(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及びその加熱モジュール
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240725BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240725BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501682
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2022116235
(87)【国際公開番号】W WO2023036036
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202122212104.7
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519403945
【氏名又は名称】深▲せん▼麦時科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉小力
(72)【発明者】
【氏名】梁峰
(72)【発明者】
【氏名】郭玉
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生装置及びその加熱モジュール(1)。加熱モジュール(1)は、基体(11)と、基体(11)の外表面に設けられる発熱体(13)と、発熱体(13)の両極にそれぞれ電気的に接続される2つの導電性弾性片(12)、を含む。各導電性弾性片(12)は、いずれも、基体(11)に配設される覆接部(121)と、覆接部(121)に接続されるとともに、発熱体(13)に弾性的に接触して導通する少なくとも1つの弾性アーム(122)と、少なくとも1つの弾性アーム(122)のうちの1つから基体(11)とは離隔する方向に延伸する電極部(123)、を含む。電極部(123)は、導線を容易に溶接できるよう、基体(11)及び発熱体(13)から離隔する位置まで延伸している。パッドは電極部(123)に柔軟に設置可能である。且つ、パッドが電極部(123)の表面にいっそう良好に付着可能となるため、溶接の安定性を向上させられる。また、溶接点と発熱体(13)の間に一定の距離が備わるため、発熱体(13)の加熱時に溶接点の温度が高くなり過ぎて溶融するとの事態も回避可能となり、溶接の信頼性が強化される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置に用いられる加熱モジュールであって、
基体(11)と、前記基体(11)の外表面に設けられる発熱体(13)と、前記発熱体(13)の両極にそれぞれ電気的に接続される2つの導電性弾性片(12)、を含み、各前記導電性弾性片(12)は、いずれも、前記基体(11)に配設される覆接部(121)と、前記覆接部(121)に接続されるとともに、前記発熱体(13)に弾性的に接触して導通する少なくとも1つの弾性アーム(122)と、前記少なくとも1つの弾性アーム(122)のうちの1つから前記基体(11)とは離隔する方向に延伸する電極部(123)、を含むことを特徴とする加熱モジュール。
【請求項2】
前記基体(11)は管状をなしており、前記基体(11)の内部には、エアロゾル形成基質を収容するための収容室(110)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項3】
前記発熱体(13)は赤外線放射発熱フィルムを含むことを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項4】
前記2つの導電性弾性片(12)は、前記基体(11)の両端にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項5】
前記弾性アーム(122)の数は複数であり、複数の前記弾性アーム(122)は前記覆接部(121)の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布していることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項6】
各前記導電性弾性片(12)は、更に、前記覆接部(121)に接続されるとともに、前記基体(11)の端面に当止する少なくとも1つの位置規制部(124)を含むことを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項7】
前記位置規制部(124)の数は複数であり、複数の前記位置規制部(124)は、前記覆接部(121)の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布していることを特徴とする請求項6に記載の加熱モジュール。
【請求項8】
前記弾性アーム(122)の数は複数であり、複数の前記弾性アーム(122)と複数の前記位置規制部(124)は、前記覆接部(121)の周方向においてずらして設けられることを特徴とする請求項7に記載の加熱モジュール。
【請求項9】
前記弾性アーム(122)の数は前記位置規制部(124)の数と同じであることを特徴とする請求項8に記載の加熱モジュール。
【請求項10】
前記弾性アーム(122)の数は3~8個であることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項11】
前記導電性弾性片(12)は、金属材料を用いて一体的に成形されることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項12】
前記電極部(123)は、前記少なくとも1つの弾性アーム(122)のうちの1つの弾性アーム(122)における前記覆接部(121)とは離隔する側の辺縁から前記基体(11)及び前記発熱体(13)とは離隔する方向に延伸する第1延伸部(1231)を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の加熱モジュール。
【請求項13】
前記電極部(123)は、更に、前記第1延伸部(1231)における前記覆接部(121)とは離隔する側の辺縁から前記基体(11)及び前記発熱体(13)とは離隔する方向に延伸する第2延伸部(1232)を含むことを特徴とする請求項12に記載の加熱モジュール。
【請求項14】
前記第1延伸部(1231)は横方向に延伸しており、前記第2延伸部(1232)は縦方向に延伸していることを特徴とする請求項13に記載の加熱モジュール。
【請求項15】
前記第2延伸部(1232)と前記第1延伸部(1231)の間に夾角を有することを特徴とする請求項13に記載の加熱モジュール。
