御システムによってエンドホースの作業領域を決定することが可能である。型枠に対するエンドホースの位置は既知であるため、エンドホースは自動制御により型枠を巡回して、コンクリートを分配することができる。
【0041】
トラック搭載型コンクリートポンプの動作中の周囲環境の監視
(トラック搭載型)コンクリートポンプの動作中、コンクリートポンプの周囲には、例えば壁又はホールの天井などがあるという動作条件がある。これらは、支持脚の伸長、及び/又はブームの展開及び移動の障害となる。本発明によって、コンクリートポンプのコンポーネントを周辺との衝突から自動的に保護することが可能である。このために、建設現場領域又はトラック搭載型コンクリートポンプにUWBアンカーが装備される。本発明によれば、コンクリートポンプのすべての可動コンポーネント、例えばアウトリガー及びブームのジョイントにUWBタグが装備される。これは、UWBシステムによってそれらの位置をいつでも決定することを可能にする。更に、壁、ホールの天井、床の開口部など、周辺の障害物にもUWBタグが付けられ、位置特定される。コンクリートポンプの制御システムが、機械のコンポーネントに近づく、すなわち両方の位置若しくは場所が接近することを検知すると、制御システムは、特に即座にコンポーネントの動きを停止し、それにより衝突を防ぐことができる。
【0042】
クレーンとのコンクリートポンプの衝突回避
建設現場若しくはプレキャスト工場での移動式/定置式コンクリートポンプの使用には高い要求が課せられる。ブームを移動する場合、周囲にある他の可動機械、特にクレーンとの衝突が発生する可能性がある。現地の周辺環境が作動空間の制限をもたらす。本発明によって、アームの作動空間の幾何学的制限に確実に従うことが確保できる。このために、周囲にあるそれぞれの機械にUWBタグが取り付けられる。UWBアンカーがコンクリートポンプ及び/又はブームに取り付けられる。UWB位置特定によって、他の機械が移動していても位置特定できる。衝突が差し迫っている場合には、聴覚的又は視覚的フィードバックが発せられるか、又は適切な制御によって、ブームの移動速度を落とすか、完全に停止させることにより衝突が直接防止される。
【0043】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】超広帯域(UWB)システムを備えた作業機械を非常に概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、超広帯域(UWB)システム及び従来のマルチセグメントブーム若しくはアーム1を備えたトラック搭載型コンクリートポンプの形態の作業機械100を非常に概略的に示す。
【0046】
UWBシステムは、1つのUWBタグ2と3つのUWBアンカー3を有する。当然のことながら、UWBシステムは、3つよりも多い図示されるUWBアンカー3を有することもできる。
【0047】
作業機械100は、ユーザにより取扱い可能及びユーザにより操作可能なマーキング装置4を更に有し、UWBタグ2はマーキング装置4に取り付けられている。
【0048】
マーキング装置4は、ボタンの形態の操作機器6を有し、この操作機器によってマーキング装置4を操作することができる。
【0049】
マーキング装置4は伸縮ロッド7を有し、操作機器6は伸縮ロッド7の一方の端部に取り付けられ、UWBタグ2は伸縮ロッド7の反対側の端部に取り付けられている。
【0050】
作業機械100は制御ユニット5を更に有し、この制御ユニットは、マーキング装置4を操作した場合に、それぞれの操作の時点にUWBシステムによって決定されたUWBタグ2の位置を記憶する、並びに1つ又は複数の決定された位置に応じて移動式作業機械100の動作を制御するように形成されている。
【0051】
制御ユニット5は、ブーム1が記憶された位置に対応する位置をとること、若しくはその位置に接近することを防ぐ。更に、ブーム1が記憶された位置に接近した場合に警告メッセージを発することができる。制御ユニットは、記憶された位置に基づいて、ブーム1の接近が許容されない比較的複雑なジオメトリを計算するように形成されてもよい。最も単純な場合には、ブームが近づくことが許されない直線を2点間の線形補間によって決定することができる。当然のことながら、ブーム1が遮断される位置を算出するために、比較的複雑なアルゴリズムによって、複数の決定された点が互いに組み合わされてもよい。
【0052】
作業機械100のユーザは、例えば、マーキング装置4によって、足場8のコーナーをマーキングすることにより足場8の外形寸法を知ることができる。次に、制御ユニット5は、マーキングされた位置に基づいて、ブーム1の接近が許容されない容積若しくは位置群を算出する。
図1
【国際調査報告】