【請求項16】
各前記弾性アーム(122)は、いずれも、前記発熱体(13)に弾性的に接触して導通する導通部(1222)、及び、前記導通部(1222)と前記覆接部(121)の間に接続される接続部(1221)を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の加熱モジュール。
【請求項17】
前記接続部(1221)は、前記覆接部(121)における前記発熱体(13)に近接する側の辺縁から延伸するよう形成されることを特徴とする請求項16に記載の加熱モジュール。
【請求項18】
前記導通部(1222)はV字状をなしており、前記導通部(1222)のV字状の底部は前記発熱体(13)に当止することを特徴とする請求項16に記載の加熱モジュール。
【請求項19】
前記導通部(1222)のV字状の底部は円弧面であることを特徴とする請求項18に記載の加熱モジュール。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の加熱モジュールを含むことを特徴とするエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、エアロゾル発生装置及びその加熱モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
非燃焼・加熱型の霧化装置とは、低温の非燃焼・加熱方式で霧化材料を加熱して吸引可能なエアロゾルを形成するエアロゾル発生装置である。現在、エアロゾル発生装置の加熱方式は、一般的に、パイプ式の外周加熱か中心嵌入加熱となっている。このうち、パイプ式の外周加熱とは、加熱モジュールでエアロゾル発生基質の外側を包囲するものを指す。パイプ式の外周加熱方式を採用する従来のエアロゾル発生装置では、通常、加熱モジュールが、エアロゾル発生基質を収容するための加熱管と、加熱管の表面に設けられる発熱体を含む。また、通常は、電源に接続するために、発熱体の両端にパッドをスクリーン印刷したあと、パッド上にリード線を溶接する。しかし、第一に、スクリーン印刷されるパッドは厚さが小さいため、リード線との溶接が不安定になる。第二に、パッドと加熱管表面との付着強度もリード線の溶接の安定性に影響を及ぼす。且つ、溶接時に操作しにくく、効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、改良した加熱モジュール及び当該加熱モジュールを有するエアロゾル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
即ち、エアロゾル発生装置に用いられる加熱モジュールを構成する。当該加熱モジュールは、基体と、前記基体の外表面に設けられる発熱体と、前記発熱体の両極にそれぞれ電気的に接続される2つの導電性弾性片、を含む。各前記導電性弾性片は、いずれも、前記基体に配設される覆接部と、前記覆接部に接続されるとともに、前記発熱体に弾性的に接触して導通する少なくとも1つの弾性アームと、前記少なくとも1つの弾性アームのうちの1つから前記基体とは離隔する方向に延伸する電極部、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記基体は管状をなしており、前記基体の内部には、エアロゾル形成基質を収容するための収容室が形成されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記発熱体は赤外線放射発熱フィルムを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記2つの導電性弾性片は、前記基体の両端にそれぞれ設けられる。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は複数であり、複数の前記弾性アームは前記覆接部の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布している。
【0010】
いくつかの実施形態において、各前記導電性弾性片は、更に、前記覆接部に接続されるとともに、前記基体の端面に当止する少なくとも1つの位置規制部を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記位置規制部の数は複数であり、複数の前記位置規制部は、前記覆接部の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布している。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は複数であり、複数の前記弾性アームと複数の前記位置規制部は、前記覆接部の周方向においてずらして設けられる。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は前記位置規制部の数と同じである。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は3~8個である。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記導電性弾性片は、金属材料を用いて一体的に成形される。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記電極部は、前記少なくとも1つの弾性アームのうちの1つの弾性アームにおける前記覆接部とは離隔する側の辺縁から前記基体及び前記発熱体とは離隔する方向に延伸する第1延伸部を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記電極部は、更に、前記第1延伸部における前記覆接部とは離隔する側の辺縁から前記基体及び前記発熱体とは離隔する方向に延伸する第2延伸部を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記第1延伸部は横方向に延伸しており、前記第2延伸部は縦方向に延伸している。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記第2延伸部と前記第1延伸部の間に夾角を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、各前記弾性アームは、いずれも、前記発熱体に弾性的に接触して導通する導通部、及び、前記導通部と前記覆接部の間に接続される接続部を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記接続部は、前記覆接部における前記発熱体に近接する側の辺縁から延伸するよう形成される。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記導通部はV字状をなしており、前記導通部のV字状の底部は前記発熱体に当止する。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記導通部のV字状の底部は円弧面である。
【0024】
本発明は、更に、上記いずれかで述べた加熱モジュールを含むエアロゾル発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、電極部は、リード線を容易に溶接できるよう、基体及び発熱体から離隔する位置まで延伸している。パッドは電極部に柔軟に設置可能である。且つ、パッドが電極部の表面にいっそう良好に付着可能となるため、溶接の安定性を向上させられる。また、溶接点と発熱体の間に一定の距離が備わるため、発熱体の加熱時に溶接点の温度が高くなり過ぎて溶融するとの事態も回避可能となり、溶接の信頼性が強化される。
【0026】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例における加熱モジュールの立体構造の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1における導電性弾性片の立体構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施例における加熱モジュールの立体構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置の立体構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0029】
本発明の記載において、理解すべき点として、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係、或いは、本発明の製品を使用する際の慣習的な配置の方向又は位置関係であって、本技術方案の記載の便宜上のものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと解釈すべきではない。また、本発明で使用する「垂直」、「水平」、「縦方向」、「横方向」との用語及び類似の表現は説明の便宜上のものにすぎず、唯一の実施形態を表すものではない。
【0030】
更に、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「取り付ける」、「連なる」、「接続する」、「固定する」「設置する」等の用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材内部の連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。また、一方の部材が他方の部材の「上」又は「下」にあると称される場合、当該部材は、「直接的」又は「間接的」に他方の部材上に位置していてもよいし、1つ又はより多くの仲介部材が存在していてもよい。
【0031】
また、「第1」、「第2」等の用語は、本技術方案の記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示していると解釈すべきでも、対象となる技術的特徴の数を示唆していると解釈すべきでもない。従って、「第1」、「第2」等の特徴が限定されている場合には、1つ又はより多くの当該特徴を明示的又は暗示的に含み得る。また、本発明の記載において、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、「複数」とは少なくとも2つの意味であり、例えば、2つ、3つ等である。当業者であれば、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0032】
図1~
図2は、本発明の第1実施例における加熱モジュール1を示している。当該加熱モジュールは、基体11と、基体11の表面に設けられる発熱体13と、発熱体13の両極にそれぞれ電気的に接続される2つの導電性弾性片12、を含み得る。
【0033】
発熱体13は、赤外線放射発熱フィルムであってもよく、且つ、基体11の外表面にコーティングしてもよい。当該赤外線放射発熱フィルムは、高い赤外線放射率を有する材料で製造してもよく、例えば、Fe2O3、MnO2、Co2O3、ZrO2、SiO2、SiC、TiO2、Al2O3、CeO2、La2O3、MgO、TiC、CrC、TiCN、コーディエライト、ペロブスカイトのうちの1種類又は複数種類を用いて製造してもよい。当該赤外線放射発熱フィルムは、2つの導電性弾性片12を介して電源の正極及び負極に接続可能である。また、通電後に熱を発生可能であり、発生させた熱を赤外線放射方式で基体11の外表面から基体11内に収容されているエアロゾル形成基質に伝達することで、エアロゾル形成基質を加熱する。赤外線放射加熱方式は、強い浸透力と放射力を有し、エアロゾル形成基質内外における同時加熱を実現可能なため、加熱がより均一となる。また、その他の実施例において、当該発熱体13は、抵抗伝導発熱フィルムとしてもよいし、抵抗伝導と赤外線放射を組み合わせた発熱フィルムとしてもよい。
【0034】
基体11は管状をなしており、その内部には、エアロゾル形成基質を収容するための収容室110が形成されている。基体11は、例えば、セラミック、石英ガラス等の耐熱性であり、且つ低熱伝導率及び高赤外線透過率を有する材料を用いて製造してもよい。本実施例において、基体11は円管状の石英ガラス管である。また、収容室110は、軸方向に沿って基体11を貫通していてもよく、且つ、基体11と同軸に設けてもよい。また、その他の実施例において、基体11は、楕円形の管状、四角形の管状といったその他の形状をなしていてもよい。
【0035】
導電性弾性片12は、金属材料を用いて一体的に成形してもよく、例えば、リン銅又は316ステンレス鋼等の低インピーダンス材料を用いる。また、導電性弾性片12の表面には、金メッキ又は銀メッキ等の金属メッキを施してもよい。2つの導電性弾性片12は、基体11の軸方向の両端にそれぞれ設置可能である。各導電性弾性片12は、いずれも、基体11に配設される覆接部121と、覆接部121に接続される少なくとも1つの弾性アーム122と、当該少なくとも1つの弾性アーム122のうちの1つに接続される電極部123を含み得る。
【0036】
覆接部121は、リング状をなしていてもよく、且つ、基体11の一端の外側に配設される。弾性アーム122は、覆接部121における発熱体13に面する側の辺縁から発熱体13に向かって延伸し、発熱体13に弾性的に接触して導通可能である。本実施例では、弾性アーム122を複数有し、例えば、3~8個有する。当該複数の弾性アーム122は、弾性的に基体11の外側を緊締して、発熱体13に機械的及び電気的に接続される。更に、当該複数の弾性アーム122は、発熱体13との安定的な接続に有利なように、覆接部121の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布してもよい。
【0037】
本実施例では、弾性アーム122を4つ有する。好ましくは、その他の実施例において、弾性アーム122の数は3つ又は5つであってもよい。各弾性アーム122は、いずれも、発熱体13に弾性的に接触して導通する導通部1222、及び、当該導通部1222と覆接部121の間に接続される接続部1221を含み得る。当該接続部1221は、基体11の軸方向に沿って延伸してもよい。当該導通部1222は、接続部1221における覆接部121とは離隔する側の辺縁から延伸したあと、予め屈曲することで変形するよう形成されてもよい。これにより、導通部1222は、弾性力を生じて発熱体13に弾性的に当接可能となるため、発熱体13との安定した電気的接続が実現される。導通部1222は、略V字状をなし、V字状の底部が発熱体13に当止してもよい。更に、導通部1222のV字状の底部は円弧形状となるよう設計されてもよい。これにより、鋭角構造が発熱体13を傷付けるとの事態を回避可能となる。また、その他の実施例において、当該接続部1221は覆接部121に対し垂直に接続されてもよいし、覆接部121における発熱体13に近接する側の辺縁から径方向に外側へ伸出してもよい。また、別のいくつかの実施例において、当該接続部1221は、覆接部121との間に一定の夾角を形成してもよい。
【0038】
電極部123は、1つの弾性アーム122における覆接部121とは離隔する側の辺縁から外側へ延伸するよう形成されてもよい。具体的には、1つの弾性アーム122から延伸したあと屈曲するように形成されてもよい。電極部123は、リード線を溶接しやすく、且つ溶接操作がより容易となるよう、基体11及び発熱体13から離隔する位置まで延伸してもよい。電極部123は、金属シート状であり、且つ、一定の厚さ及び横断面積を有している。よって、電極部123上にパッドを柔軟に設置可能となり、スクリーン印刷の場合よりもパッドに大きな厚さを持たせることができる。且つ、パッドが金属シートとの間に良好な接続の緊密性を有し、金属シートの表面に良好に付着可能となるため、溶接の安定性を向上させられる。また、溶接点と発熱体13の間に一定の距離が備わるため、発熱体13の加熱時に溶接点の温度が高くなり過ぎて溶融するとの事態も回避可能となり、溶接の信頼性が強化される。本実施例において、電極部123は、横方向に外側へ延伸するとともに、基体11及び発熱体13から離隔している。また、その他の実施例において、電極部123は、その他の構造形式となるように加工してもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、各導電性弾性片12は、更に、覆接部121に接続されるとともに、基体11の端面に当止する位置規制部124を含んでもよい。位置規制部124は、円弧形のシート状であってもよく、且つ複数有してもよい。当該複数の位置規制部124は、覆接部121の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布してもよい。位置規制部124は、プレス成形しやすいよう分割して設けられる。また、当該複数の位置規制部124は、更に、一定の弾性変形を付与可能なため、基体11の端面が平坦でない場合でも、基体11に良好に当止して基体11にしっかりと接触可能である。具体的に、本実施例では、位置規制部124を4つ有する。当該4つの位置規制部124は、覆接部121の周方向において4つの弾性アーム122とずらして設けてもよい。即ち、各位置規制部124は、隣り合う2つの弾性アーム122の周方向位置の間ごとに位置する。当該構造によれば、プレス治具を設置しやすいため、位置規制部124と弾性アーム122を一度でプレス成形できるほか、導電性弾性片12と基体11との良好な接触性を更に向上させることも可能となる。理解し得るように、その他の実施例では、位置規制部124を1つだけ有してもよく、且つ、当該1つの位置規制部124がリング形のシート状をなしてもよい。
【0040】
図3は、本発明の第2実施例における加熱モジュール1を示している。第2実施例と第1実施例の主な違いは以下の通りである。本実施例において、電極部123は、少なくとも1つの弾性アーム122のうちの1つの弾性アーム122に接続される第1延伸部1231と、当該第1延伸部1231に接続される第2延伸部1232を含み得る。当該第1延伸部1231と第2延伸部1232の間には一定の夾角が形成されていてもよい。具体的に、当該第1延伸部1231は、1つの弾性アーム122における覆接部121とは離隔する側の辺縁から基体11の径方向に外側へ延伸することで、基体11及び発熱体13から離隔してもよい。また、当該第2延伸部1232は、基体11の軸方向に沿って基体11及び発熱体13とは離隔する方向に延伸してもよく、第1延伸部1231から屈曲するように形成されてもよい。
【0041】
図4は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置100を示している。当該エアロゾル発生装置100は、略長方形の柱状をなしていてもよく、且つ、ハウジング2と、ハウジング2内に設けられる加熱モジュール1を含み得る。加熱モジュール1には、上記いずれかの実施例における加熱モジュールの構造を採用可能である。理解し得るように、その他の実施例において、当該エアロゾル発生装置100は、長方形の柱状に限らず、四角形の柱状、円柱状、楕円柱状等のその他の形状をなしていてもよい。
【0042】
ハウジング2の天井部には、エアロゾル発生基質200を挿入するための挿入口20が設けられている。挿入口20の横断面の形状及びサイズは、エアロゾル発生基質200の横断面の形状及びサイズに適応していればよい。エアロゾル発生基質200は、挿入口20から加熱モジュール1の基体11内に挿入されて、基体11の内壁面に接触可能となる。加熱モジュール1は、通電して発熱したあと、熱をエアロゾル発生基質200に伝達可能であり、これによりエアロゾル発生基質200のベーキング加熱を実現する。ハウジング2の天井部には、更に、挿入口20を遮蔽又は露出するための防塵カバー3を設けてもよい。当該防塵カバー3は、外力の作用により、ハウジング2の天井壁上で往復摺動可能である。エアロゾル発生装置100を使用する必要のない場合には、防塵カバー3を押し動かして挿入口20を遮蔽すれば、挿入口20への埃の進入を防止可能となる。また、使用する必要がある場合には、エアロゾル発生基質200を挿入口20から挿入できるよう、防塵カバー3を押し動かして挿入口20を露出させる。
【0043】
当該エアロゾル発生基質200は、円柱状をなしていてもよく、且つ、固形のシート状或いは糸状の植物の根、茎、葉といった植物系の材料であってもよい。エアロゾル発生装置100は、内部に挿接されたエアロゾル発生基質200を低温でベーキング加熱することで、非燃焼状態でエアロゾル発生基質200中のエアロゾル抽出物を放出させる。また、その他の実施例において、当該エアロゾル発生基質200の横断面形状もまた円形に限らず、楕円形、四角形、多角形等のその他の形状としてもよい。
【0044】
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
【0045】
以上の実施例は本発明の具体的実施形態を示したにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載したが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、若干の変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の請求項の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項が網羅する範囲に属するものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、エアロゾル発生装置及びその加熱モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
非燃焼・加熱型の霧化装置とは、低温の非燃焼・加熱方式で霧化材料を加熱して吸引可能なエアロゾルを形成するエアロゾル発生装置である。現在、エアロゾル発生装置の加熱方式は、一般的に、パイプ式の外周加熱か中心嵌入加熱となっている。このうち、パイプ式の外周加熱とは、加熱モジュールでエアロゾル発生基質の外側を包囲するものを指す。パイプ式の外周加熱方式を採用する従来のエアロゾル発生装置では、通常、加熱モジュールが、エアロゾル発生基質を収容するための加熱管と、加熱管の表面に設けられる発熱体を含む。また、通常は、電源に接続するために、発熱体の両端にパッドをスクリーン印刷したあと、パッド上にリード線を溶接する。しかし、第一に、スクリーン印刷されるパッドは厚さが小さいため、リード線との溶接が不安定になる。第二に、パッドと加熱管表面との付着強度もリード線の溶接の安定性に影響を及ぼす。且つ、溶接時に操作しにくく、効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、改良した加熱モジュール及び当該加熱モジュールを有するエアロゾル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
即ち、エアロゾル発生装置に用いられる加熱モジュールを構成する。当該加熱モジュールは、基体と、前記基体の外表面に設けられる発熱体と、前記発熱体の両極にそれぞれ電気的に接続される2つの導電性弾性片、を含む。各前記導電性弾性片は、いずれも、前記基体に配設される覆接部と、前記覆接部に接続されるとともに、前記発熱体に弾性的に接触して導通する少なくとも1つの弾性アームと、前記少なくとも1つの弾性アームのうちの1つから前記基体とは離隔する方向に延伸する電極部、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記基体は管状をなしており、前記基体の内部には、エアロゾル発生基質を収容するための収容室が形成されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記発熱体は赤外線放射発熱フィルムを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記2つの導電性弾性片は、前記基体の両端にそれぞれ設けられる。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は複数であり、複数の前記弾性アームは前記覆接部の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布している。
【0010】
いくつかの実施形態において、各前記導電性弾性片は、更に、前記覆接部に接続されるとともに、前記基体の端面に当止する少なくとも1つの位置規制部を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記位置規制部の数は複数であり、複数の前記位置規制部は、前記覆接部の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布している。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は複数であり、複数の前記弾性アームと複数の前記位置規制部は、前記覆接部の周方向においてずらして設けられる。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は前記位置規制部の数と同じである。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記弾性アームの数は3~8個である。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記導電性弾性片は、金属材料を用いて一体的に成形される。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記電極部は、前記少なくとも1つの弾性アームのうちの1つの弾性アームにおける前記覆接部とは離隔する側の辺縁から前記基体及び前記発熱体とは離隔する方向に延伸する第1延伸部を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記電極部は、更に、前記第1延伸部における前記覆接部とは離隔する側の辺縁から前記基体及び前記発熱体とは離隔する方向に延伸する第2延伸部を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記第1延伸部は横方向に延伸しており、前記第2延伸部は縦方向に延伸している。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記第2延伸部と前記第1延伸部の間に夾角を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、各前記弾性アームは、いずれも、前記発熱体に弾性的に接触して導通する導通部、及び、前記導通部と前記覆接部の間に接続される接続部を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記接続部は、前記覆接部における前記発熱体に近接する側の辺縁から延伸するよう形成される。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記導通部はV字状をなしており、前記導通部のV字状の底部は前記発熱体に当止する。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記導通部のV字状の底部は円弧面である。
【0024】
本発明は、更に、上記いずれかで述べた加熱モジュールを含むエアロゾル発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、電極部は、リード線を容易に溶接できるよう、基体及び発熱体から離隔する位置まで延伸している。パッドは電極部に柔軟に設置可能である。且つ、パッドが電極部の表面にいっそう良好に付着可能となるため、溶接の安定性を向上させられる。また、溶接点と発熱体の間に一定の距離が備わるため、発熱体の加熱時に溶接点の温度が高くなり過ぎて溶融するとの事態も回避可能となり、溶接の信頼性が強化される。
【0026】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例における加熱モジュールの立体構造の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1における導電性弾性片の立体構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施例における加熱モジュールの立体構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置の立体構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0029】
本発明の記載において、理解すべき点として、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係、或いは、本発明の製品を使用する際の慣習的な配置の方向又は位置関係であって、本技術方案の記載の便宜上のものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと解釈すべきではない。また、本発明で使用する「垂直」、「水平」、「縦方向」、「横方向」との用語及び類似の表現は説明の便宜上のものにすぎず、唯一の実施形態を表すものではない。
【0030】
更に、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「取り付ける」、「連なる」、「接続する」、「固定する」「設置する」等の用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材内部の連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。また、一方の部材が他方の部材の「上」又は「下」にあると称される場合、当該部材は、「直接的」又は「間接的」に他方の部材上に位置していてもよいし、1つ又はより多くの仲介部材が存在していてもよい。
【0031】
また、「第1」、「第2」等の用語は、本技術方案の記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示していると解釈すべきでも、対象となる技術的特徴の数を示唆していると解釈すべきでもない。従って、「第1」、「第2」等の特徴が限定されている場合には、1つ又はより多くの当該特徴を明示的又は暗示的に含み得る。また、本発明の記載において、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、「複数」とは少なくとも2つの意味であり、例えば、2つ、3つ等である。当業者であれば、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0032】
図1~
図2は、本発明の第1実施例における加熱モジュール1を示している。当該加熱モジュールは、基体11と、基体11の表面に設けられる発熱体13と、発熱体13の両極にそれぞれ電気的に接続される2つの導電性弾性片12、を含み得る。
【0033】
発熱体13は、赤外線放射発熱フィルムであってもよく、且つ、基体11の外表面にコーティングしてもよい。当該赤外線放射発熱フィルムは、高い赤外線放射率を有する材料で製造してもよく、例えば、Fe2O3、MnO2、Co2O3、ZrO2、SiO2、SiC、TiO2、Al2O3、CeO2、La2O3、MgO、TiC、CrC、TiCN、コーディエライト、ペロブスカイトのうちの1種類又は複数種類を用いて製造してもよい。当該赤外線放射発熱フィルムは、2つの導電性弾性片12を介して電源の正極及び負極に接続可能である。また、通電後に熱を発生可能であり、発生させた熱を赤外線放射方式で基体11の外表面から基体11内に収容されているエアロゾル発生基質に伝達することで、エアロゾル発生基質を加熱する。赤外線放射加熱方式は、強い浸透力と放射力を有し、エアロゾル発生基質内外における同時加熱を実現可能なため、加熱がより均一となる。また、その他の実施例において、当該発熱体13は、抵抗伝導発熱フィルムとしてもよいし、抵抗伝導と赤外線放射を組み合わせた発熱フィルムとしてもよい。
【0034】
基体11は管状をなしており、その内部には、エアロゾル発生基質を収容するための収容室110が形成されている。基体11は、例えば、セラミック、石英ガラス等の耐熱性であり、且つ低熱伝導率及び高赤外線透過率を有する材料を用いて製造してもよい。本実施例において、基体11は円管状の石英ガラス管である。また、収容室110は、軸方向に沿って基体11を貫通していてもよく、且つ、基体11と同軸に設けてもよい。また、その他の実施例において、基体11は、楕円形の管状、四角形の管状といったその他の形状をなしていてもよい。
【0035】
導電性弾性片12は、金属材料を用いて一体的に成形してもよく、例えば、リン銅又は316ステンレス鋼等の低インピーダンス材料を用いる。また、導電性弾性片12の表面には、金メッキ又は銀メッキ等の金属メッキを施してもよい。2つの導電性弾性片12は、基体11の軸方向の両端にそれぞれ設置可能である。各導電性弾性片12は、いずれも、基体11に配設される覆接部121と、覆接部121に接続される少なくとも1つの弾性アーム122と、当該少なくとも1つの弾性アーム122のうちの1つに接続される電極部123を含み得る。
【0036】
覆接部121は、リング状をなしていてもよく、且つ、基体11の一端の外側に配設される。弾性アーム122は、覆接部121における発熱体13に面する側の辺縁から発熱体13に向かって延伸し、発熱体13に弾性的に接触して導通可能である。本実施例では、弾性アーム122を複数有し、例えば、3~8個有する。当該複数の弾性アーム122は、弾性的に基体11の外側を緊締して、発熱体13に機械的及び電気的に接続される。更に、当該複数の弾性アーム122は、発熱体13との安定的な接続に有利なように、覆接部121の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布してもよい。
【0037】
本実施例では、弾性アーム122を4つ有する。好ましくは、その他の実施例において、弾性アーム122の数は3つ又は5つであってもよい。各弾性アーム122は、いずれも、発熱体13に弾性的に接触して導通する導通部1222、及び、当該導通部1222と覆接部121の間に接続される接続部1221を含み得る。当該接続部1221は、基体11の軸方向に沿って延伸してもよい。当該導通部1222は、接続部1221における覆接部121とは離隔する側の辺縁から延伸したあと、予め屈曲することで変形するよう形成されてもよい。これにより、導通部1222は、弾性力を生じて発熱体13に弾性的に当接可能となるため、発熱体13との安定した電気的接続が実現される。導通部1222は、略V字状をなし、V字状の底部が発熱体13に当止してもよい。更に、導通部1222のV字状の底部は円弧形状となるよう設計されてもよい。これにより、鋭角構造が発熱体13を傷付けるとの事態を回避可能となる。また、その他の実施例において、当該接続部1221は覆接部121に対し垂直に接続されてもよいし、覆接部121における発熱体13に近接する側の辺縁から径方向に外側へ伸出してもよい。また、別のいくつかの実施例において、当該接続部1221は、覆接部121との間に一定の夾角を形成してもよい。
【0038】
電極部123は、1つの弾性アーム122における覆接部121とは離隔する側の辺縁から外側へ延伸するよう形成されてもよい。具体的には、1つの弾性アーム122から延伸したあと屈曲するように形成されてもよい。電極部123は、リード線を溶接しやすく、且つ溶接操作がより容易となるよう、基体11及び発熱体13から離隔する位置まで延伸してもよい。電極部123は、金属シート状であり、且つ、一定の厚さ及び横断面積を有している。よって、電極部123上にパッドを柔軟に設置可能となり、スクリーン印刷の場合よりもパッドに大きな厚さを持たせることができる。且つ、パッドが金属シートとの間に良好な接続の緊密性を有し、金属シートの表面に良好に付着可能となるため、溶接の安定性を向上させられる。また、溶接点と発熱体13の間に一定の距離が備わるため、発熱体13の加熱時に溶接点の温度が高くなり過ぎて溶融するとの事態も回避可能となり、溶接の信頼性が強化される。本実施例において、電極部123は、横方向に外側へ延伸するとともに、基体11及び発熱体13から離隔している。また、その他の実施例において、電極部123は、その他の構造形式となるように加工してもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、各導電性弾性片12は、更に、覆接部121に接続されるとともに、基体11の端面に当止する位置規制部124を含んでもよい。位置規制部124は、円弧形のシート状であってもよく、且つ複数有してもよい。当該複数の位置規制部124は、覆接部121の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布してもよい。位置規制部124は、プレス成形しやすいよう分割して設けられる。また、当該複数の位置規制部124は、更に、一定の弾性変形を付与可能なため、基体11の端面が平坦でない場合でも、基体11に良好に当止して基体11にしっかりと接触可能である。具体的に、本実施例では、位置規制部124を4つ有する。当該4つの位置規制部124は、覆接部121の周方向において4つの弾性アーム122とずらして設けてもよい。即ち、各位置規制部124は、隣り合う2つの弾性アーム122の周方向位置の間ごとに位置する。当該構造によれば、プレス治具を設置しやすいため、位置規制部124と弾性アーム122を一度でプレス成形できるほか、導電性弾性片12と基体11との良好な接触性を更に向上させることも可能となる。理解し得るように、その他の実施例では、位置規制部124を1つだけ有してもよく、且つ、当該1つの位置規制部124がリング形のシート状をなしてもよい。
【0040】
図3は、本発明の第2実施例における加熱モジュール1を示している。第2実施例と第1実施例の主な違いは以下の通りである。本実施例において、電極部123は、少なくとも1つの弾性アーム122のうちの1つの弾性アーム122に接続される第1延伸部1231と、当該第1延伸部1231に接続される第2延伸部1232を含み得る。当該第1延伸部1231と第2延伸部1232の間には一定の夾角が形成されていてもよい。具体的に、当該第1延伸部1231は、1つの弾性アーム122における覆接部121とは離隔する側の辺縁から基体11の径方向に外側へ延伸することで、基体11及び発熱体13から離隔してもよい。また、当該第2延伸部1232は、基体11の軸方向に沿って基体11及び発熱体13とは離隔する方向に延伸してもよく、第1延伸部1231から屈曲するように形成されてもよい。
【0041】
図4は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置100を示している。当該エアロゾル発生装置100は、略長方形の柱状をなしていてもよく、且つ、ハウジング2と、ハウジング2内に設けられる加熱モジュール1を含み得る。加熱モジュール1には、上記いずれかの実施例における加熱モジュールの構造を採用可能である。理解し得るように、その他の実施例において、当該エアロゾル発生装置100は、長方形の柱状に限らず、四角形の柱状、円柱状、楕円柱状等のその他の形状をなしていてもよい。
【0042】
ハウジング2の天井部には、エアロゾル発生基質200を挿入するための挿入口20が設けられている。挿入口20の横断面の形状及びサイズは、エアロゾル発生基質200の横断面の形状及びサイズに適応していればよい。エアロゾル発生基質200は、挿入口20から加熱モジュール1の基体11内に挿入されて、基体11の内壁面に接触可能となる。加熱モジュール1は、通電して発熱したあと、熱をエアロゾル発生基質200に伝達可能であり、これによりエアロゾル発生基質200のベーキング加熱を実現する。ハウジング2の天井部には、更に、挿入口20を遮蔽又は露出するための防塵カバー3を設けてもよい。当該防塵カバー3は、外力の作用により、ハウジング2の天井壁上で往復摺動可能である。エアロゾル発生装置100を使用する必要のない場合には、防塵カバー3を押し動かして挿入口20を遮蔽すれば、挿入口20への埃の進入を防止可能となる。また、使用する必要がある場合には、エアロゾル発生基質200を挿入口20から挿入できるよう、防塵カバー3を押し動かして挿入口20を露出させる。
【0043】
当該エアロゾル発生基質200は、円柱状をなしていてもよく、且つ、固形のシート状或いは糸状の植物の根、茎、葉といった植物系の材料であってもよい。エアロゾル発生装置100は、内部に挿接されたエアロゾル発生基質200を低温でベーキング加熱することで、非燃焼状態でエアロゾル発生基質200中のエアロゾル抽出物を放出させる。また、その他の実施例において、当該エアロゾル発生基質200の横断面形状もまた円形に限らず、楕円形、四角形、多角形等のその他の形状としてもよい。
【0044】
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
【0045】
以上の実施例は本発明の具体的実施形態を示したにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載したが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、若干の変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の請求項の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項が網羅する範囲に属するものとする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置に用いられる加熱モジュールであって、
基体(11)と、前記基体(11)の外表面に設けられる発熱体(13)と、前記発熱体(13)の両極にそれぞれ電気的に接続される2つの導電性弾性片(12)、を含み、各前記導電性弾性片(12)は、いずれも、前記基体(11)に配設される覆接部(121)と、前記覆接部(121)に接続されるとともに、前記発熱体(13)に弾性的に接触して導通する少なくとも1つの弾性アーム(122)と、前記少なくとも1つの弾性アーム(122)のうちの1つから前記基体(11)とは離隔する方向に延伸する電極部(123)、を含むことを特徴とする加熱モジュール。
【請求項2】
前記基体(11)は管状をなしており、前記基体(11)の内部には、
エアロゾル発生基質を収容するための収容室(110)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項3】
前記発熱体(13)は赤外線放射発熱フィルムを含むことを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項4】
前記2つの導電性弾性片(12)は、前記基体(11)の両端にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項5】
前記弾性アーム(122)の数は複数であり、複数の前記弾性アーム(122)は前記覆接部(121)の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布していることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項6】
各前記導電性弾性片(12)は、更に、前記覆接部(121)に接続されるとともに、前記基体(11)の端面に当止する少なくとも1つの位置規制部(124)を含むことを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項7】
前記位置規制部(124)の数は複数であり、複数の前記位置規制部(124)は、前記覆接部(121)の周方向に沿って均一に間隔を開けて分布していることを特徴とする請求項6に記載の加熱モジュール。
【請求項8】
前記弾性アーム(122)の数は複数であり、複数の前記弾性アーム(122)と複数の前記位置規制部(124)は、前記覆接部(121)の周方向においてずらして設けられることを特徴とする請求項7に記載の加熱モジュール。
【請求項9】
前記弾性アーム(122)の数は前記位置規制部(124)の数と同じであることを特徴とする請求項8に記載の加熱モジュール。
【請求項10】
前記弾性アーム(122)の数は3~8個であることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項11】
前記導電性弾性片(12)は、金属材料を用いて一体的に成形されることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール。
【請求項12】
前記電極部(123)は、前記少なくとも1つの弾性アーム(122)のうちの1つの弾性アーム(122)における前記覆接部(121)とは離隔する側の辺縁から前記基体(11)及び前記発熱体(13)とは離隔する方向に延伸する第1延伸部(1231)を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の加熱モジュール。
【請求項13】
前記電極部(123)は、更に、前記第1延伸部(1231)における前記覆接部(121)とは離隔する側の辺縁から前記基体(11)及び前記発熱体(13)とは離隔する方向に延伸する第2延伸部(1232)を含むことを特徴とする請求項12に記載の加熱モジュール。
【請求項14】
前記第1延伸部(1231)は横方向に延伸しており、前記第2延伸部(1232)は縦方向に延伸していることを特徴とする請求項13に記載の加熱モジュール。
【請求項15】
前記第2延伸部(1232)と前記第1延伸部(1231)の間に夾角を有することを特徴とする請求項13に記載の加熱モジュール。
【請求項16】
各前記弾性アーム(122)は、いずれも、前記発熱体(13)に弾性的に接触して導通する導通部(1222)、及び、前記導通部(1222)と前記覆接部(121)の間に接続される接続部(1221)を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の加熱モジュール。
【請求項17】
前記接続部(1221)は、前記覆接部(121)における前記発熱体(13)に近接する側の辺縁から延伸するよう形成されることを特徴とする請求項16に記載の加熱モジュール。
【請求項18】
前記導通部(1222)はV字状をなしており、前記導通部(1222)のV字状の底部は前記発熱体(13)に当止することを特徴とする請求項16に記載の加熱モジュール。
【請求項19】
前記導通部(1222)のV字状の底部は円弧面であることを特徴とする請求項18に記載の加熱モジュール。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の加熱モジュールを含むことを特徴とするエアロゾル発生装置。
【国際調査報告】